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特許7541520流体接触方法、コーティングされた物品、およびコーティング方法
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  • 特許-流体接触方法、コーティングされた物品、およびコーティング方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】流体接触方法、コーティングされた物品、およびコーティング方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/04 20060101AFI20240821BHJP
   C23C 16/02 20060101ALI20240821BHJP
   C23C 16/24 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
B32B15/04 B
C23C16/02
C23C16/24
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021530982
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 US2019063513
(87)【国際公開番号】W WO2020112938
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】62/772,747
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315002287
【氏名又は名称】シルコテック コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,ミン
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0258529(US,A1)
【文献】特開2015-053217(JP,A)
【文献】特開2016-053217(JP,A)
【文献】特表2013-508563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0251797(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0163308(US,A1)
【文献】国際公開第2017/040623(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
C23C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合金6061基材上に、熱化学気相堆積の熱酸化および熱分解により得られるコーティングを有する、コーティングされた物品を製造する方法であって、前記コーティングは第1領域、第2領域および第3領域を含み、
前記方法が、
前記合金6061基材上に流体熱化学気相堆積させて、炭素およびケイ素を含む第1領域を形成すること、ここで前記流体は、シラン、シランおよびエチレン、シランおよび酸化剤、ジメチルシラン、ジメチルシランおよび酸化剤、トリメチルシラン、トリメチルシランおよび酸化剤、ジアルキルシリルジヒドリド、アルキルシリルトリヒドリド、カルボシラン、カルボキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、アンモニア、ヒドラジン、トリシリルアミン、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン、1,2-ビス(ジメチルアミノ)テトラメチルジシラン、ジクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、オルガノフルオロトリアルコキシシラン、オルガノフルオロシリルヒドリド、オルガノフルオロシリル、フッ素化アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、フルオロシラン、トリデカフルオロ1,1,2,2-テトラヒドロオクチルシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、トリエトキシ(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロ-1-オクチル)シラン、(パーフルオロヘキシルエチル)トリエトキシシラン、シラン(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシル)トリメトキシ-、またはそれらの組み合わせを含み
前記第1領域を熱酸化して第2領域を形成すること、ここで前記第2領域は前記第1領域と比べて前記合金6061基材から遠位であり、かつ前記第1領域より高い重量濃度の酸素を有する;ならびに
前記シランを熱的に分解して第3領域を形成すること、ここで前記第3領域は前記第2領域と比べて前記第1領域から遠位であり、そしてアモルファスシリコンを含む
を含む、
上記の方法
【請求項2】
前記コーティングされた物品が、コーティングされていない状態の前記合金6061基材と比べて、重量で少なくとも5%のHClを含む第1の腐食性流体に接触した場合に、増加した耐食性を有する、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記合金6061基材が、摂氏450度を超える温度で発生する熱増感効果がない、請求項1に記載の方法
【請求項4】
前記第1領域が、前記合金6061基材の直接上にあり、前記合金6061基材のすべての露出領域を完全に覆い、前記第2領域が、前記第1領域の直接上にあり、前記第1領域のすべての露出領域を完全に覆い、前記第3領域が、前記第2領域の直接上にあり、前記第2領域のすべての露出領域を完全に覆う、請求項1に記載の方法
【請求項5】
前記第1領域が、ジメチルシランとシランとを含有する混合物の熱化学気相堆積である、請求項1に記載の方法
【請求項6】
前記コーティングされた物品に接触するように腐食性流体を流すことをさらに含む、請求項1に記載の方法
【請求項7】
前記コーティングされた物品が、分析機器産業で使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティングされた物品が、油およびガス産業で使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティングされた物品が、輸送および物流産業で使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティングされた物品が、施設管理で使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティングされた物品が、食品および飲料産業で使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティングされた物品が、航空、防衛、または航空宇宙産業で使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティングされた物品が、自動車産業で使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記コーティングされた物品が、医療または製薬産業で使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
