IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フェルメス マイクロディスペンシング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンクの特許一覧

特許7541485圧電セラミックアクチュエータを有する計量システム
<>
  • 特許-圧電セラミックアクチュエータを有する計量システム 図1
  • 特許-圧電セラミックアクチュエータを有する計量システム 図2
  • 特許-圧電セラミックアクチュエータを有する計量システム 図3
  • 特許-圧電セラミックアクチュエータを有する計量システム 図4
  • 特許-圧電セラミックアクチュエータを有する計量システム 図5
  • 特許-圧電セラミックアクチュエータを有する計量システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】圧電セラミックアクチュエータを有する計量システム
(51)【国際特許分類】
   H10N 30/88 20230101AFI20240821BHJP
   H10N 30/20 20230101ALI20240821BHJP
   H10N 30/50 20230101ALI20240821BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240821BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240821BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
H10N30/88
H10N30/20
H10N30/50
B05C5/00 101
B05C11/00
B05C11/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020555118
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019058103
(87)【国際公開番号】W WO2019197181
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】102018108360.2
(32)【優先日】2018-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514024918
【氏名又は名称】フェルメス マイクロディスペンシング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリース、マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ステッドラー、ユルゲン
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102008007202(DE,A1)
【文献】特開2017-118040(JP,A)
【文献】特表2016-511352(JP,A)
【文献】国際公開第2009/095128(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102004004736(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 30/88
H10N 30/20
H10N 30/50
B05C 5/00
B05C 11/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量物質用の計量システム(1)であって、ノズル(40)と、前記計量物質用の供給流路(44)と、吐出素子(31)と、前記吐出素子(31)および/または前記ノズル(40)に連結された圧電アクチュエータ(61)とを備えており、前記圧電アクチュエータ(61)が、前記圧電アクチュエータ(61)の長手方向の範囲全体に沿って全部、ハウジング基部(66)とハウジング蓋(67)との間に配置されていることにより、ハウジング(62)内に気密カプセル化され、少なくとも1つの温度センサ(78)が、前記ハウジング(62)内側に、および/または前記ハウジング(62)の外側に配置され、前記ハウジング(62)が放熱ゾーン(68)を備え、前記放熱ゾーン(68)が、前記計量システム(1)の冷却装置(21、22、24、25、26、27、28、84、85)に連結された、計量物質用の計量システム(1)。
【請求項2】
前記ハウジング(62)が、耐振動疲労性を有するように設計された、請求項1に記載の計量システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの温度センサ(78)が、前記圧電アクチュエータ(61)の外側(77)に、および/または前記圧電アクチュエータ(61)内側に配置された、請求項1または2に記載の計量システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの温度センサ(78)が、前記ハウジング(62)の内壁上に設置された、請求項1~3のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項5】
少なくとも1つのひずみゲージ(87)が、前記ハウジング(62)内側、および/または前記ハウジング(62)の外側に配置された、請求項1~のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項6】
前記ハウジング(62)が、いくつかの導体(65)用の少なくとも1つのフィードスルー(69)を備えている、請求項1~のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項7】
熱伝導媒体(75)、および/または水分抑制用の媒体(75)が、前記ハウジング(62)内に設置された、請求項1~のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項8】
圧力補償ゾーン(76)が、前記ハウジング(62)内に設置された、請求項1~のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項9】
前記冷却装置(21、22、24、25、26、27、28、84、85)が、気体および/または液体媒体を備えている冷却材を使用する、請求項1~8のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項10】
前記冷却装置(21、22、24、25、26、27、28、84、85)が、機械摩耗粉が冷却材により、前記計量システム(1)のアクチュエータチャンバ(12)から除去されるように設計された、請求項1~9のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項11】
請求項1に記載の計量物質を計量するための計量システム(1)における、ハウジング(62)内に気密カプセル化された圧電セラミックアクチュエータ(61)の使用。
【請求項12】
請求項1に記載の、計量物質を計量するための、ハウジング(62)内に気密カプセル化された圧電アクチュエータ(61)を有する計量システム(1)を動作させる方法。
【請求項13】
前記計量システム(1)の動作が、前記カプセル化された圧電アクチュエータ(61)の少なくとも1つの動作パラメータに応じて調節される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
計量物質を計量するための、圧電アクチュエータ(61)を有する計量システム(1)を生産する方法であって、前記圧電アクチュエータ(61)が、前記圧電アクチュエータ(61)の長手方向の範囲全体に沿って全部、ハウジング基部(66)とハウジング蓋(67)との間に配置されていることによりハウジング(62)内に気密カプセル化されており、および、前記圧電アクチュエータ(61)の前記ハウジング(62)が前記計量システム(1)のハウジング(11)内に配置され、少なくとも1つの温度センサ(78)が、前記ハウジング(62)内側に、および/または前記ハウジング(62)の外側に配置され、前記ハウジング(62)が放熱ゾーン(68)を備え、前記放熱ゾーン(68)が、前記計量システム(1)の冷却装置(21、22、24、25、26、27、28、84、85)に連結されている方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルと、計量物質用の供給流路と、吐出素子と、吐出素子および/またはノズルに連結された圧電アクチュエータとを備える、計量物質用の計量システムに関する。さらに、本発明は、計量物質を計量するための計量システムにおける圧電アクチュエータの使用に、およびそうした計量システムを動作させ、または生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、計量システムは、計量すべき媒体、通常、液体から粘性の計量物質までを、標的化された方式で計量するために種々の応用分野において使用されている。いわゆる「ミクロ計量手法」の範囲においては、高精度で、および接触なしで、すなわち、計量システムと標的表面との間の直接接触なしで標的表面に非常に少ない量の媒体を塗布することが多くの場合、必要である。そうした非接触方法は多くの場合、「ジェット方法」と呼ばれている。この典型例は、回路基板または他の電子素子を組み立てる、またはLED用のコンバータ材料の塗布の場合の接着剤ドット、ソルダペースト等の計量である。
【0003】
ここで重要な要件は、高精度で、すなわち、正しい時点で、正しい場所に、および正確に計量された量で計量物質を標的表面へ輸送することである。これは、たとえば、計量システムのノズルを介する計量物質の小滴毎の供給によって行うことが可能である。媒体は、通常、ノズルの内部と、および計量システムの吐出素子の前面の領域とのみ接触する。ここで好ましい方法は、他の装置の中でもインクジェットプリンタにおいても使用されているような、一種の「インクジェット」プロセスにおける個々の小滴の吐出である。小滴のサイズ、または小滴毎の媒体の量は構造および制御方法により、ならびに結果として生じる、ノズルの作用により、可能な限り高精度で予め決定することが可能である。あるいは、計量物質は、噴射され、または霧状に標的表面上に噴霧される場合もある。
【0004】
可動の吐出素子は、計量システムから媒体を供給するために計量システムのノズル内に配置することが可能である。吐出素子は、ノズル開口または出口開口の方向において比較的高速でノズル内部で前方に押し、吐出すべき媒体の滴下を引き起こし、次いで、後退させ得る。
【0005】
あるいは、計量システム自体のノズルは、吐出または後退方向に移動させることが可能である。計量材料を供給するために、ノズル、およびノズル内部に配置された吐出素子は、互いに向けて、または互いから離れるように相対移動させられる。相対移動は、出口開口またはノズル単独の移動により、または、さもなければ、少なくとも場合によっては、吐出素子の対応する移動によって行うことが可能である。
【0006】
さらに、吐出素子は通常、ノズル内のノズル開口のシール座にしっかりと接続させ、およびそこに一時的に留まらせることにより、ロック位置に入れることが可能である。より高粘度の計量物質の場合には、一滴の媒体も漏出されることなく、吐出素子が単に、後退、すなわちシール座から離れた位置に留まることでも十分であり得る。
【0007】
