(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】制御方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 401
B41J2/01 451
(21)【出願番号】P 2021526688
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(86)【国際出願番号】 GB2019052594
(87)【国際公開番号】W WO2020099820
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-09-08
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520407688
【氏名又は名称】グローバル インクジェット システムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100213746
【氏名又は名称】川成 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100221752
【氏名又は名称】古川 雅与
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ, フィリップス
(72)【発明者】
【氏名】ゲデス, ニコラス キャンベル
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ダミアン ハワード ローレンス
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0252174(US,A1)
【文献】特表2015-516898(JP,A)
【文献】特開2018-001571(JP,A)
【文献】特開2011-235518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのノズルの配列を含
むプリントヘッドアレイを備え、
前記配列と目的物の表面が互いに関連して移動し、
プリントヘッドアレイの各ノズルが目的物の表面上のそれぞれの
湾曲した経路をたどり、そして
プリントヘッドアレイの各ノズルが前記ノズルのそれぞれの
湾曲した経路に沿った実際の噴射位置に滴を飛ばすように構成されたシステムを制御する方法であって、
該方法は、
ノズルによってたどられる
湾曲した各経路について、目標ピッチで規則的に間隔を空けられる複数の目標噴射位置を定義する工程と、
前記配列
の任意のノズル
について、少なくとも2つのノズル
がそれぞれ互いに異なる相対運動中に
それぞれのノズルの湾曲した経路に沿って到達する最大速度を決定する工程と、
前記目標噴射位置と、目標噴射位置に最も近い
印刷位置となる実際の噴射位置との間の距離となる各目標噴射位置に関連する誤差距離を定義する工程と、
最大値をゼロ以上とする誤差距離の最大値を設定する工程と、
前記配列のための一連の作動イベントを含む第一の制御信号を提供する工程であって、前記第一の制御信号が前記配列における全てのノズルに共通し、一連の作動イベントが前記ノズルによってたどられる
湾曲した経路に沿った各ノズルの一連の潜在的な噴射位置
(ドットを配置できる位置)と一致し、作動イベントは、全てのノズルの連続する潜在的な噴射位置間における最大距離が実際の噴射位置における誤差距離の最大値の2倍に制限されるように選択された規則的な間隔で提供され、前記最大距離が前記間隔に前記最大速度を乗算したものである工程と、
各ノズルについて、
実際の噴射位置のセット内の位置と一致する潜在的な噴射位置を、潜在的な噴射位置のサブセット
として選択してノズルの実際の噴射位置のセットとし、
そのノズルの各目標噴射位置
は、誤差距離の最大値よりも前記目標噴射位置により近接した前記セット
内における実際の噴射位置である工程と、
一連の作動イベントにおける各作動イベントについてノズルのサブセットを配列から決定する工程であって、
各ノズルは、プリントヘッドアレイのノズルのそれぞれ湾曲した印刷経路に沿った実際の噴射位置で液滴を噴射するために、実際の噴射位置のセット
内にある実際の噴射位置に各ノズルがある工程と
を含む、システムを制御する方法。
【請求項2】
誤差距離の最大値が目標ピッチの半分以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
誤差距離の最大値が目標ピッチの10%から20%以内である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
