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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】胴体伸長器具
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/00 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
A61H1/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021040314
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139784
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】501335782
【氏名又は名称】野田 正淑
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】野田 正淑
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-216266(JP,A)
【文献】特開2006-43409(JP,A)
【文献】登録実用新案第3154485(JP,U)
【文献】特開2000-116736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設置され、かつ仰臥した使用者の臀部の下に配置されて使用される胴体伸長器具であって、
長尺状の本体部を備え、
前記本体部は、
当該本体部の中央部に設けられ、床面に当該本体部が設置された使用状態において当該床面から所定高さに位置する臀部支持部と、
当該本体部の両端部に各々設けられ、仰臥した使用者の臀部が前記臀部支持部に置かれた状態で当該使用者の左右両側に各々位置する被押圧部と、
を備え、
前記使用状態では、仰臥した使用者の臀部が前記臀部支持部に置かれ、かつ前記被押圧部が当該使用者の腕によって当該使用者の脚部方向へ向けて押圧されてなる
ことを特徴とする胴体伸長器具。
【請求項2】
前記使用状態において前記被押圧部の床面からの高さが前記臀部支持部の床面からの高さよりも高い
請求項1に記載の胴体伸長器具。
【請求項3】
前記臀部支持部には、使用者の臀部に当接する滑り止め手段が設けられている
請求項1又は請求項2に記載の胴体伸長器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉や臓器を含む胴体を伸長して筋膜リリースを図り、筋肉のコリやハリを自分自身で容易にほぐすことができる胴体伸長器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、成人の約半数が腰痛で苦しんでおり、その中でも多数を占めるのが生活習慣病とされる腰回りや肩甲骨周りの痛みであるといわれているところ、筋肉のコリやハリをほぐすためにストレッチ等の筋肉を伸縮させる運動が知られている。また、このような運動を行うために例えば特許文献1に開示されているような柱状の健康器具が知られている。また、特に近年では、筋肉を覆う膜(筋膜)の萎縮や癒着がコリやハリの原因として挙げられており、これらを解消するいわゆる筋膜リリースが効果的であることが知られている。そのほかにも、手指や健康器などを使用して、筋肉や皮膚をつまんで引っ張ったり、揉んだり、さすったり、又は患部を伸ばす体操をしたりして、筋膜の癒着を剥がそうとするものもある。
【0003】
ところで、生活習慣病の主な原因は運動不足と日常生活にあり、それは筋肉をはじめ、人体のあらゆる臓器を包みあるいは覆っている筋膜が、仕事などで長時間同じ姿勢で座り続けるような習慣が続くと水分不足で固くなって滑るような動きを失い、もって絡んだり癒着したりして痛みが発症するものであると考えられている。
【0004】
また、健康的な筋膜は、体内に分泌されている体液で濡れて滑り易くなっている。ここで、分泌だけでは体内中に体液を十分に分布させることができないのであるが、体液で濡れた筋膜で覆われた臓器は身体が動く時に他の臓器と擦れ合うため、これにより体液が互いの臓器に付着し合って濡れ伝わり、こうして臓器全体に付着した体液によってすべての臓器表面の筋膜が濡れて滑りやすい状態となる。
