(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】予測装置及び予測モデル学習装置
(51)【国際特許分類】
G06N 20/00 20190101AFI20240821BHJP
G06N 3/08 20230101ALI20240821BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20240821BHJP
【FI】
G06N20/00 130
G06N3/08
G06Q10/04
(21)【出願番号】P 2020200640
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畔上 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】安藤 邦明
(72)【発明者】
【氏名】国本 陸斗
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-081431(JP,A)
【文献】特開2019-145882(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187584(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 20/00
G06N 3/02-3/10
G06Q 10/04
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の属性を表す属性情報と、予測対象の時刻を表す時刻情報と、前記人の周辺の外的環境を表す環境情報とを取得する取得部と、
前記属性情報、前記時刻情報、及び前記環境情報から前記時刻情報に対応する時刻における前記人の位置情報を予測するための予め学習された学習済みモデルに対して、前記取得部により取得された前記属性情報、前記時刻情報、及び前記環境情報を入力することにより、前記時刻情報に対応する時刻における前記人の位置情報を予測する予測部と、
を含
み、
前記予測部は、複数の人の各々の前記属性情報と前記時刻情報と前記環境情報とを前記学習済みモデルへ入力することにより、複数の人の各々の前記位置情報を予測し、
前記予測部により予測された、複数の人の各々の前記位置情報から、複数の人の各々の行動パターンを生成し、前記行動パターンをクラスタリングすることにより、複数の人の前記属性情報を分類するクラスタリング部を更に備える、
予測装置。
【請求項2】
前記予測装置は、都市計画又は建物計画に利用される予測装置であり、
前記人の位置情報の予測結果は、都市計画又は建物計画に利用される、
請求項1に記載の予測装置。
【請求項3】
前記学習済みモデルは、属性情報毎に予め生成された複数の決定木モデルであり、前記決定木モデルは、前記時刻情報及び前記環境情報が入力されると前記属性情報を有する人の位置情報を出力するようなモデルであり、
前記属性情報毎の決定木モデルからは、節点に位置する特徴量の予測に対する寄与を表す重要度を得ることが可能であり、
前記クラスタリング部は、前記属性情報毎の決定木モデルに基づいて、前記属性情報毎に特徴量の重要度を算出し、前記属性情報毎に特徴量の重要度を順位付けし、重要度に基づく特徴量の順位付け結果に基づいて、複数の人の属性情報を分類する、
請求項1又は請求項2に記載の予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測装置及び予測モデル学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人流を予測する技術が知られている。
【0003】
例えば、人流と相関を持つ外部情報を用いて、予測対象時刻の人流を予測する技術が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示されている技術の外部情報は、人流と相関を持つ情報であり、例えばそのエリアの時間帯別の予想集客数等である(例えば、特許文献1の段落[0040]等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ある領域の人流は、その領域の周辺の景観等の周辺環境の影響を受ける場合がある。このため、ある領域における人流を予測する際には、その領域の周辺環境を考慮する必要がある。また、どのような属性の人がその人流に存在するのか、といったことを予測したい場合がある。
【0006】
しかし、上記特許文献1に開示されている技術は、予想集客数等の外部情報を用いて人流を予測するものであり、その領域の景観等の周辺環境については考慮されていない。また、上記特許文献1に開示されている技術は、人流に含まれる人の属性については考慮されていない。
【0007】
本発明は上記事実を考慮して、ある属性の人の人流を予測する際に、周辺環境を考慮して人流を予測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1の態様は、人の属性を表す属性情報と、予測対象の時刻を表す時刻情報と、前記人の周辺の外的環境を表す環境情報とを取得する取得部と、前記属性情報、前記時刻情報、及び前記環境情報から前記時刻情報に対応する時刻における前記人の位置情報を予測するための予め学習された学習済みモデルに対して、前記取得部により取得された前記属性情報、前記時刻情報、及び前記環境情報を入力することにより、前記時刻情報に対応する時刻における前記人の位置情報を予測する予測部と、を含む予測装置である。
