(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】缶底弁昇降装置
(51)【国際特許分類】
B66F 7/02 20060101AFI20240821BHJP
B66F 7/14 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
B66F7/02 E
B66F7/14
(21)【出願番号】P 2021050074
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】西 剛志
(72)【発明者】
【氏名】宇城 光啓
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-148596(JP,A)
【文献】特開2013-170634(JP,A)
【文献】登録実用新案第3068873(JP,U)
【文献】特開平03-264500(JP,A)
【文献】特開2018-115057(JP,A)
【文献】特開平03-042498(JP,A)
【文献】特開平02-286598(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0304965(US,A1)
【文献】特開平05-270781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 7/00 - 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に開口を有するタンク本体と、該開口を閉塞する缶底弁とを備えたタンクでの前記缶底弁の着脱に用いられる缶底弁昇降装置であって、
前記タンク本体の下方において前記缶底弁を支持する支持具を備えた支持部と、
前記タンク本体に設けられる吊下部と、
前記支持具を上下動させる動作部と、を備え、
前記タンク本体に設けられた前記吊下部から吊下げられた状態で前記動作部によって前記支持具が上下動するように構成されている缶底弁昇降装置。
【請求項2】
前記動作部は、
前記支持具を前記吊下部から吊下げる紐状体を有し、
前記吊下部から前記支持具までの前記紐状体の長さを変更して前記支持具を上下動させるように構成されている請求項1記載の缶底弁昇降装置。
【請求項3】
前記吊下部には、前記紐状体が引掛けられる引掛具が備えられ、
第1引掛具と第2引掛具とを含む複数の前記引掛具が備えられており、
前記開口の左右の一方側に前記第1引掛具が配され、他方側に前記第2引掛具が配され、
前記紐状体が、前記第1引掛具と前記第2引掛具とのそれぞれから前記支持具に延びるように配される請求項2記載の缶底弁昇降装置。
【請求項4】
前記第1引掛具と前記第2引掛具とのそれぞれには、前記紐状体が長さ方向に移動自在な状態で引掛けられ、
前記紐状体は、
前記支持具から前記吊下部へと延び、前記第1引掛具と前記第2引掛具とに引掛けられた後に前記支持具へと戻るように配され、前記第1引掛具から前記支持具へ延びる部分を下方に引いた時に前記第2引掛具から前記支持具へ延びる部分が引き上げられるように配される請求項3記載の缶底弁昇降装置。
【請求項5】
前記第1引掛具と前記第2引掛具との少なくとも一方には前記紐状体が挿通される挿通部が設けられている請求項3又は4記載の缶底弁昇降装置。
【請求項6】
前記タンク本体の底部には、
下方に筒状に延びて下端にて前記開口を画定する筒状部と、
該筒状部の下端部より径方向外向きに延びるフランジ部とが備えられ、
前記吊下部は、
前記フランジ部よりも内径が小さく前記筒状部よりも内径が大きな割りフランジを備え、
該割りフランジが前記筒状部に着脱自在で、該割りフランジに前記第1引掛具と前記第2引掛具とが備えられている請求項3乃至5の何れか1項記載の缶底弁昇降装置。
【請求項7】
前記支持具よりも上方において前記缶底弁に取り付けられて前記吊下部から前記支持具に至る間で前記紐状体を案内するガイド部材をさらに備え、
前記第1引掛具と前記第2引掛具とから前記支持具へと延びる前記紐状体が前記支持具よりも上方で前記ガイド部材によってガイドされるように構成されている請求項3乃至6の何れか1項に記載の缶底弁昇降装置。
【請求項8】
前記ガイド部材は、
前記第1引掛具から延びる前記紐状体をガイドする第1ガイド部と、前記第2引掛具から延びる前記紐状体をガイドする第2ガイド部とを備え、
前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との水平方向での距離が、前記第1引掛具と前記第2引掛具との水平方向での距離よりも長くなるように構成されている請求項7記載の缶底弁昇降装置。
【請求項9】
前記支持部が、
前記支持具と、該支持具に前記缶底弁を固定するための固定具とを備えている請求項1乃至8の何れか1項に記載の缶底弁昇降装置。
【請求項10】
前記支持具が、上面側に前記缶底弁が載置されるボードである請求項1乃至9の何れか1項に記載の缶底弁昇降装置。
【請求項11】
前記支持部には、前記ボードの下面側より下方に延びる複数の支持脚がさらに備えられている請求項10記載の缶底弁昇降装置。
【請求項12】
前記支持部が前記缶底弁の下端部を支持する前記支持具を備え、
前記動作部が該支持具に取付けられた棒状体を備え、
該棒状体が前記支持具から上方に延びるように備えられ、
該棒状体が直接的又は間接的に前記吊下部から吊下げられることによって前記支持具が前記タンク本体から吊下げられた状態となるように構成されており、
前記動作部は、前記棒状体への前記支持具の取付位置を上下に変化させて前記支持具を上下動させるように構成されている請求項1記載の缶底弁昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は缶底弁昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品や食品などの製造に利用されるタンクなどの収容装置では、タンク本体と、該タンク本体の底部における開口を閉塞する缶底弁とが別体となっており、メンテナンスの際に缶底弁を取り外すことが行われている。当該缶底弁は、重量物であることから下記特許文献1に示すように着脱のために昇降装置が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