【0005】
例えば、仕事で長時間同じ姿勢で座り続けた場合の体内の筋膜は、同じ位置で長時間動きを止めて隣接する臓器の筋膜と擦れ合わないまま密着して接触した状態が維持されることになり、体液が濡れ伝わらない密着部が生じる。こうなると、この密着部には体液が入り込めなくなるという状態が生まれる。そして、体液の供給が途絶えると筋膜は脱水して固くなってしまい、固くなり滑りやすさを欠いた筋膜は、柔軟性を欠き、そして萎縮や偏りや癒着を引き起こしてコリやハリを発症する。さらには、固くなった筋膜が、体内に走る神経を刺激することにもなり、強い痛みを生じることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-68449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし上記特許文献1に開示されているような従来の健康器具にあっては、背中を器具に積極的に押しつける構造であるため、皮膚が引っ張られて感覚器として機能が働いてしまう状態となる。したがって、胴体部の筋肉をゴムのように大きく引き伸ばすことができず、筋膜リリースの効果は得られにくい。
【0008】
また、すでに提供されている種々の方法は、専門家である療法士による手技であるため、専門知識のない素人にとっては十分な効果が得られないおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、素人でも極めて簡単に筋膜リリースを効果的に行い、さらに猫背を解消して体幹強化も図ることのできる胴体伸長器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、床面に設置され、かつ仰臥した使用者の臀部の下に配置されて使用される胴体伸長器具であって、長尺状の本体部を備え、前記本体部は、当該本体部の中央部に設けられ、床面に当該本体部が設置された使用状態において当該床面から所定高さに位置する臀部支持部と、当該本体部の両端部に各々設けられ、仰臥した使用者の臀部が前記臀部支持部に置かれた状態で当該使用者の左右両側に各々位置する被押圧部と、を備え、前記使用状態では、仰臥した使用者の臀部が前記臀部支持部に置かれ、かつ前記被押圧部が当該使用者の腕によって当該使用者の脚部方向へ向けて押圧されてなることを特徴とする胴体伸長器具である。
【0011】
かかる構成にあっては、前記臀部支持部に臀部を置き、腰部から背部にかけては床面から離れた状態で、仰臥姿勢の使用者本人が腕で前記被押圧部を自身の足下に向けて押し下げるように力を加えることで、腕以外に力を加えることなく脱力した状態で胴体を伸長させることができる。この伸長動作においては、臀部支持部が所定高さを有することに伴い使用者の胴体部がわずかに床面から浮いた状態となり、特に腰部から背部にかけては床からの圧力を受けない状態となる。ここで、通常の皮膚は触覚の感覚器として機能しており、皮膚が変形(例えば引っ張り)したり擦れたりするとその感覚を感知及び伝達して当該部位の運動の制御を行う機能が発現することになるが、本願の発明者は、本発明のように特に腰部から背部にかけては床からの圧力を受けない状態であることで、胴体の運動制御機能が発現することが抑制されているとの知見に至った。これにより腹部や背部等が脱力して床から浮いて擦れることもない状態では、皮膚は伸ばされていることに対して抵抗することがなく、それが故に、従来に比して胴体を大幅に伸ばすことができ、効率良く胴体の筋膜リリースを行うことができる。また、使用時において腹筋や背筋等に力が加わっていないため、非常に効果的に胴体の筋膜リリースを行うことができる。すなわち、筋肉を大きく引き伸ばすことによりあたかもゴムのように伸びて細くなった筋肉は、体液が不足した場所に体液が入り込める隙間を生じさせ、かつ、大きく動く臓器による擦れ合いを生じさせて広い範囲に体液を付着させることができる。なお、単に胴体を伸長するためには、例えば鉄棒等にぶら下がることが考えられるものの、この場合は実際に、ぶら下がった状態を維持するために身体のあらゆる各所に大きな力が入って筋肉が収縮してしまうため、好適な筋膜リリースを行うことが困難である。
