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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】電気刺激印加システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/08 20060101AFI20240821BHJP
   A61N 1/04 20060101ALI20240821BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
A61N1/08
A61N1/04
A61N1/36
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022508052
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2020045131
(87)【国際公開番号】W WO2021186801
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2020048335
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【弁護士】
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】新部 健太
(72)【発明者】
【氏名】豊島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】矢口 喜明
(72)【発明者】
【氏名】有田 栄次
【審査官】白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-512139(JP,A)
【文献】特表2004-531351(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009009(WO,A1)
【文献】特開平05-226815(JP,A)
【文献】特表2019-528915(JP,A)
【文献】特開2007-244879(JP,A)
【文献】特表2016-508396(JP,A)
【文献】特表2013-514143(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0075773(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00- 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ゲルを備えるゲルパッドと、前記ゲルパッドが貼付された状態において電気刺激を生体又は生体組織に印加する電気刺激印加装置と、を含む、電気刺激印加システムであって、
前記電気刺激印加装置は、
前記電気刺激印加装置の一面において外部に露出しており、前記電気刺激を出力する、電極部と、
前記一面に配置され、発光部と受光部とを含む、センサ部と、
前記発光部が光を照射している際の、前記受光部における受光強度に基づいて、前記一面における前記ゲルパッドの貼付状態を判定する制御部と、
を備える、電気刺激印加システム。
【請求項2】
前記ゲルパッドは、
前記導電性ゲルを支持する支持体と、
前記支持体において、前記ゲルパッドを前記電気刺激印加装置の適切な位置に貼付した場合に前記センサ部が配置されている位置に一致する位置に形成され、前記支持体とは光の反射率が異なる反射マーカと、
を備える、請求項1に記載の電気刺激印加システム。
【請求項3】
前記反射マーカは、光の反射率が所定反射率以上であり、
前記制御部は、前記受光部における受光強度に関する値が閾値以上である場合に、前記ゲルパッドの貼付状態が適切であると判定し、前記受光部における受光強度に関する値が、前記閾値未満である場合に、前記ゲルパッドの貼付状態が適切でないと判定する、
請求項2に記載の電気刺激印加システム。
【請求項4】
前記反射マーカは、光の反射率が所定反射率未満であり、
前記制御部は、前記受光部における受光強度に関する値が閾値未満である場合に、前記ゲルパッドの貼付状態が適切であると判定し、前記受光部における受光強度に関する値が、前記閾値以上である場合に、前記ゲルパッドの貼付状態が適切でないと判定する、
請求項2に記載の電気刺激印加システム。
【請求項5】
前記受光強度に関する値は、前記発光部から光を照射している場合に前記受光部で受光される光の強度と、前記発光部から光を照射していない場合に前記受光部で受光される光の強度との差である、請求項3又は4に記載の電気刺激印加システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記ゲルパッドの貼付状態が適切でないと判定した場合、貼付状態が適切でないことを報知部から報知させる、請求項3から5のいずれか一項に記載の電気刺激印加システム。
【請求項7】
前記電気刺激印加装置は、前記センサ部を複数備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気刺激印加システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気刺激印加システム及び判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱分極を惹起させないレベルの微弱な電気刺激と、温熱とを生体又は生体組織に印加することにより、様々な疾患の治療を行う装置が知られている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、電気刺激としての微弱な電流と、温熱とを、生体又は生体組織に印加することにより、神経変性疾患、癌疾患、色素性乾皮症、全身性自己免疫疾患、臓器特異性自己免疫疾患等の疾患の治療を行う装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/065239号
【文献】特開2009-125549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の装置による治療は、導電性ゲルを備えるゲルパッドを介して当該装置が生体又は生体組織に貼付された状態で行われる。生体又は生体組織には、導電性ゲルを介して、電気刺激が印加される。
【0005】
ここで、導電性ゲルが上述の装置に対して適切な位置に貼付されておらず、その結果、例えば当該装置において電気刺激を出力する電極が直接生体又は生体組織に接触した状態で電気刺激が出力された場合、生体又は生体組織において局所的に強い電流が流れ得る。この場合、治療を受けている患者は、電気刺激による痛みを感じたり、皮膚において電極と接触する箇所がやけどを負ったりする可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、電気刺激を生体又は生体組織に印加するに際して、電気刺激印加装置に対する導電性ゲルの貼付状態を判定可能な電気刺激印加システム及び判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様としての電気刺激印加システムは、導電性ゲルを備えるゲルパッドと、前記ゲルパッドが貼付された状態において電気刺激を生体又は生体組織に印加する電気刺激印加装置と、を含む、電気刺激印加システムであって、前記電気刺激印加装置は、前記電気刺激印加装置の一面において外部に露出しており、前記電気刺激を出力する、電極部と、前記一面に配置され、発光部と受光部とを含む、センサ部と、前記発光部が光を照射している際の、前記受光部における受光強度に基づいて、前記一面における前記ゲルパッドの貼付状態を判定する制御部と、を備える。
【0008】
本開示の1つの実施形態としての電気刺激印加システムにおいて、前記ゲルパッドは、前記導電性ゲルを支持する支持体と、前記支持体において、前記ゲルパッドを前記電気刺激印加装置の適切な位置に貼付した場合に前記センサ部が配置されている位置に一致する位置に形成され、前記支持体とは光の反射率が異なる反射マーカと、を備える。
【0009】
