(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】織物構造体の製造方法、製造システム、コンピュータプログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
D03D 11/00 20060101AFI20240821BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
D03D11/00 Z
D03D1/00 C
(21)【出願番号】P 2023171883
(22)【出願日】2023-10-03
【審査請求日】2023-10-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592129420
【氏名又は名称】新興細巾織物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小杉 欣也
(72)【発明者】
【氏名】小杉 和男
(72)【発明者】
【氏名】小杉 剛央
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-090079(JP,A)
【文献】特公昭63-015863(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2021/0052452(US,A1)
【文献】国際公開第2018/047217(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 1/00 - 27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第1緯糸と、前記第2方向に延びる複数の第1経糸と、の織組織である第1層と、
前記第1方向に延び、前記第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第2緯糸と、前記第2方向に延びる複数の第2経糸と、の織組織である第2層と、
前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をおいて配された複数の第3経糸であって、前記第1層と前記第2層とを綴じる複数の第3経糸と、を備え、
前記第1層と前記第2層とが離間する開口部が前記第2方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法であって、
前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる第1ステップと、
前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる第2ステップと、
前記複数の第3経糸に前記第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップと、が並行して実行される、
織物構造体の製造方法。
【請求項2】
前記第1ステップでは、前記複数の第1経糸に対する前記第1緯糸の絡み方の規則である所定の第1パターンが繰り返され、
前記第2ステップでは、前記複数の第2経糸に対する前記第2緯糸の絡み方の規則である所定の第2パターンが繰り返され、
前記第3ステップでは、前記複数の第3経糸に対する前記第1及び第2緯糸の絡み方の規則である所定の第3パターンが繰り返される、
請求項1に記載の織物構造体の製造方法。
【請求項3】
前記第1パターンは、前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる22回の動作からなり、
前記第2パターンは、前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる22回の動作からなり、
前記第3パターンは、前記複数の第3経糸に前記第1及び2緯糸を絡ませる22回の動作からなる、
請求項2に記載の織物構造体の製造方法。
【請求項4】
前記第1パターンは、前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる40回の動作からなり、
前記第2パターンは、前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる40回の動作からなり、
前記第3パターンは、前記複数の第3経糸に前記第1及び2緯糸を絡ませる40回の動作からなる、
請求項2に記載の織物構造体の製造方法。
【請求項5】
前記複数の第1経糸は、前記開口部において露出する色糸を含む、
請求項4に記載の織物構造体の製造方法。
【請求項6】
前記第3パターンでは、
前記第1層と前記第2層との結束強度を前記第2方向にかけて段階的に増加させる、
請求項4に記載の織物構造体の製造方法。
【請求項7】
前記複数の第3経糸に対する前記第1及び第2緯糸の絡ませ方を変更することにより、前記開口部の前記第2方向における寸法を変更する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の織物構造体の製造方法。
【請求項8】
前記第2ステップでは、
前記第1方向における第2緯糸の単位時間当たりの搬送量が、前記第1方向における前記第1緯糸の前記単位時間当たりの搬送量よりも大きい、
請求項1~6のいずれか1項に記載の織物構造体の製造方法。
【請求項9】
情報処理装置と、織機装置と、を備える織物構造体の製造システムであって、
前記情報処理装置がコンピュータプログラムを実行することによって、
前記織機装置が、
第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第1緯糸と前記第2方向に延びる複数の第1経糸との織組織である第1層と、前記第1方向に延び、前記第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第2緯糸と前記第2方向に延びる複数の第2経糸との織組織である第2層と、前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をおいて配された複数の第3経糸であって、前記第1層と前記第2層とを綴じる複数の第3経糸と、を備え、前記第1層と前記第2層とが離間する開口部が前記第2方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法において、
前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる第1ステップと、
前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる第2ステップと、
前記複数の第3経糸に前記第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップと、
を並行して実行する、織物構造体の製造システム。
【請求項10】
第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第1緯糸と前記第2方向に延びる複数の第1経糸との織組織である第1層と、前記第1方向に延び、前記第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第2緯糸と前記第2方向に延びる複数の第2経糸との織組織である第2層と、前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をおいて配された複数の第3経糸であって、前記第1層と前記第2層とを綴じる複数の第3経糸と、を備え、前記第1層と前記第2層とが離間する開口部が前記第2方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法を織機装置に実行させるためのコンピュータプログラムであって、
情報処理装置が、
前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる第1ステップと、
前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる第2ステップと、
前記複数の第3経糸に前記第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップと、
を並行して前記織機装置に実行させる、
コンピュータプログラム。
【請求項11】
第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第1緯糸と前記第2方向に延びる複数の第1経糸との織組織である第1層と、前記第1方向に延び、前記第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第2緯糸と前記第2方向に延びる複数の第2経糸との織組織である第2層と、前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をおいて配された複数の第3経糸であって、前記第1層と前記第2層とを綴じる複数の第3経糸と、を備え、前記第1層と前記第2層とが離間する開口部が前記第2方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法を織機装置に実行させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
情報処理装置が、
前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる第1ステップと、
前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる第2ステップと、
前記複数の第3経糸に前記第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップと、
を並行して前記織機装置に実行させるコンピュータプログラムを記録した、
コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物構造体の製造方法、製造システム、コンピュータプログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、作業用ベルト、キャンプ用のハンギングチェーン及び衣服の生地など、複数の繊維が織り合わされた織組織(織物)からなる織物構造体が知られている。このような織物構造体は、例えば、複数の経糸と、当該複数の経糸の各々に絡む複数の緯糸との織組織が複数積層された構成を有する。
【0003】
例えば特許文献1には、金属を含む第1の繊維を経糸とし、第1の繊維よりも柔軟性を有する第2の繊維を緯糸として織られた織組織が少なくとも2枚以上積層され、積層された織組織をその積層方向に見たときに、各々の織組織の経糸同士又は緯糸同士の方向が互いに異なっていることを特徴とする織物構造体が開示されている。当該織物構造体においては、織組織同士を固着させることにより、織組織同士を連結させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような、複数の経糸と複数の緯糸との織組織が複数積層された織物構造体を得るためには、上述のように、複数の織組織を作成するだけではなく、別途織組織同士を連結させる工程を必要とする場合が多い。このため、織物構造体を得る上でコスト高となる問題がある。従って、近年では、上述したような織物構造体を低コストで製造できることが望まれている。
【0006】
上記の事情に鑑み、本発明は、複数の経糸と複数の緯糸との織組織が複数積層され、これらが連結された織物構造体を低コストで製造することができる織物構造体の製造方法、製造システム、コンピュータプログラム、及び記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第1緯糸と、前記第2方向に延びる複数の第1経糸と、の織組織である第1層と、前記第1方向に延び、前記第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第2緯糸と、前記第2方向に延びる複数の第2経糸と、の織組織である第2層と、前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をおいて配された複数の第3経糸であって、前記第1層と前記第2層とを綴じる複数の第3経糸と、を備え、前記第1層と前記第2層とが離間する開口部が前記第2方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法であって、前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる第1ステップと、前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる第2ステップと、前記複数の第3経糸に前記第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップと、が並行して実行される、織物構造体の製造方法、が提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、情報処理装置と、織機装置と、を備える織物構造体の製造システムであって、前記情報処理装置がコンピュータプログラムを実行することによって、前記織機装置が、第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第1緯糸と前記第2方向に延びる複数の第1経糸との織組織である第1層と、前記第1方向に延び、前記第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第2緯糸と前記第2方向に延びる複数の第2経糸との織組織である第2層と、前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をおいて配された複数の第3経糸であって、前記第1層と前記第2層とを綴じる複数の第3経糸と、を備え、前記第1層と前記第2層とが離間する開口部が前記第2方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法において、前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる第1ステップと、前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる第2ステップと、前記複数の第3経糸に前記第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップと、を並行して実行する、織物構造体の製造システムが提供される。
【0009】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第1緯糸と前記第2方向に延びる複数の第1経糸との織組織である第1層と、前記第1方向に延び、前記第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第2緯糸と前記第2方向に延びる複数の第2経糸との織組織である第2層と、前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をおいて配された複数の第3経糸であって、前記第1層と前記第2層とを綴じる複数の第3経糸と、を備え、前記第1層と前記第2層とが離間する開口部が前記第2方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法を織機装置に実行させるためのコンピュータプログラムであって、情報処理装置が、前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる第1ステップと、前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる第2ステップと、前記複数の第3経糸に前記第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップと、を並行して前記織機装置に実行させる、コンピュータプログラムが提供される。
【0010】
加えて、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第1緯糸と前記第2方向に延びる複数の第1経糸との織組織である第1層と、前記第1方向に延び、前記第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第2緯糸と前記第2方向に延びる複数の第2経糸との織組織である第2層と、前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をおいて配された複数の第3経糸であって、前記第1層と前記第2層とを綴じる複数の第3経糸と、を備え、前記第1層と前記第2層とが離間する開口部が前記第2方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法を織機装置に実行させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、情報処理装置が、前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる第1ステップと、前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる第2ステップと、前記複数の第3経糸に前記第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップと、を並行して前記織機装置に実行させるコンピュータプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0011】
本明細書において、“上方”とは鉛直上方を意味し、“下方”とは鉛直下方を意味する。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、複数の経糸と複数の緯糸との織組織が複数積層され、これらが連結された織物構造体を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】織物構造体の製造システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る織物構造体の構成例を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る上層の構造を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る下層の構造を示す斜視図である。
【
図5】緯糸に対する経糸の上下の位置関係を示す、第1実施形態のピック図である。
【
図6】第1実施形態に係る織機装置の動作を説明するための説明図である。
【
図7】第1実施形態に係る織物構造体の他の構成例を示す平面図である。
【
図8】第2実施形態に係る織物構造体の構成例を示す斜視図である。
【
図9】緯糸に対する経糸の上下の位置関係を示す、第2実施形態のピック図である。
【
図10】第2実施形態に係る織機装置の動作を説明するための説明図である。
【
図11】第2実施形態に係る織物構造体の他の構成例を示す平面図である。
【
図12】第3実施形態に係る織物構造体の構成例を示す斜視図である。
【
