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特許7541501ネットワーク管理システムおよびネットワーク管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】ネットワーク管理システムおよびネットワーク管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/20 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
G06F11/20 638
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021201342
(22)【出願日】2021-12-13
(65)【公開番号】P2023087144
(43)【公開日】2023-06-23
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】323014306
【氏名又は名称】APRESIA Systems株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 達郎
【審査官】三坂 敏夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-330782(JP,A)
【文献】特開平02-309844(JP,A)
【文献】国際公開第2010/116456(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク機器と、
前記ネットワーク機器にネットワークを介して接続される複数の情報取得サーバと、
前記複数の情報取得サーバとの間で通信経路を有するメッセージキューと、
アクティブ状態/スタンバイ状態を用いる冗長化構成が適用され、前記メッセージキューとの間で通信経路を有する2個の管理サーバと、
を備え、
前記ネットワーク機器は、前記複数の情報取得サーバを宛先とする複数の重複する保守管理データをそれぞれ送信し、
前記複数の情報取得サーバのそれぞれは、前記ネットワーク機器からの自サーバ宛の前記保守管理データを受信し、受信した前記保守管理データを前記メッセージキューに格納し、
前記アクティブ状態の前記管理サーバは、前記メッセージキューに格納された前記保守管理データを順に取得し、取得した前記保守管理データのそれぞれと取得済の前記保守管理データとの重複有無を判定し、重複無しと判定した前記保守管理データに応じたアクションを実行し、
前記アクティブ状態の前記管理サーバは、新しいデータを、一時的にキャッシュデータとして保持するキャッシュメモリを備え、前記メッセージキューから前記保守管理データを取得する毎に、取得した前記保守管理データと前記キャッシュデータとの重複有無を判定し、重複無しと判定した前記保守管理データを対象に、前記キャッシュメモリへの保存を行う、
ネットワーク管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記2個の管理サーバによってそれぞれ参照され、前記保守管理データが登録される2個のデータベースを備え、
前記アクティブ状態の前記管理サーバは、重複無しと判定した前記保守管理データを対象に、前記データベースへの登録を行う、
ネットワーク管理システム。
【請求項3】
請求項2記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記2個のデータベースをそれぞれ管理する2個のデータベース管理部を備え、
前記2個のデータベース管理部は、前記アクティブ状態の前記管理サーバによって参照される前記データベースを同期元とし、前記スタンバイ状態の前記管理サーバによって参照される前記データベースを同期先として、前記2個のデータベースに登録される前記保守管理データを同期する、
ネットワーク管理システム。
【請求項4】
請求項2記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記アクティブ状態の前記管理サーバは、クライアント端末からの前記ネットワークを介した要求に応じて前記データベースを参照することで、前記クライアント端末に、前記ネットワーク機器の保守管理画面を提供する、
ネットワーク管理システム。
【請求項5】
請求項1記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記2個の管理サーバの一方と前記複数の情報取得サーバのいずれか1個とは、物理的に2台のコンピュータ装置の一方に実装され、
前記2個の管理サーバの他方と前記複数の情報取得サーバの他のいずれか1個とは、前記2台のコンピュータ装置の他方に実装される、
ネットワーク管理システム。
【請求項6】
請求項1記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記情報取得サーバは、n個(nは3以上の整数)設けられ、
前記ネットワーク機器は、複数台設けられ、
前記複数台のネットワーク機器のそれぞれは、前記n個中の任意の2個の前記情報取得サーバを宛先とする2個の前記保守管理データをそれぞれ送信する、
ネットワーク管理システム。
【請求項7】
ネットワーク機器を管理し、アクティブ状態/スタンバイ状態を用いる冗長化構成が適用される2台のネットワーク管理装置のそれぞれに実装されるネットワーク管理プログラムであって、
