(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットの増大のための方法ならびに関連する組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0783 20100101AFI20240821BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240821BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20240821BHJP
【FI】
C12N5/0783 ZNA
A61K35/17
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2021528350
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 US2019062695
(87)【国際公開番号】W WO2020107002
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-11-21
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519290345
【氏名又は名称】インダプタ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ビグレー オースティン
(72)【発明者】
【氏名】マーテル ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ディピエッロ ギー
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0295044(US,A1)
【文献】国際公開第2018/148462(WO,A1)
【文献】特表2011-529341(JP,A)
【文献】特表2012-521215(JP,A)
【文献】国際公開第2016/151741(WO,A1)
【文献】特開2019-170176(JP,A)
【文献】Jaewon Lee et al.,Immunity,2015年,Vol. 42,pp. 431-442
【文献】A. B. Bigley et al.,Clinical and Experimental Immunology,2016年,Vol. 185,pp.239-251
【文献】A. B. Bigley et al.,Clinical and Experimental Immunology,2018年09月,Vol. 193,pp. 265-274
【文献】Tianxiang Zhang et al.,The Journal of Immunology,2013年,Vol. 190,pp. 1402-1406
【文献】Hiroyuki Fujisaki et al.,Cancer Res,2009年,Vol. 69, No. 9,pp.4010-4017
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、
(a)
CMV血清陽性のヒト対象からの試料から、(i)CD3陰性かつCD56陽性(CD3
negCD56
pos)である細胞、(ii)CD3陰性かつCD57陽性(CD3
negCD57
pos)である細胞、(iii)CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3
negCD56
posCD38
neg)である細胞、(iv)CD3陰性(CD3
neg)である細胞、(v)CD3陰性かつCD16陽性(CD3
negCD16
pos)である細胞、または(vi)CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3
negCD56
posNKG2A
negCD161
neg)である細胞を選択することを含む、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を単離する工程と、
(b)濃縮NK細胞の該集団を、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が
1:1~5:1(両端の値を含む)である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、培養する工程と
を含み、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
【請求項2】
(a)
CMV血清陽性のヒト対象からの試料から、(i)CD3陰性かつCD56陽性(CD3
negCD56
pos)である細胞、(ii)CD3陰性かつCD57陽性(CD3
negCD57
pos)である細胞、(iii)CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3
negCD56
posCD38
neg)である細胞、(iv)CD3陰性(CD3
neg)である細胞、(v)CD3陰性かつCD16陽性(CD3
negCD16
pos)である細胞、または(vi)CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3
negCD56
posNKG2A
negCD161
neg)である細胞を選択することを含む、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を単離する工程と、
(b)濃縮NK細胞の該集団を、照射221.AEHフィーダー細胞および照射末梢血単核(PBMC)フィーダー細胞と組み合わせる工程であって、照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が
1:1~5:1(両端の値を含む)であり、かつPBMCフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が
1:1~5:1(両端の値を含む)である、該組み合わせる工程と、
(c)(b)の集団を、組換えIL-2および抗CD3抗体または抗原結合フラグメントの存在下で培養する工程であって、該培養する工程の開始から7日以内に、細胞培養培地を、組換えIL-2を含有する新鮮培地と交換する、該培養する工程と、
(d)該増大された細胞集団を収集する工程と
を含む、FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法。
【請求項3】
ヒト対象がCD16 158V+NK細胞遺伝子型を有する、請求項
1または2記載の方法。
【請求項4】
試料が、末梢血単核球(PBMC)であるか、または末梢血単核球(PBMC)を含む、請求項
1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
試料がアフェレーシス試料または白血球アフェレーシス試料である、請求項
1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記単離する工程が、(i)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性かつ
CD56陽性(CD3
neg
CD56
pos)である細胞を選択することを含む、請求項
1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
(a)の後に、濃縮NK細胞の単離された前記集団を凍結保存し、(b)の前に、該濃縮NK細胞を含む凍結保存試料を解凍する、請求項
1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、
(a)
CMV血清陽性のヒト対象からの試料からのナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を取得する工程であって、濃縮NK細胞の該集団が、(i)CD3陰性かつCD56陽性(CD3
negCD56
pos)である細胞、(ii)CD3陰性かつCD57陽性(CD3
negCD57
pos)である細胞、(iii)CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3
negCD56
posCD38
neg)である細胞、(iv)CD3陰性(CD3
neg)である細胞、(v)CD3陰性かつCD16陽性(CD3
negCD16
pos)である細胞、または(vi)CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3
negCD56
posNKG2A
negCD161
neg)である細胞から選択される表現型
である、該取得する工程と、
(b)濃縮NK細胞の該集団を、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が
1:1~5:1(両端の値を含む)である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、培養する工程と
を含み、
ここで該方法により、g-NK細胞について濃縮されたNK細胞の、増大された集団が産生される、
該方法。
【請求項9】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、
CMV血清陽性のヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、
濃縮NK細胞の該集団は、CD3陰性かつCD57陽性である細胞
であり、
該培養する工程が、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が
1:1~5:1(両端の値を含む)である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、実行され、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
【請求項10】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、
CMV血清陽性のヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、
濃縮NK細胞の該集団は、CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性である細胞
であり、
該培養する工程が、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が
1:1~5:1(両端の値を含む)である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、実行され、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
【請求項11】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、
CMV血清陽性のヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、
濃縮NK細胞の該集団は、CD3陰性かつCD16陽性である細胞
であり、
該培養する工程が、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が
1:1~5:1(両端の値を含む)である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、実行され、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
【請求項12】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、
CMV血清陽性のヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、
濃縮NK細胞の該集団は、CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性である細胞
であり、
該培養する工程が、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が
1:1~5:1(両端の値を含む)である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、実行され、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
【請求項13】
前記培養する工程が、(iii)初代ヒト末梢血単核球(PBMC)フィーダー細胞の存在下でさらに実行され、該PBMCフィーダー細胞は照射されている、請求項1および
3~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記培養する工程の少なくとも一部分が、
PBMCフィーダー細胞のT細胞のうちの1つまたは複数の活性化を刺激することができる、少なくとも1つの刺激作用物質
の存在下で、実行される、請求項
13記載の方法。
【請求項15】
照射AEH.221フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:1~3:1(両端の値を含む)である、請求項
1~14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
前記培養する工程の少なくとも一部分の期間中における組換えIL-2の濃度が、
10IU/mL~500IU/mLである、請求項
1~15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
前記培養する工程の開始時の濃縮NK細胞の前記集団が、
0.05×10
6
個の濃縮NK細胞/mL~1.0×10
6
個の濃縮NK細胞/mLの濃度である、請求項
1~16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
前記培養する工程の開始時の濃縮NK細胞の前記集団が、
0.05×10
6
個の濃縮NK細胞/mL~0.5×10
6
個の濃縮NK細胞/mLの濃度である、請求項
1~17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
前記培養する工程の開始時の濃縮NK細胞の前記集団が、
0.2×10
6
個の濃縮NK細胞/mLの濃度を含む、請求項
1~18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
前記培養する工程が、
少なくとも14日間にわたって実行される、請求項
1~19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
前記培養する工程が、
少なくとも21日間にわたって実行される、請求項
1~20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
前記培養する工程の終了時に、前記培養する工程の開始時と比較して増加した数のg-NK細胞を産生し、前記増加が、
100倍超である、請求項
1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
前記培養する工程の後に、前記方法によって産生された、増大されたg-NK細胞集団を収集する、請求項
1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
増大されたg-NK細胞集団の集団を調製する方法であって、該方法が、請求項
1~23のいずれか一項記載の方法
を含み、かつ、前記増大されたg-NK細胞集団を、薬学的に許容される賦形剤中に製剤化する工程をさらに含む、
方法。
【請求項25】
凍結保護物質の存在下で細胞を凍結保存および/または製剤化する工程をさらに含む、請求項
1~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
前記NK細胞を培養する工程が、前記NK細胞の増大のための1種または複数種の追加サイトカインを含み、該1種または複数種の追加サイトカインが、組換えIL-21、組換えIL-18、組換えIL-7、組換えIL-15、および/またはIL-12である、請求項
1~25のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月21日に出願された「METHODS FOR EXPANSION OF NATURAL KILLER(NK)CELL SUBSET AND RELATED COMPOSITIONS AND METHODS」と題する米国仮出願第62/770,686号に基づく優先権を主張し、前記仮出願の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列表の参照による組入れ
本出願は、電子形式の配列表と共に出願されている。配列表は、2019年11月21日に作成された776032000540SeqList.txtという名称のファイルとして提供され、サイズは7.8キロバイトである。配列表の電子形式での情報はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、ナチュラルキラー(NK)細胞の特殊化したサブセットのエクスビボでの増大のための方法、およびそのようなNK細胞を含有する組成物を提供する。NK細胞の特殊化したサブセットを同定または検出するための方法も提供される。腫瘍細胞または感染細胞などの疾患関連組織または疾患関連細胞に結合することができる抗体との併用を含む、本開示の組成物を使用してがんなどの疾患および状態を処置する方法も提供される。
【背景技術】
【0004】
背景
抗体ベースの治療は、がんおよび他の疾患の処置にしばしば用いられるようになっている。抗体治療に対する応答は、典型的には、腫瘍細胞に対するこれらの抗体の直接的阻害効果(例えば成長因子受容体の阻害とそれに続くアポトーシスの誘導)に集中していたが、これらの抗体のインビボでの効果はもっと複雑であると思われ、それには宿主免疫系が関与しうる。ナチュラルキラー(NK)細胞は、抗原保持細胞に結合した抗体のFc部分にFc受容体(CD16;FcγRIII)が結合した時に抗体依存性細胞性細胞傷害を媒介する免疫エフェクター細胞である。NK細胞は、その特別な特殊化したサブセットを含めて、治療方法において、例えば抗体治療に対する応答を改良するためなどの目的で、使用することができる。しかし、養子細胞治療などの細胞治療におけるNK細胞の応用にとって大きな障害は、ヒト末梢血におけるそれらの存在量が比較的低いことと、特定の特殊化したサブセットの表面表現型特徴がないことである。治療用途のためのNK細胞組成物を得るために、改良された方法が必要とされている。そのようなニーズを充足する態様が本明細書において提供される。
【発明の概要】
【0005】
概要
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法が、本明細書において提供され、該方法は、(a)ヒト対象からの試料から、(i)CD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞、(ii)CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3negCD56posCD38neg)である細胞、(iii)CD3陰性(CD3neg)である細胞、(iv)CD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性(CD3negCD56pos)である細胞、(v)CD3陰性かつCD16陽性(CD3negCD16pos)である細胞、または(vi)CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3negCD56posNKG2AnegCD161neg)である細胞を選択することを含む、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を単離する工程と、(b)濃縮NK細胞の集団を、(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および(ii)組換えIL-2の存在下で、培養する工程とを含み、ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される。
【0006】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法が、本明細書において提供され、該方法は、(a)ヒト対象からの試料から、(i)CD3陰性(CD3neg)である細胞、(ii)CD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性(CD3negCD56pos)である細胞、(iii)CD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞、または(iv)CD3陰性かつCD16陽性(CD3negCD16pos)である細胞を選択することを含む、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を単離する工程と、(b)濃縮NK細胞の集団を、(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および(ii)組換えIL-2の存在下で、培養する工程とを含み、ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される。
【0007】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法が、本明細書において提供され、該方法は、(a)ヒト対象からの試料から、(i)CD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞、(ii)CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3negCD56posCD38neg)である細胞、(iii)CD3陰性(CD3neg)である細胞、(iv)CD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性(CD3negCD56pos)である細胞、(v)CD3陰性かつCD16陽性(CD3negCD16pos)である細胞、または(vi)CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3negCD56posNKG2AnegCD161neg)である細胞を選択することを含む、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を単離する工程と、(b)濃縮NK細胞の集団を、照射221.AEHフィーダー細胞および照射末梢血単核(PBMC)フィーダー細胞と組み合わせる工程であって、照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1であり、かつPBMCフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:1または約1:1から、5:1または約5:1(両端の値を含む)である、該組み合わせる工程とを含む。任意で、PBMCフィーダー細胞は対象にとって自家である。該方法は、(c)(b)の集団を、組換えIL-2および抗CD3抗体または抗原結合フラグメントの存在下で培養する工程であって、培養する工程の開始から7日以内に、細胞培養培地を、組換えIL-2を含有する新鮮培地と交換し、かつ任意で、その後、該培養する工程の継続期間にわたって、細胞培養培地を、組換えIL-2を含有する新鮮培地と、2または3日ごとにさらに交換し、ここで該培養する工程により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、該培養する工程、および(d)増大された細胞集団を収集する工程も伴う。
【0008】
提供される態様のいずれにおいても、提供される方法は、NK細胞に富む細胞の集団を単離または選択する前に、ヒト対象から試料を採取する工程を含む。任意の態様の一部において、ヒト対象はCMV血清陽性である。任意の態様の一部において、ヒト対象はCD16 158V+NK細胞遺伝子型を有する。提供される態様の諸態様において、試料は末梢血単核球(PBMC)であるか、または末梢血単核球(PBMC)を含む。いくつかの態様において、試料はアフェレーシス試料または白血球アフェレーシス試料である。
【0009】
提供される態様のいずれにおいても、本方法は、対象からの試料から、NK細胞について濃縮された細胞を単離する工程を含む。いくつかの態様において、単離する工程は、試料から、NK細胞について濃縮された細胞の集団を選択することによる。いくつかの態様において、選択は、免疫親和性に基づく選択による。任意の態様の一部において、単離する工程は、(i)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞を選択することを含む。任意の態様の一部において、単離する工程は、(ii)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3negCD57posCD28neg)である細胞を選択することを含む。いくつかの態様において、単離する工程は、(iii)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性(CD3neg)である細胞を選択することを含む。いくつかの態様において、単離する工程は、(iv)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性(CD3negCD56pos)である細胞を選択することを含む。いくつかの態様において、単離する工程は、試料から、CD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞を選択することを含む。いくつかの態様において、単離する工程は、(v)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性かつCD16陽性(CD3negCD16pos)である細胞を選択することを含む。いくつかの態様において、単離する工程は、(vi)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3negCD56posNKG2AnegCD161neg)である細胞を選択することを含む。
【0010】
NK細胞について濃縮された細胞の集団を単離または選択する、提供される方法のいずれかの一部において、本方法は、例えば細胞の集団を増大させるなどの目的で細胞の培養を実行する前に、濃縮NK細胞の単離された集団を凍結保存する工程を含むことができる。任意のそのような態様の一部において、提供される方法は、細胞の集団を増大させるなどの目的で細胞を培養する前に、濃縮NK細胞を含む凍結保存試料を解凍する工程を含む。
【0011】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法が、本明細書において提供され、該方法は、(a)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を取得する工程であって、濃縮NK細胞の集団が、(i)CD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞、(ii)CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3negCD56posCD38neg)である細胞、(iii)CD3陰性(CD3neg)である細胞、(iv)CD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性(CD3negCD56pos)である細胞、(v)CD3陰性かつCD16陽性(CD3negCD16pos)である細胞、または(vi)CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3negCD56posNKG2AnegCD161neg)である細胞から選択される表現型を含む、該取得する工程と、(b)濃縮NK細胞の集団を、(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および(ii)組換えIL-2の存在下で、培養する工程とを含み、ここで該方法により、g-NK細胞について濃縮されたNK細胞の、増大された集団が産生される。いくつかの態様において、NK細胞について濃縮された細胞の集団を取得する工程は、濃縮NK細胞を含む凍結保存試料を解凍することを含む。
【0012】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法が、本明細書において提供され、該方法は、(a)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を取得する工程であって、濃縮NK細胞の集団が、(i)CD3陰性(CD3neg)である細胞、(ii)CD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性(CD3negCD56pos)である細胞、(iii)CD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞、または(iv)CD3陰性かつCD16陽性(CD3negCD16pos)である細胞から選択される表現型を含む、該取得する工程と、(b)濃縮NK細胞の集団を、(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および(ii)組換えIL-2の存在下で、培養する工程とを含み、ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される。いくつかの態様において、NK細胞について濃縮された細胞の集団を取得する工程は、濃縮NK細胞を含む凍結保存試料を解凍することを含む。
【0013】
任意のそのような態様の一部において、濃縮NK細胞の集団は(i)の集団であり、CD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞を含む。任意のそのような態様の一部において、濃縮NK細胞の集団は(ii)の集団であり、CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3negCD56posCD38neg)である細胞を含む。任意のそのような態様の一部において、濃縮NK細胞の集団は(iii)の集団であり、CD3陰性(CD3neg)である細胞を含む。任意のそのような態様の一部において、濃縮NK細胞の集団は(iv)の集団であり、CD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性(CD3negCD56pos)である細胞を含む。任意のそのような態様の一部において、濃縮NK細胞の集団はCD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞を含む。任意のそのような態様の一部において、濃縮NK細胞の集団は(v)の集団であり、CD3陰性かつCD16陽性(CD3negCD16pos)である細胞を含む。任意のそのような態様の一部において、濃縮NK細胞の集団は(vi)の集団であり、CD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3negCD56posNKG2AnegCD161neg)である細胞を含む。
【0014】
任意のそのような態様の一部において、濃縮NK細胞の集団はCD3陰性(CD3neg)である細胞を含む。任意のそのような態様の一部において、濃縮NK細胞の集団はCD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性(CD3negCD56pos)である細胞を含む。任意のそのような態様の一部において、濃縮NK細胞の集団はCD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞を含む。任意のそのような態様の一部において、濃縮NK細胞の集団はCD3陰性かつCD16陽性(CD3negCD16pos)である細胞を含む。
【0015】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法が、本明細書において提供され、該方法は、ヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、濃縮NK細胞の集団は、CD3陰性かつCD57陽性である細胞を含み、培養する工程は、(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および(ii)組換えIL-2の存在下で、実行され、ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される。
【0016】
任意の態様の一部において、本方法は、培養する工程に先立って、試料から濃縮NK細胞の集団を単離する工程を含み、該単離する工程は、(1)(a)CD3陰性である細胞または(b)CD57陽性である細胞を選択し、これにより、第1選択集団を濃縮すること、および(2)第1選択集団から、(a)CD3陰性である細胞または(b)CD57陽性である細胞のうちのもう一方について細胞を選択し、これにより、CD3陰性かつCD57陽性である細胞を濃縮することを含む。いくつかの態様において、選択は、免疫親和性に基づく選択を含む。
【0017】
任意の態様の一部において、本方法は、培養する工程に先立って、試料から濃縮NK細胞の集団を単離する工程を含み、該単離する工程は、(1)試料から、CD3陰性である細胞を選択して、第1選択集団を産生すること、および(2)第1選択集団から、CD57陽性である細胞を選択し、これにより、CD4陰性かつCD57陽性である細胞を濃縮することを含む。
【0018】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法が、本明細書において提供され、該方法は、ヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、濃縮NK細胞の集団は、CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性である細胞を含み、培養する工程は、(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および(ii)組換えIL-2の存在下で、実行され、ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される。
【0019】
任意の態様の一部において、本方法は、培養する工程に先立って、試料から濃縮NK細胞の集団を単離する工程を含み、該単離する工程は、(1)試料から、CD3陰性である細胞を選択し、これにより、第1選択集団を濃縮すること、(2)第1選択集団から、(a)CD56陽性である細胞または(b)CD38陰性である細胞を選択し、これにより、第2選択集団を濃縮すること、および(3)第2選択集団から、(a)CD56陽性である細胞または(b)CD38陰性である細胞のうちのもう一方について細胞を選択し、これにより、CD3陰性かつCD56陽性かつCD38陰性である細胞を濃縮することを含む。
【0020】
任意の態様の一部において、本方法は、培養する工程に先立って、試料から濃縮NK細胞の集団を単離する工程を含み、該単離する工程は、(1)試料から、CD3陰性である細胞を選択して、第1選択集団を産生すること、(2)第1選択集団から、CD56陽性である細胞を選択して、第2選択集団を産生すること、および(3)第2選択集団から、CD38陰性である細胞を選択し、これにより、CD3陰性かつCD56陽性かつCD38陰性である細胞を濃縮することを含む。
【0021】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法が、本明細書において提供され、該方法は、ヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、濃縮NK細胞の集団は、CD3陰性かつCD16陽性である細胞を含み、培養する工程は、(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および(ii)組換えIL-2の存在下で、実行され、ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される。
【0022】
任意の態様の一部において、本方法は、培養する工程に先立って、試料から濃縮NK細胞の集団を単離する工程を含み、該単離する工程は、(1)(a)CD3陰性である細胞または(b)CD16陽性である細胞を選択し、これにより、第1選択集団を濃縮すること、および(2)第1濃縮選択集団から、(a)CD3陰性である細胞または(b)CD16陽性である細胞のうちのもう一方について細胞を選択し、これにより、CD3陰性かつCD16陽性である細胞を濃縮することを含む。いくつかの態様において、選択は、免疫親和性に基づく選択を含む。
【0023】
任意の態様の一部において、本方法は、培養する工程に先立って、試料から濃縮NK細胞の集団を単離する工程を含み、該単離する工程は、(1)試料から、CD3陰性である細胞を選択して、第1選択集団を産生すること、および(2)第1選択集団から、CD16陽性である細胞を選択し、これにより、CD3陰性かつCD16陽性である細胞を濃縮することを含む。いくつかの態様において、選択は、免疫親和性に基づく選択を含む。
【0024】
FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法が、本明細書において提供され、該方法は、ヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、濃縮NK細胞の集団は、CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性である細胞を含み、培養する工程は、(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および(ii)組換えIL-2の存在下で、実行され、ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される。
【0025】
任意の態様の一部において、本方法は、培養する工程に先立って、試料から濃縮NK細胞の集団を単離する工程を含み、該単離する工程は、(1)試料から、CD3陰性である細胞を選択して、第1選択集団を産生すること、(2)第1選択集団から、CD56陽性である細胞を選択して、第2選択集団を産生すること、(3)第2選択集団から、(a)NKG2A陰性である細胞または(b)CD161陰性である細胞について選択し、これにより、第3選択集団を濃縮すること、および(4)第3選択集団から、(a)NKG2A陰性である細胞または(b)CD161陰性である細胞のうちのもう一方について細胞を選択し、これにより、CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性である細胞を濃縮することを含む。いくつかの態様において、選択は、免疫親和性に基づく選択を含む。
【0026】
任意の態様の一部において、本方法は、培養する工程に先立って、試料から濃縮NK細胞の集団を単離する工程を含み、該単離する工程は、(1)試料から、CD3陰性である細胞を選択して、第1選択集団を産生すること、(2)第1選択集団から、CD56陽性である細胞を選択して、第2選択集団を産生すること、(3)第2選択集団から、NKG2A陰性である細胞を選択して、第3選択集団を産生すること、および(4)第3選択集団から、CD161陰性である細胞を選択して、CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性である細胞を濃縮することを含む。いくつかの態様において、選択は、免疫親和性に基づく選択を含む。
【0027】
任意の態様の一部において、本方法は、培養する工程に先立って、試料から濃縮NK細胞の集団を単離する工程を含み、該単離する工程は、(1)試料から、CD3陰性である細胞を選択して、第1選択集団を産生すること、(2)第1選択集団から、CD56陽性である細胞を選択して、第2選択集団を産生すること、(3)第2選択集団から、CD161陰性である細胞を選択して、第3選択集団を産生すること、および(4)第3選択集団から、NKG2A陰性である細胞を選択して、CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性である細胞を濃縮することを含む。いくつかの態様において、選択は、免疫親和性に基づく選択を含む。
【0028】
提供される態様のいずれかの一部において、試料は末梢血単核球(PBMC)を含む。提供される態様のいずれかの一部において、本方法は、培養する工程に先立って、ヒト対象から試料を採取する工程を含む。いくつかの態様において、ヒト対象はCMV血清陽性である。いくつかの態様において、ヒト対象はCD16 158V+NK細胞遺伝子型を有する。いくつかの態様において、試料はアフェレーシス試料または白血球アフェレーシス試料である。提供される態様のいずれかの一部において、濃縮NK細胞は、対象からの試料から前もって単離された凍結保存試料に由来する。
【0029】
提供される態様のいずれかの一部において、培養する工程は、(iii)初代ヒト末梢血単核球(PBMC)フィーダー細胞の存在下でさらに実行され、該PBMCフィーダー細胞は照射されている。任意の態様の一部において、培養する工程は、濃縮NK細胞の集団を照射221.AEHフィーダー細胞および照射PBMCフィーダー細胞と組み合わせてから実行される。いくつかのそのような態様において、PBMCフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比は、1:1または約1:1から、5:1または約5:1(両端の値を含む)である。提供される態様のいずれかの一部において、PBMCフィーダー細胞は対象にとって自家である。提供される態様のいずれかの一部において、培養する工程の少なくとも一部分は、PBMCフィーダー細胞のT細胞のうちの1つまたは複数の活性化を刺激することができる少なくとも1つの刺激作用物質の存在下で実行される。いくつかの態様において、刺激作用物質はTCR複合体のメンバーに特異的に結合し、任意で、該作用物質はCD3、任意でCD3イプシロンに特異的に結合する。いくつかの態様において、前記少なくとも1つの刺激作用物質は、抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの態様において、抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントはOKT3抗体または抗原結合フラグメントである。いくつかの態様において、抗CD3抗体または抗原結合フラグメントの濃度は、10ng/mLまたは約10ng/mLから、100ng/mLまたは約100ng/mLである。いくつかの態様において、抗CD3抗体または抗原結合フラグメントの濃度は50ng/mLまたは約50ng/mLである。提供される態様のいずれかの一部において、前記少なくとも1つの刺激作用物質は、培養する工程の開始時または照射PBMCフィーダー細胞と同時もしくはほぼ同時を始まりとして添加される。提供される態様のいずれかの一部において、PBMCフィーダー細胞は、培養する工程の少なくとも一部分の期間中、活性化される。
【0030】
提供される態様のいずれかの一部において、照射221.AEHフィーダー細胞対NK細胞の比は、1:1もしくは約1:1またはそれより大きい。提供される態様のいずれかの一部において、照射221.AEHフィーダー細胞対NK細胞の比は、1:1~5:1(両端の値を含む)である。提供される態様のいずれかの一部において、照射AEH.221フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比は、1:1~3:1(両端の値を含む)である。提供される態様のいずれかの一部において、照射AEH.221フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比は2.5:1または約2.5:1である。提供される態様のいずれかの一部において、照射AEH.221フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比は1:1または約1:1である。提供される態様のいずれかの一部において、PBMCフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比は5:1または約5:1である。
【0031】
任意のそのような態様の一部において、NK細胞は新しく単離されている、または凍結も解凍も受けていない。任意のそのような態様の一部において、NK細胞は凍結された後に解凍されている。
【0032】
提供される態様のいずれかの一部において、培養する工程の少なくとも一部分の期間中における組換えIL-2の濃度は10IU/mLまたは約10IU/mLから、500IU/mLまたは約500IU/mLである。提供される態様のいずれかの一部において、培養する工程の少なくとも一部分の期間中における組換えIL-2の濃度は、組換えIL-2、100IU/mLまたは約100IU/mLである。提供される態様のいずれかの一部において、組換えIL-2は、培養する工程の開始時またはほぼ開始時を始まりとして添加される。
【0033】
提供される態様のいずれかの一部において、本方法は、培養する工程の期間中、培養培地を1回または複数回交換することをさらに含む。提供される態様のいずれかの一部において、培養培地の交換は、培養する工程の開始後3~7日または約3~7日以内、任意で、培養する工程の開始から5日後または約5日後を始まりとして実行される。提供される態様のいずれかの一部において、培養培地の交換は、培養する工程の残りの継続期間にわたって、2または3日ごとに実行される。提供される態様のいずれかの一部において、培養培地の交換は、培養培地から前記少なくとも1つの刺激作用物質を低減させる、または除去する。提供される態様のいずれかの一部において、本方法は、培養培地の各交換時に、組換えIL-2を含有する新鮮培地を培養物に加えることを含む。任意のそのような態様の一部において、組換えIL-2は、10IU/mLまたは約10IU/mLから、500IU/mLまたは約500IU/mL(両端の値を含む)の濃度で加えられる。いくつかの態様において、組換えIL-2は、100IU/mLまたは約100IU/mLの組換えIL-2の濃度で加えられる。
【0034】
提供される態様のいずれかの一部において、濃縮NK細胞の集団は、少なくとも0.2×106もしくは少なくとも約0.2×106個の濃縮NK細胞、少なくとも1.0×106もしくは少なくとも約1.0×106個の濃縮NK細胞、または10×106もしくは約10×106個の濃縮NK細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、培養する工程の開始時の濃縮NK細胞の集団は、0.05×106または約0.05×106個の濃縮NK細胞/mLから、1.0×106または約1.0×106個の濃縮NK細胞/mLの濃度である。提供される態様のいずれかの一部において、培養する工程の開始時の濃縮NK細胞の集団は、0.05×106または約0.05×106個の濃縮NK細胞/mLから、0.5×106または約0.5×106個の濃縮NK細胞/mLの濃度である。提供される態様のいずれかの一部において、培養する工程の開始時の濃縮NK細胞の集団は、0.2×106または約0.2×106個の濃縮NK細胞/mLの濃度を含む。
【0035】
提供される態様のいずれかの一部において、培養する工程は、本方法が少なくとも2.50×108または少なくとも約2.50×108個のg-NK細胞の増大を達成する時点まで実行される。提供される態様のいずれかの一部において、培養する工程は、本方法が少なくとも5.0×108または少なくとも約5.0×108個のg-NK細胞の増大を達成する時点まで実行される。提供される態様のいずれかの一部において、培養する工程は、本方法が少なくとも1.0×109または少なくとも約1.0×109個のg-NK細胞の増大を達成するまで実行される。提供される態様のいずれかの一部において、培養する工程は、本方法が少なくとも5.0×109または少なくとも約5.0×109個のg-NK細胞の増大を達成する時点まで実行される。
【0036】
提供される態様のいずれかの一部において、培養する工程は、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または約5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または少なくとも5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または少なくとも約5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日間にわたって実行される。いくつかの態様において、培養する工程は14日、または約14日、または少なくとも14日、または少なくとも約14日間にわたって実行される。いくつかの態様において、培養する工程は21日、または約21日、または少なくとも21日、または少なくとも約21日間にわたって実行される。
【0037】
いくつかの態様において、本方法は、培養する工程の終了時に、培養する工程の開始時と比較して増加した数のg-NK細胞を産生する。任意のそのような態様の一部において、増加は、100倍超もしくは約100倍超、200倍超もしくは約200倍超、300倍超もしくは約300倍超、400倍超もしくは約400倍超、500倍超もしくは約500倍超、600倍超もしくは約600倍超、700倍超もしくは約700倍超、または800倍超もしくは約800倍超である。任意の態様の一部において、増加は1000倍または約1000倍である。任意の態様の一部において、増加は2000倍または約2000倍である。任意の態様の一部において、増加は2500倍または約2500倍である。
【0038】
提供される態様のいずれかの一部において、本明細書に提供される方法によって産生される増大されたg-NK細胞集団は培養する工程の後に収集される。
【0039】
提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞はFcRγnegである。いくつかのそのような態様において、g-NK細胞はさらにCD45pos/CD3neg/CD56posである。いくつかの態様において、g-NK細胞は表現型FcRγneg//CD45pos/CD3neg/CD56posを有する。
【0040】
提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞は、g-NK代用表面マーカープロファイルを有する細胞である。いくつかの態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。いくつかの態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはNKG2Aneg/CD161negである。任意のそのような態様の一部において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD38negである。任意のそのような態様の一部において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。特定の態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD45pos/CD3neg/CD56pos/CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを含む。別の特定態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD45pos/CD3neg/CD56pos/NKG2Aneg/CD161negを含む。別の特定態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD45pos/CD3neg/CD56pos/CD38negを含む。
【0041】
提供される態様のいずれかの一部において、本方法は、培養する工程の後に、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルを有する細胞の集団を、増大された細胞集団から精製または選択する工程を、さらに含む。任意のそのような態様の一部において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。任意のそのような態様の一部において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはNKG2Aneg/CD161negである。任意の態様の一部において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルは表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。
【0042】
提供される態様のいずれかの一部において、本方法は、増大されたg-NK細胞集団を薬学的に許容される賦形剤中に製剤化する工程を、さらに含む。提供される態様のいずれかの一部において、本方法は、凍結保護物質の存在下で細胞を凍結保存および/または製剤化する工程を、さらに含む。
【0043】
提供される方法のいずれかによって産生されたg-NK細胞を含む組成物も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、組成物は少なくとも108個または少なくとも約108個のg-NK細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物中のg-NK細胞の数は、108もしくは約108から、1012もしくは約1012個のg-NK細胞、108もしくは約108から、1011もしくは約1011個のg-NK細胞、108もしくは約108から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、108もしくは約108から、109もしくは約109個のg-NK細胞、109もしくは約109から、1012もしくは約1012個のg-NK細胞、109もしくは約109から、1011もしくは約1011個のg-NK細胞、109もしくは約109から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、1010もしくは約1010から、1012もしくは約1012個のg-NK細胞、1010もしくは約1010から、1011もしくは約1011個のg-NK細胞、または1011もしくは約1011から、1012もしくは約1012個のg-NK細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞はFcRγnegである。提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞は、g-NK代用表面マーカープロファイルを有する細胞である。いくつかの態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。いくつかの態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはNKG2Aneg/CD161negである。提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞またはg-NK代用マーカープロファイルを有する細胞は、表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD38negである。
【0044】
提供される方法のいずれかによって産生されたg-NK細胞を含む組成物も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、組成物は少なくとも106個または少なくとも約106個のg-NK細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は、106もしくは約106から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、106もしくは約106から、109もしくは約109個のg-NK細胞、106もしくは約106から、108もしくは約108個のg-NK細胞、106もしくは約106から、107もしくは約107個のg-NK細胞、107もしくは約107から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、107もしくは約107から、109もしくは約109個のg-NK細胞、107もしくは約107から、108もしくは約108個のg-NK細胞、108もしくは約108から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、108もしくは約108から、109もしくは約109個のg-NK細胞、または109もしくは約109から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞はFcRγnegである。提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞は、g-NK代用表面マーカープロファイルを有する細胞である。いくつかの態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。いくつかの態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはNKG2Aneg/CD161negである。提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞またはg-NK代用マーカープロファイルを有する細胞は、表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。
【0045】
ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットを含む組成物が、本明細書において提供され、該組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、または少なくとも90%もしくは少なくとも約90%が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する。ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットを含む組成物が、本明細書において提供され、該組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、または少なくとも90%もしくは少なくとも約90%が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negおよびNKG2Aneg/CD161negから選択されるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する。いくつかの態様では、組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む。いくつかの態様では、組成物中の細胞の少なくとも80%または少なくとも約80%が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む。いくつかの態様では、組成物中の細胞の少なくとも90%または少なくとも約90%が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む。
【0046】
ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットを含む組成物が、本明細書において提供され、該組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、または少なくとも90%もしくは少なくとも約90%が、NKG2Aneg/CD161negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が、NKG2Aneg/CD161negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも80%または少なくとも約80%が、NKG2Aneg/CD161negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも90%または少なくとも約90%が、NKG2Aneg/CD161negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む。
【0047】
ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットを含む組成物が、本明細書において提供され、該組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、または少なくとも90%もしくは少なくとも約90%が、CD38negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が、CD38negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも80%または少なくとも約80%が、CD38negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも90%または少なくとも約90%が、CD38negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む。いくつかの態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルは表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも60%または少なくとも約60%が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negおよびNKG2Aneg/CD161negから選択されるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negおよびNKG2Aneg/CD161negから選択されるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む。提供される態様のいずれかの一部では、g-NK細胞代用マーカープロファイルを含む細胞のうち、70%超がFcRγnegであり、任意で70%~90%または約70%~90%がFcRγnegである。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は少なくとも108または少なくとも約108個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は少なくとも106または少なくとも約106個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は、108もしくは約108から、1012もしくは約1012個の細胞、108もしくは約108から、1011もしくは約1011個の細胞、108もしくは約108から、1010もしくは約1010個の細胞、108もしくは約108から、109もしくは約109個の細胞、109もしくは約109から、1012もしくは約1012個の細胞、109もしくは約109から、1011もしくは約1011個の細胞、109もしくは約109から、1010もしくは約1010個の細胞、1010もしくは約1010から、1012もしくは約1012個の細胞、1010もしくは約1010から、1011もしくは約1011個の細胞、または1011もしくは約1011から、1012もしくは約1012個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は、106もしくは約106から、1010もしくは約1010個の細胞、106もしくは約106から、109もしくは約109個の細胞、106もしくは約106から、108もしくは約108個の細胞、106もしくは約106から、107もしくは約107個の細胞、107もしくは約107から、1010もしくは約1010個の細胞、107もしくは約107から、109もしくは約109個の細胞、107もしくは約107から、108もしくは約108個の細胞、108もしくは約108から、1010もしくは約1010個の細胞、108もしくは約108から、109もしくは約109個の細胞、または109もしくは約109から、1010もしくは約1010個の細胞を含む。
【0048】
提供される態様のいずれかの一部において、組成物中の細胞は、同じ試料から増大された、単一ドナー対象からのものである。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は薬学的に許容される賦形剤を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は凍結保護物質を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は無菌である。
【0049】
提供される組成物のいずれかと、疾患を処置するための追加の作用物質とを含む、キットが、本明細書において提供される。任意の態様の一部において、キットは、組成物と疾患または状態を処置するための追加の作用物質とを投与することに関する説明書を、さらに含む。
【0050】
提供される組成物のいずれかと、疾患を処置するための追加の作用物質との併用治療において前記組成物を投与することに関する説明書とを含む、キットが、本明細書において提供される。
【0051】
提供される態様のいずれかの一部において、追加の作用物質は抗体またはFc融合タンパク質である。任意のそのような態様の一部において、抗体は腫瘍関連抗原を認識するかまたはそれに特異的に結合する。任意のそのような態様の一部において、抗体は、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD52、CD56、CD70、CD74、CD140、EpCAM、CEA、gpA33、メソテリン、α-フェトプロテイン、ムチン、PDGFR-α、TAG-72、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、細胞分散因子(scatter factor)受容体キナーゼ、ガングリオシド、サイトケライン(cytokerain)、frizzled受容体、VEGF、VEGFR、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、EGFR、EGFL7、ERBB2(HER2)、ERBB3、フィブロネクチン、HGF、HER3、LOXL2、MET、IGF1R、IGLF2、EPHA3、FR-α、ホスファチジルセリン、シンデカン1、SLAMF7(CD319)、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、ビメンチン、またはテネイシンを認識するかまたはそれに結合する。任意のそのような態様の一部において、抗体は完全長抗体でありかつ/またはFcドメインを含む。
【0052】
提供される方法のいずれかの一部において、追加の作用物質は細胞毒性作用物質またはがん治療薬である。提供される態様のいずれかの一部において、追加の作用物質は腫瘍溶解性ウイルスである。
【0053】
提供される態様のいずれかのキットを含む製造品が本明細書において提供される。
【0054】
提供される組成物のいずれかを、それを必要とする個体に投与する工程を含む、疾患または状態を処置する方法が、本明細書において提供される。任意のそのような態様の一部において、本方法は、個体に1×105または約1×105個のNK細胞/kgから、1×107または約1×107個のNK細胞/kgを投与する工程を含む。任意のそのような態様の一部において、本方法は、個体に5×107または約5×107個のNK細胞から、10×109または約10×109個のNK細胞を投与する工程を含む。任意のそのような態様の一部において、本方法は、個体に1×108もしくは約1×108から、1×1010個の細胞/m2を投与する工程、または1×106もしくは約1×106から、1×1010個のNK細胞/kgを投与する工程を含む。
【0055】
提供される態様のいずれかの一部において、本方法は、疾患または状態を処置するために追加の作用物質を個体に投与する工程を、さらに含む。いくつかの態様において、追加の作用物質は、抗体またはFc融合タンパク質である。いくつかの態様において、疾患または状態はがんであり、抗体はがんに関連する腫瘍抗原を認識する。任意のそのような態様の一部において、抗体は、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD52、CD56、CD70、CD74、CD140、EpCAM、CEA、gpA33、メソテリン、α-フェトプロテイン、ムチン、PDGFR-α、TAG-72、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、細胞分散因子受容体キナーゼ、ガングリオシド、サイトケライン、frizzled受容体、VEGF、VEGFR、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、EGFR、EGFL7、ERBB2(HER2)、ERBB3、フィブロネクチン、HGF、HER3、LOXL2、MET、IGF1R、IGLF2、EPHA3、FR-α、ホスファチジルセリン、シンデカン1、SLAMF7(CD319)、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、ビメンチン、またはテネイシンを認識するかまたはそれに特異的に結合する。任意のそのような態様の一部において、抗体はFcドメインを含みかつ/または完全長抗体である。
【0056】
提供される態様のいずれかの一部において、本方法は、疾患または状態を処置するためにがん治療薬または細胞毒性作用物質を対象に投与する工程を、さらに含む。提供される方法のいずれかの一部において、追加の作用物質は腫瘍溶解性ウイルスである。
【0057】
提供される方法のいずれかの一部では、追加の作用物質と前記組成物とが逐次的に投与される。提供される態様のいずれかの一部では、追加の作用物質が前記組成物の投与に先だって投与される。提供される態様のいずれかの一部では、追加の作用物質と前記組成物とが同時に投与される。
【0058】
提供される態様のいずれかの一部において、疾患または状態は、炎症状態、感染症、およびがんからなる群より選択される。任意のそのような態様の一部において、疾患または状態は感染症であり、感染症はウイルス感染症または細菌感染症である。任意のそのような態様の一部において、疾患または状態はがんであり、がんは白血病、リンパ腫または骨髄腫である。任意のそのような態様の一部において、疾患または状態はがんであり、がんは固形腫瘍を含む。任意のそのような態様の一部において、感染症はウイルス感染症または細菌感染症である。任意のそのような態様の一部において、がんは白血病、リンパ腫または骨髄腫である。任意のそのような態様の一部において、がんは固形腫瘍を含む。
【0059】
提供される態様のいずれかの一部において、疾患または状態はがんであり、がんは、胃または胃食道接合部の腺癌、膀胱がん、乳がん、脳のがん、子宮頸がん、結腸直腸がん、内分泌/神経内分泌がん、頭頸部がん、消化管間質がん、骨巨細胞腫、腎がん、肝がん、肺がん、神経芽細胞腫、卵巣上皮/卵管/原発性腹膜がん、膵がん、前立腺がん、皮膚がん、および軟部組織癌の中から選択される。
【0060】
提供される態様のいずれかの一部において、個体はヒトである。提供される態様のいずれかの一部において、組成物中のNK細胞は個体にとって同種異系である。提供される態様のいずれかの一部において、組成物中のNK細胞は対象にとって自家である。
【0061】
CD16、CD57、CD7およびCD161またはNKG2AおよびCD161から選択される表面マーカーのパネルを検出するための複数の試薬を含むキットが、本明細書において提供される。
【0062】
NKG2AおよびCD161を含む表面マーカーのパネルを検出するための複数の試薬を含むキットが、本明細書において提供される。
【0063】
CD3、CD56、およびCD38を含む表面マーカーのパネルを検出するための複数の試薬を含むキットが、本明細書において提供される。
【0064】
提供される態様のいずれかの一部において、表面マーカーのパネルは、CD3、CD45、およびCD56を、さらに含む。提供される態様のいずれかの一部において、パネルはCD45をさらに含む。提供される態様のいずれかの一部において、複数の試薬のそれぞれは、表面マーカーのパネルのうちの1つのマーカーに特異的な結合分子である。いくつかの態様において、結合分子は抗体または抗原結合フラグメントである。いくつかの態様において、結合分子は検出可能に標識される。提供される態様のいずれかの一部において、キットは、細胞試料中のg-NK細胞の数を検出するための代用マーカーとしての表面マーカーのパネルの使用に関する説明を、さらに含む。
【0065】
提供されるキットのいずれかを使用して、ナチュラルキラー(NK)細胞を含む試料中のg-NK代用表面マーカープロファイルを検出する方法が、本明細書において提供される。
【0066】
試料中のg-NK代用表面マーカープロファイルを検出する方法が、本明細書において提供され、該方法は、(a)ナチュラルキラー(NK)細胞を含む試料を、CD16、CD57、CD7、およびCD161を含む表面マーカーのパネルを検出するための試薬と接触させる工程と、(b)表現型CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを有する、試料中の細胞の有無を検出する工程とを含む。
【0067】
試料中のg-NK代用表面マーカープロファイルを検出する方法が、本明細書において提供され、該方法は、(a)ナチュラルキラー(NK)細胞を含む試料を、CD16、CD57、CD7およびCD161またはNKG2AおよびCD161から選択される表面マーカーのパネルを検出するための試薬と接触させる工程と、(b)表現型CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negまたはNKG2Aneg/CD161negを有する、試料中の細胞の有無を検出する工程とを含む。試料中のg-NK代用表面マーカープロファイルを検出する方法が、本明細書において提供され、該方法は、(a)ナチュラルキラー(NK)細胞を含む試料を、NKG2AおよびCD161を含む表面マーカーのパネルを検出するための試薬と接触させる工程と、(b)表現型NKG2Aneg/CD161negを有する、試料中の細胞の有無を検出する工程とを含む。
【0068】
任意のそのような態様の一部では、表面マーカーのパネルがCD45、CD3、およびCD56をさらに含み、この場合、表現型はCD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。
【0069】
試料中のg-NK代用表面マーカープロファイルを検出する方法が、本明細書において提供され、該方法は、(a)ナチュラルキラー(NK)細胞を含む試料を、CD3、CD56、およびCD38を含む表面マーカーのパネルを検出するための試薬と接触させる工程と、(b)表現型CD38posCD56pos/CD38negを有する、試料中の細胞の有無を検出する工程とを含む。
【0070】
提供される態様のいずれかの一部において、複数の試薬のそれぞれは、表面マーカーのパネルのうちの1つのマーカーに特異的な結合分子である。提供される態様のいずれかの一部において、結合分子は抗体または抗原結合フラグメントである。提供される態様のいずれかの一部において、結合分子は検出可能に標識される。提供される態様のいずれかの一部において、検出はフローサイトメトリーによる。
[本発明1001]
FcRγ欠損NK細胞(g
-
NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、
(a)ヒト対象からの試料から、(i)CD3陰性かつCD57陽性(CD3
neg
CD57
pos
)である細胞、(ii)CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3
neg
CD56
pos
CD38
neg
)である細胞、(iii)CD3陰性(CD3
neg
)である細胞、(iv)CD3陰性(CD3
neg
)かつCD56陽性(CD3
neg
CD56
pos
)である細胞、(v)CD3陰性かつCD16陽性(CD3
neg
CD16
pos
)である細胞、または(vi)CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3
neg
CD56
pos
NKG2A
neg
CD161
neg
)である細胞を選択することを含む、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を単離する工程と、
(b)濃縮NK細胞の該集団を、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、培養する工程と
を含み、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
[本発明1002]
(a)ヒト対象からの試料から、(i)CD3陰性かつCD57陽性(CD3
neg
CD57
pos
)である細胞、(ii)CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3
neg
CD56
pos
CD38
neg
)である細胞、(iii)CD3陰性(CD3
neg
)である細胞、(iv)CD3陰性(CD3
neg
)かつCD56陽性(CD3
neg
CD56
pos
)である細胞、(v)CD3陰性かつCD16陽性(CD3
neg
CD16
pos
)である細胞、または(vi)CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3
neg
CD56
pos
NKG2A
neg
CD161
neg
)である細胞を選択することを含む、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を単離する工程と、
(b)濃縮NK細胞の該集団を、照射221.AEHフィーダー細胞および照射末梢血単核(PBMC)フィーダー細胞と組み合わせる工程であって、照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1であり、かつPBMCフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が、1:1または約1:1から、5:1または約5:1(両端の値を含む)であり、任意で、PBMCフィーダー細胞が、対象にとって自家である、該組み合わせる工程と、
(c)(b)の集団を、組換えIL-2および抗CD3抗体または抗原結合フラグメントの存在下で培養する工程であって、該培養する工程の開始から7日以内に、細胞培養培地を、組換えIL-2を含有する新鮮培地と交換し、かつ任意で、その後、該培養する工程の継続期間にわたって、細胞培養培地を、組換えIL-2を含有する新鮮培地と、2または3日ごとにさらに交換し、ここで該培養する工程により、増大されたg-NH細胞集団が産生される、該培養する工程と、
(d)該増大された細胞集団を収集する工程と
を含む、FcRγ欠損NK細胞(g
-
NK)を増大させるための方法。
[本発明1003]
(a)の前に、ヒト対象から試料を採取する、本発明1001または本発明1002の方法。
[本発明1004]
ヒト対象がCMV血清陽性である、本発明1001~1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
ヒト対象がCD16 158V+NK細胞遺伝子型を有する、本発明1001~1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
試料が、末梢血単核球(PBMC)であるか、または末梢血単核球(PBMC)を含む、本発明1001~1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
試料がアフェレーシス試料または白血球アフェレーシス試料である、本発明1001~1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記選択が、免疫親和性に基づく選択を含む、本発明1001~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
前記単離する工程が、(i)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性かつCD57陽性(CD3
neg
CD57
pos
)である細胞を選択することを含む、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記単離する工程が、(ii)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3
neg
CD56
pos
CD38
neg
)である細胞を選択することを含む、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記単離する工程が、(iii)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性(CD3
neg
)である細胞を選択することを含む、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記単離する工程が、(iv)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性(CD3
neg
)かつCD56陽性(CD3
neg
CD56
pos
)である細胞を選択することを含む、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1013]
前記単離する工程が、(v)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性かつCD16陽性(CD3
neg
CD16
pos
)である細胞を選択することを含む、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1014]
前記単離する工程が、(vi)を単離する工程であり、かつ試料から、CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3
neg
CD56
pos
NKG2A
neg
CD161
neg
)である細胞を選択することを含む、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1015]
(a)の後に、濃縮NK細胞の単離された前記集団を凍結保存し、(b)の前に、該濃縮NK細胞を含む凍結保存試料を解凍する、本発明1011~1014のいずれかの方法。
[本発明1016]
FcRγ欠損NK細胞(g
-
NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、
(a)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を取得する工程であって、濃縮NK細胞の該集団が、(i)CD3陰性かつCD57陽性(CD3
neg
CD57
pos
)である細胞、(ii)CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3
neg
CD56
pos
CD38
neg
)である細胞、(iii)CD3陰性(CD3
neg
)である細胞、(iv)CD3陰性(CD3
neg
)かつCD56陽性(CD3
neg
CD56
pos
)である細胞、(v)CD3陰性かつCD16陽性(CD3
neg
CD16
pos
)である細胞、または(vi)CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3
neg
CD56
pos
NKG2A
neg
CD161
neg
)である細胞から選択される表現型を含む、該取得する工程と、
(b)濃縮NK細胞の該集団を、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、培養する工程と
を含み、
ここで該方法により、g-NK細胞について濃縮されたNK細胞の、増大された集団が産生される、
該方法。
[本発明1017]
取得する工程が、濃縮NK細胞を含む凍結保存試料を解凍することを含む、本発明1016の方法。
[本発明1018]
濃縮NK細胞の前記集団が、(i)の集団であり、かつ、CD3陰性かつCD57陽性(CD3
neg
CD57
pos
)である細胞を含む、本発明1016または本発明1017の方法。
[本発明1019]
濃縮NK細胞の前記集団が、(ii)の集団であり、かつ、CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性(CD3
neg
CD56
pos
CD38
neg
)である細胞を含む、本発明1016または本発明1017の方法。
[本発明1020]
濃縮NK細胞の前記集団が、(iii)の集団であり、かつ、CD3陰性(CD3
neg
)である細胞を含む、本発明1016または本発明1017の方法。
[本発明1021]
濃縮NK細胞の前記集団が、(iv)の集団であり、かつ、CD3陰性(CD3
neg
)かつCD56陽性(CD3
neg
CD56
pos
)である細胞を含む、本発明1016または本発明1017の方法。
[本発明1022]
濃縮NK細胞の前記集団が、(v)の集団であり、かつ、CD3陰性かつCD16陽性(CD3
neg
CD16
pos
)である細胞を含む、本発明1016または本発明1017の方法。
[本発明1023]
濃縮NK細胞の前記集団が、(vi)の集団であり、かつ、CD3陰性(CD3
neg
)かつCD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性(CD3
neg
CD56
pos
NKG2A
neg
CD161
neg
)である細胞を含む、本発明1016または本発明1017の方法。
[本発明1024]
FcRγ欠損NK細胞(g
-
NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、ヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、
濃縮NK細胞の該集団は、CD3陰性かつCD57陽性である細胞を含み、
該培養する工程が、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、実行され、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
[本発明1025]
前記培養する工程に先立って、試料から、濃縮NK細胞の前記集団を単離し、
該単離が、
(1)(a)CD3陰性である細胞または(b)CD57陽性である細胞を選択し、これにより、第1選択集団を濃縮すること、および
(2)第1選択集団から、(a)CD3陰性である細胞または(b)CD57陽性である細胞のうちのもう一方について細胞を選択し、これにより、CD3陰性かつCD57陽性である細胞を濃縮すること
を含む、本発明1024の方法。
[本発明1026]
前記単離が、
(1)試料から、CD3陰性である細胞を選択して、第1選択集団を産生すること、および
(2)第1選択集団から、CD57陽性である細胞を選択して、CD3陰性かつCD57陽性である細胞を濃縮すること
を含む、本発明1009、本発明1024、または本発明1025の方法。
[本発明1027]
FcRγ欠損NK細胞(g
-
NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、ヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、
濃縮NK細胞の該集団は、CD3陰性、CD56陽性、かつCD38陰性である細胞を含み、
該培養する工程が、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、実行され、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
[本発明1028]
前記培養する工程に先立って、試料から、濃縮NK細胞の前記集団を単離し、
該単離が、
(1)CD3陰性である細胞を選択し、これにより、第1選択集団を濃縮すること、
(2)第1選択集団から、(a)CD56陽性である細胞または(b)CD38陰性である細胞を選択し、これにより、第2選択集団を濃縮すること、および
(3)第2選択集団から、(a)CD56陽性である細胞または(b)CD38陰性である細胞のうちのもう一方について細胞を選択し、これにより、CD3陰性かつCD56陽性かつCD38陰性である細胞を濃縮すること
を含む、本発明1027の方法。
[本発明1029]
前記単離が、
(1)試料から、CD3陰性である細胞を選択して、第1選択集団を産生すること、
(2)第1選択集団から、CD56陽性である細胞を選択して、第2選択集団を産生すること、および
(3)第2選択集団から、CD38陰性である細胞を選択して、CD3陰性かつCD56陽性かつCD38陰性である細胞を濃縮すること
を含む、本発明1010、本発明1027、または本発明1028の方法。
[本発明1030]
FcRγ欠損NK細胞(g
-
NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、ヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、
濃縮NK細胞の該集団は、CD3陰性かつCD16陽性である細胞を含み、
該培養する工程が、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、実行され、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
[本発明1031]
前記培養する工程に先立って、試料から、濃縮NK細胞の前記集団を単離し、
該単離が、
(1)(a)CD3陰性である細胞または(b)CD16陽性である細胞を選択し、これにより、第1選択集団を濃縮すること、および
(2)第1濃縮選択集団から、(a)CD3陰性である細胞または(b)CD16陽性である細胞のうちのもう一方について細胞を選択し、これにより、CD3陰性かつCD16陽性である細胞を濃縮すること
を含む、本発明1030の方法。
[本発明1032]
前記単離が、
(1)試料から、CD3陰性である細胞を選択して、第1選択集団を産生すること、および
(2)第1選択集団から、CD16陽性である細胞を選択して、CD3陰性かつCD16陽性である細胞を濃縮すること
を含む、本発明1013、本発明1030、または本発明1031の方法。
[本発明1033]
FcRγ欠損NK細胞(g
-
NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、ヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、
濃縮NK細胞の該集団は、CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性である細胞を含み、
該培養する工程が、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、実行され、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
[本発明1034]
前記培養する工程に先立って、試料から、濃縮NK細胞の前記集団を単離し、
該単離が、
(1)CD3陰性である細胞を選択し、これにより、第1選択集団を濃縮すること、
(2)第1選択集団から、CD56陽性である細胞を選択し、これにより、第2選択集団を濃縮すること、
(3)第2選択集団から、(a)NKG2A陰性である細胞または(b)CD161陰性である細胞について選択し、これにより、第3選択集団を濃縮すること、および
(4)第3選択集団から、(a)NKG2A陰性である細胞または(b)CD161陰性である細胞のうちのもう一方について細胞を選択し、これにより、CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性である細胞を濃縮すること
を含む、本発明1033の方法。
[本発明1035]
前記単離が、
(1)CD3陰性である細胞を選択して、第1選択集団を産生すること、
(2)第1選択集団から、CD56陽性である細胞を選択して、第2選択集団を産生すること、
(3)第2選択集団から、NKG2A陰性である細胞を選択して、第3選択集団を産生すること、および
(4)第3選択集団から、CD161陰性である細胞を選択して、CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性である細胞を濃縮すること
を含む、本発明1014、本発明1033、または本発明1034の方法。
[本発明1036]
前記単離が、
(1)CD3陰性である細胞を選択して、第1選択集団を産生すること、
(2)第1選択集団から、CD56陽性である細胞を選択して、第2選択集団を産生すること、
(3)第2選択集団から、CD161陰性である細胞を選択して、第3選択集団を産生すること、および
(4)第3選択集団から、NKG2A陰性である細胞を選択して、CD3陰性、CD56陽性、NKG2A陰性、かつCD161陰性である細胞を濃縮すること
を含む、本発明1014、本発明1033、または本発明1034の方法。
[本発明1037]
試料が、末梢血単核球(PBMC)であるか、または末梢血単核球(PBMC)を含む、本発明1024~1036のいずれかの方法。
[本発明1038]
前記培養する工程に先立って、ヒト対象から試料を採取する、本発明1024~1037のいずれかの方法。
[本発明1039]
ヒト対象がCMV血清陽性である、本発明1038の方法。
[本発明1040]
ヒト対象がCD16 158V+NK細胞遺伝子型を有する、本発明1038または本発明1039の方法。
[本発明1041]
試料がアフェレーシス試料または白血球アフェレーシス試料である、本発明1024~1040のいずれかの方法。
[本発明1042]
前記選択が、免疫親和性に基づく選択を含む、本発明1025、1026、1028、1029、1031、1032、1034、および1035~1041のいずれかの方法。
[本発明1043]
濃縮NK細胞が、対象からの試料から前もって単離された凍結保存試料に由来する、本発明1025~1042のいずれかの方法。
[本発明1044]
前記培養する工程が、(iii)初代ヒト末梢血単核球(PBMC)フィーダー細胞の存在下でさらに実行され、該PBMCフィーダー細胞は照射されている、本発明1001および1003~1043のいずれかの方法。
[本発明1045]
前記培養する工程に先立って、濃縮NK細胞の前記集団を、照射221.AEHフィーダー細胞および照射PBMCフィーダー細胞と組み合わせる、本発明1044の方法。
[本発明1046]
PBMCフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が、1:1または約1:1から、5:1または約5:1(両端の値を含む)である、本発明1044または本発明1045の方法。
[本発明1047]
PBMCフィーダー細胞が、対象にとって自家である、本発明1002および1044~1046のいずれかの方法。
[本発明1048]
前記培養する工程の少なくとも一部分が、
PBMCフィーダー細胞のT細胞のうちの1つまたは複数の活性化を刺激することができる、少なくとも1つの刺激作用物質
の存在下で、実行される、本発明1044~1047のいずれかの方法。
[本発明1049]
前記刺激作用物質が、TCR複合体のメンバーに特異的に結合し、任意で、前記作用物質が、CD3、任意でCD3イプシロンに特異的に結合する、本発明1048の方法。
[本発明1050]
前記少なくとも1つの刺激作用物質が、抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントである、本発明1048または本発明1049の方法。
[本発明1051]
抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントが、OKT3抗体または抗原結合フラグメントである、本発明1002または本発明1050の方法。
[本発明1052]
抗CD3抗体または抗原結合フラグメントの濃度が、10ng/mLまたは約10ng/mLから、100ng/mLまたは約100ng/mLである、本発明1002、本発明1050、または本発明1051の方法。
[本発明1053]
抗CD3抗体または抗原結合フラグメントの濃度が、50ng/mLまたは約50ng/mLである、本発明1002および1050~1052のいずれかの方法。
[本発明1054]
前記少なくとも1つの刺激作用物質が、前記培養する工程の開始時または照射PBMCフィーダー細胞と同時もしくはほぼ同時を始まりとして添加される、本発明1050~1053のいずれかの方法。
[本発明1055]
PBMCフィーダー細胞が、前記培養する工程の少なくとも一部分の期間中、活性化される、本発明1002および1044~1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
照射221.AEHフィーダー細胞対NK細胞の比が1:1もしくは約1:1またはそれより大きい、本発明1001~1055のいずれかの方法。
[本発明1057]
照射221.AEHフィーダー細胞対NK細胞の比が1:1~5:1(両端の値を含む)である、本発明1001~1056のいずれかの方法。
[本発明1058]
照射AEH.221フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:1~3:1(両端の値を含む)である、本発明1001~1057のいずれかの方法。
[本発明1059]
照射AEH.221フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が2.5:1または約2.5:1である、本発明1001~1058のいずれかの方法。
[本発明1060]
NK細胞が、新しく単離されている、または前もって凍結および解凍されていない、本発明1059の方法。
[本発明1061]
照射AEH.221フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:1または約1:1である、本発明1001~1058のいずれかの方法。
[本発明1062]
NK細胞が、凍結された後に解凍されている、本発明1061の方法。
[本発明1063]
PBMCフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が5:1または約5:1である、本発明1002および1044~1062のいずれかの方法。
[本発明1064]
前記培養する工程の少なくとも一部分の期間中における組換えIL-2の濃度が、10IU/mLまたは約10IU/mLから、500IU/mLまたは約500IU/mLである、本発明1001~1063のいずれかの方法。
[本発明1065]
前記培養する工程の少なくとも一部分の期間中における組換えIL-2の濃度が、
組換えIL-2、100IU/mLまたは約100IU/mL
である、本発明1001~1064のいずれかの方法。
[本発明1066]
組換えIL-2が、前記培養する工程の開始時またはほぼ開始時を始まりとして添加される、本発明1001~1065のいずれかの方法。
[本発明1067]
前記培養する工程の期間中、培養培地を1回または複数回交換することをさらに含む、本発明1001および1003~1066のいずれかの方法。
[本発明1068]
培養培地の前記交換が、前記培養する工程の開始後3~7日または約3~7日以内、任意で、前記培養する工程の開始から5日後または約5日後を始まりとして実行される、本発明1002または本発明1045の方法。
[本発明1069]
培養培地の前記交換が、前記培養する工程の残りの継続期間にわたって、2または3日ごとに実行される、本発明1068の方法。
[本発明1070]
培養培地の前記交換が、培養培地から前記少なくとも1つの刺激作用物質を低減させる、または除去する、本発明1002および1067~1069のいずれかの方法。
[本発明1071]
培養培地の各交換時に、組換えIL-2を含有する新鮮培地が培養物に加えられる、本発明1067~1070のいずれかの方法。
[本発明1072]
組換えIL-2が、10IU/mLまたは約10IU/mLから、500IU/mLまたは約500IU/mL(両端の値を含む)の濃度で加えられる、本発明1002および1071のいずれかの方法。
[本発明1073]
組換えIL-2が、100IU/mLまたは約100IU/mLの組換えIL-2の濃度で加えられる、本発明1002、本発明1071、または本発明1072の方法。
[本発明1074]
濃縮NK細胞の前記集団が、少なくとも0.2×10
6
もしくは少なくとも約0.2×10
6
個の濃縮NK細胞、少なくとも1.0×10
6
もしくは少なくとも約1.0×10
6
個の濃縮NK細胞、または10×10
6
もしくは約10×10
6
個の濃縮NK細胞を含む、本発明1001~1073のいずれかの方法。
[本発明1075]
前記培養する工程の開始時の濃縮NK細胞の前記集団が、0.05×10
6
または約0.05×10
6
個の濃縮NK細胞/mLから、1.0×10
6
または約1.0×10
6
個の濃縮NK細胞/mLの濃度である、本発明1001~1074のいずれかの方法。
[本発明1076]
前記培養する工程の開始時の濃縮NK細胞の前記集団が、0.05×10
6
または約0.05×10
6
個の濃縮NK細胞/mLから、0.5×10
6
または約0.5×10
6
個の濃縮NK細胞/mLの濃度である、本発明1001~1075のいずれかの方法。
[本発明1077]
前記培養する工程の開始時の濃縮NK細胞の前記集団が、0.2×10
6
または約0.2×10
6
個の濃縮NK細胞/mLの濃度を含む、本発明1001~1076のいずれかの方法。
[本発明1078]
前記培養する工程が、前記方法によって少なくとも2.50×10
8
または少なくとも約2.50×10
8
個のg-NK細胞の増大が達成される時点まで実行される、本発明1001~1077のいずれかの方法。
[本発明1079]
前記培養する工程が、前記方法によって少なくとも5.00×10
8
または少なくとも約5.00×10
8
個のg-NK細胞の増大が達成される時点まで実行される、本発明1001~1078のいずれかの方法。
[本発明1080]
前記培養する工程が、前記方法によって少なくとも1.0×10
9
または少なくとも約1.0×10
9
個のg-NK細胞の増大が達成される時点まで実行される、本発明1001~1079のいずれかの方法。
[本発明1081]
前記培養する工程が、前記方法によって少なくとも5.0×10
9
または少なくとも約5.0×10
9
個のg-NK細胞の増大が達成される時点まで実行される、本発明1001~1080のいずれかの方法。
[本発明1082]
前記培養する工程が、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または約5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または少なくとも5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または少なくとも約5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日間にわたって実行される、本発明1001~1081のいずれかの方法。
[本発明1083]
前記培養する工程が14日、または約14日、または少なくとも14日、または少なくとも約14日間にわたって実行される、本発明1001~1082のいずれかの方法。
[本発明1084]
前記培養する工程が21日、または約21日、または少なくとも21日、または少なくとも約21日間にわたって実行される、本発明1001~1082のいずれかの方法。
[本発明1085]
前記培養する工程の終了時に、前記培養する工程の開始時と比較して増加した数のg-NK細胞を産生する、本発明1001~1084のいずれかの方法。
[本発明1086]
前記増加が、100倍超もしくは約100倍超、200倍超もしくは約200倍超、300倍超もしくは約300倍超、400倍超もしくは約400倍超、500倍超もしくは約500倍超、600倍超もしくは約600倍超、700倍超もしくは約700倍超、または800倍超もしくは約800倍超である、本発明1085の方法。
[本発明1087]
前記増加が、1000倍超または約1000倍超である、本発明1085の方法。
[本発明1088]
前記培養する工程の後に、前記方法によって産生された、増大されたg-NK細胞集団を収集する、本発明1001~1087のいずれかの方法。
[本発明1089]
g-NK細胞がFcRγ
neg
である、本発明1001~1088のいずれかの方法。
[本発明1090]
g-NK細胞がさらにCD45
pos
/CD3
neg
/CD56
pos
である、本発明1089の方法。
[本発明1091]
g-NK細胞が、g-NK代用表面マーカープロファイルを有する細胞である、本発明1001~1090のいずれかの方法。
[本発明1092]
前記増大された細胞集団から、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルを有する細胞の集団を精製または選択する工程をさらに含む、本発明1001~1091のいずれかの方法。
[本発明1093]
g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがCD16
pos
/CD57
pos
/CD7
dim/neg
/CD161
neg
である、本発明1091または本発明1092の方法。
[本発明1094]
g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがNKG2A
neg
/CD161
neg
である、本発明1091または本発明1092の方法。
[本発明1095]
g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがCD38
neg
である、本発明1091または本発明1092の方法。
[本発明1096]
g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがさらにCD45
pos
/CD3
neg
/CD56
pos
である、本発明1093~1095のいずれかの方法。
[本発明1097]
前記増大されたg-NK細胞集団を、薬学的に許容される賦形剤中に製剤化する工程をさらに含む、本発明1001~1096のいずれかの方法。
[本発明1098]
凍結保護物質の存在下で細胞を凍結保存および/または製剤化する工程をさらに含む、本発明1097の方法。
[本発明1099]
本発明1001~1098のいずれかの方法によって産生されたg-NK細胞を含む、組成物。
[本発明1100]
少なくとも10
8
または少なくとも約10
8
個のg-NK細胞を含む、本発明1099の組成物。
[本発明1101]
組成物中のg-NK細胞の数が、10
8
もしくは約10
8
から、10
12
もしくは約10
12
個の細胞、10
8
もしくは約10
8
から、10
11
もしくは約10
11
個の細胞、10
8
もしくは約10
8
から、10
10
もしくは約10
10
個の細胞、10
8
もしくは約10
8
から、10
9
もしくは約10
9
個の細胞、10
9
もしくは約10
9
から、10
12
もしくは約10
12
個の細胞、10
9
もしくは約10
9
から、10
11
もしくは約10
11
個の細胞、10
9
もしくは約10
9
から、10
10
もしくは約10
10
個の細胞、10
10
もしくは約10
10
から、10
12
もしくは約10
12
個の細胞、10
10
もしくは約10
10
から、10
11
もしくは約10
11
個の細胞、または10
11
もしくは約10
11
から、10
12
もしくは約10
12
個の細胞である、本発明1099または本発明1100の組成物。
[本発明1102]
g-NK細胞がFcRγ
neg
である、本発明1099~1101のいずれかの組成物。
[本発明1103]
g-NK細胞がさらにCD45
pos
/CD3
neg
/CD56
pos
である、本発明1102の組成物。
[本発明1104]
g-NK細胞が、g-NK代用表面マーカープロファイルを有する細胞である、本発明1099~1101のいずれかの組成物。
[本発明1105]
g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがCD16
pos
/CD57
pos
/CD7
dim/neg
/CD161
neg
である、本発明1104の組成物。
[本発明1106]
g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがNKG2A
neg
/CD161
neg
である、本発明1104の組成物。
[本発明1107]
g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがCD38
neg
である、本発明1104の組成物。
[本発明1108]
ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットを含む組成物であって、
該組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、または少なくとも90%もしくは少なくとも約90%が、CD16
pos
/CD57
pos
/CD7
dim/neg
/CD161
neg
であるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する、
該組成物。
[本発明1109]
前記組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が、CD16
pos
/CD57
pos
/CD7
dim/neg
/CD161
neg
であるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む、本発明1108の組成物。
[本発明1110]
前記組成物中の細胞の少なくとも80%または少なくとも約80%が、CD16
pos
/CD57
pos
/CD7
dim/neg
/CD161
neg
であるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む、本発明1108の組成物。
[本発明1111]
前記組成物中の細胞の少なくとも90%または少なくとも約90%が、CD16
pos
/CD57
pos
/CD7
dim/neg
/CD161
neg
であるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む、本発明1108の組成物。
[本発明1112]
ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットを含む組成物であって、
該組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、または少なくとも90%もしくは少なくとも約90%が、NKG2A
neg
/CD161
neg
であるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する、
該組成物。
[本発明1113]
前記組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が、NKG2A
neg
/CD161
neg
であるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む、本発明1112の組成物。
[本発明1114]
前記組成物中の細胞の少なくとも80%または少なくとも約80%が、NKG2A
neg
/CD161
neg
であるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む、本発明1112の組成物。
[本発明1115]
前記組成物中の細胞の少なくとも90%または少なくとも約90%が、NKG2A
neg
/CD161
neg
であるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む、本発明1112の組成物。
[本発明1116]
ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットを含む組成物であって、
該組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、または少なくとも90%もしくは少なくとも約90%が、CD38
neg
であるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する、
該組成物。
[本発明1117]
前記組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が、CD38
neg
であるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む、本発明1116の組成物。
[本発明1118]
前記組成物中の細胞の少なくとも80%または少なくとも約80%が、CD38
neg
であるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む、本発明1116の組成物。
[本発明1119]
前記組成物中の細胞の少なくとも90%または少なくとも約90%が、CD38
neg
であるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む、本発明1116の組成物。
[本発明1120]
g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがCD45
pos
/CD3
neg
/CD56
pos
をさらに含む、本発明1105~1119のいずれかの組成物。
[本発明1121]
g-NK細胞代用マーカープロファイルを含む細胞のうち、70%超がFcRγ
neg
であり、任意で70%~90%または約70%~90%がFcRγ
neg
である、本発明1104~1120のいずれかの組成物。
[本発明1122]
少なくとも10
8
または少なくとも約10
8
個の細胞を含む、本発明1108~1121のいずれかの組成物。
[本発明1123]
前記組成物中のg-NK細胞の数が、10
8
もしくは約10
8
から、10
12
もしくは約10
12
個の細胞、10
8
もしくは約10
8
から、10
11
もしくは約10
11
個の細胞、10
8
もしくは約10
8
から、10
10
もしくは約10
10
個の細胞、10
8
もしくは約10
8
から、10
9
もしくは約10
9
個の細胞、10
9
もしくは約10
9
から、10
12
もしくは約10
12
個の細胞、10
9
もしくは約10
9
から、10
11
もしくは約10
11
個の細胞、10
9
もしくは約10
9
から、10
10
もしくは約10
10
個の細胞、10
10
もしくは約10
10
から、10
12
もしくは約10
12
個の細胞、10
10
もしくは約10
10
から、10
11
もしくは約10
11
個の細胞、または10
11
もしくは約10
11
から、10
12
もしくは約10
12
個の細胞である、本発明1108~1122のいずれかの組成物。
[本発明1124]
前記組成物中の細胞が、同じ試料から増大された、単一ドナー対象からのものである、本発明1099~1123のいずれかの組成物。
[本発明1125]
薬学的に許容される賦形剤を含む、本発明1099~1124のいずれかの組成物。
[本発明1126]
凍結保護物質を含む、本発明1099~1125のいずれかの組成物。
[本発明1127]
無菌である、本発明1099~1126のいずれかの組成物。
[本発明1128]
本発明1099~1127のいずれかの組成物と、疾患を処置するための追加の作用物質とを含む、キット。
[本発明1129]
前記組成物と、疾患または状態を処置するための追加の作用物質とを投与することに関する、説明書
をさらに含む、本発明1128のキット。
[本発明1130]
本発明1099~1127のいずれかの組成物と、
該組成物を、疾患を処置するための追加の作用物質との併用治療において投与することに関する、説明書と
を含む、キット。
[本発明1131]
前記追加の作用物質が、抗体またはFc融合タンパク質である、本発明1128~1130のいずれかのキット。
[本発明1132]
前記抗体が、腫瘍関連抗原を認識するかまたはそれに特異的に結合する、本発明1131のキット。
[本発明1133]
前記抗体が、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD52、CD56、CD70、CD74、CD140、EpCAM、CEA、gpA33、メソテリン、α-フェトプロテイン、ムチン、PDGFR-α、TAG-72、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、細胞分散因子(scatter factor)受容体キナーゼ、ガングリオシド、サイトケライン(cytokerain)、frizzled受容体、VEGF、VEGFR、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、EGFR、EGFL7、ERBB2(HER2)、ERBB3、フィブロネクチン、HGF、HER3、LOXL2、MET、IGF1R、IGLF2、EPHA3、FR-α、ホスファチジルセリン、シンデカン1、SLAMF7(CD319)、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、ビメンチン、またはテネイシンを認識するかまたはそれに結合する、本発明1131または本発明1132のキット。
[本発明1134]
前記抗体が、完全長抗体でありかつ/またはFcドメインを含む、本発明1131~1133のいずれかのキット。
[本発明1135]
細胞毒性作用物質またはがん治療薬である追加の作用物質をさらに含む、本発明1131~1134のいずれかのキット。
[本発明1136]
前記追加の作用物質が、細胞毒性作用物質またはがん治療薬である、本発明1128~1130のいずれかのキット。
[本発明1137]
前記追加の作用物質が、腫瘍溶解性ウイルスである、本発明1128~1130のいずれかのキット。
[本発明1138]
本発明1128~1137のいずれかのキットを含む、製造品。
[本発明1139]
本発明1099~1127のいずれかの組成物を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、疾患または状態を処置する方法。
[本発明1140]
1×10
5
または約1×10
5
個のNK細胞/kgから、1×10
7
または約1×10
7
個のNK細胞/kgを、個体に投与する工程を含む、本発明1139の方法。
[本発明1141]
5×10
7
または約5×10
7
個のNK細胞から、10×10
9
または約10×10
9
個のNK細胞を、個体に投与する工程を含む、本発明1139の方法。
[本発明1142]
前記疾患または状態を処置するために追加の作用物質を個体に投与する工程をさらに含む、本発明1139~1141のいずれかの方法。
[本発明1143]
前記追加の作用物質が、抗体またはFc融合タンパク質である、本発明1142の方法。
[本発明1144]
前記疾患または状態が、がんであり、かつ前記抗体が、がんに関連する腫瘍抗原を認識する、本発明1143の方法。
[本発明1145]
前記抗体が、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD52、CD56、CD70、CD74、CD140、EpCAM、CEA、gpA33、メソテリン、α-フェトプロテイン、ムチン、PDGFR-α、TAG-72、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、細胞分散因子受容体キナーゼ、ガングリオシド、サイトケライン、frizzled受容体、VEGF、VEGFR、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、EGFR、EGFL7、ERBB2(HER2)、ERBB3、フィブロネクチン、HGF、HER3、LOXL2、MET、IGF1R、IGLF2、EPHA3、FR-α、ホスファチジルセリン、シンデカン1、SLAMF7(CD319)、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、ビメンチン、またはテネイシンを認識するかまたはそれに特異的に結合する、本発明1143または本発明1144の方法。
[本発明1146]
前記抗体が、Fcドメインを含みかつ/または完全長抗体である、本発明1143~1145のいずれかの方法。
[本発明1147]
前記疾患または状態を処置するためにがん治療薬または細胞毒性作用物質を対象に投与する工程をさらに含む、本発明1143~1146のいずれかの方法。
[本発明1148]
前記追加の作用物質が、腫瘍溶解性ウイルスである、本発明1142の方法。
[本発明1149]
前記疾患または状態が、炎症状態、感染症、およびがんからなる群より選択される、本発明1142~1148のいずれかの方法。
[本発明1150]
前記疾患または状態が、感染症であり、かつ該感染症がウイルス感染症または細菌感染症である、本発明1149の方法。
[本発明1151]
前記疾患または状態が、がんであり、かつ該がんが白血病、リンパ腫、または骨髄腫である、本発明1149の方法。
[本発明1152]
前記疾患または状態が、がんであり、かつ該がんが固形腫瘍を含む、本発明1149の方法。
