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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】FGFR3阻害剤の共結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240821BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20240821BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
C07D471/04 106A
A61K31/4545
A61P35/00
【請求項の数】 56
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145013
(22)【出願日】2023-09-07
(65)【公開番号】P2024037713
(43)【公開日】2024-03-19
【審査請求日】2024-04-23
(31)【優先権主張番号】63/404,232
(32)【優先日】2022-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】コーツ,デイビッド アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデン,ロリ ラケル
(72)【発明者】
【氏名】クミネック,ジスレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン,ジェフリー・エイ
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-014584(JP,A)
【文献】特表2021-523876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0258859(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102964384(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111574359(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113943284(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/00
A61K 31/00
A61P 35/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
(「異性体2」)及び没食子酸コフォーマーの共結晶であって、
前記共結晶が、以下:
【化2】
であり、熱重量分析(TGA)による含水量が0%~3.2%の範囲である、共結晶。
【請求項2】
脱水されているか、又は部分的に脱水されている、請求項に記載の共結晶。
【請求項3】
8.4°におけるピークと、6.7°、9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、15.6°、16.9°、18.4°、19.6°、21.3°、23.4°、又は24.2°における1つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項に記載の共結晶。
【請求項4】
15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、請求項に記載の共結晶。
【請求項5】
15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、請求項に記載の共結晶。
【請求項6】
15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの3つ以上と組み合わせて8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、請求項に記載の共結晶。
【請求項7】
15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、16.9°、18.4°、19.6°、及び24.2°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、請求項に記載の共結晶。
【請求項8】
8.1、11.1、26.6、28.2、32.3、35.0、80.7、81.7、99.6、102.3、110.9、158.0、160.0、168.2、及び175.0からなる群から選択されるグリシンのカルボニル共鳴を基準とするピークを含み、許容差が±0.2ppmである13C固体NMRスペクトルを特徴とする、請求項に記載の共結晶。
【請求項9】
【化3】
(「異性体2」)及び没食子酸コフォーマーの共結晶であって、
前記共結晶が、以下であり、請求項1に記載の共結晶を加熱して、脱水水和物を形成させることによって得られる、共結晶。
【化4】
【請求項10】
【化5】
(「異性体2」)及び没食子酸コフォーマーの共結晶であって、
前記共結晶が、以下であり、14.6°におけるピークと、5.7°、6.5°、9.8°、13.0°、13.5°、16.5°、17.1°、18.9°、19.7°、23.8°、又は24.5°における1つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とす、共結晶。
【化6】
【請求項11】
9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、請求項10に記載の共結晶。
【請求項12】
9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、請求項10に記載の共結晶。
【請求項13】
9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの3つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、請求項10に記載の共結晶。
【請求項14】
9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに5.7°、13.0°、13.5°、16.5°、17.1°、18.9°、及び24.5°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、請求項10に記載の共結晶。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の共結晶を含み、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤、を更に含む、薬学的組成物。
【請求項16】
前記組成物が、少なくとも80重量%の前記共結晶を含有する、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記組成物が、少なくとも90重量%の前記共結晶のいずれかを含有する、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記組成物が、少なくとも95重量%の前記共結晶のいずれかを含有する、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
FGFR3関連がんを治療するための薬剤であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の共結晶を含む、薬剤。
【請求項20】
前記FGFR3関連がんが、乳がん、浸潤性乳管がん、浸潤性小葉乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、扁平上皮肺がん、小細胞肺がん、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、筋浸潤性膀胱がん、上部尿路がん、尿路上皮上部尿路がん、尿道がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、肝臓がん、メラノーマ、皮膚メラノーマ、頭頸部がん、口腔がん、甲状腺がん、腎臓がん、腎盂がん、膠芽腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん、及び精巣がんからなる群から選択される、請求項19に記載の薬剤。
【請求項21】
前記FGFR3関連がんが、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性膀胱がん、及び筋浸潤性膀胱がんからなる群から選択される、請求項19に記載の薬剤。
【請求項22】
前記FGFR3関連がんが、尿路上皮がんである、請求項19に記載の薬剤。
【請求項23】
前記FGFR3関連がんが、膀胱がんである、請求項19に記載の薬剤。
【請求項24】
前記FGFR3関連がんが、尿路上皮膀胱がんである、請求項19に記載の薬剤。
【請求項25】
前記FGFR3関連がんが、進行性尿路上皮膀胱がんである、請求項19に記載の薬剤。
【請求項26】
前記FGFR3関連がんが、転移性尿路上皮膀胱がんである、請求項19に記載の薬剤。
【請求項27】
前記FGFR3関連がんが、非筋浸潤性膀胱がんである、請求項19に記載の薬剤。
【請求項28】
前記FGFR3関連がんが、中等度リスク非筋浸潤性膀胱がんである、請求項19に記載の薬剤。
【請求項29】
前記FGFR3関連がんが、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)非応答性非筋浸潤性膀胱がん又はBacillus Calmette-Guerin(BCG)再発性非筋浸潤性膀胱がんである、請求項19に記載の薬剤。
【請求項30】
前記FGFR3関連がんが、高リスク非筋浸潤性膀胱がんである、請求項19に記載の薬剤。
【請求項31】
前記FGFR3関連がんが、筋浸潤性膀胱がんである、請求項19に記載の薬剤。
【請求項32】
FGFR3関連がんの治療のための医薬の製造における、請求項1~14のいずれか一項に記載の共結晶の使用。
【請求項33】
前記FGFR3関連がんが、乳がん、浸潤性乳管がん、浸潤性小葉乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、扁平上皮肺がん、小細胞肺がん、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、筋浸潤性膀胱がん、上部尿路がん、尿路上皮上部尿路がん、尿道がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、肝臓がん、メラノーマ、皮膚メラノーマ、頭頸部がん、口腔がん、甲状腺がん、腎臓がん、腎盂がん、膠芽腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん、及び精巣がんからなる群から選択される、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記FGFR3関連がんが、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、及び筋浸潤性膀胱がんからなる群から選択される、請求項32に記載の使用。
【請求項35】
前記FGFR3関連がんが、尿路上皮がんである、請求項32に記載の使用。
【請求項36】
前記FGFR3関連がんが、膀胱がんである、請求項32に記載の使用。
【請求項37】
前記FGFR3関連がんが、尿路上皮膀胱がんである、請求項32に記載の使用。
【請求項38】
前記FGFR3関連がんが、進行性尿路上皮膀胱がんである、請求項32に記載の使用。
【請求項39】
前記FGFR3関連がんが、転移性尿路上皮膀胱がんである、請求項32に記載の使用。
【請求項40】
前記FGFR3関連がんが、非筋浸潤性膀胱がんである、請求項32に記載の使用。
【請求項41】
前記FGFR3関連がんが、中等度リスク非筋浸潤性膀胱がんである、請求項32に記載の使用。
【請求項42】
前記FGFR3関連がんが、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)非応答性非筋浸潤性膀胱がん又はBacillus Calmette-Guerin(BCG)再発性非筋浸潤性膀胱がんである、請求項32に記載の使用。
【請求項43】
前記FGFR3関連がんが、高リスク非筋浸潤性膀胱がんである、請求項32に記載の使用。
【請求項44】
前記FGFR3関連がんが、非筋浸潤性尿路上皮がんである、請求項32に記載の使用。
【請求項45】
請求項1~のいずれか一項に記載の共結晶の調製のための方法であって、
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2:
【化7】
及び没食子酸を溶媒に添加して、スラリーを得る工程と、
シクロペンチルメチルエーテルを前記スラリーに添加して、白色沈殿物を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項46】
前記溶媒が、THFである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記スラリーが、前記共結晶:
【化8】
を種晶添加される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
以下の共結晶:
【化9】
を調製する方法であって、前記方法が、
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2、及び没食子酸を溶媒に添加して、スラリーを得ることと、
シクロペンチルメチルエーテルを前記スラリーに添加して、白色沈殿物を形成することと、を含み、前記共結晶が、異性体2の遊離塩基:
【化10】
と比べて改善された溶解度を有する、方法。
【請求項49】
前記溶媒が、THFを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記スラリーが、前記共結晶で種晶添加される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
以下の共結晶:
【化11】
を調製する方法であって、前記方法が、
【化12】
を加熱して、脱水水和物を形成することを含み、前記共結晶が、異性体2の遊離塩基:
【化13】
と比べて改善された溶解度を有する、方法。
【請求項52】
前記加熱工程が、10℃/分の速度で25℃から200℃までのTGAによる加熱である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記TGAによる加熱が、窒素を10mL/分のキャリアガスとして用いる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記TGAによる加熱が、窒素を50mL/分のパージガスとして用いる、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
請求項10~14のいずれか一項に記載の共結晶の調製のための方法であって、
【化14】
をアセトニトリルと組み合わせる工程を含む、方法。
【請求項56】
以下の共結晶:
【化15】
を調製する方法であって、前記方法が、
【化16】
をアセトニトリルと組み合わせることを含み、前記共結晶が、異性体2の遊離塩基:
【化17】
と比べて改善された溶解度を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、がん治療の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
線維芽細胞増殖因子(Fibroblast growth factor、FGF)は、発生中の形態形成、線維症、及び血管新生などの多くの生理学的プロセスの重要なメディエーターである。線維芽細胞増殖因子受容体(fibroblast growth factor receptor、FGFR)ファミリーは5つのメンバーからなり、そのうちの4つ(FGFR1~4)は、細胞外免疫グロブリン(immunoglobulin、Ig)様ドメイン、疎水性膜貫通領域、及びチロシンキナーゼドメインを含有する細胞質部分から構成される糖タンパク質である。FGF結合は、FGFR二量体化、それに続く受容体自己リン酸化及び下流シグナル伝達経路の活性化をもたらす。受容体活性化は、細胞増殖、細胞代謝及び細胞生存などの多様なプロセスの調節に関与する特定の下流シグナル伝達パートナーの動員及び活性化に十分である。したがって、FGF/FGFRシグナル伝達経路は、腫瘍細胞の増殖、遊走、浸潤、及び血管新生に重要な多くの生物学的プロセスに対して多面的な効果を有する。
