(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240821BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240821BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 N
H01L21/304 648A
H01L21/304 643A
H01L21/304 644A
(21)【出願番号】P 2020157269
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】篠原 智之
(72)【発明者】
【氏名】岡田 吉文
(72)【発明者】
【氏名】沖田 展彬
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-139152(JP,A)
【文献】特開2010-045214(JP,A)
【文献】特開2014-078676(JP,A)
【文献】特開2016-152274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/683
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の高さ位置で第1の基板
の外周端部を保持可能に構成された第1の基板保持部と前記第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置で第2の基板
の下面中央部を保持可能に構成された第2の基板保持部とを含む第1の基板処理部と、
前記第1の基板を保持可能に構成された第1の搬送保持部と前記第1の搬送保持部よりも下方で前記第2の基板を保持可能に構成された第2の搬送保持部とを含む基板搬送部と、
前記第1の搬送保持部により前記第1の基板保持部に対して前記第1の基板の渡しまたは受けが行われ、前記第2の搬送保持部により前記第2の基板保持部に対して前記第2の基板の受けまたは渡しが行われるように、前記基板搬送部を制御する第1の制御を行う搬送制御部とを備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記第1の基板を支持するとともに前記第1の基板の下方で第3の基板を支持することが可能に構成された第1の基板支持部をさらに備え、
前記基板搬送部は、前記第1の搬送保持部よりも下方で前記第3の基板を保持可能に構成された第3の搬送保持部をさらに含み、
前記搬送制御部は、
前記第1の制御が行われる前に、前記第1の基板支持部に前記第1の基板および前記第3の基板が支持された状態で、前記第1の搬送保持部により前記第1の基板支持部に支持された前記第1の基板が受け取られるとともに前記第3の搬送保持部により前記第1の基板支持部に支持された前記第3の基板が受け取られるように前記基板搬送部を制御する第2の制御を行う、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2の基板を支持することが可能に構成された第2の基板支持部をさらに備え、
前記搬送制御部は、
前記第2の搬送保持部が前記第2の基板を受けるように前記第1の制御が行われた後に、前記第2の搬送保持部により受け取られた前記第2の基板が前記第2の基板支持部に渡されるように、前記基板搬送部を制御する第3の制御を行う、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
第3の高さ位置で第3の基板を保持可能に構成された第3の基板保持部と前記第3の高さ位置よりも低い第4の高さ位置で第4の基板を保持可能に構成された第4の基板保持部とを含む第2の基板処理部をさらに備え、
前記基板搬送部は、前記第1の搬送保持部よりも下方で前記第3の基板を保持可能に構成された第3の搬送保持部と前記第3の搬送保持部よりも下方で前記第4の基板を保持可能に構成された第4の搬送保持部とをさらに含み、
前記搬送制御部は、前記第3の搬送保持部により前記第3の基板保持部に対して前記第3の基板の渡しまたは受けが行われ、前記第4の搬送保持部により前記第4の基板保持部に対して前記第4の基板の受けまたは渡しが行われるように、前記基板搬送部を制御する第4の制御を行う、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の基板を支持するとともに前記第1の基板の下方で前記第3の基板を支持することが可能に構成された第1の基板支持部をさらに備え、
前記搬送制御部は、
前記第1および第4の制御を行う前に、前記第1の基板支持部に前記第1の基板および前記第3の基板が支持された状態で、前記第1の搬送保持部により前記第1の基板支持部に支持された前記第1の基板が受け取られるとともに前記第3の搬送保持部により前記第1の基板支持部に支持された前記第3の基板が受け取られるように前記基板搬送部を制御する第5の制御を行う、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第2の基板を支持することが可能に構成されるとともに前記第2の基板の下方で前記第4の基板を支持することが可能に構成された第2の基板支持部をさらに備え、
前記搬送制御部は、
前記第2の搬送保持部が前記第2の基板を受けるように前記第1の制御が行われた後に、前記第2の搬送保持部により受け取られた前記第2の基板が前記第2の基板支持部に渡されるように前記基板搬送部を制御する第6の制御を行い、
前記第4の搬送保持部が前記第4の基板を受けるように前記第4の制御が行われた後に、前記第4の搬送保持部により受け取られた前記第4の基板が前記第2の基板支持部に渡されるように前記基板搬送部を制御する第7の制御を行う、請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1の高さ位置と前記第2の高さ位置との間の距離は、前記第1の搬送保持部のうち前記第1の基板を保持する部分と前記第2の搬送保持部のうち前記第2の基板を保持する部分との間の上下方向における距離に等しいかまたはほぼ等しい、請求項1~6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
第1の高さ位置で第1の基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と前記第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置で第2の基板を保持可能に構成された第2の基板保持部とを含む第1の基板処理部と、
前記第1の基板を保持可能に構成された第1の搬送保持部と前記第1の搬送保持部よりも下方で前記第2の基板を保持可能に構成された第2の搬送保持部とを含む基板搬送部と、
前記第1の搬送保持部により前記第1の基板保持部に対して前記第1の基板の渡しまたは受けが行われ、前記第2の搬送保持部により前記第2の基板保持部に対して前記第2の基板の受けまたは渡しが行われるように、前記基板搬送部を制御する第1の制御を行う搬送制御部とを備え、
前記第1の基板保持部は、前記第1の基板の外周端部の複数の部分に当接することにより前記第1の基板を保持可能に構成され、
前記第2の基板保持部は、前記第2の基板の下面中央部を吸着することにより前記第2の基板を保持可能に構成され、
前記第1の基板処理部は、
前記第1の基板保持部により保持された前記第1の基板の前記下面中央部を洗浄することが可能でかつ前記第2の基板保持部により保持された前記第2の基板の前記下面中央部を取り囲む下面外側領域を洗浄することが可能に構成された洗浄部をさらに含む
、基板処理装置。
【請求項9】
基板搬送部に含まれかつ第1の基板を保持可能に構成された第1の搬送保持部により、第1の基板処理部に含まれかつ第1の高さ位置で前記第1の基板
の外周端部を保持可能に構成された第1の基板保持部に対して前記第1の基板を渡しまたは受ける第1の動作を行うステップと、
前記基板搬送部に含まれかつ前記第1の搬送保持部よりも下方で第2の基板を保持可能に構成された第2の搬送保持部により、前記第1の基板処理部に含まれかつ前記第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置で前記第2の基板
の下面中央部を保持可能に構成された第2の基板保持部に対して前記第2の基板を受けまたは渡す第2の動作を行うステップとを含む、基板処理方法。
【請求項10】
前記第1および第2の動作が行われる前に、前記第1の基板を支持するとともに前記第1の基板の下方で第3の基板を支持することが可能に構成された第1の基板支持部に前記第1の基板および前記第3の基板が支持された状態で、前記第1の搬送保持部により前記第1の基板支持部に支持された前記第1の基板を受け取るとともに前記第1の搬送保持部よりも下方で前記第3の基板を保持可能に構成された第3の搬送保持部により前記第1の基板支持部に支持された前記第3の基板を受け取るステップをさらに含む、請求項9記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記第2の搬送保持部が前記第2の基板を受けるように前記第1および第2の動作が行われた後、前記第2の搬送保持部により受け取られた前記第2の基板を前記第2の基板を支持することが可能に構成された第2の基板支持部に渡すステップをさらに含む、請求項9または10記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記基板搬送部に含まれかつ前記第1の搬送保持部よりも下方で第3の基板を保持可能に構成された第3の搬送保持部により、第2の基板処理部に含まれかつ第3の高さ位置で前記第3の基板を保持可能に構成された第3の基板保持部に対して前記第3の基板を渡しまたは受ける第3の動作を行うステップと、
前記基板搬送部に含まれかつ前記第3の搬送保持部よりも下方で第4の基板を保持可能に構成された第4の搬送保持部により、前記第2の基板処理部に含まれかつ前記第3の高さ位置よりも低い第4の高さ位置で前記第4の基板を保持可能に構成された第4の基板保持部に対して前記第4の基板を受けまたは渡す第4の動作を行うステップとをさらに含む、請求項9記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記第1~第4の動作が行われる前に、前記第1の基板を支持するとともに前記第1の基板の下方で前記第3の基板を支持することが可能に構成された第1の基板支持部に前記第1の基板および前記第3の基板が支持された状態で、前記第1の搬送保持部により前記第1の基板支持部に支持された前記第1の基板を受け取るとともに前記第3の搬送保持部により前記第1の基板支持部に支持された前記第3の基板を受け取るステップをさらに含む、請求項12記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記第2の搬送保持部が前記第2の基板を受けるように前記第1および第2の動作が行われた後、前記第2の搬送保持部により受け取られた前記第2の基板を前記第2の基板を支持することが可能に構成されるとともに前記第2の基板の下方で前記第4の基板を支持することが可能に構成された第2の基板支持部に渡すステップと、
前記第4の搬送保持部が前記第4の基板を受けるように前記第3および第4の動作が行われた後、前記第4の搬送保持部により受け取られた前記第4の基板を前記第2の基板支持部に渡すステップとをさらに含む、請求項13記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に所定の処理を行う基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。基板を洗浄するためには、基板洗浄装置が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載された基板洗浄装置は、ウエハの裏面周縁部を保持する2つの吸着パッド、ウエハの裏面中央部を保持するスピンチャック、およびウエハの裏面を洗浄するブラシを備える。2つの吸着パッドがウエハを保持するとともに横方向に移動する。この状態で、ウエハの裏面中央部がブラシで洗浄される。その後、スピンチャックが吸着パッドからウエハを受け取り、スピンチャックがウエハの裏面中央部を保持しつつ回転する。この状態で、ウエハの裏面周縁部がブラシで洗浄される。