前記ネットワーク機器が、前記2台のネットワーク管理装置を宛先とする複数の重複する保守管理データをそれぞれ送信することを前提として、
前記ネットワーク管理装置のプロセッサに、
受信した前記ネットワーク機器からの前記保守管理データをメッセージキューに格納する格納ステップと、
前記アクティブ状態である場合に、前記メッセージキューに格納された前記保守管理データを順に取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された前記保守管理データのそれぞれと取得済の前記保守管理データとの重複有無を判定する判定ステップと、
前記判定ステップで重複無しと判定した場合に、前記重複無しと判定した前記保守管理データに応じたアクションを実行する実行ステップと、
を実行させ、
前記判定ステップでは、前記取得ステップで前記保守管理データを取得する毎に、取得した前記保守管理データとキャッシュデータとの重複有無を判定し、
前記実行ステップでは、前記判定ステップで重複無しと判定した前記保守管理データを対象に、前記キャッシュデータとしての保存を行う、
ためのネットワーク管理プログラム。
【請求項8】
請求項7記載のネットワーク管理プログラムにおいて、
前記実行ステップでは、前記判定ステップで重複無しと判定した前記保守管理データを対象に、データベースへの登録を行う、
ネットワーク管理プログラム。
【請求項9】
請求項8記載のネットワーク管理プログラムにおいて、
前記アクティブ状態の前記ネットワーク管理装置に含まれる前記データベースを同期元とし、前記スタンバイ状態の前記ネットワーク管理装置に含まれる前記データベースを同期先として、2個の前記データベースに登録される前記保守管理データを同期させる同期ステップを、
さらに実行させるためのネットワーク管理プログラム。
【請求項10】
請求項8記載のネットワーク管理プログラムにおいて、
さらに、前記アクティブ状態の場合に、クライアント端末からの要求に応じて前記データベースを参照することで、前記クライアント端末に、前記ネットワーク機器の保守管理画面を提供する提供ステップを、
さらに実行させるためのネットワーク管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク管理システムおよびネットワーク管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、共通のサービスIPアドレスを用いる運用系システムおよび待機系システムと、運用系システムで受信されたTRAPが保存される共有ディスクとを備えたクラスタシステムが示される。当該クラスタシステムは、冗長切り替えに際し、運用系システムのサービスIPアドレスを無効化したのち、共有ディスクのアンマウント/マウント等を行う前に待機系システムのサービスIPアドレスを有効化にする。これにより、冗長切り替えに際し、TRAPの受信不能期間を短縮できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-77216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、信頼性が要求されるネットワークシステムでは、一般的に、ネットワークシステム内の各種装置に、冗長化構成が適用される場合が多い。冗長化構成を適用する場合、アクティブ状態の装置およびスタンバイ状態の装置からなる2台の装置が設けられる。スタンバイ状態の装置は、アクティブ状態の装置に故障が生じると、冗長切り替えによってアクティブ状態に切り替わる。
【0005】
一方、ネットワークシステム内の各種ネットワーク機器は、通常、異常発生、イベントログ、設定情報等を表す保守管理データを用いて管理される。具体的には、各種ネットワーク機器は、このような保守管理データを、ネットワークシステム内のネットワーク管理装置に適宜送信する。これにより、各種ネットワーク機器は、ネットワーク管理装置によって管理される。
【0006】
ここで、このようなネットワーク管理装置に冗長化構成を適用した場合、保守管理データは、特許文献1に示されるように、通常、アクティブ状態のネットワーク管理装置へ送信される。そして、冗長切り替えに際しては、保守管理データの宛先となるネットワーク管理装置が切り替わる。この場合、いずれのネットワーク管理装置も、宛先の切り替え期間で送信された保守管理データを取りこぼすおそれがある。特許文献1の方式を用いると、宛先の切り替え期間を短縮することで、保守管理データの取りこぼしをある程度は改善できるが、十分とは言い難い。
【0007】
そこで、例えば、保守管理データを、アクティブ状態のネットワーク管理装置とスタンバイ状態のネットワーク管理装置とに送信する方式も考えられる。ただし、この場合、冗長化構成が適用された2台の装置を仮想的な1台の装置として見ると、当該仮想的な1台の装置は、重複する保守管理データを受信することになる。その結果、場合によっては、重複する保守管理データに応じた重複するアクションが実行されるおそれがある。
【0008】
本発明の目的の一つは、冗長化構成を適用しつつ、保守管理データの取りこぼし、および重複を防止することが可能なネットワーク管理システムおよびネットワーク管理プログラムを提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0011】