密閉チャンバー内に合金6061基材を置くこと、次いで、
前記密閉チャンバー内でジメチルシランとシランとを含有する混合物を熱化学気相堆積により堆積させ、それによって前記密閉チャンバー内のすべての露出表面に炭素およびケイ素を付けて、第1領域を生成すること、次いで、
前記第1領域を熱酸化し、それによって、前記第1領域と比べて前記合金6061基材から遠位の第2領域であり、前記第1領域より高い重量濃度の酸素を有する前記第2領域を生成すること、次いで、
前記密閉チャンバー内でシランを熱分解し、それによって、前記第2領域と比べて前記第1領域から遠位の第3領域であり、アモルファスシリコンを含む前記第3領域を生成すること
を含むコーティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
[0001]本出願は、2018年11月29日に出願され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、表題「FLUID CONTACT PROCESS,COATED ARTICLE,AND COATING PROCESS」の米国仮特許出願第62/772,747号の優先権と利益を主張する特許協力条約特許出願である。
【0002】
技術分野
[0002]本発明は、コーティングされた物品、そのようなコーティングされた物品の使用、および物品をコーティングする方法を対象とする。より詳細には、本発明は、炭素およびケイ素を含むコーティングを対象とする。
【背景技術】
【0003】
[0003]熱駆動プロセスにおいてアルミニウム含有基材をアモルファスシリコンでコーティングすると、ステンレス鋼と比較して追加の要検討事項が生じる。このような基材は、P.BellangerらによるThin Solid Films 2017,636,150-157、およびP.BellangerらによるPhys. Status Solidi C 2017,14(10),1700173で説明されているように、アモルファスシリコンの結晶化を触媒することが知られており、この文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
[0004]アルミニウム含有基材上のアモルファスシリコンコーティングの触媒結晶化は、コーティングされたステンレス鋼基材と比べて、好ましくないと考えられる外観上の一貫性の無さおよび低い耐食性の原因となる。金属増感などの温度による微細構造変化は、温度と暴露時間の増加とともに悪化する可能性がある。
【0005】
[0005]熱駆動プロセスにおいてアモルファスシリコンでコーティングされたそのようなアルミニウム含有基板はまた、比較的低温で微細構造変化の影響を受けやすく、特定の方法との非互換性および/または望ましくない特性をもたらす。例えば、微細構造変化は、重量で、0.9%のMg、0.71%のSi、0.5%のFe、0.24%のCu、0.19%のCr、0.12%のMn、0.05%のZn、0.05%のTi、および残りがAlを有するアルミニウム合金6061(「合金6061」)に対して比較的低い温度で起こる。合金6061は、摂氏225度を超える温度に曝されると微細構造変化を起こし始める。参照によりその全体が組み込まれる、Ko、Y.G.およびHamad、Kによる「ANNEALING BEHAVIOR OF 6061 AL ALLOY SUBJECTED TO DIFFERENTIAL SPEED ROLLING DEFORMATION」, Metals 2017,7,494によれば、このような変化は、摂氏350度までの温度で事実上増加し続ける。摂氏350~400度の温度で、微細構造変化は、比較的一貫しており、それ以上の増加とは無関係である。
【0006】
[0006]したがって、合金6061を摂氏225度超のアモルファスシリコン堆積方法、特に摂氏350度以上で作動する方法でコーティングすることは、アモルファスシリコンの結晶化および基材の微細構造変化のために、以前は好ましくないと考えられてきた。そのような好ましくない特徴は、これに限定されるものではないが、基材の増感、基材上に堆積するケイ素の結晶化の触媒作用、基材またはコーティングされた表面上の外観上の欠陥、および耐食性の低下を含む。
【0007】
[0007]そのようなタイプの方法の1つは、摂氏350度を超える温度での熱化学気相堆積である。摂氏350度を超える温度で作動する熱化学気相堆積方法は、表題「METHOD OF PASSIVATING A GAS VESSEL OR COMPONENT OF A GAS TRANSFER SYSTEM USING A SILICON OVERLAY COATING」の米国特許第6,511,760号、表題「SURFACE MODIFICATION OF SOLID SUPPORTS THROUGH THE THERMAL DECOMPOSITION AND FUNCTIONALIZATION OF SILANES」の米国特許第6,444,326号、および表題「CHEMICAL VAPOR DEPOSITION COATING, ARTICLE, AND METHOD」の米国特許第9,777,368号に開示され、それらのすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。熱化学気相堆積方法の各方法は、合金6061とともに使用すると望ましくない特性を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008]アルミニウム含有基材を有する物品、アルミニウム含有基材をコーティングする方法、および従来技術と比べて1つまたは複数の改善を示す物品を使用する流体接触方法は、当該技術分野で望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009]一実施形態では、流体接触方法は、物品に接触するように腐食性流体を流すことを含み、物品は、アルミニウム含有基材、アルミニウム含有基材上の第1領域であり、炭素およびケイ素を含む第1領域、第1領域と比べてアルミニウム含有基材から遠位の第2領域であり、第1領域より高い重量濃度の酸素を有する第2領域、および第2領域と比べて第1領域から遠位の第3領域であり、アモルファスシリコンを含む第3領域を有する。
【0010】
[0010]別の実施形態では、コーティングされた物品は、アルミニウム含有基材、アルミニウム含有基材上の第1領域であって、炭素およびケイ素を含む第1領域、第1領域と比べてアルミニウム含有基材から遠位の第2領域であって、第1領域より高い重量濃度の酸素を有する第2領域、第2領域に比べて第1領域から遠位の第3領域であって、アモルファスシリコンを含む第3領域を含む。
【0011】