本開示の1つの実施形態としての電気刺激印加システムにおいて、前記反射マーカは、光の反射率が所定反射率以上であり、前記制御部は、前記受光部における受光強度に関する値が閾値以上である場合に、前記ゲルパッドの貼付状態が適切であると判定し、前記受光部における受光強度に関する値が、前記閾値未満である場合に、前記ゲルパッドの貼付状態が適切でないと判定する。
【0010】
本開示の1つの実施形態としての電気刺激印加システムにおいて、前記反射マーカは、光の反射率が所定反射率未満であり、前記制御部は、前記受光部における受光強度に関する値が閾値未満である場合に、前記ゲルパッドの貼付状態が適切であると判定し、前記受光部における受光強度に関する値が、前記閾値以上である場合に、前記ゲルパッドの貼付状態が適切でないと判定する。
【0011】
本開示の1つの実施形態としての電気刺激印加システムにおいて、前記受光強度に関する値は、前記発光部から光を照射している場合に前記受光部で受光される光の強度と、前記発光部から光を照射していない場合に前記受光部で受光される光の強度との差である。
【0012】
本開示の1つの実施形態としての電気刺激印加システムにおいて、前記制御部は、前記ゲルパッドの貼付状態が適切でないと判定した場合、貼付状態が適切でないことを報知部から報知させる。
【0013】
本開示の1つの実施形態としての電気刺激印加システムにおいて、前記電気刺激印加装置は、前記センサ部を複数備える。
【0014】
本開示の第2の態様としての判定方法は、ゲルパッドが貼付された状態において電気刺激を生体又は生体組織に印加する電気刺激印加装置であって、前記電気刺激印加装置の一面に配置される発光部と受光部とを含むセンサ部を備える、電気刺激印加装置による判定方法であって、前記発光部から光を照射するステップと、前記発光部が光を照射している際の、前記受光部における受光強度に基づいて、前記一面における前記ゲルパッドの貼付状態を判定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、電気刺激を生体又は生体組織に印加するに際して、電気刺激印加装置に対する導電性ゲルの貼付状態を判定可能な電気刺激印加システム及び判定方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る電気刺激印加装置の概略的な外観斜視図である。
図2図1の電気刺激印加装置を裏面側から見た場合の外観斜視図である。
図3】電気刺激印加装置を生体等に貼付する際に用いられるゲルパッドの概略構成を示す外観斜視図である。
図4】電気刺激印加装置の適切な位置にゲルパッドが貼付されたときの貼付状態の一例を示す図である。
図5】電気刺激印加装置の適切でない位置にゲルパッドが貼付されたときの貼付状態の一例を示す図である。
図6図1の電気刺激印加装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図7図6の制御部が実行する貼付状態の判定処理の一例を示すフローチャートである。
図8】ゲルパッドの適切な貼付状態における、センサ部による光の受光態様を示す模式図である。
図9図8に示す状態における反射レベルについて説明する図である。
図10】ゲルパッドが貼付されていない状態における、センサ部による光の受光態様を示す模式図である。
図11図10に示す状態における反射レベルについて説明する図である。
図12】ゲルパッドの適切でない貼付状態における、センサ部による光の受光態様を示す模式図である。
図13図12に示す状態における反射レベルについて説明する図である。
図14】ゲルパッドの適切でない貼付状態における、センサ部による光の受光態様を示す模式図である。
図15図14に示す状態における反射レベルについて説明する図である。
図16図6の制御部が実行する貼付状態の判定処理の他の一例を示すフローチャートである。
図17】ゲルパッドの適切な貼付状態における、センサ部による光の受光態様を示す模式図である。
図18図17に示す状態における反射レベルについて説明する図である。
図19】ゲルパッドが貼付されていない状態における、センサ部による光の受光態様を示す模式図である。
図20図19に示す状態における反射レベルについて説明する図である。
図21】ゲルパッドの適切でない貼付状態における、センサ部による光の受光態様を示す模式図である。
図22図21に示す状態における反射レベルについて説明する図である。
図23】ゲルパッドの適切でない貼付状態における、センサ部による光の受光態様を示す模式図である。
図24図23に示す状態における反射レベルについて説明する図である。
図25】一変形例に係る印加部の裏面を示す概略図である。
図26図25の印加部に対応するゲルパッドを示す概略図である。
図27図26に示すゲルパッドを図25に示す印加部に貼付した状態を示す概略図である。
図28】ゲルパッドの適切な貼付状態における、センサ部による光の受光態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示に係る電気刺激印加システムの実施形態について図面を参照しながら説明する。電気刺激印加システムは、電気刺激印加装置1と、ゲルパッド30とにより構成される。各図において共通する部材には同一の符号を付している。
【0018】
図1は、一実施形態に係る電気刺激印加装置1の概略的な外観斜視図である。電気刺激印加装置1は、電気刺激を生体又は生体組織(以下、単に「生体等」とも称する)に印加する。電気刺激の印加により、疾患の治療が行われる。
【0019】
電気刺激印加装置1が印加する電気刺激は、微弱な電気刺激であってよい。本明細書では、電気刺激印加装置1が印加する電気刺激が微弱な電気刺激であるとして、以下説明する。ただし、本開示において、電気刺激印加装置1が印加する電気刺激は微弱な電気刺激に限られない。
【0020】
微弱な電気刺激は、生体等に対して、脱分極を惹起させないレベルの電気刺激である。脱分極を惹起させないレベルの電気刺激は、筋収縮や刺激感を生体にもたらさないため、ユーザ(患者)は印加される電気刺激を感知することができない。電気刺激は、例えばパルス直流電流として、生体等に印加される。パルス直流電流は、例えば55Hzの周波数で印加される。パルス直流電流のパルス幅は、例えば100μ秒である。ただし、電気刺激は、これに限られず、疾患の治療に効果のある適宜の電気刺激が用いられてよい。例えば、パルス直流電流の周波数は55Hz以外であってもよく、パルス直流電流のパルス幅は100μ秒以外であってもよい。
【0021】
電気刺激印加装置1は、さらに生体等を加温する。すなわち、電気刺激印加装置1は、生体等に対して温熱を印加する。従って、電気刺激印加装置1は、電気刺激と温熱とを組み合わせて、生体等に印加することができる。この場合、微弱な電気刺激と温熱との印加により、疾患の治療が行われる。
【0022】
温熱は、生体等の平常時の温度よりも数度高い温熱である。例えば、電気刺激印加装置1を人体に対して適用する場合、温熱は、人体の平常時の体温よりも数度高い、38℃以上45℃以下の温度であってよい。
【0023】
電気刺激印加装置1による治療は、電気刺激印加装置1を生体等の少なくとも一部に貼付した状態で実行される。例えば、電気刺激印加装置1は、粘着性のあるゲルパッドを介して、生体等に貼付される。電気刺激印加装置1が生体等に貼付された状態で、例えば、電気刺激印加装置1のユーザ(患者)が、電気刺激印加装置1に対して、電気刺激印加装置1による治療を開始するための所定の操作入力を行うと、電気刺激及び温熱を印加することによる治療が行われる。
【0024】
ここで、本実施形態に係る電気刺激印加装置1は、導電性ゲルが貼付された状態において、電気刺激を出力する。電気刺激印加装置1は、電気刺激の出力を実行するに際し、導電性ゲルの電気刺激印加装置1への貼付状態を判定する。導電性ゲルは、例えばゲルパッドに設けられていてよい。電気刺激印加装置1は、ゲルパッドの貼付状態が適切であると判定した場合に、電気刺激を出力することにより、治療を行う。
【0025】
電気刺激印加装置1による、ゲルパッドの貼付状態が適切であるか否かの判定は、電気刺激印加装置1を生体等に貼付する前と、電気刺激印加装置1を生体等に貼付した後との、少なくとも一方で実行される。
【0026】