【0012】
また、前記使用状態において前記被押圧部の床面からの高さが前記臀部支持部の床面からの高さよりも高い構成が提案される。
【0013】
かかる構成とすることにより、仰臥した使用者にとっては、前記被押圧部を足下に向かって押し易くなる。これにより、使用者は、腰部と背部とが浮いた脱力姿勢をとりながら伸長動作が行い易くなるため、より一層筋膜リリースの効果が向上する。
【0014】
さらに、前記臀部支持部には、使用者の臀部に当接する滑り止め手段が設けられている構成が提案される。
【0015】
かかる構成とすることにより、本体部と使用者とがいわば一体化しやすくなるため、使用中における使用者の姿勢の崩れを抑えることが可能となり、使用者の脱力姿勢が維持し易いという利点がある。
【0016】
上述のように、前記臀部支持部における床面からの所定高さは、使用者の臀部が置かれた状態で当該使用者の少なくとも腰部および背部(背中部)が床面に接しない高さであることが好ましい。
【0017】
かかる構成とすることにより、使用者は、脱力した状態で腰部や背部に床面からの圧力がかからない姿勢をとることができ、触覚の感覚器である皮膚が、引っ張りや擦れを感知して運動を制御するという機能が働かない状態を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の胴体伸長器具は、皮膚が有する触覚機能に基づく運動機能が働かない状態で胴体を伸ばすことができるものであり、腰部から背部にかけて床面からの圧力を受けない脱力した姿勢で効果的に筋膜リリースを行うことができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1にかかる胴体伸長器具の斜視図である。
図2】a)は実施例1にかかる胴体伸長器具の使用状態を示す説明図であり、b)は変形例にかかる胴体伸長器具の側面図である。
図3】実施例2にかかる胴体伸長器具の斜視図である。
図4】実施例2にかかる胴体伸長器具の使用状態を示す説明図である。
図5】実施例3にかかる胴体伸長器具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の胴体伸長器具を具体化した実施例を詳細に説明する。なお本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0021】
〔実施例1〕
胴体伸長器具1は、図1に示すように、板材を組み合わせた長尺状の本体部10を備えている。例えば、本体部10の長尺方向の全長は、約65cmとすることができる。
【0022】
また、本体部10の上面であってその中央部には、臀部支持部20が配されており、さらに臀部支持部20の左右両側には、各々被押圧部30,30が配されている。ここで、臀部支持部20は、図1図2aに示すように、本体部10が床面GLに置かれた使用状態で、所定高さの位置に配されることとなる。例えば、臀部支持部20の床面GLからの高さHは約8cmとすることができる。なお、かかる高さHは、使用する者の体格に応じて、約5cm~約10cmの範囲で適宜変更可能である。
【0023】
また、被押圧部30は、本体部10に対して上向きに突き出された押し板(段部)で構成されており、使用状態で臀部支持部20の高さよりも高い位置に配されることとなる。
【0024】
次に、胴体伸長器具1の使用状態について説明する。
胴体伸長器具1は、図2aに示すように、床面GLに載置され、その上に使用者が仰臥した状態で臀部を臀部支持部20に載置する。このとき、本体部10の長手方向は、当該使用者を基準として左右方向となり、かかる使用状態において、一対の被押圧部30,30は、使用者の左右両側に配置されることとなる。そして、使用者は、自身の重みで移動しない状態の胴体伸長器具1における被押圧部30を両腕によって使用者の脚部方向へ向けて押圧する。さらにその状態で使用者は胴体を伸長する体勢として同じ姿勢で所定時間維持したり、また伸長する体勢を繰り返したりして筋膜リリースを実行する。
【0025】