[本発明1153]
前記疾患または状態が、がんであり、かつ該がんが、胃または胃食道接合部の腺癌、膀胱がん、乳がん、脳のがん、子宮頸がん、結腸直腸がん、内分泌/神経内分泌がん、頭頸部がん、消化管間質がん、骨巨細胞腫、腎がん、肝がん、肺がん、神経芽細胞腫、卵巣上皮/卵管/原発性腹膜がん、膵がん、前立腺がん、皮膚がん、および軟部組織癌の中から選択される、本発明1149または本発明1152の方法。
[本発明1154]
個体がヒトである、本発明1139~1153のいずれかの方法。
[本発明1155]
前記組成物中のNK細胞が、個体にとって同種異系である、本発明1139~1154のいずれかの方法。
[本発明1156]
前記組成物中のNK細胞が、対象にとって自家である、本発明1139~1154のいずれかの方法。
[本発明1157]
CD16、CD57、CD7、およびCD161を含む表面マーカーのパネルを検出するための複数の試薬を含む、キット。
[本発明1158]
NKG2AおよびCD161を含む表面マーカーのパネルを検出するための複数の試薬を含む、キット。
[本発明1159]
表面マーカーの前記パネルが、CD3、CD45、およびCD56をさらに含む、本発明1157または本発明1158のキット。
[本発明1160]
CD3、CD56、およびCD38を含む表面マーカーのパネルを検出するための複数の試薬を含む、キット。
[本発明1161]
前記パネルがCD45をさらに含む、本発明1160のキット。
[本発明1162]
前記複数の試薬のそれぞれが、表面マーカーの前記パネルのうちの1つのマーカーに特異的な結合分子である、本発明1157~1161のいずれかのキット。
[本発明1163]
前記結合分子が、抗体または抗原結合フラグメントである、本発明1162のキット。
[本発明1164]
前記結合分子が、検出可能に標識されている、本発明1162または本発明1163のキット。
[本発明1165]
細胞試料中のg-NK細胞の数を検出するための代用マーカーとしての表面マーカーの前記パネルの使用に関する説明書をさらに含む、本発明1157~1164のいずれかのキット。
[本発明1166]
本発明1157~1165のいずれかのキットを使用して、ナチュラルキラー(NK)細胞を含む試料中のg-NK代用表面マーカープロファイルを検出する方法。
[本発明1167]
(a)ナチュラルキラー(NK)細胞を含む試料を、CD16、CD57、CD7、およびCD161を含む表面マーカーのパネルを検出するための試薬と接触させる工程と、
(b)表現型CD16
pos
/CD57
pos
/CD7
dim/neg
/CD161
neg
を有する、試料中の細胞の有無を検出する工程と
を含む、試料中のg-NK代用表面マーカープロファイルを検出する方法。
[本発明1168]
(a)ナチュラルキラー(NK)細胞を含む試料を、NKG2AおよびCD161を含む表面マーカーのパネルを検出するための試薬と接触させる工程と、
(b)表現型NKG2A
neg
/CD161
neg
を有する、試料中の細胞の有無を検出する工程と
を含む、試料中のg-NK代用表面マーカープロファイルを検出する方法。
[本発明1169]
表面マーカーの前記パネルがCD45、CD3、およびCD56をさらに含み、かつ表現型がCD45
pos
/CD3
neg
/CD56
pos
をさらに含む、本発明1267または本発明1168の方法。
[本発明1170]
(a)ナチュラルキラー(NK)細胞を含む試料を、CD3、CD56、およびCD38を含む表面マーカーのパネルを検出するための試薬と接触させる工程と、
(b)表現型CD38
neg
/CD56
pos
/CD38
neg
を有する、試料中の細胞の有無を検出する工程と
を含む、試料中のg-NK代用表面マーカープロファイルを検出する方法。
[本発明1171]
前記複数の試薬のそれぞれが、表面マーカーの前記パネルのうちの1つのマーカーに特異的な結合分子である、本発明1167~1170のいずれかの方法。
[本発明1172]
前記結合分子が、抗体または抗原結合フラグメントである、本発明1171の方法。
[本発明1173]
前記結合分子が、検出可能に標識されている、本発明1171または本発明1172の方法。
[本発明1174]
前記検出がフローサイトメトリーによる、本発明1167~1173のいずれかの方法。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】
図1は、代用細胞外表面表現型CD45
pos/CD3
neg/CD56
pos/CD16
pos/CD57
pos/CD7
dim/neg/CD161
negまたはCD45
pos/CD3
neg/CD56
pos/NKG2A
neg/CD161
negのどちらか一方を有する細胞サブセット内のg-NK(CD45
pos/CD3
neg/CD56
pos/FcRγ
neg)のパーセンテージを表している。値は平均±標準誤差である。
【
図2A】
図2Aは、実施例2に記載するような、CD3枯渇とそれに続くCD57濃縮を伴う例示的増大プロトコールのフロー図である。この概略図では、増大相中に、照射221.AEH細胞だけでなく、照射PBMCもフィーダー細胞として含めることができる。
【
図2B】
図2Bおよび2Cは、CMV+ドナーからの末梢血単核球から単離された濃縮NK細胞からのg-NKの増大を表している。示されている結果は全て、さまざまな方法で濃縮された新鮮NK細胞からの14日間の増大によるものである。ただし、CD3枯渇によって濃縮された解凍NK細胞は例外で、21日間の増大が実行された。
図2Bは、実施例2に記載のさまざまな方法による増大後のg-NK細胞の総数を表している。
図2Cは、実施例2に記載のさまざまな方法による増大の前および後のg-NK細胞のパーセンテージを表している。値は平均±標準誤差である。
【
図2D】
図2Dおよび2Eは、CMV+ドナーからの末梢血単核球から単離された濃縮NK細胞からのg-NKの増大を表している。示されている結果は全て、さまざまな方法で濃縮された新鮮NK細胞またはCD3枯渇によって濃縮された解凍NK細胞の14日間の増大によるものである。
図2Dは、実施例2に記載のさまざまな方法による増大後のg-NK細胞の総数を表している。
図2Eは、実施例2に記載のさまざまな方法による増大の前および後のg-NK細胞のパーセンテージを表している。値は平均±標準誤差である。
【
図3】
図3は、CD3
negCD57
posNK細胞の濃縮を伴う実施例2記載の方法または代替法によって増大されたNK細胞の、221.AEH細胞株およびK562細胞株(n=8)に対するNK細胞の細胞傷害活性(5:1のNK細胞対標的比)を表している。値は平均±標準誤差である。
【
図4】
図4Aおよび4Bは、リンパ腫細胞株RAJIに対する、抗CD20抗体(リツキシマブ)と組み合わされたg-NK細胞のADCC活性を通常型(conventional)NK細胞と比較して表している。
図4Aは、高g-NKであるドナー中の濃縮CD3
negCD57
pos細胞から出発するプロセスによって増大されたg-NK細胞のADCC活性を、g-NK比率が低いドナーと比較して示している(n=4)。
図4Bは、同じドナー(n=4)からの新鮮NK細胞または前もって凍結(および解凍)されたNK細胞から増大されたg-NK細胞、通常型NK細胞(cNK)およびNKG2C
pos(適応型)NK細胞のADCC(1:1のNK細胞対標的比)活性を示している。値は平均±標準誤差である。
【
図5A】
図5Aおよび5Bは、g-NK細胞のADCC活性を、通常型(cNK)NK細胞と比較して表している。
図5Aは、乳がん細胞株SKBR3に対する、抗HER2(トラスツズマブ)と組み合わされたg-NK細胞およびcNK細胞のADCC活性を示している。
図5Bは、頭頸部がん細胞株CAL27に対する、抗EGFR(セツキシマブ)と組み合わされたg-NK細胞およびcNK細胞のADCC活性を示している。値は平均±SEである。
【
図6A】
図6A~6Cは、g-NK細胞のADCC活性を通常型NK細胞(cNK)と比較して表している。
図6Aは、結腸直腸がん細胞株HT29に対する、抗EGFR(セツキシマブ)と組み合わされたg-NK細胞およびcNK細胞のADCC活性を示している。
図6Bは、結腸直腸がん細胞株SW480に対する、抗EGFR(セツキシマブ)と組み合わされたg-NK細胞およびcNK細胞のADCC活性を示している。
図6Cは、肺がん細胞株A549に対する、抗EGFR(セツキシマブ)と組み合わされたg-NK細胞およびcNK細胞のADCC活性を示している。値は平均±SEである。
【
図7A】
図7A~7Cは、1×10
7個のg-NK細胞またはcNK細胞を注入した後の、NSGマウスにおけるg-NK(新鮮または凍結)およびcNK(凍結)の持続性を表している。
図7Aは、注入後5、8、14、15および22日目にNSGマウスの全血中に存在するヒトNK細胞の数を示している。
図7Bは、NK細胞注入の22日後にNSGマウスの脾臓中に存在するヒトNK細胞の数を示している。
図7Cは、NK細胞注入の22日後にNSGマウスの骨髄中に存在するヒトNK細胞の数を示している。3つのアーム(arm)はいずれもN=3である。値は平均±SEである。
【
図8A】
図8Aおよび8Bは、リンパ腫の異種移植片モデルにおける腫瘍量および生存率に対するg-NKおよびリツキシマブの効果を表している。
図8Aは、NSGマウスにおいて生物ルミネセンス(BLI)によって測定されるRaji腫瘍量に対するg-NKおよびリツキシマブによる処置の効果(リツキシマブ+g-NK)を、無処置のマウスまたはリツキシマブのみで処置したマウスとの比較で示している。値は平均±SEである。
図8Bは、Raji接種NSGマウスにおける生存率に対するg-NKおよびリツキシマブによる処置の効果(リツキシマブ+g-NK)を、無処置のマウスまたはリツキシマブのみで処置したマウスとの比較で示している。どのアームもN=8である。
【
図9A】
図9Aおよび9Bは、g-NK細胞のADCC活性を通常型NK細胞(cNK)と比較して表している。
図9Aは、多発性骨髄腫細胞株MM.1S(n=16)に対する、抗CD38(ダラツムマブ;Dara)または抗SLAMF7(エロツズマブ;Elo)と組み合わされた新鮮単離g-NK細胞およびcNK細胞のADCC活性を示している。
図9Bは、多発性骨髄腫細胞株MM.1S(n=5)に対する、抗CD38(ダラツムマブ;Dara)または抗SLAMF7(エロツズマブ;Elo)と組み合わされた増大されたg-NK細胞およびcNK細胞のADCC活性を示している。値は平均±SEである。
【
図10】
図10Aおよび10Bは、多発性骨髄腫の異種移植片モデルにおける、ダラツムマブ(Dara)およびエロトズマブ(elotozumab)(Elo)のインビボでの効力に対するg-NKの効果を表している。
図10Aは、NSGマウスにおけるMM.1S腫瘍量(BLI)に対するg-NKおよびダラツムマブによる処置の効果(Dara+g-NK)を、無処置のマウスまたはcNKおよびダラツムマブ(Dara+cNK)、Daraのみ、ビヒクル、もしくはg-NKのみで処置されたマウスとの比較で示している。
図10Bは、NSGマウスにおけるMM.1S腫瘍量(BLI)に対するg-NKおよびエロツズマブによる処置の効果(Elo+g-NK)を、無処置のマウスまたはcNKおよびエロツズマブ(Elo+cNK)、Eloのみ、ビヒクル、もしくはg-NKのみで処置されたマウスとの比較で示している。どのアームもN=6である。値は平均±SEである。
【
図11】
図11Aおよび11Bは、ダラツムマブ(Dara)またはエロツズマブ(Elo)で処置されたMM.1S接種NSGマウスの生存率に対するg-NKの効果を表している。
図11Aは、MM.1S接種NSGマウスにおける生存率に対するg-NKおよびダラツムマブによる処置の効果(Dara+g-NK)を、無処置のマウスまたはcNKおよびダラツムマブ(Dara+cNK)、Daraのみ、ビヒクル、もしくはg-NKのみで処置されたマウスとの比較で示している。
図11Bは、MM.1S接種NSGマウスにおける生存率に対するg-NKおよびエロツズマブによる処置の効果(Elo+g-NK)を、無処置のマウスまたはcNKおよびエロツズマブ(Elo+cNK)、Eloのみ、ビヒクル、もしくはg-NKのみで処置されたマウスとの比較で示している。どのアームもN=6である。
【
図12A】
図12A~12Cは、多発性骨髄腫の異種移植片モデルにおいて、ダラツムマブ(dara)またはエロツズマブ(elo)と組み合わせた場合の、g-NKおよびcNKの持続性ならびに骨髄および脾臓へのホーミングを表している。
図12Aは、ダラツムマブまたはエロツズマブで処置されたMM.1S接種NSGマウスの脾臓におけるg-NKおよびcNKの数を示している。
図12Bは、ダラツムマブまたはエロツズマブで処置されたMM.1S接種NSGマウスの骨髄におけるg-NKおよびcNKの数を示している。
図12Cは、ダラツムマブまたはエロツズマブで処置されたMM.1S接種NSGマウスの血液におけるg-NKおよびcNKの数を示している。どのアームもN=6である。値は平均±SEである。
【
図13A】
図13A~13Dは、g-NKおよびcNKにおけるCD20(リツキシマブの標的)、CD38(ダラツムマブの標的)およびSLAMF7(エロツズマブの標的)の発現を表している。
図13Aは、CD20を発現する増大されたg-NK細胞、非増大NK細胞(CD3-/CD56+)およびMM.1S細胞のパーセンテージを示している。
図13Bは、CD38を発現する増大されたg-NK細胞、非増大NK細胞(CD3-/CD56+)およびMM.1S細胞のパーセンテージを示している。
図13Cは、SLAMF7を発現する増大されたg-NK細胞、非増大NK細胞(CD3-/CD56+)およびMM.1S細胞のパーセンテージを示している。
図13Dは、増大前および増大後にCD38を発現するcNKおよびg-NKのパーセンテージを示している。どのアームもN=3である。値は平均±SEである。
【
図14A】
図14A~14Cはg-NK細胞のADCC活性を通常型NK細胞(cNK)と比較して表している。
図14Aは、卵巣がん細胞株SKOV3(n=16)に対する、抗Her2(トラスツズマブ;Tras)と組み合わされた新鮮単離g-NKおよびcNK細胞のADCC活性を示している。
図14Bは、卵巣がん細胞株SKOV3(n=5)に対する、抗Her2(トラスツズマブ;Tras)と組み合わされた増大されたg-NKおよびcNK細胞のADCC活性を示している。
図14Cは、卵巣がん細胞株SKOV3(n=4)に対する、抗EGFR(セツキシマブ)と組み合わされた増大されたg-NKおよびcNK細胞のADCC活性を示している。値は平均±SEである。
【
図15A】
図15A~15Cは、卵巣がんの異種移植片モデルにおける、トラスツズマブ(Tras)のインビボでの効力に対するg-NKの効果を表している。
図15Aは、NSGマウスにおけるSKOV3腫瘍量に対するg-NKおよびトラスツズマブによる処置の効果(Tras+g-NK)を、トラスツズマブのみで処置したマウス(Trasのみ)との比較で示している。
図15Bは、SKOV3接種NSGマウスにおける生存率に対するg-NKおよびトラスツズマブによる処置の効果(Tras+g-NK)を、cNKおよびトラスツズマブで処置したマウス(Tras+cNK)との比較で示している。どのアームもN=10である。
図15Cは、SKOV3接種NSGマウスにおける生存率に対するg-NKおよびトラスツズマブによる処置の効果(Tras+g-NK)を、cNKおよびトラスツズマブ(Tras+cNK)、Trasのみ、またはビヒクルで処置したマウスとの比較で示している。
【
図16A】
図16A~16Cは、卵巣がんの異種移植片モデルにおける、トラスツズマブと組み合わせた場合のg-NKおよびcNKの持続性を表している。
図16Aは、トラスツズマブで処置されたSKOV3接種NSGマウスの血液におけるg-NKおよびcNKの数を示している。
図16Bは、トラスツズマブで処置されたSKOV3接種NSGマウスの脾臓におけるg-NKおよびcNKの数を示している。
図16Cは、トラスツズマブで処置されたSKOV3接種NSGマウスの骨髄におけるg-NKおよびcNKの数を示している。どのアームもN=6である。値は平均±SEである。
【
図17A】
図17Aおよび17Bは、g-NK細胞のADCC活性を通常型NK細胞(cNK)と比較して表している。
図17Aは、多発性骨髄腫細胞株ARH-77(n=4)に対する、抗CD38(ダラツムマブ;Dara)と組み合わされた増大されたg-NKおよびcNK細胞のADCC活性を示している。
図17Bは、多発性骨髄腫細胞株MM.1R(n=4)に対する、抗CD38(ダラツムマブ;Dara)と組み合わされた増大されたg-NKおよびcNK細胞のADCC活性を示している。値は平均±SEである。
【
図18A】
図18Aおよび18Bは、g-NK細胞のADCC活性を通常型NK細胞(cNK)と比較して表している。
図18Aは、結腸直腸がん細胞株SW-480(n=16)に対する、抗EGFR(セツキシマブ;Cet)と組み合わされた新鮮単離g-NK細胞およびcNK細胞のADCC活性を示している。
図18Bは、結腸直腸がん細胞株SW-480(n=5)に対する、抗EGFR(セツキシマブ)と組み合わされた増大されたg-NK細胞およびcNK細胞のADCC活性を示している。値は平均±SEである。
【
図19】
図19は、SW-480(セツキシマブ、Cetによる)、SKOV3(トラスツズマブ、Trasまたはセツキシマブ、Cetによる)、およびMM.1S細胞(ダラツムマブ、Daraまたはエロツズマブ、Eloによる)に対するADCCを、cNK(n=4)、g-NK(n=7)およびCD16 158V g-NK細胞(n=5)の間で比較している。値は平均±SEである。
【
図20A】
図20A~20Dは、g-NK細胞によるCD16遺伝子の発現と多発性骨髄腫細胞株および固形腫瘍細胞株に対するADCCとの関係を表している。
図20Aは、g-NKのCD16発現とMM.1S細胞(ダラツムマブ、Daraによる)に対するADCCとの間の正の相関を示している。
図20Bは、g-NKのCD16発現とMM.1S細胞(エロツズマブ、Eloによる)に対するADCCとの間の正の相関を示している。
図20Cは、g-NKのCD16発現と卵巣がんSKOV3(トラスツズマブ、Trasによる)に対するADCCとの間の正の相関を示している。
図20Dは、g-NKのCD16発現と結腸直腸がんSW-480(セツキシマブ、Cetによる)に対するADCCとの間の正の相関を示している。N=4 g-NK細胞株。
【発明を実施するための形態】
【0072】
詳細な説明
FceRIγ(FcRγ)鎖が欠如または欠損しているナチュラルキラー(NK)細胞(g-NK細胞という)の特殊化したサブセットを含む、NKG2C陽性(NKG2Cpos)NK細胞のエクスビボでの増大のための方法が、本明細書において提供される。代用表面マーカープロファイルに基づいて細胞のg-NKサブセットを検出するためのキットおよび方法も本明細書において提供される。したがって、本開示におけるg-NK細胞への言及は、場合により、FcRγ鎖が欠損しているNK細胞またはそのような細胞の代用表面マーカープロファイルを有する細胞を包含しうる。
【0073】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、サイトカインおよびケモカインの分泌による、そして細胞傷害性顆粒の放出による、抗ウイルス免疫および抗がん免疫の媒介にとって重要な自然リンパ球である(Vivier et al.Science 331(6013):44-49(2011)、Caligiuri,Blood 112(3):461-469(2008)、Roda et al.,Cancer Res.66(1):517-526(2006))。NK細胞は、リンパ球の3番目に大きい集団を構成するエフェクター細胞であり、腫瘍細胞および病原体感染細胞に対する宿主の免疫監視にとって重要である。しかし、Tリンパ球およびBリンパ球とは異なり、NK細胞は、生殖細胞系にコードされた活性化受容体を用いる標的認識については限られた能力しか有しないと考えられている(Bottino et al.,Curr Top Microbiol Immunol.298:175-182(2006)、Stewart et al.,Curr Top Microbiol Immunol.298:1-21(2006))。
【0074】
NK細胞の活性化は、直接的な腫瘍細胞殺傷で見られるように、標的細胞上のリガンドへのNK細胞受容体の直接的結合を介して起こるか、または抗原保持細胞に結合した抗体のFc部分への結合によるFc受容体(CD16、CD16aまたはFcγRIIIaとしても公知である)の架橋を介して起こることができる。活性化すると、NK細胞はサイトカインおよびケモカインを豊富に産生し、同時に強力な細胞溶解活性を呈する。NK細胞は抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)によって腫瘍細胞を殺傷することができる。いくつかの事例では、ADCCは、細胞の表面に結合しているIgG1またはIgG3抗体をNK細胞表面の受容体(CD16など)が認識した時に、トリガーされる。これは、パーフォリンおよびグランザイムを含有する細胞質顆粒の放出をトリガーし、それが標的細胞の死につながる。NK細胞は、IgG被覆標的細胞を認識する活性化Fc受容体CD16を発現するので、標的認識が広くなっている(Ravetch&Bolland,Annu Rev Immunol.19:275-290(2001)、Lanier Nat.Immunol.9(5):495-502(2008)、Bryceson&Long,Curr Opin Immunol.20(3):344-352(2008))。ADCCおよび抗体依存性サイトカイン/ケモカイン産生は主としてNK細胞によって媒介される。
【0075】
NK細胞上に発現して抗体依存性応答(NK細胞媒介性ADCCなど)に関与するCD16に加えて、CD16はグリコシルホスファチジルイノシトールアンカー型でも存在する(FcγRIIIBまたはCD16Bとしても公知である)。本明細書でいうCD16はNK細胞上に発現するCD16a型に関し、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー型は指さないものとする。CD16受容体は、アダプターであるTCR-CD3複合体のζ鎖(CD3ζ)および/またはFcRγ鎖と会合して、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を介したシグナル伝達を行うことができる。一定の局面において、CD16エンゲージメント(CD16架橋)は、CD16関連アダプター鎖FcRγまたはCD3ζの一方または両方によって生成する細胞内シグナルを介して、NK細胞応答を開始する。CD16のトリガリングはγ鎖またはζ鎖のリン酸化につながり、次にそれがチロシンキナーゼ、sykおよびZAP-70を動員して、迅速かつ強力なエフェクター機能につながるシグナル伝達のカスケードを開始する。最も周知のエフェクター機能は、抗体依存性細胞性細胞傷害のプロセスによって近くの標的細胞を殺傷するための、毒性タンパク質を運ぶ細胞質顆粒の放出である。CD16架橋は、サイトカインおよびケモカインの産生ももたらし、次にそれが一連の免疫応答を活性化し、結集させる。
【0076】
サイトカインおよびケモカインのこの放出は、インビボでのNK細胞の抗がん活性に役割を果たすことができる。NK細胞は、その細胞質中に、パーフォリンおよびプロテアーゼ(グランザイム)を含有する小さな顆粒も有する。NK細胞から放出されると、パーフォリンは、標的とする細胞の細胞膜に小孔を形成し、グランザイムおよび関連分子はその小孔を通って進入して、アポトーシスを誘導することができる。NK細胞が標的細胞の壊死ではなくアポトーシスを誘導するという事実は重要である-ウイルス感染細胞の壊死はビリオンを放出することになるだろうが、アポトーシスなら細胞内でのウイルスの破壊につながる。
【0077】
g-NK細胞とも呼ばれる、FcRγアダプタータンパク質を欠くNK細胞の特殊化したサブセットは、ロバストなADCC応答を媒介することができる(例えば特許出願番号US2013/0295044参照)。応答増加の機序は、FcRγの発現に影響を及ぼすエピジェネティック修飾の変化によるものでありうる。g-NK細胞は、シグナリングアダプターζ鎖を豊富に発現するが、シグナリングアダプターγ鎖の発現は欠失している。通常型NK細胞と比較すると、これらのγ欠損g-NK細胞は、抗体によって活性化された時に、劇的に増強された活性を呈する。例えばg-NK細胞は、CD16の抗体媒介性架橋によって、または抗体被覆腫瘍細胞によって、活性化されうる。いくつかの局面においてg-NK細胞は、γ鎖を発現する通常型NK細胞よりも、多量のサイトカイン(例えばIFN-γまたはTNF-α)およびケモカイン(例えばMIP-1α、MIP-1βおよびRANTES)を産生し、かつ/またはより高度な脱顆粒応答を示す。g-NK細胞では、ナチュラルキラー細胞の細胞傷害機構の一構成要素であるグランザイムBの発現量が高くなる。そのうえ、g-NK細胞は通常型NK細胞と比較して寿命が長く、それらの存在は長期間維持される。いくつかの態様において、g-NK細胞は機能的にも表現型的にも安定である。
【0078】
いくつかの態様において、g-NK細胞は、ADCC応答の誘発に関して、通常型NK細胞、例えばγ鎖を欠損していないNK細胞よりも効果的である。いくつかの事例では、ADCCは、抗がん抗体を含む治療用抗体の作用機序である。いくつかの局面では、NK細胞を投与することによる細胞治療を、治療目的および関連する目的のための抗体と合わせて使用することができる。g-NK細胞を含有する組成物、例えば、提供される方法によって産生された組成物と、抗体、例えば抗がん抗体との併用投与を伴う方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、g-NK細胞の抗体指向性ターゲティングは、g-NK細胞サブセットの改良された親和性、細胞傷害性および/またはサイトカイン媒介性エフェクト機能により、患者にとって改良されたアウトカムにつながる。
【0079】
いくつかの態様において、g-NK細胞は、FcRγを発現するナチュラルキラー細胞よりも有意に多量のサイトカインを産生する。別の態様において、サイトカインは、インターフェロン-γ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、またはそれらの組み合わせである。一態様において、g-NK細胞は有意に多量のケモカインを産生する。一態様において、ケモカインは、MIP-1α、MIP-1βまたはそれらの組み合わせである。別の態様において、g-NK細胞は、Fc受容体CD16を介して刺激されると、サイトカインまたはケモカインを産生する。
【0080】
g-NK細胞は末梢血中のNK細胞において比較的小さなパーセンテージを占め、これにより、治療方法におけるこれらの細胞の利用可能性が制限される。具体的には、臨床においてg-NK細胞を利用するには、g-NK細胞が一般に希少な集団であることから、高い優先的増大率が必要になる。NK細胞を増大させる他の方法では、14日で1000倍のNK細胞増大率を達成することができるが、それらは低分化のNKG2Cneg、FceRIγpos(FcRγpos)NK細胞を与える(Fujisaki et al.(2009)Cancer Res.,69:4010-4017、Shah et al.(2013)PLoS One,8:e76781)。さらに、表現型がg-NK細胞と一部重複するNK細胞を増大させるために最適化された増大は、g-NK細胞を治療用途に対応できる量まで優先的に増大させないことが、本明細書においてわかる。具体的には、HLA-Eがトランスフェクトされた221.AEH細胞を使えば、表現型がg-NK細胞と一部重複するNKG2Cpos NK細胞を優先的に増大させうることは、以前に報告されている(Bigley et al.(2016)Clin. Exp. Immunol.,185:239-251)。HLA-Eを構成的に発現するそのようなHLA発現細胞との培養は、NK細胞をNKG2Cpos/NKG2Aneg表現型の方向に押す(NKG2CはHLA-Eに対する活性化受容体であり、一方、NKG2AはHLA-Eに対する抑制性受容体である)。そのような細胞はその中にg-NKを含むので、g-NK細胞を増大させるにはそのような方法で十分であるだろうと考えられた。しかし、本明細書の実施例で示すとおり、この方法ではg-NK細胞のロバストな増大は達成されない。
【0081】
提供される方法はこれらの制限を克服する。提供される方法では、以前の方法と比較して、より大きな221.AEH細胞対NK細胞比を利用する。具体的には、以前の方法では、例えばNK細胞対221.AEHの比を10:1にするなど、221.AEH細胞を低い比で使用していた。より大きな比のHLA-E発現フィーダー細胞、例えば221.AEH細胞は、より強くg-NK表現型に偏った、より大きくな全体的増大をもたらすことが、本明細書においてわかる。いくつかの態様において、より大きな221.AEH細胞の比は、フィーダー細胞を照射することによって可能になる。さらにまた、増大をさらに増強するために、活性化(例えば抗CD3活性化)自家PBMC、例えば照射活性化PBMCの組み入れを、追加のフィーダー細胞として使用できることもわかった。いくつかの局面において、照射フィーダー細胞株の使用は、それがGMPに適合する方法を与えることからも有利である。増大中の組換えIL-2の組み入れも、ロバストな増大を支えることがわかる。
【0082】
増大方法に先立つ細胞試料からのNK細胞の濃縮、例えば増大に先立つCD16細胞またはCD57細胞の濃縮が、最初にCD3枯渇のみに基づいてNK細胞を濃縮する方法と比較して、達成できるg-NK細胞の増大の量をさらに実質的に増加させることもわかる。別の一態様において、増大に先立って実行することができるもう一つの濃縮は、CD56に関する正の選択およびCD38に関する負の選択または枯渇によって、NK細胞を濃縮することである。さらなる一態様において、増大に先立って実行することができるもう一つの濃縮は、CD56に関する正の選択と、それに続く、NKG2Anegのための負の選択または枯渇およびCD161negのための負の選択または枯渇によって、NK細胞を濃縮することである。そのような態様のいずれにおいても、濃縮NK細胞は、NK細胞を含有する細胞試料から、例えば末梢血単核球(PBMC)から、濃縮することができる。いくつかの態様では、細胞試料からのNK細胞の濃縮に先立って、CD3に関する負の選択または枯渇によってT細胞を除去することができる。
【0083】
総合すると、g-NK細胞を増大させるための提供されるアプローチは、培養開始時における最初は1000万個の濃縮NK細胞から、10億個超の細胞、場合によっては最大80億個またはそれ以上の細胞を上回るNK細胞の増大を達成することができる。特に、提供される方法は、高収量(>1000倍)の増大率をもたらすことができると共に、g-NK細胞の機能性は増大後も維持され、場合によっては増加する。さらに、解凍NK細胞のレスキューを伴う多くの既存方法では一般に達成されない前もって凍結されたNK細胞を増大させるのにも、提供される方法は十分であることがわかる。いくつかの態様において、これは、増大プロトコールの継続期間を増やすことによって達成される。いくつかの態様において、これは、221.AEHフィーダー細胞対NK細胞の比を、例えば約1:1の221.AEH対NK細胞へと減少させることによって達成される。本明細書において示されるとおり、提供される方法は、強力な抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を呈するg-NK細胞を与え、そのような細胞の治療的応用への有用性を支える。
【0084】
本明細書において言及される参考文献は、特許出願、特許公報ならびに科学文献およびデータベースを含めてすべて、個々の参考文献が参照により本明細書に組み入れられることを具体的かつ個別に示した場合と同じ程度に、あらゆる目的で、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0085】
限定としてではなく、明快な開示のために、詳細な説明を以下のサブセクションに分割する。本明細書において使用されるセクション見出しには構成上の目的しかなく、記載されている主題を限定すると解釈してはならない。
【0086】
I. 定義
別段の定義がある場合を除き、本明細書において使用される専門用語、表記ならびに他の技術的および科学的な用語および術語はすべて、本願請求項の対象が属する技術分野の当業者が一般に理解している意味と同じ意味を有するものとする。場合によっては、一般に理解されている意味を持つ用語を、明確な記述のためにかつ/またはすぐに参照できるように、本明細書において定義するが、そのような定義を本明細書に含めることは、必ずしも、当技術分野において一般に理解されているものとの実質的相違を表すと解釈されるべきではない。
【0087】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容上そうでないことが明らかである場合を除き、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば「1つの分子(a molecule)」といえば、それは任意で、2つ以上のそのような分子の組み合わせを包含することになる。
【0088】
本明細書において使用される「約」という用語は、この技術分野の当業者にはすぐにわかるそれぞれの値にとっての通常の誤差範囲を指す。本明細書において、ある値またはパラメータについて「約」という場合は、その値またはパラメータそのものに向けられる態様が包含され(そして記載され)る。
【0089】
本明細書に記載される本発明の局面および態様は、局面および態様「を含む」、「からなる」および「から本質的になる」を包含すると理解される。
【0090】
本明細書でいう「任意の」または「任意で」とは、その後に記載される事象または状況が起こることまたは起きないこと、およびその記載は、該事象または状況が起こる場合と、それが起こらない場合とを包含することを意味する。例えば、任意で置換された基とは、その基が無置換であることまたは置換されていることを意味する。
【0091】
本明細書でいう「抗体」とは、天然物であるか、部分的にまたは全体が合成的に、例えば組換え的に産生されたものであるかを問わず、免疫グロブリンおよび免疫グロブリンフラグメントを指し、その免疫グロブリン分子の可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域のうち、抗原結合部位を形成するのに十分でありかつ集合した時に抗原に特異的に結合するのに十分である部分を少なくとも含有する、それらの任意のフラグメントを含む。したがって抗体は、免疫グロブリン抗原結合ドメイン(抗体結合部位)に相同なまたは実質的に相同な結合ドメインを有する任意のタンパク質を包含する。通例、抗体は、最小限、可変重(VH)鎖および/または可変軽(VL)鎖のすべてまたは少なくとも一部を含む。一般に、VHとVLは互いにペアリングして抗原結合部位を形成するが、いくつかの事例では、単一のVHドメインまたはVLドメインでも抗原結合には十分である。抗体は定常領域の全部または一部も含むことができる。本明細書でいう抗体には、完全長抗体および抗原結合フラグメントが含まれる。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は本明細書では「抗体」と相互可換的に使用される。
【0092】
「完全長抗体」、「インタクト抗体」または「全抗体」という用語は、抗体フラグメントではなく、実質上無傷の形態にある抗体を指すために相互可換的に使用される。完全長抗体は、典型的には2つの完全長重鎖(例えばVH-CH1-CH2-CH3またはVH-CH1-CH2-CH3-CH4)と2つの完全長軽鎖(VL-CL)とヒンジ領域とを有する抗体、例えば抗体分泌B細胞によって哺乳動物種(例えばヒト、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類など)から産生される抗体、および同じドメインを持つ合成的に産生された抗体である。特に全抗体は、Fc領域を含めて重鎖および軽鎖を持つものである。定常ドメインは、ネイティブ配列定常ドメイン(例えばヒトネイティブ配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異体でありうる。いくつかの事例において、インタクト抗体は、1種または複数種のエフェクター機能を有しうる。
【0093】
「抗体フラグメント」は、インタクト抗体の一部、インタクト抗体の抗原結合および/または可変領域を含む。抗体フラグメントとして、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、Fvフラグメント、ジスルフィド連結Fv(dsFv)、Fdフラグメント、Fd'フラグメント、ダイアボディ、線状抗体(米国特許第5,641,870号の実施例2、Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062[1995]参照)、一本鎖抗体分子、例えば一本鎖Fv(scFv)または一本鎖Fab(scFab)、上記のいずれかの抗原結合フラグメント、および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。本明細書に関して、抗体フラグメントは、典型的には、NK細胞の表面でCD16をエンゲージまたは架橋するのに十分なものを含む。
【0094】
「自家」という用語は、個体自身の組織内に起源を持つまたは個体自身の組織から採取された細胞または組織を指す。例えば、NK細胞の自家移入または自家移植では、ドナーとレシピエントが同じ人物である。
【0095】
「同種異系」という用語は、同じ種に属するまたは同じ種から取得されるが遺伝的には異なり、いくつかの事例では、それゆえに免疫学的に不適合である、細胞または組織を指す。典型的には「同種異系」という用語は、ドナーから同じ種のレシピエントに移植される細胞を規定するために使用される。
【0096】
細胞組成物に関して「濃縮された」という用語は、細胞タイプまたは細胞集団の数またはパーセンテージが、同じ体積の出発組成物、例えば対象から直接取得または単離された出発組成物における当該細胞タイプの数またはパーセンテージと比較して増加している組成物を指す。この用語は、組成物からの他の細胞、細胞タイプまたは細胞集団の完全な除去を必要とせず、そのように濃縮された細胞が濃縮組成物中に100%存在することを必要とせず、100%近く存在することさえ必要としない。
【0097】
「発現」という用語は、ポリヌクレオチドがDNAテンプレートから(例えばmRNAまたは他のRNA転写産物などに)転写されるプロセス、および/または転写されたmRNAが、次いでペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。転写産物とコードされているポリペプチドとを「遺伝子産物」と総称しうる。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は真核細胞におけるmRNAのスプライシングを含みうる。
【0098】
タンパク質または核酸に関して「異種」という用語は、異なる遺伝子源に由来するタンパク質または核酸を指す。例えば、ある細胞にとって異種であるタンパク質または核酸は、それを発現させる細胞とは異なる生物または個体に由来する。
【0099】
本明細書において使用される「導入する」という用語は、インビトロまたはインビボのどちらかで細胞中にDNAを導入するさまざまな方法を包含し、そのような方法には、形質転換、形質導入、トランスフェクション(例えばエレクトロポレーション)および感染が含まれる。ベクターは、細胞中にDNAコード分子(DNA encoding molecule)を導入するのに役立つ。考えうるベクターとしてプラスミドベクターおよびウイルスベクターが挙げられる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、または他のベクター、例えばアデノウイルスベクターもしくはアデノ随伴ベクターが挙げられる。
【0100】
「組成物」という用語は、細胞または抗体を含む2種以上の産物、物質または化合物の任意の混合物を指す。これは、水性、非水性またはそれらの任意の組み合わせである、溶液、懸濁液、液状物、粉末、ペーストでありうる。調製物は、一般的には、活性成分(例えば抗体)の生物学的活性が有効であることを許すような形態にある。
【0101】
「薬学的に許容される担体」とは、対象にとって無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、緩衝剤、賦形剤、安定剤または保存剤が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0102】
本明細書において使用される組み合わせとは、2種以上のアイテムの間の任意の関連を指す。組み合わせは、2種以上の別々のアイテム、例えば2種の組成物または2種の収集物であることができ、それらの混合物、例えば2種以上のアイテムの単一の混合物であるか、またはそれらの任意の変形であることもできる。組み合わせの要素は一般的には機能的に関連または関係する。
【0103】
本明細書でいうキットとは、梱包された組み合わせであって、任意で他の要素、例えば追加の作用物質と、限定するわけではないが例えば治療的使用などの目的でのその組み合わせまたはその要素の使用に関する説明書とを含む。
【0104】
本明細書において使用される「処置」または「処置する」という用語は、臨床病理の経過中に処置される個体または細胞の自然の経過を変化させるように計画された臨床的介入を指す。処置の望ましい効果としては、疾患進行の速度を減じること、疾患状態を改善または軽減すること、および寛解または予後の改良が挙げられる。個体は、例えば障害(例えば好酸球媒介性疾患)に関連する1つまたは複数の症状が和らぐか除去されるのであれば、うまく「処置」されたことになる。例えば個体は、処置が疾患を患っている者の生活の質を向上させ、疾患を処置するのに必要な他の薬物投与の用量を減少させ、疾患の再発の頻度を低減し、疾患の重症度を下げ、疾患の発生または進行を遅延させ、かつ/または個体の生存期間を延長するのであれば、うまく「処置」されたことになる。
【0105】
「有効量」とは、少なくとも、必要な投薬量および期間において、治療結果または予防結果を含む所望の効果または表示した効果を達成するのに有効な量を指す。有効量は1回または複数回で提供することができる。「治療有効量」とは、少なくとも、特定障害の測定可能な改善を達成するのに必要な細胞の最小の用量である。いくつかの態様において、治療有効量は、動物におけるがん、ウイルス感染症、微生物感染症、または敗血症性ショックに関連する重症度、持続時間および/または症状を低減する組成物の量である。本明細書における治療有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別および体重などの因子に応じて変動しうる。治療有効量は、抗体の治療上有益な効果が抗体のいかなる毒性効果または有害効果をも凌ぐ量でもありうる。「予防有効量」とは、所望の予防結果を達成するのに、必要な投薬量および期間において、有効な量を指す。予防用量は罹患前の対象または疾患の初期段階にある対象に使用されるので、必ずというわけではないが典型的には、予防有効量は治療有効量よりも少ない場合がある。
【0106】
本明細書でいう「個体」または「対象」は哺乳動物である。処置に関して、「哺乳動物」としては、ヒト、家畜および農用動物、ならびに動物園の動物、スポーツ動物またはペット動物、例えばイヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコなどが挙げられる。いくつかの態様において、個体または対象はヒトである。
【0107】
II. ナチュラルキラー細胞サブセットを増大させるための方法
ヒト対象からの生物学的試料からNK細胞のサブセットを増大させるための方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、本方法は、ヒト対象からの生物学的試料から、NKG2CposであるNK細胞のサブセットを増大させる工程を含むことができる。いくつかの態様において、本方法は、ヒト対象からの生物学的試料から、FcRγ欠損NK細胞(g-NK)である細胞のサブセットを増大させる工程を含むことができる。いくつかの態様において、本方法は、ヒト対象からの生物学的試料から、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された細胞の集団を単離し、それらの細胞を、g-NK細胞対象の優先的成長および/もしくは増大、ならびに/または細胞外表面マーカーがg-NK細胞サブセットと一部重複するか共通しているNK細胞サブセットの優先的成長および/もしくは増大が起こりうる条件下で培養する工程を含む。例えば、g-NK細胞対象の成長および/もしくは増大、ならびに/または細胞外表面マーカーがg-NK細胞サブセットと一部重複するか共通しているNK細胞サブセットの成長および/もしくは増大を増強するために、NK細胞をフィーダー細胞を使って、またはサイトカインの存在下で、培養しうる。いくつかの局面において、提供される方法は、NKG2Cposである任意のNK細胞など、NK細胞の他のサブセットを増大させることもできる。
【0108】
いくつかの態様において、試料、例えば生物学的試料は、NK細胞集団を含む複数の細胞集団を含有するものである。いくつかの態様において、生物学的試料は血液細胞、例えば末梢血単核球であるか、またはそれらを含む。いくつかの局面において、生物学的試料は全血試料、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物である。いくつかの態様において、試料は、末梢血単核球(PBMC)の試料である。したがって、提供される方法のいくつかの態様では、末梢血単核球(PBMC)の集団を取得することができる。NK細胞集団を含む複数の細胞集団を含有する試料は、提供される方法に従って増大用のNK細胞サブセットを濃縮または選択するための細胞として使用することができる。
【0109】
いくつかの態様において、生物学的試料は、健康な対象である対象に由来する。いくつかの態様において、生物学的試料は、がんなどの状態の疾患を有する対象に由来する。
【0110】
いくつかの態様において、細胞は、試料、例えば生物学的試料から、例えば対象、例えば特定の疾患または状態を有する対象、または細胞治療を必要とする対象もしくは細胞治療が施行されることになる対象から取得されまたはそれに由来する生物学的試料から、単離または選択される。いくつかの局面において、対象はヒト、例えば特定の治療的介入を必要とする患者、例えば養子細胞治療であってそのための細胞が単離、処理および/または操作されている治療を必要とする患者である対象である。したがって細胞は、いくつかの態様において、初代細胞、例えば初代ヒト細胞である。試料は、組織、体液、および対象から直接採取される他の試料を含む。生物学的試料は、生物学的供給源から直接取得される試料、または処理された試料であることができる。生物学的試料としては、体液、例えば血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織および器官の試料が挙げられ、それらに由来する処理された試料も含まれるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの局面において、試料は、血液もしくは血液由来の試料であるか、またはアフェレーシス産物もしくは白血球アフェレーシス産物であり、またはそれらに由来する。
【0111】
いくつかの例では、対象の循環血から細胞が取得される。試料は、いくつかの局面において、NK細胞、T細胞、単球、顆粒球、B細胞を含むリンパ球、他の有核白血球、赤血球および/または血小板を含有し、いくつかの局面では、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。いくつかの態様では、対象から収集された血液細胞が、例えば血漿画分を除去し、後続の処理工程にとって適当な緩衝液または培地に細胞を入れるために、洗浄される。いくつかの態様において、細胞はリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。いくつかの態様において、洗浄溶液はカルシウムおよび/またはマグネシウムを欠き、かつ/または多くのもしくはあらゆる二価カチオンを欠く。一定の態様では、血液細胞試料の構成要素が取り出され、細胞が培養培地に直接懸濁される。いくつかの態様において、本方法は、密度ベースの細胞分離法、例えば赤血球を溶解し、PercollまたはFicoll勾配を使った遠心分離による、例えばHistopaque(登録商標)密度遠心分離を使用することによる、末梢血からの白血球の調製を含む。
【0112】
いくつかの態様において、生物学的試料は、正常末梢血から収集されたロイコパック(leukopak)濃縮白血球アフェレーシス産物に由来する。いくつかの態様において、ロイコパックは新鮮細胞を含有することができる。いくつかの態様において、ロイコパックは、提供される方法において使用するために解凍される凍結保存試料である。
【0113】
いくつかの態様において、生物学的細胞の供給源は、5×105または約5×105から、5×108または約5×108個のNK細胞、またはg-NK細胞サブセット、またはg-NK細胞のための代用マーカーと関連するかg-NK細胞のための代用マーカーを含むNK細胞サブセットを含有する。いくつかの態様において、生物学的試料中のNK細胞、またはg-NK細胞サブセット、またはg-NK細胞のための代用マーカーと関連するかg-NK細胞のための代用マーカーを含むNK細胞サブセットの数は、5×105もしくは約5×105から、1×108もしくは約1×108、5×105もしくは約5×105から、5×107もしくは約5×107、5×105もしくは約5×105から、1×107もしくは約1×107、5×105もしくは約5×105から、5×106もしくは約5×106、5×105もしくは約5×105から、1×106もしくは約1×106、1×106もしくは約1×106から、1×108もしくは約1×108、1×106もしくは約1×106から、5×107もしくは約5×107、1×106もしくは約1×106から、1×107もしくは約1×107、1×106もしくは約1×106から、5×106もしくは約5×106、5×106もしくは約5×106から、1×108もしくは約1×108、5×106もしくは約5×106から、5×107もしくは約5×107、5×106もしくは約5×106から、1×107もしくは約1×107、1×107もしくは約1×107から、1×108もしくは約1×108、1×107もしくは約1×107から、5×107もしくは約5×107または5×107もしくは約5×107から、1×108もしくは約1×108個である。
【0114】
いくつかの態様において、生物学的試料は、CMV血清陽性である対象に由来する。CMV感染はNK細胞の表現型と機能の分化をもたらすことができ、これには、増強された抗ウイルス活性を呈するNKG2C発現NK細胞の高い分率での発生が含まれる。NKG2Cを発現するCMV関連NK細胞は、改変されたDNAメチル化パターンを示し、FcRγなどのシグナリング分子の発現が低減している(Schlums et al.,Immunity(2015)42:443-56)。これらのNK細胞は、通常型NK細胞サブセットとの比較で、より強力な抗体依存的活性化、増大および機能に関連づけられる。FcRγの発現が低減しているNK細胞はCMV血清陰性個体でも、低レベルではあるものの、検出することができるので、場合により、生物学的試料はCMV血清陰性である対象に由来することができる。場合により、生物学的試料はCMV血清陽性個体に由来することができる。
【0115】
いくつかの態様において、対象からのNK細胞は、CD16遺伝子中に一塩基多型(SNP rs396991)、成熟(プロセシングされた)型のタンパク質の158番目のフェニルアラニン(F)のバリン(V)によるアミノ酸(aa)置換(F158V、本明細書では158V+ともいう)をもたらすヌクレオチド526[チミジン(T)→グアニン(G)]を保持する。CD16 F158V多型はIgG1抗体に対する実質的に高い親和性と関連し、よりロバストなNK細胞媒介性ADCC応答を惹起することができることが見いだされている(Mellor et al.(2013)Journal of Hematology&Oncology,6:1、Musolino et al.(2008)Journal of Clinical Oncology,26:1789-1796およびHatjiharissi et al.(2007)Blood,110:2561-2564)。いくつかの態様において、CD16 158V+/g-NK細胞の抗体指向性ターゲティングは、CD16 158V+/g-NK細胞サブセットの改良された親和性、細胞傷害性および/またはサイトカイン媒介性エフェクト機能により、患者にとって改良されたアウトカムにつながる。
【0116】
いくつかの態様において、提供される方法は、CD16 158V+NK細胞遺伝子型を有すると同定された対象の生物学的試料から、NK細胞またはそのサブセットを濃縮または単離する工程を含む。いくつかの態様において、本方法は、CD16 158V+NK細胞遺伝子型の存在について対象をスクリーニングする工程を含む。いくつかの態様において、ゲノムDNAは、NK細胞であるかそれらを含む対象からの試料、例えば血液試料または骨髄試料から抽出される。いくつかの態様において、試料は血液細胞、例えば末梢血単核球であるか、またはそれらを含む。いくつかの態様において、試料は単離されたNK細胞であるか、またはそれらを含む。いくつかの態様において、試料は健康なドナー対象からの試料である。試料からDNAを抽出するための任意の方法を使用することができる。例えば核酸は、試料、例えば細胞から、グアニジウムチオシアネート-フェノール-クロロホルム抽出(Chomocyznski et al.(1987)Anal. Biochem. 162:156)などの標準的技法を使って、容易に単離することができる。WizardゲノムDNA精製キット(Promega、ウィスコンシン州マディソン)など、ゲノムDNAを抽出するための市販のキットも、容易に入手することができる。
【0117】
ジェノタイピングは任意の適切な試料で行うことができる。本明細書に記載する態様のいずれにおいても、ジェノタイピング反応は、例えばパイロシーケンシング反応、DNAシーケンシング反応、MassARRAY MALDI-TOF、RFLP、アレル特異的PCR、リアルタイムアレル識別、またはマイクロアレイであることができる。いくつかの態様において、ゲノムDNAのPCRベースの技法、例えばRT-PCRは、多型に関してアレル特異的なプライマーを使って実行される。試料中の標的核酸配列を増幅するためのPCR法は当技術分野では周知であり、例えばInnis et al.(eds.)PCR Protocols(Academic Press,NY 1990)、「PCR:A Practical Approach」(McPherson et al.(eds.)IRL Press,オックスフォード)のTaylor(1991)「Polymerase chain reaction:basic principles and automation」、Saiki et al.(1986)Nature 324:163、ならびに米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号および同第4,889,818号などに記載されており、これらはすべて参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0118】
158V+多型を検出するためのプライマーは公知であるか、当業者であれば容易に設計することができる。例えば国際公開公報WO2012/061814、Kim et al.(2006)Blood,108:2720-2725、Cartron et al.(2002)Blood,99:754-758、Koene et al.(1997)Blood,90:1109-1114、Hatijiharissi et al.(2007)Blood,110:2561-2564、Somboonyosdech et al.(2012)Asian Biomedicine,6:883-889)を参照されたい。いくつかの態様では、ネステッドプライマーを使ってPCRを行った後、アレル特異的制限酵素消化を行うことができる。いくつかの態様において、第1PCRプライマーは核酸配列
を含み、一方、第2PCRプライマーは
である。これは、場合により、アレルの性質に依存して、94bpフラグメントを生成させる。いくつかの態様において、プライマーペアは、
に示す核酸配列を含む。いくつかの態様において、プライマーペアは、
に示す核酸配列を含む。いくつかの態様において、プライマーペアは、
に示す核酸配列を含む。いくつかの態様において、ジェノタイピングは以下のプライマー配列を使って、RNAの抽出に続く定量的リアルタイムRT-PCRによって実行することができる:
に示すCD16センスおよび
に示すアンチセンス、ならびに
に示すTaqManプローブ。
【0119】
ジェノタイピングを確認するために、Vアレル特異的プライマー(例えば、SEQ ID NO:13に示すフォワードプライマー
、およびSEQ ID NO:14に示すリバースプライマー
)またはFアレル特異的プライマー(例えば、SEQ ID NO:15に示すフォワードプライマー
、およびSEQ ID NO:14に示すリバースプライマー
)によるアレル特異的増幅を使用することができる。
【0120】
CD16aのゲノム配列はNCBIデータベースのNG_009066.1で入手できる。CD16Aの遺伝子IDは2214である。CD16に関する配列情報は、遺伝子多型を含めて、UniProtアクセッション番号P08637で入手できる。CD16(F158)の配列をSEQ ID NO:16に示す(残基F158を太字にして下線を付す)。いくつかの態様において、CD16(F158)は、
として示されるシグナルペプチドを、さらに含む。
【0121】
CD16 158V+(F158Vをもたらす多型)の配列はVAR_003960として公知であり、SEQ ID NO:18に示す配列を有する(158V+多型を太字にして下線を付す)。いくつかの態様において、CD16(158V+)は、
として示されるシグナルペプチドを、さらに含む。
【0122】
いくつかの態様では、特異的一塩基多型(SNP)標的を検出するために、5’端に蛍光色素標識(例えばFAMまたはVIC)を含有し、3’端に副溝バインダー(MGB)および非蛍光クエンチャー(nonfluorescent quencher)(NFQ)を含有するアレル特異的プローブと、非標識PCRプライマーとを使用するSNP解析が、ゲノムデオキシリボ核酸(DNA)試料に対して使用される。いくつかの態様において、このアッセイは、プローブに付随する色素の蛍光の変化によって、SNPの存在を測定または検出する。そのような態様では、プローブが2つの非標識プライマー間で標的DNAにハイブリダイズし、5’端の蛍光色素からのシグナルを、その3’端のNFQが、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によって消光する。PCR中は、Taqポリメラーゼがテンプレートをガイドとして使用して非標識プライマーを伸長し、ポリメラーゼが標識されたプローブに到達すると、それはその分子を切断して色素をクエンチャーから分離する。いくつかの局面において、qPCR機器は、消光されていない標識からの蛍光を検出することができる。例示的試薬は市販のSNPアッセイ、例えばrs396991用のコードC_25815666_10(Applied Biosystems、カタログ番号4351379、CD16中のV158FのSNPジェノタイピング用)である。
【0123】
いくつかの態様では、CD16 158V+(V158F)多型についてヘテロ接合またはホモ接合の対象が同定される。いくつかの態様では、CD16 158V+(V158F)多型についてホモ接合の対象が同定される。いくつかの態様では、NK細胞またはNK細胞サブセットが、CD16 158 V+多型についてヘテロ接合またはホモ接合であると同定された対象からの生物学的試料から単離され、または濃縮される。いくつかの態様では、NK細胞またはNK細胞サブセットが、CD16 158 V+多型についてホモ接合であると同定された対象からの生物学的試料から単離され、または濃縮される。
【0124】