圧電アクチュエータを備えた異なる種類の計量システムの基本構造、およびそれらの基礎をなす動作原理は一般的に知られているので、これはここでは詳細に議論するものでない。
【0008】
計量システムの特定の吐出の、または機能的な原理にかかわらず、互いに対する吐出素子、およびノズルまたは出口開口の位置の変更がしたがって、計量物質を計量するために常に行われる。吐出素子および/または出口開口の必要な移動は通常、計量システムのアクチュエータシステムを用いて行われる。そうしたアクチュエータシステムは種々のやり方で実施することが可能であるが、特に高精度計量分解能を必要とする応用分野では、圧電アクチュエータを備えた計量システムが好ましい。圧電操作式アクチュエータとも呼ばれる圧電アクチュエータは、高精度であり、および、とりわけ、他の種類のアクチュエータ、または他の原理によって動作するアクチュエータと比較して、より高速な可制御性という利点を有している。圧電アクチュエータは有利には、極めて短い反応および応答時間によって特徴付けられる。よって、0.1ms未満の通常値を有する、圧電アクチュエータの考えられる応答時間は、他のアクチュエータ原理の対応する値よりも大幅に低い。別の利点は、他の種類のアクチュエータと比較して、圧電アクチュエータが計量システム内に占める空間が比較的小さいということである。圧電アクチュエータはよって、特に超高精細の計量が必要な場合の、計量システムの動作にとって効率的な解決策を意味する。
【0009】
これらの利点にもかかわらず、過去に、計量システムにおける圧電アクチュエータの信頼性は多くの場合、不十分であることが分かっている。計量システムの動作中に圧電アクチュエータの表面に付与される高い電界強度により、複数の極性分子、たとえば複数の水分子が、アクチュエータまたは計量システムを取り囲む空気によって引き付けられ、およびこれらが、特にセラミック圧電アクチュエータの場合に、アクチュエータ表面における導電性の増加を引き起こす。漏れ電流の増加の結果、圧電アクチュエータは、短い使用期間後に交換する必要があり、これは、計量システム全体を一定期間中、使用不能にし得る。これは、計量システムの効率を不必要に低減する。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明の目的は、それらによって上記欠点を回避することが可能であるそれらの、圧電アクチュエータを備えた計量システム、計量システムにおける圧電アクチュエータの使用、および圧電アクチュエータを備えた計量システムを動作させ、または生産するそれぞれの方法を提供することである。
【0011】
この目的は、請求項1に記載の計量システム、請求項13に記載の計量システムにおける圧電アクチュエータの使用、ならびに請求項14に記載の計量システムを動作させる方法、および請求項15に記載の計量システムを生産する方法により、実現される。
【0012】
液体から粘性の計量物質までのための、本発明による計量システムは、少なくとも1つのノズルと、計量物質用の供給流路と、吐出素子と、吐出素子および/またはノズルを互いに対して移動させるために吐出素子および/またはノズルに連結された少なくとも1つの圧電アクチュエータとを備えている。計量すべき物質は、ノズルを備えている、計量システムのセクション内へ計量システムの供給流路を通って進む。
【0013】
計量物質は、上述した方法の1つにより、本発明による計量システムから供給することが可能であり、すなわち、計量システムは、特定の吐出原理または動作原理に限定されるものでない。よって、通常、そうであるように、比較的高速で移動可能な吐出素子は、計量システムのノズル内に(特に、ノズルの領域内に、たとえば、出口開口のわずか手前に)配置してノズルから計量材料を吐出することが可能である。あるいはまたはさらに、上述したように、本発明による計量システムの出口開口は可動であるように設計することが可能である。出口開口は、計量システムから計量物質を供給するために計量システムの内側から計量システムの外側につながる、計量システムのノズルに属する、(通常、非常に短い流路でもあり得る)開口を意味する。出口開口を移動させるために、出口開口を備える、ノズルの少なくとも一部の領域または構成部分は、吐出および/または後退の方向において計量システムの他の静止部に対して可動であるように設計することが可能である。
【0014】
本発明による計量システムでは、計量物質は、吐出素子自体により、ノズルから吐出される。ノズルから物質を吐出するために、吐出素子は、供給すべき計量物質と接触し、および、吐出素子および/またはノズルの移動により、計量システムのノズルから計量物質を「押し」出す。吐出素子により、計量物質は、ある意味では、ノズルから「能動的に」吐出される。これは、本発明による計量システムを、閉塞素子のみの移動がノズルを開放させ、加圧された計量物質自体が次いで、ノズルから排出される他のディスペンサシステムと異なるものにしている。これはたとえば、内燃エンジンの噴射弁の場合にあてはまる。
【0015】
本発明による計量システムの特定の(前述の)設計に応じて、吐出素子および/または出口開口の移動は、計量システムの少なくとも1つの圧電アクチュエータとの、吐出素子および/または出口開口(すなわち、出口開口を有する構成部分)のそれぞれの連結によって行われる。
【0016】
基本的には、ノズルを介して計量物質を供給するために、計量システムのそれぞれの可動素子、すなわち吐出素子および/または出口開口の所望の移動をもたらすように、圧電アクチュエータによって作用する力および移動が伝達されるように、本発明による計量システムの特定の吐出原理とは無関係に連結が行われる。少なくとも1つの圧電アクチュエータは、たとえば、移動機構により、直接的に、および/または間接的に計量システムのそれぞれの可動素子を移動させることが可能であるように設計され、および配置される。
【0017】
好ましくは、運動機構は、計量システムの可動素子へ圧電アクチュエータの移動を伝達するための連結素子を備え得る。連結素子は特に、好ましくは、特定の値または係数により、圧電アクチュエータの偏位を増加させるために変換素子を有し得る。特に、変換素子は、圧電アクチュエータの偏位またはストロークと、計量システムの可動素子の結果として生じる移動またはストロークとの間の特定の変換比を生成するように設計することが可能である。変換素子は、圧電アクチュエータの偏位を計量システムの可動素子の特定の、所望の偏位に変換させるために使用することが可能である。
【0018】
特にそうした変換素子のために、計量システムは、たとえば最大0.5Pa*s、好ましくは最大1Pa*s、特に好ましくは最大1000Pa*sの、中粘度から高粘度の計量物質の計量にも好適である。
【0019】
変換素子はたとえば、圧電アクチュエータ、および計量システムの吐出素子(たとえばプランジャ)と事実上接触している、傾斜可能であるように取り付けられたレバーを含み得る。これは、レバーのレバーアームが特定の変換/ストローク比を発生させるように設計されることを意味する。
【0020】
本発明によれば、計量システムの少なくとも1つの圧電アクチュエータは、ハウジング内に気密封止方式でカプセル化される。好ましくは、モノリシック圧電セラミックアクチュエータ、特に圧電セラミック多層アクチュエータまたはモノリシック圧電操作式多層アクチュエータは、気密封止されたカバー中に配置し得る。その中に配置された圧電アクチュエータを備えたハウジングは、ハウジングに割り当てられたいずれかの他の素子に加えて、以下では、アクチュエータユニットと呼ぶ。
【0021】
本発明の目的で「気密封止されたカプセル化」は、ハウジングを外側から通ることが可能な材料または物質がないほど、圧電セラミックアクチュエータを取り囲むハウジングがしっかりと封止されていることを意味する。逆に、これは、ハウジングの内側から外側へ材料が漏出可能でないことも意味する。特に、ハウジングは、一般に水または水分を通さないように設計される。
【0022】
ハウジングは好ましくは、ハウジング内側に配置され、および圧電セラミックアクチュエータを取り囲む「雰囲気」を一定期間中、実質的に一定に維持するように設計される。特に、所定の「雰囲気」は、計量システム内のカプセル化された圧電セラミックアクチュエータの動作中、すなわち、本発明による計量システムの動作中にも、気密封止されたハウジングにより、ハウジング内側に、ほとんど変わらない状態に維持し得る。圧電セラミックアクチュエータを取り囲む「雰囲気」の、およびハウジングの詳細な説明は別の箇所で示す。
【0023】
本発明は、液体から粘性の計量物質までを計量するための計量システムにおけるハウジング内にカプセル化された、気密封止された少なくとも1つの圧電アクチュエータの使用にも関する。カプセル化された圧電アクチュエータは好ましくは、上述した、本発明による計量システムにおいて使用される。
【0024】
気密カプセル化された少なくとも1つの圧電アクチュエータを備えた、本発明による計量システムにおいて、または計量システムにおけるハウジング内に気密カプセル化されたそうした圧電アクチュエータの使用によって実現される有利な特徴は、圧電アクチュエータが計量システムの動作中にも計量システムの有害なまたは不利な外部(環境)影響からほぼ完全に遮蔽されるということである。よって、本発明による計量システムにおける圧電アクチュエータの使用期間(すなわち「寿命」)を増加させることが可能であるので、欠陥のある圧電アクチュエータの交換の頻度を、従来の設計の、すなわち圧電アクチュエータのカプセル化なしの計量システムと比較して大幅に低減することが可能である。有利には、本発明による計量システムの(連続)使用期間も、このやり方で大幅に増加させることが可能である。
【0025】
アクチュエータの交換によって必然的にもたらされる、本発明による計量システムの望ましくない、または予期しないダウンタイムを削減することにより、本発明による計量システムの効率を従来の計量システムと比較して大幅に増加させることが可能である。さらに、たとえば湿度が非常に高い環境、またはさらに水中における、従来の設計の同等の計量システムに特に好適でない新たな応用分野において、本発明による計量システムを使用することが可能であることは有利である。
【0026】
ハウジング内に気密カプセル化された圧電アクチュエータを有する、計量物質を計量するための計量システムを動作させる本発明による方法であって、計量システムが好ましくは、上述した、本発明による計量システムに対応する方法では、計量システムの動作は特に、好ましくは、カプセル化された圧電アクチュエータの少なくとも1つの動作パラメータに応じて制御される。好ましくは、動作パラメータは、ハウジング内側に配置された少なくとも1つのセンサにより、計量システムの進行中の動作中に判定される。動作パラメータの基礎をなす(測定)値は計量システムの制御ユニットに伝えることが可能であり、制御ユニットは、動作パラメータの特定可能な目標値が維持され、またはその目標値に達するように、測定値(実際値)に応じて計量システムの進行中の動作を制御するために使用することが可能である。この点で、本発明の目的のための制御ユニットは、調節ユニットの特徴も備えている。
【0027】
好ましくは、本発明による計量システムを生産するために、圧電アクチュエータを有する、計量物質を計量するための計量システムを生産する本発明による方法では、少なくとも1つの圧電アクチュエータが、専用のアクチュエータハウジング(アクチュエータハウジング)内に気密カプセル化されている。圧電アクチュエータのハウジング(アクチュエータハウジング)が次いで、計量システムのハウジング(ハウジングブロック)内に挿入される。圧電アクチュエータは、そのアクチュエータハウジングとともに、全ての側面をハウジングブロックによって包囲されるように計量システムのハウジングブロック内に配置され得るが、たとえば、ハウジングブロックの開放凹部において、外側から(少なくとも部分的に)アクセス可能である場合もある。