一実施の形態によるネットワーク管理システムは、ネットワーク機器と、ネットワーク機器にネットワークを介して接続される複数の情報取得サーバと、複数の情報取得サーバとの間で通信経路を有するメッセージキューと、2個の管理サーバと、を備える。2個の管理サーバは、アクティブ状態/スタンバイ状態を用いる冗長化構成が適用され、メッセージキューとの間で通信経路を有する。ネットワーク機器は、複数の情報取得サーバを宛先とする複数の保守管理データをそれぞれ送信する。複数の情報取得サーバのそれぞれは、ネットワーク機器からの自サーバ宛の保守管理データを受信し、受信した保守管理データをメッセージキューに格納する。アクティブ状態の管理サーバは、複数の情報取得サーバによってメッセージキューに格納された保守管理データを順に取得し、取得した保守管理データのそれぞれと取得済の保守管理データとの重複有無を判定し、重複無しと判定した保守管理データに応じたアクションを実行する。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すると、冗長化構成を適用しつつ、保守管理データの取りこぼし、および重複を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1によるネットワーク管理システムの主要部の構成例および動作例を示す概略図である。
図2図1におけるネットワーク管理装置の主要部の詳細な構成例および動作例を示すブロック図である。
図3図2における管理サーバの主要部の処理内容の一例を示すフロー図である。
図4図2における管理画面提供部の動作例を説明する図である。
図5】実施の形態2によるネットワーク管理システムの主要部の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
(実施の形態1)
<ネットワーク管理システムの概略>
図1は、実施の形態1によるネットワーク管理システムの主要部の構成例および動作例を示す概略図である。図1に示されるネットワーク管理システムは、2台のネットワーク管理装置10a,10bと、当該2台のネットワーク管理装置10a,10bに通信回線CLを介して接続されるネットワークNW1,NW2とを備える。2台のネットワーク管理装置10a,10bは、例えば、物理的に2台のコンピュータ装置である。ネットワークNW1は、クライアント端末TMと、1台以上のネットワーク機器NEとを含む。ネットワーク機器NEは、例えば、イーサネット(登録商標)スイッチや、ルータ等である。
【0016】
ネットワークNW2は、メッセージキュー20を含む。メッセージキュー20は、システム間や装置間のデータの受け渡しを仲介し、データを一時的にキューイングする機能を有する。メッセージキュー20は、コンピュータ装置のプロセッサがメッセージキュー用のプログラムを実行することで実現されるものである。したがって、図1に示される例では、メッセージキュー20は、ネットワークNW2内のコンピュータ装置に実装されているが、これに限らず、ネットワーク管理装置10a,10bを含めた任意のコンピュータ装置に実装され得る。メッセージキュー用のプログラムとして、例えば、Apache Kafka等が知られている。
【0017】
ネットワーク管理装置10aは、情報取得サーバSVIaと、管理サーバSVMaと、メモリ15aとを有する。ネットワーク管理装置10aは、例えば、プロセッサ等を含むコンピュータ装置である。ネットワーク管理装置10a内のプロセッサがメモリ15aに格納された所定のプログラムを実行することで、ネットワーク管理装置10aは、情報取得サーバSVIaおよび管理サーバSVMaとして機能する。メモリ15aは、各種プログラムおよび各種データに加えて、データベース(DBと略す)16aを保持する。
【0018】
情報取得サーバSVIaは、IPアドレスIP1を有し、ネットワーク機器NE等にネットワークNW1を介して接続される。また、情報取得サーバSVIaは、メッセージキュー20との間で、この例ではネットワークNW2を介する通信経路を有する。一方、管理サーバSVMaは、仮想IPアドレスIPvを有し、クライアント端末TMやネットワーク機器NEにネットワークNW1を介して接続される。また、管理サーバSVMaは、メッセージキュー20との間で、この例ではネットワークNW2を介する通信経路を有する。
【0019】
同様に、ネットワーク管理装置10bも、情報取得サーバSVIbと、管理サーバSVMbと、メモリ15bとを有する。ネットワーク管理装置10b内のプロセッサがメモリ15bに格納された所定のプログラムを実行することで、ネットワーク管理装置10bは、情報取得サーバSVIbおよび管理サーバSVMbとして機能する。メモリ15bは、各種プログラムおよび各種データに加えて、DB16bを保持する。明細書では、複数の情報取得サーバSVIa,SVIbを総称して情報取得サーバSVIと呼び、複数の管理サーバSVMa,SVMbを総称して管理サーバSVMと呼ぶ。
【0020】
ネットワーク管理装置10bにおいて、情報取得サーバSVIbは、IPアドレスIP2を有し、ネットワーク機器NE等にネットワークNW1を介して接続され、また、メッセージキュー20との間で通信経路を有する。一方、管理サーバSVMbは、管理サーバSVMaと同じ仮想IPアドレスIPvを有する。管理サーバSVMbは、クライアント端末TMやネットワーク機器NEにネットワークNW1を介して接続され、また、メッセージキュー20との間で通信経路を有する。
