(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】開口装置
(51)【国際特許分類】
A62B 5/00 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
A62B5/00 C
(21)【出願番号】P 2022512602
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2021013753
(87)【国際公開番号】W WO2021201068
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2020061605
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城戸 憲昌
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 哲也
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 宗浩
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-042158(JP,A)
【文献】特開平09-000650(JP,A)
【文献】特開2006-255645(JP,A)
【文献】登録実用新案第3099529(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が出入り可能な開口を有する外枠と、
一端側が前記外枠に回動可能に軸支されて前記開口を閉塞可能な上蓋と、
前記開口を塞いだ状態で前記上蓋を前記外枠にロックするロック機構と、
前記上蓋に設けられたペダルと、
前記ペダルと前記ロック機構とを接続し、前記ペダルの操作により前記ロック機構のロックを解除させるリンク機構と、
前記ペダルの操作に伴い前記ロック機構のロックが解除された場合に前記上蓋を開放方向に回動させる付勢手段と、
を備える開口装置。
【請求項2】
前記リンク機構は、
前記ペダルの操作に連動する連動部と、
前記ペダルの操作に伴い、移動量が所定量に満たない場合に前記ロック機構のロックを解除させず、所定量移動した場合に前記ロック機構のロックを解除させる作動部と、
を備える請求項1に記載の開口装置。
【請求項3】
前記ペダルは前記上蓋に2つ設けられ、
前記作動部は、2つの前記ペダルのうちの一方を操作した場合は移動量が前記所定量に満たず、2つの前記ペダルを共に操作した場合は移動量が前記所定量以上となる、
請求項2に記載の開口装置。
【請求項4】
前記連動部は、
互いに離間した連絡部において前記ペダルが直接的又は間接的に接続され、かつ前記ペダルの操作により対応する前記連絡部が所定方向に移動する従動部と、
前記従動部における2つの前記連絡部間の中途部に接続され、かつ前記中途部が前記所定方向へ移動した場合に前記作動部を前記ロック機構のロックを解除する方向に誘導する誘導部と、
を備える請求項3に記載の開口装置。
【請求項5】
前記作動部は、複数の前記ロック機構に接続され、
前記誘導部は、前記作動部を誘導して各前記ロック機構のロックを同時に解除させる、
請求項4に記載の開口装置。
【請求項6】
前記ロック機構は、
前記外枠に対して係止可能な係止部と、
前記上蓋に設けられ、前記係止部の前記外枠への係止を維持するロック状態と前記係止部の前記外枠への係止を解除可能なアンロック状態とを切替可能なロック部材と、
前記ロック部材の前記ロック状態を維持するロック維持状態と、前記リンク機構の作動に伴い前記ロック部材のアンロック状態を維持するアンロック維持状態とを切替可能な第1の状態維持手段と、
前記第1の状態維持手段が前記アンロック維持状態に切り替えられた場合、前記リンク機構の作動に関わらず前記アンロック維持状態を維持する第2の状態維持手段と、
を備える請求項1、2、3、4又は5に記載の開口装置。
【請求項7】
前記ロック機構は、
前記係止部を有し、かつ回動することで前記係止部の前記ロック状態及び前記アンロック状態を変更可能な前記ロック部材としての第1のロックカムを備え、
前記第1の状態維持手段は、前記ロック状態において前記第1のロックカムの回動を阻止する阻止状態と、前記リンク機構の作動に伴い前記第1のロックカムの回動を許容する許容状態と、の間で回動可能とする第2のロックカムであり、
前記第2の状態維持手段は、前記第2のロックカムが前記阻止状態から前記許容状態に回動された場合、前記第2のロックカムの前記阻止状態への復帰を抑制する、
請求項6に記載の開口装置。
【請求項8】
前記第2の状態維持手段は、前記第1のロックカムと前記第2のロックカムとに連結された付勢部材である、
請求項7に記載の開口装置。
【請求項9】
前記外枠内に全体又は一部が収納される避難装置を備える請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の開口装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公共施設、マンション等の建物の屋上やベランダ等には、昇降口や、火災等の緊急避難時に使用する避難ハッチ等、人が出入り可能な開口装置が設けられている。当該開口装置には、通常時において人が落下したり出入りできないように当該開口を塞ぐ上蓋が設けられている。
また、上蓋付きの開口装置に設置する避難装置として、救助袋や折畳み式の梯子や垂直降下式のエレベータ近似の装置も検討されている。
この種の開口装置が幼児の目に触れる場所に設置されていると、幼児が上蓋を開放して悪戯するおそれがある。
そこで、幼児の非力な引き上げ力による上蓋の開放を確実に防止して、安全性を高めるとともに、幼児等を除く普通程度の大人の引き上げ力による上蓋の開放を許容して、緊急避難時には速やかに上蓋を開放することができる開口装置が検討されている(特開平11-290470号公報参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、老人や身体障碍者、特に車椅子の利用者が床面にある上蓋まで手を伸ばし、ロック状態が解除される設定値以上の引上げ力で上蓋を持ち上げて開放するのは容易ではないという問題点があった。また、開口が大きい場合に、上蓋が大型化し、上蓋全体の重量も大きくなると、さらに持ち上げが困難となる。
【0004】
本開示は、床面にある上蓋まで手を伸ばして自らの手でロック状態を解除する必要がなく、簡単に上蓋を開放することが可能な開口装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、第1の態様の係る開口装置は、人が出入り可能な開口を有する外枠と、一端側が前記外枠に回動可能に軸支されて前記開口を閉塞可能な上蓋と、前記開口を塞いだ状態で前記上蓋を前記外枠にロックするロック機構と、前記上蓋に設けられたペダルと、前記ペダルと前記ロック機構とを接続し、前記ペダルの操作により前記ロック機構のロックを解除させるリンク機構と、前記ペダルの操作に伴い前記ロック機構のロックが解除された場合に前記上蓋を開放方向に回動させる付勢手段と、を備える。
【0006】
第1の態様によれば、ロック機構のロックを操作によりリンク機構を介して解除するペダルが上蓋に設けられている。このペダルを足で踏みつけて操作したり、又は、車椅子の場合、車椅子の前輪で踏みつけて操作することにより、ペダルとロック機構とをつなぐリンク機構を介して、ロック機構のロックを解除することができる。そして、ロック機構のロックが解除されれば、付勢手段の付勢力により、上蓋を開放方向に開放することができる。
これにより、床面にある上蓋まで手を伸ばして自らの手でロック状態を解除し、当該上蓋を持ち上げて開放することができないような車椅子の利用者等が足や車椅子の前輪等でペダルを操作することで、上蓋を開放することができる。
【0007】
第2の態様の開口装置は、第1の態様の開口装置において、前記リンク機構は、前記ペダルの操作に連動する連動部と、前記ペダルの操作に伴い、移動量が所定量に満たない場合に前記ロック機構のロックを解除させず、所定量移動した場合に前記ロック機構のロックを解除させる作動部と、を備える。
【0008】
第2の態様によれば、ペダルの操作に応じてリンク機構の連動部が作動する。そして、リンク機構に接続された作動部が、ペダルが操作されて移動が所定量行われた場合にロック機構のロックを解除させる。これにより、ペダルの操作により、リンク機構及び作動部を介して、ロック機構のロックを解除させることができる。
【0009】
第3の態様の開口装置は、第2の態様の開口装置において、前記ペダルは前記上蓋に2つ設けられ、前記作動部は、2つの前記ペダルのうちの一方を操作した場合は移動量が前記所定量に満たず、2つの前記ペダルを共に操作した場合は移動量が前記所定量以上となる。
【0010】
第3の態様によれば、ペダルは、上蓋の端縁に2つ設けられ、リンク機構は、この2つのペダルを共に操作しないと作動部の移動量が所定量に満たない。このように2つのペダルを共に操作しないと作動部の移動量が所定量に満たないように形成されていることで、幼児等のいたずらで1つのペダルが操作されたり、また、偶然に片方の足で1つのペダルを踏んでしまうようなことが起きても、ロック機構のロックは解除されない。これにより、幼児等のいたずらや、誤作動等の発生を抑えることができ、誤って上蓋を開放してしまうようなことを防止することができる。
【0011】
第4の態様の開口装置は、第3の態様の開口装置において、前記連動部は、互いに離間した連絡部において前記ペダルが直接的又は間接的に接続され、かつ前記ペダルの操作により対応する前記連絡部が前記所定方向に移動する従動部と、前記従動部における2つの前記連絡部間の中途部に接続され、かつ前記中途部が前記所定方向へ移動した場合に前記作動部を前記ロック機構のロックを解除する方向に誘導する誘導部と、を備える。
【0012】
第4の態様によれば、リンク機構は、ペダルの操作に対応して従動部が移動し、また従動部の移動量に対応して作動部を牽引する。これにより、2つのペダルを共に操作しないと作動部の移動量が所定量に満たないリンク機構が提供される。
【0013】
第5の態様の開口装置は、第4の態様の開口装置において、前記作動部は、複数の前記ロック機構に接続され、前記誘導部は、前記作動部を誘導して各前記ロック機構のロックを同時に解除させる。
【0014】
第5の態様によれば、作動部は、複数のロック機構に接続されており、誘導部が所定方向に移動した場合に複数のロック機構のロックが解除される。これにより、ロック機構のロックを解除する作動部の機構が提供される。