【0028】
本発明のさらなる、特に有利な設計および改良が従属請求項および以下の説明から明らかになるものであり、一請求項カテゴリの独立請求項は従属請求項と同様にさらに発展させることも可能であり、別の請求項カテゴリの例示的な実施形態、および、特に、異なる例示的な実施形態または変形例の個々の特徴を組み合わせて新たな例示的な実施形態または変形例を形成することも可能である。
【0029】
本発明の範囲においては、圧電アクチュエータまたは圧電操作式アクチュエータ、特に圧電セラミックアクチュエータとして定義される構成部分は、複数の素子、たとえば、圧電的に活性な材料、特にセラミックでできている圧電性の複数の結晶または層で構成されている場合があるのみならず、さらに、制御ユニットにより、全体として制御されるコンポジットを形成するものであり、すなわち、たとえば、それは、その中に含まれる個々の素子を制御するための共通の電気接続を有する。
【0030】
ハウジング以外に、本発明の基礎を形成する、計量システムのカプセル化された圧電アクチュエータは好ましくは、圧電的に活性な材料(たとえば、チタン酸ジルコン酸鉛)でできているいくつかの積層、および個々の層間に配置された複数の導電性内部電極を備えたモノリシック圧電セラミック多層アクチュエータである。好ましくは、複数の内部電極は、交互に、アクチュエータの表面にルーティングされ、並列に電気的に接続され、および圧電セラミックアクチュエータの2つの接続端子を形成する2つの群に集約される。カプセル化されていない圧電セラミックアクチュエータの基本構造はたとえば欧州特許出願公開第0844678号明細書によって知られている。
【0031】
基本的には、本発明による計量システムにおける使用のための共通のハウジング内の複数の、すなわち2つ以上の前述の圧電アクチュエータを気密カプセル化することが、本発明の範囲において可能となる。しかし、別途明記しない限り、簡潔にするために、以下の説明は、単一の圧電アクチュエータ、好ましくは圧電セラミックアクチュエータが、それに本発明を限定することなく、ハウジング内に気密に包囲されているということを前提とする。
【0032】
本発明による計量システムの特定の設計に応じて、個々にカプセル化された複数の圧電セラミックアクチュエータが、本発明による単一の計量システム内に配置されることが好ましい場合がある。この目的で、第1のカプセル化された圧電アクチュエータおよび第2のカプセル化された圧電アクチュエータは、2つの圧電アクチュエータのそれぞれの長さをほぼ合算することが可能であるように連続的に配置することが可能である。2つのカプセル化された圧電アクチュエータが互いに対して平行に配置された場合、いずれかの一瞬間において圧電アクチュエータによって作用する力は実質的に合算することが可能である。
【0033】
あるいはまたはさらに、本発明による計量システムでは、個々にカプセル化された複数の圧電アクチュエータは、たとえば「プッシュプッシュ配置」方式で、それらの移動が反対であるように接続し、および/または位置合わせすることが可能である。この基本原理によって機能する計量システムは、カプセル化された圧電アクチュエータなしであるが、欧州特許第2969248号明細書によって知られているので、上記文献は本開示の一部であるとみなす。よって、本発明による計量システムの実施形態によれば、計量システムの2つのカプセル化された圧電アクチュエータのいずれか一方は、出口開口(または出口開口を備えるノズルの構成部分)を直接的に、または間接的に、特定された方向に押すことが可能である。これは、2つのカプセル化された圧電アクチュエータのうちの第1のものが伸張し、および出口開口を一方向に押す一方で、第2のカプセル化された圧電アクチュエータは収縮し、よって、所望の方向における、出口開口の移動のために必要な空間を解放することを意味する。出口開口を他方の(反対の)方向に移動させるために、複数のカプセル化された圧電アクチュエータのそれぞれの機能が逆にされ、すなわち、第2の圧電アクチュエータが再び伸張し、および、次いで出口開口を押す一方で、第1の圧電アクチュエータは収縮する。
【0034】
有利には、本発明は、圧電アクチュエータを有する、共通の計量システム、または前書きで説明したものすべてにおいて、すなわち、特定の吐出原理と無関係に使用することが可能である。この理由で、本発明による計量システムの場合、可動吐出素子および/または可動出口開口はそれぞれ、本発明による計量システムのいくつかのカプセル化圧電セラミックアクチュエータに連結することが可能であり、「いくつかの」との語は、対象の特徴が単数または複数存在し得るように理解されるものとする。
【0035】
しかしながら、明確にする理由で、本発明は、計量材料が可動吐出素子によってのみ供給され、吐出素子の移動が1つのカプセル化された圧電アクチュエータのみによって行われる計量システムに基づいて、限定されることなく以下に説明される。前述したように、吐出素子は、好ましくは、実質的に完全にノズル開口を塞ぎ、またはノズル開口の内側に取り付けられたシール座にそれをしっかりと接続し、よって計量システムが塞がれるように設計される。
【0036】
既に説明したように、吐出素子の移動は、計量システムの少なくとも1つの気密カプセル化された圧電アクチュエータによって行われる。圧電アクチュエータを気密に包囲するハウジング、すなわちアクチュエータハウジングは好ましくは、「耐振動疲労性」であるように設計される。
【0037】
本発明の目的で、「耐振動疲労性」または「耐疲労性」との語は、ハウジング内に配置された圧電アクチュエータ自体の典型的な耐用寿命内に、すなわち、カプセル化にかかわらず、(設計に応じた)計量システムの動作において圧電アクチュエータが通常、実行することが可能ないくつかの振動(偏位)後に、ハウジング自体の上で現れている疲労の徴候がないということを意味すると理解される。ハウジングは好ましくは、圧電アクチュエータに故障挙動が起こらないように設計される。特に、アクチュエータ表面上の漏れ電流の発生、または特定可能な(許容可能な)限度を超えるそうした漏れ電流の増加は、十分に「恒久的に」、阻止されるべきである。本発明の範囲内では、十分に「恒久的に」とは、前述の、ハウジングの有利な特徴が実質的に、通常直面する条件下での計量システムにおけるカプセル化された圧電アクチュエータの配置または使用の通常の期間内に完全に維持されるということを意味する。たとえば、圧電アクチュエータが計量システムにおいて使用される場合に、カプセル化された圧電アクチュエータの偏位が通常の範囲内にあるということが前提とされる。通常、(伸張された)圧電アクチュエータの偏位はたとえば、静止している圧電アクチュエータのたとえば1.4‰(パーミル)~1.7‰に達し得る。
【0038】
好ましくは、ハウジングは、計量システムにおけるアクチュエータユニットの使用中に、すなわち、計量システムの動作中にハウジングが十分に「永久に」劣化していない状態のままであるように設計される。すなわち、ハウジングの領域内のクラック、スリット、隙間、破壊、または他の種類のリークなどの疲労の徴候は、(たとえば、計量システムにおける偏位の頻度および大きさ、温度等に関して)計量システムの動作において通常直面する条件下で阻止されるべきである。ハウジングは好ましくは、たとえば、計量システムの通常の(定常的な)保守間隔の期間中、特に水分に対する、ハウジングの内側とハウジングを取り囲む外側との間の、材料または物質のための、十分に「恒久的」であり、および連続して有効な気密拡散バリアを形成するように設計される。ハウジングは好ましくは、「拡散タイト(diffusion-tight)」であるように設計される。好ましくは、ハウジングはしたがって、カプセル化された圧電アクチュエータのいくつかの、少なくとも1*10^9、特に好ましくは少なくとも1*10^10サイクル(すなわち偏位)の後でも、完全に、劣化していない状態のままであるように設計される。
【0039】
耐振動疲労性のハウジングは有利には、(少なくとも圧電アクチュエータの機能に関する限り)ほとんど中断なしで、特定可能な期間、たとえば計量システムの保守サイクル中、計量システムを動作させることが可能であることを確実にするために使用することが可能である。これは、計量システムの望ましくないダウンタイムを削減し、それにより、計量システムの効率を増加させることが可能である。
【0040】
ハウジングの耐振動疲労性を実現するために、ハウジングは主に、金属材料によって実施することが可能である。あるいは、ハウジングの個々の領域は、異なる、すなわち非金属材料でできている場合もある。たとえば、ハウジング基部および/または蓋は、セラミック基材を含む場合があり、または、可撓性隔膜によって実現される場合がある。計量システムの動作中にも、上述した意味でハウジングの十分に恒久的な気密封止を可能にするという条件で、他の材料も考えられる。
【0041】
好ましくは、少なくとも一部のセクションにおいて、ハウジングは、折りたたみ可能な金属ベローズの方式で設計することが可能である。この目的で、ハウジングは、好ましくは平行平面のハウジング基部と、それに対して固定して接続された、隣接した細長い基体またはハウジングケース(たとえば金属管)とを備え得る。ベローズ構造は、ハウジングケースの少なくとも一部の領域内に組み入れることが可能である。ハウジングの上方閉鎖部は、好ましくは平行平面であり、およびハウジング蓋に対して固定して接続されたハウジング蓋によって形成される。
【0042】
好ましくは、閉じたハウジング内に形成された内部空間は、上述した種類の圧電アクチュエータを好ましくは、その長手方向の範囲全体に沿って全部、ハウジング基部とハウジング蓋との間に配置することが可能であるように必要な大きさにされる。好ましくは、圧電アクチュエータは、特に圧電アクチュエータが静止すなわち非伸張状態にある場合に、圧電アクチュエータのそれぞれの端または端領域がハウジング基部または蓋に直接置かれるように、閉じたハウジングの内部空間内に配置することが可能である。好ましくは、圧電アクチュエータの少なくとも1つの端領域、たとえばアクチュエータ足部は、ハウジング基部に対して固定して接続することが可能である。
【0043】
ハウジングは好ましくは、少なくともハウジングケースの領域内で、ハウジング内に配置された圧電アクチュエータの表面と、ハウジングの内壁が互いに接触しないように設計することが可能である。すなわち、ハウジングの長手方向の範囲に対して実質的に垂直方向に延在しているハウジングケースまたはハウジングの内部断面は好ましくは、ハウジング内に設置された圧電アクチュエータの対応する断面よりも大きい場合がある。
【0044】
有利には、金属ベローズの方式における、ハウジングの少なくとも部分的な設計は、ハウジングが少なくとも部分的に弾性的であり、それにより、ハウジングの剛性を低減することを確実にする。これは、電圧が印加されたときのハウジング内の圧電アクチュエータの伸張ができる限り束縛されず、および妨害を受けないことを意味する。有利には、これは、基本的には、圧電アクチュエータによって発生した力全体を、計量システムの吐出素子またはノズルを移動させるために使用することが可能であることを確実にし得る。計量システムはよって、カプセル化された圧電アクチュエータの利点(たとえば、計量システムのより高い効率)を、カプセル化されていない圧電アクチュエータの利点(たとえば、ハウジングによるさらなる抵抗がわずか)と組み合わせる。
【0045】
