IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

<>
  • 特許-減圧乾燥装置 図1
  • 特許-減圧乾燥装置 図2
  • 特許-減圧乾燥装置 図3
  • 特許-減圧乾燥装置 図4
  • 特許-減圧乾燥装置 図5
  • 特許-減圧乾燥装置 図6
  • 特許-減圧乾燥装置 図7
  • 特許-減圧乾燥装置 図8
  • 特許-減圧乾燥装置 図9
  • 特許-減圧乾燥装置 図10
  • 特許-減圧乾燥装置 図11
  • 特許-減圧乾燥装置 図12
  • 特許-減圧乾燥装置 図13
  • 特許-減圧乾燥装置 図14
  • 特許-減圧乾燥装置 図15
  • 特許-減圧乾燥装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】減圧乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 5/04 20060101AFI20240821BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20240821BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240821BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
F26B5/04
F26B9/06 Z
H01L21/68 N
H01L21/304 651K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022126776
(22)【出願日】2022-08-09
(65)【公開番号】P2024024153
(43)【公開日】2024-02-22
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】北村 翔也
(72)【発明者】
【氏名】高村 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】竹市 祐実
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-181079(JP,A)
【文献】特開2015-183912(JP,A)
【文献】特開2011-086807(JP,A)
【文献】特開2021-096961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 5/04
F26B 9/06
H01L 21/683
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面に形成された塗布膜を乾燥させる減圧乾燥装置であって、
前記基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、下方の幅に比べて上方の幅が広い部分を含む幅広部と、
前記幅広部から上方に延びており、前記基板の下面に当接するピン当接部と、
前記幅広部から下方に延びており、前記幅広部よりも幅が狭い幅狭部と、
前記チャンバ内の気体を排出する排気部と
前記幅狭部を昇降させる昇降部と
を備え
前記幅広部は、上方に向かうにつれて幅広となる部分を含み、
複数の前記幅広部は、第1所定方向に配列された複数の支持プレートを含み、
前記支持プレートの上面には、複数の前記ピン当接部が立設されており、
前記ピン当接部が前記基板の下面に当接した状態で、前記排気部が前記チャンバ内の気体を排出する、減圧乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載の減圧乾燥装置であって、
前記幅広部は、上方に向かうにつれて連続的に幅広となる部分を含む、減圧乾燥装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の減圧乾燥装置であって、
前記幅広部は、上方に向かうにつれて段階的に幅広となる部分を含む、減圧乾燥装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の減圧乾燥装置であって、
前記幅広部は、
前記支持プレートが有する第1部材と、
前記第1部材の両側から斜め下方に延びる一対の傘部と
を含む、減圧乾燥装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の減圧乾燥装置であって、
複数の前記幅狭部は第2所定方向において配列され、前記幅広部の前記支持プレートから下方に延びており、
前記幅広部の前記支持プレートは、
前記第2所定方向に沿って延びる第1部材と、
平面視において、前記幅狭部の間の領域の一部を避けて、前記幅狭部とそれぞれ重なる領域に設けられ、前記第1部材よりも幅が広い複数の第2部材と
を含む、減圧乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、減圧乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、各種の基板に塗布されたフォトレジスト等の塗布膜を減圧乾燥する減圧乾燥装置が知られている。各種の基板には、例えば、各種のデバイスを形成するためのガラス基板、セラミック基板、半導体ウエハ、電子デバイス基板または印刷用の印刷版等の種々の基板が適用される。各種のデバイスには、例えば、半導体装置、表示パネル、太陽電池パネル、磁気ディスク、または光ディスク等が適用される。表示パネルには、例えば、液晶表示パネル、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示パネル、プラズマ表示パネル、または電界放出ディスプレイ等が適用される。
【0003】
減圧乾燥装置を用いて塗布膜を乾燥する際には、例えば、チャンバ内において複数のピンが基板を支持している状態で、チャンバの底部の排気口を介して真空ポンプでチャンバ内から排気を行う。そして、例えば、真空度が所定値に到達するとチャンバ内からの排気を停止し、チャンバ内にガスを供給することでチャンバ内を大気圧に戻す。ガスには、例えば、窒素ガス等の不活性ガスまたは空気等が適用される。
【0004】
ところで、減圧乾燥装置では、例えば、基板の上面に形成された塗布膜において、場所に応じて乾燥速度が違っていれば、その乾燥速度の違いに応じた乾燥のムラ(乾燥ムラともいう)が生じ得る。乾燥ムラは、例えば、乾燥後の塗布膜における厚さのばらつき等を生じさせる。
【0005】
例えば、基板において、複数のピンの接触により、複数のピンによって支持されている部分とその周辺の部分との間に温度差が生じ得る。これにより、例えば、複数のピンに起因する温度差に応じて、塗布膜の乾燥速度に違いが生じ得る。その結果、例えば、塗布膜において複数のピンの配置に応じた乾燥ムラが生じ得る。ここでは、例えば、塗布膜の減圧乾燥時には、塗布膜から溶媒等が気化する際に生じる気化熱によって基板の温度が低下するものの、複数のピンの熱容量が大きい場合にも、複数のピンが熱容量の大きなチャンバ等に連結されている場合にも、複数のピンの温度が変化し難い。このため、例えば、基板において複数のピンの配置に応じた温度差が生じ得る。
【0006】