図13】緯糸に対する経糸の上下の位置関係を示す第3実施形態のピック図である。
【
図14】第3実施形態に係る織機装置の動作を説明するための説明図である。
【
図15】第3実施形態に係る織物構造体の他の構成例を示す平面図である。
【
図16】第4実施形態に係る織物構造体の構成例を示す斜視図である。
【
図17】緯糸に対する経糸の上下の位置関係を示す第4実施形態のピック図である。
【
図18】第4実施形態に係る織機装置の動作を説明するための説明図である。
【
図19】第4実施形態に係る織物構造体の他の構成例を示す平面図である。
【
図20】第5実施形態に係る織物構造体の構成例を示す斜視図である。
【
図21】緯糸に対する経糸の上下の位置関係を示す第5実施形態のピック図である。
【
図22】第5実施形態に係る織機装置の動作を説明するための説明図である。
【
図23】第5実施形態に係る織物構造体の他の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法、縮尺及び配置等は、説明の便宜上、実際と相違する。また、図面は、理解を容易にするために模式的に示すことがある。さらに、本発明の範囲は、本発明で規定すること以外は、以下に例示する形態に限られない。
以降の説明では、相互に直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定する。X軸、Y軸及びZ軸は、以降の説明で例示される全図において共通であり、相互に直交する3軸方向である。
図2に例示される通り、任意の地点からみてX軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向と反対の方向をX2方向と表記する。X軸方向(第2方向)は、X1方向及びX2方向の両方向を含む方向である。同様に、任意の地点からY軸に沿って相互に反対の方向をY1方向及びY2方向と表記する。Y軸方向(第1方向)は、Y1方向及びY2方向の両方向を含む方向である。また、任意の地点からZ軸に沿って相互に反対の方向をZ1方向及びZ2方向と表記する。Z軸方向は、Z1方向及びZ2方向の両方向を含む方向である。さらに、X軸とY軸とを含むX-Y平面は水平面に相当する。Z軸は鉛直方向に沿う軸線である。
【0015】
1.実施形態
<<第1実施形態>>
<製造システムの構成>
図1は、本実施形態に係る織物構造体の製造システム100の構成例を示すブロック図である。製造システム100は、情報処理装置10と、織機装置20とを有する。
【0016】
[情報処理装置]
情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102及びRAM(Random Access Memory)103を有する。また、情報処理装置10は、ホストバス104、ブリッジ105、外部バス106、インターフェース107、入力装置108、出力装置109、ストレージ装置110、ドライブ111、接続ポート112、通信装置113を有してもよい。情報処理装置10は、CPU101に代えて、又はこれと共に、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の処理回路を有してもよい。
【0017】
CPU101は、演算処理装置及び/又は制御装置として機能し、ROM102、RAM103、ストレージ装置110又はリムーバブル記録媒体114に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置10及び織機装置20の動作全般又はその一部を制御する。CPU101は、ROM102、RAM103、ストレージ装置110又はリムーバブル記録媒体114に記憶された、後述するピック図(
図5参照)に基づくプログラムP1を実行することによって、後述の織物構造体の製造方法(ステップS
a1~3)を織機装置20に実行させる。プログラムP1は、ROM102、RAM103、ストレージ装置110又はリムーバブル記録媒体114に予め記録されたプログラムであってよく、外部サーバ又はクラウドサーバ等のサーバ装置等からネットワークNWを介してダウンロードされたプログラムであってもよい。
【0018】
ROM102は、CPU101が使用するプログラムや演算パラメータなどを記憶する。RAM103は、CPU101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。CPU101、ROM102及びRAM103は、CPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス104により相互に接続されている。さらに、ホストバス104は、ブリッジ105を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス106に接続されている。
【0019】
入力装置108は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン及びスイッチ等、操作者によって操作される装置である。入力装置108は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよい。入力装置108は、操作者が入力した情報に基づいて入力信号を生成してCPU101に出力する入力制御回路を含む。操作者は、この入力装置108を操作することによって、情報処理装置10に対して各種のデータを入力したり、情報処理装置10を介して織機装置20に処理動作を指示したりする。
【0020】
出力装置109は、取得した情報を操作者に対して、視覚、聴覚又は触覚等の感覚を用いて通知することが可能な装置で構成される。出力装置109は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)若しくは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置、又はスピーカ等の音声出力装置等であってもよい。出力装置109は、情報処理装置10の処理により得られた結果を、テキスト若しくは画像等の映像、又は、音声若しくは音響等の音声として出力してよい。
【0021】
ストレージ装置110は、情報処理装置10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置110は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等により構成される。ストレージ装置110は、例えばCPU101が実行するプログラムや各種データ、及び外部から取得した各種のデータ等を格納する。
【0022】
ドライブ111は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体114のためのリーダライタであり、情報処理装置10に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ111は、装着されているリムーバブル記録媒体114に記録されている情報を読み出して、RAM103に出力する。また、ドライブ111は、装着されているリムーバブル記録媒体114に記録を書き込む。
【0023】
接続ポート112は、機器を情報処理装置10に接続するためのポートである。接続ポート112は特に制限されず、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、及びRS-232Cポート等であってもよい。接続ポート112に織機装置20が電気的に接続されることで、情報処理装置10と織機装置20との間で各種のデータが交換される。
【0024】
通信装置113は、例えば、ネットワークNWに接続するための通信デバイスなどで構成された通信インターフェースである。通信装置113は、例えば、LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等であってもよい。また、通信装置113は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は各種通信用のモデム等であってもよい。通信装置113は、例えば、インターネットや他の通信機器との間でTCP/IP等の所定のプロトコルを用いて信号などを送受信する。また、通信装置113に接続されるネットワークNWは、有線又は無線によって接続されたネットワークであり、例えばインターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信又は衛星通信等である。
【0025】
情報処理装置10は特に制限されず、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ装置、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット端末等であってもよい。
【0026】
[織機装置]
織機装置20は、プログラムP1に基づく情報処理装置10のプログラム制御に従って、複数の経糸(複数の経糸a~e)の各々に対応する複数の綜絖枠(図示略)の各々を鉛直方向に移動させ、ニードル(横針)を介して経糸間に緯糸(緯糸A,B)を通す動作を高速に繰り返すことで、織物構造体を製造するニードル織機である。具体的には、織機装置20は、例えば、2本取り電子ドビー高速ニードル織機(型番:NFRE-42・2/84EDZ10S3、Jakob Muller AG社製)である。
【0027】
<織物構造体>
次に、本実施形態の織物構造体の製造方法により製造される織物構造体1について説明する。
【0028】
図2は、織物構造体1の構成例を示す斜視図である。織物構造体1は、上層11(第1層)と、下層12(第2層)と、複数の経糸e(第3経糸)とを有する。織物構造体1には、
図2に示されるように、複数の開口部13が設けられる。開口部13は、織物構造体1のうち、上層11と下層12とが経糸eにより綴じられていないことによって離間可能な部分である。複数の開口部13は、同図に示されるように、X軸方向に間欠的に設けられる。
【0029】
織物構造体1のY軸方向における寸法(横幅)は特に制限されないが、例えば、10mm以上80mm以下が好ましい。織物構造体1の厚みも特に制限されないが、例えば、1mm以上7mm以下が好ましい。織物構造体1は、例えば、ハンギングチェーン又は作業用ベルトとして用いられるが、織物構造体1の用途はこれらに限定されない。
【0030】
[上層]
図3は、上層11の構造を示す斜視図である。上層11は、
図3に示されるように、緯糸A(第1緯糸)のうち、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分A1と、X軸方向の延びる複数の経糸a,b(第1経糸)との平織組織である。なお、
図3では、複数の部分A1の各々が別体に図示されているが、緯糸Aは複数の部分A1が一続きに繋がった糸である。
【0031】
[下層]
図4は、下層12の構造を示す斜視図である。下層12は、
図4に示されるように、緯糸B(第2緯糸)のうち、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分B1と、X軸方向の延びる複数の経糸c,d(第2経糸)との平織組織である。なお、
図4では、複数の部分B1の各々が別体に図示されているが、緯糸Bは複数の部分B1が一続きに繋がった糸である。
【0032】
[経糸e]
複数の経糸eは、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配される。複数の経糸eは、緯糸Aの部分A1と、緯糸Bの部分B1とに絡まることによって、上層11と下層12とを間欠的に綴じる綴じ糸である(
図6参照)。
【0033】
<織物構造体の製造方法>
次に、本実施形態に係る織物構造体の製造方法について説明する。当該製造方法は、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分A1を有する緯糸Aと、X軸方向に延びる複数の経糸a,bと、の織組織である上層11と、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分B1を有する緯糸Bと、X軸方向に延びる複数の経糸c,dと、の織組織である下層12と、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配された複数の経糸eであって、上層11と下層12とを綴じる複数の経糸eと、を備え、上層11と下層12とが離間する開口部13がX軸方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法であって、複数の経糸a,bに緯糸Aを絡ませるステップSa1(第1ステップ)と、複数の経糸c,dに緯糸Bを絡ませるステップSa2(第2ステップ)と、複数の経糸eに緯糸A,Bを絡ませるステップSa3(第3ステップ)と、が織機装置20により並行して実行される。以下、ステップSa1~Sa3について説明する。
【0034】
[ステップSa1]
織機装置20は、ステップSa1において、複数の経糸a,bに対する緯糸Aの絡み方の規則である所定のパターン(第1パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸a,bに緯糸Aを絡ませる22回の動作からなる。織機装置20は、上記パターンとして、動作ma,b1~ma,b22を順に実行する。以下、動作ma,b1~ma,b22について、説明する。
【0035】
(動作ma,b1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21)
織機装置20のニードルは、動作ma,b1において、Y軸方向に沿って複数の経糸aの各々の下方、及び複数の経糸bの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置20は、この動作を動作ma,b3,5,7,9,11,13,15,17,19,21においても同様に実行する。
【0036】
(動作ma,b2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22)
織機装置20のニードルは、動作ma,b2において、Y軸方向に沿って複数の経糸aの各々の上方、及び複数の経糸bの各々の下方に緯糸Aを通す。織機装置20は、この動作を動作ma,b4,6,8,10,12,14,16,18,20においても同様に実行する。
【0037】
[ステップSa2]
織機装置20は、ステップSa2において、複数の経糸c,dに対する緯糸Bの絡み方の規則である所定のパターン(第2パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸c,dに緯糸Bを絡ませる22回の動作からなる。織機装置20は、上記パターンとして、動作mc,d1~mc,d22を順に実行する。以下、動作mc,d1~mc,d22について、説明する。
【0038】
(動作mc,d1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21)
織機装置20のニードルは、動作mc,d1において、Y軸方向に沿って複数の経糸cの各々の下方、及び複数の経糸dの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置20は、この動作を動作mc,d3,5,7,9,11,13,15,17,19,21においても同様に実行する。
【0039】
(動作mc,d2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22)
織機装置20のニードルは、動作mc,d2において、Y軸方向に沿って複数の経糸cの各々の上方、及び複数の経糸dの各々の下方に緯糸Bを通す。織機装置20は、この動作を動作mc,d4,6,8,10,12,14,16,18,20,22においても同様に実行する。
【0040】
[ステップSa3]
織機装置20は、ステップSa3において、複数の経糸eに対する緯糸A,Bの絡み方の規則である所定のパターン(第3パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸eに緯糸A,Bを絡ませる22回の動作からなる。織機装置20は、上記パターンとして、動作me1~me22を順に実行する。以下、動作me1~me22について、説明する。
【0041】
(動作me1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21)
織機装置20のニードルは、動作me1において、Y軸方向に沿って複数の経糸eの各々の下方に緯糸A,Bを通す。織機装置20は、この動作を動作me3,5,7,9,11,13,15,17,19,21においても同様に実行する。
【0042】
(動作me2,6,12,20,22)
織機装置20のニードルは、動作me2において、Y軸方向に沿って複数の経糸eの各々の上方に緯糸A,Bを通す。織機装置20は、この動作を動作me6,12,20,22においても同様に実行する。
【0043】
(動作me4,8,10,14,16,18)
織機装置20のニードルは、動作me4において、Y軸方向に沿って複数の経糸eの各々の上方に緯糸Aを通し、下方に緯糸Bを通す。織機装置20は、この動作を動作me8,10,14,16,18においても同様に実行する。
ここで、本実施形態では、製造システム100の操作者がプログラムP1を変更して、複数の経糸eに対する緯糸A,Bの絡ませ方を変更することにより、織物構造体1の開口部13の寸法が変更されてもよい。具体的には、例えば、上記操作者がプログラムP1を変更して、上記の動作me4,8,10,14,16,18に相当する、複数の経糸eの各々の上方に緯糸Aを通し、下方に緯糸Bを通す動作の実行回数を増やしたり、減らしたりすることによって、開口部13の寸法を変更してもよい。これにより、上記操作者は、開口部13のX軸方向における寸法を所望の寸法とすることができ、当該寸法が各々異なる種々の織物構造体1を製造することができる。
【0044】
[織機装置の動作]
図5は、緯糸Aに対する経糸a,bの上下の位置関係と、緯糸Bに対する経糸c,dの上下の位置関係とを併記して示すピック図である。
図5の上側の「○」は経糸a,bのいずれかが緯糸Aよりも上方に位置することを示し、空欄は経糸a,bのいずれかが緯糸Aよりも下方に位置することを示す。また、
図5の下側の「○」は経糸c,dのいずれかが緯糸Bよりも上方に位置することを示し、空欄は経糸c,dのいずれかが緯糸Bよりも下方に位置することを示す。さらに、
図5の「1」~「22」の数字は、それぞれ、後述する動作M
a~e1~M
a~e22を意味する。
【0045】
また、
図6は、複数の経糸a~eに緯糸A,Bを絡ませる織機装置20の動作を説明するための説明図であり、緯糸A,Bに対する経糸a~eの上下の位置関係を示す図である。
図6の上側の数字N(N=1~22)は、上記の動作m
a,bN及びm
eNを表す数字である。下側の数字Nは、上記の動作m
c,dN及びm
eNを表す数字である。
【0046】
本実施形態に係る織機装置20は、
図5に示されるピック図に基づくプログラム制御に従ってX1方向に搬送される複数の経糸a~eに対して緯糸A,Bを絡ませる22回の動作(M
a~e1~M
a~e22)を繰り返し実行することにより、織物構造体1を製造する。
当該動作では、動作M
a~e1~M
a~e22が織機装置20により順に実行される。以下、動作M