【0003】
がんを治療するためのFGFR3阻害剤の新しい形態を開発することは有用であろう。改善された固体状態形態及び改善された化学安定性を有する形態を開発することも有用であろう。FGFR3阻害剤の現在の形態(例えば、FGFR3阻害剤の遊離塩基型)よりも溶解度を改善するFGFR3阻害剤の形態を開発することは有用であろう。FGFR3阻害剤のSDD形態などのFGFR3阻害剤の現在の形態よりも改善された化学安定性を有するFGFR3阻害剤の形態を開発することは有用であろう。FGFR3阻害剤の吸収を改善するFGFR3阻害剤の形態を開発することは有用であろう。FGFR3阻害剤の経口投与を可能にするFGFR3阻害剤の形態を開発することは有用であろう。FGFR3阻害剤のSDD形態などのFGFR3阻害剤の現在の形態に対して、より少ない操作プロセス工程、サプライチェーンの単純化、及びより少ない単位操作の使用をもたらす形態を開発することは有用であろう。FGFR3阻害剤のSDD形態などのFGFR3阻害剤の現在の形態よりも少ない溶媒を使用するか、又はより少ない環境影響しか必要としない形態を開発することは有用であろう。
【発明の概要】
【0004】
WO/2022/187443(国際特許出願番号PCT/US2022/018644)及びUS2023/0095122 A1(米国特許出願17/685,753号)は、FGFR3阻害剤として使用することができる化合物又はその塩を開示している。そこに開示されているFGFR3阻害剤の例は、以下の構造:
【0005】
【化1】
を有する4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリルである。
【0006】
この化合物は、WO/2022/187443(国際特許出願番号PCT/US2022/018644)及びUS2023/0095122 A1(米国特許出願17/685,753号)の両方の実施例45及び46に個々の異性体として開示された。そこに開示されているように、この化合物は異性体として存在する。更に、これらの参考文献の実施例45及び46で論じられているように、異性体は、分取キラルHPLCを使用して分離することができる。HPLCカラム:ART Cellulose-SB、2*25cm、5μm、20% 5:1ヘキサン:EtOH中のDCM(MeOH中0.5%の2M NH)で分離した場合、実施例45は最初に溶出する異性体であり、実施例46は2番目に溶出する異性体である。
【0007】
実施例45、4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体1(以下、「異性体1」)は、R-エナンチオマーである。異性体1は、以下の構造を有する。
【0008】
【化2】
【0009】
実施例46、4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2(以下、「異性体2」)は、S-エナンチオマーである。異性体2は、以下の構造を有する。
【0010】
【化3】
【0011】
WO/2022/187443(国際特許出願番号PCT/US2022/018644)及びUS2023/0095122 A1(米国特許出願17/685,753号)は、実施例45及び46の作製方法を開示している。
【0012】
WO/2022/187443(国際特許出願番号PCT/US2022/018644)及びUS2023/0095122 A1(米国特許出願17/685,753号)に開示されている別のFGFR3阻害剤は、以下の構造を有する4-[4-[3-クロロ-4-[2-ヒドロキシ-1-(2-ピリジル)エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体1(以下、「異性体A」):
【0013】
【化4】
である。
【0014】
この化合物は、国際出願PCT/US/2022/018644号及び米国特許出願17/685,753号の両方の実施例151に開示された。WO/2022/187443(国際特許出願番号PCT/US2022/018644)及びUS2023/0095122 A1(米国特許出願17/685,753号)は、実施例151の作製方法を開示している。
【0015】
本明細書で開示されている生物学的アッセイは、異性体1、2及びAがFGFR3阻害剤であることを実証する。以下のアッセイは、本明細書で提供される特定の化合物が、FGFR3を選択的に標的とすることを実証する。
【0016】
FGFR3及びFGFR1酵素アッセイ:FGFR3タンパク質は、Reaction Biology(カタログ番号1068)から購入し、FGFR1タンパク質はThermoFisher Scientific(カタログ番号PV4105)から購入した。酵素活性は、製造業者の指示に従って、KinEASE(商標)-TK Assay Kit(CisBio,カタログ番号62TK0PEC)を使用してモニタリングした。全てのアッセイを、KinEASE(商標)キナーゼ緩衝液中の各キナーゼについてそれぞれのKmATPで行った。反応は、白色の小容量ポリスチレン384ウェルプレート(Greiner,カタログ番号784075-25)中で行った。
【0017】
インキュベーションを、FGFR3タンパク質又はFGFR1タンパク質、125.0nM TK-ビオチン基質(CisBio)、7.81nMストレプトアビジン-XL665(CisBio)、0.25x抗リン酸化TK-ビオチン-クリプテート(CisBio)と共に行った。最終酵素濃度は、10uLの反応において0.25nMであった。異性体1、2、及びAの滴定を、100%ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)中、1uMから開始して半対数様式で行った。アデノシン三リン酸(adenosine triphosphate、ATP)による反応の開始前に、FGFR1タンパク質並びに異性体1、2、及びAを室温で15分間プレインキュベートし、FGFR3タンパク質並びに異性体1、2、及びAを、氷上で15分間プレインキュベートした。反応を、30℃で30分間進行させた。プレートを、抗TKクリプテート抗体/ストレプトアビジン-XL665混合物の添加によってクエンチした。1時間後。停止溶液中で、プレートをEnvisionプレートリーダー((Perkin Elmer)(Ex.Filter.320nm及びEm1 665nm/Em2 615nm))で読み取った。
【0018】
レシオメトリック発光係数を使用して、比を対照のパーセント(percent of control、POC)に変換した。試験化合物を使用せずに100POCを測定し、1uMの適切な対照阻害剤の存在下で0POCを測定した。4パラメータロジスティック曲線を、異性体1、2、及びAの濃度の関数としてPOC値に適合させ、IC50値は、最良適合曲線が50POCと交差した点であった。
【0019】
上記アッセイにおいて、異性体1、2及びAはそれぞれ、FGFR3に対して350nM未満のIC50値を示した。上記アッセイにおいて、異性体2及びAは、FGFR3に対して100nM未満のIC50値を示し、FGFR1に対するよりもFGFR3に対して少なくとも3倍選択的であった。上記アッセイにおいて、異性体2及びAは、FGFR3に対して50nM未満のIC50値を示し、FGFR1に対するよりもFGFR3に対して少なくとも10倍選択的であった。
【0020】
上記で同定されたFGFR3阻害剤の新規共結晶形態が本明細書に開示される。これらの形態は、FGFR3阻害剤のSDD形態などのFGFR3阻害剤の現在の形態よりも改善された固体状態及び化学安定性を示す。それらは医薬製剤中に含まれる可能性があり、従来知られている非共結晶形態と比較して、優れた安定性を示すことが期待される。したがって、上記のFGFR3阻害剤の共結晶形態及びその薬学的組成物が本明細書に記載される。
【0021】
異性体2形態
異性体2及び没食子酸コフォーマーを含む共結晶形態が、本明細書に開示される。3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸としても知られている没食子酸は、以下に示す構造を有する。
【0022】
【化5】
【0023】
一実施形態では、没食子酸は、無水と没食子酸一水和物との間の可変含水量を有し得る。一実施形態では、没食子酸は、無水没食子酸である。一実施形態では、没食子酸は、没食子酸一水和物である。
【0024】
一実施形態では、THFは、可変含水量を有し得る。一実施形態では、THFは、無水THFである。一実施形態では、THFは、ウェットTHFである。一実施形態では、THFは、いくらかの水を含有し得る。一実施形態では、水が、THFに添加される。
【0025】
一実施形態では、共結晶形態は、約2:1の異性体2対没食子酸の比を有する。
【0026】
一実施形態では、共結晶形態は、溶媒を更に含む。一実施形態では、溶媒は水であり、共結晶形態は水和物である。一実施形態では、共結晶形態は、半水和物を有する(本明細書では「式Iの共結晶形態」と呼ばれる)。一実施形態では、式Iの共結晶形態は、以下である。
【0027】
【化6】
【0028】
一実施形態では、式Iの共結晶形態は、可変含水量を有する。一実施形態では、式Iの共結晶形態は、熱重量分析(thermogravimetric analysis、TGA)により約0%~約3.2%の範囲の含水量を有する。
【0029】
一実施形態では、共結晶形態は、式Iの共結晶形態の水損失後の形態、「脱水水和物」である。一実施形態では、式Iの共結晶形態は、脱水されている(本明細書では「式IIの共結晶形」と呼ばれる)。一実施形態では、式IIの共結晶形態は、以下である。
【0030】
【化7】
【0031】
異性体2及びモノ-ガラートコフォーマーを含む共結晶形態が、本明細書に開示される。一実施形態では、共結晶形態は、約1:1の異性体2対没食子酸の比を有する(本明細書において、「式IIIの共結晶形態」と呼ばれる)。
【0032】
一実施形態では、式IIIの共結晶形態は、以下である。
【0033】
【化8】
【0034】
一実施形態では、式IIIの共結晶形態は、溶媒を有する。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリルである。一実施形態では、式IIIの共結晶形態は、モノ-アセトニトリル溶媒を有する(本明細書において、「式IVの共結晶形態」と呼ばれる)。一実施形態では、式IVの結晶形は、以下である。
【0035】
【化9】
【0036】
異性体A形態
異性体Aと没食子酸コフォーマーとの共結晶形態が、本明細書に開示される。一実施形態では、共結晶形態は、異性体A及びモノ-ガラートコフォーマーを含む。一実施形態では、没食子酸に対する異性体Aの式Vの共結晶形態比は、約1:1である(本明細書において、「式Vの共結晶形態」と呼ばれる)。一実施形態では、式Vの共結晶形態は、以下である。
【0037】
【化10】
【0038】
異性体Aとニコチンアミドコフォーマーとの共結晶形態が、本明細書に開示される。ピリジン-3-カルボキサミドとしても知られるニコチンアミドは、以下に示される構造:
【0039】
【化11】
を有する。
【0040】
一実施形態では、共結晶形態は、異性体A及びモノ-ニコチンアミドコフォーマーを含む。一実施形態では、ニコチンアミドに対する異性体Aの比は、約1:1である(本明細書において、「式VIの共結晶形態」と呼ばれる)。一実施形態では、式VIの結晶形は、以下である。
【0041】
【化12】
【0042】
上記で同定された共結晶形態を含む薬学的組成物、FGFR3の阻害によって治療可能な状態を治療するために共結晶形態を使用する方法、及び共結晶形態を合成する方法も開示される。
【0043】
したがって、FGFR3の共結晶形態及びその薬学的組成物が本明細書に記載される。好ましくは、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を更に含む。共結晶形態を含み、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤、を更に含む薬学的組成物が、更に記載される。少なくとも約80重量%の共結晶形態のいずれかを含有する薬学的組成物が更に記載される。少なくとも約90重量%の共結晶形態のいずれかを含有する薬学的組成物が更に記載される。少なくとも約95重量%の共結晶形態のいずれかを含有する薬学的組成物が更に記載される。
【0044】
一実施形態では、薬学的組成物は療法における使用のためのものである。
別の実施形態では、全身性硬化症、線維症、肺線維症、軟骨無形成症、致死性骨異形成症、発育遅延を伴う重度の軟骨無形成症及び黒色表皮症(severe achondroplasia with developmental delay and acanthosis nigricans、SADDAN)、ムエンケ症候群、並びにがんからなる群から選択される疾患を治療するための療法における、式I、II、V、又はVIの共結晶形態の使用が、本明細書に開示される。
【0045】
FGFR3関連がんを治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の式I、II、V、若しくはVI:
【0046】
【化13】
【0047】
【化14】
の共結晶形態、又はその薬学的組成物を投与することを含む方法が、本明細書に開示される。
【0048】
一実施形態では、FGFR3関連がんを治療する方法は、有効量の式I、II、V、若しくはVIの共結晶形態又はその薬学的組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0049】
一態様では、FGFR3関連がんの治療における使用のための式I、II、V、又はVI:
【0050】
【化15】
の共結晶形態が本明細書に開示される。
【0051】
一実施形態では、FGFR3関連がんの治療において使用するための、式I、II、V、又はVIの共結晶形態であって、FGFR3関連がんが、非筋浸潤性膀胱がんである、共結晶形態。
【0052】
一実施形態では、FGFR3関連がんの治療において使用するための、式I、II、V、又はVIの共結晶形態であって、FGFR3関連がんが、中等度リスク非筋浸潤性膀胱がんである、共結晶形態。
【0053】
一実施形態では、FGFR3関連がんの治療に使用するための、式I、II、V、又はVIの共結晶形態であって、FGFR3関連がんが、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)非応答性非筋浸潤性膀胱がん又はBacillus Calmette-Guerin(BCG)再発性非筋浸潤性膀胱がんである、共結晶形態。
【0054】
一実施形態では、FGFR3関連がんの治療において使用するための、式I、II、V、又はVIの共結晶形態であって、FGFR3関連がんが、高リスク非筋浸潤性膀胱がんである、共結晶形態。
【0055】
一態様では、有効量の式I、II、V、若しくはVI:
【0056】
【化16】
【0057】
【化17】
の共結晶形態又はその薬学的組成物の使用が、FGFR3関連がんの治療のための医薬の製造において、本明細書に開示される。
【0058】
一実施形態では、FGFR3関連がんの治療のための医薬の製造における、有効量の式I、II、V、若しくはVIの共結晶形態又はその薬学的組成物の使用が、本明細書に開示され、FGFR3関連がんは、非筋浸潤性膀胱がんである。
【0059】
一実施形態では、FGFR3関連がんの治療のための医薬の製造における、有効量の式I、II、V、若しくはVIの共結晶形態又はその薬学的組成物の使用が、本明細書に開示され、FGFR3関連がんは、中等度リスク非筋浸潤性膀胱がんである。
【0060】
一実施形態では、FGFR3関連がんの治療のための医薬の製造における、有効量の式I、II、V、若しくはVIの共結晶形態又はその薬学的組成物の使用が、本明細書に開示され、FGFR3関連がんは、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)非応答性非筋浸潤性膀胱がん又はBacillus Calmette-Guerin(BCG)再発性非筋浸潤性膀胱がんである。
【0061】