特許文献1には、基板を支持する複数のピンを、内部空間内の流体が排出されることで冷却される中空ピン、あるいは内部空間内に冷却水等の液体が供給されることで冷却される中空ピンとすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6579773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に係る減圧乾燥装置では、装置構成が複雑になり装置価格が高くなることにつながる。また、例えば、中空ピンに冷係水を供給する構成では、冷却水の漏れによって、チャンバ内の真空状態に悪影響を及ぼす場合も考えられる。
【0009】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、塗布膜に対する乾燥ムラの発生を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様は、基板の上面に形成された塗布膜を乾燥させる減圧乾燥装置であって、前記基板を収容するチャンバと、前記チャンバ内に設けられ、下方の幅に比べて上方の幅が広い部分を含む幅広部と、前記幅広部から上方に延びており、前記基板の下面に当接するピン当接部と、前記幅広部から下方に延びており、前記幅広部よりも幅が狭い幅狭部と、前記チャンバ内の気体を排出する排気部と、前記幅狭部を昇降させる昇降部とを備え、前記幅広部は、上方に向かうにつれて幅広となる部分を含み、複数の前記幅広部は、第1所定方向に配列された複数の支持プレートを含み、前記支持プレートの上面には、複数の前記ピン当接部が立設されており、前記ピン当接部が前記基板の下面に当接した状態で、前記排気部が前記チャンバ内の気体を排出する
【0011】
第2の態様は、第1の態様に係る減圧乾燥装置であって、前記幅広部は、上方に向かうにつれて連続的に幅広となる部分を含む。
【0012】
第3の態様は、第1または第2の態様に係る減圧乾燥装置であって、前記幅広部は、上方に向かうにつれて段階的に幅広となる部分を含む。
【0013】
第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様に係る減圧乾燥装置であって、前記幅広部は、前記支持プレートが有する第1部材と、前記第1部材の両側から斜め下方に延びる一対の傘部とを含む。
【0015】
の態様は、第1から第4のいずれか一つの態様に係る減圧乾燥装置であって、複数の前記幅狭部は第2所定方向において配列され、前記幅広部の前記支持プレートから下方に延びており、前記幅広部の前記支持プレートは、前記第2所定方向に沿って延びる第1部材と、平面視において、前記幅狭部の間の領域の一部を避けて、前記幅狭部とそれぞれ重なる領域に設けられ、前記第1部材よりも幅が広い複数の第2部材とを含む。
【発明の効果】
【0017】
第1および第3の態様によれば、排気部による気体の排出により、チャンバ内の気体は大きく低下する。幅広部、ピン当接部および幅狭部の温度は気体に比べて低下しないので、これらの周囲で上昇気流が発生する。幅広部は、下方の幅に比べて上方の幅が広い部分を含んでいるので、上昇気流による気体は幅広部によって斜め上方に流れる。このため、上昇気流による冷たい気体は基板の直下においてより水平方向に近い方向に広がる。したがって、基板の温度分布の不均一性を招きにくい。言い換えれば、基板の温度分布をより均一化させることができる。これにより、減圧乾燥装置は乾燥ムラを抑制して塗布膜を乾燥させることができる。また、幅狭部の昇降により、幅狭部、幅広部および複数のピン当接部を一体に昇降させることができる。
【0018】
第2の態様によれば、上昇気流による気体をより滑らかに水平方向に近い方向に流すことができる。
【0019】
第4の態様によれば、上昇気流による冷たい気体が一対の傘部によって基板から遠ざかるように流れる。このため、上昇気流に起因する基板の温度分布の不均一をさらに抑制することができる。言い換えれば、基板の温度分布をさらに均一にすることができる。
【0021】
の態様によれば、第2部材が幅狭部の間の領域の一部を避けて設けられるので、第2部材の材料費を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、一実施形態に係る減圧乾燥装置の縦断面の一例を示す図である。
図2図2は、一実施形態に係る減圧乾燥装置の横断面の一例を示す図である。
図3図3は、一実施形態に係る減圧乾燥装置の縦断面の一例を示す図である。
図4図4は、基板の一例を示す斜視図である。
図5図5は、基板の一部分の縦断面の一例を示す図である。
図6図6は、減圧下でのチャンバ内の気流の一例を模式的に示す図である。
図7図7は、実施の形態に係るチャンバ内の支持プレートの近傍の温度分布の一例を示す図である。
図8図8は、比較例に係るチャンバ内の支持プレートの近傍の温度分布の一例を示す図である。
図9図9は、実施の形態に係る基板の一部の温度分布の一例を示す図である。
図10図10は、比較例に係る基板の一部の温度分布の一例を示す図である。
図11図11は、支持プレートの第1変形例の構成を模式的に示す図である。
図12図12は、支持プレートの第2変形例の構成を模式的に示す図である。
図13図13は、支持プレートの第3変形例の構成を模式的に示す図である。
図14図14は、支持プレートの第4変形例の構成を模式的に示す図である。
図15図15は、支持プレートの第5変形例の構成を模式的に示す図である。
図16図16は、支持部の変形例の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の一実施形態および各種変形例について、図面を参照しつつ説明する。図面においては同様な構成および機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。また、本明細書において、下方向は、重力方向であり、上方向は、重力方向とは逆の方向である。
【0025】
<1.減圧乾燥装置の構成>
図1は、一実施形態に係る減圧乾燥装置1の縦断面の一例を模式的に示す図である。図2は、一実施形態に係る減圧乾燥装置1の横断面の一例を模式的に示す図である。図3は、一実施形態に係る減圧乾燥装置1の縦断面の一例を模式的に示す図である。図1の縦断面と図3の縦断面とは、約90度異なる方向からそれぞれ見たときの減圧乾燥装置1の構成を示している。図2および図3では、図面の煩雑化を避けるために、後述する排気部30、給気部60、圧力計70および制御部80に関する構成が便宜的に省略されている。減圧乾燥装置1は、基板9の上面に形成された塗布膜90(図5参照)を乾燥させる装置である。
【0026】
基板9には、例えば、ガラス基板、半導体ウエハ、またはセラミック基板等が適用される。基板9は、例えば、第1主面としての第1面F1(図4および図5参照)と、この第1面F1とは逆の第2主面としての第2面F2(図5参照)と、を有する平板状の基板である。例えば、減圧乾燥装置1では、基板9の第1面F1が基板9の上面とされ、基板9の第2面F2が基板9の下面とされる。ここでは、基板9に矩形のガラス基板が適用された具体例を適宜挙げて説明する。基板9の第1面F1には、例えば、予め有機材料および溶媒を含む処理液が塗布されることで、塗布膜90が部分的に形成されている。処理液の塗布は、例えば、スリットコータまたはインクジェット装置等で行われる。処理液には、例えば、ポリイミド前駆体と溶媒とを含む液(PI液ともいう)またはレジスト液等の塗布液が適用される。ポリイミド前駆体には、例えば、ポリアミド酸(ポリアミック酸)等が適用される。溶媒には、例えば、NMP(N-メチル-2-ピロリドン:N-Methyl-2-Pyrrolidone)が適用される。また、例えば、減圧乾燥装置1が有機ELディスプレイの製造工程に適用される場合には、塗布膜90が、減圧乾燥装置1で乾燥されることによって有機ELディスプレイパネルの正孔注入層、正孔輸送層、または発光層となる態様が採用されてもよい。