a~e1~M
a~e22について説明する。
【0047】
(M
a~e1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21)
織機装置20は、動作M
a~e1において、上記の動作m
a,b1、m
c,d1及びm
e1を並行して実行する。具体的には、
図6に示されるように、織機装置20のニードルが、Y2方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸a,eの各々の下方、及び複数の経糸b,c,dの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a,b,c,eの各々の下方、及び複数の経糸dの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置20は、この動作を動作M
a~e3,5,7,9,11,13,15,17,19,21においても同様に実行する。動作M
a~e3、M
a~e5、M
a~e7、M
a~e9、M
a~e11、M
a~e13、M
a~e15、M
a~e17、M
a~e19、M
a~e21では、それぞれ、上記のm
a,b3,m
c,d3及びm
e3、m
a,b5,m
c,d5及びm
e5、m
a,b7,m
c,d7及びm
e7、m
a,b9,m
c,d9及びm
e9、m
a,b11,m
c,d11及びm
e11、m
a,b13,m
c,d13及びm
e13、m
a,b15,m
c,d15及びm
e15、m
a,b17,m
c,d17及びm
e17、m
a,b19,m
c,d19及びm
e19、m
a,b21,m
c,d21及びm
e21が織機装置20により並行して実行される。
【0048】
(動作M
a~e2,6,12,20,22)
織機装置20は、動作M
a~e2において、上記の動作m
a,b2、m
c,d2及びm
e2を並行して実行する。具体的には、
図6に示されるように、織機装置20のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸bの各々の下方、及び複数の経糸a,c,d,eの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a,b,dの各々の下方、及び複数の経糸c,eの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置20は、この動作を動作M
a~e6,12,20,22においても同様に実行する。動作M
a~e6、M
a~e12、M
a~e20、M
a~e22では、それぞれ、上記のm
a,b6,m
c,d6及びm
e6、m
a,b12,m
c,d12及びm
e12、m
a,b20,m
c,d20及びm
e20、m
a,b22,m
c,d22及びm
e22が織機装置20により並行して実行される。
【0049】
(動作M
a~e4,8,10,14,16,18)
織機装置20は、動作M
a~e4において、上記の動作m
a,b4,m
c,d4及びm
e4を並行して実行する。具体的には、
図6に示されるように、織機装置20のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸bの各々の下方、及び複数の経糸a,c,d,eの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a,b,d,eの各々の下方、及び複数の経糸cの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置20は、この動作を動作M
a~e8,10,14,16,18においても同様に実行する。動作M
a~e8、M
a~e10、M
a~e14、M
a~e16、M
a~e18では、それぞれ、上記のm
a,b8,m
c,d8及びm
e8、m
a,b10,m
c,d10及びm
e10、m
a,b14,m
c,d14及びm
e14、m
a,b16,m
c,d16及びm
e16、m
a,b18,m
c,d18及びm
e18が織機装置20により並行して実行される。
【0050】
本実施形態においては、下層12に対応する経糸c,dの本数が、上層11に対応する経糸a,b、及び経糸eの本数より多くてもよい。この場合、織機装置20は、上記のステップS
a2において、例えば製造システム100の操作者によりY軸方向における緯糸Bの単位時間当たりの搬送量(例えば搬送速度)が、Y軸方向における緯糸Aの当該単位時間当たりの搬送量(例えば搬送速度)よりも大きく設定されることによって、
図7に示されるように、下層12のY軸方向における寸法(幅)が上層11のY軸方向における寸法(幅)よりも大きい織物構造体1が製造されてもよい。当該織物構造体1においては、同図に示されるように、織物構造体1の開口部13における上層11の幅が下層12の幅よりも小さくなる。これにより、織物構造体1が例えばハンギングチェーンや作業用ベルトとして用いられる場合、上層11の幅が下層12の幅と同等である場合と比較して、開口部13に物を引っ掛けやすくなり、織物構造体1の利便性が向上する。なお、当該織物構造体1は、織機装置20の仕様上、上層11のY2方向に位置する側面と、下層12のY2方向に位置する側面とが面一となる。
【0051】
上述の説明の通り、本実施形態に係る織物構造体1の製造方法は、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分A1を有する緯糸Aと、X軸方向に延びる複数の経糸a,bと、の織組織である上層11と、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分B1を有する緯糸Bと、X軸方向に延びる複数の経糸c,dと、の織組織である下層12と、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配された複数の経糸eであって、上層11と下層12とを綴じる複数の経糸eと、を備え、上層11と下層12とが離間する開口部13がX軸方向に間欠的に設けられた織物構造体1の製造方法であって、複数の経糸a,bに緯糸Aを絡ませるステップSa1と、複数の経糸c,dに緯糸Bを絡ませるステップSa2と、複数の経糸eに緯糸A,Bを絡ませるステップSa3と、が織機装置20により並行して実行される。
【0052】
上記態様によれば、織機装置20は、上層11及び下層12を作成する工程と、作成途中の上層11と下層12とを綴じる工程と、を並行して実行する。即ち、織機装置20は、上層11及び下層12を作成しながら、作成途中の上層11と下層12とを綴じる。これにより、織物構造体1は、上記ステップSa1~Sa3を経て完成された段階で、上層11と下層12とが既に綴じられた状態となる。従って、織物構造体1を得る上で上層11と下層12とを別途綴じる工程が不要となり、織機装置20は従来よりも低コスト且つ短時間で織物構造体1を製造することができる。
【0053】
<<第2実施形態>>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以降の第2実施形態の説明では、第1実施形態と同様の構成、工程及び機能等については同様の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0054】
<情報処理装置>
第2実施形態に係るCPU101は、ROM102、RAM103、ストレージ装置110又はリムーバブル記録媒体114に記憶された、後述するピック図(
図9参照)に基づくプログラムP2を実行することによって、後述の織物構造体の製造方法(ステップS
a1,S
a2,S
b3)を第2実施形態の織機装置30に実行させる。プログラムP2は、ROM102、RAM103、ストレージ装置110又はリムーバブル記録媒体114に予め記録されたプログラムであってよく、外部サーバ又はクラウドサーバ等のサーバ装置等からネットワークNWを介してダウンロードされたプログラムであってもよい。
【0055】
<織機装置>
第2実施形態に係る織機装置30は、プログラムP2に基づく情報処理装置10のプログラム制御に従って、複数の経糸(複数の経糸a~f)の各々に対応する複数の綜絖枠(図示略)の各々を鉛直方向に移動させ、ニードル(横針)を介して経糸間に緯糸(緯糸A,B)を通す動作を高速に繰り返すことで、織物構造体を製造するニードル織機である。具体的には、織機装置30は、例えば、2本取り電子ドビー高速ニードル織機(型番:NFRE-42・2/84EDZ10S3、Jakob Muller AG社製)である。
【0056】
<織物構造体の構成>
次に、第2実施形態の織物構造体の製造方法により製造される織物構造体2の構成について説明する。
【0057】
図7は織物構造体2の構成例を示す斜視図である。織物構造体2は、上層11(第1層)と、下層12(第2層)と、複数の経糸e,f(第3経糸)とを有する。織物構造体2には、
図8に示されるように、複数の開口部23が設けられる。開口部23は、織物構造体2のうち、上層11と下層12とが経糸e,fにより綴じられていないことによって離間する部分である。複数の開口部23は、同図に示されるように、X軸方向に間欠的に設けられる。
【0058】
織物構造体2のY軸方向における寸法(横幅)は特に制限されないが、例えば、10mm以上80mm以下が好ましい。織物構造体2の厚みも特に制限されないが、例えば、1mm以上7mm以下が好ましい。織物構造体2は、例えばハンギングチェーン又は作業用ベルトとして用いられるが織物構造体2の用途はこれらに限定されない。
【0059】
[経糸e,f]
複数の経糸e,fは、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配される。経糸eと経糸fは、緯糸A,Bの部分A1,B1に対する絡まり方が互いに異なる(
図10参照)。経糸e,fは、緯糸Aの部分A1と、緯糸Bの部分B1とに絡まることによって、上層11と下層12とを間欠的に綴じる綴じ糸である。
【0060】
<織物構造体の製造方法>
次に、第2実施形態に係る織物構造体の製造方法について説明する。当該製造方法は、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分A1を有する緯糸Aと、X軸方向に延びる複数の経糸a,bと、の織組織である上層11と、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分B1を有する緯糸Bと、X軸方向に延びる複数の経糸c,dと、の織組織である下層12と、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配された複数の経糸e,fであって、上層11と下層12とを綴じる複数の経糸e,fと、を備え、上層11と下層12とが離間する開口部23がX軸方向に間欠的に設けられた織物構造体2の製造方法であって、複数の経糸a,bに緯糸Aを絡ませるステップSa1(第1ステップ)と、複数の経糸c,dに緯糸Bを絡ませるステップSa2(第2ステップ)と、複数の経糸e,fに緯糸A,Bを絡ませるステップSb3(第3ステップ)と、が織機装置30により並行して実行される。以下、ステップSb3について説明する。
【0061】
[ステップSb3]
第2実施形態の織機装置30は、ステップSb3において、複数の経糸e,fに対する緯糸A,Bの絡み方の規則である所定のパターン(第3パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸e,fに緯糸A,Bを絡ませる22回の動作からなる。織機装置30は、上記パターンとして、動作me,f1~me,f22を順に実行する。以下、動作me,f1~me,f22について、説明する。
【0062】
(me,f1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21)
織機装置30のニードルは、動作me,f1において、Y軸方向に沿って複数の経糸eの各々の下方に緯糸A,Bを通し、複数の経糸fの各々の上方に緯糸A,Bを通す。織機装置30は、この動作を動作me,f3,5,7,9,11,13,15,17,19,21においても同様に実行する。
【0063】
(動作me,f2,6,12,20,22)
織機装置30のニードルは、動作me,f2において、Y軸方向に沿って複数の経糸eの各々の上方に緯糸A,Bを通し、複数の経糸fの各々の下方に緯糸A,Bを通す。織機装置30は、この動作を動作me,f6,12,20,22においても同様に実行する。
【0064】
(動作me,f4,8,10,14,16,18)
織機装置30のニードルは、動作me,f4において、Y軸方向に沿って複数の経糸e,fの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸e,fの各々の下方に緯糸Bを通す。第2実施形態の織機装置20は、この動作を動作me,f8,10,14,16,18においても同様に実行する。
ここで、第2実施形態では、製造システム100の操作者がプログラムP2を変更して、複数の経糸e,fに対する緯糸A,Bの絡ませ方を変更することにより、織物構造体2の開口部23の寸法が変更されてもよい。具体的には、例えば、上記操作者がプログラムP2を変更することに伴って、上記の動作me4,8,10,14,16,18に相当する、複数の経糸e,fの各々の上方に緯糸Aを通し、下方に緯糸Bを通す動作の実行回数を増やしたり、減らしたりすることによって、開口部23の寸法を変更してもよい。これにより、上記操作者は、開口部23のX軸方向における寸法を所望の寸法とすることができ、当該寸法が各々異なる種々の織物構造体2を製造することができる。
【0065】
[織機装置の動作]
図9は、緯糸Aに対する経糸a,b,e,fの上下の位置関係と、緯糸Bに対する経糸c,d,e,fの上下の位置関係とを併記して示すピック図である。
図9の上側の「○」は経糸a,b,e,fのいずれかが緯糸Aよりも上方に位置することを示し、空欄は経糸a,b,e,fのいずれかが緯糸Aよりも下方に位置することを示す。また、
図9の下側の「○」は経糸c,d,e,fのいずれかが緯糸Bよりも上方に位置することを示し、空欄は経糸c,d,e,fのいずれかが緯糸Bよりも下方に位置することを示す。さらに、
図9の「1」~「22」の数字は、それぞれ、後述する動作M
a~f1~M
a~f22を意味する。
【0066】
また、
図10は、複数の経糸a~fに緯糸A,Bを絡ませる織機装置30の動作を説明するための説明図であり、緯糸A,Bに対する経糸a~fの上下の位置関係を示す図である。
図10の上側の数字N(N=1~22)は、上記の動作m
a,bN及びm
e,fNを表す数字である。下側の数字Nは、上記の動作m
c,dN及びm
e,fNを表す数字である。
【0067】
第2実施形態に係る織機装置30は、
図9に示されるピック図に基づくプログラム制御に従ってX1方向に搬送される複数の経糸a~fに対して緯糸A,Bを絡ませる22回の動作(M
a~f1~M
a~f22)を繰り返し実行することにより、織物構造体2を製造する。当該動作では、動作M
a~f1~M
a~f22が織機装置30により順に実行される。以下、動作M
a~f1~M
a~f22について説明する。
【0068】
(動作M
a~f1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21)
織機装置30は、動作M
a~f1において、上記の動作m
a,b1、m
c,d1及びm
e,f1を並行して実行する。具体的には、
図10に示されるように、織機装置30のニードルがY2方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸a,eの各々の下方、及び複数の経糸b,c,d,fの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a,b,c,eの各々の下方、及び複数の経糸d,fの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置30は、この動作を動作M
a~f3,5,7,9,11,13,15,17,19,21においても同様に実行する。動作M
a~f3、M
a~f5、M
a~f7、M
a~f9、M
a~f11、M
a~f13、M
a~f15、M
a~f17、M
a~f19、M
a~f21では、それぞれ、上記のm
a,b3,m
c,d3及びm
e,f3、m
a,b5,m
c,d5及びm
e,f5、m
a,b7,m
c,d7及びm
e,f7、m
a,b9,m
c,d9及びm
e,f9、m
a,b11,m
c,d11及びm
e,f11、m
a,b13,m
c,d13及びm
e,f13、m
a,b15,m
c,d15及びm
e,f15、m
a,b17,m
c,d17及びm
e,f17、m
a,b19,m
c,d19及びm
e,f19、m
a,b21,m
c,d21及びm
e,f21が織機装置30により並行して実行される。
【0069】
(動作M
a~f2,6,12,20,22)
織機装置30は、動作M
a~f2において、上記の動作m
a,b2、m
c,d2及びm
e,f2を並行して実行する。具体的には、
図10に示されるように、織機装置30のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸b,fの各々の下方、及び複数の経糸a,c,d,eの各々の鉛直上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a,b,d,fの各々の下方、及び複数の経糸c,eの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置30は、この動作を動作M
a~f6,12,20,22においても同様に実行する。動作M
a~f6、M
a~f12、M
a~f20、M
a~f22では、それぞれ、上記のm
a,b6,m
c,d6及びm
e,f6、m
a,b12,m
c,d12及びm
e,f12、m
a,b20,m
c,d20及びm
e,f20、m
a,b22,m
c,d22及びm
e,f22が織機装置30により並行して実行される。
【0070】
(動作M
a~f4,8,10,14,16,18)
織機装置30は、動作M
a~f4において、上記の動作m
a,b4、m
c,d4及びm
e,f4を並行して実行する。具体的には、
図10に示されるように、織機装置30のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸bの各々の下方、及び複数の経糸a,c~fの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a,b,d~fの各々の下方、及び複数の経糸cの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置30は、この動作を動作M
a~f8,10,14,16,18においても同様に実行する。動作M
a~f8、M
a~f10、M
a~f14、M
a~f16、M
a~f18では、それぞれ、上記の動作m
a,b8,m
c,d8及びm
e,f8、m
a,b10,m
c,d10及びm
e,f10、m
a,b14,m
c,d14及びm
e,f14、m
a,b16,m
c,d16及びm
e,f16、m
a,b18,m
c,d18及びm
e,f18が織機装置30により並行して実行される。