[0011]別の実施形態では、コーティング方法は、密閉チャンバー内にアルミニウム含有基材を置くこと、次いで、密閉チャンバー内でジメチルシランシランとを含有する混合物を熱分解し、それによって密閉チャンバー内のすべての露出表面に炭素およびケイ素を付けて、第1領域を生成すること、次いで、第1領域を熱酸化し、それによって、第1領域と比べてアルミニウム含有基材から遠位の第2領域であり、第1領域より高い重量濃度の酸素を有する第2領域を生成すること、次いで、密閉チャンバー内でシランを熱分解し、それによって、第2領域と比べて第1領域から遠位の第3領域であり、アモルファスシリコンを含む第3領域を生成することを含む。
【0012】
[0012]本発明の他の特徴および利点は、例として本発明の原理を説明する添付の図面と併せて、以下のより詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0013]図1は、本開示の一実施形態による、熱化学気相堆積方法の概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0014]可能な限り、同じ部品を表すために、図面全体で同じ参照番号が使用されることになる。
[0015]流体接触方法、コーティングされた物品、およびコーティング方法が提供される。本開示の実施形態は、例えば、本明細書に開示される特徴の1つまたは複数を含まない概念と比較して、処理の一貫性/再現性を高め、熱処理した残留材料の影響を低減または排除し、不活性を高め(例えば、原子または分子の吸着の減少または排除による、および/または金属イオンの移動の減少または排除による)、硫黄吸着に対する耐性を高め、美観を均質化し、微細構造を変更し、層間剥離を削減または排除し(または接着を高め)、ナノワイヤーの成長を削減または排除し、光学特性を変更し、多孔性を変更し、耐食性を変更し、光沢を変更し、表面の特徴を変更し、より効率的な処理生産を可能にし、幅広い形状の処理を可能にし(例えば、狭いチャネル/チューブ、3次元的に複雑な形状、曲がりくねった経路、および/または隠れたまたは見通し外の形状、例えば、針、チューブ、プローブ、固定具、複雑な平面および/または非平面形状物品、単純な非平面および/または平面形状物品、およびそれらの組み合わせ)、欠陥/ミクロ多孔性を低減または排除し、大量の物品の処理を可能にし、フロースルー方法ではない方法に対して感度が高すぎると従来考えられている産業で使用されるコンポーネントで使用または交換でき(例えば、組成の純度、汚染物質の存在、厚さの均一性、および/または内部に埋め込まれた気相核形成の量に基づく)、普通ならプラズマ環境で電気アークを生成する基板として材料の使用を可能にし、またはそれらの組み合わせを可能にする。
【0015】
[0016]図1を参照して、一実施形態では、コーティングされた物品101が開示される。更なる実施形態によれば、コーティングされた物品101は、コーティング方法100の一実施形態により製造される。さらにまたはあるいは、一実施形態では、コーティングされた物品101は、本明細書に開示された特徴を含む、コーティングされた物品101に不適切と以前に考えられていた条件で使用される。例えば、コーティングされた物品101の使用の実施形態は、腐食性流体を流して、コーティングされた物品101に接触させることを含む。このような腐食性流体は、これに限定されるものではないが、HCl、NaCl(蒸気)、HSO、リン酸、毒性有機物、硫黄含有流体、含窒素流体、リン含有流体、またはそれらの組み合わせを含むか、それらである液体および/または気体を含む。
【0016】
[0017]一実施形態によれば、腐食性流体、例えば、HClの濃度は、重量で、1%~10%、1%~5%、2%~4%、2%~7%、2.5%~5%、4%~6%、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、もしくは範囲である。
【0017】
[0018]一実施形態によれば、腐食性流体、例えば、NaCl(蒸気)の濃度は、重量で、1%~10%、1%~5%、2%~4%、2%~7%、4%~6%、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、もしくは範囲である。
【0018】
[0019]一実施形態によれば、腐食性流体、例えば、HSOの濃度は、体積で、5%~85%、5%~20%、20%~40%、40%~60%、60%~85%、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、もしくは範囲である。
【0019】
[0020]一実施形態によれば、腐食性流体、例えば、リン酸の濃度は、体積で、10%~85%、10%~20%、20%~40%、40%~60%、60%~85%、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、もしくは範囲である。
【0020】
[0021]再び図1を参照して、コーティングされた物品101は、基材103および基材103上に位置する熱化学気相堆積コーティング121を含む。コーティングされた物品101を製造できる適切なコンポーネントは、これに限定されるものではないが、ガス貯蔵容器(例えば、開放端部、閉鎖端部、およびその間に円筒形部分を有する物品、開放端部、球形および/または円形部分を有する物品、例えば、ガスボンベまたは空気缶)、フィッティング(例えば、ユニオン、コネクタ、アダプタ、例えば、漏れのない、または実質的に漏れのないシールを作製できる2つ以上のチューブ間のその他の接続)、圧縮フィッティング(フロントおよびバックフェルールなどのフェルールを含む)、チュービング(例えば、コイルドチュービング、サンプリング装置を接続するために使用されるようなチュービングセクション、事前に曲げられたチュービング、ストレートチュービング、緩く巻いたチュービング、緊密に結合されたチュービング、および/またはフレキシブルチュービング、処理される内部からなるか、処理される内部および外部を含むかを問わず)、バルブ(ガスサンプリング、液体サンプリング、移送、シャットオフ、またはチェックバルブなど、例えば、ラプチャーディスク、ステム、ポペット、ローター、マルチポジション構成、真空または圧力を処理可能、ノブ用のハンドルまたはステム、ボールステム機能、ボールバルブ機能、チェックバルブ機能、スプリング、複数のボディ、シール、ニードルバルブ機能、パッキングワッシャー、および/またはステム)、クイックコネクト、サンプルシリンダー、レギュレーター、および/またはフローコントローラー(例えば、Oリング、シール、および/またはダイアフラムを含む)、注入ポート(例えば、ガスクロマトグラフ用)、インラインフィルター(例えば、スプリング、焼結金属フィルター、メッシュスクリーン、および/または溶接物)、フリット、カラム、材料、ガラスライナー、ガスクロマトグラフコンポーネント、液体クロマトグラフィーコンポーネント、真空システムおよびチャンバーに関連するコンポーネント、分析システムに関連するコンポーネント、サンプルプローブ、コントロールプローブ、ダウンホールサンプリングコンテナ、ドリルおよび/または機械加工されたブロックコンポーネント、マニホールド、粒子、粉末、またはそれらの組み合わせを含む。
