(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】梁スラブ構造
(51)【国際特許分類】
E04B 5/32 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
E04B5/32 C
(21)【出願番号】P 2020173472
(22)【出願日】2020-10-14
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 聖尊
(72)【発明者】
【氏名】飯田 正憲
(72)【発明者】
【氏名】田邊 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小林 楓子
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-305443(JP,A)
【文献】特開2006-097320(JP,A)
【文献】特開平05-321384(JP,A)
【文献】特開平02-261145(JP,A)
【文献】特開平11-189447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーフプレキャスト梁と、
前記ハーフプレキャスト梁に支持されるハーフプレキャスト床版と、
設計基準強度が前記ハーフプレキャスト梁
及び前記ハーフプレキャスト床版のコンクリートよりも低くされ、前記ハーフプレキャスト梁の上面と前記ハーフプレキャスト床版の上面とに亘って配置されているトップコンクリートと、
を備える梁スラブ構造。
【請求項2】
前記ハーフプレキャスト梁は、軽量コンクリートによって形成されている、
請求項1に記載の梁スラブ構造。
【請求項3】
前記ハーフプレキャスト床版の端部は、前記ハーフプレキャスト梁の前記上面に載置されており、
前記ハーフプレキャスト梁の前記上面には、上方へ突出するとともに前記ハーフプレキャスト床版の前記端部の端面と対向する突出部が設けられている、
請求項1又は請求項2に記載の梁スラブ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梁スラブ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造の梁とスラブとの接合構造が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4412196号明細書
【文献】特許第5143213号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、梁は、一般に、全断面が同じ設計基準強度のコンクリートで形成される。また、梁を形成するコンクリートの設計基準強度は、一般に、スラブを形成するコンクリートの設計基準強度よりも高い。つまり、梁とスラブとは、設計基準強度が異なるコンクリートで形成される。そのため、梁及びスラブの施工時には、梁とスラブとの境界部に、コンクリートを打ち分けるための止め型枠等が必要になるため、施工に手間がかかる。
【0005】
さらに、梁やスラブを現場打ち工法で施工する場合、型枠の仮設や撤去作業が必要になるとともに、型枠を支持する支持工法等が必要になるため、さらに施工に手間がかかる。
【0006】
本発明は、上記の事実を考慮し、梁及びスラブの施工性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る梁スラブ構造は、ハーフプレキャスト梁と、前記ハーフプレキャスト梁に支持されるハーフプレキャスト床版と、設計基準強度が前記ハーフプレキャスト梁のコンクリートよりも低くされ、前記ハーフプレキャスト梁の上面と前記ハーフプレキャスト床版の上面とに亘って配置されているトップコンクリートと、を備える。
【0008】
第1態様に係る梁スラブ構造によれば、トップコンクリートは、ハーフプレキャスト梁の上面とハーフプレキャスト床版の上面とに亘って配置されている。つまり、ハーフプレキャスト梁のトップコンクリートと、ハーフプレキャスト床版のトップコンクリートとは、同じ設計基準強度のコンクリートで形成されている。そのため、本発明では、ハーフプレキャスト梁のトップコンクリートと、ハーフプレキャスト床版のトップコンクリートとを打ち分ける必要がない。
【0009】
したがって、ハーフプレキャスト梁のトップコンクリートと、ハーフプレキャスト床版のトップコンクリートとの境界部に設ける止め型枠等を省略することができるため、施工性が向上する。
【0010】