【0071】
第2実施形態では、下層12に対応する経糸c,dの本数が、上層11に対応する経糸a,b、及び経糸e,fの本数より多くてもよい。この場合、織機装置30は、上記のステップS
a2において、例えば製造システム100の操作者によりY軸方向における緯糸Bの単位時間当たりの搬送量(例えば搬送速度)が、Y軸方向における緯糸Aの当該単位時間当たりの搬送量(例えば搬送速度)よりも大きく設定されることによって、
図11に示されるように、下層12のY軸方向における寸法(幅)が上層11のY軸方向における寸法(幅)よりも大きい織物構造体2が製造されてもよい。当該織物構造体2においては、同図に示されるように、織物構造体2の開口部23における上層11の幅が下層12の幅よりも小さくなる。これにより、織物構造体2が例えばハンギングチェーンや作業用ベルトとして用いられる場合、上層11の幅が下層12の幅と同等である場合と比較して、開口部23に物を引っ掛けやすくなり、織物構造体2の利便性が向上する。なお、当該織物構造体2は、織機装置30の仕様上、上層11のY2方向に位置する側面と、下層12のY2方向に位置する側面とが面一となる。
【0072】
上述の説明の通り、第2実施形態に係る織物構造体2の製造方法は、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分A1を有する緯糸Aと、X軸方向に延びる複数の経糸a,bと、の織組織である上層11と、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分B1を有する緯糸Bと、X軸方向に延びる複数の経糸c,dと、の織組織である下層12と、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配された複数の経糸e,fであって、上層11と下層12とを綴じる複数の経糸e,fと、を備え、上層11と下層12とが離間する開口部23がX軸方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法であって、複数の経糸a,bに緯糸Aを絡ませるステップSa1と、複数の経糸c,dに緯糸Bを絡ませるステップSa2と、複数の経糸e,fに緯糸A,Bを絡ませるステップSb3と、が織機装置30により並行して実行される。
【0073】
上記態様によれば、織機装置30は、上層11及び下層12を作成する工程と、作成途中の上層11と下層12とを綴じる工程と、を並行して実行する。即ち、織機装置30は、上層11及び下層12を作成しながら、作成途中の上層11と下層12とを綴じる。これにより、織物構造体2は、上記ステップSa1、Sa2及びSb3を経て完成された段階で、上層11と下層12とが既に綴じられた状態となる。従って、織物構造体2を得る上で上層11と下層12とを別途綴じる工程が不要となり、織機装置30は従来よりも低コスト且つ短時間で織物構造体2を製造することができる。
【0074】
<<第3実施形態>>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以降の第3実施形態の説明では、第1実施形態と同様の構成、工程及び機能等については同様の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0075】
<情報処理装置>
第3実施形態に係るCPU101は、ROM102、RAM103、ストレージ装置110又はリムーバブル記録媒体114に記憶された、後述するピック図(
図13参照)に基づくプログラムP3を実行することによって、後述の織物構造体の製造方法(ステップS
c1~3)を第3実施形態の織機装置40に実行させる。プログラムP3は、ROM102、RAM103、ストレージ装置110又はリムーバブル記録媒体114に予め記録されたプログラムであってよく、外部サーバ又はクラウドサーバ等のサーバ装置等からネットワークNWを介してダウンロードされたプログラムであってもよい。
【0076】
<織機装置>
織機装置40は、プログラムP3に基づく情報処理装置10のプログラム制御に従って、複数の経糸(複数の経糸a~m)の各々に対応する複数の綜絖枠(図示略)の各々を鉛直方向に移動させ、ニードル(横針)を介して経糸間に緯糸(緯糸A,B)を通す動作を高速に繰り返すことで、織物構造体を製造するニードル織機である。具体的には、織機装置40は、例えば、2本取り電子ドビー高速ニードル織機(型番:NFRE-42・2/84EDZ10S3、Jakob Muller AG社製)である。
【0077】
<織物構造体の構成>
次に、第3実施形態の織物構造体の製造方法により製造される織物構造体3の構成について説明する。
【0078】
図12は織物構造体3の構成例を示す斜視図である。織物構造体3は、上層31(第1層)と、下層32(第2層)と、複数の経糸h(第3経糸)とを有する。織物構造体3には、
図12に示されるように、複数の開口部33が設けられる。開口部33は、織物構造体3のうち、上層31と下層32とが経糸hにより綴じられていないことによって離間可能な部分である。複数の開口部33は、同図に示されるように、X軸方向に間欠的に設けられる。
【0079】
織物構造体3のY軸方向における寸法(横幅)は特に制限されないが、例えば、10mm以上80mm以下が好ましい。織物構造体3の厚みも特に制限されないが、例えば、1mm以上7mm以下が好ましい。織物構造体3は、例えば、ハンギングチェーン又は作業用ベルトとして用いられるが、織物構造体3の用途はこれらに限定されない。
【0080】
[上層]
上層31は、2層構造であり、これらの層が複数の経糸gにより綴じられている。当該2層のうち上方の層は、緯糸A(第1緯糸)のうちY軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された複数部分と、X軸方向の延びる複数の経糸a,b,e,fとの織組織である。下方の層は、緯糸AのうちY軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配され、上記複数部分と一続きである他の複数部分と、X軸方向の延びる複数の経糸c,dとの平織組織である(
図14参照)。
【0081】
複数の経糸gは、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配される。複数の経糸gは、緯糸AのうちY軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された複数部分と、当該複数部分より下方に配され、Y軸方向に延びX軸方向に間隔をおいて配された他の複数部分とに絡まることによって、上層31の上方の層と下方の層とを綴じる綴じ糸である。
【0082】
ここで、第3実施形態では、複数の経糸e,fに色糸が採用される。これにより、後述するピック図(
図13参照)に従って製造された織物構造体3においては、
図12に示されるように、色糸である複数の経糸e,fが開口部33において露出するものとなり、開口部33の視認性が向上する。開口部33の視認性が向上すると、織物構造体3が例えばハンギングチェーンや作業用ベルトとして用いられる場合、織物構造体3のユーザがどこに開口部33があるのか認識しやすくなり、開口部33に物を引っ掛ける上での利便性が向上する。この効果は、経糸e,fが例えば蛍光染料等で染色された色糸であり、織物構造体3が夜間で使用される場合により顕著となる。
【0083】
[下層]
上層32は、2層構造であり、これらの層が複数の経糸mにより綴じられている。当該2層のうち上方の層は、緯糸B(第2緯糸)のうちY軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された複数部分と、X軸方向の延びる複数の経糸i,jとの平織組織である。下方の層は、緯糸BのうちY軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配され、当該複数部分と一続きである他の複数部分と、X軸方向の延びる複数の経糸k,lとの平織組織である(
図14参照)。
【0084】
複数の経糸mは、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配される。複数の経糸mは、緯糸BのうちY軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された複数部分と、当該複数部分より下方に配され、Y軸方向に延びX軸方向に間隔をおいて配された他の複数部分とに絡まることによって、下層32の上方の層と下方の層とを綴じる綴じ糸である。
【0085】
[経糸h]
複数の経糸hは、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配される。複数の経糸hは、緯糸Aの上記他の複数部分と、緯糸Bの上記複数部分とに絡まることによって、上層31(上層31の下方の層)と下層32(下層32の上方の層)とを間欠的に綴じる綴じ糸である。
【0086】
<織物構造体の製造方法>
次に、第3実施形態に係る織物構造体の製造方法について説明する。当該製造方法は、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分を有する緯糸Aと、X軸方向に延びる複数の経糸a~gと、の織組織である上層31と、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分を有する緯糸Bと、X軸方向に延びる複数の経糸i~mと、の織組織である下層32と、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配された複数の経糸hであって、上層31と下層32とを綴じる複数の経糸hと、を備え、上層31と下層32とが離間する開口部33がX軸方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法であって、複数の経糸a~gに緯糸Aを絡ませるステップSc1(第1ステップ)と、複数の経糸i~mに緯糸Bを絡ませるステップSc2(第2ステップ)と、複数の経糸hに緯糸A,Bを絡ませるステップSc3(第3ステップ)と、が織機装置40により並行して実行される。以下、ステップSc1~Sc3について説明する。
【0087】
[ステップSc1]
織機装置40は、ステップSc1において、複数の経糸a~gに対する緯糸Aの絡み方の規則である所定のパターン(第1パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸a~gに緯糸Aを絡ませる40回の動作からなる。織機装置40は、上記パターンとして、動作ma~g1~ma~g40を順に実行する。以下、動作ma~g1~40について説明する。
【0088】
(動作ma~g1,5,13,17,21,37)
織機装置40のニードルは、動作ma~g1において、Y軸方向に沿って複数の経糸a,gの各々の下方、及び複数の経糸b~fの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置40は、この動作を動作ma~g5,13,17,21,37においても同様に実行する。
【0089】
(動作ma~g2,6,10,14,18,22,26,30,34,38)
織機装置40のニードルは、動作ma~g2において、Y軸方向に沿って複数の経糸a,b,c,e,fの各々の下方、及び複数の経糸d,gの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置40は、この動作を動作ma~g6,10,14,18,22,26,30,34,38においても同様に実行する。
【0090】
(動作ma~g3,15,19,39)
織機装置40のニードルは、動作ma~g3において、Y軸方向に沿って複数の経糸b,gの各々の下方、及び複数の経糸a,c~fの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置40は、この動作を動作ma~g15,19,39においても同様に実行する。
【0091】
(動作ma~g4,8,12,16,20,24,28,32,36,40)
織機装置40のニードルは、動作ma~g4において、Y軸方向に沿って複数の経糸a,b,d,e,fの各々の下方、及び複数の経糸c,gの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置40は、この動作を動作ma~g8,12,16,20,24,28,32,36,40においても同様に実行する。
【0092】
(動作ma~g7,11,23,27,31,35)
織機装置40のニードルは、動作ma~g7において、Y軸方向に沿って複数の経糸e,gの各々の下方、及び複数の経糸a~d,fの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置40は、この動作を動作ma~g11,23,27,31,35においても同様に実行する。
【0093】
(動作ma~g9,25,29,33)
織機装置40のニードルは、動作ma~g9において、Y軸方向に沿って複数の経糸f,gの各々の下方、及び複数の経糸a~eの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置40は、この動作を動作ma~g25,29,33においても同様に実行する。
【0094】
[ステップSc2]
織機装置40は、ステップSc2において、複数の経糸i~mに対する緯糸Bの絡み方の規則である所定のパターン(第2パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸i~mに緯糸Bを絡ませる40回の動作からなる。織機装置40は、上記パターンとして、動作mi~m1~mi~m40を順に実行する。以下、動作mi~m1~40について説明する。
【0095】
(動作mi~m1,5,13,17,21,37)
織機装置40のニードルは、動作mi~m1において、Y軸方向に沿って複数の経糸i,mの各々の鉛直下方、及び複数の経糸j~lの各々の鉛直上方に緯糸Bを通す。織機装置40は、この動作を動作mi~m5,13,17,21,37においても同様に実行する。
【0096】
(動作mi~m2,6,10,14,18,22,26,30,34,38)
織機装置40のニードルは、動作mi~m2において、Y軸方向に沿って複数の経糸i~kの各々の下方、及び複数の経糸l,mの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置40は、この動作を動作mi~m6,10,14,18,22,26,30,34,38においても同様に実行する。
【0097】
(動作mi~m3,15,19,39)
織機装置40のニードルは、動作mi~m3において、Y軸方向に沿って複数の経糸j,mの各々の下方、及び複数の経糸i,k,lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置40は、この動作を動作mi~m15,19,39においても同様に実行する。
【0098】
(動作mi~m4,8,12,16,20,24,28,32,36,40)
織機装置40のニードルは、動作mi~m4において、Y軸方向に沿って複数の経糸i,j,lの各々の下方、及び複数の経糸k,mの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置40は、この動作を動作mi~m8,12,16,20,24,28,32,36,40においても同様に実行する。
【0099】
(動作mi~m7,11,23,27,31,35)
織機装置40のニードルは、動作mi~m7において、Y軸方向に沿って複数の経糸j,mの各々の下方、及び複数の経糸i,k,lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置40は、この動作をmi~m11,23,27,31,35においても同様に実行する。
【0100】
(動作mi~m9,25,29,33)
織機装置40のニードルは、動作mi~m9において、Y軸方向に沿って複数の経糸i,mの各々の下方、及び複数の経糸j~lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置40は、この動作をmi~m25,29,33においても同様に実行する。
【0101】
[ステップSc3]
織機装置40は、ステップSc3において、複数の経糸hに対する緯糸A,Bの絡み方の規則である所定のパターン(第3パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸hに緯糸A,Bを絡ませる40回の動作からなる。織機装置40は、上記パターンとして、動作mh1~mh40を順に実行する。以下、動作mh1~40について説明する。
【0102】
(動作mh1,3,5,7,11,13,15,17,19,21,23,27,31,35,37,39)
織機装置40のニードルは、動作mh1において、Y軸方向に沿って複数の経糸hの各々の上方に緯糸A,Bを通す。織機装置40は、この動作を動作mh3,5,7,11,13,15,17,19,21,23,27,31,35,37,39においても同様に実行する。
【0103】
(動作mh2,4,6,12,14,16,18,20,22,36,38,40)
織機装置40のニードルは、動作mh2において、Y軸方向に沿って複数の経糸hの各々の下方に緯糸A,Bを通す。織機装置40は、この動作を動作mh4,6,12,14,16,18,20,22,36,38,40においても同様に実行する。
【0104】
(動作mh8~10,24~26,28~30,32~34)
織機装置40のニードルは、動作mh8において、Y軸方向に沿って複数の経糸hの各々の上方に緯糸Aを通し、下方に緯糸Bを通す。織機装置40は、この動作を動作mh9,10、24~26、28~30、及び32~34においても同様に実行する。
ここで、第3実施形態では、製造システム100の操作者がプログラムP3を変更して、複数の経糸hに対する緯糸A,Bの絡ませ方を変更することにより、織物構造体3の開口部33のX軸方向における寸法が変更されてもよい。具体的には、例えば、上記操作者がプログラムP3を変更して、上記の動作mh8~10,24~26,28~30,32~34に相当する、複数の経糸hの各々の上方に緯糸Aを通し、下方に緯糸Bを通す動作の実行回数を増やしたり、減らしたりすることによって、開口部33の寸法が変更されてもよい。これにより、上記操作者は、開口部33のX軸方向における寸法を所望の寸法とすることができ、当該寸法が各々異なる種々の織物構造体3を製造することができる。
【0105】
[織機装置の動作]
図13は、緯糸Aに対する経糸a~hの上下の位置関係と、緯糸Bに対する経糸h~mの上下の位置関係とを併記して示すピック図である。
図13の上側の「○」は経糸a~hのいずれかが緯糸Aよりも上方に位置することを示し、空欄は経糸a~hのいずれかが緯糸Aよりも下方に位置することを示す。また、
図13の下側の「○」は経糸h~mのいずれかが緯糸Bよりも上方に位置することを示し、空欄は経糸h~mのいずれかが緯糸Bよりも下方に位置することを示す。さらに、
図13の「1」~「40」の数字は、それぞれ、後述する動作M
a~m1~M
a~m40を意味する。
【0106】
また、
図14は、複数の経糸a~mに緯糸A,Bを絡ませる織機装置40の動作を説明するための説明図であり、緯糸A,Bに対する経糸a~mの上下の位置関係を示す図である。