【0015】
第6の態様の開口装置は、第1~第5の態様の開口装置において、前記ロック機構は、前記外枠に(具体的には、ロックバーに)対して係止可能な係止部(具体的には、ロック爪)と、前記上蓋に設けられ、前記係止部の前記外枠への係止を維持するロック状態と前記係止部の前記外枠への係止を解除可能なアンロック状態とを切替可能なロック部材(例えば第1のロックカム)と、前記ロック部材の前記ロック状態を維持するロック維持状態と、前記リンク機構の作動に伴い前記ロック部材のアンロック状態を維持するアンロック維持状態とを切替可能な第1の状態維持手段と、前記第1の状態維持手段が前記アンロック維持状態に切り替えられた場合、前記リンク機構の作動に関わらず前記アンロック維持状態を維持する第2の状態維持手段と、を備える。
【0016】
第6の態様によれば、上蓋に設けられた係止部が、ロック状態では、外枠の一部(具体的には、ロックバー)を係止することで、上蓋が外枠から離れることができず、ロック機構がロック状態となる。
【0017】
また、上蓋に設けられた係止部が、アンロック状態では、外枠の一部を係止していないことで、上蓋が外枠から離れることが可能な状態となり、ロック機構のロックが解除されたアンロック状態となる。
【0018】
また、第1の状態維持手段が、前記ロック状態を維持することで、ロック機構がロック状態を維持することができる。
【0019】
また、第2の状態維持手段が、第1の状態維持手段がアンロック維持状態に切り替えられた場合にリンク機構の作動に関わらずアンロック維持状態を維持することで、ペダルを操作して、ロック状態からアンロック状態にした後、ペダルから手や足や前輪等が離れて、ペダルの操作を止めても、アンロック状態から再度、ロック状態へ移行してロック機構がロック状態に戻ることを防止することができる。
【0020】
第7の態様の開口装置は、第6の態様の開口装置において、前記ロック機構は、前記係止部を有し、かつ回動することで前記係止部の前記ロック状態及び前記アンロック状態を変更可能な前記ロック部材としての第1のロックカムを備え、前記第1の状態維持手段は、前記ロック状態において前記第1のロックカムの回動を阻止する阻止状態と、前記リンク機構の作動に伴い前記第1のロックカムの回動を許容する許容状態と、の間で回動可能とする第2のロックカムであり、前記第2の状態維持手段は、前記第2のロックカムが前記阻止状態から前記許容状態に回動された場合、前記第2のロックカムの前記阻止状態への復帰を抑制する。
【0021】
第7の態様によれば、第1のロックカムが、外枠の一部を係止可能な係止部を有し、回動することで、係止部のロック状態及びアンロック状態を変更することができる。
【0022】
また、第1の状態維持手段としての第2のロックカムは、第1のロックカムの回動を阻止する阻止状態とすることで係止部をロック状態とし、リンク機構の作動に伴い当該第2のロックカムが回動することで第1のロックカムの回動を許容する許容状態となり第1のロックカムを回動可能とする。
【0023】
また、第2の状態維持手段は、第2のロックカムが阻止状態から許容状態に回動した場合、第2のロックカムの阻止状態への復帰を阻止する。
【0024】
第8の態様の開口装置は、第7の態様の開口装置において、第2の状態維持手段は、前記第1のロックカムと前記第2のロックカムとに連結された付勢部材である。
【0025】
第8の態様によれば、付勢部材は、許容状態から阻止状態への復帰を抑制する。これにより、付勢部材により第2のロックカムが許容状態の場合に、阻止状態への復帰を抑制する機構が提供される。
【0026】
第9の態様の係る開口装置は、第1~第8の態様の開口装置において、前記外枠内に全体又は一部が収納される避難装置(例えば折りたたみはしごや、救助袋等)を備える。
【0027】
第9の態様によれば、外枠内に全体又は一部が収納される避難装置を備える。これにより、上枠を外枠に対して開放することで、当該避難装置を用いて、階下に避難することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】第1実施形態に係る開口装置の設置状態を斜め上方から見た場合の俯瞰図である。
【
図1B】第1実施形態に係る開口装置の設置状態を斜め下方から見た場合の俯瞰図である。
【
図2】第1実施形態に係る避難装置の動作を示すものであって、昇降台が待機位置にある状態を示す側面図である。
【
図3】第1実施形態に係る開口装置の避難装置の平面図である。
【
図4A】第1実施形態に係る開口装置を示す平面図である。
【
図4B】
図4Aにおいて開放停止部を拡大して示す部分拡大平面図である。
【
図5】第1実施形態に係る開口装置を示す縦断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る開口装置の上蓋を閉じた状態を示す部分拡大縦断面図である。
【
図7】第1実施形態に係る開口装置の上蓋を半開放角度まで開放した状態を示す部分拡大縦断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る開口装置の上蓋を90°まで開放した状態を示す部分拡大縦断面図である。
【
図9】第1実施形態に係る開口装置に車椅子利用者がペダルを操作している状態を示す側面図及び部分拡大側面図である。
【
図10】第1実施形態に係る開口装置のロック機構及びリンク機構を示す平面図である。
【
図11】第1実施形態に係る開口装置のロック機構及びリンク機構を示す正面図である。
【
図12】第1実施形態に係る開口装置において、車椅子の前輪がペダルを踏む直前の状態の部分縦断面図である。
【
図13】第1実施形態に係る開口装置において、車椅子の前輪がペダルを踏んでいる状態の部分縦断面図である。
【
図14】第1実施形態に係る開口装置において、車椅子の前輪がペダルを踏む前のリンクレバーの側面図である。
【
図15】第1実施形態に係る開口装置において、車椅子の前輪がペダルを踏んでいる状態のリンクレバーの側面図である。
【
図16】第1実施形態に係る開口装置において、車椅子の前輪がペダルを踏む前のロック機構のロック状態の部分縦断面図である。
【
図17】第1実施形態に係る開口装置において、車椅子の前輪がペダルを踏んでいる状態のロック機構の部分縦断面図である。
【
図18】第1実施形態に係る開口装置において、上蓋から前輪が離れた状態のロック機構の部分縦断面図である。
【
図19】第1実施形態に係る開口装置において、上蓋を開放している状態のロック機構の部分縦断面図である。
【
図20】第1実施形態に係る開口装置において、上蓋を閉めている状態のロック機構の部分縦断面図である。
【
図21】第1実施形態に係る開口装置において、上蓋がロックされている状態のロック機構の部分縦断面図である。
【
図22】第1実施形態に係る開口装置において、2つのペダルが操作されている状態(2点鎖線)及び1つのペダルだけが操作されている状態(実線)の作動部の正面図である。
【
図23】第1実施形態に係る開口装置において、1つのペダルだけが操作されて作動部の変位が半分の状態のロック機構の部分縦断面図である。
【
図24】第1実施形態に係る開口装置において、2つのペダルのいずれも操作されず作動部も跳ね上がってなく、ロック機構がロックされている状態の概略斜視図である。
【
図25】第1実施形態に係る開口装置において、2つのペダルが操作されて作動部が跳ね上がってロック機構のロックが解除されている状態を示す概略斜視図である。
【
図26】第1実施形態に係る開口装置において、1つのペダルだけが操作されて作動部の変位が半分の状態のロック機構を示す概略斜視図である。
【
図27】第2実施形態に係る開口装置における、操作部、リンク機構及びロック機構を示す斜視図である。
【
図28】第2実施形態に係る開口装置における、操作部及びリンク部を示す斜視図である。
【
図29】第2実施形態に係る開口装置において、車椅子の前輪がペダルを踏む前の操作部及びリンク機構の側面図である。
【
図30】第2実施形態に係る開口装置において、車椅子の前輪がペダルを踏んでいる状態の操作部及びリンク機構の側面図である。
【
図31】第2実施形態に係る開口装置の連動部及び作動部を示す斜視図である。
【
図32】第2実施形態に係る開口装置の連動部及び作動部を示す平面図である。
【
図33】第2実施形態に係る開口装置において、2つのペダルが操作されて連動部及び作動部が牽引されてロック機構のロックが解除されている状態を示す平面図である。
【
図34】第2実施形態に係る開口装置において、1つのペダルだけが操作されて連動部及び作動部の変位が半分の状態のリンク機構を示す平面図である。
【
図35】第2実施形態に係る開口装置における、ロック機構の部分斜視図である。
【
図36】第2実施形態に係る開口装置において、車椅子の前輪がペダルを踏む前のロック機構のロック状態の部分縦断面図である。
【
図37】第2実施形態に係る開口装置において、車椅子の前輪がペダルを踏んでいる状態のロック機構の部分縦断面図である。
【
図38】第2実施形態に係る開口装置において、上蓋から前輪が離れた状態のロック機構の部分縦断面図である。
【
図39】第2実施形態に係る開口装置において、上蓋を閉めている状態のロック機構の部分縦断面図である。
【
図40】第2実施形態に係る開口装置において、ロックバーが第1のロックカムを回動させている状態のロック機構の部分縦断面図である。
【
図41】第2実施形態に係る開口装置において、1つのペダルだけが操作された状態のロック機構の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
まず、
図1A及び
図1Bに示すように、第1実施形態に係る開口装置8及び当該開口装置8に設けられた避難装置11は、非常時に上階の廊下やベランダから下階の廊下やベランダへと避難するために使用されるものである。開口装置8は、上階側の床基部2に嵌合固定されて避難用の開口3を形成する外枠100を有する。
【0030】
第1実施形態に係る避難装置11は、下階の床面4上に立設され、上端が上記外枠100に固定されるガイド支柱1と、昇降台5(
図2、
図3参照)とを有している。昇降台5は、避難用の外枠100内に保持される待機位置と、この待機位置からガイド支
柱1に沿って降下して下階床面4に着地する避難位置との間で昇降駆動される。
【0031】
