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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】伸縮装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20240821BHJP
   B66F 3/08 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
F16H25/20 E
F16H25/20 A
F16H25/20 F
B66F3/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023061869
(22)【出願日】2023-04-06
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】515329872
【氏名又は名称】コアーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 央道
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-505569(JP,A)
【文献】特開2003-106395(JP,A)
【文献】特開昭64-49764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/20
B66F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入れ子式に組み合わされて回り止めされた第1ないし第n(ただしn≧3)部材と、
前記第1ないし前記第n-1部材それぞれに対して前記第2ないし前記第n部材それぞれを軸方向に移動させる第1ないし第n-1送りねじと、を備え、
同時に回転する前記第1ないし前記第n-1送りねじのねじ軸が同軸上に配置され、
前記第n部材には、前記第n-1送りねじのねじ軸が回転可能に支持され、
縮小状態において、前記第1ないし前記第n-2送りねじそれぞれのねじ軸が前記第2ないし前記第n-1送りねじそれぞれのねじ軸の外側に配置され
駆動軸を回転させると、前記第1部材に固定された前記第1送りねじのナットに螺合する前記第1送りねじのねじ軸が回転しながら昇降する伸縮装置。
【請求項2】
入れ子式に組み合わされて回り止めされた第1ないし第n(ただしn≧3)部材と、
前記第1ないし前記第n-1部材それぞれに対して前記第2ないし前記第n部材それぞれを軸方向に移動させる第1ないし第n-1送りねじと、を備え、
同時に回転する前記第1ないし前記第n-1送りねじのねじ軸が同軸上に配置され、
前記第n部材には、前記第n-1送りねじのねじ軸が回転可能に支持され、
縮小状態において、前記第1ないし前記第n-2送りねじそれぞれのねじ軸が前記第2ないし前記第n-1送りねじそれぞれのねじ軸の外側に配置され
前記第1送りねじのねじ軸を回転させると、前記第2部材に固定されて前記第1送りねじのねじ軸に螺合する前記第1送りねじのナットが昇降し、前記第2部材に固定された前記第2送りねじのナットに螺合する前記第2送りねじのねじ軸が回転しながら昇降する伸縮装置。
【請求項3】
回り止めされた第1ないし第3部材と、
前記第1ないし前記第2部材それぞれに対して前記第2ないし前記第3部材それぞれを軸方向に移動させる第1ないし第2送りねじと、を備え、
前記第1ないし前記第2送りねじのねじ軸が同軸上に配置され、
前記第3部材には、前記第2送りねじのねじ軸が固定され、
縮小状態において、前記第1送りねじのねじ軸が前記第2送りねじのねじ軸の外側に配置され
