(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20240821BHJP
B08B 5/00 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
B08B3/02 C
B08B5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021021285
(22)【出願日】2021-02-12
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】595088078
【氏名又は名称】ファインマシーンカタオカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】片岡 啓二
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-112541(JP,A)
【文献】特開2008-180288(JP,A)
【文献】特開2007-211836(JP,A)
【文献】特開2002-326063(JP,A)
【文献】国際公開第2015/071927(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00- 5/04
F16H55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄用の流体を吐出することにより被洗浄対象であるワークを洗浄する流体吐出機構部と、
前記流体吐出機構部の少なくとも一部が室内に配置され、前記流体吐出機構部が前記ワークを洗浄するための洗浄室と、
前記ワークを支持すると共に、ローラチェーンが環状に取り付けられ、前記洗浄室の室内において、前記環状の中心軸回りに回転するワーク支持部と、
第1回転軸と、前記ローラチェーンと噛み合い可能に設けられると共に、前記第1回転軸と共に回転可能に設けられている第1噛合部と、を有し、前記洗浄室の室内に設けられ、前記第1回転軸が回転することで、前記第1噛合部と前記ローラチェーンとの噛み合いに基づいて、前記洗浄室の内部で前記ワーク支持部を回転させて、前記ワークを回転させる第1スプロケットと
、
ユーザが前記ワーク支持部から前記ワークを着脱するための着脱用空間と、
乾燥風を吹き出すことにより、洗浄された前記ワークを乾燥させる乾燥風吹出機構部と、
前記乾燥風吹出機構部の少なくとも一部が室内に配置され、前記乾燥風吹出機構部が前記ワークを乾燥させるための乾燥室と、
第2回転軸と、前記ローラチェーンと噛み合い可能に設けられると共に、前記第2回転軸と共に回転可能に設けられている第2噛合部と、を有し、前記乾燥室の室内に設けられ、前記第2回転軸が回転することで、前記第2噛合部と前記ローラチェーンとの噛み合いに基づいて、前記乾燥室の内部で前記ワーク支持部を回転させて、前記ワークを回転させる第2スプロケットと、
前記ワーク支持部を、前記着脱用空間、前記洗浄室、及び、前記乾燥室の順に移動させる搬送機構部と、を備え、
前記乾燥室に移動した前記ワーク支持部は、前記乾燥室の室内において、前記環状の中心軸回りに回転し、
前記第1スプロケットは、前記第1回転軸と前記第1噛合部との間に配置される第1弾性部材を有し、
前記第1弾性部材は、弾性変形可能な素材から形成されている
と共に、前記ワーク支持部と前記第1スプロケットとが噛み合う際に生じる衝撃を吸収可能に配置されている、洗浄機。
【請求項2】
前記第2スプロケットは、前記第2回転軸と前記第2噛合部との間に配置される第2弾性部材を有し、
前記第2弾性部材は、弾性変形可能な素材から形成されている
と共に、前記ワーク支持部と前記第2スプロケットとが噛み合う際に生じる衝撃を吸収可能に配置されている、請求項
1に記載の洗浄機。
【請求項3】
前記第2弾性部材は、円筒形状に形成され、前記第2回転軸を中心とする円周に沿って、複数設けられている
と共に、複数の前記第2弾性部材は、別体に形成され、
前記第2回転軸と前記第2噛合部との間には、隙間が形成されていると共に、複数の前記第2弾性部材同士の間には、隙間が形成されている、請求項