圧電アクチュエータは、温度依存挙動を有し得る。これは、電圧下の圧電アクチュエータの偏位に、および静止状態における圧電アクチュエータの寸法に同様にあてはまる。圧電アクチュエータの温度はよって、計量システムの機能に対してすぐに影響がある場合があり、および、たとえば、望ましくないやり方で、吐出素子の移動および/または位置に影響を及ぼし得る。
【0046】
したがって、温度を監視するために、少なくとも1つの温度センサは好ましくは、ハウジングの内側または内部空間内に設置され得る。あるいはまたはさらに、少なくとも1つの温度センサは、カプセル化された圧電アクチュエータから、またはハウジングの内側から離れる方向に面する、ハウジングの外側に、またはその外側の上に配置し得る。単に明確にするために、以下では、本発明をそれに限定することなく、少なくとも1つの温度センサがハウジング内側に配置されるものとする。
【0047】
好ましくは、温度センサは、アクチュエータと、ハウジングの内壁との間の領域内のハウジング内側に設置し得る。ハウジングの内壁は、カプセル化、すなわちハウジングの内側を形成するために、圧電アクチュエータに面する、ハウジングの基部、ケースおよび蓋(すなわちハウジングの領域または表面すべての)それぞれの内側を備える。たとえば、温度センサは、圧電アクチュエータと内壁との間の、または、ハウジングの、基部と、蓋であって、すなわちハウジング内で束縛されずに「浮いている」蓋との間の中央領域内に配置し得る。ハウジング内の温度は、以下に説明するように、(この動作パラメータに応じて、)計量システムの動作を制御するために使用することが可能である。
【0048】
好ましくは、少なくとも1つの温度センサは、圧電アクチュエータの外側に、またはその外側の上に設置し得る。好ましくは、温度センサは、温度センサがアクチュエータの外側と測定接触するように、アクチュエータの外側に配置し得る。アクチュエータの外側は、同義でアクチュエータ表面とも表す。
【0049】
温度センサまたは温度プローブは、温度がアクチュエータ表面のすぐ近くで測定されるようにアクチュエータ表面上に配置し得る。あるいはまたはさらに、アクチュエータ表面自体の温度は、たとえば、アクチュエータコア内の温度の測定値または指標として測定することも可能である。
【0050】
複数の温度センサは、好ましくは、アクチュエータの外側と測定接触して配置することも可能である。たとえば、圧電アクチュエータの長手方向の範囲に沿った温度勾配を検出するために、アクチュエータ表面の異なる領域内に複数の温度センサを配置することが特に好ましい。長手方向の範囲は、一方向における、圧電アクチュエータの最大のまたは最長の範囲として定義される。
【0051】
好ましくは、いくつかの温度センサは、その長手方向の範囲に沿って圧電アクチュエータのそれぞれの外端を形成し、および圧電アクチュエータの足部または頭部領域として表し得る、圧電アクチュエータの周辺(端)領域内に配置され得る。1つまたは複数の温度センサは、特に、好ましくは、両側の2つの周端領域の中間に配置された圧電アクチュエータの中心領域内にも配置され得る。中心領域は特に、比較的高い温度によって特徴付けられ得る。これは、アクチュエータ表面およびアクチュエータコアのいずれにも影響を及ぼす。
【0052】
さらに、少なくとも1つの温度センサは、ハウジングの内壁、またはその内壁の上に配置し得る。いくつかの温度センサは好ましくは、ハウジングケースの内側と測定接触するように配置し得る。たとえば、温度センサは、ベローズ形状のハウジングケースの1つまたは複数の凸セクションまたは凹セクション上に実施し得る。
【0053】
さらにまたはあるいは、いくつかの温度センサは、ハウジング基部および/または蓋の領域内に、特に、圧電アクチュエータの足部または頭部領域、または、以下に説明するものとするハウジング内へのフィードスルーのすぐ近くに設置し得る。
【0054】
温度センサは特に、好ましくは、内壁上に、特に、ハウジングケース上に配置された温度センサと、アクチュエータ表面上に配置された温度センサが実質的には、互いに対して反対側にある、または互いに直接、面しているように、ハウジング内に配置し得る。有利には、アクチュエータ表面のそれぞれの領域とハウジングのそれぞれの反対側の領域との間の温度勾配をよって、たとえば、計量システムの冷却装置の有効性に関する情報を得るために決定され得る。
【0055】
好ましくは、温度センサは、圧電セラミックアクチュエータ内側に、または圧電アクチュエータのコア(アクチュエータコア)内に配置することも可能である。すなわち、温度センサは、アクチュエータの内側と測定接触して配置し得る。アクチュエータコアは、圧電アクチュエータの横方向のセクションの平面図においてみられるような、圧電アクチュエータの断面の中心の、中央領域として定義される。アクチュエータはよって、圧電アクチュエータに境界をつける、圧電アクチュエータの2つの周端間の、圧電アクチュエータの長手方向の範囲に沿って連続して延在する。
【0056】
温度センサは、直接、アクチュエータコア内に、すなわち、圧電アクチュエータの横方向のセクションの中心点において、または、中心から半径方向に離間した(端)領域内に配置し得る。
【0057】
上記説明によれば、いくつかの温度センサを、圧電アクチュエータ内側に、圧電アクチュエータの(長手方向の範囲に沿った)異なる領域内に、たとえば、圧電アクチュエータの足部領域内、圧電アクチュエータの中心領域内、および圧電アクチュエータの頭部領域内にも配置され得る。
【0058】
いくつかの温度センサは特に、好ましくは、内壁の複数の領域、アクチュエータ表面、およびアクチュエータコアにおいて配置されたそれぞれの温度センサがそれぞれ、共通の仮想線上に位置しているようにハウジング内に配置され得る。好ましくは、これらの共通の線は、圧電アクチュエータの横方向のセクションおよび長手方向のセクションの平面図のいずれにおいても得られる。長手方向のセクションは、圧電アクチュエータの長手方向の範囲に沿ったセクションとして定義される。
【0059】
基本的には、温度センサは、実質的にリアルタイムで、自動的にまたはプロンプトなしで計量システムの制御ユニットへ、好ましくは温度センサ接続ケーブルにより、各ケースにおいて記録された測定値を伝えるように設計される。制御ユニットは、測定値を評価し、表示し、および/または記憶するために使用することが可能である。しかし、供給される温度測定値に応じて、以下に説明するように、計量システムの動作を調節するために制御ユニットを使用することが特に好ましい。
【0060】
基本的には、計量システムにおける圧電アクチュエータの気密カプセル化は、計量システムの動作に対するさまざまな利点をもたらす。カプセル化された圧電アクチュエータの基本構造はたとえば欧州特許第1419539号明細書によって既に知られているが、上記種類の計量システムにおける使用については知られていない。
【0061】
たとえば、計量システムによって通常必要とされる高精度計量分解能による、計量システムの特に高い動作頻度または計量頻度(計量物質の放出または小滴の頻度)での、圧電アクチュエータの高頻度の伸張、および関連付けられた発生熱により、ハウジングの内側は非常に強く加熱される場合がある。一定の状況下では、発生熱は、十分すばやく、カプセル化された圧電アクチュエータから容易に除去することが可能でない。極端なケースにおいても計量システムにおけるカプセル化された圧電アクチュエータの利点を使用することができるために、さらなる対策により、圧電アクチュエータを過熱から保護することが有利である。したがって、計量システムの動作中に、アクチュエータの重要な領域内の、特に、アクチュエータコア内の温度を連続して監視し、よって、早期に圧電アクチュエータの差し迫った過熱があればそれを抑制することが特に有利であることが分かっている。
【0062】
この目的で、ハウジングの内側、および/またはハウジングの外面(外側)の領域からの少なくとも1つの温度読取り値(動作パラメータ)、好ましくはハウジングの異なる領域からの複数の温度読取り値を実際の温度値として制御ユニットに供給し得る。供給された温度読取り値(実際値)に応じて、計量システムの動作は、この特定の領域内で、特に、カプセル化された圧電アクチュエータの内側において、温度の特定可能な設定点値に到達する、またはその設定点値を超えないように制御ユニットによって制御することが可能である。ハウジングまたはカプセル化された圧電アクチュエータ内の温度の能動的な調節(温度管理)を実現するために、制御ユニットは、以下に説明するように、計量システムの冷却装置の冷却能力を調節することが可能である。
【0063】
計量システムの応用分野に応じて、制御ユニットは、計量頻度を一時的に低減し、圧電アクチュエータによって発生する熱が一定量だけ削減されるように、計量システムの動作を制御するために使用することも可能である。
【0064】
あるいはまたはさらに、温度読取り値に応じて、カプセル化された圧電アクチュエータの駆動または起動は、(加熱された)圧電アクチュエータの長さにおける温度関連変動を補償し、および、よって、常に、最も正確な計量物質の供給を得るために制御ユニットによって調節することが可能である。好ましくはアクチュエータコア内の温度に対応する温度読取り値を、予め定義された補正値(たとえば、アクチュエータ特有の、アクチュエータ依存の伸張係数)と比較することにより、(加熱された)圧電アクチュエータの温度関連の長さの変動をドライバ回路内の制御ユニットによって考慮に入れることが可能であり、よって、たとえば、接触期間中に、電圧をそれに応じて低減し、または増加させる。
【0065】
カプセル化された圧電アクチュエータの最も効率的な考えられる温度管理を実現するために、熱伝導媒体を、ハウジング内に、すなわち、ハウジングの内壁とカプセル化アクチュエータの外面(アクチュエータ表面)との間の空間内に配置し得る。熱伝導媒体は好ましくは、アクチュエータ表面から熱を除去または放出するように設計される。
【0066】
熱伝導媒体は特に、好ましくは、熱が、伝導により、アクチュエータ表面からハウジングの領域へ伝達されるように設計される。あるいは、熱伝導媒体は、伝導により、アクチュエータ表面からハウジングの領域またはセクションへ熱を排出するように設計し得る。このための特に好ましい方法は、主に液体の熱伝導媒体を使用することである。
【0067】
好ましくは、熱伝導媒体は、通常、計量システムの動作中に圧電アクチュエータの表面上に生じる温度よりも高い温度または熱耐性を有し得る。好ましくは、熱伝導媒体は、少なくとも最大140℃の温度で、好ましくは最大、少なくとも150℃の温度で、特に最大、少なくとも160℃の温度で熱的に安定であるべきである。
【0068】
基本的には、「ヒートパイプ」の形態で、アクチュエータ表面からの熱放出を施すことも可能になる。よって、(熱伝導)媒体は気密封止ハウジング(ヒートパイプ)内に配置することが可能であり、この媒体は、より少ない程度で、液体状態で、およびより多い程度で、気体に似た状態でハウジング内に存在している。アクチュエータ表面はその場合、熱源の対応する熱伝達表面を意味する場合があり、ハウジングの特定可能な領域は、ヒートシンクの熱伝達表面として設計することが可能である。ハウジングの領域内の好ましい「ヒートシンク」の設計は以下にさらに詳細に説明する。
【0069】
特定の設計にかかわらず、熱伝導媒体は好ましくは、ハウジング内側に配置された「雰囲気」の一部として実施される。「雰囲気」の組成は好ましくは、カプセル化された圧電アクチュエータの動作または機能についての、ハウジング内の特に有利な条件を作るようなものである。本発明の範囲においては、「雰囲気」は、拡張された意味では、ハウジングの内部空間を実質的に完全に充填する媒体であって、内部空間が、圧電アクチュエータの外面(すなわち内部空間に面するアクチュエータ表面)と、ハウジングの内壁との間に形成された媒体を意味するものと理解される。雰囲気はよって、ほぼ完全にアクチュエータ表面を取り囲み、または包囲し、および、したがって、周囲媒体とも呼称され得る。好ましくは、雰囲気は、異なる気体、液体、および/または固体媒体の混合物を備え得る。