【0021】
ここで、仮想IPアドレスIPvを共有する2個の管理サーバSVMa,SVMbには、アクティブ状態ACT/スタンバイ状態SBYを用いる冗長化構成が適用される。すなわち、2個の管理サーバSVMa,SVMbは、外部からは、仮想IPアドレスIPvを有する仮想的な1個の管理サーバSVMに見える。この例では、管理サーバSVMaは、アクティブ状態ACTであり、管理サーバSVMbは、スタンバイ状態SBYである。この場合、仮想IPアドレスIPvは、アクティブ状態ACTの管理サーバSVMaで有効化され、スタンバイ状態SBYの管理サーバSVMbで無効化される。
【0022】
冗長切り替え前の期間では、クライアント端末TMは、仮想IPアドレスIPvを宛先とすることで、アクティブ状態ACTの管理サーバSVMaと通信する。一方、管理サーバSVMa,SVMbは、例えば、定期的な通信によって、双方の故障有無を監視している。管理サーバSVMbは、アクティブ状態ACTである管理サーバSVMaの故障を検知した場合、冗長切り替えによって、スタンバイ状態SBYからアクティブ状態ACTに切り替わる。具体的には、仮想IPアドレスIPvは、管理サーバSVMaに代わって管理サーバSVMbで有効化される。その結果、冗長切り替え後の期間では、クライアント端末TMは、仮想IPアドレスIPvをそのまま用いて、アクティブ状態ACTに切り替わった管理サーバSVMbと通信することができる。
【0023】
このような構成において、ネットワーク機器NEは、複数の情報取得サーバSVIa,SVIbのIPアドレスIP1,IP2を宛先IPアドレスとする複数の保守管理データMDa,MDbをそれぞれ送信する。すなわち、複数の情報取得サーバSVIa,SVIbは、アクティブ状態/スタンバイ状態ではなく、共にアクティブ状態で動作する。保守管理データMDaと保守管理データMDbは、例えば、送信時刻を表すタイムスタンプ等が異なり得るが、実質的に同一である。明細書では、複数の保守管理データMDa,MDbを総称して保守管理データMDと呼ぶ。
【0024】
保守管理データMDは、例えば、異常発生、イベントログ等を表すデータであり、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)や、Syslog規格に基づくデータである。SNMPに基づくと、ネットワーク機器NEは、SNMPエージェントと呼ばれ、情報取得サーバSVIa,SVIbは、SNMPマネージャと呼ばれる。一方、Syslog規格に基づくと、情報取得サーバSVIa,SVIbは、Syslogサーバと呼ばれる。
【0025】
ネットワーク機器NEは、例えば、異常発生時やイベント発生時等に、複数の情報取得サーバSVIa,SVIbへ保守管理データMDを自発的に送信する。例えば、SNMPに基づくと、トラップ動作を用いて自発的に送信される保守管理データMDは、SNMP Trapと呼ばれる。なお、SNMPでは、ネットワーク機器NEは、ポーリング動作を用いて、要求元からの要求に応じて設定情報等の管理データを送信する場合もある。ポーリング動作では、アクティブ状態ACTの管理サーバSVMaがネットワーク機器NEに要求を行い、これに応じて、ネットワーク機器NEは、トラップ動作の場合と異なり、当該アクティブ状態ACTの管理サーバSVMaに管理データを送信する。
【0026】
複数の情報取得サーバSVIa,SVIbのそれぞれは、ネットワーク機器NEからの自サーバ宛の保守管理データMD、詳細にはSNMP Trap等を受信し、受信した保守管理データMDをメッセージキュー20に格納する。具体的には、情報取得サーバSVIaは、IPアドレスIP1宛の保守管理データMDaを受信した際に、メッセージキュー20のIPアドレスを宛先とするIPフレームを作成し、当該IPフレームに保守管理データMDaを格納して、メッセージキュー20に送信する。同様に、情報取得サーバSVIbは、IPアドレスIP2宛の保守管理データMDbを受信して、メッセージキュー20に格納する。
【0027】
アクティブ状態ACTの管理サーバSVMaは、複数の情報取得サーバSVIa,SVIbによってメッセージキュー20に格納された保守管理データMDa,MDbを順に取得する。具体的には、管理サーバSVMaは、例えば、API(Application Programming Interface)を用いて、メッセージの取得要求をメッセージキュー20に送信し、メッセージキュー20は、取得要求に対する応答として、格納されている保守管理データMDa,MDbを管理サーバSVMaへ送信する。
【0028】
また、管理サーバSVMaは、例えば、定期的な取得タイミング毎に、メッセージキュー20から、未取得の保守管理データMDを順に取得する。この際に、メッセージキュー20は、各保守管理データMDが管理サーバSVMaによって取得済か未取得を逐次管理している。また、取得タイミングの間隔は、特に、異常発生を表す保守管理データMDの遅延を低減するため、十分に短い方が望ましく、例えば、1秒等に定められる。
【0029】
ここで、ある取得タイミングにおいて、先に保守管理データMDaが取得され、その後に保守管理データMDbが取得された場合を想定する。前述したように、保守管理データMDaと保守管理データMDbは、実質的に同一であるため、重複データが生じる。そこで、管理サーバSVMaは、取得した保守管理データMDのそれぞれと取得済の保守管理データMDとの重複有無を判定する。