また、トップコンクリートの設計基準強度は、ハーフプレキャスト梁のコンクリートの設計基準強度よりも低くされている。したがって、トップコンクリートのコストを合理的に削減することができる。
【0011】
さらに、本発明では、ハーフプレキャスト梁及びハーフプレキャスト床版を用いている。これにより、梁及びスラブの施工時に、梁及びスラブの型枠の仮設及び撤去作業が不要になる。また、型枠を支持する支保工の数が低減される。
【0012】
このように本発明では、梁及びスラブの施工性を向上させることができる。
【0013】
第2態様に係る梁スラブ構造は、第1態様に係る梁スラブ構造において、前記ハーフプレキャスト梁は、軽量コンクリートによって形成されている。
【0014】
第2態様に係る梁スラブ構造によれば、ハーフプレキャスト梁は、軽量コンクリートによって形成されている。これにより、本発明では、例えば、ハーフプレキャスト梁が普通コンクリートによって形成される場合と比較して、ハーフプレキャスト梁の重量が軽くなる。したがって、ハーフプレキャスト梁の揚重性が向上するとともに、揚重機のサイズダウンが可能になる。
【0015】
また、ハーフプレキャスト梁の上面とハーフプレキャスト床版の上面に亘るトップコンクリートを普通コンクリートとすることにより、重量床衝撃音に対する性能を確保することができる。
【0016】
第3態様に係る梁スラブ構造は、第1態様又は第2態様に係る梁スラブ構造において、前記ハーフプレキャスト床版の端部は、前記ハーフプレキャスト梁の前記上面に載置されており、前記ハーフプレキャスト梁の前記上面には、上方へ突出するとともに前記ハーフプレキャスト床版の前記端部の端面と対向する突出部が設けられている。
【0017】
第3態様に係る梁スラブ構造によれば、ハーフプレキャスト床版の端部は、ハーフプレキャスト梁の上面に載置されている。このハーフプレキャスト梁の上面には、上方へ突出するとともにハーフプレキャスト床版の端部の端面と対向する突出部が設けられている。この突出部によって、ハーフプレキャスト梁の上面に対するハーフプレキャスト床版の端面の位置が規制される。したがって、ハーフプレキャスト梁の上面にハーフプレキャスト床版の端部を載置し易くなる。したがって、ハーフプレキャスト床版の施工性が向上する。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、梁及びスラブの施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第一実施形態に係る梁スラブ構造が適用されたハーフプレキャスト梁、ハーフプレキャスト床版、及びトップコンクリートを示す立断面図である。
【
図2】第二実施形態に係る梁スラブ構造が適用されたハーフプレキャスト梁、ハーフプレキャスト床版、及びトップコンクリートを示す立断面図である。
【
図3】第二実施形態におけるシア筋の変形例を示す
図2に対応する立断面図である。
【
図4】第一実施形態に係る梁スラブ構造の変形例が適用されたハーフプレキャスト梁を示す
図1に対応する立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。
【0021】
(梁スラブ構造)
図1には、第一実施形態に係る梁スラブ構造が適用されたハーフプレキャスト梁20、ハーフプレキャスト床版40、及びトップコンクリート50が示されている。なお、各図に示される矢印Xは、ハーフプレキャスト梁20の梁幅方向を示している。また、矢印Zは、ハーフプレキャスト梁20の梁成方向、及びハーフプレキャスト床版40の厚み方向を示している。
【0022】
(ハーフプレキャスト梁)
ハーフプレキャスト梁20は、プレキャストコンクリートによって形成されており、図示しない一対の柱に架設されている。また、ハーフプレキャスト梁20の断面形状は、矩形状とされている。このハーフプレキャスト梁20は、その上に打設されるトップコンクリート50と共に鉄筋コンクリート造の梁10を形成している。なお、本実施形態では、ハーフプレキャスト梁20の断面形状が矩形状とされたが、ハーフプレキャスト梁20の断面形状は、例えば、上面20Uに凸部が形成された断面形状であってもよい。
【0023】
梁10の断面形状は、矩形状とされている。また、梁10には、複数の下端梁主筋12、複数の上端梁主筋14、及び複数のせん断補強筋16が埋設されている。複数の下端梁主筋12及び上端梁主筋14は、梁10の材軸方向に沿って配筋されるとともに、梁10の梁幅方向に間隔を空けて配筋されている。
【0024】