【0070】
アクチュエータ表面からの熱の最も効率的な放出を実現するために、ハウジングは好ましい画定された放熱ゾーンを備え得る。放熱ゾーンは好ましくは、計量システムの冷却装置に熱的に連結される。
【0071】
放熱ゾーンはここでは、周囲に対するヒートシンクを形成する領域を意味するものと理解される。すなわち、放熱ゾーンは、ヒートシンクの熱伝達表面を意味する。ハウジングの外面の領域に加えて、放熱ゾーンは、ハウジングの内壁の対応する領域、およびハウジングの中間の領域(たとえば金属体)を備える場合もある。
【0072】
好ましくは、放熱ゾーンは、ハウジングを介して圧電アクチュエータによって発生したプロセス熱を、外側へ(すなわち外部からハウジングを取り囲む計量システムのセクション内に)供給するように設計される。特に、計量システムの冷却装置との相互作用において、放熱ゾーンは、ハウジング内の、特にアクチュエータコア内の温度の調節を行うために使用することが可能である。たとえば、冷却装置による冷却の増加は放熱ゾーン内に放出された熱の量を増加させることが可能であるので、なおより多くの熱をその後、アクチュエータ表面から除去することが可能である。
【0073】
好ましくは、放熱ゾーンは、冷却装置により、放熱ゾーンからの熱の最も効果的な除去が実現されるようにハウジング内もしくは上に、またはハウジングの一部として設計され、および配置される。たとえば、放熱ゾーンは、ハウジングケースの領域またはセクション内の表面積拡大のためのいくつかの冷却フィンまたは他の素子によって実施することが可能である。放熱ゾーンは、したがって、部分的に形成されるに過ぎない場合がある、すなわち、ハウジングの限定的な部分のみを備える場合がある。
【0074】
放熱ゾーンと相互作用する冷却装置は好ましくは、気体および/または液体媒体を備え得る、外部でハウジングの周りを流れる冷却材を使用する。少なくとも放熱ゾーンは、場合によってはアクチュエータユニット全体も、冷却材に浸される場合があり、冷却材は、異なる冷却物質の混合物を備え得る。
【0075】
基本的には、冷却材は、放熱ゾーンから、より低い温度の場所へ熱を排出させるように設計される。この目的で、圧電アクチュエータのハウジングを取り囲む計量システムのチャンバ(アクチュエータチャンバ)には、特に、気体冷却材(たとえば周囲空気)を連続して供給することが可能であるので、冷却材は実質的には、アクチュエータチャンバ全体に充満し得る。圧縮空気または加圧空気、すなわち従来のやり方で圧縮された周囲空気は、圧縮空気が大半の設備において既に利用可能であるので、冷却材として使用することが可能である。放熱ゾーンまたはハウジングは、一種の熱交換器としてふるまう:圧電アクチュエータによって発生し、およびハウジングへ(好ましくは放熱ゾーンへ)伝達される熱は、冷却材へ伝達され、または、冷却材により、ハウジングから離れる方向に伝導させられる。
【0076】
好ましくは、計量システムは、冷却材用の少なくとも1つの供給口および/または吐出口を備え得る。好ましくは、計量システムの供給口から始めて、入口流路とも表される冷却材導流路は、計量システムのハウジング内のアクチュエータユニットに対してほとんど平行に延在している場合があり、この流路は、その経路において、いくつかの実質的に矩形のダクト状の冷却材導流路分岐を備えている。これらの分岐それぞれは、それぞれの分岐が、冷却材用のアクチュエータチャンバへのそれぞれの供給口を形成するように計量システムのハウジングを通って入口流路から離れる方向にルーティングされ、すなわち、計量システムの単一の供給口が、アクチュエータチャンバの複数の供給口と相互作用し得る。
【0077】
好ましくは、冷却装置の冷却能力を調節するために、(および、よって、ハウジング内の温度を調節するためにも、)単位時間毎にアクチュエータチャンバへ供給される冷却材の量は、たとえばハウジング内の温度に応じて、制御ユニットにより、(能動的に)調節することが可能である。この目的で、(好ましくは調節ユニットを備えた)制御ユニットによって制御することが可能な「冷却材供給装置」たとえばポンプは好ましくは、特定可能な温度設定点にハウジングの特定の領域内で到達するようにアクチュエータチャンバへの冷却材の流入を(能動的に)調節するために少なくとも、計量システムの供給口において配置され得る。あるいは、コンプレッサまたは圧縮空気リザーバから供給される任意の量の圧縮空気は、比例弁を使用して制御ユニットによって調節し得る。
【0078】
好ましくは、アクチュエータチャンバ内の冷却材は、ハウジングの放熱ゾーンへ誘導され得る。特に好ましい設計では、アクチュエータチャンバのそれぞれの供給口には、それと相互作用する吐出口が割り当てられ、供給または吐出口は、流入冷却材が、それぞれの供給口から、それと相互作用するそれぞれの吐出口への途中で放熱ゾーンの少なくとも一部分の周りを流れることを強いられるように、互いに対して、および放熱ゾーンに対して位置付けられる。好ましくは、アクチュエータチャンバの個々の吐出口は、入口流路と同様に設計することが可能な共通の出口流路を形成するように組み合わせることが可能である。
【0079】
あるいは、アクチュエータチャンバは、冷却材用の単一の供給または吐出口のみを含み得る、すなわち、アクチュエータチャンバの供給または吐出口は同時に、計量システムの供給または吐出口に対応する。好ましくは、「流れ誘導」素子たとえばバッフルまたはファンは、アクチュエータチャンバ内に配置され、アクチュエータチャンバの供給口から放熱ゾーンへ、および次いで、アクチュエータチャンバの吐出口へ、できる限り直接的な、または標的化された方式で、流入冷却材を誘導することが可能である。あるいはまたはさらに、冷却材は、十分な冷却能力が実現されるという条件で、一定期間中、すなわち、アクチュエータチャンバへの新たな冷却材の流入なしで、アクチュエータチャンバ内を循環させることも可能である。
【0080】
冷却材の組成と、特に温度および冷却材に作用する圧力に関する、冷却材内またはハウジング内に行き渡っている条件とに応じて、冷却材は、主に液体状、または部分的に液体であり、および部分的に気体である場合もある。
【0081】
好ましくは、冷却装置は、たとえばハウジングまたは他の移動部分の伸張移動の結果として、アクチュエータチャンバ内に積もる機械摩耗粉を、冷却材により、アクチュエータチャンバから、アクチュエータチャンバ外側の領域、好ましくは計量システム外側の領域内へ除去する。
【0082】
カプセル化された圧電アクチュエータの効率的な温度管理は、有利には、計量システムの連続耐用期間を大幅に増加させることが可能である。特に組み合わせで温度管理に関与している個々の構成部分は、効果的な温度管理システムを形成し、および、圧電アクチュエータの潜在的な過熱を早期に検出することを可能にするのみならず、有利には、防止することも可能にする。温度管理システム、およびそれにアクセスして計量システムを動作させる方法により、圧電アクチュエータの温度は、圧電アクチュエータの寿命に有益な範囲内で計量システムの動作中にほぼ一定に保たれ得る。
【0083】
さらなる利点は、温度管理システムが、計量システムの精度を改善することも可能であるということである。特定の状況下で、カプセル化された圧電アクチュエータの温度依存伸張挙動は、たとえば、圧電アクチュエータの長さ(長手方向の範囲)における変化により、ノズルを確実に塞ぐことがもう可能でない場合に、計量システムの計量物質供給の精度に対してマイナスの影響を及ぼし得る。温度管理システムは有利には、特定の設定点で圧電アクチュエータの温度を維持するために使用することが可能であるので、圧電アクチュエータは実質的には計量システムの動作中に一定の長さを有し、計量システムの精度は大幅に増加させることが可能である。
【0084】
単に完全にするために、放熱ゾーンからの熱放出、すなわち、カプセル化された圧電アクチュエータの冷却は、アクチュエータユニットを取り囲む空気により、少なくとも部分的に「自然」対流により、行われる場合もある。この種の「受動的な」冷却ではしたがって、圧電アクチュエータの特定の温度管理が可能でないので、前述した能動的な温度調節が好ましい。
【0085】
温度管理手法において、ハウジング内の温度に応じて計量システムの動作を可能にするために、少なくとも1つの温度読取り値を外部に、制御ユニットへ供給すべきである。したがって、好ましくは、ハウジングは、いくつかの導体(または導体トラック)用の少なくとも1つのフィードスルーを備える。好ましくは、ハウジングは、少なくとも2つの別個のフィードスルー開口、より好ましくは少なくとも3つの別個のフィードスルー、特に好ましくは少なくとも4つの別個のフィードスルーを、それぞれのケースにおけるそれぞれの少なくとも1つの導体のフィードスルーのために備える。
【0086】
フィードスルーは特に、好ましくは、それぞれの導体が、ハウジングの内部空間または内部領域と、ハウジングを取り囲む、ハウジングの外部または外部領域との間を、気密封止され、および電気的に絶縁された方式で延在するように設計され、配置される。
【0087】
好ましくは、導体の少なくとも2つは、制御ユニットとの通信のために設計されており、すなわち、カプセル化された圧電アクチュエータを制御するための制御信号は、制御ユニットから圧電アクチュエータへ伝送される。この目的で、圧電アクチュエータは、2つの接触点または接続端子であって、各端子が、並列に接続された圧電アクチュエータの内部電極の群に連結される接続端子を有し得る。好ましくは、圧電アクチュエータのそれぞれの接続端子は、2つのフィードスルーされた導体の1つに恒久的に接続(たとえばはんだ付け)される。2つのさらなる導体は、好ましくは、ハウジング内のいくつかの温度センサに接触し、すなわち、制御ユニットへ、対応する温度読取り値を伝送するように設計される。たとえば、単一のPT100温度センサは、2つのフィードスルーされた導体によって接触し得る。あるいは、複数の(バスイネーブルされた)温度測定ICまたはIC温度センサは、2つのフィードスルーされた導体によって接触し得る。複数のPT100温度センサがハウジング内に設置された場合、これらの温度センサのそれぞれの個々のものは、2つの別個の導体によって接触し得る、すなわち、それぞれの温度センサに割り当て得る。
【0088】
好ましくは、導体は、電気コネクタまたは接続ピンによって実施され得る。好ましくは、それぞれのコネクタは、ハウジングに恒久的に一体化されたガラスソルダにより、ハウジングを貫通する。好ましくは、それぞれのガラスソルダまたはガラスフィードスルーは、ハウジング基部および/またはハウジング蓋に組み入れることが可能である。電気コネクタおよび/または導体は特に、好ましくは、ガラスソルダにより、気密封止され、および電気的に絶縁された方式でハウジングの内側から外側へルーティングされる。
【0089】