実際の噴射位置ごとに画像データを提供し、画像データに関連する滴を飛ばすために少なくとも2つのノズルを含む前記配列に第二の制御信号を提供する工程を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記工程が第1の最大速度および第1の間隔で第1の相対運動に対して実行され、次いで、前記工程が第1の最大速度とは異なる第2の最大速度および第1の間隔とは異なる第2の間隔で第2の相対運動に対して繰り返される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
潜在的な噴射位置のサブセットを選択する工程が、前記目標噴射位置に最も近い前記セット内の実際の噴射位置を識別することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記定義する工程において、ノズルによってたどられる
湾曲した各経路について、複数の目標噴射位置が目標ピッチによって規則的に間隔を空けられ、第1の目標噴射位置の位置は、目標ピッチに等しい前記経路の開始点からの距離内に設定され、前記距離はランダムな分布に従って
湾曲した経路間で変化される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
制御信号と目的物の表面に対する
前記配列
の動作を調整させるための同期要素を提供する工程を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つのノズルの配列
を含むプリントヘッドアレイを制御するように構成された、堆積システムを制御するための制御システムであって、
前記配列と目的物の表面が互いに関して移動自在であり、、
プリントヘッドアレイの各ノズルが目的物の表面上のそれぞれの
湾曲した経路をたどるように構成され、そして各ノズルがノズルのそれぞれの
湾曲した経路に沿った実際の噴射位置で滴を飛ばすように構成され、
該システムは、
ノズルによってたどられる各経路
ごとに、目標ピッチで規則的に間隔を空けられた複数の目標噴射位置を定義することと、
前記配列から任意のノズルが少なくとも2つのノズルのうち異なるノズルに対して異なる相対運動中に前記ノズルのそれぞれの経路に沿って前記配列から到達する最大速度を決定することと、
それぞれ湾曲した経路をたどる相対運動中に、
それぞれのノズルで相対速度が異なる少なくとも2つのノズルの各々が到達する最大速度を決定することと、
前記目標噴射位置と
、目標噴射位置に最も近い
印刷位置となる実際の噴射位置との間の距離
を、各目標噴射位置に関連
付けられた誤差距離
として定義することと、
ゼロ以上である、誤差距離についての最大値を設定することと、
前記配列のための一連の作動イベントを含む第一の制御信号を提供することであって、前記第一の制御信号が前記配列における全てのノズルに共通し、一連の作動イベントが前記ノズルによってたどられる
湾曲した経路に沿った各ノズルの一連の潜在的な噴射位置
(ドットを配置できる位置)と一致し、前記間隔が全てのノズルの連続する潜在的な噴射位置間における最大距離が実際の噴射位置における誤差距離の最大値の2倍までに制限されるように選択された規則的な間隔で作動イベントが提供され、前記最大距離が前記最大速度で乗算された前記間隔であることと、
各ノズルについて、
実際の噴射位置のセット内の位置と一致する潜在的な噴射位置を、潜在的な噴射位置のサブセット
として選択してノズルの実際の噴射位置のセットとし、
そのノズルの各目標噴射位置
は、誤差距離の最大値よりも前記目標噴射位置により近接した前記セット
内における実際の噴射位置であることと、
一連の作動イベントにおける各作動イベントについてノズルのサブセットを配列から決定する工程であって、
各ノズルは、プリントヘッドアレイのノズルのそれぞれ湾曲した印刷経路に沿った実際の噴射位置で液滴を噴射するために、実際の噴射位置のセット
内にある実際の噴射位置に各ノズルがあることと
を行うように構成された処理装置を備える、制御システム。
【請求項10】
誤差距離の最大値が目標ピッチの半分以下である、請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
誤差距離の最大値が目標ピッチの10%から20%以内である、請求項10に記載の制御システム。
【請求項12】
前記処理装置は、更に、実際の噴射位置ごとに画像データを提供し、画像データに関連する滴を飛ばすために少なくとも2つのノズルを含む前記配列に第二の制御信号を提供するように構成される、請求項9~11のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項13】