缶底弁昇降装置は、通常、缶底弁の装着位置の真下に設置されて用いられるが、タンクの下には配管が敷設されていたりするため設置位置に制約を受けることがある。そのため、缶底弁昇降装置は、設置位置に制約を受けることを抑制することが好ましいもののそのような検討はなされていない。そこで、本発明は、設置位置に制約が生じ難い缶底弁昇降装置を提供し、ひいてはメンテナンスし易い収容装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、
底部に開口を有するタンク本体と、該開口を閉塞する缶底弁とを備えたタンクでの前記缶底弁の着脱に用いられる缶底弁昇降装置であって、
前記タンク本体の下方において前記缶底弁を支持する支持具を備えた支持部と、
前記タンク本体に設けられる吊下部と、
前記支持部を上下動させる動作部と、を備え、
前記タンク本体に設けられた前記吊下部から吊下げられた状態で前記動作部によって前記支持具が上下動するように構成されている缶底弁昇降装置、を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、設置位置に制約が生じ難い缶底弁昇降装置が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】第1実施形態の缶底弁昇降装置の機能を示した概略正面図。
【
図3】タンク本体から紐状体を吊下げた状態を示した概略正面図(
図2のIII部拡大図)。
【
図4】缶底弁昇降装置の支持部を示した概略平面図(
図2のIV-IV線矢視断面図)。
【
図5】缶底弁昇降装置のガイド部を示した概略平面図(
図2のV-V線矢視断面図)。
【
図6】第2実施形態の缶底弁昇降装置の機能を示した概略正面図。
【
図7】第2実施形態の缶底弁昇降装置の上面視(
図6でのX方向視)での状態を示した概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の一実施の形態(第1実施形態)についてタンクを備えた収容装置を例に図を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態における収容装置Aは、
図1に示すようにタンク本体1と缶底弁2とを備えたタンク100を備えている。本実施形態における収容装置Aは、
図2に示すように、前記缶底弁2を前記タンク本体1に対して着脱するのに用いられる缶底弁昇降装置500を備えている。
【0009】
前記タンク本体1は、被収容物を収容する内部空間1cを有している。本実施形態のタンク100は、前記タンク本体1の内側にグラスライニングが施されており、前記タンク本体1の内壁面1bに耐食性が付与されている。本実施形態の前記タンク本体1は、内部空間1cの寸法が上下方向に長い縦型タンクである。前記タンク本体1は、平面視円形の底壁部11と、該底壁部11の外周縁より円筒状になって上方に延びる周側壁部12と、前記底壁部11と上下方向に対向して前記周側壁部12の上端部を塞ぐように配される平面視円形の天井壁部13とを備えている。
【0010】
前記タンク本体1は、前記内部空間1cに収容した被収容物を排出すべく底部に開口1hを有する。前記タンク本体1は、前記底壁部11の中央部に下方に向けて開口している。前記タンク本体1は、被収容物を収容するための内部空間を有する収容部10cを備えている。前記タンク本体1は、前記収容部10cの下方に前記被収容物を排出するための排出部10eを備えている。前記排出部10eは、上端部が前記収容部10cに接続され、該上端部から下方に筒状に延びて下端にて前記開口1hを画定する筒状部15を備えている。本実施形態の前記筒状部15は、垂直方向に短く延びる円筒状である。前記排出部10eは、該筒状部15の下端部より径方向外向きに延びるフランジ部(以下、「本体フランジ部16」ともいう)をさらに備えている。本実施形態の本体フランジ部16は外周縁の直径が前記筒状部15の外径(直径)よりも径大となるように構成されている。
【0011】
本実施形態における収容装置Aでは、前記タンク100は、前記底壁部11が床面FLよりも上方に位置するように設置されている。より詳しくは、前記タンク100は、前記缶底弁2の下端部が床面FLから所定の高さ(例えば、50cm以上の高さ)となるように設置されている。
【0012】
本実施形態における前記缶底弁2は、前記排出部10eより排出される被収容物の流れFの通路となる配管部21と該配管部21を通じた流路の開閉を行う開閉装置22とを備えている。前記配管部21は、前記筒状部15と接続されて該筒状部15の内部を通る流路を下方に向けて延長する直進部211と、該直進部211での流路を斜め方向に転向させて流路を斜め下向きとする転流部212とを備えている。即ち、前記配管部21は、前記直進部211と前記転流部212とが直線的でなく角度をもって接続されており、全体として屈曲した形状を有している。
【0013】
前記缶底弁2は、前記直進部211の上部の外径が前記筒状部15の内径以下となっており、前記缶底弁2を前記タンク本体1と接続するのに際して前記直進部211の上部を前記筒状部15に下方より挿入可能となっている。即ち、前記缶底弁2は、前記排出部10eに接続された際に前記配管部21の前記直進部211が前記タンク本体1の筒状部15に続けて垂直方向下方に延びるように構成されている。一方で前記転流部212は、前記直進部211の延長方向に対して90度未満の角度(例えば、30度~60度の何れか)となるように構成されている。
【0014】
前記缶底弁2は、該直進部211の上端から下端(転流部212との接続箇所)までの途中に径方向外方に延びるフランジ部(以下、「弁フランジ部213」ともいう)有し、該弁フランジ部213が前記筒状部15よりも径大で前記本体フランジ部16とフランジ接続できるように構成されている。前記缶底弁2は、該弁フランジ部213の上側に本体フランジ部16を重ね、これらのフランジ部どうしがボルト止め等によって締結されることでタンク本体1に固定され、且つ、前記締結が解除されることでタンク本体1から脱離し得るように構成されている。即ち、本実施形態の缶底弁2は、弁フランジ部213でのタンク本体1への締結と締結解除とによってタンク本体1に着脱自在となっている。
【0015】
前記缶底弁2は、前記弁フランジ部213が本体フランジ部16に下方から当接されることで直進部211の上端部の前記筒状部15への進入深さが一定以内に規制されるように構成されている。前記直進部211の進入深さは、前記筒状部15の長さ以下である。前記直進部211の進入深さは、前記直進部211の上端が前記タンク本体1の底壁部11の上面11aよりも上方に突出しないように設定されている。