ここでは、フィードスルーによる、ハウジング内のカプセル化された圧電アクチュエータまたは温度センサの接触は、前述したものと異なるやり方で行うことも可能であるということに留意すべきである。たとえば、少なくとも1つの温度センサを圧電アクチュエータの接点(接続端子)に接続することが可能であるので、3つのフィードスルーのみが必要になる。さらに、関連付けられた導体の電位を金属製ハウジングに印加し、よってそれを外部からアクセス可能にすることにより、(たとえば、温度センサの測定信号を伝えるための)さらなるフィードスルーを不要にすることが可能である。しかし、少なくとも1つの温度センサの温度読取り値(センサ信号)をカプセル化された圧電アクチュエータの複数の接続ピンまたは端子に与え、および、たとえば「パワーLAN」または「ダイレクトLAN」接続を構成する場合に行われるような好適な方式でそれらに変調することも可能になる。センサ信号の変調は、複数の温度センサ(たとえば、バスコンパチブル温度測定IC)の温度読取り値を制御ユニットへ伝送すること、または複数の温度センサの合わせた温度読取り値をデータストリームとして伝送することが可能であるように行うことも可能である。上述したように金属製ハウジングが接触素子として使用された場合、圧電アクチュエータおよびいくつの温度センサはその場合、単一のフィードスルーのみによって接触され得る。しかしながら、以下は、それに本発明を限定することなく、4つの別個のフィードスルーを備えたハウジングを前提としている。
【0090】
好ましくは、フィードスルーされたそれぞれの導体は、電気信号を伝導するためのマルチコアケーブルも備え得る。これは、複数の温度センサの個々の測定値(測定信号)を制御ユニットへ並列に伝送することも可能にする。この目的で、複数の細い電線が単一のフィードスルーを介して合わせてルーティングされ、個々の電線が、互いに対して好適な距離をおいて配置され、ガラスソルダとともにカプセル化され得る。このようにして設計されたフィードスルーは、マルチコアフィードスルーと表す場合もある。
【0091】
有利には、カプセル化された圧電アクチュエータのハウジングを介したフィードスルーにより、カプセル化された圧電アクチュエータが、カプセル化されていない圧電アクチュエータを備えた従来の計量システムと同様に制御されることを確実にすることが可能であり、すなわち、従来の計量システムの制御ユニットを、カプセル化された圧電アクチュエータを制御するために使用することも可能である。さらに、計量システムの動作は、フィードスルーされた温度測定値により、ハウジング内の温度に応じて制御することが可能である。
【0092】
カプセル化された圧電アクチュエータの寿命をさらに増加させるために、水分抑制媒体は、ハウジング内側に、すなわち、ハウジングの内壁とアクチュエータの表面との間の領域内に配置し得る。好ましくは、湿度抑制は、発生した水分(たとえば、水または水蒸気)がある場合にその水分が、直ちに、および実質的に完全に結合され、および/または変換されるように行われる。好ましくは、水分抑制媒体は、アクチュエータ表面を水分との接触から確実に遮蔽し、または遮断するように設計される。特に、水分抑制媒体により、アクチュエータの表面上に理論上、蓄積し得る「得られる」水の量は、十分に長い期間中(すなわち、少なくとも、計量システム内の圧電アクチュエータの通常の使用期間中)、圧電アクチュエータの動作の臨界限度未満に保たれ得る。
【0093】
ハウジング内の水分を抑制するために、水分抑制媒体は、水分を化学的に変換し、または反応的に消費する異なる液体および/または固体媒体を含み得る。好ましくは、水分抑制媒体は、たとえば、乾燥ゲルにより、または分子篩状に実現し得る少なくとも1つの吸水性または吸湿性媒体を備え得る。あるいはまたはさらに、水分抑制媒体は、水を輸送する電気絶縁性媒体を備え得る。好ましくは、液体の水フリーの、および導水性の絶縁媒体をこの目的で使用し得る。
【0094】
好ましくは、熱伝導または水分抑制媒体に加え、雰囲気は、計量システムの連続動作を促進する他の成分も含み得る。
【0095】
好ましくは、ハウジングの雰囲気は圧力補償ゾーンを備え得る。拡張ゾーンとも呼び得る圧力補償ゾーンは、圧電アクチュエータの熱膨張を補償するためにハウジング内の特定の体積を備えている。好ましくは、拡張ゾーンは、高い圧縮率を有する気体または気体混合物によって実施される。基本的には、拡張ゾーンを形成する媒体は雰囲気内で自由に移動可能であり得る。たとえば、雰囲気は、液体および/または固体の、水分抑制および/または熱伝導媒体と、ガス気泡などの気体膨脹ゾーンとを備え得る。あるいは、拡張ゾーンは、少なくとも部分的に可撓性を有するシェルまたは隔壁により、ハウジングの内側の残りの部分と隔てられた、すなわち、雰囲気の残りと著しく隔てられた、閉じたまたは包囲された領域内のハウジング内に配置し得る。
【0096】
圧力補償ゾーンは有利には、ハウジング内側の特定可能な圧力(内圧)が計量システムの動作中にも実質的に一定である状態にとどまるように計量システムの通常の動作において生じる、圧電アクチュエータにおける温度関連の体積変化を補償することが可能であるように設計される。ハウジング内の画定された雰囲気の配置はよって、計量システムの連続動作期間および精度のいずれも向上させることが可能である。
【0097】
計量システムの動作中に内圧を連続して監視することができるために、内圧を測定するための少なくとも1つの圧力センサをハウジング内に設置し得る。好ましくは、温度測定値について既に説明したやり方と同様に、少なくとも1つの圧力測定値を実際の圧力値として制御ユニットへ供給することが可能である。計量システムの動作は、好ましくは、ハウジング内で特定可能な圧力設定点を超えないように、供給される圧力測定値に応じて制御ユニットにより、調節することも可能である。この目的で、実際の圧力値は、前述した温度管理の一部として考慮に入れることが可能である、すなわち、ハウジング内の温度および/または圧力は、温度管理によって調節することが可能である。
【0098】
既に述べた検出オプションに加えて、さもなければ、それに対する代替策として、少なくとも1つのいわゆるひずみゲージは、カプセル化された圧電アクチュエータ、またはアクチェータユニット全体の絶対長および動的な長さの変化を監視するために、ハウジング内側に(たとえば、ハウジング内壁の領域内に)および/またはハウジングの外側に取り付け得る。ひずみゲージがハウジング内に配置された場合、対応する測定信号は、前述したフィードスルーにより、ハウジングを介して制御ユニットへルーティングし得る。このようにして得られた信号は、圧電アクチュエータまたはアクチュエータユニットのそれぞれの動作状態に関する情報を提供することが可能であり、および、したがって、調節された冷却材フローまたは修正された制御電圧などの適切な補償手段に使用することも可能である。
【0099】
好ましくは、圧電セラミックアクチュエータを取り囲むハウジングは、圧電セラミックアクチュエータに対して、特定可能な機械的予張力を作用させ得る。上述したように、(静止している)圧電アクチュエータは、2つの周端領域がハウジング基部またはハウジング蓋と直接接触するようにハウジング内に配置される。好ましくは、ハウジングは、(静止している)圧電アクチュエータに対して特定の圧力を作用させ、またはそれを圧縮させるように、必要な大きさにし、および設計することが可能である。
【0100】
これは、有利には、圧電アクチュエータに、静止状態において既に機械的に予張力がかけられており、これは、圧電アクチュエータに対する動的負荷の場合には、圧電材料における引張応力に対する安全性の増加をもたらし、計量システムの故障率をさらに低減することを確実にするために使用することが可能である。よって、従来の計量システムでは、カプセル化されていない圧電アクチュエータをその静止状態に戻すために使用される、構成部分(たとえば、アクチュエータのスプリング部)の配置は、なくし、または少なくとも、より弱い基準に対して設計することが可能であるので、計量システムの設計を単純にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
以下では、本発明はもう一度、添付された図を参照し、および、例示的な実施形態に基づいてさらに詳細に説明される。同じ構成部分を含む異なる図では、同じ構成部分には同じ参照番号を付けている。図は、通常、縮尺通リに描かれているものでない。
【0102】
図1】本発明による計量システムの実施形態の断面図である。
図2】断面で示す、本発明による計量システムの異なる実施形態の一部である。
図3】断面で示す、本発明による計量システムの異なる実施形態の一部である。
図4】本発明の計量システム用のアクチュエータユニットの、異なった、考えられる実施形態の断面図である。
図5】本発明の計量システム用のアクチュエータユニットの、異なった、考えられる実施形態の断面図である。
図6】本発明による計量システム用のアクチュエータユニットの、別の考えられる実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
図1に基づいて、本発明による計量システム1の具体的な好ましい例示的な実施形態を次いで説明する。計量システム1はここでは、たとえば計量システム1の動作中の、通常の意図された向きまたは位置で示されている。ノズル40は計量システム1の下方領域内に設置されているので、媒体の小滴(drop)は、吐出方向Rにおいてノズル40を通って下方に吐出される。したがって、下および上の語が以下で使用される場合、これらの語は、常に、通常の計量システム1のそうした位置を表す。しかし、これは、計量システム1が特定の応用分野における異なる姿勢において使用される場合もあること、および、たとえば、小滴が横方向に吐出されることの可能性を排除するものでない。媒体、圧力、および厳密な設計、ならびに吐出システム全体の制御によって、これは、全体的に可能でもある。
【0104】
計量システム1は、アクチュエータアセンブリ10および流体アセンブリ30を不可欠な構成要素として備える。ここに示す、計量システム1の例示的な実施形態では、アクチュエータアセンブリ10および流体アセンブリ30は、たとえば固定ねじ23により、互いに対して固定して接続される。しかし、それぞれのアセンブリ10、30が、クイックリリースカップリングを形成するために互いに対して連結することが可能なプラグインコネクタ部分の方式で実施されることも可能であるということに留意すべきである。よって、アクチュエータアセンブリ10および流体アセンブリ30は、計量システム1を形成するために用具なしで、ともに連結することが可能である。
【0105】
アクチュエータアセンブリ10は基本的には、ノズル40内の吐出素子31の駆動または運動を提供する構成部分すべて、すなわち、以下に説明するように、たとえば、アクチュエータユニット60、流体アセンブリ30の吐出素子31を作動させることができるための運動機構、圧電アクチュエータ61の制御を可能にするための制御ユニット50、および同様な構成部分を備える。
【0106】
ノズル40、およびノズル40への媒体の供給ライン44に加えて、流体アセンブリ30は、媒体と接触している関連した複数の部分を組立てる、または、流体アセンブリ30の所定の位置にそれらを保持するために必要な構成要素に加えて、媒体と直接接触している他の部分すべてを備える。
【0107】
ここに示す、計量システム1の例示的な実施形態では、アクチュエータモジュール10は、2つの内部チャンバ、すなわち、第1に、ハウジング62内にカプセル化された少なくとも1つの圧電アクチュエータ(ここでは示されていない)を有する、その中に設置されたアクチュエータユニット60を備えたアクチュエータチャンバ12、および、第2に、流体アセンブリ30の可動吐出素子31(ここではプランジャ31)がその中に突起している作用チャンバ13を備えたハウジングブロック11を備える。アクチュエータチャンバ12から作用チャンバ13内に突起している移動機構14により、プランジャ31は、流体アセンブリ30が所望の時点において所望の数量で、計量すべき媒体を吐出するようにアクチュエータユニット60によって作動させられる。以下に説明するようにここではプランジャ31はノズル開口41を塞ぎ、およびよって、閉塞素子31としてもふるまう。しかし、媒体の大半は、プランジャ31が閉塞方向に移動する際にのみ、ノズル開口41から吐出されるので、ここでは、吐出素子31と表す。
