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特許7541712ベシクル組成物及びそれを含有する頭髪用化粧料並びに還元ケラチンの安定化剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ベシクル組成物及びそれを含有する頭髪用化粧料並びに還元ケラチンの安定化剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/65 20060101AFI20240822BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240822BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240822BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20240822BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20240822BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K8/65
A61K8/04
A61K8/34
A61K8/39
A61Q5/02
A61Q5/04
A61Q5/06
A61Q5/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020087413
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021181414
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】303028376
【氏名又は名称】株式会社 リトル・サイエンティスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 恭稔
(72)【発明者】
【氏名】柴橋 知明
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-184355(JP,A)
【文献】特開2018-199669(JP,A)
【文献】国際公開第2018/220739(WO,A1)
【文献】山内 清,ケラチンの開発:高分子フィルムの特性,FRAGRANCE JOURNAL,1993年05月,p.62-67
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
B01J 13/00-13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオール、(B)ラウリン酸ポリグリセリル-10、及び(C)還元ケラチンを含有する、ベシクル組成物。
【請求項2】
請求項1記載のベシクル組成物を含有する、頭髪用化粧料。
【請求項3】
(A)ポリオール及び(B)ラウリン酸ポリグリセリル-10を含有する、還元ケラチンの安定化剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元ケラチンの安定性に優れるベシクル組成物に関する。また、本発明は、毛髪適用部位へ優れた浸透性及び持続性を有し、適用部位における毛髪の機能・特性に対する保護力、補修力及び改善力が高い頭髪用化粧料に関する。更に、本発明は、還元ケラチンの安定性を向上させることができる還元ケラチンの安定化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪用化粧料は、単に毛髪の外見を美しく、そして毛髪の感触を整えるだけでなく、適用部位を保護するため、あるいは適用部位における機能・特性を補修又は改善するために用いることがある。頭髪用化粧料に配合すると有効な成分として、例えば、羽毛又は羊毛等に含まれるタンパク質であるケラチンは、毛髪に対して馴染みやすく、毛髪の補修及び改質に有効であることが知られている。
【0003】
そこで、適用部位への持続性に優れた還元ケラチンを含有する化粧料として、特許文献1のような技術が知られている。還元ケラチンは毛髪内部で架橋可能なチオール基を有することで、毛髪に対してチオール基を介して架橋することができる。これにより還元ケラチンは、強度及び伸長率等の物性並びにうねり等の改善、並びにウェーブの形成等、毛髪を持続的に補修及び改質することができる。
【0004】
また、化粧料が含有する有効成分の適用部位への浸透性を向上する方法として、特許文献2のような技術が知られている。有効成分をベシクル化することにより、適用部位への有効成分の浸透性を向上することができる。特許文献3のような技術と比較して、簡便性に優れ、幅広い物質をベシクル化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-100600号公報
【文献】特開2018-199669号公報
【文献】特開2015-189763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
還元ケラチンはチオール基を有するため、還元ケラチンを頭髪用化粧料に配合する場合、頭髪用化粧料内部でチオール基を介して還元ケラチン同士の架橋が起こってしまうことがあった。そのため、還元ケラチンを配合した頭髪用化粧料において、還元ケラチンを経時的に安定化することに課題があった。
【0007】
従って、本発明は、還元ケラチンの安定性に優れるベシクル組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、毛髪適用部位へ優れた浸透性及び持続性を有し、毛髪の適用部位における保護力、補修力及び改善力が高い頭髪用化粧料を提供することを目的とする。更に、本発明は、還元ケラチンの安定性を向上させることができる安定化剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、(A)ポリオール、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び(C)還元ケラチンを含有するベシクル組成物において、還元ケラチンが経時的に安定することを見出した。
【0009】
