(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】混合噴流消防システム
(51)【国際特許分類】
A62C 31/05 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
A62C31/05
(21)【出願番号】P 2022569288
(86)(22)【出願日】2021-01-17
(86)【国際出願番号】 CN2021072355
(87)【国際公開番号】W WO2021143889
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】202010062351.0
(32)【優先日】2020-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522288946
【氏名又は名称】シャンドン ハオシン ジエシ ニュー マテリアル テクノロジー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】マ,ティンギュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,メイキン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,ジンシュイ
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-212178(JP,A)
【文献】中国実用新案第201030160(CN,Y)
【文献】特開2004-230092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0038101(US,A1)
【文献】実開昭53-151697(JP,U)
【文献】特開昭62-298378(JP,A)
【文献】特開昭52-137200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水ノズル(1)と粉末ノズル(2)とを含む混合噴流消防システムであって、
前記水ノズル(1)と前記粉末ノズル(2)は、個別で独立して配置されてもよいし、一体化になるように配置されてもよく、前記水ノズル(1)の水噴射口(3)と前記粉末ノズル(2)の粉末噴射口(4)が重なっておらず、粉末ノズル(2)の粉末噴出方向(A)が水ノズル(1)の水流噴出方向(B)に対して傾斜するように設定されて、前記粉末噴射口(4)は前記水噴射口(3)の位置の後方に位置する混合噴流消防システム。
【請求項2】
前記粉末ノズル(2)から噴出された高吸水性樹脂粉末は、外部から前記水ノズル(1)から噴出された水流と空中で混合されることを特徴とする請求項1に記載の消防システム。
【請求項3】
前記高吸水性樹脂粉末はポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末であることを特徴とする請求項2に記載の消防システム。
【請求項4】
前記粉末ノズル(2)は前記水ノズル(1)の上又は側面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の消防システム。
【請求項5】
前記水ノズル(1)は消火用放水砲、消防ホース又は消防用水鉄砲の一部であり、水噴射管(5)に連結し、高圧水流又はウォーターミストを噴出することができることを特徴とする請求項1に記載の消防システム。
【請求項6】
前記粉末ノズル(2)は粉末噴射管(6)に連結し、前記粉末噴射管(6)は粉末貯蔵タンク(7)に連結し、前記粉末貯蔵タンク(7)は高圧空気源(8)に連結することを特徴とする請求項1に記載の消防システム。
【請求項7】
前記粉末ノズル(2)は2つ以上あることを特徴とする請求項1に記載の消防システム。
【請求項8】
高吸水性樹脂粉末消火剤と水の混合方法であって、水ノズル(1)の水噴射口(3)が水流を噴射し、前記水噴射口(3)と重ならない粉末ノズル(2)の粉末噴射口(4)が高吸水性樹脂粉末を噴射し、
前記水ノズル(1)と前記粉末ノズル(2)は、個別で独立して配置されてもよいし、一体化になるように配置されてもよく、前記高吸水性樹脂粉末の噴出方向(A)が前記水流の噴出方向(B)に対して傾斜するように交差して、前記粉末噴射口(4)は前記水噴射口(3)の位置の後方に位置することを特徴とする混合方法。
【請求項9】
粉末ノズル(2)から噴出された高吸水性樹脂粉末は、外部から水ノズル(1)から噴出された水流と空中で混合されることを特徴とする請求項
8に記載の混合方法。
【請求項10】
前記高吸水性樹脂粉末はポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末であることを特徴とする請求項
8に記載の混合方法。
【請求項11】
