(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】バインダー配合物
(51)【国際特許分類】
C22B 1/243 20060101AFI20240821BHJP
C22B 1/244 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
C22B1/243
C22B1/244
(21)【出願番号】P 2021507910
(86)(22)【出願日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 GB2019052292
(87)【国際公開番号】W WO2020035691
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-06-21
(32)【優先日】2018-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519373822
【氏名又は名称】バインディング ソリューションズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ジョイス リチャード
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0119563(US,A1)
【文献】特表2014-526612(JP,A)
【文献】米国特許第09096914(US,B2)
【文献】特表2013-510954(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105483370(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/14-1/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鉱石ペレッ
トであって、
1~10重量%の範囲内の1種以上のケイ酸塩
、および
セルロース系増粘剤を含む加工助剤
、を含む
鉄鉱石ペレット。
【請求項2】
前記ケイ酸塩がI族またはII族ケイ酸塩を含む、請求項1に記載の
ペレット。
【請求項3】
前記ケイ酸塩がケイ酸ナトリウムを含む、請求項1または2に記載の
ペレット。
【請求項4】
前記加工助剤が、
さらに多糖
類を含む、請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の
ペレット。
【請求項5】
前記多糖
類が、グアーガム、アラビアゴム、キサンタンガム、でんぷ
んおよびそれらの組合せの中から選択される、請求項
4に記載の
ペレット。
【請求項6】
前記セルロース系増粘剤が、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースおよびそれらの組合せの中から選択される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のペレット。
【請求項7】
さらに硬化剤を含む、請求項1ないし
6のいずれか1項に記載の
ペレット。
【請求項8】
前記硬化剤が、グリセロールトリアセテート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヒュームドシリカ、カリウム・メチルシリコネートおよびそれらの組合せの中から選択される、請求項
7に記載の
ペレット。
【請求項9】
0.1~2重量%の範囲内の加工助剤を含む、請求項
1ないし8のいずれか1項に記載のペレット。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の鉄鉱石ペレットを生産する方法であって:
a.
1~10重量%の範囲内の1種以上のケイ酸塩、およびセルロース系増粘剤を含む加工助剤を粒子状鉄鉱石と混合することと;
b. ペレットを形成することと;
を含む方法。
【請求項11】
ペレットが、押出し加工、パンペレット化およびブリケット化の中から選択された方法を用いて形成される、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鉱石ペレット用のバインダー配合物に関し、詳細には、ケイ酸塩を含むバインダー配合物、バインダー配合物を含む鉄鉱石ペレットおよびこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子状鉄鉱石および他の金属鉱石からのブリケットの生産は、概して当該技術分野において公知である。凝集したブリケットの破損は一般的であり、典型的に、強度の改善を期待して粒子はセメントまたは粘土などのバインダーを用いて結合させられる。