2に記載の洗浄機。
【請求項4】
前記第1弾性部材は、円筒形状に形成され、前記第1回転軸を中心とする円周に沿って、複数設けられている
と共に、複数の前記第1弾性部材は、別体に形成され、
前記第1回転軸と前記第1噛合部との間には、隙間が形成されていると共に、複数の前記第1弾性部材同士の間には、隙間が形成されている、請求項1から
3のいずれか一項に記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被洗浄物を着脱するための第1室と、被洗浄物を洗浄するための第2室と、被洗浄物を乾燥するための第3室との順に搬送して、第2室において被洗浄物を洗浄する洗浄装置が開示されている。第2室の内部には、被洗浄物が載置されるテーブルを回転させるためのスプロケットが設けられている。被洗浄物が載置されるテーブルが着脱可能室から洗浄室に搬送されると、テーブルに形成されている環状噛合部が、スプロケットに形成されている噛合部と噛み合う。スプロケットが回転することにより、この噛み合いに基づいて、テーブルが回転するため、第2室の内部において、被洗浄物を回転させつつ、洗浄することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の洗浄装置においては、被洗浄物であるワークが載置されるテーブルが洗浄室に搬送されると、テーブルの環状噛合部が、スプロケットの噛合部に噛み合う。この際、テーブルの環状噛合部がスプロケットの噛合部に当接するため、この当接に起因した衝撃が生じる。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、ワークを支持するワーク支持部とスプロケットとが噛み合う際に生じる衝撃を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明に係る洗浄機は、
洗浄用の流体を吐出することにより被洗浄対象であるワークを洗浄する流体吐出機構部と、
前記流体吐出機構部の少なくとも一部が室内に配置され、前記流体吐出機構部が前記ワークを洗浄するための洗浄室と、
前記ワークを支持すると共に、ローラチェーンが環状に取り付けられ、前記洗浄室の室内において、前記環状の中心軸回りに回転するワーク支持部と、
第1回転軸と、前記ローラチェーンと噛み合い可能に設けられると共に、前記第1回転軸と共に回転可能に設けられている第1噛合部と、を有し、前記洗浄室の室内に設けられ、前記第1回転軸が回転することで、前記第1噛合部と前記ローラチェーンとの噛み合いに基づいて、前記洗浄室の内部で前記ワーク支持部を回転させて、前記ワークを回転させる第1スプロケットと、
ユーザが前記ワーク支持部から前記ワークを着脱するための着脱用空間と、
乾燥風を吹き出すことにより、洗浄された前記ワークを乾燥させる乾燥風吹出機構部と、
前記乾燥風吹出機構部の少なくとも一部が室内に配置され、前記乾燥風吹出機構部が前記ワークを乾燥させるための乾燥室と、
第2回転軸と、前記ローラチェーンと噛み合い可能に設けられると共に、前記第2回転軸と共に回転可能に設けられている第2噛合部と、を有し、前記乾燥室の室内に設けられ、前記第2回転軸が回転することで、前記第2噛合部と前記ローラチェーンとの噛み合いに基づいて、前記乾燥室の内部で前記ワーク支持部を回転させて、前記ワークを回転させる第2スプロケットと、
前記ワーク支持部を、前記着脱用空間、前記洗浄室、及び、前記乾燥室の順に移動させる搬送機構部と、を備え、
前記乾燥室に移動した前記ワーク支持部は、前記乾燥室の室内において、前記環状の中心軸回りに回転し、
前記第1スプロケットは、前記第1回転軸と前記第1噛合部との間に配置される第1弾性部材を有し、
前記第1弾性部材は、弾性変形可能な素材から形成されていると共に、前記ワーク支持部と前記第1スプロケットとが噛み合う際に生じる衝撃を吸収可能に配置されている。
【0009】
前記第2スプロケットは、前記第2回転軸と前記第2噛合部との間に配置される第2弾性部材を有し、