前記工程が第1の最大速度および第1の間隔で第1の相対運動に対して実行され、次いで、前記工程が第1の最大速度とは異なる第2の最大速度および第1の間隔とは異なる第2の間隔で第2の相対運動に対して繰り返される、請求項9~12のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項14】
潜在的な噴射位置のサブセットを選択する工程が、前記目標噴射位置に最も近い前記セット内の実際の噴射位置を識別することを含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項15】
前記定義する工程において、ノズルによってたどられる湾曲した各経路について、複数の目標噴射位置が目標ピッチによって規則的に間隔を空けられ、第1の目標噴射位置の位置は、目標ピッチに等しい前記経路の開始点からの距離内に設定され、前記距離はランダムな分布に従って湾曲した経路間で変化される、請求項9~14のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項16】
前記処理装置は、制御信号と目的物の表面に対する
前記配列
の動作を調整させるための同期要素を提供するように構成される、請求項9~15のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項17】
請求項9に記載の制御システムを含む、印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、概して、目標位置で分配するための制御方法およびシステムに関する。特に、本発明の態様は、印刷される表面上にインクを吐出するためのインクジェット印刷システムに関し、特に目的物の表面に湾曲した領域を印刷するとき、密度を維持するためにそのようなシステムを制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
最新のインクジェット印刷システムは、通常、ノズルアレイを形成する「ノズル」とも呼ばれる複数の液滴射出装置を含むプリントヘッドを含む。各ノズルは、通常、作動時にノズルからインクを噴射するように構成されるアクチュエータを含む。このようなアクチュエータには、例えば圧電アクチュエータが含まれる。
【0003】
アクチュエータは、電圧波形または共通の駆動信号(「排出パルス」、「印刷パルス」、または「発射パルス」として知られる)を提供する駆動電子機器(電子駆動回路)によって駆動され、それはノズルからインクが噴射されるように構成される。例えば、作動イベントはノズルのインク室内に圧力パルスを発生させ、インク滴を吐出する。
【0004】
多くのアプリケーションでは、駆動電子機器が多くのノズルに共通の駆動信号を供給し、別個のまたは統合された制御器が、作動イベントの所定のインスタンスに対して個々のノズルの内のどれがインクを噴射するかを決定するデータ切り替えをプリントヘッドに提供する。共有作動イベントに関連付けられるノズルのグループのデータは、「ストライプデータ」と呼ばれる。
【0005】
駆動信号と切り替え入力の調整されたシーケンスを配列することにより、プリントヘッドと被印刷物が互いに対して移動するとき、プリントヘッドは被印刷物上にピクセルアレイの形式で画像を生成する。これは、シングル経路印刷システムとスキャン印刷システムに適用されるが、これらに限定されない。「ストライプデータ」の一つまたは複数のインスタンスであるこのような調整された一連の作動イベントのデータは、「スワスデータ」と呼ばれる。
【0006】
印刷解像度は、単位距離に印刷されるドットの数を指し、ピッチはその逆数である。たとえば、254pmのピッチで配列された印刷されたドットは、1インチあたり100ドットの解像度を持つと説明されてもよい。プロセス方向の解像度は、ノズルアレイと被印刷物の間の相対経路に沿った印刷ドット間隔である。クロスプロセス解像度は、これに対して垂直な印刷ドット間隔である。特段言及のない限り、「解像度」は処理方向の解像度を示す。
【0007】
電子駆動回路は、被印刷物とプリントヘッドの相対運動を直接的または間接的に監視する「エンコーダ」、クロック、または同様の同期デバイスを介して、印刷される被印刷物の位置と同期するのが一般的である。この同期の目的は、作動プロセスと被印刷物の動きにより、必要な解像度でドットを印刷することにある。言い換えれば、エンコーダを使用して、作動プロセスを印刷されることを意図された被印刷物の位置と調整することができ、これは「目標噴射位置」と呼ばれる。このような同期は、通常、すべてのノズルが同じ速度で被印刷物に対して移動する平面上のインクジェット印刷に適している。