このように、仰臥して脱力した状態の使用者が被押圧部30を腕の力のみで自身の足下に向かって押し下げる動作をすることにより、腰部と背部が床面GLから浮いた状態となっているが故に、床面GLに対する抵抗が小さい頭部の方に胴体が伸びる。そうすると、この一つの押圧動作だけで、腹筋や背筋等が弛緩した状態で胴体が伸びる。このとき外見上は、床面GLに接した肩や後頭部が本体部10から離れ始め、そして離れ切ったときに、筋膜リリースが好適に実行されていることになる。すなわち、水分不足で固くなった筋膜の絡みや癒着が解消され、筋膜に十分な体液が満たされた状態が得られやすくなり、筋膜が好適に滑りやすいものとなる。また、筋肉が細くなり、隣接する筋肉や臓器間に、体液が入り込める隙間が生じる。さらに、筋膜が神経をこすって刺激する状態も抑制されるため、痛みも緩和される。さらに、これに伴い、背骨や肩甲骨にもリラックス効果が与えられて、例えば生活習慣病による腰や肩のコリやハリがほぐされることになる。また、このような仰臥姿勢を確保することで、筋肉が引き伸ばされ、これにより、筋肉が本来の長さに回復して長年にわたって収縮してきた状態が緩和されるため、腰の曲がりも改善し、猫背状態からの整復にも効果が得られる。加えて、かかる胴体伸長器具1を使用している状態では、体内の臓器が、胴体部の表面に対して従来にないほど相対的に頭部の方向に移動することになり、そのときには胴体内の臓器が皮膚内部の表面を滑るような体感が得られる。そうすると、通常の生活活動では得られない範囲まで臓器を動かせることも可能となり、より一層、体液の供給が不足しがちな箇所まで体液を濡らすことができ、癒着部位における筋膜の潤滑が促進されて筋膜リリースの効果が発揮される。
【0026】
また、筋膜リリースを行う際には肘を床面GLにつけて多少背筋を伸ばすようにしながら行うとより効果的である。また、体力のない高齢者などは頭部を枕に乗せて、腕を伸ばす際に枕ごと頭部を動かすようにするとよい。この枕の高さは、臀部支持部20の高さとの兼ね合いで適宜定めるのが望ましい。また、背中の皮膚や背筋を効果的に伸ばすべく、胴体を伸長する際は、通常の体型の人は勿論、太った人や背中が大きく曲がった人などにおいても、背中はできるだけ床面GLから離して背中の皮膚や背筋に負荷がかからないようにすることが望ましい。ただし、伸長状態を維持する際は、肩に近い背部の一部が床面GLに接していても構わない。
【0027】
実際に筋膜リリースを行う際は、被押圧部30を押す動作を、筋肉が伸び切った状態で15秒~20秒間維持する。そして、これを数秒の間隔を置いて3回~5回程度行う。これで筋膜がリリースされて、生活習慣のコリやハリ及び痛みは改善される。なお、猫背の修正では、伸び切った状態を10秒間程度維持し、これを数秒の間隔を置いて20回程度行う。そして、これを1セットとして1日2~3セット行うことが望ましい。この運動は、猫背になる要因でもある筋肉の縮みを回復することや筋肉を強化することになり、背中が前へ引っ張られる要因を解消することができる。これにより、猫背を治す道筋をつけることが可能となる。また、体幹を強化するには、上記の猫背の運動に加え、筋肉が伸び切った状態を維持している間に、両足を揃えた上で両足の上下運動を7~8回加える。そして、これを数秒の間隔を置いて5回程度行う。さらにこれを1セットとして、1日あたり2~3セット程度行うのも、非常に効果的に筋肉を鍛えることができる。ただし、この運動は、二重の負荷を筋肉に与えることになるため、強度の高い運動となる。したがって、高齢者などが行うことは注意を要したり、取りやめたりすることが望ましい場合もある。このように、筋肉に二重の負荷を与えることは通常は行いにくいが、上記の運動により容易に可能となる。
【0028】
特に、以下の5項目の状態が得られると、日常生活では達成できない動作が可能となり、筋肉と臓器等との間に隙間が十分に確保できることとなって体液がこの隙間に十分に入り込み、潤滑性が向上して優れた筋膜剥離効果が奏せられる。
1.胴体すなわち筋肉を従来になく大きく引き伸ばす。
2.胴体部に多く集中している筋肉が脱力した状態である。
3.胴体部に、床や外側からの圧力が作用しないようにする。
4.頭部は滑りやすい枕に載せて抵抗を減らし、胴体部が伸びるときに頭部が軽く動くようにする(特に体力のない高齢者向け)。
5.胴体部を伸ばす際に、筋肉を大きく伸ばすべく、動き出して伸び切るまでの1秒ほどは上体を頭だけで支えて、皮膚や背筋がよく伸びるよう、一瞬でも良いから肩周りが床面に接しないようにする。または、両肘で一瞬だけ胴体を押し上げるようにして、肩周りが床面GLから一瞬だけでも離れるようにする。