上記ガイド支柱1は、適宜の座屈強度を有する中空パイプ体であり、例えばアルミニウムを押し出し成形して形成される。このガイド支柱1の下端部は、下階の床基部2に、上端部は外枠100に固定される。また、ガイド支柱1の一側壁面にはラック溝15が形成される。
【0032】
外枠100には、一端側が当該外枠100に回動可能に軸支されて開口3を閉塞可能な上蓋110が設けられている。本実施形態において、この上蓋110は、後述する所定の機構により開口3を開閉可能な開口装置8を構成しているものであり、当該開口装置8の内容は後で詳細に説明する。また、本実施形態では、前記開口3を塞いだ状態で上蓋110を外枠100にロックするロック機構200を備えている。当該ロック機構200の内容も後で詳細に説明する。
【0033】
さらに、ガイド支柱1の中空部には、所定のワイヤによりつり下げられる重錘が収容される。ワイヤの重錘への固定端に対する反対側の端部は昇降台5に連結されており、重錘と昇降台5への固定端との間には、プーリが配置される。重錘は、利用者が搭乗しない状態の昇降台5を上方へ引き上げることができる重量に設定されており、下階に到達した後、利用者が昇降台5を降りると、重錘の重量により昇降台5は待機位置に復帰するように形成されている。
【0034】
一方、昇降台5には、上記ガイド支柱1が挿通する支柱挿通開口5a(
図3参照)が開設されている。支柱挿通開口5aは避難者が待機位置にある昇降台5に乗る際の乗り込み口となる乗り込み辺縁6の両外側に隣接する隣接縁7側の各々に形成されている。これら支柱挿通開口5aは、乗り込み辺縁6からの間隔が等しい位置に形成されており、上記ガイド支柱1は、これら支柱挿通開口5aに対応する対向位置に2本立設される。
【0035】
以上のようにして支柱挿通開口5aを挿通するガイド支柱1に沿って昇降台5を昇降させるために、支柱挿通開口5aの周りには、ピニオン13等が配置されている。
ピニオン13は、ガイド支柱1のラック溝15に噛合する。なお、遠心ブレーキを用いてピニオン13が回転することにより、動作してその回転速度を制限する装置を設けるようにしてもよい。
【0036】
さらに、上記昇降台5の表面には、車椅子16による使用を可能にするために、車椅子16の車輪16a及び前輪16bをガイドする車輪ガイド溝17(
図3参照)が凹設されている。車輪ガイド溝17は昇降台5の乗り込み辺縁6から奥側辺縁7aに至るほぼ全長にわたって形成されており、車椅子16の昇降台5への搭乗は、乗り込み辺縁6から乗り上げた後、奥側辺縁7a方向に移動させて行われる。
【0037】
また、
図2に示すように、上記車輪ガイド溝17には、乗り込み辺縁6から所定間隔隔てた位置を開始端19とし、乗り込み辺縁6に至る傾斜面20が形成されており、下階まで避難した後、車椅子16を後退させて下階の床面4に降りる際の段差発生が防止されるように形成されている。
【0038】
さらに、昇降台5が待機位置にあるときの上階側の床面4との間の段差を吸収するために、外枠100にはスロープ制御体25を介してスロープ部材18が装着される。
【0039】
なお、本明細書中の説明において、「時計回り」回転方向や、「反時計回り」回転方向の説明は、図面を用いて説明している場合の当該図面を正面から見た場合の「時計回り」回転方向や、「反時計回り」回転方向を意味している。また、図中の符号である、18aは、ガイド用立ち上がり片であり、18bは、回転軸部材であり、25aは、支持杆であり、25bはタイヤ部材である。
【0040】
さらに、上記昇降台5には、
図3に示すように、手摺体26が装着される。手摺体26は、横杆26aと、横杆26aの両端から直角方向に延びる縦杆26bとを有してU字形状に形成されており、昇降台5への装着は、各縦杆26bの自由端を昇降台5の奥側辺縁7a近傍に回転自在に連結して行われる。
【0041】
この手摺体26は、ばねにより常に使用姿勢側に付勢されている。使用時には特に操作なく(上蓋110の開放により)起立姿勢に移行するように形成されている。
【0042】
さらに、避難装置11には、昇降台5を待機位置に保持するためのストッパ装置が設けられるとともに、手摺体26の横杆26aには上記ストッパ装置を手動で解除するための手動解除操作部29が配置される。
したがって、昇降台5が待機位置にあるとき、上記ストッパ装置を介して、昇降台5の降下を規制する。
この状態から手動解除操作部29を手動で操作することにより、ストッパ装置を手動で解除することで、昇降台5の降下が開始する。
【0043】
(上蓋110により開口3を閉塞可能な開口装置8の機構)
上蓋110により開口3を閉塞可能な開口装置8の機構について以下に説明する。
本実施形態に係る開口装置8は、
図1~
図9に示すように、人が出入り可能な開口3を有する外枠100と、一端側が外枠100に回動可能に軸支されて開口3を閉塞可能な上蓋110と、開口3を塞いだ状態で上蓋110を外枠100にロックするロック機構200と、このロック機構200のロックを解除する操作部120(具体的にはペダル130)と、外枠100と上蓋110とを接続し、上蓋110の開放を最大開放角度(具体的には、90°)で止める開放停止部150と、上蓋110を開放方向に付勢する付勢手段140とを備えている。
そして、開放停止部150は、外枠100に回動可能に連結された第1のアーム160と、この第1のアーム160及び上蓋110の各々に回動可能に連結された第2のアーム170とを備えている。
そして、上蓋110を閉じる際には第1のアーム160と第2のアーム170とが折り畳まれるように形成され、ロック機構200のロックを操作部120の操作により解除すると、付勢手段140、他の付勢手段145により上蓋110が開放されるように形成されている。
【0044】
上記内容について、
図4~
図9の図面を用いてさらに詳細に説明する。
図4Aは、上蓋110の平面図、
図4Bは、上蓋110の部分拡大平面図であって、上蓋110は、
図5に示すように、左側の高さが低く、右側の方が高さが高く形成されている。
図5~
図8に示すように、上蓋110は、上蓋110の高さが高い側の端縁側が、回転軸112を介して、外枠100に回動可能に軸支されている。なお、外枠100は、ケース21と一体に形成されている。本実施形態に係る上蓋110は、
図8に示すように、後述するように外枠100に対して90°(最大開放角度)まで回動可能に形成されている。
【0045】
また、上蓋110の
図5の左側の高さが低い側の端縁に、後述するように、開口3を塞いだ状態で上蓋110を外枠100にロックするロック機構200が設けられている。そして、
図4Aに示すように、上蓋110の左側の端縁側に、ロック機構200のロックを解除する操作部120としてのペダル130が当該端縁に沿って2つ並んで設けられている。この2つのペダル130は、一般的な車椅子16の2つの前輪16bの間隔と整合するように形成されてあり、
図9に示すように、左側から車椅子16の左右の前輪16bで、当該ペダル130の端を上から踏み込んで操作することができるように形成されているものである。
【0046】
上蓋110の上面中央には、平面視で長方形であって、周囲よりも僅かに凹んだ段差状の段差部111が形成されている。段差部111を設けることによって、上蓋110が補強され、剛性を向上させることができる。
【0047】
本実施形態では、上蓋110の両側端には、細板状の接続ブラケット113が固定されていて、この接続ブラケット113に付勢手段140と第2のアーム170が連結されている。後述するストッパ180もこの接続ブラケット113に設けられている。
図4A、
図4B、
図5及び
図6に示すように、上蓋110の回転軸112が設けてある端縁側に、外枠100と上蓋110の回転軸112側とを連結する付勢手段140が設けてある。この付勢手段140は、ガススプリングであって、内部に充填したガスの圧力によりシリンダ141内のピストンロッド142を押し出す方向に付勢力を作用させる。
【0048】
そして、上述したように、外枠100と、上蓋110の回転軸112側近傍とを接続し、上蓋110の開放を最大開放角度で止める開放停止部150が設けてある。
この開放停止部150は、外枠100に回動可能に連結された第1のアーム160と、この第1のアーム160及び上蓋110の各々に回動可能に連結された第2のアーム170とを備えている。
本実施形態では、第1のアーム160は、上述した付勢手段140とは異なる「他の付勢手段145」からなる。この他の付勢手段145も、上述した付勢手段140と同様にガススプリングであって、内部に充填したガスの圧力によりシリンダ146内のピストンロッド147を押し出す方向に付勢力を作用させる。また、第2のアーム170は、付勢手段ではなく、断面略U字型の棒状部材からなる。
【0049】
なお、付勢手段140のピストンロッド142の端部は接続ブラケット113に、付勢手段140のシリンダ141の端部は外枠100に回動可能に連結されている。第1軸Cにより第1のアーム160の一端は外枠100に、第3軸Eにより第1のアーム160の他端は第2のアーム170の一端に回動可能に連結されている。第2軸Dにより第2のアーム170の他端は接続ブラケット113に回動可能に連結されている。
また、本実施形態では、第1のアーム160と、第2のアーム170とのうち、第1のアーム160が他の付勢手段145からなり、第2のアーム170が棒状部材からなるが、特にこれに限定されるものではない。具体的には、例えば、両者の構造を逆にして、第2のアーム170を他の付勢手段145により形成し、第1のアーム160を棒状部材により形成することができる。この場合、ストッパ180を外枠100に設けて第1のアーム160に当接させる構造としてもよい。
【0050】
図5に示すように、上蓋110の回転軸112の反対側の端縁と、外枠100との間には、上蓋110が水平状態で開口3(
図1、2参照)及び昇降台5の上方を塞いだ状態で上蓋110を外枠100にロックするロック機構200が形成されている。このロック機構200は、上蓋110の端縁に設けられた2つのペダル130を操作すると、当該ロック機構200のロックが解除される。
なお、ロック機構の内容は後で詳細に説明する。ロック機構200のロックが解除されると、
図5及び
図6に示すような水平状態の上蓋110には、付勢手段140及び第1のアーム160としての他の付勢手段145の両方の付勢力、具体的には、左右の合計4本の付勢手段(2本の付勢手段140及び2本の他の付勢手段145)の付勢力により、上蓋110が開放される方向に力が加わり、回転軸112を回転の中心として、上蓋110が開放される方向に回動する。
【0051】