前記高吸水性樹脂粉末は、前記水ノズル(1)の水噴射口(3)の上、側面又は後方から水流に噴射されることを特徴とする請求項
8に記載の混合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防用設備の技術分野に関し、具体的には、消火樹脂粉末と水の混合噴流を形成できる消防システム、及び高吸水性樹脂粉末消火剤と水の混合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、水は依然として最も一般的に使用されている消火剤であり、安価で入手が容易で、環境に汚染されないという利点がある。しかし、水の流動性が良いため、火に噴射した後、ほとんどの水が失われて浪費してしまった。そして、発火面積が大きく、延焼速度が速く、再燃が容易で、消火が困難な大規模な火災の場合、水で消火しても延焼を抑えることしかできず、タイムリーかつ効果的に消火することは困難である。現在広く使用されている消火剤は、消火効果が改善されたが、特定の種類の大規模な火災には効果がよくなく、その残留物も深刻な環境汚染を引き起こす。
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Resin、SAR)は、カルボキシル基やアミド基などの強力な親水性基を含み、ある程度の架橋を備えた水膨潤性かつ三次元ネットワーク構造を備えた新型機能性高分子材料である。当該高吸水性樹脂は、水や有機溶剤に不溶で、強力な吸水性と保水性という独自の特性を備えている。高吸水性樹脂は、スポンジ、綿、セルロース、シリカゲルなどの従来の吸水性材料と比較して、吸水量が大きく、自重の数十倍から数千倍もの液体の水をすばやく吸収することができ、しかも保水性が高く、熱や圧力がかけられても水を失いにくく、高分子材料のいくつかの特性もある。これらの特性により、高吸水性樹脂の研究の発展はごく迅速であり、農業・林業・園芸、医療・健康、食品産業、石油化学産業、建築材料などの多くの分野で広く使用されている。
【0004】
高吸水性樹脂は、急速に発展しており、種類も多く、分類方法もたくさんあり、主に原料源、親水化法、親水性基の種類、架橋法及び製品形態によって分類されるが、原料源による分類方法が最も一般的に使用されており、原料源によって、澱粉系高吸水性樹脂、セルロース系高吸水性樹脂、合成系高吸水性樹脂、タンパク質系高吸水性樹脂、配合・複合高吸水性樹脂などに分類される。
【0005】
高吸水性樹脂が自重の数百倍から数千倍もの水を吸収できるのは、以下の2つの条件があるためである。その1つは、高吸水性樹脂がカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基、スルホン酸基などの親水性基を持っているため、水を吸収することができる条件である。もう1つは、高吸水性樹脂が三次元の空間ネットワーク構造を持ち、水に溶けないため、吸水が実現する条件である。高吸水性樹脂は、親水性基を含み、軽く架橋された三次元ネットワークポリマーであり、大量の水分を吸収して膨潤しても、水分を保持して流出を防ぐことができ、吸水率が高く、吸水速度が速く、保水性が高いといった利点がある。
【0006】
高吸水性樹脂、特に、ポリアクリル種高吸水性樹脂の高分子ヒドロゲルを消火分野に適用することは、以下のような利点がある。
【0007】
1、高吸水性樹脂では、高分子電解質の側基が水と接触すると、対応する陰イオン性親水性基と陽イオン(可動イオン)がイオン化され、メインチェーンネットワークバックボーンにはすべて負に帯電した陰イオンであり、移動できず、それらの間の反発作用により、ネットワーク拡張の力が発生する。陽イオンは一定の活性があるが、ネットワークバックボーンの反対の電荷に引き付けられて結合され、ネットワーク内に存在するため、ネットワーク内の陽イオン濃度は外部水中の陽イオン濃度よりも高く、イオンのネットワークの内外での浸透圧が生成され、また、高分子電解質自体が強い親水性基を持っているため、水はごく短時間で大量に三次元ネットワークに入ることができる。高温条件下では、大量の遊離水が固定化された高吸水性樹脂は、かなりの熱容量を持ち、水を失うと、大量の熱を消費することができ、熱源の効果的な隔離を形成し、それは火勢の制御に役立つ。また、火源の近くの物体にスプレーすると、効果的な隔離と保護の役割を果たすことができる。
【0008】
2、高吸水性樹脂は、水を吸収すると弾力性のあるゲルを形成し、このようなゲル粒子同士がしっかりと結合し、その間に空気が入るスペースがないため、ヒドロゲルの状態で火源と空気との接触を遮断し、闇火の再燃を防ぎ、ゲルで覆われた火場内の物体を保護して、急速な消火効果を達成することができる。
【0009】
3、高吸水性樹脂は、水を吸収した後にゲルを形成し、化学的安定性、熱安定性、及び相容性に優れ、粘度がごく高く、接着性に優れているため、垂直面にスプレーした後、落下することなく対象物の表面を覆うことができ、十分な接着厚さを形成し、火場内の未燃物に対する防火有効性を効果的に向上させることができる。