図14の上側の数字N(N=1~40)は、上記の動作m
a~gN及びm
hNを表す数字である。下側の数字Nは、上記の動作m
i~mN及びm
hNを表す数字である。
【0107】
第3実施形態に係る織機装置40は、
図13に示されるピック図に基づくプログラム制御に従って、X1方向に搬送される複数の経糸a~mに対して緯糸A,Bを絡ませる40回の動作(M
a~m1~M
a~m40)を繰り返し実行することにより、織物構造体3を製造する。当該動作では、動作M
a~m1~M
a~m40が織機装置40により順に実行される。以下、動作M
a~m1~M
a~m40について説明する。
【0108】
(動作M
a~m1,5,13,17,21,37)
織機装置40は、動作M
a~m1において、上記の動作m
a~g1,m
i~m1及びm
h1を並行して実行する。具体的には、
図14に示されるように、織機装置40のニードルが、Y2方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸a,gの各々の下方、及び複数の経糸b~f,h~mの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~g,i,mの各々の下方、及び複数の経糸h,j~lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置40は、この動作を動作M
a~m5,13,17,21,37においても同様に実行する。動作M
a~m5、M
a~m13、M
a~m17、M
a~m21、M
a~m37では、それぞれ、上記のm
a~g5,m
i~m5及びm
h5、m
a~g13,m
i~m13及びm
h13、m
a~g17,m
i~m17及びm
h17、m
a~g21,m
i~m21及びm
h21、m
a~g37,m
i~m37及びm
h37が織機装置40により並行して実行される。
【0109】
(動作M
a~m2,6,10,14,18,22,26,30,34,38)
織機装置40は、動作M
a~m2において、上記の動作m
a~g2,m
i~m2及びm
h2を並行して実行する。具体的には、
図14に示されるように、織機装置40のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸a~c,e,f,hの各々の下方、及び複数の経糸d,g,i~mの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~kの各々の下方、及び複数の経糸l,mの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置40は、この動作を動作M
a~m6,10,14,18,22,26,30,34,38においても同様に実行する。動作M
a~m6、M
a~m10、M
a~m14、M
a~m18、M
a~m22、M
a~m26、M
a~m30、M
a~m34、M
a~m38では、それぞれ、上記のm
a~g6,m
i~m6及びm
h6、m
a~g10,m
i~m10及びm
h10、m
a~g14,m
i~m14及びm
h14、m
a~g18,m
i~m18及びm
h18、m
a~g22,m
i~m22及びm
h22、m
a~g26,m
i~m26及びm
h26、m
a~g30,m
i~m30及びm
h30、m
a~g34,m
i~m34及びm
h34、m
a~g38,m
i~m38及びm
h38が織機装置40により並行して実行される。
【0110】
(動作M
a~m3,15,19,39)
織機装置40は、動作M
a~m3において、上記の動作m
a~g3,m
i~m3及びm
h3を並行して実行する。具体的には、
図14に示されるように、織機装置40のニードルが、Y2方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸b,gの各々の下方、及び複数の経糸a,c~f,h~mの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~g,j,mの各々の下方、及び複数の経糸h,i,k,lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置40は、この動作を動作M
a~m15,19,39においても同様に実行する。動作M
a~m15、M
a~m19、M
a~m39では、それぞれ、上記のm
a~g15,m
i~m15及びm
h15、m
a~g19,m
i~m19及びm
h19、m
a~g39,m
i~m39及びm
h39が織機装置40により並行して実行される。
【0111】
(動作M
a~m4,8,12,16,20,24,28,32,36,40)
織機装置40は、動作M
a~m4において、上記の動作m
a~g4,m
i~m4及びm
h4を並行して実行する。具体的には、
図14に示されるように、織機装置40のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸a,b,d~f,hの各々の下方、及び複数の経糸c,g,i~mの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~j,lの各々の下方、及び複数の経糸k,mの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置40は、この動作を動作M
a~m8,12,16,20,24,28,32,36,40においても同様に実行する。動作M
a~m8、M
a~m12、M
a~m16、M
a~m20、M
a~m24、M
a~m28、M
a~m32、M
a~m36、M
a~m40では、それぞれ、上記のm
a~g8,m
i~m8及びm
h8、m
a~g12,m
i~m12及びm
h12、m
a~g16,m
i~m16及びm
h16、m
a~g20,m
i~m20及びm
h20、m
a~g24,m
i~m24及びm
h24、m
a~g28,m
i~m28及びm
h28、m
a~g32,m
i~m32及びm
h32、m
a~g36,m
i~m36及びm
h36、m
a~g40,m
i~m40及びm
h40が織機装置40により並行して実行される。
【0112】
(動作M
a~m9,25,29,33)
織機装置40は、動作M
a~m9において、上記の動作m
a~g9,m
i~m9及びm
h9を並行して実行する。具体的には、
図14に示されるように、織機装置40のニードルが、Y2方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸f,gの各々の下方、及び複数の経糸a~e,h~mの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~i,mの各々の下方、及び複数の経糸j~lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置40は、この動作を動作M
a~m25,29,33においても同様に実行する。動作M
a~m25、M
a~m29、M
a~m33ではそれぞれ、上記のm
a~g25,m
i~m25及びm
h25、m
a~g29,m
i~m29及びm
h29、m
a~g33,m
i~m33及びm
h33が織機装置40により並行して実行される。
【0113】
第3実施形態では、下層32に対応する経糸i~mの本数が、上層31に対応する経糸a~g、及び経糸hの本数より多くてもよい。この場合、織機装置40は、上記のステップSc2において、例えば製造システム100の操作者によりY軸方向における緯糸Bの単位時間当たりの搬送量(例えば搬送速度)が、Y軸方向における緯糸Aの当該単位時間当たりの搬送量(例えば搬送速度)よりも大きく設定されることによって、
図15に示されるように、下層32のY軸方向における寸法(幅)が上層31のY軸方向における寸法(幅)よりも大きい織物構造体3が製造されてもよい。当該織物構造体3においては、同図に示されるように、織物構造体3の開口部33における上層31の幅が下層32の幅よりも小さくなる。これにより、織物構造体3が例えばハンギングチェーンや作業用ベルトとして用いられる場合、上層31の幅が下層32の幅と同等である場合と比較して、開口部33に物を引っ掛けやすくなり、織物構造体3の利便性が向上する。なお、当該織物構造体3は、織機装置40の仕様上、上層31のY2方向に位置する側面と、下層32のY2方向に位置する側面とが面一となる。
【0114】
上述の説明の通り、第3実施形態に係る織物構造体3の製造方法は、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分を有する緯糸Aと、X軸方向に延びる複数の経糸a~gと、の織組織である上層31と、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分を有する緯糸Bと、X軸方向に延びる複数の経糸i~mと、の織組織である下層32と、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配された複数の経糸hであって、上層31と下層32とを綴じる複数の経糸hと、を備え、上層31と下層32とが離間する開口部33がX軸方向に間欠的に設けられた織物構造体3の製造方法であって、複数の経糸a~gに緯糸Aを絡ませるステップSc1と、複数の経糸i~mに緯糸Bを絡ませるステップSc2と、複数の経糸hに緯糸A,Bを絡ませるステップSc3と、が織機装置40により並行して実行される。
【0115】
上記態様によれば、織機装置40は、上層31及び下層32を作成する工程と、作成された上層31と下層32とを綴じる工程とを並行して実行する。即ち、織機装置40は、上層31及び下層32を作成しながら、作成途中の上層31と下層32とを綴じる。これにより、織物構造体3は、上記のステップSc1~Sc3を経て完成された段階で、上層31と下層32とが既に綴じられた状態となる。従って、織物構造体3を得る上で上層31と下層32とを別途綴じる工程が不要となり、織機装置40は従来よりも低コスト且つ短時間で織物構造体3を製造することができる。
【0116】
<<第4実施形態>>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以降の第4実施形態の説明では、第1実施形態と同様の構成、工程及び機能等については同様の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0117】
<情報処理装置>
第4実施形態に係るCPU101は、ROM102、RAM103、ストレージ装置110又はリムーバブル記録媒体114に記憶された、後述するピック図(
図17参照)に基づくプログラムP4を実行することによって、後述の織物構造体の製造方法(ステップS
d1~3)を第4実施形態の織機装置50に実行させる。プログラムP4は、ROM102、RAM103、ストレージ装置110又はリムーバブル記録媒体114に予め記録されたプログラムであってよく、外部サーバ又はクラウドサーバ等のサーバ装置等からネットワークNWを介してダウンロードされたプログラムであってもよい。
【0118】
<織機装置>
織機装置50は、プログラムP4に基づく情報処理装置10のプログラム制御に従って、複数の経糸(複数の経糸a~d,g)の各々に対応する複数の綜絖枠(図示略)の各々を鉛直方向に移動させ、ニードル(横針)を介して経糸間に緯糸(緯糸A,B)を通す動作を高速に繰り返すことで、織物構造体を製造するニードル織機である。具体的には、織機装置50は、例えば、2本取り電子ドビー高速ニードル織機(型番:NFRE-42・2/84EDZ10S3、Jakob Muller AG社製)である。
【0119】
<織物構造体の構成>
次に、第4実施形態の織物構造体の製造方法により製造される織物構造体4の構成について説明する。
【0120】
図16は織物構造体4の構成例を示す斜視図である。織物構造体4は、上層41(第1層)と、下層42(第2層)と、複数の経糸h(第3経糸)とを有する。織物構造体4には、
図16に示されるように、複数の開口部43が設けられる。開口部43は、織物構造体4のうち、上層41と下層42とが経糸hにより綴じられていないことによって離間可能な部分である。複数の開口部43は、同図に示されるように、X軸方向に間欠的に設けられる。
【0121】
織物構造体4のY軸方向における寸法(横幅)は特に制限されないが、例えば、10mm以上80mm以下が好ましい。織物構造体4の厚みも特に制限されないが、例えば、1mm以上7mm以下が好ましい。織物構造体4は、例えば、ハンギングチェーン又は作業用ベルトとして用いられるが、織物構造体4の用途はこれらに限定されない。
【0122】
[上層]
第3実施形態に係る緯糸A(第1緯糸)は、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された複数部分a1,a2と、複数部分a1,a2より下方に配され、Y軸方向に延びX軸方向に間隔をおいて配された複数部分a3,a4と、を有し、これらが一続きに繋がった糸である。
上層41は、2層構造であり、これらの層が複数の経糸gにより綴じられている。当該2層のうち上方の層は、緯糸Aのうちの複数部分a1と複数の経糸a,bとの平織組織と、緯糸Aのうちの複数部分a2と複数の経糸c,dとの平織組織と、からなる。下方の層は、緯糸Aのうちの第3複数部分a3と複数の経糸c,dとの平織組織と、緯糸Aのうちの第4複数部分a4と複数の経糸a,bとの平織組織と、からなる(
図18参照)。
【0123】
ここで、第4実施形態では、複数の経糸c,dに色糸が採用される。これにより、後述するピック図(
図17参照)に従って製造された織物構造体4においては、
図16に示されるように、色糸である複数の経糸c,dが開口部43において露出するものとなり、開口部43の視認性が向上する。開口部43の視認性が向上すると、織物構造体4が例えばハンギングチェーンや作業用ベルトとして用いられる場合、織物構造体4のユーザがどこに開口部43があるのか認識しやすくなり、開口部43に物を引っ掛ける上での利便性が向上する。この効果は、経糸c,dが例えば蛍光染料等で染色された色糸であり、織物構造体4が夜間で使用される場合により顕著となる。
【0124】
複数の経糸gは、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配される。複数の経糸gは、複数部分a1,a2と複数部分a3,a4とに絡まることによって、上層41の上方の層と下方の層とを綴じる綴じ糸である。
【0125】
[下層]
下層42は、2層構造であり、これらの層が複数の経糸mにより綴じられている。当該2層のうち上方の層は、緯糸B(第2緯糸)のうちY軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された複数部分と、X軸方向の延びる複数の経糸i,jとの平織組織である。下方の層は、緯糸BのうちY軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配され、当該複数部分と一続きである他の複数部分と、X軸方向の延びる複数の経糸k,lとの平織組織である(
図18参照)。
【0126】
複数の経糸mは、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配される。複数の経糸mは、緯糸BのうちY軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された複数部分と、当該複数部分より下方に配され、Y軸方向に延びX軸方向に間隔をおいて配された他の複数部分とに絡まることによって、下層42の上方の層と下方の層とを綴じる綴じ糸である。
【0127】
[経糸h]
複数の経糸hは、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配される。複数の経糸hは、緯糸Aの複数部分a3,a4と緯糸Bの上記複数部分とに絡まることによって、上層41(上層41の下方の層)と下層42(下層42の上方の層)とを間欠的に綴じる綴じ糸である。
【0128】
<織物構造体の製造方法>
次に、第4実施形態に係る織物構造体の製造方法について説明する。当該製造方法は、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分を有する緯糸Aと、X軸方向に延びる複数の経糸a~d,gと、の織組織である上層41と、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分を有する緯糸Bと、X軸方向に延びる複数の経糸i~mと、の織組織である下層42と、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配された複数の経糸hであって、上層41と下層42とを綴じる複数の経糸hと、を備え、上層41と下層42とが離間する開口部43がX軸方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法であって、複数の経糸a~d,gに緯糸Aを絡ませるステップSd1(第1ステップ)と、複数の経糸i~mに緯糸Bを絡ませるステップSd2(第2ステップ)と、複数の経糸hに緯糸A,Bを絡ませるステップSd3(第3ステップ)と、が織機装置50により並行して実行される。以下、ステップSd1~Sd3について説明する。
【0129】
[ステップSd1]
織機装置50は、ステップSd1において、複数の経糸a~d,gに対する緯糸Aの絡み方の規則である所定のパターン(第1パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸a~d,gに緯糸Aを絡ませる40回の動作からなる。織機装置50は、上記パターンとして、動作ma~d,g1~ma~d,g40を順に実行する。以下、動作ma~d,g1~40について説明する。
【0130】
(動作ma~d,g1,5,9,13,29,33,37)
織機装置50のニードルは、動作ma~d,g1において、Y軸方向に沿って複数の経糸a,gの各々の下方、及び複数の経糸b~dの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置50は、この動作を動作ma~g5,9,13,29,33,37においても同様に実行する。
【0131】
(動作ma~d,g2,6,10,14,30,34,38)
織機装置40のニードルは、動作ma~d,g2において、Y軸方向に沿って複数の経糸a~cの各々の下方、及び複数の経糸d,gの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置50はこの動作を動作ma~d,g2,6,10,14,30,34,38においても同様に実行する。
【0132】
(動作ma~d,g3,7,11,31,35,39)
織機装置50のニードルは、動作ma~d,g3において、Y軸方向に沿って複数の経糸b,gの各々の下方、及び複数の経糸a,c,dの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置50は、この動作を動作ma~d,g7,11,31,35,39においても同様に実行する。
【0133】
(動作ma~d,g4,8,12,32,36,40)