前記第2弾性部材は、弾性変形可能な素材から形成されていると共に、前記ワーク支持部と前記第2スプロケットとが噛み合う際に生じる衝撃を吸収可能に配置されていてもよい。
【0010】
前記第2弾性部材は、円筒形状に形成され、前記第2回転軸を中心とする円周に沿って、複数設けられていると共に、複数の前記第2弾性部材は、別体に形成され、
前記第2回転軸と前記第2噛合部との間には、隙間が形成されていると共に、複数の前記第2弾性部材同士の間には、隙間が形成されていてもよい。
【0011】
前記第1弾性部材は、円筒形状に形成され、前記第1回転軸を中心とする円周に沿って、複数設けられていると共に、複数の前記第1弾性部材は、別体に形成され、
前記第1回転軸と前記第1噛合部との間には、隙間が形成されていると共に、複数の前記第1弾性部材同士の間には、隙間が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る洗浄機においては、第1スプロケットは、第1回転軸と第1噛合部との間に配置され、弾性変形可能な素材から形成されている第1弾性部材を有する。このため、ワーク支持部のローラチェーンと第1スプロケットの第1噛合部とが噛み合う際に、当該噛み合いに起因した衝撃を第1弾性部材が吸収する。これにより、洗浄機は、ワークを支持するワーク支持部と第1スプロケットとが噛み合う際に生じる衝撃を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る洗浄機の斜視図である。
【
図2】(A)は、洗浄機の平面図である。(B)は、洗浄機の側面図である。
【
図4】洗浄機の着脱用スペース、洗浄室、及び乾燥室を説明するための平面図である。
【
図5】(A)は、洗浄機のワーク支持部と第1スプロケットとを説明するための平面図である。(B)は、第1スプロケットの断面図である。
【
図7】(A)は、洗浄機の第2のワーク支持部と第2スプロケットとを説明するための平面図である。(B)は、第2スプロケットの断面図である。
【
図9】(A)は、洗浄機の動作を説明するための平面図(その1)である。(B)は、洗浄機の動作を説明するための平面図(その2)である。
【
図10】(A)は、洗浄機の動作を説明するための平面図(その3)である。(B)は、洗浄機の動作を説明するための平面図(その4)である。
【
図11】(A)は、第1スプロケットの効果を説明するための断面図(その1)である。(B)は、第1スプロケットの効果を説明するための断面図(その2)である。
【
図12】(A)は、第2スプロケットの効果を説明するための断面図(その1)である。(B)は、第2スプロケットの効果を説明するための断面図(その2)である。
【
図13】(A)は、洗浄機の動作を説明するための平面図(その5)である。(B)は、洗浄機の動作を説明するための平面図(その6)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る洗浄機100について、図を用いて説明する。なお、理解を容易にするために、相互に直交するXYZ座標を設定し、適宜参照する。XYZ座標のXY平面は、洗浄機100が設置される設置面200に平行な面である。
【0015】
洗浄機100は、
図1~
図4に示すように、筐体10と、着脱用スペースSと、ワーク支持部20と、第2のワーク支持部20-2と、第3のワーク支持部20-3と、搬送機構部30と、流体吐出機構部と、洗浄室R1と、第1スプロケット40と、乾燥風吹出機構部と、乾燥室R2と、第2スプロケット50とを備える。
【0016】
筐体10は、
図1及び
図2に示すように、流体吐出機構部及び乾燥風吹出機構部などの上記の各構成部分を内部に収容して保護する。筐体10には、洗浄機100のユーザが、洗浄室R1及び乾燥室R2の内部を視認して、洗浄対象であるワークWの洗浄状態及び乾燥状態を確認できる窓11R、11Lが形成されている。
【0017】
着脱用スペースS(着脱用空間)は、
図3及び
図4に示すように、筐体10において、洗浄機100のユーザが作業しやすいように正面寄り(+X寄り)に設けられている。着脱用スペースSは、洗浄機100のユーザが、ワーク支持部20に対して洗浄対象であるワークWを着脱するための作業用スペースとして用いられる。