【0010】
4、高吸水性樹脂系高分子粉未は、保管、輸送などで安全であり、保管(密閉・吸水防止)の安定性が2年以上に達し、無毒であり、強い火事では、樹脂は熱を受けて水を失うと、燃えて二酸化炭素と水になり、人や動物に無害であり、消火後、火場残留樹脂が数ヶ月以内に自然に分解され、人や環境に無害で汚染がなく、環境にやさしい樹脂である。
【0011】
5、高吸水性樹脂粉末は、比重が軽く、吸水能力がごく高く、ごく短時間で自重の300倍以上の水を吸収することができ、吸水性ゲル全体における樹脂粉末の含有量は、一般に、水の0.05~0.5重量%の間で、一般的に約0.1%であるため、少量の高吸水性樹脂粉末だけで大量の消火ゲルを形成でき、消火効果に優れ、継続的に水を吸収でき、過剰な水流があちこちに流れることによる二次損傷を防ぎ、節水効果がある。
【0012】
6、吸水性ゲルは弱酸性、弱アルカリ性又は中性であり、消防用設備を腐食させない。
【0013】
従来の技術において、アクリルポリマーを使用してゲルを調製し、消火するための技術が存在する。例えば、中国特許出願CN107497088Aには、ヒドロゲル消火剤及びその使用方法が開示され、前記ヒドロゲル消火剤の使用方法は、ヒドロゲル消火剤を水に溶かし、1分以内で攪拌して、質量濃度3~5‰の溶液を調製し、消火に使用できる。また、CN107789085Aには、新型高分子ゲル水性消火剤が開示され、使用されるときは、新型環境保護高分子ゲル水系消火剤を取り、600~1000倍の質量の水に加え、3~5分間攪拌した後、消火用の高分子ゲルを形成する。CN207101696Uには、新型環境保護消防車が開示され、まず、材料を高分子消火材料貯蔵タンクに入れ、消火材料が消防砲管路に入るようにし、水が水槽から出て、消防ポンプの給水口から消防砲管路に入り、回転式混合装置の作用により、スパイラルパイプ内で水と高分子材料が充分に混合され、消火用放水砲から放出される。さらに、CN100444912Cには、高吸水性樹脂吸水性ゲル消火剤の用途が開示され、合成系樹脂ポリアクリル酸ナトリウムを1000倍の水と混合し、30分で吸水性ゲルを形成し、当該ゲルは水鉄砲で火に噴流されることができ、ポリアクリル酸ナトリウムの微粉末を1000倍の水と混合し、スプレーガンから発火場所に一緒にスプレーすると、15秒~60秒以内にゲルが形成されて消火作用を果たす。
【0014】
しかし、それらの高吸水性樹脂消火剤の使用方法には、大きな欠陥がある。本発明者による長期の実験の結果、高吸水性樹脂粉末は、水を吸収した後に急速に膨張し、吸水量の増加とともに、最終的に固化状態に近づくまで、粘度がますます大きくなり、樹脂は、攪拌後、ごく粘稠で固化しやすく、これらのほぼ固体のゲル状吸水性樹脂を発射する適切な方法を見つけることは困難であり、正確には、人力や機械でまとまって捨てるのではなく、スプレーされることは困難である。さらに、樹脂の膨張過程で、消防用設備のパイプがひどく塞がれ、継続的な噴流ができず、さらに、水流の悪さやパイプの閉鎖による設備の損傷も発生してしまう。したがって、上記予混合型消火剤の混合方法は、消火剤の大規模供給が必要な場合には使用できない。
【0015】
また、従来の技術における消防用設備では、粉末状の消火剤と水流の混合には、通常、独立した入力パイプとオーバーラップする出力パイプを組み合わせる解決策が使用される。例えば、中国特許CN201591928Uには、
図1に示すように、管嵌合型複合噴流消防砲が開示され、各種消火剤を別々に投入し、異なる消火剤を内管と外管でそれぞれ輸送することで、混合液と超微細乾燥粉末が輸送中に混合せず、ノズルでのみ接触する方法が使用されるため、それぞれの特性が完全に保持され、直流圧力水又は泡混合液の壁付着作用と相まって、疎水性に優れた超微細乾燥粉末をより遠い距離まで運ぶことができる。また、中国特許CN207722267Uには、
図2に示すように、水と超微細乾燥粉末消火剤の混合比を調整できる消防用ガンが開示され、ガン本体8の先端にはスプレーノズルが設けられており、ガン本体8の後端には独立した粉末入口管と水入口管が設けられており、粉末入口管の前部は、水入口管の前部の内部にはめ込まれており、粉末入口管の前部と水入口管の前部との間に水路空洞があり、粉末入口管の先端と水入口管の先端はいずれもスプレーノズルに接続されている。
【0016】