【0030】
この例では、先に取得した保守管理データMDaは、重複無しと判定され、その後に取得した保守管理データMDbは、取得済の保守管理データMDaに基づいて重複有りと判定される。管理サーバSVMaは、重複無しと判定した保守管理データMDaに応じたアクションを実行し、重複有りと判定した保守管理データMDbに応じたアクションを実行しない。
【0031】
保守管理データMDに応じたアクションとして、ネットワーク機器NEにネットワークNW1を介して所定のコマンドを送信するアクションや、クライアント端末TMにネットワークNW1を介してメールを送信するアクションや、ノーオペレーションのアクション等が挙げられる。特に、所定のコマンドを送信するアクションを用いる場合、保守管理データMDが重複すると、コマンドも重複して送信されるため、ネットワーク機器NEに何らかの不具合が生じるおそれがある。このため、保守管理データMDの重複を防止することが有益となる。
【0032】
また、管理サーバSVMaは、重複無しと判定した保守管理データMD(ここではMDa)をDB16aに登録する。管理サーバSVMaは、DB16aに基づいてネットワーク機器NEを管理する。DB16aは、保守管理データMDが逐次登録されることで、ネットワーク機器NEに関する各種保守管理情報を保持する。詳細には、管理サーバSVMaは、例えば、保守管理データMDの内容を解釈し、解釈に応じたデータ加工等を適宜行うことで各種保守管理情報を作成し、それをDB16aに登録する。保守管理データMDの重複を防止することで、DB16aへの重複登録も防止できる。
【0033】
管理サーバSVMaは、クライアント端末TMからのネットワークNW1を介した要求に応じてDB16aを参照することで、クライアント端末TMに、ネットワーク機器NEの保守管理画面を提供する。詳細には、例えば、クライアント端末TMは、管理サーバSVMaにHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)要求等を送信し、これに応じて、管理サーバSVMaは、クライアント端末TMにWeb上の保守管理画面を提供する。この場合、管理サーバSVMaは、Webサーバとしての機能も有する。
【0034】
一方、スタンバイ状態SBYの管理サーバSVMbは、特に何の処理も実行しない。ただし、管理サーバSVMbは、冗長切り替えによってスタンバイ状態SBYからアクティブ状態ACTに切り替わると、前述したアクティブ状態ACTの管理サーバSVMaの場合と同様の処理を、管理サーバSVMaに代わって実行する。
【0035】
ここで、2台のネットワーク管理装置10a,10bは、DB16a,16bに登録される保守管理データMD、言い換えれば、各種保守管理情報を、例えば定期的に同期する。この際に、アクティブ状態ACTの管理サーバSVMaによって参照されるDB16aは同期元に定められ、スタンバイ状態SBYの管理サーバSVMbによって参照されるDB16bは同期先に定められる。
【0036】
これにより、管理サーバSVMbは、冗長切り替えによってスタンバイ状態SBYからアクティブ状態ACTに切り替わった場合に、冗長切り替え前における管理サーバSVMaでの処理、すなわちDB16aに基づく機器管理処理を継続して引き継ぐことができる。この際に、より正確に引き継ぎを行うため、DB16a,16bの同期間隔は、十分に短いことが望ましい。
【0037】
<ネットワーク管理装置の詳細>
図2は、図1におけるネットワーク管理装置の主要部の詳細な構成例および動作例を示すブロック図である。図3は、図2における管理サーバの主要部の処理内容の一例を示すフロー図である。図4は、図2における管理画面提供部の動作例を説明する図である。
【0038】
図2には、図1におけるアクティブ状態ACT側のネットワーク管理装置10aの構成例が示される。スタンバイ状態SBY側のネットワーク管理装置10bも、同様の構成を備える。図2に示されるネットワーク管理装置10aは、情報取得サーバSVIaと、管理サーバSVMaと、メモリ15aと、DB管理部17aと、冗長切り替え部18aと、を備える。
【0039】
メモリ15aは、DB16aを保持する。さらに、ここでは、メモリ15aの一部として、所定の容量を有するキャッシュメモリ19aが設けられる。キャッシュメモリ19aは、新しいデータを、一時的にキャッシュデータとして保持する。キャッシュメモリ19aは、例えば、FIFO(First in First out)方式等で管理される。この場合、キャッシュメモリ19aでは、新たなデータの保存によって所定の容量を超える場合、最も古いデータが削除される。
【0040】
DB管理部17aは、DB同期部40を含み、DB16aを管理する。DB同期部40は、図1で述べたように、アクティブ状態ACT側からスタンバイ状態SBY側に向けてデータ転送を行うことで、DB16a,16bに登録される保守管理データMDを同期する。DB管理部17aは、例えば、ネットワーク管理装置10aのプロセッサがメモリ15a内のDB管理用プログラムを実行することで実現される。DB管理用プログラムは、一般的に、データの登録、削除、整理、検索、同期等に必要な各種機能を有する。
【0041】