【0008】
被印刷物の相対的な速度を知り、経過時間を測定することにより、作動プロセスと相対的な被印刷物の動きを同期させることも可能である。これには、速度が既知の方法または測定可能な方法で変化するシステムが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ただし、プリントヘッドを使用して湾曲した経路に沿って、または湾曲した表面に印刷する場合、印刷面に対する個々のノズルの相対速度は変化する可能性があり、そのため、一連の作動イベントがノズルアレイに送信されると、結果のドットパターンの解像度が変化する。修正しない場合、表面に適用されるインク滴の密度は、印刷領域全体で異なる。この変動により、印刷された画像に望ましくない欠陥が生じる。
【0010】
密度を修正する既知のアプローチは、形状の表面の密度エラーを補正するために、ソース画像の2D線形化を実行することである。このようなアプローチは理論上機能するが、実際には、液滴密度が異なると、ドットゲインの変化、インクの混合、および複雑な修正問題を引き起こすその他の影響が生じる。
【0011】
本発明による実施態様が解決策を提供しようとするのは、とりわけ、これらの問題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の独立した態様によれば、少なくとも2つのノズルの配列を含み、前記配列と目的物の表面が互いに関連して移動し、各ノズルが目的物の表面上のそれぞれの経路をたどり、そして各ノズルが前記ノズルのそれぞれの経路に沿った実際の噴射位置に滴を飛ばすように構成されたシステムを制御する方法であって、該方法は、ノズルによってたどられる各経路について、目標ピッチで規則的に間隔を空けられる複数の目標噴射位置を定義する工程と、前記配置から任意のノズルが相対運動中に前記ノズルのそれぞれの経路に沿って到達する最大速度を決定する工程と、前記目標噴射位置と目標噴射位置に最も近い実際の噴射位置との間の距離となる各目標噴射位置に関連する誤差距離を定義する工程と、最大値をゼロ以上とする誤差距離の最大値を設定する工程と、前記配列のための一連の作動イベントを含む第一の制御信号を提供する工程であって、前記第一の制御信号が前記配列における全てのノズルに共通し、一連の作動イベントが前記ノズルによってたどられる経路に沿った各ノズルの一連の潜在的な噴射位置と一致し、作動イベントは、全てのノズルの連続する潜在的な噴射位置間における最大距離が実際の噴射位置における誤差距離の最大値の2倍に制限されるように選択された規則的な間隔で提供され、前記最大距離が前記間隔に前記最大速度を乗算したものである工程と、各ノズルについて、ノズルの実際の噴射位置のセットである潜在的な噴射位置のサブセットを選択する工程であって、そのノズルの各目標噴射位置について、誤差距離の最大値よりも前記目標噴射位置により近接した前記セットにおける実際の噴射位置である工程と、一連の作動イベントにおける各作動イベントについてノズルのサブセットを配列から決定する工程であって、前記ノズルについて実際の噴射位置のセットから実際の噴射位置に各ノズルがある工程とを含む、システムを制御する方法である。
【0013】
「間隔」とは、例えばエンコーダパルス間の時間間隔または間隔を意味することを理解されたい。したがって、「間隔」と「速度」の単位は、使用される同期方法によって異なりうる。定義される誤差距離と目標ピッチはプロセス方向であることが理解されよう。
【0014】
従属的な態様として、誤差距離の最大値が目標ピッチの半分以下であり、好ましくは誤差距離の最大値が目標ピッチの10%から20%以内である。
【0015】
従属的な態様として、上記方法は実際の噴射位置ごとに画像データを提供し、画像データに関連する滴を飛ばすために少なくとも2つのノズルを含む前記配列に第二の制御信号を提供する工程を更に含む。
【0016】
画像データの提供は、当技術分野で周知の方法によって達成できることが理解される。画像データは、(たとえば、バイナリ画像の場合、)実際の各噴射位置でドットを噴射するかどうかを指定し、場合によっては、(たとえば、グレースケール画像の場合、)噴射するドットの大きさを指定する。
【0017】
従属的な態様として、前記工程が第1の最大速度および第1の間隔で第1の相対運動に対して実行され、次いで、前記工程が第1の最大速度とは異なる第2の最大速度および第1の間隔とは異なる第2の間隔で第2の相対運動に対して繰り返される。場合によっては、運動を、異なる最大速度を持つ小さな連続した運動(例えば、連続した経路セグメント)に分割し、各運動の間隔に対応する異なる値を選択することが有効であろう。
