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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】電動式ルーフ付きトライク
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/34 20060101AFI20240821BHJP
   B62J 6/023 20200101ALI20240821BHJP
   B62J 17/086 20200101ALI20240821BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20240821BHJP
   B62K 5/027 20130101ALI20240821BHJP
【FI】
B60P3/34 Z
B62J6/023
B62J17/086
B62J23/00
B62K5/027
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024079043
(22)【出願日】2024-05-15
【審査請求日】2024-05-15
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597116252
【氏名又は名称】村山 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】村山 哲夫
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-016775(JP,A)
【文献】実公昭46-001922(JP,Y1)
【文献】特開2000-142476(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0042514(KR,A)
【文献】特許第7493691(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/34
B62J 6/023
B62J 17/086
B62J 23/00
B62K 5/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆った電動式のルーフ付きトライクであって、
前記ボディパネルは、側面両側に乗降口を設け、該乗降口の前後方向略中央位置にはセンターピラーフレームを境にして運転席側と後部座席側とに分離すると共に、上下方向に三分割される隔離壁を設けて成り、
前記運転座席側の車幅中央位置には、リアタイヤホイールシャフト軸を駆動する動力駆動手段を覆うセンターカバーパネルを設けると共に、該センターカバーパネルの上部にはスライド・回転自在の運転座席を設け、
前記乗降口は、運転席側は常時開口している形状に形成し、後部座席側は乗降時に開閉自在となる後部サイドドアを備えて成り、
前記ボディパネルの後方には、跳ね上げ式のテールゲートを備えて成ることを特徴とする電動式ルーフ付きトライク。
【請求項2】
前記ボディパネルの乗降口の運転座席側に内外側両方に跳ね上げられる透明なサイドバイザーパネルを装着すると共に、該乗降口の前方には前方からの風雨の回り込みを抑える防風カウルを設けて成ることを特徴とする請求項1の電動式ルーフ付きトライク。
【請求項3】
前記ボディパネルの前輪のタイヤハウス部を覆う前輪タイヤハウスカバーと、後輪のタイヤハウス部を覆う後輪タイヤハウスカバーを着脱自在に設けて成ることを特徴とする請求項1の電動式ルーフ付きトライク。
【請求項4】
前記ボディパネルの前方に備えられる前照灯を二灯式とし、その一方の前照灯の照射方向が方向伝達機構を介して操作ハンドルの操舵方向と同じ方向に照射されることを特徴とする請求項1の電動式ルーフ付きトライク。
【請求項5】
前記ボディパネルの乗降口の内側から装着する乗降口カバーシートを備えると共に、テールゲートを利用して車内空間を拡張する車内空間拡張手段を備えて成ることを特徴とする請求項1記載の電動式ルーフ付きトライク。
【請求項6】
前記ボディパネルの後方に連結牽引装置を介してトレーラーキャビンを連結したことを特徴とする請求項1記載の電動式ルーフ付きトライク。
【請求項7】
前記ボディパネルの運転座席側の乗降口に着脱自在のハーフサイドドアを備えて成ることを特徴とする請求項1記載の電動式ルーフ付きトライク。
【請求項8】
前記ボディパネルの運転座席側の乗降口の中段から下段にかけて着脱自在の防風シートまたは防風サイドパネルを備えて成ることを特徴とする請求項1記載の電動式ルーフ付きトライク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にした電動式のルーフ付きトライクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来における三輪バイクをボディパネルで覆ったトライクに関する提案は、例えば、自動二、三輪車の側面衝突をうけた場合のロールオーバーを防止し、しかも通常の運動性能を損じないようにした「自動、三輪車のロールオーバー防止装置」(特許文献-1)が提案されている。
【0003】
また、自動二、三輪車において、通常は操縦者の前方視界を阻害せず、転倒時、正面衝突時、側面衝突時、追突時など、車体に所定値以上の衝撃力が作用したときのみ、操縦者の周囲に保護空間が形成されるようにした「自動二、三輪車の乗員保護装置」(特許文献-2)が提案されている。
【0004】
しかしながら、係る「自動、三輪車のロールオーバー防止装置」(特許文献-1)ならびに「自動二、三輪車の乗員保護装置」(特許文献-2)の提案は、自動二、三輪車の車体を覆う保護カバーは、単に運転者の風雨除けの保護カバーに過ぎず、本発明のような三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にしたルーフ付きのトライクではなかった。
【0005】
また、スクータ型自動三輪車に比べて大きな荷物を積むことができ、かつ、運転者の保持手段を有しているにもかかわらず乗り降りが容易で利便性に優れた「自動三輪車」(特許文献-3)が提案されている。
【0006】
しかしながら、係る「自動三輪車」の提案は、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)の側車付二輪自動車に定義されている「またがり式の座席、バー操作ハンドル方式の舵取り装置及び3個の車輪を備え、かつ、運転者席の側方が解放されている貨物自動車」であることから、現行のトライク(三輪バイク)である法的条項を満たしているものの、本発明のような車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にしたルーフ付きのトライクではなかった。
【0007】
一方、ルーフ付きのトライクがインターネット上に多種多様に亘って公開されているが、それらも本発明のような三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にしたルーフ付きのトライクではなかった。
【0008】
本出願人は、上記の問題点を鑑みてなされたもので、従来より普及しているルーフ付きのトライクと比べて、車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車中泊を可能にした電動式のルーフ付きトライクの提供ができないものかという構想の下、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にした電動式のルーフ付きトライクを開発し、本発明における「電動式ルーフ付きトライク」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2003-160077号公報