図7に示すように、上蓋110が外枠100(水平方向)に対して、所定の角度の一例として略70°(具体的には、例えば66°、以下、本実施形態における「半開放角度」とする)の回転角度だけ開放されると、第1のアーム160としての他の付勢手段145は、シリンダ146からピストンロッド147が伸びきった状態となり、それ以上は、ピストンロッド147がシリンダ146内から外方に伸びない状態になっている。したがって、当該伸びきった状態以降は、第1のアーム160としての他の付勢手段145からは付勢力は発生しない状態となる。
すなわち、本実施形態に係る第1のアーム160は、ガススプリングとして最大作動長までピストンロッド147を延出する他の付勢手段145である。そして、この他の付勢手段145の延出中における第2のアーム170は、ストッパ180に
図7に示すB点において当接し、他の付勢手段145に対して折り畳まれる方向に押圧される。なお、第1のアーム160は、最大作動長までピストンロッド147を延出するまで、すなわち、
図6から
図7に示す間、当該B点において、ストッパ180と当接していることになる。
そして、第2のアーム170は、他の付勢手段145が前記最大作動長に達し、かつ前記付勢手段140により他の付勢手段145に対して展開される方向に回転した場合、ストッパ180に
図8に示すA点で当接することにより、最大開放角度を維持することが可能となる。
すなわち、ストッパ180は、上蓋110が、最大開放角度まで開放した場合に第2のアーム170のA点に当接して更なる回動を規制している。
上述したように、上蓋110が水平状態から半開放角度開放された後、さらに上蓋110を開放させようとする場合には、付勢手段140による付勢力により、上蓋110がさらに開放されることになる。
なお、当該第1のアーム160は、伸びきっているので、これ以上ピストンロッド147が外方に突出することはないが、第1のアーム160の先端側に連結されている第2のアーム170が
図7、
図8に示すように、第1のアーム160に対して回動する。これにより、上蓋110をさらに開放させることが可能となる。
【0052】
本実施形態では、上述したように上蓋110を半開放角度開放させた後、さらに開放させると、
図8に示すように、上蓋110が外枠100に対して最大開放角度まで開放された状態において、上蓋110がそれ以上開放しないように開放停止部150(具体的には、第2のアーム170)に当接するストッパ180が上蓋110に形成されている。
第2のアーム170は、他の付勢手段145が伸びきった状態において上蓋110が外枠100に対して開放する角度が最大開放角度(90°)に未到達である場合、第2のアーム170が上蓋110に対して回動してストッパ180に当接することで、上蓋110を最大開放角度(90°)まで開放する。
【0053】
上蓋110が最大開放角度(90°)まで開放されると、
図8に示すように、第2のアーム170の側端Aにストッパ180が当接することで、それ以上、上蓋110が開放されることがない。なお、上蓋110が半開放角度まで回動する間は、
図7に示すように、第1のアーム160が第2のアーム170を付勢し、付勢された第2のアーム170の側端Bがストッパ180に当接する。これにより、第1のアーム160としての他の付勢手段145の付勢力が上蓋110に対して伝達される。なお、上蓋110の回転角度が半開放角度(
図7)から90°(
図8)までの間は、アーム170の側端と、ストッパ180とは当接しないように形成されている。
【0054】
(開口装置8における上蓋110の開閉動作機能の作用及び効果)
本実施形態では、上述したような開口装置8を有することで以下に示すような作用及び効果を奏する。
【0055】
本実施形態に係る開放停止部150は、外枠100に回動可能に連結された第1のアーム160と、第1のアーム160及び上蓋110の各々に回動可能に連結された第2のアーム170とを備えている。開放停止部150は、上蓋110を閉じる際には第1のアーム160と第2のアーム170とが折り畳まれるように形成されている。
これにより、開放停止部150を開口装置8の開口周囲の狭いスペースに収納配置することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態は、開口3を塞いだ状態で上蓋110を外枠100にロックさせるロック機構200と、このロック機構200のロックを解除する操作部120としてのペダル130及びリンク機構210とを備えている。そして、ロック機構200のロックを操作部120の操作により解除すると、付勢手段(付勢手段140及び他の付勢手段145)の付勢力により上蓋110が開放されるように形成されている。これにより、開口3を出入りしようとする人が、操作部120を操作(なお、車椅子16の前輪16bでペダル130を踏むことを含む)することで、ロック機構200のロックが解除され、人が上蓋110を自ら手等で持ち上げることなく、上蓋110を開放させることが可能となる。
【0057】
したがって、手の力が一般的な大人より弱い高齢者や、子供や、障害者等であっても、重量のある上蓋110を自ら手で持ち上げることなく、開放させることができ、上蓋110が開放された開口3を介して、階下等へスムーズに出入りすることが可能となる。結果として、火災等の緊急時であっても、上蓋110を容易に開放させることができ、緊急時の避難等を容易なものにすることができる。
【0058】
本実施形態によれば、上蓋110を開放方向に付勢する「付勢手段140」に加えて、開放停止部150の第1のアーム160は、「他の付勢手段145」からなる。すなわち、上蓋110を開放方向に付勢する付勢力は、「付勢手段140」と、「他の付勢手段145」との2つの付勢手段により得られることになる。当該付勢力を得るために1つの付勢手段で達成しようとすると、大きな付勢力を発生する大きな付勢手段が必要となるのに対して、それよりも小さな付勢力を発生する付勢手段を2つ設けることで必要な付勢力を獲得することができるものである。
一般的に、小さな付勢力を発生する付勢手段は、汎用品を使用できる。
【0059】
また、床等に開けられた開口3を上から水平状態になって塞ぐ上蓋110がヒンジ等で回動可能に連結されているような場合、当該上蓋110をヒンジ等の回転軸112を回転の中心として回動させて持ち上げようとすると、初期の状態である水平状態の上蓋110を初期状態の水平状態から最初に持ち上げるときが通常、上蓋110の自重が掛かるため、最も大きな力が必要となる。そして、上蓋110をある程度の角度まで、例えば上蓋110が上述したような半開放角度となる付近まで開放させるとその後は、特に大きな力は必要とせずに、小さな力で開放させることができることになる。
【0060】
このため、小さな付勢力を有する2つの付勢手段(付勢手段140及び他の付勢手段145)を、開口3を水平状態になって塞いでいる上蓋110が所定の角度(半開放角度)未満である場合には、それら両方の付勢力を利用して開放させる。その後、上蓋110が所定の角度(半開放角度)まで開放されて、大きな付勢力を必要としない場合には、付勢手段140、又は他の付勢手段145の一方だけの付勢力だけで開放させる。そのため、上蓋110を最大開放角度まで開放させた際の衝撃を抑制することが可能となる。
【0061】
本実施形態は、第2のアーム170は、他の付勢手段145が伸びきった状態において上蓋110が外枠100に対して開放する角度が最大開放角度(90°)に未到達である場合、第2のアーム170が上蓋110に対して回動し、上蓋110を最大開放角度まで更に開放するように形成されている。
【0062】
他の付勢手段145が伸びきった状態において上蓋110が外枠100に対して開放する角度が最大開放角度(90°)に未到達である場合、上蓋110は外枠100に対して開放する角度(余地)を有している状態となる。この状態において、「付勢手段140」の付勢力により、上蓋110は開放方向に付勢されて回動する。その際、第2のアーム170は、第1のアーム160の「他の付勢手段145」は伸びきっている状態であるため、第1のアーム160(他の付勢手段145)に引っ張られて、第2のアーム170が上蓋110に対して回動する。上蓋110が外枠100に対して最大開放角度(90°)まで開放された状態において、上蓋110がそれ以上開放しないように第2のアーム170がストッパ180に当接することで、第2のアーム170の回動が停止し、この第2のアーム170の回動が停止することで、第2のアーム170に連結された上蓋110の開放が停止する。これにより、上蓋110が最大開放角度(90°)まで開放した状態で開放が停止する。
【0063】
また、第1のアーム160と外枠100との連結部である第1軸C、第2のアーム170と接続ブラケット113との連結部である第2軸D、第1のアーム160と第2のアーム170との連結部である第3軸Eは、上蓋110が最大開放角度まで開放した状態においても直線上に並んでいない。すなわち、第3軸Eは、第1のアーム160の外枠100側に設けられた第1軸C及び第2のアーム170の上蓋110側に設けられた第2軸Dを結ぶ仮想線に対して、第1のアーム160と第2のアーム170とが折り畳まれる側の反対側(本実施形態では上蓋110の回転軸112側に近い側)に設けられている。
【0064】
これにより、上蓋110が最大開放角度まで開放された状態において、上蓋110を閉める方向に力を加えた場合、第2軸Dと第1軸Cとを結ぶ直線に沿って圧縮力が働き、第1のアーム160及び第2のアーム170は、それぞれ折り畳まれる方向に回動する。これにより、上蓋110は開いた状態から閉じる方向に回動する。
次に上述したロック機構200について
図9~
図26を用いて詳細に説明する。
【0065】
(操作部120)
ロック機構200のロックを解除する場合には、
図9に示すように、上蓋110の左側の端縁側から、左右のペダル130の端を車椅子16の左右の前輪16bで、上から踏み込んで操作する。
【0066】
本実施形態では、ロック機構200のロックを操作により解除するための操作部120として、ペダル130及びリンク機構210が設けられている。
図10及び
図11に示すように、前記リンク機構210は、2つのペダル130とロック機構200とをつなぐと共に、2つのペダル130を共に操作しないとロック機構200のロックが解除されないように形成されている。
【0067】
ここで、前記ペダル130は、
図12に示すように、回転軸として水平方向に延びるペダル軸134を有している。そして、このペダル軸134の端縁側にペダル130と共にペダル軸134の回りに回転移動(