【0021】
[0022]コーティング121は、第1領域(例えば、基材上の)、例えば、ケイ素および炭素含有層105および第2領域、例えば、アモルファスシリコン含有層107を含む。基材は、単一の材料、例えば、合金であるか、それを含むことができる。さらにまたはあるいは、基材は、溶接(複数可)、ろう付け(複数可)、はんだ(複数可)、異種材料(例えば、不一致の熱膨張係数を有する合金)、またはそれらの組み合わせであるか、それを含むことができる。一実施形態では、ケイ素および炭素含有層105およびアモルファスシリコン層107は、ケイ素および炭素含有層105よりも高い重量濃度の酸素を有する領域によって分離されている。一実施形態では、1つまたは複数の追加の層109が含まれる。追加の層(複数可)109は、アモルファスシリコン含有である。
【0022】
[0023]化学気相堆積方法100は、密閉チャンバー113内に基材103を有する非コーティングされた物品111(または複数のコーティングされていない物品111)を置くことを含む。一実施形態では、置くことは手動で行われ、コーティングされていない物品111は、概して水平に(「概して」は1度、5度、10度、または15度以内である)、さもなければ重力の方向と一致しないように配置される。別の実施形態では、置くことは手動で行われ、コーティングされていない物品111は、支持体によって分離された(したがって視線から遮られた)垂直(積み重ねられた)方向に配置され、重力に対して横方向または垂直に配置され(例えば、すべてまたはほとんどの開口部が一般的に重力に対して垂直であり、「概して」1度、5度、10度、または15度以内である)、気相核形成に利用可能な体積の量を減らす重複する方法で配置され、物品の形状に対応する固定具に配置されるか、またはそれらの組み合わせである。
【0023】
[0024]方法100は、密閉チャンバー113への、第1の流体115(気体または液体)、例えば、ジメチルシランおよびシラン含有混合物の第1の導入(ステップ104)を継続する。第1の流体115は、第1の期間、密閉チャンバー113に留まる。方法は、第1の期間の少なくとも一部の間、第1の流体115の第1の分解(ステップ110)を継続し、必要なら繰り返す。次いで、方法100は、第2の流体117、例えば、シランまたは不活性ガスで希釈されたシランの、密閉チャンバー113への第2の導入(ステップ106)を含み、第2の流体117は、密閉チャンバー113内に第2の期間留まる。方法100は、第2の期間の少なくとも一部の間、第2の流体117の第2の分解(ステップ112)を継続する。いくつかの実施形態では、方法100は、第3の流体119の追加の導入(ステップ108)または第2の流体117(例えば、シラン、別の流体、および/または炭素含有前駆体などの官能化前駆体および/または含フッ素前駆体)の繰り返しをさらに含む。かかる実施形態では、方法100は、分解または官能化である熱処理(ステップ114)を続行する。方法100は、コーティングされた物品101(または複数のコーティングされた物品101)を製造する。
【0024】
[0025]コーティング121は、すべての露出表面上に生成される。本明細書では、「露出表面」に関する「露出」という用語は、工程においてガスと接触しているいずれかの表面を指し、密閉容器を有さないフロースルー化学気相堆積方法で見られる視線表面または視線方向に近接する表面に限定されない。当業者は理解するであろうが、コーティングされた物品101は、より大きなコンポーネントまたはシステム(未表示)に組み込むことができる。
【0025】
[0026]コーティング121は、生成され、例えば、それによって、本開示に記載の方法100を通じて生成されることに特有の特徴および特性を提供する。これは、チャンバーの内外への前駆体の同時流動を有する流動性化学気相堆積とは対照的に、密閉容器を使用する静的プロセスである。本明細書では、表現「熱化学気相堆積」は、例えば、飢餓状態の反応器構成における1つまたは複数のガスの反応および/または分解を指し、プラズマ支援化学気相堆積、ラジカル開始化学気相堆積、触媒支援化学気相堆積、スパッタリング、原子層堆積(これは、分子堆積の複数の層が可能であるのとは対照的に、サイクルごとの単層分子堆積に制限される)、および/またはエピタキシャル成長(たとえば、700℃超での成長)と区別できる。一実施形態では、コーティング121は、視線技術によってコーティングすることができない領域上のコーティングされた物品101上にある。
【0026】
[0027]密閉容器113は、適切な温度および圧力が可能になるいずれかの寸法または幾何形状を有する。一実施形態では、密閉容器の寸法は、これに限定されるものではないが、5cm超の最小幅を有し、10cm超、20cm超、30cm超、100cm超、300cm超、1,000cm超、10cm~100cm、100cm~300cm、100cm~1,000cm、300cm~1,000cm、均一なまたは実質的に均一な加熱ができるいずれかの他の最小幅、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲を含む。密閉容器の適切な体積は、これに限定されるものではないが、少なくとも1,000cm、3,000cm超、5,000cm超、10,000cm超、20,000cm超、3,000cm~5,000cm、5,000cm~10,000cm、5,000cm~20,000cm、10,000cm~20,000cm、均一なまたは実質的に均一な加熱ができる他のいずれかの体積、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲を含む。
【0027】
[0028]コーティング121は、1つまたは複数の以下の流体:シラン、シランおよびエチレン、シランおよび酸化剤、ジメチルシラン、ジメチルシランおよび酸化剤、トリメチルシラン、トリメチルシランおよび酸化剤、ジアルキルシリルジヒドリド、アルキルシリルトリヒドリド、非自然発火性種(例えば、ジアルキルシリルジヒドリドおよび/またはアルキルシリルトリヒドリド)、熱反応材料(例えば、カルボシランおよび/またはカルボキシシラン、例えば、非晶質カルボシランおよび/または非晶質カルボキシシラン)、カルボシリルの組み換えが可能な種(ジシリルまたはトリシリルフラグメント)、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、アンモニア、ヒドラジン、トリシリルアミン、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン、1,2-ビス(ジメチルアミノ)テトラメチルジシラン、ジクロロシラン、ヘキサクロロジシラン)、オルガノフルオロトリアルコキシシラン、オルガノフルオロシリルヒドリド、オルガノフルオロシリル、フッ素化アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、フルオロシラン、トリデカフルオロ1,1,2,2-テトラヒドロオクチルシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、トリエトキシ(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロ-1-オクチル)シラン、(パーフルオロヘキシルエチル)トリエトキシシラン、シラン(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシル)トリメトキシ-、またはそれらの組み合わせにより形成される。