【0018】
ワーク支持部20は、
図3に示すように、洗浄対象であるワークWを支持するために用いられている。ワーク支持部20は、
図4及び
図5に示すように、支持軸21と、環状に取り付けられているローラチェーン22とを有する。ローラチェーン22は、
図6に示すように、支持軸21に対して、回転方向D2に回転可能に取り付けられている。
【0019】
第2のワーク支持部20-2は、
図3、
図4及び
図7に示すように、ワーク支持部20と同等のものであり、ワーク支持部20と共に、洗浄対象であるワークWを支持するために用いられている。
【0020】
第3のワーク支持部20-3は、
図3及び
図4に示すように、ワーク支持部20、20-2と同等のものであり、ワーク支持部20、20-2と共に、洗浄対象であるワークWを支持するために用いられている。
【0021】
搬送機構部30は、ワーク支持部20、20-2、20-3を、回転方向D1に沿って、着脱用スペースS、洗浄室R1、及び乾燥室R2の順に移動させる。これにより、搬送機構部30は、ワーク支持部20、20-2、20-3のいずれか少なくとも一つに取り付けられたワークWを、着脱用スペースS、洗浄室R1、及び乾燥室R2の順に回転搬送させる。この搬送機構部30は、例えば、支持軸31と、支持軸31から放射状に延びる3本のアーム32-1、32-2、32-3と、3本のアーム32-1、32-2、32-3の先端を連結する円環連結部33と、搬送機構部用モータとを含んで構成されている。3本のアーム32-1、32-2、32-3それぞれの先端近傍には、ワーク支持部20、20-2、20-3が配置されている。
【0022】
流体吐出機構部は、洗浄用の流体を吐出するノズルを含んで構成されている。ノズルの少なくとも先端は、洗浄室R1に配置されている。流体吐出機構部は、このノズルから洗浄用の流体を吐出することにより、洗浄室R1においてワークWを洗浄する。
【0023】
洗浄室R1は、筐体10において、着脱用スペースSの後方右寄り(+Y寄り)に設けられている。洗浄室R1は、上下方向に可動するシャッター61、62によって、着脱用スペースS及び乾燥室R2と区画されていると共に、シャッター61、62によって、水密に閉鎖可能に設けられている。
【0024】
第1スプロケット40は、
図4、
図5及び
図6に示すように、洗浄室R1の内部に設けられている。この第1スプロケット40は、第1回転軸41と、第1噛合部42と、第1弾性部材43と、第1スプロケット用モータ44とを有する。
【0025】
第1回転軸41は、第1スプロケット用モータ44によって回転する。第1回転軸41は、その回転に基づいて、第1噛合部42を回転方向D3に回転させる。
【0026】
第1噛合部42は、ローラチェーン22と噛み合い可能に設けられていると共に、第1回転軸41に固定されている。第1噛合部42は、例えば、ローラチェーン22と噛み合う歯車状の部材である。第1噛合部42は、その回転方向D3の回転により、第1噛合部42とローラチェーン22との噛み合いに基づいて、ローラチェーン22を回転方向D2に回転させる。
【0027】
第1弾性部材43は、第1スプロケット40において、第1回転軸41と第1噛合部42との間に配置されている。第1弾性部材43は、弾性変形可能な素材から形成されている。第1弾性部材43は、円筒形状に形成され、第1回転軸41を中心とする円周に沿って、複数設けられている。本実施の形態においては、第1弾性部材43は、第1回転軸41を中心とする円周に沿って、等間隔に4つ設けられている。その弾性変形に基づいて、第1回転軸41に対して、第1噛合部42を水平方向に移動可能にする部材である。したがって、第1回転軸41及び第1噛合部42は、この第1弾性部材43の弾性変形の範囲で相対変位可能に設けられる。
【0028】
上述のように構成されている第1スプロケット40は、第1スプロケット用モータ44によって第1回転軸41が回転方向D3に回転することで、第1噛合部42とローラチェーン22との噛み合いに基づいて、洗浄室R1の内部でワーク支持部20を回転方向D2に回転させて、ワークWを回転させる。これにより、流体吐出機構部が、回転するワークWを洗浄させることができる。