図13参照)するリンクバー132が水平方向に形成されている。このリンクバー132の一方の端部は、後述するリンクレバー220の一方の端部側に連結されている。なお、本実施形態では、リンクレバー220が「連動部」に相当する。
【0068】
図10に示すように、リンク機構210は、上述した2つのペダル130の各々に対して設けられると共に各ペダル軸134の回りに回転移動するリンクバー132と、2つのペダル130の各々に対して設けられ、ペダル130の操作に応じてリンクバー132を介して作動するリンクレバー220と、両端側において、各リンクレバー220の他方の端部側に接続され、両側のペダル130が操作されて所定量の移動が行われた場合にロック機構200のロックを解除する棒状(バー状)の作動部230と、を備えている。
【0069】
図10及び
図11に示すように、左右のペダル130にリンクバー132及びリンクレバー220が設けられ、左右のリンクレバー220によって、作動部230の両端が連結され、当該作動部230の中央付近にロック機構200が設けられている。
【0070】
図12に示すように、車椅子16の前輪16bが、ペダル130を踏む直前の状態では、当該前輪16bがペダル130の自由端側に当接する。その状態において、
図13に示すように、車椅子16の前輪16bがペダル130を踏むと、ペダル130は、ペダル軸134を回転の中心として、
図13において反時計回転方向に回転して、
図13のペダル130の左側の自由端側が下方に押し下げられる。それに伴って、ペダル130の内部に配置されたリンクバー132も下方に移動する。
【0071】
【0072】
図12に示すような前輪16bがペダル130を踏む直前の状態では、リンクバー132は軸222(
図14参照)とほぼ同じ高さに位置している。この状態では、軸222を中心として、回転するリンクレバー220は、
図14に示すような右下がりの状態となり、リンクレバー220の作動部230が連結されている側の端部は下方に下がった位置となる。このため、この状態では、
図24に示すように、作動部230も下方に下がった状態となる。
【0073】
一方、
図13に示すような前輪16bがペダル130を踏んでいる状態では、リンクバー132は軸222(
図14参照)よりも低い位置に移動する。これにより、リンクレバー220は、
図15に示すような右上がりの状態となり、リンクレバー220の作動部230が連結されている側の端部は上方に上がった位置となる。このため、この状態では、
図25に示すように、作動部230も上方に上がった状態となる。
【0074】
(ロック機構200)
ロック機構200は、外枠100の一部(具体的には、ロックバー101)に対して係止可能な係止部242と、上蓋110に設けられ、係止部242の外枠100への係止を維持するロック状態と係止部242の外枠100への係止を解除可能なアンロック状態とを切替可能なロック部材(第1のロックカム240)を備えている。
更に、ロック機構200は、ロック部材240のロック状態を維持するロック維持状態と、リンク機構210の作動に伴いロック部材240のアンロック状態を維持するアンロック維持状態とを切替可能な第1の状態維持手段を備えている。
この第1の状態維持手段252は、ロック状態において第1のロックカム240の回動を阻止する阻止状態と、リンク機構210の作動に伴い第1のロックカム240の回動を許容する許容状態と、の間で回動可能とする第2のロックカム250を有している。
【0075】
更に、ロック機構200は、第1の状態維持手段252がアンロック維持状態に切り替えられた場合、リンク機構210の作動に関わらずアンロック維持状態を維持する第2の状態維持手段262を備えている。
この第2の状態維持手段262は、第2のロックカム250が阻止状態から許容状態に回動された場合、第2のロックカム250の阻止状態への復帰を阻止する第3のロックカム260を有する。
【0076】
さらに、ロック機構200について詳細に説明する。
図16に示すように、上述したロックバー101は、外枠100の一部であって、外枠100から水平方向に突出する円柱棒状に形成されている。
前記第1のロックカム240は、外枠100に設けたロックバー101を係止可能な凹溝状の係止部242を備えている。
また、この第1のロックカム240は、軸241を回転の中心として回動可能に形成されるとともに、上述した第2のロックカム250に一方の端部が連結された引張ばね244により、反時計回転方向に付勢されている。
【0077】
また、この第1のロックカム240には、上述した第2の状態維持手段262としての第3のロックカム260の後述する四角凹部264に入り込んでいる突部245を有している。突部245が四角凹部264に入り込むことで、第2の状態維持手段262としての第3のロックカム260を操作することが可能である。
また、この第1のロックカム240は、第1の状態維持手段252としての第2のロックカム250の凹部253に係止されて当該第1のロックカム240の回転を規制する凸部243が形成されている。
【0078】
第1の状態維持手段252としての第2のロックカム250は、軸251を回転の中心として回動可能に形成されるとともに、第1のロックカム240の凸部243を係止して第1のロックカム240の回転を規制してロック状態を維持させるための凹部253を有している。
【0079】
また、第2のロックカム250は、外周部に前方に突出して前記第3のロックカムの回転を規制する四角凸部254を有している。
また、第2のロックカム250は、作動部230が上方へ移動するに伴って、上方へ跳ね上げられて、第2のロックカム250を回転させる跳ね上げ片255が後方に突出して形成されている。
【0080】
前記第2の状態維持手段262としての第3のロックカム260は、軸261を回転の中心として回動可能に形成されるとともに、トーションバネ263により、
図16の反時計回転方向に付勢されている。また、第3のロックカム260には、第1のロックカム240の突部245が入り込んだ状態の四角凹部264が形成されている。
【0081】
図16は、ロック機構200のロック状態を示している。
本実施形態では、上述した開口装置8で説明した付勢手段140及び他の付勢手段145の付勢力により、水平状態の上蓋110を開放しようとする力が作用している。
【0082】
したがって、外枠100に固定されているロックバー101と、上蓋110に軸241を介して回動可能に固定されている第1のロックカム240との関係から、上蓋110を開放しようとする前記付勢力により、上蓋110が開放する方向に移動して第1のロックカム240は、
図16の反時計回転方向に回転しようとする。しかし、第2のロックカム250の凹部253に第1のロックカム240の凸部243が係止されており、第1のロックカム240は反時計回転方向の回転が規制されている。そのため、ロックバー101は、係止部242によるロック状態が維持される。結果としてロック機構200のロック状態が維持される。
【0083】
一対のペダル130が同時に操作された場合、リンクバー132が下方に移動し、軸222を回転中心として回動するリンクレバー220が右上がり状態となり、
図17に示すように、右側端部に連結されている作動部230も上方に移動して跳ね上がる。
【0084】
作動部230の跳ね上げに伴い、第1の状態維持手段252としての第2のロックカム250の跳ね上げ片255も上方に跳ね上げられ、第2のロックカム250が
図17の反時計回転方向に回転し、第2のロックカム250の凹部253から、第1のロックカム240の凸部243が外れ、第1のロックカム240が反時計回転方向に回転可能な状態となる。
【0085】
また、第2のロックカム250が反時計回転方向(
図17)に回転した状態において、第2のロックカム250の四角凸部254が、第3のロックカム260の突出する外周に当接することで、第2のロックカム250の時計回転方向(
図17)への回転が規制される。
【0086】
これにより、
図18に示すように、ペダル130の操作が終わって、すなわち、車椅子16を後退させて前輪16bをペダル130から離して、リンクバー132が上昇し、リンクレバー220が右下がり状態(
図18)となり、作動部230が下方に移動しても、第1の状態維持手段252としての第2のロックカム250は、時計回転方向(
図18)に回転せず、回転が規制された状態を維持する。これにより、第1のロックカム240の凸部243が、第2のロックカム250の凹部253に係止されない状態が維持され、第1のロックカム240の回転は規制されず、自由に回転可能な状態を維持する。このため、上蓋110の開放と共にロックバー101に引きずられ、及び引張ばね244の張力を受けて第1のロックカム240は、
図19に示すように、反時計回転方向に回転する。そして、第1のロックカム240の回転に伴い、係止部242の内部からロックバー101が外れ、上蓋110が完全に開放される(持ち上がる)。
また、第1のロックカム240の回転に伴い、突部245が第3のロックカム260を時計方向に回転させる。これにより、第3のロックカム260による第2のロックカム250の時計方向への回転の規制は解除される。一方、第1のロックカム240の凸部243が第2のロックカム250の外周部に当接するため、第2のロックカム250の時計方向への回転の規制は維持される。
【0087】
上蓋110を閉める際には、
図20に示すように、上蓋110を人の手で下方に押し下げると、ロックバー101が第1のロックカム240の係止部242の内部に入り込み、係止部242の上側を押し上げる。これにより、第1のロックカム240が、
図20の時計回転方向に回転する。
第1のロックカム240が、時計回転方向に回転すると、引張ばね244の引張力により、第2のロックカム250は、
図21に示すように時計回転方向に回転して、
図16と同様のロック状態に戻る。
【0088】
本実施形態に係るリンク機構210は、2つのペダル130とロック機構200とをつなぐと共に、2つのペダル130を共に操作しないとロック機構200のロックが解除されないように形成されている。上記2つのペダル130を共に操作しないとロック機構200のロックが解除されない機構について説明する。
図22は、2つのペダル130が操作されている状態(2点鎖線)及び1つのペダル(具体的には、左側のペダル)だけが操作されている状態(実線)の作動部230の正面図である。
【0089】
図22の実線で示されている状態は、左側のペダル130だけを操作しているもので、具体的には、
図23及び
