IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ i Smart Technologies株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-生産管理システム 図1
  • 特許-生産管理システム 図2
  • 特許-生産管理システム 図3
  • 特許-生産管理システム 図4
  • 特許-生産管理システム 図5
  • 特許-生産管理システム 図6
  • 特許-生産管理システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】生産管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240822BHJP
   G16Y 10/25 20200101ALI20240822BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240822BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G16Y10/25
G16Y40/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017215546
(22)【出願日】2017-11-08
(65)【公開番号】P2019087090
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-09-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】517012534
【氏名又は名称】i Smart Technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲也
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】田々井 正吾
【審判官】本庄 亮太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-181188(JP,A)
【文献】特開2001-344004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0111122(US,A1)
【文献】特開2008-181302(JP,A)
【文献】特開2007-317122(JP,A)
【文献】特開2008-011256(JP,A)
【文献】特開2006-039650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G16Y 10/25
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の製造に関わる加工設備または検査設備である生産設備が配置されている製造ラインの生産状況を管理するための生産管理システムであって、
前記生産設備の稼働状態を示す稼働情報を報知する複数の報知装置であって、使用位置が固定されていない報知装置と、
前記製造ラインの生産状況を管理する生産管理装置であって、前記稼働情報を生成する情報生成部と、前記稼働情報を前記報知装置に送信する送信部と、前記送信部を制御する制御部と、を有する生産管理装置と、を備え、
前記報知装置は、前記報知装置の使用者の前記製造ラインにおける役割と、前記使用者が業務を行なう場所と、前記報知装置が使用される場所と、の少なくともいずれか1つに応じて分類され、
前記制御部は、(a)前記稼働情報が示す稼動状態、(b)前記稼働情報によって稼動状態が示された生産設備の予め定められた重要度であって、前記生産設備における異常の発生頻度、製品の生産数への影響の大きさ、前記生産設備を用いて作業をしている作業者の残業の有無の少なくともいずれか1つに基づいて決定される重要度、および(c)前記分類に応じて、前記複数の報知装置のうち送信対象となる報知装置を決定し、
前記送信部は、前記送信対象となった報知装置のみに前記稼働情報を送信する、
生産管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生産管理システムであって、
前記複数の報知装置は、前記稼働情報を表示によって報知する表示装置を含む、生産管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の生産管理システムであって、
前記表示装置は、2つ以上であり、使用位置が固定されているモニタ装置と、使用位置が固定されていない端末装置と、の両方を含む、生産管理システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生産管理システムであって、
前記稼働情報が示す稼働状態は、少なくとも、刃具交換と、段換えと、異常と、のいずれか1つを含む、生産管理システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の生産管理システムであって、
前記製造ラインは、複数の前記生産設備を有し、
各前記生産設備には、前記製造ラインの生産状況の管理における前記重要度が設定されている、生産管理システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の生産管理システムであって、
前記生産管理装置は、前記製造ラインに設置された状態の前記生産設備に後付けされ、前記製造ラインから製品が繰り出される際に発生する前記生産設備の動作に応じて検出信号を出力する検出部を有し、
前記稼働情報の生成には、前記検出信号が利用される、生産管理システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の生産管理システムであって、
前記生産管理システムにおける情報伝達には、インターネットが介在している、生産管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生産ラインにおける生産状態を監視する生産管理装置(工程監視装置)を備える生産管理システムが知られている(例えば、特許文献1)。この生産管理装システムに備えられた生産管理装置は、工程に異常状態が検出された場合に、画像を表示することによって異常の発生を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-122319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、報知の対象が特定されておらず、異常の発生を知る必要のない者に対しても報知される場合がある。異常の発生を知る必要がない者とは、例えば、異常が発生している設備の管理を担当していない者や、発生した異常に対応することが不可能または困難な者である。異常の発生を知る必要のない者に対しても報知される場合には、利用者に報知される情報には、必要な情報と必要でない情報とが混在するおそれがある。必要な情報と必要でない情報とが混在する場合には、利用者による情報確認の効率が低くなる。また、異常の発生を知る必要のない者に対して報知された場合には、利用者が報知をわずらわしく感じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、生産設備を有する製造ラインの生産状況を管理するための生産管理システムが提供される。この生産管理システムは、前記生産設備の稼働状態を示す稼働情報を報知する複数の報知装置と、前記製造ラインの生産状況を管理する生産管理装置であって、前記稼働情報を生成する情報生成部と、前記稼働情報を前記報知装置に送信する送信部と、前記送信部を制御する制御部と、を有する生産管理装置と、を備える。前記報知装置は、前記報知装置の使用者の前記製造ラインにおける役割と、前記使用者が業務を行なう場所と、前記報知装置が使用される場所と、の少なくともいずれか1つに応じて分類され、前記制御部は、前記稼働情報が示す稼動状態および前記稼働情報によって稼動状態が示された生産設備の少なくとも一方と、前記分類と、に応じて、前記複数の報知装置のうち送信対象となる報知装置を決定し、前記送信部は、前記送信対象となった報知装置のみに前記稼働情報を送信する。