駆動軸を回転駆動させると、前記第1送りねじのねじ軸が回転し、前記第1部材に固定された前記第1送りねじのナットに螺合する前記第1送りねじのねじ軸が回転しながら昇降する伸縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の送りねじを用いた伸縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、空圧や油圧を使用せずに3以上の部材を伸縮させることができる伸縮装置を提案している(特許文献1参照)。この伸縮装置は、回り止めされた第1ないし第n(ただしn≧3)部材と、第1ないし第n-1部材それぞれに対して第2ないし第n部材それぞれを軸方向に移動させる第1ないし第n-1送りねじと、を備える。この伸縮装置では、第1ないし第n-1送りねじのねじ軸が同時に回転することにより、第1ないし第3部材を伸縮させる。したがって、空圧や油圧を使用せずに第1ないし第3部材を伸縮させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7123445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の伸縮装置においては、第1ないし第n-1送りねじのねじ軸がねじ軸の直交方向に離れて配置される。伸縮装置の第n部材に働く軸方向荷重は、第1ないし第n-1送りねじのねじ軸に伝わるところ、従来の伸縮装置においては、偏心荷重が発生するという課題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、偏心荷重が発生するのを防止できる伸縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1態様は、入れ子式に組み合わされて回り止めされた第1ないし第n(ただしn≧3)部材と、前記第1ないし前記第n-1部材それぞれに対して前記第2ないし前記第n部材それぞれを軸方向に移動させる第1ないし第n-1送りねじと、を備え、同時に回転する前記第1ないし前記第n-1送りねじのねじ軸が同軸上に配置され、前記第n部材には、前記第n-1送りねじのねじ軸が回転可能に支持され、縮小状態において、前記第1ないし前記第n-2送りねじそれぞれのねじ軸が前記第2ないし前記第n-1送りねじそれぞれのねじ軸の外側に配置され、駆動軸を回転させると、前記第1部材に固定された前記第1送りねじのナットに螺合する前記第1送りねじのねじ軸が回転しながら昇降する伸縮装置である。
【0007】
本発明の第2態様は、入れ子式に組み合わされて回り止めされた第1ないし第n(ただしn≧3)部材と、前記第1ないし前記第n-1部材それぞれに対して前記第2ないし前記第n部材それぞれを軸方向に移動させる第1ないし第n-1送りねじと、を備え、同時に回転する前記第1ないし前記第n-1送りねじのねじ軸が同軸上に配置され、前記第n部材には、前記第n-1送りねじのねじ軸が回転可能に支持され、縮小状態において、前記第1ないし前記第n-2送りねじそれぞれのねじ軸が前記第2ないし前記第n-1送りねじそれぞれのねじ軸の外側に配置され、前記第1送りねじのねじ軸を回転させると、前記第2部材に固定されて前記第1送りねじのねじ軸に螺合する前記第1送りねじのナットが昇降し、前記第2部材に固定された前記第2送りねじのナットに螺合する前記第2送りねじのねじ軸が回転しながら昇降する伸縮装置である。
【0008】
本発明の第3態様は、回り止めされた第1ないし第3部材と、前記第1ないし前記第2部材それぞれに対して前記第2ないし前記第3部材それぞれを軸方向に移動させる第1ないし第2送りねじと、を備え、前記第1ないし前記第2送りねじのねじ軸が同軸上に配置され、前記第3部材には、前記第2送りねじのねじ軸が固定され、縮小状態において、前記第1送りねじのねじ軸が前記第2送りねじのねじ軸の外側に配置され、駆動軸を回転駆動させると、前記第1送りねじのねじ軸が回転し、前記第1部材に固定された前記第1送りねじのナットに螺合する前記第1送りねじのねじ軸が回転しながら昇降する伸縮装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、偏心荷重が発生するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態の伸縮装置の縦断面図である。
図2図2(a)は摺動ピースの斜視図であり、図2(b)はキーの拡大図である。
