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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】流体を蓄積するための装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/292 20060101AFI20240821BHJP
   A61M 1/06 20060101ALN20240821BHJP
【FI】
G01F23/292 A
A61M1/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022549138
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2021053811
(87)【国際公開番号】W WO2021165281
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】20157736.8
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503465052
【氏名又は名称】メデラ ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】チューリング、 マーチン
(72)【発明者】
【氏名】ヘーナー、 セバスチャン
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0220743(US,A1)
【文献】特表2017-509379(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0209747(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0220745(US,A1)
【文献】特開2010-193820(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03533479(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0228342(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0000055(US,A1)
【文献】特表2019-529893(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0242816(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/292
G01F 1/00 ~ 13/00
G01F 17/00 ~ 23/02
A61M 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性の乳房から抽出された母乳を蓄積するための装置(2)であって、
前記母乳を収容するためのドレンボトル(4)と、
前記ドレンボトル(4)へ向かう出口(10)を有するリザーバ(8)であって、前記リザーバ(8)及び前記ドレンボトル(4)は、前記出口(10)に設けられるバルブ(12)を介して互いに連通する、リザーバ(8)と、
前記リザーバ(8)に真空を作り出すための吸引ポンプに接続可能な吸引口(14)と、
前記リザーバ(8)に動作可能に結合され、かつ前記リザーバ(8)に形成された乳柱の液位を測定することにより前記リザーバ(8)内に溜まっている前記母乳の体積を測定するように調整され、光源(26)及び検出器(28)を備える光学センシング装置(22)であって、前記光源(26)は、前記リザーバ(8)に向かって光を放出するように構成され、前記検出器(28)は、前記リザーバ(8)から放出された前記光の強度を検出するように構成される、光学センシング装置(22)と、
前記光源(26)から前記検出器(28)への経路に前記光を指向する少なくとも1つの光指向手段(30、32)と
を備える、装置(2)。
【請求項2】
前記光学センシング装置(22)は、前記リザーバ(8)から着脱可能な構造ユニットとして構成される、請求項1に記載の装置(2)。
【請求項3】
前記光学センシング装置(22)は、前記ドレンボトル(4)に接続されるボトルトップアタッチメント(6)に着脱可能に取り付けられるキャップ(24)に収容され、前記リザーバ(8)は、前記ボトルトップアタッチメント(6)に設けられる、請求項2に記載の装置(2)。
【請求項4】