冗長切り替え部18aは、図1で述べた管理サーバSVMa,SVMbに適用される冗長化構成を管理する。詳細には、冗長切り替え部18aは、例えば、管理サーバSVMa,SVMb間で定期的な通信を行わせ、この通信に基づいて、管理サーバSVMa,SVMbの故障有無を監視する。そして、冗長切り替え部18aは、故障有無の監視結果に基づいて、管理サーバSVMaに設定する状態、すなわちアクティブ状態ACT/スタンバイ状態SBYを切り替える。冗長切り替え部18aも、例えば、ネットワーク管理装置10aのプロセッサがメモリ15a内の所定のプログラムを実行することで実現される。
【0042】
情報取得サーバSVIaは、機器データ受信部25と、キューデータ格納部26とを備える。管理サーバSVMaは、キューデータ取得部30と、DB登録部31と、アクション実行部32と、管理画面提供部33と、死活監視部34と、を備える。これらの各部は、例えば、ネットワーク管理装置10aのプロセッサがメモリ15aに保存されたネットワーク管理プログラムを実行することで実現される。
【0043】
情報取得サーバSVIaにおいて、機器データ受信部25は、ネットワーク機器NEからのSNMPやSyslog規格等に基づく保守管理データMDaを受信する。キューデータ格納部26は、機器データ受信部25で受信した保守管理データMDaを、メッセージキュー20の仕様に基づいて、メッセージキュー20に格納する。
【0044】
管理サーバSVMaは、冗長切り替え部18aによってアクティブ状態ACTに設定されている場合に動作する。管理サーバSVMaにおいて、キューデータ取得部30は、メッセージキュー20の仕様に基づいて、メッセージキュー20に格納された保守管理データMDを順に取得する。図2の例では、メッセージキュー20は、図1で述べたように、2台のネットワーク管理装置10a,10b、詳細には、2個の情報取得サーバSVIa,SVIbによって格納された複数の保守管理データMDa[1]~MDa[3],MDb[1]~MDb[3]を保持している。
【0045】
例えば、保守管理データMDa[1]~MDa[3]は、情報取得サーバSVIaの機器データ受信部25によって、時系列的に、MDa[1]、MDa[2]、MDa[3]の順に受信されたものである。また、保守管理データMDa[1]~MDa[3]は、それぞれ、保守管理データMDb[1]~MDb[3]と実質的に同一である。そして、保守管理データMDa[1],MDa[2]と、保守管理データMDb[1],MDb[2]とは、メッセージキュー20によって取得済として管理されている。この場合、キューデータ取得部30は、未取得の保守管理データMDa[3],MDb[3]を順に取得する。
【0046】
DB登録部31は、キューデータ取得部30で順に取得された保守管理データMDa[3],MDb[3]のそれぞれと取得済の保守管理データMDとの重複有無を判定する。例えば、保守管理データMDb[3]よりも先に保守管理データMDa[3]が取得された場合、保守管理データMDa[3]は重複無しと判定され、保守管理データMDb[3]は重複有りと判定される。アクション実行部32は、DB登録部31で重複無しと判定した場合に、当該重複無しと判定した保守管理データMD[3](ここではMDa[3])に応じたアクションを実行する。
【0047】
より詳細には、管理サーバSVMaは、例えば、図3に示されるような処理を実行する。まず、図3に示される処理の準備として、DB登録部31は、例えば、管理サーバSVMaの起動時に、メモリ15a内のDB16aに登録されている保守管理データMDを、登録日時が新しい方から順に所定の容量に達するまで、キャッシュデータとしてキャッシュメモリ19aに保存する。その後、図3において、キューデータ取得部30は、メッセージキュー20から1個の保守管理データMDa[3]を取得する(ステップS101)。続いて、DB登録部31は、取得した保守管理データMDa[3]とキャッシュデータとの重複有無を判定する(ステップS102)。
【0048】
DB登録部31は、ステップS102で重複無しと判定した場合(ステップS103:Yes)、取得した保守管理データMDa[3]を、DB管理部17aを介してDB16aに登録し、さらに、キャッシュデータとしてキャッシュメモリ19aに保存する(ステップS104)。これに伴い、キャッシュメモリ19aからは、登録日時が最も古い保守管理データMDが削除される。一方、DB登録部31は、ステップS102で重複有りと判定した場合(ステップS103:No)、処理を終了する。
【0049】
この例では、保守管理データMDa[3]とキャッシュデータとは、重複無しとなる。その結果、保守管理データMDa[3]は、DB管理部17aを介してDB16aへ登録され、さらに、キャッシュメモリ19aへ保存される(ステップS104)。そして、アクション実行部32は、当該重複無しの保守管理データMDa[3]に応じたアクションを実行し、処理を終了する(ステップS105)。
【0050】
ステップS105におけるアクションの内容は、例えば、メモリ15a内に、イベントとアクションの関係を表すアクション条件データを予め格納しておくこと等で定められる。または、このようなアクション条件データを予めDB16aに設定しておき、保守管理データMDa[3]をDB16aに登録することで、アクションの内容を定めるような方式を用いてもよい。
【0051】