【0027】
図4は、基板9の一例を示す斜視図である。図5は、基板9の一部分の縦断面の一例を示す図である。図4で示されるように、基板9は、例えば、上面視において、縦横の長さが異なる長方形状の形態を有する。基板9には、デバイス等が形成される領域(被形成領域とも塗布領域ともいう)A1が、複数配列されている。図4の例では、上面視において、基板9には、4つの矩形状の塗布領域A1が、2行2列のマトリックス状に配列されている。ただし、塗布領域A1の形状、数、配置は、この例に限定されるものではない。塗布膜90は、減圧乾燥装置1による減圧乾燥工程よりも前の塗布工程において、スリットコータまたはインクジェット装置等によって、各塗布領域A1の上面に、所望のパターンに従って形成される。所望のパターンには、例えば、回路のパターンが適用される。ここでは、例えば、図5で示されるように、各塗布領域A1の上面としての第1面F1は、塗布膜90に覆われた領域(被覆領域ともいう)A3と、塗布膜90に覆われていない露出した領域(露出領域ともいう)A4と、を有する。また、基板9のうちの塗布領域A1の周囲および隣り合う塗布領域A1の間の領域は、上面としての第1面F1に塗布膜90が形成されていない領域(非塗布領域ともいう)A2となっている。非塗布領域A2は、塗布膜90に覆われていない露出した領域(露出領域)A4でもある。
【0028】
<<減圧乾燥装置の構成の概要>>
まず減圧乾燥装置1の構成について概説する。図1で示されるように、減圧乾燥装置1は、例えば、チャンバ10と、支持部20と、排気部30と、を備えている。チャンバ10は、基板9を収容するための部分である。支持部20はチャンバ10内に設けられており、基板9を水平姿勢で支持する。ここでいう水平姿勢とは、基板9の厚み方向が上下方向に沿う姿勢である。排気部30はチャンバ10内の気体を外部に排出し、チャンバ10内の気圧を低下させる。この気圧の低下によって、塗布膜90の溶剤が蒸発して塗布膜90が乾燥する。
【0029】
また、図1の例では、減圧乾燥装置1は、給気部60と、制御部80と、底面整流板40と、側面整流板50と、圧力計70と、を備えている。給気部60はチャンバ10内に気体を供給する。これにより、チャンバ10内の気圧を大気圧に戻すことができる。底面整流板40および側面整流板50はチャンバ10内に設けられており、チャンバ10内の気流を整える。圧力計70はチャンバ10内の気圧を計測し、その計測結果を示す電気信号を制御部80に出力する。制御部80は上述の減圧乾燥装置1の各種構成を制御する。例えば、制御部80は、圧力計70によって計測された気圧に基づいて排気部30を制御して、チャンバ10内の気圧を目標気圧に調整する。
【0030】
次に、減圧乾燥装置1の各構成のより詳細な一例について述べる。
【0031】
<<チャンバ10>>
チャンバ10は、基板9を収容するための部分である。チャンバ10には、基板9を収容するための内部空間10sを有する耐圧容器が適用される。チャンバ10は、例えば、図示を省略した装置フレーム上に固定されている。チャンバ10の形状は、例えば、扁平な直方体状である。チャンバ10は、例えば、略長方形状の底板部11と、4つの側壁部12と、略長方形状の天板部13と、を有する。4つの側壁部12は、例えば、底板部11の4つの端辺と、天板部13の4つの端辺とを、上下方向に接続している。例えば、4つの側壁部12のうちの1つの側壁部12には、搬入出口14と、この搬入出口14を開閉するゲート部(ゲートバルブともいう)15と、が設けられている。ゲート部15は、例えば、開閉駆動部16に連結もしくは接続されている。図3では、図面の煩雑化を避けるために、開閉駆動部16が概念的に示されている。開閉駆動部16には、例えば、エアシリンダ等の駆動機構が適用される。ここでは、例えば、開閉駆動部16の動作によって、ゲート部15は、搬入出口14を閉鎖している位置(閉鎖位置ともいう)と、搬入出口14を開放している位置(開放位置ともいう)との間で移動することができる。
【0032】
ここで、例えば、ゲート部15が閉鎖位置に位置する状態では、チャンバ10の内部空間10sが密閉される。例えば、ゲート部15が開放位置に位置する状態では、搬入出口14を介して、チャンバ10の内部空間10sへの基板9の搬入およびチャンバ10の内部空間10sからの基板9の搬出を行うことができる。
【0033】
<<支持部20>>
支持部20は、チャンバ10内において基板9を下方から支持する部分である。例えば、支持部20は、チャンバ10の内部空間10sに位置しており、チャンバ10の内部空間10sに収容された基板9を下方から支持することができる。
【0034】
図1から図3で示されるように、支持部20は、幅広部の一例である支持プレート21と、ピン当接部の一例である支持ピン22と、幅狭部の一例である駆動軸23とを含む。図1および図2で示されるように、支持部20には複数(図では5つ)の支持プレート21が設けられ得る。図1および図2の例では、複数の支持プレート21は水平方向に間隔を空けて配列されている。以下では、複数の支持プレート21が配列される方向を配列方向と呼ぶ。各支持プレート21は、配列方向に直交する水平方向を長手方向とした長尺状の形状を有している。各支持プレート21の上面21aには、複数(図では4つ)の支持ピン22が立設されている。複数の支持プレート21は、支持部20のベースとなる部分である。基板9は、例えば、複数の支持プレート21の上方に配置され、複数の支持ピン22の上端部が基板9の下面としての第2面F2に当接することで、基板9が水平姿勢で支持される。
【0035】
各支持ピン22は、上下方向に沿って延びる棒状形状を有している。より具体的な一例として、各支持ピン22は、中心軸が上下方向に沿う略円柱状の形状を有する。支持ピン22の下端は支持プレート21の上面21aに取り付けられる。つまり、支持ピン22は支持プレート21の上面21aから上方に向かって延びる。支持ピン22の材料には、例えば、ポリエーテルエーテルケトンもしくはポリイミド等の樹脂材料が適用される。支持ピン22は例えば中実材である。支持ピン22の先端形状は、上方に向かうにつれて細くなる先細形状を有していてもよい。複数の支持ピン22の先端が基板9の第2面F2に当接することにより、支持部20は基板9を支持することができる。
【0036】
図2および図3の例では、各支持プレート21の上には、複数の支持ピン22が支持プレート21の長手方向において1列に配列されている。具体的には、4つの支持ピン22が略等間隔で1列に配列されている。ただし、支持ピン22は各支持プレート21の上で複数列に配列されてもよい。
【0037】
支持プレート21の上面21aの幅(配列方向に沿う幅)は支持ピン22の幅(例えば直径)よりも広い。また、図1で示されるように、支持プレート21は、下方の幅に比べて上方の幅が広い形状を有している。図1の例では、支持プレート21は、下方から上方に向かうにつれて連続的に幅広となる形状を有している。言い換えれば、支持プレート21の幅は上方に向かうにつれて単調増加で広がっている。なお、このような支持プレート21は、第1部分と、第1部分よりも上方において第1部分よりも幅広となる第2部分を含んでいる、ともいえる。
【0038】