図26に示すような状態になっているものである。
【0090】
このように、両方のペダル130を共に操作せずに片方だけのペダル130を操作した場合には、作動部230は、
図22の実線で示すような状態となる。作動部230の中央位置では、作動部230の上方への跳ね上げの移動距離が、両方のペダル130を操作した場合の距離Lの約半分の距離L/2となり、ロック機構200のロック状態を解除するために必要な所定量の移動距離Lの半分L/2となる。かかる場合、
図23に示すように、作動部230の跳ね上げ、すなわち上方への移動距離が通常の半分となって不足し、跳ね上げ片255をロック解除させることができるまで跳ね上げることができない。結果として、第2のロックカム250の
図23の反時計回転方向の回転が不足する。
図17の場合と比較しても、第2のロックカム250の回転量が不足し、第1のロックカム240の反時計回転方向への回転規制を解除するには至らない。このように、本実施形態は、左右のペダル130を共に操作しないとロック機構200のロック状態が解除されない機構であり、誤作動を防止することができるものである。
【0091】
本実施形態によれば、ペダル130を足で踏みつけて操作したり、車椅子16の前輪16bで踏みつけて操作することにより、ペダル130とロック機構200とをつなぐリンク機構210を介して、ロック機構200のロックを解除することができる。そして、ロック機構200のロックが解除されれば、付勢手段(付勢手段140及び他の付勢手段145)の付勢力により、上蓋110を開放方向に開放することができる。
【0092】
これにより、床面にある上蓋110まで手を伸ばして自らの手でロック状態を解除し、当該上蓋110を持ち上げて開放することができないような車椅子16の利用者等が足や車椅子16の前輪16b等でペダル130を操作することで、上蓋110を開放することができる。
【0093】
本実施形態によれば、片方だけのペダル130の操作では、片方だけのリンクレバー220しか作動せず、作動部230の両端の一方しか移動しない。このため、作動部230の所定量の移動を確保することができず、ロック機構200のロックが解除されない。
【0094】
このように2つのペダル130を共に操作しないとロック機構200のロックが解除されないように形成されている。このため、幼児等のいたずらで1つのペダル130が操作されたり、また、偶然に片方の足で1つのペダル130を踏んでしまうようなことが起きても、ロック機構200のロックは解除されない。これにより、幼児等のいたずらや、誤作動等の発生を抑えることができ、誤って上蓋110を開放してしまうようなことを防止することができる。
【0095】
これにより、車椅子16の利用者であって、左右のペダル130を手や足で同時に操作することができないような場合であっても、容易にロック機構200のロックを解除することができ、上蓋110を開放方向に開放することができる。結果として、火災や地震等の緊急時における避難において介助者がいなくても車椅子16の利用者だけで容易に行うことができる。
【0096】
本実施形態によれば、上蓋110に設けられた係止部242が、ロック状態では、外枠100に設けられたロックバー101を係止することで、上蓋110が外枠100から離れることができず、ロック機構200がロック状態となる。
【0097】
また、上蓋110に設けられた係止部242が、アンロック状態では、ロックバー101を係止していないことで、上蓋110が外枠100から離れることが可能な状態となり、ロック機構200のロックが解除された状態となる。
また、第1の状態維持手段252が、前記ロック状態を維持することで、ロック機構200がロック状態を維持することができる。
【0098】
また、第2の状態維持手段262が、第2のロックカムが阻止状態から許容状態に回動された場合、ペダル130の操作位置に関わらず第2のロックカムの阻止状態への復帰を阻止する。これにより、ペダル130を操作して、ロック状態からアンロック状態にした後、ペダル130から手や足や前輪16b等が離れて、ペダル130の操作を止めても、アンロック状態から再度、ロック状態へ移行し、ロック機構200がロック状態に戻ることを防止することができる。
【0099】
本実施形態によれば、第1のロックカム240が、外枠100の一部を係止可能な係止部242を有し、回動することで、係止部242のロック状態及びアンロック状態を変更することができる。
また、第1の状態維持手段252としての第2のロックカム250は、初期状態において第1のロックカム240の回動を阻止する阻止状態とすることで係止部242をロック状態とし、当該第2のロックカム250が回動することで第1のロックカム240を回動可能とする。
また、第2の状態維持手段262としての回動可能な第3のロックカム260は、第2のロックカム250が阻止状態から許容状態に回動された場合、第2のロックカム250の阻止状態への復帰を阻止する。
【0100】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0101】
また、第1実施形態に掛かる開口装置8を有する避難装置11は、上述したような車椅子16だけではなく、車椅子16での移動が困難な者に用いられるストレッチャーにも適用可能である。
【0102】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について、
図27~
図41を適宜引用しながら説明する。なお、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付すこととし、詳細な説明は割愛する。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0103】
なお、本明細書中の説明において、平面視において外枠100が乗り込み辺縁6を有する方向を「前方」とし、隣接縁7を有する方向を「幅方向」とする。また、「前方」の反対側(奥側辺縁7a方向を有する方向)を「後方」とする。
【0104】
図27は、第2実施形態に係るペダル330、リンク機構410及びロック機構400を示す斜視図である。
図27に示すように、第2実施形態に係る開口装置8では、リンク機構410、ロック機構400がそれぞれ第1実施形態から変更されている。
【0105】
(ペダル330及びリンク機構410)
まず
図28~
図32を参照して、第2実施形態に係るペダル330及びリンク機構410の構成を説明する。
図28は、ペダル330を踏み込んでいない状態におけるペダル330及びリンク機構410の斜視図であり、
図29は、ペダル330を踏み込んでいない状態におけるペダル330及びリンク機構410の側面図であり、
図30は、ペダル330を踏んだ状態におけるペダル330及びリンク機構410の側面図である。
【0106】
本実施形態の開口装置8は、上蓋110の上部に設けられた一対のペダル330と、上蓋110の裏側の幅方向両側に設けられたロック機構400と、ペダル330とロック機構400とを接続するリンク機構410と、を有している。ペダル330は、
図29に示すように、ペダル軸334に回動可能に軸支され、前側を車椅子16の前輪16bによって踏み込むことが可能とされており、後方側に第1のリンクピン336を有している。
リンク機構410は、ペダル330の操作に連動する連動部420と、連動部420に接続されてペダル330の操作をロック機構400に伝達する作動部430と、を有している。リンク機構410は、ペダル330の操作に伴い、後述するロック機構400の状態を、ロック状態とアンロック状態とに変更可能とされている。
ペダル330は、踏板部331の操作に応じて連動するリンク部332を備えている。また、連動部420は、リンク部332に接続されて直動する連結部424と、連結部424に接続され、連結部424の移動量に応じて移動する従動部520と、ロック機構400のロックを解除する方向に作動部430を誘導する誘導部550とを備えている。
【0107】
図28に示すように、リンク部332は、ペダル330の踏み込み操作量に応じて図の時計方向に回動する第1のリンクカム530と、第1のリンクカム530に接続されて第1のリンクカム530の回転に対応して前後方向に直動する第2のリンクカム540とを備えている。
図28及び
図29に示すように、ペダル330は、ペダル軸334に軸支されている。また、ペダル330は、幅方向に伸びる円柱形状の第1のリンクピン336をペダル軸334の後方側に有している。すなわち、ペダル330の前方側を車椅子の前輪16Bが踏みつけたとき、第1のリンクピン336が上方に移動する構造とされている。
第1のリンクカム530は、リンク軸338によって回動可能に軸支されている。また第1のリンクカム530は、リンク軸338の前方かつ下方側に第1の長孔534と、第2の長孔542を有している。第1の長孔534は、第1のリンクピン336が回動可能に挿入され、第2の長孔542はリンク軸338の後方かつ下方側に設けられた後述する第2のリンクピン532が回動可能に挿入されている。すなわち、第1のリンクカム530は、第1のリンクピン336が上方に移動した場合、リンク軸338を中心に回動することで、第2のリンクピン532に運動を伝達する構造とされている。
第2のリンクカム540は、幅方向に伸びる円柱形状の第2のリンクピン532を前方側に有すると共に、後方側が連結部424に接続されている。これにより、第2のリンクカム540は、第2のリンクピン532の運動を連結部424に伝達する。
【0108】
ここで、
図29及び
図30に示すように、ペダル330の踏み込みに対応して第1のリンクピン336が上方に移動すると、第1のリンクピン336は、第1の長孔534の側壁を上方に押し上げつつ、第1の長孔534のリンク軸338寄りに移動する。これにより、第1のリンクカム530はリンク軸338を中心に図の時計方向に回動する。そして、第2の長孔542の側壁は、第2のリンクピン532を前方向に引き寄せることで、第2のリンクカム540は前方に引き寄せられる。すなわち、ペダル330の踏み込みによる回転移動が、第1のリンクカム530及び第2のリンクカム540によって前後方向に直動する移動に変換される。
第2のリンクカム540が前方向に移動することによって、第2のリンクカム540の後端側に接続された連結部424も同様に前方向に移動する。
【0109】
連結部424は、それぞれの第2のリンクカム540の後方側に接続されると共に、後述する従動部520の連絡部524に接続されている。すなわち、第2のリンクカム540の直動する移動を従動部520の連絡部524に伝達する。なお、連結部24は、常態に復帰するためのリターンスプリング425を備えている。