前記光源(26)及び前記検出器(28)は、前記リザーバ(8)内の母乳経路(P)に沿って同じ高さに設けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記光源(26)及び前記検出器(28)は、リザーバ壁から空間的に分離されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記光源(26)と前記検出器(28)との間の空間距離(D)は、最小でも、前記リザーバ(8)内の母乳経路(P)に対して直角の前記リザーバ(8)の幅に対応する、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光指向手段(30、32)は、前記リザーバ(8)の側壁に又は側壁の中に設けられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光指向手段(30、32)は、反射面(34、36)を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記光指向手段(30、32)の少なくとも1つの導光素子(30)は、前記光源(26)から放出された光がリザーバ壁(38)を直角に通過するように前記導光素子(30)によって方向転換されるように、前記光源(26)と前記リザーバ(8)との間に設けられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記光指向手段(30、32)の少なくとも1つの導光素子(32)は、前記リザーバ(8)からリザーバ壁(40)に対して実質的に直角に放出される光が前記検出器(28)に向けて方向転換されるように、前記リザーバ(8)と前記検出器(28)との間に設けられる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
複数の光源(26)がアレイ状に設けられており、各光源(26)が前記リザーバ(8)内の母乳経路(P)に沿って異なる高さを有し、
複数の検出器(28)がアレイ状に設けられており、各検出器(28)が前記母乳経路(P)に沿って異なる高さを有し、
前記各光源(26)は、同じ高さに設けられた前記複数の検出器(28)の1つとペアを形成する、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記リザーバ(8)内の母乳経路(P)と本質的に平行な方向に向くように、複数の光源(26)のアレイが前記母乳経路(P)に対して直角にけられ、前記導光素子(30)は前記光源(26)と前記リザーバ(8)との間に設けられ、
前記母乳経路(P)と本質的に平行な方向に向くように、複数の検出器(28)のアレイが前記母乳経路(P)に対して直角にけられ、前記導光素子(32)は前記リザーバ(8)と前記検出器(28)との間に設けられ、
前記光源(26)と前記リザーバ(8)との間に設けられた前記導光素子(30)は、前記リザーバ壁に又は前記リザーバ壁内に階段状に配置される複数の反射面を備え、各反射面が前記リザーバ壁の異なる高さに設けられ、かつ前記複数の光源(26)の1つに割り当てられ、
前記リザーバ(8)と前記検出器(28)との間に設けられた前記導光素子(32)は、反対側のリザーバ壁に又はリザーバ壁内に階段状に配置される複数の反射面を備え、各反射面が前記反対側のリザーバ壁の異なる高さに設けられ、かつ前記複数の検出器(26)の1つに割り当てられ、
前記各光源(26)は、前記母乳経路(P)に対して直角の方向に同じ高さで設けられた前記複数の検出器(28)の1つとペアを形成する、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を蓄積するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2018/045349A1には、母乳を収容するための採取容器、乳房に対する流体シールを作成するための乳房インターフェース、及び乳房から母乳を抽出して採取容器に蓄積するために乳房インターフェースに動作可能に結合されたポンプ装置を含む装置が開示されている。この装置は、搾乳された母乳の量及び/又は品質を特徴付けるためのセンサをさらに備える。採取容器に含まれる流体の量、すなわち体積を決定するために、容量センサが採取容器の内壁に結合されている。
【0003】
既知の装置には改良の余地がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、流体を蓄積するための改良された装置を提供することである。特に、本発明は、流体を蓄積するための装置を提供することを目的としており、これは、装置に入る流体のパラメータを改良されたやり方で監視することを可能にする。
【0005】
上記目的の解決策として、本発明は請求項1の特徴を有する装置を提案する。
【0006】