図1から図3で示されるように、支持プレート21は、上面21aと、下面21bと、2つの側面21cと、2つの側面21dとを有している。上面21aは例えば水平な平面であり、平面視において略長方形状の形状を有している(図2参照)。上面21aの短手方向は複数の支持プレート21の配列方向に沿っており、上面21aの長手方向は該配列方向に直交する方向に沿っている。支持プレート21の下面21bは例えば水平な平面であり、平面視において略長方形状の形状を有する。下面21bの短手方向は複数の支持プレート21の配列方向に沿っており、下面21bの長手方向は該配列方向に直交する方向に沿っている。下面21bの短手方向の幅は上面21aの短手方向の幅よりも狭い(図1参照)。各側面21cは、長手方向に沿って延びる上面21aの端辺および下面21bの端辺を上下方向に接続している。各側面21cは略長方形状の形状を有する。2つの側面21cは、該2つの側面21cの間隔(つまり、支持プレート21の幅)が上方に向かうにつれて連続的に広くなるように、水平面に対して傾斜している。図1の例では、支持プレート21は、長手方向に直交する断面において、略等脚台形を上下に反転させて得られた逆等脚台形状の形状を有している。各側面21dは、短手方向に沿って延びる上面21aの端辺および下面21bの端辺を上下方向に接続している。各側面21dは略長方形状の形状を有する。支持プレート21は長手方向において一様な形状を有していてもよい。つまり、長手方向の位置が互いに異なる任意の断面において、支持プレート21は同一形状を有していてもよい。
【0039】
図2および図3の例では、駆動軸23は、上下方向に延びる棒状の形状を有している。より具体的な一例として、駆動軸23は、中心軸が上下方向に沿う略円柱状の形状を有する。駆動軸23の上端部には支持プレート21が固定される。つまり、駆動軸23は支持プレート21から下方に延びている。
【0040】
図2および図3の例では、各支持プレート21に対して複数(図では2つ)の駆動軸23が設けられている。2つの駆動軸23は支持プレート21の長手方向において間隔を空けて並んでいる。具体的には、2つの駆動軸23は支持プレート21の長手方向の両側近傍にそれぞれ設けられる。各駆動軸23の幅(例えば直径)は支持プレート21の短手方向の幅(つまり、上面21aの短手方向の幅)よりも狭い。例えば、各駆動軸23の幅は支持プレート21の幅の3分の2以下であってもよく、半分以下であってもよい。各駆動軸23の幅(例えば直径)は支持ピン22の幅(例えば直径)よりも広くてもよい。駆動軸23の幅は例えば支持ピン22の幅の2倍以上であってもよい。具体的な一例として、支持プレート21の幅は例えば数十mm(具体的には30mm)程度に設定され、駆動軸23の幅は例えば支持プレート21の幅の半分(具体的には15mm)程度に設定され、支持ピン22の幅は例えば数mm程度(例えば3mm)程度に設定される。
【0041】
図3の例では、支持部20には、昇降部100が設けられる。昇降部100は、チャンバ10内において、支持ピン22を昇降させる部分である。換言すれば、例えば、昇降部100は、支持ピン22を昇降させることができる機構(昇降機構ともいう)を有する。図1では、図面の煩雑化を避けるために、昇降部100が概念的に示されている。昇降部100には、例えば、直動型モータまたはエアシリンダ等の駆動装置が適用される。図3で示されるように、昇降部100は、例えばチャンバ10の外部において、図示を省略した装置フレームに固定されている。駆動軸23は昇降部100に接続される。昇降部100は駆動軸23を昇降させる。これにより、駆動軸23に固定された支持プレート21、および、支持プレート21に固定された支持ピン22が、駆動軸23と一体に昇降する。
【0042】
各駆動軸23は、例えば、チャンバ10の底板部11の貫通孔11hに挿通された状態で位置している。例えば、底板部11の下面と駆動軸23との間にベローズ等が設けられれば、底板部11と駆動軸23との隙間が密閉され得る。
【0043】
ここで、例えば、昇降部100を動作させると、支持部20は、下降位置H1(図1および図3で一点鎖線で示した位置)と、下降位置H1よりも高い上昇位置H2(図1および図3で二点鎖線で示した位置)との間で、上下方向に昇降する。このとき、例えば、複数の支持プレート21は、一体的に昇降し得る。
【0044】
<<排気部30>>
図1を参照して、排気部30は、チャンバ10内の気体を排出する部分である。図1で示されるように、チャンバ10の底板部11には、例えば、4つの排気口16a,16b,16c,16dが設けられている。排気部30は、例えば、排気配管31と、4つの個別バルブVa,Vb,Vc,Vdと、主バルブVeと、真空ポンプ32と、を有する。排気配管31は、例えば、4つの個別配管31a,31b,31c,31dと、1つの主配管31eと、を有する。例えば、個別配管31aの一端は、排気口16aに接続しており、個別配管31bの一端は、排気口16bに接続しており、個別配管31cの一端は、排気口16cに接続しており、個別配管31dの一端は、排気口16dに接続している。例えば、4つの個別配管31a,31b,31c,31dのそれぞれの他端は、合流して主配管31eの一端に接続している。例えば、主配管31eの他端は、真空ポンプ32に接続している。例えば、個別バルブVaは、個別配管31aの経路上に設けられており、個別バルブVbは、個別配管31bの経路上に設けられており、個別バルブVcは、個別配管31cの経路上に設けられており、個別バルブVdは、個別配管31dの経路上に設けられている。例えば、主バルブVeは、主配管31eの経路上に設けられている。
【0045】
ここで、例えば、ゲート部15によって搬入出口14を閉鎖した状態で、4つの個別バルブVa,Vb,Vc,Vdの少なくとも1つと、1つの主バルブVeとを開放し、真空ポンプ32を動作させると、チャンバ10内の気体が、排気配管31を介してチャンバ10の外部へ排出される。これにより、例えば、チャンバ10の内部空間10sの気圧を低下させることができる。4つの個別バルブVa,Vb,Vc,Vdは、例えば、4つの排気口16a,16b,16c,16dからの排気量を、個別に調節するためのバルブである。4つの個別バルブVa,Vb,Vc,Vdのそれぞれには、例えば、制御部80からの指令に基づいて開状態と閉状態との間で切り替えられる弁(開閉弁ともいう)が適用される。主バルブVeは、例えば、4つの排気口16a,16b,16c,16dからの合計の排気量を調整するためのバルブである。主バルブVeには、例えば、制御部80からの指令に基づいて開度が調節され得る弁(開度制御弁ともいう)が適用される。
【0046】
<<減圧下>>
図6は、減圧下でのチャンバ10内の気流の一例を模式的に示す図である。排気部30がチャンバ10内の気体を排出すると、チャンバ10内の気体の温度が断熱膨張により急激に低下する。チャンバ10内の気体の温度は例えば摂氏マイナス(-)20度程度まで低下し得る。一方で、チャンバ10内の物体(固体)の温度も低下する。例えば、基板9の温度は、塗布膜90の溶媒の蒸発に伴う気化熱の吸収および基板9と周囲の気体との間の熱交換によって、低下する。また、例えば支持ピン22、支持プレート21および駆動軸23の温度は、周囲の気体との熱交換によって低下する。しかしながら、これらの物体の温度の低下は、断熱膨張によって生じる気体の温度の低下に比べてそこまで大きくなく、例えば、支持ピン22、支持プレート21および駆動軸23の温度の低下量は数度程度(例えば2度程度以下)である。このため、支持ピン22、支持プレート21および駆動軸23の温度は例えば摂氏23度程度となる。
【0047】