【0004】
特許文献1には、さらに基板処理装置として、上記の基板洗浄装置が組み込まれた塗布、現像装置が記載されている。その塗布、現像装置においては、レジスト膜形成モジュール、現像モジュールおよび基板洗浄装置等をそれぞれ含む複数の処理ブロックが設けられている。上記の基板洗浄装置を含む複数の処理ブロック間で搬送機構によりウエハが搬送される。基板洗浄装置においては、特定の高さ位置で保持される支持ピンと搬送機構との間でウエハの受け渡しが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板処理に要するコストを低減するために、基板処理装置のスループットを向上させることが求められる。
【0007】
本発明の目的は、スループットを向上させることが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る基板処理装置は、第1の高さ位置で第1の基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置で第2の基板を保持可能に構成された第2の基板保持部とを含む第1の基板処理部と、第1の基板を保持可能に構成された第1の搬送保持部と第1の搬送保持部よりも下方で第2の基板を保持可能に構成された第2の搬送保持部とを含む基板搬送部と、第1の搬送保持部により第1の基板保持部に対して第1の基板の渡しまたは受けが行われ、第2の搬送保持部により第2の基板保持部に対して第2の基板の受けまたは渡しが行われるように、基板搬送部を制御する第1の制御を行う搬送制御部とを備える。
【0009】
その基板処理装置においては、第1の搬送保持部により第1の基板保持部に対して第1の基板を渡しまたは受ける動作が行われ、第2の搬送保持部により第2の基板保持部に対して第2の基板を受けまたは渡す動作が行われる。それにより、第1の基板処理部に対して第1および第2の基板の入れ替えが行われる。その結果、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
【0010】
(2)基板処理装置は、第1の基板を支持するとともに第1の基板の下方で第3の基板を支持することが可能に構成された第1の基板支持部をさらに備え、基板搬送部は、第1の搬送保持部よりも下方で第3の基板を保持可能に構成された第3の搬送保持部をさらに含み、搬送制御部は、第1の制御が行われる前に、第1の基板支持部に第1の基板および第3の基板が支持された状態で、第1の搬送保持部により第1の基板支持部に支持された第1の基板が受け取られるとともに第3の搬送保持部により第1の基板支持部に支持された第3の基板が受け取られるように基板搬送部を制御する第2の制御を行ってもよい。
【0011】
この場合、第1の基板処理部と基板搬送部との間で第1および第2の基板の受け渡しが行われる前に、第1および第3の搬送保持部により第1および第3の基板が第1の基板支持部から受け取られる。それにより、第1の搬送保持部により保持された第1の基板を第1の基板処理部に搬送することができる。また、第3の搬送保持部により保持された第3の基板を第1の基板処理部とは異なる他の基板処理部に搬送することができる。
【0012】
(3)基板処理装置は、第2の基板を支持することが可能に構成された第2の基板支持部をさらに備え、搬送制御部は、第2の搬送保持部が第2の基板を受けるように第1の制御が行われた後に、第2の搬送保持部により受け取られた第2の基板が第2の基板支持部に渡されるように、基板搬送部を制御する第3の制御を行ってもよい。
【0013】
この場合、第1の基板処理部において第2の高さ位置で保持された第2の基板が第2の基板支持部に搬送される。
【0014】
(4)基板処理装置は、第3の高さ位置で第3の基板を保持可能に構成された第3の基板保持部と第3の高さ位置よりも低い第4の高さ位置で第4の基板を保持可能に構成された第4の基板保持部とを含む第2の基板処理部をさらに備え、基板搬送部は、第1の搬送保持部よりも下方で第3の基板を保持可能に構成された第3の搬送保持部と第3の搬送保持部よりも下方で第4の基板を保持可能に構成された第4の搬送保持部とをさらに含み、搬送制御部は、第3の搬送保持部により第3の基板保持部に対して第3の基板の渡しまたは受けが行われ、第4の搬送保持部により第4の基板保持部に対して第4の基板の受けまたは渡しが行われるように、基板搬送部を制御する第4の制御を行ってもよい。
【0015】
この場合、第3の搬送保持部により第3の基板保持部に対して第3の基板を渡しまたは受ける動作が行われ、第4の搬送保持部により第4の基板保持部に対して第4の基板を受けまたは渡す動作が行われる。それにより、第2の基板処理部に対して第3および第4の基板の入れ替えが行われる。その結果、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
【0016】
(5)基板処理装置は、第1の基板を支持するとともに第1の基板の下方で第3の基板を支持することが可能に構成された第1の基板支持部をさらに備え、搬送制御部は、第1および第4の制御を行う前に、第1の基板支持部に第1の基板および第3の基板が支持された状態で、第1の搬送保持部により第1の基板支持部に支持された第1の基板が受け取られるとともに第3の搬送保持部により第1の基板支持部に支持された第3の基板が受け取られるように基板搬送部を制御する第5の制御を行ってもよい。
【0017】
この場合、第1の基板処理部と基板搬送部との間で第1および第2の基板の受け渡しが行われる前かつ第2の基板処理部と基板搬送部との間で第3および第4の基板の受け渡しが行われる前に、第1および第3の搬送保持部により第1および第3の基板が第1の基板支持部から受け取られる。それにより、第1の搬送保持部により保持された第1の基板を第1の基板処理部に搬送することができる。また、第3の搬送保持部により保持された第3の基板を第2の基板処理部に搬送することができる。
【0018】
(6)基板処理装置は、第2の基板を支持することが可能に構成されるとともに第2の基板の下方で第4の基板を支持することが可能に構成された第2の基板支持部をさらに備え、搬送制御部は、第2の搬送保持部が第2の基板を受けるように第1の制御が行われた後に、第2の搬送保持部により受け取られた第2の基板が第2の基板支持部に渡されるように基板搬送部を制御する第6の制御を行い、第4の搬送保持部が第4の基板を受けるように第4の制御が行われた後に、第4の搬送保持部により受け取られた第4の基板が第2の基板支持部に渡されるように基板搬送部を制御する第7の制御を行ってもよい。
【0019】
この場合、第1の基板処理部において第2の高さ位置で保持された第2の基板が第2の基板支持部に搬送される。また、第2の基板処理部において第4の高さ位置で保持された第4の基板が第2の基板支持部に搬送される。このように、第2および第4の基板が共通の第2の基板支持部に搬送されるので、第2および第4の基板が互いに異なる2つの基板支持部に個別に搬送される場合に比べて、第2および第4の基板の搬送時間が短縮される。
【0020】
(7)第1の高さ位置と第2の高さ位置との間の距離は、第1の搬送保持部のうち第1の基板を保持する部分と第2の搬送保持部のうち第2の基板を保持する部分との間の上下方向における距離に等しいかまたはほぼ等しくてもよい。この場合、基板処理装置のスループットをさらに向上させることができる。
【0021】
(8)第1の基板保持部は、第1の基板の外周端部の複数の部分に当接することにより第1の基板を保持可能に構成され、第2の基板保持部は、第2の基板の下面中央部を吸着することにより第2の基板を保持可能に構成され、第1の基板処理部は、第1の基板保持部により保持された第1の基板の下面中央部を洗浄することが可能でかつ第2の基板保持部により保持された第2の基板の下面中央部を取り囲む下面外側領域を洗浄することが可能に構成された洗浄部をさらに含んでもよい。
【0022】
この場合、第1の基板処理部においては、第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持された第1の基板の下面中央部が洗浄され、第2の高さ位置で第2の基板保持部により吸着保持された第2の基板の下面外側領域が洗浄される。それにより、基板の下面全体が洗浄される。
【0023】
(9)第2の発明に係る基板処理方法は、基板搬送部に含まれかつ第1の基板を保持可能に構成された第1の搬送保持部により、第1の基板処理部に含まれかつ第1の高さ位置で第1の基板を保持可能に構成された第1の基板保持部に対して第1の基板を渡しまたは受ける第1の動作を行うステップと、基板搬送部に含まれかつ第1の搬送保持部よりも下方で第2の基板を保持可能に構成された第2の搬送保持部により、第1の基板処理部に含まれかつ第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置で第2の基板を保持可能に構成された第2の基板保持部に対して第2の基板を受けまたは渡す第2の動作を行うステップとを含む。
【0024】
その基板処理方法においては、第1の搬送保持部により第1の基板保持部に対して第1の基板を渡しまたは受ける第1の動作が行われ、第2の搬送保持部により第2の基板保持部に対して第2の基板を受けまたは渡す第2の動作が行われる。それにより、第1の基板処理部に対して第1および第2の基板の入れ替えが行われる。その結果、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
【0025】
(10)基板処理方法は、第1および第2の動作が行われる前に、第1の基板を支持するとともに第1の基板の下方で第3の基板を支持することが可能に構成された第1の基板支持部に第1の基板および第3の基板が支持された状態で、第1の搬送保持部により第1の基板支持部に支持された第1の基板を受け取るとともに第1の搬送保持部よりも下方で第3の基板を保持可能に構成された第3の搬送保持部により第1の基板支持部に支持された第3の基板を受け取るステップをさらに含んでもよい。
【0026】
この場合、第1および第2の動作前に、第1および第3の搬送保持部により第1および第3の基板が第1の基板支持部から受け取られる。それにより、第1の搬送保持部により保持された第1の基板を第1の基板処理部に搬送することができる。また、第3の搬送保持部により保持された第3の基板を第1の基板処理部とは異なる他の基板処理部に搬送することができる。
【0027】
(11)基板処理方法は、第2の搬送保持部が第2の基板を受けるように第1および第2の動作が行われた後、第2の搬送保持部により受け取られた第2の基板を第2の基板を支持することが可能に構成された第2の基板支持部に渡すステップをさらに含んでもよい。
【0028】
この場合、第1の基板処理部において第2の高さ位置で保持された第2の基板が第2の基板支持部に搬送される。
【0029】
(12)基板処理方法は、基板搬送部に含まれかつ第1の搬送保持部よりも下方で第3の基板を保持可能に構成された第3の搬送保持部により、第2の基板処理部に含まれかつ第3の高さ位置で第3の基板を保持可能に構成された第3の基板保持部に対して第3の基板を渡しまたは受ける第3の動作を行うステップと、基板搬送部に含まれかつ第3の搬送保持部よりも下方で第4の基板を保持可能に構成された第4の搬送保持部により、第2の基板処理部に含まれかつ第3の高さ位置よりも低い第4の高さ位置で第4の基板を保持可能に構成された第4の基板保持部に対して第4の基板を受けまたは渡す第4の動作を行うステップとをさらに含んでもよい。
【0030】
この場合、第3の搬送保持部により第3の基板保持部に対して第3の基板を渡しまたは受ける第3の動作が行われ、第4の搬送保持部により第4の基板保持部に対して第4の基板を受けまたは渡す第4の動作が行われる。それにより、第2の基板処理部に対して第3および第4の基板の入れ替えが行われる。その結果、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