いくつかの態様において、本方法は、生物学的試料、例えば対象から単離または取得されたPBMCの集団から、NK細胞を濃縮する工程を含む。いくつかの態様において、NK細胞について濃縮された細胞集団は、1種または複数種のナチュラルキラー細胞特異的マーカーに基づく単離または選択によって濃縮される。特定のマーカーまたは表面マーカーの組み合わせを選ぶことは当業者の水準内にある。いくつかの態様において、表面マーカーは、以下の表面抗原のうちの任意の1つまたは複数である:CD11a、CD3、CD7、CD14、CD16、CD19、CD25、CD27、CD56、CD57、CD161、CD226、NKB1、CD62L、CD244、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKG2A、NKG2C、KIR2DL1および/またはKIR2DL3。いくつかの態様において、表面マーカーは、以下の表面抗原のうちの任意の1つまたは複数である:CD11a、CD3、CD7、CD14、CD16、CD19、CD25、CD27、CD38 CD56、CD57、CD161、CD226、NKB1、CD62L、CD244、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKG2A、NKG2C、SLAMF7(CD319)、KIR2DL1および/またはKIR2DL3。特定の態様において、1種または複数種の表面抗原は、CD3と、以下の表面抗原CD16、CD56またはCD57のうちの1種または複数種とを含む。いくつかの態様において、1種または複数種の表面抗原はCD3およびCD57である。いくつかの態様において、1種または複数種の表面抗原はCD3、CD56およびCD16である。他の態様において、1種または複数種の表面抗原はCD3、CD56およびCD38である。さらなる態様において、1種または複数種の表面抗原はCD3、CD56、NKG2AおよびCD161である。そのような表面抗原を検出するための作用物質は、蛍光色素コンジュゲート抗体を含めて、当業者には周知であり、利用可能である。
【0125】
いくつかの態様において、提供される方法によって試料から、例えば単離または選択などにより、濃縮されるNK細胞集団は、1種もしくは複数種の特定マーカー、例えば表面マーカーについて陽性である細胞(マーカー+)、または高レベルの1種もしくは複数種の特定マーカー、例えば表面マーカーを発現する細胞(マーカーhigh)であるか、1種もしくは複数種のマーカーについて陰性である細胞(マーカー-)、または相対的に低レベルの1種もしくは複数種のマーカーを発現する細胞(マーカーlow)である。場合により、そのようなマーカーは、NK細胞の一定の集団には存在しないか相対的に低レベルに発現するが、リンパ球の他の一定の集団(T細胞など)には存在しまたは相対的に高レベルに発現するものである。場合により、そのようなマーカーは、NK細胞の一定の集団には存在しまたは相対的に高レベルに発現するが、リンパ球の他の一定の集団(T細胞またはそのサブセットなど)には存在しないか相対的に低レベルに発現するものである。
【0126】
いくつかの態様では、そのようなマーカーに基づく公知の分離方法をいずれも使用しうる。いくつかの態様において、分離は、親和性に基づくまたは免疫親和性に基づく分離である。例えば分離は、いくつかの局面において、1種または複数種のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの発現または発現レベルに基づく、例えば当該マーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーションと、それに続く、一般的には洗浄工程および前記抗体または結合パートナーに結合している細胞の、前記抗体または結合パートナーに結合していない細胞からの分離とによる、細胞および細胞集団の分離を含む。
【0127】
そのような分離工程は、試薬に結合した細胞がさらなる使用のために保持される正の選択に基づくか、または抗体もしくは結合パートナーに結合していない細胞が保持される負の選択に基づくことができる。いくつかの例では、両方の画分がさらなる使用のために保持される。分離が、特定細胞集団または特定マーカーを発現する細胞の100%の濃縮または除去をもたらす必要はない。例えば、特定タイプの細胞、例えばあるマーカーを発現する細胞についての正の選択または濃縮とは、そのような細胞の数またはパーセンテージを増加させることを指すが、そのマーカーを発現しない細胞の完全な欠如をもたらす必要はない。同様に、特定タイプの細胞、例えばあるマーカーを発現する細胞の負の選択、除去または枯渇とは、そのような細胞の数またはパーセンテージを減少させることを指すが、すべてのそのような細胞の完全な除去をもたらす必要はない。例えばいくつかの局面において、CD3に関する負の選択は、CD3-である細胞の集団を濃縮するが、多少の残余または小さなパーセンテージの他の選択されなかった細胞も含有することができ、場合によっては、CD3+である濃縮された集団中に依然として存在する小さなパーセンテージの細胞を含むことができる。いくつかの例において、CD57+またはCD16+集団の正の選択は、当該集団、すなわちCD57+集団またはCD16+集団のどちらか一方を濃縮するが、多少の残余または小さなパーセンテージの選択されなかった他の細胞も含有することができ、場合によっては、濃縮された集団中に依然として存在するCD57集団またはCD16集団のうちの他方を含有することができる。
【0128】
いくつかの例では、複数ラウンドの分離工程が実行され、この場合は、ある工程からの正または負に選択された画分が、もう一つの工程、例えば後続の正または負の選択に供される。いくつかの例では、細胞を、それぞれが負の選択のための標的となるマーカーに特異的な複数の抗体または結合パートナーと共にインキュベートすることなどにより、単一の分離工程で、複数のマーカーを発現する細胞を同時に枯渇させることができる。同様に、細胞を、さまざまな細胞タイプ上に発現する複数の抗体または結合パートナーと共にインキュベートすることにより、複数の細胞タイプを同時に正に選択することもできる。
【0129】
いくつかの局面において、選択は、例えばPBMC試料からの細胞などにおける、表面抗原のうちの1種または複数種の発現に基づく正および/または負の選択工程を含む。いくつかの態様において、単離は、CD56を発現する細胞、CD16を発現する細胞もしくはCD57を発現する細胞の正の選択、および/またはCD38を発現する細胞の負の選択、および/または非NK細胞マーカー、例えばT細胞マーカーを発現する細胞の負の選択、例えばCD3を発現する細胞の負の選択(CD3neg)を含む。例えばいくつかの態様において、単離は、CD56を発現する細胞、CD16を発現する細胞もしくはCD57を発現する細胞の正の選択、および/または非NK細胞マーカー、例えばT細胞マーカーを発現する細胞の負の選択、例えばCD3を発現する細胞の負の選択(CD3neg)を含む。いくつかの態様において、単離は、CD56を発現する細胞、CD16を発現する細胞もしくはCD57を発現する細胞の正の選択、および/またはCD38(CD38neg)、CD161(CD161neg)、NKG2A(NKG2Aneg)を発現する細胞の負の選択、および/またはCD3を発現する細胞の負の選択(CD3neg)を含む。いくつかの態様において選択はCD3陰性(CD3neg)である細胞の単離を含む。
【0130】
いくつかの態様において、単離は、CD3を発現する細胞の負の選択(CD3neg)およびCD56を発現する細胞の正の選択(CD56pos)を含む。いくつかの態様において、選択は、CD38を発現する細胞の負の選択(CD38neg)をさらに含むことができる。特定の態様において、単離または選択される細胞はCD3negCD56posCD38negである。
【0131】
いくつかの態様において、選択は、CD3を発現する細胞の負の選択(CD3neg)、CD56を発現する細胞の正の選択(CD56pos)と、それに続くNKG2A(NKG2Aneg)およびCD161(CD161neg)を発現する細胞の負の選択を含む。特定の態様において、単離または選択される細胞はCD3negCD56posNKG2AnegCD161negである。
【0132】
いくつかの態様において、選択は、CD3を発現する細胞の負の選択(CD3neg)およびCD57を発現する細胞の正の選択(CD57pos)を含む。特定の態様において、単離または選択される細胞はCD3negCD57posである。
【0133】
いくつかの態様において、選択は、CD3を発現する細胞の負の選択(CD3neg)およびCD16を発現する細胞の正の選択(CD16pos)を含む。特定の態様において、単離または選択される細胞はCD3negCD16posである。提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞は、g-NK代用表面マーカープロファイルを有する細胞である。いくつかの態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。いくつかの態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはNKG2Aneg/CD161negである。任意のそのような態様の一部において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD38negである。任意のそのような態様の一部において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。特定の態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD45pos/CD3neg/CD56pos/CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを含む。別の特定態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD45pos/CD3neg/CD56pos/NKG2Aneg/CD161negを含む。別の特定態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD45pos/CD3neg/CD56pos/CD38negを含む。
【0134】
いくつかの態様において、細胞を、例えば1種または複数種の細胞表面マーカーの発現に基づく正の選択または負の選択などによって、単離、選択および/または濃縮する方法は、免疫親和性に基づく選択を含むことができる。いくつかの態様において、免疫親和性に基づく選択は、PBMCなどの細胞を含有する試料を、1種または複数種の細胞表面マーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーと接触させる工程を含む。いくつかの態様では、正の選択および/または負の選択のための細胞の分離が可能になるように、抗体または結合パートナーは、固形支持体またはマトリックス、例えば球体またはビーズ、例えばアガロースを含むマイクロビーズ、ナノビーズ、磁気ビーズまたは常磁性ビーズに結合される。いくつかの態様において、球体またはビーズは、免疫親和性クロマトグラフィーを達成するためにカラムに充填することができ、この場合は、PBMCなどの細胞を含有する試料をカラムのマトリックスと接触させ、次に、そこから溶出または遊離させる。
【0135】
インキュベーションは、一般的には、磁気粒子または磁気ビーズに取り付けられた、そのような抗体または結合パートナーに特異的に結合する抗体または結合パートナーが、試料内の細胞上に細胞表面分子がもし存在するのであれば、それに特異的に結合するような条件下で、実行される。
【0136】
いくつかの局面では、試料を磁場に置くと、磁気応答性粒子または磁化可能粒子が取り付けられた細胞は磁石に引き寄せされ、非標識細胞から分離されることになる。正の選択の場合は、磁石に引き寄せられた細胞が保持され、負の選択の場合は引き寄せられなかった細胞(非標識細胞)が保持される。いくつかの局面では、同じ選択工程中に正の選択と負の選択の組み合わせが行われ、その場合は、正の画分と負の画分が保持されて、さらに処理されるか、さらなる分離工程に供される。
【0137】
いくつかの態様では、続いてインキュベートおよび/または培養される細胞に磁気応答性粒子を取り付けたままにしておき、いくつかの局面では、患者に投与される細胞に粒子を取り付けたままにしておく。いくつかの態様では、磁化可能粒子または磁気応答性粒子が細胞から除去される。磁化可能粒子を細胞から除去するための方法は公知であり、例えば競合非標識抗体、切断可能リンカーにコンジュゲートされた磁化可能粒子または抗体の使用が挙げられる。いくつかの態様において、磁化可能粒子は生分解性である。
【0138】
いくつかの態様において、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(magnetic-activated cell sorting)(MACS)(Miltenyi Biotech、カリフォルニア州オーバーン)による。磁気活性化細胞選別(MACS)システムでは、磁化粒子が取り付けられている細胞の高純度選択が可能である。一定の態様において、MACSは、外部磁場の適用後に非標的種と標的種とを逐次的に溶出させるモードで作動する。すなわち、磁化粒子に取り付けられた細胞は、取り付けられていない種が溶出される間は、その場に保持される。次に、この第1溶出工程が完了した後に、磁場に捕捉されて溶出が妨げられていた種が、それらを溶出させ回収することができるように、何らかの方法で解放される。一定の態様では、非標的細胞を標識して、不均一な細胞集団から枯渇させる。
【0139】
そのような態様のいずれかの一部において、本方法は、NK細胞またはそのサブセットを、濃縮、例えば選択しおよび/または単離する前に、IL-12、IL-15、IL-18、IL-2および/またはCCL5を対象に投与する工程を含む。
【0140】
提供される方法の諸態様において、濃縮NK細胞はフィーダー細胞の存在下で、例えばNK細胞サブセットの、特にg-NK細胞サブセットの、増殖および増大を支援するための条件下で、インキュベートまたは培養される。
【0141】
特定局面において、フィーダー細胞は、NKG2C+細胞の増大を刺激もしくは促進しおよび/またはNKG2A+細胞の増大を抑制する細胞を含む。いくつかの態様において、フィーダー細胞は、HLA-EまたはHLA-A2シグナル配列を含有するハイブリッドHLA-Eを発現しまたはトランスフェクトされた細胞である。例えば、そのようなハイブリッドの典型例は、HLA-A2などのMHCクラスIプロモーターおよびシグナル配列、ならびにHLA-E成熟タンパク質配列を含有するAEHハイブリッド遺伝子であり、これは、場合によっては、HLA-E遺伝子がコードするものと同一であるが、細胞表面上に安定に発現されうる成熟タンパク質をもたらすことができる(例えばLee et al.(1998)Journal of Immunology,160:4951-4960参照)。いくつかの態様において、細胞は、HLA-A2などのMHCクラスIリーダー配列の存在下で安定化されたMHC-E分子を発現するようにトランスフェクトされたLCL 721.221、K562細胞またはRMA-S細胞である。HLA-A2などのMHCクラスIリーダー配列ペプチドの存在下で安定化された細胞表面HLA-Eを発現するように工学的に操作された細胞株は、当技術分野において公知である(Lee et al.(1998)Journal of Immunology,160:4951-4960、Zhongguo et al.(2005)13:464-467、Garcia et al.(2002)Eur J. Immunol.,32:936-944)。いくつかの態様において、照射221.AEH細胞、または本来であればHLA陰性であるK562などの他の任意のHLA-Eトランスフェクト細胞株を、フィーダー細胞として使用することができる。本明細書において提供される方法において使用するためのそのような細胞株の典型例は、221-AEH細胞である。
【0142】
特定の態様において、培養に加えられるHLA-E発現フィーダー細胞、例えば221.AEH細胞は、例えばガンマ照射などにより、非分裂性である。いくつかの態様において、HLA-E発現フィーダー細胞には、細胞分裂を阻止するために、約1000~10000ラド、例えば1000~5000ラドの範囲のガンマ線が照射される。いくつかの態様において、HLA-E発現フィーダー細胞には、細胞分裂を阻止するために、約10Gy~100Gy、例えば10~50Gyの範囲のガンマ線が照射される。
【0143】
いくつかの態様において、濃縮され、選択されおよび/または単離されたNK細胞は、HLA-E発現フィーダー細胞(例えば221.AEH細胞)、例えば照射されたその集団の存在下、1:10超または約1:10超のHLA-Eフィーダー細胞(例えば221.AEH細胞)、例えば照射されたその集団、対濃縮NK細胞である、フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比で、例えば1:10または約1:10から、10:1または約10:1の前記フィーダー細胞対濃縮NK細胞で、インキュベートまたは培養される。
【0144】
いくつかの態様において、HLA-E発現フィーダー細胞(例えば221.AEH細胞)、例えば照射されたその集団の比は、1:10もしくは約1:10から、10:1もしくは約10:1、1:10もしくは約1:10から、5:1もしくは約5:1、1:10もしくは約1:10から、2.5:1もしくは約2.5:1、1:10もしくは約1:10から、1:1もしくは約1:1、1:10もしくは約1:10から、1:2.5もしくは約1:2.5、1:10もしくは約1:10から、1:5もしくは約1:5、1:5もしくは約1:5から、10:1もしくは約10:1、1:5もしくは約1:5から、5:1もしくは約5:1、1:5もしくは約1:5から、2.5:1もしくは約2.5:1、1:5もしくは約1:5から、1:1もしくは約1:1、1:5もしくは約1:5から、1:2.5もしくは約1:2.5、1:2.5もしくは約1:2.5から、10:1もしくは約10:1、1:2.5もしくは約1:2.5から、5:1もしくは約5:1、1:2.5もしくは約1:2.5から、2.5:1もしくは約2.5:1、1:2.5もしくは約1:2.5から、1:1もしくは約1:1、1:1もしくは約1:1から、10:1もしくは約10:1、1:1もしくは約1:1から、5:1もしくは約5:1、1:1もしくは約1:1から、2.5:1もしくは約2.5:1、2.5:1もしくは約2.5:1から、10:1もしくは約10:1、2.5:1もしくは約2.5:1から、5:1もしくは約5:1、または5:1もしくは約5:1から、10:1もしくは約10:1(それぞれ両端の値を含む)である前記フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比である。
【0145】
いくつかの態様において、HLA発現フィーダー細胞(例えば221.AEH細胞)、例えば照射されたその集団の比は、1.25:1、1.5:1、1.75:1、2.0:1、2.25:1、2:5:1、2.75:1、3.0:1、3.25:1、3.5.:1、3.75:1、4.0:1、4.25:1、4.5:1、4.75:1もしくは5:1、または約1.25:1、1.5:1、1.75:1、2.0:1、2.25:1、2:5:1、2.75:1、3.0:1、3.25:1、3.5.:1、3.75:1、4.0:1、4.25:1、4.5:1、4.75:1もしくは5:1、または前記のいずれかの間の任意の値である前記フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比である。いくつかの態様において、HLA発現フィーダー細胞(例えば221.AEH細胞)、例えば照射されたその集団の比は、5:1未満または約5:1未満である前記フィーダー細胞対濃縮細胞の比である。いくつかの態様において、HLA発現フィーダー細胞(例えば221.AEH細胞)、例えば照射されたその集団の比は、1:1~2.5:1または約1:1~2.5:1(両端の値を含む)の比である。いくつかの態様において、HLA発現フィーダー細胞(例えば221.AEH細胞)、例えば照射されたその集団の比は、2.5:1または約2.5:1の比である。
【0146】
いくつかの事例において、出発NK細胞集団が増大前に凍結保存されていた場合、すなわち凍結/解凍を受けている場合は、新鮮NK細胞を使用する方法の場合よりも低い221.AEH対NK細胞比を使用することができる。ここでは、1:1の221.AEH対凍結解凍NK細胞が、2.5:1の221.AEH対新鮮NK細胞比を含有する培養における増大に匹敵する増大をもたらしたことがわかる。いくつかの局面において、この低い比は、培養中のより多数のNK細胞が、より多くの細胞間接触を許すことを保証し、これは、初期の成長および増大を促進するのに役割を果たしうる。いくつかの態様において、試料からのNK細胞の初期濃縮集団が凍結/解凍を受けているものである場合には、2:1~1:2または約2:1~1:2の221.AEH対凍結/解凍NK細胞比が使用される。特定の態様において、比は1:1である。より高い比、例えば2.5:1の221.AEH対凍結/解凍NK細胞を使用することはできるが、その場合は、所望のしきい密度またはしきい数に到達するのに、より長い培養、例えば21日または約21日が必要になりうると理解される。
【0147】
いくつかの態様において、NK細胞は、培養に非分裂末梢血単核球(PBMC)をさらに加えることによって増大される。いくつかの局面において、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ照射PBMCフィーダー細胞を含むことができる。いくつかの態様において、PBMCには、細胞分裂を阻止するために、約1000~10000ラド、例えば1000~5000ラドの範囲のガンマ線が照射される。いくつかの態様において、PBMCには、細胞分裂を阻止するために、約10Gy~100Gy、例えば10~50Gyの範囲のガンマ線が照射される。いくつかの局面において、インキュベーションの少なくとも一部分の期間中、照射フィーダー細胞が、非分裂(例えば照射)HLA-E発現フィーダー細胞と同時に、培養培地中に存在する。いくつかの局面において、非分裂(例えば照射)PBMCフィーダー細胞、HLA-E発現フィーダー細胞および濃縮NK細胞は、同じ日に、例えばインキュベーションを開始する日に、例えば同じ時間、またはほぼ同じ時間、またはほとんど同じ時間に、培養に加えられる。
【0148】
いくつかの態様において、インキュベーションまたは培養は、フィーダー細胞としての照射PBMCの存在下で、さらに行われる。いくつかの態様において、照射PBMCフィーダー細胞は、濃縮NK細胞が単離または選択された対象にとって自家である、または濃縮NK細胞が単離または選択された対象と同じ対象に由来する。特定の態様において、PBMCは、NK細胞を濃縮するために使用したものと同じ生物学的試料、例えば全血または白血球アフェレーシス産物もしくはアフェレーシス産物から得られる。いったん得られたら、上述したNK細胞の濃縮に先立って、PBMCの一部を照射用にとっておく。
【0149】
いくつかの態様において、照射PBMCは、フィーダー細胞として、1:10もしくは約1:10から、10:1もしくは約10:1、1:10もしくは約1:10から、5:1もしくは約5:1、1:10もしくは約1:10から、2.5:1もしくは約2.5:1、1:10もしくは約1:10から、1:1もしくは約1:1、1:10もしくは約1:10から、1:2.5もしくは約1:2.5、1:10もしくは約1:10から、1:5もしくは約1:5、1:5もしくは約1:5から、10:1もしくは約10:1、1:5もしくは約1:5から、5:1もしくは約5:1、1:5もしくは約1:5から、2.5:1もしくは約2.5:1、1:5もしくは約1:5から、1:1もしくは約1:1、1:5もしくは約1:5から、1:2.5もしくは約1:2.5、1:2.5もしくは約1:2.5から、10:1もしくは約10:1、1:2.5もしくは約1:2.5から、5:1もしくは約5:1、1:2.5もしくは約1:2.5から、2.5:1もしくは約2.5:1、1:2.5もしくは約1:2.5から、1:1もしくは約1:1、1:1もしくは約1:1から、10:1もしくは約10:1、1:1もしくは約1:1から、5:1もしくは約5:1、1:1もしくは約1:1から、2.5:1もしくは約2.5:1、2.5:1もしくは約2.5:1から、10:1もしくは約10:1、2.5:1もしくは約2.5:1から、5:1もしくは約5:1、または5:1もしくは約5:1から、10:1.もしくは約10:1である前記フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比で存在する。
【0150】
いくつかの態様において、照射PBMCは、フィーダー細胞として、1:1または約1:1から、5:1または約5:1、例えば1.25:1、1.5:1、1.75:1、2.0:1、2.25:1、2:5:1、2.75:1、3.0:1、3.25:1、3.5.:1、3.75:1、4.0:1、4.25:1、4.5:1、4.75:1もしくは5:1、または約1.25:1、1.5:1、1.75:1、2.0:1、2.25:1、2:5:1、2.75:1、3.0:1、3.25:1、3.5.:1、3.75:1、4.0:1、4.25:1、4.5:1、4.75:1もしくは5:1、または前記のいずれかの間の任意の値である前記フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比で存在する。いくつかの態様において、照射PBMCは、5:1または約5:1である前記フィーダー細胞対濃縮細胞の比で存在する。
【0151】
特定の態様において、インキュベーションまたは培養の少なくとも一部分の期間中、照射PBMCのうちの1種または複数種の細胞または細胞タイプ、例えばT細胞が活性化され、および/またはインキュベーションもしくは培養は、PBMCフィーダー細胞のうちの1種または複数種のT細胞の活性化を刺激することができる少なくとも1つの刺激作用物質の存在下で実行される。いくつかの態様において、少なくとも1つの刺激作用物質は、TCR複合体のメンバーに特異的に結合する。いくつかの態様において、少なくとも1つの刺激作用物質は、CD3、任意でCD3イプシロンに特異的に結合する。いくつかの局面において、少なくとも1つの刺激作用物質は抗CD3抗体または抗原結合フラグメントである。例示的な抗CD3抗体としてマウス抗ヒトCD3(OKT3)が挙げられる。
【0152】
いくつかの態様において、照射PBMCフィーダー細胞を含むインキュベーションの少なくとも一部分の期間中、抗CD3抗体または抗原結合フラグメントが存在する。いくつかの態様において、抗CD3抗体または抗原結合フラグメントは、照射PBMCと同時またはほぼ同時に、培養またはインキュベーションに加えられる。例えば抗CD3抗体または抗原結合フラグメントは、インキュベーションまたは培養の開始時またはほぼ開始時に加えられる。特定局面において、抗CD3抗体または抗原結合フラグメントは、培養またはインキュベーションの経過中に、例えば培養培地を交換することまたは培養培地を洗い流すことなどによって、除去されるか、その濃度が低減されうる。特定の態様において、本方法は、交換または洗浄後に、抗CD3抗体または抗原結合フラグメントを含む培養培地を再び加えることも補充することも含まない。
【0153】
いくつかの態様において、抗CD3抗体または抗原結合フラグメントは、培養またはインキュベーションの少なくとも一部分の期間中、10ng/mLもしくは約10ng/mLから、5μg/mLもしくは約5μg/mL、例えば10ng/mLもしくは約10ng/mLから、2μg/mLもしくは約2μg/mL、10ng/mLもしくは約10ng/mLから、1μg/mLもしくは約1μg/mL、10ng/mLもしくは約10ng/mLから、500ng/mLもしくは約500ng/mL、10ng/mLもしくは約10ng/mLから、100ng/mLもしくは約100ng/mL、10ng/mLもしくは約10ng/mLから、50ng/mLもしくは約50ng/mL、50ng/mLもしくは約50ng/mLから、5μg/mLもしくは約5μg/mL、例えば50ng/mLもしくは約50ng/mLから、2μg/mLもしくは約2μg/mL、50ng/mLもしくは約50ng/mLから、1μg/mLもしくは約1μg/mL、50ng/mLもしくは約50ng/mLから、500ng/mLもしくは約500ng/mL、50ng/mLもしくは約50ng/mLから、100ng/mLもしくは約100ng/mL、100ng/mLもしくは約100ng/mLから、5μg/mLもしくは約5μg/mL、100ng/mLもしくは約100ng/mLから、2μg/mLもしくは約2μg/mL、100ng/mLもしくは約100ng/mLから、1μg/mLもしくは約1μg/mL、100ng/mLもしくは約100ng/mLから、500ng/mLもしくは約500ng/mL、500ng/mLもしくは約500ng/mLから、5μg/mLもしくは約5μg/mL、500ng/mLもしくは約500ng/mLから、2μg/mLもしくは約2μg/mL、500ng/mLもしくは約500ng/mLから、1μg/mLもしくは約1μg/mL、1μg/mLもしくは約1μg/mLから、5μg/mLもしくは約5μg/mL、1μg/mLもしくは約1μg/mLから、2μg/mLもしくは約2μg/mL、または2μg/mLもしくは約2μg/mLから、5μg/mLもしくは約5μg/mL(それぞれ両端の値を含む)である濃度で加えられ、または存在する。いくつかの態様において、抗CD3抗体または抗原結合フラグメントの濃度は、10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mLもしくは100ng/mL、または約10ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mLまたは100ng/mL、または前記のいずれかの間の任意の値である。いくつかの態様において、抗CD3抗体または抗原結合フラグメントの濃度は、50ng/mLまたは約50ng/mLである。
【0154】
いくつかの態様において、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン(Ig)分子の抗原結合部分またはフラグメント、すなわち抗原に特異的に結合する(抗原と免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子を指す。抗体という用語は、無傷のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけでなく、そのフラグメント、例えばdAb、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、一本鎖抗体(scFv)または単一ドメイン抗体(sdAb)も包含する。通例、「抗原結合フラグメント」は、関心対象の抗原の少なくとも1つのエピトープに結合する免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖のCDRを少なくとも1つは含有する。この点に関して、抗原結合フラグメントは、抗原に結合する可変重鎖(VH)配列および可変軽鎖(VL)配列の1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つすべてのCDRを、例えばVHとVLとを含有する抗体の場合は一般に6つのCDR(重鎖と軽鎖のそれぞれについて「CDR1」、「CDR2」および「CDR3」)を、また単一可変ドメインを含有する抗体の場合は3つのCDRを含みうる。
【0155】
「抗体フラグメント」とは、インタクト抗体のうち、インタクト抗体が結合する抗原に結合する部分を含む、インタクト抗体以外の分子を指す。抗体フラグメントの例として、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、ダイアボディ、線状抗体、可変重鎖(VH)領域、一本鎖抗体分子、例えばscFvおよび単一ドメインVH単一抗体、ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。特定の態様において、抗体は、可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む一本鎖抗体フラグメント、例えばscFvである。
【0156】
いくつかの態様において、インキュベーションまたは培養は、0.05×106もしくは約0.05×106または少なくとも0.05×106もしくは約0.05×106個の濃縮NK細胞/mL、0.1×106もしくは約0.1×106個の濃縮NK細胞/mL、0.2×106もしくは約0.2×106個の濃縮NK細胞/mL、0.5×106もしくは約0.5×106個の濃縮NK細胞/mL、または1.0×106もしくは約1.0×106個の濃縮NK細胞/mLである濃度の上記濃縮NK細胞、例えば選択されおよび/または単離されたNK細胞の存在下で開始される。提供される方法の諸態様において、インキュベーションまたは培養は、0.05×106もしくは約0.05×106個の濃縮NK細胞/mLから、1.0×106もしくは約1.0×106個の濃縮NK細胞/mL、例えば0.05×106もしくは約0.05×106個の濃縮NK細胞/mLから、0.75×106もしくは約0.75×106、0.05×106もしくは約0.05×106個の濃縮NK細胞/mLから、0.5×106もしくは約0.5×106、0.05×106もしくは約0.05×106個の濃縮NK細胞/mLから、0.20×106もしくは約0.20×106個の濃縮NK細胞/mL、0.05×106もしくは約0.05×106個の濃縮NK細胞/mLから、0.1×106もしくは約0.1×106個の濃縮NK細胞/mL、0.1×106もしくは約0.1×106個の濃縮NK細胞/mLから、1.0×106もしくは約1.0×106個の濃縮NK細胞/mL、0.1×106もしくは約0.1×106個の濃縮NK細胞/mLから、0.75×106もしくは約0.75×106、0.1×106もしくは約0.1×106個の濃縮NK細胞/mLから、0.5×106もしくは約0.5×106、0.1×106もしくは約0.1×106個の濃縮NK細胞/mLから、0.20×106もしくは約0.20×106個の濃縮NK細胞/mL、0.20×106もしくは約0.20×106個の濃縮NK細胞/mLから、1.0×106もしくは約1.0×106個の濃縮NK細胞/mL、0.20×106もしくは約0.20×106個の濃縮NK細胞/mLから、0.75×106もしくは約0.75×106、0.20×106もしくは約0.20×106個の濃縮NK細胞/mLから、0.5×106もしくは約0.5×106、0.5×106もしくは約0.5×106個の濃縮NK細胞/mLから、1.0×106もしくは約1.0×106個の濃縮NK細胞/mL、0.5×106もしくは約0.5×106個の濃縮NK細胞/mLから、0.75×106もしくは約0.75×106、0.75×106もしくは約0.75×106個の濃縮NK細胞/mLから、1.0×106もしくは約1.0×106個の濃縮NK細胞/mL(それぞれ両端の値を含む)である濃度の上記濃縮NK細胞、例えば選択されおよび/または単離されたNK細胞の存在下で開始される。いくつかの態様において、インキュベーションまたは培養は、0.2×106または約0.2×106個の濃縮NK細胞/mLである濃度の上記濃縮NK細胞、例えば選択されおよび/または単離されたNK細胞の存在下で開始される。任意のそのような態様の一部において、インキュベーションまたは培養の開始時に加えられるまたは存在する濃縮NK細胞、例えば上述のようにPBMCから選択されまたは単離されたものの量は、少なくとも1×105もしくは少なくとも約1×105個の細胞、少なくとも2×105もしくは少なくとも約2×105個の細胞、少なくとも3×105もしくは少なくとも約3×105個の細胞、少なくとも4×105もしくは少なくとも約4×105個の細胞、少なくとも5×105もしくは少なくとも約5×105個の細胞、少なくとも6×105もしくは少なくとも約6×105個の細胞、少なくとも7×105もしくは少なくとも約7×105個の細胞、少なくとも8×105もしくは少なくとも約8×105個の細胞、少なくとも9×105もしくは少なくとも約9×105個の細胞、少なくとも1×106もしくは少なくとも約1×106個の細胞、またはそれ以上である。特定の態様において、濃縮NK細胞、例えば上述のようにPBMCから選択または単離されたものの量は、少なくとも1×106、または少なくとも約1×106、または1×106、または約1×106個の細胞である。
【0157】
これらの態様の一部では、NK細胞を成長因子と共に培養することができる。いくつかの態様によれば、少なくとも1種の成長因子は、SCF、GSK3i、FLT3、IL-2、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18およびIL-21からなる群より選択される成長因子を含む。いくつかの態様によれば、少なくとも1種の成長因子は、IL-2またはIL-7およびIL-15である。いくつかの態様によれば、少なくとも1種の成長因子は、IL-2、IL-21またはIL-7およびIL-15である。いくつかの態様において、成長因子は組換えサイトカイン、例えば組換えIL-2、組換えIL-7、組換えIL-21または組換えIL-15である。
【0158】
特定の態様において、提供される方法は、組換えIL-2の存在下での濃縮NK細胞およびフィーダー細胞のインキュベーションまたは培養を含む。いくつかの態様では、インキュベーションの少なくとも一部分の期間中、組換えIL-2は、1IU/mLもしくは約1IU/mLから、500IU/mLもしくは約500IU/mL、例えば1IU/mLもしくは約1IU/mLから、250IU/mLもしくは約250IU/mL、1IU/mLもしくは約1IU/mLから、100IU/mLもしくは約100IU/mL、1IU/mLもしくは約1IU/mLから、50IU/mLもしくは約50IU/mL、50IU/mLもしくは約50IU/mLから、500IU/mLもしくは約500IU/mL、50IU/mLもしくは約50IU/mLから、250IU/mLもしくは約250IU/mL、50IU/mLもしくは約50IU/mLから、100IU/mLもしくは約100IU/mL、100IU/mLもしくは約100IU/mLから、500IU/mLもしくは約500IU/mL、100IU/mLもしくは約100IU/mLから、250IU/mLもしくは約250IU/mL、または250IU/mLもしくは約250IU/mLから、500IU/mLもしくは約500IU/mL(それぞれ両端の値を含む)の濃度で存在する。いくつかの態様において、インキュベーションの少なくとも一部分の期間中、IL-2の濃度は50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、125IU/mL、150IU/mL、200IU/mL、または約50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、125IU/mL、150IU/mL、200IU/mL、または前記のいずれかの間の任意の値である。特定の態様において、組換えIL-2の濃度は100IU/mLまたは約100IU/mLである。
【0159】
特定の態様において、提供される方法は、組換えIL-21の存在下での濃縮NK細胞およびフィーダー細胞のインキュベーションまたは培養を含む。いくつかの態様では、インキュベーションの少なくとも一部分の期間中、組換えIL-21は、1IU/mLもしくは約1IU/mLから、500IU/mLもしくは約500IU/mL、例えば1IU/mLもしくは約1IU/mLから、250IU/mLもしくは約250IU/mL、1IU/mLもしくは約1IU/mLから、100IU/mLもしくは約100IU/mL、1IU/mLもしくは約1IU/mLから、50IU/mLもしくは約50IU/mL、50IU/mLもしくは約50IU/mLから、500IU/mLもしくは約500IU/mL、50IU/mLもしくは約50IU/mLから、250IU/mLもしくは約250IU/mL、50IU/mLもしくは約50IU/mLから、100IU/mLもしくは約100IU/mL、100IU/mLもしくは約100IU/mLから、500IU/mLもしくは約500IU/mL、100IU/mLもしくは約100IU/mLから、250IU/mLもしくは約250IU/mL、または250IU/mLもしくは約250IU/mLから、500IU/mLもしくは約500IU/mL(それぞれ両端の値を含む)の濃度で存在する。いくつかの態様において、インキュベーションの少なくとも一部分の期間中、組換えIL-21の濃度は50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、125IU/mL、150IU/mL、200IU/mL、または約50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、125IU/mL、150IU/mL、200IU/mL、または前記のいずれかの間の任意の値である。特定の態様において、組換えIL-21の濃度は100IU/mLまたは約100IU/mLである。
【0160】
いくつかの態様において、本方法は、培養培地を交換する工程を含み、これはいくつかの局面では、細胞を洗浄する工程を含む。例えば培養またはインキュベーションの少なくとも一部分の期間中、培養培地は間欠的に、例えば毎日、1日おき、3日ごと、または1週間に1回、交換しまたは洗い流すことができる。特定の態様において、培養培地の交換または洗い流しは、培養の開始後3日~7日以内または約3日~7日以内に、例えば3日目、4日目、5日目、6日目もしくは7日目または約3日目、4日目、5日目、6日目もしくは7日目に開始される。特定の態様において、培養培地の交換または洗い流しは、5日目または約5日目から開始される。
【0161】
培養培地が除去されまたは洗い流されたら、培養培地が補充される。いくつかの態様において、補充される培養培地は、組換えIL-2などの1種または複数種の成長因子またはサイトカインを含む。したがって、いくつかの態様では、インキュベーションまたは培養中に、成長因子またはサイトカイン、例えば組換えIL-2が間欠的に加えられる。いくつかのそのような局面において、成長因子またはサイトカイン、例えば組換えIL-2は、培養またはインキュベーションの開始時またはほぼ開始時に加えられ、その後、培養またはインキュベーション中は間欠的に、例えば培養培地を交換または洗い流すたびに加えられる。いくつかの態様において、成長因子またはサイトカイン、例えば組換えIL-2は、0日目(インキュベーションの開始日)を始まりとして培養またはインキュベーションに添加され、培養培地の交換または洗い流しごとに、成長因子またはサイトカイン、例えば組換えIL-2を培養またはインキュベーションに補充するために、さらに加えられる。いくつかの態様において、本方法は、インキュベーションの開始時(0日目)と、インキュベーションの継続期間中は培養培地の洗浄または交換のたびに2または3日ごとに、例えば培養またはインキュベーションの5日目、7日目、9日目、11日目および14日目または約5日目、7日目、9日目、11日目および14日目に、組換えIL-2を加える工程を含む。そのような態様のいずれにおいても、組換えIL-2は、1IU/mLもしくは約1IU/mLから、500IU/mLもしくは約500IU/mL、例えば1IU/mLもしくは約1IU/mLから、250IU/mLもしくは約250IU/mL、1IU/mLもしくは約1IU/mLから、100IU/mLもしくは約100IU/mL、1IU/mLもしくは約1IU/mLから、50IU/mLもしくは約50IU/mL、50IU/mLもしくは約50IU/mLから、500IU/mLもしくは約500IU/mL、50IU/mLもしくは約50IU/mLから、250IU/mLもしくは約250IU/mL、50IU/mLもしくは約50IU/mLから、100IU/mLもしくは約100IU/mL、100IU/mLもしくは約100IU/mLから、500IU/mLもしくは約500IU/mL、100IU/mLもしくは約100IU/mLから、250IU/mLもしくは約250IU/mL、または250IU/mLもしくは約250IU/mLから、500IU/mLもしくは約500IU/mL(それぞれ両端の値を含む)の濃度で、培養またはインキュベーションに加えられる。いくつかの態様において、組換えIL-2は、50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、125IU/mL、150IU/mL、200IU/mL、または約50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、125IU/mL、150IU/mL、200IU/mL、または前記のいずれかの間の任意の値である濃度で、培養またはインキュベーションに加えられる。特定の態様において、組換えIL-2の濃度は100IU/mLまたは約100IU/mLである。
【0162】
いくつかの態様では、NK細胞の増大において、1種または複数種の追加サイトカイン、例えば限定するわけではないがIL-21、IL-18、IL-7、IL-15および/またはIL-12を、利用することができる。いくつかの態様において、NK細胞の増大において、1種または複数種の追加サイトカイン、例えば限定するわけではないが組換えIL-21、組換えIL-18、組換えIL-7、組換えIL-15および/または組換えIL-12を、利用することができる。
【0163】
提供される方法の諸態様において、培養またはインキュベートする工程は、NK細胞の維持に必要または有用な化学的および物理的条件(例えば温度、気体)を提供することを含む。NK細胞の増殖を支援しうる化学的条件の例としては、典型的には成長(すなわち培養)培地に入れて提供される緩衝液、栄養素、血清、ビタミンおよび抗生物質が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。一態様では、NK培養培地は、10%FCSを含むMEMα、または5%ヒト血清/LiforCell(登録商標)FBS代替品(Lifeblood Products)を含むCellGro SCGM(Cell Genix)を含む。本発明での使用に適した他の培地としては、グラスコー培地(Glascow’s medium)(Gibco、カリフォルニア州カールズバッド)、RPMI培地(Sigma-Aldrich、ミズーリ州セントルイス)またはDMEM(Sigma-Aldrich、ミズーリ州セントルイス)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。例えばMEMα(8.19μMニコチンアミド)、RPMI(8.19μMニコチンアミド)、DMEM(32.78μMニコチンアミド)およびグラスコー培地(16.39μMニコチンアミド)など、培養培地の多くが、ニコチンアミドをビタミン補給物として含有することに留意されたい。
【0164】
いくつかの態様では、例えば細胞がヒト対象に導入(または再導入)される応用などにおいて、培養は、リンパ球培養用のAIM V(商標)無血清培地、MARROWMAX(商標)骨髄培地、または無血清幹細胞成長培地(SCGM)(例えばCellGenix(登録商標)GMP SCGM)などの無血清製剤を使って実行される。そのような培地製剤および補給物は商業的供給源から入手できる。培養物には、最適な生存能、増殖、機能性および/または生残を助長するためにアミノ酸、抗生物質、および/または記述したように他の成長因子サイトカインを補足することができる。いくつかの態様において、無血清培地には、低いパーセンテージのヒト血清、例えば0.5%~10%ヒト血清、例えば5%または約5%ヒト血清も補足しうる。そのような態様において、ヒト血清は、ヒトAB血漿からのヒト血清(ヒトAB血清)または自家血清であることができる。
【0165】
いくつかの態様において、フィーダー細胞および任意でサイトカイン(例えば組換えIL-2)との培養は、ヒトNK細胞の成長または増大に適した温度、例えば少なくとも摂氏約25度、一般的には少なくとも約30度、一般的には摂氏37度または約37度を含む条件下で実行される。いくつかの態様において、培養は5%CO2中、37℃±2で実行される。
【0166】
提供される態様のいずれかの一部において、培養は、本方法が少なくとも2.50×108または少なくとも約2.50×108個のg-NK細胞の増大を達成する時点まで実行される。提供される態様のいずれかの一部において、培養は、本方法が少なくとも5.0×108または少なくとも約5.0×108個のg-NK細胞の増大を達成する時点まで実行される。提供される態様のいずれかの一部において、培養は、本方法が少なくとも1.0×109または少なくとも約1.0×109個のg-NK細胞の増大を達成するまで実行される。提供される態様のいずれかの一部において、培養は、本方法が少なくとも5.0×109または少なくとも約5.0×109個のg-NK細胞の増大を達成する時点まで実行される。
【0167】
提供される態様のいずれかの一部において、培養は、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または約5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または少なくとも5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または少なくとも約5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日間にわたって実行される。いくつかの態様において、培養は14日、または約14日、または少なくとも14日、または少なくとも約14日間にわたって実行される。いくつかの態様において、培養は21日、または約21日、または少なくとも21日、または少なくとも約21日間にわたって実行される。
【0168】
いくつかの態様において、提供される方法は、単離、選択および/または濃縮の前または後のどちらかにおいて、細胞を凍結する、例えば凍結保存する工程を含む。いくつかの態様において、提供される方法は、インキュベーションおよび/または培養の前または後のどちらかにおいて、細胞を凍結する、例えば冷凍保存する工程を含む。いくつかの態様において、本方法は、凍結保護物質の存在下で細胞を凍結保存し、これにより、凍結保存組成物を産生する工程を含む。いくつかの局面において、本方法は、インキュベーションに先だっておよび/または対象への投与に先立って、凍結保存組成物を、凍結保護物質を低減または除去するための条件下で洗浄する工程を含む。いくつかの局面では、さまざまな公知の凍結溶液およびパラメータをいずれも使用しうる。いくつかの態様において、細胞は、最終濃度が12.5%、12.0%、11.5%、11.0%、10.5%、10.0%、9.5%、9.0%、8.5%、8.0%、7.5%、7.0%、6.5%、6.0%、5.5%もしくは5.0%または約12.5%、12.0%、11.5%、11.0%、10.5%、10.0%、9.5%、9.0%、8.5%、8.0%、7.5%、7.0%、6.5%、6.0%、5.5%もしくは5.0%DMSO、または1%~15%、6%~12%、5%~10%もしくは6%~8%DMSOである培地および/または溶液中で、凍結、例えば冷凍または凍結保存される。特定の態様において、細胞は、最終濃度が5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.25%、1.0%、0.75%、0.5%もしくは0.25%または約5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.25%、1.0%、0.75%、0.5%もしくは0.25%HSA、または0.1%~-5%、0.25%~4%、0.5%~2%もしくは1%~2%HSAである培地および/または溶液中で、凍結、例えば冷凍または凍結保存される。ある例では、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適切な細胞凍結培地が使用される。次にこれを、DMSOおよびHSAの最終濃度がそれぞれ10%および4%になるように、培地で1:1希釈する。次いで、一般的には、細胞を、毎分1度または約1度の速度で-80℃または約-80℃まで凍結し、液体窒素貯蔵タンクの気相中で貯蔵する。
【0169】
提供される態様のいずれかの一部において、提供される方法のいずれかによる培養またはインキュベーションは、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または約5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または少なくとも5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または少なくとも約5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日間にわたって実行される。いくつかの態様において、培養は14日、または約14日、または少なくとも14日、または少なくとも約14日間にわたって実行される。いくつかの態様において、培養は21日、または約21日、または少なくとも21日、または少なくとも約21日間にわたって実行される。一定の態様において、培養開始時の濃縮NK細胞が前もって凍結または凍結保存された後に解凍されたものである場合、典型的には、より長い培養継続期間が必要である。培養開始時の細胞の状態、培養の開始時または培養中の細胞の健康状態または生存能力、および/または例えば所望する細胞の応用、例えば治療目的で対象に投与されるべき細胞の用量などに依存する培養終了時の所望のしきい細胞数などといった要因に応じて細胞の最適な培養日数を実験的に決定することは、当業者の水準内にある。
【0170】
提供される方法のいずれかの一部において、本方法は、培養の終了時に、培養の開始時と比較して増加した数のNKG2Cpos細胞を産生する。例えば、培養の開始時と比較した培養の終了時におけるNKG2Cpos細胞の増加は、100倍超もしくは約100倍超、200倍超もしくは約200倍超、300倍超もしくは約300倍超、400倍超もしくは約400倍超、500倍超もしくは約500倍超、600倍超もしくは約600倍超、700倍超もしくは約700倍超、または800倍超もしくは約800倍超であることができる。任意の態様の一部において、増加は1000倍または約1000倍である。任意の態様の一部において、増加は2000倍または約2000倍である。任意の態様の一部において、増加は2500倍または約2500倍である。いくつかの態様において、提供される方法のいずれかによる培養またはインキュベーションは、本方法によって、少なくとも2.50×108もしくは約2.50×108個のNKG2Cpos細胞、少なくとも3.0×108もしくは約3.0×108個のNKG2Cpos細胞、少なくとも4.0×108もしくは約4.0×108個のNKG2Cpos細胞、少なくとも5.0×108もしくは約5.0×108個のNKG2Cpos細胞、少なくとも6.0×108もしくは約6.0×108個のNKG2Cpos細胞、少なくとも7.0×108もしくは約7.0×108個のNKG2Cpos細胞、少なくとも8.0×108もしくは約8.0×108個のNKG2Cpos細胞、少なくとも9.0×108もしくは約9.0×108個のNKG2Cpos細胞、少なくとも1.0×109もしくは約1.0×109個のNKG2Cpos細胞、少なくとも1.5×109もしくは約1.5×109個のNKG2Cpos細胞、少なくとも2.0×109もしくは約2.0×109個のNKG2Cpos細胞、少なくとも3.0×109もしくは約3.0×109個のNKG2Cpos細胞、少なくとも4.0×109もしくは約4.0×109個のNKG2Cpos細胞、少なくとも5.0×109もしくは約5.0×109個のNKG2Cpos細胞、少なくとも1.0×1010もしくは約1.0×1010個のNKG2Cpos細胞、少なくとも1.5×1010もしくは約1.5×1010個のNKG2Cpos細胞、少なくとも2.0×1010もしくは約2.0×1010個のNKG2Cpos細胞、少なくとも2.5×1010もしくは約2.5×1010個のNKG2Cpos細胞、またはそれ以上の増大が達成される時点まで、実行される。
【0171】
提供される方法のいずれかの一部において、本方法は、培養の終了時に、培養の開始時と比較して増加した数のg-NK細胞を産生する。例えば、培養の開始時と比較した培養の終了時におけるg-NK細胞の増加は、100倍超もしくは約100倍超、200倍超もしくは約200倍超、300倍超もしくは約300倍超、400倍超もしくは約400倍超、500倍超もしくは約500倍超、600倍超もしくは約600倍超、700倍超もしくは約700倍超、または800倍超もしくは約800倍超であることができる。任意の態様の一部において、増加は1000倍または約1000倍である。任意の態様の一部において、増加は2000倍または約2000倍である。任意の態様の一部において、増加は2500倍または約2500倍である。いくつかの態様において、提供される方法のいずれかによる培養またはインキュベーションは、本方法によって、少なくとも2.50×108もしくは約2.50×108個のg-NK細胞、少なくとも3.0×108もしくは約3.0×108個のg-NK細胞、少なくとも4.0×108もしくは約4.0×108個のg-NK細胞、少なくとも5.0×108もしくは約5.0×108個のg-NK細胞、少なくとも6.0×108もしくは約6.0×108個のg-NK細胞、少なくとも7.0×108もしくは約7.0×108個のg-NK細胞、少なくとも8.0×108もしくは約8.0×108個のg-NK細胞、少なくとも9.0×108もしくは約9.0×108個のg-NK細胞、少なくとも1.0×109もしくは約1.0×109個のg-NK細胞、少なくとも1.5×109もしくは約1.5×109個のg-NK細胞、少なくとも2.0×109もしくは約2.0×109個のg-NK細胞、少なくとも3.0×109もしくは約3.0×109個のg-NK細胞、少なくとも4.0×109もしくは約4.0×109個のg-NK細胞、少なくとも5.0×109もしくは約5.0×109個のg-NK細胞もしくはそれ以上、少なくとも1.0×1010もしくは約1.0×1010個のg-NK細胞もしくはそれ以上、少なくとも1.5×1010もしくは約1.5×1010個のg-NK細胞もしくはそれ以上、少なくとも2.0×1010もしくは約2.0×1010個のg-NK細胞もしくはそれ以上、または少なくとも2.5×1010もしくは約2.5×1010個のg-NK細胞もしくはそれ以上の増大が達成される時点まで、実行される。
【0172】
いくつかの態様において、提供される方法は、g-NK細胞の優先的増大をもたらす。いくつかの局面において、g-NK細胞は、NK細胞を他のリンパ球または免疫細胞と区別し、g-NK細胞を通常型NK細胞と区別する、1種または複数種のさまざまなマーカーの表面発現の有無またはレベルによって同定される。諸態様において、表面発現は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体で染色し、マーカーへの抗体の結合を検出することによって、決定することができる。類似する方法を実行して細胞内マーカーの発現を評価することもできるが、そのような方法が、典型的には、フローサイトメトリーによって細胞内タンパク質を検出するために、染色に先立って固定化および透過処理のための方法を含む点は異なる。いくつかの態様において、固定化はホルムアルデヒド(例えば0.01%)を使って達成され、続いて、Triton、NP-50、Tween 20、サポニン、ジギトニンまたはLeucopermなどの洗剤(例えば0.1%~1%の洗剤、例えば0.5%または約0.5%)を使って膜を破壊する。
【0173】
抗体および他の結合実体を使ってマーカータンパク質の発現レベルを検出することで、g-NK細胞を同定し、検出しおよび/または単離することができる。適切な抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、フラグメント(例えばFabフラグメント)、一本鎖抗体および他の形態の特異的結合分子を挙げることができる。
【0174】
いくつかの態様において、細胞(例えばNK細胞サブセット)は、細胞内マーカーまたは表面マーカーであることができる特定マーカーの検出可能な存在が、細胞上または細胞中にあるなら、その特定マーカーについて陽性(pos)である。諸態様において、染色が、アイソタイプ対応対照を使ってその他は同一の条件下で同じ手順を実行して検出される染色を実質的に上回るレベルで検出可能であり、および/またはそのマーカーについて陽性であることが公知である細胞と実質的に類似するレベルであり、もしくはいくつかの事例では、それより高いレベルであり、および/またはそのマーカーについて陰性であることが公知である細胞のレベルよりも高いレベルであるなら、表面発現は陽性である。
【0175】
いくつかの態様において、細胞(例えばNK細胞サブセット)は、細胞内マーカーまたは表面マーカーであることができる特定マーカーの検出可能な存在が細胞上または細胞中にないなら、その特定マーカーについて陰性(neg)である。諸態様において、染色が、アイソタイプ対応対照を使ってその他は同一の条件下で同じ手順を実行して検出される染色を実質的に上回るレベルで検出することができず、および/またはそのマーカーについて陽性であることが公知である細胞より実質的に低いレベルであり、および/またはそのマーカーについて陰性であることが公知である細胞と実質的に類似するレベルであるなら、表面発現は陰性である。
【0176】
いくつかの態様において、細胞(例えばNK細胞サブセット)は、細胞上または細胞中での特定マーカーの検出可能な存在が、そのマーカーについて陽性であることが公知の細胞と比較して低いレベルであるなら、その特定マーカーについて低(loまたはmin)発現である。諸態様において、表面発現は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体で染色し、マーカーへの抗体の結合を検出することによって、決定することができ、ここで、染色がそのマーカーについて陽性であることが公知の細胞よりも低いレベルであるならば、使用した方法に依存して表面発現または細胞内発現のいずれかである発現は、低発現である。
【0177】