支持ピン22、支持プレート21および駆動軸23の各々と気体との熱交換により、気体が温められることになる。このため、チャンバ10内において気流が生じる。特に、駆動軸23は上下方向に沿って延びており、その幅が広いので、駆動軸23の周囲で上昇気流Gが生じやすい。上昇気流Gの気体の温度は、基板9の温度に比べれば非常に低い。このため、上昇気流Gが基板9の第2面F2(下面)に局所的に供給されると、基板9のうち上昇気流Gが供給される領域と、上昇気流Gが供給されない領域との温度の差が大きくなり、基板9の温度分布が不均一になり得る。
【0048】
本実施の形態では、支持プレート21は、上方に向かうにつれて幅広となる形状を有している。図6の例では、支持プレート21の両側の側面21cは、上面21aに向かうにつれて支持プレート21の両外側に広がるように傾斜している。したがって、駆動軸23の周囲の上昇気流Gによる気体は側面21cに沿って外側に流れる。つまり、上昇気流Gによる気体は基板9の直下において、より水平方向に近い方向に流れる。
【0049】
図7および図8は、シミュレーション結果として、チャンバ10内の支持プレート21の近傍の温度分布の一例を示す図であり、図9および図10は、シミュレーション結果として、平面視上の基板9の一部の温度分布の一例を示す図である。図7および図9は、実施の形態に係る支持プレート21でのシミュレーション結果を示している。図8および図10は、比較例に係る支持プレート21Zでのシミュレーション結果を示している。支持プレート21Zは板状の形状を有している。支持プレート21Zは略等幅であり、その断面形状は略長方形である。なお、図9および図10では、支持プレート21および支持プレート21Zの位置を示すために、支持プレート21および支持プレート21Zが実線で示されている。
【0050】
図7および図8では、等高線T1から等高線T9が示されている。等高線T1から等高線T9はその符号の末尾の数字が小さいほど、低い温度を示している。つまり、等高線T1の温度が最も低く、等高線T9の温度が最も高い。等高線の間の温度差は5度であり、等高線T1によって囲まれた領域は、温度が摂氏マイナス(-)2度から摂氏0.5度までの領域を示している。図9では、等高線T15および等高線T16が示されており、図10では、等高線T11から等高線T16が示されている。等高線T11から等高線T16はその符号の末尾の数字が小さいほど、低い温度を示している。つまり、等高線T11の温度が最も低く、等高線T16の温度が最も高い。等高線の間の温度差は0.2度であり、等高線T11で囲まれた領域は、温度が摂氏20度から摂氏20.2度までの領域を示している。
【0051】
図8で示されるように、支持プレート21Zでは特に領域R1において、等高線T1から等高線T6の各々は駆動軸23の近傍において基板9側に突出した凸形状を比較的顕著に有している。領域R1内の等高線T7から等高線T9も、等高線T1から等高線T6の凸形状と略同じ水平位置において、基板9側にやや膨らむ形状を有している。これは、上昇気流Gによる気体が駆動軸23および支持プレート21Zの側面に沿ってまっすぐに上昇し、基板9の下面に供給されるからであると考えられる。つまり、上昇気流Gによる気体が、駆動軸23に対して両側の領域で、局所的に基板9に供給されるためであると考えられる。そのため、図10の等高線T11から等高線T14で示されるように、基板9のうち駆動軸23の両隣に対応する領域の温度が、他の領域の温度に比べて低下してしまう。図10の例では、特に等高線T11の近傍の領域で温度が低下していることが分かる。
【0052】
これに対して支持プレート21では、図7で示されるように、領域R1において、等高線T1から等高線T6の各々は、局所的に基板9に向かって突出する凸形状を有していない。このため、領域R1において、等高線T7から等高線T9はより水平となっている。これは、上昇気流Gによる気体が駆動軸23に沿ってまっすぐに上昇しても、その移動方向が支持プレート21の側面21cによって斜め上方に変化するからである(図6も参照)。そのため、基板9の直下において、上昇気流Gによる冷たい気体はより水平に近い方向に流れ、より広がって流れる。したがって、冷たい気体が基板9に対して局所的に供給されにくくなり、図9で示されるように、基板9のうち駆動軸23の両隣に対応する領域の温度低下を抑制することができる。言い換えれば、基板9の温度分布の均一性を向上させることができる。図9では、等高線T15および等高線T16のみが示されているので、基板9の温度分布を均一化できていることが分かる。
【0053】
<<底面整流板40>>
図1を参照して、底面整流板40は、排気部30によるチャンバ10内の減圧時に、内部空間10sにおける気体の流れを規制するためのプレートである。例えば、底面整流板40は、支持部20に支持される基板9と、チャンバ10の底板部11との間に位置するように配置されている。底面整流板40は、例えば、チャンバ10の底板部11に、図示を省略した複数の支柱を介して固定されている。
【0054】
底面整流板40は支持プレート21と底板部11との間に設けられており、駆動軸23は、底面整流板40に形成された貫通孔40hを通じて底面整流板40を貫通する。支持プレート21が下降位置H1に位置する状態において、支持プレート21の下端(つまり、下面21b)は、底面整流板40の上面よりも上方に位置している。このため、駆動軸23は底面整流板40よりも上方に突出している。底面整流板40よりも上方かつ支持プレート21の配列方向において隣り合う駆動軸23の間の空間は、隣り合う支持プレート21の間の空間を通じて基板9の下面に連通している。このような構造において、特に駆動軸23のうち底面整流板40よりも上方の部分の周囲で上昇気流Gが生じる。本実施の形態では、上述のように、上昇気流Gによる気体は支持プレート21によって斜め上方に移動するので、基板9の温度分布をより均一化させることができる。
【0055】
<<側面整流板50>>
側面整流板50は、底面整流板40とともに、排気部30によるチャンバ10内の減圧時に、内部空間10sにおける気体の流れを規制するためのプレートである。例えば、側面整流板50は、下降位置H1に配置されている支持部20によって支持される基板9と、チャンバ10の側壁部12との間に位置するように配置されている。ここでは、例えば、支持部20に支持される基板9の周囲を囲むように、4つの側面整流板50が配置されている。
【0056】
ここで、例えば、排気部30によるチャンバ10内の減圧時には、チャンバ10の内部空間10sの気体は、側面整流板50と側壁部12との間の空間、底面整流板40と底板部11との間の空間、および排気口16a,16b,16c,16dをこの記載の順に通って、チャンバ10の外部へ排出される。このように、例えば、気体が基板9から離れた空間を流れることで、基板9の近傍に気流が形成され難くなる。そして、基板9の周縁部において集中的な気流の発生が生じ難くなる。これにより、例えば、基板9の上面に形成された塗布膜90の乾燥ムラの発生が抑制され得る。
【0057】
<<給気部60>>
給気部60は、チャンバ10内に気体を供給する動作(給気ともいう)を行う部分である。図1で示されるように、チャンバ10の底板部11には、例えば、給気口16fが設けられている。給気口16fは、例えば、底面整流板40の下方に位置している。給気部60は、給気口16fに接続された給気配管61と、給気バルブVfと、給気源62と、を有する。例えば、給気配管61の一端は、給気口16fに接続している。例えば、給気配管61の他端は、給気源62に接続している。例えば、給気バルブVfは、給気配管61の経路上に設けられている。
【0058】