【0018】
従属的な態様として、潜在的な噴射位置のサブセットを選択する工程が、前記目標噴射位置に最も近い前記セット内の実際の噴射位置を識別することを含む。これは、いくつかの潜在的な噴出位置が前記目標噴出位置からの最大誤差距離よりも短いノズル速度が遅い領域で有効である。
【0019】
あるいは、他の画像処理目的を満たすために、最も近い位置以外の潜在的な噴射位置を選択しうることは当業者には理解されるであろう。例えば、平坦な領域での量子化アーティファクトを防ぐために、最大誤差距離内の実際の噴射位置の選択を変えることによってノイズを注入することが有利な場合がありうる。
【0020】
従属的な態様として、前記定義する工程において、ノズルによってたどられる各経路について、複数の目標噴射位置が目標ピッチによって規則的に間隔を空けられ、第1の目標噴射位置の位置は、目標ピッチに等しい前記経路の開始点からの距離内に設定され、前記距離はランダムな分布に従って経路間で変化される。経路の開始はノズルの動作開始位置によって定義される。有利なことに、この目標噴射位置へのノイズの注入は、実際の噴射位置でのモアレ干渉などの影響の形成を防ぐ。
【0021】
従属的な態様として、上記方法は制御信号と目的物の表面に対する前記配列の動作を調整させるための(例えば、エンコーダやクロックといった)同期要素を提供する工程を含む。
【0022】
したがって、本発明は、制御信号から受信した一連の作動イベント(発射パルス)が、必要なドット解像度を生成するために平面上に印刷する配列に必要とされるよりも頻繁に発生する方法を提供する。次に、実際の噴射位置が定義された最大誤差距離を超えない範囲で目標噴射位置から逸脱するように、シーケンスから所与の作動イベントに対して噴射する個々のノズルを選択することが可能である。
【0023】
ノズルの潜在的な噴射位置は、ドット位置の配列と考えうる。有利なことに、本発明は、アドレス可能なドット位置の配列を、例えば曲面を含む目的物の表面上に確立し、その結果、それらのドット位置が、異なる速度で移動する印刷システムのノズルによって噴射される方法を提供する。
【0024】
この方法は、プリントヘッドがリニアアクチュエータではなくロボットアームによって制御される状況で、さまざまな形状の曲面に印刷する場合や、たとえば平坦な表面の湾曲した経路に印刷する場合に有利である。
【0025】
この発明の第二の独立した態様によれば、少なくとも2つのノズルの配列のための制御システムであって、前記配列と目的物の表面が互いに関して移動自在であり、各ノズルが目的物の表面上のそれぞれの経路をたどるように構成され、そして各ノズルがノズルのそれぞれの経路に沿った実際の噴射位置で滴を飛ばすように構成され、該システムは、ノズルによってたどられる各経路について、目標ピッチで規則的に間隔を空けられた複数の目標噴射位置を定義することと、任意のノズルが相対運動中に前記ノズルのそれぞれの経路に沿って前記配列から到達する最大速度を決定することと、前記目標噴射位置と目標噴射位置に最も近い実際の噴射位置との間の距離である各目標噴射位置に関連する誤差距離を定義することと、ゼロ以上である、誤差距離についての最大値を設定することと、前記配列のための一連の作動イベントを含む第一の制御信号を提供することであって、前記第一の制御信号が前記配列における全てのノズルに共通し、一連の作動イベントが前記ノズルによってたどられる経路に沿った各ノズルの一連の潜在的な噴射位置と一致し、前記間隔が全てのノズルの連続する潜在的な噴射位置間における最大距離が実際の噴射位置における誤差距離の最大値の2倍までに制限されるように選択された規則的な間隔で作動イベントが提供され、前記最大距離が前記最大速度で乗算された前記間隔であることと、各ノズルについて、ノズルの各目標噴射位置について、誤差距離の最大値よりも前記目標噴射位置に近い前記セットにおける実際の噴射位置である、前記ノズルの実際の噴射位置のセットである潜在的な噴射位置のサブセットを選択することと、各ノズルがノズルの実際の噴射位置のセットから実際の噴射位置にあるノズルのサブセットを一連の作動イベントにおける各作動イベントについて前記配列から決定することとを行うように構成された処理装置を備える、制御システムを提供することにある。
【0026】
従属的な態様として、第二の独立した態様による制御システムを備える印刷システムを提供することにある。
【0027】
