(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】電気刺激印加装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/32 20060101AFI20240821BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
A61N1/32
A61N1/04
(21)【出願番号】P 2022509281
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(86)【国際出願番号】 JP2021000539
(87)【国際公開番号】W WO2021192489
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2020054896
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】豊島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】矢口 喜明
(72)【発明者】
【氏名】有田 栄次
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-82566(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0213875(US,A1)
【文献】特開2013-220294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/32
A61N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電性ゲル及び第2導電性ゲルを介して生体又は生体組織に電気刺激を印加可能な電気刺激印加装置であって、
複数の第1電極を備え、前記第1導電性ゲルが貼付される第1電極群と、
複数の第2電極を備え、前記第2導電性ゲルが貼付される第2電極群と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記複数の第1電極のうちの少なくとも2つの第1電極の間の第1インピーダンスと、前記複数の第2電極のうちの少なくとも2つの第2電極の間の第2インピーダンスとに基づいて、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルの状態を判定する、電気刺激印加装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気刺激印加装置において、
前記制御部は、前記第1インピーダンス又は前記第2インピーダンスが第1閾値以上である場合、前記第1導電性ゲル又は前記第2導電性ゲルの貼付状態が適切でないと判定する、電気刺激印加装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電気刺激印加装置において、
前記制御部は、前記第1インピーダンス又は前記第2インピーダンスが、前記第1閾値より小さい第2閾値以上であり、且つ、前記第1閾値より小さい場合、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルが交換必要な状態であると判定する、電気刺激印加装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電気刺激印加装置において、
前記制御部は、前記第1インピーダンス及び前記第2インピーダンスが前記第2閾値より小さい場合、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルが交換不要な状態であると判定する、電気刺激印加装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気刺激印加装置において、
前記制御部は、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルが交換不要な状態であると判定した場合に、前記電気刺激を印加する、電気刺激印加装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気刺激印加装置において、
入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記入力部が前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルの状態を判定する操作を受け付けると、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルの状態を判定する処理を開始する、電気刺激印加装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気刺激印加装置において、
前記制御部は、電力を供給されると、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルの状態を判定する処理を開始する、電気刺激印加装置。
【請求項8】
第1導電性ゲル及び第2導電性ゲルを介して生体又は生体組織に電気刺激を印加可能な電気刺激印加装置であって、
前記第1導電性ゲルが貼付される第1電極及び第1検出電極と、
前記第2導電性ゲルが貼付される第2電極及び第2検出電極と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1電極と前記第1検出電極との間の第1インピーダンスと、前記第2電極と前記第2検出電極との間の第2インピーダンスとに基づいて、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルの状態を判定する、電気刺激印加装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気刺激印加装置及び判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱分極を惹起させないレベルの微弱な電気刺激と、温熱とを生体又は生体組織に印加することにより、様々な疾患の治療を行う装置が知られている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、電気刺激としての微弱な電流と、温熱とを、生体又は生体組織に印加することにより、神経変性疾患、癌疾患、色素性乾皮症、全身性自己免疫疾患、及び臓器特異性自己免疫疾患等の疾患の治療を行う装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/065239号
【文献】特開2009-125549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の装置による治療は、導電性ゲルを備えるシート材を介して当該装置が生体又は生体組織に貼付された状態で行われる。生体又は生体組織には、導電性ゲルを介して、電気刺激が印加される。
【0005】
導電性ゲルは、汚れが付着したり、導電性ゲルが含んでいる水分が揮発したりすると、インピーダンスが増加する。導電性ゲルは、インピーダンスが増加すると電気刺激を通しにくくなるため、インピーダンスが増加した導電性ゲルは、新しい導電性ゲルと交換することが望ましい。
【0006】
しかしながら、インピーダンスの増加のような導電性ゲルの状態の変化をユーザが判断することは困難であるため、導電性ゲルの交換時期をユーザが判断することは困難であった。
【0007】
本開示の目的は、電気刺激印加装置で用いられる導電性ゲルの状態を判定可能な電気刺激印加装置及び判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様としての電気刺激印加装置は、第1導電性ゲル及び第2導電性ゲルを介して生体又は生体組織に電気刺激を印加可能な電気刺激印加装置であって、複数の第1電極を備え、前記第1導電性ゲルが貼付される第1電極群と、複数の第2電極を備え、前記第2導電性ゲルが貼付される第2電極群と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数の第1電極のうちの少なくとも2つの第1電極の間の第1インピーダンスと、前記複数の第2電極のうちの少なくとも2つの第2電極の間の第2インピーダンスとに基づいて、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルの状態を判定する。
【0009】
本開示の一実施形態としての電気刺激印加装置において、前記制御部は、前記第1インピーダンス又は前記第2インピーダンスが第1閾値以上である場合、前記第1導電性ゲル又は前記第2導電性ゲルの貼付状態が適切でないと判定する。
【0010】
本開示の一実施形態としての電気刺激印加装置において、前記制御部は、前記第1インピーダンス又は前記第2インピーダンスが、前記第1閾値より小さい第2閾値以上であり、且つ、前記第1閾値より小さい場合、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルが交換必要な状態であると判定するする。