織機装置50のニードルは、動作ma~d,g4において、Y軸方向に沿って複数の経糸a,b,dの各々の下方、及び複数の経糸c,gの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置50は、この動作を動作ma~d,g8,12,32,36,40においても同様に実行する。
【0134】
(動作ma~d,g15,19,23,27)
織機装置50のニードルは、動作ma~d,g15において、Y軸方向に沿って複数の経糸c,gの各々の下方、及び複数の経糸a,b,dの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置50は、この動作をma~d,g19,23,27においても同様に実行する。
【0135】
(動作ma~d,g16,20,24,28)
織機装置50のニードルは、動作ma~d,g16において、Y軸方向に沿って複数の経糸a,c,dの各々の下方、及び複数の経糸b,gの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置50は、この動作をma~d,g20,24,28においても同様に実行する。
【0136】
(動作ma~d,g17,21,25)
織機装置50のニードルは、動作ma~d,g17において、Y軸方向に沿って複数の経糸d,gの各々の下方、及び複数の経糸a~cの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置50は、この動作をa~d,g21,25においても同様に実行する。
【0137】
(動作ma~d,g18,22,25)
織機装置50のニードルは、動作ma~d,g18において、Y軸方向に沿って複数の経糸b~dの各々の下方、及び複数の経糸a,gの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置50は、この動作をa~d,g22,25においても同様に実行する。
【0138】
[ステップSd2]
織機装置50は、ステップSd2において、複数の経糸i~mに対する緯糸Bの絡み方の規則である所定のパターン(第2パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸i~mに緯糸Bを絡ませる40回の動作からなる。織機装置50は、上記パターンとして、動作mi~m1~mi~m40を順に実行する。以下、動作mi~m1~40について説明する。
【0139】
(動作mi~m1,5,9,13,29,33,37)
織機装置50のニードルは、動作mi~m1において、Y軸方向に沿って複数の経糸i,mの各々の下方、及び複数の経糸j~lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作を動作mi~m5,9,13,29,33,37においても同様に実行する。
【0140】
(mi~m2,6,10,14,30,34,38)
織機装置50のニードルは、動作mi~m2において、Y軸方向に沿って複数の経糸i~kの各々の下方、及び複数の経糸l,mの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作を動作mi~m6,10,14,30,34,38においても同様に実行する。
【0141】
(mi~m3,7,11,31,35,39)
織機装置50のニードルは、動作mi~m3において、Y軸方向に沿って複数の経糸j,mの各々の下方、及び複数の経糸i,k,lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作を動作mi~m7,11,31,35,39においても同様に実行する。
【0142】
(mi~m4,8,12,32,36,40)
織機装置50のニードルは、動作mi~m4において、Y軸方向に沿って複数の経糸i,j,lの各々の下方、及び複数の経糸k,mの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作を動作mi~m8,12,32,36,40においても同様に実行する。
【0143】
(mi~m15,19,23,27)
織機装置50のニードルは、動作mi~m15において、Y軸方向に沿って複数の経糸j,mの各々の下方、及び複数の経糸i,k,lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作をmi~m19,23,27においても同様に実行する。
【0144】
(mi~m16,20,24,28)
織機装置50のニードルは、動作mi~m16において、Y軸方向に沿って複数の経糸i,j,lの各々の下方、及び複数の経糸k,mの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作をmi~m20,24,28においても同様に実行する。
【0145】
(mi~m17,21,25)
織機装置50のニードルは、動作mi~m17において、Y軸方向に沿って複数の経糸i,mの各々の下方、及び複数の経糸j~lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作をmi~m21,25においても同様に実行する。
【0146】
(mi~m18,22,26)
織機装置50のニードルは、動作mi~m18において、Y軸方向に沿って複数の経糸i~kの各々の下方、及び複数の経糸l,mの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作をmi~m22,26においても同様に実行する。
【0147】
[ステップSd3]
織機装置50は、ステップSd3において、複数の経糸hに対する緯糸A,Bの絡み方の規則である所定のパターン(第3パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸hに緯糸A,Bを絡ませる40回の動作からなる。織機装置50は、上記パターンとして、動作mh1~mh40を順に実行する。以下、動作mh1~40について説明する。
【0148】
(動作mh1,3,5,7,9,11,13,15,19,23,27,29,31,33,35,37,39)
織機装置50のニードルは、動作mh1において、Y軸方向に沿って複数の経糸hの各々の上方に緯糸A,Bを通す。織機装置50は、この動作を動作mh3,5,7,9,11,13,15,19,23,27,29,31,33,35,37,39においても同様に実行する。
【0149】
(動作mh2,4,6,8,10,12,14,28,30,32,34,36,38,40)
織機装置50のニードルは、動作mh2において、Y軸方向に沿って複数の経糸hの各々の下方に緯糸A,Bを通す。織機装置50は、この動作を動作mh4,6,8,10,12,14,28,30,32,34,36,38,40においても同様に実行する。
【0150】
(動作mh16,17,18,20,21,22,24,25,26)
織機装置50のニードルは、動作mh16において、Y軸方向に沿って複数の経糸hの各々の上方に緯糸Aを通し、下方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作を動作mh17,18,20,21,22,24,25,26においても同様に実行する。
ここで、第4実施形態では、製造システム100の操作者がプログラムP4を変更して、複数の経糸hに対する緯糸A,Bの絡ませ方を変更することにより、織物構造体4の開口部43のX軸方向における寸法が変更されてもよい。具体的には、例えば、上記操作者がプログラムP4を変更して、上記の動作mh16,17,18,20,21,22,24,25,26に相当する、複数の経糸hの各々の上方に緯糸Aを通し、下方に緯糸Bを通す動作の実行回数を増やしたり、減らしたりすることによって、開口部43の寸法が変更されてもよい。これにより、上記操作者は、開口部43のX軸方向における寸法を所望の寸法とすることができ、当該寸法が各々異なる種々の織物構造体4を製造することができる。
【0151】
図17は、緯糸Aに対する経糸a~hの上下の位置関係と、緯糸Bに対する経糸h~mの上下の位置関係とを併記して示すピック図である。
図17の上側の「○」は経糸a~hのいずれかが緯糸Aよりも上方に位置することを示し、空欄は経糸a~hのいずれかが緯糸Aよりも下方に位置することを示す。また、
図17の下側の「○」は経糸h~mのいずれかが緯糸Bよりも上方に位置することを示し、空欄は経糸h~mのいずれかが緯糸Bよりも下方に位置することを示す。さらに、
図17の「1」~「40」の数字は、それぞれ、後述する動作M
a~d,g~m1~M
a~d,g~m40を意味する。
【0152】
また、
図18は、複数の経糸a~d,g~mに緯糸A,Bを絡ませる織機装置50の動作を説明するための説明図であり、緯糸A,Bに対する経糸a~d,g~mの上下の位置関係を示す図である。
図18の上側の数字N(N=1~40)は、上記の動作m
a~d,gN及びm
hNを表す数字である。下側の数字Nは、上記の動作m
i~mN及びm
hNを表す数字である。
【0153】
[織機装置の動作]
第4実施形態に係る織機装置50は、
図17に示されるピック図に基づくプログラム制御に従ってX1方向に搬送される複数の経糸a~d,g~mに対して緯糸A,Bを絡ませる40回の動作(M
a~d,g~m1~M
a~d,g~m40)を繰り返し実行することにより、織物構造体4を製造する。当該動作では、動作M
a~d,g~m1~M
a~d,g~m40が織機装置50により順に実行される。以下、動作M
a~d,g~m1~M
a~d,g~m40について説明する。
【0154】
(動作M
a~d,g~m1,5,9,13,29,33,37)
織機装置40は、動作M
a~d,g~m1において、上記の動作m
a~d,g1,m
i~m1及びm
h1を並行して実行する。具体的には、
図18に示されるように、織機装置50のニードルが、Y2方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸a,gの各々の下方、及び複数の経糸b~d,h~mの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~d,g,i,mの各々の下方、及び複数の経糸j,h,k,lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作を動作M
a~d,g~m5,9,13,29,33,37においても同様に実行する。動作M
a~d,g~m5、M
a~d,g~m9、M
a~d,g~m13、M
a~d,g~m29、M
a~d,g~m33、M
a~d,g~m37では、それぞれ、上記のm
a~d,g5,m
i~m5及びm
h5、m
a~d,g9,m
i~m9及びm
h9、m
a~d,g13,m
i~m13及びm
h13、m
a~d,g29,m
i~m29及びm
h29、m
a~d,g33,m
i~m33及びm
h33、m
a~d,g37,m
i~m37及びm
h37が織機装置50により並行して実行される。
【0155】
(動作M
a~d,g~m2,6,10,14,30,34,38)
織機装置50は、動作M
a~d,g~m2において、上記の動作m
a~d,g2,m
i~m2及びm
h2を並行して実行する。具体的には、
図18に示されるように、織機装置50のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸a~cの各々の下方、及び複数の経糸d,g,h~mの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~d,g,h~kの各々の下方、及び複数の経糸l,mの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作を動作M
a~d,g~m6,10,14,30,34,38においても同様に実行する。動作M
a~d,g~m6、M
a~d,g~m10、M
a~d,g~m14、M
a~d,g~m30、M
a~d,g~m34、M
a~d,g~m38では、それぞれ、上記のm
a~d,g6,m
i~m6及びm
h6、m
a~d,g10,m
i~m10及びm
h10、m
a~d,g14,m
i~m14及びm
h14、m
a~d,g30,m
i~m30及びm
h30、m
a~d,g34,m
i~m34及びm
h34、m
a~d,g38,m
i~m38及びm
h38が織機装置50により並行して実行される。
【0156】
(動作M
a~d,g~m3,7,11,31,35,39)
織機装置50は、動作M
a~d,g~m3において、上記の動作m
a~d,g3,m
i~m3及びm
h3を並行して実行する。具体的には、
図18に示されるように、織機装置50のニードルが、Y2方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸b,gの各々の下方、及び複数の経糸a,c,d,h~mの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~d,g,j,mの各々の下方、及び複数の経糸h,i,k,lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作を動作M
a~d,g~m7,11,31,35,39においても同様に実行する。動作M
a~d,g~m7、M
a~d,g~m11、M
a~d,g~m31、M
a~d,g~m35、M
a~d,g~m39では、それぞれ、上記のm
a~d,g7,m
i~m7及びm
h7、m
a~d,g11,m
i~m11及びm
h11、m
a~d,g31,m
i~m31及びm
h31、m
a~d,g35,m
i~m35及びm
h35、m
a~d,g39,m
i~m39及びm
h39が織機装置50により並行して実行される。
【0157】
(動作M
a~d,g~m4,8,12,32,36,40)
織機装置50は、動作M
a~d,g~m4において、上記の動作m
a~d,g4,m
i~m4及びm
h4を並行して実行する。具体的には、
図18に示されるように、織機装置50のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸a,b,d,hの各々の下方、及び複数の経糸c,g,i~mの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~d,g,h~j,lの各々の下方、及び複数の経糸k,mの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作を動作M
a~d,g~m8,12,32,36,40においても同様に実行する。動作M
a~d,g~m8、M
a~d,g~m12、M
a~d,g~m32、M
a~d,g~m36、M
a~d,g~m40では、それぞれ、上記のm
a~d,g8,m
i~m8及びm
h8、m
a~d,g12,m
i~m12及びm
h12、m
a~d,g32,m
i~m32及びm
h32、m
a~d,g36,m
i~m36及びm
h36、m
a~d,g40,m
i~m40及びm
h40が織機装置50により並行して実行される。
【0158】
(動作M
a~d,g~m15,19,23,27)
織機装置50は、動作M
a~d,g~m15において、上記の動作m
a~d,g15,m
i~m15及びm
h15を並行して実行する。具体的には、
図18に示されるように、織機装置50のニードルが、Y2方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸c,gの各々の下方、及び複数の経糸a,b,d,h~mの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~d,g,j,mの各々の下方、及び複数の経糸h,i,k,lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作を動作M
a~d,g~m19,23,27においても同様に実行する。動作M
a~d,g~m19、M
a~d,g~m23、M
a~d,g~m27では、それぞれ、上記のm
a~d,g19,m
i~m19及びm
h19、m
a~d,g23,m
i~m23及びm
h23、m
a~d,g27,m
i~m27及びm
h27が織機装置50により並行して実行される。
【0159】
(動作M
a~d,g~m17,21,25)
織機装置50は、動作M
a~d,g~m17において、上記の動作m
a~d,g17,m
i~m17及びm
h17を並行して実行する。具体的には、
図18に示されるように、織機装置50のニードルが、Y2方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸d,gの各々の下方、及び複数の経糸a~c,h~mの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~d,g,h,i,mの各々の下方、及び複数の経糸j~lの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作を動作M
a~d,g~m21,25においても同様に実行する。動作M
a~d,g~m21、M
a~d,g~m25では、それぞれ、上記のm
a~d,g21,m
i~m21及びm
h21、m
a~d,g25,m
i~m25及びm
h25が織機装置50により並行して実行される。
【0160】
(動作M
a~d,g~m18,22,25)
織機装置50は、動作M
a~d,g~m18において、上記の動作m
a~d,g18,m
i~m18及びm
h18を並行して実行する。具体的には、
図18に示されるように、織機装置50のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸b~dの各々の下方、及び複数の経糸a,g,h~mの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~d,g,h~kの各々の下方、及び複数の経糸l,mの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置50は、この動作を動作M
a~d,g~m22,25においても同様に実行する。動作M
a~d,g~m22、M
a~d,g~m25では、それぞれ、上記のm
a~d,g22,m
i~m22及びm
h22、m
a~d,g25,m
i~m25及びm
h25が織機装置50により並行して実行される。
【0161】
第4実施形態では、下層42に対応する経糸i~mの本数が、上層41に対応する経糸a~d,g、及び経糸hの本数より多くてもよい。この場合、織機装置50は、上記のステップS
d2において、例えば製造システム100の操作者によりY軸方向における緯糸Bの単位時間当たりの搬送量(例えば搬送速度)が、Y軸方向における緯糸Aの当該単位時間当たりの搬送量(例えば搬送速度)よりも大きく設定されることによって、
図19に示されるように、下層42のY軸方向における寸法(幅)が上層41のY軸方向における寸法(幅)よりも大きい織物構造体4が製造されてもよい。当該織物構造体4においては、同図に示されるように、織物構造体4の開口部43における上層41の幅が下層42の幅よりも小さくなる。これにより、織物構造体4が例えばハンギングチェーンや作業用ベルトとして用いられる場合、上層41の幅が下層42の幅と同等である場合と比較して、開口部43に物を引っ掛けやすくなり、織物構造体4の利便性が向上する。なお、当該織物構造体4は、織機装置40の仕様上、上層41のY2方向に位置する側面と、下層42のY2方向に位置する側面とが面一となる。