【0108】
アクチュエータユニット60を制御するために、アクチュエータユニット60、またはハウジング62(図4を参照のこと)内に配置された圧電アクチュエータは、計量システム1の制御ユニット50に、電気的に、または信号伝送のために接続される。この制御ユニット50との接続は、好適なアクチュエータユニット制御接続64(たとえば好適なプラグコネクタ)にそれらの端において接続された複数の制御ケーブル51を介して行われる。図1に示すのと異なり、制御接続64は、それぞれのフィードスルーされた制御接続64の領域内で、基本的には、たとえば、以下に説明するように、圧縮空気を備えたアクチュエータユニット60の冷却システムの一部として、外側から空気がアクチェータチャンバ12に入ることが可能でないように、封止され、およびハウジング10を介してルーティングされる場合がある。アクチュエータユニット60、特にアクチュエータユニット制御接続64には、たとえば、アクチュエータユニット60の項目名等または制御パラメータなどの情報であって、アクチュエータユニット60を識別しそれを適切な方式で制御するために制御ユニット50によって読み出すことが可能な情報がその中に記憶された、好適なメモリユニット(たとえば、EEPROM等)を装備することが可能である。制御ケーブル51は複数の制御線およびデータ線を備え得る。しかし、圧電アクチュエータの基本制御は知られているので、これはさらに議論するものでない。
【0109】
ハウジング62を介した、導体の気密封止され電気的に絶縁された経路を設けるために、アクチュエータユニット60はハウジングカバー67内に4つの接触ピン65を備える。接触ピン65はここでは(図3および4にあるように)、明確にするために並列または一列に並べて配置され、接触ピン65は、いずれの他の好適な配置においても実現することが可能である(図6を参照のこと)。ここでは2つの外部接触ピン65は、圧電アクチュエータを制御する、または圧電アクチュエータと制御ユニット50との間の通信のために使用される。ハウジング62外側では、接触ピン65が、それぞれのアクチュエータユニット制御接続64を介して制御ユニット50に連結される。ハウジング62内側では、各接触ピン65は、圧電アクチュエータの2つの接続端子のうちの1つに接続される(図5を参照のこと)。ここでは、中心において示す2つの接続ピン65は、温度センサ78(図4を参照のこと)の測定値をハウジング62から制御ユニット50へ伝送するために使用される。この目的で、接触ピン65はそれぞれ、一方端において、温度センサ接続ケーブル86により、制御ユニット50に、および、(ハウジング内の)他方端において、個々の複数の温度センサ78に、好ましくは、それぞれの温度センサ接続ケーブル(ここでは図示せず)により、接続される。ハウジング内の温度センサの接触の詳細な説明は後に示すものとする。
【0110】
ハウジング62内に配置された圧電アクチュエータ(図4を参照のこと)、すなわちハウジング62は、制御装置50により、どのようにして駆動させられるかによって、アクチェータチャンバ12の長手方向において伸張し、再び収縮することが可能である。アクチュエータユニット60は、上からアクチュエータチャンバ12内に挿入することが可能である。上方カウンタベアリングは、ねじを回し、それにより、移動機構14(この場合レバー16)に対する、アクチュエータユニット60の正確な調節を可能にすることにより、高さ調節可能なボールドーム(ここでは図示せず)によって設けることが可能である。よって、アクチュエータユニット60は下方で、鋭角で下方に先細りする圧力片20を介してレバー16上に取り付けられ、および、レバーは、次いで、アクチュエータチャンバ12の下方端におけるレバー取付部18上に置かれる。このレバーベアリング18は、レバー16が傾斜軸K中心に傾斜することを可能にするので、レバー16のレバーアームは、開口15を介して作用チャンバ13内に突起している。レバーアームの端では、これは、プランジャヘッド33の接触面34を押す、アクチュエータアセンブリ10に連結された流体アセンブリ30のプランジャ31に向けて面している接触面17を有している。一方で圧電アクチュエータまたは圧力片20、および他方でプランジャヘッド33またはプランジャ31は、傾斜軸Kに対して、レバー16の同じ側で作用する。しかし、圧電アクチェータと傾斜軸Kとの間、またはプランジャ31と傾斜軸Kとの間のそれぞれの距離は異なる。
【0111】
レバー16または移動機構14は、特定の比率で、圧電アクチュエータのストロークに対する、プランジャ31の偏位(ストローク)を増幅するための変換素子を意味する。そうした変換素子は特に、粘度が最大0.5Pa*s、好ましくは最大1Pa*s、特に好ましくは最大1000Pa*sであり得る、中粘度または高粘度の計量物質の計量に有利である。
【0112】
上述した例示的な実施形態において、プランジャのスプリング部35が下からレバー16に対してプランジャヘッド33を押すことにより、レバー16の接触面17がプランジャヘッド33の接触面34と恒久的に接触しているということをこの時点で述べるべきである。基本的には、しかし、プランジャのスプリング部35の当初または静止位置においてプランジャ31とレバー16との間に距離が存在しているということも考えられることになるので、下方に旋回すると、レバー16はまず、特定の経路区間に沿って自由に進み、それにより、速度を増し、次いでプランジャ31またはその接触面34に強い衝撃で当たって、今度はプランジャ31がそれを媒体に対して与えるその吐出パルスを増加させる。駆動システム(レバー - アクチュエータユニット - 移動システム)のほぼ一定の予張力を確実にするために、レバー16は、それがプランジャ31とそこで接触するその端で、アクチュエータのスプリング部19により、上方に押される。
【0113】
下方領域では、作用チャンバ13は冷却材(たとえば圧縮された周囲空気または加圧空気)用の吐出口22を備える。吐出口22は、特に、直接、すなわち、作用チャンバ13の内側から計量システム1の外側へ分岐することなく、作用チャンバ13のチャンバ壁を、またはハウジングブロック11を貫通する。この場合、吐出口22は、同様に、作用チャンバ13の吐出口22、および計量システム1の吐出口22に対応する。
【0114】
吐出口22は、アクチュエータチャンバ12の上方領域内の冷却材用の計量システム1の対応する供給口21とともに、冷却材が、連続して、アクチュエータチャンバ12および作用チャンバ13を通って流れることを確実にするために使用することが可能である。好ましくは、アクチュエータチャンバ12または作用チャンバ13からの機械摩耗粉は、冷却材のフローにより、吐出口22を介して、計量システム1から除去することが可能である。アクチュエータチャンバ12の供給口21は同様に、ここでは、計量システム1の供給口21に対応する。図1では、供給口21は、圧縮空気をアクチュエータチャンバ12内に供給するためのホースを接触させるための外部プラグインニップルを備える。
【0115】
上述の冷却材のさらに重要な態様は、ハウジング62内にカプセル化された圧電アクチュエータの、またはアクチュエータユニット60の冷却である。これは別の箇所でさらに詳細に説明する。
【0116】
上述したように、流体アセンブリ30はここでは、固定ねじ23により、アクチュエータアセンブリ10に接続される。プランジャ31は、その底部にプランジャシール36が接続されたそのプランジャ取付部37上に、プランジャのスプリング部35によって取り付けられる。プランジャのスプリング部35は、軸方向において上方にプランジャ取付部37から離れる方向にプランジャヘッド33を押す。同時に、プランジャ先端32も、ノズル40のシール座43から離れる方向に押される。すなわち、プランジャのスプリング部35の静止位置における、プランジャヘッド31の接触面34に対する上方からの外部圧力なしで、プランジャ先端32は、ノズル40のシール座43と距離をおいて位置している。よって、圧電アクチュエータの静止状態(非伸張状態)では、ノズル開口41はさらに、開放されている、または封止されていない。
【0117】
計量材料は、ノズルチャンバ42およびそれに対して接続された供給流路44を介してノズル40に供給される。供給流路44は、リザーバインタフェース45により、媒体リザーバ46に接続される。さらに、流体アセンブリは、いくつか挙げれば、フレーム部47、加熱接続ケーブル49等を備えた加熱装置48などの、この種の計量システムにおいて通常使用されるさまざまなさらなる構成部分も備え得る。計量システムの基本構造は知られているので、明確にするために、ここに示す構成部分は主に、少なくとも間接的に本発明に関するものである。
【0118】
図2は、本発明の別の実施形態による計量システムの一部を通る断面を示す。ハウジングブロック11は、その内側にアクチュエータユニット60が配置された(ここでは、例としてのみ示される)アクチュエータチャンバ12を備える。ハウジング62と、アクチュエータチャンバ12の内側を形成するチャンバ壁79の内側80との間には、ここでは環状にハウジング62を取り囲んでおり、および冷却材フローを可能にする狭い間隙が残っている。冷却材をフロー領域内に供給するために、アクチュエータチャンバ12が、ここではチャンバ壁79を通る開口24の形態の供給口24により、入口流路26に接続される。入口流路26は、ハウジングブロック11を通ってアクチュエータチャンバ12に対して実質的に平行に延在しておりほとんど直角に分岐するいくつかの流路(示されているやり方が理由で1つの供給口24または吐出口25のみがここでは見て分かる流路)を有している。供給口24から始めて、その設計によって、冷却材は、ハウジング62が両側で冷却材に浸されるように、割り当てられた吐出口25へ(強制的に)流れる。吐出口25は、アクチュエータチャンバ12から、または計量システム1から冷却材を吐出するために出口流路27に接続される。
【0119】
少なくとも、ハウジングケースの領域内のハウジングのベローズ状の設計により(図6を参照のこと)、冷却材フローがそれぞれの供給口24から、それと相互作用する吐出口25へ誘導(標的化)されることを確実にすることが可能である。この目的で、冷却材は、ベローズ形状または波形のハウジング62のそれぞれの(水平方向の)窪みに沿って流れ、上方または下方の冷却材フローは、それぞれの隣接する凸領域によって制限される場合がある。これは特に、図3において明らかである。
【0120】
図3における主な目的は、計量システムの冷却装置の作用の態様を示すことであって、計量システムの他の構成部分は明確にするために図示していない。
【0121】
入口流路26は、計量システムの単一の供給口21に始まり、および次いで、アクチュエータチャンバ12のいくつかの供給口24へアクチュエータチャンバ12に沿って分岐する。入口流路26またはアクチュエータチャンバ12への冷却材の流入を調節するために、冷却材供給装置28(この場合、ポンプ28)は冷却材供給部84と供給口21との間に接続される。ポンプ28は、制御接続29により、制御ユニット50によって制御することが可能である。ここで示す実施形態の代替策として、冷却材供給装置28すなわちポンプ28は、計量システムのハウジング11外側に設置することも可能である。圧電アクチュエータの温度管理の一部として、ハウジング62からの温度測定値は、温度センサ接続ケーブル86を介して制御ユニット50に供給される。1つ(または複数の)判定された温度値(実際値)に応じて、制御ユニット50は、ハウジング62の特定の領域内(たとえばアクチュエータコア内)の温度の設定点値を超えないようにポンプ28を制御することが可能である。この目的で、たとえばアクチュエータチャンバ12に供給される冷却材の量は、需要に合わせてポンプ28によって調節することが可能である。