【0110】
続いて、
図31~
図34を参照して、第2実施形態に係る連動部420及び作動部430の構成を説明する。
図31は、連動部420及び作動部430の斜視図であり、
図32は、連動部420及び作動部430の、ペダル330を踏み込んでいない状態における平面図であり、
図33は、ペダル330を片方(右側)のみ踏んだ状態における平面図、
図34は、ペダル330を両方とも踏んだ状態における平面図である。
【0111】
図31及び
図32に示すように、連動部420は、従動部520と、誘導部550とを有している。従動部520は、開口装置8の幅方向を長手方向とした溝形鋼状の長尺部材521を備えている。長尺部材521の両端部には、連結部424に接続される連絡部24が設けられている。長尺部材521の両端は、連結部424の移動方向、すなわち前方向(本実施形態における「所定方向」)に移動可能とされている。誘導部550は、上蓋110の裏側において幅方向中央の位置に設けられている。
【0112】
ここで、本実施形態に係る誘導部550は、取付部551、固定円盤552、誘導円盤554及び支持部555を備えている。
取付部551は、幅方向中央の位置に誘導孔553が前後方向を長手方向として形成されている。また、誘導孔553には、誘導円盤554を支持する軸が移動可能に挿通されている。また、取付部551には、誘導円盤554に対して幅方向外側に一対の固定円盤552が設けられている。
また、誘導円盤554の縁溝には、後述するインナーワイヤ434が張力を有した状態で掛けられている。
また、一対の固定円盤552は、後述するインナーワイヤ434を案内する。
【0113】
支持部555は、従動部520の幅方向の中央の中途部522に設けられている。この支持部555は、後方に向けて延出されて、その後端部に誘導円盤554が取り付けられている。すなわち、誘導円盤554は、従動部520の中途部522と共に前後方向に移動する。
【0114】
上述の通り、取付部551の誘導孔553は、前後方向を長手方向として形成されているため、誘導円盤554の軸は、誘導孔553に沿って前後方向に移動する。したがって、従動部520の中途部522に設けられた支持部555が移動した場合、作動部430のインナーワイヤ434の中間部が誘導円盤554によって前方向に牽引される。
なお、誘導円盤554は、従動部520の中途部522に接続されていてもよい。
【0115】
作動部430は、一対のアウターチューブ432と、インナーワイヤ434と、接続部436を有している。インナーワイヤ434は、接続部436で後述するロック機構400に接続されている。また、ロック機構400に設けられたアジャスタ402(
図36参照)によってインナーワイヤ434の張力を調整される。
アウターチューブ432は、長手方向に非圧縮性を有する可撓性の筒体であり、後述するロック機構400と取付部551との間にそれぞれ配置されている。
インナーワイヤ434は、その中間部が誘導円盤554と一対の固定円盤552とに掛けられると共に、一対のアウターチューブ432の内側にそれぞれ挿通されている。
接続部436は、インナーワイヤ434の両端側に設けられ、一対のロック機構400とインナーワイヤ434とを接続する。
ここで、
図33に示された状態のように、ペダル330を両方とも踏み込んだ場合、従動部520は、両端の連絡部524が前方向に移動するため、長尺部材521全体も前方向に移動することとなる。
【0116】
この場合、支持部555に接続されている誘導円盤554は、従動部520の長尺部材521の移動に伴って前方向に移動する。なお、この場合における従動部520の中途部522の移動距離をLとする。
【0117】
従動部520の中途部522が移動距離Lだけ前方に移動することにより、作動部430のインナーワイヤ434の中間部が誘導円盤554によって前方向に牽引される。これにより、インナーワイヤ434の両端側の接続部436が牽引される。
【0118】
また、
図34に示されるように、ペダル330を片方だけ踏み込んだ場合、対応する連絡部524が前方に移動するため、長尺部材521の片側が前方に傾くこととなる。
この場合、長尺部材521が傾くことにより、誘導円盤554が前方に移動する。しかし、従動部520の中途部522の移動量は、ペダル330を両方とも踏み込んだ場合の約半分のL/2となる。
したがって、作動部430のインナーワイヤ434の中間部が誘導円盤554によって牽引される量、すなわち接続部436の移動量は、ペダル330を両方とも踏み込んだ場合の約半分となる。
【0119】
(ロック機構400)
続いて、
図35~
図41を適宜参照しながら、本実施形態に係るロック機構400について説明する。なお、ロックバー101は、外枠100における幅方向両側にそれぞれ設けられ、ロック機構400は、上蓋110の内面における幅方向両側に一対設けられているが、以下では片側のみ説明する。
【0120】
図35は、ロック機構400の部分斜視図であり、
図36~
図41には、ロック機構400が、ロック状態及びアンロック状態の場合を示すロック機構400の部分縦断面図である。
【0121】
図36は、ロック機構400の断面側面図であり、図の左側が開口装置8における「幅方向外側」である。ロック機構400は、ロックカム支持部材480と、ロックカム支持部材480にそれぞれ支持されたロック部材(第1のロックカム440)、第1の状態維持手段(第2のロックカム450)と、第2の状態維持手段である付勢部材(引張ばね460)を有する。
【0122】
ロックカム支持部材480は、第1のロックカム440が軸支される軸441と、第2のロックカム450が軸支される軸451を有する。また、軸451は、軸441よりも開口装置8の幅方向内側に設けられている。また、ロックカム支持部材480は、長孔である第1の案内部484及び第2の案内部485が形成されている。ロックカム支持部材480は、上部を上蓋110の内側(すなわち、上蓋110の下面側)に固定されている。
【0123】
第1の案内部484は、軸441よりも幅方向外側において円弧状に形成されると共に、円弧状の下端から下方に向けて切欠かれている。第1の案内部484の円弧状の部分は、軸441に対して同心円状の縁を有しており、後述する第1のロックカム440に設けられた第1の引掛部449を第1のロックカム440の回動と共に案内する。
なお、第1の案内部484の上端は、軸451と同等の高さまで形成されている。すなわち、ロック機構400がロック状態の場合において、第1の引掛部449が軸451と同等の高さ位置にあることが好ましい。
【0124】
第2の案内部485は、軸451よりも幅方向内側において円弧状に形成された長孔である。第2の案内部485は、軸451に対して同心円状の縁を有しており、後述する第2のロックカム450に設けられた第2の引掛部459を第2のロックカム450の回動と共に案内する。
なお、第2の案内部485は、軸451に対して上方及び下方まで孔が形成されている。
【0125】
第1のロックカム440は、第1の引掛部449と、係止部442と、第1凹部446と、第2凹部447と、第1凹部446及び第2凹部447との間に設けられた摺動部448と、を有している。第1のロックカム440は、軸441に回動可能に軸支されている。
【0126】
図35及び
図36に示すように、第1の引掛部449は、ロック状態において軸441よりも幅方向外側かつ上方に位置している。第1の引掛部449は、一例として幅方向と直交する方向、すなわち前後方向に延びる円柱状の部材であり、第1の案内部484に挿通されている。なお、第1の引掛部449は、第1のロックカム440と一体に形成されてもよく、また別体とされてもよい。
図36に示すように、第1凹部446はロック状態において、後述する第2のロックカム450の凸部456を係止する。また、第2凹部447は、
図39に示すようにロック解除状態において、第2のロックカム450の凸部456を係止する。
摺動部448は、第2のロックカム450の凸部456が当接された状態で、第1のロックカム440を回動可能にする曲面とされている。
係止部442は、ロック状態において第1のロックカム440の幅方向外側が開口された長孔であり、ロック状態においてロックバー101を係止する。
【0127】
また、
図35及び
図36に示すように、第2のロックカム450は、第2の引掛部459と、凸部456と、を有している。第2のロックカム450は、第1のロックカム440に対して幅方向内側で、軸451に回動可能に軸支されている。
【0128】
図35に示すように、第2の引掛部459は、ロック状態において軸451の幅方向内側かつ下方に位置している。第2の引掛部459は、一例として幅方向と直交する方向、すなわち前後方向に延びる円柱状の部材であり、ロックカム支持部材480に形成された第2の案内部485に挿通されている。なお、第2の引掛部459は、第2のロックカム450と一体に形成されてもよく、また別体とされてもよい。
また、
図36に示すように、第2のロックカム450は、軸451よりも下方で作動部430の接続部436と接続されている。すなわち、作動部430のインナーワイヤ434が牽引されたとき、第2のロックカム450は、図の反時計方向に回動する。
また、
図36に示すように、第1の引掛部449及び第2の引掛部459は、付勢部材の一例としての引張ばね460によって互いに近接する方向に付勢されている。具体的には、引張ばね460の一端側は、第1のロックカム440の第1の引掛部449に引っ掛けられ、引張ばね460の他端側は、第2のロックカム450の第2の引掛部459に引っ掛けられている。
【0129】
なお、
図36に示される状態では、引張ばね460は、軸451よりも下方に位置した状態で、第1の引掛部449及び第2の引掛部459を近接する方向に付勢している。すなわち、第2のロックカム450は、時計方向に回動する方向に付勢されることで回動を抑制されている。
【0130】
次に、本実施形態に係るロック機構400の動作及びロック状態とアンロック状態との変更を説明する。
【0131】
図36に示す通り、本実施形態に係るロック機構400がロック状態の場合、ロックバー101は、第1のロックカム440に係止されている。したがって、第1のロックカム440が回動しない限り上蓋110が開くことが規制されている。
【0132】