ここで、例えば、給気バルブVfを開放すると、給気源62から給気配管61および給気口16fを介して、チャンバ10の内部空間10sに気体が供給される。これにより、チャンバ10内の気圧を上昇させることができる。給気源62から供給される気体は、例えば、窒素ガス等の不活性ガスであってもよいし、クリーンドライエアであってもよい。クリーンドライエアは、例えば、一般的な環境における空気に対してパーティクルおよび水分を除去する清浄化を施すことで準備され得る。
【0059】
<<圧力計70>>
圧力計70は、チャンバ10の内部空間10sの気圧を計測するセンサである。図1で示されるように、例えば、圧力計70は、チャンバ10の一部分に取り付けられている。圧力計70は、例えば、チャンバ10の内部空間10sの気圧を計測し、その計測結果を、制御部80へ出力することができる。
【0060】
<<制御部80>>
制御部80は、減圧乾燥装置1の各部の動作を制御するためのユニットである。例えば、制御部80は、排気部30、給気部60および昇降部100等を制御することができる。制御部80は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ801、RAM(Random Access Memory)等のメモリ802、およびハードディスクドライブ等の記憶部803を有するコンピュータによって構成されている。記憶部803には、例えば、減圧乾燥装置1において基板9上の塗布膜90を減圧によって乾燥させる処理(減圧乾燥処理ともいう)を実行させるためのコンピュータプログラム(プログラムともいう)803pおよび各種のデータが記憶されている。記憶部803は、例えば、プログラム803pを記憶し、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記憶媒体としての役割を有する。制御部80は、例えば、記憶部803からメモリ802にプログラム803pおよびデータを読み出して、プロセッサ801においてプログラム803pおよびデータに従った演算処理を行うことで、減圧乾燥装置1の各部の動作を制御する。このため、例えば、プログラム803pは、減圧乾燥装置1において制御部80に含まれるプロセッサ801によって実行されることで、減圧乾燥処理を実行させることができる。
【0061】
また、制御部80には、例えば、入力部804、出力部805、通信部806およびドライブ807が接続されていてもよい。入力部804は、例えば、ユーザの動作等に応答して各種の信号を制御部80に入力する部分である。入力部804には、例えば、ユーザの操作に応じた信号を入力する操作部、ユーザの音声に応じた信号を入力するマイク、およびユーザの動きに応じた信号を入力する各種センサ等が含まれ得る。出力部805は、例えば、各種の情報をユーザが認識可能な態様で出力する部分である。出力部805には、例えば、表示部、プロジェクタ、およびスピーカ等が含まれ得る。表示部は、入力部804と一体化されたタッチパネルであってもよい。通信部806は、例えば、有線もしくは無線の通信手段等によってサーバ等の外部の装置との間で各種の情報の送受信を行う部分である。例えば、通信部806によって外部の装置から受信したプログラム803pが記憶部803に記憶されてもよい。ドライブ807は、例えば、磁気ディスクまたは光ディスク等の可搬性の記憶媒体807mの着脱が可能な部分である。このドライブ807は、例えば、記憶媒体807mが装着されている状態で、この記憶媒体807mと制御部80との間におけるデータの授受を行う。例えば、プログラム803pが記憶された記憶媒体807mがドライブ807に装着されることで、記憶媒体807mから記憶部803内にプログラム803pが読み込まれて記憶されてもよい。ここでは、記憶媒体807mは、例えば、プログラム803pを記憶し、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記憶媒体としての役割を有する。
【0062】
<2.減圧乾燥処理>
次に、減圧乾燥装置1を用いた基板9の減圧乾燥処理について概説する。まず、基板9をチャンバ10内に搬入する。このとき、基板9の第1面F1(上面)には、未乾燥の塗布膜90が形成されている状態にある。例えば、ゲート部15は制御部80の制御下で搬入出口14を開放し、図示を省略した搬送ロボットが、フォーク状のハンドに基板9を載置しつつ、チャンバ10の搬入出口14を介して、チャンバ10の内部空間10sへ基板9を搬入する。この時点では、支持部20は、例えば、下降位置H1に配置されている。搬送ロボットは、例えば、支持部20の複数の支持プレート21の間へフォーク状のハンドを挿入しつつ、支持部20上に基板9を載置し、その後、チャンバ10の外部にフォークを退避させる。そして、ゲート部15は制御部80の制御下で搬入出口14を閉鎖する。これにより、基板9は複数の支持ピン22によって支持される。
【0063】
次に、減圧乾燥装置1はチャンバ10内の気体を排出する。具体的には、制御部80が排気部30にチャンバ10内の気体を排出させる。制御部80は、チャンバ10内の気圧が目標気圧となるように、排気部30にチャンバ10内を減圧させる。この減圧時には、例えば、制御部80が、支持部20を適宜昇降させてもよいし、複数の個別バルブVa,Vb,Vc,Vdのそれぞれの開閉状態を個別に適宜制御してもよいし、主バルブVeの開度を適宜制御してもよい。
【0064】
チャンバ10内の減圧により、チャンバ10内の気体の温度が低下する。また、減圧により、塗布膜90内の溶剤が蒸発し、塗布膜90が乾燥する。この溶剤の蒸発の程度は塗布膜90の温度にも依存する。本実施の形態では、上述のように、減圧下の上昇気流Gによる基板9の温度分布の不均一を抑制することができる。言い換えれば、基板9の温度分布をより均一化させることができる。このため、乾燥ムラを抑制しつつ塗布膜90を乾燥させることができる。つまり、減圧乾燥装置1はより均一に塗布膜90を乾燥させることができる。
【0065】
次に、制御部80が給気バルブVfを開放する。これにより、給気源62から給気配管61および給気口16fを通ってチャンバ10の内部空間10sへ気体が供給される。これにより、チャンバ10内の気圧が再び大気圧まで上昇する。
【0066】
そして、例えば、最後に、基板9をチャンバ10内から搬出する。まず、ゲート部15が制御部80の制御下で搬入出口14を開放し、図示を省略した搬送ロボットが、支持部20に載置された乾燥済みの基板9を、チャンバ10の搬入出口14を介して、チャンバ10の外部へ搬出する。これにより、1枚の基板9に対する減圧乾燥処理が終了し得る。
【0067】
以上のように、減圧乾燥装置1は基板9に対して減圧乾燥処理を行うことができる。この減圧乾燥装置1において、支持プレート21のうち上方部分の幅が下方部分の幅よりも広い。これによれば、チャンバ10の減圧下において、上昇気流Gによる気体が支持プレート21によって斜め上方に進む。このため、上昇気流Gによる冷たい気体が基板9の直下でより水平方向に近い方向に進み、基板9の第2面F2(下面)に対して局所的に供給されにくくなる。したがって、上昇気流Gに起因した基板9の温度分布の不均一性を抑制することができる。言い換えれば、基板9の温度分布をより均一にすることができる。
【0068】
上述の具体例では、支持プレート21は、上方に向かうにつれて連続的に幅広となる部分を含んでいる。このため、上昇気流Gによる気体をより滑らかに水平方向に近い方向に移動させることができる。
【0069】
<<支持プレートの形状>>