第1および第2の独立した態様で主張される本発明の概念は、湾曲した経路に沿った、または形状の湾曲した表面上における実際の作動位置で動作を実行するシステムを制御するため、例えば、要素の加熱、針の移動、センサーのトリガーといった様々な用途で使用されることが理解される。したがって、比較例として、少なくとも2つのアクチュエータの配列のための制御システムであって、前記配列と形状が互いに関して移動自在であり、各アクチュエータが形状上のそれぞれの経路をたどるように構成され、そして各アクチュエータがアクチュエータのそれぞれの経路に沿った実際の作動位置で動作を実行するように構成され、該システムは、アクチュエータによってたどられる各経路について、目標ピッチで規則的に間隔を空けられた複数の目標作動位置を定義することと、任意のアクチュエータが相対運動中に前記アクチュエータのそれぞれの経路に沿って前記配列から到達する最大速度を決定することと、前記目標作動位置と目標作動位置に最も近い実際の作動位置との間の距離である各目標作動位置に関連する誤差距離を定義することと、ゼロ以上である、誤差距離についての最大値を設定することと、前記配列のための一連の作動イベントを含む第一の制御信号を提供することであって、前記第一の制御信号が前記配列における全てのアクチュエータに共通し、一連の作動イベントが前記アクチュエータによってたどられる経路に沿った各アクチュエータの一連の潜在的な作動位置と一致し、前記間隔が全てのアクチュエータの連続する潜在的な作動位置間における最大距離が実際の作動位置における誤差距離の最大値の2倍までに制限されるように選択された規則的な間隔で作動イベントが提供され、前記最大距離が前記最大速度で乗算された前記間隔であることと、各アクチュエータについて、アクチュエータの各目標作動位置について、誤差距離の最大値よりも前記目標作動位置に近い前記セットにおける実際の作動位置である、前記アクチュエータの実際の作動位置のセットである潜在的な作動位置のサブセットを選択することと、各アクチュエータがアクチュエータの実際の作動位置のセットから実際の作動位置にあるアクチュエータのサブセットを一連の作動イベントにおける各作動イベントについて前記配列から決定することとを行うように構成された処理装置を備える、制御システムを提供することにある。
【0028】
すべての独立した態様の好ましい特徴は、従属請求項に記載されている。
【0029】
次に、本発明の態様を、一例として、添付の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1(a)は、平坦な表面上に噴射されたドット(例えば、インクジェットドット)の概略図である。
図1(b)は、従来技術における曲面上に噴射されたドットの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の態様による方法の概略図である。
【
図3】
図3は、それぞれ、本発明による目標噴射位置(TJL)、潜在的な噴射位置(PJL)、および実際の噴射位置(AJL)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
明確で一貫性のある用語を可能にするために、本発明に関連するいくつかの概念を定義することから始める。次に、本発明の例示的な態様を、以下の密度補正セクションで説明する。
【0032】
ノズルの配列(ノズルアレイ)
インクジェット印刷システムは、複数のノズルを備え、ノズルの配置を形成し、作動イベントをいつ作成するかを示す制御信号を共有する。インクジェット印刷では、プリントヘッドには、1列のノズルから大きな2Dアレイまで、ノズルアレイを形成する複数のノズルが含まれる。ノズルアレイは、ドライブ電子機器から受信される共通のドライブ信号を共有する。別個のまたは統合された制御器は、個々のノズルのどれが作動イベントの所与のインスタンスに対してインクを噴射するかを決定するプリントヘッドへのデータ切り替えを提供する。
【0033】
経路(印刷経路経路)
「印刷経路」は、印刷用の表面に対するノズルの配列の動きを表す。たとえば、印刷経路は、印刷プロセス中のノズルの配列と目的物(形状)の相対的な動きである。「経路」は、ノズルの下を通過する表面上の複数の位置を表す。個々のノズルの経路を決定することで、ノズルが目標表面を横切ってトレースする軌跡が提供される。この相対的な動きは、たとえノズルの配置が静的で目的物が移動する場合、または両方が移動して相対的な動きを提供する場合でも、等しい。
【0034】
密度補正
一例では、円錐形のフルハイト印刷が開発された。既知のプロセスには、「重ねられる」ソース画像のピクセルの位置と一致するように滴の位置を修正することが含まれますが、
図1に示されるように、表面の形状の変化によって生じる出力の密度の変化を修正する必要がある。