図3】本発明の第1実施形態の伸縮装置の他の例を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態の伸縮装置の縦断面図である。
図5】本発明の第3実施形態の伸縮装置の縦断面図である。
図6】本発明の第3実施形態の伸縮装置の他の例を示す図である。
図7】本発明の第3実施形態の伸縮装置のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態の伸縮装置を詳細に説明する。ただし、本発明の伸縮装置は種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明の範囲を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
(第1実施形態)
【0012】
図1は、本発明の第1態様の実施形態(第1実施形態)の伸縮装置10の縦断面図を示す。本実施形態の伸縮装置10は、5段式の伸縮装置であり、図1には伸縮装置10の伸長状態を示す。伸縮装置10は、回り止めされた第1ないし第5部材(以下、第1ないし第5パイプ1~5という)を備える。第1ないし第5パイプ1~5は入れ子式に組み合わされる。第1ないし第5パイプ1~5の断面形状は例えば四角形である。第1パイプ1の下端部は、フレーム6に固定される。フレーム6は、箱状であり、ベース板6a、上板6b、側板6cを備える。第5パイプ5の上端部には、図示しない昇降物が取り付けられる。モータ7を回転駆動させると、第1ないし第5パイプ1~5が伸縮する。なお、モータ7の替わりに、図示しない手回しハンドルによって第1ないし第5パイプ1~5を伸縮させてもよい。
【0013】
第1パイプ1は上端部が開放していて、下端部に底板1aを有し、中央部に中板1bを有する。第1パイプ1の内側には、第2パイプ2が軸方向に移動可能に組み込まれる。第1パイプ1の上端部には、第2パイプ2の外面が滑る樹脂製の摺動ピース8(図2(a)参照)が設けられる。第2パイプ2の下端部には、第1パイプ1の内面を滑る樹脂製の摺動ピース8(図2(a)参照)が設けられる。
【0014】
第2パイプ2は、上端部が開放していて、下端部に底板2aを有する。第2パイプ2の内側には、第3パイプ3が組み込まれる。第2パイプ2の上端部には、摺動ピース8が設けられる。第3パイプ3の下端部には、摺動ピース8が設けられる。
【0015】
第3パイプ3は、上端部が開放していて、下端部に底板3aを有する。第3パイプ3の内側には、第4パイプ4が軸方向に移動可能に組み込まれる。第3パイプ3の上端部には、摺動ピース8が設けられる。第4パイプ4の下端部には、摺動ピース8が設けられる。
【0016】
第4パイプ4は、上端部が開放していて、下端部に底板4aを有する。第4パイプ4の内側には、第5パイプ5が軸方向に移動可能に組み込まれる。第4パイプ4の上端部には、摺動ピース8が設けられる。第5パイプ5の下端部には、摺動ピース8が設けられる。第5パイプ5は、下端部に底板5aを有し、上端部に天板5bを有する。
【0017】
符号11は、第1パイプ1に対して第2パイプ2を軸方向に移動させる第1送りねじである。第1送りねじ11は、中空の第1ねじ軸11aと、第1ねじ軸11aに螺合する第1送りナット11bと、を備える。第1ねじ軸11aは、第2パイプ2の底板2aにベアリング16を介して回転可能に支持される。第1送りナット11bは、第1パイプ1の中板1bに固定される。なお、第1ねじ軸11aと第1送りナット11bには、ボールねじを用いてもよい。以下のねじ軸と送りナットでも同様である。
【0018】
符号12は、第2パイプ2に対して第3パイプ3を軸方向に移動させる第2送りねじである。第2送りねじ12は、中空の第2ねじ軸12aと、第2ねじ軸12aに螺合する第2送りナット12bと、を備える。第2ねじ軸12aは、第3パイプ3の底板3aにベアリング17を介して回転可能に支持される。第2送りナット12bは、第2パイプ2の底板2aに固定される。
【0019】