図11は、支持プレート21の第1変形例の構成を模式的に示す図である。図11の例でも、支持プレート21の上面21aは水平な平面であり、支持プレート21は、上方に向かうにつれて連続的に幅広となる部分を有している。言い換えれば、支持プレート21は、上方に向かうにつれて単調増加で幅広となる部分を有している。図11の例では、側面21cは、湾曲面21caと、平面21cbとを有している。側面21cの湾曲面21caの下端辺は下面21bの端辺に接続され、略円弧状に湾曲している。2つの湾曲面21caは、該2つの側面21cの間隔(つまり、支持プレート21の幅)が上方に向かうにつれて徐々に広がるように、外側かつ下方に向かって膨らむように湾曲している。側面21cの湾曲面21caの上端辺は平面21cbの下端辺に接続されている。平面21cbは、上下方向に沿う平面であり、平面21cbの上端辺は上面21aの端辺に接続されている。2つの側面21cの平面21cbどうしの間隔(つまり、支持プレート21の幅)は略一定である。
【0070】
このような支持プレート21の幅は湾曲面21caにおいて、上方に向かうにつれて連続的に広くなっている。このため、上昇気流Gによる気体は側面21cによって上方かつ外側の斜め上方に向かって流れる。したがって、図6の支持プレート21と同様に、減圧下の基板9の温度分布をより均一にすることができる。
【0071】
図12は、支持プレート21の第2変形例の構成を模式的に示す図である。図12の例では、支持プレート21は、第1部材211と、第2部材212とを含んでいる。ここでは、第1部材211および第2部材212は互いに別体である。第1部材211および第2部材212は互いに同じ材料によって形成されてもよく、互いに異なる材料によって形成されてもよい。
【0072】
第1部材211は、支持プレート21の配列方向に直交する水平方向を長手方向とした長尺状の形状を有している。図12の例では、長手方向に垂直な断面における第1部材211の形状は略長方形状である。第1部材211は長手方向に一様な形状を有していてもよい。つまり、長手方向の位置が互いに異なる任意の断面において、第1部材211は同一形状を有していてもよい。支持プレート21の下面21bは第1部材211の下面に相当する。駆動軸23の上端部は第1部材211の下面に固定される。
【0073】
第2部材212は第1部材211の上面に固定される。第2部材212は任意の固定方法で第1部材211に固定されればよい。固定方法には、例えばねじ止めおよび接着等の固定方法を適用できる。第2部材212は板状形状を有している。第2部材212は、その厚み方向が上下方向に沿う姿勢で第1部材211の上面に固定される。第2部材212は長手方向に一様な形状を有していてもよい。支持プレート21の上面21aは第2部材212の上面に相当する。支持ピン22の下端は第2部材212の上面に固定され得る。
【0074】
第2部材212の短手方向の幅は第1部材211の短手方向の幅よりも広い。第2部材212は第1部材211から両外側に突出している。支持プレート21の側面21cは第1部材211および第2部材212の側面の全体に相当する。つまり、図12の例では、支持プレート21は、上方に向かうにつれて段階的に幅広となる部分を含んでいる。
【0075】
このような支持プレート21によっても、上昇気流Gによる気体は支持プレート21の側面21cによって上方かつ外側の斜め上方に向かって流れる。このため、基板9の温度分布をより均一にすることができる。
【0076】
図13は、支持プレート21の第3変形例の構成を模式的に示す図である。図13の例でも、図12の支持プレート21と同様に、支持プレート21は、第1部材211と、第2部材212とを含んでいる。ただし、図12の例とは異なって、第1部材211は、その幅が上方に向かうにつれて連続的に広くなる形状を有している。図13の例では、第1部材211は逆等脚台形状の形状を有している。
【0077】
このような支持プレート21によっても、上昇気流Gは側面21cによって上方かつ外側の斜め上方に向かって流れる。このため、基板9の温度分布をより均一化させることができる。
【0078】
図14は、支持プレート21の第4変形例の構成を模式的に示す図である。図14の例でも、図12の支持プレート21と同様に、支持プレート21は、第1部材211と、第2部材212とを含んでいる。ただし、図12の例とは異なって、第1部材211は、その幅が上方に向かうにつれて連続的に広くなる形状を有している。図14の例では、第1部材211は、略二等辺三角形を上下に反転させて得られる逆三角形状の形状を有している。また、第2部材212は傘状形状を有している。具体的には、第2部材212は、平坦部213と、一対の傘部214とを含んでいる。平坦部213は平板状の形状を有し、その厚み方向が上下方向に沿う姿勢で、第1部材211の上面に固定される。一方の傘部214は平坦部213の短手方向の一方端部から、外側かつ下方の斜め下方に沿って延びている。他方の傘部214は平坦部213の他方端部から、外側かつ下方の斜め下方に沿って延びている。なお、傘部214の下面が平坦部213の端部から外側かつ下方の斜め下方に延びていればよい。
【0079】
このような支持プレート21のうちの傘部214よりも下方において、第1部材211の幅は上方に向かうにつれて徐々に広くなっている。また、支持プレート21の傘部214における幅は、第1部材211の幅よりも広くなっている。つまり、このような支持プレート21も、下方の幅に比べて上方の幅が広い部分を有している。上昇気流Gによる気体は支持プレート21の第1部材211の側面に沿って斜め上方に向かって流れつつも、傘部214の下面に当たってさらに上方への移動が弱められ、基板9から遠ざかりつつより外側に流れる。したがって、冷たい気体が基板9により近づきにくくなり、上昇気流に起因した基板9の温度分布の不均一性をさらに抑制することができる。言い替えれば、基板9の温度分布をさらに均一にすることができる。
【0080】
<<第2部材の形状>>
上述の例では、支持プレート21は長手方向に一様な形状を有している。しかしながら、必ずしも限らない。上昇気流Gは主として駆動軸23の周囲で生じるので、駆動軸23の直上で支持プレート21が幅広となる部分を含んでいればよい。つまり、駆動軸23を含み、かつ、支持プレート21の長手方向に直交する第1断面において、支持プレート21が、上方に向かうにつれて幅広となる部分を含んでいればよい。逆に言えば、支持プレート21は、駆動軸23を含まず、かつ、長手方向に直交する第2断面において、第1断面とは異なる形状を有していてもよい。
【0081】
図15は、支持プレート21の第5変形例の構成を模式的に示す横断面図である。図15では、支持プレート21は、図12から図14と同様に、第1部材211と、第2部材212とを含んでいる。図15の例でも、各支持プレート21には複数(ここでは2つ)の駆動軸23が設けられている。2つの駆動軸23は支持プレート21の長手方向(所定方向に相当)において配列されており、支持プレート21から下方に延びている。
【0082】
図15の例では、各支持プレート21は、2つの駆動軸23にそれぞれ対応した2つの第2部材212を含んでいる。各第2部材212は平面視において駆動軸23と重なり合う領域に設けられている。つまり、第2部材212は、対応する駆動軸23の直上に設けられている。支持プレート21の短手方向における第2部材212の幅は第1部材211の短手方向の幅よりも広い。図15の例では、第2部材212は平面視において円状の形状を有しており、第2部材212の直径は第1部材211の幅よりも大きい。このため、第2部材212は第1部材211の両側から外側に突出している。
【0083】