【0009】
また、本発明に係る第2の態様である予測装置は、クラスタリング部を更に備え、前記予測部は、複数の人の各々の前記属性情報と前記時刻情報と前記環境情報とを前記学習済みモデルへ入力することにより、複数の人の各々の前記位置情報を予測し、前記クラスタリング部は、前記予測部により予測された、複数の人の各々の前記位置情報から、複数の人の各々の行動パターンを生成し、前記行動パターンをクラスタリングすることにより、複数の人の前記属性情報を分類する、請求項1に記載の予測装置である。
【0010】
また、本発明に係る第3の態様である予測モデル学習装置は、人の属性を表す学習用の属性情報と、予測対象の時刻を表す学習用の時刻情報と、前記人の周辺の外的環境を表す環境情報と、前記人の学習用の位置情報とが対応付けられた学習用データに基づいて、前記属性情報、前記時刻情報、及び前記環境情報から前記時刻情報に対応する時刻における前記人の位置情報を予測するためのモデルを学習させることにより、前記属性情報、前記時刻情報、及び前記環境情報から前記時刻情報に対応する時刻における前記人の位置情報を予測するための学習済みモデルを生成する学習部を含む予測モデル学習装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ある属性の人の人流を予測する際に、周辺環境を考慮して人流を予測することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る人流予測システムを示すブロック図である。
【
図3】実施形態の学習用データを説明するための図である。
【
図4】第1実施形態のモデルを説明するための図である。
【
図5】実施形態に係る人流予測システムの学習処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る人流予測システムの人流予測処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態に係る人流予測システムを示すブロック図である。
【
図8】第3実施形態のモデルを説明するための図である。
【
図9】特徴量の順位付け結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
[第1実施形態]
【0015】
<本実施形態の人流予測システムの構成>
【0016】
図1は、第1実施形態に係る人流予測システム10の構成の一例を示すブロック図である。人流予測システム10は、機能的には、
図1に示されるように、入力部12と、人流予測装置14と、表示部16とを含んだ構成で表すことができる。
【0017】
入力部12は、ユーザから入力されたデータ等を受け付ける。入力部12は、例えば、マウス、及びキーボード等によって実現される。
【0018】
人流予測装置14は、CPU(Central Processing Unit)、各処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、記憶手段としてのメモリ、及びネットワークインタフェース等を含んだコンピュータにより実現される。
【0019】
人流予測装置14は、機能的には、
図1に示すように、学習用データ記憶部20と、学習部22と、学習済みモデル記憶部24と、取得部26と、予測部28とを備えている。
【0020】
図2及び
図3に、本実施形態の概要を説明するための図を示す。実施形態の人流予測装置14は、人の流れを表す人流を予測する際に、人の属性を表す属性情報と、人の周辺の外的環境を表す環境情報とに基づいて、人流を予測する。なお、属性情報には、例えば、人の性別、年齢、職業、及び居住地といった情報が含まれる。また、環境情報には、例えば、その地域内の気象状況、緑視率、景観、建物、店舗、店舗の魅力度(例えば、グルメサイトの点数等)、及び交通利便度といった情報が含まれる。なお、これらの情報は、後述する学習済みモデルに入力可能な情報へと変換される。また、人の周辺の外的環境とは、人の位置から予め定められた範囲内の環境を表す。
【0021】
ある地域内の人流を予測する際には、その地域内の環境を考慮する必要がある。例えば、その地域内に魅力的な店舗が存在している場合には、その周辺には人が集まることが予想される。さらに、その魅力的な店舗が20代向けの店舗である場合には、その店舗周辺には20代の属性を有する人々が集まることが予想される。
【0022】
そこで、
図2に示されるように、本実施形態の人流予測装置14は、人流を予測する際に、人の属性を表す属性情報Atと、人の周辺の外的環境を表す環境情報Enとを考慮して、人流を予測する。例えば、人流予測装置14は、予測対象の時刻tにおいて、
図2に示される黒丸の位置に人が存在すると予測する。この場合、人流予測装置14は、予測対象の時刻tにおいて、予測対象の人の属性情報Atと、その地域内の環境情報Enとに基づいて、
図2に示される黒丸の位置Pに予測対象の人は存在する、と予測する。なお、位置Pに存在する予測対象の人は、属性情報Atを有している。このようにして、本実施形態によれば、人流を予測する際に、人の属性及び環境を考慮して人流を予測することが可能となる。
【0023】
以下、具体的に説明する。
【0024】