一実施形態では、FGFR3関連がんの治療のための医薬の製造における、有効量の式I、II、V、若しくはVIの共結晶形態又はその薬学的組成物の使用が、本明細書に開示され、FGFR3関連がんは、高リスク非筋浸潤性膀胱がんである。
【0062】
別の態様では、4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2及び没食子酸を溶媒に添加してスラリーを得ることと、シクロペンチルメチルエーテルをスラリーに添加して、白色沈殿物を形成することと、を含む、式Iの共結晶形態の調製のためのプロセスが、本明細書に開示される。一実施形態では、式Iの共結晶形態の調製のためのプロセスは、スラリーを式Iの共結晶形態で種付けすることを更に含む。
【0063】
式Iの共結晶形態を加熱する工程を含む、式IIの共結晶形態を調製するためのプロセスが、本明細書に開示される。
【0064】
式Iの共結晶形態をアセトニトリルと組み合わせる工程を含む、式IVの共結晶形態の調製のためのプロセスが、本明細書に開示される。
【0065】
没食子酸を酢酸エチルに溶解した異性体Aに添加する工程を含む、式Vの共結晶形態の調製のためのプロセスが、本明細書に開示される。
【0066】
ニコチンアミドで飽和した酢酸エチル中に異性体Aを溶解する工程を含む、式VIの共結晶形態の調製のためのプロセスが本明細書に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0067】
一実施形態では、式Iの共結晶形態は、可変含水量を有する。一実施形態では、式Iの共結晶形態は、約0%~約3.2%の範囲の含水量を有する。
【0068】
一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態はそれぞれ、8.4°におけるピークと、6.7°、9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、15.6°、16.9°、18.4°、19.6°、21.3°、23.4°、又は24.2°における1つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したX線粉末回折(x-ray powder diffraction、XRPD)パターンを有することを特徴とする。一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態はそれぞれ、8.4°におけるピークと、6.7°、9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、15.6°、16.9°、18.4°、19.6°、21.3°、23.4°、又は24.2°における4つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したX線粉末回折(XRPD)パターンを有することを特徴とする。一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態はそれぞれ、8.4°におけるピークと、6.7°、9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、15.6°、16.9°、18.4°、19.6°、21.3°、23.4°、又は24.2°における5つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したX線粉末回折(XRPD)パターンを有することを特徴とする。一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態はそれぞれ、8.4°におけるピークと、6.7°、9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、15.6°、16.9°、18.4°、19.6°、21.3°、23.4°、又は24.2°における6つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したX線粉末回折(XRPD)パターンを有することを特徴とする。一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態はそれぞれ、8.4°におけるピークと、6.7°、9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、15.6°、16.9°、18.4°、19.6°、21.3°、23.4°、又は24.2°における7つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したX線粉末回折(XRPD)パターンを有することを特徴とする。一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態はそれぞれ、8.4°におけるピークと、6.7°、9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、15.6°、16.9°、18.4°、19.6°、21.3°、23.4°、又は24.2°における8つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したX線粉末回折(XRPD)パターンを有することを特徴とする。一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態はそれぞれ、8.4°におけるピークと、6.7°、9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、15.6°、16.9°、18.4°、19.6°、21.3°、23.4°、又は24.2°における9つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したX線粉末回折(XRPD)パターンを有することを特徴とする。一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態はそれぞれ、8.4°におけるピークと、6.7°、9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、15.6°、16.9°、18.4°、19.6°、21.3°、23.4°、又は24.2°における10個以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したX線粉末回折(XRPD)パターンを有することを特徴とする。
【0069】
一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態はそれぞれ、15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態はそれぞれ、15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態はそれぞれ、15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの3つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。
【0070】
一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態はそれぞれ、15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、16.9°、18.4°、19.6°、又は24.2°における1つ以上のピークと組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。一実施形態では、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークが強い。一実施形態では、15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択される回折角2シータにおける1つ以上のピークが強い。一実施形態では、15.6°及び21.3°からなる群から選択される回折角2シータにおける1つ以上のピークが強い。
【0071】
一実施形態では、式Iの共結晶形態及び式IIの共結晶形態は、8.1、11.1、26.6、28.2、32.3、35.0、80.7、81.7、99.6、102.3、110.9、158.0、160.0、168.2、175.0ppmにおけるグリシンのカルボニル共鳴(δ=176.5ppm)を基準とするピークを含み、許容差が±0.2ppmである、13C固体NMRスペクトルを特徴とする。
【0072】
一実施形態では、式IVの共結晶形態は、14.6°におけるピークと、5.7°、6.5°、9.8°、13.0°、13.5°、16.5°、17.1°、18.9°、19.7°、23.8°、又は24.5°における1つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPD(XRPD)パターンを有することを特徴とする。一実施形態では、式IVの共結晶形態は、9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。一実施形態では、式IVの共結晶形態は、9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。一実施形態では、式IVの共結晶形態は、9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの3つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。
【0073】
一実施形態では、式IVの共結晶形態は、9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに5.7°、6.5°、9.8°、13.0°、13.5°、16.5°、17.1°、18.9°、19.7°、23.8°、又は24.5°における1つ以上のピークと組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。一実施形態では、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークが強い。一実施形態では、9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択される回折角2シータにおける1つ以上のピークが強い。一実施形態では、9.8°及び23.8°からなる群から選択される回折角2シータにおける1つ以上のピークが強い。
【0074】
一実施形態では、式Vの共結晶形態は、6.9°におけるピークと、9.1°、10.5°、12.7°、15.7°、16.3°、16.8°、17.1°、17.9°、18.4°、21.0°、又は23.4°における1つ以上のピークとを含み、許容差が±0.2ppmである、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする。一実施形態では、式Vの共結晶形態は、12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、6.9°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。一実施形態では、式Vの共結晶形態は、12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、6.9°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。一実施形態では、式Vの共結晶形態は、12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの3つ以上と組み合わせて、6.9°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。
【0075】
一実施形態では、式Vの共結晶形態は、12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに10.5°、15.7°、16.3°、16.8°、17.1°、17.9°、21.0°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、6.9°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。
【0076】
一実施形態では、6.9°の回折角2シータにおける式Vの共結晶形態回折ピークが強い。一実施形態では、12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択される回折角2シータにおける1つ以上のピークが強い。一実施形態では、12.7°及び18.4°からなる群から選択される回折角2シータにおける式Vの共結晶形態1つ以上のピークが強い。
【0077】
一実施形態では、式VIの共結晶形態は、13.7°におけるピークと、6.8°、8.2°、9.6°、12.3°、15.8°、17.5°、17.9°、18.7°、19.0°、22.2°、22.9°、24.7°、又は26.1°における1つ以上のピークとを含み、許容差が±0.2ppmである、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする。一実施形態では、式VIの共結晶形態は、9.6°、17.9°、及び24.7°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、13.7°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。一実施形態では、式VIの共結晶形態は、9.6°、17.9°、及び24.7°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、13.7°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。一実施形態では、式VIの共結晶形態は、9.6°、17.9°、及び24.7°からなる群から選択されるピークと組み合わせて、13.7°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。
【0078】
一実施形態では、式VIの共結晶形態は、9.6°、17.9°、及び24.7°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに6.8°、8.2°、12.3°、15.8°、17.5°、18.7°、19.0°、22.2°、22.9°、及び26.1°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、13.7°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする。
【0079】
一実施形態では、13.7°の回折角2シータにおける式VIの共結晶形態回折ピークが強い。一実施形態では、9.6°、17.9°、及び24.7°からなる群から選択される回折角2シータにおける1つ以上のピークが強い。一実施形態では、9.6°及び17.9°からなる群から選択される回折角2シータにおける式VIの共結晶形態1つ以上のピークが強い。
【0080】
いくつかの共結晶形態は、他の共結晶形態又は遊離塩基若しくは噴霧乾燥分散物(spray dry dispersion、SDD)などの現在の製剤よりも改善された溶解度を提供し得る。例えば、式Iの共結晶形態は、異性体2の遊離塩基形態よりも約2~約5倍、約3~約5倍、又は約4~約5倍溶解性であり得る。例えば、式Iの共結晶形態は、絶食模擬腸液などにおいて、異性体2の遊離塩基形態よりも約4~約5倍の溶解性であり得る。例えば、式Iの共結晶形態は、絶食模擬腸液などにおいて、HPMC SDDを有する異性体2よりも約2~約3倍溶解性であり得る。いくつかの共結晶形態は、他の共結晶形態又は噴霧乾燥分散物(spray dry dispersion、SDD)などの現在の製剤と比較して、FGFR3阻害剤の経口投与を可能にし得る。
【0081】