この形態の生産管理システムによれば、送信部は、送信対象となった表示装置のみに稼働情報を送信するので、稼働情報を知る必要のない者が利用する表示装置への稼働情報の送信が抑制される。このため、生産管理システムの利用者に報知される稼働情報に、必要な稼働情報と必要でない稼働情報とが混在するおそれが低減する。したがって、生産管理システムの利用者が報知される稼働情報を確認する際の、必要な稼働情報と必要でない稼働情報とが混在することによる効率の低減が抑制される。また、稼働情報を知る必要のない者に対する稼働情報の報知が抑制されるので、不要な稼働情報の報知によって、利用者が稼働情報の報知をわずらわしく感じるおそれが低減される。
【0007】
(2)上記形態において、前記複数の報知装置は、前記稼働情報を表示によって報知する表示装置を含んでもよい。この形態によれば、稼働情報の表示による報知が可能である。
【0008】
(3)上記形態において、前記表示装置は、2つ以上であり、使用位置が固定されているモニタ装置と、使用位置が固定されていない端末装置と、の両方を含んでいてもよい。この形態によれば、使用位置が固定されているモニタ装置と、使用位置が固定されていない端末装置と、の両方による稼働情報の報知が可能である。
【0009】
(4)上記形態において、前記稼働情報が示す稼働状態は、少なくとも、刃具交換と、段換えと、異常と、のいずれか1つを含んでもよい。この形態によれば、稼働情報が示す稼働状態として、少なくとも、刃具交換と、段換えと、異常と、のいずれか1つを含む生産管理システムが提供される。
【0010】
(5)上記形態において、前記製造ラインは、複数の前記生産設備を有し、前記生産設備は、前記製造ラインの生産状況の管理における重要度が設定され、前記制御部は、前記稼働情報が示す稼動状態および前記稼働情報によって稼動状態が示された生産設備の少なくとも一方と、前記分類と、前記稼働情報によって稼動状態が示された生産設備の前記重要度に応じて、前記複数の報知装置のうち送信対象となる報知装置を決定してもよい。この形態によれば、生産設備に設定された製造ラインの生産状況の管理における重要度に応じて、送信対象となる報知対象を決定できる。
【0011】
(6)上記形態において、前記生産管理装置は、前記製造ラインに設置された状態の前記生産設備に後付けされ、前記製造ラインから製品が繰り出される際に発生する前記生産設備の動作に応じて検出信号を出力する検出部を有し、前記稼働情報の生成には、前記検出信号が利用されていてもよい。この形態によれば、生産設備に後付されたセンサを利用して、稼働情報を生成できる。
【0012】
(7)上記形態において、前記生産管理システムにおける情報伝達には、インターネットが介在していてもよい。この形態によれば、インターネットを利用した生産管理が可能である。
【0013】
本開示は、生産管理システム以外の種々の形態で実現することが可能である。例えば、生産管理システムを備えた製造ラインや、生産管理プログラム等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る生産管理システムを備えた製造ラインの概略図。
図2】第1実施形態に係る生産管理システムにおける情報伝達を示すブロック図。
図3】第1実施形態に係る生産管理装置の構成を示すブロック図。
図4】第1実施形態に係る生産管理装置の検出部が設置されている様子を示す模式図。
図5】第1実施形態に係る生産管理システムにおける稼働情報と送信先との対応を示す表。
図6】第2実施形態に係る生産管理システムを備えた製造ラインの概略図。
図7】第2実施形態に係る生産管理装置の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態に係る生産管理システム100を備えた製造ラインL1、L2の概略図である。図2は、第1実施形態に係る生産管理システム100における情報伝達を示すブロック図である。生産管理システム100は、インターネットINTを利用するInternet of Things(IoT)技術によって生産管理を行なうシステムである。生産管理システム100は、それぞれ別の場所である、第1エリアAr1と、第2エリアAr2と、第3エリアAr3と、第4エリアAr4と、での情報共有を可能にする。第1エリアAr1は、生産管理システム100が導入されている工場の一区画であり、製造ラインL1、L2が設けられた区画である。第2エリアAr2は、第1エリアAr1を有する工場の敷地外である。第3エリアAr3および第4エリアAr4は、第1エリアAr1を有する工場における第1エリアAr1とは別の区画である。生産管理システム100におけるインターネットINTへの接続は、通信装置70が利用される。通信装置70は、例えば、無線LAN通信装置や、無線中継機、アクセスポイント、無線基地局、である。
【0016】
製造ラインL1、L2は、搬送機構31と、複数の搬送機構31に沿って配置された複数の生産設備30a~30dと、を有する。製造ラインL1、L2において、製品は、複数の製造工程を経て製造される。本実施形態において、製造ラインL1では製品を製造する際に加工が実行され、製造ラインL1に配置された生産設備30a、30bは刃具を有する加工機械である。製造ラインL2は複数種の製品を製造可能なラインであり、製造ラインL1に配置された生産設備30c、30dは複数種の製品の生産に対応可能な多機能機械である。なお、製品は、製造ラインL1、L2で製造される物であり、完成した状態だけではなく、加工途中の状態も含む。製品は、加工対象や検査対象とも記載される。搬送機構31は、製品を搬送するための機構であり、例えば、ベルトコンベアや無人搬送車等の自動搬送装置や、フォークリフト等を用いた有人による搬送手段、である。本実施形態において、搬送機構31は、ベルトコンベアである。製造ラインL1、L2は、生産設備30a~30d以外の生産設備、例えば、製品の製造工程における加工を行なう加工設備や、加工設備による加工品の品質を検査する検査設備を有していてもよい。加工設備は、例えば、金属加工機や、溶接機、樹脂成形機、である。検査設備は、例えば、画像解析装置や強度検査装置である。各生産設備30a~30dには、生産処理、加工処理、検査処理を実行するためのプログラマブルロジックコントローラ(PLC)およびPLCに接続されているセンサが備えられている。PLCに接続されたセンサとは、例えば、生産設備30a~30dあるいは搬送機構31に予め組み込まれている生産設備30a~30dの状態を検出するためのセンサである。本実施形態において、生産設備30a~30dは、PLCを備えているが、PLCとは別の手段によって制御されている場合には、PLCを備えていなくてもよい。生産設備30a~30dが用いられる製造工程の一部には、作業者による操作や作業が含まれていてもよい。また、本実施形態において生産設備は、装置もしくは機器であるが、作業者による作業、例えば、加工や目視による点検、を行なう場所であってもよい。本実施形態において、生産設備30a~30dおよび製造工程は、複数であるが、単数であってもよい。