【文献】特開2003-182671号公報
【文献】特開2008-296723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記問題点を鑑みてなされるもので、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にした電動式のルーフ付きトライクの提供を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明における電動式ルーフ付きトライクは、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆った電動式のルーフ付きトライクであって、前記ボディパネルは、側面両側に乗降口を設け、該乗降口の前後方向略中央位置にはセンターピラーフレームを境にして運転席側と後部座席側とに分離すると共に、上下方向に三分割される隔離壁を設けて成り、前記運転座席側の車幅中央位置には、リアタイヤホイールシャフト軸を駆動する動力駆動手段を覆うセンターカバーパネルを設けると共に、該センターカバーパネルの上部にはスライド・回転自在の運転座席を設け、前記乗降口は、運転席側は常時開口している形状に形成し、後部座席側は乗降時に開閉自在となる後部サイドドアを備えて成り、前記ボディパネルの後方には、跳ね上げ式のテールゲートを備えて成る手段を採る。
【0012】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクは、前記ボディパネルの乗降口の運転座席側に内外側両方に跳ね上げられる透明なサイドバイザーパネルを装着すると共に、該乗降口の前方には前方からの風雨の回り込みを抑える防風カウルを設けて成る手段を採る。
【0013】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクは、前記ボディパネルの前輪のタイヤハウス部を覆う前輪タイヤハウスカバーと、後輪のタイヤハウス部を覆う後輪タイヤハウスカバーを着脱自在に設けて成る手段を採る。
【0014】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクは、前記ボディパネルの前方に備えられる前照灯を二灯式とし、その一方の前照灯の照射方向が方向伝達機構を介して操作ハンドルの操舵方向と同じ方向に照射される手段を採る。
【0015】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクは、前記ボディパネルの乗降口の内側から装着する乗降口カバーシートを備えると共に、テールゲートを利用して車内空間を拡張する車内空間拡張手段を備えて成る手段を採る。
【0016】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクは、前記ボディパネルの後方に連結牽引装置を介してトレーラーキャビンを連結した手段を採る。
【0017】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクは、前記ボディパネルの運転座席側の乗降口に着脱自在のハーフサイドドアを備えて成る手段を採る。
【0018】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクは、前記ボディパネルの運転座席側の乗降口の中段から下段にかけて着脱自在の防風シートまたは防風サイドパネルを備えて成る手段を採る。
【発明の効果】
【0019】
本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、シャーシフレームのボディパネルを軽自動車のリサイクル車体を再利用することで格安の電動式ルーフ付きトライクの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0020】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、電動式であることによって、維持費用的には、任意保険料ならびに自動車税が軽自動四輪車と比較して割安である上、車検や車庫証明が不要であり、さらに車両購入費、駐車料金、電気料金が割安であり、さらにまた地球環境にやさしい排気ガス排出量の削減ができると共に、エンジンスタート音やアイドリング音が発生しない、といった優れた効果を奏する。
【0021】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、道路幅が狭い商店街の路地走行を容易とする一方、長距離ドライブ旅行時においての高速道路走行が可能、といった優れた効果を奏する。
【0022】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、普通自動車免許(AT可)で運転することができる上、軽量小型であることから女性や主婦など運転技術が未熟な人でも容易に運転することができると共に、日常の買い物や子供の送迎に関してチョイ乗り感覚で容易に運転することができる、といった優れた効果を奏する。
【0023】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、個人の趣味で利用するゴルフ、釣り、山登り、キャンプ、サーフィン、買い物、通勤通学車としてや、業務用としては、自動車製造会社、新車販売ディラー店、中古車販売店、自動車修理工場、農協、ガソリンスタンド、カーショップ、バイクショップ、キャンピングカー販売会社、ホームセンター、レンタカー会社、デリバリー業者、ピザ、すし屋、蕎麦屋などの出前配達業者、デパート、住宅展示場、ビル・マンション販売会社、ホテルや旅館の送迎車、ゴルフ場、シェアリース会社、農作業車、郵便配達車、宅配業者、移動販売業者、大型レジャーランド、介護送迎業会社、タクシー会社、観光案内業者、鉄道会社、地方自治体、警察署、警備会社、公用車、訪問販売車、乳酸菌飲料配達車、新聞配達業者などに販売することができる、といった優れた効果を奏する。
【0024】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、三輪のタイヤハウスをタイヤカバーで全て覆うことで従来にないデザイン性の高い外観車体を有したルーフ付きのトライクの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0025】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、ボディパネルの前方に装着されている前照灯を二灯式とし、一方の前照灯は車体の進行方向に合わせて照射され、他方の前照灯は前輪タイヤの操作ハンドルの動きに合わせて照射する手段を採用することによって、コーナー走行時や悪路や山間地での安全な夜間走行ができる、といった優れた効果を奏する。
【0026】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、ボディパネルのテールゲートを利用して車内空間の拡張を図る車内空間拡張手段を備えることによって、キャンプ時においては三人までの車中泊が可能となると共に、日常生活時においては書斎としや、趣味部屋として利用することができる、といった優れた効果を奏する。