【0122】
たとえば、アクチュエータチャンバ12内に室内気を吹き込むための冷却材用の別個のポンプの使用の代替策として、他の目的でも使用されている、既存の圧縮空気システムのリザーバからの圧縮空気も、アクチュエータユニット60を冷却するために使用することが可能である。この圧縮空気システムでは、室内気が通常のやり方で圧縮され、および、それがアクチュエータチャンバ12内に供給されるまで既存のリザーバまたは貯蔵部(図示せず)内に貯蔵される。アクチュエータチャンバ12内への圧縮空気の流量は、たとえば、比例弁(図示せず)によって調節することが可能であり、比例弁は、ポンプについて上述したように、少なくとも1つの温度値に応じて制御ユニット50によって制御することが可能である。
【0123】
入口流路26は、チャンバ壁79の内側80から離れる方向に面するチャンバ壁79の外側81に沿って直接、延在している。すなわち、入口流路26は、チャンバ壁79の外側81により、少なくとも部分的に、すなわち、アクチュエータチャンバ12に向けて境界を付けられ形成される。
【0124】
アクチュエータチャンバ12自体は、チャンバ壁79の内側80により、ハウジングブロック11内側に形成される。圧電アクチュエータのハウジング62のベローズ形状の波形の設計により、ハウジング62は、それぞれの凸部82または隆起82の領域内でチャンバ壁79の内側80に直接、隣接している。それぞれの凸セクション82間で、実質的に水平方向の窪み83または溝83が周期的に配置されている。ハウジングケース74の領域内のハウジング62の少なくとも部分的にベローズ形状の設計(図6を参照のこと)は、以下に説明するように、アクチュエータユニット60の好ましい設計に対応する。
【0125】
アクチュエータユニット60は、アクチュエータチャンバ12の供給口24および協働する吐出口25がそれぞれ、ハウジング62の単一の流路83を備えた水平面内に配置されるようにアクチュエータチャンバ12内に配置される。よって、それぞれの供給口24を通って流入する気体または液体冷却材は、熱放出を施すためにそうするようにハウジング62周りを流れて、供給口24から、関連付けられた吐出口25へ実質的に水平方向に、隣接する凸セクション82により垂直方向に境界を付けられたそれぞれの流路83に沿って、誘導される。
【0126】
冷却材はそれぞれの吐出口25から、入口流路26と同様に、アクチュエータチャンバ12のいくつかの吐出口25を備え(すなわち組み合わせ)、最終的に計量システムの吐出口22内に開口して、次いで、冷却材吐出部85に連結される出口流路27に入る。
【0127】
図4は、本発明による計量システムの例示的な実施形態のアクチュエータユニットの長手方向を通る詳細な断面を示す。圧電アクチュエータ61は、ハウジング62内に気密に封入されている。ハウジング62は、ハウジング基部66、それに固定して接続されたハウジングケース74、および上方終端を形成するハウジング蓋67を備える。圧電アクチュエータ61は、不活性(足部)領域73を備えたハウジング基部66上に直接、置かれ、圧電アクチュエータ61の反対側の端領域73は、ハウジング蓋67と直接、接触している。圧電アクチュエータ61は、ハウジング蓋67に固定して接続される、たとえば、接着される。
【0128】
ハウジング蓋67は、気密封止され電気的に絶縁された方式で、ハウジングの外側へハウジング62の内側からそれらによって接続ピン65がルーティングされる、4つのガラスフィードスルー69を備える。各ケースにおける1つの接触ピン65は、圧電アクチュエータ61の外部電極70に、圧電アクチュエータ61の一方側で接続(たとえばはんだ付け)される。2つの外部電極70は、圧電アクチュエータ61の外側(すなわち表面77上)を2つの不活性頭部および足部領域73間の、圧電アクチュエータ61の長手方向の範囲に沿って延在している。これは特に、図5において明らかである。
【0129】
2つの外部電極70は、圧電アクチュエータ61内に配置され、表面へ交互にルーティングされた内部電極71を接続し、および、並列に電気的に接続された2つの群を形成するようにそれらを接続する(図4を参照のこと)。2つの接続ピン65はしたがって、圧電セラミックアクチュエータ61の2つの接続端子を形成する。
【0130】
2つのさらなる接触ピン65はハウジング内のいくつかの温度センサ78と接触するために使用される。温度センサ78それぞれは、それぞれの温度センサ接続ケーブル(図示せず)を介して2つの接触ピン65に接続される。接触のためには、(一定の)測定電流が、2つの接触ピン65のうちの1つ、およびそれに接続されたそれぞれの温度センサ接続ケーブルを介して個々の温度センサ78へ供給される。各温度センサ78からの、(電圧変化などの)測定信号は、別の(第4の)接続ピン65へそれぞれの温度センサ接続ケーブル(図示せず)を介して伝送される。複数の温度センサ78の測定信号(温度読取値)を制御ユニットへ伝送するために、個々のセンサ信号は、上述したように、温度センサ78がバスコンパチブル(bus compatible)IC温度センサであるという条件で、1つの接触ピン65のみに与えられ、および好適に変調される場合がある。
【0131】
あるいは、2つの別個の接触ピン65(ここでは図示せず)、すなわちそれぞれの温度センサ78のみに割り当てられたものを使用してハウジング内の各温度センサ78を接触させることが可能になる。専用の接触ピン65を使用した個々の温度センサ78それぞれの別個の接触が、変調の電気的複雑度を低減するが、同時に、アクチュエータユニット60の製造に関する要求事項の増大も示唆するので、上述した2つの代替策をケースバイケースで検討することが好ましい。
【0132】
図4では、3つの温度センサ78が、ハウジング62の内壁(すなわちハウジングケース74)と測定接触して配置される(ここでは左に示す)。さらに、圧電アクチュエータ61の表面77上には、3つのさらなる温度センサ78が、内壁の、またはアクチェータ表面77の温度センサ78が、長手方向の断面において明らかであるように、共通の仮想の実質的に水平方向の線上に設置されるように配置される。
【0133】
ハウジング62、圧電アクチュエータ61、および接続ピン65に加えて、アクチュエータユニット60はさらに、ハウジング62内に配置された雰囲気を備える。ここに示す例示的な実施形態では、雰囲気は、液体および固体充填媒体75、ならびに拡張ゾーン76からなる。拡張ゾーン76はここでは、ガス気泡76またはガス充填領域76として示される。
【0134】
図5は、計量システムのアクチュエータユニット60の例示的な実施形態の長手方向を通る詳細な断面を示す。図4と対照的に、ここでは、温度センサ78はさらに、圧電アクチュエータ61の不活性足部領域73および不活性頭部領域73のいずれにおいても設置され、後者の場合にはフィードスルー69のすぐ近くに設置される。拡張ゾーン76はここでは、「気球」の方式で、すなわち、充填媒体75と物質的に隔てられて、ハウジング62内に封入されている。明確にするために、図5は1つの接触ピン65のみを示す。
【0135】
ハウジング62内には、ひずみゲージ87も、圧電アクチュエータ61の外側に配置される。ここでは、ひずみゲージ87は実質的に、カプセル化された圧電アクチュエータ61の長手方向の範囲全体に沿って、すなわち、足部領域73と頭部領域73との間に延在している。ひずみゲージ87の対応する測定値(センサ信号)は、温度センサ78について既に説明したのと同様に、接触ピン65により計量システムの制御ユニットへ伝え得る。さらなるひずみゲージ87はハウジング62の外側に配置され、ひずみゲージ87はそこでは、アクチュエータユニット60またはカプセル化された圧電アクチュエータ61の(温度関連の長さ変化を含む)全体の偏位を検出することが可能であるようにハウジング基部66とハウジング蓋67との間に延在している。
【0136】
図6は、本発明による計量システム用のアクチュエータユニット60の別の実施形態の横方向の外部斜視図を示す。アクチュエータユニット60は、接触ピン65およびフィードスルー69がそれぞれのアクチュエータユニット60内で異なるように配置されている以外は実質的に図1のものに対応している。図6は、凸セクション82および窪み83(すなわち溝83)の周期的な配列を備える、ハウジングケース74のベローズ状の設計を明確に示す。ここに示す例示的な実施形態では、アクチュエータユニット60の好ましい放熱ゾーン68は実質的に、ハウジングケース74のベローズ形状の領域全体に対応し、すなわちその領域全体によって形成される。放熱ゾーン74は、圧電アクチェータの温度管理の範囲内で、放熱ゾーン74からの最も効率的な熱除去が冷却装置によって実現されるように設計される。ハウジング62は、好ましくは、カプセル化された圧電アクチュエータ61の対応する径よりも大きい、ほとんど円形の径Dを有している。
【0137】
まとめれば、上述した計量システムが、本発明の範囲から逸脱することなく当業者により、種々のやり方で修正することが可能な例示的な実施形態に過ぎないということをもう一度指摘する。たとえば、圧電アクチュエータは画定された「保護」雰囲気なしでハウジング内に配置され得る。前述の複数の構成部分に加えて、またはそれらの構成部分に対する代替策として、計量システムは、説明された種類の計量システムにおいて通常、使用されるさらなる構成またはアセンブリも備え得る。さらに、不定冠詞「a」または「an」の使用は、当該構成が2以上存在する場合もあるという可能性を排除するものでない。
【符号の説明】
【0138】
1 計量システム
10 アクチュエータアセンブリ
11 ハウジングブロック
12 アクチュエータチャンバ
13 作用チャンバ
14 移動機構
15 開口
16 レバー
17 レバー接触面
18 レバー取付部
19 アクチュエータのスプリング部
20 圧力片
21 供給口計量システム
22 計量システム吐出口
23 固定ねじ
24 アクチュエータチャンバ供給口
25 アクチュエータチャンバ吐出口
26 入口流路
27 出口流路
28 ポンプ
29 ポンプ制御接続
30 流体アセンブリ
31 プランジャ
32 プランジャ先端
33 プランジャヘッド
34 プランジャ接触面
35 プランジャのスプリング部
36 プランジャシール
37 プランジャ取付部
40 ノズル
41 ノズル開口
42 ノズルチャンバ
43 シール座
44 供給流路
45 リザーバインタフェース
46 媒体リザーバ
47 フレーム部
48 加熱装置
49 加熱接続ケーブル
50 制御ユニット
51 制御ケーブル
60 アクチュエータユニット
61 圧電セラミックアクチュエータ
62 ハウジング
64 アクチュエータユニット制御接続
65 接触ピン
66 ハウジング基部
67 ハウジング蓋
68 放熱ゾーン
69 ガラスフィードスルー
70 外部電極
71 内部電極
72 圧電材料
73 不活性領域
74 ハウジングケース
75 充填媒体
76 拡張ゾーン
77 アクチュエータ表面
78 温度センサ
79 チャンバ壁
80 チャンバ壁の内側
81 チャンバ壁の外側
82 ハウジングベローズ凸セクション
83 ハウジングベローズ凹セクション
84 冷却材供給部
85 冷却材吐出部
86 温度センサ接続ケーブル
87 ひずみゲージ
D 径
K 傾斜軸
R 吐出方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6