【0016】
本実施形態のタンク100は、上記のようにして前記缶底弁2が前記タンク本体1に取付けられた際に前記筒状部15と前記配管部21とが一つの配管となって内部にこれらを通る流路が形成されるように構成されている。前記開閉装置22は、前記直進部211と前記転流部212との接続箇所から下方に筒状に延びるシリンダー部221と、該シリンダー部221の内部を通って上下に延びるシャフト部222とを有し、該シャフト部222の上端部に前記開口1hを開閉するための弁体223が設けられている。
【0017】
前記シリンダー部221は、上下に貫通する貫通孔(図示せず)を有し、該貫通孔に前記シャフト部222を挿通させるように構成されている。該シャフト部222は、前記貫通孔を通過する位置において外周に螺子(図示せず)が形成されている。該螺子は螺旋状となっており、螺子山がシャフト部222の中心軸の周りに周回しつつ該シャフト部222の長さ方向に移動するように形成されている。前記貫通孔を画定する前記シリンダー部221の内壁面にも前記シャフト部222に形成された螺子と螺合可能な螺子(図示せず)が形成されている。
【0018】
前記シャフト部222は、前記シリンダー部221の下端より下方に突出しており、その下端部が当該シャフト部222を軸周りに回転させるためのハンドル224に接続されている。該ハンドル224は、前記シリンダー部221よりも大きな円形のリング224aによって構成されている。該ハンドル224は、リング224aの径方向が水平方向となるように構成されている。
【0019】
本実施形態の前記収容装置Aは、このタンク100でのタンク本体1への缶底弁2の装着と取り外しとに用いる缶底弁昇降装置500を備えている。該缶底弁昇降装置500は、前記タンク本体1の下方において前記缶底弁2を支持する支持具511を備えた支持部510と、前記支持具511を前記タンク本体1から吊下げるために前記タンク本体1に設けられる吊下部520と、該支持具511を上下動させる動作部530と、を備えている。本実施形態の前記収容装置Aは、前記タンク本体1に設けられた前記吊下部520から吊下げられた状態で前記動作部530によって前記支持具511が上下動するように構成されている。該収容装置Aでの前記動作部530は、前記支持具511を前記吊下部520から吊下げる紐状体531を有し、前記吊下部520から前記支持具511までの前記紐状体531の長さを変更して前記支持具511を上下動させるように構成されている。
【0020】
本実施形態の缶底弁昇降装置500は、上記のように前記缶底弁2を前記タンク本体1から紐状体531で吊下げて支持し得るように構成されている。吊下げに用いられる前記紐状体531は、金属製(鉄基合金製、アルミニウム基合金製など)であってもよく、無機繊維製(ガラス繊維製、炭素繊維製など)であってもよく、高張力樹脂繊維製(アラミド繊維製、ポリエーテルエーテルケトン繊維製)であってもよい。前記紐状体531は、単糸状(コード状)であっても、撚糸状(ロープ状)であってもよい。前記紐状体531は、複数のリングを繋げた鎖状(チェーン状)であってもよい。
【0021】
本実施形態の前記動作部530は、例えば、前記紐状体531を巻き取ったり、巻き取った紐状体531を繰り出したりして前記吊下部520から前記支持具511までの長さを調節する巻取機532などを有していてもよい。即ち、本実施形態の缶底弁昇降装置500は、巻取機532を操作して前記缶底弁2を上下させ得るように構成されていてもよい。
【0022】
本実施形態の吊下部520は、前記本体フランジ部16よりも内径が小さく前記筒状部15よりも内径が大きな割りフランジ521を備えており、該割りフランジ521が前記筒状部15に着脱自在であることでタンク本体1に対して着脱自在となっている。本実施形態の収容装置Aでは、前記割りフランジ521が前記本体フランジ部16に係止されて備えられている。前記割りフランジ521には、前記紐状体531を引掛ける複数の引掛具が備えられている。本実施形態の前記割りフランジ521には、第1引掛具5211と第2引掛具5212とが備えられている。
【0023】
本実施形態の吊下部520は、前記開口1hの左右の一方側に前記第1引掛具5211が配され、他方側に前記第2引掛具5212が配されている。前記缶底弁2の昇降に際し、前記複数の引掛具に引掛けられる前記紐状体531は、本実施形態では前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212とのそれぞれから前記支持具511に延びるように配される。
【0024】
前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212とは、例えば、前記割りフランジ521から離れる方向に先上りとなるように設けられたピンのようなものであっても、割りフランジ521から離れた位置で径大となるナット状のようなものであってもよい。前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212とは、例えば、プーリーのようなものであってもよい。前記紐状体531は、前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212との係合箇所がその長さ方向に移動自在(スライド自在)な状態となって引っ掛けられることが好ましい。
【0025】
前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212とは、前記紐状体531が不用意に外れてしまわないように前記紐状体531が挿通される挿通部が設けられていることが好ましい。挿通部を有する前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212とは、例えば、アイや割れ環状のフックなどにより構成され得る。本実施形態においては、前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212とのそれぞれが前記紐状体531の太さよりも径大な内径を有するアイ521aによって構成されている。
【0026】