さらに、前記ベシクル組成物を含有する頭髪用化粧料は、還元ケラチンが経時的に安定化されていることから、毛髪の適用部位に対し、保護力、補修力及び改善力を長期的に安定して発揮することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のベシクル組成物は、還元ケラチンの安定性に優れている。本発明の頭髪用化粧料は、還元ケラチンの安定性に優れていることから、毛髪の適用部位に対し、保護力、補修力及び改質力を長期的に安定して発揮することができる。本発明の安定化剤によれば、還元ケラチンの安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)ベシクル組成物
本発明のベシクル組成物は、(A)ポリオール、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び(C)還元ケラチンを含有する。本発明のベシクル組成物は、還元ケラチンの安定性に優れていることから、還元ケラチンの安定性向上のために用いることができる。
【0012】
(A)ポリオールは、ベシクル組成物を得ることができる限り、その種類に特に限定はない。前記(A)ポリオールとして具体的には、例えば、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールが挙げられる。ベシクル形成のし易さの観点から、(A)ポリオールとしてグリセリン及び1,3-ブチレングリコールが好ましい。(A)ポリオールは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
(A)ポリオールの含有量は、必要に応じて適宜設定することができる。本発明のベシクル組成物中、(A)ポリオールの含有量は通常、5~40質量%である。
【0014】
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ベシクル組成物を得ることができる限り、その種類に特に限定はない。(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルとして具体的には、例えば、炭素数6~22の脂肪酸から選択される1個以上の脂肪酸と重合度5~20であるポリグリセリンをエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。前記炭素数6~22の脂肪酸として具体的には、例えば、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸が挙げられる。
【0015】
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルとして具体的には、例えば、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、及びトリオレイン酸ポリグリセリル-10等が挙げられる。(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ベシクル形成のし易さの観点から、ラウリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、及びジイソステアリン酸ポリグリセリル-10等が好ましい。(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、必要に応じて適宜設定することができる。本発明のベシクル組成物中、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は通常、0.5~5質量%である。当該含有量は、上記の(A)ポリオールの含有量の記載と組み合わせてもよい。
【0017】
(A)ポリオール及び(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合比率は、ベシクル組成物を得ることができる限り、特に限定はない。(A)ポリオール及び(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合比率は、ベシクルの形成し易さの観点から、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(A)ポリオール=0.01~1.0が好ましく、0.05~0.7が更に好ましく、0.1~0.4が特に好ましい。これにより、安定性の高いベシクルを形成することができる。当該配合比率は、上記の(A)ポリオール及び/又は(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量の記載と組み合わせてもよい。
【0018】
(C)還元ケラチンは、少なくとも1つのチオール基を有するケラチン誘導体である。還元ケラチンは、還元抽出されているため、加水分解ケラチンとは異なる。(C)還元ケラチンを得る方法に特に限定はない。(C)還元ケラチンは通常、ケラチン又は加水分解ケラチン中のシスチンを還元することにより得ることができる。ケラチン又は加水分解ケラチン中のシスチンを還元することができる限り、還元の方法・条件に特に限定はない。
【0019】
前記還元ケラチンを得るためのケラチン又は加水分解ケラチンの由来には限定はない。前記ケラチン又は加水分解ケラチンとして具体的には、例えば、ケラチンを含むヒト及び鳥獣の毛(人毛、羊毛、羽毛など)、角、爪が挙げられる。
【0020】
(C)還元ケラチンは、少なくとも1つのチオール基を有する限り、具体的構造に特に限定はない。(C)還元ケラチンは、還元によりケラチン中の全てのシスチンが還元されているものでもよく、あるいは、ケラチン中のシスチンの一部が還元されることなく残存しているものでもよい。また、(C)還元ケラチンは、毛髪への架橋の観点から、アミノ酸100残基当たり4個以上のシステインを有していることが好ましい。システインが4個以上であると、毛髪に対する架橋力が強く、充分な持続性が得られるので好ましい。更に、(C)還元ケラチンは、毛髪の適用部位に対し、保護力、補修力及び改質力がある限り、分子量に限定はない。
【0021】
(C)還元ケラチンの含有量は、必要に応じて適宜設定することができる。本発明のベシクル組成物中、(C)還元ケラチンの含有量は通常、0.01~20質量%である。当該含有量は、上記の(A)ポリオールの含有量の記載と組み合わせてもよい。上記の(A)ポリオール及び(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量並びに上記(A)ポリオール及び(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合比率のいずれか単独若しくは組み合わせ又は全ての記載と組み合わせてもよい。
【0022】
本発明のベシクル組成物は、ベシクル形成を阻害しない限り、必要に応じて、前記(A)~(C)以外の他の成分を含んでいてもよい。
【0023】