図1に示すように、電気刺激印加装置1は、本体部10と印加部20とが結合されて構成される。本体部10は、筐体として構成されている。印加部20は、平板形状に構成されている。本実施形態では、印加部20は、長辺と短辺とを有する長方形状に形成されている。本体部10は、平板形状の印加部20の一方の面において、印加部20と結合されている。本明細書では、平板形状の印加部20において、本体部10が結合されている面を表面という。また、平板形状の印加部20において、表面とは反対側の、本体部10が結合されていない面を裏面という。裏面は、本開示における「一面」に相当する。
【0027】
筐体として構成されている本体部10は、内部に、電気刺激印加装置1の動作を制御するための各種機能部を有する。また、本体部10には、ユーザからの操作入力を受け付ける入力部が設けられている。図1に示す例では、本体部10は、入力部として、第1入力部101aと、第2入力部101bとを備える。
【0028】
第1入力部101a及び第2入力部101bは、例えば図1に示すように、いずれも押下可能な操作ボタン(操作キー)として構成されていてよい。ただし、第1入力部101a及び第2入力部101bの形態は、押下可能な操作ボタンに限られない。また、本体部10が備える入力部の数量は2個に限られない。さらに、第1入力部101a及び第2入力部101bの配置は、図1に示す配置に限られない。
【0029】
本実施形態では、第1入力部101a及び第2入力部101bは、それぞれ異なる機能を実行させる操作ボタンである。具体的には、第1入力部101aは、電気刺激印加装置1の電源のオンとオフとを切り替える操作ボタンである。第2入力部101bは、ゲルパッドの貼付状態の判定処理を開始させるための操作ボタンである。すなわち、本実施形態では、第2入力部101bの操作ボタンが押下されると、ゲルパッドの貼付状態の判定処理が開始される。
【0030】
また、本体部10には、情報を表示する表示部が設けられている。図1に示す例では、本体部10は、表示部として、第1表示灯104a、第2表示灯104b及び第3表示灯104cを備える。表示部は、第1表示灯104a、第2表示灯104b及び第3表示灯104cを、点灯、消灯又は点滅させることにより、各種情報や、電気刺激印加装置1の状態を表示することができる。
【0031】
なお、表示部は、本開示における報知部の一態様である。本体部10は、報知部として、必ずしも表示部を備えていなくてもよい。本体部10は、表示部に代えて、又は表示部とともに、情報をユーザに報知する報知部として、他の機構を備えていてもよい。例えば、本体部10は、音により情報をユーザに報知するスピーカを備えていてもよい。例えば、本体部10は、振動により情報をユーザに報知する振動子を備えていてもよい。なお、報知部は、ここで示した例に限られず、ユーザに情報を報知可能な任意の機構とすることができる。
【0032】
印加部20は、粘着性のあるゲルパッドを介して、裏面が生体等に貼付される。印加部20は、電気刺激を出力する電極部と、発熱するヒータと、導電性ゲルの貼付状態の判定のために用いられるセンサ部とを備える。印加部20は、裏面が生体等に貼付された状態で、生体等に電気刺激と温熱とを印加する。
【0033】
図2は、図1の電気刺激印加装置1を裏面側から見た場合の外観斜視図である。図2に示すように、印加部20は、第1電極部102aと第2電極部102bとの、2枚の電極部を備える。第1電極部102a及び第2電極部102bは、裏面側において、外部に露出している。例えば、第1電極部102a及び第2電極部102bのうち、1枚の電極部を接地し、もう1枚の電極部について電圧を変化させることにより、電気刺激が出力される。なお、本明細書において、第1電極部102aと第2電極部102bとを区別しない場合には、これらをまとめて、単に「電極部102」と記載する。
【0034】
本実施形態では、電極部102は、略半円形状を有している。すなわち、本実施形態では、図2に示すように、電極部102は、印加部20の裏面側において、直線部120と、円弧部121とにより、外縁が形成されている。電極部102は、直線部120が印加部20の短辺と平行になるように、配置されている。また、電極部102は、円弧部121が直線部120よりも印加部20の短辺に近くなるように、配置されている。
【0035】
図2に示すように、印加部20は、第1センサ部110a及び第2センサ部110bを備える。図2に示す例では、第1センサ部110a及び第2センサ部110bは、第1電極部102a及び第2電極部102bのそれぞれの直線部120の間であって、長方形状の印加部20の2つの対角線が交差する点を中心として回転対称となる位置に配置されている。本明細書において、第1センサ部110a及び第2センサ部110bを区別しない場合には、これらをまとめて、単に「センサ部110」と記載する。
【0036】
センサ部110は、裏面側において、外部に露出している。各センサ部110は、発光部と受光部とを備える。発光部は、外部に光を照射する。例えば、発光部は、印加部20の裏面に対して垂直な方向に光を照射する。発光部は、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)又はLD(Laser Diode:レーザダイオード)等の光を出射する発光素子で構成される。受光部は、光を受光する。受光部は、特に、発光部が光を照射している際に受光可能に構成されていればよい。受光部は、例えばPT(Photo Transistor:フォトトランジスタ)又はPD(Photo Diode:フォトダイオード)等の受光素子で構成される。各センサ部110は、受光部の受光強度に応じたセンサ出力を、後述する本体部10の制御部103に出力する。
【0037】
印加部20は、内部にヒータを備える。すなわち、印加部20は、表面と裏面との間に、ヒータを備える。ヒータを加熱することにより、裏面が生体等に貼付された状態で、生体等に温熱が伝達されて、生体等が温められる。
【0038】
図3は、電気刺激印加装置1を生体等に貼付する際に用いられるゲルパッド30の概略構成を示す外観斜視図である。ゲルパッド30は、支持体31と、2枚の導電性ゲル32とを備える。
【0039】
支持体31は、例えば樹脂等の非導電性材料により構成される。支持体31は、屈曲性を有する材料により構成されることが好ましい。支持体31が屈曲性を有する材料で構成されることにより、ゲルパッド30を生体等に貼付する際に、生体の表面に合わせて屈曲しやすくなるためである。
【0040】
支持体31の外形は、印加部20の外形とほぼ同じ大きさに形成されている。従って、本実施形態では、支持体31は、外形が長辺と短辺とを有する長方形状に形成されている。支持体31は、2枚の導電性ゲル32を支持する。具体的には、支持体31は、2枚の導電性ゲル32を配置するための2つの開口(貫通孔)を有する。2つの開口は、ゲルパッド30を印加部20の裏面側の適切な位置に貼付した場合に、第1電極部102a及び第2電極部102bが配置されている位置に一致する位置に形成されている。適切な位置とは、電極部102の全体が導電性ゲル32によって覆われている場合の位置をいう。
【0041】
2枚の導電性ゲル32は、支持体31の2つの開口に配置される。導電性ゲル32は、例えば半透明のゲルにより構成されている。2枚の導電性ゲル32の間は、非導電性の支持体31によって絶縁されている。導電性ゲル32は、粘着性を有することにより、電気刺激印加装置1を生体等に貼付することができる。ゲルパッド30が印加部20の裏面側に貼付された状態において、2枚の導電性ゲル32は、それぞれ、第1電極部102a及び第2電極部102bと1対1に対応して接触する。これにより、電気刺激印加装置1がゲルパッド30により生体等に貼付されて、電極部102から電気刺激が出力された場合に、当該電気刺激が、2枚の導電性ゲル32を介して生体等に印加される。
【0042】
本実施形態では、例えば図3に示すように、導電性ゲル32は、略半円形状を有している。すなわち、本実施形態では、図3に示すように、導電性ゲル32は、直線部130と、円弧部131とにより、外縁が形成されている。導電性ゲル32は、直線部130が支持体31の短辺と平行になるように、配置されている。また、導電性ゲル32は、円弧部131が直線部130よりも支持体31の短辺に近くなるように、配置されている。
【0043】