【0028】
[0029]方法100で使用される熱反応性ガスの適切な濃度は、体積で、10%~20%、10%~15%、12%~14%、10%~100%、30%~70%、50%~80%、70%~100%、80%~90%、84%~86%、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲である。複数の種類の熱反応性ガスの濃度は、所望の特性を実現する比で組み合わせる。
【0029】
[0030]一実施形態では、第1の流体115は、例えば、約200Torr、240Torr、350Torr、または400Torr未満であるジメチルシラン圧力に基づいて1:1~10:1のモル比でのジメチルシランとシランの混合物を含む。別の実施形態では、モル比は、存在するジメチルシランの量、密閉容器113内の反応温度、および反応期間に基づく。例えば、一実施形態では、より多くのジメチルシランが存在する場合、より高い反応温度が使用される場合、および/または反応時間がより長い場合、モル比は、4:1より高い。同様に、一実施形態では、存在するジメチルシランが少ない場合、より低い反応温度が使用される場合、および/または反応時間がより短い場合、モル比は、1:1より低い。
【0030】
[0031]一実施形態では、ジメチルシランとシランのモル比は、1:1~10:1、例えば、7:1~9:1、2:1~4:1、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲である。別の実施形態では、比は、密閉容器113の大きさに依存する。例えば、体積が約1リットルである密閉容器113を用いた一実施形態では、比は、2:1~4:1の範囲である。体積がより大きい約22リットルである密閉容器113を用いた別の実施形態では、比は、7:1~9:1である。体積がより大きいか、より小さい密閉容器113を用いたさらに別の実施形態では、比はそれに応じて調整される。
【0031】
[0032]コーティング121の適切な厚さは、これに限定されるものではないが、50ナノメートル~10,000ナノメートル、50ナノメートル~1,000ナノメートル、100ナノメートル~800ナノメートル、200ナノメートル~600ナノメートル、200ナノメートル~10,000ナノメートル、500ナノメートル~3,000ナノメートル、500ナノメートル~2,000ナノメートル、500ナノメートル~1,000ナノメートル、1,000ナノメートル~2,000ナノメートル、1,000ナノメートル~1,500ナノメートル、1,500ナノメートル~2,000ナノメートル、800ナノメートル、1,200ナノメートル、1,600ナノメートル、1,900ナノメートル、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲を含む。より詳細には、一実施形態では、コーティング121の厚さは、50nm~900nm、100m~800nm、200nm~400nm、300nm~600nm、50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲である。
【0032】
[0033]一実施形態では、コーティング121は、方法100、具体的には、第1の流体115の分解温度よりも低い温度にある密閉容器113から始まる、第1の流体115の導入(ステップ104)で生成される。密閉容器113内の温度は、分解温度を超えて上昇する(例えば、第1の流体115の一部の導入前、第1の流体115の一部またはすべての導入時、および/または第1の流体115の一部またはすべての導入後)。別の実施形態では、第1の流体115または第1の流体115の一部の分解温度は、200℃超、300℃超、350℃超、370℃超、380℃超、390℃超、300℃~450℃、350℃~450℃、380℃~450℃、300℃~500℃、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲である。別の実施形態では、第2の流体117および/または第3の流体119の分解温度は、異なるか、同一であり、200℃超、300℃超、350℃超、370℃超、380℃超、390℃超、300℃~450℃、350℃~450℃、380℃~450℃、300℃~500℃、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲である。
【0033】
[0034]一実施形態では、コーティング121は、1Torr~10Torr、1Torr~5Torr、1Torr~3Torr、2Torr~3Torr、10Torr~150Torr、10Torr~30Torr、20Torr~40Torr、30Torr~50Torr、60Torr~80Torr、50Torr~100Torr、50Torr~250Torr、100Torr~250Torr、200Torr~450Torr、300Torr~450Torr、300Torr~400Torr、400Torr未満、250Torr未満、100Torr未満、50Torr未満、30Torr未満、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲の流体(複数可)の分圧で生成される。
【0034】
[0035]一実施形態では、コーティング121は、1つ、複数、またはすべてのサイクルの間、密閉容器113内の温度および圧力で、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも7時間、10分間~1時間、20分間~45分間、4~10時間、6~8時間、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲の時間維持されて生成される。
【0035】
[0036]一実施形態では、コーティング121および基材は、特定の温度、例えば、摂氏405度、摂氏415度、摂氏425度、摂氏450度、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲以上で発生する熱増感効果がない。別の実施形態では、コーティング121の場合、そのような熱増感効果は、ケイ素の熱触媒結晶化を含む。
【0036】
[0037]方法100は、好ましくはアルミニウム含有基材用であるが、方法100は、方法100を通してコーティングすることができるいずれの基材103上でも使用することができる。種々の実施形態では、基材103は、焼き戻しされた、または焼き戻しされていない金属材料であり、等軸、方向性凝固、および/または単結晶である粒子構造を有し、非晶質または結晶構造を有し、箔、繊維、クラッド、および/またはフィルムである。適切な金属材料は、これに限定されるものではないが、鉄系合金、非鉄系合金、ニッケル系合金、ステンレス鋼(マルテンサイトまたはオーステナイト)、アルミニウム含有材料(例えば、合金、合金6061、アルミニウム)、複合金属、またはそれらの組み合わせを含む。代わりの実施形態では、金属材料は、非金属材料で置き換えられる。適切な非金属または非金属材料は、これに限定されるものではないが、セラミックス、ガラス、セラミックマトリックス複合材、またはそれらの組み合わせを含む。