本実施形態での前記アイ521aは、前記割りフランジ521の外周面よりも径方向外向きに突出するように備えられている。前記アイ521aは、本体フランジ部16よりも外側に突出するように備えられている。前記アイ521aは、挿通方向が水平方向となるように前記挿通部を構成している。前記第1引掛具5211のアイ521aと、前記第2引掛具5212のアイ521aとは、前記割りフランジ521の外周方向に180度離れた位置に配されている。
【0027】
本実施形態では、
図3に示すように、前記支持具511から延びる前記紐状体531が、前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212とのそれぞれに長さ方向への移動自在(スライド自在)となって引掛けられ、前記支持具511から前記吊下部520へと延びて前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212とに引掛けられた後に前記支持具511へと戻るように配される。より詳しくは、前記紐状体531は、前記支持具511から前記第1引掛具5211へと至り、前記第1引掛具5211のアイ521aを通り、前記割りフランジ521を半周した後で前記第2引掛具5212の前記アイ521aを通過して前記支持具511へと戻るように配される。即ち、本実施形態では、前記支持具511から前記吊下部520を通って前記支持具511へ戻るまでの区間で前記紐状体531が、一本に繋がった状態となっている。しかも、紐状体531は、前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212とのそれぞれにスライド自在となって引掛けられているため、前記第1引掛具5211から前記支持具511へ延びる部分を下方に引いた時に前記第2引掛具から前記支持部へ延びる部分が引き上げられるように配される。紐状体531は、逆に、前記第2引掛具5212から前記支持具511へ延びる部分を下方に引いた時に前記第1引掛具5211から前記支持部へ延びる部分が引き上げられるように配される。
【0028】
本実施形態においては後段において詳述するように前記缶底弁2は、前記支持具511であるボード511aの上に載置されて支持される。そして、前記ボード511aが、一端部と、該一端部とは反対側の他端部とを有し、前記一端部が前記第1引掛具5211から延びる前記紐状体531で支持されるとともに前記他端部が前記第2引掛具5212から延びる前記紐状体531で支持される。上記のように、本実施形態では、前記第1引掛具5211から前記支持具511へ延びる部分を下方に引いて前記第1引掛具5211から前記支持具511までの紐状体531の長さを長くした時にその分だけ前記第2引掛具5212から前記支持具511までの紐状体531の長さが短くなるようになっており、逆の操作によっても各引掛具から前記支持具511までの紐状体531の長さが調節可能である。そのため、本実施形態の缶底弁昇降装置500では、前記ボード511aが水平に保たれていないような場合に簡単な操作で水平を保たせることができる。
【0029】
本実施形態においては、前記缶底弁2を持ち上げて前記タンク本体1の開口1hの真下に位置させた場合の第1引掛具5211から前記ボード511aまでの紐状体531の長さと第2引掛具5212から前記ボード511aまでの紐状体531の長さとの差が、そのまま前記缶底弁2を下に降ろした時の長さの差となるとは限らない。例えば、開口1hの真下に配管などが敷設されていて、この配管をよけるために位置を側方にずらして缶底弁2を降ろしたりすると缶底弁2を持ち上げてタンク本体1に装着する寸前での紐状体531の長さの差と前記缶底弁2を降ろした時の長さの差とが大きく異なる場合がある。そのような場合でも、本実施形態においては紐状体531の長さ調整が容易であるため、前記ボード511aを水平に保たせ易い。
【0030】
上記のような紐状体531の長さ調整に際しては、特段の措置を講じなければ前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212との間で紐状体531が前記割りフランジ521の外周面に摺接されることになる。この区間での紐状体531の移動を滑らかなものにするために、例えば、割りフランジ521の外周面より突出するようにローラーを前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212との間に配し、且つ、ローラーの回転軸を紐状体531と交差するように配してもよい。このようにして、前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212との間を周回する紐状体531が割りフランジ521の外周面から離れた状態となるように前記ローラーで紐状体531を内周側(径方向内側)から支持することで紐状体531の移動抵抗が大きく低減され得る。
【0031】
本実施形態の前記支持部510は、
図4に示すように、前記タンク本体1から取外された前記缶底弁2を下方から支持する支持具511と該支持具511に対して前記缶底弁2を固定するための固定具512とを備える。本実施形態における前記支持部510は、前記のように前記缶底弁2を載置するために板面が横方向となるように用いられるボード511aを備えている。前記支持部510は、該ボード511aの下面側より下方に延びる複数の支持脚511bをさらに備えている。
【0032】
前記ボード511aは、前記缶底弁2のハンドル224を構成しているリング224aよりも面積の大きな板であり、前記缶底弁2の重さを支えるのに十分な強度を有している。前記ボード511aは、平面視における形状が、矩形状であっても円形状であってもよく、その他の形状であってもよい。矩形状である場合、前記ボード511aの形状は、正方形状であっても長方形状であってもよい。円形状である場合、前記ボード511aの形状は、正円状であっても楕円状であってもよい。本実施形態でのボード511aは、長方形となっている。前記本実施形態の前記支持脚511bは、前記ボード511aの4つの角部において下方に延びており、各支持脚511bの下端から前記ボード511aまでの長さが共通している。
【0033】
前記支持脚511bは、個々の長さが変更可能となるように備えられていてもよい。前記支持脚511bは、前記ボード511aに対して回動自在に取付られていてもよい。即ち、前記支持脚511bは、前記ボード511aの4つの角部から下方に延びた第1の状態と、該第1の状態から前記ボード511aの角部における取付箇所を中心に約90度回転して前記ボード511aの裏面に沿うようにたたまれた第2の状態とを取り得るように構成されていてもよい。また、前記支持脚511bは、前記ボード511aに対して着脱自在であってもよい。前記支持部510は、持ち上げることなく床面上を横移動できるように前記支持脚511bの下端部がキャスターとなっていてもよい。