この装置は、流体を収容するためのドレンボトルを備える。通常、流体は女性の乳房から抽出された母乳である。しかしながら、原理的には、この装置は、好ましくは、液体である任意の他の流体と共に使用されてもよい。ドレンボトルは、ボトル、特に、哺乳瓶の形状であってもよい。したがって、ドレンボトルは、好ましくは、底面と底面から延びて容器を形成する円周状に閉じた壁とを有する。一般的に、底面は水平面に置かれるように適合され、通常、ドレンボトルは底面と反対側の開口部を有する。
【0007】
さらに、この装置は、ドレンボトルへの出口を有するリザーバを備え、リザーバ及びドレンボトルは出口に設けられたバルブを介して互いに連通している。リザーバは、通常、ドレンボトルの開口部に着脱可能に取り付けられたボトルトップアタッチメントの内部に設けられる。吸引ポンプは、リザーバ内に真空を作り出すための装置の吸引口と接続可能である。好ましくは、吸引口は、ボトルトップアタッチメントに設けられる。
【0008】
通常、装置のボトルトップアタッチメントは、乳房に対する流体シールを作り出すための乳房インターフェースを接続するためのポートを備える。
【0009】
リザーバは、乳房インターフェースで抽出された母乳が吸引ポンプの吸引力を介してリザーバ内に誘導されるようにポートと連通するように適合され、これは、ドレンボトルの底面が下向きの位置に装置が保持されている場合に、重力によって支持されてもよい。
【0010】
ボトルトップアタッチメントはドレンボトルから分離することが可能であり、それによって充填されたドレンボトルを乳児に授乳させるためにボトルのニップルに接続することができる。ボトルトップアタッチメントは、開放可能に接続され、典型的には、ドレンボトルのボトルネックのねじ山にねじ込まれる。
【0011】
ボトルトップアタッチメントは、典型的には、ドレンボトルのボトルネックによって形成されるドレンボトルの開口部に設けられる。ドレンボトルの底面は、一般にボトルネックと反対側の端部に配置される。通常、ドレンボトルは、ドレンボトルの底面に自由に直立できるように設計される。
【0012】
全ての場合において、上、下、垂直、水平などの方向情報は、平坦な水平面に底面を置いて立つ装置に関するものである。ドレンボトルの底面が下向きの位置が好ましい使用位置であるが、装置は別の位置で使用されてもよい。例えば、装置を逆さにした位置、すなわち底面を上に向けた位置で母乳を蓄積するように装置が使用されてもよい。
【0013】
本発明によるドレンボトルは、典型的には、少なくとも部分的に透明な熱可塑性材料又はガラスから製造される。特に好ましくは、ポリプロピレンが使用される。プラスチック材料のドレンボトルは、使い捨てボトルとしても返却可能なボトルとしても製造可能であり、通常7.5gから30gの重量がある。再利用可能なボトルは、好ましくは、壁の厚さが約0.9mmである。
【0014】
ドレンボトルの公称容積は、典型的には、80から250mlであり、特に80ml、150ml、又は250mlである。ドレンボトルが収容可能な最大容積は、通常330ml以下である。
【0015】
ドレンボトルの高さは、好ましくは、約60mmから160mmであり、好ましくは、66mm、99.5mm、102mm、136mm、又は148.5mmである。ボトルネックの直径は、典型的には、33mmである。ドレンボトルの最大直径は、典型的には、50mmから70mm以下であり、好ましくは、53mm、60mm又は65mm以下である。全ての寸法は±10%、できれば±5%の公差を有すると理解されるべきである。
【0016】
一般に、ドレンボトルは、ドレンボトルの円周方向に閉じた壁を備え、かつ円錐形に先細りしてボトルネックを形成する実質的に円筒形のボトル本体を有する。ボトル本体の直径は、長さによって変化し得る。例えば、ボトル本体は直径の異なる複数の円筒形のセクションを有してもよく、特に1つ以上の円錐形のセクションによって接続され得る。通常、ボトルネックの直径が最小になる。ボトルネックには、好ましくは、ボトルトップアタッチメントの内ねじと接続可能な外ねじが設けられる。
【0017】
典型的には、リザーバは、母乳の滴下が直接リザーバを通過して落ちることができないように設計される。リザーバの下側の壁は、好ましくは、流体密封されている。リザーバの形状は、一定の体積を有する空洞を画定する。この容積は、典型的には、0.5mlから4mlの間、好ましくは、0.8mlから1.5mlの間、より好ましくは、1.0mlから1.3mlの間である。
【0018】
リザーバにはドレンボトルへの出口があり、その出口にはバルブが配置される。バルブは、典型的には、少なくとも所定の量の母乳をリザーバに保持するように適合される。バルブは、好ましくは、閉じた位置で、液滴充填時に出口の流出口を支えるように設計される。リザーバ内の流体圧がバルブの抵抗閾値を超えると、バルブが強制的に開放され、所定の量の母乳がリザーバから哺乳瓶に流れ出ることが可能になる。バルブは、例えば、出願人に由来するWO2014/161099A1に従って設計されてもよく、又はUS2015/0283311A1に従ってフラップバルブの様式で設計されてもよい。典型的には、流体圧の低下によってバルブが閉じた位置に戻るため、リザーバが完全に空になることはない。