【0037】
[0038]一実施形態では、金属材料は、第1の鉄濃度および第1のクロム濃度を有し、第1の鉄濃度は、第1のクロム濃度より大きい。例えば、第1の鉄濃度の適切な値は、これに限定されるものではないが、重量で、50%超、60%超、66%超、70%超、66%~74%、70%~74%、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲を含む。第1のクロム濃度の適切な値は、これに限定されるものではないが、重量で、10.5%超、14%超、16%超、18%超、超20%、14%~17%、16%~18%、18%~20%、20%~24%、またはそのいずれかの適切な組み合わせ、副次的組み合わせ、範囲もしくは副次的範囲を含む。
【0038】
[0039]一実施形態では、金属材料は、重量で、最大で0.08%の炭素、18%~20%のクロム、最大で2%のマンガン、8%~10.5%のニッケル、最大で0.045%のリン、最大で0.03%の硫黄、最大で1%のケイ素、および残りが鉄(例えば、66%~74%の鉄)の組成物であるか、それを含む。
【0039】
[0040]一実施形態では、金属材料は、重量で、最大で0.08%の炭素、最大で2%のマンガン、最大で0.045%のリン、最大で0.03%の硫黄、最大で0.75%のケイ素、16%~18%のクロム、10%~14%のニッケル、2%~3%のモリブデン、最大で0.1%の窒素、および残りが鉄の組成物であるか、それを含む。
【0040】
[0041]一実施形態では、金属材料は、重量で、最大で0.03%の炭素、最大で2%のマンガン、最大で0.045%のリン、最大で0.03%の硫黄、最大で0.75%のケイ素、16%~18%のクロム、10%~14%のニッケル、2%~3%のモリブデン、最大で0.1%の窒素、および残りが鉄の組成物であるか、それを含む。
【0041】
[0042]一実施形態では、金属材料は、重量で、14%~17%のクロム、6%~10%の鉄、0.5%~1.5%のマンガン、0.1%~1%の銅、0.1%~1%のケイ素、0.01%~0.2%の炭素、0.001%~0.2%の硫黄、および残りがニッケル(例えば、72%)の組成物であるか、それを含む。
【0042】
[0043]一実施形態では、金属材料は、重量で、20%~24%のクロム、1%~5%の鉄、8%~10%のモリブデン、10%~15%のコバルト、0.1%~1%のマンガン、0.1%~1%の銅、0.8%~1.5%のアルミニウム、0.1%~1%のチタン、0.1%~1%のケイ素、0.01%~0.2%の炭素、0.001%~0.2%の硫黄、0.001%~0.2%のリン、0.001%~0.2%のホウ素、および残りがニッケル(例えば、44.2%~56%)の組成物であるか、それを含む。
【0043】
[0044]一実施形態では、金属材料は、重量で、20%~23%のクロム、4%~6%の鉄、8%~10%のモリブデン、3%~4.5%のニオブ、0.5%~1.5%のコバルト、0.1%~1%のマンガン、0.1%~1%のアルミニウム、0.1%~1%のチタン、0.1%~1%のケイ素、0.01%~0.5%の炭素、0.001%~0.02%の硫黄、0.001%~0.02%のリン、および残りがニッケル(例えば、58%)の組成物であるか、それを含む。
【0044】
[0045]一実施形態では、金属材料は、重量で、25%~35%のクロム、8%~10%の鉄、0.2%~0.5%のマンガン、0.005%~0.02%の銅、0.01%~0.03%のアルミニウム、0.3%~0.4%のケイ素、0.005%~0.03%の炭素、0.001%~0.005%の硫黄、および残りがニッケル(例えば、59.5%)の組成物であるか、それを含む。
【0045】
[0046]一実施形態では、金属材料は、重量で、17%~21%のクロム、2.8%~3.3%の鉄、4.75%~5.5%のニオブ、0.5%~1.5%のコバルト、0.1%~0.5%のマンガン、0.2%~0.8%の銅、0.65%~1.15%のアルミニウム、0.2%~0.4%のチタン、0.3%~0.4%のケイ素、0.01%~1%の炭素、0.001~0.02%の硫黄、0.001~0.02%のリン、0.001~0.02%のホウ素、および残りがニッケル(例えば、50%~55%)の組成物であるか、それを含む。
【0046】
[0047]一実施形態では、金属材料は、重量で、2%~3%のコバルト、15%~17%のクロム、5%~17%のモリブデン、3%~5%のタングステン、4%~6%の鉄、0.5%~1%のケイ素、0.5%~1.5%のマンガン、0.005~0.02%の炭素、0.3%~0.4%のバナジウム、および残りがニッケルの組成物であるか、それを含む。
【0047】
[0048]一実施形態では、金属材料は、重量で、最大で0.15%の炭素、3.5%~5.5%のタングステン、4.5%~7%の鉄、15.5%~17.5%のクロム、16%~18%のモリブデン、0.2%~0.4%のバナジウム、最大で1%のマンガン、最大で1%の硫黄、最大で1%のケイ素、最大で0.04%のリン、最大で0.03%の硫黄、および残りがニッケルの組成物であるか、それを含む。
【0048】
[0049]一実施形態では、金属材料は、重量で、最大で2.5%のコバルト、最大で22%のクロム、最大で13%のモリブデン、最大で3%のタングステン、最大で3%の鉄、最大で0.08%のケイ素、最大で0.5%のマンガン、最大で0.01%の炭素、最大で0.35%のバナジウム、および残りがニッケル(例えば、56%)の組成物であるか、それを含む。
【0049】
[0050]一実施形態では、金属材料は、重量で、1%~2%のコバルト、20%~22%のクロム、8%~10%のモリブデン、0.1%~1%のタングステン、17%~20%の鉄、0.1%~1%のケイ素、0.1%~1%のマンガン、0.05~0.2%の炭素、および残りがニッケルの組成物であるか、それを含む。
【0050】
[0051]一実施形態では、金属材料は、重量で、0.01%~0.05%のホウ素、0.01%~0.1%のクロム、0.003%~0.35%の銅、0.005%~0.03%のガリウム、0.006%~0.8%の鉄、0.006%~0.3%のマグネシウム、0.02%~1%のケイ素+鉄、0.006%~0.35%のケイ素、0.002%~0.2%のチタン、0.01%~0.03%のバナジウム+チタン、0.005%~0.05%のバナジウム、0.006%~0.1%の亜鉛、および残りがアルミニウム(例えば、超99%)の組成物であるか、それを含む。
【0051】
[0052]一実施形態では、金属材料は、重量で、0.05%~0.4%のクロム、0.03%~0.9%の銅、0.05%~1%の鉄、0.05%~1.5%のマグネシウム、0.5%~1.8%のマンガン、0.5%~0.1%のニッケル、0.03%~0.35%のチタン、最大で0.5%のバナジウム、0.04%~1.3%の亜鉛、および残りがアルミニウム(例えば、94.3%~99.8%)の組成物であるか、それを含む。