【0011】
本開示の一実施形態としての電気刺激印加装置において、前記制御部は、前記第1インピーダンス及び前記第2インピーダンスが前記第2閾値より小さい場合、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルが交換不要な状態であると判定する。
【0012】
本開示の一実施形態としての電気刺激印加装置において、前記制御部は、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルが交換不要な状態であると判定した場合に、前記電気刺激を印加する。
【0013】
本開示の一実施形態としての電気刺激印加装置において、前記電気刺激印加装置は、入力部をさらに備え、前記制御部は、前記入力部が前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルの状態を判定する操作を受け付けると、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルの状態を判定する処理を開始する。
【0014】
本開示の一実施形態としての電気刺激印加装置において、前記制御部は、電力を供給されると、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルの状態を判定する処理を開始する。
【0015】
本開示の第2の態様としての電気刺激印加装置は、第1導電性ゲル及び第2導電性ゲルを介して生体又は生体組織に電気刺激を印加可能な電気刺激印加装置であって、前記第1導電性ゲルが貼付される第1電極及び第1検出電極と、前記第2導電性ゲルが貼付される第2電極及び第2検出電極と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1電極と前記第1検出電極との間の第1インピーダンスと、前記第2電極と前記第2検出電極との間の第2インピーダンスとに基づいて、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルの状態を判定する。
【0016】
本開示の第3の態様としての判定方法は、第1導電性ゲル及び第2導電性ゲルを介して生体又は生体組織に電気刺激を印加可能な電気刺激印加装置における判定方法であって、前記電気刺激印加装置は、複数の第1電極を備え、前記第1導電性ゲルが貼付される第1電極群と、複数の第2電極を備え、前記第2導電性ゲルが貼付される第2電極群と、を備え、前記判定方法は、前記複数の第1電極のうちの少なくとも2つの第1電極の間の第1インピーダンスを測定するステップと、前記複数の第2電極のうちの少なくとも2つの第2電極の間の第2インピーダンスを測定するステップと、前記第1インピーダンス及び前記第2インピーダンスに基づいて、前記第1導電性ゲル及び前記第2導電性ゲルの状態を判定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、電気刺激印加装置で用いられる導電性ゲルの状態を判定可能な電気刺激印加装置及び判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態に係る電気刺激印加装置の概略的な外観斜視図である。
【
図2】
図1の電気刺激印加装置を裏面側から見た場合の外観斜視図である。
【
図3】電気刺激印加装置を生体等に貼付する際に用いられるシート材の概略構成を示す外観斜視図である。
【
図4】電気刺激印加装置にシート材を貼付した様子を示す外観斜視図である。
【
図5】
図1の電気刺激印加装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図5の電力出力関連部の概略的な回路図の一例である。
【
図7】一実施形態に係る電気刺激印加装置による導電性ゲルの状態の判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】インピーダンスの測定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図9】一実施形態に係る電気刺激印加装置による治療処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】一実施形態に係る電気刺激印加装置による導電性ゲルの状態の判定処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図11】一実施形態に係る電気刺激印加装置による治療処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図12】第1変型例に係る電気刺激印加装置を裏面側から見た場合の外観斜視図である。
【
図13】第2変型例に係る電気刺激印加装置を裏面側から見た場合の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。また、各図において、共通の部材には同一の符号を付している。
【0020】
図1は、一実施形態に係る電気刺激印加装置10の概略的な外観斜視図である。
【0021】
電気刺激印加装置10は、生体又は生体組織(以下、単に「生体等」とも称する)に電気刺激を印加可能な装置である。電気刺激印加装置10が生体等に電気刺激を印加することにより、疾患の治療が行われる。
【0022】
電気刺激印加装置10が印加する電気刺激は、微弱な電気刺激であってよい。本明細書では、電気刺激印加装置10が印加する電気刺激が微弱な電気刺激であるとして、以下説明する。ただし、本開示において、電気刺激印加装置10が印加する電気刺激は微弱な電気刺激に限られない。
【0023】
微弱な電気刺激は、生体等に対して、脱分極を惹起させないレベルの電気刺激である。脱分極を惹起させないレベルの電気刺激は、筋収縮及び刺激感を生体にもたらさないため、ユーザ(患者)は印加される電気刺激を感知することができない。電気刺激は、例えばパルス直流電流として、生体等に印加される。パルス直流電流は、例えば55Hzの周波数で印加される。パルス直流電流のパルス幅は、例えば100μ秒である。ただし、電気刺激は、これに限られず、疾患の治療に効果のある適宜の電気刺激が用いられてよい。例えば、パルス直流電流の周波数は55Hz以外であってもよく、パルス直流電流のパルス幅は100μ秒以外であってもよい。
【0024】
電気刺激印加装置10は、さらに生体等を加温する。すなわち、電気刺激印加装置10は、生体等に対して温熱を印加する。従って、電気刺激印加装置10は、電気刺激と温熱とを組み合わせて、生体等に印加することができる。この場合、微弱な電気刺激と温熱との印加により、疾患の治療が行われる。
【0025】
電気刺激印加装置10が生体等に対して印加する温熱は、生体等の平常時の温度よりも数度高い温熱である。例えば、電気刺激印加装置10が人体に対して温熱を印加する場合、人体の平常時の体温よりも数度高い、38℃以上45℃以下の温度の温熱を印加してよい。
【0026】
電気刺激印加装置10による治療は、電気刺激印加装置10を生体等の少なくとも一部に貼付した状態で実行される。例えば、電気刺激印加装置10は、粘着性のあるシート材を介して、生体等に貼付される。電気刺激印加装置10が生体等に貼付された状態で、例えば、電気刺激印加装置10のユーザ(患者)が、電気刺激印加装置10に対して、電気刺激印加装置10による治療を開始するための所定の操作入力を行うと、電気刺激及び温熱を印加することによる治療が行われる。
【0027】
図1に示すように、電気刺激印加装置10は、操作部101と印加部102とが結合されて構成される。操作部101は、筐体として構成されている。印加部102は、平板形状に構成されている。本実施形態では、印加部102は、長辺と短辺とを有する長方形状に形成されている。操作部101は、平板形状の印加部102の一方の面において、印加部102と結合されている。本明細書では、平板形状の印加部102において、操作部101が結合されている面を表面という。また、平板形状の印加部102において、表面とは反対側の、操作部101が結合されていない面を裏面という。
【0028】
筐体として構成されている操作部101は、内部に、電気刺激印加装置10の動作を制御するための各種機能部を有する。また、操作部101には、ユーザからの操作入力を受け付ける入力部103と、各種情報を報知する表示部104とが設けられている。
【0029】
図1に示す例においては、操作部101は、入力部103として、第1入力部103aと、第2入力部103bとを備える。なお、
図1に示す入力部103の構成は一例であり、入力部103は、第1入力部103aと第2入力部103bとを備える構成に限られない。
【0030】
第1入力部103a及び第2入力部103bは、例えば
図1に示すように、いずれも押下可能な操作ボタン(操作キー)として構成されていてよい。ただし、第1入力部103a及び第2入力部103bの形態は、押下可能な操作ボタンに限られない。また、第1入力部103a及び第2入力部103bの配置は、
図1に示す配置に限られない。
【0031】