【0019】
バルブの抵抗閾値は、好ましくは、調整可能である。バルブは、流出口に対して予め張力をかけられてもよい。充填高さは、好ましくは、10mmから30mmの間であり、より好ましくは、15mmから25mmの間である。典型的には、バルブを再び閉じた後にリザーバに残る残量は、典型的には、0.1mlから0.3mlである。
【0020】
バルブに作用するリザーバ内の母乳の流体圧は静水圧である。バルブは、好ましくは、一方向バルブとして設計される。さらに、バルブは、好ましくは、その形状により、リザーバの外側からバルブ膜に流体圧がかかっている間、静止位置に留まるバルブ膜を有する。静止位置では、バルブ膜は出口の流出口に対して静止する。流出口は、一般的にリザーバの側壁に設けられており、これによりバルブ膜は、垂直位置から開放位置へと押し出され、好ましくは、旋回する。バルブ膜は、好ましくは、柔軟なプラスチック材料、特にシリコンから作られる。
【0021】
その後、ポンプの真空サイクルによって引き起こされるフローリズム、すなわち、ドレンボトルへの母乳の部分的な流出が簡単かつ省エネルギーなやり方で実装され得る。真空サイクルの終了時には、真空ポンプの吸引力は本質的に消滅し、典型的には、リザーバからドレンボトルへの母乳の流出が開始される。一般的には、リザーバの出口のバルブが開く直前のポンプの真空サイクルごとに、リザーバに溜まっている母乳の体積が測定される。
【0022】
この装置は、リザーバに動作可能に結合され、かつリザーバ内に溜まっている流体の体積を測定するように調整された光学センシング装置を備える。光学センシング装置は、光源及び検出器を備え、光源はリザーバに向かって光を放出するように構成され、検出器はリザーバから放出される光の強度を検出するように構成される。装置は、光源から検出器までの経路上に光を指向するための少なくとも1つの光指向手段を備える。ここでいう「光学」及び「光」は可視光に限定されず、基本的には電磁スペクトル全体を指している。光学センシング装置は、好ましくは、赤外線範囲に適合される。
【0023】
本発明による光指向手段は、光、好ましくは赤外光を受光して透過又は反射する任意の光学部品ケーブルとして考案されるか又はそれを含んでもよい。通常、本発明による光指向手段は、入射光強度の少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%を透過又は反射するように調整される。光指向手段は、入射角と等しい角度で光を反射するか、又は入射角とは異なる角度で光を透過してもよい。本発明による光指向手段は、好ましくは、リザーバ壁に直交して通過させるために、光が光指向手段によってリザーバに向けて方向転換される前に、光を所定の距離、好ましくは、リザーバ壁に平行又は接線方向に誘導してもよい。あるいは、本発明による光指向手段は、入射光を方向転換しなくてもよく、すなわち、光がそれぞれリザーバの内外に通過することを可能にするリザーバ壁の半透明窓によって形成されてもよい。
【0024】
光指向手段は、好ましくは、リザーバを横方向に通過するように、リザーバを通過する母乳の経路に光を指向するように適合される。さらに、光学センシング装置は、光がリザーバを通過する途中で母乳又は空気のどちらを通過するかによって、検出器で異なる信号を検出するように配置される。したがって、どの高さまで母乳がリザーバに蓄積されているかを判断することが可能になる。通常、リザーバの形状は既知であるため、リザーバの母乳充填量に関する結論が導き出され得る。
【0025】
好ましくは、光学センシング装置は、リザーバから着脱可能な構造ユニットとして構成される。したがって、通常は装置の他の部分よりも慎重に清掃する必要がある光学センシング装置を、ドレンボトル及びリザーバから分離することができる。リザーバを備えるボトルトップアタッチメント及びドレンボトルは食器洗い機で洗浄してもよいが、光学センシング装置は手で洗浄してもよい。より好ましくは、光学センシング装置は、ボトルトップアタッチメントに着脱可能に取り付けられたキャップに収容される。典型的には、ボトルトップアタッチメントは、リザーバ壁が露出される受容セクションを含み、これは光学センシング装置を受け入れるように適合される。したがって、光学センシング装置はリザーバに対して横方向に配置される。好ましい発展例によれば、光源及び検出器は、リザーバの同じ側に設けられ、その側は、受容セクションで露出されたリザーバの側に対応する。この好ましい発展例によれば、光源及び検出器は本質的に同じ方向を向いており、光源から検出器への経路に光を指向するための光指向手段が設けられる。