いくつかの態様において、g-NK細胞は、NK細胞の表現型(例えばCD45pos、CD3negおよび/またはCD56pos)を有し、g-NK細胞サブセットを同定するまたはg-NK細胞サブセットと関連する1種または複数種のマーカーを発現する細胞である。
【0178】
いくつかの態様において、g-NK細胞は、特許出願公開US2013/0295044またはZhang et al.(2013)J. Immunol.,190:1402-1406に記載されているように同定される。
【0179】
いくつかの態様において、g-NK細胞は、実質的なFcRγを発現しないが、ナチュラルキラー細胞のマーカーを少なくとも1種は発現する細胞である。FcRγ鎖(ヒト(Homo sapiens)、高親和性免疫グロブリンγFc受容体Iともいう)のアミノ酸配列はNCBIデータベースにおいてアクセッション番号NP_004097.1(GI:4758344)として入手することができ、SEQ ID NO:1として以下に再掲する。
【0180】
いくつかの態様において、NK細胞のg-NK細胞サブセットは、NK細胞の集団またはNK細胞の部分集団によってFcRγが発現されるかどうかを観察することによって検出することができる。場合により、g-NK細胞はFcRγを発現しない細胞として同定される。FcRγタンパク質は細胞内タンパク質である。したがっていくつかの局面において、FcRγの有無は、細胞内タンパク質の検出を可能にする固定化および透過処理などによる細胞の処理後に検出することができる。いくつかの態様において、細胞は、細胞内検出に先立って、例えば細胞の固定に先立って、1種または複数種の表面マーカー(CD45、CD3および/またはCD56)についてさらに評価される。いくつかの態様において、g-NK細胞は、CD45pos/CD3neg/CD56pos/FcRγnegである細胞として同定され、検出され、濃縮されおよび/または単離される。
【0181】
いくつかの態様において、細胞内染色を使用することなくg-NK細胞の発現を検出することは、例えば試料の細胞を細胞選別または機能アッセイに供する予定がある場合などに役立ちうる。実質的に純粋な細胞集団の正体を確認するために、FcRγの細胞内染色を可能にするための処理、例えば固定および透過処理などを使用することはできるものの、g-NK細胞を同定し、検出しまたは単離する時には、多くの場合、細胞を傷つけずに検出することができる細胞表面マーカーを使用することができる。したがっていくつかの態様において、g-NK細胞は、NK細胞のサブセット間でFcRγの欠如と相関する代用マーカープロファイルを使って同定される。いくつかの態様において、代用マーカープロファイルは、FcRγなどの細胞内タンパク質の有無を評価することが、その細胞の特定の応用に依存して、困難であるか不可能である場合には、特に有用である。
【0182】
本明細書において、細胞表面マーカーの一定の組み合わせは、g-NK細胞表現型、すなわちFcRγの細胞内発現を欠くまたは欠損している細胞と相関し、これにより、細胞を傷つけない方法でg-NK細胞を同定または検出するための代用マーカープロファイルを提供することが見いだされる。いくつかの態様において、本明細書において提供されるg-NK細胞の代用マーカープロファイルは、1種もしくは複数種のマーカーCD16(CD16pos)もしくはCD57(CD57pos)の陽性表面発現ならびに/または1種もしくは複数種のマーカーCD7(CD7dim/neg)、CD161(CD161neg)および/もしくはNKG2A(NKG2Aneg)の低もしくは陰性表面発現に基づく。いくつかの態様において、細胞はさらに、NK細胞の1種または複数種の表面マーカー、例えばCD45、CD3および/またはCD56について評価される。いくつかの態様において、g-NK細胞は、代用マーカープロファイルCD45pos/CD3neg/CD56pos/CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negで同定され、検出され、濃縮されおよび/または単離される。いくつかの態様において、g-NK細胞は、代用マーカープロファイルCD45pos/CD3neg/CD56pos/NKG2Aneg/CD161negで同定され、検出され、濃縮されおよび/または単離される。
【0183】
g-NK細胞の代用マーカープロファイルを使用することによって、細胞の集団を含有する試料中のg-NK細胞を同定または検出するための方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、本方法は、細胞の試料を、1種または複数種のマーカーCD16、CD57、CD7、CD161および/またはNKG2Aに特異的な結合分子、例えば抗体または抗原結合フラグメントと接触させる工程を含む。いくつかの態様において、本方法は、細胞の試料を、CD45、CD3および/またはCD56に特異的な結合分子、例えば抗体または抗原結合フラグメントと接触させる工程を、さらに含む。本方法のいくつかの態様では、1つまたは複数の結合分子を試料と同時に接触させることができる。本方法のいくつかの態様では、1つまたは複数の結合分子を試料と逐次的に接触させることができる。いくつかの態様において、本方法は、接触後に、1つまたは複数の結合分子に結合している細胞を保持しおよび/または結合していない結合分子を試料から分離除去するための条件下での1回または複数回の洗浄を含むことができる。
【0184】
いくつかの態様において、前記1つまたは複数の結合分子、例えば抗体のそれぞれは、マーカー陽性またはマーカー陰性の細胞を検出するために、ラベルに直接的または間接的に取り付けることができる。例えば、抗体などの結合分子は、ラベルにコンジュゲートし、カップリングしまたは連結しうる。ラベルは当業者に周知である。本明細書において想定されるラベルとしては、蛍光色素、蛍光タンパク質、放射性同位体、発色団、金属イオン、金粒子(例えば金コロイド粒子)、銀粒子、強い光散乱特性を持つ粒子、磁性粒子(例えばDynabeads(登録商標)磁気ビーズなどの磁気ビーズ粒子)、ポリペプチド(例えばFLAG(商標)タグ、ヒトインフルエンザヘマグルチニン(HA)タグなど)、ペルオキシダーゼ(例えばセイヨウワサビペルオキシダーゼ)またはホスファターゼ(例えばアルカリホスファターゼ)などの酵素、ストレプトアビジン、ビオチン、発光化合物(例えば化学発光基質)、オリゴヌクレオチド、特異的結合ペア(例えばリガンドとその受容体)のメンバー、および結合分子、例えば抗体を、その抗体に直接的または間接的に取り付けられた場合に、可視化しまたは検出するために使用される当技術分野において周知の他のラベルが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0185】
親和性に基づく方法、例えば免疫親和性に基づく方法、例えば表面マーカーとの関連ではフローサイトメトリーによるものなど、表面マーカーまたは表面タンパク質の発現レベルを評価するためのいくつもの周知の方法を使用しうる。いくつかの態様において、ラベルは発蛍光団であり、g-NK細胞の検出または同定のための方法はフローサイトメトリーによる。いくつかの態様では、多色フローサイトメトリーにより、異なるマーカーのそれぞれに異なるラベルが使用される。
【0186】
いくつかの態様において、本方法は、試料を、CD45、CD3、CD56、CD57、CD7およびCD161に特異的な結合分子と接触させる工程を含む。いくつかのそのような態様において、g-NK細胞は、g-NK細胞代用マーカープロファイルCD45pos/CD3neg/CD56pos/CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを有する細胞として同定されまたは検出される。
【0187】
いくつかの態様において、本方法は、試料を、CD45、CD3、CD56、NKG2AおよびCD161に特異的な結合分子と接触させる工程を含む。いくつかのそのような態様において、g-NK細胞は、g-NK細胞代用マーカープロファイルCD45pos/CD3neg/CD56pos/NKG2Aneg/CD161negを有する細胞として同定されまたは検出される。
【0188】
いくつかの態様において、提供される方法は、g-NKを、例えば提供される方法のいずれかに従って優先的に増大させたg-NK細胞を、単離または濃縮する工程も含むことができる。いくつかのそのような態様では、g-NK細胞の実質的に純粋な集団、例えば90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上を上回るまたは約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上を上回るg-NK細胞、例えば記載するマーカーのパネルまたは組み合わせのいずれかを使って決定されるものを含有する細胞集団を得ることができる。抗体および他の結合分子は、g-NK細胞を単離または濃縮する際に使用されるマーカータンパク質の発現レベルの有無を検出するために使用することができる。いくつかの態様において、単離または濃縮は、蛍光活性化細胞選別(FACs)によって実行される。そのような方法の例において、g-NK細胞は、上述の方法を使って複数の細胞表面マーカーについて細胞を染色するフローサイトメトリーによって同定または検出され、g-NK細胞に関連するマーカーについて陽性または陰性である細胞を収集するために、染色された細胞が流体流で運ばれる。
【0189】
III. 組成物および薬学的製剤
増大されたNK細胞、例えば提供される方法のいずれかによって産生されるものを含有する組成物が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、組成物はNKG2Cpos細胞またはそのサブセットを含有する。いくつかの態様において、組成物はg-NK細胞を含有する。特に、提供される組成物には、g-NK細胞について濃縮された細胞の組成物が含まれる。
【0190】
いくつかの態様において、組成物は、約5~99%のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、または5~99%(両端の値を含む)の任意のパーセンテージのNKG2Cpos細胞またはそのサブセットを含む。いくつかの態様において、組成物は、細胞の単離源となった対象において自然に存在する全NK細胞または全細胞に対するNKG2Cpos細胞またはそのサブセットのパーセンテージと比較して、全NK細胞または全細胞に対して増加したパーセンテージまたはより大きなパーセンテージのNKG2Cposまたはそのサブセットを含むことができる。いくつかの態様では、パーセンテージが、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍、200倍もしくはそれ以上、または少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍、200倍もしくはそれ以上、増加している。
【0191】
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも20%もしくは少なくとも約20%、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも81%もしくは少なくとも約81%、少なくとも82%もしくは少なくとも約82%、少なくとも83%もしくは少なくとも約83%、少なくとも84%もしくは少なくとも約84%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも86%もしくは少なくとも約86%、少なくとも87%もしくは少なくとも約87%、少なくとも88%もしくは少なくとも約88%、少なくとも89%もしくは少なくとも約89%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも91%もしくは少なくとも約91%、少なくとも92%もしくは少なくとも約92%、少なくとも93%もしくは少なくとも約93%、少なくとも94%もしくは少なくとも約94%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または実質的に100%のNKG2Cpos細胞またはそのサブセットを含むことができる。いくつかの態様において、組成物は50%超のNKG2Cpos細胞またはそのサブセットを含む。別の一態様において、組成物は70%超のNKG2Cpos細胞またはそのサブセットを含む。別の一態様において、組成物は80%超のNKG2Cpos細胞またはそのサブセットを含む。いくつかの態様において、提供される組成物には、NKG2Cpos細胞またはそのサブセットが、組成物中の細胞の、または組成物中のNK細胞の、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%またはそれ以上を構成するものが含まれる。
【0192】
いくつかの態様において、組成物は、約5~99%のg-NK細胞、または5~99%(両端の値を含む)の任意のパーセンテージのg-NK細胞を含む。いくつかの態様において、組成物は、細胞の単離源となった対象において自然に存在する全NK細胞または全細胞に対するg-NKのパーセンテージと比較して、全NK細胞または全細胞に対して増加したパーセンテージまたはより大きなパーセンテージのg-NK細胞を含むことができる。いくつかの態様では、パーセンテージが、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍、200倍もしくはそれ以上、または少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍、200倍もしくはそれ以上、増加している。
【0193】
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも20%もしくは少なくとも約20%、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも81%もしくは少なくとも約81%、少なくとも82%もしくは少なくとも約82%、少なくとも83%もしくは少なくとも約83%、少なくとも84%もしくは少なくとも約84%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも86%もしくは少なくとも約86%、少なくとも87%もしくは少なくとも約87%、少なくとも88%もしくは少なくとも約88%、少なくとも89%もしくは少なくとも約89%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも91%もしくは少なくとも約91%、少なくとも92%もしくは少なくとも約92%、少なくとも93%もしくは少なくとも約93%、少なくとも94%もしくは少なくとも約94%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または実質的に100%のg-NK細胞を含むことができる。いくつかの態様において、組成物は50%超のg-NK細胞を含む。別の一態様において、組成物は70%超のg-NK細胞を含む。別の一態様において、組成物は80%超のg-NK細胞を含む。いくつかの態様において、提供される組成物には、g-NK細胞が、組成物中の細胞の、または組成物中のNK細胞の、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%またはそれ以上を構成するものが含まれる。
【0194】
いくつかの態様において、組成物はナチュラルキラー(NK)細胞サブセットの集団を含み、組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも55%もしくは少なくとも約55%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、CD57posであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する。いくつかの態様では、組成物中の細胞の70%または約70%から、90%または約90%が表現型CD57posである。いくつかの態様では、組成物中の細胞の少なくとも72%もしくは少なくとも約72%、少なくとも74%もしくは少なくとも約74%、少なくとも76%もしくは少なくとも約76%、少なくとも78%もしくは少なくとも約78%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも82%もしくは少なくとも約82%、少なくとも84%もしくは少なくとも約84%、少なくとも86%もしくは少なくとも約86%、少なくとも88%もしくは少なくとも約88%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも92%もしくは少なくとも約92%、少なくとも94%もしくは少なくとも約94%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、または少なくとも98%もしくは少なくとも約98%が表現型CD57posを有する。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも60%または少なくとも約60%が表現型CD57posを含む。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が表現型CD57posを含む。いくつかの態様において、表現型は表面表現型CD3negをさらに含む。いくつかの態様において、表現型は表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。提供される態様のいずれかの一部では、そのような表現型を有する細胞のうち、50%超がFcRγnegであり、任意で50%~90%または約50%~90%がFcRγnegである。提供される態様のいずれかの一部では、そのような表現型を有する細胞のうち、70%がFcRγnegであり、任意で70%~90%または約70%~90%がFcRγnegである。
【0195】
いくつかの態様において、組成物はナチュラルキラー(NK)細胞サブセットの集団を含み、組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも55%もしくは少なくとも約55%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する。いくつかの態様では、組成物中の細胞の70%または約70%から、90%または約90%が、表現型CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを有する。いくつかの態様では、組成物中の細胞の少なくとも72%もしくは少なくとも約72%、少なくとも74%もしくは少なくとも約74%、少なくとも76%もしくは少なくとも約76%、少なくとも78%もしくは少なくとも約78%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも82%もしくは少なくとも約82%、少なくとも84%もしくは少なくとも約84%、少なくとも86%もしくは少なくとも約86%、少なくとも88%もしくは少なくとも約88%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも92%もしくは少なくとも約92%、少なくとも94%もしくは少なくとも約94%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、または少なくとも98%もしくは少なくとも約98%が、表現型CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを有する。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも60%または少なくとも約60%が表現型CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを含む。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が表現型CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negを含む。いくつかの態様において、表現型は表面表現型CD3negをさらに含む。いくつかの態様において、表現型は表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。提供される態様のいずれかの一部では、そのような表現型を有する細胞のうち、50%超がFcRγnegであり、任意で50%~90%または約50%~90%がFcRγnegである。提供される態様のいずれかの一部では、そのような表現型を有する細胞のうち、70%がFcRγnegであり、任意で70%~90%または約70%~90%がFcRγnegである。
【0196】
いくつかの態様において、組成物はナチュラルキラー(NK)細胞サブセットの集団を含み、組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも55%もしくは少なくとも約55%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、CD38negである表現型を有する。いくつかの態様では、組成物中の細胞の70%または約70%から、90%または約90%が表現型CD38negを有する。いくつかの態様では、組成物中の細胞の少なくとも72%もしくは少なくとも約72%、少なくとも74%もしくは少なくとも約74%、少なくとも76%もしくは少なくとも約76%、少なくとも78%もしくは少なくとも約78%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも82%もしくは少なくとも約82%、少なくとも84%もしくは少なくとも約84%、少なくとも86%もしくは少なくとも約86%、少なくとも88%もしくは少なくとも約88%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも92%もしくは少なくとも約92%、少なくとも94%もしくは少なくとも約94%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、または少なくとも98%もしくは少なくとも約98%が、表現型CD38negを有する。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも60%または少なくとも約60%が表現型CD38negを含む。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が表現型CD38negを含む。いくつかの態様において、表現型は表面表現型CD3negをさらに含む。いくつかの態様において、表現型は表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。提供される態様のいずれかの一部では、そのような表現型を有する細胞のうち、50%超がFcRγnegであり、任意で50%~90%または約50%~90%がFcRγnegである。提供される態様のいずれかの一部では、そのような表現型を有する細胞のうち、70%がFcRγnegであり、任意で70%~90%または約70%~90%がFcRγnegである。
【0197】
いくつかの態様において、組成物はナチュラルキラー(NK)細胞サブセットの集団を含み、組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも55%もしくは少なくとも約55%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、CD16posである表現型を有する。いくつかの態様では、組成物中の細胞の70%または約70%から、90%または約90%が表現型CD16posを有する。いくつかの態様では、組成物中の細胞の少なくとも72%もしくは少なくとも約72%、少なくとも74%もしくは少なくとも約74%、少なくとも76%もしくは少なくとも約76%、少なくとも78%もしくは少なくとも約78%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも82%もしくは少なくとも約82%、少なくとも84%もしくは少なくとも約84%、少なくとも86%もしくは少なくとも約86%、少なくとも88%もしくは少なくとも約88%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも92%もしくは少なくとも約92%、少なくとも94%もしくは少なくとも約94%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、または少なくとも98%もしくは少なくとも約98%が表現型CD16posを有する。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも60%または少なくとも約60%が表現型CD16posを含む。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が表現型CD16posを含む。いくつかの態様において、表現型は表面表現型CD3negをさらに含む。いくつかの態様において、表現型は表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。提供される態様のいずれかの一部では、そのような表現型を有する細胞のうち、50%超がFcRγnegであり、任意で50%~90%または約50%~90%がFcRγnegである。提供される態様のいずれかの一部では、そのような表現型を有する細胞のうち、70%がFcRγnegであり、任意で70%~90%または約70%~90%がFcRγnegである。
【0198】
いくつかの態様において、組成物はナチュラルキラー(NK)細胞サブセットの集団を含み、組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも55%もしくは少なくとも約55%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、NKG2Aneg/CD161negであるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する。いくつかの態様では、組成物中の細胞の70%または約70%から、90%または約90%が表現型 NKG2Aneg/CD161negを含む。いくつかの態様では、組成物中の細胞の少なくとも72%もしくは少なくとも約72%、少なくとも74%もしくは少なくとも約74%、少なくとも76%もしくは少なくとも約76%、少なくとも78%もしくは少なくとも約78%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも82%もしくは少なくとも約82%、少なくとも84%もしくは少なくとも約84%、少なくとも86%もしくは少なくとも約86%、少なくとも88%もしくは少なくとも約88%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも92%もしくは少なくとも約92%、少なくとも94%もしくは少なくとも約94%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、または少なくとも98%もしくは少なくとも約98%が表現型NKG2Aneg/CD161negを有する。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも60%または少なくとも約60%が表現型NKG2Aneg/CD161negを含む。提供される態様のいずれかの一部では、組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が表現型NKG2Aneg/CD161negを含む。いくつかの態様において、表現型は表面表現型CD3negをさらに含む。いくつかの態様において、表現型は表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。提供される態様のいずれかの一部では、そのような表現型を有する細胞のうち、50%超がFcRγnegであり、任意で50%~90%または約50%~90%がFcRγnegである。提供される態様のいずれかの一部では、そのような表現型を有する細胞のうち、70%がFcRγnegであり、任意で70%~90%または約70%~90%がFcRγnegである。
【0199】
提供される態様のいずれかの一部において、組成物は106または約106個の細胞から、1012または約1012個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は、106もしくは約106から、1011もしくは約1011個の細胞、106もしくは約106から、1010もしくは約1010個の細胞、106もしくは約106から、109もしくは約109個の細胞、106もしくは約106から、108もしくは約108個の細胞、106もしくは約106から、107もしくは約107個の細胞、107もしくは約107から、1012もしくは約1012個の細胞、107もしくは約107から、1011もしくは約1011個の細胞、107もしくは約107から、1010もしくは約1010個の細胞、107もしくは約107から、109もしくは約109個の細胞、または107もしくは約107から、108もしくは約108個の細胞、108もしくは約108から、1012もしくは約1012個の細胞、108もしくは約108から、1011もしくは約1011個の細胞、108もしくは約108から、1010もしくは約1010個の細胞、108もしくは約108から、109もしくは約109個の細胞、109もしくは約109から、1012もしくは約1012個の細胞、109もしくは約109から、1011もしくは約1011個の細胞、109もしくは約109から、1010もしくは約1010個の細胞、1010もしくは約1010から、1012もしくは約1012個の細胞、1010もしくは約1010から、1011もしくは約1011個の細胞、または1011もしくは約1011から、1012もしくは約1012個の細胞を含む。
【0200】
提供される態様のいずれかの一部において、組成物は少なくとも106または少なくとも約106個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は、106もしくは約106から、1010もしくは約1010個の細胞、106もしくは約106から、109もしくは約109個の細胞、106もしくは約106から、108もしくは約108個の細胞、106もしくは約106から、107もしくは約107個の細胞、107もしくは約107から、1010もしくは約1010個の細胞、107もしくは約107から、109もしくは約109個の細胞、107もしくは約107から、108もしくは約108個の細胞、108もしくは約108から、1010もしくは約1010個の細胞、108もしくは約108から、109もしくは約109個の細胞、または109もしくは約109から、1010もしくは約1010個の細胞を含む。
【0201】
提供される態様のいずれかの一部において、組成物は少なくとも108または少なくとも約108個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は少なくとも109または約109個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は少なくとも1010または約1010個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は少なくとも1011または約1011個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は108または約108から、1011または約1011個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は108または約108から、1010または約1010個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は108または約108から、109または約109個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は109または約109から、1011または約1011個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は109または約109から、1010または約1010個の細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は1010または約1010から、1011または約1011個の細胞を含む。
【0202】
提供される態様のいずれかの一部において、組成物は少なくとも106または約106個のg-NK細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、組成物は、106もしくは約106から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、106もしくは約106から、109もしくは約109個のg-NK細胞、106もしくは約106から、108もしくは約108個のg-NK細胞、106もしくは約106から、107もしくは約107個のg-NK細胞、107もしくは約107から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、107もしくは約107から、109もしくは約109個のg-NK細胞、107もしくは約107から、108もしくは約108個のg-NK細胞、108もしくは約108から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、108もしくは約108から、109もしくは約109個のg-NK細胞、または109もしくは約109から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞を含む。提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞はFcRγnegである。提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞は、g-NK代用表面マーカープロファイルを有する細胞である。いくつかの態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである。いくつかの態様において、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルはNKG2Aneg/CD161negである。提供される態様のいずれかの一部において、g-NK細胞またはg-NK代用マーカープロファイルを有する細胞は、表面表現型CD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む。
【0203】
提供される組成物のいずれかの特定態様において、組成物中の細胞は同じドナーに由来する。したがって組成物は、1または複数の異なるドナーからの細胞の混合集団を含まない。本明細書において提供される増大方法は、一定のNK細胞サブセット、特にg-NK細胞サブセット、またはg-NK細胞のための代用マーカーと関連するかg-NK細胞のための代用マーカーを含むNK細胞サブセット、例えば上述のNK細胞サブセットのいずれかの、500倍もしくは500倍超、600倍もしくは600倍超、700倍もしくは700倍超、800倍もしくは800倍超、900倍もしくは900倍超、1000倍もしくは1000倍超、またはそれ以上の高収率増大をもたらす。任意の態様の一部において、増加は1000倍または約1000倍である。任意の態様の一部において、増加は2000倍または約2000倍である。任意の態様の一部において、増加は2500倍または約2500倍である。特定の態様において、増大は、一定のNK細胞サブセット、特にg-NK細胞サブセット、またはg-NK細胞のための代用マーカーと関連するかg-NK細胞のための代用マーカーを含むNK細胞サブセット、例えば上述のNK細胞サブセットのいずれかの数の、1000倍または約1,000倍の増加をもたらす。
【0204】
場合により、単一ドナーから得られたNK細胞の初期供給源から、提供される方法によって達成される増大により、必要とする対象に投与するための複数回分の用量を与える細胞の組成物が産生されうる。したがって、提供される方法は、同種異系法には特に適している。場合により、提供される方法による一人のドナーから単離された出発NK細胞集団からの1回の増大は、必要とする対象への投与のための20回分超または約20回分超の用量、例えば30回分、40回分、50回分、60回分、70回分、80回分、90回分、100回分、または約30回分、40回分、50回分、60回分、70回分、80回分、90回分、100回分の用量、または前記のいずれかの間の値である回数分の用量をもたらすことができる。いくつかの態様において、1回分の用量は、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kg、例えば1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kg、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、5×106もしくは約5×106個の細胞/kg、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kg、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、1×106もしくは約1×106個の細胞/kg、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、7.5×105もしくは約7.5×105個の細胞/kg、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、5×105もしくは約5×105個の細胞/kg、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、5×106もしくは約5×106個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、1×106もしくは約1×106個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、7.5×105もしくは約7.5×105個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、5×105もしくは約5×105個の細胞/kg、5×105もしくは約5×105個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kg、5×105もしくは約5×105個の細胞/kgから、7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kg、5×105もしくは約5×105個の細胞/kgから、5×106もしくは約5×106個の細胞/kg、5×105もしくは約5×105個の細胞/kgから、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kg、5×105もしくは約5×105個の細胞/kgから、1×106もしくは約1×106個の細胞/kg、5×105もしくは約5×105個の細胞/kgから、7.5×105もしくは約7.5×105個の細胞/kg、1×106もしくは約1×106個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kg、1×106もしくは約1×106個の細胞/kgから、7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kg、1×106もしくは約1×106個の細胞/kgから、5×106もしくは約5×106個の細胞/kg、1×106もしくは約1×106個の細胞/kgから、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kg、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kg、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kgから、7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kg、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kgから、5×106もしくは約5×106個の細胞/kg、5×106もしくは約5×106個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kg、5×106もしくは約5×106個の細胞/kgから、7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kg、または7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kgである。いくつかの態様において、1回分の用量は、5×107もしくは約5×107から、10×109もしくは約10×109、例えば5×107もしくは約5×107から、5×109もしくは約5×109、約5×107もしくは約5×107から、1×109もしくは約1×109、5×107もしくは約5×107から、5×108もしくは約5×108、約5×107もしくは約5×107から、1×108もしくは約1×108、1×108から、10×109もしくは約10×109、1×108もしくは約1×108から、5×109もしくは約5×109、約1×108もしくは約1×108から、1×109もしくは約1×109、1×108もしくは約1×108から、5×108もしくは約5×108、5×108もしくは約5×108から、10×109もしくは約10×109、5×108もしくは約5×108から、5×109もしくは約5×109、約5×108もしくは約5×108から、1×109もしくは約1×109、1×109もしくは約1×109から、10×109もしくは約10×109、1×109もしくは約1×109から、5×109もしくは約5×109、または5×109もしくは約5×109から、10×109もしくは約10×109である。上記の態様のいずれにおいても、用量は、g-NK細胞またはg-NK細胞のための代用マーカーと関連するかg-NK細胞のための代用マーカーを含むNK細胞サブセット、例えば上述のNK細胞サブセットのいずれかの数、または上記いずれかの生存細胞の数として与えられる。上記の態様のいずれにおいても、用量は、本方法によって産生された増大された細胞の組成物中の細胞の数または上記いずれかの生存細胞の数として与えられる。
【0205】
組成物には、投与のための、例えば養子細胞療法のための、薬学的組成物および製剤が含まれる。いくつかの態様において、工学的に操作された細胞は、薬学的に許容される担体と共に製剤化される。
【0206】
薬学的に許容される担体は、医薬としての投与に適合するあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化および吸収遅延剤などを含むことができる(Gennaro,2000,Remington:The science and practice of pharmacy,Lippincott,Williams&Wilkins、ペンシルベニア州フィラデルフィア)。そのような担体または希釈剤の例としては、水、食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。リポソームおよび固定油などの非水性ビヒクルも使用しうる。組成物には補助的な活性化合物も組み入れることができる。薬学的担体は、NK細胞に適するもの、例えば食塩溶液、デキストロース溶液またはヒト血清アルブミンを含む溶液などであるべきである。
【0207】
いくつかの態様において、上述の組成物のための薬学的に許容される担体またはビヒクルは、その中で、生きたNK細胞の投与を可能とするのに十分な時間にわたって、NK細胞を維持することができる、またはNK細胞が生存能を保つことができる、任意の非毒性水性溶液である。例えば薬学的に許容される担体またはビヒクルは食塩溶液または緩衝食塩溶液であることができる。薬学的に許容される担体またはビヒクルは、NK細胞の効力を増加させうるさまざまな生体物質も含むことができる。細胞培地および細胞担体は、例えば多糖類、例えばメチルセルロース(M.C.Tate,D.A.Shear,S.W.Hoffman,D.G.Stein,M.C.LaPlaca,Biomaterials 22,1113,2001、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)、キトサン(Suh J K F,Matthew H W T.Biomaterials,21,2589,2000、Lahiji A,Sohrabi A,Hungerford D S,et al.,J Biomed Mater Res,51,586,2000、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)、N-イソプロピルアクリルアミドコポリマーP(NIPAM-co-AA)(Y.H.Bae,B.Vernon,C.K.Han,S.W.Kim,J.Control.Release 53,249,1998、H.Gappa,M.Baudys,J.J.Koh,S.W.Kim,Y.H.Bae,Tissue Eng.7,35,2001、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)、ならびにポリ(オキシエチレン)/ポリ(D,L-乳酸-co-グリコール酸)(B.Jeong,K.M.Lee,A.Gutowska,Y.H.An,Biomacromolecules 3,865,2002、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)、P(PF-co-EG)(Suggs L J,Mikos A G.Cell Trans,8,345,1999、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)、PEO/PEG(Mann B K,Gobin A S,Tsai A T,Schmedlen R H,West J L.,Biomaterials,22,3045,2001、Bryant S J,Anseth K S.Biomaterials,22,619,2001、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)、PVA(Chih-Ta Lee,Po-Han Kung and Yu-Der Lee、Carbohydrate Polymer,61,348,2005、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)、コラーゲン(Lee C R,Grodzinsky A J,Spector M.,Biomaterials 22,3145,2001、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)、アルギネート(Bouhadir K H,Lee K Y,Alsberg E,Damm K L,Anderson K W,Mooney D J.Biotech Prog 17,945,2001、Smidsrd O,Skjak-Braek G.,Trends Biotech,8,71,1990、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を含むことができる。
【0208】
いくつかの態様において、NK細胞、例えばNKG2Cpos細胞またはそのサブセットは、組成物中に有効量で存在することができる。いくつかの態様において、組成物は、有効量のg-NK細胞、例えばFcRγneg細胞またはそのg-NK代用マーカープロファイルを有する細胞を含有する。細胞の有効量は、患者ならびに疾患のタイプ、重症度および程度によって変動しうる。したがって医師は、対象の健康状態、疾患の程度および重症度、ならびに他の変数を考慮した上で、何が有効量であるかを、決定することができる。
【0209】
一定の態様において、組成物中のそのような細胞の数は、治療有効量である。いくつかの態様において、その量は、動物におけるがん、ウイルス感染症、微生物感染症、または敗血症性ショックに関連する重症度、持続時間および/または症状を低減する量である。いくつかの態様において、治療有効量は、本明細書に記載する組成物を投与された患者または動物において、がんの成長または蔓延を、当該組成物を投与されていない患者(もしくは動物)または患者(もしくは動物)の群におけるがんの成長または蔓延と比較して、少なくとも2.5%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%低減させる細胞の用量である。いくつかの態様において、治療有効量は、がん、ウイルスおよび微生物細胞の成長を阻害または低減する活性をもたらす細胞傷害活性をもたらす量である。
【0210】
いくつかの態様において、組成物は、105もしくは約105から、1012もしくは約1012個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、または105もしくは約105から、108もしくは約108個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、または106もしくは約106から、1012もしくは約1012個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、または108もしくは約108から、1011もしくは約1011個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、または109もしくは約109から、1010もしくは約1010個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセットである量のNKG2Cpos細胞またはそのサブセットを含む。いくつかの態様において、組成物は、105個超もしくは約105個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、106個超もしくは約106個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、107個超もしくは約107個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、108個超もしくは約108個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、109個超もしくは約109個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、1010個超もしくは約1010個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、1011個超もしくは約1011個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、または1012個超もしくは約1012個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセットを含む。いくつかの態様において、そのような量は、ある疾患または状態を有する対象に、例えばがん患者に、投与することができる。
【0211】
いくつかの態様において、組成物は、105もしくは約105から、1012もしくは約1012個のg-NK細胞、または105もしくは約105から、108もしくは約108個のg-NK細胞、または106もしくは約106から、1012もしくは約1012個のg-NK細胞、または108もしくは約108から、1011もしくは約1011個のg-NK細胞、または109もしくは約109から、1010もしくは約1010 g-NK細胞である量のg-NK細胞を含む。いくつかの態様において、組成物は、105個超もしくは約105個超のg-NK細胞、106個超もしくは約106個超のg-NK細胞、107個超もしくは約107個超のg-NK細胞、108個超もしくは約108個超のg-NK細胞、109個超もしくは約109個超のg-NK細胞、1010個超もしくは約1010個超のg-NK細胞、1011個超もしくは約1011個超のg-NK細胞、または1012個超もしくは約1012個超のg-NK細胞を含む。いくつかの態様において、そのような量は、ある疾患または状態を有する対象に、例えばがん患者に、投与することができる。
【0212】
いくつかの態様において、組成物の体積は、少なくとも10mL、50mL、100mL、200mL、300mL、400mLもしくは500mLまたは少なくとも約10mL、50mL、100mL、200mL、300mL、400mLもしくは500mL、例えば10mL~500mLもしくは約10mL~500mL、10mL~200mLもしくは約10mL~200mL、10mL~100mLもしくは約10mL~100mL、10mL~50mLもしくは約10mL~50mL、50mL~500mLもしくは約50mL~500mL、50mL~200mLもしくは約50mL~200mL、50mL~100mLもしくは約50mL~100mL、100mL~500mLもしくは約100mL~500mL、100mL~200mLもしくは約100mL~200mL、または200mL~500mLもしくは約200mL~500mL(それぞれ両端の値を含む)である。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1×105個の細胞/mL、5×105個の細胞/mL、1×106個の細胞/mL、5×106個の細胞/mL、1×107個の細胞/mL、5×107個の細胞/mLもしくは1×108個の細胞/mLまたは少なくとも約1×105個の細胞/mL、5×105個の細胞/mL、1×106個の細胞/mL、5×106個の細胞/mL、1×107個の細胞/mL、5×107個の細胞/mLもしくは1×108個の細胞/mLの細胞密度を有する。いくつかの態様において、組成物の細胞密度は、1×105個の細胞/mL~1×108個の細胞/mLもしくは約1×105個の細胞/mL~1×108個の細胞/mL、1×105個の細胞/mL~1×107個の細胞/mLもしくは約1×105個の細胞/mL~1×107個の細胞/mL、1×105個の細胞/mL~1×106個の細胞/mLもしくは約1×105個の細胞/mL~1×106個の細胞/mL、1×106個の細胞/mL~1×107個の細胞/mLもしくは約1×106個の細胞/mL~1×107個の細胞/mL、1×106個の細胞/mL~1×108個の細胞/mLもしくは約1×106個の細胞/mL~1×108個の細胞/mL、1×106個の細胞/mL~1×107個の細胞/mLもしくは約1×106個の細胞/mL~1×107個の細胞/mL、または1×107個の細胞/mL~1×108個の細胞/mLもしくは約1×107個の細胞/mL~1×108個の細胞/mL(それぞれ両端の値を含む)である。
【0213】
いくつかの態様において、組成物は、薬学的組成物を含めて、無菌である。いくつかの態様において、細胞の単離または濃縮は、例えばエラー、ユーザーハンドリングおよび/または汚染を最小限に抑えるために、閉鎖環境または無菌環境で実行される。いくつかの態様において、無菌性は例えば無菌濾過膜による濾過などによって容易に達成することができる。
【0214】
提供されるNK細胞を凍結保存するのに適した組成物も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、組成物は、凍結保護物質を含む。いくつかの態様において、凍結保護物質は、DMSOおよび/またはsグリセロールであるか、またはDMSOおよび/もしくはsグリセロールを含む。いくつかの態様において、凍結保存用に製剤化された組成物は、例えば-40℃~-150℃の温度範囲、例えばまたは約80℃±6.0℃の範囲での貯蔵など、低温で、例えば極低温で貯蔵することができる。
【0215】
いくつかの態様において、組成物は、患者への投与前に極低温で保存することができる。いくつかの態様において、NK細胞サブセット、例えばg-NK細胞を、例えば提供される方法に従って、単離し、処理し、かつ増大させてから、対象への投与前に、極低温で貯蔵することもできる。
【0216】
小スケールでの極低温における保存のための典型的方法は、例えば米国特許第6,0168,991号に記載されている。小スケールの場合は、前もって冷却しておいた5%ヒトアルブミン血清(HAS)への(例えば約200×106/mlの濃度での)低密度懸濁により、極低温で細胞を保存することができる。そのHAS溶液には等量の20%DMSOを加えることができる。混合物のアリコートをバイアルに入れ、約-80℃の極低温チャンバー内で一晩凍結させることができる。
【0217】
いくつかの態様では、凍結保存されたNK細胞を、融解により、投与のために調製する。いくつかの事例では、NK細胞は、融解後、直ちに対象に投与することができる。そのような態様において、組成物は、さらなる処理が何もなくても、使用準備ができている。他の事例では、NK細胞は融解後に、対象への投与に先だって、例えば薬学的に許容される担体での再懸濁、活性化作用物質または刺激作用物質とのインキュベーションなどによってさらに処理されるか、または活性化され、洗浄され、薬学的に許容される緩衝液に再懸濁される。
【0218】
IV. 処置の方法
対象における疾患または状態を処置するのに使用するための、本明細書記載のg-NK細胞を含む、提供される細胞組成物に関係する組成物および方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、提供される組成物のいずれか、例えばg-NK細胞を含む組成物を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、個体における状態を処置する方法が、本明細書において提供される。特定の態様において、組成物は本明細書において提供される方法によって産生される。そのような方法および使用には、疾患、状態、または障害を有する対象への治療用の細胞またはそれを含有する組成物の投与を伴う治療方法および使用が含まれる。場合により、疾患または障害は腫瘍またはがんである。いくつかの態様において、細胞またはその薬学的組成物は、疾患または障害の処置を達成するために有効量で投与される。使用には、上述の方法および処置における、ならびにそのような治療を実行するための医薬の調製における、細胞またはその薬学的組成物の使用が含まれる。いくつかの態様において、本方法は、これにより、対象における疾患または状態を処置する。
【0219】
いくつかの態様において、処置方法または使用は、提供される方法によって産生される増大されたNK細胞の組成物を含有する有効量の組成物の、個体への投与を伴う。いくつかの態様では、105もしくは約105から、1012もしくは約1012、または105もしくは約105から、108もしくは約108、または106もしくは約106から、1012もしくは約1012、または108もしくは約108から、1011もしくは約1011、または109もしくは約109から、1010もしくは約1010個の前記増大されたNK細胞が、個々の対象に投与される。いくつかの態様では、105個もしくは105個超もしくは約105個超、106個もしくは106個超もしくは約106個超、107個もしくは107個超もしくは約107個超、108個もしくは108個超もしくは約108個超、109個もしくは109個超もしくは約109個超、1010個もしくは1010個超もしくは約1010個超、1011個もしくは1011個超もしくは約1011個超、または1012個もしくは1012個超もしくは約1012個超の前記増大されたNK細胞を含有する細胞の用量が、個体に投与される。いくつかの態様では、1kgあたり106または約106から、1010個の増大されたNK細胞が対象に投与される。
【0220】
いくつかの態様において、処置方法または使用は、セクションIIIに記載のいずれかを含む、提供されるNK細胞組成物のいずれかの有効量の、個体への投与を伴う。いくつかの態様では、105もしくは約105から、1012もしくは約1012、または105もしくは約105から、108もしくは約108、または106もしくは約106から、1012もしくは約1012、または108もしくは約108から、1011もしくは約1011、または109もしくは約109から、1010もしくは約1010個の、提供される組成物のいずれかからのNK細胞が、個々の対象に投与される。いくつかの態様において、105個もしくは105個超もしくは約105個超、106個もしくは106個超もしくは約106個超、107個もしくは107個超もしくは約107個超、108個もしくは108個超もしくは約108個超、109個もしくは109個超もしくは約109個超、1010個もしくは1010個超もしくは約1010個超、1011個もしくは1011個超もしくは約1011個超、または1012個もしくは1012個超もしくは約1012個超の、提供される組成物のいずれかからのNK細胞を含有する細胞の用量が、個体に投与される。いくつかの態様では、1kgあたり106または約106から、1010個の、提供される組成物のいずれかのNK細胞が、対象に投与される。