【0027】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、ボディパネルの後方に連結牽引装置を介してトレーラーキャビンを連結した手段を採ることによって、電動式ルーフ付きトライクとトレーラーキャビンとにおいて宿泊空間が確保されるため、三人までの車中泊旅行が楽しめる、といった優れた効果を奏する。
【0028】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、ボディパネルの運転座席側の乗降口に着脱自在のハーフサイドドアを備えて成る手段を採ることによって、運転中において車内への風雨の吹き込みを防ぐことができると共に、乗降時においても容易に乗り降りができる、といった優れた効果を奏する。
【0029】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、乗降口を乗降口カバーシートのスナップロックボタンならびに後部サイドドアおよびテールゲートでもって全て施錠することによって、車内空間が完全に施錠状態となるため、所持品の盗難防止や、就寝時の不法侵入を防ぐことができる、といった優れた効果を奏する。
【0030】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、ボディパネルの運転座席側の乗降口の中段から下段にかけて着脱自在の巻き取り式の防風シートまたは差し込み式の防風サイドパネルを備えて成る手段を採ることによって、運転中において車内への風雨の吹き込みを防ぐことができると共に、不使用時には、車内にコンパクトに格納できる、といった優れた効果を奏する。
【0031】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、後部座席を保冷車仕様としたり、貨物配送車仕様の業務用配達車として活用することができる、といった優れた効果を奏する。
【0032】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、後部座席が、後部サイドドアと隔離壁とボディパネルとテールゲートとによって騒音や風雨が吹き込まない完全個室状態となる、といった優れた効果を奏する。
【0033】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、後部座席の窓ガラス部に遮蔽フィルムを貼付することによって、完全なプライバシー空間が確保できる、といった優れた効果を奏する。
【0034】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、三輪バイクのベースに中古車、不動車、スクラップ車、廃車、事故車等のユースドカーを利用することによって、従来にない極めて低価格帯のルーフ付きのトライクの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0035】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、リアキャビンのベース車両に中古車、不動車、スクラップ車、廃車、事故車等の車両価値が下がったユースドカーを利用することによって、スクラップ処理される車両資源の有効活用が図られる、といった優れた効果を奏する。
【0036】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、既存の車メーカーの車幅灯、方向指示灯、ストップランプ、室内灯、ナンバープレート照明灯、ハザードランプ、バッテリー、施錠キー、オートドアロック装置、ドアガラス昇降装置、盗難防止警告装置、ラジオ、シュガーライター等は、既存のユースドカーに備えられている装置を流用して再利用することができることから、防犯性ならびに利便性に優れたルーフ付きのトライクが提供できる、といった優れた効果を奏する。
【0037】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、ボディパネルが既存の車メーカーの車装デザイン(車体設計)を流用するため、コンパクト性、軽量性、運転性、外装デザイン性、多様性、堅牢性、防水性、防音性、耐久性、耐候性、安全性、利便性、修理部品の調達性などの車体設計性能に優れたルーフ付きのトライクの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0038】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、三輪バイクのシャーシフレームとボディパネルの製造時において既存のユースドカーの一部を加工する作業に留まることから、従来のハンドメイド製造のルーフ付きのトライクと比して製作コストならびに製作日数及び製作工程が大幅に短縮される、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の電動式ルーフ付きトライクの実施形態を示す説明図である。 (実施例1)
図2】本発明の電動式ルーフ付きトライクの使用例を示す説明図である。
図3】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の使用例を示す説明図である。
図4】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例2)
図5】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例3)
図6】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例4)
図7】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例5)
図8】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例6)
図9】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例7)
図10】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例8)
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明における電動式ルーフ付きトライク10は、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネル11で覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にした手段を採ったことを最大の特徴とする。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0041】
尚、本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で、適宜変更することができる。
【実施例1】
【0042】
図1は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの実施形態を示す説明図である。
図1(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の全体斜視図である。