複数の下端梁主筋12は、梁10の下端側、すなわちハーフプレキャスト梁20の下端側に埋設されている。一方、複数の上端梁主筋14は、梁10の上端側、すなわちトップコンクリート50の上端側に埋設されている。これらの下端梁主筋12及び上端梁主筋14の周囲には、複数のせん断補強筋16が配筋されている。なお、下端梁主筋12及び上端梁主筋14は、梁主筋の一例である。
【0025】
複数のせん断補強筋16は、梁10の材軸方向に間隔を空けて配筋されている。また、複数のせん断補強筋16は、ハーフプレキャスト梁20とトップコンクリート50に亘って配筋されている。
【0026】
(ハーフプレキャスト床版)
ハーフプレキャスト床版40は、プレキャストコンクリートによって、矩形の板状(版状)に形成されている。また、ハーフプレキャスト床版40の端部は、ハーフプレキャスト梁20の上面20Uの端部に載置されている。これにより、ハーフプレキャスト床版40の施工時に、ハーフプレキャスト床版40を支持する支保工(サポート)の数が低減される。このハーフプレキャスト床版40は、その上に打設されるトップコンクリート50と共に鉄筋コンクリート造のスラブ30を形成している。
【0027】
スラブ30には、複数のスラブ筋32が配筋されている。複数のスラブ筋32は、スラブ30の面内方向に沿って配筋されており、トップコンクリート50に埋設されている。
【0028】
なお、ハーフプレキャスト床版40の構成は、適宜変更可能である。したがって、ハーフプレキャスト床版40の内部には、例えば、図示しないスラブ筋や、ハーフプレキャスト床版40にプレストレスを導入するPC鋼材(図示しない)が埋設されても良い。また、ハーフプレキャスト床版40には、例えば、ハーフプレキャスト床版40の上面40Uから突出するトラス筋等が埋設されても良い。さらに、本実施形態では特に説明しなかったが、ハーフプレキャスト床版40については、上面40Uに凸状のリブが形成されていてもよく、また、内部にボイド等が形成されていてもよい。
【0029】
(トップコンクリート)
トップコンクリート50は、ハーフプレキャスト梁20の上面20Uとハーフプレキャスト床版40の上面40Uとに亘って設けられており、ハーフプレキャスト梁20及びハーフプレキャスト床版40と一体化されている。
【0030】
ここで、ハーフプレキャスト梁20には、例えば、高強度コンクリートが用いられる。一方、スラブ30のトップコンクリート50には、例えば、普通コンクリートが用いられる。そのため、ハーフプレキャスト梁20の設計基準強度は、スラブ30のトップコンクリート50の設計基準強度よりも高くされている。換言すると、スラブ30のトップコンクリート50の設計基準強度は、ハーフプレキャスト梁20の設計基準強度よりも低くされている。また、梁10及びスラブ30には、同じ設計基準強度のトップコンクリート50が用いられる。そのため、梁10は、設計基準強度が異なる二種類のコンクリートによって形成されている。
【0031】
なお、梁10は、設計基準強度が異なる二種類のコンクリートを使用した場合の設計手法によって適宜設計される。
【0032】
また、ハーフプレキャスト床版40には、例えば、高強度コンクリートが用いられる。そのため、ハーフプレキャスト床版40の設計基準強度は、トップコンクリート50の設計基準強度よりも高くされている。換言すると、トップコンクリート50の設計基準強度は、ハーフプレキャスト床版40の設計基準強度よりも低くされている。そのため、スラブ30は、設計基準強度が異なる二種類のコンクリートによって形成されている。
【0033】
なお、ハーフプレキャスト梁20の設計基準強度は、一例として、Fc60(N/mm2)とされ、トップコンクリート50の設計基準強度は、一例として、Fc30(N/mm2)とされる。また、ハーフプレキャスト床版40の設計基準強度は、一例として、Fc50(N/mm2)とされる。さらに、梁10の上方部分のコンクリート(トップコンクリート50)と、梁10の下方部分のコンクリート(ハーフプレキャスト梁20)との強度差は、一例として3倍以下とされている。
【0034】
また、ハーフプレキャスト梁20及びハーフプレキャスト床版40の設計基準強度は、トップコンクリート50の設計基準強度よりも高ければ良い。したがって、ハーフプレキャスト梁20及びハーフプレキャスト床版40には、高強度コンクリートに限らず、普通コンクリート等を用いても良い。また、トップコンクリート50の設計基準強度は、ハーフプレキャスト梁20及びハーフプレキャスト床版40の設計基準強度よりも低ければ良い。したがって、トップコンクリート50には、普通コンクリートに限らず、例えば、高強度コンクリートを用いても良い。
【0035】
