(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】誘導シール装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/22 20060101AFI20240821BHJP
B65B 7/02 20060101ALI20240821BHJP
B29C 65/36 20060101ALI20240821BHJP
H05B 6/36 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
B65B51/22 200
B65B7/02 Z
B29C65/36
H05B6/36 D
(21)【出願番号】P 2020502457
(86)(22)【出願日】2018-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2018068223
(87)【国際公開番号】W WO2019015981
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-07-05
(32)【優先日】2017-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ダグ・スヴェールド
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・イングヴァーション
(72)【発明者】
【氏名】シャーロット・フリベルク
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・スタイコビッチ
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/083212(WO,A1)
【文献】特表2016-533980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/00
B65B 7/00
B29C 65/00
H05B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入可能な食品製品を密封した包装を生成するために包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置(100)であって、前記包装材料は少なくとも1層の金属箔を有し、
前記包装材料を誘導加熱するために前記金属箔内に交流電流を誘導するように構成されたインダクタコイル(101)と、
前記インダクタコイル(101)が埋設され、少なくとも1つの対話型表面(104)を介して密封される前記包装材料と相互作用するように構成される、電磁挿入部(102)と、
前記インダクタコイルへの並列接続(106)を含み、AC電源に接続するように構成される接続ユニット(105)とを含み、
密封される前記包装材料に向かって配置される前記インダクタコイルの外部(103)が露出するように前記インダクタコイルが前記電磁挿入部(102)に埋設され、
前記インダクタコイルは、その対向する第1の端部(112)と第2の端部(112’)との間の長手方向(111)に延在し、前記接続ユニットは前記第1の端部に配置され、
前記インダクタコイルは第1の対のインダクタバー(109、109’)及び第2の対のインダクタバー(110、110’)を含み、
前記第1の対のインダクタバーは、第1インダクタバー(109)及び第2インダクタバー(109’)を備え、
前記第2の対のインダクタバーは、第3インダクタバー(110)及び第4インダクタバー(110’)を備え、
前記第1及び第2の対のインダクタバーは、前記インダクタコイルの前記長手方向(111)に沿って互いに平行に延在するように配置され、
前記第1の対のインダクタバーの前記第1インダクタバー(109)及び前記第2インダクタバー(109’)は、前記第2の端部で互いに接続され、
前記第2の対のインダクタバーの前記第3インダクタバー(110)及び前記第4インダクタバー(110’)は、前記第2の端部で互いに接続され、
前記接続ユニットは、前記インダクタコイルの前記第1及び第2の対のインダクタバーに結合された第1(107)及び第2(108)の接続要素を含み、
前記第1の端部で前記第1の接続要素(107)は、前記第1の対のインダクタバーの前記第2インダクタバー(109’)及び前記第2の対のインダクタバーの前記第4
インダクタバー(110’)に結合され、
前記第1の端部で前記第2の接続要素(108)は、前記第1の対のインダクタバーの前記第1インダクタバー(109)及び前記第2の対のインダクタバーの前記第3インダクタバー(110)に結合される、
誘導シール装置(100)。
【請求項2】
前記第1の端部で前記第1及び第2の接続要素は、それぞれが平坦な形状を有し、互いに平行に配置された第1及び第2の平面内のそれぞれに延在し、
前記第1及び第2の平面は前記長手方向に平行に延在する垂直方向(117)を有する、請求項1に記載の誘導シール装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の平面は電気的な絶縁材料(113)のシートによって分離される、請求項2に記載の誘導シール装置。
【請求項4】