本実施形態では、第1入力部103a及び第2入力部103bは、それぞれ異なる機能を実行させる操作ボタンである。具体的には、第1入力部103aは、電気刺激印加装置10に治療を開始させるための操作ボタンである。第2入力部103bは、電気刺激印加装置10に貼付された導電性ゲルの状態を判定する操作を開始させるための操作ボタンである。
【0032】
操作部101は、表示部104として、第1表示部104aと、第2表示部104bとを備える。なお、
図1に示す表示部104の構成は一例であり、表示部104は、第1表示部104aと第2表示部104bとを備える構成に限られない。
【0033】
第1表示部104a及び第2表示部104bは、例えばLED(Light Emitting Diode)として構成されていてよい。ただし、第1表示部104a及び第2表示部104bの形態は、LEDに限られない。また、第1表示部104a及び第2表示部104bの配置は、
図1に示す配置に限られない。
【0034】
第1表示部104a及び第2表示部104bは、例えば、表示する色によって、情報を報知してよい。また、第1表示部104a及び第2表示部104bは、例えば、常時点灯であるか点滅状態であるかによって、情報を報知してよい。
【0035】
本実施形態では、第1表示部104a及び第2表示部104bは、それぞれ異なる内容を報知する。具体的には、第1表示部104aは、電気刺激印加装置10の状態を報知する。電気刺激印加装置10の状態としては、例えば、治療中、又は、導電性ゲルの状態の判定中などの状態がある。第2表示部104bは、導電性ゲルの状態の判定結果を報知する。導電性ゲルの状態の判定結果としては、例えば、「導電性ゲルが交換必要な状態」、「導電性ゲルが交換不要な状態」、及び「導電性ゲルの貼付が適切でない状態」などがある。
【0036】
印加部102は、粘着性のあるシート材を介して、裏面が生体等に貼付される。印加部102は、電気刺激を出力する電極と、発熱するヒータとを備える。印加部102は、裏面が生体等に貼付された状態で、生体等に電気刺激と温熱とを印加する。
【0037】
図2は、
図1の電気刺激印加装置10を裏面側から見た場合の外観斜視図である。
図2に示すように、印加部102は、第1電極群105と、第2電極群107とを備える。第1電極群105は、第1電極106aと、第1電極106bとを備える。第2電極群107は、第2電極108aと、第2電極108bとを備える。なお、本明細書において、第1電極106aと第1電極106bとを区別しない場合には、これらをまとめて、単に「第1電極106」と記載する場合がある。また、本明細書において、第2電極108aと第2電極108bとを区別しない場合には、これらをまとめて、単に「第2電極108」と記載する場合がある。
【0038】
なお、
図2では、第1電極群105が2つの第1電極106を備える場合を示しているが、第1電極群105が備える第1電極106の数はこれに限られない。第1電極群105は、複数の第1電極106を備えていればよく、第1電極群105が備える第1電極の数は3つ以上であってもよい。同様に、
図2では、第2電極群107が2つの第2電極108を備える場合を示しているが、第2電極群107が備える第2電極108の数はこれに限られない。第2電極群107は、複数の第2電極108を備えていればよく、第2電極群107が備える第2電極の数は3つ以上であってもよい。
【0039】
第1電極106及び第2電極108は、印加部102の裏面側において、外部に露出している。例えば、第1電極群105及び第2電極群107のうち、一方を接地し、他方について電圧を変化させることにより、電気刺激が出力される。
【0040】
印加部102は、内部にヒータを備える。すなわち、印加部102は、表面と裏面との間に、ヒータを備える。ヒータを加熱することにより、裏面が生体等に貼付された状態で、生体等に温熱が伝達されて、生体等が温められる。
【0041】
図3は、電気刺激印加装置10を生体等に貼付する際に用いられるシート材20の概略構成を示す外観斜視図である。
【0042】
シート材20は、フレーム部201と、第1導電性ゲル202aと、第2導電性ゲル202bとを備える。なお、本明細書において、第1導電性ゲル202aと第2導電性ゲル202bとを区別しない場合には、これらをまとめて、単に「導電性ゲル202」と記載する場合がある。
【0043】
フレーム部201は、例えば樹脂等の非導電性材料により構成される。フレーム部201の外形は、電気刺激印加装置10の印加部102の外形とほぼ同じ大きさに形成されている。フレーム部201は、2枚の導電性ゲル202を配置するための2つの開口(貫通孔)を有する。2つの開口は、シート材20を印加部102の裏面側に貼付したときに、第1電極群105及び第2電極群107が配置されている位置を囲うことが可能な位置に形成されている。
【0044】
2枚の導電性ゲル202は、フレーム部201の2つの開口に配置される。2枚の導電性ゲル202の間は、非導電性のフレーム部201によって絶縁されている。導電性ゲル202は、粘着性を有することにより、電気刺激印加装置10を生体等に貼付することができる。シート材20が印加部102の裏面側に貼付された状態において、第1導電性ゲル202aは、第1電極群105に貼付されて第1電極群105に電気的に接触する。また、第2導電性ゲル202bは、第2電極群107に貼付されて第2電極群107に電気的に接触する。これにより、電気刺激印加装置10がシート材20により生体等に貼付されて、第1電極群105と第2電極群107との間に電気刺激が出力された場合に、当該電気刺激が、2枚の導電性ゲル202を介して生体等に印加される。
【0045】
図4は、電気刺激印加装置10に、フレーム部201と2枚の導電性ゲル202とを備えるシート材20が貼付されている様子を示す外観斜視図である。
図4に示す例では、電気刺激印加装置10の印加部102の裏面にシート材20が貼付された状態において、第1導電性ゲル202aが、第1電極群105が備える第1電極106a及び第1電極106bと電気的に接続している。また、第2導電性ゲル202bが、第2電極群107が備える第2電極108a及び第2電極108bと電気的に接続している。このように、第1導電性ゲル202aは、第1電極群105が備える第1電極106a及び第1電極106bの全体を覆うことができる大きさ及び形状に構成されている。また、第2導電性ゲル202bは、第2電極群107が備える第2電極108a及び第2電極108bの全体を覆うことができる大きさ及び形状に構成されている。電気刺激印加装置10は、第1導電性ゲル202a及び第2導電性ゲル202bを介して生体等に電気刺激を印加可能である。
【0046】
図5は、
図1の電気刺激印加装置10の概略構成を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、電気刺激印加装置10は、入力部103と、表示部104と、通信部109と、記憶部110と、制御部111と、ヒータ112と、電力出力関連部113と、電源部114とを備える。入力部103、表示部104、通信部109、記憶部110、制御部111、及び電源部114は、例えば
図1に示す操作部101に設けられる。ヒータ112は、例えば
図1に示す印加部102に設けられる。ただし、各機能部が操作部101及び印加部102のいずれに設けられるかについては、本明細書に記載の機能を発揮する限り、ここで示した例に限られない。
【0047】
入力部103は、ユーザからの操作入力を受け付ける。入力部103は、例えば、操作ボタンにより構成される。本実施形態では、入力部103は、上述したように、第1入力部103a及び第2入力部103bという2つの操作ボタンにより構成される。なお、入力部103は、例えばタッチスクリーンにより構成され、表示デバイスの一部にユーザからの操作入力を受け付ける入力領域を表示して、ユーザによるタッチ操作入力を受け付けてもよい。ユーザにより、入力部103に対する操作入力が行われると、例えば操作入力に応じた電気信号が制御部111に送信される。
【0048】
表示部104は、各種情報を報知する。表示部104は、例えば、LEDにより構成される。表示部104は、各種情報を報知する報知部の一態様である。本実施形態では、表示部104は、上述したように、第1表示部104a及び第2表示部104bという2つの表示部により構成される。なお、表示部104は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は無機ELディスプレイ等の表示デバイスであってもよい。表示部104は、制御部111による制御に基づき、様々な情報を表示する。
【0049】
電気刺激印加装置10は、必ずしも表示部104を備えていなくてもよい。電気刺激印加装置10は、表示部104に代えて、又は表示部104とともに、情報をユーザに報知する報知部として、他の機構を備えていてもよい。例えば、電気刺激印加装置10は、音により情報をユーザに報知するスピーカを備えていてもよい。例えば、電気刺激印加装置10は、振動により情報をユーザに報知する振動子を備えていてもよい。例えば、電気刺激印加装置10は、通信部109を介して情報を送信することによって、ユーザが所有している情報端末に情報を報知してもよい。なお、報知部は、ここで示した例に限られず、ユーザに情報を報知可能な任意の機構とすることができる。