【0034】
本実施形態の前記固定具512は、前記ボード511aの上面に配された複数のクランプ512aによって構成されている。本実施形態の前記支持部510は、前記ハンドル224を構成しているリング224aを前記ボード511aの上面に当接させて前記缶底弁2を起立状態で下方から支持し得るように構成されており、前記リング224aが当接される領域が前記缶底弁2の載置される載置領域511abとなっている。前記複数のクランプ512aは、前記ボード511aに対して固定されて配置されている。本実施形態での前記複数のクランプ512aは、載置領域511abの外周部に沿って等間隔に配されている。
【0035】
本実施形態の前記巻取機532は、例えば、前記載置領域511abの側方において前記ボード511aの上面に固定されて配置されてもよい。そして、前記第1引掛具5211から延びる前記紐状体531を当該巻取機532で巻き取ったり繰り出したりさせるようにし、前記第1引掛具5211から延びる前記紐状体531の端部を載置領域511abの反対側に固定するようにしてもよい。即ち、本実施形態の前記ボード511aでは、長手方向一端側から他端側にかけて巻取機532、載置領域511ab、紐状体取付位置とが順に並ぶように配されてもよい。この場合、第1引掛具5211から支持具511までの紐状体531の長さと、第2引掛具5212から支持具511までの紐状体531の長さとの両方が一つの巻取機532で調整され得る。前記巻取機532は、例えば、前記ボード511aの裏面に配置してもよい。
【0036】
本実施形態では、前記第1引掛具5211から前記支持具511へと延びる紐状体531を巻き取る第1巻取機と、前記第2引掛具5212から前記支持具511へと延びる紐状体531を巻き取る第2巻取機とを含む複数台の前記巻取機532を備えてもよい。その場合、前記第1巻取機での紐状体の巻取りと前記第2巻取機での紐状体の巻取りとを個別に制御すれば前記割りフランジ521で紐状体531をスライドすることなく前記ボード511aの水平を制御することができる。本実施形態においては、装置構成をシンプルなものとすべく前記巻取機532は1台とされている。
【0037】
本実施形態での前記ボード511aは、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔511hを有している。該複数の貫通孔511hには、第1貫通孔511h1と第2貫通孔511h2とが含まれる。該2つの貫通孔511hは、これらの間に前記載置領域511abが位置するように構成されている。前記貫通孔511hの位置は、前記載置領域511abを挟んで対称となる位置に設けられている。本実施形態の前記ボード511aでは、長手方向一端側から他端側にかけて第1貫通孔511h1、載置領域511ab、第2貫通孔511h2と並ぶように配置されてもよい。
【0038】
本実施形態での前記巻取機532は、上記のように前記ボード511aの下面側に設けることができ、例えば、前記載置領域511abの裏面とすることができる。前記貫通孔511hは、前記吊下部520から延びる紐状体531を挿通させて前記巻取機532で巻き取らせるためのもので、前記紐状体531の太さよりも大きな断面積を有する。
【0039】
前記第1貫通孔511h1は、前記第1引掛具5211から延びる前記紐状体531を前記ボード511aの上面側から下面側へと通過させるように配される。前記第2貫通孔511h2は、前記第2引掛具5212から延びる前記紐状体531を前記ボード511aの上面側から下面側へと通過させるように配される。
【0040】
前記巻取機532は、前記第1貫通孔511h1を通って当該巻取機532へと至る前記紐状体531と前記第2貫通孔511h2を通って当該巻取機532へと至る前記紐状体531との両方を正転時および逆転時の何れか一方において巻取り、他方において繰出すリールを備えていてもよい。該リールはモーターなどによって回転する電動リールであってもよい。前記リールは、軽量化の観点から、手回しによって回転する手動リールであってもよい。
【0041】
巻取機532は、前記のように缶底弁2の横に配置してもよいが、例えば、缶底弁2の横で手動操作をすると揺れなどを生じさせ易くなる。ボード511aの裏面に巻取機532を配置すると揺れなどが生じることを抑制し得る。本実施形態では前記載置領域511abの裏面となる位置に前記巻取機532が取り付けられている。前記巻取機532は、要すれば、タンク本体1に装着されるようにしてもよい。
【0042】
本実施形態においては該貫通孔511hより上方に延びる紐状体531が垂直方向に延びるように前記支持具511よりも上方において前記缶底弁2に取り付けられて前記吊下部520から前記支持具511に至る間で前記紐状体531を案内するガイド部材540をさらに備えている。即ち、本実施形態では、前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212とから前記ボード511aへと延びる前記紐状体531が前記ボード511aよりも上方で前記ガイド部材540によってガイドされるように構成されている。
【0043】
本実施形態のガイド部材540は、
図5に示すように、前記缶底弁2の前記直進部211を挟み込むようにして前記缶底弁2に固定される環状部541と、該環状部541から外向きに延びる複数本のアーム部542とを備える。本実施形態のガイド部材540は、前記環状部541が分割可能であり、該環状部541が分割された状態で前記直進部211に装着され、該環状部541が環状となるように組付けられることで前記直進部211からの離脱が規制されるように構成されている。
【0044】
該ガイド部材540での前記複数本のアーム部は、第1アーム部5421と第2アーム部5422とを含む。前記第1アーム部5421は、その先端部で前記第1引掛具5211から延びる前記紐状体531を案内するように構成され、該先端部が前記第1貫通孔511h1の垂直方向上側に位置するようにガイド部材540に備えられている。即ち、前記第1アーム部5421での紐状体531の案内位置は前記弁フランジ部213よりも外方となっている。前記第2アーム部5422は、その先端部で前記第2引掛具5212から延びる前記紐状体531を案内するように構成され、該先端部が前記第2貫通孔511h2の垂直方向上側に位置するようにガイド部材540に備えられている。即ち、前記第2アーム部5422での紐状体531の案内位置も前記弁フランジ部213よりも外方となっている。