ゲルパッド30は、支持体31に、反射マーカを備える。本実施形態では、図3に示すように、ゲルパッド30は、第1反射マーカ33a及び第2反射マーカ33bを備える。第1反射マーカ33a及び第2反射マーカ33bは、それぞれ、ゲルパッド30を印加部20の裏面側の適切な位置に貼付した場合に第1センサ部110a及び第2センサ部110bが配置されている位置に一致する位置に形成されている。本明細書において、第1反射マーカ33a及び第2反射マーカ33bを区別しない場合には、これらをまとめて、単に「反射マーカ33」と記載する。
【0044】
反射マーカ33は、支持体31において、支持体31とは反射率が異なるように形成された領域である。例えば、反射マーカ33は、光の反射率が、所定反射率以上であってよい。この場合、支持体31は、光の反射率が、所定反射率未満である。反射マーカ33の光の反射率と、支持体31の光の反射率とは、差が大きい方が好ましい。反射率の差が大きいほど、後述する、ゲルパッド30の貼付状態が適切であるか否かの判定の精度が向上しやすくなる。
【0045】
例えば、反射マーカ33は白色であり、支持体31は黒色であることが好ましい。これにより、反射マーカ33と支持体31との光の反射率の差を大きくすることができる。本実施形態では、反射マーカ33は白色であり、支持体31は黒色であるとして、以下説明する。
【0046】
図4は、電気刺激印加装置1の適切な位置にゲルパッド30が貼付されたときの貼付状態の一例を示す図であり、ゲルパッド30を貼付した印加部20を裏面側から見た場合の概略図である。すなわち、図4は、電気刺激印加システム2を裏面側から見た場合の概略図である。上述した印加部20及びゲルパッド30の構成により、電気刺激印加装置1の適切な位置にゲルパッド30が貼付されている場合、電極部102の全体が導電性ゲル32で覆われる。このとき、センサ部110の全体が反射マーカ33で覆われる。
【0047】
図5は、電気刺激印加装置1の適切でない位置にゲルパッド30が貼付されたときの貼付状態の一例を示す図であり、ゲルパッド30を貼付した印加部20を裏面側から見た場合の概略図である。適切でない位置にゲルパッド30が貼付されている場合、電極部102の少なくとも一部がゲルパッド30により覆われていない状態となる。このとき、センサ部110も、少なくとも一部(図5に示す例では全体)が反射マーカ33で覆われていない状態となる。
【0048】
ユーザは、定期的又は不定期的に、ゲルパッド30を取り替えて使用する。つまり、ユーザは、定期的又は不定期的に、新たなゲルパッド30を用いて電気刺激印加装置1を生体等に貼付して使用する。これにより、ゲルパッド30の導電性ゲル32の性質が変化して、導電性が劣化することを防ぐことができる。また、新たなゲルパッド30を使用することにより、粘着性が劣化して電気刺激印加装置1が生体等からはがれることを防ぐことができる。ただし、ゲルパッド30を取り替えたときに、ゲルパッド30の印加部20への貼付状態が変わることがある。本実施形態に係る電気刺激印加装置1は、印加部20に対するゲルパッド30の貼付状態が、図4に示すように適切な状態であるか、図5に一例として示すように適切でない状態かを判定することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、上述したように、印加部20という1つの構成機器に、第1電極部102a及び第2電極部102bという2枚の電極部が配置されている。しかしながら、第1電極部102a及び第2電極部102bは、例えば、異なる構成機器に別々に配置されていてもよい。本実施形態のように、1つの構成機器に2枚の電極部が配置されている場合には、2枚の電極部が異なる構成機器に別々に配置されている場合と比較して、生体等に貼付する構成機器の数量を減らすことができるため、ユーザの利便性が高まる。
【0050】
図6は、図1の電気刺激印加装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、電気刺激印加装置1は、入力部101と、電極部102と、制御部103と、表示部104と、タイマ部105と、記憶部106と、電源部107と、ヒータ108と、電気刺激出力部109とを備える。入力部101、制御部103、表示部104、タイマ部105、記憶部106、電源部107、及び電気刺激出力部109は、例えば本体部10に設けられる。電極部102及びヒータ108は、例えば印加部20に設けられる。ただし、各機能部が本体部10及び印加部20のいずれに設けられるかについては、本明細書に記載の機能を発揮する限り、ここで示した例に限られない。
【0051】
入力部101は、ユーザからの操作入力を受け付けるものであり、例えば、操作ボタンにより構成される。本実施形態では、入力部101は、上述したように、第1入力部101a及び第2入力部101bという2つの操作ボタンにより構成される。なお、入力部101は、例えばタッチスクリーンにより構成され、表示デバイスの一部にユーザからの操作入力を受け付ける入力領域を表示して、ユーザによるタッチ操作入力を受け付けてもよい。ユーザにより、入力部101に対する操作入力が行われると、例えば操作入力に応じた電気信号が制御部103に送信される。
【0052】
電極部102は、電気刺激出力部109から受信した信号に基づき、電気刺激を出力する。電極部102は、例えば上述したように、第1電極102a及び第2電極102bという2枚の電極により構成される。
【0053】
制御部103は、電気刺激印加装置1の各機能部をはじめとして、電気刺激印加装置1の全体を制御及び管理する。制御部103は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成される。制御部103は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。
【0054】
制御部103は、印加部20の裏面側におけるゲルパッド30の貼付状態を判定する。制御部103による、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理の詳細については、後述する。
【0055】
制御部103は、電極部102からの電気刺激の出力を制御する。制御部103は、電気刺激の出力強度を変更可能である。制御部103は、例えば、パルス直流電流の大きさを変化させることにより、電気刺激の出力強度を変更可能である。制御部103は、電気刺激印加装置1により実行される治療の処理を制御する。
【0056】
表示部104は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は無機ELディスプレイ等の表示デバイスである。表示部104は、情報を報知する報知部の一態様である。表示部104は、制御部103による制御に基づき、様々な情報を表示する。表示部104は、例えば上述したように、第1表示灯104a、第2表示灯104b及び第3表示灯104cにより構成される。
【0057】
タイマ部105は、制御部103の制御に基づき、時間を計測する。例えば、タイマ部105は、治療段階を開始してからの経過時間を計測する。また、例えば、タイマ部105は、パルス直流電流の電気刺激を印加してからの経過時間を計測する。
【0058】
記憶部106は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成することができる。記憶部106は、例えば、各種情報及び電気刺激印加装置1を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部106は、ワークメモリとしても機能してもよい。
【0059】
電源部107は、電気刺激印加装置1の各機能部に電力を供給するバッテリである。
【0060】
ヒータ108は、温熱を印加する。ヒータ108は、例えば電熱線等の、電力の供給により発熱する部材により構成されている。ヒータ108は、例えば電源部107から電力の供給を受けて発熱する。ヒータ108が発熱すると、電気刺激印加装置1が貼付された生体等に、温熱が伝達される。
【0061】
電気刺激出力部109は、制御部103の制御に基づき、電極部102から電気刺激を出力させる。
【0062】