【0029】
乾燥風吹出機構部は、エアが吹き出されるエアノズルを含んで構成されている。エアノズルの少なくとも先端は、乾燥室R2に配置されている。乾燥風吹出機構部は、このエアノズルから乾燥風を吹き出すことにより、洗浄後のワークWを、乾燥室R2において乾燥する。
【0030】
乾燥室R2は、筐体10において、着脱用スペースSの後方左寄り(-Y寄り)に設けられている。乾燥室R2は、上下方向に可動するシャッター62、63によって、着脱用スペースS及び洗浄室R1から区画されていると共に、シャッター62、63によって、閉鎖可能に設けられている。
【0031】
第2スプロケット50は、
図4、
図7、及び
図8に示すように、乾燥室R2の内部に設けられている。この第2スプロケット50は、第2回転軸51と、第2噛合部52と、第2弾性部材53と、第2スプロケット用モータ54とを有する。
【0032】
第2回転軸51は、第2スプロケット用モータ54によって回転する。第2回転軸51は、その回転に基づいて、第2噛合部52を回転方向D3に回転させる。
【0033】
第2噛合部52は、ローラチェーン22と噛み合い可能に設けられていると共に、第2回転軸51に固定されている。第2噛合部52は、例えば、ローラチェーン22と噛み合う歯車である。第2噛合部52は、その回転方向D3の回転により、第2噛合部52とローラチェーン22との噛み合いに基づいて、ローラチェーン22を回転方向D2に回転させる。
【0034】
第2弾性部材53は、第2スプロケット50において、第2回転軸51と第2噛合部52との間に配置されている。第2弾性部材53は、弾性変形可能な素材から形成されている。第2弾性部材53は、円筒形状に形成され、第2回転軸51を中心とする円周に沿って、複数設けられている。本実施の形態においては、第2弾性部材53は、第2回転軸51を中心とする円周に沿って、等間隔に4つ設けられている。第2弾性部材53は、その弾性変形に基づいて、第2回転軸51に対して、第2噛合部52を水平方向に移動可能にする部材である。したがって、第2回転軸51及び第2噛合部52は、この第2弾性部材53の弾性変形の範囲で相対変位可能に設けられる。
【0035】
上述のように構成されている第2スプロケット50は、第2スプロケット用モータ54によって第2回転軸51が回転方向D3に回転することで、第2噛合部52とローラチェーン22との噛み合いに基づいて、乾燥室R2の内部でワーク支持部20を回転方向D2に回転させて、ワークWを回転させる。これにより、乾燥風吹出機構部が、回転するワークWを乾燥させることができる。
【0036】
上述のように構成された洗浄機100の動作について図を用いて説明する。
【0037】
先ず、洗浄機100のユーザは、
図2及び
図3に示すように、ワーク支持部20、20-2、20-3のいずれか少なくとも一つにワークWを取り付ける。
図9及び
図10においては、3つのワーク支持部20、20-2、20-3のうちのワーク支持部20にワークWが取り付けられ、ワーク支持部20-2、20-3には取り付けられていない。また、
図9(A)の初期位置においては、ワーク支持部20は、着脱用スペースSに配置され、ワーク支持部20-2は、洗浄室R1に配置され、ワーク支持部20-3は、乾燥室R2に配置されている。
【0038】
続いて、搬送機構部用モータに電源が供給されることによって、
図9(A)、(B)に示すように、搬送機構部30の支持軸31が回転方向D1に回転する。すると、
図9(B)に示すように、ワークWが取り付けられているワーク支持部20が、着脱用スペースSから洗浄室R1に移動して、第1スプロケット40に接近していき、やがて、
図10(A)に示すように、ワーク支持部20が第1スプロケット40に接触して、ローラチェーン22と第1噛合部42とが噛み合う。
【0039】
この際、
図11に示すように、第1弾性部材43は、弾性変形することにより、ローラチェーン22と第1噛合部42との噛み合いに起因した衝撃を吸収する。この結果、ワーク支持部20と第1スプロケット40とが噛み合う際に生じる衝撃を抑制する。