【0003】
このようなブリケットは、高炉内または直接鉄還元(DRI)において使用される。ブリケットは、首尾よく輸送され高炉内部でのブリケットの使用を可能にするため充分な強度を有するように設計される。ブリケットは、高炉を通り溶融炉内へと通過する間のその無欠性を保持できなくてはならず、そうでなければ、高炉またはDRI工場の性能に不利な影響が及ぼされる可能性がある。セメントまたは粘土の使用に付随する問題は、プロセスの終りに生産される鉄とスラグ中のシリカの量が、セメントまたは粒子の使用によって増大するということにある。
【0004】
このようなブリケットには高い強度が求められることから、でんぷんまたはポリビニルアルコール(PVA)などのより高価なバインダーの使用が制限されており、したがって、優れた凝集、高速硬化および優れた生強度を提供することのできる、既存のバインダー配合物に替わる費用効率の高い代替品を提供することができれば望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これらの問題の少なくともいくつかの面を克服または改善するように意図されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の第1の態様では、鉄鉱石ペレット用のバインダー配合物において、1種以上のケイ酸塩および加工助剤を含む配合物が提供されている。ケイ酸塩の存在は、ケイ酸塩対イオン(例えばナトリウム)と鉄鉱石の間のイオン交換を促進することによって凝集および硬化を容易すると考えられるということが示された。その結果、高速硬化および優れた生強度がもたらされ、ブリケットの輸送に先立って必要とされる硬化時間は短縮され、輸送中および高炉内での使用中の損失が削減される。ケイ酸塩を含めることで、硬化のためのペレットの加熱または化学的硬化剤の内含といういずれの望ましくないステップも行なう必要が無くなる。加熱ステップは、ペレット形成プロセスの複雑さを増大させ、所要エネルギーがコストを増大させることから、望ましくない。化学的硬化剤は概して、同様に高価であるかまたはさらなる加工ステップを必要とし(二酸化炭素硬化が使用される場合がそれである)、したがってこれらの硬化剤の使用を回避することが有利である。
【0007】
典型的には、ケイ酸塩には、多くの場合ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カルシウムである、I族またはII族ケイ酸塩が含まれる。ケイ酸ナトリウムは、恐らくはイオン不安定性に起因して極めて有益であるということが分かった。ケイ酸ナトリウムは同様に、容易に入手可能でかつ廉価である。使用される場合、ケイ酸ナトリウムは、Na:Siの比率が2.5または2.8超のものであってよいが、これは、分散のための粘度と高速硬化の間の最適な均衡が、これらの比率において得られるからである。これは、ケイ酸塩が配合物の60~98重量%、往々にして75~95重量%の範囲内で存在する場合にあてはまることが多い。これらのレベルでは急速な硬化が得られ、ペレット形成から最小限の経過時間で優れた生強度が導かれる。
【0008】
「ペレット」なる用語は、一般にペレット、ロッド、ペンシル、スラグなどと呼ばれる物体を含む、ということを指摘しておくべきである。ペレットは、典型的には、20mm、より典型的には16mmまたは15mmの最大平均直径、2mm、特に5mmの最小平均直径、または10~12mmの平均直径を有する。これらの物体は、材料の圧密形態であるという共通の特徴を共有し、主にそのサイズおよび形状によって区別される。
【0009】
加工助剤は、多糖類、セルロース系増粘剤およびそれらの組合せの中から選択された添加剤を含み得る。多くの場合、多糖類および/またはセルロース系増粘剤は、グアーガム、アラビアゴム、キサンタンガム、でんぷん、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースおよびそれらの組合せの中から選択される。これらの加工助剤は、ペレットを増粘すると同時に安定化させ、化学的劣化を削減し、保存可能期間を改善することが分かった。さらに、非セメント系の加工助剤を選択すると、鉄の加工中に生成されるスラグの増加という一般的な問題が無くなり、セメントまたは粘土系の加工助剤を添加する必要が全く無いというのが、本発明の特徴である。グアーガムおよびメチルヒドロキシエチルセルロースが多くの場合使用されるが、これは、これらの加工助剤が、鉄鉱石のペレットへの加工を補助するだけでなく、ケイ酸塩しか含まないペレットに比べて生強度をさらに改善することが判明したからである。グアーガムは、天然産物であることから、鉄鉱石ペレットの環境的資質が問題となる場合に使用され得る。加工助剤は、配合物の5~25重量%または10~20重量%の範囲内で配合物中に存在していてよく、押出し加工の場合、これらのレベルの加工助剤であれば、詰まりを通した押出し機の失速または押出し機械の機構内への粒子状物質の他の形の進入が予防されることが分かっている。