電気的な絶縁材料の前記シートは約0.5mmの厚さを有する、請求項3に記載の誘導シール装置。
【請求項5】
前記第1の対のインダクタバーは、前記第2の対のインダクタバーから前記長手方向に垂直な横方向(119)における分離距離(118)だけ分離され、
前記第1及び/又は第2の接続要素は、少なくとも前記分離距離に対応する前記横方向における幅(120)を有するそれぞれの面内に延在する、請求項2~4のいずれか一項に記載の誘導シール装置。
【請求項6】
前記第1の対のインダクタバーは、前記第2の対のインダクタバーから前記長手方向に垂直な横方向(119)における分離距離(118)だけ分離され、
前記第1の接続要素に接続された前記インダクタバーは、互いに対向して配置され、互いから前記分離距離だけ分離される、請求項1~5のいずれか一項に記載の誘導シール装置。
【請求項7】
前記電磁挿入部は、前記第1及び第2の接続要素を埋設する、請求項1~6のいずれか一項に記載の誘導シール装置。
【請求項8】
前記対話型表面から離間して前記電磁挿入部を包囲するように配置された支持材料(114)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の誘導シール装置。
【請求項9】
前記支持材料は高分子を含む、請求項8に記載の誘導シール装置。
【請求項10】
前記第1の対のインダクタバーと第2の対のインダクタバーとの間に配置された補強部(121)を含み、
前記補強部は、前記対話型表面から離間して前記電磁挿入部を包囲するように配置された支持材料(114)を含む、請求項1に記載の誘導シール装置。
【請求項11】
前記支持材料は、前記インダクタコイルが延在する長手方向(111)に垂直な断面(116)内に長方形の外形(115)を有する、前記電磁挿入部を受領するためにu字形状を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の誘導シール装置。
【請求項12】
前記支持材料は、成形工程により前記
電磁挿入部の周囲に形成された形状を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の誘導シール装置。
【請求項13】
包装材料を誘導溶接するために誘導シール装置(100)を製造する方法(200)であって、前記包装材料は少なくとも1層の金属箔を有し、
前記包装材料を誘導加熱するために前記金属箔内に交流電流を誘導するように構成されたインダクタコイル(101)を提供すること(201)と、
前記インダクタコイルは、その対向する第1の端部(112)と第2の端部(112’)との間の長手方向(111)に延在し
、接続ユニットは前記第1の端部に配置され、
前記インダクタコイルは第1の対のインダクタバー(109、109’)及び第2の対のインダクタバー(110、110’)を含み、前記第1の対のインダクタバーは、第
1インダクタバー(109)及び第
2インダクタバー(109’)を備え、前記第2の対のインダクタバーは、第
3インダクタバー(110)及び第
4インダクタバー(110’)を備え、
前記第1及び第2の対のインダクタバーは、前記インダクタコイルの前記長手方向(111)に沿って互いに平行に延在するように配置され、
前記第1の対のインダクタバーの前記第
1インダクタバー(109)及び前記第
2インダクタバー(109’)は、前記第2の端部で互いに接続され、前記第2の対のインダクタバーの前記第
3インダクタバー(110)及び前記第
4インダクタバー(110’)は、前記第2の端部で互いに接続され、
密封される前記包装材料に向かって配置するため、前記インダクタコイルの外部(103)が露出するように前記インダクタコイルが電磁挿入部(102)に埋設されること(202)と、
密封される前記包装材料と相互作用するために前記電磁挿入部の少なくとも1つの対話型表面(104)を提供すること(203)と、
前記インダクタコイルへの並列接続(106)を含み、AC電源に接続するように構成される接続ユニット(105)を提供すること(204)とを含み、前記接続ユニットは、前記インダクタコイルの前記第1及び第2の対のインダクタバーに結合された第1(107)及び第2(108)の接続要素を含み、前記第1の端部で前記第1の接続要素(107)は、前記第1の対のインダクタバーの前記第
2インダクタバー(109’)及び前記第2の対のインダクタバーの前記第4
インダクタバー(110’)に結合され、前記第1の端部で前記第2の接続要素(108)は、前記第1の対のインダクタバーの前記第1インダクタバー(109)及び前記第2の対のインダクタバーの前記第3インダクタバー(110)に結合される、
誘導シール装置を製造する方法(200)。
【請求項14】
前記対話型表面から離間して前記電磁挿入部を包囲するために支持材料(114)を成形すること(205)を含む、請求項13に記載の誘導シール装置を製造する方法。
【請求項15】
前記支持材料は高分子を含む、請求項14に記載の誘導シール装置を製造する方法。
【請求項16】
請求項1~12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの誘導シール装置を含む包装材料を密封するためのシール機。
【請求項17】