これらの消火用放水砲又は水鉄砲は、乾燥粉末消火剤用に設計されたものであり、乾燥粉末消火剤は、通常、水に溶けず、水を吸収しないものであり、そして、市販されている他の消火剤は、水を吸収しても膨張して粘度が高くならないため、このような消火用放水砲は、乾燥粉末消火剤又は泡消火剤を使用する場合には問題がないが、消火剤として高吸水性樹脂を使用する場合には、深刻な問題が発生する。高吸水性樹脂は、実際に水溶性でも疎水性でもないが、水分子を高分子構造の内部にすばやく吸収して固定し、ゲルを形成することができるため、水噴射と粉末噴射を同時に行うにつれて、さまざまな水しぶきや水滴がパイプに連続的に飛散し、これらの水しぶきと粉末噴射口から噴出された粉末は瞬時に吸着され、粉末噴射口の近くにますます多くの吸水性樹脂が付着され、そして、一定時間作業すると、粉末噴射口が完全に詰まり、この問題は、高吸水性樹脂の性能指標が良いほど、より深刻になる。発明者が実施した試験では、周辺の水流が内側の粉末噴射口の近くにさまざまな方法で流入したり、スパッタしたり、滴下したりして、粘度が高く、凝固がごく速いため、水を吸収した後の樹脂はノズル部位に徐々に蓄積し、火山状の樹脂パイルを形成し、粉末噴射チャネルが徐々に圧縮され、最後に粉末出口が完全に封鎖される。最悪の場合、固化した樹脂はごく短時間で粉末噴射口内のパイプを直接塞ぐ。
【0017】
市場は、上記の問題を鑑みて、高吸水性樹脂粉末と水流を迅速に混合し、混合して得られたゲル溶液を指定された場所に継続的かつ安定的に輸送することができる消防システムを必要としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明が解決しようとする技術的問題は、高吸水性樹脂粉末と水流を迅速に混合し、混合して得られたゲル溶液を指定された場所に継続的かつ安定的に輸送することができる消防システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の技術的解決策は、混合噴流消防システムを提供することであり、前記消防システムは、水ノズルと粉末ノズルとを含み、水ノズルの水噴射口と粉末ノズルの粉末噴射口が重なっておらず、粉末ノズルの粉末噴出方向Aが水ノズルの水流噴出方向Bに対して傾斜するように設定されている。
【0020】
粉末ノズルから噴出された高吸水性樹脂粉末は、外部から水ノズルから噴出された水流と空中で混合される。
【0021】
高吸水性樹脂粉末は、ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末である。
【0022】
水ノズルと粉末ノズルは、個別で独立して配置されてもよいし、一体化になるように配置されてもよい。
【0023】
粉末ノズルは水ノズルの上又は側面に配置されている。
【0024】
粉末噴射口は水噴射口の位置の後方に位置する。
【0025】
水ノズルは、消火用放水砲、消防ホース又は消防用水鉄砲の一部であり、水噴射管に連結し、高圧水流又はウォーターミストを噴出することができる。
【0026】
粉末ノズルは粉末噴射管に連結し、粉末噴射管は粉末貯蔵タンクに連結し、粉末貯蔵タンクは高圧空気源に連結する。
【0027】
粉末ノズルは2つ以上ある。
【0028】
本発明はまた、高吸水性樹脂粉末消火剤と水の混合方法を提供し、水ノズルの水噴射口が水流を噴射し、前記水噴射口と重ならない粉末ノズルの粉末噴射口が高吸水性樹脂粉末を噴射することを含み、前記高吸水性樹脂粉末の噴出方向Aが前記水流の噴出方向Bに対して傾斜するように交差している。
【0029】
粉末ノズルから噴出された高吸水性樹脂粉末は、外部から水ノズルから噴出された水流と空中で混合される。
【0030】
高吸水性樹脂粉末は、ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末である。
【0031】
高吸水性樹脂粉末は、水ノズルの水噴射口の上、側面又は後ろから水流に噴射される。
【発明の効果】
【0032】
従来の技術において、2つの独立した噴射管を使用する消火用放水砲や水鉄砲がある。例えば、中国特許CN106730542Aには、
図3に示すように、消防本管、エアガンバレル、取り外し可能なエアガンノズル、取り外し可能な水鉄砲ノズル及びハンドルからなる増圧可能な消防用水鉄砲が開示され、前記消防本管とエアガンバレルとの間には増圧管が配置されており、前記取り外し可能な水鉄砲ノズルが消防本管の先端に取り付けられており、取り外し可能なエアガンノズルがエアガンバレルの先端に取り付けられており、エアガンバレル内側が増圧管を介して消防本管に連結する。しかし、このような水鉄砲は、消火剤と水流を混合する目的で設計されたものではなく、そのエアガンノズルと水鉄砲ノズルは、ガスと水流を同時に噴出せず、エアガンバレルと水鉄砲管は、水流が増圧される場合にのみ、後部で連結する。また、中国特許CN204932678Uには、
図4に示すように、アスファルト製造用の改良された消防装置が開示され、本管を含む上部には垂直な回転管が設けられており、前記回転管の両端には、分岐管が設けられており、前記分岐管が横管を介して回転管に連結し、前記分岐管の1つが第1発射管を前方に延長し、前記2つの分岐管の後部が連結し、さらに配水管に連結しており、前記配水管が第2発射管を前方に延長する。2つの独立した噴射管も備えているが、第1発射管と第2発射管は粉末と水流を混合するためのものではなく、高圧の方が遠くに噴射でき、低圧の方が水流を近くに噴射するという機能だけで、通常は一緒に使用されない。さらに、中国特許CN109893809Aには、