学習用データ記憶部20には、複数の学習用データが格納される。本実施形態の学習用データは、ある人の属性を表す学習用の属性情報と、予測対象の時刻を表す学習用の時刻情報と、ある人の周辺の外的環境を表す学習用の環境情報と、ある人の当該時刻の学習用の位置情報とが対応付けられたデータである。学習用データは、例えば、過去の実績に基づくデータである。
【0025】
図3に、本実施形態の学習用データを説明するための図を示す。
図3に示されるように、学習用データは、人毎に、学習用の属性情報と、学習用の時刻情報と、学習用の環境情報と、学習用の位置情報とが対応付けられて格納される。
【0026】
図3に示される人ID「00001」の学習用データは、ある人の学習用の属性情報が「A1,・・・」、予測対象の時刻を表す学習用の時刻情報が「D1,・・・」、及び学習用の環境情報が「F1,・・・」であった場合に、その人の学習用の位置情報が「Z1,・・・」であったことが示されている。なお、属性情報及び環境情報は、数値データに置き換えられる。例えば、属性情報のうちの性別については、男性が-1、女性が1といった形式に変換され、後述する学習済みモデルに入力可能な形式とされる。また、環境情報も同様である。
【0027】
学習部22は、学習用データ記憶部20に格納されている複数の学習用データに基づいて、人の属性情報、時刻情報、及び人の周辺の外的環境を表す環境情報から当該人の位置情報を予測するためのモデルを学習させる。そして、学習部22は、人の属性情報、予測対象の時刻情報、及び環境情報から当該人の位置情報を予測するための学習済みモデルを生成する。
【0028】
図4に、第1実施形態のモデルを説明するための図を示す。
図4に示されるように、第1実施形態のモデルは、ニューラルネットワークである。このため、学習部22によって学習済みのニューラルネットワークM1が生成される。人の属性情報、予測対象の時刻情報、及び環境情報が、学習済みのニューラルネットワークM1へ入力されると当該人の位置情報としての緯度及び経度が出力される。なお、このときニューラルネットワークM1から出力される位置情報は、予測対象の時刻情報に対応する時刻における、当該人の位置情報である。なお、
図4の学習済みのニューラルネットワークM1の入力データとして「時刻」「曜日」といったデータが含まれているが、この「時刻」「曜日」に相当する箇所に時刻情報に対応するデータが入力される。
【0029】
このため、学習部22は、学習用データ記憶部20に格納されている複数の学習用データに基づいて、既知の教師あり機械学習によってニューラルネットワークを学習させ、学習済みのニューラルネットワークを生成する。なお、教師あり機械学習の手法はどのようなものであっても良い。
【0030】
そして、学習部22は、生成した学習済みモデルを学習済みモデル記憶部24へ格納する。
【0031】
学習済みモデル記憶部24には、学習部22によって生成された学習済みモデルが格納される。
【0032】
取得部26は、予測対象のデータを取得する。具体的には、取得部26は、位置予測対象の人の属性情報、予測対象の時刻情報、及び人の周辺の外的環境を表す環境情報を取得する。
【0033】
予測部28は、学習済みモデル記憶部24に格納された学習済みモデルに対して、取得部26により取得された予測対象の人の属性情報、予測対象の時刻情報、及び環境情報を入力することにより、当該人の位置情報を予測する。
【0034】
このように、第1実施形態の人流予測装置14は、人流を予測する際に、人の属性情報及び人の周辺の外的環境を表す環境情報を予測に用いる。これにより、ある属性の人の人流を予測する際に、その環境を考慮して人流を予測することができる。
【0035】
表示部16は、人流予測装置14から出力された情報を表示する。表示部16は、例えば、ディスプレイ等によって実現される。表示部16は、予測部28によって得られた予測結果を表示する。ユーザは、表示部16に表示された予測結果を確認し、例えば、建物計画に利用する。
【0036】
<人流予測システムの作用>
【0037】
次に、図を参照して、第1実施形態の人流予測システム10の作用を説明する。人流予測システム10の人流予測装置14は、入力部12により学習用データを受け付けると、学習用データ記憶部20に格納する。そして、人流予測システム10の人流予測装置14は、学習処理開始の指示信号を受け付けると、
図5に示す学習処理ルーチンを実行する。
【0038】
<学習処理ルーチン>
【0039】
ステップS100において、学習部22は、学習用データ記憶部20に格納されている複数の学習用データを取得する。
【0040】
ステップS102において、学習部22は、上記ステップS100で取得された複数の学習用データに基づいて、モデルの一例であるニューラルネットワークを学習させることにより、人の位置情報を予測するための学習済みのニューラルネットワークを生成する。
【0041】
ステップS104において、学習部22は、上記ステップS102で生成された学習済みモデルを学習済みモデル記憶部24に格納して、学習処理ルーチンを終了する。
【0042】
次に、人流予測システム10の人流予測装置14は、入力部12から入力された、予測対象のデータを受け付けると、
図6に示す人流予測処理ルーチンを実行する。
【0043】
<人流予測処理ルーチン>
【0044】
ステップS200において、取得部26は、入力部12から入力された、位置予測対象の人の属性情報を取得する。
【0045】
ステップS202において、取得部26は、入力部12から入力された、位置予測対象の時刻情報を取得する。
【0046】
ステップS204において、取得部26は、入力部12から入力された、位置予測対象の人の環境情報を取得する。
【0047】
ステップS206において、予測部28は、学習済みモデル記憶部24に格納された学習済みモデルである学習済みのニューラルネットワークを読み出す。
【0048】
ステップS208において、予測部28は、上記ステップS206で読み出された学習済みのニューラルネットワークに対して、上記ステップS200で取得された人の属性情報と、上記ステップS202で取得された時刻情報と、上記ステップS204で取得された環境情報とを入力することにより、位置予測対象の人の位置情報を予測する。
【0049】
ステップS210において、予測部28は、上記ステップS208で得られた位置情報を結果として出力して、人流予測処理ルーチンを終了する。
【0050】
表示部16には、人流予測装置14から出力された情報が表示される。ユーザは、表示部16に表示された情報を確認し、例えば、建物計画に利用する。
【0051】
以上詳細に説明したように、第1実施形態の人流予測装置は、人の属性を表す属性情報と、予測対象の時刻情報と、人の周辺の外的環境を表す環境情報とを取得する。そして、人流予測装置は、予測対象の時刻における人の位置情報を予測するための予め学習された学習済みモデルに対して、取得された属性情報、時刻情報、及び環境情報を入力することにより、予測対象の時刻情報に対応する時刻における人の位置情報を予測する。これにより、ある属性の人の人流を予測する際に、その周辺環境を考慮して人流を予測することができる。具体的には、予測対象のある時刻において、どのような属性の人が、どのような位置に存在するのか、といったことが予測される。
【0052】
より具体的には、第1実施形態の人流予測装置は、外的要因としての環境をパラメーターとして考慮することにより、人の周辺の環境を考慮して人流を予測することができる。
【0053】
また、第1実施形態の人流予測装置によれば、ある環境下及び属性情報での人流を再現又は予測をすることができる。例えば、30代の車好き男性が晴れの日に訪れやすい場所(位置情報)を予測することができる。
【0054】
また、街の外的要因を表す環境と実際の人の行動とを考慮した人流の予測を行うため、将来的な街の賑わい等を予測することが可能となる。また、新規再開発による外的要因の変化を人流予測装置へ入力することにより、再開発後の人流予測が可能となる。また、属性及び環境を考慮した人流の予測により、集客効果を予測することも可能となり、イベントのコンテンツ及び商業施設の在庫管理にも利用することができる。
【0055】
[第2実施形態]
【0056】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、複数の人の各々の位置情報の予測結果から、複数の人の各々の行動パターンを生成し、当該行動パターンをクラスタリングすることにより、複数の人の属性情報を分類する点が第1実施形態と異なる。
【0057】
図7は、第2実施形態に係る人流予測システム210の構成の一例を示すブロック図である。人流予測システム210は、機能的には、
図7に示されるように、入力部12と、人流予測装置214と、表示部16とを含んだ構成で表すことができる。
【0058】
人流予測装置214は、機能的には、
図7に示すように、学習用データ記憶部20と、学習部22と、学習済みモデル記憶部24と、取得部26と、予測部228と、クラスタリング部30とを備えている。
【0059】
予測部228は、複数の人の各々について、当該人の属性情報と、予測対象の時刻情報と、環境情報とを学習済みモデルへ入力することにより、複数の人の各々の予測対象の時刻における位置情報を予測する。
【0060】
クラスタリング部30は、予測部228により予測された、複数の人の各々の予測対象の時刻における位置情報から、複数の人の各々の行動パターンを生成する。そして、クラスタリング部30は、複数の行動パターンをクラスタリングすることにより、複数の人の属性情報を分類する。
【0061】
例えば、ある20代女性が予測対象の時刻tには領域Rに居ると予測部228により予測された場合を考える。この場合、クラスタリング部30は、ある20代女性について(時刻t:領域R)という行動パターンを生成する。ここで、例えば、60代男性も同様の行動パターン(時刻t:領域R)である場合には、クラスタリング部30は、20代女性と60代男性とを同一の行動パターンを有するものとしてクラスタリングする。
【0062】
このようにして、行動パターンに基づいて属性情報をクラスタリングすることにより、傾向が似ている人の属性を特定することが可能となる。このような情報は、例えば、都市計画又は建物計画に利用することができる。
【0063】
なお、第2実施形態に係る人流予測システムの他の構成及び作用については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
以上詳細に説明したように、第2実施形態の人流予測システムの人流予測装置は予測された、複数の人の各々の予測対象の時刻における位置情報から、複数の人の各々の行動パターンを生成し、行動パターンをクラスタリングすることにより、複数の人の属性情報を分類する。これにより、行動の傾向が似ている人の属性を特定することが可能となる。
【0065】
[第3実施形態]
【0066】
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態においては、学習済みモデルが決定木モデルである点が第1及び第2実施形態と異なる。なお、第3実施形態に係る人流予測システムの構成は、第2実施形態と同様の構成となるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
図8に、第3実施形態のモデルの一例を示す。
図8に示されるように、第3実施形態のモデルは決定木モデルである。本実施形態の決定木モデルM2は人の属性情報毎に生成される。
【0068】
例えば、ある属性用の決定木モデルM2に入力データとして、その人の予測対象の時刻情報及び環境情報が入力されると、「平日?」という節点にて判定がなされ、平日であれば左側の節点へ移行する。なお、このときの時刻情報には日付に相当する情報も含まれている。一方、休日であれば右側の節点へ移行する。そして、最終的には例えば「緯度〇〇経度〇〇」といった位置情報の予測値が決定木モデルM2から出力される。
【0069】
第2実施形態の人流予測装置214の学習部22は、第1及び第2実施形態と同様に、複数の学習用データに基づいて、既知の決定木モデル用の教師あり機械学習アルゴリズムを用いて、決定木モデルを学習させ、学習済みの決定木モデルを人の属性情報毎に生成する。そして、学習部22は、学習済みの決定木モデルを学習済みモデル記憶部24へ格納する。
【0070】
第2実施形態の人流予測装置14の予測部228は、属性毎の学習済みの決定木モデルに対して、位置予測対象の人の時刻情報と環境情報とを入力することにより、位置予測対象の人の位置情報を予測する。なお、属性情報毎に位置情報の予測値が出力される。
【0071】
なお、属性毎の学習済みの決定木モデルからは、節点に位置する特徴量の分割が予測にどれくらい寄与しているのかを表す重要度を得ることができる。なお、特徴量とは、例えば「気温10℃以下?」の分割における「気温」に相当する。重要度は、例えば、既知のジニ不純度等から算出される。
【0072】
このため、クラスタリング部30は、属性情報毎に特徴量の重要度を算出する。そして、クラスタリング部30は、属性情報毎に特徴量の重要度を順位付けする。
図9に、特徴量の重要度の順位付けを説明するための図を示す。
図9の例では、重要度が最も高いのは特徴量Aであり、次に重要度が高いのは特徴量Bである。クラスタリング部30は、このような特徴量の順位付けを属性情報毎に行う。
【0073】
そして、クラスタリング部30は、重要度に基づく特徴量の順位付け結果に基づいて、複数の人の属性情報を分類する。例えば、ある20代女性の特徴量の順位付け結果は、1位が特徴量A,2位が特徴量B,3位が特徴量Cであった場合を考える。
【0074】
ここで、例えば、60代男性の特徴量の順位付け結果も、1位が特徴量A,2位が特徴量B,3位が特徴量Cであったとする。この場合には、クラスタリング部30は、20代女性と60代男性とを同一のクラスタとしてクラスタリングする。
【0075】
このようにして、位置情報を予測する際の特徴量に基づいて属性情報をクラスタリングすることにより、傾向が似ている人の属性を特定することが可能となる。このような情報は、例えば、都市計画又は建物計画に利用することができる。
【0076】
なお、第3実施形態に係る人流予測システムの他の構成及び作用については、第1又は第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0077】
以上詳細に説明したように、第3実施形態の人流予測システムの人流予測装置は、学習済みモデルとして決定木モデルを利用して人の位置情報を予測する。これにより、位置情報を予測する際の特徴量に基づいて属性情報をクラスタリングすることが可能となるため、傾向が似ている人の属性を特定することが可能となる。また、人流の予測にどの特徴量が重要であるのかを把握することができる。
【0078】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0079】
例えば、上記各実施形態では、学習済みモデルの一例として、ニューラルネットワーク又は決定木モデルを用いる場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。機械学習によって得られるモデルであれば、どのようなモデルであっても良い。
【0080】
また、上記では本発明に係るプログラムが記憶部(図示省略)に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係るプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM及びマイクロSDカード等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【符号の説明】
【0081】
10,210 人流予測システム
12 入力部
14,214 人流予測装置
16 表示部
20 学習用データ記憶部
22 学習部
24 学習済みモデル記憶部
26 取得部
28,228 予測部
30 クラスタリング部