【0017】
生産管理システム100は、生産管理装置20と、複数の表示装置601~608と、を備える。生産管理システム100は、製造ラインL1、L2の生産状況を管理する。
【0018】
生産管理装置20は、複数の検出部10a~10dと、本体部202と、管理部40と、を備える。生産管理装置20は、製造ラインL1、L2の生産管理を行なう。検出部10a~10dには、製造ラインL1に配置された生産設備30a、30dに取り付けられている検出部10a、10bと、製造ラインL2に配置された生産設備30c、30dに取り付けられた検出部10c、10dと、が含まれる。ここで、「生産設備30a~30dに取り付けられている」とは、それぞれの検出部10a~10dに対応する生産設備30a~30dの状態を検出できるように配置されていることを意味し、直接取り付けられている場合に限定されない。検出部10a~10dは、生産設備30a~30dが製造ラインL1、L2に設置された後に取り付けられている。検出部10a~10dは、本体部202と無線通信を介して接続され、検出結果である検出信号を本体部202へと出力する。本体部202は、検出部10a~10dが出力した検出信号を用いてサイクルタイムを取得する。本体部202は、サイクルタイムを第1エリアAr1に配置された表示装置601~604へ送信する。また、本体部202は、通信装置70を介して、インターネットINTに接続されたサーバ上に設けられた管理部40へとサイクルタイムを送信する。本体部202と管理部40の間の情報伝達には、インターネットINTが介在している。管理部40は、サイクルタイムや検出信号を用いて生産管理情報を生成する。生成された生産管理情報は、表示装置601~608へと送信される。管理部40から第1エリアAr1に配置された表示装置601~604への生産管理情報の送信は、通信装置70および本体部202を介して行なわれる。生産管理装置20の管理部40と表示装置601~608との間の情報伝達には、インターネットINTが介在している。管理部40から第2から第4エリアAr2~Ar4に備えられた表示装置605~608への生産管理情報の送信は、通信装置70を介して実行される。ここで、生産管理情報とは、製造ラインL1、L2の生産状況を示す情報であり、例えば、製品が繰り出されるサイクルタイムや、生産設備30a~30dの稼働率、生産設備30a~30dの運転および停止時間、生産設備30a~30dの異常の有無、生産設備30a~30dの稼働状態、を含む情報である。なお、以下において、検出部10a~10dの共通の機能を説明する場合には、検出部10a~10dは、検出部10とも記載される。
【0019】
第1エリアAr1に配置された表示装置601~604は、製造ラインL1、L2において作業を行なう者に生産管理情報を提供する。表示装置601~604は、生産管理装置20の本体部202と通信可能に無線接続され、本体部202を介して送信される生産管理情報をディスプレイ等の情報表示部61に表示する。表示装置601、602は、利用者が携帯することが可能な通信端末であり、例えば、スマートフォンや、タブレット型PCや、スマートウォッチ、である。表示装置601、602の利用者は、作業を行なっている場所から移動することなく生産管理情報の提供を受けることができる。表示装置603、604は、設置場所に固定されるモニタ装置、例えば液晶モニタやデスクトップ型PCや電光掲示板、であって、製造ラインL1、L2における複数の作業者に生産管理情報を提供する装置である。表示装置603、604は、複数の利用者に生産管理情報を提供することができる。表示装置601~604は、生産管理装置20と無線接続されているため、有線接続されている場合と比べて、使用位置を変更する際の手間や制限が少ない。表示装置601、603は、製造ラインL1において作業を行なう者によって使用される。表示装置602、604は、製造ラインL2において作業を行なう者によって使用される。本実施形態において、表示装置601~604は、管理部40によって生成された生産管理情報を本体部202との無線通信を介して取得しているが、これに限定されない。例えば、表示装置601~604は、本体部202を介さずに通信装置70と接続され、通信装置70から送信される生産管理情報を直接受信することによって生産管理情報を取得してもよい。また、設置位置に固定して利用される表示装置603、604は、本体部202もしくは通信装置70と有線接続されていてもよい。なお、表示装置601~604は、生産設備30a~30dの稼働状態を示す稼働情報を情報表示部61に表示することにより、使用者に稼働情報を報知する報知装置としても機能する。
【0020】
第2エリアAr2に配置された表示装置605は、製造ラインL1、L2を有する企業の責任者等の通常の業務において製造ラインL1、L2が配置された工場に訪れない者に生産管理情報を提供する。第2エリアAr2は、製造ラインL1、L2から離れた場所であり、本体部202との無線接続が困難な場所である。表示装置605は、通信装置70と通信可能に無線接続されている。表示装置605は、通信装置70を介して管理部40が生成した生産管理情報を取得し、取得した生産管理情報をディスプレイ等の情報表示部61に表示する。第2エリアAr2における通信装置70は、例えば、無線LANを用いたアクセスポイントや無線基地局である。表示装置605の利用者は、外出先や出張先であっても、生産管理情報を取得することが可能である。本実施形態において、表示装置605は、携帯可能な通信端末であるが、これに限定されない。例えば、利用者の通常業務において使用されるデスクトップ型PCの様に使用位置が固定された装置であってもよい。表示装置605が使用位置の固定された装置である場合には、通信装置70ではなく有線LANを介してインターネットINTに接続されていてもよい。なお、表示装置605は、生産設備30a~30dの稼働状態を示す稼働情報を情報表示部61に表示することにより、使用者に稼働情報を報知する報知装置としても機能する。
【0021】