【0026】
好ましくは、光源及び検出器は、リザーバを通る母乳の経路(以下では「母乳経路」)に沿って同じ高さに設けられる。装置を直立させた位置では、通常、母乳経路は本質的に垂直方向に延びており、そのため光源及び検出器はこの位置で同じ垂直高さに設けられる。
【0027】
好ましくは、光源及び検出器は、リザーバ壁から空間的に分離されている。すなわち、光源及び検出器は、リザーバ壁に直接接続されないことが好ましい。これにより、光学センシング装置のリザーバからの分離が容易になる。通常、装置の光源に属さない光を遮光するために光学センシング装置とリザーバとの間にカバーが設けられており、遮光体は、光源及び検出器にそれぞれ割り当てられる開口部を備える。
【0028】
好ましくは、光源と検出器との間の空間距離は、最小でも母乳経路に対して直角のリザーバの幅に対応する。このとき、光源及び検出器がリザーバの反対側に設けられ、互いに向き合っている場合は、直接進む。光源及び検出器がリザーバの同じ側に設けられ、かつ本質的に同じ方向を向いている場合は、光源から検出器への経路に光を指向するための少なくとも1つの光指向手段が設けられる。特に、光源は、リザーバの露出側に隣接するリザーバの側壁に平行に又は接線方向に向いてもよく、受光器は、リザーバの露出側に隣接するリザーバのもう他方の側壁に平行に又は接線方向に向いていてもよい。通常、リザーバの露出側に隣接するリザーバのこのような2つの側壁は対向する側壁である。好ましくは、これら2つの側壁のそれぞれに少なくとも1つの光指向手段が設けられる。これにより、光源から放出された光は、光源に関連する光指向手段に入り、次に、光指向手段によって方向転換されて一方の側からリザーバに入り、光がリザーバを通過した後、反対側の他方の光指向手段によって検出器に向けて方向転換される。
【0029】
好ましくは、少なくとも1つの光指向手段は、光学素子として、反射器、プリズム、光ファイバ、又は入射光を偏角で方向転換するのに適した当該技術分野で知られているその他の光学部品の少なくとも1つを備える。
【0030】
より好ましくは、光源から放出された光が光指向手段によって方向転換されてリザーバ壁を直角に通過するように、光源とリザーバとの間に少なくとも1つの光指向手段が設けられる。さらに、好ましくは、リザーバ壁に対して実質的に直角にリザーバから放出された光が検出器に向かって方向転換されるように、リザーバと検出器との間に少なくとも1つの光指向手段を設けられる。これにより、リザーバ壁での散乱による損失が低減される。リザーバ壁は、少なくとも光源及び検出器の動作範囲内の波長については一般的に半透明である。
【0031】
本発明の好ましい発展例によれば、複数の光源がアレイ状に設けられ、各光源は母乳経路に沿って異なる高さに配置され、複数の検出器がアレイ状に設けられ、各検出器は母乳経路に沿って異なる高さに配置され、各光源は同じ高さに設けられた複数の検出器の1つとペアを形成する。通常、複数の光源及び検出器は、少なくともリザーバの母乳経路の下半分、好ましくは、本質的に母乳経路全体をカバーする。これにより、リザーバに溜まっている母乳の詳細な分解能が達成され得る。
【0032】
典型的には、複数の光源(及び複数の検出器のそれぞれ)は互いに約0.2mmから1.0mm、好ましくは0.3mmから0.8mm、より好ましくは約0.4mm離れている。光源の中心間隔は、好ましくは、約1.2mmである。通常、光源として赤外線LEDが設けられており、LEDは典型的にはドーム型であって放出角が約60°である。検出器は、通常、赤外受光フォトトランジスタであり、フォトトランジスタのスペクトル帯域幅の範囲は730から1100nmであってもよい。フォトトランジスタのピーク感度の波長は、約940nmであってもよい。フォトトランジスタの視野角は、約130°であってもよい。
【0033】
好ましい発展例では、光指向手段の2つの要素がリザーバの対向する側に設けられ、素子は母乳経路に沿って延びる。好ましくは、素子は光源の光を反射するための反射面を有し、反射面はリザーバ壁と(好ましくは、約45°の)角度を形成する。
【0034】
装置を直立させた位置では、母乳経路は本質的に垂直方向に延びる。したがって、光源及び検出器のアレイは、それぞれ装置の直立位置において本質的に垂直に向けられており、各光源は、同じ垂直高さを有する検出器とペアを形成する。次に、光指向手段の要素の反射面の垂直方向の延長は、少なくともアレイの垂直方向の延長に対応する。
【0035】
反射面は、光源から放出された光が一方の反射面に直角とは異なる角度で当たり、リザーバから出てリザーバ壁を直角に通過した光が他方の反射面に直角とは異なる角度で当たるように配置される。光源と検出器との間の光路は、リザーバの底部を上から見たときにU字型を有してもよく、U字の側面は、光源と1つの反射面との間、及び検出器と他方の反射面との間で、対向する側の側壁に平行又は接線方向に延び、U字のベースは光指向手段の反射面の間に伸び、U字のベースはリザーバを横断し、好ましくは、リザーバの中心を通過する。