次に、電気刺激印加装置1の制御部103による制御の詳細について説明する。制御部103は、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理を実行可能である。本実施形態において、制御部103は、電気刺激印加装置1が生体等に貼付されていない状態と、電気刺激印加装置1が生体等に貼付された状態と、において、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理を実行可能である。
【0063】
図7は、制御部103が実行する、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理の一例を示すフローチャートであり、電気刺激印加装置1が生体等に貼付されていない状態で実行される判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0064】
電気刺激印加装置1のユーザは、電気刺激印加装置1にゲルパッド30の貼付状態の判定処理を実行させるにあたり、ゲルパッド30を、電気刺激印加装置1の印加部20に貼付する。そして、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理を開始させるために、操作ボタンである第2入力部101bを押下する。
【0065】
制御部103は、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理を開始するための操作入力が行われたか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、制御部103は、第2入力部101bが押下されたか否かを判定する。
【0066】
制御部103は、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理を開始するための操作入力が行われていないと判定した場合(ステップS11のNo)、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理を開始するための操作入力が行われたと判定するまで、ステップS11を繰り返す。
【0067】
制御部103は、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理を開始するための操作入力が行われたと判定した場合(ステップS11のYes)、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理を開始する。
【0068】
具体的には、制御部103は、センサ部110の受光部における受光強度に関する値を算出する。本実施形態では、制御部103は、受光強度に関する値として、反射レベルを算出する。本明細書において、反射レベルとは、センサ部110の発光部から光を照射している場合(発光時)に受光部で受光される光の強度と、センサ部110の発光部から光を照射していない場合(消灯時)に受光部で受光される光の強度との差である。
【0069】
より具体的には、制御部103は、第1反射マーカ33aにおける反射レベルを算出する(ステップS12)。すなわち、ステップS12では、制御部103は、適切な貼付状態において第1反射マーカ33aに光を照射する第1センサ部110aの発光部から光を照射させたとき(発光時)の受光部からのセンサ出力と、第1センサ部110aの発光部から光を照射させていないとき(消灯時)の受光部からのセンサ出力と、を取得し、センサ出力に基づいて、反射レベルを算出する。
【0070】
また、制御部103は、第2反射マーカ33bにおける反射レベルを算出する(ステップS13)。すなわち、ステップS13では、制御部103は、適切な貼付状態において第2反射マーカ33bに光を照射する第2センサ部110bの発光部から光を照射させたとき(発光時)の受光部からのセンサ出力と、第2センサ部110bの発光部から光を照射させていないとき(消灯時)の受光部からのセンサ出力と、を取得し、センサ出力に基づいて、反射レベルを算出する。
【0071】
なお、制御部103は、ステップS12とステップS13とを順に処理してもよく、ステップS12とステップS13とを同時に処理してもよい。
【0072】
制御部103は、算出した受光強度に関する値に基づき、ゲルパッド30の貼付状態が適切であるか否かを判定する。本実施形態では、制御部103は、算出した反射レベルに基づき、ゲルパッド30の貼付状態が適切であるか否かを判定する。具体的には、制御部103は、算出した反射レベルを、所定の閾値と比較することにより、ゲルパッド30の貼付状態が適切であるか否かを判定する。より具体的には、本実施形態では、制御部103は、全ての反射レベルが所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS14)。所定の閾値は、受光部における受光強度が、発光部から照射された光が反射マーカ33により反射されたことを確認できる値として、適宜定めることができる。本実施形態では、反射マーカ33が白色であるため、所定の閾値は、受光部における受光強度が、発光部から照射された光が白色の反射マーカ33により反射された場合に受光される強度であると確認できる値とすることができる。
【0073】
制御部103は、全ての反射レベルが所定の閾値以上であると判定した場合(ステップS14のYes)、貼付状態が適切であると判定し、貼付状態が適切である旨を、報知部である表示部104から報知する(ステップS15)。全ての反射レベルが所定の閾値以上である場合、全てのセンサ部110が反射マーカ33により覆われた状態であると推定されるためである。
【0074】
一方、制御部103は、少なくとも一部の反射レベルが所定の閾値未満であると判定した場合(ステップS14のNo)、貼付状態が適切でないと判定し、貼付状態が適切でない旨を、報知部である表示部104から報知する(ステップS16)。少なくとも一部の反射レベルが所定の閾値未満である場合、少なくとも一部のセンサ部110が反射マーカにより覆われていない状態であると推定されるためである。
【0075】
ユーザは、ステップS15又はステップS16における報知を確認することにより、ゲルパッド30の貼付状態が適切であるか否かを知ることができる。ユーザは、ゲルパッド30の貼付状態が適切でない場合、ゲルパッド30を印加部20に貼付しなおして、再度ゲルパッド30の貼付状態が適切であるか否かの判定処理を実行させることができる。
【0076】
ここで、電気刺激印加装置1に対するゲルパッド30の貼付状態と、制御部103により算出される反射レベルとに関し、図面を参照しながら、いくつかの例について説明する。
【0077】
図8は、ゲルパッド30の適切な貼付状態における、センサ部110による光の受光態様を示す模式図であり、ゲルパッド30と印加部20との模式的な断面を示す図である。図9は、図8に示す状態における反射レベルについて説明する図である。図9に示すグラフにおいて、縦軸は受光強度を示すセンサ出力の値である。
【0078】
電気刺激印加装置1が生体等に貼付されていない状態で、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理を行う場合、ゲルパッド30の、生体等に貼付される面(つまり印加部20に貼付されない面)には、図8に示すように、ゲルパッド30を保護する保護フィルム34が貼付されていてよい。保護フィルム34は、ゲルパッド30を生体等に貼付する際に、ゲルパッド30から剥がされる。保護フィルム34は、反射マーカ33とは反射率が異なることが好ましい。保護フィルム34は、例えば、反射率が、支持体31の反射率と同等となるように構成されていてよい。本明細書では、保護フィルム34の反射率は、反射マーカ33と支持体31との中間の反射率であるとする。
【0079】
ゲルパッド30の貼付状態が適切な状態である場合、図8に示すように、センサ部110が反射マーカ33により覆われる。この場合、センサ部110の発光部から照射された光は、白色の反射マーカ33において反射される。センサ部110の受光部は、発光部から光が照射されている場合(発光時)、白色の反射マーカ33において反射された反射光を受光する。この場合の受光強度を、図9に示すように、ここでは仮に数値として、100であるとする。本明細書では、この受光強度を示す数値は、高いほど受光強度が高く、低いほど受光強度が低いとする。一方、センサ部110の発光部が光を照射していない場合(消灯時)、センサ部110による受光強度は、一例として図9に示すように20であるとする。消灯時にセンサ部110により検出される受光強度は、発光部から光が照射されていないため、反射マーカ33における反射光ではなく、外部から受光部に入り込む外部光の受光強度となる。