【0162】
上述の説明の通り、第4実施形態に係る織物構造体4の製造方法は、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分を有する緯糸Aと、X軸方向に延びる複数の経糸a~d,gと、の織組織である上層41と、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分を有する緯糸Bと、X軸方向に延びる複数の経糸i~mと、の織組織である下層42と、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配された複数の経糸hであって、上層41と下層42とを綴じる複数の経糸hと、を備え、上層41と下層42とが離間する開口部43がX軸方向に間欠的に設けられた織物構造体4の製造方法であって、複数の経糸a~d,gに緯糸Aを絡ませるステップSd1と、複数の経糸i~mに緯糸Bを絡ませるステップSd2と、複数の経糸hに緯糸A,Bを絡ませるステップSd3と、が織機装置50により並行して実行される。
【0163】
上記態様によれば、織機装置50は、上層41及び下層42を作成する工程と、作成された上層41と下層42とを綴じる工程とを並行して実行する。即ち、織機装置50は、上層41及び下層42を作成しながら、作成途中の上層41と下層42とを綴じる。これにより、織物構造体4は、上記のステップSd1~Sd3を経て完成された段階で、上層41と下層42とが既に綴じられた状態となる。従って、織物構造体4を得る上で上層41と下層42とを別途綴じる工程が不要となり、織機装置50は従来よりも低コスト且つ短時間で織物構造体4を製造することができる。
【0164】
<<第5実施形態>>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。以降の第5実施形態の説明では、第1実施形態と同様の構成、工程及び機能等については同様の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0165】
<情報処理装置>
第5実施形態に係るCPU101は、ROM102、RAM103、ストレージ装置110又はリムーバブル記録媒体114に記憶された、後述するピック図(
図21参照)に基づくプログラムP5を実行することによって、後述の織物構造体の製造方法(ステップS
e1~3)を第5実施形態の織機装置60に実行させる。プログラムP5は、ROM102、RAM103、ストレージ装置110又はリムーバブル記録媒体114に予め記録されたプログラムであってよく、外部サーバ又はクラウドサーバ等のサーバ装置等からネットワークNWを介してダウンロードされたプログラムであってもよい。
【0166】
<織機装置>
織機装置60は、プログラムP5に基づく情報処理装置10のプログラム制御に従って、複数の経糸(複数の経糸a~h)の各々に対応する複数の綜絖枠(図示略)の各々を鉛直方向に移動させ、ニードル(横針)を介して経糸間に緯糸(緯糸A,B)を通す動作を高速に繰り返すことで、織物構造体を製造するニードル織機である。具体的には、織機装置60は、例えば、2本取り電子ドビー高速ニードル織機(型番:NFRE-42・2/84EDZ10S3、Jakob Muller AG社製)である。
【0167】
<織物構造体の構成>
次に、第5実施形態の織物構造体の製造方法により製造される織物構造体5の構成について説明する。
【0168】
図20は織物構造体5の構成例を示す斜視図である。織物構造体5は、上層11(第1層)と、下層12(第2層)と、複数の経糸e~h(第3経糸)とを有する。織物構造体5には、
図20に示されるように、複数の開口部53が設けられる。開口部53は、織物構造体5のうち、上層11と下層12とが経糸e~hにより綴じられていないことによって離間する部分である。複数の開口部53は、同図に示されるように、X軸方向に間欠的に設けられる。
【0169】
織物構造体5のY軸方向における寸法(横幅)は特に制限されないが、例えば、10mm以上80mm以下が好ましい。織物構造体5の厚みも特に制限されないが、例えば、1mm以上7mm以下が好ましい。織物構造体5は、例えばハンギングチェーン又は作業用ベルトとして用いられるが織物構造体5の用途はこれらに限定されない。
【0170】
[経糸e~h]
複数の経糸e~hは、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配される。経糸e~hの各々は、緯糸A,Bの部分A1,B1に対する絡まり方が互いに異なる(
図22参照)。複数の経糸e~hは、緯糸Aの部分A1と、緯糸Bの部分B1とに絡まることによって、上層11と下層12とを間欠的に綴じる綴じ糸である。
【0171】
<織物構造体の製造方法>
次に、第5実施形態に係る織物構造体の製造方法について説明する。当該製造方法は、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分A1を有する緯糸Aと、X軸方向に延びる複数の経糸a,bと、の織組織である上層11と、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分B1を有する緯糸Bと、X軸方向に延びる複数の経糸c,dと、の織組織である下層12と、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配された複数の経糸e~hであって、上層11と下層12とを綴じる複数の経糸e~hと、を備え、上層11と下層12とが離間する開口部53がX軸方向に間欠的に設けられた織物構造体5の製造方法であって、複数の経糸a,bに緯糸Aを絡ませるステップSe1(第1ステップ)と、複数の経糸c,dに緯糸Bを絡ませるステップSe2(第2ステップ)と、複数の経糸e~hに緯糸A,Bを絡ませるステップSe3(第3ステップ)と、が織機装置60により並行して実行される。以下、ステップSe1~Se3について説明する。
【0172】
[ステップSe1]
織機装置60は、ステップSe1において、複数の経糸a,bに対する緯糸Aの絡み方の規則である所定のパターン(第1パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸a,bに緯糸Aを絡ませる40回の動作からなる。織機装置60は、上記パターンとして、動作ma,b1~ma,b40を順に実行する。以下、動作ma,b1~ma,b40について、説明する。
【0173】
(動作ma,b1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39)
織機装置60のニードルは、動作ma,b1において、Y軸方向に沿って複数の経糸aの各々の下方、及び複数の経糸bの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置60は、この動作を動作ma,b3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39においても同様に実行する。
【0174】
(動作ma,b2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,32,34,36,38)
織機装置60のニードルは、動作ma,b2において、Y軸方向に沿って複数の経糸aの各々の上方、及び複数の経糸bの各々の下方に緯糸Aを通す。織機装置60は、この動作を動作ma,b4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,32,34,36,38においても同様に実行する。
【0175】
[ステップSe2]
織機装置60は、ステップSe2において、複数の経糸c,dに対する緯糸Bの絡み方の規則である所定のパターン(第2パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸c,dに緯糸Bを絡ませる40回の動作からなる。織機装置60は、上記パターンとして、動作mc,d1~mc,d40を順に実行する。以下、動作mc,d1~mc,d40について、説明する。
【0176】
(動作mc,d1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39)
織機装置60のニードルは、動作mc,d1において、Y軸方向に沿って複数の経糸cの各々の下方、及び複数の経糸dの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置60は、この動作を動作mc,d3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39においても同様に実行する。
【0177】
(動作mc,d2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,32,34,36,38)
織機装置60のニードルは、動作mc,d2において、Y軸方向に沿って複数の経糸cの各々の上方、及び複数の経糸dの各々の下方に緯糸Bを通す。織機装置60は、この動作を動作mc,d4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,32,34,36,38においても同様に実行する。
【0178】
[ステップSe3]
第5実施形態の織機装置60は、ステップSe3において、複数の経糸e~hに対する緯糸A,Bの絡み方の規則である所定のパターン(第3パターン)を繰り返し実行する。当該パターンは、複数の経糸e~hに緯糸A,Bを絡ませる40回の動作からなる。織機装置60は、上記パターンとして、動作me~h1~me~h40を順に実行する。以下、動作me~h1~me~h40について、説明する。
【0179】
(me~h1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39)
織機装置60のニードルは、動作me~h1において、Y軸方向に沿って複数の経糸e,gの各々の下方、及び複数の経糸f,hの各々の上方に緯糸A,Bを通す。織機装置60は、この動作を動作me~h3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39においても同様に実行する。
【0180】
(動作me~h2)
織機装置60のニードルは、動作me~h2において、Y軸方向に沿って複数の経糸e~hの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸eの各々の上方、及び複数の経糸f~hの各々の下方に緯糸Bを通す。
【0181】
(動作me~h4,6,8,12,14,16,22,24,26,28,36,38,40)
織機装置60のニードルは、動作me~h4において、Y軸方向に沿って、複数の経糸e~hの各々の下方に緯糸Bを通し、複数の経糸e~hの各々の上方に緯糸Aを通す。織機装置60は、この動作を動作me~h6,8,12,14,16,22,24,26,28,36,38,40においても同様に実行する。
【0182】
(動作me~h10)
織機装置60のニードルは、動作me~h2において、Y軸方向に沿って複数の経糸e,g,hの各々上方、及び経糸fの各々の下方に緯糸Aを通し、複数の経糸eの各々の上方、及び複数の経糸f~hの各々の下方に緯糸Bを通す。
【0183】
(動作me~h18,20)
織機装置60のニードルは、動作me~h18において、Y軸方向に沿って、複数の経糸fの各々の下方、及び複数の経糸e,g,hの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸f,hの各々の下方、及び複数の経糸e,gの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置60は、この動作を動作me~h20においても同様に実行する。
【0184】
(動作me~h30,32,34)
織機装置60のニードルは、動作me~h30において、Y軸方向に沿って、複数の経糸f,hの各々の下方、及び複数の経糸e,gの各々の上方に緯糸A,Bを通す。織機装置60は、この動作を動作me~h32,34においても同様に実行する。
【0185】
第5実施形態では、織機装置60がステップS
e3において、上記の動作m
e~h2,10,18~20,30~34を実行することによって、上層11と下層12とが経糸eに綴じられる箇所と、経糸e,fにより2重に綴じられる箇所と、経糸e~gにより3重に綴じられる箇所と、経糸e~hにより4重に綴じられる箇所とが織物構造体5に形成される(
図22参照)。これにより、織物構造体5は、上層11と下層12との結束強度がX1方向かけて段階的に増加する構成となる。なお、上記の“結束強度”とは、上層11と下層12とが綴じ糸により綴じられている状態から離間するのに要する強度(力)を意味する。
また、第5実施形態では、製造システム100の操作者がプログラムP5を変更して、複数の経糸e~hに対する緯糸A,Bの絡ませ方を変更することにより、上層11と下層12との結束強度が変更されてもよい。例えば、上記操作者は、プログラムP5を変更して、上記の動作m
e~h2,10,18~20,30~34に相当する動作の実行回数を増やしたり、減らしたりすることによって、上層11と下層12との結束強度を操作者の所望の強度にコントロールすることができる。
【0186】
[織機装置の動作]
図21は、緯糸Aに対する経糸a,b,e~hの上下の位置関係と、緯糸Bに対する経糸c,d,e~hの上下の位置関係とを併記して示すピック図である。
図21の上側の「○」は経糸a,b,e~hのいずれかが緯糸Aよりも上方に位置することを示し、空欄は経糸a,b,e~hのいずれかが緯糸Aよりも下方に位置することを示す。また、
図21の下側の「○」は経糸c,d,e~hのいずれかが緯糸Bよりも上方に位置することを示し、空欄は経糸c,d,e~hのいずれかが緯糸Bよりも下方に位置することを示す。さらに、
図21の「1」~「40」の数字は、それぞれ、後述する動作M
a~h1~M
a~h40を意味する。
【0187】
また、
図22は、複数の経糸a~hに緯糸A,Bを絡ませる織機装置60の動作を説明するための説明図であり、緯糸A,Bに対する経糸a~hの上下の位置関係を示す図である。
図22の上側の数字N(N=1~40)は、上記の動作m
a,bN及びm
e~hN(N=1~40)を表す数字である。下側の数字Nは、上記の動作m
c,dN及びm
e~hNを表す数字である。
【0188】
第5実施形態に係る織機装置60は、
図21に示されるピック図に基づくプログラム制御に従ってX1方向に搬送される複数の経糸a~hに対して緯糸A,Bを絡ませる40回の動作(M
a~h1~M
a~h40)を繰り返し実行することにより、織物構造体5を製造する。当該動作では、動作M
a~h1~M
a~h40が織機装置60により順に実行される。以下、動作M
a~h1~M
a~h40について説明する。
【0189】
(動作M
a~h1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39)
織機装置60は、動作M
a~h1において、上記の動作m
a,b1,m
c,d1及びm
e~h1を並行して実行する。具体的には、
図22に示されるように、織機装置60のニードルが、Y2方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸a,e,gの各々の下方、及び複数の経糸b~d,f,hの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a~c,e,gの各々の下方、及び複数の経糸d,f,hの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置60は、この動作を動作M
a~h3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39においても同様に実行する。動作M
a~h3、M
a~h5、M
a~h7、M
a~h9、M
a~h11、M
a~h13、M
a~h15、M
a~h17、M
a~h19、M
a~h21、M
a~h23、M
a~h25、M
a~h27、M
a~h29、M
a~h31、M
a~h33、M
a~h35、M
a~h37、M
a~h39では、それぞれ、上記の動作m
a,b3,m
c,d3及びm
e~h3、m
a,b5,m
c,d5及びm
e~h5、m
a,b7,m
c,d7及びm
e~h7、m
a,b9,m
c,d9及びm
e~h9、m
a,b11,m
c,d11及びm
e~h11、m
a,b13,m
c,d13及びm
e~h13、m
a,b15,m
c,d15及びm
e~h15、m
a,b17,m
c,d17及びm
e~h17、m
a,b19,m
c,d19及びm
e~h19、m
a,b21,m
c,d21及びm
e~h21、m
a,b23,m
c,d23及びm
e~h23、m
a,b25,m
c,d25及びm
e~h25、m
a,b27,m
c,d27及びm
e~h27、m
a,b29,m
c,d29及びm
e~h29、m
a,b31,m
c,d31及びm
e~h31、m
a,b33,m
c,d33及びm
e~h33、m
a,b35,m
c,d35及びm
e~h35、m
a,b37,m
c,d37及びm
e~h37、m
a,b39,m
c,d39及びm
e~h39が織機装置60により並行して実行される。
【0190】
(動作M
a~h2)
織機装置60は、動作M
a~h2において、上記の動作m
a,b2,m
c,d2及びm
e~h2を並行して実行する。具体的には、
図22に示されるように、織機装置60のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸bの各々の下方、及び複数の経糸a,c~hの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a,b,d,f~hの各々の下方、及び複数の経糸e,cの各々の上方に緯糸Bを通す。
【0191】
(動作M
a~h4,6,8,12,14,16,22,24,26,28,36,38,40)
織機装置60は、動作M
a~h1において、上記の動作m
a,b4,m
c,d4及びm
e~h4を並行して実行する。具体的には、
図22に示されるように、織機装置60のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸bの各々の下方、及び複数の経糸a,c~hの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a,b,d,e~hの各々の下方、及び複数の経糸cの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置60は、この動作を動作M
a~h4,6,8,12,14,16,22,24,26,28,36,38,40においても同様に実行する。動作M
a~h4、M
a~h6、M
a~h8、M
a~h12、M
a~h14、M
a~h16、M
a~h22、M
a~h24、M
a~h26、M
a~h28、M
a~h36、M
a~h38、M
a~h40では、それぞれ、上記の動作m
a,b4,m
c,d4及びm
e~h4、m
a,b6,m
c,d6及びm
e~h6、m