いくつかの共結晶形態は、他の共結晶形態又は噴霧乾燥分散物(SDD)などの現在の製剤よりも安定であり得る。例えば、式Iの結晶形態は、HPMC SDDを有する異性体2、HPMC-AS-M SDDを有する異性体2、PVP-VA SDDを有する異性体2などの異性体2を含む複数の現在のSDD製剤よりも、40℃及び75%相対湿度でより安定である。共結晶形態は、SDDよりも安定であり得る。共結晶形態は、より低い吸湿性などの改善された特性を有し得る。本開示の特定の実施形態の目的は、現在の製剤よりも少ない操作プロセス工程を必要とする共結晶形態を利用することである。共結晶形態は、サプライチェーンの簡略化及び単位操作のより少ない数という利点を含む、より少ない操作プロセス工程をもたらし得る。共結晶形態は、錠剤、カプセル、及び懸濁液などの製剤に共結晶を組み込むために1回移動させるなど、異なる場所からの物質移動が少ない。SDD製剤は、第1の場所で医薬品有効成分(Active Pharmaceutical Ingredient、API)を製造することから開始し、SDD中にAPIを組み込むために第2の場所に移動し、次いで、錠剤、カプセル、及び懸濁液などの製剤中にAPIを有するSDDを組み込むために第3の場所に移動することが、一般的に認識されている。本開示のある特定の実施形態は、現在の製剤よりも少ない溶媒を必要とする共結晶形態を利用し、より少ない環境影響をもたらす。
【0082】
一実施形態では、薬学的組成物は、FGFR3関連がんの治療における使用のためである。FGFR3関連がんの例としては、としては、乳がん、浸潤性乳管がん、浸潤性小葉乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、扁平上皮がん、小細胞肺がん、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、筋浸潤性膀胱がん、上部尿路がん、尿路上皮上部尿路がん、尿道がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、肝臓がん、メラノーマ、皮膚メラノーマ、頭頸部がん、口腔がん、甲状腺がん、腎臓がん、腎盂がん、膠芽腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん、及び精巣がんが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、FGFR3関連がんは、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性膀胱がん、又は筋浸潤性膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、尿路上皮がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、尿路上皮膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、進行性尿路上皮膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、転移性尿路上皮膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、非筋浸潤性膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、中等度リスク非筋浸潤性膀胱がんである。一実施態様において、FGFR3関連がんは、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)非応答性非筋浸潤性膀胱がんである。一実施態様において、FGFR3関連がんは、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)再発性非筋浸潤性膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、高リスク非筋浸潤性膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、筋浸潤性膀胱がんである。
【0083】
定義
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって通例理解されている意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語は、特に指定されない限り、以下の用語に帰する意味を有する。
【0084】
本明細書で使用される場合、「がん」は、FGFR3関連がんを指す。FGFR3関連がんは、点変異/挿入/欠失及び/又は融合のうちの少なくとも1つを示し得る。本明細書に開示される化合物を使用して処置され得る特定のがんの例としては、乳がん、浸潤性乳管がん、浸潤性小葉乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、扁平上皮がん、小細胞肺がん、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、筋浸潤性膀胱がん、上部尿路がん、尿路上皮上部尿路がん、尿道がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、肝臓がん、メラノーマ、皮膚メラノーマ、頭頸部がん、口腔がん、甲状腺がん、腎臓がん、腎盂がん、膠芽腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん、及び精巣がんが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、がんは、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、又は筋浸潤性膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、尿路上皮がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、尿路上皮膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、進行性尿路上皮膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、転移性尿路上皮膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、非筋浸潤性膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、中等度リスク非筋浸潤性膀胱がんである。一実施態様において、FGFR3関連がんは、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)非応答性非筋浸潤性膀胱がんである。一実施態様において、FGFR3関連がんは、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)再発性非筋浸潤性膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、高リスク非筋浸潤性膀胱がんである。一実施形態では、FGFR3関連がんは、筋浸潤性膀胱がんである。
【0085】
「NMIBC」又は「筋非浸潤性膀胱がん」という用語は、腫瘍、リンパ節、転移分類(Tumor,Node,Metastasis Classification、TNM)に従って、T0、Ta、T1、又はCISとして病期分類された膀胱がんを意味する。「T0」という用語は、腫瘍、リンパ節、転移分類(TNM)による原発腫瘍の証拠がない疾患の第1段階を意味する。「Ta」、「T1」、「T2」、「T3」、及び「T4」という用語は、腫瘍、リンパ節、転移分類(TNM)による原発腫瘍のサイズ又は範囲を意味する。
【0086】
「中等度リスク非筋浸潤性膀胱がん」、「中等度リスクNMIBC」、又は「IR NMIBC」という用語は、多発性又は再発性の低悪性度Ta腫瘍を意味する。考慮されるべき以下の因子は、1個超などの腫瘍の数、3cmより大きいなどの腫瘍のサイズ、1年以内の再発などのタイミング、1年当たり1回より多い再発などの再発の頻度、及び以前の処置である。
【0087】
「高リスク非筋浸潤性膀胱がん」、「高リスクNMIBC」、又は「HR NMIBC」という用語は、再発性、bacillus Calmette-Guerin(BCG)非応答性、高悪性度、T1又はCIS腫瘍を意味し、再発はBCG治療後であり得る。考慮されるべき以下の因子は、腫瘍グレード、3cmより大きいなどの腫瘍のサイズ、1年以内の再発などのタイミング、1年当たり1回より多い再発などの再発の頻度、及び以前の処置である。
【0088】
「治療」、「治療する」、「治療すること」などの用語は、障害の進行を遅延させること、停止させること、又は反転させることを含むことを意味する。これらの用語はまた、障害又は状態が実際に排除されない場合でも、かつ障害又は状態の進行自体が遅延又は反転されない場合でも、障害又は状態のうちの1つ以上の症状を緩和、寛解、減衰、排除、又は軽減することを含む。
【0089】
「有効量」は、治療する臨床医によって患者の生物学的若しくは医学的応答又は患者に対する所望の療法効果を誘発する共結晶形態(式I、II、V、又はVIの共結晶形態)の量を意味する。
【0090】
本明細書中で使用される場合、「患者」とは、哺乳動物、より好ましくはヒトをいう。
【0091】
有効量は、当業者のような担当診断医により、既知の技法の使用により、及び同様の状況下で得られた結果を観察することにより、決定され得る。患者のための有効な量を決定する際に、担当医によって、患者の種;そのサイズ、年齢、及び全般的健康状態;関与する特定の疾患又は障害;疾患又は障害の程度又は関与又は重症度;個々の患者の応答;投与される特定の化合物;投与様式;投与される調製物の生物学的利用能特性;選択される投与レジメン;併用薬の使用;及び他の関連する状況を含むが、これらに限定されない、いくつかの要因が考慮される。
【0092】
いくつかの実施形態では、「共結晶」は、一般に化学量論比の2つ以上の異なる分子化合物から構成される結晶性材料である固体を指す。より広い定義は、共結晶が、固有の特性を有する固有の結晶構造を形成する2つ以上の成分を含むことである。共結晶性水和物は、一般に化学量論比の2つ以上の異なる分子化合物と水とから構成される結晶性材料を指す。水の量は化学量論比であってもよいが、非化学量論比であってもよい。結晶からの水の除去は、格子を破壊してもしなくてもよく、一般に脱水水和物と呼ばれる。水和物は、当技術分野において公知である(例えば、Polymorphism in the Pharmaceutical Industry:Solid Form and Drug Development Chapter 6、Hygroscopicity and Hydrates in Pharmaceutical Solids(Rolf Hilfiker,Markus von Raumer,editors,John Wiley&Sons,2018)を参照されたい)。
【0093】
各共結晶形態(式I、式II、式IV、式V、又は式VIの共結晶形態)は、好ましくは、経口、静脈内、及び経皮経路を含む、化合物を生物学的に利用可能にする任意の経路によって投与される薬学的組成物として製剤化される。より好ましくは、そのような組成物は、経口投与用である。そのような薬学的組成物及びそれらを調製するためのプロセスは、当該技術分野において公知である。(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(D.B.Troy,Editor,21st Edition,Lippincott,Williams&Wilkins,2006)を参照されたい。
【0094】
用語「強い」は、本明細書では、機器からのバックグラウンドシグナルよりも大きい試料からの検出シグナルとして定義される。
【0095】
記載をより簡潔にするために、本明細書の定量的表現のうちのいくつかは、約量X~約量Yの範囲として列挙される。範囲が列挙される場合、範囲は、その列挙された上限及び下限に限定されず、むしろ、約量X~約量Yの全範囲、又はその中の任意の範囲を含むことが理解される。
【0096】
「室温」又は「RT」とは、一般的な実験室の周囲温度を指し、通常は約25℃である。
【0097】
いくつかの実施形態では、「賦形剤」という用語は、組成物を所望の形態に製剤化するのに必要な任意の物質を指す。例えば、好適な賦形剤には、希釈剤又は充填剤、結合剤又は造粒剤又は接着剤、崩壊剤、潤滑剤、粘着防止剤、流動促進剤、分散剤又は湿潤剤、溶解遅延剤又は促進剤、吸着剤、緩衝剤、キレート剤、保存剤、着色剤、香味料、及び甘味料が含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
「薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤」は、哺乳動物、例えばヒトへの生物学的に活性な薬剤の送達のために本技術分野において概して許容されている媒体である。「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」という用語には、生物学的でもその他の望ましくないものでもないありとあらゆる溶媒、共溶媒、錯化剤、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性成分と不適合である場合を除き、治療用製剤におけるその使用が意図されている。補助的な活性成分もまた、製剤中に組み入れられ得る。更に、本技術分野で通例使用されているような、様々な賦形剤が含まれ得る。これら及び他のそのような化合物は、文献、例えば、Merck Index,Merck & Company,Rahway,N.Jに記載されている。薬学的組成物中に様々な成分を含めるための考慮事項は、例えば、Gilman et al.(Eds.).2010、Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Basis of Therapeutics,12th Ed.,The McGraw-Hill Companiesに記載されている。
【0099】
いくつかの実施形態では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈によって明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、範囲及び量は、「約」特定の値又は範囲として表され得る。約には正確な量も含まれる。したがって、「約5グラム」は、「約5グラム」及び「5グラム」も意味する。本明細書で表される範囲は、その範囲内の整数及びその分数を含むことも理解される。例えば、5~20グラムの範囲には、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20グラムなどの整数値、並びに5.25、6.5、8.75、及び11.95グラムを含むが、これらに限定されない範囲内の分数が含まれる。
【0101】
いくつかの実施形態では、「必要に応じた」又は「必要に応じて」は、引き続いて記載された事象又は状況が起きるか又は起きないこと、並びに記載が、当該事象又は状況が起こる場合の例及びそれが起こらない場合の例を含むことを意味する。例えば、「必要に応じて触媒を含む」反応混合物は、反応混合物が触媒を含むか、又は触媒を含まないことを意味する。
【0102】
いくつかの実施形態では、「相対強度」は、関連するスペクトルにおける最も高いピークに対する任意のピークのパーセンテージを意味する。
【0103】
明確さのために別個の実施形態の文脈で記載される本開示のある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得る。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈で記載される開示の様々な特徴はまた、別個に、又は任意の好適な部分的組み合わせとして提供され得る。
【0104】
本明細書に記載の態様に関する実施形態の全ての組み合わせは、あたかもあらゆる組み合わせが可能な態様を包含する限り、あたかもそれぞれの組み合わせが個別に明示的に列挙されたかのように、本開示によって具体的に包含される。更に、本明細書に記載の態様に含まれる実施形態の全ての部分的組み合わせ、及び本明細書に記載の他の全ての態様に含まれる実施形態の全ての部分的組み合わせも、あたかも全ての実施形態のありとあらゆる部分的組み合わせが、本明細書に明示的に列挙されているかのように、本開示によって具体的に包含される。
【実施例
【0105】
以下の例により、本開示を更に説明する。