【0031】
(13)基板処理方法は、第1~第4の動作が行われる前に、第1の基板を支持するとともに第1の基板の下方で第3の基板を支持することが可能に構成された第1の基板支持部に第1の基板および第3の基板が支持された状態で、第1の搬送保持部により第1の基板支持部に支持された第1の基板を受け取るとともに第3の搬送保持部により第1の基板支持部に支持された第3の基板を受け取るステップをさらに含んでもよい。
【0032】
この場合、第1~第4の動作前に、第1および第3の搬送保持部により第1および第3の基板が第1の基板支持部から受け取られる。それにより、第1の搬送保持部により保持された第1の基板を第1の基板処理部に搬送することができる。また、第3の搬送保持部により保持された第3の基板を第2の基板処理部に搬送することができる。
【0033】
(14)基板処理方法は、第2の搬送保持部が第2の基板を受けるように第1および第2の動作が行われた後、第2の搬送保持部により受け取られた第2の基板を第2の基板を支持することが可能に構成されるとともに第2の基板の下方で第4の基板を支持することが可能に構成された第2の基板支持部に渡すステップと、第4の搬送保持部が第4の基板を受けるように第3および第4の動作が行われた後、第4の搬送保持部により受け取られた第4の基板を第2の基板支持部に渡すステップとをさらに含んでもよい。
【0034】
この場合、第1の基板処理部において第2の高さ位置で保持された第2の基板が第2の基板支持部に搬送される。また、第2の基板処理部において第4の高さ位置で保持された第4の基板が第2の基板支持部に搬送される。このように、第2および第4の基板が共通の第2の基板支持部に搬送されるので、第2および第4の基板が互いに異なる2つの基板支持部に個別に搬送される場合に比べて、第2および第4の基板の搬送時間が短縮される。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、基板処理装置のスループットを向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
【
図2】
図1の
J-J線における基板処理装置の模式的断面図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。
【
図4】
図3の基板洗浄装置の内部構成を示す外観斜視図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図7】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図8】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図9】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図10】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図11】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図12】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図13】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図14】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図15】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図16】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図17】
図3の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図18】
図1のメインロボットによる基板洗浄装置に対する動作の一例を説明するための図である。
【
図19】処理ブロックにおけるメインロボットの具体的な動作パターンの一例を示す図である。
【
図20】処理ブロックにおけるメインロボットの具体的な動作パターンの他の例を示す図である。
【
図21】他の実施の形態に係るメインロボットの動作パターンの一例を示す図である。
【
図22】他の実施の形態に係るメインロボットの動作パターンの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板(ウエハ)、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、本実施の形態では、基板の上面が回路形成面(表面)であり、基板の下面が回路形成面と反対側の面(裏面)である。また、本実施の形態では、基板は、ノッチを除いて円形状を有する。
【0038】
[1]基板処理装置の構成
図1は本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図であり、
図2は
図1の
J-J線における基板処理装置100の模式的断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置100は、インデクサブロック110および処理ブロック120を有する。インデクサブロック110および処理ブロック120は、互いに隣り合うように設けられている。
【0039】
インデクサブロック110は、複数(本例では4つ)のキャリア載置台140および搬送部150を含む。複数のキャリア載置台140は、搬送部150に接続され、間隔をおいて一列に並ぶように配置されている。各キャリア載置台140上には、複数枚の基板Wを収納するキャリアCが載置される。
【0040】
搬送部150には、インデクサロボット200および制御部111が設けられている。インデクサロボット200は、複数(本例では4つ)のハンドIa,Ib,Ic,Id、ハンド支持部材210および搬送駆動部220を含む。
【0041】
複数のハンドIa~Idは、複数の基板Wをそれぞれ保持可能に構成され、上下方向に一定間隔で並ぶ状態でハンド支持部材210上に設けられている。ハンド支持部材210は、一方向に延びるように形成され、その一方向に複数のハンドIa~Idを進退可能に支持する。搬送駆動部220は、水平方向(複数のキャリア載置台140が並ぶ方向)に移動可能に構成され、鉛直軸の周りで回転かつ昇降可能にハンド支持部材210を支持する。さらに、搬送駆動部220は、複数のモータおよびエアシリンダ等を含み、複数のハンドIa~Idにより複数の基板Wを搬送するために、ハンド支持部材210を水平方向に移動させ、ハンド支持部材210を鉛直軸の周りで回転させ、昇降させる。また、搬送駆動部220は、複数のハンドIa~Idを水平方向に進退させる。制御部111は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)およびROM(リードオンリメモリ)および記憶装置を含むコンピュータ等からなり、基板処理装置100内の各構成部を制御する。
【0042】
処理ブロック120は、洗浄部161,162および搬送部163を含む。洗浄部161、搬送部163および洗浄部162は、搬送部150に隣り合うとともにこの順で並ぶように配置されている。洗浄部161,162においては、複数(例えば3つ)の基板洗浄装置1が上下に積層配置されている。基板洗浄装置1の構成および動作の詳細については後述する。
【0043】
搬送部163には、メインロボット300が設けられている。メインロボット300は、複数(本例では4つ)のハンドMa,Mb,Mc,Md、ハンド支持部材310および搬送駆動部320を含む。複数のハンドMa~Mdは、複数の基板Wをそれぞれ保持可能に構成され、上下方向に並ぶ状態でハンド支持部材310上に設けられている。
【0044】
図2では、吹き出し内に複数のハンドMa~Mdおよびその周辺部の拡大側面図が示される。その吹き出し内に示されるように、複数のハンドMa,Mb,Mc,Mdはこの順で上から下に向かって並んでいる。以下の説明では、一のハンドにより基板Wを保持可能な高さ位置と、他のハンドにより基板Wを保持可能な高さ位置との間の距離を、ハンド間距離と呼ぶ。
【0045】
図2の例では、ハンドMa,Mbのハンド間距離D1と、ハンドMc,Mdのハンド間距離D3とは互いに等しく、例えば10mmである。一方、ハンドMb,Mcのハンド間距離D2は、ハンド間距離D1,D3よりも大きく、例えば24mmである。メインロボット300が基板Wを搬送する際には、4つのハンドMa~Mdからハンド間距離が互いに等しい二組のハンド対が定められる。各ハンド対においては、一方のハンドが一の基板洗浄装置1から処理後の基板Wを搬出するために用いられ、他方のハンドが当該一の基板洗浄装置1に未処理の基板Wを搬入するために用いられる。
【0046】
例えば、一方の組のハンド対がハンドMa,Mbと定められる場合には、他方の組のハンド対はハンドMc,Mdと定められる。この場合、ハンドMa,Mbは、それぞれ本発明の第1の搬送保持部および第2の搬送保持部として機能し、ハンドMc,Mdは、それぞれ本発明の第3の搬送保持部および第4の搬送保持部として機能する。一方、一方の組のハンド対がハンドMa,Mcと定められる場合には、他方の組のハンド対はハンドMb,Mdと定められる。この場合、ハンドMa,Mcは、それぞれ本発明の第1の搬送保持部および第2の搬送保持部として機能し、ハンドMb,Mdは、それぞれ本発明の第3の搬送保持部および第4の搬送保持部として機能する。なお、上記のハンド間距離D1,D2,D3は互いに等しくてもよい。
【0047】
ハンド支持部材310は、一方向に延びるように形成され、その一方向に複数のハンドMa~Mdをそれぞれ独立して進退可能に支持する。搬送駆動部320は、鉛直軸の周りで回転かつ昇降可能にハンド支持部材310を支持する。さらに、搬送駆動部320は、複数のモータおよびエアシリンダ等を含み、複数のハンドMa~Mdにより複数の基板Wを搬送するために、ハンド支持部材310を鉛直軸の周りで回転させ、昇降させる。また、搬送駆動部320は、複数のハンドMa~Mdを水平方向に進退させる。
【0048】
インデクサブロック110と処理ブロック120との間には、インデクサロボット200とメインロボット300との間で基板Wの受け渡しを行うための複数(例えば、20程度)の基板載置部PASS1,PASS2が上下に積層配置されている。複数の基板載置部PASS1は複数の基板載置部PASS2よりも上方に位置する。
【0049】
複数の基板載置部PASS2は、インデクサロボット200からメインロボット300に基板Wを渡すために用いられる。複数の基板載置部PASS1は、メインロボット300からインデクサロボット200に基板Wを渡すために用いられる。
【0050】
その基板処理装置100においては、インデクサロボット200は、複数のキャリア載置台140上に載置された複数のキャリアCのいずれかのキャリアCから未処理の基板Wを取り出す。また、インデクサロボット200は、取り出した未処理の基板Wを複数の基板載置部PASS2のいずれかに載置する。さらに、インデクサロボット200は、複数の基板載置部PASS1のいずれかに載置されている処理済みの基板Wを受け取り、空のキャリアC内に収容する。
【0051】
また、メインロボット300は、複数の基板載置部PASS2のいずれかに載置されている未処理の基板Wを受け取る。次に、メインロボット300は、洗浄部161,162の複数の基板洗浄装置1のうち、処理済みの基板Wが収容された基板洗浄装置1から処理済みの基板Wを搬出する。また、メインロボット300は、処理済みの基板Wが搬出された基板洗浄装置1に基板載置部PASS2から受け取った未処理の基板Wを搬入する。さらに、メインロボット300は、基板洗浄装置1から搬出された基板Wを複数の基板載置部PASS1のいずれかに載置する。メインロボット300による基板Wの搬送動作の詳細については後述する。
【0052】
[2]基板洗浄装置の構成