【0040】
図10(B)に示すように、ワーク支持部20のローラチェーン22と第1スプロケット40の第1噛合部42とが噛み合うことにより、ワーク支持部20は、洗浄室R1の内部において、所定の位置に配置される。
【0041】
また、
図10(A)に示すように、ワークWが取り付けられていない第2のワーク支持部20-2も、洗浄室R1から乾燥室R2に移動して、第2スプロケット50に接近していき、やがて、
図10(B)に示すように、第2のワーク支持部20-2が第2スプロケット50に接触して、ローラチェーン22と第2噛合部52とが噛み合う。
【0042】
この際、
図12に示すように、第2弾性部材53は、弾性変形することにより、ローラチェーン22と第2噛合部52との噛み合いに起因した衝撃を吸収する。この結果、第2のワーク支持部20-2と第2スプロケット50とが噛み合う際に生じる衝撃を抑制する。
【0043】
図10(B)に示すように、第2のワーク支持部20-2のローラチェーン22と第2スプロケット50の第2噛合部52とが噛み合うことにより、第2のワーク支持部20-2は、乾燥室R2の内部において、所定の位置に配置される。
【0044】
また、
図10(A)、(B)に示すように、ワークWが取り付けられていない第3のワーク支持部20-3も、乾燥室R2から着脱用スペースSに移動する。
【0045】
続いて、シャッター61~63を下ろすことにより、洗浄室R1は水密に閉鎖されると共に、乾燥室R2も閉鎖される。
【0046】
続いて、第1スプロケット用モータ44に電源が供給されることによって、
図6に示すように、第1スプロケット40の第1回転軸41が回転方向D3に回転する。すると、ローラチェーン22と第1噛合部42との噛み合いに基づいて、ローラチェーン22は、ワークWと共に回転方向D2に回転する。洗浄機100のユーザは、第1スプロケット用モータ44を制御することにより、ワークWを回転させたり、所定の回転位置で止めたりしつつ、流体吐出機構部を制御して、ワークWを洗浄する。
【0047】
次に、ワークWの洗浄後、シャッター61~63を上昇させてから、搬送機構部用モータを制御することにより、
図13(A)に示すように、搬送機構部30の支持軸31が回転方向D1に回転する。すると、
図13(B)に示すように、ワークWが取り付けられているワーク支持部20が、洗浄室R1から乾燥室R2に移動して、第2スプロケット50に接近していき、やがて、ワーク支持部20が第2スプロケット50に接触して、ローラチェーン22と第2噛合部52とが噛み合う。
【0048】
この際、
図12を参照するとわかるように、第2弾性部材53は、弾性変形することにより、ローラチェーン22と第2噛合部52との噛み合いに起因した衝撃を吸収する。この結果、ワーク支持部20と第2スプロケット50とが噛み合う際に生じる衝撃を抑制する。
【0049】
図13(B)に示すように、ワーク支持部20のローラチェーン22と第2スプロケット50の第2噛合部52とが噛み合うことにより、ワーク支持部20は、乾燥室R2の内部において、所定の位置に配置される。
【0050】
続いて、シャッター61~63を下ろすことにより、乾燥室R2は閉鎖される。
【0051】
続いて、第2スプロケット用モータ54に電源が供給されることによって、
図8に示すように、第2スプロケット50の第2回転軸51が回転方向D3に回転する。すると、ローラチェーン22と第2噛合部52との噛み合いに基づいて、ローラチェーン22は、ワークWと共に回転方向D2に回転する。洗浄機100のユーザは、第2スプロケット用モータ54を制御することにより、ワークWを回転させたり、所定の回転位置で止めたりしつつ、乾燥風吹出機構部を制御して、ワークWを乾燥させる。
【0052】
ワークWの乾燥後、搬送機構部用モータを制御することにより、
図4に示すように、搬送機構部30の支持軸31が回転方向D1に回転する。すると、ワークWが取り付けられているワーク支持部20が、乾燥室R2から着脱用スペースSに移動する。