【0010】
硬化剤も同様に存在してよく、これはケイ酸塩の重合を促進し、ゲル化および凝縮増強を導き得る。硬化剤は、グリセロールトリアセテート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヒュームドシリカ、カリウム・メチルシリコネートおよびそれらの組合せの中から選択され得る。多くの場合、硬化剤は、優れた粘着力を提供することからグリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む。硬化剤はバインダー配合物の0.5~1.0重量%の範囲内で存在し得る。
【0011】
SLS(ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulphate))などの界面活性剤は、例えば添加剤によって強化される鉄の濡れ性を改善するため微量だけ添加され得る。
【0012】
ペレットの材料の耐候性を増強するために、防水剤を使用することができる。これは、粒子状材料と組合されてよく、または、例えば噴霧によるペレットの外部表面上の層として存在し得る。これは、例えばスチレンアクリレートコポリマ、および瀝青エマルジョンを含む。
【0013】
バインダー配合物は、予め混合され、こうしてその後ペレット生産中に配合物全体が粒子状鉄鉱石に添加されて、「レディミックス」バインダー製品が提供されるようになっていてよい。あるいは、バインダー配合物を現場で調製し、こうして個別の構成成分が粒子状鉄鉱石に直接添加され、ここでこれらの成分は鉄鉱石との混合と同時に互いに混合されるようになっていてよい。例えば、ケイ酸塩の前に鉄鉱石に対して加工助剤を、または加工助剤の前にケイ酸塩を添加することができる。ケイ酸塩が加工助剤の前に添加される場合、ケイ酸塩と鉄の間に強い結合が形成されて、硬化速度を高める。
【0014】
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様に係るバインダー配合物を含む鉄鉱石ペレットが提供される。ペレットは、1~10、多くの場合2~6重量%の範囲内のケイ酸塩、そして独立して0.1~2重量%または0.5~1.5重量%の範囲内の加工助剤を含むことができる。これらのレベルでは、ペレットは良好に凝集し、容易に加工でき(特に押出し加工方法を通して)、かつ高速硬化および生強度を示すことが分かっている。
【0015】
ペレットは同様に、粒子状鉄鉱石も含み、これは典型的には直径4mm以下、より典型的には1mm未満または500μm未満または100μm未満のものである。これは、ふるい通過性によって決定され得る。典型的には、ペレットの形への形成の前に、少なくとも10重量%の粒子状材料が100μmのふるいを通過することができる。より典型的には、30μmまたは20μmのふるいサイズを用いて材料をふるいがけする。材料の少なくとも50%、80%または100%がふるいを通過し得る。
【0016】
典型的には、鉄鉱石は、例えば電気アーク炉由来の選鉱屑または粉塵である。鉱石は、磁鉄鉱(Fe3O4)および/または赤鉄鉱(Fe2O3)であり得る。鉄鉱石は、天然に発生する汚染物質を含み得る。
【0017】
粒子状鉄鉱石は、50%未満、より典型的には30%未満または25%未満の含水率を有し得る。典型的には、含水率は少なくとも2重量%または少なくとも5重量%または10重量%である。
【0018】
本発明の第3の態様では、鉄鉱石ペレットを生産する方法であって:本発明の第1の態様に係るバインダー配合物を粒子状鉄鉱石と混合することと;ペレットを形成することと;を含む方法が提供されている。多くの場合、ペレットは、全て当該技術分野において公知である押出し加工、パンペレット化およびブリケット化の中から選択された方法を用いて形成される。
【0019】