図5に示すように、消防用の多目的消防用水鉄砲が開示され、ゴム製カバーの片側には水鉄砲噴射口があり、水鉄砲噴射口の片側には泡噴射口があり、前記水鉄砲噴射口の他側には通管があり、保護シェル底部の片側に回転軸があり、前記回転軸の片側にバッフルが連結し、回転軸を介して前記バッフルを45度回転させることができ、前記バッフルの長さが保護シェルの対角線の長さだけで、前記バッフルの片側に入り口があり、前記保護シェルの片側に接続口があり、前記接続口は外部消火ホースに連結できる。このような水鉄砲は2つの独立した噴射管も備えているが、その目的は異なる種類の消火剤を別々に噴射することで、粉末と水の混合問題を伴わないバッフルを設置することによって達成される。したがって、上記従来の技術のいずれも、本発明のこのタイプの粉末と水流の迅速な混合方法を実現することができず、本発明の技術的効果を達成することはさらに不可能である。
【0033】
従来の技術と比較して、本発明の利点は以下の通りである。
【0034】
1、高吸水性樹脂を消火剤として使用する消防分野で従来の使い方を変え、以前の予混合してから使用する方法から、即噴即用になり、消火効率が大幅に向上する。また、追加の攪拌装置が必要なく、従来の水柱による消火方法は変更されず、放水砲の側面に一連の粉末噴射装置が追加されるだけで、噴出された水柱に粉末を噴射する新しい消火方法が形成され、粉末は水柱によって運び去られ、水と粉末は進行中に混合及び吸収され、発火点に到達してから数秒以内に水が完全に吸収及び混合され、水流が発火点に到達すると、消火ゲルもそれに合わせて形成され、前の消火の迅速な応答の利点に影響を与えない。実際には、これはポリアクリル酸ナトリウムなどの高吸水性樹脂を消火剤として使用する独自の消火方法でもあり、一般的な乾燥粉末消火剤の場合、本発明の混合方法を使用しても、混合の程度及び混合効果は、本発明の技術的効果に及ばない。
【0035】
2、消火剤の粉末が外部から水流に入り、パイプの詰まりを回避するという発想を創造的に提供した。従来、粉末消火剤は通常軽く、火災現場の空気の流れ環境が複雑であり、圧縮空気によって粉末が吹き飛ばされることが多く、拡散面が比較的大きいため、設計者は通常、粉末が噴出した後に周りが水であれば、すべての粉末が「水壁」に直接当たって、粉末の漏れがごく少ないと想定した。また、乾燥粉末消火剤は水に溶けないであり、水流と粉末の強力な混合が必要であり、他の種類の粉末消火剤は水に溶ける可能性があるが、どの消火剤を使用しても、水に遭遇した後の消火器の詰まりは発生しない。したがって、従来の技術では、通常、粉末噴射管を水道管に嵌設する解決策を採用しているため、粉末と水流をよりよく混合し、水流の力を借りて粉末をより遠くに輸送することができる。しかし、高吸水性樹脂粉末を消火剤として使用する場合、このような構造により、外層の水流が内層の粉末噴射口に入る機会が多すぎて閉塞を引き起こす可能性がある。したがって、本発明者は、粉末噴射ノズルを水噴射ノズルから分離するための技術的解決策を創造的に提案した。この解決策では、ほとんどの場合、粉末噴射ノズルは実際には水噴射ノズルの上又は側面に配置されており、直線噴出後に水流が粉末噴射口の近くに入る可能性は基本的にないため、粉末噴射ノズルに水が接触する可能性が最小限に抑えられる。実験によると、この構造の消防システムは、詰まることなく数十分間継続的に機能することができる。
【0036】
3、樹脂粉末と水流は、元の噴射口内部又は出口部位で混合することから、噴射口から一定距離の空中で混合することになり、粉末噴射口と水噴射口との間の物理的な距離が延長され、粉末噴射口の近くに水が入る可能性が大幅に減少される。高吸水性樹脂、特にポリアクリル酸ナトリウム樹脂の物理的特性を最大限に活用しているため、高い吸水量と速い吸水速度が消火剤としてのポリアクリル酸ナトリウムの使用を妨げるものではなく、利点となっている。樹脂粉末と水流は、密閉空間又は半密閉空間で混合する必要がなくなり、空中で直接混合するため、吸水後に生成される高粘度ゲルが消火剤の噴霧に与える影響を最大限に解決することができる。
【0037】
4、中間から噴出された強い水流又はウォーターミストは、樹脂によって形成されたゲルを遠い場所に運ぶことができ、また、高圧水流を急速に噴出すると、周囲に一定の負圧が発生し、空気流とともに浮遊する噴出後の樹脂粉末を水流に吸い込むことができ、密度が低く粒子が小さいという樹脂粉末の特性をよく利用している。実践中には、粉末噴射口が水柱から離れすぎない限り、樹脂粉末の少なくとも95%が噴出された水柱と混合されることが基本的に保証される。
【0038】
5、粉末ノズルと水ノズルは独立して配置されており、構造が簡単で、また、固定装置を使用して、2つの噴射口を1つに組み合わせることができ、外観が小さくて美しく、占有面積が小さく、取り付けと取り外しがより便利で迅速で、メンテナンス又は部品交換が非常に簡単で、操作が簡易である。一体化された構造により、システム全体の構造が非常にシンプルで外観も美しく、訓練・輸送・消火使用中に噴射口の位置を変えたり、破損したりすることはまれにない。