図1(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の側面図である。
本発明における電動式ルーフ付きトライクは、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネル11で覆った電動式のルーフ付きトライクであって、ボディパネル11は、側面両側に乗降口12を設け、該乗降口12の前後方向略中央位置にはセンターピラーフレーム13を境にして運転席側Dと後部座席側Sとに分離すると共に、上下方向に三分割される隔離壁14を設けて成り、運転座席側Dの車幅中央位置には、リアタイヤホイールシャフト軸50を駆動する動力駆動手段52を覆うセンターカバーパネル11bを設けると共に、該センターカバーパネル11bの上部にはスライド・回転自在の運転座席15を設け、乗降口12は、運転席側Dは常時開口している形状に形成し、後部座席側Sは乗降時に開閉自在となる後部サイドドア17を備えて成り、ボディパネル11の後方には、跳ね上げ式のテールゲート20を備えて成る手段を採る。
【0043】
本発明の電動式ルーフ付きトライク10の車両寸法としては、道路運送車両法の第2条別表第一では軽自動車の内、軽二輪の範囲について、二輪自動車(側車付二輪自動車を含む)施行規則の全長2.5m以下、全幅1.3m以下、全高2.0m以下において形成される。
【0044】
車両構造としては、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)における側車付二輪自動車(通称トライク)については、『またがり式の座席、バー操作ハンドル方式の舵取り装置及び3個の車輪を備え、かつ、運転者席の側方が解放された自動車』仕様に準じて製作される。
【0045】
ボディパネル11は、側面両側に乗降口12を設け、該乗降口12の前後方向略中央位置にはセンターピラーフレーム13を境にして運転席側Dと後部座席側Sとに分離すると共に、上下方向に三分割される隔離壁14を設け、乗降口12の運転席側Dは常時開口している形状に形成し、後部座席側Sは乗降時に開閉自在となる後部サイドドア17を備えて成り、ボディパネル11の後方には、跳ね上げ式のテールゲート20を備えて形成される。
【0046】
また、ボディパネル11の上方にはルーフキャアリア、ルーフシェードやサンルーフ、後方にはエンドキャリア等を装着することもできる。
【0047】
ダッシュボードパネル11aには、三輪トライクの操作ハンドル部が内蔵され、さらに反射防止機能付きの計器類及びトライク運転に関連する操作スイッチ類や制御盤等が装備され、さらにドリンクホルダーやグローブボックス、補助バッテリー類が格納される。
【0048】
センターカバーパネル11bは、トライク本体の中央に位置するシャーシフレーム上に設けられ三輪バイクの動力駆動手段47を覆う形で形成される。また、上方には運転座席15が設けられ、運転者はセンターカバーパネル11bを跨ぐ形で乗車することができる形状に形成される。
【0049】
乗降口12は、ボディパネル11の側面両側に設けられ、乗降口12の前後方向略中央位置にはセンターピラーフレーム13を境にして運転席側Dと後部座席側Sとに分離すると共に、上下方向に三分割される隔離壁14を設けて成り、運転席側Dは常時開口している形状に形成し、後部座席側Sは乗降時に開閉自在となる後部サイドドア17を備えて形成される。
【0050】
図1(c)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の側断面図である。
センターピラーフレーム13は、ボディパネル11の略中央に設けられ、衝突時の車体剛性を高めるロールバーとしての役割と、運転座席側Dと後部座席側Sとを隔離する隔離壁14の取り付け支柱の役割を果たす目的で設けられる。
【0051】
隔離壁14は、乗降口12に設けられるセンターピラーフレーム13を支柱として骨子状に形成して運転座席側Dと後部座席側Sとを隔離するもので、跳ね上げ式の上段隔離壁ボード14aと、壁掛け式の中段隔離壁ボード14bと下段隔離壁ボード14cと、によって形成される。
【0052】
上段隔離壁ボード14aは、後部座席側Sに搭乗する搭乗者の前方の視界を確保するために透明の樹脂製パネルで形成される隔離壁ボードであって、運転時は隔離壁14に装着されて前方視を確保し、就寝時においてはセンターピラーフレーム13に取り付けられたヒンジを介して上方に跳ね上げられて、就寝時の上部空間の就寝スペース30を確保する。
【0053】
中段隔離壁ボード14bおよび下段隔離壁ボード14cは、運転座席側Dと後部座席側Sとを隔離するベンチ用クッション部材を装着した壁掛け式の隔離壁ボードであって、就寝時においては運転座席15の両側の乗降ステップ部45を覆って就寝スペース30(図7参照)を確保する形状に形成される。
尚、下段隔離壁ボード14cは、ポータブル式の冷房機や暖房機が運転座席15の両脇に備えられた場合、両側に送風口を備えた構造で形成される。
【0054】
握り取っ手14dは、乗降口12の中央に設けられるセンターピラーフレーム13を支柱として骨子状に形成されて運転座席側Dと後部座席側Sとを隔離する隔離壁14の一部で、後部座席側Sに座る搭乗者の掴まりハンドルとして利用され、就寝時は上方にスライドさせて上部空間の就寝スペース30を確保する。
【0055】
運転座席15は、センターカバーパネル11bの上方に配置され、座席シートは回転式のリクライニングシートで形成され、三輪バイクの動力駆動手段47を跨ぐ形状に形成される。
また、運転座席15の後方に設けられる隔離壁14の両側には、後部座席側Sの冷房と暖房を行うポータブル式の冷房機と暖房機が収納される小物入れ付きの収納ボックス(図示省略)が設置される。
【0056】
後部座席16は、側方に開閉される後部サイドドア17と、前方に配置されている隔離壁14と、ボディパネル11の後方に備えられているテールゲート20によって個室状態が確保され、着脱自在の背面座席シート16aが後部座席16の後方に配置される形状に形成される。
【0057】
後部サイドドア17は、後部座席側Sに装着される乗降用の開閉ドアであって、昇降式ガラスドアを内蔵している。後部座席側Sのへの乗降が容易にできる共に、後部座席側Sの室内への風雨の吹き込みを防ぐ目的で装着される。
また、後部サイドドア17ならびにテールゲート20を施錠することで、後部座席側Sが完全に個室状態となるため所持品の盗難防止対策が図られる。
【0058】
テールゲート20は、ボディパネル11の後方に設けられるハッチバック式の開閉ドアである。後述する車内空間拡張手段24に用いられるものである。
【0059】
通気取り込み口43は、ボディパネル11の前方に設けられ、運転中の前方の空気を車内に取り込んでフロントガラスの曇りを防止する目的で設けられる。
【0060】
本発明の電動式ルーフ付きトライク10のユースドカーを利用した場合の製造手順を示す。
(1) 既存のハッチバック車(ユースドカー)の後方の車両ボディフレームを残してセンターピラーから前方の車両ボディを切断して取り除く。
(2) 切断された既存のハッチバック車(ユースドカー)の車幅を1.0m~1.3mに縮小切断して互いを溶接固定する。
(3) さらにハッチバック車(ユースドカー)の車高を1.65m~2.0mに拡大して溶接固定する。
(4) 二輪バイクの運転席シートと構造フレーム(エンジン部含む)と操作ハンドル部を分離し、運転席シートと後輪タイヤ部を取り除く。