【0106】
実施例1~3のXRPDパターンは、40kV及び40mAで動作する、CuKα(1.5418Å)源及びLinxeye検出器を装備したBruker D8 Endeavor X線粉末回折計で得られた。試料を、4~42 2θ°で、0.009 2θ°のステップサイズ及び0.5秒/ステップの走査速度で、0.3°の一次スリット開口、及び3.9°の粒径分布(PSD)開口を使用して、走査する。乾燥粉末は、石英又はケイ素試料ホルダーに充填され、滑らかな表面は、ガラススライドを使用して得られる。結晶形態回折パターンは、周囲温度及び相対湿度で収集される。結晶ピーク位置は、8.853及び26.774 2θ°のピークを有する内部NIST 675標準に基づいて全体パターンシフト後、MDI-Jadeで決定される。
【0107】
結晶学の分野において、任意の所与の結晶形態に関して、結晶形態及び晶癖などの要因から生じる好ましい配向に起因して、回折ピークの相対強度が変化し得ることは周知である。優先配向の効果が存在する場合、ピーク強度は改変されるが、形態の特徴的なピーク位置は不変である。例えば、The United States Pharmacopeia#23,National Formulary#18,pages 1843-1844,1995を参照されたい。更に、所与の任意の結晶形態について、角ピーク位置がわずかに変化し得ることも、結晶学の分野において周知である。例えば、ピーク位置は、試料が分析される温度の変動、試料変位、又は内部標準の存在若しくは不在によってシフトすることができる。この場合、±0.2 2θ°のピーク位置変動性は、示された結晶形態の明確な同定を妨げることなく、これらの潜在的な変動を考慮に入れると推定される。結晶形態の確認を特徴的なピークの任意の固有の組み合わせに基づいて行うことができる。
【0108】
固体NMRは、Agilent DD2-400分光計(100.6MHz)で得られる。試料を4mm PENCIL型窒化ケイ素ローターに充填し、マジック角で12kHzで回転させる。スペクトルは、周囲温度で、取得時間中に位相変調された(SPINAL-64)高出力Hデカップリング、5msの傾斜振幅交差分極接触時間、30msの取得時間、スキャン間の10秒の遅延、2678個のデータポイントを有する45kHzのスペクトル幅、及び1600の同時追加スキャンを用いて取得される。自由誘導減衰(free induction decay、FID)を、Agilent VnmrJ 3.2Aソフトウェアを使用して、65536点及び10Hzの指数関数的線幅拡大係数で処理して、シグナル対ノイズ比を改善する。FIDの最初の3つのデータ点は、平坦なベースラインを生成するために、VNMR線形予測アルゴリズムを使用して逆予測される。スペクトルピークの化学シフトは、176.5ppmでのグリシンのカルボニル炭素共鳴に外部から基準とされている。
【0109】
動的蒸気収着(Dynamic vapor sorption、DVS)分析は、TA Thermal Advantage,v5.2.6及びUniversal Analysis 2000,v4.5a Softwareを実行したTA Instruments Q5000SA VTIフロー水分バランスを使用して、25℃で得られる。平衡基準は、5分間、最大60分間で、0.01%未満の重量変化であった。臭化ナトリウムを用いて湿度検証較正を行った。重量較正は、製造業者によって供給された標準を用いて行った。
【0110】
示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry、DSC)分析は、TA Thermal Advantage Software v5.2.6によって実行されるTA Q2000 DSCを使用して得られ、データはUniversal Analysis 2000 v4.5aによって分析される。試料を圧着アルミニウムパン内で25℃で平衡化し、50mL/分の窒素パージを用いて10℃/分で300℃に加熱した。温度及び熱流を、インジウム融解に対して較正した。
【0111】
熱重量分析(TGA)は、TA Thermal Advantage Software v5.2.6によって実行されるTA Instruments Q5000 TGAを使用して得られ、データはUniversal Analysis 2000 v4.5aによって分析される。試料を周囲温度(約25℃)から200℃まで10℃/分の速度で加熱した。窒素が、キャリア(10mL/分)及びパージ(50mL/分)ガスであった。温度は、ニッケル及びアルメル標準を用いたキュリー温度測定によって較正した。重量較正は、製造業者によって供給された標準を用いて行った。
【0112】
実施例1
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2、半没食子酸共結晶形態、半水和物(「式Iの共結晶形態」)。
【0113】
【化18】
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2(2.25g)及び没食子酸(0.69g)を、THF(10.4mL)に懸濁させる。スラリーを50℃に加熱し、200rpmで撹拌する。全ての固体が溶解する。溶液を25℃に冷却し、撹拌速度を400rpmに上げ、シクロペンチルメチルエーテル(30mL)を0.04mL/分の速度で(約12時間かけて)添加すると、その間に白色沈殿物が形成される。25℃で一晩撹拌した後、固体生成物を、中孔径フリットフィルター上への真空濾過によって単離する。ウェットケーキを、シクロペンチルメチルエーテル(5mL)で洗浄し、真空下50℃で乾燥させる。表題化合物を86%の収率(2.25g)で生成する。
【0114】
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2(7.0g)及び没食子酸(2.64g)を、THF(33.2mL)に懸濁させる。スラリーを50℃に加熱する。全ての固体が溶解する。溶液を25℃に冷却し、415mgの半没食子酸半水和物共結晶を種付けする。薄いスラリーを25℃で25分間熟成させ、次いでシクロペンチルメチルエーテル(77.5mL)を0.11mL/分の速度で添加し、その間に濃いオフホワイト色のスラリーが形成される。25℃で一晩撹拌した後、固体生成物を、中孔径フリットフィルター上への真空濾過によって単離する。ウェットケーキを、シクロペンチルメチルエーテル(16.5mL)で洗浄し、真空下50℃で乾燥させる。表題化合物を89%の収率(7.38g)で生成する。式Iの共結晶形態の13C固体NMR(101MHz)は、δ 8.1、11.1、26.6、28.2、32.3、35.0、80.7、81.7、99.6、102.3、110.9、158.0、160.0、168.2、175.0にピークを含む。
【0115】
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2、半没食子酸共結晶形態のXRPD(「式Iの共結晶形態」)。
式Iの共結晶形態の調製された試料は、CuKα放射線を使用したXRPDパターンによって、以下の表1に記載される回折ピーク(2-シータ値)を有するものとして、特に、15.6、21.3、6.7、及び23.4からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、8.4でピークを有するものとして、特徴付けられる。回折角の許容差は、±0.2度である。
【0116】
【表1】
【0117】
式Iの共結晶形態は、偏光顕微鏡によって検査した場合、針状(針状形態)として示された。
【0118】
式Iの共結晶形態の調製された試料は、0%RHで約1%から90%RHで約3.2%までの含水量の範囲を有する動的蒸気収着によって特徴付けられる。
【0119】
実施例1A
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2、半没食子酸共結晶形態、脱水水和物(「式IIの共結晶形態」)。
【0120】
【化19】
式Iの共結晶形態の調製された試料は、熱重量分析によって、式IIの共結晶形態の融解前に約1.7%の水損失による階段状変化を有することを特徴とする。
【0121】
実施例2
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、モノ-異性体2、半没食子酸共結晶形態、モノアセトニトリル」(「式IVの共結晶形態」)。
【0122】
【化20】
式Iの共結晶形態(285mg)をアセトニトリル(4mL)と合わせ、周囲温度で一晩撹拌する。濃厚な白色スラリーが形成され、これを遠心管フィルター(5mL Centrex MF-5.0、0.45μm、ナイロン)に移し、周囲温度で5分間遠心分離(330rpm)する。得られた固体を風乾して、表題化合物を得る。
【0123】
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2、モノ-没食子酸共結晶形態のXRPD(「式IVの共結晶形態」)。
式IVの共結晶形態の調製された試料は、CuKα放射線を使用したXRPDパターンによって、以下の表2に記載される回折ピーク(2-シータ値)を有するものとして、特に、9.8、23.8、6.5、及び19.7からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、14.6でピークを有するものとして、特徴付けられる。回折角の許容差は、±0.2度である。
【0124】
【表2】
【0125】
実施例3
4-[4-[3-クロロ-4-[2-ヒドロキシ-1-(2-ピリジル)エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体1、モノ-没食子酸共結晶形態(「式Vの共結晶形態」)
【0126】
【化21】
4-[4-[3-クロロ-4-[2-ヒドロキシ-1-(2-ピリジル)エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体1(9.76g)を、酢酸エチルに溶解する。没食子酸(4.23g)を添加し、得られたスラリーを濾過する。固体を、酢酸エチル(60mL)に取り、45℃で30分間撹拌する。得られたスラリーを濾過する。固体を、酢酸エチル(50mL)に取り、室温で2日間撹拌する。得られたスラリーを、濾過する。固体を、窒素流下で15分間、真空オーブン(75℃で2時間)中で乾燥させる。固体を、シクロペンチルメチルエーテル(40mL)に取り、室温で5日間撹拌する。得られたスラリーを、濾過し、75℃で一晩乾燥させる。固体を、シクロペンチルメチルエーテル(40mL)に取り、室温で1日間撹拌する。得られたスラリーを濾過し、一晩75℃で乾燥させ、表題化合物(8.9g)を得る。
【0127】
4-[4-[3-クロロ-4-[2-ヒドロキシ-1-(2-ピリジル)エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体1、モノ-没食子酸共結晶形態(「式Vの共結晶形態」)のXRPD。
式Vの共結晶形態の調製された試料は、CuKα放射線を使用したXRPDパターンによって、表3に記載される回折ピーク(2-シータ値)を有するものとして、特に、12.7、18.4、9.1、及び23.4からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、6.9でピークを有するものとして、特徴付けられる。回折角の許容差は、±0.2度である。
【0128】
【表3】
【0129】
実施例4
4-[4-[3-クロロ-4-[2-ヒドロキシ-1-(2-ピリジル)エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体1、モノ-ニコチンアミド共結晶形態(「式VIの共結晶形態」)
【0130】
【化22】
4-[4-[3-クロロ-4-[2-ヒドロキシ-1-(2-ピリジル)エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体1(0.253g)、
【0131】
【化23】
を酢酸エチル(8mL、ニコチンアミドで飽和)に溶解し、室温で35分間撹拌する。得られたスラリーを濾過する。固体をその場で真空下及び窒素流下で15分間乾燥させて、標題化合物(0.236g)を得る。
【0132】
4-[4-[3-クロロ-4-[2-ヒドロキシ-1-(2-ピリジル)エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体1、モノ-ニコチンアミド共結晶形態(「式VIの共結晶形態」)のXRPD。
式VIの共結晶形態の調製された試料は、CuKα放射線を使用したXRPDパターンによって、表4に記載される回折ピーク(2-シータ値)を有するものとして、特に、9.6、17.9及び24.7からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、13.7でピークを有するものとして、特徴付けられる。回折角の許容差は、±0.2度である。
【0133】
【表4】
【0134】
実施例5A
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2、HPMCを含む30%SDD(噴霧乾燥分散物)(「異性体2 HPMC SDD」)
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2(300.66mg)を、アセトン(10mL)及びメタノール(10mL)に溶解させる。HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース;702.19mg)を添加し、材料を20~30分間ボルテックス混合する。物質を噴霧乾燥して(水浴60℃、油浴200℃、窒素60psi、開始温度45℃、最終温度72℃、1mL/分、15~20分)、表題化合物(615mg、61%)を得る。
【0135】
実施例5B
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2、HPMC-AS-Mを含む30%SDD(噴霧乾燥分散物)(「異性体2 HPMC-AS-M SDD」)
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2(300.06mg)を、アセトン(10mL)及びメタノール(10mL)に溶解させる。HPMC-AS-M(ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート;701.13mg)を添加し、材料を20分間ボルテックス混合する。物質を噴霧乾燥して(水浴60℃、油浴200℃、窒素60psi、開始温度45℃、最終温度72℃、4mL/分、5~10分)、表題化合物(781mg、78%)を得る。
【0136】
実施例5C
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2、PVP-VAを含む30%SDD(噴霧乾燥分散物)(「異性体2 PVP-VA SDD」)
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2(301.48mg)を、アセトン(10mL)及びメタノール(10mL)に溶解させる。PVP-VA(ポリ(1-ビニルピロリドン-co-酢酸ビニル;703.28mg)を添加し、材料を1分間ボルテックス混合する。物質を噴霧乾燥し(水浴60℃、油浴200℃、窒素60psi、開始温度45℃、最終温度72℃、2mL/分、10分)、表題化合物(907mg、90%)を得る。
【0137】
表5の媒体中の異性体2 HPMC SDD、異性体2 HPMC-AS-M SDD、異性体2 PVP-VA SDD、及び式I又は式IIの共結晶形態のおよそ2mg/mlの試料を、調製した。2mg/mlの異性体2 HPMC SDD、異性体2 HPMC-AS-M SDD、異性体2 PVP-VA SDD、及び式I又は式IIの共結晶形態の試料を、およそ2時間又はおよそ24時間、回転ミキサー又は回転スターラーに入れた。異性体2 HPMC SDD、異性体2 HPMC-AS-M SDD、異性体2 PVP-VA SDD、及び式I又は式IIの共結晶形態の試料を、遠心分離した。異性体2 HPMC SDD、異性体2 HPMC-AS-M SDD、異性体2 PVP-VA SDD、及び式I又は式IIの共結晶形態の試料上清を、以下の条件を用いてHPLCによって分析した:Agilent ZORBAX Bonus-RP、Rapid Resolution、4.6*75、3.5um;ACN(0.1%TFA)中95%~5%~95%H2Oの勾配で溶出、流速:1.5mL/分。