【0039】
6、メーカーにとっては、コストバランスを追求するために、従来の消防用放水砲、水鉄砲、又は水ホースに実質な変更を加える必要はなく、本発明の技術的効果を達成するために、元の水噴射ノズルを使用することができ、粉末噴射装置を別個に追加するだけでよいため、改造コストは大幅に削減される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】従来の技術における多相噴流放水砲の構造概略図である。
【
図2】従来の技術における多相噴流水鉄砲の構造概略図である。
【
図3】従来の技術における複数の噴射管が分離された放水砲の構造概略図である。
【
図4】従来の技術における複数の噴射管が分離された放水砲の構造概略図である。
【
図5】従来の技術における複数の噴射管が分離された水鉄砲の構造概略図である。
【
図6】本発明の消防システムの1つの実施例の構造概略図である。
【
図7】本発明の消防システムの他の実施例の構造概略図である。
【
図8】本発明の消防システムの他の実施例の噴射口位置の概略図である。
【
図9】本発明の消防システムの他の実施例の噴射口位置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施例いついて詳細に説明する。以下の実施例は、本発明の技術的解決策を前提として実施され、詳細な実施形態及び具体的な操作プロセスを提供するが、本発明の保護範囲はそれらに限定されない。
【0042】
本発明は、消防用設備の技術分野に関し、
図6に示すように、水ノズル1と粉末ノズル2とを含む混合噴流消防システムが開示され、水ノズル1の水噴射口3と粉末ノズル2の粉末噴射口4が重なっておらず、粉末ノズル2の粉末噴出方向Aが水ノズル1の水流噴出方向Bに対して傾斜するように設定されており、粉末ノズル2から噴出された高吸水性樹脂粉末が外部から水ノズル1から噴出された水流と空气で混合される。
【0043】
通常に言えば、消防システム或いは消防装置として、送水ポンプ、高圧ポンプ、パイプ、バルブ、給水口、制御装置などのいくつかのコンポーネントを含み、本発明の場合には、コアとされる部分が粉末噴射用の装置と水噴射用の装置という2つの装置のみが含まれている。これらの2つの装置を適切に組み合わせる限り、本発明の発明目的は達成されることができる。発明者のこれまでの実験は、主に従来の技術における混合噴流設備の改造を中心に実施されており、従来の技術において、乾燥粉末と高圧水柱を一緒に噴出して消火する混合噴流設備が既に存在するため、同様の設備を直接使用できれば、開発コストが節約され、試験コストがごく低くなる。しかし、一連のテストを経て、途中で数種類の高吸水性樹脂を交換したところ、良好な噴射効果が得られなかった。重要な問題は、従来の3相及び2相混合噴流消防設備には、いずれも水噴射口と粉末噴射口が互いに嵌合され、水噴射と粉末噴射が同時に行われ、水と粉末が互いに巻き合わせて噴出され、高圧水柱の高圧により、水同士の衝突が比較的激しく、飛散した水しぶきが粉末噴射口周辺に侵入しやすくなることである。一方、高吸水性樹脂粉末が従来の粉末消火剤と比較して、最大の違いは、水に溶けず、疎水性でもなく、水に遭遇すると、急速に膨張し、粘度が急速に上昇してゲル状になり、徐々に固化するゲルが、粉末噴射口4の周囲の内壁を密閉し、最終的には粉末噴射口を完全に密閉するので、消火剤として使用される樹脂が噴出できなくなることである。
【0044】
この問題に対応するために、粉末ノズル2を水ノズル1から独立して配置し、両者の噴射口が重なっておらずに一定の距離を置いている。高吸水性樹脂粉末、特にポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末は、外部から高圧水柱に直接噴射でき、また、ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末の優れた吸水速度により、水流に素早く流され、水流につれて発火点まで飛ぶことができ、高圧水柱の強い負圧下で樹脂粉末が飛散することはなく、火災現場での不安定な気流の問題にうまく対処できる。2つの物質を混合するという観点だけから言えば、本発明の消防システムの混合効果は、従来の管嵌合型混合噴流システムよりも必ずしも優れているとは限らないが、本発明は、新しい消火剤粉末を使用する場合の従来技術の混合放水砲に存在する深刻な問題を解決し、高吸水性樹脂粉末、特にポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末を消火剤として使用するときに優れた技術的効果を達成し、ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末の特性を充分発揮した。たとえ最初は混合があまり良くなくても、水柱が発火点に到達する過程で、ポリアクリル酸ナトリウムは水柱内の大量の水分子を吸収し続け、燃焼物体に付着した後も、体積の300~500倍以上を吸収するまで水分子を吸収し続ける。