【0050】
通信部109は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェース、又はBluetooth(登録商標)インタフェースなどである。通信部109は、ネットワークを介して又は直接、各種装置と通信可能である。通信部109は、例えば、ユーザが所有している情報端末と無線通信可能である。
【0051】
記憶部110は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成することができる。記憶部110は、例えば、各種情報及び電気刺激印加装置10を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部110は、ワークメモリとしても機能してもよい。
【0052】
制御部111は、電気刺激印加装置10の各機能部をはじめとして、電気刺激印加装置10の全体を制御及び管理する。制御部111は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成される。制御部111は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。
【0053】
制御部111は、電気刺激印加装置10に貼付された導電性ゲル202の状態を判定する。制御部111は、第1導電性ゲル202aの状態を判定するとき、第1電極106aと第1電極106bとの間のインピーダンスを測定する。制御部111は、測定した第1電極106aと第1電極106bとの間のインピーダンスに基づいて、第1導電性ゲル202aの状態を判定する。制御部111は、第2導電性ゲル202bの状態を判定するとき、第2電極108aと第2電極108bとの間のインピーダンスを測定する。制御部111は、測定した第2電極108aと第2電極108bとの間のインピーダンスに基づいて、第2導電性ゲル202bの状態を判定する。制御部111による、導電性ゲル202の状態の判定処理の詳細については、後述する。
【0054】
ヒータ112は、温熱を印加する。ヒータ112は、例えば電熱線等の、電力の供給により発熱する部材により構成されている。ヒータ112は、例えば電源部114から電力の供給を受けて発熱する。ヒータ112が発熱すると、電気刺激印加装置10が貼付された生体等に、温熱が伝達される。
【0055】
電力出力関連部113は、導電性ゲル202の状態の判定処理、及び電気刺激の出力の処理を実行する機能部の集合である。電力出力関連部113の詳細は、
図6に回路図として示している。電力出力関連部113の詳細については後述する。
【0056】
電源部114は、電気刺激印加装置10の各機能部に電力を供給するバッテリである。電源部114は、例えば、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池などの二次電池であってよい。
【0057】
図6を参照して、電力出力関連部113の構成及び機能について説明する。
【0058】
図6は、
図5の電力出力関連部113の概略的な回路図の一例である。電力出力関連部113は、導電性ゲル202の状態の判定処理及び電気刺激の出力の処理を実行する機能部の集合である。
図6に示す各機能部は、例えば
図5の制御部111により制御される。
【0059】
図6は、電気刺激印加装置10にシート材20が貼付された状態を示している。従って、第1電極群105が備える第1電極106a及び第1電極106bは、シート材20の第1導電性ゲル202aと電気的に接続している。また、第2電極群107が備える第2電極108a及び第2電極108bは、シート材20の第2導電性ゲル202bと電気的に接続している。
【0060】
図6に示すように、電力出力関連部113は、第1電極群105と、第2電極群107と、治療用電圧生成回路121と、判定用電圧生成回路122と、第1回路切換スイッチ123と、第2回路切換スイッチ124と、第3回路切換スイッチ125と、第4回路切換スイッチ126と、電圧測定回路127と、第1電流測定回路128と、第2電流測定回路129とを備える。
【0061】
第1電極群105が備える第1電極106a及び第1電極106bは、ユーザを治療するための治療処理が実行されるときは同電位で動作し、導電性ゲル202の判定処理が実行されるときは異なる電位で動作する。
【0062】
治療処理が実行されるとき、第1電極106a及び第1電極106bは、両方とも治療用電圧生成回路121に接続される。これにより、第1電極106a及び第1電極106bは、治療処理が実行されるときに、電気刺激を出力することができる。導電性ゲル202の判定処理が実行されるとき、第1電極106aは第1電流測定回路128に接続され、第1電極106bは判定用電圧生成回路122に接続される。
【0063】
治療処理が実行されるとき、第2電極108a及び第2電極108bは、両方ともグランド(GND)に接続される。導電性ゲル202の判定処理が実行されるとき、第2電極108aは判定用電圧生成回路122に接続され、第2電極108bは第2電流測定回路129に接続される。
【0064】
治療用電圧生成回路121は、治療処理が実行されるとき、生体等に印加される電気刺激の電圧を生成する回路である。治療用電圧生成回路121には、
図5の電源部114から電力が供給される。
【0065】
判定用電圧生成回路122は、導電性ゲル202の判定処理が実行されるとき、第1電極106b及び第2電極108aから出力する電圧を生成する回路である。判定用電圧生成回路122は、インピーダンス測定のための予め定められた電圧を出力する。判定用電圧生成回路122には、
図5の電源部114から電力が供給される。
【0066】
第1回路切換スイッチ123は、制御部111による制御に基づき、第1電極106aの接続先を、治療用電圧生成回路121と、第1電流測定回路128とで、切り換える。具体的には、第1回路切換スイッチ123は、治療処理を実行する場合に、第1電極106aが治療用電圧生成回路121と導通するようにスイッチを切り換える。これにより、治療処理を実行するときに、第1電極106aに治療用電圧生成回路121から電力が供給される。また、第1回路切換スイッチ123は、導電性ゲル202の状態の判定処理を実行する場合に、第1電極106aが第1電流測定回路128と導通するようにスイッチを切り換える。これにより、導電性ゲル202の状態の判定処理を実行するときに、第1電極106aに流れる電流は、第1電流測定回路128に流れ込む。
図6は、第1回路切換スイッチ123が、第1電極106aと第1電流測定回路128とを導通させるように切り換えられている状態を示している。
【0067】
第2回路切換スイッチ124は、制御部111による制御に基づき、第1電極106bの接続先を、治療用電圧生成回路121と、判定用電圧生成回路122とで、切り換える。具体的には、第2回路切換スイッチ124は、治療処理を実行する場合に、第1電極106bが治療用電圧生成回路121と導通するようにスイッチを切り換える。これにより、治療処理を実行するときに、第1電極106bに治療用電圧生成回路121から電力が供給される。また、第2回路切換スイッチ124は、導電性ゲル202の状態の判定処理を実行する場合に、第1電極106bが判定用電圧生成回路122と導通するようにスイッチを切り換える。これにより、導電性ゲル202の状態の判定処理を実行するときに、第1電極106bに判定用電圧生成回路122から電力が供給される。
図6は、第2回路切換スイッチ124が、第1電極106bと判定用電圧生成回路122とを導通させるように切り換えられている状態を示している。
【0068】
第3回路切換スイッチ125は、制御部111による制御に基づき、第2電極108aの接続先を、グランド(GND)と、判定用電圧生成回路122とで、切り換える。具体的には、第3回路切換スイッチ125は、治療処理を実行する場合に、第2電極108aがグランドに接続されるようにスイッチを切り換える。これにより、治療処理を実行するときに、第2電極108aが接地される。また、第3回路切換スイッチ125は、導電性ゲル202の状態の判定処理を実行する場合に、第2電極108aが判定用電圧生成回路122と導通するようにスイッチを切り換える。これにより、導電性ゲル202の状態の判定処理を実行するときに、第2電極108aに判定用電圧生成回路122から電力が供給される。
図6は、第3回路切換スイッチ125が、第2電極108aと判定用電圧生成回路122とを導通させるように切り換えられている状態を示している。
【0069】
第4回路切換スイッチ126は、制御部111による制御に基づき、第2電極108bの接続先を、グランド(GND)と、第2電流測定回路129とで、切り換える。具体的には、第4回路切換スイッチ126は、治療処理を実行する場合に、第2電極108bがグランドに接続されるようにスイッチを切り換える。これにより、治療処理を実行するときに、第2電極108bが接地される。また、第4回路切換スイッチ126は、導電性ゲル202の状態の判定処理を実行する場合に、第2電極108bが第2電流測定回路129と導通するようにスイッチを切り換える。これにより、導電性ゲル202の状態の判定処理を実行するときに、第2電極108bに流れる電流は、第2電流測定回路129に流れ込む。