【0036】
リザーバの底面を上から見たときにリザーバの断面は、正方形、長方形、多角形、円形又は楕円形であってもよい。
【0037】
本発明の好ましい発展例によれば、直立した位置では、本質的に垂直な方向に、光源とリザーバとの間に設けられた光指向手段に面するように、本質的に水平な列で、複数の光源が設けられ、本質的に垂直な方向に、リザーバと検出器との間に設けられた光指向手段に面するように、本質的に水平な列で、複数の検出器が設けられる。すなわち、この好ましい発展例では、光源及び検出器のアレイは母乳経路に直角に配置されるが、前述の発展例では、光源及び検出器のアレイは母乳経路に平行に配置される。
【0038】
光源及び検出器のアレイが母乳経路を直角に配置される場合、光源とリザーバとの間に設けられた光指向手段は、リザーバ壁に又はその中に階段状に配置された複数の反射面を備え、各反射面は、リザーバ壁の異なる高さ(母乳経路に沿って異なる高さ)に設けられ、かつ光源の1つに割り当てられ、リザーバと検出器との間に設けられた光指向手段は、反対側のリザーバ壁に又はその中に階段状に配置された複数の反射面を備え、各反射面は、反対側のリザーバ壁の異なる高さ(母乳経路に沿って異なる高さ)に設けられ、かつ検出器の1つに割り当てられる。この好ましい発展例によれば、各光源は、同じ水平高さで設けられる検出器の1つとペアを形成する。ここでも、光源と検出器との間の光路はU字型を有してもよい。しかしながら、この好ましい発展例では、リザーバの側面図にU字型が見られる。いずれにせよ、U字型のベースは、光源及び検出器の異なるペアごとに異なる垂直高さ(母乳経路に沿った異なる高さ)を有する。
【0039】
本発明のさらなる詳細及び利点は、以下の実施形態の記載及び添付図面から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】乳房インターフェースと接続された実施形態の側面図を示している。
図2】実施形態の断面図を示している。
図3】実施形態の別の側面図を示している。
図4図3の切断線A-Aによる断面図を示している。
図5】実施形態の別の側面図を示している。
図6図5の切断線B-Bによる断面図を示している。
図7図5の切断線C-Cによる断面図を示している。
図8】リザーバ底部を上から見たときに母乳経路に対して直角のリザーバの断面を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、液体を蓄積するための装置2を示しており、装置2は、液体を収容するためのドレンボトル4と、ドレンボトル4のボトルネックにねじ込まれたボトルトップアタッチメント6を備えている。ボトルトップアタッチメント6の内側にリザーバ8が設けられており、リザーバ8には、ドレンボトル4への出口10があり、リザーバ8及びドレンボトル4は、出口10(図2を参照)に設けられたバルブ12を介して連通する。ボトルトップアタッチメント6にはカラー7があり、これはドレンボトルにねじ込まれ、ボトルトップアタッチメント6の上部ハウジング部9にレーザ溶接で接続される。
【0042】
ボトルトップアタッチメント6には、リザーバ8に真空を作り出すための吸引ポンプに接続可能な吸引口14と、乳房に対する流体シールを作るための乳房インターフェース18(図1)に接続されたポート16が設けられている。ボトルトップアタッチメント6の内部には、リザーバを含むボトルトップアタッチメント室内に真空を作り出すために、吸引口14を介して吸引ポンプと相互作用する膜20が設けられている。さらに、膜20は、吸引ポンプによって吸引された空気と乳房インターフェース(図4を参照)で抽出された母乳とに対して媒質分離を形成する。
【0043】
光学センシング装置22は、ボトルトップアタッチメント6に着脱可能に取り付けられたキャップ24で覆われている。光学センシング装置22は、リザーバ8に動作可能に結合され、リザーバ8内に溜まっている流体の体積を測定するように調整される。さらに、光学センシング装置22は、光源26及び検出器28を備えており、光源26はリザーバ8に向かって光を放出するように構成され、検出器28はリザーバ8から放出される光の強度を検出するように構成される。光指向手段は、本実施形態では四角形の断面を持つリザーバ8の側壁に設けられた第1の導光素子30を含み、この第1の導光素子30は、光源26からの光をリザーバ8に指向する(図8を参照)。光指向手段は、リザーバ8から放出される光を検出器28に指向するためにリザーバ8の反対側の側壁に設けられた第2の導光素子32をさらに含む。各導光素子30,32は、リザーバ壁38,40と45°の角度を形成する反射面34,36を備える。図8に示すようにリザーバ底面を上から見たとき、光源26と検出器28との間の光路はU字型をしている。