【0053】
以上により、洗浄機100のワークWの洗浄及び乾燥が完了する。
【0054】
以上、説明したように、本実施の形態において、第1スプロケット40は、第1回転軸41と第1噛合部42との間に配置され、弾性変形可能な素材から形成されている第1弾性部材43を有する。このため、ワーク支持部20のローラチェーン22と第1スプロケット40の第1噛合部42とが噛み合う際に、当該噛み合いに起因した衝撃を第1弾性部材43が吸収する。これにより、本実施の形態は、ワークWを支持するワーク支持部20と第1スプロケット40とが噛み合う際に生じる衝撃、及び、その衝撃に伴う異音の発生を抑制することができる。
【0055】
また、本実施の形態において、第2スプロケット50は、第2回転軸51と第2噛合部52との間に配置され、弾性変形可能な素材から形成されている第2弾性部材53を有する。このため、ワーク支持部20のローラチェーン22と第2スプロケット50の第2噛合部52とが噛み合う際に、当該噛み合いに起因した衝撃を第2弾性部材53が吸収する。これにより、本実施の形態は、ワークWを支持するワーク支持部20と第2スプロケット50とが噛み合う際に生じる衝撃を抑制することができる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0057】
例えば、上記実施の形態に係る洗浄機100は、
図4に示すように、第1スプロケット40に加えて、第2スプロケット50を備えている。しかしながら、これに限られない。洗浄機100は、第2スプロケット50を備えていなくてもよい。ただし、乾燥室R2において、ワーク支持部20を所定の位置に正確に配置して乾燥する観点からは、洗浄機100は、第1スプロケット40に加えて、第2スプロケット50を備えていた方がよい。
【0058】
また、上記実施の形態においては、第1弾性部材43は、
図5に示すように、円筒形状に形成され、第1回転軸41を中心とする円周に沿って、等間隔に4つ設けられている。しかしながら、これに限られない。第1弾性部材43の配置位置や数は任意であり、適宜変更され得る。第1弾性部材43は、実施の形態で示す箇所以外の位置に配置されていたり、4つ以外の数が設けられていたりしてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態においては、第2弾性部材53は、
図7に示すように、円筒形状に形成され、第2回転軸51を中心とする円周に沿って、等間隔に4つ設けられている。しかしながら、これに限られない。第2弾性部材53の配置位置や数は任意であり、適宜変更され得る。第2弾性部材53は、実施の形態で示す箇所以外の位置に配置されていたり、4つ以外の数が設けられていたりしてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態においては、洗浄機100は、
図3に示すように、着脱用スペースSと洗浄室R1と乾燥室R2との3室構造を有する。しかしながら、これに限られない。例えば、乾燥室R2を割愛して、洗浄機100を2室構造にしてもよい。また、洗浄機100は、着脱用スペースSと洗浄室R1と乾燥室R2とに加えて、さらに、別室を有する4室以上の構造を有していてもよい。
【0061】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0062】
10:筐体
11R,11L:窓
20:ワーク支持部
20-2:第2のワーク支持部
20-3:第3のワーク支持部
21:支持軸
22:ローラチェーン
30:搬送機構部
31:支持軸
32-1,32-2,32-3:アーム
33:円環連結部
40:第1スプロケット
41:第1回転軸
42:第1噛合部
43:第1弾性部材
44:第1スプロケット用モータ
50:第2スプロケット
51:第2回転軸
52:第2噛合部
53:第2弾性部材
54:第2スプロケット用モータ
61,62,63:シャッター
100:洗浄機
200:設置面
D1,D2,D3:回転方向
R1:洗浄室
R2:乾燥室
S:着脱用スペース(着脱用空間)
W:ワーク