図6は、第4回路切換スイッチ126が、第2電極108bと第2電流測定回路129とを導通させるように切り換えられている状態を示している。
【0070】
電圧測定回路127は、導電性ゲル202の状態の判定処理を実行する場合に、第1電極106a、第1電極106b、第2電極108a及び第2電極108bの電圧を測定する。電圧測定回路127は、公知の電圧測定機構により構成することができる。
【0071】
第1電流測定回路128は、第1導電性ゲル202aの状態の判定処理を実行する場合に、第1電極106bから第1電極106aに流れる電流を測定する。第1電流測定回路128は、公知の電流測定機構により構成することができる。
【0072】
第2電流測定回路129は、第2導電性ゲル202bの状態の判定処理を実行する場合に、第2電極108aから第2電極108bに流れる電流を測定する。第2電流測定回路129は、公知の電流測定機構により構成することができる。
【0073】
続いて、電気刺激印加装置10の動作について説明する。
【0074】
電気刺激印加装置10は、印加部102に貼付されているシート材20の導電性ゲル202の状態を判定することができる。また、電気刺激印加装置10は、シート材20が貼付された電気刺激印加装置10が生体等に貼付された状態でユーザの治療を行うことができる。ユーザの治療を行う際は、シート材20が貼付された電気刺激印加装置10は、例えば、ユーザの腹部に貼付されている。以下の説明において、ユーザの治療について説明するときは、シート材20が貼付された電気刺激印加装置10が、ユーザの腹部に貼付されているとして説明する。
【0075】
電気刺激印加装置10の制御部111は、
図1に示す第1入力部103aが押下されると、ユーザの治療処理を実行する。また、制御部111は、
図1に示す第2入力部103bが押下されると、導電性ゲル202の状態の判定処理を実行する。
【0076】
図7に示すフローチャートを参照して、導電性ゲル202の状態の判定処理について説明する。
【0077】
電気刺激印加装置10の制御部111は、導電性ゲル202の状態の判定処理の開始を指示する操作を受け付けたか否かを常時判定している(ステップS101)。具体的には、例えば
図1に示すような構成の場合、制御部111は、第2入力部103bが押下されたか否かを常時判定している。
【0078】
導電性ゲル202の状態の判定処理の開始を指示する操作を受け付けていない場合(ステップS101のNo)、制御部111は、ステップS101の処理を繰り返す。
【0079】
導電性ゲル202の状態の判定処理の開始を指示する操作を受け付けている場合(ステップS101のYes)、制御部111は、電気刺激印加装置10に貼付されている導電性ゲル202のインピーダンスを測定する(ステップS102)。ここで、制御部111は、第1導電性ゲル202aのインピーダンス、及び、第2導電性ゲル202bのインピーダンスを、それぞれ独立に測定する。以後、第1導電性ゲル202aのインピーダンスを「第1インピーダンス」と称する場合がある。また、第2導電性ゲル202bのインピーダンスを「第2インピーダンス」と称する場合がある。制御部111が導電性ゲル202のインピーダンスを測定する処理の詳細については、後述する。
【0080】
制御部111は、第1インピーダンス又は第2インピーダンスが第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップS103)。ここで、第1閾値は、予め設定された所定の閾値であり、記憶部110に格納されていてよい。なお、第1閾値は、電気刺激印加装置10にシート材20が適切に貼付されているか否かを判定するための閾値であるため、非常に大きな値の閾値である。
【0081】
第1インピーダンス又は第2インピーダンスが第1閾値以上であると判定した場合(ステップS103のYes)、制御部111は、電気刺激印加装置10への第1導電性ゲル202a又は第2導電性ゲル202bの貼付状態が適切でないと判定する(ステップS104)。この場合、制御部111は、導電性ゲル202の貼付状態が適切でない旨を表示部104に報知させ、導電性ゲル202を電気刺激印加装置10に適切に貼り付けることをユーザに促してよい。
【0082】
第1インピーダンス及び第2インピーダンスのいずれも第1閾値より小さいと判定した場合(ステップS103のNo)、制御部111は、第1インピーダンス又は第2インピーダンスが第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップS105)。ここで、第2閾値は、予め設定された所定の閾値であり、記憶部110に格納されていてよい。なお、第2閾値は、導電性ゲル202が交換必要な状態か交換不要な状態かを判定するための閾値であり、第1閾値よりも小さい閾値である。
【0083】
第1インピーダンス又は第2インピーダンスが第2閾値以上であると判定した場合(ステップS105のYes)、制御部111は、第1導電性ゲル202a及び第2導電性ゲル202bが交換必要な状態であると判定する(ステップS106)。この場合、制御部111は、導電性ゲル202が交換必要な状態である旨を表示部104に報知させ、電気刺激印加装置10に貼付しているシート材20を交換することをユーザに促してよい。
【0084】
第1インピーダンス及び第2インピーダンスのいずれも第2閾値より小さいと判定した場合(ステップS105のNo)、制御部111は、第1導電性ゲル202a及び第2導電性ゲル202bが交換不要な状態であると判定する(ステップS107)。この場合、制御部111は、導電性ゲル202が交換不要な状態である旨を表示部104に報知させてよい。
【0085】
図8に示すフローチャートを参照して、
図7のステップS102の処理、すなわち、インピーダンスを測定する処理の詳細について説明する。
【0086】
電気刺激印加装置10の制御部111は、インピーダンスの測定を行う電極群を選択する(ステップS201)。本実施形態においては、制御部111は、インピーダンスの測定を行う電極群が第1電極群105であるか第2電極群107であるかを選択する。インピーダンスの測定を行う電極群の順番の設定は予め記憶部110に格納されていてよい。本実施形態においては、第1電極群105、第2電極群107の順番でインピーダンスを測定するものとして説明する。従って、最初に、制御部111は、インピーダンスの測定を行う電極群として、第1電極群105を選択する。
【0087】
制御部111は、第2回路切換スイッチ124を制御し、第1電極106bを判定用電圧生成回路122に接続させる(ステップS202)。
【0088】
制御部111は、第1回路切換スイッチ123を制御し、第1電極106aを第1電流測定回路128に接続させる(ステップS203)。
【0089】
制御部111は、判定用電圧生成回路122に判定用電圧を生成させ、第1電極106bに判定用電圧を印加させる(ステップS204)。
【0090】
ステップS204において、第1電極106bに判定用電圧が印加されると、第1電極106b、第1導電性ゲル202a、第1電極106a、及び第1電流測定回路128の経路で電流が流れる。
【0091】
電圧測定回路127は、第1電極106bの電圧、及び第1電極106aの電圧を測定する(ステップS205)。制御部111は、電圧測定回路127が測定した、第1電極106bの電圧、及び第1電極106aの電圧を取得する。
【0092】
ステップS205において、第1電極106bには既知の判定用電圧が印加されているため、電圧測定回路127は、第1電極106bの電圧を測定しなくてもよい。
【0093】
第1電流測定回路128は、第1電極106bから第1電極106aに流れる電流を測定する(ステップS206)。制御部111は、第1電流測定回路128が測定した、第1電極106bから第1電極106aに流れる電流を取得する。なお、インピーダンスのリアクタンスによる過渡応答がある場合には、第1電極106bに判定用電圧が印加されてから、第1電極106bから第1電極106aに流れる電流が安定するまでには、ある程度時間がかかる。従って、ステップS205において、電圧測定回路127は、第1電極106bに判定用電圧が印加されてから所定の待機時間が経過した後に、第1電極106bの電圧、及び第1電極106aの電圧を測定してよい。また、ステップS206において、第1電流測定回路128は、第1電極106bに判定用電圧が印加されてから所定の待機時間が経過した後に、第1電極106bから第1電極106aに流れる電流を測定してよい。
【0094】
制御部111は、第1電極106bの電圧と、第1電極106aの電圧と、第1電極106bから第1電極106aに流れる電流とに基づいて、第1電極106bと第1電極106aとの間のインピーダンスを算出する(ステップS207)。制御部111は、例えば以下の数式(1)に基づいて、第1電極106bと第1電極106aとの間のインピーダンスを算出してよい。
Z=(E1―E2)/I (1)