【0138】
【表5】
【0139】
実施例6
異性体2 HPMC SDD、異性体2 HPMC-AS-M SDD、異性体2 PVP-VA SDD、及び式I又は式IIの共結晶形態の試料を、キャップを外して40℃/75%RHチャンバーに入れた。異性体2 HPMC SDD、異性体2 HPMC-AS-M SDD、異性体2 PVP-VA SDD、及び式I又は式IIの共結晶形態の試料を、7日又は14日後のいずれかにチャンバーから取り出した。
【0140】
異性体2 HPMC SDDは、全ての40℃/75%RHの時点で部分的に潮解したものとして観察された。異性体2 PVP-VA SDDは、全ての40℃/75%RHの時点で完全に潮解したものとして観察された。異性体2 HPMC-AS-M SDDは、全ての40℃/75%RHの時点で微細な白色粉末として観察された。式I又は式IIの共結晶形態は、全ての40℃/75%RHの時点で流動性の白色粉末として観察された。
【0141】
試料を以下の条件を用いてHPLCにより分析した。Agilent ZORBAX Bonus-RP、Rapid Resolution、4.6*75、3.5um;ACN(0.1%TFA)中95%~5%~95%H2Oの勾配で溶出、流速:1.5mL/分。
【0142】
【表6】
【0143】
実施形態1.
【0144】
【化24】
(「異性体2」)と没食子酸コフォーマーとの共結晶形態。
【0145】
実施形態2.異性体2対没食子酸の比が、約2:1である、実施形態1の共結晶形態。
【0146】
実施形態3.含水量が約0%~約3.2%の範囲である、実施形態1又は2の共結晶形態。
【0147】
実施形態4.共結晶形態が、式Iである、実施形態1~3のいずれか1つの共結晶形態:
【0148】
【化25】
【0149】
実施形態5.脱水されているか、又は部分的に脱水されている、実施形態4の共結晶形態。
【0150】
実施形態6.共結晶形態が、式IIである、実施形態1~3のいずれか1つの共結晶形態:
【0151】
【化26】
【0152】
実施形態7.8.4°におけるピークと、6.7°、9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、15.6°、16.9°、18.4°、19.6°、21.3°、23.4°、又は24.2°の1つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態1~6のいずれか1つの共結晶形態。
【0153】
実施形態8.15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態1~7のいずれか1つの共結晶形態。
【0154】
実施形態9.15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態1~8のいずれか1つの共結晶形態。
【0155】
実施形態10.15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの3つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態1~9のいずれか1つの共結晶形態。
【0156】
実施形態11.15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、16.9°、18.4°、19.6°、及び24.2°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態1~8のいずれか1つの共結晶形態。
【0157】
実施形態12.8.1、11.1、26.6、28.2、32.3、35.0、80.7、81.7、99.6、102.3、110.9、158.0、160.0、168.2、及び175.0からなる群から選択されるグリシンのカルボニル共鳴を基準とするピークを含み、許容差が±0.2ppmである、13C固体NMRスペクトルを特徴とする、実施形態1~11のいずれか1つの共結晶形態。
【0158】
実施形態13.式Iの共結晶形態
【0159】
【化27】
であって、4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2、及び没食子酸を溶媒に添加して、スラリーを得ることと、
シクロペンチルメチルエーテルをスラリーに添加して、白色沈殿物を形成することと、によって得られる、共結晶形態。
【0160】
実施形態14.溶媒が、THFを含む、実施形態13の共結晶形態。
【0161】
実施形態15.スラリーが、式Iの共結晶形態で種付けされる、実施形態13又は14に記載の共結晶形態。
【0162】
実施形態16.式IIの共結晶形態:
【0163】
【化28】
であって、式I
【0164】
【化29】
の共結晶形態を加熱して、脱水水和物を形成することによって得られる、共結晶形態。
【0165】
実施形態17.加熱する工程が、10℃/分の速度で約25℃~200℃である、実施形態16の共結晶形態。
【0166】
実施形態18.窒素が、約10mL/分のキャリアガスである、実施形態16又は17の共結晶形態。
【0167】
実施形態19.窒素が、約50mL/分のパージガスである、実施形態16~18のいずれか1つの共結晶形態。
【0168】
実施形態20.異性体2対没食子酸の比が、約1:1である、実施形態1の共結晶形態。
【0169】
実施形態21.共結晶形態が、以下である、実施形態1又は20の共結晶形態。
【0170】
【化30】
【0171】
実施形態22.14.6°におけるピークと、5.7°、6.5°、9.8°、13.0°、13.5°、16.5°、17.1°、18.9°、19.7°、23.8°、又は24.5°における1つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態1、20、又は21のいずれか1つの共結晶形態。
【0172】
実施形態23.9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態1又は20~22のいずれか1つの共結晶形態。
【0173】
実施形態24.9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態1又は20~23のいずれか1つの共結晶形態。
【0174】
実施形態25.9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの3つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態1又は20~24のいずれか1つの共結晶形態。
【0175】
実施形態26.9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに5.7°、13.0°、13.5°、16.5°、17.1°、18.9°、及び24.5°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態1、20~25のいずれか1つの共結晶形態。
【0176】
実施形態27.共結晶形態
【0177】
【化31】
であって、
【0178】
【化32】
をアセトニトリルと組み合わせることによって得られる、共結晶形態。
【0179】
実施形態28.
【0180】
【化33】
及び没食子酸コフォーマーの共結晶形態。
【0181】
実施形態29.異性体A対没食子酸の比が、約1:1である、実施形態28の共結晶形態。
【0182】
実施形態30.共結晶形態が、以下である、実施形態28又は29の共結晶形態。
【0183】
【化34】
【0184】
実施形態31.6.9°におけるピークと、9.1°、10.5°、12.7°、15.7°、16.3°、16.8°、17.1°、17.9°、18.4°、21.0°、又は23.4°における1つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態28~30のいずれか1つの共結晶形態。
【0185】
実施形態32.12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、6.9°におけるピークを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態28~31のいずれか1つの共結晶形態。
【0186】
実施形態33.12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、6.9°におけるピークを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態28~32のいずれか1つの共結晶形態。
【0187】
実施形態34.12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの3つ以上と組み合わせて、6.9°におけるピークを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態28~33のいずれか1つの共結晶形態。
【0188】
実施形態35.12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに9.1°、10.5°、12.7°、15.7°、16.3°、16.8°、17.1°、17.9°、18.4°、21.0°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、6.9°におけるピークを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態28~31のいずれか1つの共結晶形態。
【0189】
実施形態36.共結晶形態
【0190】
【化35】
であって、酢酸エチルに溶解した
【0191】
【化36】
に没食子酸を添加することによって得られる、共結晶形態。
【0192】
実施形態37.実施形態1~36のいずれか1つの共結晶形態を含み、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤、を更に含む、薬学的組成物。
【0193】
実施形態38.組成物が、少なくとも約80重量%の共結晶形態のいずれかを含有する、実施形態37の薬学的組成物。
【0194】
実施形態39.組成物が、少なくとも約90重量%の共結晶形態のいずれかを含有する、実施形態37又は38の薬学的組成物。
【0195】
実施形態40.組成物が、少なくとも約95重量%の共結晶形態のいずれかを含有する、実施形態37~39のいずれか1つの薬学的組成物。
【0196】
実施形態41.がんを治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の、実施形態1~36のいずれか1つの共結晶形態を投与することを含む、方法。
【0197】
実施形態42.がんを治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の、実施形態37~40のいずれか1つの薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【0198】
実施形態43.がんが、乳がん、浸潤性乳管がん、浸潤性小葉乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、扁平上皮肺がん、小細胞肺がん、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、筋浸潤性膀胱がん、上部尿路がん、尿路上皮上部尿路がん、尿道がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、肝臓がん、メラノーマ、皮膚メラノーマ、頭頸部がん、口腔がん、甲状腺がん、腎臓がん、腎盂がん、膠芽腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん、及び精巣がんからなる群から選択される、実施形態41又は42の方法。
【0199】
実施形態44.形態がんが、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性膀胱がん、及び筋浸潤性膀胱がんからなる群から選択される、実施形態41~43のいずれか1つの方法。
【0200】
実施形態45.がんが、尿路上皮がんである、実施形態41~44のいずれか1つの方法。
【0201】
実施形態46.がんが、膀胱がんである、実施形態41~44のいずれか1つの方法。
【0202】
実施形態47.がんが、尿路上皮膀胱がんである、実施形態41~44のいずれか1つの方法。
【0203】
実施形態48.がんが、進行性尿路上皮膀胱がんである、実施形態41~44のいずれか1つの方法。
【0204】
実施形態49.がんが、転移性尿路上皮膀胱がんである、実施形態41~44のいずれか1つの方法。
【0205】
実施形態50.がんが、非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態41~44のいずれか1つの方法。
【0206】
実施形態51.がんが、筋浸潤性尿路上皮膀胱がんである、実施形態41~44のいずれか1つの方法。
【0207】
実施形態52.膀胱がんを阻害する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の、実施形態1~36のいずれか1つの共結晶形態を投与することを含む、方法。
【0208】
実施形態53.膀胱がんを阻害する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の実施形態37~40のいずれか1つの薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【0209】
実施形態54.療法に使用するための、実施形態1~36のいずれか1つの共結晶形態。
【0210】
実施形態55.がんの治療に使用するための、実施形態1~36のいずれか1つの共結晶形態。
【0211】
実施形態56.がんが、乳がん、浸潤性乳管がん、浸潤性小葉乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、扁平上皮肺がん、小細胞肺がん、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、筋浸潤性膀胱がん、上部尿路がん、尿路上皮上部尿路がん、尿道がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、肝臓がん、メラノーマ、皮膚メラノーマ、頭頸部がん、口腔がん、甲状腺がん、腎臓がん、腎盂がん、膠芽腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん、及び精巣がんからなる群から選択される、実施形態54又は55の使用のための共結晶形態。
【0212】
実施形態57.がんが、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性膀胱がん、及び筋浸潤性膀胱がんからなる群から選択される、実施形態55又は56の使用のための共結晶形態。
【0213】
実施形態58.がんが、尿路上皮がんである、実施形態55~57のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0214】
実施形態59.がんが、膀胱がんである、実施形態55~57のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0215】
実施形態60.がんが、尿路上皮膀胱がんである、実施形態55~57のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0216】
実施形態61.がんが、進行性尿路上皮膀胱がんである、実施形態55~57のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0217】
実施形態62.がんが、転移性尿路上皮膀胱がんである、実施形態55~57のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0218】
実施形態63.がんが、非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態55~57のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0219】