【0044】
光源26及び検出器28は、リザーバを通る母乳経路に沿って同じ高さで設けられている。通常、装置2は、母乳がリザーバを本質的に垂直方向に通過するように直立した位置に保持される。したがって、通常、光源26及び検出器28のペアが同じ垂直高さに設けられる。
【0045】
出口10に設けられたバルブ12は、通常、吸引ポンプの吸引力が維持される限り閉じたままである。蓄積された母乳がリザーバに乳柱を形成し、光源26から発せられた光が検出器28に向かう途中で乳柱を通過した場合、光は乳柱によって吸収又は散乱される。したがって、この場合、検出器28で検出される光の強度は、リザーバに母乳があまり蓄積されておらず、乳柱が光源26及び検出器28の高さに達していない場合と比較して低くなる。
【0046】
光学センシング装置22は、キャップ24に収容され、キャップ24と共にリザーバ8から着脱可能な構造ユニットとして構成される。キャップ24は、この実施形態ではボトルトップアタッチメント6に開放可能にロックされている。これにより、光学センシング装置22とリザーバ8を備えるボトルトップアタッチメント6とを別々に洗浄することができる。さらに、キャップ24は光学センシング装置22を損傷及び迷光から保護する。
【0047】
カバー42は、光源26及び検出器28からリザーバ壁を空間的に分離し、第1の導光素子30を通過せずにリザーバ8に光が入るのを防ぐために設けられている。
【0048】
図2では、ボトルトップアタッチメント6の膜20が、吸引ポンプと連通する空気吸引室44と、リザーバ8を含む母乳吸引室46とを分離しており、母乳吸引室46は、リザーバ8の出口10に設けられたバルブ12を介してドレンボトル4と連通し、ポート16に接続可能な乳房インターフェース18を介して乳房と連通していることが示されている。空気吸引室44の吸引ポンプによって作られた真空は、乳房に作用する母乳吸引室46に負圧(吸引力)を発生させる。装置2の直立位置では、ポート16は傾斜した下面48を備える。リザーバ8の上端部は傾斜面48のすぐ隣に位置し、膜20と傾斜面48との間には、リザーバ8に向かう開口部50が設けられている。装置2の直立位置では、母乳経路Pは本質的に垂直方向に延びている。母乳経路Pは、リザーバ8の開口部50とリザーバ8の底面51との間に延びている。装置2が保持される向きによっては、母乳経路Pは垂直軸に平行でなくてもよい。
【0049】
図2に示された本質的に直立した位置では、リザーバ8のドレンボトル4への出口10は、リザーバ8の左下隅のリザーバの側壁に設けられている。この実施形態による出口10に設けられたバルブ12は、装置2の中央縦軸に向かって開くフラップバルブである。光学センシング装置22は、出口10を備える側壁とは反対側のリザーバ8の側壁の隣に設けられている。
【0050】
光学センシング装置22は、母乳経路Pに沿って延びる2つのアレイに配置される複数の光源26及び検出器28を備え、各光源26は、母乳経路Pに沿って同一高さに設けられた検出器28とペアを形成する。各ペアの間には、2つの側面54及びベース56を有するU字型の光路52が形成される。光路52のベース56は、母乳経路Pに対して直交するようにリザーバ8を横切る。
【0051】
各ベース56は、リザーバ8の中央縦軸を通過し、光路52の各ベース56は、母乳経路Pに沿って異なる高さでリザーバを横切る。そのため、異なる検出器28によって測定された強度を比較することによって、経路Pに沿った異なる高さでどの程度の光が吸収されたかを決定することができる。したがって、リザーバ8の形状を知ること、及び光学センシング装置22によって決定された母乳経路Pに沿って所定の高さに達する乳柱の高さを知ることによって、リザーバ8に収容される母乳の体積を決定することができる。
【符号の説明】
【0052】
2 装置
4 ドレンボトル
6 ボトルトップアタッチメント
7 カラー
8 リザーバ
9 上部ハウジング部分
10 出口
12 バルブ
14 吸込口
16 ポート
18 乳房インターフェース
20 膜
22 光学センシング装置
24 キャップ
26 光源
28 検出器
30 第1の導光素子
32 第2の導光素子
34、36 反射面
38、40 リザーバ壁
42 カバー
44 空気吸引室
46 母乳吸引室
48 傾斜面
50 リザーバ開口部
51 リザーバ底面
52 U字型光路
54 U字型光路の側面
56 U字型光路のベース
D ペアをなす光源と検出器との間の空間距離
P 母乳経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8