ここで、Zは、第1電極106bと第1電極106aとの間のインピーダンス、すなわち第1インピーダンスである。E1は、第1電極106bの電圧である。E2は、第1電極106aの電圧である。Iは、第1電極106bから第1電極106aに流れる電流である。
【0095】
制御部111は、全ての電極群についてインピーダンスを測定したか否かを判定する(ステップS208)。
【0096】
全ての電極群についてインピーダンスを測定していない場合(ステップS208のNo)、制御部111は、ステップS201に戻る。例えば、第1電極群105と第2電極群107のうち第1電極群105についてのみインピーダンスを測定した段階の場合、制御部111は、ステップS201に戻る。制御部111は、次は、第2電極群107についてステップS202~ステップS207の処理を実行し、インピーダンスを測定する。第2電極群107についてステップS202~ステップS207の処理を実行する場合、制御部111は、上述したステップS201~ステップS207の説明において、第1電極106b、第1電極106a、第2回路切換スイッチ124、第1回路切換スイッチ123、第1電流測定回路128、及び第1導電性ゲル202aを、それぞれ、第2電極108a、第2電極108b、第3回路切換スイッチ125、第4回路切換スイッチ126、第2電流測定回路129、及び第2導電性ゲル202bと置き換えた処理を実行する。
【0097】
ステップS208において全ての電極群についてインピーダンスを測定している場合(ステップS208のYes)、制御部111は、
図7のステップS102の処理を終了し、
図7のステップS103に進む。
【0098】
なお、ステップS202~ステップS207の処理は、必ずしもこの順番で実行されなくてもよい。例えば、ステップS202とステップS203の順番は逆でもよい。あるいは、ステップS202とステップS203は同時に実行されてもよい。
【0099】
また、
図8に示すフローチャートで算出した、第1電極106bと第1電極106aとの間のインピーダンスは、ほぼ、第1導電性ゲル202aのインピーダンスと等しい。従って、本明細書では、「第1電極106bと第1電極106aとの間のインピーダンス」について、「第1導電性ゲル202aのインピーダンス」と記載する場合がある。同様に、本明細書では、「第2電極108aと第2電極108bとの間のインピーダンス」について、「第2導電性ゲル202bのインピーダンス」と記載する場合がある。
【0100】
続いて、
図9に示すフローチャートを参照して、電気刺激印加装置10によるユーザの治療処理について説明する。
図9に示す治療処理は、
図1に示す第1入力部103aが押下されたときに開始する処理である。なお、
図9に示す治療処理が開始される前に、シート材20が貼付された電気刺激印加装置10が、ユーザの腹部に貼付されているものとする。
【0101】
電気刺激印加装置10の制御部111は、第1電極106bと第1電極106aとの間のインピーダンスである第1インピーダンスと、第2電極108aと第2電極108bとの間のインピーダンスである第2インピーダンスとを測定する(ステップS301)。ステップS301におけるインピーダンスの測定は、
図8に示すステップS201~S208の処理と同様の処理によって実行される。
【0102】
制御部111は、第1インピーダンス又は第2インピーダンスが所定閾値以上であるか否かを判定する(ステップS302)。ここで、所定閾値は、予め設定された閾値であり、記憶部110に格納されていてよい。
【0103】
第1インピーダンス又は第2インピーダンスが所定閾値以上であると判定した場合(ステップS302のYes)、制御部111は、導電性ゲル202が交換必要な状態であると判定する(ステップS303)。この場合、制御部111は、導電性ゲル202が交換必要な状態である旨を表示部104に報知させ、電気刺激印加装置10に貼付しているシート材20を交換することをユーザに促してよい。
【0104】
第1インピーダンス及び第2インピーダンスのいずれも所定閾値より小さいと判定した場合(ステップS302のNo)、制御部111は、導電性ゲル202が交換不要な状態であると判定し、ステップS304に進む。
【0105】
制御部111は、第1回路切換スイッチ123を制御し、第1電極106aを治療用電圧生成回路121に接続させる。また、制御部111は、第2回路切換スイッチ124を制御し、第1電極106bを治療用電圧生成回路121に接続させる(ステップS304)。
【0106】
制御部111は、第3回路切換スイッチ125を制御し、第2電極108aをグランド(GND)に接続させる。また、制御部111は、第4回路切換スイッチ126を制御し、第2電極108bをグランド(GND)に接続させる(ステップS305)。
【0107】
制御部111は、治療用電圧生成回路121に治療用電圧を生成させ、第1電極106a及び第1電極106bへの治療用電圧の印加を開始する(ステップS306)。
【0108】
制御部111は、予め設定された治療時間が経過すると、第1電極106a及び第1電極106bへの治療用電圧の印加を終了させる(ステップS307)。
【0109】
制御部111は、ステップS301と同様の手順により、第1インピーダンス及び第2インピーダンスを測定する(ステップS308)。
【0110】
制御部111は、第1インピーダンス又は第2インピーダンスが所定閾値以上であるか否かを判定する(ステップS309)。
【0111】
第1インピーダンス又は第2インピーダンスが所定閾値以上であると判定した場合(ステップS309のYes)、制御部111は、導電性ゲル202が交換必要な状態であると判定する(ステップS310)。この場合、制御部111は、導電性ゲル202が交換必要な状態である旨を表示部104に報知させ、電気刺激印加装置10に貼付しているシート材20を交換することをユーザに促してよい。
【0112】
第1インピーダンス及び第2インピーダンスのいずれも所定閾値より小さいと判定した場合(ステップS309のNo)、制御部111は、導電性ゲル202が交換不要な状態であると判定する。この場合、制御部111は、導電性ゲル202が交換不要な状態である旨を表示部104に報知させてよい。
【0113】
なお、
図9のフローチャートに示す処理において、治療開始前のインピーダンスの測定(ステップS301の処理)は、必ずしも必要ではない。治療開始前のインピーダンスの測定を行わない場合、ステップS301~S303の処理は省略してよい。また、
図9のフローチャートに示す処理において、治療終了後のインピーダンスの測定(ステップS308の処理)は、必ずしも必要ではない。治療終了後のインピーダンスの測定を行わない場合、ステップS308~S310の処理は省略してよい。治療開始前のインピーダンスの測定、及び治療終了後のインピーダンスの測定は、いずれか一方が省略されてもよいし、両方が省略されてもよい。
【0114】
(導電性ゲルの状態の判定処理の自動開始)
図7においては、
図1に示す第2入力部103bが押下されたときに、導電性ゲル202の状態の判定処理を開始する場合を説明した。電気刺激印加装置10は、電源部114から電力を供給されると、自動的に導電性ゲル202の状態の判定処理を開始してもよい。電気刺激印加装置10の制御部111は、例えば、バッテリである電源部114が電気刺激印加装置10に装着されると、自動的に導電性ゲル202の状態の判定処理を開始する。
【0115】
図10に示すフローチャートを参照して、電源部114が電気刺激印加装置10に装着されて、制御部111が電源部114から電力を供給されたときに、制御部111が自動的に導電性ゲル202の状態の判定処理を開始する処理を説明する。電気刺激印加装置10は、
図10のフローチャートに示す処理を、制御部111が電源部114から電力を供給されている間、常時繰り返して行ってよい。
【0116】
記憶部110には、初期インピーダンスを記録することができる。初期インピーダンスは、シート材20が電気刺激印加装置10に装着された後に最初に測定された第1インピーダンス及び第2インピーダンスである。また、記憶部110には、合格フラグを記録することができる。合格フラグは、第1インピーダンス及び第2インピーダンスに基づいて導電性ゲル202の状態が判定された結果、導電性ゲル202が交換不要と判定されたことを示すフラグである。
【0117】
制御部111は、電源部114が電気刺激印加装置10に装着されて、電源部114から電力の供給が開始されると、初期化を行い、初期インピーダンス及び合格フラグをクリアする(ステップS401)。
【0118】
制御部111は、第1インピーダンス及び第2インピーダンスを測定する(ステップS402)。ステップS402におけるインピーダンスの測定は、
図8に示すステップS201~S208の処理と同様の処理によって実行される。
【0119】
制御部111は、第1インピーダンス又は第2インピーダンスが第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップS403)。
【0120】