実施形態64.がんが、筋浸潤性膀胱がんである、実施形態55~57のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0220】
実施形態65.療法に使用するための、実施形態37~40のいずれか1つの薬学的組成物。
【0221】
実施形態66.がんの治療に使用するための、実施形態37~40のいずれか1つの薬学的組成物。
【0222】
実施形態67.がんが、乳がん、浸潤性乳管がん、浸潤性小葉乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、扁平上皮肺がん、小細胞肺がん、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、筋浸潤性膀胱がん、上部尿路がん、尿路上皮上部尿路がん、尿道がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、肝臓がん、メラノーマ、皮膚メラノーマ、頭頸部がん、口腔がん、甲状腺がん、腎臓がん、腎盂がん、膠芽腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん、及び精巣がんからなる群から選択される、実施形態66の使用のための薬学的組成物。
【0223】
実施形態68.がんが、尿路上皮がん、膀胱がん、進行性尿路上皮がん、転移性尿路上皮がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、及び筋浸潤性尿路上皮がんからなる群から選択される、実施形態66又は67の使用のための薬学的組成物。
【0224】
実施形態69.がんが、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性膀胱がん、及び筋浸潤性膀胱がんからなる群から選択される、実施形態66又は67の使用のための薬学的組成物。
【0225】
実施形態70.がんが、尿路上皮がんである、実施形態66~67のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
【0226】
実施形態71.がんが、膀胱がんである、実施形態66~67のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
【0227】
実施形態72.がんが、尿路上皮膀胱がんである、実施形態66~67のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
【0228】
実施形態73.がんが、進行性尿路上皮膀胱がんである、実施形態66~67のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
【0229】
実施形態74.がんが、転移性尿路上皮膀胱がんである、実施形態66~67のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
【0230】
実施形態75.がんが、非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態66~67のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
【0231】
実施形態76.がんが、筋浸潤性尿路上皮膀胱がんである、実施形態66~67のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
【0232】
実施形態77.がんの治療用の医薬の製造における、実施形態1~36のいずれか1つの共結晶形態の使用。
【0233】
実施形態78.がんの治療用の医薬の製造における、実施形態37~40のいずれか1つの薬学的組成物の使用。
【0234】
実施形態79.がんが、乳がん、浸潤性乳管がん、浸潤性小葉乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、扁平上皮肺がん、小細胞肺がん、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、筋浸潤性膀胱がん、上部尿路がん、尿路上皮上部尿路がん、尿道がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、肝臓がん、メラノーマ、皮膚メラノーマ、頭頸部がん、口腔がん、甲状腺がん、腎臓がん、腎盂がん、膠芽腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん、及び精巣がんからなる群から選択される、実施形態77又は78の使用。
【0235】
実施形態80.がんが、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、及び筋浸潤性膀胱がんからなる群から選択される、実施形態77~79のいずれか1つの使用。
【0236】
実施形態81.がんが、尿路上皮がんである、実施形態77~80のいずれか1つの使用。
【0237】
実施形態82.がんが、膀胱がんである、実施形態77~80のいずれか1つの使用。
【0238】
実施形態83.がんが、尿路上皮膀胱がんである、実施形態77~80のいずれか1つの使用。
【0239】
実施形態84.がんが、進行性尿路上皮膀胱がんである、実施形態77~80のいずれか1つの使用。
【0240】
実施形態85.がんが、転移性尿路上皮膀胱がんである、実施形態77~80のいずれか1つの使用。
【0241】
実施形態86.がんが、非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態77~80のいずれか1つの使用。
【0242】
実施形態87.がんが、筋浸潤性尿路上皮膀胱がんである、実施形態77~80のいずれか1つの使用。
【0243】
実施形態88.実施形態1~12のいずれか1つの共結晶形態の調製のための方法であって、
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2、及び没食子酸を溶媒に添加して、スラリーを得る工程と、
シクロペンチルメチルエーテルをスラリーに添加して、白色沈殿物を形成する工程と、を含む、方法。
【0244】
実施形態89.溶媒が、THFである、実施形態88の方法。
【0245】
実施形態90.スラリーが、式Iの共結晶形態で種付けされる、実施形態88又は89に記載の方法。
【0246】
実施形態91.実施形態1~3又は5~12のいずれか1つの共結晶形態の調製のための方法であって、
【0247】
【化37】
を加熱して、脱水水和物を形成する工程を含む、方法。
【0248】
実施形態92.実施形態1~3又は21~26のいずれか1つの共結晶形態の調製のための方法であって、
【0249】
【化38】
をアセトニトリルと組み合わせる工程を含む、方法。
【0250】
実施形態93.実施形態28~35のいずれか1つの共結晶形態の調製のための方法であって、酢酸エチルに溶解した
【0251】
【化39】
に没食子酸を添加する工程を含む、方法。
【0252】
実施形態94.
【0253】
【化40】
(「異性体2」)と没食子酸コフォーマーとの共結晶形態。
【0254】
実施形態95.異性体2対没食子酸の比が、約2:1である、実施形態94の共結晶形態。
【0255】
実施形態96.含水量が約0%~約3.2%の範囲である、実施形態94又は95の共結晶形態。
【0256】
実施形態97.共結晶形態が、以下である、実施形態94~96のいずれか1つの共結晶形態。
【0257】
【化41】
【0258】
実施形態98.脱水されているか、又は部分的に脱水されている、実施形態97の共結晶形態。
【0259】
実施形態99.共結晶形態が、以下である、実施形態94~96又は98のいずれか1つの共結晶形態。
【0260】
【化42】
【0261】
実施形態100.8.4°におけるoピークと、6.7°、9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、15.6°、16.9°、18.4°、19.6°、21.3°、23.4°、又は24.2°における1つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態94~99のいずれか1つの共結晶形態。
【0262】
実施形態101.15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態94~100のいずれか1つの共結晶形態。
【0263】
実施形態102.15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態94~101のいずれか1つの共結晶形態。
【0264】
実施形態103.15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの3つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態94~102のいずれか1つの共結晶形態。
【0265】
実施形態104.15.6°、21.3°、6.7°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに9.2°、10.0°、13.4°、14.1°、16.9°、18.4°、19.6°、及び24.2°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、8.4°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態94~103のいずれか1つの共結晶形態。
【0266】
実施形態105.8.1、11.1、26.6、28.2、32.3、35.0、80.7、81.7、99.6、102.3、110.9、158.0、160.0、168.2、及び175.0からなる群から選択されるグリシンのカルボニル共鳴を基準とするピークを含み、許容差が±0.2ppmである、13C固体NMRスペクトルを特徴とする、実施形態94~104のいずれか1つの共結晶形態。
【0267】
実施形態106.共結晶形態
【0268】
【化43】
であって、4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2、及び没食子酸を溶媒に添加して、スラリーを得ることと、
シクロペンチルメチルエーテルをスラリーに添加して、白色沈殿物を形成することと、によって得られ、結晶形態が、異性体2の遊離塩基形態:
【0269】
【化44】
と比べて改善された溶解度を有する、共結晶形態。
【0270】
実施形態107.溶媒が、THFを含む、実施形態106の共結晶形態。
【0271】
実施形態108.スラリーが、共結晶形態で種付けされる、実施形態106又は107の共結晶形態。
【0272】
実施形態109.共結晶形態
【0273】
【化45】
であって、
【0274】
【化46】
を加熱して、脱水水和物を形成することによって得られ、結晶形態が、異性体2の遊離塩基形態:
【0275】
【化47】
と比べて改善された溶解度を有する、共結晶形態。
【0276】
実施形態110.加熱する工程が、10℃/分の速度で約25℃~200℃である、実施形態109の共結晶形態。
【0277】
実施形態111.窒素が、約10mL/分のキャリアガスである、実施形態109又は110の共結晶形態。
【0278】
実施形態112.窒素が、約50mL/分のパージガスである、実施形態109~111のいずれか1つの共結晶形態。
【0279】
実施形態113.異性体2対没食子酸の比が、約1:1である、実施形態94の共結晶形態。
【0280】
実施形態114.共結晶形態が、以下である、実施形態94又は113の共結晶形態。
【0281】
【化48】
【0282】
実施形態115.14.6°におけるピークと、5.7°、6.5°、9.8°、13.0°、13.5°、16.5°、17.1°、18.9°、19.7°、23.8°、又は24.5°における1つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態94、113、又は114のいずれか1つの共結晶形態。
【0283】
実施形態116.9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態94又は113~115のいずれか1つの共結晶形態。
【0284】
実施形態117.9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態94、又は113~116のいずれか1つの共結晶形態。
【0285】
実施形態118.9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの3つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態94又は113~116のいずれか1つの共結晶形態。
【0286】
実施形態119.9.8°、23.8°、6.5°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに5.7°、13.0°、13.5°、16.5°、17.1°、18.9°、及び24.5°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、14.6°の回折角2シータにおける回折ピークを有し、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを特徴とする、実施形態94、113~116のいずれか1つの共結晶形態。
【0287】
実施形態120.共結晶形態
【0288】
【化49】
であって、
【0289】
【化50】
をアセトニトリルと組み合わせることによって得られ、結晶形態が、異性体2の遊離塩基形態:
【0290】
【化51】
と比べて改善された溶解度を有する、共結晶形態。
【0291】
実施形態121.異性体A:
【0292】
【化52】
と没食子酸コフォーマー又はニコチンアミドコフォーマーとの共結晶形態。
【0293】
実施形態122.異性体A対没食子酸の比が、約1:1である、実施形態121の共結晶形態。
【0294】
実施形態123.共結晶形態が、以下である、実施形態121又は122の共結晶形態。
【0295】
【化53】
【0296】
実施形態124.6.9°におけるピークと、9.1°、10.5°、12.7°、15.7°、16.3°、16.8°、17.1°、17.9°、18.4°、21.0°、又は23.4°における1つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態121~123のいずれか1つの共結晶形態。
【0297】
実施形態125.12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、6.9°におけるピークを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態121~124のいずれか1つの共結晶形態。
【0298】
実施形態126.12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、6.9°におけるピークを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態121~124のいずれか1つの共結晶形態。
【0299】
実施形態127.12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの3つ以上と組み合わせて、6.9°におけるピークを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態121~126のいずれか1つの共結晶形態。
【0300】
実施形態128.12.7°、18.4°、9.1°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに9.1°、10.5°、12.7°、15.7°、16.3°、16.8°、17.1°、17.9°、18.4°、21.0°、及び23.4°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、6.9°におけるピークを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態121~124のいずれか1つの共結晶形態。