【0045】
粉末ノズル2の粉末噴出方向Aが水ノズル1の水流噴出方向Bに対して傾斜するように設定されている。ここで、噴出方向という概念は、粉末噴射口での高吸水性樹脂粉末の噴出方向と水噴射口での水流の噴出方向を指し、つまり、粉末の実際の噴出方向と水流の実際の噴出方向は交差すべきであり、そうでなければ、加圧ガスの作用下で、粉末は必然的にいくつかの不要な損失を生み出す。噴出前の粉末噴射管と水噴射管の実際の形状と走行経路は本発明において関心事ではない。理論的には、粉末と水流との実際の噴出方向は装置の形状及び構造から比較的簡単に決定できる。例えば、
図6及び
図7からわかるように、水ノズル2が水ノズル1に対して傾斜するように設定されていることは、外観及び形状から非常に分かりやすい。内部構造が通常の対称設計である場合、粉末と水流との噴出方向も決定される。本発明のこのような設計は、実際に、粉末噴射口4から噴出された樹脂粉末を、側面又は後方から斜めに高圧水柱に噴出することを可能にし、このようにして、高圧水柱で発生する負圧を最大限に利用して、浮遊粉末を水柱の表面に引き寄せられることができる。粉末ノズル2の形状があまり規則的でない場合もあるが、軸方向の粉末噴出に影響を与えず、粉末ノズル2の内部に形成された粉末噴射チャネルの形状が完全に対称であることが可能な限り保証され、その結果、噴射方向が決定されやすくなる。噴射口の形状又は噴射管の形状が対称でない場合でも、粉末の噴出方向を示すことができるような粉末の噴出方向Aが必要である。
【0046】
高吸水性樹脂粉末はポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末であることが好ましい。発明者の試験後、すべての高吸水性樹脂粉末が最適な消火効果を達成できるわけではなく、さまざまな高吸水性樹脂粉末間の吸水混合と状態遷移の効果が大きく異なり、水を吸収した後の高吸水性樹脂粉末は着火点まで噴流されると、消火効果が異なる。吸水速度、吸水倍数、粘度、密度といった指標を備えたポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末は、本発明の消防システム及び混合方法に非常に適し、優れた消火効果を達成することができる。
【0047】
水ノズル1と粉末ノズル2が個別で独立して配置されてもよいし、一体化になるように配置されてもよい。
図6及び
図7に示すように、水ノズル1及び粉末ノズル2が通常、水噴射口3と粉末噴射口4に近い水噴射装置及び粉末噴射装置の部分を指し、個別のモードでは、粉末ノズル2が水ノズル1から独立して配置されており、両者の噴射口の間には緩衝スペースがあるため、飛散した水滴のほとんどが粉末噴射口に噴霧されるのを防ぎ、ゲルが粉末噴射口を塞ぐ問題を解決することができる。また、分離式の構造にすると、製造や、メンテナンス、並びに部品の交換が簡単である。
図8に示すように、一体化のモードでは、合理的な設計により、水噴射口と粉末噴射口を一定の距離だけ離して体積を減らすことができると同時に、システム全体の構造が非常にシンプルで外観も美しく、設備は、訓練、搬送及び消火使用中に、噴射口の位置が変更したり、損傷したりすることは容易ではない。
【0048】
図6~9に示すように、粉末ノズル2が水ノズル1の上又は側面に配置されている。高吸水性樹脂粉末は水ノズル1の水噴射口3の上又は側面から水流に噴射される。このような設計は主に、高圧放水砲の実際の作業プロセスを考慮したものであり、放水砲の使用角度は一般的に上向きに傾斜しており、高圧放水砲がバルブを開くだけのとき、バルブを開くのに時間がかかり、また、パイプには余水がないため、最初はすぐに高圧水柱が形成できず、水柱が弱いものから強いものになり、この過程では、通常、放水砲内の水流が水ノズル1の下に直接流れることがある。そして、高圧放水砲が噴射を終えたところで、徐々にバルブを閉じる必要があり、バルブを閉じる過程で、パイプ内の圧力と水量が徐々に減少し、最後に噴出された水柱が圧力不足のために直接落下するので、水流のこの部分が水ノズル1の下に直接落下する。粉末噴射口4が下に設けられている場合、粉末噴射口4が容易にブロックされる。
【0049】
図7に示すように、粉末噴射口4が水噴射口3の位置の後方に位置する。高吸水性樹脂粉末が水ノズル1の水噴射口3の後方から水流に噴射される。このような設計により、粉末噴射口4と水噴射口3との間の距離を効果的に延ばし、また、水滴が飛散しない場所にブロックされやすい粉末噴射口を配置することにより、粉末噴射口4がブロックされる問題は基本的に排除される。このような設計が実現できるのは、主に粉末噴出自体に一定の圧力があり、粉末が短距離で大規模に飛散しないようにすることができるためで、それに、高圧水柱の強い負圧の作用により、密度の低い樹脂粉末を容易に引き付けることができるためでもある。このようにして、外部粉末内部水の設定及びポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末の利点を充分に活用することができ、出口を容易にブロックするという欠点を回避することができる。