【0045】
本実施形態のガイド部材540では、上記のように第1アーム部5421先端部が、前記第1引掛具5211から延びる前記紐状体531を前記第1貫通孔511h1の上方にガイドする第1ガイド部となっている。また、本実施形態のガイド部材540では、第2アーム部5422の先端部が、前記第2引掛具5212から延びる前記紐状体531を前記第2貫通孔511h2の上方にガイドする第2ガイド部となっている。
【0046】
前記第1貫通孔511h1と前記第2貫通孔511h2との間の距離は長い方が前記紐状体531が缶底弁2に当たってしまうことを防ぎ易くなる。しかし、その場合は、大きなボード511aを用いなければならず、装置が大掛かりなものになり得る。本実施形態の前記ガイド部材540は、紐状体531が第1引掛具5211と前記第1貫通孔511h1とを結ぶ直線よりも外側を通るように構成されている。本実施形態の前記ガイド部材540は、紐状体531が第2引掛具5212と前記第2貫通孔511h2とを結ぶ直線よりも外側を通るように構成されている。そのため、本実施形態においては装置が大掛かりになることを抑制しつつ缶底弁2の昇降作業に際して紐状体531が缶底弁2に接してしまうことを抑制することができる。
【0047】
本実施形態のガイド部材540は、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との水平方向での距離が、前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212との水平方向での距離よりも長くなるように構成されていてもよい。このようにすると、ガイド部材540の上方での紐状体531の角度(仰角)が、缶底弁2が持ち上げられるに従って小さくなり(紐状体531が水平に近づく状態となり)、支持具511に横揺れなどが生じ難くなって缶底弁2の姿勢が安定し易くなる。
【0048】
上記のように構成されている缶底弁昇降装置500を用いる場合、既にタンク本体1に装着されている缶底弁2をタンク本体1から外して下に降ろす際に、例えば、以下のような手順でその作業を行うことができる。
1)前記支持部510を前記タンク本体1の下方に適切な場所を見付けて設置する。その際、前記支持脚511bの先端(下端)が床面に接し、該支持脚511bによって前記ボード511aが下方から支持された状態となり、該ボード511aが水平配置となるように前記支持部510を設置する。尚、この時点では支持部510のみを設置するだけなので敢えてボード511aが水平配置となるような箇所を見付けておく必要はないが、事前にそのような箇所を見付けておくことで、缶底弁2を搭載した状態でボード511aを下に降ろす際の目安とすることができる。
2)前記ガイド部材540を前記缶底弁2に装着する。尚、ガイド部材540の装着は上記の支持部510の設置前でも、下記の割りフランジ521の装着後であってもよい。そのタイミングは任意である。
3)前記紐状体531をアイ521aに通した割りフランジ521を前記タンク本体1の筒状部15に装着する。このとき前記紐状体531が前記ガイド部材540で案内される状態となるように割りフランジ521を装着する。前記紐状体531の長さが足りないようであれば前記巻取機532から紐状体531を繰り出して前記支持具511が床に設置された状態を保ちつつ割りフランジ521を装着する。
4)巻取機532で紐状体531を巻き取り、前記ボード511aの上面(載置領域511ab)が前記缶底弁2のハンドル224に下方から接する状態になるまで前記ボード511aを持ち上げる。このとき前記ボード511aが傾いていて、前記ハンドル224のリング224aの下面の内で同時に前記ボード511aの上面に接することが可能な領域の一部にしか前記ボード511aが接していないようであれば、前記ボード511aよりも上方の紐状体531を前記アイ521aに対してスライドさせるようにして前記ボード511aの傾きを補正し前記リング224aが前記載置領域511abに十分に接する状態にする。
5)前記クランプ512aで前記リング224aを前記ボード511aに上方から押し付けるようにして前記缶底弁2を前記ボード511aに固定する。
6)前記缶底弁2をタンク本体1から取り外してその荷重を前記ボード511aで下方より支持させ、当該缶底弁2が前記紐状体531で前記タンク本体1から吊下げられた状態にする。
7)前記巻取機532から紐状体531を繰り出させて前記缶底弁2を搭載した前記ボード511aを下に降ろす。このときボード511aを真下に降ろすと支持脚511bを接地させるのに障害物となるようなものが床上等に存在する場合、ボード511aを側方に引っ張って支持部510を降ろす位置を調整する。支持部510を降ろす位置は、最初に支持部510を設置した位置とすることができる。そのことで、支持部510を降ろし切った時点で缶底弁2を安定した姿勢で支持させることができる。支持部510を降ろす位置は、最初に支持部510を設置した位置とは別であってもよい。
【0049】
前記タンク本体1から取り外された缶底弁2をタンク本体1に装着する際にも上記と同様の操作を行うことができる。即ち、支持具511を上下動させる操作については、缶底弁2の装着時と脱離時と共通させることができる。
【0050】
本実施形態では、開口1hの直下に配置したピストンなどのような剛体により缶底弁2を上下に移動するのではなく、紐状体531によって缶底弁2を吊下げた状態で缶底弁2を上下に移動させるため、缶底弁2を降ろす位置がタンク本体1の開口1hの直下に限定されない。そのため、缶底弁2が装着されている前記開口1hの直下において床面に配管などが敷設されていて前記支持部510を接地する際の障害物が存在していたとしても当該障害物を避けて開口1hの斜め下方に前記缶底弁2を降ろすことができる。
【0051】
本実施形態の缶底弁昇降装置500では、支持部510が支持脚511bを有するため、当該支持部510を接地状態にするのにまとまった広さを必要としない。例えば、本実施形態の缶底弁昇降装置500では、支持脚511bの下端が接するだけのスペースが床面上に確保できれば前記缶底弁2を安定した状態で降ろすことができる。このように本実施形態では設置位置に制約が生じ難い缶底弁昇降装置が提供され、メンテナンス性が良好な収容装置が提供され得る。