【0221】
いくつかの態様において、処置方法または使用は、NKG2Cpos細胞またはそのサブセットの集団を含有する組成物の有効量の、個体への投与を伴う。いくつかの態様では、105もしくは約105から、1012もしくは約1012個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、または105もしくは約105から、108もしくは約108個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、または106もしくは約106から、1012もしくは約1012個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、または108もしくは約108から、1011もしくは約1011個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、または109もしくは約109から、1010もしくは約1010個のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット。いくつかの態様では、105個もしくは105個超もしくは約105個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、106個もしくは106個超もしくは約106個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、107個もしくは107個超もしくは約107個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、108個もしくは108個超もしくは約108個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、109個もしくは109個超もしくは約109個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、1010個もしくは1010個超もしくは約1010個超のNKG2Cpos細胞もしくはそのサブセット、1011個もしくは1011個超もしくは約1011個超のNKG2Cpos細胞またはそのサブセット、または1012個もしくは1012個超もしくは約1012個超のNKG2Cpos細胞またはそのサブセットを含有する細胞の用量が、個体に投与される。いくつかの態様では、対象の体重1キログラムあたり106または約106から、1010個のg NKG2Cpos細胞またはそのサブセットが、対象に投与される。
【0222】
いくつかの態様において、処置方法は、g-NK細胞を含有する有効量の組成物を個体に投与する工程を含む。いくつかの態様では、105もしくは約105から、1012もしくは約1012個のg-NK細胞、または105もしくは約105から、108もしくは約108個のg-NK細胞、または106もしくは約106から、1012もしくは約1012個のg-NK細胞、または108もしくは約108から、1011もしくは約1011個のg-NK細胞、または109もしくは約109から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞。いくつかの態様では、105個もしくは105個超もしくは約105個超のg-NK細胞、106個もしくは106個超もしくは約106個超のg-NK細胞、107個もしくは107個超もしくは約107個超のg-NK細胞、108個もしくは108個超もしくは約108個超のg-NK細胞、109個もしくは109個超もしくは約109個超のg-NK細胞、1010個もしくは1010個超もしくは約1010個超のg-NK細胞、1011個もしくは1011個超もしくは約1011個超のg-NK細胞、または1012個もしくは1012個超もしくは約1012個超のg-NK細胞を含有する細胞の用量が、個体に投与される。いくつかの態様では、106または約106から、1010個のg-NK細胞/kgが対象に投与される。
【0223】
いくつかの態様において提供される処置方法または使用のいずれかによる投与のための用量は、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kg、例えば1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kg、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、5×106もしくは約5×106個の細胞/kg、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kg、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、1×106もしくは約1×106個の細胞/kg、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、7.5×105もしくは約7.5×105個の細胞/kg、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、5×105もしくは約5×105個の細胞/kg、1×105もしくは約1×105個の細胞/kgから、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、5×106もしくは約5×106個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、1×106もしくは約1×106個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、7.5×105もしくは約7.5×105個の細胞/kg、2.5×105もしくは約2.5×105個の細胞/kgから、5×105もしくは約5×105個の細胞/kg、5×105もしくは約5×105個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kg、5×105もしくは約5×105個の細胞/kgから、7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kg、5×105もしくは約5×105個の細胞/kgから、5×106もしくは約5×106個の細胞/kg、5×105もしくは約5×105個の細胞/kgから、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kg、5×105もしくは約5×105個の細胞/kgから、1×106もしくは約1×106個の細胞/kg、5×105もしくは約5×105個の細胞/kgから、7.5×105もしくは約7.5×105個の細胞/kg、1×106もしくは約1×106個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kg、1×106もしくは約1×106個の細胞/kgから、7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kg、1×106もしくは約1×106個の細胞/kgから、5×106もしくは約5×106個の細胞/kg、1×106もしくは約1×106個の細胞/kgから、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kg、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kg、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kgから、7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kg、2.5×106もしくは約2.5×106個の細胞/kgから、5×106もしくは約5×106個の細胞/kg、5×106もしくは約5×106個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kg、5×106もしくは約5×106個の細胞/kgから、7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kg、または7.5×106もしくは約7.5×106個の細胞/kgから、1×107もしくは約1×107個の細胞/kgである。いくつかの態様において、用量は、g-NK細胞の数、またはg-NK細胞のための代用マーカーと関連するかg-NK細胞のための代用マーカーを含むNK細胞サブセット、例えば本明細書記載のNK細胞サブセットのいずれかの数、または前記のいずれかの生存細胞の数として与えられる。上記の態様のいずれかにおいて、用量は、提供される方法によって産生される増大された細胞の組成物中の細胞の数、または前記のいずれかの生存細胞の数として与えられる。
【0224】
いくつかの態様において、処置方法または使用のいずれかによる投与のための用量は、5×107もしくは約5×107から、10×109もしくは約10×109、例えば5×107もしくは約5×107から、5×109もしくは約5×109、約5×107もしくは約5×107から、1×109もしくは約1×109、5×107もしくは約5×107から、5×108もしくは約5×108、約5×107もしくは約5×107から、1×108もしくは約1×108、1×108から、10×109もしくは約10×109、1×108もしくは約1×108から、5×109もしくは約5×109、約1×108もしくは約1×108から、1×109もしくは約1×109、1×108もしくは約1×108から、5×108もしくは約5×108、5×108もしくは約5×108から、10×109もしくは約10×109、5×108もしくは約5×108から、5×109もしくは約5×109、約5×108もしくは約5×108から、1×109もしくは約1×109、1×109もしくは約1×109から、10×109もしくは約10×109、1×109もしくは約1×109から、5×109もしくは約5×109、または5×109もしくは約5×109から、10×109もしくは約10×109である。いくつかの態様において、用量は、g-NK細胞の数、またはg-NK細胞のための代用マーカーと関連するかg-NK細胞のための代用マーカーを含むNK細胞サブセット、例えば本明細書記載のNK細胞サブセットのいずれかの数、または前記のいずれかの生存細胞の数として与えられる。上記の態様のいずれかにおいて、用量は、提供される方法によって産生される増大された細胞の組成物中の細胞の数、または前記のいずれかの生存細胞の数として与えられる。
【0225】
いくつかの態様において、増大されたNK細胞を含有する組成物は、提供される方法に従った増大の後すぐに個体に投与される。他の態様では、増大されたNK細胞が、投与に先だって、例えば上述の方法により、貯蔵されるか、培養下での成長によって増大される。例えばNK細胞は、個体への投与に先だって、6ヶ月超、12ヶ月超、18ヶ月超または24ヶ月超にわたって貯蔵することができる。
【0226】
いくつかの態様において、NK細胞およびそのサブセット、例えばg-NK細胞を含有する、提供される組成物は、皮下投与経路、筋肉内投与経路、静脈内投与経路、および/または硬膜外投与経路などの非経口経路を含む任意の好都合な経路で、対象に投与することができる。
【0227】
提供されるNK細胞およびそのサブセット、例えばg-NK細胞、ならびに組成物は、腫瘍もしくは過剰増殖性障害または微生物感染症、例えばウイルス感染症、酵母感染症、真菌感染症、原生動物感染症および/もしくは細菌感染症を持つ個体を処置する方法において使用することができる。提供されるNK細胞およびそのサブセット、例えばg-NK細胞、ならびに組成物で対象を処置する開示の方法は、治療用モノクローナル抗体、例えば抗腫瘍抗原抗体もしくは抗がん抗体、抗ウイルス抗体または抗細菌抗体などと組み合わせることができる。提供されるNK細胞およびそのサブセット、例えばg-NK細胞、ならびに組成物は、動物、例えば哺乳類動物、例えばヒト対象の処置のために投与することができる。
【0228】
いくつかの例において、本方法は、過剰増殖性障害、例えば血液学的悪性疾患または固形腫瘍を処置することを含む。本明細書記載の組成物で処置することができるがんおよび増殖性障害のタイプの例としては、白血病(例えば骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、および慢性リンパ性白血病)、リンパ腫(例えばホジキン病および非ホジキン病)、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、ユーイング腫瘍、大腸癌、膵がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、腎細胞癌、ヘパトーマ、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、異形成および過形成が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。がんの処置および/または防止には、がんに関連する1つまたは複数の症状の軽減、がんの進行の阻害または低減、がんの退縮の促進、および/または免疫応答の増進が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0229】
いくつかの例において、本方法は、ウイルス感染症、例えば体内にウイルスが存在することによって引き起こされる感染症を処置することを含む。ウイルス感染症には慢性または持続性ウイルス感染症が含まれる。これは、宿主に感染し、致命的になる前に、宿主の細胞内で長期間にわたって、通常は数週間、数ヶ月または数年にわたって、複製することができるウイルス感染症である。本発明に従って処置されうる慢性感染症を起こすウイルスとしては、例えばヒトパピローマウイルス(HPV)、単純ヘルペスウイルスおよび他のヘルペスウイルス、B型およびC型肝炎のウイルス、ならびに他の肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、および麻疹ウイルスが挙げられ、これらはいずれも、重大な臨床疾患を生じる場合がある。長期感染は最終的には、患者にとって致命的な疾患の誘導、例えばC型肝炎ウイルスの場合であれば肝がんの誘導につながりうる。本発明に従って処置しうる他の慢性ウイルス感染症としては、エプスタイン・バーウイルス(Epstein Barr virus)(EBV)、ならびに他のウイルス、例えば腫瘍に関連しうるものが挙げられる。
【0230】
本明細書記載の組成物および方法で処置または防止することができるウイルス感染症の例としては、レトロウイルス(例えばヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV)I型およびII型ならびにヒト免疫不全ウイルス(HIV))、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペスウイルス(HSV)I型およびII型、エプスタイン・バン(Epstein-Ban)ウイルスならびにサイトメガロウイルス)、アレナウイルス(例えばラッサ熱ウイルス)、パラミクソウイルス(例えばモルビリウイルス属のウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、およびニューモウイルス)、アデノウイルス、ブニヤウイルス(例えばハンタウイルス)、コルナウイルス(cornavirus)、フィロウイルス(例えばエボラウイルス)、フラビウイルス(例えばC型肝炎ウイルス(HCV)、黄熱ウイルスおよび日本脳炎ウイルス)、ヘパドナウイルス(例えばB型肝炎ウイルス(HBV))、オルソミオウイルス(orthomyovirus)(例えばセンダイウイルスならびにインフルエンザウイルスA、BおよびC)、パポーバウイルス(例えばパピローマウイルス)、ピコルナウイルス(例えばライノウイルス、エンテロウイルスおよびA型肝炎ウイルス)、ポックスウイルス、レオウイルス(例えばロタウイルス)、トガウイルス(例えば風疹ウイルス)、ならびにラブドウイルス(例えば狂犬病ウイルス)によって引き起こされるウイルス感染症が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。ウイルス感染症の処置および/または防止には、該感染症に関連する1つまたは複数の症状を軽減すること、ウイルス複製の阻害、低減もしくは抑制、および/または免疫応答の増進が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0231】
いくつかの態様において、提供されるNK細胞およびそのサブセット、例えばg-NK細胞、ならびに組成物は、酵母感染症または細菌感染症を処置する方法に使用される。例えば、本明細書記載の提供されるg-NK細胞および組成物ならびに方法は、化膿性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、淋菌(Neisseria gonorrhoea)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、臭鼻菌(Klebsiella ozaenae)、クレブシエラ・リノスクレロモチス(Klebsiella rhinoscleromotis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、コレラ菌(Vibrio cholera)、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、カンピロバクター(ビブリオ)・フィタス(Campylobacter(Vibrio)fetus)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、エロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、セレウス菌(Bacillus cereus)、エドワージエラ・タルダ(Edwardsiella tarda)、腸炎エルシニア(Yersinia enterocolitica)、ペスト菌(Yersinia pestis)、仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)、ソンネ赤痢菌(Shigella sonnei)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、フランベジアトレポネーマ(Treponema pertenue)、トレポネーマ・カラテネウム(Treponema carateneum)、ヴァンサンボレリア(Borrelia vincentii)、ライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)、黄疸出血性レプトスピラ(Leptospira icterohemorrhagiae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)、野兎病菌(Francisella tularensis)、ブルセラ・アボルツ(Brucella aborts)、ブタ流産菌(Brucella suis)、ヤギ流産菌(Brucella melitensis)、マイコプラズマ属(Mycoplasma spp.)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazeki)、ツツガムシ病リケッチア(Rickettsia tsutsugumushi)、クラミジア属(Chlamydia spp.)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)またはそれらの組み合わせに関係する感染症を処置することができる。
【0232】
A. 併用療法
いくつかの態様において、本明細書において提供されるg-NK細胞を含有する組成物は、対象における疾患または状態を処置するための1つまたは複数の他の作用物質との併用治療において投与することができる。そのような態様において、本明細書において提供されるg-NK細胞を含有する組成物は、1つまたは複数の他の作用物質の投与前に、またはその投与と同時に、またはその投与に続いて(投与後に)投与することができる。例えば、g-NK細胞は、抗微生物剤、抗ウイルス剤、および他の治療剤と同時に、または逐次的に投与することができる。例示的な併用治療は以下のサブセクションに記載する。
【0233】
1. 抗体併用
いくつかの態様において、本明細書において提供されるg-NK細胞を含有する組成物は、抗体またはFc含有タンパク質によって活性化されるか、抗体またはFc含有タンパク質と接触させると、例えば通常型NK細胞と比較して、増強された活性を呈する。例えば、g-NK細胞は、抗体被覆腫瘍細胞によるCD16の抗体媒介性架橋によって活性化されうる。
【0234】
いくつかの態様では、個体における状態を処置する方法であって、g-NK細胞またはその組成物と抗体とを対象に投与する工程を含む方法が、本明細書において提供される。当業者は、本明細書記載の提供されるg-NK細胞および組成物と共に対象に投与するための適当な治療用(例えば抗がん)モノクローナル抗体を、例えばその個体の特定疾患または特定状態に応じて、選択することができる。適切な抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、フラグメント(例えばFabフラグメント)、一本鎖抗体および他の形態の特異的結合分子を挙げることができる。
【0235】
いくつかの態様において、抗体には、ヒト化抗体またはヒト抗体が、さらに含まれうる。ヒト化型の非ヒト抗体は、非ヒトIgに由来する最小限の配列を含有する、キメラIg、キメラIg鎖またはキメラIgフラグメント(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')2または抗体の他の抗原結合性部分配列)である。いくつかの態様において、抗体はFcドメインを含む。
【0236】
一般に、ヒト化抗体は、非ヒト供給源から導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば「インポート」残基と呼ばれ、それらは通例「インポート」可変ドメインから採用される。ヒト化は、齧歯類のCDRまたはCDR配列で、ヒト抗体の対応する配列を置換することによって達成される(Jones et al.,1986;Riechmann et al.,1988;Verhoeyen et al.,1988)。そのような「ヒト化」抗体は、インタクトなヒト可変ドメインよりもかなり小さな部分が非ヒト種からの対応する配列で置換されている、キメラ抗体(1989)である。実際、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基と場合によってはいくつかのFc残基が齧歯類抗体中の類似する部位からの残基で置換されているヒト抗体である。ヒト化抗体としては、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基で置き換えられている、ヒト抗体(レシピエント抗体)が挙げられる。場合により、対応する非ヒト残基が、ヒト抗体のFvフレームワーク残基を置き換える。「ヒト化抗体」は、レシピエント抗体にもインポートされるCDR配列またはフレームワーク配列にも見いだされない残基を含みうる。一般に、ヒト化抗体は、CDR領域のすべてではないとしても大半が非ヒトIgのそれに対応し、FR領域のすべてではないとしても大半がヒト抗体コンセンサス配列のそれである、少なくとも1つの、典型的には2つの、可変ドメインの実質上すべてを含む。ヒト化抗体は、最適には、抗体定常領域(Fc)の、典型的にはヒト抗体のそれの、少なくとも一部分も含む(Jones et al.,1986;Presta,1992;Riechmann et al.,1988)。
【0237】
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboom et al.,1991;Marks et al.,1991)およびヒトmAbの調製(Boerner et al.,1991;Reisfeld and Sell,1985)を含むさまざまな技法を使って産生することもできる。同様に、内因性抗体遺伝子が部分的にまたは完全に非働化されているトランスジェニック動物へのヒトIg遺伝子の導入を、ヒトAbを合成するために利用することもできる。チャレンジすると、遺伝子の再編成、アセンブリおよび抗体レパトアを含めあらゆる面でヒトに見られるものとよく似たヒト抗体産生が観察される(1997a;1997b;1997c;1997d;1997;1997;Fishwild et al.,1996;1997;1997;2001;1996;1997;1997;1997;Lonberg and Huszar,1995;Lonberg et al.,1994;Marks et al.,1992;1997;1997;1997)。
【0238】
具体的には、本発明の細胞は、腫瘍関連抗原を認識する抗体と共に投与することにより、腫瘍にターゲティングすることができる。本g-NK細胞が、腫瘍関連抗原を認識する多種多様な抗体と共に使用するのに適していることは、当業者には理解されると考えられる。腫瘍関連抗原の非限定的な例として、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD52、CD56、CD70、CD74、CD140、EpCAM、CEA、gpA33、メソテリン、α-フェトプロテイン、ムチン、PDGFR-α、TAG-72、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、細胞分散因子受容体キナーゼ、ガングリオシド、サイトケライン、frizzled受容体、VEGF、VEGFR、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、EGFR、EGFL7、ERBB2(HER2)、ERBB3、フィブロネクチン、HGF、HER3、LOXL2、MET、IGF1R、IGLF2、EPHA3、FR-α、ホスファチジルセリン、シンデカン1、SLAMF7(CD319)、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、ビメンチン、またはテネイシンが挙げられる。いくつかの事例では、抗体が抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)、抗HER2抗体(例えば、セツキシマブ)、抗CD52抗体、抗EGFR抗体、および抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)、抗SLAMF7抗体(例えば、エロツズマブ)である。
【0239】
提供される方法において、g-NK細胞を含む細胞組成物との併用治療で使用することができる非限定的抗体としては、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))、アテゾリズマブ(Tecentriq(商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、デュルバルマブ(Imfinzi(商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、エベロリムス(Afinitor(登録商標))、ペルツズマブ(Perjeta(登録商標))、ado-トラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、デノスマブ(Xgeva(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、オファツムマブ(Arzerra(登録商標))、オビヌツズマブ(Gazyva(登録商標))、ネシツムマブ(Portrazza(商標))、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris(登録商標))、シルツキシマブ(Sylvant(登録商標))、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、ダラツムマブ(Darzalex(商標))、エロツズマブ(Empliciti(商標))、ジヌツキシマブ(Unituxin(商標))、オララツマブ(Lartruvo(商標))、オクレリズマブ、イサツキシマブ、Truxima、Blitzima、Ritemvia、Rituzena、Herzuma、Ruxience、ABP 798、Kanjinti、Ogivry、BI 695500、Novex(RTXM83)、トシツモマブもしくはOntruzant、またはそれらのバイオシミラーが挙げられる。例示的な抗体として、リツキシマブ、トラスツズマブ、アレツズマブ(aletuzumab)、セルツキシマブ(certuximab)、ダラツムマブ、ベルツズマブ、オファツムマブ、ウブリツキシマブ、オカラツズマブまたはエロツズマブが挙げられる。
【0240】
いくつかの態様において、抗体は抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体であることができる。PD-1またはPD-L1を標的とする抗体にはニボルマブ、ペンブロリズマブまたはアテゾリズマブがあるが、それらに限定されるわけではない。
【0241】
選択されたがんタイプに特異的な抗体を選ぶことができ、これにはがんの処置用に承認された任意の抗体が含まれる。例として、乳がん用のトラスツズマブ(Herceptin)、リンパ腫用のリツキシマブ(Rituxan)および頭頸部扁平上皮癌用のセツキシマブ(Erbitux)が挙げられる。当業者は、特定の腫瘍抗原または疾患抗原に結合することのできるFDA承認モノクローナル抗体を熟知しており、それらはいずれも、腫瘍または疾患を処置するために、提供される方法に従って使用することができる。
【0242】
いくつかの態様において、本方法は胃または胃食道接合部の腺癌を処置するための方法であり、抗体はトラスツズマブ(Herceptin(登録商標))またはラムシルマブ(Cyramza(登録商標))である。
【0243】
いくつかの態様において、本方法は膀胱がんを処置するための方法であり、抗体はアテゾリズマブ(Tecentriq(商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、デュルバルマブ(Imfinzi(商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))またはペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))である。
【0244】
いくつかの態様において、本方法は脳のがんを処置するための方法であり、抗体はベバシズマブ(Avastin(登録商標))である。
【0245】
いくつかの態様において、本方法は乳がんを処置するための方法であり、抗体はトラスツズマブ(Herceptin(登録商標))である。
【0246】
いくつかの態様において、本方法は子宮頸がんを処置するための方法であり、抗体はベバシズマブ(Avastin(登録商標))である。
【0247】
いくつかの態様において、本方法は結腸直腸がんを処置するための方法であり、抗体はセツキシマブ(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))またはラムシルマブ(Cyramza(登録商標))である。
【0248】
いくつかの態様において、本方法は内分泌/神経内分泌腫瘍を処置するための方法であり、抗体はアベルマブ(Bavencio(登録商標))である。
【0249】
いくつかの態様において、本方法は頭頸部がんを処置するための方法であり、抗体はセツキシマブ(Erbitux(登録商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、トラスツズマブまたはラムシルマブである。
【0250】
いくつかの態様において、本方法は骨がんを処置するための方法であり、抗体はデノスマブ(Xgeva(登録商標))である。
【0251】
いくつかの態様において、本方法は腎がんを処置するための方法であり、抗体はベバシズマブ(Avastin(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である。
【0252】
いくつかの態様において、本方法は白血病を処置するための方法であり、抗体はリツキシマブ(Rituxan(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、オファツムマブ(Arzerra(登録商標))、オビヌツズマブ(Gazyva(登録商標))またはブリナツモマブ(Blincyto(登録商標))である。
【0253】
いくつかの態様において、本方法は肺がんを処置するための方法であり、抗体はベバシズマブ(Avastin(登録商標))、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、ネシツムマブ(Portrazza(商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはアテゾリズマブ(Tecentriq(商標))である。
【0254】
いくつかの態様において、本方法はリンパ腫を処置するための方法であり、抗体はイブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、シルツキシマブ(Sylvant(登録商標))、オビヌツズマブ(Gazyva(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))またはペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))である。
【0255】
いくつかの態様において、本方法は多発性骨髄腫を処置するための方法であり、抗体はボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、ダラツムマブ(Darzalex(商標))またはエロツズマブ(Empliciti(商標))である。
【0256】
いくつかの態様において、本方法は神経芽細胞腫を処置するための方法であり、抗体はジヌツキシマブ(Unituxin(商標))である。
【0257】
いくつかの態様において、本方法は、卵巣上皮/卵管/原発性腹膜がんを処置するための方法であり、抗体はベバシズマブ(Avastin(登録商標))である。
【0258】
いくつかの態様において、本方法は膵がんを処置するための方法であり、抗体はセツキシマブ(Erbitux(登録商標))またはベバシズマブ(Avastin(登録商標))である。
【0259】
いくつかの態様において、本方法は皮膚がんを処置するための方法であり、抗体はイピリムマブ(Yervoy(登録商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である。
【0260】
いくつかの態様において、本方法は軟部組織肉腫を処置するための方法であり、抗体はオララツマブ(Lartruvo(商標))である。
【0261】
g-NK細胞および追加の作用物質は、逐次的にまたは同時に投与することができる。いくつかの態様において、追加の作用物質は、g-NK細胞の投与前に投与することができる。いくつかの態様において、追加の作用物質は、g-NK細胞の投与後に投与することができる。例えばg-NK細胞は、選択されたがんタイプに特異的な抗体と同時に投与することができる。あるいは、g-NK細胞は、選択されたがんタイプに特異的な抗体が投与される時とは異なる選択された時点で投与することができる。
【0262】
特定の例では、g-NK細胞の集団の前、後または実質上同時に、有効量の抗体が、対象に投与される。いくつかの例では、約0.1mg/kg~約100mg/kg(例えば約0.5~10mg/kg、約1~20mg/kg、約10~50mg/kg、約20~100mg/kg、例えば約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約8mg/kg、約10mg/kg、約16mg/kg、約20mg/kg、約24mg/kg、約36mg/kg、約48mg/kg、約60mg/kg、約75mg/kg、または約100mg/kg)の抗体が、対象に投与される。熟練した臨床家は、特定の抗体、特定の疾患または状態(例えば腫瘍または他の障害)、対象の全身の状態、対象が受けているまたは対象が過去に受けていた任意の追加処置、および他の関連因子を考慮して、抗体の有効量を選択することができる。対象には、本明細書記載のg-NK細胞集団も投与される。抗体およびg-NK細胞集団は、典型的には非経口的に、例えば静脈内に投与されるが、腫瘍へのもしくは腫瘍近くへの注射もしくは注入(局所投与)または腹膜腔への投与も使用することができる。当業者は適当な投与経路を決定することができる。
【0263】
2. サイトカインまたは成長因子
本明細書に提供されるいくつかの態様において、g-NK細胞は、サイトカインおよび/または成長因子と組み合わせて個体に投与することができる。いくつかの態様によれば、前記少なくとも1種の成長因子は、SCF、FLT3、IL-2、IL-7、IL-15、IL-12およびIL-21からなる群より選択される成長因子を含む。特定の態様において、組換えIL-2が対象に投与される。他の特定の態様において、組換えIL-15が対象に投与される。いくつかの態様において、g-NK細胞およびサイトカインまたは成長因子は、逐次的に投与される。例えば、g-NK細胞を最初に投与し、次にサイトカインおよび/または成長因子を投与しうる。いくつかの態様において、g-NK細胞は、サイトカインまたは成長因子と同時に投与される。
【0264】
いくつかの態様において、対象には、NK細胞の生残および/または成長をサポートするために、1種または複数種のサイトカイン(例えばIL-2、IL-15、IL-21および/またはIL-12)が投与される。サイトカインは、NK細胞の前、後、またはNK細胞と実質上同時に投与することができる。いくつかの例では、NK細胞の後に、サイトカインを投与することができる。一具体例では、NK細胞の投与から約1~8時間以内(例えば約1~4時間以内、約2~6時間以内、約4~6時間以内、または約5~8時間以内)に、サイトカインが対象に投与される。
【0265】
3. 化学療法剤および集学的併用療法
いくつかの態様において、提供される方法は、g-NK細胞を、がん治療薬または処置とともに、例えば、化学療法剤または細胞毒性作用物質または他の処置とともに、投与する工程を含むこともできる。
【0266】
いくつかの態様において、提供される方法は、g-NK細胞を、化学療法剤と組み合わせて個体に投与する工程を含むこともできる。いくつかの態様において、化学療法剤は、シクロホスファミド、フルダラビン、メチルプレドナゾン(methyl prednasone)を含みうる。いくつかの態様において、化学療法剤は、サリドマイド;シスプラチン(cis-DDP)、オキサリプラチン、カルボプラチン、アントラセンジオン、ミトキサントロン;ヒドロキシ尿素、メチルヒドラジン誘導体、プロカルバジン(N-メチルヒドラジン、MM)、副腎皮質抑制剤、ミトタン(.omicron.,.rho.'-DDD)、アミノグルテチミド、RXRアゴニスト、ベキサロテン、チロシンキナーゼ阻害剤、イマチニブ、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)、クロラムブシル、エチレンイミン、メチルメラミン、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン(BCNU)、セムスチン(メチル-CCNTJ)、ロムスチン(CCNU)、ストレプトゾシン(ストレプトゾトシン)、DNA合成アンタゴニスト、エストラムスチンホスフェート、トリアジン、ダカルバジン(OTIC、ジメチル-トリアゼノイミダゾールカルボキサミド)、テモゾロミド、葉酸アナログ、メトトレキサート(アメトプテリン)、ピリミジンアナログ、フルオロウラシン(fiuorouracin)(5-フルオロウラシル、5-FU、5FTJ)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン(fluorodeox>'uridine)、FUdR)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ゲムシタビン、プリンアナログ、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン、6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン、TG)、ペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン、デオキシコホルマイシン)、クラドリビンおよびフルダラビン、トポイソメラーゼ阻害剤、アムサクリン、ビンカアルカロイド、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン、タキサン、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、(Abraxane)、タンパク質結合型パクリタキセル(Abraxane(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標));エピポドフィロトキシン、エトポシド、テニポシド、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン、ルビドマイシン)、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン(Doxil)、ブレオマイシン、マイトマイシン(マイトマイシンC)、イダルビシン、エピルビシン、ブセレリン、副腎皮質ステロイド、プレドニゾン、プロゲスチン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、タモキシフェン、アナストロゾール;プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン、フルタミド、ビカルタミド、およびロイプロリドからなる群より選択される。
【0267】
いくつかの態様において、がん治療薬は細胞毒性作用物質、例えば細胞毒性低分子である。いくつかの態様において、がん治療薬は、免疫調節剤、Bcl2阻害剤、P13K阻害剤、低分子プロテアソーム阻害剤、低分子チロシン、低分子サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、アントラシリン(anthracyline)、抗腫瘍製抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、コルチコステロイド、または分化誘導剤(differentiating agent)である。
【0268】
いくつかの態様において、がん治療薬は免疫調節剤である。いくつかの態様において、がん治療薬はサリドマイドまたはその誘導体である。例えば場合により、がん治療薬はレナリドミドまたはポマリドミドである。場合により、がん治療薬はレナリドミドである。
【0269】
いくつかの態様において、がん治療薬はBcl-2阻害剤である。例えばがん治療薬はベネトクラクスであることができる。
【0270】
いくつかの態様において、がん治療薬はP13K阻害剤である。例えばがん治療薬はイデライシブ(Idelaisib)である。
【0271】
いくつかの態様において、がん治療薬は低分子チロシンである。例えばがん治療薬はメシル酸イマチニブであることができる。
【0272】
いくつかの態様において、がん治療薬はサイクリン依存性キナーゼ阻害剤である。例えばがん治療薬はセキシクリブ(Sekiciclib)であることができる。
【0273】
いくつかの態様において、がん治療薬はアルキル化剤である。アルキル化剤の例としては、アルトレタミン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ロムスチン、メルファラン、オキサリプラチン、テモゾロミドまたはチオテパが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0274】
いくつかの態様において、がん治療薬は代謝拮抗物質である。代謝拮抗物質は、RNAおよびDNAの通常のビルディングブロックに取って代わることによってDNAおよびRNAの伸長を妨害する。これらの作用物質は細胞の染色体が複写されている時期に細胞を損傷する。それらは、白血病、乳房、卵巣および腸管のがん、ならびに他のタイプのがんを処置するために、よく使用される。代謝拮抗物質の例としては、5-フルオロウラシル(5-FU)、6-メルカプトプリン(6-MP)、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、シタラビン(Ara-C(登録商標))、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、ヒドロキシ尿素、メトトレキサートまたはペメトレキセド(Alimta(登録商標))が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0275】
いくつかの態様において、がん治療薬はアントラサイクリン(antracycline)である。アントラサイクリン薬は、がん細胞内のDNAを伸長および増幅しないように変化させることによって作用する。アントラサイクリンは、細胞周期中のDNAの複写に関与する酵素を妨害する抗腫瘍性抗生物質である。それらはさまざまながんに広く使用されている。アントラサイクリン薬を投与する時の主たる懸念は、高用量で投与された場合に、それらが心臓を永続的に損傷しうることである。そのため、アントラサイクリン薬にはしばしば生涯用量限度(lifetime dose limit)が設けられる。場合により、FcεRIγ欠損NK細胞(G-NK)と併用投与すれば、これらの薬物の用量およびスケジュールを低減させることができる。提供される併用治療において使用することができるアントラサイクリン(antracycline)の例として、ダウノルビシン、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標))、エピルビシンまたはイダルビシンが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0276】
いくつかの態様において、がん治療薬は抗腫瘍性抗生物質である。抗腫瘍性抗生物質の例として、アクチノマイシン-D、ブレオマイシン、マイトマイシン-Cまたはミトキサントロンが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0277】
いくつかの態様において、がん治療薬はトポイソメラーゼ阻害剤である。トポイソメラーゼ薬は、DNAの鎖をそれらが複写されうるように分離するのを助けるトポイソメラーゼと呼ばれる酵素を妨害する。トポイソメラーゼ阻害剤は、それらが影響を及ぼす酵素のタイプに応じてグループ分けされる。トポイソメラーゼ阻害剤は、一定の白血病ならびに肺がん、卵巣がん、消化管がんおよび他のがんを処置するために使用される。トポイソメラーゼ阻害剤はトポイソメラーゼI阻害剤またはトポイソメラーゼII阻害剤でありうる。トポイソメラーゼI阻害剤の例として、トポテカンまたはイリノテカン(CPT-11)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。トポイソメラーゼII阻害剤の例として、エトポシド(VP-16)、テニポシドまたはミトキサントロンが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0278】
いくつかの態様において、がん治療薬は有糸分裂阻害剤である。有糸分裂阻害剤は、細胞が分裂して新しい細胞を形成するのを停止することによって作用する化合物であるが、酵素が細胞の再産生に必要なタンパク質を作らないようにすることによって、あらゆる時期の細胞を損傷しうる。それらは、乳がんおよび肺がんを含む多種多様ながんタイプ、骨髄腫、リンパ腫および白血病を処置するために使用される。これらの薬物は神経損傷を引き起こしうるので、投与することができる量が制限されうる。場合により、FcεRIγ欠損NK細胞(G-NK)と併用投与すれば、これらの薬物の用量およびスケジュールを低減させることができる。有糸分裂阻害剤の非限定的な例として、ドセタキセル、エストラムスチン、イクサベピロン、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチンまたはビノレルビンが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0279】
いくつかの態様において、がん治療薬はコルチコステロイドである。コルチコステロイドは、単にステロイドと呼ばれることも多く、多くのがんタイプおよび他の病気の処置に有用な天然のホルモンおよびホルモン様薬物である。これらの薬物ががん処置の一部として使用される場合、それらは化学治療薬と見なされる。コルチコステロイドの非限定的な例として、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン(Solumedrol(登録商標))またはデキサメタゾン(Decadron(登録商標))が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0280】
いくつかの態様において、がん治療薬は分化誘導因子である。分化誘導因子の非限定的な例として、レチノイド、トレチノイン(ATRAまたはAtralin(登録商標))、ベキサロテン(Targretin(登録商標))または三酸化ヒ素(Arsenox(登録商標))が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0281】
いくつかの態様において、がん治療薬は、シスプラチン、カルボプラチン、およびオキサリプラチンからなる群より選択される。一定の態様において、がん治療薬は、パクリタキセル、Abraxane(登録商標)、およびTaxotere(登録商標)からなる群より選択される。一態様では、化学療法剤は、アスパラギナーゼ、ベバシズマブ、ブレオマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、5-フルオロウラシル、ヒドロキシ尿素、ストレプトゾシン、および6-メルカプトプリン、シクロホスファミド、パクリタキセル、およびゲムシタビンからなる群より選択される。
【0282】
g-NK細胞と併用されるがん治療薬の他の非限定的な例として、エベロリムス(Afinitor(登録商標))、トレミフェン(Fareston(登録商標))、フルベストラント(Faslodex(登録商標))、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、エクセメスタン(Aromasin(登録商標))、ラパチニブ(Tykerb(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、ペルツズマブ(Perjeta(登録商標))、ado-トラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))、パルボシクリブ(Ibrance(登録商標))、リボシクリブ(Kisqali(登録商標))、Ziv-アフリベルセプト(Zaltrap(登録商標))、レゴラフェニブ(Stivarga(登録商標))、ランレオチド酢酸塩(Somatuline(登録商標)デポ)、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))、スニチニブ(Sutent(登録商標))、パゾパニブ(Votrient(登録商標))、テムシロリムス(Torisel(登録商標))、アキシチニブ(Inlyta(登録商標))、カボザンチニブ(Cabometyx(商標))、メシル酸レンバチニブ(Lenvima(登録商標))、メシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標))、ダサチニブ(Sprycel(登録商標))、ニロチニブ(Tasigna(登録商標))、ボスチニブ(Bosulif(登録商標))、トレチノイン(Vesanoid(登録商標))、イブルチニブ(Imbruvica(登録商標))、イデラリシブ(Zydelig(登録商標))、ベネトクラクス(Venclexta(商標))、ポナチニブ塩酸塩(Iclusig(登録商標))、ミドスタウリン(Rydapt(登録商標))、クリゾチニブ(Xalkori(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、アファチニブジマレイン酸塩(Gilotrif(登録商標))、セリチニブ(LDK378/Zykadia(商標))、オシメルチニブ(Tagrisso(商標))、アレクチニブ(Alecensa(登録商標))、ブリガチニブ(Alunbrig(商標))、サイラムザ、デニロイキンジフチトクス(Ontak(登録商標))、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、ベキサロテン(Targretin(登録商標))、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、プララトレキサート(Folotyn(登録商標))、イデラリシブ(Zydelig(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標))、ベンダムスチン、カーフィルゾミブ(Kyphosis(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、イキサゾミブクエン酸エステル(Ninlaro(登録商標))、オラパリブ(Lynparza(商標))、ルカパリブカンシル酸塩(Rubraca(商標))、ニラパリブトシル酸塩一水和物(Zejula(商標))、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、スニチニブ(Sutent(登録商標))、ビスモデギブ(Erivedge(登録商標))、ソニデギブ(Odomzo(登録商標))、ベムラフェニブ(Zelboraf(登録商標))、トラメチニブ(Mekinist(登録商標))、ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標))、コビメチニブ(Cotellic(商標))、アリトレチノイン(Panretin(登録商標))、パゾパニブ(Votrient(登録商標))、アリトレチノイン(Panretin(登録商標))、トラベクテジン(Yondelis(登録商標))またはエリブリン(Halaven(登録商標))が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0283】
いくつかの態様において、g-NK細胞を含有する組成物は放射線治療と共に投与される。
【0284】
いくつかの態様において、併用治療は、本明細書において提供されるg-NK細胞を含有する組成物、抗体、例えば上述のいずれか、および細胞毒性低分子または細胞毒性放射線治療の組み合わせを伴う集学的がん治療である。いくつかの態様において、細胞毒性低分子または放射線治療は、対象には別途、例えばg-NK細胞を含有する組成物の投与前または投与後に、投与される。いくつかの態様において、細胞毒性低分子または放射線治療は、g-NK細胞を含有する組成物と並行して、例えば同時に、またはほぼ同時に、対象に投与される。場合によっては、集学的がん治療は、さらなるサイトカインサポートを提供するための1つまたは複数のサイトカインまたは成長因子、例えばIL-2またはIL-15の投与を、さらに含むことができる。
【0285】
集学的がん治療は2種以上の処置方法を組み合わせた治療である。集学的治療は併用治療とも呼ばれる。さまざまながんに対して、異なる有効なモダリティを利用することができる。腫瘍の相違するバイオロジーとさまざまなモダリティの効力によって、それぞれに対する具体的アプローチが決定されうる。抗体ベースの治療は、がんおよび他の適応症の処置に頻繁に使用されるようになった。抗体治療に対する応答は、腫瘍細胞に対するこれらの抗体の直接的阻害効果に焦点があてられてきたが、これらの抗体は宿主の免疫系に対する効果を有することも示されている。FcεRIγ欠損NK細胞(G-NK)は、抗体のFc受容体(CD16)に結合した時にADCCを媒介する免疫エフェクター細胞である。提供される態様は、抗体治療の効力が、低分子および/または放射線治療の追加に加えてFcεRIγ欠損NK細胞(G-NK)と併用した場合に改良されるように設計されている。
【0286】
いくつかの態様において、胃または胃食道接合部の腺癌の集学的処置は、(1)トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))またはラムシルマブ(Cyramza(登録商標))であるモノクローナル抗体および(2)放射線治療、カペシタビンまたはシスプラチンであるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、胃または胃食道接合部の腺癌の集学的処置は、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))+シスプラチンと組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0287】
いくつかの態様において、膀胱がんの集学的処置は、(1)アテゾリズマブ(Tecentriq(商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、デュルバルマブ(Imfinzi(商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))またはペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))であるモノクローナル抗体、および(2)放射線治療またはシスプラチン+フルオロウラシルであるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、膀胱がんの集学的処置は、アテゾリズマブ(Tecentriq(商標))+シスプラチン+5-FUと組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0288】
いくつかの態様において、脳のがんの集学的処置は、(1)ベバシズマブ(Avastin(登録商標))であるモノクローナル抗体、および(2)エベロリムス(Afinitor(登録商標))、放射線治療、カルボプラチン、エトポシドまたはテモゾロミドであるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、脳のがんの集学的処置は、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))+放射線治療と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0289】
いくつかの態様において、乳がんの集学的処置は、(1)トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))であるモノクローナル抗体、および(2)タモキシフェン(Nolvadex)、トレミフェン(Fareston(登録商標))、エベロリムス(Afinitor(登録商標))、フルベストラント(Faslodex(登録商標))、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、エクセメスタン(Aromasin(登録商標))、ラパチニブ(Tykerb(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、ペルツズマブ(Perjeta(登録商標))、ado-トラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))、パルボシクリブ(Ibrance(登録商標))、リボシクリブ(Kisqali(登録商標))、シスプラチン/パラプラチン、パクリタキセル、ドキソルビシンまたは放射線治療であるがん治療薬もしくは細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、乳がんの集学的処置は、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))+シスプラチンと組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0290】
いくつかの態様において、結腸直腸がんの集学的処置は、(1)セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))またはラムシルマブ(Cyramza(登録商標))であるモノクローナル抗体、および(2)Ziv-アフリベルセプト(Zaltrap(登録商標))、レゴラフェニブ(Stivarga(登録商標))、放射線治療、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、イリノテカンまたはオキサリプラチンであるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、結腸直腸がんの集学的処置は、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))+オキサリプラチンと組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0291】