第2部材212は図12および図13と同様に平板状の形状を有していてもよく、図14と同様に傘状形状を有していてもよい。また、第1部材211の断面は図12から図14と同様に、長方形状、逆等脚台形状または逆三角形状の形状を有していてもよい。
【0084】
各第2部材212は、対応する駆動軸23の近傍のみに設けられており、各支持プレート21において、2つの駆動軸23どうしの間の領域には設けられていない。言い換えれば、各支持プレート21において、第2部材212は駆動軸23どうしの間の領域の一部を避けて設けられている。例えば、第2部材212は駆動軸23どうしの間の領域の半分以上の領域を避けて設けられる。
【0085】
このような支持プレート21によっても、駆動軸23の周囲で生じる上昇気流Gによる気体は第2部材212に接触するので、該気体をより水平方向に近い方向に流すことができる。したがって、基板9の温度分布をより均一にすることができる。しかも、第2部材212が駆動軸23の近傍のみに設けられているので、第2部材212の材料費を低減させることができ、支持プレート21の製造コストを低減させることができる。
【0086】
<<固定ピン>>
図16は、支持部20の変形例の構成を模式的に示す図である。なお、図16では、チャンバ10および基板9も図示されている。その他の構成の図示は、図面の煩雑を避けるために省略される。
【0087】
支持部20は、複数の固定ピン25を含んでいる。固定ピン25はチャンバ10内に固定されている。固定ピン25は非駆動のピンであり、実質的に移動不能に固定される。例えば、固定ピン25の下端はチャンバ10の底板部11に固定される。複数の固定ピン25は平面視において例えばマトリックス状に設けられる。複数の固定ピン25の先端に基板9の第2面F2(下面)が当接することにより、支持部20は基板9を水平姿勢で支持することができる。
【0088】
各固定ピン25は、ピン当接部26と、幅広部27と、基端部28とを含んでいる。基端部28は、上下方向に沿って延びる棒状の形状を有している。より具体的な一例として、基端部28は、中心軸が上下方向に沿う略円柱状の形状を有している。基端部28の下端は例えばチャンバ10の底板部11に固定される。
【0089】
幅広部27は基端部28の上端に固定されている。幅広部27は、下方の幅に比べて上方の幅が広い部分を含む。図16の例では、幅広部27は、上方に向かうにつれて連続的に幅広となる形状を有している。より具体的な一例として、幅広部27は、錐台を上下に反転させて得られる逆錐台状の形状を有している。さらに具体的な一例として、幅広部27は、略円錐台を上下に反転させて得られる逆円錐台状の形状を有する。幅広部27の幅(例えば最大直径)は基端部28の幅(例えば直径)よりも広く、例えば基端部28の幅の1.5倍以上、もしくは2倍以上であってもよい。
【0090】
ピン当接部26は幅広部27の上面に固定されている。ピン当接部26は、上下方向に沿って延びる棒状の形状を有している。より具体的な一例として、ピン当接部26は、中心軸が上下方向に沿う略円柱状の形状を有している。ピン当接部26の幅(例えば直径)は基端部28の幅(例えば直径)と同程度か、もしくは、基端部28の幅よりも狭い。ピン当接部26の先端部は、上方に向かうにつれて幅が狭くなる先細形状を有していてもよい。ピン当接部26の先端が基板9の第2面F2(下面)に当接することにより、固定ピン25が基板9を支持する。
【0091】
以上のように、図16の例では、幅広部27には、単一のピン当接部26および単一の基端部28が固定されており、固定ピン25は全体として上下方向に延びる棒状の形状を有している。
【0092】
図16の例では、底面整流板40および側面整流板50の図示を省略しているものの、底面整流板40および側面整流板50が設けられてもよい。この場合、固定ピン25が底面整流板40を貫通していてもよい。あるいは、固定ピン25の下端が、チャンバ10の底板部11ではなく底面整流板40に固定されてもよい。いずれの態様であっても、固定ピン25の幅広部27の下端は底面整流板40の上面よりも上方に位置し、基端部28の少なくとも一部は底面整流板40よりも上方に突出する。そのため、底面整流板40かつ基端部28どうしの間の空間は、幅広部27どうしの間の空間を通じて基板9の下面に連通している。
【0093】
さて、減圧下では、上述のように、チャンバ10内の温度は大きく低下する一方で、固定ピン25の温度の低下量は気体に比べて小さい。そのため、固定ピン25の周囲では上昇気流Gが生じる。この上昇気流Gによる気体は幅広部27によって水平方向に近い斜め上方に沿って流れる。このため、基板9の温度分布をより均一にすることができる。
【0094】
以上のように、減圧乾燥装置1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない多数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0095】
例えば、上記一実施形態では、チャンバ10が、4つの排気口16a,16b,16c,16dを有していたが、これに限られない。例えば、チャンバ10が有する排気口の数は、1つから3つおよび5つ以上のいずれであってもよい。また、例えば、個別バルブVa,Vb,Vc,Vdは、なくてもよい。
【0096】
上記一実施形態では、減圧乾燥装置1は、基板9上の塗布膜90を、減圧によって乾燥させるものであったが、これに限られない。例えば、減圧乾燥装置1は、減圧および加熱によって、基板9上の塗布膜90を乾燥させるものであってもよい。
【0097】
上記一実施形態では、チャンバ10の側壁部12に、基板9の搬入出口14が設けられていたが、これに限られない。例えば、チャンバ10の4つの側壁部12および天板部13が一体の蓋部を構成しており、この蓋部が底板部11から分離して上方へ退避することができる構造が採用されてもよい。この場合には、例えば、蓋部が開閉駆動部16等によって上下に移動されてもよい。そして、チャンバ10は、蓋部がOリング等のシール材を介して底板部11に接触して内部空間10sを密閉している状態(密閉状態)と、蓋部が底板部11から上方へ分離して内部空間10sを開放している状態(開放状態)と、に選択的に設定され得る。ここで、チャンバ10が開放状態にあれば、チャンバ10の内部空間10sへの基板9の搬入およびチャンバ10の内部空間10sからの基板9の搬出を行うことができる。チャンバ10が閉鎖状態にあれば、内部空間10sからの排気および内部空間10sへの給気によって、基板9上の塗布膜90を減圧によって乾燥させることができる。
【0098】
上記一実施形態では、例えば、底面整流板40がなくてもよいし、側面整流板50がなくてもよい。
【0099】
上記一実施形態では、例えば、減圧乾燥装置1における各種の動作は、例えば、入力部804に対するユーザの動作もしくは通信部806に対して外部の装置から入力された信号等に応答して、開始あるいは終了されてもよい。
【0100】
上記一実施形態では、例えば、制御部80において、実現される機能的な構成の少なくとも一部が、専用の電子回路等のハードウェアで構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 減圧乾燥装置
10 チャンバ
100 昇降部
21 幅広部(支持プレート)
211 第1部材
212 第2部材
214 傘部
22 ピン当接部(支持ピン)
23 幅狭部(駆動軸)
26 ピン当接部
27 幅広部
28 幅狭部
30 排気部
9 基板
90 塗布膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16