符号13は、第3パイプ3に対して第4パイプ4を軸方向に移動させる第3送りねじである。第3送りねじ13は、中空の第3ねじ軸13aと、第3ねじ軸13aに螺合する第3送りナット13bと、を備える。第3ねじ軸13aは、第4パイプ4の底板4aにベアリング18を介して回転可能に支持される。第3送りナット13bは、第3パイプ3の底板3aに固定される。
【0020】
符号14は、第4パイプ4に対して第5パイプ5を軸方向に移動させる第4送りねじである。第4送りねじ14は、第4ねじ軸14aと、第4ねじ軸14aに螺合する第4送りナット14bと、を備える。第4ねじ軸14aは、第5パイプ5の底板5aにベアリング19を介して回転可能に支持される。第4送りナット14bは、第4パイプ4の底板4aに固定される。
【0021】
第1ないし第4ねじ軸11a~14aは、同軸に配置される。第1ねじ軸11aは第2ねじ軸12aの外側に配置される。第2ねじ軸12aは第3ねじ軸13aの外側に配置される。第3ねじ軸13aは第4ねじ軸14aの外側に配置される。
【0022】
第1ないし第4ねじ軸11a~14aは、同時に回転する。第1ねじ軸11aの上部には、キー20(図2(b)参照)が取り付けられる。第2ねじ軸12aには、キー20が係合するスプライン溝21が形成される。同様に、第2ねじ軸12aの上部には、キー20が取り付けられる。第3ねじ軸13aには、キー20が係合するスプライン溝21が形成される。第3ねじ軸13aの上部には、キー20が取り付けられる。第4ねじ軸14aには、キー20が係合するスプライン溝21が形成される。なお、キー20の替わりにスプラインナットを用いて、第1ないし第4ねじ軸11a~14aを同時に回転させてもよい。
【0023】
第1パイプ1の底板1aと中板1bとの間には、中空の駆動軸22がベアリング23を介して回転可能に支持される。モータ7の出力軸には、原動車24a(タイミングプーリ)が取り付けられる。駆動軸22には、従動車24b(タイミングプーリ)が取り付けられる。モータ7の回転は、タイミングベルト24cを介して駆動軸22に伝達される。なお、巻き掛け伝動装置の替わりにギヤ等を用いて、モータ7の回転を駆動軸22に伝達してもよい。
【0024】
駆動軸22の回転は、キー20を介して第1ねじ軸11aに伝達される。第1ねじ軸11aには、キー20が係合するスプライン溝が形成される。
【0025】
モータ7が駆動軸22を回転駆動させると、駆動軸22と一緒に第1ないし第4ねじ軸11a~14aが同時に回転する。第1ねじ軸11aが回転すると、第1送りねじ11の作用によって第1パイプ1に対して第2パイプ2が上昇する。同様に第2送りねじ12の作用によって第2パイプ2に対して第3パイプ3が上昇し、第3送りねじ13の作用によって第3パイプ3に対して第4パイプ4が上昇し、第4送りねじ14の作用によって第4パイプ4に対して第5パイプ5が上昇する。このため、伸縮装置10が伸長する。モータ7を逆回転させると、第1ないし第4ねじ軸11a~14aが同時に逆回転し、第2ないし第5パイプ2~5が図1の二点鎖線まで下降し、伸縮装置10が縮小状態になる。
【0026】
本実施形態の伸縮装置10の効果を説明する。第5パイプ5に働く軸方向荷重は、第1ないし第4ねじ軸11a~14aを介してフレーム6に伝達される。本実施形態の伸縮装置10によれば、第1ないし第4ねじ軸11a~14aが同軸に配置されるので、偏心荷重が発生するのを防止できる。また、大きな荷重を受ける下側のねじ軸ほど直径を大きくできるので、荷重の大きさに合わせたねじ軸にすることができる。
【0027】
なお、図1には、5段式の伸縮装置10を示すが、第n(n≧6)パイプと第n-1送りねじを設けることで、6段以上の伸縮装置にすることができる。また、第5パイプと第4送りねじを省略することで、4段式の伸縮装置にすることができ、さらに、第4パイプと第3送りねじを省略することで、3段式の伸縮装置にすることができる。
(第1実施形態の伸縮装置の他の例)
【0028】
図3は、本発明の第1実施形態の伸縮装置の他の例を示す。この例の伸縮装置30は、4段式の伸縮装置30である。図1に示す伸縮装置10では、駆動軸22を必要としているが、この例の伸縮装置30では、駆動軸を不要としている。
【0029】