(5) トライク本体のシャーシフレームに新しいフロントボディパネルを溶接固定する。
(6) 二輪バイクの操作ハンドル部及び計器類をトライク本体のダッシュボードパネル11a内に取り付け、配線する。
(7)新しい運転座席15をトライク本体のセンターカバーパネル11b上に取り付ける。
(8)トライク本体の後輪シャフトに二輪バイクの動力駆動手段47と動力伝達手段52を連結する。
(9)トライク本体の乗降口12のセンターピラーフレーム13に隔離壁14を設ける。
(10)完成
【0061】
以上の手順で製造される本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネル11で覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段24を備えて車中泊を可能にした電動式のルーフ付きトライクの提供を可能にすると共に、トライクのシャーシフレームのベースに中古車、不動車、スクラップ車、廃車、事故車等のユースドカーを利用することによって、ボディパネルの一部が既存の車メーカーの車装デザイン(車体設計)を流用することで、コンパクト性、軽量性、運転性、外装デザイン性、多様性、堅牢性、防水性、防音性、耐久性、耐候性、安全性、利便性、修理部品の調達性などの車体設計性能に優れた電動式ルーフ付きトライク10の提供ができる。
また製造時において、三輪バイクのシャーシフレームとボディパネル11の一部は既存のユースドカーの一部を加工する作業に留まることから、従来のハンドメイド製造のルーフ付きのトライクと比して製作コストならびに製作日数及び製作工程が大幅に低減される。
さらに、既存のユースドカーの車幅灯、方向指示灯、ストップランプ、室内灯、ナンバープレート照明灯、ハザードランプ、バッテリー、施錠キー、オートドアロック装置、ドアガラス昇降装置、盗難防止警告装置、ラジオ、シュガーライター等は、既存のユースドカーに備えられている装置や備品を流用して再利用することができることから、防犯性ならびに利便性に優れた電動式ルーフ付きトライク10の提供を可能にする。
【0062】
図2は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの使用例を示す説明図である。
図2(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の上面断面図である。
図2(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の側断面面図である。
動力駆動手段47は、バッテリー49と電動モーター48と動力伝達手段52とで構成され、車幅中央位置に設けられるセンターカバーパネル11bによって覆われ、差動装置51を備えたリアタイヤホイールシャフト軸50に連結される。
【0063】
動力駆動手段47は、運転座席側Dの車幅中央位置に設置される電動モーター48またはリアタイヤホイールシャフト軸50の両側に備えられるインホイール電動モーター53と、鉛電池またはリチウム電池バッテリー49と、動力伝達手段52とで構成される。
【0064】
動力伝達手段52は、例えば、チェーン(タイミングベルト)、スプロケット(ギア)、差動装置51から成るもので、電動モーター48からリアタイヤホイールシャフト軸50に伝達される構造を有して形成される。
【0065】
乗降口12は、ボディパネル11の側面両側に設けられ、運転席側Dは常時開口している形状に形成され、上部には横からの風雨の吹き込みを防止する役割を果たすサイドバイザーパネル18が備えられ、前方部には前方からの風雨の回り込みを抑える役割を果たす防風カウル19が設けられる。
【0066】
図3は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの使用例を示す説明図である。
図3(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の上面断面図である。
図3(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の側断面面図である。
動力駆動手段47は、バッテリー49とインホイール電動モーター53とで構成され、バッテリー49は運転座席側Dの車幅中央位置に設けられるセンターカバーパネル11bによって覆われ、インホイール電動モーター53は、差動装置51を備えたリアタイヤホイールシャフト軸50の両側のリアタイヤホイール内に装着される。
【0067】
以上で構成される本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、インホイール電動モーター53を備えることにより
(1)高効率であり、構造も簡素で小型化が可能である。
(2)トルク特性が平坦であり、変速機を必要としない。
(3)トルクの応答性が速く、併せて制御も簡単である。
(4)独立で駆動力制御が可能で、トラクション制御や車両姿勢制御等に応用しやすい。
(5)一つのインホイール電動モーターが故障しても、他のインホイール電動モーターで継続運転が可能になるため、コンバート車より安心感が高く、駆動システムの安定性に寄与する。
(6)コンバート車ではエンジンルームの場所にモーター・インバーター・バッテリーを入れ替えて配置したが、インホイール電動モーター化でモーターが全て小型でホイールに内蔵されるため、車両のデザインの自由度が高まり、ユニバーサルデザインを実現しやすい。すなわち衝突安全性やその他安全機能の新規付与を行いやすい。
(7)ドライブシャフト等の伝達機構をなくすこともできるため、車体の骨格構造の自由度も高められる。これは自動車の小型軽量化やそれによる省エネルギー化、航続距離延長に資する。
(8)電気自動車での部品点数の現象とスペースの拡大が実現され、自動運転や遠隔操縦に関する新規装備の配置も余裕をもって行えるといった多くのメリットを有する電動式ルーフ付きトライク10の提供を可能にする。
【実施例2】
【0068】
図4は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図4(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の全体斜視図である。
図4(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の側面図である。
本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の乗降口12の運転座席側Dに内外側両方に跳ね上げられる透明なサイドバイザーパネル18を装着すると共に、該乗降口12の前方には前方からの風雨の回り込みを抑える防風カウル19を設けて成る手段を採る。
【0069】
乗降口12は、ボディパネル11の運転座席側Dの側面両側を常時解放する形状に設けられ、上部には横からの風雨の吹き込みを防止する役割を果たすサイドバイザーパネル18が備えられ、前方部には前方からの風雨の回り込みを抑える役割を果たす防風カウル19が設けられる。
【0070】
サイドバイザーパネル18は、ボディパネル11の運転座席側Dの乗降口12の上方に備えられるもので、ヒンジによって内外両側に跳ね上げられる透明な樹脂パネルで形成されることで左右両側の視界を確保することができると共に、横からの風雨の吹き込みを防止することを目的として設けられる。また、内側に跳ね上げる場合は、運転座席側Dの内側天井近くまで跳ね上げて格納する。外側に跳ね上げる場合は、防風カウル19に干渉しない範囲で斜め上方に跳ね上げた状態で運転走行する。