図3は本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図であり、
図4は
図3の基板洗浄装置1の内部構成を示す外観斜視図である。本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
図3および
図4以降の所定の図では、X方向、Y方向およびZ方向が適宜矢印で示される。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。
【0053】
図3に示すように、基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10B、下側保持装置20、台座装置30、受渡装置40、下面洗浄装置50、カップ装置60、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80および開閉装置90を備える。これらの構成要素は、ユニット筐体2内に設けられる。図
4では、ユニット筐体2が点線で示される。
【0054】
ユニット筐体2は、矩形の底面部2aと、底面部2aの4辺から上方に延びる4つの側壁部2b,2c,2d,2eとを有する。側壁部2b,2cが互いに対向し、側壁部2d,2eが互いに対向する。側壁部2bの中央部には、矩形の開口が形成されている。この開口は、基板Wの搬入搬出口2xであり、ユニット筐体2に対する基板Wの搬入時および搬出時に用いられる。
図4では、搬入搬出口2xが太い点線で示される。以下の説明においては、Y方向のうちユニット筐体2の内部から搬入搬出口2xを通してユニット筐体2の外方に向く方向(側壁部2cから側壁部2bを向く方向)を前方と呼び、その逆の方向(側壁部2bから側壁部2cを向く方向)を後方と呼ぶ。
【0055】
側壁部2bにおける搬入搬出口2xの形成部分およびその近傍の領域には、開閉装置90が設けられている。開閉装置90は、搬入搬出口2xを開閉可能に構成されたシャッタ91と、シャッタ91を駆動するシャッタ駆動部92とを含む。
図4では、シャッタ91が太い二点鎖線で示される。シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1に対する基板Wの搬入時および搬出時に搬入搬出口2xを開放するようにシャッタ91を駆動する。また、シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1における基板Wの洗浄処理時に搬入搬出口2xを閉塞するようにシャッタ91を駆動する。
【0056】
底面部2aの中央部には、台座装置30が設けられている。台座装置30は、リニアガイド31、可動台座32および台座駆動部33を含む。リニアガイド31は、2本のレールを含み、平面視で側壁部2bの近傍から側壁部2cの近傍までY方向に延びるように設けられている。可動台座32は、リニアガイド31の2本のレール上でY方向に移動可能に設けられている。台座駆動部33は、例えばパルスモータを含み、リニアガイド31上で可動台座32をY方向に移動させる。
【0057】
可動台座32上には、下側保持装置20および下面洗浄装置50がY方向に並ぶように設けられている。下側保持装置20は、吸着保持部21および吸着保持駆動部22を含む。吸着保持部21は、いわゆるスピンチャックであり、基板Wの下面を吸着保持可能な円形の吸着面を有し、上下方向に延びる軸(Z方向の軸)の周りで回転可能に構成される。
図3では、下側保持装置20により吸着保持された基板Wの外形が二点鎖線で示される。以下の説明では、吸着保持部21により基板Wが吸着保持される際に、基板Wの下面のうち吸着保持部21の吸着面が吸着すべき領域を下面中央部と呼ぶ。一方、基板Wの下面のうち下面中央部を取り囲む領域を下面外側領域と呼ぶ。
【0058】
吸着保持駆動部22は、モータを含む。吸着保持駆動部22のモータは、回転軸が上方に向かって突出するように可動台座32上に設けられている。吸着保持部21は、吸着保持駆動部22の回転軸の上端部に取り付けられる。また、吸着保持駆動部22の回転軸には、吸着保持部21において基板Wを吸着保持するための吸引経路が形成されている。その吸引経路は、図示しない吸気装置に接続されている。吸着保持駆動部22は、吸着保持部21を上記の回転軸の周りで回転させる。
【0059】
可動台座32上には、下側保持装置20の近傍にさらに受渡装置40が設けられている。受渡装置40は、複数(本例では3本)の支持ピン41、ピン連結部材42およびピン昇降駆動部43を含む。ピン連結部材42は、平面視で吸着保持部21を取り囲むように形成され、複数の支持ピン41を連結する。複数の支持ピン41は、ピン連結部材42により互いに連結された状態で、ピン連結部材42から一定長さ上方に延びる。ピン昇降駆動部43は、可動台座32上でピン連結部材42を昇降させる。これにより、複数の支持ピン41が吸着保持部21に対して相対的に昇降する。
【0060】
下面洗浄装置50は、下面ブラシ51、2つの液ノズル52、気体噴出部53、昇降支持部54、移動支持部55、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55bおよび下面ブラシ移動駆動部55cを含む。移動支持部55は、可動台座32上の一定領域内で下側保持装置20に対してY方向に移動可能に設けられている。
図4に示すように、移動支持部55上に、昇降支持部54が昇降可能に設けられている。昇降支持部54は、吸着保持部21から遠ざかる方向(本例では後方)において斜め下方に傾斜する上面54uを有する。
【0061】
図3に示すように、下面ブラシ51は、例えばPVA(ポリビニールアルコール)スポンジまたは砥粒が分散されたPVAスポンジにより形成され、基板Wの下面に接触可能な円形の洗浄面を有する。また、下面ブラシ51は、洗浄面が上方を向くようにかつ洗浄面が当該洗浄面の中心を通って上下方向に延びる軸の周りで回転可能となるように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。下面ブラシ51の洗浄面の面積は、吸着保持部21の吸着面の面積よりも大きい。
【0062】
2つの液ノズル52の各々は、下面ブラシ51の近傍に位置しかつ液体吐出口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54u上に取り付けられている。液ノズル52には、下面洗浄液供給部56(
図5)が接続されている。下面洗浄液供給部56は、液ノズル52に洗浄液を供給する。液ノズル52は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に、下面洗浄液供給部56から供給される洗浄液を基板Wの下面に供給する。本実施の形態では、液ノズル52に供給される洗浄液として純水(脱イオン水)が用いられる。なお、液ノズル52に供給される洗浄液としては、純水に代えて、炭酸水、オゾン水、水素水、電解イオン水、SC1(アンモニアと過酸化水素水との混合溶液)またはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等を用いることもできる。
【0063】
気体噴出部53は、一方向に延びる気体噴出口を有するスリット状の気体噴射ノズルである。気体噴出部53は、平面視で下面ブラシ51と吸着保持部21との間に位置しかつ気体噴射口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。気体噴出部53には、噴出気体供給部57(
図5)が接続されている。噴出気体供給部57は、気体噴出部53に気体を供給する。本実施の形態では、気体噴出部53に供給される気体として窒素ガスが用いられる。気体噴出部53は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時および後述する基板Wの下面の乾燥時に、噴出気体供給部57から供給される気体を基板Wの下面に噴射する。この場合、下面ブラシ51と吸着保持部21との間に、X方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。気体噴出部53に供給される気体としては、窒素ガスに代えて、アルゴンガスまたはヘリウムガス等の不活性ガスを用いることもできる。
【0064】
下面ブラシ回転駆動部55aは、モータを含み、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に下面ブラシ51を回転させる。下面ブラシ昇降駆動部55bは、ステッピングモータまたはエアシリンダを含み、移動支持部55に対して昇降支持部54を昇降させる。下面ブラシ移動駆動部55cは、モータを含み、可動台座32上で移動支持部55をY方向に移動させる。ここで、可動台座32における下側保持装置20の位置は固定されている。そのため、下面ブラシ移動駆動部55cによる移動支持部55のY方向の移動時には、移動支持部55が下側保持装置20に対して相対的に移動する。以下の説明では、可動台座32上で下側保持装置20に最も近づくときの下面洗浄装置50の位置を接近位置と呼び、可動台座32上で下側保持装置20から最も離れたときの下面洗浄装置50の位置を離間位置と呼ぶ。
【0065】
底面部2aの中央部には、さらにカップ装置60が設けられている。カップ装置60は、処理カップ61およびカップ駆動部62を含む。処理カップ61は、平面視で下側保持装置20および台座装置30を取り囲むようにかつ昇降可能に設けられている。
図4においては、処理カップ61が点線で示される。カップ駆動部62は、下面ブラシ51が基板Wの下面におけるどの部分を洗浄するのかに応じて処理カップ61を下カップ位置と上カップ位置との間で移動させる。下カップ位置は処理カップ61の上端部が吸着保持部21により吸着保持される基板Wよりも下方に位置する高さ位置である。また、上カップ位置は処理カップ61の上端部が吸着保持部21よりも上方に位置する高さ位置である。
【0066】
処理カップ61よりも上方の高さ位置には、平面視で台座装置30を挟んで対向するように一対の上側保持装置10A,10Bが設けられている。上側保持装置10Aは、下チャック11A、上チャック12A、下チャック駆動部13Aおよび上チャック駆動部14Aを含む。上側保持装置10Bは、下チャック11B、上チャック12B、下チャック駆動部13Bおよび上チャック駆動部14Bを含む。
【0067】
下チャック11A,11Bは、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。下チャック11A,11Bの各々は、基板Wの下面周縁部を基板Wの下方から支持可能な2本の支持片を有する。下チャック駆動部13A,13Bは、下チャック11A,11Bが互いに近づくように、または下チャック11A,11Bが互いに遠ざかるように、下チャック11A,11Bを移動させる。
【0068】
上チャック12A,12Bは、下チャック11A,11Bと同様に、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。上チャック12A,12Bの各々は、基板Wの外周端部の2つの部分に当接して基板Wの外周端部を保持可能に構成された2本の保持片を有する。上チャック駆動部14A,14Bは、上チャック12A,12Bが互いに近づくように、または上チャック12A,12Bが互いに遠ざかるように、上チャック12A,12Bを移動させる。
【0069】
図3に示すように、処理カップ61の一側方においては、平面視で上側保持装置10Bの近傍に位置するように、上面洗浄装置70が設けられている。上面洗浄装置70は、回転支持軸71、アーム72、スプレーノズル73および上面洗浄駆動部74を含む。
【0070】
回転支持軸71は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能に上面洗浄駆動部74により支持される。アーム72は、
図4に示すように、上側保持装置10Bよりも上方の位置で、回転支持軸71の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム72の先端部には、スプレーノズル73が取り付けられている。
【0071】
スプレーノズル73には、上面洗浄流体供給部75(
図5)が接続される。上面洗浄流体供給部75は、スプレーノズル73に洗浄液および気体を供給する。本実施の形態では、スプレーノズル73に供給される洗浄液として純水が用いられ、スプレーノズル73に供給される気体として窒素ガスが用いられる。スプレーノズル73は、基板Wの上面の洗浄時に、上面洗浄流体供給部75から供給される洗浄液と気体とを混合して混合流体を生成し、生成された混合流体を下方に噴射する。
【0072】
なお、スプレーノズル73に供給される洗浄液としては、純水に代えて、炭酸水、オゾン水、水素水、電解イオン水、SC1(アンモニアと過酸化水素水との混合溶液)またはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等を用いることもできる。また、スプレーノズル73に供給される気体としては、窒素ガスに代えてアルゴンガスまたはヘリウムガス等の不活性ガスを用いることもできる。
【0073】
上面洗浄駆動部74は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸71を昇降させるとともに、回転支持軸71を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの上面上で、スプレーノズル73を円弧状に移動させることにより、基板Wの上面全体を洗浄することができる。
【0074】
図3に示すように、処理カップ61の他側方においては、平面視で上側保持装置10Aの近傍に位置するように、端部洗浄装置80が設けられている。端部洗浄装置80は、回転支持軸81、アーム82、ベベルブラシ83およびベベルブラシ駆動部84を含む。
【0075】
回転支持軸81は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能にベベルブラシ駆動部84により支持される。アーム82は、
図4に示すように、上側保持装置10Aよりも上方の位置で、回転支持軸81の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム82の先端部には、下方に向かって突出するようにかつ上下方向の軸の周りで回転可能となるようにベベルブラシ83が設けられている。
【0076】
ベベルブラシ83は、例えばPVAスポンジまたは砥粒が分散されたPVAスポンジにより形成され、上半部が逆円錐台形状を有するとともに下半部が円錐台形状を有する。このベベルブラシ83によれば、外周面の上下方向における中央部分で基板Wの外周端部を洗浄することができる。
【0077】
ベベルブラシ駆動部84は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸81を昇降させるとともに、回転支持軸81を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの外周端部にベベルブラシ83の外周面の中央部分を接触させることにより、基板Wの外周端部全体を洗浄することができる。
【0078】
ここで、ベベルブラシ駆動部84は、さらにアーム82に内蔵されるモータを含む。そのモータは、アーム82の先端部に設けられるベベルブラシ83を上下方向の軸の周りで回転させる。したがって、基板Wの外周端部の洗浄時に、ベベルブラシ83が回転することにより、基板Wの外周端部におけるベベルブラシ83の洗浄力が向上する。
【0079】
[3]基板処理装置100の制御系
図5は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置100の制御系統の構成を示すブロック図である。上記のように、
図1の制御部111は、CPU、RAM、ROMおよび記憶装置を含む。RAMは、CPUの作業領域として用いられる。ROMは、システムプログラムを記憶する。記憶装置は、制御プログラムを記憶する。CPUが記憶装置に記憶された基板処理プログラムをRAM上で実行することにより基板処理装置100の各部の動作が制御される。
【0080】
図5に示すように、制御部111は、基板処理装置100に含まれる複数の基板洗浄装置1を制御する。このとき、制御部111は、各基板洗浄装置1について、主として、基板洗浄装置1に搬入される基板Wを受け取り、吸着保持部21の上方の位置で保持するために、下チャック駆動部13A,13Bおよび上チャック駆動部14A,14Bを制御する。また、制御部111は、主として、吸着保持部21により基板Wを吸着保持するとともに吸着保持された基板Wを回転させるために、吸着保持駆動部22を制御する。
【0081】
また、制御部111は、主として、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wに対して可動台座32を移動させるために、台座駆動部33を制御する。また、制御部111は、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの高さ位置と、吸着保持部21により保持される基板Wの高さ位置との間で基板Wを移動させるために、ピン昇降駆動部43を制御する。
【0082】
また、制御部111は、基板Wの下面を洗浄するために、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面ブラシ移動駆動部55c、下面洗浄液供給部56および噴出気体供給部57を制御する。また、制御部111は、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの洗浄時に基板Wから飛散する洗浄液を処理カップ61で受け止めるために、カップ駆動部62を制御する。
【0083】
また、制御部111は、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの上面を洗浄するために、上面洗浄駆動部74および上面洗浄流体供給部75を制御する。また、制御部111は、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの外周端部を洗浄するために、ベベルブラシ駆動部84を制御する。さらに、制御部111は、基板洗浄装置1における基板Wの搬入時および搬出時にユニット筐体2の搬入搬出口2xを開閉するために、シャッタ駆動部92を制御する。
【0084】
また、制御部111は、複数のキャリアCと複数の基板載置部PASS1,PASS2との間で基板Wを搬送するため、および複数の基板載置部PASS1,PASS2と複数の基板洗浄装置1との間で基板Wを搬送するために、搬送駆動部220,320を制御する。
【0085】
なお、
図5の例では、制御部111は、インデクサロボット200およびメインロボット300の動作に加えて、複数の基板洗浄装置1の動作を制御しているが、本発明はこれに限定されない。複数の基板洗浄装置1の各々の動作は、基板洗浄装置1ごとに制御部を設けることにより、各基板洗浄装置1に設けられた制御部が行ってもよい。
【0086】
[4]基板洗浄装置1の動作
図6~
図17は、
図3の基板洗浄装置1の動作の一例を説明するための模式図である。
図6~
図17の各々においては、上段に基板洗浄装置1の平面図が示される。また、中段にY方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示され、下段にX方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示される。中段の側面図は
図3のA-A線側面図に対応し、下段の側面図は
図3のB-B線側面図に対応する。なお、基板洗浄装置1における各構成要素の形状および動作状態の理解を容易にするために、上段の平面図と中段および下段の側面図との間では、一部の構成要素の拡縮率が異なる。また、
図6~
図17では、処理カップ61が二点鎖線で示されるとともに、基板Wの外形が太い一点鎖線で示される。
【0087】
基板洗浄装置1に基板Wが搬入される前の初期状態においては、開閉装置90のシャッタ91が搬入搬出口2xを閉塞している。また、
図3に示されるように、下チャック11A,11Bは、下チャック11A,11B間の距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、上チャック12A,12Bも、上チャック12A,12B間の距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、台座装置30の可動台座32は、平面視で吸着保持部21の中心が処理カップ61の中心に位置するように配置されている。また、可動台座32上で下面洗浄装置50は、接近位置に配置されている。また、下面洗浄装置50の昇降支持部54は、下面ブラシ51の洗浄面(上端部)が吸着保持部21よりも下方に位置する状態にある。また、受渡装置40は、複数の支持ピン41が吸着保持部21よりも下方に位置する状態にある。さらに、カップ装置60においては、処理カップ61は下カップ位置にある。以下の説明では、平面視における処理カップ61の中心位置を平面基準位置rpと呼ぶ。また、平面視で吸着保持部21の中心が平面基準位置rpにあるときの底面部2a上の可動台座32の位置を第1の水平位置と呼ぶ。
【0088】
基板洗浄装置1のユニット筐体2内に基板Wが搬入される。具体的には、基板Wの搬入の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、
図6に太い実線の矢印a1で示すように、
図1のメインロボット300のハンドMaが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2内の略中央の位置に基板Wを搬入する。このとき、ハンドMaにより保持される基板Wは、
図6に示すように、下チャック11Aおよび上チャック12Aと下チャック11Bおよび上チャック12Bとの間に位置する。
【0089】
次に、
図7に太い実線の矢印a2で示すように、下チャック11A,11Bの複数の支持片が基板Wの下面周縁部の下方に位置するように、下チャック11A,11Bが互いに近づく。この状態で、ハンドMaが下降し、搬入搬出口2xから退出する。それにより、ハンドMaに保持された基板Wの下面周縁部の複数の部分が、下チャック11A,11Bの複数の支持片により支持される。ハンドMaの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0090】
次に、
図8に太い実線の矢印a3で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部に当接するように、上チャック12A,12Bが互いに近づく。上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部の複数の部分に当接することにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが上チャック12A,12Bによりさらに保持される。このようにして、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの中心は、平面視で平面基準位置rpに重なるかほぼ重なる。このとき、
図8の中段の側面図に示すように、上チャック12A,12Bにより保持される基板Wの高さ位置は、本発明の第1および第3の高さ位置に相当する。また、
図8に太い実線の矢印a4で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpから所定距離ずれるとともに下面ブラシ51の中心が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が第1の水平位置から前方に移動する。このとき、底面部2a上に位置する可動台座32の位置を第2の水平位置と呼ぶ。
【0091】
次に、
図9に太い実線の矢印a5で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面中央部に接触するように、昇降支持部54が上昇する。また、
図9に太い実線の矢印a6で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの下面中央部に付着する汚染物質が下面ブラシ51により物理的に剥離される。
【0092】
図9の下段には、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する部分の拡大側面図が吹き出し内に示される。その吹き出し内に示されるように、下面ブラシ51が基板Wに接触する状態で、液ノズル52および気体噴出部53は、基板Wの下面に近接する位置に保持される。このとき、液ノズル52は、白抜きの矢印a51で示すように、下面ブラシ51の近傍の位置で基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出する。これにより、液ノズル52から基板Wの下面に供給された洗浄液が下面ブラシ51と基板Wとの接触部に導かれることにより、下面ブラシ51により基板Wの裏面から除去された汚染物質が洗浄液により洗い流される。このように、下面洗浄装置50においては、液ノズル52が下面ブラシ51とともに昇降支持部54に取り付けられている。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄部分に効率よく洗浄液を供給することができる。したがって、洗浄液の消費量が低減されるとともに洗浄液の過剰な飛散が抑制される。
【0093】
なお、基板Wの下面を洗浄する際の下面ブラシ51の回転速度は、液ノズル52から基板Wの下面に供給される洗浄液が下面ブラシ51の側方に飛散しない程度の速度に維持される。
【0094】
ここで、昇降支持部54の上面54uは、吸着保持部21から遠ざかる方向において斜め下方に傾斜している。この場合、基板Wの下面から汚染物質を含む洗浄液が昇降支持部54上に落下する場合に、上面54uによって受け止められた洗浄液が吸着保持部21から遠ざかる方向に導かれる。
【0095】
また、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時には、気体噴出部53が、
図9の吹き出し内に白抜きの矢印a52で示すように、下面ブラシ51と吸着保持部21との間の位置で基板Wの下面に向かって気体を噴射する。本実施の形態においては、気体噴出部53は、気体噴射口がX方向に延びるように昇降支持部54上に取り付けられている。この場合、気体噴出部53から基板Wの下面に気体が噴射される際には、下面ブラシ51と吸着保持部21との間でX方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に向かって飛散することが防止される。したがって、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に付着することが防止され、吸着保持部21の吸着面が清浄に保たれる。
【0096】
なお、
図9の例においては、気体噴出部53は、白抜きの矢印a52で示すように、気体噴出部53から下面ブラシ51に向かって斜め上方に気体を噴射するが、本発明はこれに限定されない。気体噴出部53は、気体噴出部53から基板Wの下面に向かってZ方向に沿うように気体を噴射してもよい。
【0097】
次に、
図9の状態で、基板Wの下面中央部の洗浄が完了すると、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。また、液ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出が停止される。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射は継続される。
【0098】
その後、
図10に太い実線の矢印a7で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が後方に移動する。すなわち、可動台座32は、第2の水平位置から第1の水平位置に移動する。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が継続されることにより、基板Wの下面中央部が気体カーテンにより順次乾燥される。
【0099】
次に、
図11に太い実線の矢印a8で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が吸着保持部21の吸着面(上端部)よりも下方に位置するように、昇降支持部54が下降する。また、
図11に太い実線の矢印a9で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部から離間するように、上チャック12A,12Bが互いに遠ざかる。このとき、基板Wは、下チャック11A,11Bにより支持された状態となる。
【0100】
その後、
図11に太い実線の矢印a10で示すように、複数の支持ピン41の上端部が下チャック11A,11Bよりもわずかに上方に位置するように、ピン連結部材42が上昇する。それにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが、複数の支持ピン41により受け取られる。
【0101】
次に、
図12に太い実線の矢印a11で示すように、下チャック11A,11Bが互いに遠ざかる。このとき、下チャック11A,11Bは、平面視で複数の支持ピン41により支持される基板Wに重ならない位置まで移動する。それにより、上側保持装置10A,10Bは、ともに初期状態に戻る。
【0102】
次に、
図13に太い実線の矢印a12で示すように、複数の支持ピン41の上端部が吸着保持部21よりも下方に位置するように、ピン連結部材42が下降する。それにより、複数の支持ピン41上に支持された基板Wが、吸着保持部21により受け取られる。この状態で、吸着保持部21は、基板Wの下面中央部を吸着保持する。このようにして、下側保持装置20により吸着保持される基板Wの中心は、平面視で平面基準位置rpに重なるかほぼ重なる。このとき、
図13の中段および下段の側面図に示すように、吸着保持部21により吸着保持される基板Wの高さ位置は、本発明の第2および第4の高さ位置に相当する。ピン連結部材42の下降と同時かまたはピン連結部材42の下降完了後、
図13に太い実線の矢印a13で示すように、処理カップ61が下カップ位置から上カップ位置まで上昇する。それにより、第2の高さ位置にある基板Wは、処理カップ61の上端部よりも下方に位置する。
【0103】
次に、
図14に太い実線の矢印a14で示すように、吸着保持部21が上下方向の軸(吸着保持駆動部22の回転軸の軸心)の周りで回転する。それにより、吸着保持部21に吸着保持された基板Wが水平姿勢で回転する。
【0104】
次に、上面洗浄装置70の回転支持軸71が回転し、下降する。それにより、
図14に太い実線の矢印a15で示すように、スプレーノズル73が基板Wの上方の位置まで移動し、スプレーノズル73と基板Wとの間の距離が予め定められた距離となるように下降する。この状態で、スプレーノズル73は、基板Wの上面に洗浄液と気体との混合流体を噴射する。また、回転支持軸71が回転する。それにより、
図14に太い実線の矢印a16で示すように、スプレーノズル73が回転する基板Wの上方の位置で移動する。基板Wの上面全体に混合流体が噴射されることにより、基板Wの上面全体が洗浄される。
【0105】
また、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、端部洗浄装置80の回転支持軸81も回転し、下降する。それにより、
図14に太い実線の矢印a17で示すように、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部の上方の位置まで移動する。また、ベベルブラシ83の外周面の中央部分が基板Wの外周端部に接触するように下降する。この状態で、ベベルブラシ83が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの外周端部に付着する汚染物質がベベルブラシ83により物理的に剥離される。基板Wの外周端部から剥離された汚染物質は、スプレーノズル73から基板Wに噴射される混合流体の洗浄液により洗い流される。
【0106】
さらに、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域に接触するように、昇降支持部54が上昇する。また、
図14に太い実線の矢印a18で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。さらに、液ノズル52は基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出し、気体噴出部53は基板Wの下面に向かって気体を噴射する。この状態で、さらに
図14に太い実線の矢印a19で示すように、移動支持部55が可動台座32上で接近位置と離間位置との間を進退動作する。このように、移動支持部55により下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する状態で水平方向に移動することにより、基板Wの下面における下面ブラシ51による洗浄可能な範囲が拡大される。それにより、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの下面外側領域が全体に渡って下面ブラシ51により洗浄される。
【0107】
次に、基板Wの上面、外周端部および下面外側領域の洗浄が完了すると、スプレーノズル73から基板Wへの混合流体の噴射が停止される。また、
図15に太い実線の矢印a20で示すように、スプレーノズル73が処理カップ61の一側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。また、
図15に太い実線の矢印a21で示すように、ベベルブラシ83が処理カップ61の他側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。さらに、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。また、液ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出、および気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が停止される。この状態で、吸着保持部21が高速で回転することにより、基板Wに付着する洗浄液が振り切られ、基板Wの全体が乾燥する。
【0108】
次に、
図16に太い実線の矢印a22で示すように、処理カップ61が上カップ位置から下カップ位置まで下降する。それにより、第2の高さ位置にある基板Wは、処理カップ61の上端部よりも上方に位置する。また、新たな基板Wがユニット筐体2内に搬入されることに備えて、
図16に太い実線の矢印a23で示すように、新たな基板Wを支持可能な位置まで下チャック11A,11Bが互いに近づく。
【0109】
最後に、基板洗浄装置1のユニット筐体2内から基板Wが搬出される。具体的には、基板Wの搬出の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、
図17に太い実線の矢印a24で示すように、
図1のメインロボット300のハンドMbが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2内に進入する。続いて、ハンドMbは、吸着保持部21上の基板Wを受け取り、搬入搬出口2xから退出する。ハンドMbの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0110】
[5]基板洗浄装置1に対するメインロボット300の動作の一例
図18は、
図1のメインロボット300による基板洗浄装置1に対する動作の一例を説明するための図である。