【0050】
水ノズル1が消火用放水砲、消防ホース又は消防用水鉄砲の一部に属し、水噴射管5に連結しており、高圧水流又はウォーターミストを噴出できる。
図6及び7からわかるように、本発明の消防システムは、実際には、ほとんどの従来の消防装置を改造して得られることができ、元々どんな種類の放水砲又は水鉄砲であるかに関係なく、分離式の粉末噴射管を追加することにより、本発明の消防システムを得ることができる。これも本発明の大きな貢献であり、従来の2つの設備を単純に組み合わせるだけでなく、消火剤の特性に応じて、従来の消防設備の中から最適な組み合わせ構成方法を選択し、粉末噴射装置を嵌合型混合噴流設備から分離させ、最適な位置に配置することにより、ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末を消火剤として使用するときに、その最大の効果を発揮し、システム全体のコストを最大限に削減する。
【0051】
図7に示すように、粉末ノズル2は粉末噴射管6に連結し、粉末噴射管6は粉末貯蔵タンク7に連結し、粉末貯蔵タンク7は高圧空気源8に連結する。これは、混合噴流設備の従来の粉末噴射装置の構成でもあるが、本発明は、水噴射装置から独立してこの部分を配置することができるだけで、従来の嵌合型混合噴流設備は、構造が複雑で、メンテナンスや解体が面倒である。当然ながら、他のタイプの粉末供給装置との直接接続は、本発明の効果に影響を及ぼさない。粉末噴射装置から噴出された消火剤が水柱に噴射できることは本発明のコアのままである。
【0052】
図9に示すように、粉末ノズル2が2つ以上ある。単位時間あたりの消火樹脂粉末の噴出量を増やすことができ、樹脂粉末をより均一に水流に噴射することもできる一方、吸水速度がやや遅いものなど、特定の種類の高吸水性樹脂粉末を使用すると、消火効果を向上させることができる。
【0053】
本発明はまた、高吸水性樹脂粉末消火剤と水の混合方法を提供し、水ノズルの水噴射口から水流を噴射し、水噴射口と重ならない粉末ノズルの粉末噴射口から高吸水性樹脂粉末を噴射し、高吸水性樹脂粉末の噴出方向が水流の噴出方向に対して傾斜するように交差している。
【0054】
ここで具体化されるのは、従来技術と比較した本発明の混合方法における革新的な利点であり、高吸水性樹脂粉末消火剤のこのような使用方法について言及している従来の技術文献はなく、本発明は、高吸水性樹脂を予混合する必要があるという以前の方法を放棄し、空中で2つの物質を直接混合して、粉末を空中で水柱に直接当たるのと同等である。ポリアクリル酸ナトリウム粉末の超高速吸水速度が十分に活用され、予混合手順が省略され、消火用放水砲の高圧水柱の噴出速度が、消火剤の投入速度に等しく、混合過程全体が迅速で継続的である。従来技術で粉末を水で包んで一緒に噴射するという従来の設計が放棄され、負圧の方向と噴射の方向が交差する設計が使用され、粉末が水に当たって一緒に噴射するという技術的な解決策が創造的に採用されており、粉末が飛び散らないようにされている。また、水噴射口と粉末噴射口の間には一定の距離があり、粉末噴射口へ飛散する水しぶきの影響は非常に低く抑えられ、消火効果は良好であり、目詰まりはなくなる。
【0055】
高吸水性樹脂粉末はポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末であることが好ましい。粉末ノズルから噴出された高吸水性樹脂粉末は、外部から水ノズルから噴出された水流と空中で混合される。高吸水性樹脂粉末は水ノズルの水噴射口の上、側面又は後方から水流に噴射される。上記の好ましい解決策により、外部粉末内部水の混合方法の利点を十分に活用することができ、噴射混合をより安全にし、目詰まりを少なくする。
【0056】
本実施例の利点は、ポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末を消火剤として使用する従来の技術における技術的ボトルネックを解決し、粉末噴射口をブロックすることなくポリアクリル酸ナトリウム樹脂粉末をスムーズかつ連続的に火場に噴流できることである。
【0057】
上記の説明は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するものではない。本発明の精神及び原理の範囲内で行われるすべての修正、同等置換及び改善などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものとする。