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特許7541523横断バー及び横断バー付きチェーンリンク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】横断バー及び横断バー付きチェーンリンク
(51)【国際特許分類】
   F16G 13/16 20060101AFI20240821BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20240821BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
F16G13/16
H02G11/00 060
H02G3/04 075
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021542386
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2020051617
(87)【国際公開番号】W WO2020152263
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-04
(31)【優先権主張番号】202019100434.7
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ティーシス
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘルマイ
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-145897(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0087563(US,A1)
【文献】特開2014-138517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 13/16
H02G 11/00
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー案内チェーン(1)のチェーンリンク(2)の2つの側面部材(3)を解放可能に接続するための横断バー(4)であって、該横断バー(4)はその端部の少なくとも一方又は両方においてそれぞれの側面部材(3)に解放可能に固定するための固定領域(7)を有し、前記横断バー(4)の前記固定領域(7)はロック位置及びロック解除位置に移行可能なロック要素(8)を含み、前記横断バー(4)は、前記ロック要素(8)のための保持領域(11)を有し、前記ロック位置では前記横断バー(4)は前記側面部材(3)に解放不能にロックされ、前記ロック解除位置では前記横断バー(4)は前記側面部材(3)から解放可能であり、前記ロック要素(8)は該ロック要素をそのロック位置又はそのロック解除位置に選択的に移行させるための作動部(9)、及び前記側面部材(3)との係合をロックするためのロック部(10)を含み、
前記ロック要素(8)は回動部品の形態であり、前記ロック部(10)が、前記ロック要素(8)の作動に応じて、前記ロック位置からそのロック解除位置への又はその逆のその移動の少なくとも一部における回動動作において移動され
前記ロック要素(8)に対する前記横断バー(4)の前記保持領域(11)は、前記ロック要素(8)の作動に応じて、前記ロック要素(8)のそのロック位置とそのロック解除位置との間の少なくとも一部の又は全部の移動にわたってその回動動作をもたらす弧状ガイド(12)を有し、前記弧状ガイド(12)は、前記横断バー(4)上の前記ロック要素のためのホルダの形態であることを特徴とする横断バー。
【請求項2】
前記ロック要素(8)に対する前記横断バー(4)の前記保持領域(11)の前記弧状ガイドは、前記ロック要素(8)をその回動動作においてそれぞれ案内するための、前記横断バーの上面に対して近位側にある上側弧状ガイド(12a)及び前記横断バーの上面に対して遠位側にある下側弧状ガイド(12b)を有することを特徴とする請求項に記載の横断バー。
【請求項3】
前記弧状ガイド(12)は、前記ロック要素(8)の前記ロック部(10)が案内される案内経路の形態であることを特徴とする請求項又はに記載の横断バー。
【請求項4】
前記横断バーの上面に対して近位側にある上側弧状ガイド(12a)及び前記横断バーの上面に対して遠位側にある下側弧状ガイド(12b)は前記ロック要素(8)のためのガイド通路を形成するように配置され、前記ロック要素(8)は前記ガイド通路内で案内される、請求項に記載の横断バー。
【請求項5】
前記ロック要素(8)の前記ロック部(10)は、弧状構成のものであることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の横断バー。
【請求項6】
前記ロック要素(8)の前記ロック部(10)は、前記ロック要素(8)に対する前記横断バーの保持領域(11)の前記弧状ガイドにおいて案内されることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の横断バー。
【請求項7】
前記ロック要素(8)の前記作動部は、その前記ロック部(10)から横方向に突出することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の横断バー。
【請求項8】
前記ロック要素(8)は、実質的に剛体の構成要素の形態であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の横断バー。
【請求項9】
前記ロック要素(8)の前記ロック部(10)は、その端部領域において、前記側面部材(3)の保持領域(11)との接触のための平坦接触面(14)を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の横断バー。
【請求項10】
一方で前記ロック要素(8)が、他方で該ロック要素(8)に対する前記側面部材(3)の前記横断バーの保持領域(11)又は前記横断バー(4)が、前記ロック要素(8)をそのロック位置に固定するための対応する係止手段(15)を有することを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の横断バー。
【請求項11】
前記係止手段(15)は、前記ロック要素(8)に対する前記弧状ガイド(12)の案内経路に配置されることを特徴とする請求項10に記載の横断バー。
【請求項12】
前記横断バーの前記保持領域(11)は、前記ロック要素(8)と協働するとともに好ましくは前記ロック要素(8)に対する前記弧状ガイド(12)の案内経路に配置された保持手段(17)を有することを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の横断バー。
【請求項13】
前記ロック要素(8)は、手動の作動によってロック可能及びロック解除可能であることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の横断バー。
【請求項14】
横断バー(4)を解放可能に固定するための、横断バー(4)付きの、保持部を有するエネルギー案内チェーン(1)のチェーンリンク(2)の側面部材(3)であって、該側面部材(3)は、横方向に離間した大面積側面(21)並びに該側面(21)を接続して前記チェーン(1)の長手方向に延在する上側及び下側狭面(22)を有し、前記横断バー(4)に対する前記保持部(20)は、前記横断バー(4)の長手方向に対して横断する方向に側面部材(3)から離間しないように前記横断バー(4)を固定するために、前記横断バー(4)を前記側面部材(3)にロックして固定するために、前記横断バー(4)のロック要素(8)を受容するための、側面(21)の方向に開放する凹部(23)を有し、
前記横断バー(4)に対する前記側面部材(3)の前記保持部(20)は、前記横断バー(4)が該横断バー(4)に対する前記側面部材(3)の前記保持部(20)に、前記保持部(20)が配置される領域において、前記チェーン(1)の長手方向に延在する前記側面部材(3)の前記狭面(22)に垂直な方向から、前記ロック要素(8)によって前記側面部材(3)にロック可能となる前記横断バーの目標位置に達するまで緩挿可能となるような構成のものであることを特徴とする側面部材。
【請求項15】
横断バーを有し、
前記横断バー(4)に対する前記保持部は、二面において、すなわち、一方で保持領域が配置される前記側面部材(3)の前記狭面(22)に向かって、他方で前記チェーン(1)の長手方向に各々がそれぞれ開放する2つの横方向凹部を有し、該凹部は、該凹部に係合する前記横断バー(4)の保持突起(27)に対する接触面(26)を前記チェーンリンク(2)の内部に向けてそれぞれ有し、それぞれの凹部は、前記横断バーの長手方向での前記側面部材(3)及び前記横断バー(4)の離間を防止する前記横断バーの保持部の逃げ溝構成(26)を有することを特徴とする請求項14に記載の側面部材。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか1項に記載の横断バーを有する請求項14又は15に記載の側面部材。
【請求項17】
請求項1から13のいずれか一項に記載の横断バー(4)並びに/又は請求項14から16のいずれか一項に記載の側面部材(3)を有するエネルギー案内チェーンのチェーンリンク。
【請求項18】
横断バー(4)の前記2つの保持領域に関して又はチェーンリンク(2)の両横断バー(4)の2つの対向配置された横断バー端部(6)に関して、両側面部材(3)が、請求項14から16のいずれか1項に記載したものである、請求項17に記載のチェーンリンク。
【請求項19】
請求項17又は請求項18に記載のチェーンリンク(2)を備えるエネルギー案内チェーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー案内チェーンのチェーンリンクの2つの側面部材を解放可能に接続するための横断バーに関し、その端部の少なくとも一方又は双方において、横断バーはそれぞれの側面部材に対して解放可能に固定するための固定領域を有し、横断バーの固定領域はロック位置及びロック解除位置に移行可能なロック要素を含み、ロック位置では横断バーは側面部材に解放不能に固定され、ロック解除位置では横断バーは側面部材から解放可能であり、ロック要素は、それをそのロック位置又はそのロック解除位置にそれを選択的に移行させるための作動部、及び側面部材との係合をロックするためのロック部を含む。さらに、発明は、エネルギー案内チェーンのリンクの側面プレート及びエネルギー案内チェーンのそのようなリンクに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー案内チェーンにケーブル、ラインなどを装備し、又はそれらをエネルギー案内チェーンから除去するために、エネルギー案内チェーンのリンクは、側面部材同士を接続する横断バーが位置変更又は除去されることによって、開放される。したがって、横断バーを迅速に嵌合及び除去する可能性は、エネルギー案内チェーンを開閉するのに要する時間、それゆえ、例えば、エネルギー案内チェーンを装備又は保守する場合の交換時間を節約するために望ましいことが多い。さらに、例えば、チェーンにおいて案内されるラインが横断バーを押圧する場合にも、エネルギー案内チェーンの変位に応じて大きな力が横断バーに作用するので、エネルギー案内チェーンの横断バーは側面部材に堅く固定されなければならない。
【0003】
横断バーは係止接続によって側面部材に固定されることが多いが、それは、その後に横断バーが容易かつ迅速に側面部材に対して嵌合及び除去できないという不利益を受ける。係止接続は横断バーを側面部材に堅く固定するようにされなければならないため、解放が一般に迅速かつ容易ではなく、むしろ比較的高いレベルの力がその目的に適用されなければならないことが多く、治具の使用が必要となることもある。
【0004】
したがって、ロック要素付きの横断バーを設けることによって、横断バーがチェーンリンクの側面部材にロック可能となり、それにより側面部材に堅く保持されることも既に知られている。そのようなロック要素付き横断バーは、例えば、特許文献1に記載される。しかし、その横断バーの不利な点は、ロック要素をロック解除するのに治具が使用されなければならないことである。またさらに、作動部及びロック部を有するロック要素のトグルレバー構造は、製造において非常に複雑かつ精巧であり、膜接続の形態で設けられるヒンジは機械的損傷に関して比較的繊細である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2008/125084号
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の課題は、ロック要素付きの横断バーであって、チェーンリンクの側面部材に対して迅速かつ容易に嵌合及び除去可能であり、横断バーが側面部材に特に堅く固定可能となるように横断バーのロック機構が強固である、横断バーを提供することである。
【0007】
その課題は請求項1に記載の横断バーによって達成され、ロック要素は回動部品の形態であり、ロック要素の作動に応じて、ロック部がロック位置からロック解除位置への又はその逆のその動作の少なくとも一部における回動動作において移動される。本発明の課題はさらに、請求項13に記載される側面部材によって、及び請求項15に記載のチェーンリンクによって達成される。
【0008】
ロック要素は回動部品の形態であり、ロック要素の作動に応じてロック部がその動作の少なくとも一部にわたる回動動作において移動されることによって、ロック要素は、特に容易に取扱い可能となる。すなわち、ロック要素を選択的にそのロック位置又はそのロック解除位置に移行させるために、作動が迅速かつ確実となる。さらに、それによって、ロック要素は、ヒンジによって相互接続された複数の部品を備えないため、特に簡素かつ安定的な構造となる。そのため、ロック要素は、取扱いにおいて特に信頼性も高い。またさらに、これによって、横断バーがそれと接続される側面部材に嵌合される際に横断バーがその上面、すなわち、エネルギー案内チェーンの内部とは逆を向く面から取り扱われるので、ロック要素のロック又はロック解除とともに横断バーの速い嵌合又は除去も可能となり、それにより、ロック要素は特に容易にアクセス可能となる。横断バーは、規定された回動動作を実行するように、ロック要素に対する対応のマウンティング又はガイドを有することが分かるはずである。好ましくは、ロック要素のそのロック位置からそのロック解除位置への又はその逆の動作は、特に好ましくは予め規定された回動軸を中心とした純粋な回動動作である。ただし、回動軸は、特に、仮想軸であってもよく、より具体的には、例えば、その回動動作におけるロック部の適切な弧状ガイドによって好適なものとなり、ガイドの弧状の曲率は回動軸を規定する。選択的に、ロック要素のそのロック解除位置からそのロック位置への又はその逆の動作は、特定の比率の平行移動、例えば、横断バーの長手方向への変位も有するが、これは必須ではなく、好ましくはその通りでないこともある。またさらに、ロック部の回動動作によって、ロック部の部分的領域、特に、端部領域は、その自由端において、横断バーに対する側面部材保持領域と係合可能となる。その側面部材保持領域は、好ましくは、凹部、又は選択的に、側面部材の大面積側面の側方に内向きに突出する突起など、側面部材若しくはチェーン内部に向くその大面積側面に設けられた突起の形態である。ロック部は、側面部材保持領域において上記凹部に係合し又は突起の下方で係合する。このように、横断バーは、保持領域が配置される側面部材のそれぞれ上側又は下側の狭面に垂直な方向に側面プレートから離れて移動しないように固定される。本発明によって、上記凹部に係合し又は突起の下方に係合することができるようにロック部がその回動動作において案内されると、ロック部の端部領域は、ロック位置において、凹部又は突起を画定する壁を押圧することができる。その場合、突起は、凹部の、側面プレートの狭面に向く壁領域としてそれぞれ見ることができる(それは仮想的なものであってもよいし、交互に設けられてもよい)。それは、一方では、横断バーに堅固な嵌合を与える。他方では、それは、ロック部のそのロック位置への回動動作において、まず、その端部位置において凹部の壁と係合することになる。それにより、例えば、特許文献1における状況のように、凹部へのロック部の直線的変位の場合に起こり得るような、ロック部のそのロック位置への動作におけるロック部と凹部の壁との間の摩擦が回避される。なお、その場合、特許文献1によると、好ましくは本発明の背景では、横断バーは、横断バーの上面に垂直に、横断バーの離間に関してロック要素のロック部によって専ら固定される。この点、チェーン内部とは逆を向く、横断バーのそれぞれの面は、横断バーの上面として解釈される。側面部材の横断バー保持領域は、側面部材の内部からチェーン内部に突出するとともにロック要素のロック結合のための上記凹部又は突起を含むホーンの形態であり得る。横断バー保持領域は、側面部材の本体に部分的に又は場合によっては完全に包含されてもよい。
【0009】
特に好ましくは、ロック要素に対する横断バーの保持領域は、ロック要素の作動に応じて、ロック要素のそのロック位置とそのロック解除位置との間の少なくとも一部又は全部の動作にわたってその回動動作をもたらす弧状ガイドを有する。したがって、弧状ガイドは、ロック位置からロック解除位置への又はその逆のその切替におけるロック要素の規定された案内を与える。弧状ガイドは、好ましくは、円弧ガイドの形態である。弧状ガイドは、同時に、ロック要素に対する更なる保持手段が、それらが仮に追加的に提供可能であったとしても不要となるように、横断バー上のロック要素に対するホルダの形態であってもよい。弧状ガイドは、特に、ロック要素のロック部が案内される案内経路の形態であってもよい。案内経路は、2つのガイド面に加えて、経路が少なくとも部分的に又はその全長にわたって周囲で閉じられるように、相互に対向する側壁を有していてもよく、それにより、ロック要素について特に精密な案内が可能となる。さらに、ガイドは横断バーの材料から加工可能であるので、それはロック機構のための特に強固な設計構成を与え、したがって、例えば、機械的損傷をより受け易い機械的な回動軸は不要となる。
【0010】
好ましくは、ロック要素に対する横断バー保持領域の弧状ガイドは、ロック要素をその回動動作においてそれぞれ案内するために、横断バー上面に対して近位側にある上側弧状ガイド面及び横断バー上面に対して遠位側にある下側弧状ガイド面を有する。2つの弧状ガイド面は、好ましくは、各々円弧状ガイド面の形態である。2つの弧状ガイド面は、好ましくは、同じ円中心を有する。したがって、上側及び下側弧状ガイド面は、ロック要素のロック部のための案内経路を、それにより、2つの弧状ガイド面によって与えられる案内経路においてロック部のための精密な案内がもたらされるように、与える。
【0011】
好ましくは、ロック要素のロック部は、特に好ましくは円弧の形状において弧状構成のものであり、ロック部は少なくとも一方若しくは両方の弧状ガイド面において又は弧状案内経路において案内される。ロック部の弧の曲率は、好ましくは、ガイド及びロック部のそれぞれ相互に協働する面に関して、上側又は下側ガイド面の曲率に対応する。
【0012】
ロック部の弧状構成は、それが弧状ガイドにおいて精密にかつ少なくとも実質的に遊びなしで又は完全に遊びなしで案内可能であることを意味する。これは、ロック解除位置からロック位置への又はその逆のその位置の変化に応じた、正確に規定されたロック部の位置の変化を確保し、それによりロック要素の精密でかつ速い取扱いも確保する。好ましくは、ロック部は、ロック要素がロック要素の回動動作においてロック部によって正確に案内されるように、少なくとも1つの各接触領域を上側若しくは下側に又はロック部に対する好ましくは上側及び下側弧状ガイドに有する。ロック部の接触領域は、ロック要素に対する保持領域のそれぞれのガイド面を平坦領域にわたって押圧することができる。ただし、選択的に、それは単に、例えば、保持手段として作用する案内経路の他の領域との関連で、ロック要素をその規定位置に係止的に固定するような追加の機能を有し(ただし、必ずしもそうではない)又は他の何らかの機能も有し得る突起であってもよい。ロック部を案内するための弧状ガイド面に対する突起の接触は、さらに、小さな接触面積によってロック要素の回動動作における摩擦が低減されることになり、それによりそれは容易に作動可能となる。
【0013】
一般に、好ましくは、ロック要素のロック部は、それが作動に応じて精密な回動動作を行うことができるように、ロック要素に対する横断バー保持領域の弧状ガイドにおいて案内される。
【0014】
好ましくは、ロック要素の作動領域は、そのロック部から横方向に突出する。結果として、ロック要素のロック位置における作動部が横断バーの上面において突出しないように、ロック要素は略平坦な構成のものとなり、その作動領域は横断バーの断面に完全に一体化され得る。特に好ましくは、作動要素は、ロック部の弧状領域から約120度で又は100度~140度の範囲の角度で突出する。
【0015】
好ましくは、ロック要素は、実質的に剛体の構成要素の形態である。したがって、特許文献1のように、例えば、ロック要素の相互に位置可変の膜ヒンジ又は領域のような材料弱化領域を伴うことはない。これは、ロック要素が迅速かつ確実に作動可能となるように、ロック要素に対する強固な構造を与える。一方、結果として、そのロック位置にあるロック要素は、側面部材の横断バー保持領域を所定の予負荷で押圧し、それにより、ロック要素がロックされた場合に横断バーに対してより強固でかつ遊びなしの嵌合を確保することができる。それ自体において、そのロック位置にあるロック要素が側面部材の横断バー保持領域を緩く押圧していれば、本発明の背景では概ね既に充分である。ただし、それは、エネルギー案内チェーンの動作におけるロック要素の位置に所与の許容差又はわずかな変化があると遊びがロック要素と横断バー保持領域との間に形成されてしまい、チェーンの動作に応じて遊びが増加するリスクがあるという不利な点を有する。それは、ロック要素がロック位置において横断バー保持領域を所定の予負荷で押圧することによって解消される。
【0016】
好ましくは、その縁部領域におけるロック要素のロック部は、側面部材の横断バー保持領域を押圧するための平坦接触面を有する。したがって、ロック部の弧状領域には、平坦接触面が設けられ得る。好ましくは、一般的に本発明によると、横断バー保持領域を有するその接触領域におけるロック部は、平坦構成のものであるので、ロック要素のロック位置における横断バー保持領域との平坦面接触を与える。これは、より堅固な嵌合を横断バーに与える。好ましくは、そのようにして横断バーの長手軸に関する潜在的な傾斜に関して横断バーが固定されるように、ロック部の接触面は、横断バー保持領域において、ロック要素の幅のより大きな部分にわたって、特に好ましくはその幅全体にわたって延在する。
【0017】
好ましくは、横断バーのロック要素及び保持領域は、ロック要素をそのロック位置に固定するためにロック要素に対する対応の係止手段を有する。それは、チェーンリンクに作用する対応の機械的力に連動されるエネルギー案内チェーンの動作においてロック要素がそのロック位置から解放されないように固定する。ロック要素及び横断バー保持領域の係止手段は、特に好ましくはロック要素のロック部に配置される。この点、これはまた、ロック要素のロック位置においてロック要素が横断バーに依然として配されるロック部の部分的箇所に特に関連し得る。選択的に、対応の係止手段は、それに従って側面部材の横断バー保持領域に配置されてもよい。特に好ましくは、対応の係止手段は、横断バーの端部領域に、特に好ましくはロック部に対する横断バーのガイドの端部領域内又は端部領域に配される。それは、エネルギー案内チェーンの変位に応じて力が横断バーに垂直にかかる場合にロック要素の意図しない解放を防止するために好適であることが分かっている。ロック要素に対する弧状ガイドの案内経路に係止手段を配置することによって、それらの係止手段はそれに作用する外力からも保護されるので、係止接続の意図しない解放のリスクが軽減される。またさらに、ロック部での又はロック要素の作動部からの最大可能距離における配置での係止手段の配置は、それがその後に横断バーと側面部材の間の接続領域付近に配置されるので、係止接続の固定性を向上させる。結果として、例えば、係止手段がロック要素の作動領域に配置される場合よりも弱いレバー力が、自由端と係止手段の間に配置されるロック部の領域に作用する。
【0018】
好ましくは、横断バーの保持領域は保持手段を有し、保持手段はロック要素と協働し、好ましくはロック要素に対する、より正確にはそのロック部に対する弧状ガイドの案内経路に配置される。それは、ロック要素がそのロック解除位置に配置されたときに、ロック要素が横断バーから意図せず解放可能となることを防止する。それにより、その組立て又は分解の際の横断バーの取扱い性が、実質的に向上する。保持手段がロック要素のロック部における固定手段として配置されるため、それらは、ロック要素がそのロック解除位置にある場合にのみ協働することができる。したがって、それにより、ロック要素の簡素でかつ低摩擦の作動が可能となる。さらに、ロック要素又はそのロック部に対する案内経路における保持手段の配置は、そこに作用する外力に起因する損傷又はその離脱を防止するので、保持手段はまた、ロック要素のロック解除位置における保護状態において配置される。横断バーの保持領域又はロック要素若しくはそのロック部における保持手段は、例えば、一方を他方の背後に係合させる突起の形態となり得る。保持手段又はロック要素若しくはそのロック部上の対応の突起は、それによりロック要素の嵌合がその回動動作に応じて向上し、少なくとも実質的に又は現実的にガイドに遊びなしで変位され得るように、好ましくはロック要素に対する横断バー保持領域の表面を押圧することができる。ただし、このようにしてその回動動作の際のロック要素又はロック部の遊びなしの動作を確保するために、ロック要素に対する横断バー保持領域のガイド面を押圧することができる他の突起、接触領域などがロック部上に設けられ得ることが一般に分かるはずである。
【0019】
特に好ましくは、ロック要素は、手動の作動によってロック及びロック解除可能である。本発明による構造のロック要素は、それに特に適する。したがって、ロック要素の作動部の自由端領域は、ロック要素を作動可能とするように容易に手動で把持され得る。指係合領域が、その理由のために横断バー上に容易に設けられ得る。ロック要素の作動端は横断バーの中心に向かうので、本発明による構成は、横断バー上の作動部のための適切な指係合領域を配置するのに充分な空間を与える。
【0020】
本発明は、さらに、横断バーを解放可能に固定するための、選択的に横断バー付きの、保持部を有するエネルギー案内チェーンのチェーンリンクの側面部材に関し、側面部材は、横方向に離間された大面積側面並びに該側面を接続してチェーンの長手方向に延在する上側及び下側狭面を有し、横断バーに対する保持部は、横断バーの長手方向に対して横断する方向に側面プレートから離間しないように横断バーを固定するために、横断バーを側面部材にロックして固定するための横断バーのロック要素を受容するための側面の方向に開放する凹部を有する。この場合、側面部材はまた、そこに結合される横断バー付きの側面部材であり得る。この場合、横断バーは、特に好ましくは本発明によって設計されるが、異なる構成のものであってもよい。
【0021】
側面部材は、対応の隣接する側面部材へのそのそれぞれの接合領域での接続のために、側面部材の長手方向においてそれぞれ相互から離間された接合領域をそれぞれ有することが分かるはずである。ただし、本発明は、所与の形態の側面部材又は接合接続の構成に限られない。側面部材は、交互に配置された内側プレート及び外側プレート、クランク型側面プレート、すなわち、相互を横方向に押圧する側面プレート、又は他の何らかの構成の形態であってもよい。接合領域は、ピン凹部ジョイント又はピンホールジョイントの形態であり得るが、弾性的又はねじり力の下で変形可能であるとともに隣接する側面部材を接続する接合要素の形態であってもよく、隣接する側面部材は一方が他方上に配置されてもよいが、そうでなくてもよい。側面部材の接合領域によって、チェーンは、上部ラン、方向可変領域及び下部ランの構成で配置可能であり、その場合、そのように配置されたチェーンは直線状、屈曲状又は他の何らかの態様で配置され得る。
【0022】
本発明によると、横断バーに対する側面部材の保持部は、横断バーがロック要素によって側面部材にロック可能な横断バー目標位置に達するまで、保持部が配置される領域において、チェーンの長手方向に延在して、横断バーが側面部材の狭面に垂直な方向から横断バーに対する側面部材の保持部に緩挿可能となるような構成のものである。ロック要素は、横断バー上で位置可変に保持可能である。したがって、横断バーは、側面部材狭面に垂直に、好ましくはチェーンリンクに向かう方向でチェーンリンクの外部からの方向において、より具体的にはそれを側面部材にロック可能となるように横断バーの目標位置に達するまで、保持領域に緩装され得る。横断バーは、特に請求項1から12に記載されるように、ただしそれに限定されることなく、設計され得る。好ましくは、それはそれぞれのチェーンリンクの両側面部材及びそれぞれの横断バーの両横断バー端部にあてはまる。結果として、横断バーは、チェーンの長手方向に延在する狭面に垂直に外部から側面部材に容易に移動可能となり、この場合、横断バーは、横断バーによって接続される2つの側面部材の相互に対向する保持領域の接続線に平行に移動される。横断バーがその目標位置に緩挿されるので、係止接続などを克服する場合に必要であったようには、追加の力の付加を伴うことはない。さらに、したがって、横断バーを特に迅速かつ容易に嵌合又は除去可能とするための横断バーの特に簡素な取扱いを伴うように、横断バーは、2つの側面部材のその接続位置においてその目標位置に対して平行に側面部材に移動可能とされる。したがって、横断バーが2つの側面部材の一方の保持領域の一方に最初に固定される必要はなく、そして横断バーの他方の保持領域が、例えば、回動動作の態様で側面部材の対応の保持領域に接続される必要もない。したがって、本発明による構成の側面部材により、横断バーを2つの側面部材にロック可能とするための横断バーの取扱いは、実質的により迅速に実行され得る。特に、それに伴い、横断バーの両保持領域は、チェーンリンクの相互に対向する側面部材の保持領域に同時に結合可能となり、それは取扱いの観点で特に有利である。
【0023】
特に好ましくは、側面部材は、請求項14によって設計され得る。それにより、横断バーに対する保持領域の各々は、二面において、すなわち、一方で、保持領域が配置される側面部材の狭面に向かってそれぞれ開放する2つの横方向凹部を有する。その狭面は、チェーンの長手方向に延在する狭面である。したがって、上部横断バーが検討される場合にエネルギー案内チェーンが平坦面上に配置される場合、対応の凹部が上方向に開放する。そして、ピン状突起のような横断バーの保持領域の対応する部分をそこに挿入することができる。他方では、凹部はチェーンの長手方向に開放しているので、全体として横断バーは、2つのフック状突起とともにその端部領域においてフォーク状構成のものとなり得る。2つのフックの自由端は、横断バーの中央長手軸の方向に配向される。凹部は、横断バーのフック状突起の挿入の深さを制限する底部領域をさらに有する。またさらに、それぞれの凹部は横断バー保持部の逃げ溝構成を形成し、それは、横断バーの保持要素の領域を配置する際に横断バーの長手方向に横断バーが側面部材から離間するのを防止する。したがって、2つの凹部は各々実質的に、ここでは、横断バーの中心軸に関して突出する突起を有する横断バーのフォーク状保持領域が上方からシャフト状凹部に挿入可能となるように、隣接する側面部材に関して上方に開放するとともにチェーンの長手方向にも開放する開放シャフトの態様にある。この構成は、横断バーと側面部材の間のように迅速に取扱い可能な固定接続を構成するのに特に好適である。またさらに、本発明は、請求項15又は請求項16に記載の横断バーを有するエネルギー案内チェーンのチェーンリンクに関する。
【0024】
横断バーのロック要素を受容するための側面部材の横断バー保持領域の受容手段は、この場合、好ましくは、横断バーに対する保持領域の二面において開放した2つの上記凹部間の側面部材の長手範囲に関して配置される。凹部の代わりに、その下部に係合する横断バーのロック要素を有する側面部材上の突起を設けて横断バーを側面部材に固定することも可能であることが分かるはずである。
【0025】
本発明による横断バーに関する全ての記載は、横断バーと側面部材との組合せ又はチェーンリンク上の横断バーにも関連し得る。本発明による側面部材に関する全ての記載は、側面部材と本発明による横断バー又は他の種類の構造の横断バーとの組合せにも関連し得る。
【0026】
好ましくは、チェーンリンクは、相互から横方向に離間されるとともに2本の横断バーによってともに接続された2つの側面部材をそれぞれ備える。この場合、チェーンリンクの横断バーの一方及び特に好ましくは両方は、本発明によって設計された横断バーの形態であり得る。本発明による側面部材構成は、特に好ましくはチェーンリンクの両側面部材にそれぞれ関連し得る。
【0027】
ここで以下に、本発明を例示として実施形態によって説明する。この場合、実施形態の全ての特徴は、相互から独立して及び本発明によって概略としても開示される。同一の構成要素は、図面において同一の符号で記載される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】エネルギー案内チェーンの(第2の側面部材のない)2つの不完全なチェーンリンク、並びに本発明による横断バー及び側面部材の斜視図を示す。
図2】一方がロックされるとともに他方がロック解除されたロック要素を有する、本発明による横断バーの斜視図を示す。
図3a図2の横断バーの断面図を示す。
図3b図3aの横断バーの詳細図を示す。
図4】ロック要素が一方で(左側において)ロックされ他方で(右側において)ロック解除された図2の横断バーの平面図を示す。
図5】横断バーがロックされた状態で本発明による側面部材を有する本発明による横断バーの接続領域を示す。
図6図1に示すような本発明による側面部材の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、エネルギー案内チェーン1の2つの不完全なチェーンリンク2の斜視図を示し、各チェーンリンクの横断バー4の自由端に接続されるべき、図面の正面部分となる第2の側面部材3は省略されている。ここで、横断バー4及び側面部材3は、本発明によるものである。チェーンの側面部材は、ここでは、図1に示すような交互の内側及び外側面部材の形態である。本発明はまた、本発明に関して概略説明で既に記載した通り、側面部材及び側面部材への横断バーの結合に関して、その側面部材の構成に限定されないことが強調されるべきである。側面部材3は、エネルギー案内チェーンが上部ラン、方向可変領域及び下部ランを備える構成で配置可能となるように、図1に例示として示すように、それらを側面プレート列のそれぞれ2つの隣接する側面プレートにヒンジとして接続可能とするための接合領域5を有する。ただし、接合接続の構成は本発明を限定するものではなく、接合接続は、例えば、一方又は両方の隣接する側面部材と一体に形成されてもよい。ここで、チェーンリンク2には、双方とも本発明による構成の上側横断バー及び下側横断バーが設けられるが、例えば、上側横断バーのみ又は下側横断バーのみが本発明によって設計され、他方の横断バーが他の何らかの構成であり、例えば、側面プレート上に形成されるようにすることもできる。
【0030】
横断バー4は、エネルギー案内チェーン1のチェーンリンク2の2つの側面部材3を解放可能に接続するために作用し、横断バー4は、その端部6の少なくとも一方又は両方において、それぞれの側面部材3に解放可能に固定するための固定領域7を有する。横断バーの固定領域7は、ロック位置V及びロック解除位置Eに移動可能なロック要素8を含み(図2参照)、ロック位置Vでは横断バーは側面部材3に開放不能にロックされる一方で、ロック解除位置Eでは横断バー4は側面部材3から解放可能となる。ロック要素8は、それをそのロック位置又はロック解除位置に選択的に移動させるための作動部9、及び側面部材3との係合をロックするためのロック部10を含む。横断バーの固定領域7は、ここでは、2つの横方向に離間したフック状突起7a,7b及びその間に配置されたロック要素8を有するフォークヘッドの性質において形成される。
【0031】
ロック要素8は、回動部の形態である。ロック要素8の作動に応じて、ロック部10は、ロック位置Vからそのロック解除位置Eへの又はその逆のその動作の少なくとも一部における回動動作において移動される。
【0032】
ロック要素8に対する横断バー4の保持領域11は、ロック要素8の作動に応じて、ロック要素8のそのロック位置とそのロック解除位置との間の少なくとも一部の又は完全な動作にわたってその回動動作をもたらす弧状ガイド12を有する。
【0033】
ロック要素に対する横断バー保持領域の弧状ガイド12は、回動動作においてロック要素をそれぞれ(連携して)案内するための、横断バーの上面に対して近位側にある上側弧状ガイド12a及び横断バー上面に対して遠位側にある下側弧状ガイド12bを有する。弧状ガイド12a、12bは、ここでは好ましくは同じ円中心点を有する円弧の形状でガイドの形態である。弧状ガイド12a、12bは、ここではガイド面の形態であるが、選択的にそれらはバー状構成又は他の何らかの構成のみのものであってもよい。
【0034】
ロック要素8のロック部10は、弧形状のものである。ロック部10の上側及び/又は下側境界面13a、13bは、ここでは上側及び下側ガイド12a、12bの輪郭に適合され、各々同様に少なくとも実質的に同じ曲率のものである。ただし、ロック要素8の上側境界面13aに関しては、例えば、保持手段17として機能する突起などの突起が回動動作において、好ましくは回動動作全体にわたって上側ガイド面12aを押圧すれば充分であり、又はそこからわずかに離間される。
【0035】
ロック要素8のロック部10は、ロック要素8に対する横断バー保持領域11の弧状ガイド12に配置される。
【0036】
ロック要素8の作動部9は、そのロック部10から横方向に、例えば、約120度の角度で突出する。ロック要素8の作動部9は、ロック位置Vにおいて横断バー4の断面に完全に受容される(図2及び3a参照)。
【0037】
ロック要素8は、実質的に剛体の構成要素の形態である。
【0038】