【0301】
実施形態129.共結晶形態
【0302】
【化54】
であって、酢酸エチルに溶解した
【0303】
【化55】
に没食子酸を添加することによって得られ、共結晶形態が、異性体Aの遊離塩基形態:
【0304】
【化56】
と比べて改善された溶解度を有する、共結晶形態。
【0305】
実施形態130.異性体A対ニコチンアミドの比が、約1:1である、実施形態121の共結晶形態。
【0306】
実施形態131.共結晶形態が、以下である、実施形態121又は130の共結晶形態。
【0307】
【化57】
【0308】
実施形態132.13.7°におけるピークと、6.8°、8.2°、9.6°、12.3°、15.8°、17.5°、17.9°、18.7°、19.0°、22.2°、22.9°、24.7°、又は26.1°における1つ以上のピークとを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態121、130~131のいずれか1つの共結晶形態。
【0309】
実施形態133.9.6°、17.9°、及び24.7°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、13.7°におけるピークを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態121、130~132のいずれか1つの共結晶形態。
【0310】
実施形態134.9.6°、17.9°、及び24.7°からなる群から選択されるピークのうちの2つ以上と組み合わせて、13.7°におけるピークを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態121、130~133のいずれか1つの共結晶形態。
【0311】
実施形態135.9.6°、17.9°、及び24.7°からなる群から選択されるピークと組み合わせて、13.7°におけるピークを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態121、130~133のいずれか1つの共結晶形態。
【0312】
実施形態136.9.6°、17.9°、及び24.7°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、並びに6.8°、8.2°、12.3°、15.8°、17.5°、18.7°、19.0°、22.2°、22.9°、及び26.1°からなる群から選択されるピークのうちの1つ以上と組み合わせて、13.7°におけるピークを含み、回折角に対する許容差が±0.2度である、CuKα放射線を使用したXRPDパターンを有することを特徴とする、実施形態121、130~133のいずれか1つの共結晶形態。
【0313】
実施形態137.共結晶形態
【0314】
【化58】
又はその薬学的に許容される塩であって、
【0315】
【化59】
をニコチンアミドで飽和した酢酸エチルに溶解することによって得られ、
結晶形態が、異性体Aの遊離塩基形態:
【0316】
【化60】
と比べて改善された溶解度を有する、共結晶形態又はその薬学的に許容される塩。
【0317】
実施形態138.実施形態94~137のいずれか1つの共結晶形態を含み、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤、を更に含む、薬学的組成物。
【0318】
実施形態139.組成物が、少なくとも約80重量%の共結晶形態を含有する実施形態138の薬学的組成物。
【0319】
実施形態140.組成物が、少なくとも約90重量%の共結晶形態のいずれかを含有する、実施形態138又は139の薬学的組成物。
【0320】
実施形態141.組成物が、少なくとも約95重量%の共結晶形態のいずれかを含有する、実施形態138~140のいずれか1つの薬学的組成物。
【0321】
実施形態142.FGFR3関連がんを治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の、実施形態94~137のいずれか1つの共結晶形態を投与することを含む、方法。
【0322】
実施形態143.FGFR3関連がんを治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の、実施形態138~141のいずれか1つの薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【0323】
実施形態144.FGFR3関連がんが、乳がん、浸潤性乳管がん、浸潤性小葉乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、扁平上皮肺がん、小細胞肺がん、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、筋浸潤性膀胱がん、上部尿路がん、尿路上皮上部尿路がん、尿道がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、肝臓がん、メラノーマ、皮膚メラノーマ、頭頸部がん、口腔がん、甲状腺がん、腎臓がん、腎盂がん、膠芽腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん、及び精巣がんからなる群から選択される、実施形態142又は143の方法。
【0324】
実施形態145.FGFR3関連がんが、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性膀胱がん、及び筋浸潤性膀胱がんからなる群から選択される、実施形態142~144のいずれか1つの方法。
【0325】
実施形態146.FGFR3関連がんが、尿路上皮がんである、実施形態142~144のいずれか1つの方法。
【0326】
実施形態147.FGFR3関連がんが、中等度リスク非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態142~144のいずれか1つの方法。
【0327】
実施形態148.FGFR3関連がんが、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)非応答性非筋浸潤性膀胱がん又はBacillus Calmette-Guerin(BCG)再発性非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態142~144のいずれか1つの方法。
【0328】
実施形態149.FGFR3関連がんが、高リスク非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態142~144のいずれか1つの方法。
【0329】
実施形態150.療法に使用するための、実施形態94~137のいずれか1つの共結晶形態。
【0330】
実施形態151.FGFR3関連がんの治療に使用するための、実施形態94~137のいずれか1つの共結晶形態。
【0331】
実施形態152.FGFR3関連がんが、乳がん、浸潤性乳管がん、浸潤性小葉乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、扁平上皮肺がん、小細胞肺がん、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、筋浸潤性膀胱がん、上部尿路がん、尿路上皮上部尿路がん、尿道がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、肝臓がん、メラノーマ、皮膚メラノーマ、頭頸部がん、口腔がん、甲状腺がん、腎臓がん、腎盂がん、膠芽腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん、及び精巣がんからなる群から選択される、実施形態151の使用のための共結晶形態。
【0332】
実施形態153.FGFR3関連がんが、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性膀胱がん、及び筋浸潤性膀胱がんからなる群から選択される、実施形態151又は152の使用のための共結晶形態。
【0333】
実施形態154.FGFR3関連がんが、尿路上皮がんである、実施形態151~153のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0334】
実施形態155.FGFR3関連がんが、膀胱がんである、実施形態151~153のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0335】
実施形態156.FGFR3関連がんが、尿路上皮膀胱がんである、実施形態151~153のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0336】
実施形態157.FGFR3関連がんが、進行性尿路上皮膀胱がんである、実施形態151~153のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0337】
実施形態158.FGFR3関連がんが、転移性尿路上皮膀胱がんである、実施形態151~153のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0338】
実施形態159.FGFR3関連がんが、非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態151~153のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0339】
実施形態159.FGFR3関連がんが、中等度リスク非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態151~153のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0340】
実施形態160.FGFR3関連がんが、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)非応答性非筋浸潤性膀胱がん又はBacillus Calmette-Guerin(BCG)再発性非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態151~153のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0341】
実施形態161.FGFR3関連がんが、高リスク非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態151~153のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0342】
実施形態162.FGFR3関連がんが、筋浸潤性膀胱がんである、実施形態151~153のいずれか1つの使用のための共結晶形態。
【0343】
実施形態163.FGFR3関連がんの治療のための医薬の製造における、実施形態94~137のいずれか1つの共結晶形態の使用。
【0344】
実施形態164.FGFR3関連がんが、乳がん、浸潤性乳管がん、浸潤性小葉乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、扁平上皮肺がん、小細胞肺がん、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、筋浸潤性膀胱がん、上部尿路がん、尿路上皮上部尿路がん、尿道がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、肝臓がん、メラノーマ、皮膚メラノーマ、頭頸部がん、口腔がん、甲状腺がん、腎臓がん、腎盂がん、膠芽腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん、及び精巣がんからなる群から選択される、実施形態163の使用。
【0345】
実施形態165.FGFR3関連がんが、尿路上皮がん、膀胱がん、尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮膀胱がん、進行性尿路上皮がん、進行性尿路上皮膀胱がん、転移性尿路上皮がん、転移性尿路上皮膀胱がん、非筋浸潤性尿路上皮がん、非筋浸潤性膀胱がん、筋浸潤性尿路上皮がん、及び筋浸潤性膀胱がんからなる群から選択される、実施形態163~164のいずれか1つの使用。
【0346】
実施形態166.FGFR3関連がんが、尿路上皮がんである、実施形態163~165のいずれか1つの使用。
【0347】
実施形態167.FGFR3関連がんが、膀胱がんである、実施形態163~165のいずれか1つの使用。
【0348】
実施形態168.FGFR3関連がんが、尿路上皮膀胱がんである、実施形態163~165のいずれか1つの使用。
【0349】
実施形態169.FGFR3関連がんが、進行性尿路上皮膀胱がんである、実施形態163~165のいずれか1つの使用。
【0350】
実施形態170.FGFR3関連がんが、尿路上皮膀胱がんである、実施形態163~165のいずれか1つの使用。
【0351】
実施形態171.FGFR3関連がんが、非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態163~165のいずれか1つの使用。
【0352】
実施形態172.FGFR3関連がんが、中等度リスク非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態163~165のいずれか1つの使用。
【0353】
実施形態173.FGFR3関連がんが、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)非応答性非筋浸潤性膀胱がん又はBacillus Calmette-Guerin(BCG)再発性非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態163~165のいずれか1つの使用。
【0354】
実施形態174.FGFR3関連がんが、高リスク非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態163~165のいずれか1つの使用。
【0355】
実施形態175.FGFR3関連がんが、非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態163~165のいずれか1つの使用。
【0356】
実施形態176.実施形態94~104のいずれか1つの共結晶形態の調製のための方法であって、
4-[4-[3-クロロ-4-[1-(5-フルオロ-2-ピリジル)-2-ヒドロキシ-エトキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル]-5-メチル-トリアゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボニトリル、異性体2:
【0357】
【化61】
及び没食子酸を溶媒に添加して、スラリーを得る工程と、
シクロペンチルメチルエーテルをスラリーに添加して、白色沈殿物を形成する工程と、を含む、方法。
【0358】
実施形態177.溶媒が、THFである、実施形態176の方法。
【0359】
実施形態178.スラリーが、共結晶形態:
【0360】
【化62】
で種付けされる、実施形態176又は177の方法。
【0361】
実施形態179.実施形態94~96又は98~104のいずれか1つの共結晶形態の調製のための方法であって、
【0362】
【化63】
を加熱して、脱水水和物を形成する工程を含む、方法。
【0363】
実施形態180.実施形態94又は114~120のいずれか1つの共結晶形態の調製のための方法であって、
【0364】
【化64】
をアセトニトリルと組み合わせる工程を含む、方法。
【0365】
実施形態181.実施形態121~128のいずれか1つの共結晶形態の調製のための方法であって、酢酸エチルに溶解した
【0366】
【化65】
に没食子酸を添加する工程を含む、方法。
【0367】
実施形態182.実施形態121、130~136のいずれか1つの共結晶形態の調製のための方法であって、
【0368】
【化66】
【0369】
ニコチンアミドで飽和した酢酸エチル中に溶解する工程を含む、方法。