請求項13~15のいずれか一項に記載の前記方法によって製造された少なくとも1つの誘導シール装置。
【請求項18】
凹部(123)
が、前記第1の対のインダクタバーと前記第2の対のインダクタバーとの間の第1の接続要素(107)及び/又は前記第2の接続要素(108)の平面に形成される、請求項2に記載の誘導シール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に誘導加熱の分野に関する。より詳細には、本発明は少なくとも1層の金属箔を有する包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置に関する。本発明は、また誘導シール装置を含むシール機、及び少なくとも1層の金属箔を有する包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を製造する関連方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
積層された包装材料の誘導加熱による溶接は、包装産業に使用される。このような積層された材料の一例は、紙、アルミニウム箔、並びに積層の内部及び外部表面に沿った熱可塑性コーティングを含むキャリア層である。誘導溶接の技法は、交流電流によって発生した導体周辺の磁場が、材料の抵抗に依存して材料を熱くする隣接した導電性材料に電流を誘導できるという事実に基づく。従って誘導溶接では導体ループ又はコイルはアルミニウム箔を含有する積層に対して備えられ、積層は接合されるべき材料と一緒に押圧される。アルミニウム箔は適切に選択された電流及び処理期間によって加熱される。材料が熱可塑性物質の隣接した層を密封するために十分に高い温度に加熱されることにより、組み合わせた熱可塑性物質の層を一緒に溶解し、ひいては緊密で耐久性のあるシールを生成する。
【0003】
以前の誘導シール装置に関する典型的な問題には、誘導加熱回路内でインダクタが他の電気部品と整合するのが困難であることが含まれ、しばしば不適切な品質係数(Q値)に起因して回路内に小さい公差が必要とされ、次いで高処理能力のシール機などの適用を要する際にシステムの強度が弱くなる。従ってこのようなインダクタの電気特性の変動が小さいことにより、その電気整合に大きな影響を与えることがあり、これにより包装容器上の溶接密封の品質を損なう可能性がある。別の課題は従来の誘導シール装置によって生成された熱量であり、誘導シール装置は増加した温度を取り扱うためにより複雑な設計を必要とする。従って厄介な製造方法も以前の解決策に関する課題であり、更に変化する用途に対する誘導シール装置のカスタム化がより困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、改良された誘導シール装置が好都合であり、具体的には高速密封システムにおける密封工程の最適化を促進するために、誘導加熱回路における誘導シール装置の頑健性を改善することを含む、上述の問題及び妥協点をより多く回避できる。またこのような誘導シール装置を含む関連したシール機も、このような誘導シール装置を製造する改良され、促進された方法と同様に好都合である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って本発明の例は、好ましくは添付の特許請求の範囲による装置を提供することにより単一又は任意の組合せで上述されたような当技術分野における1つ若しくは複数の欠陥、不都合又は課題を軽減し、緩和し、又は取り除く。
【0006】
第1の態様によれば、注入可能な食品製品を密封した包装を生成するために、包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置が提供される。包装材料は少なくとも1層の金属箔を有する。誘導シール装置は包装材料を誘導加熱するために金属箔内に交流電流を誘導するように構成されたインダクタコイル、及び密封される包装材料に向かって配置するためにその外部から離間してインダクタコイルをカプセル化する電磁挿入部を含む。電磁挿入部は少なくとも1つの対話型表面を介して密封される包装材料と相互作用するように構成される。誘導シール装置は接続ユニットを含む。接続ユニットはインダクタコイルへの並列接続を含み、AC電源に接続するように構成される。
【0007】
第2の態様によれば、包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を製造する方法が提供される。包装材料は少なくとも1層の金属箔を有する。方法は、包装材料を誘導加熱するために金属箔内に交流電流を誘導するように構成されたインダクタコイルを提供すること、及び密封される包装材料に向かって配置するためにその外部から離間して電磁挿入部でインダクタコイルをカプセル化することを含む。方法は、更に密封される包装材料と相互作用するために電磁挿入部の少なくとも1つの対話型表面を提供すること、及びインダクタコイルへの並列接続を含み、AC電源に接続するように構成される接続ユニットを提供することを含む。
【0008】
第3の態様によれば、包装材料を密封するためのシール機が提供される。シール機は、第1の態様による少なくとも1つの誘導シール装置、又は第2の態様の方法によって製造された少なくとも1つの誘導シール装置を含む。
【0009】