その端部領域において、ロック要素8のロック部10は、側面部材の保持領域を押圧するための平坦接触面14を有する(図3及び5)。ロック位置において、それは、側面部材の保持領域を緩く、又は好ましくは所定の予負荷で押圧することができる。
【0039】
ロック要素をそのロック位置に固定するための対応する係止手段15がある。対応する係止手段15aは、一方ではロック要素8上に、より正確にはロック部10上に設けられる。係止手段15aに対応する係止手段15bは、他方では、好ましくは、弧状ガイド12、すなわち、ロック要素又はロック部10に対する横断バーの案内経路において、ロック要素8又は横断バー4に対する側面部材3の横断バー保持領域16上に設けられる。これは、ロック要素8がそのロック位置において係止関係で固定され得ることを意味する。
【0040】
ロック要素8に対する横断バー4の保持領域11は、ロック要素8と協働するとともに好ましくはロック要素に対する弧状ガイドの案内経路に配置される保持手段17を有する。保持手段17は、ここでは、相互を背後に係合する突起17a及び17bの形態である。保持手段17は、特にロック解除位置において、ロック要素が横断バーから意図せず解放されるのを防止する。
【0041】
ロック要素8は、ここでは手動の作動によってロック可能及びロック解除可能である。
【0042】
図1及び6は、横断バー4を解放可能に固定するための保持部20を有するエネルギー案内チェーン1のチェーンリンク2の側面部材3、及び固定された横断バー4もその組合せにおいて示す。側面部材3は、横方向に離間された大面積側面21並びに側面21を接続するとともにチェーンの長手方向に延在する上側及び下側狭面22を有する。横断バーに対する保持部20は、横断バーの長手方向を横断する方向に側面プレートから横断バーが離間しないように固定するために、側面部材3への横断バー4のロックされた固定のために、横断バー4のロック要素8を受容するための、側面の方向に開放する凹部23を有する。凹部の代わりに、選択的に、凹部を画定する上壁領域23aのみを側面部材に設けることも可能である。図示するような保持部20は、側面部材も比較的薄型となり、それにより重量を抑えることができるように、側面部材から横方向に突出するホーンの形態であってもよい。ただし、状況によっては、保持部20は、側面部材に部分的又は完全に一体化されてもよい。側面部材の2つの保持部20は、平面Bに対して鏡面対称の関係となる。
【0043】
横断バー4に対する側面部材3の保持部20は、横断バーが当該横断バーに対する側面部材の保持部に側面部材の狭面22に垂直な方向から緩挿可能とされ、ロック要素によって側面部材にロック可能となる横断バー目標位置に達するまで、その領域に保持部が配置されるチェーンの長手方向に延在するような構成のものである。したがって、例えば、克服されるべき係止抵抗を有する係止接続の場合のように、横断バーの固定領域7の保持部20への挿入に抗する抵抗はない。
【0044】
横断バー4に対する保持部20は、二面において、すなわち、一方で保持領域が配置される側面部材の狭面に(符号26)、他方でチェーンの長手方向に(符号27)それぞれ開放する2つの横方向凹部25を有する。したがって、凹部25は、開放シャフト状構成のものであり、横断バーの固定領域の固定突起が側面部材のロックのための横断バーの目標位置に達するまで上方からそれぞれのシャフトに緩装可能となるように、側面部材3の狭面22に垂直なシャフト軸とともに延在する。凹部25は、凹部に係合する横断バーの固定領域のフック状保持突起30に対する接触面28をチェーンリンクの内部に向かってそれぞれ有するので、接触面は底部の一種として作用する。それぞれの凹部25は、横断バーの長手方向での側面部材及び横断バーの離間を防止する横断バー保持部の逃げ溝構成28をさらに形成する。したがって、保持突起30の横方向に突出する突起31は、側面部材保持部20のシャフト状凹部25に係合し、それにより横断バーが長手方向に側面部材から離間せずかつチェーンの長手方向に変位しないように横断バーを固定する。
【0045】
横断バーに対する保持部20のその構成は、エネルギー案内チェーンの内部空間が保持部によって幾らか制限されるのみとなるように側面部材の内側面に配置されているにもかかわらず、チェーンの内部に比較的わずかに突出するだけであり、それはチェーンをラインに嵌合させ又はラインをチェーンから除去することを実質的に容易化するという特に有利な効果をさらに有する。
【0046】
この場合、両側面部材は、特に請求項13及び/又は14並びに関連の記載によると、横断バーの2つの保持領域に関して、又はチェーンリンクの両横断バーの2つの相互に対向する端部に関して、同じ構成のものとなり得る。
【符号の説明】
【0047】
1 エネルギー案内チェーン
2 チェーンリンク
3 側面部材
4 横断バー
5 接合領域
6 端部
7 固定領域
7a、7b フック状突起
8 ロック要素
9 作動部
10 ロック部
11 保持領域
12 弧状ガイド
12a 上側弧状ガイド
12b 下側弧状ガイド
13a 上側境界面
13b 下側境界面
14 接触面
15 係止手段
15a、15b 対応する係止手段
16 横断バー保持領域
17 保持手段
17a、17b 係合突起
20 保持部
21 側面
22 狭面
23 凹部
23a 上壁領域
25 凹部
26 狭面側面部材
27 チェーンの長手方向
28 接触面/逃げ溝構成
30 保持突起
31 横方向に突出する突起
V ロック位置
E ロック解除位置
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6