第3エリアAr3に配置された表示装置606は、製造ラインL1、L2に設置された生産設備30a~30dの保守を担当する者(保守担当)に生産管理情報を提供する。第3エリアAr3は、製造ラインL1、L2から離れた場所であり、本体部202との無線接続が困難な場所である。表示装置606は、利用者が携帯することが可能な通信端末であり、例えば、スマートフォンや、タブレット型PCや、スマートウォッチ、である。表示装置606は、通信装置70と通信可能に無線接続され、通信装置70を介して管理部40が生成した生産管理情報を取得し、生産管理情報をディスプレイ等の情報表示部61に表示する。第3エリアAr3における通信装置70は、例えば、無線LANを用いたアクセスポイントや無線基地局である。表示装置606は、業務中に利用者が製造ラインL1、L2から離れた場所に移動する場合であっても生産管理情報を提供することができる。表示装置605の利用者は、製造ラインL1、L2の生産状況を直接得ることができない場合であっても、報知される生産管理情報に応じて生産設備30a~30dの保守が必要であることを知ることができる。このため、保守担当は、保守が必要になった際に、迅速な対応が可能である。なお、表示装置606は、生産設備30a~30dの稼働状態を示す稼働情報を情報表示部61に表示することにより、使用者に稼働情報を報知する報知装置としても機能する。
【0022】
第4エリアAr4に配置された表示装置607、608は、製造ラインL1、L2の生産状況を管理する者(管理者)に生産管理情報を報知する。第4エリアAr4は、製造ラインL1、L2から離れた場所であり、本体部202との無線接続が困難な場所である。表示装置607、608は、利用者が携帯することが可能な通信端末であり、例えば、スマートフォンや、タブレット型PCや、スマートウォッチ、である。表示装置607、608は、通信装置70と通信可能に無線接続され、通信装置70を介して管理部40が生成した生産管理情報を取得し、生産管理情報をディスプレイ等の情報表示部61に表示する。第4エリアAr4における通信装置70は、例えば、無線LANを用いたアクセスポイントや無線基地局である。表示装置607、608は、業務中に利用者が製造ラインL1、L2から離れた場所に移動する場合であっても生産管理情報を提供することができる。表示装置607、608の利用者は、製造ラインL1、L2の生産状況を直接得ることができない場合であっても、第1エリアAr1にいる製造ラインL1、L2の作業者に生産管理情報に応じた指示や製造ラインL1、L2で発生した異常への対応ができる。なお、表示装置607、608は、生産設備30a~30dの稼働状態を示す稼働情報を情報表示部61に表示することにより、使用者に稼働情報を報知する報知装置としても機能する。
【0023】
本実施形態において、生産管理システム100は、8台の表示装置601~608を有しているが、これに限定されない。表示装置601~608は、9台以上であってもよく、また、7台以下であってもよい。例えば、表示装置601~608の数は、生産管理情報の提供を受ける者の人数や生産管理情報の提供が必要な場所の数に応じて適宜変更が可能である。また、表示装置601~608が使用される位置や環境に応じて、表示装置601~608に用いられる装置は、変更可能である。例えば、第1エリアAr1において、作業者が表示装置601、602を携帯する必要がない場合には、生産管理システム100は、設置位置に固定されるモニタ装置である表示装置603、604のみを備えていてもよい。
【0024】
図3は、第1実施形態に係る生産管理装置20の構成を示すブロック図である。以下では、生産管理装置20の詳細を説明する。
【0025】
検出部10は、センサ11と、コントロール部12と、送信部13と、を有している。センサ11は、生産設備30a~30d(図1)に後付け可能なセンサであり、製造ラインL1、L2の生産状況として製品の繰り出しに応じて検出信号を出力するセンサである。センサ11による生産状況の検出は、直接的であってもよく、間接的であってもよい。生産状況を直接的に検出するセンサとは、例えば、生産設備30a~30dから繰り出される製品を検出するセンサである。生産状況を直接的に検出するセンサとして、例えば、生産設備30a~30dが製品を繰り出す際の扉の開閉を検出する加速度センサを用いることができる。生産状況を間接的に検出するセンサとは、例えば、製品の繰り出しに関する生産設備30a~30dの動作や、生産設備30a~30dによる加工対象の取り込みおよび排出に伴う動作、を検出するセンサである。生産状況を直接的に検出するセンサとして、例えば、生産設備30a~30dから繰り出される製品を検出する光センサを用いることができる。センサ11は、アナログセンサでもよくデジタルセンサであってもよい。
【0026】
センサ11には、検出する対象によって適切なセンサが採用される。例えば、生産設備30a~30dの動作を検出する場合には、生産設備30a~30dへの通電を検出する通電チェッカーや、生産設備30a~30dの可動部の動きを検出する加速度センサやジャイロセンサが用いられる。また、搬送機構31が製品が繰り出される場合にのみ動作する場合には、搬送機構31の動作を検出してもよい。作業者による作業を検出する場合には、作業者が使用する工具等の動作を検出する通電チェッカーを用いることができる。搬送機構31の動作の検出には、例えば、加速度センサや動作音を検出する音センサを用いることができる。また、搬送に決められた経路を移動するフォークリフト等の有人による搬送手段を検出する場合には、通過を検出するための光センサや搬送時の音を検出するための音センサを用いることができる。上述のように、検出部10は、生産設備30a~30dに後付けされている。このため、生産設備30a~30dや搬送機構31の変更に応じて柔軟に対応が可能である。また、生産状況に影響を与えやすい生産工程や、作業時間に変化が生じやすい自動化されていない工程についての動作を検出するように設計することができる。
【0027】
コントロール部12は、図示しない中央演算処理装置(CPU)と記憶装置とを備えている。コントロール部12は、例えば、検出信号に含まれるノイズの除去や、時間情報の生成を行なう。時間情報は、検出部10が生産状況を検出した時刻を示す情報であり、例えば、検出部10からの信号がコントロール部12に到達した時刻である。コントロール部12は、検出部10がアナログセンサである場合には、検出部10によって生成される検出信号をアナログ信号からデジタル信号への変換を行なってもよい。アナログ信号からデジタル信号への変換には、例えば、二値化処理が用いられる。
【0028】
送信部13は、検出信号を生産管理装置20へと無線通信によって送信する。無線通信とは、例えば、IEEE802.11aの規格に準拠した2.4GHz帯域もしくは5GHz帯域を用いた無線通信や、1GHz未満の周波数帯域(916.5-927.5MHz)であるサブギガ帯域を用いた無線通信や、Bluetooth(登録商標)を用いた無線通信、である。
【0029】
本体部202は、中央演算処理部(CPU)21と、記憶部22と、送受信部23と、生産管理情報を表示するモニタである表示部24と、入力部25と、を有する。CPU21と記憶部22と送受信部23は、通信バスを介して相互に通信が可能となるように接続されている。
【0030】