【0071】
防風カウル19は、ボディパネル11の前方からの風雨の回り込みを抑える役割を果たすもので、乗降口12の上方および前方に延設して形成されるボディ一体型または後付けよって取り付けられる風雨除けのカウルである。尚、防風カウル19を後付けする場合は、車幅寸法内に収まるように取付ける。
【0072】
以上で構成される本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の運転座席側Dの乗降口12にサイドバイザーパネル18ならびに防風カウル19を設けることによって、運転時において視界を遮ることなく側方からの車内への風雨の吹き込みを防止することができる。
【実施例3】
【0073】
図5は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図5(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の全体斜視図である。
図5(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の側面図である。
本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の前輪のタイヤハウス部を覆う前輪タイヤハウスカバー21と、後輪のタイヤハウス部を覆う後輪タイヤハウスカバー22を着脱自在に設けて外観車体のデザイン性を高めた手段を採る。
【0074】
前輪タイヤハウスカバー21は、前輪タイヤ部を半カップ状に覆うハウスカバーであって、前輪タイヤを半カップ状に覆うことによって、左右に操作ハンドルを操作した場合においても前輪タイヤがボディパネル11内に収まることで、外観視上、斬新な車体デザインを確保することができる。
【0075】
後輪タイヤハウスカバー22は、ボディ形状に沿って形成されるハウスカバーであって、後輪タイヤをボディ形状に沿って覆うことによって、後輪タイヤがボディパネル11内に収まることで、外観視上、斬新な車体デザインを確保することができる。
【0076】
本発明の電動式ルーフ付きトライク10は使用者の嗜好に合わせて様様な仕様にカスタマイズすることができる。
例えば、後輪タイヤのトレッド幅ならびにインチ幅を拡大、エアインテーク、一体型オーバーフェンダー、ハイルーフ、ハイルーフウインドウ、折り畳み式バックミラー、ルーフキャリア、後部キャリア、サンバイザー、エアロパーツ、運転席足置きステップ、エアサスペンション、ナビ、ETC、USB端子口、エアバック、前後座席三点シートベルト、冷暖房ボックス、フロント・リアバンパー、スポーツマフラー、後部モニター、速度感知器、ドライブレコーダー、ソーラーパネル等を装着することで従来にない車両装備を有した電動式ルーフ付きトライク10の提供を可能とする。
【実施例4】
【0077】
図6は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図6は方向伝達機構41を示す模式的説明図である。
本発明における電動式ルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の前方に備えられる前照灯40を二灯式とし、その一方の前照灯40の照射方向が方向伝達機構41を介して操作ハンドルの操舵方向と同じ方向に照射される手段を採る。
【0078】
方向伝達機構41は、例えば、プーリーや Vベルトで構成された機械的な方向伝達機構および電気回路ならびに油圧回路で制御された方向伝達機構で構成される。
【0079】
以上で構成される本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の前方に装着されている前照灯40を二灯式とした場合は、一方の前照灯40は車体の進行方向に合わせて照射され、他方の前照灯40の照射方向が前輪タイヤの操作ハンドルの動きに合わせて照射されることによって、コーナー走行時や悪路や山間地での夜間走行が安全にできる電動式ルーフ付きトライク10の提供を可能にする。
また、補助の前照灯40を前輪タイヤの泥除けフェンダーに直接装着した手段を採ることもできる。
【実施例5】
【0080】
図7は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図7(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の車内空間拡張手段24を装着した状態の就寝時における側断面図である。
本発明における電動式ルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の乗降口12の内側から装着する乗降口カバーシート23を備えると共に、テールゲート20を利用して車内空間を拡張する車内空間拡張手段24を備えて車中泊を可能にした手段を採る。
【0081】
乗降口カバーシート23は、車中泊時に乗降口12の内側から開口されている全領域をスナップロックボタン29等で施錠して塞ぐことによって車内に就寝ペース30を確保する。
また、後方にファスナー開口部を設けることによって乗降口12が乗降口カバーシート23で塞がれている状態であっても乗車者が後方から自由に出入りできる仕様とすることもできる。
また、乗降口12を乗降口カバーシート23のスナップロックボタン29ならびに後部サイドドア17で施錠することによって、車内空間が完全に施錠状態となるため、所持品の盗難防止や、就寝時の不法侵入を防ぐことができる。
【0082】
車内空間拡張手段24は、テールゲート20と、拡張テント25と、掛止連結手段27と、水平吊持手段28を備える延長床板パネル26と、から構成される。
【0083】
拡張テント25は、前方と下方が開口する略縦型直方形のテントシートから成るもので、上端部はクリップによってテールゲート20の縁周部が挟持固定され、中間部は延長床板パネル26の側面周縁部に設けられるスナップロックボタン29(図示省略)によって係止され、下端部は通し穴にペグを打ち込むことにより軟弱な地盤や強風時の拡張テント25のバタつきを抑える手段として設けられるものである。
また、後方面に出入口ファスナーを設けることで後方からの乗り降りを可能にすることもできる。
【0084】
延長床板パネル26は、補強リブを構成した踏板状の矩形のパネルプレートで形成され、側面周縁部には拡張テント25のバタつきを抑えるスナップロックボタン29(図示省略)を列設して形成される。前方には掛止連結手段27を備えると共に、両側にはテールゲート開口段部に嵌め合う形状に形成され、さらにリブ構造によって剛性を高めた金属または樹脂製の所要の長さと幅と厚みをもって形成される。
また、丁番等を介して折り畳み式とすることでトライク本体の後部座席16の下にコンパクトに折り畳んで収納することもできる。
【0085】
掛止連結手段27は、例えば、延長床板パネル26の前方側面に少なくても二以上設けられるカギ状のフックによって形成されるもので、テールゲート開口段部の床面位置高さに設けられる複数のグロメット穴に引っ掛けて掛止連結される。
【0086】
水平吊持手段28は、延長床板パネル26の長さ方向の略中間位置の両側に備えられ、テールゲート開口段部の両側のグロメット穴に先端に掛止連結手段27を設けたチェーン、ベルト帯等によって水平状態が維持されるように連結される。
【0087】