【0052】
[0053]一実施形態では、金属材料は、重量で、0.0003%~0.07%のベリリウム、0.02%~2%のビスマス、0.01%~0.25%のクロム、0.03%~5%の銅、0.09%~5.4%の鉄、0.01%~2%のマグネシウム、0.03%~1.5%のマンガン、0.15%~2.2%のニッケル、0.6%~21.5%のケイ素、0.005%~0.2%のチタン、0.05%~10.7%の亜鉛、および残りがアルミニウム(例えば、70.7%~98.7%)の組成物であるか、それを含む。
【0053】
[0054]一実施形態では、金属材料は、重量で、0.15%~1.5%のビスマス、0.003%~0.06%のホウ素、0.03%~0.4%のクロム、0.01%~1.2%の銅、0.12%~0.5%のクロム+マンガン、0.04%~1%の鉄、0.003%~2%の鉛、0.2%~3%のマグネシウム、0.02%~1.4%のマンガン、0.05%~0.2%のニッケル、0.5%~0.5%の酸素、0.2%~1.8%のケイ素、最大で0.05%のストロンチウム、0.05%~2%のスズ、0.01%~0.25%のチタン、0.05%~0.3%のバナジウム、0.03%~2.4%の亜鉛、0.05%~0.2%のジルコニウム、0.150~0.2%のジルコニウム+チタン、および残りがアルミニウム(例えば、91.7%~99.6%)の組成物であるか、それを含む。
【0054】
[0055]一実施形態では、金属材料は、重量で、0.4%~0.8%のケイ素、最大で0.7%の鉄、0.15%~0.4%の銅、最大で0.15%のマンガン、0.8%~1.2%のマグネシウム、0.04%~0.35%のクロム、最大で0.25%の亜鉛、最大で0.15%のチタン、任意の偶発的不純物(例えば、各0.05%未満、総量で0.15%未満)、および残りがアルミニウム(例えば、95%~98.6%)の組成物であるか、それを含む。
【0055】
[0056]一実施形態では、金属材料は、重量で、11%~13%のケイ素、最大で0.6%の不純物/残留物、および残りがアルミニウムの組成物であるか、それを含む。
[0057]一実施形態では、金属材料は、重量で、0.7%~1.1%のマグネシウム、0.6%~0.9%のケイ素、0.2%~0.7%の鉄、0.1%~0.4%の銅、0.05%~0.2%のマンガン、0.02%~0.1%の亜鉛、0.02%~0.1%のチタン、および残りがアルミニウムの組成物であるか、それを含む。別の実施形態では、金属材料は、合金6061である。
【0056】
[0058]一実施形態では、コーティングされた物品101は、以前は互換性のない熱化学気相堆積と考えられていた使用/用途を有する。例えば、一実施形態では、基材103は、アルミニウム含有基材であり、コーティングされた物品103は、油およびガス産業で使用される。別の実施形態では、コーティングされた物品101の適切な使用は、これに限定されるものではないが、ポンプ、ポンプの一部(ポンプベーンなど)、管状および/または配管要素、オフショア油およびガスシステム(塩水への暴露の有無にかかわらず)、坑井パッド、掘削コンポーネント、圧縮天然ガス抽出、上流および/または下流の流路、石油化学精製所、炭化水素処理、プロセス分析装置、溶存ガス分析装置、ガルバニック腐食環境、水銀腐食環境、および/または油およびガス内の他の適切な使用などを含む。そのような実施形態は、コーティングされた物品101を、特定のガス、特定の液体、特定の温度、特定の圧力、特定の力などの条件、および/またはそのような産業内で適用可能な他の特定の条件に曝すことを含む。
【0057】
[0059]一実施形態では、基材103は、アルミニウム含有基材であり、コーティングされた物品103は、分析機器産業で使用される。別の実施形態では、コーティングされた物品101の適切な使用は、これに限定されるものではないが、ガス貯蔵容器、フィッティング、圧縮フィッティング、チューブ、バルブ、クイックコネクト、サンプルシリンダー、レギュレーターおよび/またはフローコントローラー、注入ポート、インラインフィルター、フリット、カラム、材料、ガラスライナー、ガスクロマトグラフコンポーネント、液体クロマトグラフィーコンポーネント、真空システムおよびチャンバーに関連するコンポーネント、分析システムに関連するコンポーネント、サンプルプローブ、コントロールプローブ、粒子、粉末、またはそれらの組み合わせなどを含む。そのような実施形態は、コーティングされた物品101を、特定のガス、特定の液体、特定の温度、特定の圧力、特定の力などの条件、および/またはそのような産業内で適用可能な他の特定の条件に曝すことを含む。
【0058】
[0060]一実施形態では、基材103は、アルミニウム含有基材であり、コーティングされた物品103は、輸送および物流産業で使用される。別の実施形態では、コーティングされた物品101の適切な使用は、これに限定されるものではないが、レール、ラック、ドライブトレイン、ロッド、クランプ、ボルト、ガイドレール、ホイールウェル、格子、フィルター、液体またはガス貯蔵容器(例えば、飲料業界および/または化学貯蔵および輸送産業)、積載プラットフォーム、および/または輸送および物流産業内の他の適切な使用などを含む。そのような実施形態は、コーティングされた物品101を、特定のガス、特定の液体、特定の温度、特定の圧力、特定の力などの条件、および/またはそのような産業内で適用可能な他の特定の条件に曝すことを含む。
【0059】
[0061]一実施形態では、基材103は、アルミニウム含有基材であり、コーティングされた物品103は、施設管理産業で使用される。別の実施形態では、コーティングされた物品101の適切な使用は、これに限定されるものではないが、暖房システムおよびコンポーネント、換気システムおよびコンポーネント、チラー、熱交換器、給湯器、および/または施設管理産業内の他の適切な使用などを含む。そのような実施形態は、コーティングされた物品101を、特定のガス、特定の液体、特定の温度、特定の圧力、特定の力などの条件、および/またはそのような産業内で適用可能な他の特定の条件に曝すことを含む。
【0060】
[0062]一実施形態では、基材103は、アルミニウム含有基材であり、コーティングされた物品103は、食品および飲料産業で使用される。別の実施形態では、コーティングされた物品101の適切な使用は、これに限定されるものではないが、蒸留所のコンポーネント、発酵のコンポーネント、ノズル、タップ、および/または食品および飲料産業内の他の適切な使用などを含む。そのような実施形態は、コーティングされた物品101を、特定のガス、特定の液体、特定の温度、特定の圧力、特定の力などの条件、および/またはそのような産業内で適用可能な他の特定の条件に曝すことを含む。
【0061】
[0063]一実施形態では、基材103は、アルミニウム含有基材であり、コーティングされた物品103は、航空、防衛、および/または航空宇宙産業で使用される。別の実施形態では、コーティングされた物品101の適切な使用は、これに限定されるものではないが、ブレード、ベーン、ローター、ステーター、インジェクター、ノズル、タービュレーター、ウィング、フィン、胴体、リベット、着陸装置、ならびに/または航空、防衛、および/もしくは航空宇宙産業内の他の適切な使用などを含む。そのような実施形態は、コーティングされた物品101を、特定のガス、特定の液体、特定の温度、特定の圧力、特定の力などの条件、および/またはそのような産業内で適用可能な他の特定の条件に曝すことを含む。