伸縮装置30は、回り止めされた第1ないし第4部材(以下、第1ないし第4パイプ31~34という)を備える。第1ないし第4パイプ31~34は入れ子式に組み合わされる。第1パイプ31の下端部は、フレーム6に固定される。
【0030】
第1パイプ31は上端部が開放していて、下端部に底板31aを有する。第1パイプ31の内側には、第2パイプ32が軸方向に移動可能に組み込まれる。第2パイプ32は、上端部が開放していて、下端部に底板32aを有し、中央部に中板32bを有する。第2パイプ32には、第3パイプ33が組み込まれる。第3パイプ33は、上端部が開放していて、下端部に底板33aを有する。第3パイプ33には、第4パイプ34が軸方向に移動可能に組み込まれる。第4パイプ34は、上端部が開放していて、下端部に底板34aを有する。
【0031】
符号41は、第1パイプ31に対して第2パイプ32を軸方向に移動させる第1送りねじである。第1送りねじ41は、中空の第1ねじ軸41aと、第1ねじ軸41aに螺合する第1送りナット41bと、を備える。第1ねじ軸41aは、第1パイプ31の底板31aにベアリング44を介して回転可能に支持される。第1送りナット41bは、第2パイプ32の底板32aに固定される。
【0032】
符号42は、第2パイプ32に対して第3パイプ33を軸方向に移動させる第2送りねじである。第2送りねじ42は、中空の第2ねじ軸42aと、第2ねじ軸42aに螺合する第2送りナット42bと、を備える。第2ねじ軸42aは、第3パイプ33の底板33aにベアリング45を介して回転可能に支持される。第2送りナット42bは、第2パイプ32の中板32bに固定される。
【0033】
符号43は、第3パイプ33に対して第4パイプ34を軸方向に移動させる第3送りねじである。第3送りねじ43は、第3ねじ軸43aと、第3ねじ軸43aに螺合する第3送りナット43bと、を備える。第3ねじ軸43aは、第4パイプ34の底板34aにベアリング46を介して回転可能に支持される。第3送りナット43bは、第3パイプ33の底板33aに固定される。
【0034】
第1ないし第3ねじ軸41a~43aは、同軸に配置される。第1ねじ軸41aは第2ねじ軸42aの外側に配置される。第2ねじ軸42aは第3ねじ軸43aの外側に配置される。
【0035】
第1ないし第3ねじ軸41a~43aは、同時に回転する。第1ねじ軸41aの上端部には、キー20が取り付けられる。第2ねじ軸42aには、キー20が係合する軸方向に延びるスプライン溝21が形成される。第2ねじ軸42aの上端部には、キー20が取り付けられる。第3ねじ軸43aには、キー20が係合するスプライン溝21が形成される。なお、キー20の替わりにスプラインナットを用いて、第1ないし第3ねじ軸41a~43aを同時に回転させてもよい。
【0036】
第1ねじ軸41aは、モータ7によって回転駆動される。モータ7の回転は、タイミングベルト24cを介して第1ねじ軸41aに伝達される。
【0037】
モータ7が第1ねじ軸41aを回転駆動させると、第1ないし第3ねじ軸41a~43aが同時に回転する。第1ねじ軸41aが回転すると、第1送りねじ41の作用によって第1パイプ31に対して第2パイプ32が上昇する。同様に第2送りねじ42の作用によって第2パイプ32に対して第3パイプ33が上昇し、第3送りねじ43の作用によって第3パイプ33に対して第4パイプ34が上昇する。モータ7を逆回転させると、第1ないし第3ねじ軸41a~43aが同時に逆回転し、第2ないし第4パイプ32~34が図3の二点鎖線まで下降する。
【0038】
この例の伸縮装置30は、図1に示す伸縮装置10と同様な効果を奏する。
【0039】
なお、図3には、4段式の伸縮装置を示すが、図1に示す伸縮装置と同様に第n(n≧5)パイプと第n-1送りねじを設けることで、5段以上の伸縮装置にすることができる。また、第4パイプと第3送りねじを省略することで、3段式の伸縮装置にすることができる。
(第2実施形態)
【0040】