また、第1のロックカム440は、第2のロックカム450によって回動が抑制されており、さらに第2のロックカム450は、引張ばね460によって回動が抑制されている。すなわち、本実施形態では、この状態が第1のロックカム440の回動を阻止する「阻止状態」に相当する。
【0133】
ここで、
図37に示されるように、上述したペダル330を車椅子16の前輪16bが両方とも踏み込んだ場合において、作動部430のインナーワイヤ434が幅方向内側に牽引されることによって、第2のロックカム450は、図の反時計方向に回動する。そして、この状態では、第1のロックカム440は、回動を第2のロックカム450に抑制されず、回動することが可能となる。すなわち、ロック機構400のロックが解除された状態となる。
また、
図37の状態では、第2のロックカム450が回動することにより、第2の引掛部459は、軸451に対して幅方向内側上方に移動し、第2のロックカム450によって回動が許容される。すなわち、本実施形態では、この状態が第1のロックカム440の回動を許容する「許容状態」に相当する。
【0134】
本実施形態に係るロック機構400では、引張ばね460は、阻止状態の場合における位置に対し、軸451を挟んで、阻止状態の場合における引張ばね460の位置の反対側に移動し、引張ばね460が第1の引掛部449及び第2の引掛部459を近接する方向に付勢し続けている。これにより、第2のロックカム450は、逆向である図の時計回りの回動を抑制され、初期状態から時計回りに回動された状態が保たれる。
したがって、1度アンロック状態に変更された第2のロックカム450は、踏み込まれたペダル330が両方とも元の状態に戻された場合においても、引張ばね460によって
図36の阻止状態に戻ることを抑制され、
図37の許容状態を保つ。
【0135】
続いて、ペダル330から車椅子16の前輪16bが取り除かれ、上蓋110に荷重が無くなった場合、第1実施形態に係る開口装置8と同様に、
図38に示されるように、上蓋110が付勢手段140によって開口する方向に回動する。
この場合、第1のロックカム440は、外枠100に固定されているロックバー101によって図の反時計方向に回動させられながら、上方に移動する。これにより、ロックバー101が第1のロックカム440の係止部442から外れる。
また、第1のロックカム440が図の反時計方向に回動する状態では、第1の引掛部449も下方に移動する。これにより、第1の引掛部449と第2の引掛部459とを結ぶ引張ばね460は、第2のロックカム450係止軸よりも下方に位置することとなり、引張ばね460の付勢力によって第2の引掛部459が第2のロックカム450を図の時計回りに回転させる。
さらに、ロックバー101が第1ロック機構400から外れた状態では、第2のロックカム450の凸部456は、第1のロックカム440の第2凹部447に係合した状態となる。そして、引張ばね460の付勢力によって第1のロックカム440及び第2のロックカム450の姿勢が保たれる。
【0136】
続いて、
図39に示すように、上蓋110を閉じる方向に回動させた場合、まずロックバー101が第1のロックカム440の係止部442に当接する。この状態から、さらに上蓋110を閉じる方向に回動させると、ロックバー101によって第1のロックカム440は、図の時計方向に回動される。
【0137】
さらに上蓋110を閉じる方向に回動させた場合、
図40に示すように、ロックバー101が第1のロックカム440を図の時計方向に回動させる。この状態において、第1の引掛部449及び第2の引掛部459は、引張ばね460によって第1のロックカム440を反時計方向に、第2のロックカム450を時計方向に回動する方向に付勢している。
ここで、第1のロックカム440は、第2のロックカム450の凸部456が第1のロックカム440の摺動部448に当接しながら、図の時計方向へ回動することが可能とされている。これにより第1のロックカム440が抑制されずに回動する。
上蓋110を完全に閉じた状態では、第1のロックカム440は、
図36と同様の角度まで回動される。すなわち、ロックバー101が係止部442によって係止される。
【0138】
また、第2のロックカム450の凸部456は、第1のロックカム440の摺動部448を摺動した後、再び第1凹部446に係合させられる。これにより、第2のロックカム450は、
図36と同様の角度まで回動する。したがって、第1のロックカム440の回動は、第2のロックカム450によって再び抑制され、「阻止状態」へ変化する。
【0139】
なお、
図36のように「阻止状態」の場合において、前述したようにペダル330を片方だけ操作した場合は、
図41に示されるように、第2のロックカム凸部456が、第1のロックカム440の第1凹部446から外れない。すなわち、第2のロックカム450は「許容状態」に変化しないため、第1のロックカム440は回動しない。
そして、
図41に示す状態から片方だけ操作されているペダル330が元に戻された(ペダル330から車椅子16の前輪16bが取り除かれた)場合、第2のロックカム450は、引張ばね460によって引っ張られる。これにより、第2のロックカム450は
図36の状態に戻る。
【0140】
(作用及び効果)
次に、本実施形態に係るリンク機構410及びロック機構400による作用及び効果を示す。
【0141】
まず、本実施形態に係るリンク機構410により、ペダル330を片方だけ踏み込んだ場合における誘導円盤554及び接続部436の移動距離は、ペダル330を両方とも踏み込んだ場合における移動距離と比して半分のL/2となる。
すなわち、ペダル330を片方だけ踏み込んだ場合と、両方とも踏み込んだ場合とによって誘導円盤554及び接続部436の移動量を変化させることができる。
これにより、ペダル330を片方だけ踏み込んだ場合における誘導円盤554及び接続部436の移動量を所定量に満たない量とし、ペダル330を両方とも踏み込んだ場合における誘導円盤554及び接続部436の移動量が所定量以上となるよう設定することができる。
【0142】
このようにして、本実施形態に係るリンク機構410及びロック機構400においても第1実施形態に係るリンク機構410及びロック機構400と同様に、ペダル330を両方とも踏み込んだ場合に上蓋110のロックが解除されるアンロック状態とし、ペダル330を片方だけ踏み込んだ場合には上蓋110のロックが解除されないロック状態を保つ構成を得ることができる。
【0143】
さらに、本実施形態に係るロック機構400は、上蓋110の内側において幅方向両側にそれぞれ設けられている。したがって、ロックバー101は、乗り込み口となる乗り込み辺縁6側ではなく、乗り込み辺縁6の両外側に隣接する隣接縁7側に固定される。
【0144】
本実施形態に係るリンク機構410及びロック機構400を用いることで、第1実施形態に係るリンク機構410及びロック機構400に対し、乗り込み辺縁6側の設計自由度を向上させることが可能となり、また避難者が昇降台5に乗る際にロックバー101に接触することを防ぐ効果を得ることができる。
【0145】
(変形例)
また、本実施形態に係るリンク機構410及びロック機構400について変形例を説明する。
【0146】
上述の説明では、ペダル330と従動部520とを、連結部424を介して間接的に接続していたが、本実施形態に係るリンク機構410は、これに限定されない。例えば連結部424を設けず、ペダル330と従動部520とを直接的に接続してもよい。
【0147】
また、リンク機構410における作動部430は、インナーワイヤ434を牽引することによって、ロック機構400のロック部材440を牽引して回動させていたが、本実施形態に係るリンク機構410は、これに限定されない。例えば、作動部430をロッド状の部材とし、従動部520が所定量移動した場合に当該ロッド状の部材が幅方向外側に移動して、第2のロックカム450を押して回動させてもよい。
【0148】
また、上述の説明では、ロック機構400が幅方向両側に一対設けられていたが、本実施形態に係るロック機構400は、これに限定されない。開口装置8の仕様に合わせて一又は複数のロック機構400を上蓋110に対して適宜配置することができる。例えば、幅方向両側に加え、前方向に1つの計3つのロック機構400を配置することができる。
【0149】
また、ロック機構400を3以上設けられていてもよい。例えば、開口装置8は、作動部430の長さの範囲内であれば、連絡部524以外の部分でインナーワイヤ434と第2のロックカム450とを接続されるロック機構400をさらに備えることで、3以上のロック機構400を備えてもよい。
【0150】
また、上述の説明では、中途部522は、従動部520の幅方向中央とされていたが、本実施形態にかかる中途部522は、これに限定されない。すなわち、一対の連絡部524の間に位置すればよく、開口装置8の仕様に合わせて、従動部520の幅方向中央から離れた箇所に設けられていてもよい。
【0151】
また、上述の説明では、連絡部524は、従動部520の両側端部とされていたが、本実施形態に係る連絡部524は、これに限定されない。すなわち、従動部520の幅方向で互いに離間した状態で、中途部522を挟んでいればよく、開口装置8の仕様に合わせて、従動部520の幅方向両側から離れた箇所に設けられていてもよい。
【0152】
また、上述の説明では、作動部430は、一対のアウターチューブ432と、一対のアウターチューブ432に挿通された一本のインナーワイヤ434とされていたが、本実施形態に係る作動部430は、これに限定されない。例えば、インナーワイヤ434を一対設け、左右両側のロック機構400のロックをそれぞれのインナーワイヤ434で解除する機構としてもよい。
また、本実施形態に係る開口装置8が有する作動部430は、一つに限定されない。例えば、一対又は3つ以上のロック機構400に対し、作動部430を並列に複数配置し、それぞれの作動部430を誘導円盤554が一度の操作で牽引する機構としてもよい。
また、他の例として、一つのロック機構400に対し、作動部430を並列に複数配置し、それぞれの作動部430を誘導円盤554が一度の操作で牽引する機構としてもよい。
【0153】
なお、「同時」とは、ペダル操作中のタイミングであれば完全に一致したタイミングである必要はない。
【0154】
以上、添付図面を参照しながら本開示の第1実施形態及び第2実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本開示は、建築物の廊下、ベランダ、屋根等に設けられた避難ハッチや昇降口等の開口装置として利用可能である。