CPU21は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行する処理装置である。CPU21によってプログラムが実行されることにより、例えば、検出信号が検出される時間間隔および検出信号が検出された時刻である時間情報の取得や、取得した時間間隔を用いたサイクルタイムの算出や、生産設備30a~30dの稼働状態を示す稼働情報の生成、が行なわれる。時間間隔は、例えば、計時や時間情報に基づく算出によって取得され。稼働情報は、入力部25を介した利用者からの入力や、出力された検出信号や、取得されたサイクルタイムや、予め登録された稼働予定、に応じて生成される。CPU21は、取得した時間間隔とサイクルタイムと稼働情報を管理部40および記憶部22へ出力する。また、CPU21は、送受信部23や表示部24を制御する。なお、CPU21は、課題を解決するための手段における、情報生成部に相当する。
【0031】
記憶部22は、読み込み及び書き込みが可能な記憶媒体であり、例えば、RAMや、ハードディスク(HDD)を用いることができる。本実施形態では、記憶部22として、HDDが採用されている。記憶部22は、例えば、前述したCPU21によって実行されるプログラムや、生産管理情報を生成する際に必要となる基準パルス数や、基準パルス間隔を格納している。また、記憶部22は、検出信号、サイクルタイム、および稼働情報を一時的に記憶する。
【0032】
送受信部23は、検出部10から検出信号を受信し、管理部40から生産管理情報を受信する受信部として機能する。また、送受信部23は、記憶部22に記憶されている情報を表示装置601~604および管理部40に送信する送信部としても機能する。
【0033】
入力部25は、外部から生産管理装置20へ信号を入力するための入力装置、例えば、スウィッチやキーボードである。本実形態において、入力部25は複数備えられ、本体部202や生産設備30a~30dの近傍に配置されている。生産管理装置20の利用者は、入力部25を介して生産管理装置20の設定変更、例えば、生産管理装置20から情報を送信する表示装置601~608の変更、が可能である。また、利用者は、入力部25を介して管理部40へ情報を入力できる。入力される情報は、例えば、生産設備30a~30dの故障等の異常の発生や保守・点検の予定である。
【0034】
管理部40は、送受信部41と、制御部43と、記憶部42と、を有する。管理部40は、本体部202とは別の場所に備えられている。本実施形態において、管理部40は、本体部202とインターネットINTを介して接続されたサーバ上に設けられている。サーバとして、情報共有サービスを利用してもよい。
【0035】
送受信部41は、管理部40をインターネットINTに通信可能な状態で接続する。送受信部41は、本体部202から送信された検出信号およびサイクルタイムを受信し、記憶部42へと出力する。また、送受信部41は、本体部202および予め設定された表示装置605~608へ生産管理情報を送信する。
【0036】
制御部43は、中央演算処理装置(CPU)を含み、本体部202の入力部25や表示装置601~608から出力された稼働情報を取得する。稼働情報は、稼働情報によって稼動状態が示された生産設備と関連付けられた状態で記憶部42へと出力される。さらに、制御部43は、稼働情報および稼働情報によって稼動状態が示された生産設備の少なくとも一方と、表示装置601~608の分類と、に応じて、複数の表示装置601~608のうち送信対象となる表示装置を決定する。表示装置601~608の分類は、出力された稼働情報が各表示装置601~608の使用者にとって必要な情報であるか否かを判断するために利用される。この分類は、各表示装置601~608の使用者の製造ラインL1、L2における役割と、使用者が業務を行なう場所と、表示装置601~608が使用される場所と、の少なくともいずれか1つに応じて定められている。送信対象が決定されると、制御部43は、送信対象となった表示装置のみに稼働情報を送信する様に、送受信部41及び本体部202の送受信部23を制御する。
【0037】
記憶部42は、読み込み及び書き込みが可能な記憶媒体であり、例えば、RAMや、ハードディスク(HDD)を用いることができる。記憶部22は、例えば、前述した制御部43の各種機能を実現するための各種プログラムや、稼働情報の送信対象を決定するための設定や、表示装置601~608の分類、を格納している。また、記憶部42は、検出信号や、サイクルタイムや、時間情報や、稼働情報や、その他の生産管理情報を記憶する。
【0038】
図4は、第1実施形態に係る生産管理装置20の検出部10aが設置されている様子を示す模式図である。検出部10aは、生産設備30aに備えられた開閉ドア301に取り付けられている。開閉ドア301は、加工が終了した製品が生産設備30aから排出される際に開く。センサ11は、生産設備30aの稼働状態を示す情報として製品WPが排出される際に開く開閉ドア301の動きを検出する。検出部10aは、センサ11として磁気センサを有している。磁気センサであるセンサ11による開閉ドア301の動きの検出は、センサ11と開閉時に位置が変動しないように設置された磁石112との距離の変化によるセンサによって検出される磁力の変化を用いて行なうことができる。
【0039】
図5は、第1実施形態に係る生産管理システム100における稼働情報と送信対象との対応を示す表である。制御部43は、稼働情報が示す稼働状態と、稼働情報によって稼働状態が示された生産設備30a~30dと、表示装置601~608の分類と、生産設備30a~30dに設定された重要度と、を用いて、稼働情報の送信対象を決定する。送信対象は、生産管理装置20と通信可能に接続された表示装置601~608から選択される一又は複数の表示装置である。送信対象となった表示装置601~608は、送信された稼働情報を情報表示部61に表示することによって使用者に稼働情報を報知する。表示装置601~608による報知は、稼働情報によって示された稼働状態が解消されると停止される。本実施形態において、報知の停止は、表示装置601~608による稼働情報の表示の停止である。
【0040】
稼働情報は、生産設備30a~30dの稼働状態を示す情報である。本実施形態において、稼働情報が示す稼働状態は、異常と刃具交換と段替えである。また、稼働情報は、本体部202のCPU21によって生成され、管理部40へ出力される。
【0041】
異常とは、生産設備30a~30dにおいて正常な生産活動が実行されていない状態、例えば、サイクルタイムの遅れや運転の異常停止、作業員による操作ミス、欠陥のある製品の排出、である。異常はさらに、軽度異常と重度異常とに分類される。軽度異常とは、重度異常と比べ短期間の作業によって解決可能と予測される異常を示している。重度異常とは、異常が予め定められた長さの時間(例えば10分)以上の間継続している状態や、正常な状態に戻すために点検や部品交換等の特別な対応が必要な異常である。異常を示す稼働情報は、生産設備30a~30dの近傍に備えられた入力部25への入力や、検出部10から出力される検出信号、に応じて取得される。具体的には、例えば検出信号に応じて取得されるサイクルタイムが予め定められた時間より長い場合には、異常を示す稼働情報が生成され取得される。また、作業者によって異常があると判断された場合には、作業者によって異常であることを示す信号が入力されることによって異常を示す稼働情報が取得される。作業者による入力は、生産設備30a~30dの近傍に配置された入力部25やスマートフォン等の表示装置601、602を介して行なわれる。本実施形態において、異常は、まず軽度異常として稼働情報が出力され、後に重度異常に切り替えられる。軽度異常から重度異常への切り替えは、例えば、作業者の操作による切り替えられる場合や、軽度異常が解消されずに予め定められた時間以上経過した場合に、実行される。
【0042】
刃具交換とは、生産設備30a、30bに装着された刃具を交換することを意味する。刃具交換が予定されている時刻が管理部40に登録されている場合には、登録された時刻になると自動的に稼働情報が取得される。また、生産数に応じて刃具交換の時期が管理されている場合には、一定の生産数に達した場合に自動的に稼働情報が出力される。刃具の破損や加工精度の低下等による予定されていない刃具交換が必要となった場合には、作業者からの入力によって稼働情報が出力される。なお、刃具交換が実行されている時間では、生産設備30a、30bの運転を停止する必要がある。このため、製造ラインL1で作業をする者は、刃具交換を示す稼働情報が必要である。
【0043】
段替えとは、製造する製品を変更するために生産設備30c、30dの設定を変更することを意味する。段替えが予定されている時刻が管理部40に登録されている場合には、登録された時刻になると自動的に稼働情報が出力される。また、生産数に応じて段替えの時期が管理されている場合には、一定の生産数に達した場合に自動的に稼働情報が出力される。生産計画の変更等に応じて、予定されていない段替えが必要になった場合には、作業者からの入力に応じて稼働情報が出力される。ここで、段替えが実行されている時間では、生産設備30c、30dの運転を停止する必要がある。このため、製造ラインL2で作業をする者は、段替えを示す稼働情報が必要である。
【0044】
本実施形態において、稼働情報として軽度異常と、重度異常と、刃具交換と、段替えと、の4種類の稼動状態を示す情報が設定されている。しかし、稼働情報は、これらに限定されない。稼働情報は、生産管理システム100が利用される環境に応じて変更してもよい。稼働情報は、別の稼働状態、例えばサイクルタイムの遅延や一定時間以上の間検出信号が出力されていない停止状態や保守点検が実行されている状態や試運転が実行されている状態、を示す情報を含んでいてもよい。また、稼働情報は、軽度異常と、重度異常と、刃具交換と、段替えと、の少なくともいずれか1つを含んでいなくてもよい。
【0045】
重要度は、各生産設備30a~30dについて定められ、製造ラインL1、L2の生産管理における重要性を示している。生産管理における重要性は、例えば、異常等が発生した場合の、製造ラインL1、L2全体への生産状況や、対処のための応援が必要であるか否か、作業者への負担の大きさ、に応じて判断される。本実施形態において、重要度は、生産設備30a~30dを用いて作業をしている作業者の残業の有無に応じて定められている。作業者が残業をした状態で作業をしている場合には、重要度は高と設定される。一方、作業者が残業をしていない場合には、重要度は低と設定される。具体的には、第1の生産設備30aと第3の生産設備30cの重要度は高に設定され、第2の生産設備30bと第4の生産設備30dの重要度は低に設定されている。本実施形態において、重要度は、作業者の残業の有無に応じて決定されているが、これに限定されない。例えば、重要度は、異常の発生頻度や製品の生産数への影響の大きさに応じて決定されても良い。本実施形態において、重要度は、高と低の二段階で分類されているが、これに限定されない。重要度は、三段階以上に分類されていてもよい。また、重要度を設定する必要がない場合、例えば、生産設備30a~30dに生産管理における重要度に差がない場合や、異常等が発生した際に重要度によって対処方法を変更する必要がない場合、には、重要度が設定されていなくても良い。
【0046】
分類は、第1類から第8類まで設けられている。表示装置601~608は、第1類から第8類までのいずれか一つに属している。各表示装置601~608がいずれの分類に属するかは、表示装置601~608を使用する使用者の製造ラインL1、L2における役割や、業務を行なう場所や、使用もしくは管理を担当する生産設備30a~30dに応じて決定されている。役割は、使用者にとって必要な稼働情報を判断するために利用される。業務を行なう場所は、表示装置601~608の使用者が生産設備30a~30dに異常等が発生した場合に使用者による対応が可能であるか否かの判断に利用される。担当する生産設備30a~30dは、使用者との関連性が高い生産設備30a~30dを判断するために利用される。ここで製造ラインL1、L2における役割は、製造ラインL1、L2の生産管理における業務の内容や役職に応じて判断され、本実施形態では、使用者の役割は、作業者と保守担当と管理者と責任者と4種類に分類されている。作業者は、製造ラインL1、L2で作業している者である。保守担当は、生産設備30a~30dの段換えや刃具交換や保守を担当している者である。管理者は、製造ラインL1、L2の生産管理を行なう者である。責任者は、製造ラインL1、L2を有する工場全体についての責任を負う者である。
【0047】
第1類には、モニタ装置である表示装置603が分類されている。表示装置603は、第1エリアAr1に配置され、製造ラインL1において作業をする複数の作業者である作業者Aによって使用される。作業者Aは、製造ラインL1において作業を行なう者であり、生産設備30a、30bを用いて製品の製造を行なっている者以外の者も含む。例えば、作業員Aは、製造ラインL1における生産活動を指揮する者や、製造ラインL1に一時的に訪れている者も含む。第1類に分類された表示装置603は、生産設備30aおよび生産設備30bについての異常や刃具交換を示す稼働情報が出力された場合に送信対象になる。なお、異常のうち軽度異常は、重要度の高い生産設備30aについてのみ送信される。製造ラインL1で作業をする表示装置603の使用者である作業者Aには、製造ラインL2に関する稼働情報は送信されない。これにより、作業者Aに対する影響が少ない稼働情報の報知が抑制される。また、表示装置603は重要度の低い生産設備30aの軽度異常は送信されない。生産設備30aの軽度異常が送信されないのは、生産設備30aの軽度異常は、生産設備30a、30bを直接利用しない作業者や、生産設備30a、30bの管理を担当しない作業者の作業内容に対して直ちに影響を与えないためである。
【0048】
第2類には、モニタ装置である表示装置604が分類されている。表示装置604は、第1エリアAr1に配置され、製造ラインL2において作業をする複数の作業者である作業者Bによって使用される。作業者Bは、製造ラインL2において作業を行なう者であり、生産設備30c、30dを用いて製品の製造を行なっている者以外の者も含む。例えば、作業員Bは、製造ラインL2における生産活動を指揮する者や、製造ラインL2に一時的に訪れている者も含む。第2類に分類された表示装置604は、生産設備30cおよび生産設備30dについての異常や段替えを示す稼働情報が出力された場合に送信対象になる。なお、異常のうち軽度異常は、重要度の高い生産設備30cについてのみ送信される。製造ラインL2で作業をする表示装置604の使用者である作業者Bには、製造ラインL1に関する稼働情報は送信されない。これにより、作業者Bに対する影響が少ない稼働情報の報知が抑制される。また、表示装置604は重要度の低い生産設備30dの軽度異常は送信されない。生産設備30dについての軽度異常が送信されないのは、生産設備30dの軽度異常は、生産設備30c、30dを直接利用しない作業者や、生産設備30c、30dの管理を担当しない作業者に対して直ちに影響を与えるおそれが低いためである。