図4は、本発明の第2態様の実施形態(第2実施形態)の伸縮装置50の縦断面図を示す。本実施形態の伸縮装置50は、5段式の伸縮装置である。伸縮装置50は、回り止めされた第1ないし第5部材(以下、第1ないし第5パイプ1~5という)を備える。第1パイプ1の下端部は、フレーム6に固定される。フレーム6、第1ないし第5パイプ1~5、摺動ピース8の構成は、図1に示す伸縮装置10と略同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0041】
符号51は、第1パイプ1に対して第2パイプ2を軸方向に移動させる第1送りねじである。第1送りねじ51は、第1ねじ軸51aと、第1ねじ軸51aに螺合する第1送りナット51bと、を備える。第1ねじ軸51aは、第1パイプ1の底板1aにベアリング55を介して回転可能に支持される。第1送りナット51bは、第2パイプ2の底板2aに固定される。
【0042】
符号52は、第2パイプ2に対して第3パイプ3を軸方向に移動させる第2送りねじである。第2送りねじ52は、中空の第2ねじ軸52aと、第2ねじ軸52aに螺合する第2送りナット52bと、を備える。第2ねじ軸52aは、第2パイプ2の底板2aにベアリング56を介して回転可能に支持される。第2送りナット52bは、第3パイプ3の底板3aに固定される。
【0043】
符号53は、第3パイプ3に対して第4パイプ4を軸方向に移動させる第3送りねじである。第3送りねじ53は、中空の第3ねじ軸53aと、第3ねじ軸53aに螺合する第3送りナット53bと、を備える。第3ねじ軸53aは、第3パイプ3の底板3aにベアリング57を介して回転可能に支持される。第3送りナット53bは、第4パイプ4の底板4aに固定される。
【0044】
符号54は、第4パイプ4に対して第5パイプ5を軸方向に移動させる第4送りねじである。第4送りねじ54は、中空の第4ねじ軸54aと、第4ねじ軸54aに螺合する第4送りナット54bと、を備える。第4ねじ軸54aは、第4パイプ4の底板4aにベアリング58を介して回転可能に支持される。第4送りナット54bは、第5パイプ5の底板5aに固定される。
【0045】
第1ないし第4ねじ軸51a~54aは、同軸に配置される。第1ねじ軸51aは第2ねじ軸52aの内側に配置される。第2ねじ軸52aは第3ねじ軸53aの内側に配置される。第3ねじ軸53aは第4ねじ軸54aの内側に配置される。
【0046】
第1ないし第4ねじ軸51a~54aは、同時に回転する。第1ねじ軸51aには、スプライン溝21が形成される。第2ねじ軸52aの下端部には、スプライン溝21に係合するキー20が取り付けられる。同様に、第2ねじ軸52a、第3ねじ軸53aには、スプライン溝21が形成される。第3ねじ軸53a、第4ねじ軸54aの下端部には、スプライン溝21に係合するキー20が取り付けられる。なお、キー20の替わりにボールスプラインを用いて、第1ないし第4ねじ軸51a~54aを同時に回転させてもよい。
【0047】
モータ7が第1ねじ軸51aを回転駆動させると、第1ねじ軸51aと一緒に第2ないし第4ねじ軸52a~54aが同時に回転する。第1ねじ軸51aが回転すると、第1送りねじ51の作用によって第1パイプ1に対して第2パイプ2が上昇する。同様に、第2送りねじ52の作用によって第2パイプ2に対して第3パイプ3が上昇し、第3送りねじ53の作用によって第3パイプ3に対して第4パイプ4が上昇し、第4送りねじ54の作用によって第4パイプ4に対して第5パイプ5が上昇する。モータ7を逆方向に回転させると、第1ないし第4ねじ軸52a~54aが同時に逆回転し、第2ないし第5パイプ2~5が図4の二点鎖線の位置まで下降する。
【0048】
本実施形態の伸縮装置50の効果を説明する。第1ないし第4ねじ軸51a~54aが同軸に配置されるので、偏心荷重が発生するのを防止できる。また、図1に示す伸縮装置10の駆動軸22を不要にすることができる。
【0049】
なお、図4には、5段式の伸縮装置50を示すが、第n(n≧6)パイプと第n-1送りねじを設けることで、6段以上の伸縮装置にすることができる。また、第5パイプ5と第4送りねじ54を省略することで、4段式の伸縮装置にすることができる。
(第3実施形態)
【0050】