また、ハーフプレキャスト梁20の設計基準強度とハーフプレキャスト床版40の設計基準強度との大小関係には特に制約はなく、ハーフプレキャスト梁20の設計基準強度は、ハーフプレキャスト床版40の設計基準強度よりも高くても良いし、低くても良い。また、ハーフプレキャスト梁20の設計基準強度と、ハーフプレキャスト床版40の設計基準強度とは、同じでも良い。
【0036】
なお、ここでいう「設計基準強度」とは、構造物の構造計算において、基準としたコンクリートの圧縮強度を意味する。
【0037】
(作用)
次に、第一実施形態の作用について説明する。
【0038】
図1に示されるように、本実施形態に係る梁スラブ構造によれば、トップコンクリート50は、ハーフプレキャスト梁20の上面20Uとハーフプレキャスト床版40の上面40Uとに亘って配置されている。つまり、ハーフプレキャスト梁20のトップコンクリート50と、ハーフプレキャスト床版40のトップコンクリート50とは、同じ設計基準強度のコンクリートで形成されている。そのため、本実施形態では、ハーフプレキャスト梁20のトップコンクリート50と、ハーフプレキャスト床版40のトップコンクリート50とを打ち分ける必要がない。
【0039】
したがって、ハーフプレキャスト梁20のトップコンクリート50と、ハーフプレキャスト床版40のトップコンクリート50との境界部に設ける止め型枠等を省略することができるため、施工性が向上する。
【0040】
また、トップコンクリート50の設計基準強度は、ハーフプレキャスト梁20のコンクリートの設計基準強度よりも低くされている。したがって、トップコンクリート50のコストを合理的に削減することができる。
【0041】
さらに、本実施形態では、ハーフプレキャスト梁20及びハーフプレキャスト床版40を用いている。これにより、梁10及びスラブ30の施工時に、梁10及びスラブ30の型枠の仮設及び撤去作業が不要になる。また、型枠を支持する支保工の数が低減される。
【0042】
このように本実施形態では、梁10及びスラブ30の施工性を向上させることができる。
【0043】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態において、上記第一実施形態と同じ部材等には同符号を付して説明を適宜省略する。
【0044】
図2には、第二実施形態に係る梁スラブ構造が適用されたハーフプレキャスト梁60、ハーフプレキャスト床版40、及びトップコンクリート50が示されている。
【0045】
(ハーフプレキャスト梁)
ハーフプレキャスト梁60は、軽量化のために、軽量コンクリートによって形成されている。より具体的には、ハーフプレキャスト梁60は、人工軽量骨材を用いたコンクリートによって形成されている。
【0046】
一方、トップコンクリート50は、普通コンクリートによって形成されている。そのため、ハーフプレキャスト梁60の単位容積当たりの質量が、トップコンクリート50の単位容積当たりの質量よりも小さくされている。
【0047】
なお、ここでいう「軽量コンクリート」とは、単位容積当たりの質量が普通コンクリートとよりも小さいコンクリートを意味する。
【0048】
また、本実施形態では、上記第一実施形態と同様に、ハーフプレキャスト梁60の設計基準強度が、トップコンクリート50の設計基準強度よりも高くされている。換言すると、トップコンクリート50の設計基準強度が、ハーフプレキャスト梁60の設計基準強度よりも低くされている。
【0049】
なお、本実施形態では、ハーフプレキャスト梁60の設計基準強度が、一例として、Fc36(N/mm2)とされ、トップコンクリート50の設計基準強度が、一例として、Fc30(N/mm2)とされる。
【0050】
ここで、本実施形態では、ハーフプレキャスト梁60が軽量コンクリートによって形成されるため、ハーフプレキャスト梁60が普通コンクリートによって形成される場合よりも、ハーフプレキャスト梁60の打継面せん断強度が低下する可能性がある。なお、「打継面せん断強度」とは、ハーフプレキャスト梁20の上面20U部分のせん断強度である。
【0051】
この対策として本実施形態では、梁10にシア筋62が設けられている。シア筋62は、U字形状の鉄筋によって形成されており、U字形状の開口を下にした状態で配置されている。また、シア筋62は、ハーフプレキャスト梁60とトップコンクリート50とに亘って配置されている。
【0052】
シア筋62は、4本の上端梁主筋14のうち、中央の2本の上端梁主筋14に引っ掛けられた状態で保持されており、その下端側がハーフプレキャスト梁60に埋設されている。このシア筋62によって、梁10がせん断補強されている。
【0053】
なお、シア筋62は、必要に応じて梁10に設ければ良く、適宜省略可能である。
【0054】
(作用)
次に、第二実施形態の作用について説明する。
【0055】
図2に示されるように、本実施形態に係る梁スラブ構造によれば、ハーフプレキャスト梁60は、軽量コンクリートによって形成されている。これにより、本実施形態では、例えば、ハーフプレキャスト梁60が普通コンクリートによって形成される場合と比較して、ハーフプレキャスト梁60の重量が軽くなる。したがって、ハーフプレキャスト梁60の揚重性が向上するとともに、揚重機のサイズダウンが可能になる。
【0056】
また、梁10及びスラブ30のトップコンクリート50は、普通コンクリートによって形成されている。そのため、ハーフプレキャスト梁60を軽量コンクリートによって形成しても、重量床衝撃音等に対する遮音性能を確保することができる。
【0057】
さらに、梁10には、シア筋62が設けられている。このシア筋62によって、梁10の打継面がせん断補強されている。したがって、本実施形態では、梁10の軽量化を図りつつ、梁10の打継面せん断強度を確保することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、シア筋62がU字形状の鉄筋によって形成されている。しかし、シア筋62は、ハーフプレキャスト梁60とトップコンクリート50とに亘って配置され、梁10の打継面をせん断補強可能であれば良く、その形状は適宜変更可能である。
【0059】
例えば、
図3に示される変形例では、シア筋64がL字形状の鉄筋によって形成されている。このシア筋64は、ハーフプレキャスト梁60とトップコンクリート50とに亘って配置されている。このようにシア筋64の形状は、適宜変更可能である。
【0060】
(変形例)
次に、上記第一実施形態及び上記第二実施形態の変形例について説明する。なお、以下では、上記第一実施形態を例に各種の変形例について説明するが、これらの変形例は、上記第二実施形態にも適宜適用可能である。
【0061】
上記第一実施形態では、ハーフプレキャスト梁20の上面20Uが平坦面とされている。しかし、例えば、
図4に示される変形例のように、ハーフプレキャスト梁20の上面20Uには、突出部22が設けられても良い。
【0062】
具体的には、突出部22は、ハーフプレキャスト梁20と同じコンクリートによって、ハーフプレキャスト梁20と一体に形成されている。また、突出部22は、ハーフプレキャスト梁20の材軸方向に延びるとともに、ハーフプレキャスト梁20の上面20Uにおける梁幅方向の中央部から上方へ突出している。さらに、突出部22の断面形状は、矩形状とされている。この突出部22は、一対の側面22Sと、上面22Uとを有している。
【0063】
ここで、ハーフプレキャスト梁20の上面20Uの端部に、ハーフプレキャスト床版40の端部を載置すると、突出部22の側面22Sに、ハーフプレキャスト床版40の端部の端面40Eが対向される。この突出部22の側面22Sによって、ハーフプレキャスト梁20に対するハーフプレキャスト床版40の端面40Eの位置が規制される。
【0064】
このようにハーフプレキャスト梁20の上面20Uに突出部22を設けることにより、ハーフプレキャスト梁20の上面20Uに対するハーフプレキャスト床版40の端面40Eの位置が規制される。したがって、ハーフプレキャスト梁20の上面20Uにハーフプレキャスト床版40を載置し易くなる。したがって、ハーフプレキャスト床版40の施工性が向上する。
【0065】
なお、突出部22の側面22Sとハーフプレキャスト床版40の端面40Eとの間には、トップコンクリート50が充填される。また、本変形例では、突出部22にせん断補強筋16が埋設されている。
【0066】
また、上記第一実施形態では、ハーフプレキャスト床版40の端部がハーフプレキャスト梁20の上面20Uに載置されている。しかし、ハーフプレキャスト床版40の端部は、必ずしもハーフプレキャスト梁20の上面20Uに載置する必要はなく、例えば、ブラケット等を介してハーフプレキャスト梁20の上面20Uに支持させても良いし、ハーフプレキャスト梁20の上面20Uに支持させずに、支保工等によって支持しても良い。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
20 ハーフプレキャスト梁
20U 上面(ハーフプレキャスト梁の上面)
22 突出部
40 ハーフプレキャスト床版
40E 端面(ハーフプレキャスト床版の端部の端面)
40U 上面(ハーフプレキャスト床版の上面)
50 トップコンクリート
60 ハーフプレキャスト梁