【0049】
第3類には、端末装置である表示装置601が分類されている。表示装置601は、第1エリアAr1に設けられた製造ラインL1で作業をする作業者Cに携帯され、表示装置601を携帯している作業者Cによって使用される。作業者Cは、製造ラインL1に設置された生産設備30a、30bを利用して作業を行なう者や、生産設備30a、30bの点検や管理を担当する者である。第3類に分類された表示装置601は、生産設備30aおよび生産設備30bについての異常や刃具交換を示す稼働情報が出力された場合に送信対象になる。なお、第1類と異なり、軽度異常を示す稼働情報が重要度に関係なく送信される。これにより、作業者Cは、生産設備30a、30bで発生した異常に迅速な対応が可能である。製造ラインL1で作業をする作業者Cには、製造ラインL2に関する稼働情報は送信されない。これにより、表示装置603の使用者に対する影響が少ない稼働情報の報知が抑制される。
【0050】
第4類には、端末装置である表示装置602が分類されている。表示装置602は、第1エリアAr1に設けられた製造ラインL2で作業をする作業者Dに携帯され、表示装置602を携帯している作業者Dによって使用される。作業者Dは、製造ラインL2に設置された生産設備30c、30dを利用して作業を行なう者や、生産設備30c、30dの点検や管理を担当する者である。第4類に分類された表示装置602は、生産設備30cおよび生産設備30dについての異常や段替えを示す稼働情報が出力された場合に送信対象になる。なお、第2類と異なり、軽度異常を示す稼働情報が重要度に関係なく送信される。これにより、作業者Dは、生産設備30c、30dで発生した異常に迅速な対応が可能である。製造ラインL2で作業をする作業者Dには、製造ラインL1に関する稼働情報は送信されない。これにより、作業者Dに対して影響が少ない稼働情報の報知が抑制される。
【0051】
第5類には、端末装置である表示装置607が分類されている。表示装置607は、第1エリアAr1の外部である第4エリアAr4にいる管理者Aに携帯され、表示装置607を携帯する管理者Aによって使用される。管理者Aは、製造ラインL1の生産管理を担当する者であり、生産状況に問題等が発生した場合に対応する役割を有する。第5類に分類された表示装置607は、生産設備30a、30bについての重度異常を示す稼働情報が出力された場合に送信対象になる。管理者Aによる対応が必要な重度異常についてのみが管理者Aへ送信される。これにより、管理者Aに対する必要性の低い情報の報知が抑制される。
【0052】
第6類には、端末装置である表示装置608が分類されている。表示装置608は、第1エリアAr1の外部である第4エリアAr4にいる管理者Bに携帯され、表示装置608を携帯する管理者Bによって使用される。管理者Bは、製造ラインL2の生産管理を担当する者であり、生産状況に問題等が発生した場合に対応する役割を有する。第6類に分類された表示装置608は、生産設備30c、30dについての重度異常を示す稼働情報が出力された場合に送信対象になる。管理者Bによる対応が必要な重度異常についてのみが管理者Bへ送信される。これにより、管理者Bに対する必要性の低い情報の報知が抑制される。
【0053】
第7類には、端末装置である表示装置606が分類されている。表示装置606は、第1エリアAr1の外部である第3エリアAr3にいる保守担当に携帯され、表示装置606を携帯する保守担当によって使用される。保守担当は、製造ラインL1、L2に配置された生産設備30a~30dの保守等(例えば、保守や刃具交換や段替え)を担当する者である。第7類に分類された表示装置606は、生産設備30a~30dについての段替え及び刃具交換を示す稼働情報が出力された場合に送信対象になる。保守担当による対応が必要な段替え及び刃具交換についてのみが保守担当へ送信される。これにより、保守担当に対する必要性の低い情報の報知が抑制される。
【0054】
第8類には、表示装置605が分類されている。表示装置605は、第1エリアAr1の外部である第2エリアAr2にいる責任者によって使用されている。責任者は、製造ラインL1、L2の生産についての責任を有する者であり、製造ラインL1、L2で発生した大きな問題や生産状況の大きな遅れを把握する必要がある。第8類に分類された表示装置605は、重要度が高い生産設備30a、30cについての重度異常を示す稼働情報が出力された場合に送信対象となる。これにより、責任者に対する必要性の低い情報の報知が抑制される。
【0055】
本実施形態において、稼働情報の表示装置601~608へ送信する際の制御として、8つの分類を具体的に示して説明したが、これに限定されない。例えば、分類は、生産管理システム100を利用する環境や目的に応じて変更してもよい。分類は、7つ以下でもよく、9つ以上でもよい。例えば、製品の生産に関わる者が、本実施形態と比べて、多様である場合には、区分が9つ以上であってよい。また、本実施形態では、1つの製造ラインL1、L2が長く、同一の製造ラインL1、L2で作業をしている作業者であっても、異常の発生等への対応が困難である場所や生産設備がある場合には、分類をより細分化してもよい。また、本実施形態において、使用者の役割を4種類に分けているが、本実施形態における複数の役職を一の者が兼任している場合には、分類を少なくしてもよい。本実施形態において、各分類に属する表示装置601~608は、1つであるが、これに限定されない。各分類に属する表示装置は、複数であってもよい。
【0056】
第1の実施形態に係る生産管理システム100によれば、管理部40の送受信部41は、送信対象となった表示装置のみに稼働情報を送信するので、稼働情報を知る必要のない者が利用する表示装置への稼働情報の送信が抑制される。このため、生産管理システム100の利用者に報知される稼働情報に、必要な稼働情報と必要でない稼働情報とが混在するおそれが低減する。したがって、必要な稼働情報と必要でない稼働情報とが混在することによる、生産管理システム100の利用者による稼働情報の確認効率の低減が抑制される。また、稼働情報を知る必要のない者に対する稼働情報の報知が抑制されるので、不要な稼働情報の報知によって、利用者が生産管理システム100による稼働情報の報知をわずらわしく感じるおそれが低減される。
【0057】
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態に係る生産管理システム400を備えた製造ラインL1、L2の概略図である。図7は、第2実施形態に係る生産管理装置520の構成を示すブロック図である。第2実施形態に係る生産管理システム400において、本体部202のCPU21が制御部43として機能する。生産管理システム400は、インターネットを用いた情報共有を行なっていない。また、表示装置611~614は、生産管理装置520が配置された工場ar1内でのみ利用される。第1実施形態の構成については、第1実施形態と同様の符号を付し、説明を省略する。本実施形態において、生産管理システム400の利用者は、工場ar1内で作業をすることが想定されている。本実施形態において、生産管理システム400は、インターネットに接続されていないが、これに限定されない。例えば、生産管理装置520は、インターネットに接続され、インターネットを介して、工場ar1の外部に生産管理情報を報知しても良い。