【0052】
尚、本実施形態においては吊下部520をタンク本体に対して着脱自在なものにしているが、本発明での当該吊下げ部はタンク本体に固定的に配置されたものであってもよい。即ち、前記引掛け具などは、タンク本体に溶接などの手段によって設けられるようにしてもよい。このように本発明については上記のような例示を行っているが本発明は上記例示に何等限定されるものではない。本発明は、例えば、以下に示すような実施の形態(第2実施形態)に変更可能である。
【0053】
(第2実施形態)
第2実施形態における収容装置Aは、
図6、
図7に示すような構造を有している。第2実施形態における収容装置Aに関し、第1実施形態と同様の構成に関してはその詳細な説明を必要以上には繰り返さないが、これらの図には、第1実施形態と同様の構成について同一の符号を付して示している。以下、これらの図や、必要に応じて、
図1~
図5を参照しつつ第2実施形態における収容装置Aについて説明する。
【0054】
本実施形態の収容装置Aで用いられている缶底弁昇降装置500は、タンク本体1の下方において前記缶底弁2を支持する支持具511を備えた支持部510と、前記タンク本体1に設けられる吊下部520と、前記支持具511を上下動させる動作部530と、を備え、前記タンク本体1に設けられた前記吊下部520から吊下げられた状態で前記動作部530によって前記支持具511が上下動されるように構成されている点においては第1実施形態と共通している。
【0055】
本実施形態の缶底弁昇降装置500は、前記缶底弁2の下端部を支持する支持具511を有している。本実施形態では、該支持具511として第1実施形態と同様に前記缶底弁2を上面側に載置するためのボード511aを有している。
【0056】
本実施形態の缶底弁昇降装置500での動作部530は、前記ボード511aに取付けられた棒状体を備えている。本実施形態での前記棒状体は、概ね全長に亘って外周部に螺子が形成されたボール螺子533aである。本実施形態では前記ボール螺子533aが前記ボード511aから上方に延びるように備えられ、該ボール螺子533aが直接的又は間接的に前記吊下部520から吊下げられることによって前記ボード511aが前記タンク本体1から吊下げられた状態となるように構成されている。
【0057】
本実施形態の前記動作部530では、前記ボード511aの上下動にスクリュージャッキ533が用いられており、前記ボール螺子533aとともに該スクリュージャッキ533を構成するジャッキ本体533bを備えている。
【0058】
本実施形態では、前記載置領域511abを挟んで左右にそれぞれ設けられる第1スクリュージャッキ5331と第2スクリュージャッキ5332とを含む複数のスクリュージャッキ533が前記動作部530に備えられている。本実施形態の第1スクリュージャッキ5331と第2スクリュージャッキ5332とは、前記載置領域511abに缶底弁2を載置した際に該缶底弁2を間に挟んで前記ボール螺子533aが上方に延びるように配されている。
【0059】
前記スクリュージャッキ533は、前記ジャッキ本体533bに前記ボール螺子533aを挿通可能な貫通孔(図示せず)が形成されている。前記ジャッキ本体533bは、前記貫通孔に挿通された前記ボール螺子533aと内部で螺合可能となるように構成された螺合部(図示せず)が内部に備えられている。そして、前記ジャッキ本体533bは、前記螺合部が前記ボール螺子533aの軸周りに回転することによって前記ボール螺子533aに沿って移動できるようになっている。即ち、前記ジャッキ本体533bは、前記螺合部を一方向に回転することで前記ボール螺子533aに沿って上昇するとともに前記螺合部を前記一方向とは反対となる他方向に回転させることで前記ボール螺子533aに沿って下降し得るように構成されている。
【0060】
本実施形態では、前記ボール螺子533aの下部に螺合された前記ジャッキ本体533bが前記ボード511aに固定されている。本実施形態の前記ボード511aには、前記第1スクリュージャッキ5331のジャッキ本体533bが固定されている位置に前記ボール螺子533aを上下方向に挿通可能な第1貫通孔511h1が設けられている。本実施形態の前記ボード511aには、前記第2スクリュージャッキ5332のジャッキ本体533bが固定されている位置に前記ボール螺子533aを上下方向に挿通可能な第2貫通孔511h2を有する。
【0061】
本実施形態の動作部530は、前記ボール螺子533aの下端縁の床面からの高さを変更せずに前記第1貫通孔511h1と前記第2貫通孔511h2とのそれぞれから下方に突出する部分の長さを変更して前記ボード511aを上下動させ得るように構成されている。言い換えると、本実施形態の動作部530は、前記ボード511aに対する前記ボール螺子533aの取り付け位置を上下させることで缶底弁2の昇降を行い得るようになっている。
【0062】
前記第1スクリュージャッキ5331と前記第2スクリュージャッキ5332とは個別に駆動可能であってもよく、同期駆動可能であってもよい。昇降速度が共通した複数のスクリュージャッキ533を同期駆動するようにすれば、それぞれの位置関係をその都度調整する手間を削減できる。
【0063】
本実施形態の前記動作部530には、前記ボール螺子533aの上端部を固定するための上部固定具535が更に備えられている。本実施形態では、前記第1スクリュージャッキ5331のボール螺子533aと第2スクリュージャッキ5332のボール螺子533aとの両方の上端部が1つの上部固定具535によって固定されるようになっている。該上部固定具535は、ボール螺子533aが軸周りに回転可能な状態で固定され得るように構成されている。該上部固定具535には、前記ボール螺子533aの上端部を固定するための軸受けが備えられていてもよい。
【0064】
前記ボール螺子533aの長さは、缶底弁2の高さよりも長く、前記ボード511aに載置された缶底弁2よりも上方に前記上部固定具535を位置させる得るように構成されている。本実施形態の前記動作部530は、缶底弁2を載置した前記ボード511aを上昇させた際に、少なくとも缶底弁2の上端部を前記上部固定具535よりも上方に突出させ得るように構成されている。
【0065】