いくつかの態様において、内分泌/神経内分泌腫瘍の集学的処置は、(1)アベルマブ(Bavencio(登録商標))であるモノクローナル抗体、および(2)ランレオチド酢酸塩(Somatuline(登録商標)デポ)であるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、内分泌/神経内分泌腫瘍の集学的処置は、アベルマブ(Bavencio(登録商標))+オキサリプラチンと組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0292】
いくつかの態様において、頭頸部がんの集学的処置は、(1)セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、トラスツズマブまたはラムシルマブであるモノクローナル抗体、および(2)放射線治療、カルボプラチン、シスプラチン、カペシタビン、イリノテカン、5-フルオロウラシルまたはパクリタキセルであるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、頭頸部がんの集学的処置は、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))+シスプラチンと組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0293】
いくつかの態様において、骨巨細胞腫の集学的処置は、(1)デノスマブ(Xgeva(登録商標))であるモノクローナル抗体、および(2)放射線治療、ドキソルビシン、シスプラチン、エトポシド、シクロホスファミドまたはメトトレキサートであるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、骨巨細胞腫の集学的処置は、デノスマブ(Xgeva(登録商標))+ドキソルビシンと組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0294】
いくつかの態様において、腎がんの集学的処置は、(1)ベバシズマブ(Avastin(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))であるモノクローナル抗体、および(2)ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))、スニチニブ(Sutent(登録商標))、パゾパニブ(Votrient(登録商標))、テムシロリムス(Torisel(登録商標))、エベロリムス(Afinitor(登録商標))、アキシチニブ(Inlyta(登録商標))、カボザンチニブ(Cabometyx(商標)メシル酸レンバチニブ(Lenvima(登録商標))、ビンブラスチン、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビンまたはゲムシタビンであるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、腎がんの集学的処置は、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))+ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0295】
いくつかの態様において、白血病の集学的処置は、(1)リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、オファツムマブ(Arzerra(登録商標))、オビヌツズマブ(Gazyva(登録商標))またはブリナツモマブ(Blincyto(登録商標))であるモノクローナル抗体、および(2)メシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標))、ダサチニブ(Sprycel(登録商標))、ニロチニブ(Tasigna(登録商標))、ボスチニブ(Bosulif(登録商標))、トレチノイン(Vesanoid(登録商標))、イブルチニブ(Imbruvica(登録商標))、イデラリシブ(Zydelig(登録商標))、ベネトクラクス(Venclexta(商標))、ポナチニブ塩酸塩(Iclusig(登録商標))、ミドスタウリン(Rydapt(登録商標))、メトトレキサート、シタラビン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ダウノルビシンまたはシクロホスファミドであるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、白血病の集学的処置は、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))+シクロホスファミドと組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0296】
いくつかの態様において、肺がんの集学的処置は、(1)ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、ネシツムマブ(Portrazza(商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、アテゾリズマブ(Tecentriq(商標))であるモノクローナル抗体、および(2)クリゾチニブ(Xalkori(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、アファチニブジマレイン酸塩(Gilotrif(登録商標))、セリチニブ(LDK378/Zykadia(商標))、オシメルチニブ(Tagrisso(商標))、アレクチニブ(Alecensa(登録商標))、ブリガチニブ(Alunbrig(商標))、サイラムザ、放射線治療、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル(Taxol)、nab-パクリタキセル、Abraxane)、ドセタキセル(Taxotere)、ゲムシタビン(Gemzar)、ビノレルビン(Navelbine)、イリノテカン(Camptosar)、エトポシド(VP-16)、ビンブラスチンまたはペメトレキセド(Alimta)であるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、肺がんの集学的処置は、ネシツムマブ(Portrazza(商標))+カルボプラチンと組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0297】
いくつかの態様において、リンパ腫の集学的処置は、(1)イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、シルツキシマブ(Sylvant(登録商標))、オビヌツズマブ(Gazyva(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))またはペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))であるモノクローナル抗体、および(2)デニロイキンジフチトクス(Ontak(登録商標))、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、ベキサロテン(Targretin(登録商標))、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、プララトレキサート(Folotyn(登録商標))、イブルチニブ(Imbruvica(登録商標))、イデラリシブ(Zydelig(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標))、シクロホスファミド、クロラムブシル、ベンダムスチン、イホスファミド、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、フルダラビン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ドキソルビシン、ビンクリスチンまたはエトポシド(VP-16)であるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、リンパ腫の集学的処置は、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))+シクロホスファミドと組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0298】
いくつかの態様において、多発性骨髄腫の集学的処置は、(1)ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、ダラツムマブ(Darzalex(商標))またはエロツズマブ(Empliciti(商標))であるモノクローナル抗体、および(2)カーフィルゾミブ(Kyphosis(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、イキサゾミブクエン酸エステル(Ninlaro(登録商標))、メルファラン、ビンクリスチン(Oncovin)、シクロホスファミド(Cytoxan)、エトポシド(VP-16)、ドキソルビシン(Adriamycin)、リポソームドキソルビシン(Doxil)、ベンダムスチン(Treanda)であるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、多発性骨髄腫の集学的処置は、ダラツムマブ(Darzalex(商標))+シクロホスファミドと組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0299】
いくつかの態様において、神経芽細胞腫の集学的処置は、(1)ジヌツキシマブ(Unituxin(商標))であるモノクローナル抗体、および(2)放射線治療、シクロホスファミド、シスプラチンまたはカルボプラチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン(Adriamycin)、エトポシド、トポテカン、ブスルファンまたはチオテパであるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、神経芽細胞腫の集学的処置は、ジヌツキシマブ(Unituxin(商標))+ドキソルビシン(Adriamycin)と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0300】
いくつかの態様において、卵巣上皮/卵管/原発性腹膜がんの集学的処置は、(1)ベバシズマブ(Avastin(登録商標))であるモノクローナル抗体、および(2)オラパリブ(Lynparza(商標))、ルカパリブカンシル酸塩(Rubraca(商標))、ニラパリブトシル酸塩一水和物(Zejula(商標))、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、エトポシド(VP-16)、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、イホスファミド(Ifex(登録商標))、イリノテカン(CPT-11、Camptosar(登録商標))、リポソームドキソルビシン(Doxil(登録商標))、メルファラン、ペメトレキセド(Alimta(登録商標))、トポテカンまたはビノレルビン(Navelbine(登録商標))であるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、卵巣上皮/卵管/原発性腹膜がんの集学的処置は、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))+パクリタキセル(Taxol(登録商標))と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0301】
いくつかの態様において、膵がんの集学的処置は、(1)セツキシマブ(Erbitux(登録商標))またはベバシズマブ(Avastin(登録商標))であるモノクローナル抗体、および(2)エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、エベロリムス(Afinitor(登録商標))、スニチニブ(Sutent(登録商標))、ゲムシタビン(Gemzar)、5-フルオロウラシル(5-FU)、オキサリプラチン(Eloxatin)、アルブミン結合型パクリタキセル(Abraxane)、カペシタビン(Xeloda)、シスプラチン、イリノテカン(Camptosar)、パクリタキセル(Taxol)、ドセタキセル(Taxotere)またはアルブミン結合型パクリタキセル(Abraxane)であるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、膵がんの集学的処置は、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))+オキサリプラチン(Eloxatin)と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0302】
いくつかの態様において、皮膚がんの集学的処置は、(1)イピリムマブ(Yervoy(登録商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))であるモノクローナル抗体、および(2)ビスモデギブ(Erivedge(登録商標))、ソニデギブ(Odomzo(登録商標))、ベムラフェニブ(Zelboraf(登録商標))、トラメチニブ(Mekinist(登録商標))、ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標))、コビメチニブ(Cotellic(商標))、アリトレチノイン(Panretin(登録商標))、放射線治療、ダカルバジン、テモゾロミド、Nab-パクリタキセル、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチンまたはビンブラスチンであるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、皮膚がんの集学的処置は、アベルマブ(Bavencio(登録商標))+シスプラチンと組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0303】
いくつかの態様において、軟部組織肉腫の集学的処置は、(1)オララツマブ(Lartruvo(商標))であるモノクローナル抗体、および(2)パゾパニブ(Votrient(登録商標))、アリトレチノイン(Panretin(登録商標))、放射線治療、イホスファミド(Ifex(登録商標))、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標))、ダカルバジン、エピルビシン、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、トラベクテジン(Yondelis(登録商標))またはエリブリン(Halaven(登録商標))であるがん治療薬または細胞毒性作用物質と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。特定の態様において、軟部組織肉腫の集学的処置は、オララツマブ(Lartruvo(商標))+ドセタキセル(Taxotere(登録商標))と組み合わされた、本明細書において提供されるg-NK細胞の組成物の投与を含む。
【0304】
4. 腫瘍溶解性ウイルス
いくつかの態様において、提供される方法は、g-NK細胞を腫瘍溶解性ウイルスと共に投与する工程も含むことができる。g-NK細胞と腫瘍溶解性ウイルスとの併用処置は、上述の1つまたは複数の他の作用物質、例えば抗体の投与を、さらに含むことができる。
【0305】
g-NK細胞と腫瘍溶解性ウイルスとの組み合わせは、治療の一方または両方の活性を助長しまたは増加させうると考えられる。いくつかの態様において、腫瘍溶解性ウイルスの使用は、NK細胞に対する腫瘍細胞の感受性を増強しうる。腫瘍溶解性ウイルスが、転移性黒色腫、卵巣がんおよび乳がんモデルにおいて、NK細胞を活性化し(↑IFN-γ)、腫瘍へのNK細胞遊走を増強することを示す証拠は、腫瘍溶解性ウイルス治療から得られている(Miller et al.,2003 Mol Ther 7:741:747、Benencia et al.,2005 Mol Ther 12:789-802、Zhao et al.,2014 PLoS One 9:e93103)。第一相臨床試験において、腫瘍溶解性レオウイルスはNK細胞の循環レベルを増加させることが見いだされ(White et al.,2008 Gene Ther 15:911-920)、NK細胞は、前立腺がんおよびA549肺がんの動物モデルにおいて、腫瘍溶解性レオウイルスおよびパラポックスウイルスの抗腫瘍効力を媒介することが見いだされた(Gujar et al.,2011 Mol Ther 19:797-804、Rintoul et al.,2012 Mol. Ther. 20:1148-1157)。NK細胞による腫瘍浸潤の増加は、腺癌および膠芽腫の動物モデルにおいて、腫瘍溶解性のコクサッキーウイルスおよび麻疹ウイルスでも観察され、NK細胞の腫瘍内濃度は生存率と正に相関した(Miyamoto et al.,2012 Cancer Res. 72:2609-2621、Allen et al.,2006 Cancer res. 66:11840-11850)。腫瘍溶解性ウイルス活性を腫瘍細胞のNK細胞媒介クリアランスに結びつける機序は、増強された腫瘍免疫原性である。具体的に述べると、腫瘍溶解性ウイルスに感染した腫瘍は、NK細胞によってより容易に認識され、殺傷されることが、自然細胞傷害性受容体NKp30およびNKp44によって媒介される細胞傷害性の増加、ならびに細胞傷害性サイトカインIFN-γ、TNF-αおよびMIP1α/βの増強された発現によって証明された(Bhat et al.,2011 Int J Cancer 128:908-919、Dempe et al.,2012 Cancer Immunol Res 61:2113-2123、Bhat et al.,2013 BMC Cancer 13:367)。インビボでNK細胞を誘引し活性化することが示されている他の腫瘍溶解性ウイルスには、インフルエンザウイルス(Ogbomo et al.,2010 Med Microbiol Immunol 199:93-101)、水疱性口内炎ウイルス(Heiber et al.,2011 J Virol. 85:10440-10450)およびニューカッスル病ウイルス(Jarahian et al.,2009 J Virol. 83:810-821)がある。術後がん外科手術患者の研究において、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、術後免疫抑制を反転させ、転移形成を防止することが見いだされた(Tai et al.,2014 Front Oncol 4:217)。したがって腫瘍溶解性ウイルスは、本来であれば免疫無防備状態の個体において、NK細胞の抗腫瘍免疫を増強することができると考えられる。
【0306】
いくつかの態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、特定の細胞、例えば免疫細胞を標的とする。いくつかの態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、対象における腫瘍細胞および/またはがん細胞を標的とする。腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍細胞に蓄積し腫瘍細胞内で複製するウイルスである。細胞内での複製により、腫瘍細胞は溶解され、腫瘍は縮小し、排除されうる。腫瘍溶解性ウイルスは、広い宿主域および細胞タイプ域も有することができる。例えば腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍および/または転移巣を含む免疫特権細胞または免疫特権組織、ならびに創傷組織および創傷細胞に蓄積して、広範な細胞タイプにおける異種タンパク質の送達および発現を可能にすることができる。腫瘍溶解性ウイルスは腫瘍細胞特異的に複製して、腫瘍細胞の溶解と効率のよい腫瘍退縮をもたらすこともできる。
【0307】
例示的な腫瘍溶解性ウイルスとして、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、単純ヘルペスウイルス、レオウイルス、ニューカッスル病ウイルス、パルボウイルス、麻疹ウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、コクサッキーウイルスおよびワクシニアウイルスが挙げられる。いくつかの態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、固形腫瘍に特異的にコロニー形成し、他の器官には感染しない。場合により、腫瘍溶解性ウイルスは、異種タンパク質核酸を固形腫瘍に送達するための感染性因子として使用することができる。
【0308】
腫瘍溶解性ウイルスは当業者に公知であるもののいずれであってもよく、例えば水疱性口内炎ウイルス、例えば米国特許第7,731,974号、同第7,153,510号、同第6,653,103号および米国特許出願公開第2010/0178684号、同第2010/0172877号、同第2010/0113567号、同第2007/0098743号、同第20050260601号、同第20050220818号および欧州特許第1385466号、同第1606411号および同第1520175号参照;単純ヘルペスウイルス、例えば米国特許第7,897,146号、同第7,731,952号、同第7,550,296号、同第7,537,924号、同第6,723,316号、同第6,428,968号および米国特許出願公開第2014/0154216号、同第2011/0177032号、同第2011/0158948号、同第2010/0092515号、同第2009/0274728号、同第2009/0285860号、同第2009/0215147号、同第2009/0010889号、同第2007/0110720号、同第2006/0039894号、同第2004/0009604号、同第2004/0063094号、国際特許公開番号WO 2007/052029、同WO 1999/038955参照;レトロウイルス、例えば米国特許第6,689,871号、同第6,635,472号、同第5,851,529号、同第5,716,826号、同第5,716,613号および米国特許出願公開第20110212530号参照;ワクシニアウイルス、例えば2016/0339066参照、ならびにアデノ随伴ウイルス、例えば米国特許第8,007,780号、同第7,968,340号、同第7,943,374号、同第7,906,111号、同第7,927,585号、同第7,811,814号、同第7,662,627号、同第7,241,447号、同第7,238,526号、同第7,172,893号、同第7,033,826号、同第7,001,765号、同第6,897,045号および同第6,632,670号参照が挙げられる。
【0309】
腫瘍溶解性ウイルスとしては、それぞれのビルレンスを減弱し、安全性プロファイルを改良し、腫瘍特異性を増強するために遺伝子改変されたウイルスも挙げられ、それらは、ウイルスの総合的効力を改良するために細胞毒、サイトカイン、プロドラッグ変換酵素などの追加遺伝子も装備している(例えばKirn et al.,(2009)Nat Rev Cancer 9:64-71、Garcia-Aragoncillo et al.,(2010)Curr Opin Mol Ther 12:403-411、米国特許第7,588,767号、同第7,588,771号、同第7,662,398号および同第7,754,221号、ならびに米国特許出願公開第2007/0202572号、同第2007/0212727号、同第2010/0062016号、同第2009/0098529号、同第2009/0053244号、同第2009/0155287号、同第2009/0117034号、同第2010/0233078号、同第2009/0162288号、同第2010/0196325号、同第2009/0136917号および同第2011/0064650号参照)。いくつかの態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、癌性細胞内で選択的に複製し、よって腫瘍溶解性になるように改変されたものであることができる。例えば、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍治療用に、また遺伝子治療ベクターとして、改良された指向性を有するように操作されたアデノウイルスである。ONYX-015、H101およびAd5ΔCR(Hallden and Portella(2012)Expert Opin Ther Targets,16:945-58)およびTNFerade(McLoughlin et al.(2005)Ann. Surg. Oncol.,12:825-30)または条件複製型(conditionally replicative)アデノウイルスOncorine(登録商標)は、それらの例である。
【0310】
いくつかの態様において、腫瘍溶解性ウイルスは改変単純ヘルペスウイルスである。いくつかの態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、タリモジンラヘルパレプベク(Talimogene laherparepvec)(T-Vec、ImlygicまたはOnco Vex GM-CSFとしても公知である)である。いくつかの態様において、感染性因子は、例えばWO 2007/052029、WO 1999/038955、US 2004/0063094、US 2014/0154216に記載の改変単純ヘルペスウイルス、またはその変異体である。
【0311】
V. キットおよび製造品
特定のサブセット、例えばg-NK細胞について濃縮されたNK細胞を含有する提供される組成物を含む製造品およびキットが、本明細書において提供される。いくつかの態様において、組成物は、提供される方法のいずれかによって産生される。いくつかの態様において、提供される組成物と追加の作用物質とを含むキットが、本明細書において提供される。いくつかの態様において、追加の作用物質はFcドメインを含む。いくつかの態様において、追加の作用物質はFc融合タンパク質または抗体である。いくつかの態様において、追加の作用物質はヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。これらの態様の一部において、追加の作用物質は完全長抗体である。例示的な抗体としては記載の抗体がどれでも挙げられる。
【0312】
g-NK代用表面マーカープロファイル、例えば本明細書に記載するものを検出するための複数の試薬を含む製造品またはキットも、本明細書において提供される。いくつかの態様において、試薬は、CD16、CD38、CD57、CD7、CD161および/またはNKG2Aから選択される表面マーカーのパネル、例えば2、3、4または5種の表面マーカーを検出するための試薬を含む。いくつかの態様において、試薬は、CD16、CD57、CD7およびCD161からの表面マーカーのパネルを検出するための試薬を含む。いくつかの態様において、試薬は、CD161およびNKG2Aからの表面マーカーのパネルを検出するための試薬を含む。いくつかの態様において、キットは、1種または複数種の他のNK細胞表面マーカーを検出するための1つまたは複数の追加試薬を、さらに含むことができる。例えばキットは、1種または複数種のさらなる表面マーカーCD45、CD3および/またはCD56を検出するための1つまたは複数の追加試薬、例えば1、2または3つの追加試薬を含むことができる。いくつかの態様において、試薬は、CD3、CD56およびCD38からの表面マーカーのパネルを検出するための試薬を含む。いくつかの態様において、試薬のそれぞれは、パネルの特異的表面マーカーを検出するための結合分子である。
【0313】
特定の態様において、試薬は、パネルの1種または複数種の表面マーカーに特異的な抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。場合により、抗体または抗原結合フラグメントなどの結合分子は、検出可能な部分に直接的または間接的にコンジュゲートすることができる。いくつかの例において、抗体のうちの1つまたは複数は、結合の検出が可能になるように改変される。例えば抗体は、直接的検出または二次作用物質を介した検出を可能にする検出可能な分子にコンジュゲートすることができる。いくつかの態様において、抗体は、例えば発蛍光団で、直接標識される。いくつかの例において、抗体は、二次試薬、例えば一次抗体に結合する二次抗体試薬であって、検出可能なタンパク質、例えば蛍光プローブまたは検出可能な酵素、例えばセイヨウワサビペルオキシダーゼにカップリングされているものを使って検出することができる。いくつかのそのような例において、キットは二次抗体をさらに含むことができる。
【0314】
キットは、任意で、1つまたは複数の構成要素、例えば使用説明書、デバイスおよびさらなる試薬(組成物を希釈しおよび/または凍結乾燥タンパク質を再構成するための滅菌水または食塩水)、ならびに本方法を実施するためのチューブ、容器およびシリンジなどの構成要素を含むことができる。いくつかの態様において、キットは、試料の収集、試料の調製および処理のための試薬、および/または試料中の1種もしくは複数種の表面マーカーの量を定量するための試薬、例えば限定するわけではないが、抗体などの検出試薬、緩衝液、酵素的染色のための基質、発色原、またはスライド、容器、マイクロタイタープレーなどの他の材料、および任意で本方法を実施するための説明書を、さらに含むことができる。当業者には、提供される方法に従って使用することができる数多くの他の考えうる容器およびプレートおよび試薬がわかると考えられる。
【0315】
いくつかの態様において、キットは、細胞、抗体もしくは試薬、またはそれらの組成物、または1つまたは複数の他の構成要素を梱包するための梱包材料を含む製品として提供することができる。例えばキットは、キットの構成要素を隔離しまたは整理するのに適した容器、ボトル、チューブ、バイアルおよび任意の梱包材料を含有することができる。1つまたは複数の容器は、ガラスまたはプラスチックなど、さまざまな材料から形成されうる。いくつかの態様において、1つまたは複数の容器は、本方法において使用するための細胞または抗体または他の試薬を含む組成物を保定する。本明細書における製造品またはキットは、別々の容器または同じ容器に細胞、抗体または試薬を含みうる。
【0316】
いくつかの態様において、組成物を保定する1つまたは複数の溶液は、使い捨てバイアルまたは場合によっては組成物の反復使用を可能にしうる多数回使用バイアルであることができる。いくつかの態様において、製造品またはキットは、適切な希釈剤を含む第2容器を、さらに含みうる。製造品またはキットは、商業上、治療上および使用上の観点から、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、治療剤および/または使用説明書を含む添付文書などといった他の材料をさらに含みうる。
【0317】
いくつかの態様において、キットは任意で説明書を含むことができる。説明書は典型的には、細胞組成物、試薬および/または抗体と任意でキットに含まれる他の構成要素ならびにそれらを使用するための方法を説明する明確な表現を含む。いくつかの態様において、説明書は、疾患または状態を例えば提供される態様のいずれかに従って処置する目的での対象への投与に、細胞組成物および抗体を使用するための方法を示す。いくつかの態様において、説明書は、g-NK代用マーカー表現型を、例えば提供される態様のいずれかに従って検出するためのパネルとして、抗体などの試薬を使用するための方法を示す。いくつかの態様において、説明書は、容器上のまたは容器に付随するラベルまたは添付文書として提供される。いくつかの態様において、説明書は、組成物の再構成および/または使用のための指示を示しうる。
【0318】
VI. 例示的態様
提供される態様には以下の態様が含まれる。
1. FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、
(a)ヒト対象からの試料から、(i)CD3陰性(CD3neg)である細胞、(ii)CD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性(CD3negCD56pos)である細胞、(iii)CD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞、または(iv)CD3陰性かつCD16陽性(CD3negCD16pos)である細胞を選択することを含む、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を単離する工程と、
(b)濃縮NK細胞の該集団を、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、培養する工程と
を含み、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
2. (a)の前に、ヒト対象から試料を採取する、態様1の方法。
3. 試料が、末梢血単核球(PBMC)であるか、または末梢血単核球(PBMC)を含む、態様1または態様2の方法。
4. 試料がアフェレーシス試料または白血球アフェレーシス試料である、態様1~3のいずれかの方法。
5. 前記選択が、免疫親和性に基づく選択を含む、態様1~4のいずれかの方法。
6. 前記単離する工程が、CD3陰性(CD3neg)である細胞を試料から選択することを含む、態様1~5のいずれかの方法。
7. 前記単離する工程が、CD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性(CD3negCD56pos)である細胞を試料から選択することを含む、態様1~5のいずれかの方法。
8. 前記単離する工程が、CD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞を試料から選択することを含む、態様1~5のいずれかの方法。
9. 前記単離する工程が、CD3陰性かつCD16陽性(CD3negCD16pos)である細胞を試料から選択することを含む、態様1~5のいずれかの方法。
10. (a)の後に、濃縮NK細胞の単離された前記集団を凍結保存し、(b)の前に、該濃縮NK細胞を含む凍結保存試料を解凍する、態様1~9のいずれかの方法。
11. FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、
(a)ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を取得する工程であって、濃縮NK細胞の該集団が、(i)CD3陰性(CD3neg)である細胞、(ii)CD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性(CD3negCD56pos)である細胞、(iii)CD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞、または(iv)CD3陰性かつCD16陽性(CD3negCD16pos)である細胞から選択される表現型を含む、該取得する工程と、
(b)濃縮NK細胞の該集団を、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、培養する工程と
を含み、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
12. 濃縮NK細胞を含む凍結保存試料を解凍する工程を含む、態様11の方法。
13. 濃縮NK細胞の前記集団がCD3陰性(CD3neg)である細胞を含む、態様11または態様12の方法。
14. 濃縮NK細胞の前記集団がCD3陰性(CD3neg)かつCD56陽性(CD3negCD56pos)である細胞を含む、態様11または態様12の方法。
15. 濃縮NK細胞の前記集団がCD3陰性かつCD57陽性(CD3negCD57pos)である細胞を含む、態様11または態様12の方法。
16. 濃縮NK細胞の前記集団がCD3陰性かつCD16陽性(CD3negCD16pos)である細胞を含む、態様11または態様12の方法。
17. FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、ヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、
濃縮NK細胞の該集団は、CD3陰性かつCD57陽性である細胞を含み、
該培養する工程が、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、実行され、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
18. 前記培養する工程に先立って、試料から、濃縮NK細胞の前記集団を単離し、
該単離が、
(1)(a)CD3陰性である細胞または(b)CD57陽性である細胞を選択し、これにより、第1選択集団を濃縮すること、および
(2)第1選択集団から、(a)CD3陰性である細胞または(b)CD57陽性である細胞のうちのもう一方について細胞を選択し、これにより、CD3陰性かつCD57陽性である細胞を濃縮すること
を含む、態様17の方法。
19. FcRγ欠損NK細胞(g-NK)を増大させるための方法であって、
該方法は、ヒト対象からの試料からの、ナチュラルキラー(NK)細胞について濃縮された初代ヒト細胞の集団を培養する工程を含み、
濃縮NK細胞の該集団は、CD3陰性かつCD16陽性である細胞を含み、
該培養する工程が、
(i)照射221.AEHフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:10~10:1である、照射221.AEHフィーダー細胞、および
(ii)組換えIL-2
の存在下で、実行され、
ここで該方法により、増大されたg-NK細胞集団が産生される、
該方法。
20. 前記培養する工程に先立って、試料から、濃縮NK細胞の前記集団を単離し、
該単離が、
(1)(a)CD3陰性である細胞または(b)CD16陽性である細胞を選択し、これにより、第1選択集団を濃縮すること、および
(2)第1濃縮選択集団から、(a)CD3陰性である細胞または(b)CD16陽性である細胞のうちのもう一方について細胞を選択し、これにより、CD3陰性かつCD16陽性である細胞を濃縮すること
を含む、態様19の方法。
21. 試料が、末梢血単核球(PBMC)であるか、または末梢血単核球(PBMC)を含む、態様17~20のいずれかの方法。
22. 前記培養する工程に先立って、ヒト対象から試料を採取する、態様17~21のいずれかの方法。
23. 試料がアフェレーシス試料または白血球アフェレーシス試料である、態様17~22のいずれかの方法。
24. 前記選択が、免疫親和性に基づく選択を含む、態様18および19~23のいずれかの方法。
25. 濃縮NK細胞が、対象からの試料から前もって単離された凍結保存試料に由来する、態様18~24のいずれかの方法。
26. 前記培養する工程が、(iii)初代ヒト末梢血単核球(PBMC)フィーダー細胞の存在下でさらに実行され、該PBMCフィーダー細胞は照射されている、態様1~25のいずれかの方法。
27. PBMCフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が、1:1または約1:1から、5:1または約5:1(両端の値を含む)である、態様26の方法。
28. PBMCフィーダー細胞が、対象にとって自家である、態様26または態様27の方法。
29. 前記培養する工程の少なくとも一部分が、
PBMCフィーダー細胞のT細胞のうちの1つまたは複数の活性化を刺激することができる、少なくとも1つの刺激作用物質
の存在下で、実行される、態様26~28のいずれかの方法。
30. 前記刺激作用物質が、TCR複合体のメンバーに特異的に結合し、任意で、前記作用物質が、CD3、任意でCD3イプシロンに特異的に結合する、態様29の方法。
31. 前記少なくとも1つの刺激作用物質が、抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントである、態様29または態様30の方法。
32. 抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントが、OKT3抗体または抗原結合フラグメントである、態様31の方法。
33. 抗CD3抗体または抗原結合フラグメントの濃度が、10ng/mLまたは約10ng/mLから、100ng/mLまたは約100ng/mLである、態様31または態様32の方法。
34. 抗CD3抗体または抗原結合フラグメントの濃度が、50ng/mLまたは約50ng/mLである、態様31~33のいずれかの方法。
35. 前記少なくとも1つの刺激作用物質が、前記培養する工程の開始時または照射PBMCフィーダー細胞と同時もしくはほぼ同時を始まりとして添加される、態様31~34のいずれかの方法。
36. PBMCフィーダー細胞が、前記培養する工程の少なくとも一部分の期間中、活性化される、態様26~37のいずれかの方法。
37. 照射221.AEHフィーダー細胞対NK細胞の比が1:1もしくは約1:1またはそれより大きい、態様1~36のいずれかの方法。
38. 照射221.AEHフィーダー細胞対NK細胞の比が1:1~5:1(両端の値を含む)である、態様1~37のいずれかの方法。
39. 照射AEH.221フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が1:1~3:1(両端の値を含む)である、態様1~38のいずれかの方法。
40. 照射AEH.221フィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が2.5:1または約2.5:1である、態様1~29のいずれかの方法。
41. PBMCフィーダー細胞対濃縮NK細胞の比が5:1または約5:1である、態様17~40のいずれかの方法。
42. 前記培養する工程の少なくとも一部分の期間中における組換えIL-2の濃度が、10IU/mLまたは約10IU/mLから、500IU/mLまたは約500IU/mLである、態様1~41のいずれかの方法。
43. 前記培養する工程の少なくとも一部分の期間中における組換えIL-2の濃度が、
組換えIL-2、100IU/mLまたは約100IU/mL
である、態様1~42のいずれかの方法。
44. 組換えIL-2が、前記培養する工程の開始時またはほぼ開始時を始まりとして添加される、態様1~43のいずれかの方法。
45. 前記培養する工程の期間中、培養培地を1回または複数回交換することをさらに含む、態様1~44のいずれかの方法。
46. 培養培地の前記交換が、前記培養する工程の開始後3~7日または約3~7日以内、任意で前記培養する工程の開始から5日後または約5日後を始まりとして実行される、態様45の方法。
47. 培養培地の前記交換が、前記培養する工程の残りの継続期間にわたって、2または3日ごとに実行される、態様46の方法。
48. 培養培地の前記交換が、培養培地から前記少なくとも1つの刺激作用物質を低減させる、または除去する、態様45~47のいずれかの方法。
49. 培養培地の各交換時に、組換えIL-2を培養物に加える、態様45~48のいずれかの方法。
50. 組換えIL-2が、10IU/mLまたは約10IU/mLから、500IU/mLまたは約500IU/mL(両端の値を含む)の濃度で加えられる、態様44~49のいずれかの方法。
51. 組換えIL-2が、組換えIL-2、100IU/mLまたは約100IU/mLの濃度で加えられる、態様44~50のいずれかの方法。
52. 濃縮NK細胞の前記集団が、少なくとも0.2×106もしくは少なくとも約0.2×106個の濃縮NK細胞、少なくとも1.0×106もしくは少なくとも約1.0×106個の濃縮NK細胞、または10×106もしくは約10×106個の濃縮NK細胞を含む、態様1~51のいずれかの方法。
53. 前記培養する工程の開始時の濃縮NK細胞の前記集団が、0.05×106または約0.05×106個の濃縮NK細胞/mLから、1.0×106または約1.0×106個の濃縮NK細胞/mLの濃度である、態様1~52のいずれかの方法。
54. 前記培養する工程の開始時の濃縮NK細胞の前記集団が、0.05×106または約0.05×106個の濃縮NK細胞/mLから、0.5×106または約0.5×106個の濃縮NK細胞/mLの濃度である、態様1~53のいずれかの方法。
55. 前記培養する工程の開始時の濃縮NK細胞の前記集団が、0.2×106または約0.2×106個の濃縮NK細胞/mLの濃度を含む、態様1~54のいずれかの方法。
56. 前記培養する工程が、前記方法によって少なくとも2.50×108または少なくとも約2.50×108個のg-NK細胞の増大が達成される時点まで実行される、態様1~55のいずれかの方法。
57. 前記培養する工程が、前記方法によって少なくとも5.00×108または少なくとも約5.00×108個のg-NK細胞の増大が達成される時点まで実行される、態様1~56のいずれかの方法。
58. 前記培養する工程が、前記方法によって少なくとも1.0×109または少なくとも約1.0×109個のg-NK細胞の増大が達成される時点まで実行される、態様1~57のいずれかの方法。
59. 前記培養する工程が、前記方法によって少なくとも5.0×109または少なくとも約5.0×109個のg-NK細胞の増大が達成される時点まで実行される、態様1~58のいずれかの方法。
60. 前記培養する工程が、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または約5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または少なくとも5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日、または少なくとも約5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、もしくは25日間にわたって実行される、態様1~59のいずれかの方法。
61. 前記培養する工程が14日、または約14日、または少なくとも14日、または少なくとも約14日間にわたって実行される、態様1~60のいずれかの方法。
62. 前記培養する工程が21日、または約21日、または少なくとも21日、または少なくとも約21日間にわたって実行される、態様1~60のいずれかの方法。
63. 前記培養する工程の終了時に、前記培養する工程の開始時と比較して増加した数のg-NK細胞を産生する、態様1~62のいずれかの方法。
64. 前記増加が、100倍超もしくは約100倍超、200倍超もしくは約200倍超、300倍超もしくは約300倍超、400倍超もしくは約400倍超、500倍超もしくは約500倍超、600倍超もしくは約600倍超、700倍超もしくは約700倍超、または800倍超もしくは約800倍超である、態様63の方法。
65. g-NK細胞がFcRγnegである、態様1~64のいずれかの方法。
66. g-NK細胞がさらにCD45pos/CD3neg/CD56posである、態様65の方法。
67. g-NK細胞が、g-NK代用表面マーカープロファイルを有する細胞である、態様1~64のいずれかの方法。
68. 前記増大された細胞集団から、g-NK細胞代用表面マーカープロファイルを有する細胞の集団を精製または選択する工程をさらに含む、態様1~70のいずれかの方法。
69. g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである、態様67または態様68の方法。
70. g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがNKG2Aneg/CD161negである、態様67または態様68の方法。
71. g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがさらにCD45pos/CD3neg/CD56posである、態様69または態様70の方法。
72. 前記増大されたg-NK細胞集団を、薬学的に許容される賦形剤中に製剤化する工程をさらに含む、態様1~71のいずれかの方法。
73. 凍結保護物質の存在下で細胞を凍結保存および/または製剤化する工程をさらに含む、態様72の方法。
74. 態様1~73のいずれかの方法によって産生されたg-NK細胞を含む、組成物。
75. 少なくとも106または少なくとも約106個のg-NK細胞を含む、態様74~78のいずれかの組成物。
76. 106もしくは約106から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、106もしくは約106から、109もしくは約109個のg-NK細胞、106もしくは約106から、108もしくは約108個のg-NK細胞、106もしくは約106から、107もしくは約107個のg-NK細胞、107もしくは約107から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、107もしくは約107から、109もしくは約109個のg-NK細胞、107もしくは約107から、108もしくは約108個のg-NK細胞、108もしくは約108から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞、108もしくは約108から、109もしくは約109個のg-NK細胞、または109もしくは約109から、1010もしくは約1010個のg-NK細胞を含む、態様74または態様75の組成物。
77. g-NK細胞がFcRγnegである、態様75~76のいずれかの組成物。
78. g-NK細胞がさらにCD45pos/CD3neg/CD56posである、態様77の組成物。
79. g-NK細胞が、g-NK代用表面マーカープロファイルを有する細胞である、態様75~76のいずれかの組成物。
80. g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがCD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negである、態様79の組成物。
81. g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがNKG2Aneg/CD161negである、態様79の組成物。
82. ナチュラルキラー(NK)細胞サブセットを含む組成物であって、
該組成物中の細胞の少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、または少なくとも90%もしくは少なくとも約90%が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negおよびNKG2Aneg/CD161negから選択されるg-NK細胞代用マーカープロファイルを有する、
該組成物。
83. g-NK細胞代用表面マーカープロファイルがCD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む、態様80~91のいずれかの組成物。
84. 前記組成物中の細胞の少なくとも60%または少なくとも約60%が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negおよびNKG2Aneg/CD161negから選択されるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む、態様82または態様83の組成物。
85. 前記組成物中の細胞の少なくとも70%または少なくとも約70%が、CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negおよびNKG2Aneg/CD161negから選択されるg-NK細胞代用マーカープロファイルを含む、態様82~84のいずれかの組成物。
86. g-NK細胞代用マーカープロファイルを含む細胞のうち、70%超がFcRγnegであり、任意で70%~90%または約70%~90%がFcRγnegである、態様83~85のいずれかの組成物。
87. 少なくとも106または少なくとも約106個の細胞を含む、態様83~86のいずれかの組成物。
88. 106もしくは約106から、1010もしくは約1010個の細胞、106もしくは約106から、109もしくは約109個の細胞、106もしくは約106から、108もしくは約108個の細胞、106もしくは約106から、107もしくは約107個の細胞、107もしくは約107から、1010もしくは約1010個の細胞、107もしくは約107から、109もしくは約109個の細胞、107もしくは約107から、108もしくは約108個の細胞、108もしくは約108から、1010もしくは約1010個の細胞、108もしくは約108から、109もしくは約109個の細胞、または109もしくは約109から、1010もしくは約1010個の細胞を含む、態様83~87のいずれかの組成物。
89. 薬学的に許容される賦形剤を含む、態様74~88のいずれかの組成物。
90. 凍結保護物質を含む、態様74~89のいずれかの組成物。
91. 無菌である、態様74~90のいずれかの組成物。
92. 態様74~91のいずれかの組成物と、疾患を処置するための追加の作用物質とを含む、キット。
93. 前記組成物と、疾患または状態を処置するための追加の作用物質とを投与することに関する説明書
をさらに含む、態様92のキット。
94. 態様74~91のいずれかの組成物と、
該組成物を、疾患を処置するための追加の作用物質との併用治療において投与することに関する説明書と
を含む、キット。
95. 前記追加の作用物質が、抗体またはFc融合タンパク質である、態様92~94のいずれかのキット。
96. 前記抗体が、腫瘍関連抗原を認識するかまたはそれに特異的に結合する、態様95のキット。
97. 前記抗体が、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD52、CD56、CD70、CD74、CD140、EpCAM、CEA、gpA33、メソテリン、α-フェトプロテイン、ムチン、PDGFR-α、TAG-72、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、細胞分散因子(scatter factor)受容体キナーゼ、ガングリオシド、サイトケライン、frizzled受容体、VEGF、VEGFR、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、EGFR、EGFL7、ERBB2(HER2)、ERBB3、フィブロネクチン、HGF、HER3、LOXL2、MET、IGF1R、IGLF2、EPHA3、FR-α、ホスファチジルセリン、シンデカン1、SLAMF7(CD319)、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、ビメンチン、またはテネイシンを認識するかまたはそれに結合する、態様95または態様96のキット。
98. 前記抗体が、完全長抗体でありかつ/またはFcドメインを含む、態様95~97のいずれか1つのキット。
99. 態様74~91のいずれかの組成物を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、疾患または状態を処置する方法。
100. 個体に1×108または約1×108から、1×1010個の細胞/m2を投与する工程、または1×106もしくは約1×106から、1×1010個のNK細胞/kgを投与する工程を含む、態様99の方法。
101. 追加の作用物質を投与する工程をさらに含む、態様99または態様100の方法。
102. 前記追加の作用物質が、抗体またはFc融合タンパク質である、態様101の方法。
103. 前記抗体が、腫瘍関連抗原を認識する、態様102の方法。
104. 前記抗体が、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD52、CD56、CD70、CD74、CD140、EpCAM、CEA、gpA33、メソテリン、α-フェトプロテイン、ムチン、PDGFR-α、TAG-72、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、細胞分散因子受容体キナーゼ、ガングリオシド、サイトケライン、frizzled受容体、VEGF、VEGFR、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、EGFR、EGFL7、ERBB2(HER2)、ERBB3、フィブロネクチン、HGF、HER3、LOXL2、MET、IGF1R、IGLF2、EPHA3、FR-α、ホスファチジルセリン、シンデカン1、SLAMF7(CD319)、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、ビメンチン、またはテネイシンを認識するかまたはそれに特異的に結合する、態様102または態様103の方法。
105. 前記抗体が、Fcドメインを含みかつ/または完全長抗体である、態様101~104のいずれか1つの方法。
106. 前記追加の作用物質と前記組成物とが逐次的に投与される、態様101~105のいずれか1つの方法。
107. 前記追加の作用物質が前記組成物の投与に先だって投与される、態様106の方法。
108. 前記追加の作用物質と前記組成物とが同時に投与される、態様101~105のいずれか1つの方法。
109. 前記疾患または状態が、炎症状態、感染症、およびがんからなる群より選択される、態様101~108のいずれか1つの方法。
110. 前記感染症が、ウイルス感染症または細菌感染症である、態様109の方法。
111. 前記がんが、白血病、リンパ腫、または骨髄腫である、態様110の方法。
112. 前記がんが、固形腫瘍を含む、態様110の方法。
113. 個体がヒトである、態様101~112のいずれか1つの方法。
114. 前記組成物中のNK細胞が、個体にとって同種異系である、態様101~113のいずれか1つの方法。
115. 前記組成物中のNK細胞が、対象にとって自家である、態様101~113のいずれか1つの方法。
116. CD16、CD57、CD7およびCD161またはNKG2AおよびCD161から選択される表面マーカーのパネルを検出するための複数の試薬を含む、キット。
117. 表面マーカーの前記パネルが、CD3、CD45、およびCD56をさらに含む、態様116のキット。
118. 前記複数の試薬のそれぞれが、表面マーカーの前記パネルのうちの1つのマーカーに特異的な結合分子である、態様116または態様117のキット。
119. 前記結合分子が、抗体または抗原結合フラグメントである、態様118のキット。
120. 前記結合分子が、検出可能に標識されている、態様118または態様119のキット。
121. 態様116~120のいずれかのキットを使用して、ナチュラルキラー(NK)細胞を含む試料中のg-NK代用表面マーカープロファイルを検出する方法。
122. (a)ナチュラルキラー(NK)細胞を含む試料を、CD16、CD57、CD7およびCD161またはNKG2AおよびCD161から選択される表面マーカーのパネルを検出するための試薬と接触させる工程と、
(b)表現型CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negまたはNKG2Aneg/CD161negを有する、試料中の細胞の有無を検出する工程と
を含む、試料中のg-NK代用表面マーカープロファイルを検出する方法。
123. 表面マーカーの前記パネルがCD45、CD3、およびCD56をさらに含み、かつ表現型がCD45pos/CD3neg/CD56posをさらに含む、態様122の方法。
124. 前記複数の試薬のそれぞれが、表面マーカーの前記パネルのうちの1つのマーカーに特異的な結合分子である、態様122または態様123の方法。
125. 前記結合分子が、抗体または抗原結合フラグメントである、態様124の方法。
126. 前記結合分子が、検出可能に標識されている、態様124または態様125の方法。
127. 前記検出がフローサイトメトリーによる、態様122~126のいずれかの方法。
【実施例】
【0319】
VII. 実施例
以下の実施例は例示のために含まれるに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0320】
実施例1: g-NK代用表面マーカーの同定