【0058】
第2実施形態によれば、インターネット上のサーバに制御部43を設けていないため、生産管理システム400は、インターネットに接続されていないオフライン状態であっても制御部43による送受信部23の制御が可能である。また、第1実施形態と同様に、必要な稼働情報と必要でない稼働情報とが混在することによる、生産管理システム400の利用者が報知された稼働情報を確認する際の、効率の低減が抑制される。また、稼働情報を知る必要のない者に対する稼働情報の報知が抑制されるので、不要な稼働情報の報知によって、利用者が生産管理システム400による稼働情報の報知をわずらわしく感じるおそれが低減される。
【0059】
C.他の実施形態:
C-1.第1の他の実施形態:
第1実施形態に係る生産管理システム100は、製造ラインL1、L2が配置された工場の敷地外、例えば第2から第4エリアAr2~Ar4、から接続可能なインターネットINTを用いて情報を共有している。しかし、生産管理システム100は、これに限定されない。例えば、生産管理システム100は、インターネットINTに代えて、企業内ネットワーク、いわゆるイントラネットを用いて情報の共有を行なってもよい。この場合には、生産管理装置20の管理部40は、企業内ネットワークに接続されたサーバに設けられている。通信装置70は、例えば、企業内ネットワークに接続された無線LAN通信装置である。表示装置601~608は、企業内ネットワークへの接続が可能な場所、例えば、製造ラインL1、L2を有する事業所内で使用される。この場合であっても、必要な稼働情報と必要でない稼働情報とが混在することによる、生産管理システム100の利用者による稼働情報の確認効率の低減が抑制される。また、稼働情報を知る必要のない者に対する稼働情報の報知が抑制されるので、不要な稼働情報の報知によって、利用者が生産管理システム100による稼働情報の報知をわずらわしく感じるおそれが低減される。
【0060】
C-2.第2の他の実施形態:
上記実施形態において、稼働情報は、本体部202のCPU21によって生成されているが、これに限定されない。例えば、稼働情報の生成は、管理部40の制御部43によって行なわれてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様に、必要な稼働情報と必要でない稼働情報とが混在することによる、生産管理システム100の利用者による稼働情報の確認効率の低減が抑制される。また、稼働情報を知る必要のない者に対する稼働情報の報知が抑制されるので、不要な稼働情報の報知によって、利用者が生産管理システム100による稼働情報の報知をわずらわしく感じるおそれが低減される。
【0061】
C-3.第3の他の実施形態:
上記実施形態において、稼働情報は、検出部10から出力される検出信号や、サイクルタイム、入力部25を介した情報の入力、予め登録された予定、に応じて生成されている。しかし、稼働情報は、これら以外に応じて生成されてもよい。例えば、製造ラインL1、L2に備えられたアンドンや報知器から稼働状況を取得し、取得した稼働状況に応じて稼働情報を生成してもよい。具体的には、例えばアンドンや報知器に光センサを取り付け、アンドンや報知器の稼働状況を示すための点灯を取得した際に出力される検出信号を用いて稼働情報を生成することができる。この場合であっても、上記実施形態と同様に、必要な稼働情報と必要でない稼働情報とが混在することによる、生産管理システム100の利用者による稼働情報の確認効率の低減が抑制される。また、稼働情報を知る必要のない者に対する稼働情報の報知が抑制されるので、不要な稼働情報の報知によって、利用者が生産管理システム100による稼働情報の報知をわずらわしく感じるおそれが低減される。
【0062】
C-4.第4の他の実施形態:
上記実施形態において、検出部10は、製造ラインL1、L2に設置されている生産設備30a~30dに取り付け可能、つまり後付け可能であるが、これに限定されない。例えば、生産設備30a~30dが製造ラインL1、L2に設置される前から有しているセンサを検出部10のセンサ11として用いても良い。製造ラインL1、L2に設置される前から有しているセンサとは、例えば、生産設備30a~30dの製造時や搬入前や設置前に、生産設備30a~30dへと取り付けられたセンサである。また、生産管理システム100以外のために取り付けられたセンサ、例えば、PLCによる制御のために取り付けられたセンサ、を検出部10のセンサ11として利用してもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様に、必要な稼働情報と必要でない稼働情報とが混在することによる、生産管理システム100の利用者による稼働情報の確認効率の低減が抑制される。また、稼働情報を知る必要のない者に対する稼働情報の報知が抑制されるので、不要な稼働情報の報知によって、利用者が生産管理システム100による稼働情報の報知をわずらわしく感じるおそれが低減される。
【0063】
C-5.第5の他の実施形態:
上記実施形態において、稼働情報を報知するための報知装置として表示装置601~608が用いられているが、これに限定されない。例えば、報知装置として、アンドンや、音声による稼働情報を報知する装置や、稼働情報に応じて異なる色の光を発する装置、が用いられてもよい。また、表示装置601~608以外に報知装置が備えられている場合には、表示装置601~608は、報知装置としての機能を有していなくてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様に、必要な稼働情報と必要でない稼働情報とが混在することによる、生産管理システム100の利用者による稼働情報の確認効率の低減が抑制される。また、稼働情報を知る必要のない者に対する稼働情報の報知が抑制されるので、不要な稼働情報の報知によって、利用者が生産管理システム100による稼働情報の報知をわずらわしく感じるおそれが低減される。
【0064】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行なうことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
10、10a、10b、10c、10d…検出部
11…センサ
12…コントロール部
13…送信部
20、520…生産管理装置
21…中央演算処理部(CPU)
22…記憶部
23…送受信部
24…表示部
25…入力部
30a、30b、30c、30d…生産設備
31…搬送機構
40…管理部
41…送受信部
42…記憶部
43…制御部
61…情報表示部
70…通信装置
100、400…生産管理システム
202…本体部
601~608…表示装置
611~614…表示装置
INT…インターネット
L1、L2…製造ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7