図18では、基板洗浄装置1に対する基板W1,W2の搬入および搬出時におけるメインロボット300の動作が、複数の側面図により時系列で示される。各側面図においては、基板洗浄装置1の上側保持装置10A,10Bおよび下側保持装置20と、メインロボット300のハンドMa,Mbとが模式的に示される。本例では、一の基板洗浄装置1に対して基板Wの搬入および搬出を行う一組のハンド対が、ハンドMa,Mbで構成される。また、ハンドMa,Mbのハンド間距離D1は、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの高さ位置と下側保持装置20により吸着保持される基板Wの高さ位置との間の距離(以下、ホルダ間距離と呼ぶ。)DHとほぼ等しい。
【0111】
以下の説明では、処理済みの基板Wと未処理の基板Wとの区別が容易になるように、未処理の基板Wを適宜基板W1と呼び、処理済み(本例では洗浄処理)の基板Wを適宜基板W2と呼ぶ。
【0112】
図18の最上段の側面図に示すように、初期状態では、下側保持装置20に処理済みの基板W2が保持されている。また、メインロボットMRのハンドMaに未処理の基板W1が保持されている。さらに、初期状態では、ハンドMbが下側保持装置20の上端部よりもわずかに下方の位置で下側保持装置20に対向するように配置される。また、ハンドMaが上側保持装置10A,10Bの上端部よりもわずかに下方の位置で上側保持装置10A,10Bに対向するように配置される。
【0113】
まず、下側保持装置20に保持された基板W2が搬出される。この場合、
図18の2段目に示すように、ハンドMbが下側保持装置20により保持される基板W2の下方の位置まで前進する。
【0114】
次に、
図18の3段目に示すように、ハンドMbが上昇し、下側保持装置20に保持されている基板W2を受け取る。また、基板W2を受け取ったハンドMbが基板洗浄装置1から後退し、
図18の4段目に示すように、基板W2を基板洗浄装置1から搬出する。さらに、ハンドMaが上側保持装置10A,10Bよりもわずかに上方の位置まで上昇する。
【0115】
次に、
図18の5段目に示すように、基板W1が上側保持装置10A,10Bの上方に位置するように、ハンドMaが前進する。また、ハンドMaが下降し、
図18の6段目に示すように、ハンドMaに保持されている基板W1が上側保持装置10A,10Bに渡される。その後、基板W1が上側保持装置10A,10Bにより保持され、ハンドMaが基板洗浄装置1から後退し、
図18の7段目に示すように、基板洗浄装置1から退出する。このようにして、基板洗浄装置1に対する未処理の基板W1と洗浄処理済みの基板W2との入れ替えが行われる。
【0116】
上記の入れ替え時においては、下側保持装置20からハンドMbが基板W2を受け取る際に、ハンドMbが下側保持装置20の吸着保持部21(
図4)とほぼ同じ高さに位置する。このとき、ハンドMaの高さ位置はハンドMbよりも上側保持装置10A,10Bの高さ位置に近い。また、基板洗浄装置1の上側保持装置10A,10Bにメインロボット300のハンドMaが基板W1を渡す際に、ハンドMaが上側保持装置10A,10Bとほぼ同じ高さに位置する。このとき、ハンドMbの高さ位置はハンドMaよりも下側保持装置20の吸着保持部21(
図4)の高さ位置に近い。
【0117】
したがって、ハンドMbが下側保持装置20から基板W2を受け取る受け動作(
図18の2段目および3段目の動作)と、ハンドMaが上側保持装置10A,10Bへ基板W1を渡す渡し動作(
図18の5段目および6段目の動作)との間で、ハンドMa,Mbを上下方向に移動させるべき距離が低減される。すなわち、基板洗浄装置1とメインロボット300との間で一の高さ位置でのみ基板W1,W2の受け渡しが行われる場合に比べて、ハンドMa,Mbを上下方向に移動させるべき距離が低減される。その結果、基板洗浄装置1のスループットを向上させることができる。
【0118】
上記の理由により、メインロボット300においては、二組のハンド対は、ハンド間距離が互いに等しくなるようにかつそれらのハンド間距離が基板洗浄装置1のホルダ間距離DHに近づくように定められる。なお、ハンド間距離D1とホルダ間距離DHとは、互いに等しいかまたはほぼ等しいことが好ましい。この場合、各ハンド対の一方のハンドの受け動作と他方のハンドの渡し動作との間に、当該ハンド対を上下方向に移動させるべき距離を十分に小さくすることができる。したがって、基板洗浄装置1のスループットがさらに向上する。
【0119】
[6]4つのハンドMa~Mdを用いた処理ブロック120におけるメインロボット300の動作パターン
以下の説明では、
図1の処理ブロック120に設けられる複数の基板洗浄装置1のうち一の基板洗浄装置1を適宜基板洗浄装置1Aと呼び、複数の基板洗浄装置1のうち他の基板洗浄装置1を適宜基板洗浄装置1Bと呼ぶ。
【0120】
処理ブロック120においては、メインロボット300は、基本的に基板載置部PASS2、一の基板洗浄装置1A、他の基板洗浄装置1Bおよび基板載置部PASS1の順にアクセスすることにより2枚の基板Wを搬送することができる。
【0121】
図19は、処理ブロック120におけるメインロボット300の具体的な動作パターンの一例を示す図である。
図19においては、メインロボット300が基板載置部PASS2、一の基板洗浄装置1A、他の基板洗浄装置1Bおよび基板載置部PASS1にそれぞれアクセスするときに各ハンドMa~Mdによって行われる動作が白抜き矢印の時系列順に示される。初期状態で、複数の基板載置部PASS2には未処理の複数の基板W1がそれぞれ載置され、複数の基板載置部PASS1は空の状態にあるものとする。また、処理ブロック120内の複数の基板洗浄装置1内には、処理済みの基板W2が下側保持装置20により保持されているものとする。
【0122】
ここで、
図19の動作パターンでは、メインロボット300の4つのハンドMa~Mdのうち、最上部のハンドMaと上から3段目のハンドMcとが一方の組のハンド対を構成するものとする。また、上から2段目のハンドMbと最下部のハンドMdとが他方の組のハンド対を構成するものとする。そのため、本例では、ハンドMaが本発明の第1の搬送保持部として機能し、ハンドMcが本発明の第2の搬送保持部として機能する。また、ハンドMbが本発明の第3の搬送保持部として機能し、ハンドMdが本発明の第4の搬送保持部として機能する。
【0123】
図19に示すように、メインロボット300は、最初に、ハンド支持部材310(
図1)を回転および昇降させることにより、ハンドMa,Mbを2つの基板載置部PASS2に対向させる。この状態で、メインロボット300は、ハンドMa,Mbを進退させることにより、2つの基板載置部PASS2から未処理の2枚の基板W1を受け取る。
【0124】
次に、メインロボット300は、ハンド支持部材310(
図1)を回転および昇降させることにより、ハンドMa,Mcを基板洗浄装置1Aに対向させる。この状態で、メインロボット300は、ハンドMaによる渡し動作を行うことにより、基板洗浄装置1Aの上側保持装置10A,10Bに未処理の基板W1を渡す(
図18の5段目および6段目の側面図参照)。また、メインロボット300は、ハンドMcによる受け動作を行うことにより、基板洗浄装置1Aの下側保持装置20から処理済みの基板W2を受け取る(
図18の2段目および3段目の側面図参照)。なお、ハンドMaによる渡し動作およびハンドMcによる受け動作は、この順に行われてもよいし、この逆の順に行われてもよいし、同時に並行して行われてもよい。
【0125】
次に、メインロボット300は、ハンド支持部材310(
図1)を回転および昇降させることにより、ハンドMb,Mdを基板洗浄装置1Bに対向させる。この状態で、メインロボット300は、ハンドMbによる渡し動作を行うことにより、基板洗浄装置1Bの上側保持装置10A,10Bに未処理の基板W1を渡す(
図18の5段目および6段目の側面図参照)。また、メインロボット300は、ハンドMdによる受け動作を行うことにより、基板洗浄装置1Bの下側保持装置20から処理済みの基板W2を受け取る(
図18の2段目および3段目の側面図参照)。なお、ハンドMbによる渡し動作およびハンドMdによる受け動作は、この順に行われてもよいし、この逆の順に行われてもよいし、同時に並行して行われてもよい。
【0126】
次に、メインロボット300は、ハンド支持部材310(
図1)を回転および昇降させることにより、ハンドMc,Mdを2つの基板載置部PASS1に対向させる。この状態で、メインロボット300は、ハンドMc,Mdを進退させることにより、2つの基板載置部PASS1へ処理済みの2枚の基板W2を渡す。
【0127】
図20は、処理ブロック120におけるメインロボット300の具体的な動作パターンの他の例を示す図である。
図20においては、
図19の例と同様に、メインロボット300が基板載置部PASS2、一の基板洗浄装置1A、他の基板洗浄装置1Bおよび基板載置部PASS1にそれぞれアクセスするときに各ハンドMa~Mdによって行われる動作が白抜き矢印の時系列順に示される。初期状態で、複数の基板載置部PASS2には未処理の複数の基板W1がそれぞれ載置され、複数の基板載置部PASS1は空の状態にあるものとする。また、処理ブロック120内の複数の基板洗浄装置1内には、処理済みの基板W2が下側保持装置20により保持されているものとする。
【0128】
ここで、
図20の動作パターンでは、メインロボット300の4つのハンドMa~Mdのうち、上側の2つのハンドMa,Mbが一方の組のハンド対を構成するものとする。また、下側の2つのハンドMc,Mdが他方の組のハンド対を構成するものとする。そのため、本例では、ハンドMaが本発明の第1の搬送保持部として機能し、ハンドMbが本発明の第2の搬送保持部として機能する。また、ハンドMcが本発明の第3の搬送保持部として機能し、ハンドMdが本発明の第4の搬送保持部として機能する。
【0129】
図20に示すように、メインロボット300は、最初に、ハンド支持部材310(
図1)を回転および昇降させることにより、ハンドMa,Mcを2つの基板載置部PASS2に対向させる。この状態で、メインロボット300は、ハンドMa,Mcを進退させることにより、2つの基板載置部PASS2から未処理の2枚の基板W1を受け取る。
【0130】
次に、メインロボット300は、ハンド支持部材310(
図1)を回転および昇降させることにより、ハンドMa,Mbを基板洗浄装置1Aに対向させる。この状態で、メインロボット300は、ハンドMaによる渡し動作を行うことにより、基板洗浄装置1Aの上側保持装置10A,10Bに未処理の基板W1を渡す(
図18の5段目および6段目の側面図参照)。また、メインロボット300は、ハンドMbによる受け動作を行うことにより、基板洗浄装置1Aの下側保持装置20から処理済みの基板W2を受け取る(
図18の2段目および3段目の側面図参照)。なお、ハンドMaによる渡し動作およびハンドMbによる受け動作は、この順に行われてもよいし、この逆の順に行われてもよいし、同時に並行して行われてもよい。
【0131】
次に、メインロボット300は、ハンド支持部材310(
図1)を回転および昇降させることにより、ハンドMc,Mdを基板洗浄装置1Bに対向させる。この状態で、メインロボット300は、ハンドMcによる渡し動作を行うことにより、基板洗浄装置1Bの上側保持装置10A,10Bに未処理の基板W1を渡す(
図18の5段目および6段目の側面図参照)。また、メインロボット300は、ハンドMdによる受け動作を行うことにより、基板洗浄装置1Bの下側保持装置20から処理済みの基板W2を受け取る(
図18の2段目および3段目の側面図参照)。なお、ハンドMcによる渡し動作およびハンドMdによる受け動作は、この順に行われてもよいし、この逆の順に行われてもよいし、同時に並行して行われてもよい。
【0132】
次に、メインロボット300は、ハンド支持部材310(
図1)を回転および昇降させることにより、ハンドMb,Mdを2つの基板載置部PASS1に対向させる。この状態で、メインロボット300は、ハンドMb,Mdを進退させることにより、2つの基板載置部PASS1へ処理済みの2枚の基板W2を渡す。
【0133】
[7]基板処理装置100の効果