本発明の更なる例は従属請求項に定義され、本開示の第2、第3、及び第4の態様に対する特徴は、第1の態様に関して変更すべきところを変更する。
【0010】
本開示の一部の例は、低減したインダクタンスを有する包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を提供する。
【0011】
本開示の一部の例は、電気的により頑健な誘導加熱回路を提供する包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を提供する。
【0012】
本開示の一部の例は、誘導加熱回路内で他の電気部品とより容易に整合する包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を提供する。
【0013】
本開示の一部の例は、誘導加熱回路内で他の電気部品とより頑健に整合させる品質係数(Q)を有する包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を提供する。
【0014】
本開示の一部の例は、誘導シール適用に適用された電圧を下げることができる包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を提供する。
【0015】
本開示の一部の例は、作動時に低減した加熱量を生成する包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を提供する。
【0016】
本開示の一部の例は、より小型の包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を提供する。
【0017】
本開示の一部の例は、製造がより容易な包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を提供する。
【0018】
本開示の一部の例は、変化する幾何形状により容易に提供される包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を提供する。
【0019】
本開示の一部の例は、溶接に適用される誘導加熱回路の電気的パラメータに安定性を増加することができる包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を提供する。
【0020】
本開示の一部の例は、密封工程の制御を改良することができる包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を提供する。
【0021】
本開示の一部の例は、包装材料容器のより信頼できる密封を提供する。
【0022】
本開示の一部の例は、誘導シールの製造ラインの処理能力を増加させる。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「comprises/comprising(含む)」は述べた特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を指定すると取られるが、1つ若しくは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素又はそれらの群の存在或いは追加を除外しないことを強調しなければならない。
【0024】
可能な本発明の例のこれら及び他の態様、特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明の例の以下の説明から明瞭に解明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の例による誘導シール装置の一部の斜視図における概略図である。
【
図2】本開示の例による誘導シール装置の斜視図における概略図である。
【
図3a-b】本開示の例による誘導シール装置の断側面図における概略図である。
【
図4】本開示の例による誘導シール装置のインダクタコイルの電気接続図形の概略図である。
【
図5】本開示の例による誘導シール装置の一部の斜視図における概略図である。
【
図6】本開示の例による誘導シール装置の斜視図における概略図である。
【
図7a-b】本開示の例による包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置を製造する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に本発明の具体例について添付図面を参照に記載する。しかし本発明は多くの異なる形で具現化されてもよく、本明細書に説明された例に限定すると解釈するべきではなく、むしろこれらの例は本開示が完全且つ完璧であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。添付図面に示された例の詳述に使用された専門用語は、本発明を限定することを意図しない。図面では、同様の番号は同様の要素を指す。
【0027】
図1は、注入可能な食品製品を密封した包装を生成するための包装材料(図示せず)を誘導溶接するための誘導シール装置100の一部の斜視図における概略図である。包装材料はその積層材料構造内に少なくとも1層の金属箔を有する。
図1は、