図5は、本発明の第3態様の実施形態(第3実施形態)の伸縮装置60の縦断面図を示す。本実施形態の伸縮装置60は、3段式の伸縮装置である。伸縮装置60は、回り止めされた第1ないし第3部材(以下、第1ないし第3パイプ61~63という)を備える。第1ないし第3パイプ61~63は入れ子式に組み合わされる。第1パイプ61の下端部は、フレーム6に固定される。フレーム6、モータ7、摺動ピース8の構成は、図1に示す伸縮装置10と略同一である。なお、摺動ピース8の替わりにリニアガイドを用いてもよい(図6参照)。
【0051】
第1パイプ61は、下端部に底板61aを有し、中央部に中板61bを有する。第1パイプ61の内側には、第2パイプ62が軸方向に移動可能に組み込まれる。第2パイプ62は、上下端部が開放していて、底板62aを有する。第2パイプ62の内側には、第3パイプ63が組み込まれる。第3パイプ63は、下端部に底板63aを有し、上端部に天板63bを有する。
【0052】
符号64は、第1パイプ61に対して第2パイプ62を軸方向に移動させる第1送りねじである。第1送りねじ64は、中空の第1ねじ軸64aと、第1ねじ軸64aに螺合する第1送りナット64bと、を備える。第1ねじ軸64aは、第2パイプ62の底板62aにベアリング66を介して回転可能に支持される。第1送りナット64bは、第1パイプ61の中板61bに固定される。
【0053】
符号65は、第2パイプ62に対して第3パイプ63を軸方向に移動させる第2送りねじである。第2送りねじ65は、第2ねじ軸65aと、第2ねじ軸65aに螺合する第2送りナット65bと、を備える。第2ねじ軸65aは、第3パイプ63の底板63aに固定される。第2ねじ軸65aの上端部は、回転止めキー69によって第3パイプ63の底板63aに回り止めされる。第2ねじ軸65aの上端部には、固定ナット59が螺合する。第2送りナット65bは、第1ねじ軸64aの上端部に固定される。
【0054】
第1ないし第2ねじ軸64a,65aは、同軸に配置される。第1ねじ軸64aは第2ねじ軸65aの外側に配置される。
【0055】
第1パイプ61の底板61aには、中空の駆動軸67がベアリング68を介して回転可能に支持される。駆動軸67の回転は、第1ねじ軸64aに伝達される。第1ねじ軸64aの下端部には、キー20が取り付けられる。駆動軸67には、キー20が係合するスプライン溝21が形成される。なお、キー20の替わりにボールスプラインを用いて、駆動軸67の回転を第1ねじ軸64aに伝達してもよい。
【0056】
モータ7が駆動軸67を回転駆動させると、駆動軸67と一緒に第1ねじ軸64aが回転する。第1ねじ軸64aが回転すると、第1送りねじ64の作用によって第1ねじ軸64aが回転しながら駆動軸67に対して上昇し、これにより第1パイプ61に対して第2パイプ62が上昇する。
【0057】
第1ねじ軸64aには第2送りナット65bが固定されているので、第1ねじ軸64aが回転すると、第2送りナット65bが回転する。第2送りナット65bに螺合する第2ねじ軸65aは、第1ねじ軸64aとは逆ねじである。すなわち、例えば第1ねじ軸64aが右ねじの場合、第2ねじ軸65aは左ねじである。このため、第2送りナット65bが回転すると、第2ねじ軸65aが上昇し、第2パイプ62に対して第3パイプ63が上昇する。モータ7を逆方向に回転させると、第1ねじ軸64aと第2送りナット64bが逆回転し、第2パイプ62と第3パイプ63は図5の二点鎖線の位置まで下降する。
【0058】
本実施形態の伸縮装置60の効果を説明する。第1ないし第2ねじ軸64a,65aが同軸に配置されるので、偏心荷重が発生するのを防止できる。また、互いに回り止めされた第1ないし第3パイプ61~63を備えるので、水平方向荷重に対しても強度を高めることができる。
(第3実施形態の伸縮装置の他の例)
【0059】
図6は、第3実施形態の伸縮装置の他の例を示す。この例の伸縮装置70は、3段式の伸縮装置であり、互いに回り止めされた第1ないし3部材(以下、第1ないし第3パイプ71~73という)を備える。
【0060】