本実施形態の上部固定具535は、本実施形態では、前記ボード511aの上方に位置し、前記ボード511aと上下方向に対向するように配された孔明きボード535aであり、前記ボード511aの上方に載置された前記缶底弁2を上下方向に挿通可能な大きさの貫通孔535hを備えた孔明きボード535aである。
【0066】
本実施形態の缶底弁昇降装置500は、該孔明きボード535aを前記本体フランジ部16よりも下方に位置させ、前記貫通孔535hを通じて前記缶底弁2を孔明きボード535aよりも上方に突出させた状態で前記缶底弁2を支持し得るように構成されている。本実施形態の缶底弁昇降装置500は、要すれば、前記孔明きボード535aを前記本体フランジ部16よりも上方に位置させ、前記本体フランジ部16が前記貫通孔535hを通じて下方に突出した状態となるようにタンク本体1に装着されてもよい。
【0067】
本実施形態では、吊下部520から下方に延びる紐状体531’によって前記孔明きボード535aが前記タンク本体1から吊下げられるようになっている。より詳しくは、前記孔明きボード535aは、一端部と、該一端部とは前記貫通孔535hを挟んで反対側となる他端部とを有し、前記紐状体531’の端部がそれぞれ前記一端部と前記他端部とに固定されて吊下部520から吊下げられている。第1実施形態での紐状体531は、巻取機532での巻取りによって前記吊下部520から前記支持具511までの長さが変更できるようになっていたが、第2実施形態での紐状体531’は、両端が前記孔明きボード535aに固定されており、両端間の長さは一定のまま保たれるようになっている。
【0068】
本実施形態での該紐状体531’は、第1実施形態の紐状体531と同様に、前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212とのそれぞれに長さ方向への移動自在(スライド自在)となって引掛けられ、前記孔明きボード535aから前記吊下部520へと延びて前記第1引掛具5211と前記第2引掛具5212とに引掛けられた後に前記孔明きボード535aへと戻るように配されてもよい。より詳しくは、前記紐状体531’は、前記孔明きボード535aから前記第1引掛具5211へと至り、前記第1引掛具5211のアイ521aを通り、前記割りフランジ521を半周した後で前記第2引掛具5212の前記アイ521aを通過して前記孔明きボード535aへと戻るように配されてもよい。そして、本実施形態においても、前記孔明きボード535aから前記吊下部520を通って前記孔明きボード535aへ戻るまでの区間で前記紐状体531’が、一本に繋がった状態となっていることで、前記第1引掛具5211から前記孔明きボード535aへ延びる部分を下方に引いた時に前記第2引掛具から前記孔明きボード535aへ延びる部分が引き上げられるように配されることになる。即ち、本実施形態では、前記孔明きボード535aの横移動が容易になっている。
【0069】
上記のようなことから、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、タンク本体1の直下に配管等の障害物が設けられていたとしてもタンク本体1から取り外した前記缶底弁2を該障害物を避けて下に降ろすことができる。なお、本実施形態でも第1実施形態と同様に前記ボード511aの下面側に支持脚511bを設けて前記支持部510が安定した着地姿勢となるように構成されているが、前記支持部510を着地させることなく缶底弁2へのメンテナンス作業を実施するようにしてもよい。
【0070】
本実施形態では、動作部530を構成する具体的な装置にスクリュージャッキ533が採用されているが、該スクリュージャッキ533に代えてラックアンドピニオンを採用してもよい。即ち、本実施形態では、前記棒状体が長手方向に複数の歯が並んでいるラックであってもよく、前記動作部530は、前記ボード511aに回転可能に取り付けられた歯車(ピニオン)によって前記ボード511aを上下動させるようなものであってもよい。
【0071】
前記棒状体は、油圧シリンダーのようにそれ自身が長さ方向に伸縮可能なものであってもよい。即ち、前記棒状体は、シリンダーとピストンとを備え、該シリンダーとピストンとが長手方向を有し、前記シリンダーが前記ピストンを長手方向に出し入れ自在に収容可能であるとともに前記シリンダーからの前記ピストンの突出長さが変更可能になっているようなものであってもよい。そして、当該棒状体を備えた前記動作部530は、前記ボード511aと前記孔明きボード535aとの内の一方に前記ピストンの先端部を取付けるとともに他方に前記シリンダーの基端部を取付けることで前記スクリュージャッキ533やラックアンドピニオンと同様に機能させることができる。
【0072】
本実施形態では、前記上部固定具535として孔明きボード535aを用いているが、上部固定具535は、そのような態様のものには限らず、種々の態様のものに変更可能である。また、本実施形態では上部固定具535によって前記棒状体を間接的に吊下げるのではなく、上部固定具535を用いずに前記棒状体を直接的に吊下部520から吊下げられるようにしてもよい。
【0073】
さらに本発明は、上記のような第1実施形態、第2実施形態に限らず各種の態様により実施可能である。即ち、缶底弁やその昇降装置、缶底弁を備えた収容装置などに関して従来公知の技術事項については本発明にも採用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1:タンク本体、1b:内壁面、1c:内部空間、1h:開口、
10c:収容部、10e:排出部、11:底壁部、11a:上面、12:周側壁部、13:天井壁部、15:筒状部、16:本体フランジ部、
100 タンク、
2:缶底弁、21:配管部、22:開閉装置、211:直進部、212:転流部、213:弁フランジ部、221:シリンダー部、222:シャフト部、223:弁体、224:ハンドル、224a:リング、
500:缶底弁昇降装置、
510:支持部、511:支持具、511a:ボード、511ab:載置領域、511b:支持脚、511h:貫通孔、512:固定具、512a:クランプ、
520:吊下部、521:割りフランジ、521a:アイ、第1引掛具5211、第2引掛具5212、
530:動作部、531,531’:紐状体、532:巻取機、533:スクリュージャッキ、533a:ボール螺子(棒状体)、533b:ジャッキ本体、535:上部固定具、535a:孔明きボード、535h:貫通孔、
540:ガイド部材、
541:環状部、542:アーム部
A:収容装置
FL:床面