このような処理が行われたのち、キューデータ取得部30は、メッセージキュー20から1個の保守管理データMDb[3]を取得する(ステップS101)。この場合、ステップS102において、保守管理データMDb[3]は、前述した保守管理データMDa[3]のキャッシュメモリ19aへの保存(ステップS104)によって、重複有りと判定される。この場合、保守管理データMDb[3]のDB16aへの登録は行われず、保守管理データMDb[3]のキャッシュメモリ19aへの保存も行われない。さらに、アクション実行部32は、特に何の処理も実行しない。
【0052】
このように、アクティブ状態ACTの管理サーバSVMaは、メッセージキュー20から保守管理データMDを取得する毎に、取得した保守管理データMDとキャッシュデータとの重複有無を判定する(ステップS102)。そして、管理サーバSVMaは、重複無しと判定した保守管理データMDを対象に、DB16aへの登録と、キャッシュメモリ19aへの保存と、アクションの実行と行う(ステップS104,S105)。
【0053】
このように、キャッシュメモリ19aを用いることで、保守管理データMDの重複有無を効率的に判定することが可能になる。ただし、保守管理データMDの重複有無の判定方法は、このようなキャッシュメモリ19aを用いた方法に限らず、例えば、DB登録部31が、DB管理部17aの検索機能等を用いて、DB16aへの登録有無を判定する方法であってもよい。ただし、保守管理データMDを取得する毎に、例えば、長期間で生じた膨大な保守管理データMDを保持し得るDB16aを検索すると、処理負荷や処理時間の増大が生じるおそれがある。この観点で、新しい保守管理データMDのみを保持するキャッシュメモリ19aを用いる方法が望ましい。
【0054】
図2に戻り、管理サーバSVMa内の死活監視部34は、例えば、pingコマンド等を用いてネットワーク機器NEの死活監視を行う。死活監視部34は、例えば、ネットワーク機器NEに、異常発生を表す保守管理データMDを送信すること自体が不可能となるような故障が生じた場合を考慮して設けられる。死活監視部34は、死活監視の結果を、DB管理部17aを介してDB16aに登録する。
【0055】
管理画面提供部33は、図1で述べたように、クライアント端末TMからのHTTPS要求等に応じて、DB管理部17aを介してDB16aを参照することで、クライアント端末TMに、ネットワーク機器NEの保守管理画面を提供する。図4には、当該保守管理画面45の一例が示される。図4に示される保守管理画面45では、例えば、ネットワーク機器NE毎の機器名、機種名、IPアドレス等に加えて、稼働状態の情報が表示される。クライアントは、稼働状態の詳細をクリックすることで、例えば、ネットワーク機器NEにおける各ポートの稼働状態等を確認することができる。
【0056】
また、異常発生を表す保守管理データMDが取得された場合、異常発生の内容がDB16aに登録されると共に、保守管理画面45上に、アラームが表示される。クライアントによって未確認のアラームが存在する場合、未確認アラームが“有”となる。クライアントは、当該未確認アラームの“有”をクリックすることで、異常発生の詳細内容を確認することができる。ネットワーク機器NE毎の死活状態には、死活監視部34による監視結果が表示される。
【0057】
<実施の形態1の主要な効果>
以上、実施の形態1の方式では、共にアクティブ状態で動作する複数の情報取得サーバSVIa,SVIbを設けることで、保守管理データMDの取りこぼしを防止することができる。また、アクティブ状態ACTの管理サーバSVMaによって保守管理データMDの重複判定を行うことで、保守管理データMDの重複を防止することができる。さらに、管理サーバSVMのDBとは別にメッセージキュー20を設けることで、保全性や可用性を高めることができる。すなわち、例えば、管理サーバSVMに障害が発生し、保守管理データMDをDBに登録できなくなったとしても、保守管理データMDを失うことなく、メッセージキュー20に残すことが可能になる。
【0058】
また、メッセージキュー20は、一般的に、クラスタ機能等を有することで、高い可用性を有している。このため、メッセージキュー20において保守管理データMDが失われる可能性は、十分に低い。以上のようなことから、実施の形態1の方式を用いることで、高品質なネットワーク管理/監視を実現することが可能になる。
【0059】
(実施の形態2)
<ネットワーク管理システムの概略>
図5は、実施の形態2によるネットワーク管理システムの主要部の構成例を示す概略図である。図5に示されるネットワーク管理システムは、図1に示した方式を用いて、各サーバ等の、様々な実装形態の一例を示すものである。概略的には、当該ネットワーク管理システムは、n(nは3以上の整数)個の情報取得サーバSVI[1]~SVI[n]を備える。そして、複数のネットワーク機器NE[1]~NE[n]のそれぞれは、当該n個中の任意の2個の情報取得サーバを宛先とする2個の保守管理データMDをそれぞれ送信する。
【0060】
詳細には、当該ネットワーク管理システムは、ネットワークNW1と、n個の情報取得サーバSVI[1]~SVI[n]と、クラスタシステム50と、2個の管理サーバSVMa,SVMbとを備える。ネットワークNW1は、n台のネットワーク機器NE[1]~NE[n]を含む。“n-1”台のネットワーク機器NE[k](kは1~“n-1”の整数)のそれぞれは、2個の情報取得サーバSVI[k],SVI[k+1]に保守管理データMDをそれぞれ送信する。そして、残りの1台のネットワーク機器NE[n]は、2個の情報取得サーバSVI[n],SVI[1]に保守管理データMDをそれぞれ送信する。