駆動軸67、第1送りねじ64、第2送りねじ65、回転止めキー69、固定ナット59の構成は、図5に示す伸縮装置60と同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0061】
この例の伸縮装置70では、第1パイプ71の外側に第2パイプ72が組み込まれる。第1パイプ71に対する第2パイプ72の軸方向の移動は、リニアガイド74によって案内される。第1パイプ71には、リニアガイド74のレール74aが取り付けられる。第2パイプ72には、リニアガイド74のブロック74bが取り付けられる。
【0062】
また、第2パイプ72の外側に第3パイプ73が組み込まれる。第2パイプ72に対する第3パイプ73の軸方向の移動は、リニアガイド75によって案内される。第3パイプ73には、リニアガイド75のレール75aが取り付けられる、第2パイプ72には、リニアガイド75のブロック75bが取り付けられる。
【0063】
この例の伸縮装置70によれば、第2パイプ72、第3パイプ73の軸方向の移動を安定させることができると共に剛性を増大させることができる。
(第3実施形態の伸縮装置のさらに他の例)
【0064】
図7は、第3実施形態の伸縮装置のさらに他の例を示す。この例の伸縮装置80は、回り止めされた第1ないし第3部材(以下、第1ないし第3ブロック81~83という)を備える。第1ブロック81は、コラム84に固定される。第2ブロック82は、コラム84にリニアガイド85を介して軸方向に移動可能に支持される。コラム84には、リニアガイド85のレール85bが固定される。第2ブロック82には、リニアガイド85のブロック85aが固定される。第3ブロック83は、コラム84にリニアガイド86を介して軸方向に移動可能に支持される。コラム84には、リニアガイド86のレール86bが固定される。第3ブロック83には、リニアガイド86のブロック86aが固定される。
【0065】
駆動軸67、第1送りねじ64、第2送りねじ65、回転止めキー69、固定ナット59の構成は、図5に示す伸縮装置60と同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0066】
この例の伸縮装置80によれば、より大きな軸方向荷重を受けることができる。
【符号の説明】
【0067】
1~5…第1ないし第5パイプ(第1ないし第5部材)
10…第1実施形態の伸縮装置
11~14…第1ないし第4送りねじ
11a~14a…第1ないし第4ねじ軸
11b~14b…第1ないし第4送りナット
30…伸縮装置(第1実施形態)
31~34…第1ないし第4パイプ(第1ないし第4部材)
41~43…第1ないし第3送りねじ
41a~43…第1ないし第3ねじ軸
41b~43b…第1ないし第3送りナット
50…第2実施形態の伸縮装置
51~54…第1ないし第4送りねじ
51a~54a…第1ないし第4ねじ軸
51b~54b…第1ないし第4送りナット
60…第3実施形態の伸縮装置
61~63…第1ないし第3パイプ(第1ないし第3部材)
64…第1送りねじ
64a…第1ねじ軸
64b…第1送りナット
65…第2送りねじ
65a…第2ねじ軸
65b…第2送りナット
70…第3実施形態の伸縮装置
71~73…第1ないし第3パイプ(第1ないし第3部材)
80…第3実施形態の伸縮装置
81~83…第1ないし第3ブロック(第1ないし第3部材)
【要約】
【課題】偏心荷重が発生するのを防止できる伸縮装置を提供する。
【解決手段】伸縮装置10は、回り止めされた第1ないし第n(ただしn≧3)部材1~5と、第1ないし第n-1部材1~4それぞれに対して第2ないし第n部材2~5それぞれを軸方向に移動させる第1ないし第n-1送りねじ11~14と、を備える。同時に回転する第1ないし第n-1送りねじ11~14のねじ軸11a~14aが同軸上に配置される。第n部材5には、第n-1送りねじ14のねじ軸14aが回転可能に支持される。縮小状態において、第1ないし第n-2送りねじ11~13それぞれのねじ軸11a~13aが第2ないし第n-1送りねじ12~14それぞれのねじ軸12a~14aの外側に配置される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7