a,b8,m
c,d8及びm
e~h8、m
a,b12,m
c,d12及びm
e~h12、m
a,b14,m
c,d14及びm
e~h14、m
a,b16,m
c,d16及びm
e~h16、m
a,b22,m
c,d22及びm
e~h22、m
a,b24,m
c,d24及びm
e~h24、m
a,b26,m
c,d26及びm
e~h26、m
a,b28,m
c,d28及びm
e~h28、m
a,b36,m
c,d36及びm
e~h36、m
a,b38,m
c,d38及びm
e~h38、m
a,b40,m
c,d40及びm
e~h40が織機装置60により並行して実行される。
【0192】
(動作M
a~h10)
織機装置60は、動作M
a~h10において、上記の動作m
a,b10,m
c,d10及びm
e~h10を並行して実行する。具体的には、
図22に示されるように、織機装置60のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸b,fの各々の下方、及び複数の経糸a,c~e,g,hの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a,b,d,f~hの各々の下方、及び複数の経糸c,eの各々の上方に緯糸Bを通す。
【0193】
(動作M
a~h18,20)
織機装置60は、動作M
a~h18において、上記の動作m
a,b18,m
c,d18及びm
e~h18を並行して実行する。具体的には、
図22に示されるように、織機装置60のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸b,fの各々の下方、及び複数の経糸a,c~e,g,hの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a,b,d,f,hの各々の下方、及び複数の経糸c,e,gの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置60は、この動作を動作M
a~h20においても同様に実行する。動作M
a~h20では、上記の動作m
a,b20,m
c,d20及びm
e~h20が織機装置60により並行して実行される。
【0194】
(動作M
a~h30,32,34)
織機装置60は、動作M
a~h32において、上記の動作m
a,b32,m
c,d32及びm
e~h32を並行して実行する。具体的には、
図22に示されるように、織機装置60のニードルが、Y1方向に緯糸A,Bを搬送し、複数の経糸b,f,hの各々の下方、及び複数の経糸a,c~e,gの各々の上方に緯糸Aを通し、複数の経糸a,b,d,f,hの各々の下方、及び複数の経糸c,e,gの各々の上方に緯糸Bを通す。織機装置60は、この動作を動作M
a~h32,34においても同様に実行する。動作M
a~h32、M
a~h34では、それぞれ、上記の動作m
a,b32,m
c,d32及びm
e~h32、m
a,b34,m
c,d34及びm
e~h34が織機装置60により並行して実行される。
【0195】
第5実施形態では、下層12に対応する経糸c,dの本数が、上層11に対応する経糸a,c、及び経糸e~hの本数より多くてもよい。この場合、織機装置60は、上記のステップS
e2において、例えば製造システム100の操作者によりY軸方向における緯糸Bの単位時間当たりの搬送量(例えば搬送速度)が、Y軸方向における緯糸Aの当該単位時間当たりの搬送量(例えば搬送速度)よりも大きく設定されることによって、
図23に示されるように、下層12のY軸方向における寸法(幅)が上層11のY軸方向における寸法(幅)よりも大きい織物構造体5が製造されてもよい。当該織物構造体5においては、同図に示されるように、織物構造体5の開口部53における上層11の幅が下層12の幅よりも小さくなる。これにより、織物構造体5が例えばハンギングチェーンや作業用ベルトとして用いられる場合、上層11の幅が下層12の幅と同等である場合と比較して、開口部53に物を引っ掛けやすくなり、織物構造体5の利便性が向上する。なお、当該織物構造体5は、織機装置60の仕様上、上層11のY2方向に位置する側面と、下層12のY2方向に位置する側面とが面一となる。
【0196】
上述の説明の通り、第5実施形態に係る織物構造体5の製造方法は、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分A1を有する緯糸Aと、X軸方向に延びる複数の経糸a,bと、の織組織である上層11と、Y軸方向に延び、X軸方向に間隔をおいて配された部分B1を有する緯糸Bと、X軸方向に延びる複数の経糸c,dと、の織組織である下層12と、X軸方向に延び、Y軸方向に間隔をおいて配された複数の経糸e~hであって、上層11と下層12とを綴じる複数の経糸e~hと、を備え、上層11と下層12とが離間する開口部53がX軸方向に間欠的に設けられた織物構造体5の製造方法であって、複数の経糸a,bに緯糸Aを絡ませるステップSe1と、複数の経糸c,dに緯糸Bを絡ませるステップSe2と、複数の経糸e~hに緯糸A,Bを絡ませるステップSe3と、が織機装置60により並行して実行される。
【0197】
上記態様によれば、織機装置60は、上層11及び下層12を作成する工程と、作成された上層11と下層12とを綴じる工程とを並行して実行する。即ち、織機装置60は、上層11及び下層12を作成しながら、作成途中の上層11と下層12とを綴じる。これにより、織物構造体5は、上記のステップSe1~Se3を経て完成された段階で、上層11と下層12とが既に綴じられた状態となる。従って、織物構造体5を得る上で上層11と下層12とを別途綴じる工程が不要となり、織機装置60は従来よりも低コスト且つ短時間で織物構造体5を製造することができる。
【0198】
2.補足
上記実施形態で例示された織物構造体はハンギングチェーンや作業用ベルトであるが、本発明の織物構造体の製造方法は、ハンギングチェーン及び作業用ベルト以外の織物構造体を製造する方法であってよく、本発明の用途は特に制限されない。
【0199】
さらに、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的又は例示的なものであって限定的ではない。つまり、本発明は、上記の効果とともに、又は上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0200】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術は上記実施形態に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0201】
3.付記
以上に例示した形態から、例えば以下の態様が把握される。
【0202】
本発明のひとつの態様(態様1)に係る織物構造体の製造方法は、第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第1緯糸と、前記第2方向に延びる複数の第1経糸と、の織組織である第1層と、前記第1方向に延び、前記第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第2緯糸と、前記第2方向に延びる複数の第2経糸と、の織組織である第2層と、前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をおいて配された複数の第3経糸であって、前記第1層と前記第2層とを綴じる複数の第3経糸と、を備え、前記第1層と前記第2層とが離間する開口部が前記第2方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法であって、前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる第1ステップと、前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる第2ステップと、前記複数の第3経糸に前記第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップと、が並行して実行される。
【0203】
上記態様によれば、上層及び下層を作成する工程と、作成された上層と下層とを綴じる工程とが並行して実行される。即ち、上層及び下層が作成されながら、作成途中の上層と下層とを綴じられる。これにより、織物構造体は、上記の第1ステップ~第3ステップを経て完成された段階で、上層と下層とが既に綴じられた状態となる。従って、織物構造体を得る上で上層と下層とを別途綴じる工程が不要となり、従来よりも低コスト且つ短時間で織物構造体を製造することができる。
【0204】
態様1の具体例(態様2)によれば、前記第1ステップでは、前記複数の第1経糸に対する前記第1緯糸の絡み方の規則である所定の第1パターンが繰り返され、前記第2ステップでは、前記複数の第2経糸に対する前記第2緯糸の絡み方の規則である所定の第2パターンが繰り返され、前記第3ステップでは、前記複数の第3経糸に対する前記第1及び第2緯糸の絡み方の規則である所定の第3パターンが繰り返される。
【0205】
態様2の具体例(態様3)によれば、前記第1パターンは、前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる22回の動作からなり、前記第2パターンは、前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる22回の動作からなり、前記第3パターンは、前記複数の第3経糸に前記第1及び2緯糸を絡ませる22回の動作からなる。
【0206】
態様2の具体例(態様4)によれば、前記第1パターンは、前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる40回の動作からなり、前記第2パターンは、前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる40回の動作からなり、前記第3パターンは、前記複数の第3経糸に前記第1及び2緯糸を絡ませる40回の動作からなる。
【0207】
態様4の具体例(態様5)によれば、前記複数の第1経糸は、前記開口部において露出する色糸を含む。態様5によれば、色糸である複数の経糸が開口部において露出するものとなり、開口部の視認性が向上する。開口部の視認性が向上すると、織物構造体が例えばハンギングチェーンや作業用ベルトとして用いられる場合、織物構造体のユーザがどこに開口部があるのか認識しやすくなり、開口部に物を引っ掛ける上での利便性が向上する。この効果は、上記色糸が例えば蛍光染料等で染色された糸であり、織物構造体が夜間で使用される場合により顕著となる。
【0208】
態様4の具体例(態様6)によれば、前記第3パターンでは、前記第1層と前記第2層との結束強度を前記第2方向にかけて段階的に増加させる。これにより、織物構造体は、上層と下層との結束強度が第2方向にかけて段階的に増加する構成となる。
【0209】
態様1から態様5のいずれかの具体例(態様7)によれば、前記複数の第3経糸に対する前記第1及び第2緯糸の絡ませ方が変更されることにより、前記開口部の前記第2方向における寸法が変更される。これにより、開口部の第2方向における寸法を所望の寸法とすることができ、当該寸法が各々異なる種々の織物構造体を製造することができる。
【0210】
態様1から態様6のいずれかの具体例(態様8)によれば、前記第2ステップでは、前記第1方向における第2緯糸の単位時間当たりの搬送量が、前記第1方向における前記第1緯糸の前記単位時間当たりの搬送量よりも大きい。態様8によれば、下層の第1方向における寸法(幅)が上層の第1方向における寸法(幅)よりも大きい織物構造体を製造すすることができる。これにより、当該織物構造体においては、開口部における上層の幅が下層の幅よりも小さくなる。当該織物構造体が例えばハンギングチェーンや作業用ベルトとして用いられる場合、上層の幅が下層の幅と同等である場合と比較して、開口部に物を引っ掛けやすくなり、織物構造体の利便性が向上する。
【0211】
本発明のひとつの態様(態様9)に係る織物構造体の製造システムは、情報処理装置と、織機装置と、を備え、前記情報処理装置がコンピュータプログラムを実行することによって、前記織機装置が、第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第1緯糸と前記第2方向に延びる複数の第1経糸との織組織である第1層と、前記第1方向に延び、前記第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第2緯糸と前記第2方向に延びる複数の第2経糸との織組織である第2層と、前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をおいて配された複数の第3経糸であって、前記第1層と前記第2層とを綴じる複数の第3経糸と、を備え、前記第1層と前記第2層とが離間する開口部が前記第2方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法において、前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる第1ステップと、前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる第2ステップと、前記複数の第3経糸に前記第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップと、を並行して実行する。
【0212】
態様9によれば、情報処理装置は、コンピュータプログラムを実行することにより、上層及び下層を作成する工程と、作成された上層と下層とを綴じる工程と、を織機装置に並行して実行させる。即ち、当該織機装置は、上層及び下層を作成しながら、作成途中の上層と下層とを綴じる。これにより、織物構造体は、上記の第1ステップ~第3ステップを経て完成された段階で、上層と下層とが既に綴じられた状態となる。従って、当該織物構造体を得る上で上層と下層とを別途綴じる工程が不要となり、織機装置は従来よりも低コスト且つ短時間で織物構造体を製造することができる。
【0213】
本発明のひとつの態様(態様10)に係るコンピュータプログラムは、第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第1緯糸と前記第2方向に延びる複数の第1経糸との織組織である第1層と、前記第1方向に延び、前記第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第2緯糸と前記第2方向に延びる複数の第2経糸との織組織である第2層と、前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をおいて配された複数の第3経糸であって、前記第1層と前記第2層とを綴じる複数の第3経糸と、を備え、前記第1層と前記第2層とが離間する開口部が前記第2方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法を織機装置に実行させるためのコンピュータプログラムであって、情報処理装置が、前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる第1ステップと、前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる第2ステップと、前記複数の第3経糸に前記第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップと、を並行して前記織機装置に実行させるコンピュータプログラムである。
【0214】
態様10によれば、情報処理装置は、コンピュータプログラムを実行することにより、上層及び下層を作成する工程と、作成された上層と下層とを綴じる工程と、を織機装置に並行して実行させる。即ち、当該織機装置は、上層及び下層を作成しながら、作成途中の上層と下層とを綴じる。これにより、織物構造体は、上記の第1ステップ~第3ステップを経て完成された段階で、上層と下層とが既に綴じられた状態となる。従って、当該織物構造体を得る上で上層と下層とを別途綴じる工程が不要となり、織機装置は従来よりも低コスト且つ短時間で織物構造体を製造することができる。
【0215】
本発明のひとつの態様(態様11)に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第1緯糸と前記第2方向に延びる複数の第1経糸との織組織である第1層と、前記第1方向に延び、前記第2方向に間隔をおいて配された部分を有する第2緯糸と前記第2方向に延びる複数の第2経糸との織組織である第2層と、前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をおいて配された複数の第3経糸であって、前記第1層と前記第2層とを綴じる複数の第3経糸と、を備え、前記第1層と前記第2層とが離間する開口部が前記第2方向に間欠的に設けられた織物構造体の製造方法を織機装置に実行させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、情報処理装置が、前記複数の第1経糸に前記第1緯糸を絡ませる第1ステップと、前記複数の第2経糸に前記第2緯糸を絡ませる第2ステップと、前記複数の第3経糸に前記第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップと、を並行して前記織機装置に実行させるコンピュータプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0216】
態様11によれば、情報処理装置は、上記記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを実行することにより、上層及び下層を作成する工程と、作成された上層と下層とを綴じる工程と、を織機装置に並行して実行させる。即ち、当該織機装置は、上層及び下層を作成しながら、作成途中の上層と下層とを綴じる。これにより、織物構造体は、上記の第1ステップ~第3ステップを経て完成された段階で、上層と下層とが既に綴じられた状態となる。従って、当該織物構造体を得る上で上層と下層とを別途綴じる工程が不要となり、織機装置は従来よりも低コスト且つ短時間で織物構造体を製造することができる。
【符号の説明】
【0217】
1,2,3,4,5…織物構造体
10…情報処理装置
11,31,41…上層(第1層)
12,32,42…下層(第2層)
20,30,40,50,60…織機装置
100…製造システム
e,f,h…経糸(第3経糸)
【要約】 (修正有)
【課題】複数の経糸と複数の緯糸との織組織が複数積層され、これらが連結された織物構造体を低コストで製造することができる織物構造体の製造方法、製造システム、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供すること。
【解決手段】第1層11と第2層12とが離間する開口部13が間欠的に設けられた織物構造体1の製造方法であって、複数の第1経糸に第1緯糸を絡ませる第1ステップと、複数の第2経糸に第2緯糸を絡ませる第2ステップと、複数の第3経糸に第1及び第2緯糸を絡ませる第3ステップとが並行して実行される、織物構造体の製造方法。
【選択図】
図2