【0080】
制御部103は、発光時の受光強度100と、消灯時の受光強度20との差を算出し、当該差分である80を反射レベルとする。このように、反射レベルは、外部光の受光強度を除外したものであるため、制御部103は、反射レベルを算出することにより、外部光の影響を除いた状態で、貼付状態を判定することができる。ここで、例えば貼付状態が適切であるか否かを判定する閾値が60であるとする。反射レベルとしての数値80は、閾値60以上であるため、この場合、制御部103は、反射レベルが所定の閾値以上であると判定する。
【0081】
図10は、ゲルパッド30が印加部20に貼付されていない状態における、センサ部110による光の受光態様を示す模式図であり、印加部20の模式的な断面を示す図である。図11は、図10に示す状態における反射レベルについて説明する図である。図11に示すグラフにおいて、縦軸は受光強度を示すセンサ出力の値である。
【0082】
図10に示すようにゲルパッド30が印加部20に貼付されていない場合、センサ部110の発光部から照射された光は、ゲルパッド30により反射されない。そのため、発光時及び消灯時とも、受光部は、外部から受光される外部光のみを受光する。例えば、図11に示すように、発光時及び消灯時において受光部が受光する光の受光強度の値は、20である。
【0083】
この場合、制御部103は、発光時の受光強度20と、消灯時の受光強度20との差を算出し、当該差分である0を反射レベルとする。反射レベルとしての数値0は、閾値60未満であるため、この場合、制御部103は、反射レベルが所定の閾値未満であると判定する。制御部103は、少なくとも一部のセンサ部110において、このように反射レベルが所定の閾値未満であると判定すると、図7のフローで説明したように、貼付状態が適切でないと判定する。
【0084】
図12は、ゲルパッド30の適切でない貼付状態における、センサ部110による光の受光態様を示す模式図であり、ゲルパッド30と印加部20との模式的な断面を示す図である。具体的には、図12は、センサ部110が導電性ゲル32で覆われている場合の模式的な断面を示す図である。図13は、図12に示す状態における反射レベルについて説明する図である。図13に示すグラフにおいて、縦軸は受光強度を示すセンサ出力の値である。
【0085】
ゲルパッド30の貼付状態が適切でなく、センサ部110が導電性ゲル32で覆われている場合、センサ部110の発光部から照射された光は、半透明の導電性ゲル32を透過して保護フィルム34に達し、保護フィルム34で反射される。保護フィルム34で反射された光は、半透明の導電性ゲル32を透過し、センサ部110の受光部により受光される。発光部から照射された光は、半透明の導電性ゲル32において一部が吸収され、保護フィルム34においてもさらに一部が吸収される。センサ部110の受光部による発光時の受光強度は、例えば図13に示すように50であるとする。一方、消灯時のセンサ部110による受光強度は、一例として図13に示すように20であるとする。
【0086】
制御部103は、発光時の受光強度50と、消灯時の受光強度20との差を算出し、当該差分である30を反射レベルとする。反射レベルとしての数値30は、閾値60未満であるため、この場合、制御部103は、反射レベルが所定の閾値未満であると判定する。制御部103は、少なくとも一部のセンサ部110において、このように反射レベルが所定の閾値未満であると判定すると、図7のフローで説明したように、貼付状態が適切でないと判定する。
【0087】
図14は、ゲルパッド30の適切でない貼付状態における、センサ部110による光の受光態様を示す模式図であり、ゲルパッド30と印加部20との模式的な断面を示す図である。具体的には、図14は、センサ部110が支持体31で覆われている場合の模式的な断面を示す図である。図15は、図14に示す状態における反射レベルについて説明する図である。図15に示すグラフにおいて、縦軸は受光強度を示すセンサ出力の値である。
【0088】
ゲルパッド30の貼付状態が適切でなく、センサ部110が支持体31で覆われている場合、センサ部110の発光部から照射された光は、黒色の支持体31に到達する。支持体31では、発光部から照射された光の一部が反射され得るが、理想的には大半が吸収される。そのため、センサ部110の受光部による発光時の受光強度は、理想的には、例えば図15に示すように20であるとする。一方、消灯時のセンサ部110による受光強度は、一例として図15に示すように20であるとする。
【0089】
制御部103は、発光時の受光強度20と、消灯時の受光強度20との差を算出し、当該差分である0を反射レベルとする。反射レベルとしての数値0は、閾値60未満であるため、この場合、制御部103は、反射レベルが所定の閾値未満であると判定する。制御部103は、少なくとも一部のセンサ部110において、このように反射レベルが所定の閾値未満であると判定すると、図7のフローで説明したように、貼付状態が適切でないと判定する。
【0090】
図8から図15を参照して説明したように、電気刺激印加装置1の制御部103は、センサ部110における受光強度に関する値としての反射レベルに基づき、ゲルパッド30の貼付状態を判定することができる。
【0091】
図16は、制御部103が実行する、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理の他の一例を示すフローチャートであり、電気刺激印加装置1が生体等に貼付された状態で実行される判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0092】
電気刺激印加装置1のユーザは、ゲルパッド30を介して、電気刺激印加装置1を生体等に貼付する。そして、ゲルパッド30の貼付状態の判定処理を開始させるために、操作ボタンである第2入力部101bを押下する。
【0093】
図16において、ステップS11からステップS16は、図7で説明したステップS11からステップS16と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0094】
制御部103は、ステップS14において、全ての反射レベルが所定の閾値以上であると判定し(ステップS14のYes)、貼付状態が適切である旨を報知する(ステップS15)と、ユーザの治療を開始する(ステップS17)。具体的には、制御部103は、微弱な電気刺激と温熱との印加による疾患の治療を開始する。
【0095】
制御部103は、ユーザの治療を行っている間も、ステップS12からステップS14の処理を実行することにより、電気刺激印加装置1に対するゲルパッド30の貼付状態が適切であるか否かを判定してよい。例えば治療を行っている間に、電気刺激印加装置1に対するゲルパッド30の貼付状態がずれて、適切でない状態となった場合には、制御部103は、ステップS16で説明したように、貼付状態が適切でない旨を報知してよい。このようにして、制御部103は、ユーザの治療を行っている間も、電気刺激印加装置1に対するゲルパッド30の貼付状態が適切であるか否かを判定できる。
【0096】
制御部103は、所定の条件により治療が終了したと判定すると、微弱な電気刺激と温熱との印加を停止し、ユーザの治療を終了する(ステップS18)。例えば、制御部103は、ステップS17でユーザの治療を開始してから所定時間経過した場合に、治療を終了することができる。
【0097】
図7を参照して説明したものと同様に、ユーザは、ステップS15又はステップS16における報知を確認することにより、ゲルパッド30の貼付状態が適切であるか否かを知ることができる。ユーザは、ゲルパッド30の貼付状態が適切でない場合、ゲルパッド30を印加部20に貼付しなおして、電気刺激印加装置1を生体等に貼付して、再度ゲルパッド30の貼付状態が適切であるか否かの判定処理を実行させることができる。
【0098】
ここで、電気刺激印加装置1に対するゲルパッド30の貼付状態と、制御部103により算出される反射レベルとに関し、図面を参照しながら、いくつかの例について説明する。
【0099】
図17は、ゲルパッド30の適切な貼付状態における、センサ部110による光の受光態様を示す模式図であり、ゲルパッド30と、印加部20と、電気刺激印加装置1が貼付される生体等としてのユーザ腹部との模式的な断面を示す図である。図18は、図17に示す状態における反射レベルについて説明する図である。図18に示すグラフにおいて、縦軸は受光強度を示すセンサ出力の値である。
【0100】
ゲルパッド30の貼付状態が適切な状態である場合、図17に示すように、センサ部110が反射マーカ33により覆われる。この場合、センサ部110の発光部から照射された光は、白色の反射マーカ33において反射される。すなわち、センサ部110の受光部は、発光時、白色の反射マーカ33において反射された反射光を受光する。この場合の受光強度は、図18に示すように、例えば100であるとする。一方、消灯時におけるセンサ部110による受光強度は、一例として図18に示すように20であるとする。
【0101】
制御部103は、発光時の受光強度100と、消灯時の受光強度20との差を算出し、当該差分である80を反射レベルとする。反射レベルとしての数値80は、閾値60以上であるため、この場合、制御部103は、反射レベルが所定の閾値以上であると判定する。
【0102】
図19は、ゲルパッド30が印加部20に貼付されていない状態における、センサ部110による光の受光態様を示す模式図であり、印加部20と、ユーザ腹部との模式的な断面を示す図である。図20は、図19に示す状態における反射レベルについて説明する図である。図20に示すグラフにおいて、縦軸は受光強度を示すセンサ出力の値である。
【0103】
図19に示すように、ゲルパッド30が印加部20に貼付されていない場合、電気刺激印加装置1は、直接生体等としての腹部に貼付される。この場合、センサ部110の発光部から照射された光は、腹部により反射される。この場合の、センサ部110の受光部による発光時の受光強度を、例えば図20に示すように50であるとする。一方、消灯時のセンサ部110による受光強度は、一例として図13に示すように20であるとする。
【0104】
この場合、制御部103は、発光時の受光強度50と、消灯時の受光強度20との差を算出し、当該差分である30を反射レベルとする。反射レベルとしての数値30は、閾値60未満であるため、この場合、制御部103は、反射レベルが所定の閾値未満であると判定する。制御部103は、少なくとも一部のセンサ部110において、このように反射レベルが所定の閾値未満であると判定すると、図16のフローで説明したように、貼付状態が適切でないと判定する。
【0105】
図21は、ゲルパッド30の適切でない貼付状態における、センサ部110による光の受光態様を示す模式図であり、ゲルパッド30と印加部20とユーザ腹部との模式的な断面を示す図である。具体的には、図21は、センサ部110が導電性ゲル32で覆われている場合の模式的な断面を示す図である。図22は、図21に示す状態における反射レベルについて説明する図である。図22に示すグラフにおいて、縦軸は受光強度を示すセンサ出力の値である。
【0106】
ゲルパッド30の貼付状態が適切でなく、センサ部110が導電性ゲル32で覆われている場合、センサ部110の発光部から照射された光は、半透明の導電性ゲル32を透過してユーザ腹部に達し、ユーザ腹部で反射される。ユーザ腹部で反射された光は、半透明の導電性ゲル32を透過し、センサ部110の受光部により受光される。発光部から照射された光は、半透明の導電性ゲル32において一部が吸収され、ユーザ腹部においてもさらに一部が吸収される。センサ部110の受光部による発光時の受光強度は、例えば図22に示すように50であるとする。一方、消灯時のセンサ部110による受光強度は、一例として図22に示すように20であるとする。
【0107】
制御部103は、発光時の受光強度50と、消灯時の受光強度20との差を算出し、当該差分である30を反射レベルとする。反射レベルとしての数値30は、閾値60未満であるため、この場合、制御部103は、反射レベルが所定の閾値未満であると判定する。制御部103は、少なくとも一部のセンサ部110において、このように反射レベルが所定の閾値未満であると判定すると、図16のフローで説明したように、貼付状態が適切でないと判定する。
【0108】
図23は、ゲルパッド30の適切でない貼付状態における、センサ部110による光の受光態様を示す模式図であり、ゲルパッド30と印加部20とユーザ腹部との模式的な断面を示す図である。具体的には、図23は、センサ部110が支持体31で覆われている場合の模式的な断面を示す図である。図24は、図23に示す状態における反射レベルについて説明する図である。図24に示すグラフにおいて、縦軸は受光強度を示すセンサ出力の値である。
【0109】
ゲルパッド30の貼付状態が適切でなく、センサ部110が支持体31で覆われている場合、センサ部110の発光部から照射された光は、黒色の支持体31に到達する。支持体31では、発光部から照射された光の一部が反射され得るが、理想的には大半が吸収される。そのため、センサ部110の受光部による発光時の受光強度は、理想的には、例えば図24に示すように20であるとする。一方、消灯時のセンサ部110による受光強度は、一例として図24に示すように20であるとする。
【0110】
制御部103は、発光時の受光強度20と、消灯時の受光強度20との差を算出し、当該差分である0を反射レベルとする。反射レベルとしての数値0は、閾値60未満であるため、この場合、制御部103は、反射レベルが所定の閾値未満であると判定する。制御部103は、少なくとも一部のセンサ部110において、このように反射レベルが所定の閾値未満であると判定すると、図16のフローで説明したように、貼付状態が適切でないと判定する。
【0111】
図17から図24を参照して説明したように、電気刺激印加装置1の制御部103は、電気刺激印加装置1がユーザ腹部に貼付されている状態においても、センサ部110における受光強度に関する値としての反射レベルに基づき、ゲルパッド30の貼付状態を判定することができる。
【0112】
また、上記実施形態では、反射マーカ33を白色とし、支持体31を黒色としたが、このように反射マーカ33と支持体31との光の反射率を異ならせることにより、センサ部110の受光部における受光強度の差から、ゲルパッド30の貼付状態を判定できる。上記実施形態のように、反射マーカ33を、光の反射率が所定反射率以上である白色とし、支持体31を黒色とした場合、制御部103は、受光部における受光強度に関する値が閾値以上である場合に、センサ部110が反射マーカ33に覆われ、ゲルパッド30の貼付状態が適切であると判定できる。
【0113】
なお、反射マーカ33と支持体31とにおける光の反射率の関係は、上記実施形態とは逆であってもよい。つまり、反射マーカ33の光の反射率が、所定反射率未満であり、支持体31の光の反射率が、所定反射率以上であってもよい。典型的には、反射マーカ33が黒色で、支持体31が白色であってもよい。この場合、制御部103は、受光部における受光強度に関する値(例えば反射レベル)が、所定の閾値未満である場合に、センサ部110が反射マーカ33に覆われていると判定することができる。
【0114】
上記実施形態では、受光部における受光強度に関する値として、反射レベルを用いると説明した。しかしながら、受光部における受光強度に関する値は、発光時の受光強度と消灯時の受光強度との差である反射レベルでなくてもよい。制御部103は、少なくとも発光部が光を照射している際の、受光部における受光強度を用いて、ゲルパッド30の貼付状態を判定することができる。例えば、受光部における受光強度に関する値は、発光時の受光強度そのものを数値化したものであってもよい。ただし、受光部における受光強度に関する値として、反射レベルを用いた場合には、上述したように、外部光の影響を除外することができるため、より高い精度でゲルパッド30の貼付状態を判定することができる。
【0115】