就寝スペース30は、延長床板パネルスペース31と、後部座席スペース32と、後部座席の背面シートスペース33と、運転座席スペース34と、中段隔離壁ボードスペース35と、下段隔離壁ボードスペース36とによって床面Fが平坦になることによってトライク本体内に確保される。
また、運転座席側Dと後部座席側Sの床面Fから下に位置する足置きスペースには、床下収納スペース46を確保することができる。
【0088】
本発明の電動式ルーフ付きトライク10の車内に就寝スペース30を確保する手順を示す。
(1)運転座席15の座席シートを回転させた後、背面シートを前方に押し倒す。
(2)左側の乗降口12の内側から乗降口カバーシート23をスナップロックボタン29で施錠して左側の乗降口12を塞ぐ。
(3)隔離壁14の跳ね上げ式の上段隔離壁ボード14aを上方に跳ね上げ、続いて握り取っ手14dを上方にスライドさせて固定する。
(4)隔離壁14の壁掛け式の中段隔離壁ボード14bを取り外して運転座席15の乗降ステップ部45上に運転座席15の高さに合わせて設置する。
(5)右側の乗降口12の内側から乗降口カバーシート23をスナップロックボタン29で施錠して右側の乗降口12を塞ぐ。
(6)隔離壁14の壁掛け式の下段隔離壁ボード14cを取り外して運転座席15の乗降ステップ部45上に運転座席15の高さに合わせて設置する。
(7)背面座席シート16aを後部座席16の足置きスペース上に運転座席15の高さに合わせて設置する。
(8)ボディパネル11のテールゲート20を水平状態まで跳ね上げる。
(9)延長床板パネル26をテールゲート開口段部の両側のグロメット穴に掛止連結手段27を差し込んで水平状態が維持されるように連結する。
(10)水平状態を保ったテールゲート20に拡張テント25を被せる。
(11)拡張テント25とテールゲート20の縁周部をクリップで止める。
(12)拡張テント25とテールゲート開口段部をクリップで止める。
(13)延長床板パネルスペース31と、後部座席16スペースと、後部座席の背面シートスペース32と、運転座席スペース34と、中段隔離壁ボードスペース35と、下段隔離壁ボードスペース36とによって床面Fが平坦になることによってトライク本体の車内に就寝スペース30が確保される。
【0089】
以上で構成される本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、使用者が就寝スペース30上に、就寝、ごろ寝、休憩、テレビ鑑賞などができる車内空間が確保される。
さらに、延長床板パネル26の中央部に床下収納口を設けることによって、人が立ち上がった状態で料理や、作業などができる床下収納庫を兼ねるユーティリティスペースを確保することもできる。
【0090】
図7(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の車内空間拡張手段24の一部を装着した状態の休憩時における側断面図である。
延長床板パネルスペース31をセットした状態で拡張テント25をテールゲート20から取り外すことで、休息時には野外テラスデッキとして使用することができるもので、キャンパーの使用目的に合わせて車内空間と野外空間の使い分けができる。
また、運転座席側Dと後部座席側Sの床面Fから下に位置する足置きスペースには、床下収納スペース46を確保することができる。
【0091】
図7(c)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の就寝状態を示す断面図(縮小図)である。
乗降口12を乗降口カバーシート23のスナップロックボタン29ならびに後部サイドドア17およびテールゲート20で全て施錠することによって、延長床板パネルスペース31を除いた後部座席スペース32と、後部座席の背面シートスペース33と、運転座席スペース34と、中段隔離壁ボードスペース35と、下段隔離壁ボードスペース36とによって床面Fを平坦にすることで、トライク本体内に就寝スペース30を確保することができる。
また、運転座席側Dと後部座席側Sの床面Fから下に位置する足置きスペースには、床下収納スペース46を確保することができる。
【0092】
図7(d)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の乗降口12に乗降口カバーシート23を装着した状態の側面図(縮小図)である。
乗降口12を乗降口カバーシート23のスナップロックボタン29ならびに後部サイドドア17およびテールゲート20でもって全て施錠することによって、車内空間が完全に施錠状態となるため、外部からの不法侵入や、盗難防止を防ぐことができる。
【実施例6】
【0093】
図8は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図8(a)は、トレーラーキャビン42を連結した状態の側面図である。
本発明の電動式ルーフ付きトライク10のボディパネル11の後方に連結牽引装置37を介してトレーラーキャビン42を連結した手段を採る。
【0094】
連結牽引装置37は、所謂ヒッチメンバーとも呼ばれ、本発明の電動式ルーフ付きトライク10の後側下方中央部のボールマウントとトレーラーキャビン42の前側下方中央部とレシーバーとで連結されるもので、走行補助タイヤ付トレーラージャッキ、パーキングブレーキ、安全連結チェーン、配線コネクター、送風ダクトホース等が付属される。
【0095】
トレーラーキャビン42の走行車輪が後方に位置することで、走行時において連結牽引装置37のボールマウントとレシーバー部に過荷重がかかることになることから、連結牽引装置37にサスペンション機能やばね機能を有した緩衝装置を備えることもできる。
また、本発明の電動式ルーフ付きトライク10とトレーラーキャビン42を旅先で任意に切り離したり連結したりすることができることから、観光地での目的に合わせて様様な行動を楽しむことができる。
さらに、図示はしていないが、連結牽引装置37のその他の構造としては、自動二輪車で牽引する中折れ式の牽引装置を用いることもできる。
【0096】
図8(b)は電動式ルーフ付きトライク10にトレーラーキャビン42を連結した状態の上面図である。
トレーラーキャビン42の車体幅寸法Wは、道路運送車両法、道路法、道路交通法の規制によって車幅ならびに重量が制限されるもので、650~1480mmの範囲内で形成される。
【0097】
図8(c)は電動式ルーフ付きトライク10とトレーラーキャビン42を対向させて設置した状態の側面図である。
電動式ルーフ付きトライク10に装着した車内空間拡張手段24と、トレーラーキャビン42に装着した車内空間拡張手段24を対向させて拡張テント25の後方面に出入口ファスナー(図示なし)を設けて連通させることによって従来にない大容量の居住空間が確保できる。
また、乗降口12を乗降口カバーシート23のスナップロックボタン29で施錠し、さらに、後部サイドドア17を施錠することで女性にも安全な不審者侵入対策を採ることができる。
【0098】
以上の構成による本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、電動式ルーフ付きトライク10とトレーラーキャビン42を連結することで熟年夫婦のセカンドライフカーとしてや中年や独身男性の車中泊旅行に利用できる電動式ルーフ付きトライク10の提供を可能にする。
【実施例7】
【0099】
図9は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図9は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の乗降口12に着脱自在のハーフサイドドア44を備えた状態の側面図である。