第1インピーダンス又は第2インピーダンスが第1閾値以上であると判定した場合(ステップS403のYes)、制御部111は、電気刺激印加装置10への第1導電性ゲル202a又は第2導電性ゲル202bの貼付状態が適切でないと判定する(ステップS404)。この場合、制御部111は、導電性ゲル202の貼付状態が適切でない旨を表示部104に報知させ、導電性ゲル202を電気刺激印加装置10に適切に貼り付けることをユーザに促してよい。
【0121】
制御部111は、ステップS404に続いて、初期インピーダンス及び合格フラグをクリアする(ステップS405)。
【0122】
第1インピーダンス及び第2インピーダンスのいずれも第1閾値より小さいと判定した場合(ステップS403のNo)、制御部111は、初期インピーダンスが既に記憶部110に記録されているか否かを判定する(ステップS406)。
【0123】
初期インピーダンスがまだ記憶部110に記録されていないと判定した場合(ステップS406のNo)、制御部111は、ステップS402で測定した第1インピーダンス及び第2インピーダンスを初期インピーダンスとして記憶部110に記録する(ステップS407)。
【0124】
制御部111は、ステップS407に続いて、合格フラグをクリアする(ステップS408)。
【0125】
初期インピーダンスが既に記憶部110に記録されていると判定した場合(ステップS406のYes)、制御部111は、第1インピーダンス又は第2インピーダンスが第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップS409)。
【0126】
第1インピーダンス又は第2インピーダンスが第2閾値以上であると判定した場合(ステップS409のYes)、制御部111は、第1導電性ゲル202a及び第2導電性ゲル202bが交換必要な状態であると判定する(ステップS410)。この場合、制御部111は、導電性ゲル202が交換必要な状態である旨を表示部104に報知させ、電気刺激印加装置10に貼付しているシート材20を交換することをユーザに促してよい。
【0127】
制御部111は、ステップS410に続いて、合格フラグをクリアする(ステップS411)。
【0128】
第1インピーダンス及び第2インピーダンスのいずれも第2閾値より小さいと判定した場合(ステップS409のNo)、制御部111は、第1インピーダンス又は第2インピーダンスの初期値からの変動が第3閾値以上であるか否かを判定する(ステップS412)。すなわち、制御部111は、ステップS407において初期インピーダンスとして記録された第1インピーダンスからの第1インピーダンスの変動、又は、ステップS407において初期インピーダンスとして記録された第2インピーダンスからの第2インピーダンスの変動が第3閾値以上であるか否かを判定する。ここで、第3閾値は、予め設定された所定の閾値であり、記憶部110に格納されていてよい。なお、第3閾値は、導電性ゲル202が初期状態から劣化したか否かを判定するための閾値であり、第2閾値よりも小さい閾値である。
【0129】
第1インピーダンス又は第2インピーダンスの初期値からの変動が第3閾値以上であると判定した場合(ステップS412のYes)、制御部111は、ステップS410に進む。
【0130】
第1インピーダンス及び第2インピーダンスのいずれも第3閾値より小さいと判定した場合(ステップS412のNo)、制御部111は、第1導電性ゲル202a及び第2導電性ゲル202bが交換不要な状態であると判定する(ステップS413)。この場合、制御部111は、導電性ゲル202が交換不要な状態である旨を表示部104に報知させてよい。
【0131】
制御部111は、ステップS413に続いて、記憶部110に合格フラグを記録する(ステップS414)。合格フラグが記憶部110に記録されると、電気刺激印加装置10は、治療処理を開始することが可能となる。制御部111は、治療処理を開始することが可能な状態である旨を表示部104に報知させてよい。
【0132】
図10に示すフローチャートのように、制御部111が自動的に導電性ゲル202の状態の判定処理を開始する場合、制御部111は、ステップS407において、初期インピーダンスを記録することができるため、ステップS412において、初期インピーダンスからの変動を判定することができる。従って、制御部111は、導電性ゲル202のインピーダンスの初期インピーダンスからの変動を判定することで、導電性ゲル202に個体差があっても、導電性ゲル202の劣化を精度良く判定することができる。
【0133】
続いて、
図11に示すフローチャートを参照して、制御部111が電源部114から電力を供給されたときに、制御部111が自動的に導電性ゲル202の状態の判定処理を開始する場合の治療処理について説明する。
図11に示す治療処理は、
図1に示す第1入力部103aが押下されたときに開始する処理である。なお、
図11に示す治療処理が開始される前に、シート材20が貼付された電気刺激印加装置10が、ユーザの腹部に貼付されているものとする。
【0134】
制御部111は、記憶部110に合格フラグが記録されているか否かを判定する(ステップS501)。
【0135】
記憶部110に合格フラグが記録されていない場合(ステップS501のNo)、制御部111は、治療処理を開始せずに異常終了することを表示部104に報知させる(ステップS502)。
【0136】
記憶部110に合格フラグが記録されている場合(ステップS501のYes)、制御部111は、ステップS503~S506の処理により治療処理を実行する。すなわち、制御部111は、第1導電性ゲル202a及び第2導電性ゲル202bが交換不要と判定されている場合に、生体等に電気刺激を印加する治療処理を実行する。ステップS503~S506の処理は、
図9に示すステップS304~S307の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0137】
なお、
図11に示す例においては、治療開始前のインピーダンスの測定、及び治療終了後のインピーダンスの測定を省略する例を示しているが、制御部111は、治療開始前のインピーダンスの測定、及び治療終了後のインピーダンスの測定のいずれかを実行してもよいし、双方を実行してもよい。
【0138】
このように、本実施形態に係る電気刺激印加装置10によれば、制御部111は、2つの第1電極106の間の第1インピーダンスと、2つの第2電極108の間の第2インピーダンスとに基づいて、第1導電性ゲル202a及び第2導電性ゲル202bの状態を判定する。これにより、本実施形態に係る電気刺激印加装置10は、電気刺激印加装置10で用いられる第1導電性ゲル202a及び第2導電性ゲル202bの状態を判定することができる。
【0139】
また、本実施形態に係る電気刺激印加装置10によれば、制御部111は、第1インピーダンス又は第2インピーダンスが第1閾値以上である場合、第1導電性ゲル202a又は第2導電性ゲル202bの貼付状態が適切でないと判定する。このようにして、電気刺激印加装置10は、第1導電性ゲル202a又は第2導電性ゲル202bの貼付状態が適切でない場合を判定することができる。
【0140】
また、本実施形態に係る電気刺激印加装置10によれば、制御部111は、第1インピーダンス又は第2インピーダンスが、第1閾値より小さい第2閾値以上であり、且つ、第1閾値より小さい場合、第1導電性ゲル202a及び第2導電性ゲル202bが交換必要な状態であると判定する。このようにして、電気刺激印加装置10は、第1導電性ゲル202a及び第2導電性ゲル202bが交換必要な状態である場合を判定することができる。
【0141】
また、本実施形態に係る電気刺激印加装置10によれば、制御部111は、第1インピーダンス及び第2インピーダンスが第2閾値より小さい場合、第1導電性ゲル202a及び第2導電性ゲル202bが交換不要な状態であると判定する。このようにして、電気刺激印加装置10は、第1導電性ゲル202a及び第2導電性ゲル202bが交換不要な状態である場合を判定することができる。
【0142】
(第1変型例)
図12は、第1変型例に係る電気刺激印加装置10aを裏面側から見た場合の外観斜視図である。第1変型例に係る電気刺激印加装置10aについては、
図2に示した電気刺激印加装置10との相違点について主に説明する。
【0143】
第1変型例に係る電気刺激印加装置10aにおいて、印加部102は、第1電極群105aと、第2電極群107aとを備える。第1電極群105aは、第1電極106aと、第1電極106bと、第1電極106cと、第1電極106dとを備える。第2電極群107aは、第2電極108aと、第2電極108bと、第2電極108cと、第2電極108dとを備える。
【0144】
このように、第1変型例に係る電気刺激印加装置10aにおいて、第1電極群105aは、4つの第1電極106を備える。これに対し、
図2に示した電気刺激印加装置10において、第1電極群105は、2つの第1電極106を備える。また、第1変型例に係る電気刺激印加装置10aにおいて、第2電極群107aは、4つの第2電極108を備える。これに対し、
図2に示した電気刺激印加装置10において、第2電極群107は、2つの第2電極108を備える。これらの点で、第1変型例に係る電気刺激印加装置10aは、
図2に示した電気刺激印加装置10と相違する。
【0145】