【0061】
このように、図5の構成例では、n台のネットワーク機器NE[1]~NE[n]のそれぞれは、互いに異なるペアを構成する2個の情報取得サーバに保守管理データMDをそれぞれ送信する。また、n個の情報取得サーバSVI[1]~SVI[n]のそれぞれは、2個のネットワーク機器NEから保守管理データMDを受信するように構成される。
【0062】
n個の情報取得サーバSVI[1]~SVI[n]は、例えば、物理的にn台のコンピュータ装置にそれぞれ実装される。これにより、ペアを構成する2台にコンピュータ装置に故障が生じない限り、n台のネットワーク機器NE[1]~NE[n]から送信された保守管理データMDの取りこぼしを防止できる。
【0063】
ここで、例えば、図1の構成例をそのまま拡張して、2個の情報取得サーバSVI[1],SVI[2]のそれぞれが、n台のネットワーク機器NE[1]~NE[n]から保守管理データMDを受信するように構成される場合を想定する。この場合、2個の情報取得サーバSVI[1],SVI[2]における通信負荷や処理負荷が増大し得る。その結果として、例えば、2個の情報取得サーバSVI[1],SVI[2]においてバッファオーバーフロー等が生じ、これによって保守管理データMDの取りこぼしが生じるおそれがある。
【0064】
一方、図5の構成例を用いると、負荷分散により、n個の情報取得サーバSVI[1]~SVI[n]における通信負荷や処理負荷を低減でき、結果として、保守管理データMDの取りこぼしをより確実に防止できる。なお、n個の情報取得サーバSVI[1]~SVI[n]のぞれぞれにおいて、受信対象となるネットワーク機器NEの台数は、図5の例のような2台に限らず、3台以上かつn台未満であってもよい。すなわち、当該ネットワーク機器NEの台数がn台よりも少ない限り、負荷分散による効果が得られる。
【0065】
n個の情報取得サーバSVI[1]~SVI[n]のそれぞれは、受信した保守管理データMDを、クラスタシステム50に格納する。クラスタシステム50は、複数(m個)のメッセージキュー20[1]~20[m]からなる冗長システムである。例えば、Apache Kafka等を用いる場合、複数の分散キューをクラスタリングすることで、外部から仮想的に1個のメッセージキューに見えるように構成することが可能である。複数の分散キュー、すなわちm個のメッセージキュー20[1]~20[m]は、例えば、それぞれ異なるコンピュータ装置に実装され、一つのデータを多重化して保持する。
【0066】
2個の管理サーバSVMa,SVMbは、図1の場合と同様に、冗長化構成が適用され、クラスタシステム50から保守管理データMDを取得する。2個の管理サーバSVMa,SVMbは、それぞれ異なるコンピュータ装置に実装される。この際に、2個の管理サーバSVMa,SVMbは、例えば、n個の情報取得サーバSVI[1]~SVI[n]が実装されるn台のコンピュータ装置の中の2台に実装されてもよい。あるいは、2個の管理サーバSVMa,SVMbは、当該n台のコンピュータ装置とは別個のコンピュータ装置に実装されてもよい。
【0067】
同様に、メッセージキュー20[1]~20[m]は、情報取得サーバSVI[1]~SVI[n]や管理サーバSVMa,SVMbが実装される複数台のコンピュータ装置の中のm台に実装されてもよい。あるいは、メッセージキュー20[1]~20[m]は、当該複数台のコンピュータ装置とは別個のコンピュータ装置に実装されてもよい。
【0068】
<実施の形態2の主要な効果>
以上、実施の形態2の方式を用いることでも、実施の形態1で述べた各種効果と同様の効果が得られる。さらに、3台以上の情報取得サーバSVI[1]~SVI[n]を設けることで、通信負荷や処理負荷を低減しつつ、保守管理データMDの取りこぼしをより確実に防止できる。
【0069】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0070】
例えば、前述した各種プログラムは、非一時的な有形のコンピュータ可読記録媒体に格納された上で、コンピュータ装置に供給され得る。このような記録媒体として、例えば、ハードディスクドライブ等を代表とする磁気記録媒体、DVD(Digital Versatile Disc)やブルーレイディスク等を代表とする光記録媒体、フラッシュメモリ等を代表とする半導体メモリ等が挙げられる。
【符号の説明】
【0071】
10a,10b…ネットワーク管理装置、15a,15b…メモリ、16a,16b…データベース(DB)、17a…DB管理部、18a…冗長切り替え部、19a…キャッシュメモリ、20…メッセージキュー、25…機器データ受信部、26…キューデータ格納部、30…キューデータ取得部、31…DB登録部、32…アクション実行部、33…管理画面提供部、34…死活監視部、40…DB同期部、45…保守管理画面、50…クラスタシステム、ACT…アクティブ状態、CL…通信回線、MD…保守管理データ、NE…ネットワーク機器、NW1,NW2…ネットワーク、SBY…スタンバイ状態、SVI…情報取得サーバ、SVM…管理サーバ、TM…クライアント端末
図1
図2
図3
図4
図5