【0035】
印刷システムは、作動イベントをいつ作成するかを示す信号を受信するプリントヘッドアレイと、共有作動イベントに関連付けられたノズルのグループのストライプデータで構成される。平坦な表面に沿って移動するプリントヘッドアレイのノズルは、「フラットノズル」とも呼ばれる。この状況で、各作動イベントは、(ドットを配置することが可能である)潜在的な噴射位置10に規則的に間隔を置いて配列されるプリントヘッドの駆動ノズルからのインクなどの流体の堆積物としてドットを生成し、その結果目標解像度を達成する(
図1(a))。印刷されたドットは、「実際の噴射位置」と呼ばれる位置を表す。
【0036】
ノズルが湾曲した印刷経路を横切って移動しているとき、アレイ内の別の「フラット」ノズルとは異なる速度で、実際の噴射位置間の距離は、フラットノズルで達成される距離とは異なるため、(
図1(b)に表されるように)印刷密度が変更される。したがって、平面の標準的な印刷中に通常達成される密度を達成するには、曲面の出力の密度補正が必要である。
【0037】
図2と
図3はそれぞれ、ドットを配置したい一連の目標噴射位置9と、(作動イベントに対応する)ドットを配置可能な一連の潜在的な噴射位置10を示す。
図2では、潜在的な位置10は円錐の表面にある。
【0038】
潜在的な位置10での作動イベントは、エンコーダ、クロックまたは同様のデバイスなどの同期要素によって制御しうる。
図2および
図3に概略的に示されているように、工程の大きさは、間隔を短くして、実際の噴射位置を潜在的な噴射位置のサブセットとして選択できる新しい潜在的な噴射位置10'を取得することによって調整され、目標の噴射位置からの最大誤差距離内に収まる。
【0039】
各ノズルがその印刷経路をたどると、単位間隔あたりの移動距離として定義される速度が達成される。エンコーダベースのシステムの場合、これはエンコーダパルスあたりの距離であり、クロックベースのシステムの場合、これは単位時間あたりの距離、例えばメートル毎秒である。最大誤差を制限するために、配列内のすべてのノズルにわたって、配列と表面の相対的な動きの間に任意のノズルによって達成される最大速度を決定する必要がある。
【0040】
したがって、本発明によれば、密度補正は、特定のイベントに対してどのノズルが噴射するかを注意深く選択しながら、作動イベント間の短縮された間隔Iを使用することによって実行される。
【0041】
システムに対して十分に小さい間隔を選択することにより、システム内のすべてのノズルの実際の噴射位置11と対応する目標噴射位置9との間の最大誤差距離は、定義される最大誤差距離に制限され得る。したがって、本発明は、必要なドット解像度に任意に近い印刷ドット解像度を達成することを可能にする。通常、定義される最大誤差距離は、目標ピッチの10~20%に設定される。
【0042】
本発明は、湾曲した表面を横切って可変速度で移動するノズルによって引き起こされる、共通の作動イベントを共有するノズルの配列全体にわたるドット解像度の変動を補償することを可能にする。当業者には明らかであるように、例えば プリントヘッド内の1つまたは複数のノズルアレイに、そして印刷システム内の1つ以上のプリントヘッドに、同じ技術を1つまたは複数のそのような配列に適用することができる。
【0043】
このアプローチのコストの一つは、作動イベントの頻度(発火頻度)とスワスデータが、プリントヘッドアレイ内のすべてのノズルが特定の速度で単一の解像度で作動している場合よりも大きいことである。したがって、選択される間隔Iは、達成される液滴位置の精度の向上と生産性との間のトレードオフを表す。
【0044】
本発明は、上記のように目標位置にインクを分配するためのインクジェット印刷システムに関連する例に関して説明されてきたが、これらの例は例示にすぎないことを理解されたい。本発明は、任意の位置または分配を行うのに適した堆積システムを制御または操作するために、すなわち、任意の目的物を目標位置に配置するために使用できることが理解されよう。例えば、この方法は、トレーラーが牽引されるときに、肥料を分配するか、またはトレーラーから種子を播種するシステムに適用され得る。この方法は、堆積した種子の密度を補正するために、トレーラーが畑の端の角を移動するときに有効である。
【0045】
当業者は、添付の特許請求の範囲内にあると考えられる開示を考慮して、修正および代替を行うことができるであろう。本明細書に開示または図示されている各特徴は、単独で、または本明細書に開示または図示されている他の特徴との適切な組み合わせであるかどうかにかかわらず、本発明に組み込むことができる。