上記実施形態では、電気刺激印加装置1が2つのセンサ部110を備え、ゲルパッド30がこれに対応する2つの反射マーカ33を備えると説明した。しかしながら、電気刺激印加装置1は、必ずしも2つのセンサ部110を備えていなくてもよい。電気刺激印加装置1は、少なくとも1つのセンサ部110を備えていればよい。ゲルパッド30は、電気刺激印加装置1が備えるセンサ部110に対応する数量及び配置の反射マーカ33を備える。
【0116】
また、印加部20におけるセンサ部110の配置は、上記実施形態で示したものに限られない。センサ部110の配置は、適宜定めることができる。ゲルパッド30における反射マーカ33の配置についても同様に、センサ部110の配置に対応させて適宜定めることができる。
【0117】
また、ゲルパッド30が複数の反射マーカ33を備える場合、複数の反射マーカ33は、必ずしも同一の光の反射率を有していなくてもよい。複数の反射マーカ33の光の反射率は、異なっていてもよい。ゲルパッド30は、光の反射率が対極となる、複数の反射マーカ33を備えていてもよい。この場合の例(変形例)について、図25から28を参照して説明する。
【0118】
図25は、一変形例に係る印加部40の裏面を示す概略図である。図26は、図25の印加部40に対応するゲルパッド50を示す概略図である。図27は、図26に示すゲルパッド50を図25に示す印加部40に貼付した状態を示す概略図である。
【0119】
図25に示すように、本変形例において、印加部40は、第1電極部402aと第2電極部402bとの、2枚の電極部を備える。本変形例において、印加部40は、第1センサ部410a、第2センサ部410b、第3センサ部410c及び第4センサ部410dという、4つのセンサ部を備える。第1センサ部410aと第2センサ部410bとは近接した位置に配置され、第3センサ部410cと第4センサ部410dとは近接した位置に配置される。また、第1センサ部410aと第3センサ部410c、及び、第2センサ部410bと第4センサ部410dとは、長方形状の印加部40の2つの対角線が交差する点を中心として回転対称となる位置に配置されている。第1センサ部410a、第2センサ部410b、第3センサ部410c及び第4センサ部410dの構成は、図2のセンサ部110と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0120】
図26に示すように、本変形例において、ゲルパッド50は、支持体51と、2枚の導電性ゲル52とを備える。支持体51及び導電性ゲル52の構成は、それぞれ図3の支持体31及び導電性ゲル32と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0121】
本変形例において、ゲルパッド50は、第1反射マーカ53a、第2反射マーカ53b、第3反射マーカ53c及び第4反射マーカ53dを備える。図27に示すように、第1反射マーカ53a、第2反射マーカ53b、第3反射マーカ53c及び第4反射マーカ53dは、それぞれ、ゲルパッド50を印加部40の裏面側の適切な位置に貼付した場合に、第1センサ部410a、第2センサ部410b、第3センサ部410c及び第4センサ部410dが配置されている位置に一致する位置に形成されている。
【0122】
本変形例では、第1反射マーカ53a及び第3反射マーカ53cが、光の反射率が、所定の第1反射率以上である。また、第2反射マーカ53b及び第4反射マーカ53dが、光の反射率が、所定の第2反射率以下である。ただし、第1反射率は第2反射率より高いとする。本変形例では、第1反射マーカ53a及び第3反射マーカ53cは、白色であり、第2反射マーカ53b及び第4反射マーカ53dは、黒色であるとする。
【0123】
図28は、本変形例のゲルパッド50の適切な貼付状態における、センサ部による光の受光態様を示す模式図である。図28は、印加部40を備える電気刺激印加装置が、生体等としてのユーザ腹部に貼付された状態の図であり、ゲルパッド50と、印加部40と、電気刺激印加装置が貼付される生体等としてのユーザ腹部との模式的な断面を示す図である。
【0124】
印加部40に対するゲルパッド50の貼付状態が適切な状態である場合、図28に示すように、第1センサ部410aが第1反射マーカ53aにより覆われ、第2センサ部410bが第2反射マーカ53bにより覆われる。この場合、第1センサ部410aの発光部から照射された光は、白色の第1反射マーカ53aにおいて反射される。すなわち、第1センサ部410aの受光部は、発光時、白色の第1反射マーカ53aにおいて反射された反射光を受光する。一方、第2センサ部410bの発光部から照射された光は、黒色の第2反射マーカ53bにおいて反射される。すなわち、第2センサ部410bの受光部は、発光時、黒色の第2反射マーカ53bにおいて反射された反射光を受光する。そのため、ゲルパッド50の貼付状態が適切な状態である場合、第1センサ部410aの受光部が受光する受光強度に関する値は、所定の第1閾値以上となり、第2センサ部410bの受光部が受光する受光強度に関する値は、所定の第2閾値未満となる。ここで、第1閾値は第2閾値より大きい値である。電気刺激印加装置の制御部は、第1センサ部410aの受光部が受光する受光強度に関する値が第1閾値以上であり、第2センサ部410bの受光部が受光する受光強度に関する値が第2閾値未満であるか否かにより、ゲルパッド50の貼付状態を判定することができる。なお、第3センサ部410c及び第4センサ部410dについても、これと同様の考え方が適用できる。
【0125】
このように、複数の反射マーカが異なる光の反射率を有することにより、誤検出の可能性を減らすことができる。例えば、全ての反射マーカが白色であるとする。仮に、電気刺激印加装置にゲルパッドが貼付されていない状態で、センサ部が白色の机の面と接触するように、白色の机に置かれたとする。この場合、センサ部の発光部により照射された光が、白色の机で反射されるため、受光部での受光強度に関する値に基づき、電気刺激印加装置の制御部は、貼付状態が適切であると、誤って判定する可能性がある。これに対し、複数の反射マーカが異なる光の反射率を有する場合には、これらの異なる反射率の反射マーカごとに、受光部での受光強度に関する値に関する条件が満たされなければ、貼付状態が適切であると判定されないため、誤検出の可能性が低減される。つまり、貼付状態の判定精度が向上する。
【0126】
また、上述した電気刺激印加装置1は、外部の装置と通信可能に構成されていてもよい。例えば、電気刺激印加装置1は、外部の装置と有線又は無線通信可能に構成される。外部の装置は、例えば携帯電話やコンピュータ等の装置であってよい。電気刺激印加装置1は、例えば貼付状態が適切であるか否かの判定結果の情報を、外部の装置に送信する。外部の装置は、受信した判定結果の情報を、例えばディスプレイ等に表示することにより、情報を報知することができる。
【0127】
本開示に係る電気刺激印加システム及び判定方法は、上述した実施形態で特定された構成に限定されず、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本開示は、電気刺激印加システム及び判定方法に関する。
【符号の説明】
【0129】
1:電気刺激印加装置
2:電気刺激印加システム
10:本体部
20、40:印加部
30、50:ゲルパッド
31、51:支持体
32、52:導電性ゲル
33:反射マーカ
33a、53a:第1反射マーカ
33b、53b:第2反射マーカ
34:保護フィルム
40:印加部
53c:第3反射マーカ
53d:第4反射マーカ
101:入力部
101a:第1入力部
101b:第2入力部
102:電極部
102a、402a:第1電極部
102b、402b:第2電極部
103:制御部
104:表示部
104a:第1表示灯
104b:第2表示灯
104c:第3表示灯
105:タイマ部
106:記憶部
107:電源部
108:ヒータ
109:電気刺激出力部
110:センサ部
110a、410a:第1センサ部
110b、410b:第2センサ部
120、130:直線部
121、131:円弧部
410c:第3センサ部
410d:第4センサ部
図1
図2
図3
図4
図5
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