【0062】
[0064]一実施形態では、基材103は、アルミニウム含有基材であり、コーティングされた物品103は、自動車産業で使用される。別の実施形態では、コーティングされた物品101の適切な使用は、これに限定されるものではないが、ピストン、インジェクター、リング、燃料ライン、流体経路、流体貯蔵コンポーネント、および/または自動車産業内の他の適切な使用などを含む。そのような実施形態は、コーティングされた物品101を、特定のガス、特定の液体、特定の温度、特定の圧力、特定の力などの条件、および/またはそのような産業内で適用可能な他の特定の条件に曝すことを含む。
【0063】
[0065]一実施形態では、基材103は、アルミニウム含有基材であり、コーティングされた物品103は、医療または製薬産業で使用される。別の実施形態では、コーティングされた物品101の適切な使用は、これに限定されるものではないが、針、カテーテル、ステント、ならびに/または医療および/もしくは製薬産業内の他の適切な使用などを含む。そのような実施形態は、コーティングされた物品101を、特定のガス、特定の液体、特定の温度、特定の圧力、特定の力などの条件、および/またはそのような産業内で適用可能な他の特定の条件に曝すことを含む。
【実施例
【0064】
[0066]第1の比較例では、合金6061は、表題「METHOD OF PASSIVATING A GAS VESSEL OR COMPONENT OF A GAS TRANSFER SYSTEM USING A SILICON OVERLAY COATING」の米国特許第6,511,760号で開示された方法と一致する方法で、アモルファスシリコンの複数の層でコーティングされる。表1は、同様にコーティングされたコーティングされた304ステンレス鋼、同様にコーティングされた316ステンレス鋼、ならびに合金6061、304ステンレス鋼、および316ステンレス鋼のコーティングされていない試料を比較して示す。
【0065】
【表1】
【0066】
[0067]表1で特定された腐食速度に加えて、最初の比較例に関して、合金6061にアモルファスシリコンの複数の層を堆積させると、圧力が同じレベルの1つであるか半分であるか、プロセスの期間が1つの期間であるか同じ期間の半分であるか、基材が熱酸化されているかどうか、または温度がプラズマなどの外部エネルギー源なしでシランの分解を可能にする最低温度まで下がるかどうかにかかわらず、コーティングは本質的に結晶性になる。このような結晶化度は、目視検査またはラマン分光法の使用を通じて検出することができる。
【0067】
[0068]コーティングされていない合金6061の5%NaCl塩スプレー試験であるASTMG85-A2と一致する重量変化は、4週間で25mg~30mgである。
[0069]第2の比較例では、合金6061は、アモルファスシリコンでコーティングされ、その後、表題「SURFACE MODIFICATION OF SOLID SUPPORTS THROUGH THE THERMAL DECOMPOSITION AND FUNCTIONALIZATION OF SILANES」の米国特許第6,444,326号で開示された方法と一致する方法で官能化される。表2は、第2の比較例、ならびに同じ方法を用いてコーティングした304ステンレス鋼および316ステンレス鋼に関連する腐食速度を示す。
【0068】
【表2】
【0069】
[0070]比較例2によるコーティングされた合金6061の5%NaCl塩スプレー試験であるASTMG85-A2と一致する重量変化は、4週間で3mg~9mgである。
[0071]第3の比較例では、合金6061は、ジメチルシランの分解によってコーティングされ、その後、表題「CHEMICAL VAPOR DEPOSITION COATING, ARTICLE, AND METHOD」の米国特許第9,777,368号で開示された方法と一致する方法でトリメチルシランで官能化される。表3は、第3の比較例、ならびに同じ方法を用いてコーティングした304ステンレス鋼と316ステンレス鋼に関連する腐食速度を示す。
【0070】
【表3】
【0071】
[0072]摂氏450度でのジメチルシランの分解とそれに続く酸化および2サイクルのシラン分解によって生成されたコーティングされた合金6061は、非晶質であるが、合金6061基材は熱増感を示す。
【0072】
[0073]表4に示す一連の追加の例において、本開示の実施形態によれば、合金6061は、摂氏405度でシランの存在下で分解ジメチルシランによってコーティングされ、続いて酸化およびシランの2サイクルが生じる。シランの存在下でのジメチルシランは、表4に示されている比率であり、表4に示す厚さを生じる。表4に示す特定の比率では、コーティング121のケイ素(例えば、アモルファスシリコン含有層107および/または追加の層109に対応する)は結晶性であるが、合金6061基材は熱増感を示さない。表4に示す他の比率では、コーティング121のケイ素(例えば、アモルファスシリコン含有層107および/または追加の層109に対応する)は非晶質であり、合金6061基板は熱増感を示さない。
【0073】
【表4】
【0074】
[0074]3.09:1(200Torrのジメチルシラン)の比率に従ってコーティングされた被覆合金6061は、20分間の浸漬後、2.5%(重量で)のHClで年間0.0353mm(1.39ミル)の腐食を示す。ジメチルシランとシランの比率2:1~4:1でコーティングされた、コーティングされた合金6061は、20分間の浸漬後、5%(重量で)のHCl中で年間0.25~0.51mm(10~20ミル)の腐食を示す。同様の条件(2:1~4:1のシランに対するジメチルシランの比率)でコーティングされた、コーティングされた合金6061の、5%NaCl塩スプレー試験であるASTMG85-A2と一致する重量変化は、4週間で1mg未満である。
【0075】
[0075]本発明は1つまたは複数の実施形態を参照して説明してきたが、当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えて、その要素を同等物に置き換えることができることが理解されよう。さらに、その本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考慮される最良の様式として開示される特定の実施形態に限定されないが、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を含むことが意図される。さらに、詳細な説明で特定されたすべての数値は、正確な値と概算値の両方が明確に特定されているかのように解釈されるものとする。同様に、開示された組成物は、当業者によって理解されるように、不純物および/または残留物が存在する可能性があると考えられると解釈されるべきである。
図1