典型的には、混合物を凝集させるために2軸式バッチ混合物が使用される。全体として、ペレットを形成するために、プレスまたは押出機が典型的に使用される。押出し加工技術、詳細には低含水率押出し加工(剛性押出し加工としても公知)技術が使用されるケースが最も多い。押出し加工、特に剛性押出し加工技術においてバインダー配合物を使用すると、押出機の閉塞または詰まりが劇的に減少し、こうして加工動作不能時間は最小限に抑えられる、ということが発見された。さらに、混合物の押出し加工により生成される熱が混合物を乾燥させ、ケイ酸塩と鉄鉱石中の鉄の間のイオン交換が凝集ひいては硬化を容易にする。この組合せにより、最小限の硬化時間しか必要としないために生産後非常に短時間でいつでも輸送できる状態となる強いペレットの生産が可能になる。
【0020】
ペレットは典型的には、例えば炉内に投入される前に焼結無く、つまり60℃超または40℃または30℃超まで加熱することなく、冷間形成される。
【0021】
ペレットの圧密量は、例えば粒子状鉄鉱石とバインダー配合物の混合物を、所要圧密量に応じてより多くのまたは少ない量の真空下に置くことによって変動させることができる。より多くの量の真空は、ペレットの圧密を増大させる。代替的に、ペレットを形成するために使用される圧力の量によって、これを制御することも可能である。
【0022】
鉄鉱石ペレットのためのバインダー配合物において、75~95重量%の範囲内のケイ酸ナトリウム;5~25重量%のグアーガムおよびメチルヒドロキシエチルセルロースおよびそれらの組合せの中から選択された加工助剤;および0.1または0.5~1.0重量%の、グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む硬化剤を含む配合物。
【0023】
バインダー配合物を含む鉄鉱石ペレットにおいて、1~10重量%の範囲内のケイ酸ナトリウムおよび0.1~2重量%の範囲内のグアーガムおよび/またはメチルヒドロキシエチルセルロースを含むペレット。
【0024】
鉄鉱石ペレットを生産する方法において、粒子状鉄鉱石とバインダー配合物とを混合することと;押出し加工によりペレットを形成することとを含む方法。
【0025】
特に明記しない限り、記載されている整数の各々を、当業者が理解すると考えられるような他の任意の整数と組合わせて使用することができる。さらに、本発明の全ての態様は好ましくは、その態様に関連して説明された特徴を「含む(comprise)」ものの、それらの態様をクレーム中で概要説明された特徴で「構成する(consist)」かまたは「本質的に構成する(consist essentially)」ことができる、ということが具体的に企図されている。さらに、全ての用語は、本明細書中で具体的に定義されているのでないかぎり、当該技術分野におけるそれらの一般的に理解される意味が与えられるように意図されている。
【0026】
さらに、本発明の論述においては、相反する記載のないかぎり、パラメータの許容範囲の上限または下限についての代替的値の開示は、代替的値のうちのより小さいものとより大きいものの間にある前記パラメータの各中間値が、それ自体同様に、そのパラメータについての考えられる値として開示されていることの黙示の記述としてみなされるべきものである。
【0027】
さらに、特に明記しないかぎり、本出願中に出現する全ての数値は、「約」という用語により修正されているものとして理解されるべきものである。
【0028】
本発明をより容易に理解できるようにするため、さらに
図1および以下の具体的実施例を参照しながら本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】非ケイ酸塩含有ペレット(点線)との関係におけるケイ酸塩含有ペレット(破線)の生強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
鉄鉱石の組成
Fe2O3とFe3O4の組合せを含む鉄鉱石を分析して、汚染物質を識別した。結果は以下の通りである。
【0031】
【表1】
試料AおよびBの分析はMaterials Processing Instituteによるものであり、C-EはAdvanced Metallurgical Groupによるものであった。
【0032】
【0033】
ペレットの形成
2軸式ミキサー内で粒子状鉄鉱石に対して粉末としてグアーガムを添加し、高速で混合した。次に混合しながらケイ酸ナトリウムを添加した。均質の混合物がひとたび形成された時点で、混合バッチを、真空(-600~-1000mbar)下でEdwards and Jones押出機を用いて押出し加工して、高密度に凝集された16mmのペレットを得た。ペレットを、試験に先立ち、30℃で24時間放置して硬化させた。
【0034】
試験方法
試験ペレットを、圧縮強度、耐衝撃性および還元中の焼結劣化について比較した。試験は全て、英国規格協会の試験指針にしたがって遂行した。
【0035】
【0036】