本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の運転座席側Dの乗降口12にヒンジ部が着脱自在のハーフサイドドア44を備えて成る手段を採る。
【0100】
ハーフサイドドア44は、運転座席側Dの乗降口12の下方領域を開閉ならびに着脱自在に装着されるサイドドアである。
降雨時においては、運転座席側Dの乗降口12の乗降ステップ部45への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車内の荷物の車外への飛び出しを防ぐ目的で装着されるものである。
尚、開閉するに際しては、防風カウル19と干渉するため、防風カウル19をハーフサイドドア44の高さ位置で切断するか、ハーフサイドドア44の開閉角度を制限する必要がある。
【0101】
以上におけるハーフサイドドア44の仕様は、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)の側車付二輪自動車(通称トライク)における『運転者席の側方が解放された自動車』の施行規則に準じて形成される。
【実施例8】
【0102】
図10は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の運転座席側Dの乗降口12の中段から下段にかけて着脱自在の防風シート38または防風サイドパネル39を備えて成る手段を採る。
【0103】
図10(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の乗降口12に着脱自在の巻き取り式の防風シート38を備えた状態の側面図である。
防風シート38は、ボディパネル11の運転座席側Dの乗降口12の任意の中段から下段(図示は中段から下段にかけて複数装着した状態を示す)にかけて着脱自在に備えられる巻き取り式の幅広防風シートであって、材質は例えば、帆布またはシートベルト地で形成され、降雨時においては、運転座席側Dの乗降口12の乗降ステップ部45への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車内の荷物の車外への飛び出しを防ぐ目的で装着されるものである。
尚、防風シート38は、運転座席側Dの乗降口12を完全に塞閉するものではなく、サイドバイザーパネル18との間に常時隙間を形成して運転座席側Dのウインドウガラスの曇りを発生させない構造としている。
【0104】
図10(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の乗降口12に着脱自在の差し込み式の防風サイドパネル39を備えた状態の側面図である。
防風サイドパネル39は、運転座席側Dの乗降口12の少なくても幅寸法を有してボディパネル11の運転座席側Dの乗降口12の任意の中段から下段(図示は下段のみに装着した状態を示す)にかけて着脱自在に備えられる差し込み式の防風パネルであって、材質は例えば、強化プラスチック板または軽量補強鋼板で形成され、降雨時においては、運転座席側Dの乗降口12の乗降ステップ部45への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車内の荷物の車外への飛び出しを防ぐ目的で装着されるものである。
尚、防風サイドパネル39は、運転座席側Dの乗降口12を完全に塞閉するものではなく、サイドバイザーパネル18との間に常時隙間を形成して運転座席側Dのウインドウガラスの曇りを発生させない構造としている。
【0105】
以上における防風シート38および防風サイドパネル39の仕様は、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)の側車付二輪自動車(通称トライク)における『運転者席の側方が解放された自動車』の施行規則に準じて形成される。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の電動式ルーフ付きトライクは、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆ったルーフ付きのトライクであることから、製造に当たって既存のユースドカーを利用することで低価格を実現することができる共に、コンパクト性、軽量性、運転性、外装デザイン性、多様性、堅牢性、防水性、防音性、耐久性、耐候性、安全性、利便性、修理部品の調達性などの車体設計性能に優れ、さらに三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にした「電動式ルーフ付きトライク」は、産業上の利用可能性は極めて大であるものと思料する。
【符号の説明】
【0107】
10 電動式ルーフ付きトライク(トライク本体)
11 ボディパネル
11aダッシュボードパネル
11bセンターカバーパネル
12 乗降口
13 センターピラーフレーム
14 隔離壁
14a上段隔離壁ボード
14b中段隔離壁ボード
14c下段隔離壁ボード
14d握り取っ手
15 運転座席
16 後部座席
16a背面座席シート
17 後部サイドドア
18 サイドバイザーパネル
19 防風カウル
20 テールゲート
21 前輪タイヤハウスカバー
22 後輪タイヤハウスカバー
23 乗降口カバーシート
24 車内空間拡張手段
25 拡張テント
26 延長床板パネル
27 掛止連結手段
28 水平吊持手段
29 スナップロックボタン
30 就寝スペース
31 延長床板パネルスペース
32 後部座席スペース
33 後部座席の背面シートスペース
34 運転座席スペース
35 中段隔離壁ボードスペース
36 下段隔離壁ボードスペース
37 連結牽引装置
38 防風シート
39 防風サイドパネル
40 前照灯
41 方向伝達機構
42 トレーラーキャビン
43 通気取り込み口
44 ハーフサイドドア
45 乗降ステップ部
46 床下収納スペース
47 動力駆動手段
48 電動モーター
49 バッテリー
50 リアタイヤホイールシャフト軸
51 差動装置
52 動力伝達手段
53 インホイール電動モーター
D 運転座席側
S 後部座席側
F 床面
W 車体幅寸法
【要約】      (修正有)
【課題】三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車体の一部を利用した車内空間拡張手段を備えて車中泊を可能にした電動式のルーフ付きトライクを提供する。
【解決手段】本発明は、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆った電動式のルーフ付きトライクであって、ボディパネルは、側面両側には常時開口する乗降口を設け、該乗降口にはセンターピラーフレームを境にして運転座席側と後部座席側とを隔離すると共に三分割に分離される隔離壁を設け、運転座席側の車幅中央位置には、リアタイヤホイールシャフト軸を駆動する動力駆動手段を覆うセンターカバーパネルを設けると共に、該センターカバーパネルの上部にはスライド・回転自在の運転座席を設け、乗降口の後部座席側には、側方に開閉する後部サイドドアを備え、ボディパネルの後方には、跳ね上げ式のテールゲートを備えて成る手段を採る。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10