図2に概略的に示された誘導シール装置100の第1の端部112の拡大図である。誘導シール装置100は、その加熱を誘導するために包装材料の金属箔内に交流電流を誘導するように構成されたインダクタコイル101を含む。
図3aは、その長手方向111に沿って切り取った誘導シール装置100の断面図である。誘導シール装置100は、
図3aに概略的に示されたように、密封される包装材料(図示せず)に向かって配置されるインダクタコイル101の外側部103から離間してインダクタコイル101をカプセル化する磁気挿入部102を含む。磁気挿入部102は、少なくとも1つの対話型表面104を介して密封される包装材料と相互作用するように構成される。磁気挿入部102の対話型表面104は、従って包装材料に抗して配置される。磁気挿入部102は挿入部に集中する磁束を含んでもよい。挿入部に集中する磁束は、高分子と軟磁性粒子の磁性化合物を含んでもよい。軟磁性粒子は、フェライト、NiZnフェライト、FeSiAl、FeSiBなどのナノ結晶合金及びその誘導体、又はFeNi合金及びその誘導体であってもよい。例えば
図1に示されたように、誘導シール装置100は接続ユニット105を含む。接続ユニット105はインダクタコイル101への並列接続106を含み、AC電源に接続するように構成される。インダクタコイル101の並列接続は、
図4に更に概略的に示されている。その外側部103から離間してインダクタコイル101をカプセル化するために磁気挿入部102を提供する一方で、並列接続106を介して接続ユニット105に連結されたインダクタコイル101を有することにより、包装材料の十分な加熱を誘導するために必要なエネルギー送達を維持する一方で、誘導シール装置100の作動温度を下げる。これにより、分散される熱量が低減するので誘導シール装置100の製造を促進させ、例えばより広範囲の材料を使用することが可能になる。例えば支持構造用の材料は(支持材料114に関して以下に更に論じるように)、従って例えば金属合金と対照的に製造を促進するために、容易に成形できるように高分子などが選択されてもよい。これは、また様々な適用に誘導シール装置100をより容易に最適化するためにより複雑な支持構造を形成することも可能にし、以前の厄介な一体化も回避することができる。その外側部103から離間してインダクタコイル101をカプセル化するために磁気挿入部102を提供する一方で、並列接続106を介して接続ユニット105に連結されたインダクタコイル101を有することにより、好都合なことに誘導シール装置100の作動電圧を下げ、更に誘導シール装置100のインダクタンスを低減する。インダクタンスを下げることにより、例えばシール機の誘導加熱回路の電気整合能力を改良する品質係数(Q値)が達成される。従ってQ値は低減することができ、それによって電気整合されたパラメータが最適化される範囲を狭くさせない。誘導加熱回路の電気的パラメータの変動は、従って誘導シール工程に害を及ぼさず、より頑健なシステムが提供される。これは、具体的には誘導シール装置100の電気特性が経時的に変動を受ける可能性がある高速生産ラインにおいて、包装容器の密封適用が求められる際に有利である。従ってこのような適用において包装材料容器のより信頼できる密封を提供することができ、処理能力を増加することができる。
【0028】
インダクタコイル101は、
図2に概略的に示されたように、その対向する第1の端部112と第2の端部112’との間を長手方向111に延在してもよい。接続ユニット105は第1の端部112に配置されてもよい。インダクタコイル101は、
図1及び4に示されたように、第1の対のインダクタバー109、109’、及び第2の対のインダクタバー110、110’を含んでもよい。第1及び第2の対のインダクタバー109、109’、110、110’は、インダクタコイル101の長手方向111に沿って互いに平行に延在するように配置されてもよい。各々の対のインダクタバー109、109’、110、110’は、第2の端部112’で更に互いに接続してもよい。従って例えば第1の対のインダクタバー109、109’は、第2の端部112’に転回点を備えた連続した接続ループを形成するために、
図4に示されたように第2の端部112’で接続されてもよく、第2の対のインダクタバー110、110’について逆も同様である。第1及び第2の対のインダクタバー109、109’、110、110’は、第1の端部112で接続ユニット105に接続される。これは小型で有効な誘導シール装置100を提供する。
【0029】
接続ユニット105は、インダクタコイル101の第1及び第2の対のインダクタバー109、109’、110、110’に結合された第1の接続要素107及び第2の接続要素108を含んでもよい。従って第1の端部112では、第1及び第2の接続要素107、108は、それぞれが第1の対のインダクタバー109、109’の一方のインダクタバー、及び第2の対のインダクタバー110、110’の一方のインダクタバーに結合されてもよい。小型の誘導シール装置100は、従って利点を備えたインダクタコイル101が上記のように有効である場合、インダクタンスの低下を促進させることがある。
図1の例に示されたように、第1の接続要素107は第1の対のインダクタバーのインダクタバー109’に、及び第2の対のインダクタバーのインダクタバー110’に接続されてもよい。それに応じて第2の接続要素108は第1の対のインダクタバーのインダクタバー109に、及び第2の対のインダクタバーのインダクタバー110に接続されてもよい。
【0030】
第1の端部112では、第1及び第2の接続要素107、108は、それぞれが平坦な形状を有し、互いに平行に配置された第1及び第2の平面のそれぞれに延在してもよい。更に前述の第1及び第2の平面は、例えば
図1及び2に概略的に示されたように、長手方向111に平行に延在する垂直方向117を有してもよい。互いに平行に延在する第1及び第2の接続要素107、108の平面を有することにより、互いに接近して配置される第1及び第2の接続要素107、108、及び小型の接続ユニット105、またそれによって低減したインダクタンスをもつ誘導シール装置100を提供し、これは長手方向111に平行に延在するためにそれぞれの平面の垂直方向117を配置することによって更に改良される。
【0031】
第1及び第2の接続要素107、108のそれぞれの第1及び第2の平面は、例えば
図1に概略的に示されたように電気的な絶縁材料113のシートによって分離されてもよい。第1及び第2の接続要素107、108は、それに応じて長手方向111に低減した輪郭で配置されてもよく、論じたように誘導シール装置100のインダクタンスを下げることができる。電気的な絶縁材料のシートは、特に小さい輪郭が可能である一方で、必要な電気的分離を維持するために約0.5mmの厚さを有してもよい。
【0032】
第1の対のインダクタバー109、109’は、第2の対のインダクタバー110、110’から分離されてもよく、横方向119における分離距離118は長手方向111に垂直である。第1の接続要素107及び/又は第2の接続要素108は、上記のようにそれぞれの平面に延在してもよい。第1の接続要素107及び/又は第2の接続要素108のそれぞれの平面は、
図1に概略的に示されたように少なくとも分離距離118に対応する横方向119における幅120を有してもよい。少なくとも分離距離118に対応する幅120を有することにより、第1の接続要素107及び/又は第2の接続要素108のそれぞれの表面に沿って流す電流の量を増加することができる。
図1の例では、幅120は、それによって第1の対のインダクタバー109、109’が第2の対のインダクタバー110、110’から分離される、最も広い分離距離、すなわち第1の対のインダクタバー109と第2の対のインダクタバー110との間の分離距離の幅に実質的に対応する。第1の接続要素107及び/又は第2の接続要素108のそれぞれの平面の表面積がこのように更に増加したことにより、それぞれの表面に沿って流れる電流の量を更に増加することができ得る。また第1の接続要素107及び/又は第2の接続要素108のそれぞれの平面、すなわち横及び長手方向111、119に垂直な方向の高さも、電流の輸送を増加することができるように表面積に対して最適化し得る。途切れていない幅120は、従って少なくとも磁気挿入部が延在する距離に沿って誘導シール装置100の側面に沿って、実質的に第1及び第2の対のインダクタバー109、109’、110、110’の位置から維持されてもよい。凹部123が、第1の対のインダクタバー109、109’と第2の対のインダクタバー110、110’との間の第1の接続要素107及び/又は第2の接続要素108の平面に提供されてもよい。
図5はこの点について別の例を示しており、ここでは言及した平面の表面積は増加した電流の量を輸送するために最適化されている。電気的な絶縁材料113のシートは、従って第1の接続要素107及び/又は第2の接続要素108の全高に沿って延在してもよい。
【0033】
言及したように、第1の対のインダクタバー109、109’は、第2の対のインダクタバー110、110’から長手方向111に垂直な横方向119において分離距離118だけ離間されてもよい。更に第1の接続要素107に接続したインダクタバー109’、110’は、互いに対向して配置され、互いから分離距離118だけ分離されてもよい。従ってインダクタバー109’、110’は、電流がこれらの隣接したインダクタバー109’、110’と同じ方向に輸送されるように、
図1の例示に示されたように互いに面してもよい。また電流も、従って第2の接続要素108に接続された外側インダクタバー109、110と同じ方向に輸送されてもよい。
【0034】
磁気挿入部102は、第1及び第2の接続要素107、108をカプセル化してもよい。
図6は、磁気挿入部102が改良されてより効果的な誘導シール装置100を提供するために、第1及び第2の接続要素107、108を包囲するように配置されている、誘導シール装置100の例を示す。磁気挿入部102は、第1及び第2の接続要素107、108を包囲するために成形されてもよく、従って誘導シール装置100の製造手順を促進する。
【0035】
誘導シール装置100は、例えば
図3aに概略的に示されたように、前記対話型表面104から離間して磁気挿入部102を包囲するように配置された支持材料114を含んでもよい。支持材料114は、誘導シール装置100の機械的一体化を増加させ、且つ様々な密封適合に一体化するためにその形状を適合させる。上に解明されたように、誘導シール装置100の温度を下げることにより、使用する支持材料114が広範囲になり、製造及び異なる密封適用への適合性を促進する。支持材料114は、磁気挿入部102の周囲に様々な構成を想定するために成形されてもよい。これは製造を促進し、より複雑な構造が、例えば圧延し、或いはより多くの熱をインダクタコイル101から遠くに輸送するために以前必要であった様々な合金の支持構造を形成する必要なしに提供することができる。支持材料114は従って高分子を含んでもよい。
【0036】
それ故、支持材料114は、成形工程により磁気挿入部102を中心に形成された形状を含んでもよい。
【0037】
誘導シール装置は、
図3bに示されたように、第1の対のインダクタバー109、109’と第2の対のインダクタバー110、110’との間に配置された補強部121を含んでもよい。従って補強部121は、第1の対のインダクタバー109、109’と第2の対のインダクタバー110、110’との間の凹部の周囲に配置されてもよく、ここでは切断装置は包装材料を密封した後に切断するために動いてもよい。磁気挿入部102は、従ってこのような切断装置から遮蔽されてもよい。補強部121は、磁気挿入部102を包囲する支持材料114に接続されてもよく、また従って磁気挿入部102の周囲の適所に支持材料114を維持するように支持をしてもよい。補強部121は支持材料114を含んでもよい。従って補強部121は、磁気挿入部102が例えば成形工程により支持材料114に包囲されるのと同時に提供されてもよい。すなわち支持材料114は補強部121の位置に広がってもよく、補強部121と磁気挿入部102を包囲する外部支持材料114との間に接続を形成する。
図6は、誘導シール装置100の空洞125を有する例を示し、支持材料114は補強部121の位置に成形工程の際に空洞125の中に広がってもよい。
【0038】
図3aの例に示されたように、支持材料114は、磁気挿入部102を受領するために実質的にu字形状を含んでもよく、磁気挿入部102は、インダクタコイル101が延在する長手方向111に垂直な断面116内に実質的に長方形の外形115を有してもよい。これは特に頑健な誘導シール装置100及び促進された製造手順を提供し得る。
【0039】
図7aは、包装材料を誘導溶接するために誘導シール装置100を製造する方法200の流れ図を示す。方法200のステップが記載され、示されている順番は、限定と解釈されるべきではなく、ステップは様々な順番で実行することができると考えられる。従って包装材料を誘導加熱するために金属箔内に交流電流を誘導するように構成されたインダクタコイル101を提供すること201を含む、方法200が提供される。方法200は、密封される包装材料に向かって配置するためにその外側部103から離間して磁気挿入部102でインダクタコイル101をカプセル化すること202を含む。方法200は、密封される包装材料と相互作用するために磁気挿入部102の少なくとも1つの対話型表面104を提供すること203、及びAC電源に接続するように構成された並列接続106を含む接続ユニット105をインダクタコイル101に提供すること204を更に含む。こうして方法200は
図1~6に関連して誘導シール装置100に関して上に記載したように好都合な利益を提供する。
【0040】
図7bは、少なくとも1層の金属箔を有する包装材料を誘導溶接するための誘導シール装置100を製造する方法200の更なる流れ図を示す。方法200のステップが記載され、示されている順番は、限定と解釈されるべきではなく、ステップは様々な順番で実行することができると考えられる。方法200は、前記対話型表面104から離間して磁気挿入部102を包囲するために支持材料114を成形すること205を含んでもよい。上に解明されたように、これは製造を促進し、より複雑な構造が、例えば圧延し、或いは様々な合金の支持構造を形成する必要なしに提供することができる。支持材料は従って高分子を含んでもよい。
【0041】
包装材料を密封するためのシール機(図示せず)が提供される。シール機は、
図1~6に関連して上に記載されたような少なくとも1つの誘導シール装置100、又は
図7a~bに関連して上に記載されたような方法200に従って製造した少なくとも1つの誘導シール装置100を含む。シール機における包装材料の密封手順は、従って上に記載された好都合な効果に起因して改良することができ、具体的には密封工程の制御を改良し、密封がより信頼できるようになり、誘導シールの製造ラインの処理能力を最終的に増加させることができる。
【0042】
本発明は特定の例を参照に上に記載された。しかし上記以外の例も本発明の範囲に収まることが等しく可能である。本発明の異なる特徴及びステップは、記載された組合せ以外に組み合わされてもよい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって限定される。
【0043】
より一般的には、本明細書に記載された全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成は例示であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の1つ若しくは複数の教示が使用される特定の1つ若しくは複数の用途に依存することが当業者には容易に理解されよう。