基板洗浄装置1においては、上側保持装置10A,10Bは下側保持装置20よりも上方に位置する。また、メインロボット300について定められる各組のハンド対のうち一のハンドは他のハンドよりも上方に位置する。
【0134】
このような構成においては、基板洗浄装置1に対する未処理の基板W1と洗浄処理済みの基板W2との入れ替え時に、各組のハンド対のうち一のハンドにより上側保持装置10A,10Bに対して未処理の基板W1を渡す渡し動作が行われ、他のハンドにより下側保持装置20に対して処理済みの基板W2を受け取る受け動作が行われる。それにより、一のハンドによる渡し動作と、他のハンドによる受け動作との間で移動されるべき(昇降されるべき)当該ハンド対の距離が低減される。また、基板処理装置100は、基板洗浄装置1を複数有する。それにより、基板Wを反転させることなく基板Wの上面および下面を一の基板洗浄装置1内で洗浄することができる。これらの結果、処理ブロック120における基板Wの搬送効率および洗浄効率が向上することにより、基板処理装置100のスループットを向上させることができる。
【0135】
さらに、基板洗浄装置1においては、互いに異なる位置にある上側保持装置10A,10Bおよび下側保持装置20が、メインロボット300の複数のハンドMa~Mdに対して基板Wを受け渡し可能に構成されている。そのため、基板Wの搬入および搬出のために、基板洗浄装置1内で基板Wを搬送する必要がない。したがって、基板Wの搬送に要する時間が短縮される。また、この場合、基板洗浄装置1内で基板Wを搬送する構成(いわゆるローカル搬送機構)が不要になるので、基板洗浄装置1の構成の複雑化が抑制される。
【0136】
[8]他の実施の形態
(1)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、基板Wの下面は、下面中央部および下面外側領域の順で洗浄されるが、本発明はこれに限定されない。基板洗浄装置1においては、基板Wの下面は、下面外側領域および下面中央部の順で洗浄されてもよい。
【0137】
例えば、基板洗浄装置1に搬入される基板Wは、最初に下側保持装置20により吸着保持され、下側保持装置20により吸着保持された状態で、下面外側領域、外周端部および上面が洗浄されてもよい。その後、下側保持装置20により保持された基板Wが上側保持装置10A,10Bに渡され、保持された状態で、基板Wの下面中央部が洗浄されてもよい。洗浄後の基板Wは、上側保持装置10A,10Bからユニット筐体2の外部に搬出されてもよい。
【0138】
このように、基板洗浄装置1において、搬入される基板Wが下側保持装置20により保持されかつ上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wが搬出される場合、メインロボット300は以下の動作パターンに従って基板Wの搬送を行ってもよい。
【0139】
図21は、他の実施の形態に係るメインロボット300の動作パターンの一例を示す図である。
図21の例では、初期状態で、複数の基板載置部PASS2には未処理の複数の基板W1がそれぞれ載置され、複数の基板載置部PASS1は空の状態にあるものとする。また、処理ブロック120内の複数の基板洗浄装置1内には、処理済みの基板W2が上側保持装置10A,10Bにより保持されているものとする。
【0140】
ここで、
図21の動作パターンでは、メインロボット300の4つのハンドMa~Mdのうち、最上部のハンドMaと上から3段目のハンドMcとが一方の組のハンド対を構成するものとする。また、上から2段目のハンドMbと最下部のハンドMdとが他方の組のハンド対を構成するものとする。そのため、本例では、ハンドMaが本発明の第1の搬送保持部として機能し、ハンドMcが本発明の第2の搬送保持部として機能する。また、ハンドMbが本発明の第3の搬送保持部として機能し、ハンドMdが本発明の第4の搬送保持部として機能する。
【0141】
図21に示すように、メインロボット300は、ハンドMc,Mdにより、2つの基板載置部PASS2から未処理の2枚の基板W1を受け取る。次に、メインロボット300は、ハンドMa,Mcを基板洗浄装置1Aに対向させる。この状態で、メインロボット300は、ハンドMaによる受け動作を行うことにより、上側保持装置10A,10Bから処理済みの基板W2を受け取る。また、メインロボット300は、ハンドMcによる渡し動作を行うことにより、基板洗浄装置1Aの下側保持装置20へ未処理の基板W1を渡す。
【0142】
次に、メインロボット300は、ハンドMb,Mdを基板洗浄装置1Bに対向させる。この状態で、メインロボット300は、ハンドMbによる受け動作を行うことにより、基板洗浄装置1Bの上側保持装置10A,10Bから処理済みの基板W2を受け取る。また、メインロボット300は、ハンドMdによる渡し動作を行うことにより、基板洗浄装置1Bの下側保持装置20へ未処理の基板W1を渡す。次に、メインロボット300は、ハンドMa,Mbにより2つの基板載置部PASS1へ処理済みの2枚の基板W2を渡す。
【0143】
あるいは、メインロボット300は以下の動作パターンに従って基板Wの搬送を行ってもよい。
図22は、他の実施の形態に係るメインロボット300の動作パターンの他の例を示す図である。
図22の例では、初期状態で、複数の基板載置部PASS2には未処理の複数の基板W1がそれぞれ載置され、複数の基板載置部PASS1は空の状態にあるものとする。また、処理ブロック120内の複数の基板洗浄装置1内には、処理済みの基板W2が上側保持装置10A,10Bにより保持されているものとする。
【0144】
ここで、
図22の動作パターンでは、メインロボット300の4つのハンドMa~Mdのうち、上側の2つのハンドMa,Mbが一方の組のハンド対を構成するものとする。また、下側の2つのハンドMc,Mdが他方の組のハンド対を構成するものとする。そのため、本例では、ハンドMaが本発明の第1の搬送保持部として機能し、ハンドMbが本発明の第2の搬送保持部として機能する。また、ハンドMcが本発明の第3の搬送保持部として機能し、ハンドMdが本発明の第4の搬送保持部として機能する。
【0145】
図22に示すように、メインロボット300は、ハンドMb,Mdにより、2つの基板載置部PASS2から未処理の2枚の基板W1を受け取る。次に、メインロボット300は、ハンドMa,Mbを基板洗浄装置1Aに対向させる。この状態で、メインロボット300は、ハンドMaによる受け動作を行うことにより、上側保持装置10A,10Bから処理済みの基板W2を受け取る。また、メインロボット300は、ハンドMbによる渡し動作を行うことにより、基板洗浄装置1Aの下側保持装置20へ未処理の基板W1を渡す。
【0146】
次に、メインロボット300は、ハンドMc,Mdを基板洗浄装置1Bに対向させる。この状態で、メインロボット300は、ハンドMcによる受け動作を行うことにより、基板洗浄装置1Bの上側保持装置10A,10Bから処理済みの基板W2を受け取る。また、メインロボット300は、ハンドMdによる渡し動作を行うことにより、基板洗浄装置1Bの下側保持装置20へ未処理の基板W1を渡す。次に、メインロボット300は、ハンドMa,Mcにより2つの基板載置部PASS1へ処理済みの2枚の基板W2を渡す。
【0147】
(2)上記実施の形態に係る基板処理装置100においては、処理ブロック120に、基板Wに所定の処理を行う第1および第2の基板処理部として、複数の基板洗浄装置1が設けられるが、本発明はこれに限定されない。
【0148】
基板処理装置100には、基板Wに所定の処理を行う第1および第2の基板処理部として、洗浄処理以外の処理を行う処理部が設けられてもよい。このような処理部として、基板Wに対して加熱処理および冷却処理を施すことが可能な熱処理装置が挙げられる。
【0149】
その熱処理装置においては、例えば、筐体内の底面部に基板Wを加熱することが可能なホットプレートが配置され、筐体内の天井部に基板Wを冷却するクーリングプレートが配置される。また、ホットプレートとクーリングプレートとの間で基板Wを移動させる基板昇降装置が設けられる。さらに、基板昇降装置は、筐体の下部(ホットプレートの近傍位置)において搬入されるべき基板Wを受け取り可能に構成され、筐体の上部(クーリングプレートの近傍位置)において搬出されるべき基板Wをメインロボット300に渡すことが可能に構成される。
【0150】
(3)上記実施の形態に係るインデクサロボット200は、4つのハンドIa,Ib,Ic,Idを有するが、インデクサロボット200は、2つ、3つ、5つまたは6つ等の複数のハンドを有してもよい。
【0151】
また、インデクサロボット200と同様に、上記実施の形態に係るメインロボット300は、4つのハンドMa,Mb,Mc,Mdを有するが、メインロボット300は、2つのハンドMa,Mbのみを有してもよいし、3つのハンドMa,Mb,Mcのみを有してもよい。あるいは、メインロボット300は、5以上のハンドを有してもよい。
【0152】
なお、
図1の構成において、メインロボット300が3つのハンドMa~Mcを有する場合には、3つのハンドMa,Mb,Mcのうち2つのハンドに基板Wが保持される場合でも、残りのハンドが空の状態となる。したがって、3つのハンドMa~Mcのみを備えるメインロボット300が使用される場合でも、
図19~
図22の例と基本的に同じ動作パターンで基板Wの搬送を行うことができる。
【0153】
[9]請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、基板W1が第1および第3の基板の例であり、上側保持装置10A,10Bが第1および第3の基板保持部の例であり、基板W2が第2および第4の基板の例であり、下側保持装置20が第2および第4の基板保持部の例であり、基板洗浄装置1が第1および第2の基板処理部の例であり、ハンドMaが第1の搬送保持部の例であり、ハンドMbまたはハンドMcとハンドMdとが第2の搬送保持部の例であり、制御部111が搬送制御部の例であり、基板処理装置100が基板処理装置の例である。
【0154】
また、基板載置部PASS2が第1の基板支持部の例であり、ハンドMbまたはハンドMcが第3の搬送保持部の例であり、ハンドMdが第4の搬送保持部の例であり、下面洗浄装置50が洗浄部の例である。
【0155】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【符号の説明】
【0156】
1,1A,1B…基板洗浄装置,2…ユニット筐体,2a…底面部,2b~2e…側壁部,2x…搬入搬出口,10A,10B…上側保持装置,11A,11B…下チャック,12A,12B…上チャック,13A,13B…下チャック駆動部,14A,14B…上チャック駆動部,20…下側保持装置,21…吸着保持部,22…吸着保持駆動部,30…台座装置,31…リニアガイド,32…可動台座,33…台座駆動部,40…受渡装置,41…支持ピン,42…ピン連結部材,43…ピン昇降駆動部,50…下面洗浄装置,51…下面ブラシ,52…液ノズル,53…気体噴出部,54…昇降支持部,54u…上面,55…移動支持部,55a…下面ブラシ回転駆動部,55b…下面ブラシ昇降駆動部,55c…下面ブラシ移動駆動部,56…下面洗浄液供給部,57…噴出気体供給部,60…カップ装置,61…処理カップ,62…カップ駆動部,70…上面洗浄装置,71…回転支持軸,72…アーム,73…スプレーノズル,74…上面洗浄駆動部,75…上面洗浄流体供給部,80…端部洗浄装置,81…回転支持軸,82…アーム,83…ベベルブラシ,84…ベベルブラシ駆動部,90…開閉装置,91…シャッタ,92…シャッタ駆動部,100…基板処理装置,110…インデクサブロック,111…制御部,120…処理ブロック,140…キャリア載置台,150,163…搬送部,161,162…洗浄部,200…インデクサロボット,210…ハンド支持部材,220…搬送駆動部,300…メインロボット,310…ハンド支持部材,320…搬送駆動部,C…キャリア,D1,D2,D3…ハンド間距離,Ia~Id,Ma~Md…ハンド,PASS1,PASS2…基板載置部,rp…平面基準位置,W,W1,W2…基板