結果は2つの独立した研究所、Materials Processing InstituteとAdvanced Metallurgical Groupによって確認された。
【0037】
同様に、ペレットが衝撃時に粉砕するまで、2メートルの高さからペレットを繰返し落下させることを含む「落下試験」も遂行した。その結果は、
図1に示されている。
【0038】
【0039】
単一の配合物試料を3回試験して、再現性を保証した。あらゆる場合において、結果は、鉄鉱石ペレットについての業界水準より高いものであった。
【0040】
具体的には、鉄鉱石ペレットが、200kgf超の冷間圧潰強度、90%超のタンブラ指数値、10未満の摩耗指数値、および10未満の還元粉化指数値を有することが望ましい。
【0041】
ここで分かるように、全ての試験は、これらの値を超え、ペレットは極めて良好な圧縮生強度、優れた摩耗特性および焼結劣化耐性を示している。
【0042】
加工の増強
グアーガムが欠如している場合、加工が有意なほどにより困難であり、押出機の閉塞または過負荷が頻繁に発生することが観察された。
【0043】
ケイ酸塩含有ペレットの強度
図1は、粉砕に至るまで繰返し落下させた場合のケイ酸塩含有ペレットと非ケイ酸塩含有ペレットの間の比較を示す。時間の経過につれて、ケイ酸塩含有ペレットは、ペレットを粉砕するのに必要な落下回数の顕著な増加を示し、非ケイ酸塩含有ペレットに比べてより優れた生強度を示している。具体的には、400分後、非ケイ酸塩含有ペレットは、生産直後(t=0)の2回に対して平均3回の落下にしか耐え抜くことができない。比較すると、ちょうど350分後にケイ酸塩含有ペレットが耐え抜いた平均落下回数は、生産直後の3回に対し、6回である。
【0044】
本発明の方法および配合物は、さまざまな形で実装可能であるが、以上ではそのうちのいくつかのみが例示され説明されているにすぎないということが認識されるであろう。
本開示に係る発明は、下記の態様を含む:
<態様1>
鉄鉱石ペレット用のバインダー配合物であって、1種以上のケイ酸塩および加工助剤を含む配合物。
<態様2>
前記ケイ酸塩がI族またはII族ケイ酸塩を含む、請求項1に記載の配合物。
<態様3>
前記ケイ酸塩がケイ酸ナトリウムを含む、請求項1または2に記載の配合物。
<態様4>
前記ケイ酸塩が前記配合物の75~95重量%の範囲内で存在する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配合物。
<態様5>
前記加工助剤が、多糖類、セルロース系増粘剤およびそれらの組合せの中から選択された添加剤を含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配合物。
<態様6>
前記多糖類および/またはセルロース系増粘剤が、グアーガム、アラビアゴム、キサンタンガム、でんぷん、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースおよびそれらの組合せの中から選択される、請求項5に記載の配合物。
<態様7>
前記加工助剤が、前記配合物の5~25重量%の範囲内で前記配合物中に存在する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配合物。
<態様8>
さらに硬化剤を含む、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の配合物。
<態様9>
前記硬化剤が、グリセロールトリアセテート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヒュームドシリカ、カリウム・メチルシリコネートおよびそれらの組合せの中から選択される、請求項8に記載の配合物。
<態様10>
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のバインダー配合物を含む鉄鉱石ペレット。
<態様11>
1~10重量%の範囲内のケイ酸塩を含む、請求項10に記載のペレット。
<態様12>
0.1~2重量%の範囲内の加工助剤を含む、請求項10または11に記載のペレット。
<態様13>
鉄鉱石ペレットを生産する方法であって:
a. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載のバインダー配合物を粒子状鉄鉱石と混合することと;
b. ペレットを形成することと;
を含む方法。
<態様14>
ペレットが、押出し加工、パンペレット化およびブリケット化の中から選択された方法を用いて形成される、請求項13に記載の方法。