【0029】
参考として、高齢者や体力のない人、及び健常者でも上記の動作に不慣れな人などは、肩の部分を床面GLに接触させたまま伸長してもよい。また、生活習慣病の予防としては、筋肉が十分に潤滑されていれば生活習慣病の多くを防ぐことができるため、筋膜リリースを朝に2回ほど15~20秒間行って、体液による潤滑に支障がでないように心がけるとよい。
【0030】
これまでに述べた胴体伸長器具1は、使用者が単独で使用することができ、仰臥するだけの場所が確保できれば手軽に筋膜リリースを行うことができる。特に押し板で構成された被押圧部30は、使用者にとって力強く押圧しやすい構造である。
【0031】
〔実施例2〕
図3に示したように、実施例2の胴体伸長器具2にあっては、長尺状の本体部40における臀部支持部50に、使用者の臀部に当接する滑り止め手段としてのクッション材が配されている。また、本体部40の下面には、床面GLに当接する滑り止め手段としてのクッション材からなる床面当接部60が配されている。なお、本実施例の被押圧部70の床面GLからの高さは、臀部支持部50における床面GLからの高さとほぼ同一であるところ、被押圧部70は、使用者が脚部方向に押圧することが可能な手掛かりとしての機能を有していれば種々の形状とすることができる。また、クッション材としては、ゴム材やエラストマー材などが選択可能であり、スポンジ状の材料が採用されてもよい。
【0032】
上述したような臀部支持部50や床面当接部60を具備する胴体伸長器具2は、床面GLと胴体伸長器具2、あるいは胴体伸長器具2と使用者とが相対的に位置ずれしてしまうことを抑制できるため、胴体伸長器具2を所定の基準位置に留め置きながら、使用者は安定した姿勢で筋膜リリースを行うことができる。
【0033】
〔実施例3〕
また、図5に示すように、胴体伸長器具3において、上下両側の面に臀部支持部81,82をそれぞれ設けると共に、一側の面に形成された臀部支持部81を被押圧部70に対して低段部となるように構成している。かかる構成にあっては、臀部支持部81,82のうちいずれかを上向きにして使用すると、使用する臀部支持部81,82によって床面GLからの臀部支持部81,82の高さが異なるものとなる。したがって、胴体伸長器具3は、ひとつの製品で、体格に応じた複数の使い分けが可能となる。なお、図5において実施例2と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略している。
【0034】
上記した実施例において、各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。
【0035】
また、実施例1において、被押圧部30の位置は臀部支持部20よりも使用者の頭部側に配される必要はなく、脚部側に配される構成であってもよい。
【0036】
また、被押圧部30は、掌で押し下げてもよいし、例えば押す動作に合わせて両肘で胴体を支持するように一瞬だけ胴体を持ち上げるようにしても構わない。
【0037】
また、胴体伸長器具1~3は、ベッド上面を床面GLとしてもよいし、角度調整可能なソファー上面を床面GLとしてもよい。
【0038】
また、臀部支持部20,50の上面は、水平面でもよいが、図2bに示す変形例の臀部支持部21のように、所定角度のついた傾斜面としてもよい。この傾斜面は、使用者の足下側に下方傾斜する構成が好ましい。このような傾斜を設けることで、動作が早かったり動作回数が多くなったりしても、使用者の臀部位置が頭部側へずれてしまうことを抑制できる。また例えば臀部支持部20,21,50に、臀部の形状に合わせた傾斜や凹部を設けても構わない。
【0039】
また、例えば実施例1の構成に対して滑り止め手段を適用してもよい。また、実施例2の被押圧部70を、臀部支持部50よりも高い段部で構成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1~3 胴体伸長器具
10,40 本体部
20,21,50,81,82 臀部支持部
30,70 被押圧部
60 床面当接部
図1
図2
図3
図4
図5