細胞内マーカーFceRIγ(FcRγ
neg)が陰性であるg-NK細胞を同定するための代用表面マーカーとして使用することができる細胞外表面マーカーの組み合わせを同定するための研究を行った。ヒト末梢血試料におけるg-NK細胞のパーセンテージは、g-NK細胞サブセットCD45
pos/CD3
neg/CD56
pos/FcRγ
negを同定するためのFceRIγに関する細胞内染色ならびにCD45、CD3およびCD56に関する細胞外染色により、フローサイトメトリーで決定した。
図1に示すとおり、試料中のg-NK細胞のうち、NK細胞表現型CD45
pos/CD3
neg/CD56
posを有する細胞であって、CD16
pos/CD57
pos/CD7
dim/neg/CD161
negまたはNKG2A
neg/CD161
negの細胞外表面表現型を有するものは、試料中のg-NK細胞の存在と強く相関した。具体的に述べると、CD16
pos/CD57
pos/CD7
dim/neg/CD161
neg NK細胞サブセット内またはNKG2A
neg/CD161
neg NK細胞サブセット内でのg-NK細胞のパーセンテージは、どちらも80%を上回った。
【0321】
実施例2: FcRγ欠損NK細胞(g
-
NK)を優先的に増大させるための方法
CMV陽性ヒトドナーまたは比較のためのCMV血清陰性ドナーからの全血から、Histopaque(登録商標)密度遠心分離法により、製造者の説明書に従って、ヒト末梢血単核球(PBMC)を単離した。PBMCをバフィーコートから採取し、洗浄し、フローサイトメトリーにより、生存CD45+細胞について評価した(PBMCを残存赤血球から識別するため)。自家PBMCのおよそ2/3を使用して、Miltenyi MACS(商標)マイクロビーズを用いる免疫親和性に基づく磁気ビーズ分離で、T細胞を除去するためのCD3+細胞の枯渇(CD3枯渇)、CD3枯渇と、それに続くCD57+NK細胞を濃縮するためのCD57の正の選択、またはCD16の正の選択(CD16+NK細胞および単球を濃縮)のいずれかにより、ナチュラルキラー(NK)細胞を濃縮した。これに代えて、CD3枯渇とそれに続くCD56濃縮(T細胞を除去しNK細胞を濃縮する)によって、NK濃縮を実行することもできる。
【0322】
単離されたg-NK細胞のパーセンテージは、細胞外表面マーカーCD45、CD3、CD56、CD16、CD57、CD7およびCD161の組み合わせで細胞を染色するか、抗FceRI抗体を用いる細胞内染色で細胞を染色することによって、決定した。g-NK細胞のパーセンテージは、CD45pos/CD3neg/CD56pos/FceRIneg(FcRγneg)である生存細胞として同定された。増大または機能アッセイの前(または後に)細胞選別を実行する場合は、細胞外表面染色だけを使用することができ、g-NK細胞のパーセンテージは、代用表面マーカープロファイルを使って、CD45pos/CD3neg/CD56pos/CD16pos/CD57pos/CD7dim/neg/CD161negリンパ球またはCD45pos/CD3neg/CD56pos/NKG2Aneg/CD161neg、またはそれらの生存細胞として同定される。
【0323】
新鮮単離NK細胞は直ちにNK細胞増大に使用するか、または凍結保存して増大前に解凍した。NK細胞増大プロトコールは、凍結/解凍された濃縮NK細胞にも、凍結/解凍PBMCから濃縮されたNK細胞にも使用できると考えられる。
【0324】
増大に先立って、生存CD71pos(標的細胞マーカー)細胞の数を決定することにより、HLA-Ebright221.AEHリンパ腫細胞をフィーダー細胞として調製した。221.AEHは、HLA-Eを高度に発現する721.221細胞株(HLA-Ebright)に由来するトランスフェクタントである(Lee et. Al 1998,J Immunol 160:4951-60)。上述したPBMCの磁気ビーズ分離後の濃縮NK細胞数の約2.5倍の数の221.AEH標的細胞を、RPMI-1640+10%ウシ胎児血清(FBS)に、1×106個の細胞/mLとなるように再懸濁した。再懸濁した221.AEH細胞に100Gyを照射した。加えて、上で単離した自家PBMCの残り1/3も、増大用フィーダー細胞として使用するために、照射(100Gy)した。増大中のフィーダー細胞としての照射PBMCの使用は必要ではないが、これがNK細胞増大の効力を改良することは研究によって示されている。
【0325】
5%ヒトAB(または自家)血清と100IU/mLの組換えIL-2とを補足した95%無血清培地(例えばCellGenix GMP幹細胞増殖培地(SCGM))で構成される培養培地中、0.2×106個のNK細胞/mLの濃度で、約10×106個のNK細胞の、新鮮なまたは解凍した磁気濃縮NK細胞を播種した。播種したNK細胞と、PBMC対NK細胞比が5:1の照射自家PBMCおよび221.AEH対NK細胞が2.5:1の比である照射221.AEHフィーダー細胞との共培養を、0日目に開始した。任意で、照射PBMCフィーダー細胞なしで増大を実行することもできる。共培養細胞は、37℃および5%CO2で、14日(新鮮細胞)または21日(解凍細胞)にわたって培養した。類似の研究では、AEH対NK細胞の比が1:1の照射221.AEHフィーダー細胞を共培養に含めて、21日ではなく14日間にわたって共培養した点以外は、上述のように解凍NK細胞を共培養した。
【0326】
増大の最初の5日間は、50ng/mLの抗CD3モノクローナル抗体(OKT3)を加えることによって、フィーダー細胞として機能するPBMCを活性化した。新鮮細胞または解凍細胞について、5日後に抗CD3抗体を洗い流し、その後は2~3日ごとに100IU/mLの組換えIL-2を補充した(14日間の増大を受けている新鮮細胞または解凍細胞についてはd5、d7、d9、d11およびd14、21日間の増大を受けている解凍細胞についてはd5、d7、d9、d11、d14、d16、d18およびd21)。場合により、14日間の増大については、新鮮組換えIL-2を含む培地を5日目、7日目および10日目に補充した。培地を交換または補充するたびに細胞を計数した。g-NKのパーセンテージをd7およびd14にフローサイトメトリーによって評価した。
【0327】
【0328】
比較のために、NKG2Cpos NK細胞を増大させるように設計された代替法によって、NK細胞を増大させた(Bigley et al. 2016,Clin Exp Immunol 185:239-251に記載されている)。代替法では、CD3枯渇とそれに続くCD56マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)を使った正の選択によって、NK細胞を濃縮した(上述のような増大前のCD16またはCD57磁気濃縮は含まなかった)。濃縮NK細胞を、30ng/mlの組換えIL-15および非照射フィーダー細胞、721.221(HLA-Enegリンパ腫)または221.AEH(HLA-Ehighリンパ腫)標的細胞のどちらかと共に、10:1のNK細胞対標的細胞比で、37℃で14日間培養した。代替法は、フィーダー細胞としての抗CD3活性化自家PBMCを含まなかった。代替法はウシ胎児血清を含有する培養培地も含んだ。
【0329】
0日目および増大の終了時(14日目または21日目)に、g-NK(CD45pos/CD3neg/CD56pos/FceRIneg)のパーセンテージをフローサイトメトリーによって決定した。具体的に述べると、Millipore(米国マサチューセッツ州バーリントン)から購入したFcRγ抗体を使用する細胞内フローサイトメトリーによって、g-NKのパーセンテージを決定した。
【0330】
図2Bおよび2Cは、14日間の増大(新鮮細胞)および解凍細胞の21日間の増大について、上記の方法によって観察された、増大の終了時におけるNK細胞増大を表している。
図2Dおよび2Eは、CD3枯渇とそれに続くCD16濃縮(CD3negCD16pos)を伴うプロセスについての結果も、また解凍細胞からの14日間の増大についての結果も、表している点以外は、同様の結果を表している。増大が、提供される方法により、CD3枯渇(CD3
neg)だけで濃縮されたNK細胞から出発して実行された場合は、1000万個のNK細胞から平均で12億個のg-NK細胞の増大が、14日後に達成され、これは、この方法によって増大された21億個のNKG2C
posのサブセットに相当した。21日間の増大については
図2Bに示すように(CMVpos CD3neg 14d 対 CMVpos CD3neg 解凍 21dの比較)、また14日間の増大については
図2Dに示すように(CMVpos CD3neg 14d 対 CMVpos CD3neg 解凍 14dの比較))、観察された増大は、本方法が新鮮濃縮NK細胞(14日)で実行されたか、それとも前もって凍結され解凍されたNK細胞で実行されたかに関わらず、類似していた。解凍NK細胞の増大は
図2Dに図解したデータセットの方が優れていた。使用した221.AEH対NK細胞比が低かったからである(
図2Bにおける解凍NK細胞の増大では2.5:1であったのに対して、1:1)。具体的に述べると、ある実験において、まずCD3枯渇だけで濃縮されたNK細胞の場合、新鮮NK細胞からは約12億個のg-NKが、また凍結NK細胞では7億個のg-NKが増大された。
図2Dに示すように、提供される方法を、増大前にまずCD3-CD16+細胞を濃縮することによって実行したところ、平均収量は、CD3枯渇のみと比較していくらか増加した。提供される方法を、増大前にまずCD3-/CD57+細胞を濃縮することによって実行すると、平均収量は、当初1000万個の濃縮NK細胞から出発して14日後に約80億個のg
-NK細胞へと、かなり増加した。対照的に、代替法(Bigley et al. 2016)では、同じ出発集団から約2300万個のg
-NK(または約4500万個のNKG2C
pos NK細胞)しか得られなかった。
【0331】
図2Cおよび
図2Eに示すとおり、CMV
posドナーからの増大後のg-NK細胞のパーセンテージは、増大前の濃縮NK細胞におけるg-NK細胞のパーセンテージと比較して増加していた。221.AEH対NK細胞を2.5:1の同じ比で共培養を実行した場合、前もって凍結することなく14日間増大させた新鮮NK細胞の方が、前もって凍結されていて21日間増大させたNK細胞よりも、濃縮は大きかった(
図2C、CMVpos CD3neg 14d 対 CMVpos CD3neg 解凍 21dの比較)。
図2Eに示すとおり、凍結されていたNK細胞の比を高くして共培養を実行した場合(1:1の221.AEH対NK細胞比)、増大の終了時におけるg-NK細胞のパーセンテージは、出発NK細胞が新鮮であるか凍結されていたかに関わらず、出発NK細胞間で類似していた。これらの結果は、平均すると、解凍PBMCは14日後には新鮮試料と類似する増大を達成できることを実証している。
【0332】
増大前のCD3枯渇によって濃縮されたNK細胞では、g-NKのパーセンテージが、最初はNK細胞の6%であったが、増大後は28%まで増加した。最初にCD3枯渇とそれに続くCD16選択によってNK細胞について濃縮された細胞では、より大きな増加が観察された。しかし比率の増加は、CD3枯渇だけによるNK細胞の濃縮またはCD16pos細胞の濃縮と比べて、初期NK細胞を増大前にCD3neg/CD57pos細胞について濃縮した場合には、特に大きかった。具体的に述べると、CD3枯渇とそれに続くCD57の正の選択によってNK細胞を濃縮した場合には、g-NKのパーセンテージが、最初はNK細胞の28%であったが増大後は82%へと増加することが観察された。これらの結果は、提供されるプロセスが1000倍を上回る増大率で高い収量をもたらしうることを裏付けている。
【0333】
この研究では、g-NKの収量が他のドナーよりも有意に高い「スーパードナー(super donor)」が同定された。この「スーパードナー」では、増大前にCD3枯渇とそれに続くCD57の正の選択によってNK細胞を濃縮した場合に、1000万個のNK細胞が14日後には276億個のg-NKを与え、g-NKのパーセンテージは静止時の31%から増大後は85%まで増加した。
【0334】
CMV血清陰性ドナーでは、観察されたg-NKの増大がはるかに小さく、CMV血清陰性ドナーからの1000万個のNK細胞から開始して平均収量は2600万個のg-NKだった(
図2Bおよび2D)。CMV血清陰性ドナーでは、g-NKサブセットについて優先的増大は見られなかった(0日目に2.1%であったのに対して14日目に1.7%)(
図2Cおよび2E)。これらの結果は、CMV感染者ではg
-NKがメモリー様特性を有することと、この特性が221.AEH細胞によって活性化されることとを示唆している。CMV感染細胞は、221.AEH細胞のように、HLA-Eをアップレギュレートしていた(Tomasec et al.(2000)Science,287:1031)。さらにまた、これらの知見は、g
-NKが「メモリー様」NK細胞であることを示した以前の研究(Zhang et al.,2013,J Immunol 190:1402-1406)や、NKG2C
pos NK細胞(CMV血清陽性のドナーからのもの)が同種異系HSCTレシピエントではCMV再活性化に応答して増大するが、CMV血清陰性ドナーからのものはそうではないという以前の研究(Foley et al.,2012,Blood 119:2665-2674)とも合致している。
【0335】
EBVの存在は後述するゲノム解析によって決定された。簡単に述べると、細胞を37℃の水浴で解凍し、5mlの温かい培地に移してから、遠心分離し、新鮮培地に再懸濁した。各試料から4×106個の細胞を2mlチューブに分注し、残りの細胞は90%FBS+10%DMSO中で凍結し、-80℃で貯蔵した。Pure LinkゲノムDNAミニキット(カタログ番号K1820-00、Invitrogen)を使って細胞からゲノムDNA(gDNA)を抽出し、Qubit(DNA BR)を使って定量した。またTapeStation(gDNAテープ)を使って品質を確認した。qPCR(Brilliant III Ultra-Fast SYBR(登録商標)Greenマスターミックス、カタログ番号600883、Agilent)では各反応につき50ngのgDNAを使用した。EBNA1用およびGAPDH用のプライマー(IDT)を使ってEBVを検出し、定量した。その結果、照射221.AEHフィーダー細胞で増大させた細胞にはEBVが見いだされないことが示された。
【0336】
実施例3: 増大されたNK細胞の細胞傷害活性の評価
実施例2記載の方法によって増大させたNK細胞の機能的活性を、代替法との比較で、標的特異的細胞傷害活性を計測することによって評価した。
【0337】
実施例1記載の増大からの凍結NK細胞を解凍し、14日間増大させたNK細胞とHLA欠損K562細胞株およびHLA-E
bright221.AEH細胞株とを、1:1のエフェクター対標的細胞比で共培養することによって、NK細胞の細胞傷害性を評価した。37℃で4時間のインキュベーション後に、ヨウ化プロピジウム(PI)を加え、4色フローサイトメトリーを使って、NK細胞、生標的細胞および死標的細胞の数を分析した。NK細胞の細胞傷害性は、特異的溶解のパーセンテージ(%総溶解-%自発性細胞死)として定量した。
図3に示すように、実施例1に記載の代替法によって増大させたNK細胞は、NK細胞によるHLA欠損K562細胞株およびHLA-E
bright 221.AEH細胞株の殺傷を、それぞれ15%から40%および5%から20%に増強することができた(非増大細胞との対比)。しかし、濃縮CD3
negCD57
pos NK細胞から出発した実施例1記載の方法は、K562細胞および221.AEH細胞のそれぞれ80%(対して、代替法では40%)および53%(対して、代替法では20%)を殺傷することができる増大されたNK細胞をもたらした(
図3参照)。
【0338】
実施例4: 抗CD20抗体と組み合わせた、増大されたNK細胞の、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の評価
実施例2記載の方法によって増大させたNK細胞の機能的活性を、抗CD20抗体との組み合わせで抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を計測することによって評価した。
【0339】
ADCC細胞傷害性アッセイのために、実施例2記載の増大からの凍結NK細胞を解凍し、10%FBS補足RPMI-1640培地中、37℃で1時間インキュベートした。次にNK細胞を、10%FBS補足RPMI-1640培地中、10μg/mLリツキシマブ(抗CD20)の存在下で、RAJI標的細胞(1.0×10
4個の細胞、CD20+B細胞腫瘍細胞株)と共に、0.5:1、1:1、2.5:1、5:1および10:1のNK細胞対標的細胞比でインキュベートした。ADCCは、腫瘍標的細胞を同定するための抗CD71抗体および細胞死のマーカーとしてのヨウ化プロピジウム(PI)による染色に基づくフローサイトメトリーで決定した(Bigley et al.,(2014)Brain Behav Immun.,39:160-71)。
図4Aに示すように、ADCCは、g-NK低対象[増大前のg
-NK平均=2%、n=4](10:1の比で31%殺傷)と比べて、g
-NK高対象[増大前のg
-NK平均=24%、n=4]ではかなり高かった(10:1の比で94%殺傷)。
【0340】
異なるサブセットの活性を比較するために、増大されたNK細胞を、生存NK細胞かつ細胞外表面マーカーで、フローサイトメトリーにより、次の3つのカテゴリーに選別した:通常型[cNK;CD45+/CD3-/CD56+/NKG2C-]、適応型(NKG2C+)[CD45+/CD3-/CD56+/NKG2C+/NKG2A-]およびg-NK[CD45+/CD3-/CD56+/CD16+/CD57+/CD7-/CD161-]。g-NKは細胞外表現型[CD45+/CD3-/CD56+/CD161-/NKG2A-]を使って分類することもできると考えられる。この実験では、g
-NK細胞の割合が最も高い(g-NK
平均=25.3±8.5%)を持つ4人の対象から、通常型NK、適応型(NKG2C
pos)NKおよびg-NKを取得した。
図4Bに示すように、1:1のNK細胞-標的細胞比におけるg
-NKのADCC殺傷率(76%)は、NKG2C
pos NK細胞または通常型NK細胞(それぞれ30%または24%)よりも、はるかに良好だった。さらにまた、g
-NKの機能は、それが新鮮NK細胞に由来したか前もって凍結されたNK細胞に由来したかに関わらず、類似していた(
図4B)。上述の「スーパードナー」の場合、増大されたg
-NKの殺傷率(97%)は、1:1のNK細胞標的細胞比において、それぞれのNKG2C
pos NK細胞または通常型NK細胞(それぞれ55%または38%)よりも、はるかに良好だった。
【0341】
これらの結果は、提供される方法が、NKG2Cpos NK細胞または通常型NK細胞よりもはるかに優れたADCCキラーである何十億個ものg-NKを、わずか2週間で生成させることができることを実証している。
【0342】
実施例5: ERBBファミリー特異的抗体と組み合わせた、増大されたNK細胞の、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の評価
実施例2記載の方法によって増大させたNK細胞の機能的活性を、代替法との比較で、抗HER2抗体と組み合わせた抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を計測することによって評価した。
【0343】
ドナーはCMV血清陽性(n=4)であり、磁気選別したNK細胞(増大前のg-NKパーセンテージ=18.3±2.9%)を、実施例2記載の方法を使って増大させた。次に、増大されたNK細胞を、CD57マイクロビーズを使ってCD57+「g-NK」画分とCD57-「cNK」画分とに磁気選別し、後のADCCアッセイのために凍結保存した。CD57+画分とCD57-画分の実際のg-NKパーセンテージはそれぞれ82.2±1.6%および2.4±0.7%だった。CD57+画分内およびCD57-画分内のg-NKパーセンテージは、Millipore(米国マサチューセッツ州バーリントン)から購入したFcRγ抗体を使用する細胞内フローサイトメトリーによって決定した。ADCC細胞傷害性アッセイのために、以前の増大からの凍結NK細胞を解凍し、10%FBS補足RPMI-1640培地中、37℃で1時間インキュベートした。ADCCアッセイは標的として乳がん細胞株SKBR3および頭頸部がん細胞株CAL27を使用して行われた。本発明者らが以前に記載したとおり(Bigley et al.,2014)、増大されたNK細胞を、CD71標識SKBR3標的細胞およびCD71標識CAL27標的細胞(1.0×104個の細胞)と、最終体積2.2mLの標的細胞特異的培地中、1:1、5:1、10:1および20:1のNK細胞:標的細胞比で共培養した。SKBR3アッセイに使用した培地は、2.5μg/mLトラスツズマブ(抗HER2)を含む10%FBS補足マッコイ5A培地であり、CAL27アッセイに使用した培地は、10μg/mLセツキシマブ(抗EGFR)を含む10%FBS補足DMEMである。いずれの場合も、処置抗体が存在しない状態で、基礎細胞傷害性も測定した。自発的細胞死(すべてのアッセイについて10%未満)を考慮に入れるために、標的細胞のみのチューブを使用した。抗体単独に起因すると考えられる細胞死を説明するために標的細胞+抗体のチューブ(NK細胞の添加なし)も設けた。37℃で4時間のインキュベーション後に、細胞を洗浄し、チューブ内のNK細胞の数を定量するために、抗CD3抗体および抗CD56抗体で染色した。最終洗浄後に、ヨウ化プロピジウム(PI)を加え、4色フローサイトメトリーを使って、NK細胞、生標的細胞および死標的細胞の数を決定した(Bigley et al.,2018)。細胞傷害性は、各NK細胞容量における%総細胞死から%自発的細胞死を差し引くことによって決定した(基礎細胞傷害性=%総細胞死-%自発的細胞死)。SKBR3細胞株とCAL27細胞株はATCC(米国バージニア州マナッサス)から購入した。
【0344】
図5Aおよび5Bに示すように、g-NKは、SKBR3標的およびCAL27標的を通常型NK細胞よりはるかによく殺傷することがわかった。具体的に述べると、g-NKは、トラスツズマブが存在する場合に、20:1のNK:標的比で46%のSKBR3細胞を殺傷し、それは、同じ比のcNKによって殺傷されるSKBR3細胞が18%であるのと比べて、はるかに多かった(n=4)(
図5A)。基礎細胞傷害性(トラスツズマブなし)は、20:1のNK:標的比において、g-NKでは18%、cNKでは14%だった。通常型NK細胞のADCCは、g-NK細胞の基礎細胞傷害性と同じだった。同様に
図5Bは、g-NKが、セツキシマブが存在する場合に、20:1のNK:標的比で80%のCAL27細胞を殺傷し、それは、同じ比のcNKによって殺傷されるCAL27細胞が50%であるのと比べて、はるかに多かったことを示す結果を表している(n=4)。基礎細胞傷害性(セツキシマブなし)は、20:1のNK:標的比で、g-NKとcNKのどちらについても12%だった。
【0345】
上記と同じドナーNK細胞を使った別の一連の実験では、NK細胞を結腸直腸がん細胞株HT-29およびSW-480標的細胞または肺がん細胞株A-549標的細胞と、1:1、5:1、10:1および20:1のNK細胞対標的細胞比で共培養した。HT-29アッセイに使用した培地は5μg/mLセツキシマブを含む10%FBS補足マッコイ5A培地であり、SW-480アッセイに使用した培地は5μg/mLセツキシマブを含む10%FBS補足リーボビッツL-15培地であり、A-549アッセイに使用した培地は5μg/mLセツキシマブを含む10%FBS補足F-12K培地である。ADCCは、腫瘍標的細胞を同定するための抗CD71抗体および細胞死のマーカーとしてのPIによる染色に基づくフローサイトメトリーで決定した。処置抗体が存在しない状態で、基礎細胞傷害性も測定した。
【0346】
図6A~6Cの結果は、(上記と同じドナーNK細胞を使用して)g-NKはHT-29、SW-480およびA-549標的をcNKよりはるかによく殺傷するとわかったことを示している。具体的に述べると、
図6Aに示すとおり、g-NKは、セツキシマブが存在する場合に、20:1のNK:標的比で35%のHT-29細胞を殺傷し、それは、同じ比のcNKによって殺傷されるHT-29細胞が14%であるのと比べて優れていた(n=4)。基礎細胞傷害性(セツキシマブなし)は、20:1のNK:標的比で、g-NKでは14%、通常型NK細胞では11%だった。同様に
図6Bは、g-NKが、セツキシマブが存在する場合に、20:1のNK:標的比で56%のSW-480細胞を殺傷し、それは、同じ比のcNKによって殺傷されるSW-480細胞が23%であるのと比べて、はるかに多かったことを示す結果を表している(n=4)。基礎細胞傷害性(セツキシマブなし)は、20:1のNK:標的比で、g-NKでは24%、cNKでは18%だった。さらにまた、
図6Cは、g-NKが、セツキシマブが存在する場合に、20:1のNK:標的比で62%のA-549細胞を殺傷し、それは、同じ比のcNKによって殺傷されるA-549細胞が23%であるのと比べて著しく優れていたことを示している(n=4)。基礎細胞傷害性(セツキシマブなし)は、20:1のNK:標的比で、g-NKでは23%、通常型NK細胞では17%だった。cNK細胞のADCCは、3つすべての細胞株について、g-NK細胞の基礎細胞傷害性と同じだった。
【0347】
総合するとこれらの結果は、増大されたg-NKが、液状腫瘍に対するADCCも固形腫瘍に対するADCCも等しく増強することができ、NK細胞のADCCに対して高度または軽度の感受性を有する腫瘍に対するADCCも増強できることを示している。
【0348】
実施例6: 増大されたNK細胞のインビボでの持続性の評価
実施例2に記載するようにNK細胞を増大させた。1週間の順化後に、1×107個の増大されたg-NK(新鮮または凍結/解凍)またはcNK(凍結/解凍)を雌NOD scidガンマ(NSG)マウスに単回注射し、IL-15を補足した(2μg I.P. 3日ごと)(表E1参照)。g-NKは一人のCMV血清陽性ドナーから増大させ(g-NKのパーセンテージは増大前が61%、増大後が90%だった)、一方、cNKは一人のCMV血清陰性ドナーから増大させた(g-NKのパーセンテージは増大前も増大後も0%だった)。g-NKのパーセンテージは細胞内フローサイトメトリーを使って確認した。増大後に凍結され、この研究に使用するために解凍された細胞の場合、凍結細胞用の凍結培地は90%FBSおよび10%DMSOであった。凍結細胞産物はマウスに投与する前に湯浴で素早く解凍した(37℃)。
【0349】
各NK細胞のインビボでの持続性を決定するために血液試料を収集した。血液収集のために、注入後、5、8、14、15および22日目に、EDTAバキュテナーを使って50μLを採血し、後のフローサイトメトリーのために凍結した(10%DMSO添加)(
図7A)。22日目にすべてのマウスを屠殺し、骨髄および脾臓を生存可能に凍結した(90%FBSおよび10%DMSO)(それぞれ
図7B、
図7C)。
【0350】
【0351】
図7Aに示すように、新鮮単離g-NKまたは凍結解凍g-NKはどちらも、NSGマウスの血流中で凍結解凍cNKよりも十分に長く持続することが、すべての時点(5、8、14、15および22日目)で観察された。具体的には、22日後には、脾臓において持続しているcNKはほとんど見つからなかったが、g-NKは相当な数が検出された(
図7B)。骨髄でもg-NKの持続性の方がcNKの持続性より優れていた(
図7C)。
【0352】
実施例7: 抗CD20抗体と組み合わせた、増大されたNK細胞による、抗腫瘍活性の評価
実施例2記載の方法によって増大させたNK細胞の機能的活性を、抗CD20抗体と組み合わせて注射した場合のインビボでの腫瘍に対する阻害を計測することによって評価した。
【0353】
5×105個のルシフェラーゼ標識Rajiヒトリンパ腫細胞株を雌NOD scidガンマ(NSG)マウスに静脈内注射し、2日間成長させた。モノクローナル抗体リツキシマブをマウスに単独でI.P.投与するか、21日間にわたって3回I.V.投与される15×106個の増大されたg-NK細胞(実施例2)と組み合わせてI.P.投与した(表E2参照)。生物発光イメージングを使って毎週腫瘍量をモニターし、生存率を2または3日ごとに記録した。g-NKは一人のCMV血清陽性ドナーから増大させ(g-NKのパーセンテージは増大前が61%、増大後が90%だった)、一方、cNKは一人のCMV血清陰性ドナーから増大させた(g-NKのパーセンテージは増大前も増大後も0%だった)。g-NKのパーセンテージは細胞内フローサイトメトリーを使って確認した。
【0354】
【0355】
g-NKの養子移入はRajiリンパ腫の異種移植変モデルにおけるリツキシマブの効力を著しく増強し、g-NKの注入は、NSGマウスの生存率を、無処置のマウスまたはリツキシマブ単独で処置されたマウスとの比較で高めることができた。
図8Aおよび8Bに示すように、処置を受けなかったマウスは、注入の7日後には迅速な腫瘍成長を呈し、25日目より前に無処置のマウスはすべて死んだ。リツキシマブ単独を投与されたマウスは、28日目の後に、遅延はしたが依然として迅速な腫瘍成長を示し、生存率は30日目の後に低下し始めた。リツキシマブと組み合わされたg-NKの投与を受けたマウスは、28日目の後にわずかな腫瘍成長を呈したに過ぎず、すべてのマウスが35日目まで生残した。
【0356】
これらの結果は、モノクローナル抗体と組み合わせると、g-NKの抗リンパ腫効果が、インビボで活用されうることを実証している。
【0357】
実施例8: 抗CD38抗体または抗CD319抗体と組み合わせた、増大されたNK細胞の、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の評価
実施例2記載の方法によって増大させたNK細胞の機能的活性を、代替法との比較で、ダラツママブ(Daratumamab)(抗CD38)またはエロツザマブ(Elotuzamab)(抗CD319)と組み合わせた抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を計測することによって評価した。
【0358】
増大前(新鮮単離)ADCC:ドナーはCMV血清陽性(n=14)およびCMV血清陰性(n=2)だった。すべてのドナーをg-NK細胞のパーセンテージについてプレスクリーニングし、g-NK細胞の比率に基づいて「g-NK」ドナー(n=10 CMV+)または「通常型」ドナー(n=4 CMV+、n=2 CMV-)に大別した。「g-NK」ドナーにおけるg-NKの比率は30.0±2.1%であり、一方、「通常型」ドナーではg-NKの比率が1.6±0.4%しかなかった。「g-NK」ドナーからCD57+NK細胞を磁気選別し、「通常型」ドナーからバルクNK細胞(CD3-/CD56+)を磁気選別した。「g-NK」ドナーおよび「通常型」ドナーから磁気選別された画分の実際のg-NKパーセンテージは、それぞれ84.3±2.4%および1.6±0.4%だった。各画分内のg-NKパーセンテージは、Millipore(米国マサチューセッツ州バーリントン)から購入したFcRγ抗体を使用する細胞内フローサイトメトリーによって決定した。
【0359】
ADCC細胞傷害性アッセイのために、凍結PBMCを解凍し、10%FBS補足RPMI-1640培地中、37℃で1時間インキュベートした。次に、「g-NK」ドナーおよび「通常型」ドナーからそれぞれCD57+NK細胞およびバルクNK細胞を単離するために、磁気ビーズ分離を行った。ADCCアッセイは標的として多発性骨髄腫細胞株MM.1S(ATCC、バージニア州マナッサス)を使用して行われ、Bigley et al. 2014に記載の方法と同様に、NK細胞をCD71標識MM.1S標的細胞(1.0×104個の細胞)と、最終体積2.2mLの標的細胞特異的培地中、0.5:1、1:1、2.5:1および5:1のNK細胞:標的細胞比で、共培養した。ADCCアッセイに使用した培地は、1μg/mLダラツムマブ(抗CD38)または1μg/mLエロツズマブ(抗CD319)を含む10%FBS補足RPMI-1640培地である。いずれの場合も、処置抗体が存在しない状態で、基礎細胞傷害性も測定した。自発的細胞死(すべてのアッセイについて10%未満)を考慮に入れるために、標的細胞のみのチューブを使用した。37℃で4時間のインキュベーション後に、細胞を洗浄し、チューブ内のNK細胞の数を定量するために、抗CD3抗体および抗CD56抗体で染色した。最終洗浄後に、ヨウ化プロピジウム(PI)を加え、4色フローサイトメトリーを使って、NK細胞、生標的細胞および死標的細胞の数を決定した(Bigley et al.,2018)。
【0360】
増大後(増大させた)ADCC:5人のドナーをg-NK細胞のパーセンテージについてプレスクリーニングし、g-NK細胞の比率に基づいて「g-NK」ドナー(n=3)または「通常型」ドナー(n=2)に大別した。「g-NK」ドナーにおけるg-NKの比率は30.3±2.0%であり、一方、「通常型」ドナーではg-NKの比率が1.6±0.4%しかなかった。「g-NK」ドナーからCD57+NK細胞を磁気選別し、「通常型」ドナーからバルクNK細胞(CD3-/CD56+)を磁気選別した。「g-NK」ドナーおよび「通常型」ドナーから磁気選別された画分の実際のg-NKパーセンテージは、それぞれ84.0±2.5%および1.6±0.4%だった。次に、実施例2に記載したようにg-NK画分およびcNK画分を増大させ、上述のように、後のADCCアッセイのために凍結保存した。
【0361】
ダラツムマブまたはエロツズマブと組み合わせた場合、g-NKはMM.1S多発性骨髄腫細胞に対してcNKよりも強いADCCを有する。具体的に述べると、ダラツムマブまたはエロツズマブが存在する場合、新鮮単離g-NKは、MM.1S細胞に対し、4つすべてのNK細胞用量において、cNKより著しく高い細胞傷害性を有した(
図9A参照)。同様に、ダラツムマブまたはエロツズマブと組み合わせた場合、増大されたg-NKは増大されたcNKよりも強い抗骨髄腫ADCCを有した(
図9B)。抗体が存在しない場合、MM.1S細胞に対するg-NKとcNK(非増大物または増大物)の細胞傷害性には差がなかった(
図9Aおよび9B参照)。総合すると、このデータは、g-NKが多発性骨髄腫に対して強い抗体依存性細胞傷害活性を有することを示している。
【0362】
実施例9: 抗CD38抗体または抗CD319抗体と組み合わせた、増大されたNK細胞による、抗腫瘍活性の評価
実施例2記載の方法によって増大させたNK細胞の機能的活性を、抗CD38抗体または抗CD319抗体と組み合わせて注射した場合のインビボでの腫瘍に対する阻害を計測することによって評価した。
【0363】
1×106個のルシフェラーゼ標識MM.1Sヒト骨髄腫細胞株を雌NOD scidガンマ(NSG)マウスに静脈内注射し、7日間成長させた。モノクローナル抗体ダラツムマブまたはエロツズマブをマウスに単独でI.P.投与するか、31日間にわたって6回I.V.投与される増大されたg-NK細胞または生理学的レベルの対照物質cNK細胞と組み合わせてI.P.投与した(表E3参照)。生物発光イメージングを使って毎週腫瘍量をモニターした。研究の終了時に、g-NKアームおよびcNKアームのマウスそれぞれ3匹から骨髄試料および脾臓試料を採取し、後のフローサイトメトリー分析で各NK集団の持続性を決定するために、生存可能に凍結した。g-NKは一人のCMV血清陽性ドナーから増大させ(g-NKのパーセンテージは増大前が61%、増大後が90%だった)、一方、cNKは一人のCMV血清陰性ドナーから増大させた(g-NKのパーセンテージは増大前も増大後も0%だった)。g-NKのパーセンテージは細胞内フローサイトメトリーを使って確認した。
【0364】
実施例2に記載したようにg-NK細胞を増大させて、各回、2×107個の細胞を投与し、一方、非増大cNKは、各回、3×105個の細胞を投与した。cNK用量はヒトにおける生理的レベルのNK細胞/kgに等しい(Cooley et al.,2019)。
【0365】
【0366】
MM.1Sが接種されダラツムマブまたはエロツズマブのどちらか一方で処置されたNSGマウスにおける腫瘍量および生存率に対する、養子移入されたg-NKの利益を、
図10および11に記載する。ダラツムマブとg-NKとで処置されたマウスは、ダラツムマブ単独で処置されたマウスまたはダラツムマブ+生理的レベルのcNK細胞で処置されたマウスよりも、腫瘍量(BLI)が著しく低かった(
図10A参照)。加えて、エロツズマブとg-NKとで処置されたマウスも、エロツズマブ単独で処置されたマウスまたはエロツズマブ+生理的レベルのcNK細胞で処置されたマウスの場合より、腫瘍量が低かった(
図10B参照)。さらにまた、
図11A(ダラツムマブ)および
図11B(エロツズマブ))に示すように、g-NKとダラツムマブまたはエロツズマブとの組み合わせは、ビヒクル、mAb単独、g-NK単独、またはmAb+生理的レベルのcNKで処置されたマウスと比較した場合に、より優れた生存率をもたらした。総合すると、このデータは、モノクローナル抗体と組み合わせると、g-NKの抗骨髄腫効果が、インビボで活用されうることを実証している。
【0367】
図12A~12Cには、MM.1Sが接種されダラツムマブまたはエロトズマブのどちらか一方で処置されたNSGマウスにおけるg-NKの優れた持続性が記載されている。g-NKはダラツムマブ処置マウスの脾臓と骨髄では、cNKよりも高いレベルで持続し(
図12Aおよび12B参照)、一方、血中でのg-NKとcNKの持続性には差がなかった(
図12C参照)。さらにまた、ダラツムマブ処置マウスの骨髄および脾臓におけるg-NKの数は、他のどの群の場合よりも高かった(
図12Aおよび12B参照)。g-NKは、エロツズマブ処置マウスの脾臓および血液では、cNKより高いレベルで持続し(
図12Aおよび12C)、一方、骨髄でのg-NKとcNKの持続性には差がなかった(
図12B参照)。g-NKのみ(ダラツムマブもエロツズマブもなし)で処置したマウスの血液におけるg-NKの数は、他のどの群よりも著しく高かった(
図12C参照)。
【0368】
実施例10: g-NK細胞に関する細胞表面マーカーの評価
この実施例では、一つには、標的表面マーカーの欠如に起因するg-NK細胞の抗体からの保護を実証する。
【0369】
およそ2.0×105個のNK細胞および/またはMM.1S細胞もしくはRaji細胞をフローチューブに分注し、2μLの7-AAD生存性色素、ならびに表E4に記載するように、2μLの抗CD45、2μLの抗CD20、2μLの抗CD38、2μLの抗CD3、10μLの抗SLAMF7および2μLの抗CD56抗体で染色した。4℃で10分間のインキュベーション後に、細胞を洗浄し、抗FceRI抗体(Millipore)を使って細胞内染色を行った。染色プロセスの完了後に、CD20、CD38およびSLAMF7発現g-NK、cNKおよびMM.1SまたはRaji細胞のパーセンテージを、8色フローサイトメトリー(Miltenyi MACSQuant Analyzer 10)によって評価した。
【0370】
(表E4)NK、MMおよびRaji細胞におけるCD20、CD38およびSLAMF7発現を決定するためのフローサイトメトリーパネル
*FcRgは細胞内エピトープである。
【0371】
g-NK、cNKおよびMM.1S細胞におけるCD20、CD38およびSLAMF7の発現を
図13A~13Dに提示する。g-NKとcNKはどちらも、Rajiリンパ腫細胞上に高度に発現しているCD20の発現を欠いていた(
図13A)。g-NKによるCD38の発現は、cNK細胞およびMM.1S細胞の場合よりもはるかに少なかった(
図13B)。g-NKとcNKの間でSLAMF7の発現に差はなかったが、g-NKとcNKはどちらも、MM.1S細胞よりはるかに低いSLAMF7の発現を呈した(
図13C参照)。増大されたg-NKでは、増大されたcNKと比較した場合に、CD38発現の低減も見られた(
図13D参照)。g-NKによるCD20、CD38またはSLAMF7の発現の欠如は、リツキシマブ(抗CD20)、ダラツムマブ(抗CD38)またはエロツズマブ(抗SLAMF7)によるmAb誘導性フラトリサイドからの保護を与えた。総合するとこのデータは、とりわけダラツママブなどの治療用抗体の存在下で、g-NKの持続性がcNKと比較して有利である理由を、さらに例証している。
【0372】
g-NK細胞におけるCD38発現が、通常型NK細胞と比較して減少しているまたは低いという観察結果は、g-NK細胞を濃縮するためのマーカーとしてCD38を使用することができるという戦略を裏付けている。CD38とg-NK細胞表現型との逆相関は、実施例2記載の増大法におけるCD57濃縮に代わる戦略と合致する。これらの知見は、NK細胞が、免疫親和性に基づく分離により、T細胞を除去するためのCD3+細胞の枯渇(CD3枯渇)と、それに続くCD56+NK細胞を濃縮するためのCD56選択と、それに続くCD38+細胞を除去するまたは枯渇させるためのCD38に対する負の選択、すなわちCD3-CD56+CD38-によってPBMCから濃縮される、g-NK細胞を増大させるための方法を裏付けている。このNK細胞サブセットの単離および濃縮に続いて、CD3-CD56+CD38-NK細胞サブセットを凍結するか、または新鮮な状態で使用し、次に実施例2または
図2記載の方法に従って、例えば照射221.AEH標的細胞(例えば2.5:1の221.AEH対NK細胞)および任意で照射PBMCフィーダー細胞(例えば5:1のPBMC対NK細胞)と共に、組換えIL-2(例えば100IU/mL)の存在下で、約14日間にわたって培養することなどによって、増大させることができる。照射PBMCフィーダー細胞を増大において使用する場合、その増大の少なくとも一部分は、実施例2に記載するように、細胞を活性化するために抗CD3モノクローナル抗体(OKT3)とのインキュベーションを含む。
【0373】
実施例11: トラスツズマブまたはセツキシマブと組み合わせた、増大されたNK細胞による、卵巣がん細胞に対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の評価
実施例2記載の方法によって増大させたNK細胞の機能的活性を、代替法との比較で、トラスツズマブまたはセツキシマブと組み合わせた抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を計測することによって評価した。
【0374】
増大前(新鮮単離)ADCC:ドナーはCMV血清陽性(n=14)およびCMV血清陰性(n=2)だった。すべてのドナーをg-NK細胞のパーセンテージについてプレスクリーニングし、g-NK細胞の比率に基づいて「g-NK」ドナー(n=10 CMV+)または「通常型」ドナー(n=4 CMV+、n=2 CMV-)に大別した。「g-NK」ドナーにおけるg-NKの比率は30.0±2.1%であり、一方、「通常型」ドナーではg-NKの比率が1.6±0.4%しかなかった。「g-NK」ドナーからCD57+NK細胞を磁気選別し、「通常型」ドナーからバルクNK細胞(CD3-/CD56+)を磁気選別した。「g-NK」ドナーおよび「通常型」ドナーから磁気選別された画分の実際のg-NKパーセンテージは、それぞれ84.3±2.4%および1.6±0.4%だった。各画分内のg-NKパーセンテージは、Millipore(米国マサチューセッツ州バーリントン)から購入したFcRγ抗体を使用する細胞内フローサイトメトリーによって決定した。
【0375】
ADCC細胞傷害性アッセイのために、凍結PBMCを解凍し、10%FBS補足RPMI-1640培地中、37℃で1時間インキュベートした。次に、「g-NK」ドナーおよび「通常型」ドナーからそれぞれCD57+NK細胞およびバルクNK細胞を単離するために、磁気ビーズ分離を行った。ADCCアッセイは標的として卵巣がん細胞株SKOV3(ATCC)を使用して行われた。Bigley et al.2014に記載の方法を使って、NK細胞を、最終体積2.2mLの標的細胞特異的培地中、CD71標識SKOV3標的細胞(1.0×104個の細胞)と、0.5:1、1:1、2.5:1および5:1のNK細胞:標的細胞比で共培養した。ADCCアッセイに使用した培地は、1μg/mLトラスツズマブ(抗Her2)を含む10%マッコイ5A培地である。いずれの場合も、処置抗体が存在しない状態で、基礎細胞傷害性も測定した。自発的細胞死(すべてのアッセイについて10%未満)を考慮に入れるために、標的細胞のみのチューブを使用した。37℃で4時間のインキュベーション後に、細胞を洗浄し、チューブ内のNK細胞の数を定量するために、抗CD3抗体および抗CD56抗体で染色した。最終洗浄後に、ヨウ化プロピジウム(PI)を加え、4色フローサイトメトリーを使って、NK細胞、生標的細胞および死標的細胞の数を決定した(Bigley et al.,2018)。
【0376】
増大後(増大させた)ADCC:5人のドナーをg-NK細胞のパーセンテージについてプレスクリーニングし、g-NK細胞の比率に基づいて「g-NK」ドナー(n=3)または「通常型」ドナー(n=2)に大別した。「g-NK」ドナーにおけるg-NKの比率は30.3±2.0%であり、一方、「通常型」ドナーではg-NKの比率が1.6±0.4%しかなかった。「g-NK」ドナーからCD57+NK細胞を磁気選別し、「通常型」ドナーからバルクNK細胞(CD3-/CD56+)を磁気選別した。「g-NK」ドナーおよび「通常型」ドナーから磁気選別された画分の実際のg-NKパーセンテージは、それぞれ84.0±2.5%および1.6±0.4%だった。次に、実施例2に記載したようにg-NK画分およびcNK画分を増大させ、上述のように、後のADCCアッセイのために凍結保存した。
【0377】
トラスツズマブまたはセツキシマブと組み合わせた場合、SKOV3卵巣がん細胞に対するg-NKのADCCは、cNKより強かった。具体的に述べると、トラスツズマブが存在する場合、新鮮単離g-NKは、SKOV3細胞に対し、4つすべてのNK細胞用量において、cNKより著しく強い細胞傷害性を有した(
図14A参照)。同様に、トラスツズマブまたはセツキシマブと組み合わせた場合、増大されたg-NKは増大されたcNKよりもはるかに強い抗SKOV3 ADCCを有した(
図14Bおよび14C参照)。抗体が存在しない場合、SKOV3細胞に対するg-NKとcNK(非増大物または増大物)の細胞傷害性には差がなかった(
図14Aおよび14B参照)。総合すると、このデータは、g-NKが卵巣がんのような固形腫瘍悪性疾患に対して強い抗体依存性細胞傷害活性を有することを示している。
【0378】
実施例12: 抗HER2抗体と組み合わせた、増大されたNK細胞による、抗腫瘍活性および持続性の評価
実施例2記載の方法によって増大させたNK細胞の機能的活性を、抗HER2抗体(トラスツズマブ)と組み合わせて注射した場合のインビボでの腫瘍に対する阻害を計測することによって評価した。
【0379】
5×106個のSKOV3ヒト卵巣がん細胞株を雌NOD scidガンマ(NSG)マウスに静脈内注射し、30日間成長させた。モノクローナル抗体トラスツズマブをマウスに単独でI.P.投与するか、72日間にわたって3~6回I.V.投与される増大されたg-NK細胞またはcNK細胞と組み合わせてI.P.投与した(表E5参照)。カリパス測定を使って毎週腫瘍量をモニターした。研究の終了時に、g-NKアームおよびcNKアームのマウスから骨髄試料および脾臓試料を採取し、後のフローサイトメトリー分析のために、生存可能に凍結した。g-NKは一人のCMV血清陽性ドナーから増大させ(g-NKのパーセンテージは増大前が61%、増大後が90%だった)、一方、cNKは一人のCMV血清陰性ドナーから増大させた(g-NKのパーセンテージは増大前も増大後も0%だった)。g-NKのパーセンテージは細胞内フローサイトメトリーを使って確認した。
【0380】
【0381】
SKOV3が接種されトラスツズマブで処置されたNSGマウスにおける腫瘍量および生存率に対する、養子移入されたg-NKの利益を、
図15A~Bに記載する。トラスツズマブとg-NKとで処置されたマウスは、トラスツズマブ単独で処置されたマウスまたはトラスツズマブ+同数のcNK細胞で処置されたマウスよりも、腫瘍サイズが小さかった(
図15A参照)。加えて、g-NKとトラスツズマブとの組み合わせは、ビヒクル、トラスツズマブ単独、またはトラスツズマブ+cNKで処置されたマウスと比較して、生存率が増加する傾向をもたらした(
図15B参照)。総合すると、このデータは、モノクローナル抗体と組み合わせると、g-NKの抗腫瘍効果が、固形悪性疾患に対して、インビボで活用されうることを実証している。
【0382】
血液試料、骨髄試料および脾臓試料は、SKOV3が接種されトラスツズマブで処置されたNSGマウスにおけるg-NKの優れた持続性を示した。g-NKは、トランスツズマブ処置マウスの血液(
図16A参照)、脾臓(
図16B参照)および骨髄(
図16C参照)において、cNKより高レベルに持続した。
【0383】
実施例13: ダラツママブと組み合わせた、増大されたNK細胞による、多発性骨髄腫細胞に対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の評価
実施例2記載の方法によって増大させたNK細胞の機能的活性を、代替法との比較で、ダラツムマブまたはエロツザマブと組み合わせた抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を計測することによって評価した。
【0384】
ドナーはCMV血清陽性(n=5)であり、磁気選別したNK細胞(増大前のg-NKパーセンテージ=34.6±12.6%)を、実施例2記載の方法を使って増大させた。次に、増大されたNK細胞を、CD57マイクロビーズを使ってCD57+「g-NK」画分とCD57-「cNK」画分とに磁気選別し、後のADCCアッセイのために凍結保存した。CD57+画分とCD57-画分の実際のg-NKパーセンテージはそれぞれ83.1±1.6%および1.8±0.5%だった。CD57+画分内およびCD57-画分内のg-NKパーセンテージは、Millipore(米国マサチューセッツ州バーリントン)から購入したFcRγ抗体を使用する細胞内フローサイトメトリーによって決定した。
【0385】
ADCC細胞傷害性アッセイのために、以前の増大からの凍結NK細胞を解凍し、10%FBS補足RPMI-1640培地中、37℃で1時間インキュベートした。ADCCアッセイは、標的として 多発性骨髄腫細胞株ARH-77およびMM.1R(それぞれATCCから)を使用して行われた。Bigley et al.2014に記載の方法を使って、増大されたNK細胞を、最終体積2.2mLの標的細胞特異的培地中、CD71標識ARH-77標的細胞およびMM.1R標的細胞(1.0×104個の細胞)と、1:1、2.5:1、5:1および10:1のNK細胞:標的細胞比で共培養した。アッセイに使用した培地は、1μg/mLダラツムマブ(抗CD38)を含む10%FBS補足RPMI-1640培地である。いずれの場合も、処置抗体が存在しない状態で、基礎細胞傷害性も測定した。自発的細胞死(すべてのアッセイについて10%未満)を考慮に入れるために、標的細胞のみのチューブを使用した。37℃で4時間のインキュベーション後に、細胞を洗浄し、チューブ内のNK細胞の数を定量するために、抗CD3抗体および抗CD56抗体で染色した。最終洗浄後に、ヨウ化プロピジウム(PI)を加え、4色フローサイトメトリーを使って、NK細胞、生標的細胞および死標的細胞の数を決定した(Bigley et al.,2018)。
【0386】
ダラツムマブと組み合わせた場合、g-NKは多発性骨髄腫細胞株に対して強いADCCを有する。具体的に述べると、ダラツムマブが存在する場合、増大されたg-NKは、ARH-77細胞に対し、4つすべてのNK細胞用量において、増大されたcNKより著しく強い細胞傷害性を有した(
図17A参照)。ダラツムマブが存在する場合、増大されたg-NKは、MM.1R細胞に対しても、4つすべてのNK細胞用量において、増大されたcNKより著しく強い細胞傷害性を有した(
図17B参照)。総合すると、このデータは、g-NKが多発性骨髄腫細胞株に対してMM.1Sを超える強い抗体依存性細胞傷害活性を有することを示している。
【0387】
実施例14: セツキシマブと組み合わせた、増大されたg-NK細胞による、多発性骨髄腫細胞に対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の評価
実施例2記載の方法によって増大させたNK細胞の機能的活性を、代替法との比較で、セツキシマブと組み合わせた抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を計測することによって評価した。
【0388】
増大前(新鮮単離)ADCC:ドナーはCMV血清陽性(n=14)およびCMV血清陰性(n=2)だった。すべてのドナーをg-NK細胞のパーセンテージについてプレスクリーニングし、g-NK細胞の比率に基づいて「g-NK」ドナー(n=10 CMV+)または「通常型」ドナー(n=4 CMV+、n=2 CMV-)に大別した。「g-NK」ドナーにおけるg-NKの比率は30.0±2.1%であり、一方、「通常型」ドナーではg-NKの比率が1.6±0.4%しかなかった。「g-NK」ドナーからCD57+NK細胞を磁気選別し、「通常型」ドナーからバルクNK細胞(CD3-/CD56+)を磁気選別した。「g-NK」ドナーおよび「通常型」ドナーから磁気選別された画分の実際のg-NKパーセンテージは、それぞれ82.2±1.6%および2.4±0.7%だった。各画分内のg-NKパーセンテージは、Millipore(米国マサチューセッツ州バーリントン)から購入したFcRγ抗体を使用する細胞内フローサイトメトリーによって決定した。
【0389】
ADCC細胞傷害性アッセイのために、凍結PBMCを解凍し、10%FBS補足RPMI-1640培地中、37℃で1時間インキュベートした。次に、「g-NK」ドナーおよび「通常型」ドナーからそれぞれCD57+NK細胞およびバルクNK細胞を単離するために、磁気ビーズ分離を行った。ADCCアッセイは標的として結腸直腸がん細胞株SW-480を使用して行われた。Bigley et al. 2014に記載の方法を使って、NK細胞を、最終体積2.2mLの標的細胞特異的培地中、CD71標識SW-480(ATCC)標的細胞(1.0×104個の細胞)と、0.5:1、1:1、2.5:1および5:1のNK細胞:標的細胞比で共培養した。SW-480アッセイに使用した培地は、5μg/mLセツキシマブ(抗EGFR)を含む10%FBS補足リーボビッツL-15培地である。いずれの場合も、処置抗体が存在しない状態で、基礎細胞傷害性も測定した。自発的細胞死(すべてのアッセイについて10%未満)を考慮に入れるために、標的細胞のみのチューブを使用した。37℃で4時間のインキュベーション後に、細胞を洗浄し、チューブ内のNK細胞の数を定量するために、抗CD3抗体および抗CD56抗体で染色した。最終洗浄後に、ヨウ化プロピジウム(PI)を加え、4色フローサイトメトリーを使って、NK細胞、生標的細胞および死標的細胞の数を決定した(Bigley et al.,2018)。
【0390】
増大後(増大させた)ADCC:5人のドナーをg-NK細胞のパーセンテージについてプレスクリーニングし、g-NK細胞の比率に基づいて「g-NK」ドナー(n=3)または「通常型」ドナー(n=2)に大別した。「g-NK」ドナーにおけるg-NKの比率は30.3±2.0%であり、一方、「通常型」ドナーではg-NKの比率が1.6±0.4%しかなかった。「g-NK」ドナーからCD57+NK細胞を磁気選別し、「通常型」ドナーからバルクNK細胞(CD3-/CD56+)を磁気選別した。「g-NK」ドナーおよび「通常型」ドナーから磁気選別された画分の実際のg-NKパーセンテージは、それぞれ84.0±2.5%および1.6±0.4%だった。次に、実施例2に記載したようにg-NK画分およびcNK画分を増大させ、上述のように、後のADCCアッセイのために凍結保存した。
【0391】
セツキシマブと組み合わせた場合、g-NKは、SW-480結腸直腸がん細胞に対してcNKより強いADCCを有する(
図18Aおよび18B参照)。セツキシマブが存在する場合、新鮮単離g-NKは、SW-480細胞に対し、4つすべてのNK細胞用量において、cNKより著しく強い細胞傷害性を有した(
図18A参照)。同様に、セツキシマブと組み合わせた場合、増大されたg-NKは増大されたcNKよりもはるかに強い抗SW480 ADCCを有した(
図18B参照)。抗体が存在しない場合、SW-480細胞に対するg-NKとcNK(非増大物または増大物)の細胞傷害性には差がなかった(
図18Aおよび18B参照)。総合すると、このデータは、g-NKが結腸直腸がんのような固形腫瘍悪性疾患に対して強い抗体依存性細胞傷害活性を有することを示している。
【0392】
実施例15: g-NKが媒介するADCCの効力に対するCD16 158V多型の評価
158Vは、タンパク質の158番目のアミノ酸位置に、一般的なフェニルアラニン(F)の代わりにアミノ酸バリン(V)が存在するCD16の遺伝子多型である(Koene et al.,1997)。これは、CD16の発現量の増加と抗体親和性の増加につながり、それがCD16 158V+NK細胞による増強されたADCCをもたらす(Hatjiharissi et al.,2007)。158V/Vドナーおよび158V/FドナーからのNK細胞は、ARH-77骨髄腫細胞およびDaudiリンパ腫細胞を、158F/Fドナーからのものよりはるかに強くADCCによって殺傷し、158V/Vドナーの能力が最も高いことが観察された(Hatjiharissi et al.,2007)。この実施例は、少なくとも一つには、158V多型を保因するg-NKに関するADCC効力の相関を実証している。
【0393】
40人のCMV血清陽性ドナーをスクリーニングして、g-NKを最も高い比率で持つ12人のドナーを決定した。これらのドナーのg-NKを磁気ビーズ分離(CD3-/CD57+)によって濃縮し、以下の組み合わせの腫瘍/抗体に対するADCCについて試験した:1)SW-480/セツキシマブ;2)SKOV3/トラスツズマブ;3)SKOV3/セツキシマブ;4)MM.1S/ダラツムマブ;および5)MM.1S/エロツズマブ。g-NKのADCCを、g-NKを有しないドナー(n=4)からの通常のNK細胞(cNK)と比較した。これらの12人のドナーのうち、5人のドナーは、NK細胞によるADCC活性が一貫して高いことから、「スーパードナー」と分類された。
【0394】
すべてのドナーからのNK細胞を多型検査とビニングに供することで、各ドナーがCD16の158V多型(V/V、V/FおよびF/F)に関してどのサブグループに属するかを決定した。予想される分布は35%V/V、25%V/Fおよび40%F/Fだったので(Hatjiharissi et al.,2007;Somboonyosdech et al.,2012)、この予想からの逸脱はいずれも、158V多型がこれらのドナーで見られた高いADCCにおいて役割を果たしうることを示唆しうる。多型検査のために凍結NK細胞を解凍し、PBSで洗浄し、100gで遠心分離した。NK細胞懸濁液をフローチューブに収集し、CD45に対する2μLの蛍光抗体(残存赤血球から白血球を識別するため)および2μLの7-AAD(生存性色素)で染色した。暗所、室温で10分間のインキュベーション後に、細胞を500μLのPBSで希釈し、7-AADneg/CD45pos白血球の数をフローサイトメトリーによって定量した。細胞カウント後に、CD16pos NK細胞の集団を単離するために、磁気ビーズ分離(Miltenyi MACS(商標)CD16マイクロビーズ)を行った。磁気ビーズ分離後に、10X GenomicsシングルセルRNAシーケンシングを使って、各ドナーがどのCD16多型群(V/V、V/F、またはF/F)に属するかを決定した。ADCCアッセイに関して、158V g-NKとこの多型を欠くg-NKについての実際のg-NKパーセンテージは、それぞれ82.2±2.1%および82.8%±1.9%だった。g-NKのパーセンテージは細胞内フローサイトメトリーによって決定した。
【0395】
その結果、g-NK細胞が一貫して高いADCC活性を示す5人の「スーパードナー」は、CD16 158V多型を呈することが示された。さらにまた、
図19に示すように、158V g-NKは、代表的ながんのパネル(結腸直腸:SW-480、卵巣:SVOV3、SKOV3、および多発性骨髄腫:MM.1S)でも、それぞれの抗体が存在する場合には、平均して有意に高いADCC活性を示した。加えて、CD16遺伝子の発現は、試験したすべての血液腫瘍細胞株および固形腫瘍細胞株に対するADCC効力とも正に相関した(
図20)。全体として、これらの結果は、158V遺伝子型を保因するg-NKの方が、g-NK細胞にとってADCCの一次メディエーターであるCD16の発現および親和性が増強されているために、血液腫瘍と固形腫瘍のどちらの排除にも、より有効であるという観察結果と合致している。
【0396】
開示した特定態様は、例えば本発明のさまざまな局面を例示するなどの目的で提供されているのであって、本発明の範囲は、それらの特定態様に限定されるものではない。記載の組成物および方法のさまざまな変更態様は、本明細書における記載および教示から、明らかになると考えられる。そのような変形は、本開示の真の範囲および要旨から逸脱することなく実施することができ、本発明の範囲に包含されるものとする。
【配列表】