図2に示した電気刺激印加装置10において、第1導電性ゲル202aの状態を判定する際、電気刺激印加装置10は、第1電極106aと第1電極106bとの間のインピーダンスを測定し、測定した第1電極106aと第1電極106bとの間のインピーダンスに基づいて、第1導電性ゲル202aの状態を判定した。
【0146】
これに対し、第1変型例に係る電気刺激印加装置10aにおいて、第1導電性ゲル202aの状態を判定する際、電気刺激印加装置10aは、6通りの組み合わせの第1電極106についてインピーダンスを測定することができる。具体的には、電気刺激印加装置10aは、以下の6通りの組み合わせについてインピーダンスを測定することができる。
組み合わせ1:第1電極106aと第1電極106bとの間
組み合わせ2:第1電極106aと第1電極106cとの間
組み合わせ3:第1電極106aと第1電極106dとの間
組み合わせ4:第1電極106bと第1電極106cとの間
組み合わせ5:第1電極106bと第1電極106dとの間
組み合わせ6:第1電極106cと第1電極106dとの間
【0147】
第1変型例に係る電気刺激印加装置10aは、上述の組み合わせ1~6で測定したそれぞれのインピーダンスについて、
図2に示した電気刺激印加装置10と同様に、第1閾値~第3閾値との比較を行い、第1導電性ゲル202aの状態を判定してよい。
【0148】
また、第1変型例に係る電気刺激印加装置10aは、上述の組み合わせ1~6で測定したそれぞれのインピーダンスについて、第1閾値~第3閾値との比較を行うだけでなく、6通りの組み合わせで測定したインピーダンスの最大値から最小値を引いた差分が第4閾値以上であるか否かを、さらに判定してよい。この場合、電気刺激印加装置10aは、6通りの組み合わせで測定したインピーダンスの最大値から最小値を引いた差分が、第4閾値以上である場合、第1導電性ゲル202aが交換必要な状態であると判定し、第4閾値より小さい場合、第1導電性ゲル202aが交換不要な状態であると判定してよい。ここで、第4閾値は、予め設定された所定の閾値であり、記憶部110に格納されていてよい。なお、第4閾値は、第2閾値よりも小さい閾値である。
【0149】
このように、第1変型例に係る電気刺激印加装置10aは、様々な組み合わせの第1電極106について測定したインピーダンスの最大値から最小値を引いた差分に基づいて、第1導電性ゲル202aの状態を判定することで、第1導電性ゲル202aの状態を局所的に検出することができる。例えば、インピーダンスの差分が第4閾値以上となる組み合わせがあることは、第1導電性ゲル202aの中に局所的にインピーダンスが大きい領域があることを意味する。
【0150】
第1電極群105aについて6通りの組み合わせの第1電極106でインピーダンスを測定することができることを説明してきたが、第2電極群107aについても同様に、6通りの組み合わせの第2電極108でインピーダンスを測定することができる。
【0151】
(第2変型例)
図13は、第2変型例に係る電気刺激印加装置10bを裏面側から見た場合の外観斜視図である。第2変型例に係る電気刺激印加装置10bについては、
図2に示した電気刺激印加装置10との相違点について主に説明する。
【0152】
第2変型例に係る電気刺激印加装置10bにおいて、印加部102は、第1電極106と、第2電極108と、第1検出電極115a~115cと、第2検出電極116a~116cとを備える。なお、本明細書において、第1検出電極115a~115cを区別しない場合には、これらをまとめて、単に「第1検出電極115」と記載する場合がある。また、本明細書において、第2検出電極116a~116cを区別しない場合には、これらをまとめて、単に「第2検出電極116」と記載する場合がある。
【0153】
第2変型例に係る電気刺激印加装置10bにおいて、印加部102は、1つの第1電極106を備える。これに対し、
図2に示した電気刺激印加装置10において、印加部102は、2つの第1電極106を備える。このように、第1電極106の数が複数ではなく1つである点で、第2変型例に係る電気刺激印加装置10bは、
図2に示した電気刺激印加装置10と相違する。また、第2電極108についても同様に、第2電極108の数が複数ではなく1つである点で、第2変型例に係る電気刺激印加装置10bは、
図2に示した電気刺激印加装置10と相違する。
【0154】
図13に示すように、第1検出電極115a~115cと第1電極106との間には隙間があり、第1検出電極115a~115cと第1電極106とは絶縁されている。同様に、第2検出電極116a~116cと第2電極108との間には隙間があり、第2検出電極116a~116cと第2電極108とは絶縁されている。
【0155】
第1検出電極115及び第2検出電極116は、電気刺激印加装置10bが治療処理を実行しているときには使用されない。第1検出電極115及び第2検出電極116は、電気刺激印加装置10bが治療処理を実行しているとき、例えば、フローティング状態となっていてよい。このように、治療処理の実行中には使用されない第1検出電極115及び第2検出電極116を備えている点で、第2変型例に係る電気刺激印加装置10bは、
図2に示した電気刺激印加装置10と相違する。
【0156】
シート材20が印加部102の裏面側に貼付された状態において、第1導電性ゲル202aは、第1電極106、及び第1検出電極115a~115cに貼付される。また、また、第2導電性ゲル202bは、第2電極108、及び第2検出電極116a~116cに貼付される。
【0157】
第2変型例に係る電気刺激印加装置10bにおいて、第1導電性ゲル202aの状態を判定する際、電気刺激印加装置10bは、3通りの組み合わせでインピーダンスを測定することができる。具体的には、電気刺激印加装置10bは、以下の3通りの組み合わせについてインピーダンスを測定することができる。
第1電極106と第1検出電極115aとの間
第1電極106と第1検出電極115bとの間
第1電極106と第1検出電極115bとの間
【0158】
第2変型例に係る電気刺激印加装置10bは、上述の3つの組み合わせで測定したそれぞれのインピーダンスについて、
図2に示した電気刺激印加装置10と同様に、第1閾値~第3閾値との比較を行い、第1導電性ゲル202aの状態を判定してよい。
【0159】
また、第2変型例に係る電気刺激印加装置10bは、上述の3つの組み合わせで測定したそれぞれのインピーダンスについて、第1閾値~第3閾値との比較を行うだけでなく、3つの組み合わせで測定したインピーダンスの最大値から最小値を引いた差分が第4閾値以上であるか否かを、さらに判定してよい。
【0160】
第1導電性ゲル202aの状態を判定する処理について説明してきたが、第2導電性ゲル202bの状態を判定する処理についても同様に、第2電極108、及び第2検出電極116a~116cを用いてインピーダンスを測定して、第2導電性ゲル202bの状態を判定することができる。
【0161】
本発明は、上述した各実施形態で特定された構成に限定されず、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0162】
例えば、第2変型例に係る電気刺激印加装置10bの説明において、印加部102が1つの第1電極106を備える場合を例に挙げて説明したが、印加部102は複数の第1電極106を備えていてもよい。また、印加部102が1つの第2電極108を備える場合を例に挙げて説明したが、印加部102は複数の第2電極108を備えていてもよい。
【0163】
また、第2変型例に係る電気刺激印加装置10bの説明において、印加部102が3つの第1検出電極115を備える場合を例に挙げて説明したが、印加部102が備える第1検出電極115の個数は、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。また、印加部102が3つの第2検出電極116を備える場合を例に挙げて説明したが、印加部102が備える第2検出電極116の個数は、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本開示は、電気刺激印加装置及び判定方法に関する。
【符号の説明】
【0165】
10、10a、10b 電気刺激印加装置
20 シート材
101 操作部
102 印加部
103 入力部
103a 第1入力部
103b 第2入力部
104 表示部
104a 第1表示部
104b 第2表示部
105、105a 第1電極群
106、106a、106b、106c、106d 第1電極
107、107a 第2電極群
108、108a、108b、108c、108d 第2電極
109 通信部
110 記憶部
111 制御部
112 ヒータ
113 電力出力関連部
114 電源部
115、115a、115b、115c 第1検出電極
116、116a、116b、116c 第2検出電極
121 治療用電圧生成回路
122 判定用電圧生成回路
123 第1回路切換スイッチ
124 第2回路切換スイッチ
125 第3回路切換スイッチ
126 第4回路切換スイッチ
127 電圧測定回路
128 第1電流測定回路
129 第2電流測定回路
201 フレーム部
202 導電性ゲル
202a 第1導電性ゲル
202b 第2導電性ゲル