本発明のベシクル組成物を得る方法には特に限定はない。本発明のベシクル組成物は、例えば、(A)~(C)成分を個々に溶媒に添加することにより、あるいは(A)成分及び(B)成分を含む液と(C)成分を含む液とを組み合わせることにより、(A)~(C)成分を含む液状物を調製し、次いで、攪拌等の公知の方法、具体的には、例えば、高温下で前記液状物をホモミキサー攪拌することにより、調製することができる。本記載は、還元ケラチンをベシクル化する方法及び還元ケラチンを安定化する方法も開示する。
【0024】
還元ケラチンは、チオール基を有するため、還元ケラチン同士が反応し、チオール基を介して架橋することがある。還元ケラチン同士が架橋すると、チオール基が失われるため、還元ケラチンの反応性が低下してしまう。還元ケラチン単一の状態であれば、可溶化剤(界面活性剤等)又は安定化剤(還元剤等)を配合することで安定化させることができる。しかし、頭髪用化粧料に還元ケラチンを配合すると、頭髪用化粧料の複数の配合成分の相互作用によって、還元ケラチン同士が架橋することがある。
【0025】
本発明のベシクル組成物では、還元ケラチンをベシクル化することにより、還元ケラチンを安定化することができる。そのため、本発明のベシクル組成物により、還元ケラチン同士の架橋を防ぐことができる。更に、ベシクル化した還元ケラチンを頭髪用化粧料に配合した場合でも、還元ケラチン同士の架橋を防ぎ、還元ケラチンを安定化することができる。したがって、本発明のベシクル組成物を頭髪用化粧料に含有させることにより、還元ケラチンによる有用な効果を長期的に発揮することができる。尚、当該知見は、発明の理解のための便宜を目的とするに過ぎず、何ら本発明を定義付ける趣旨の説明ではない。
【0026】
(2)頭髪用化粧料
本発明の頭髪用化粧料は、本発明のベシクル組成物を含む。本発明の頭髪用化粧料は、還元ケラチンをベシクル化して安定化することにより、毛髪の適用部位への浸透性を向上することができる。これにより、毛髪の適用部位に対する、保護力、補修力及び改質力を高めることができる。
【0027】
本発明の頭髪用化粧料において、本発明のベシクル組成物の含有量は、毛髪の適用部位における機能・特性に対する有効量である限り特に限定はない。
【0028】
本発明の頭髪用化粧料に本発明のベシクル組成物を含有させる方法にも特に限定はない。例えば、本発明のベシクル組成物を別に調製し、これを頭髪用化粧料に添加してもよい。また、本発明のベシクル組成物を構成する前記(A)~(C)成分を、頭髪用化粧料を構成する成分(又はその一部)と共に配合し、頭髪用化粧料中又は頭髪用化粧料を構成する成分中でベシクルを形成してもよい。
【0029】
本発明の頭髪用化粧料は、本発明の作用を阻害しない限り、必要に応じて、前記(A)~(C)以外の他の成分を含んでいてもよい。該他の成分として、従来から頭髪用化粧料に添加含有されている公知成分、あるいは他の機能性成分が挙げられる。該他の成分として具体的には、例えば、油脂、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、界面活性剤(非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、両性)、保湿剤、水溶性高分子、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、アミノ酸、pH調整剤、ビタミン、酸化防止剤、色素、防腐剤、及び香料等が挙げられる。
【0030】
本発明の頭髪用化粧料の具体的用途には特に限定はない。本発明の頭髪用化粧料は、例えば、毛髪の物性(強度及び伸長率等)を改善するため、又は毛髪のハネ若しくはうねりによる毛先の乱れを改善し、あるいは、さらに質感(しっとり感、さらさら感、柔らかさ等)を向上するために用いることができる。前記頭髪用化粧料は還元ケラチンを含有することから、具体的な実施形態としては、例えば、シャンプー、リンス、トリートメント、コンディショナー、整髪料、パーマネントウェーブ剤、カーリング剤、ヘアカラー剤、育毛・養毛剤、及びこれらの剤を使用する前又は後処理剤等が好ましい。
【0031】
(3)安定化剤
本発明の還元ケラチンの安定化剤は、(A)ポリオール及び(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する。(A)ポリオール及び(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルについては、上記の説明が妥当する。また、「還元ケラチン」については、上記の(C)還元ケラチンの説明が妥当する。
【0032】
本発明の安定化剤は、還元ケラチンのベシクル化を阻害しない限り、必要に応じて、前記(A)及び(B)以外の他の成分を含んでいてもよい。
【0033】
本発明の安定化剤と還元ケラチンとを組み合わせ、還元ケラチンをベシクル化することにより、還元ケラチンを安定化することができる。これにより、還元ケラチン同士の架橋を防ぐことができる。この方法でベシクル化した還元ケラチンを頭髪用化粧料に配合した場合でも、還元ケラチン同士の架橋を防ぎ、還元ケラチンを安定化することができ、長期的に有用な効果を発揮することができる。
【0034】
本発明の安定化剤により還元ケラチンを安定化、あるいは還元ケラチンをベシクル化する方法及び条件には特に限定はない。例えば、本発明の安定化剤と還元ケラチンを含む液とを組み合わせて液状物を調製し、次いで、攪拌等の公知の方法、具体的には、例えば、高温下で前記液状物をホモミキサー攪拌することにより、還元ケラチンをベシクル化し、還元ケラチンを安定化させることができる。尚、前記液状物は、必要に応じて本発明の安定化剤及び還元ケラチン以外の成分を含んでいてもよい。
【実施例
【0035】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、実施例に示す形態に限定されない。本発明の実施形態は、目的及び用途に応じて、本発明の範囲内で種々変更することができる。また、実施例における結果に対する考察は、全て発明者の見解に過ぎず、何ら本発明を定義付ける趣旨の説明ではないことを付言する。
【0036】
(1)ベシクル組成物の調整
常法に従い、表1に示す実施例1~3及び比較例1~4のベシクル組成物を調製した。表1の数値は、当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。
【0037】
(2)還元ケラチンの経時安定性試験
前記(1)で調製した実施例1~3及び比較例1~4のベシクル組成物を、50℃に設定した恒温器(ヤマト科株式会社製「送風定温恒温器DKN302」)に14日間放置後、安定性を評価した。その結果を表1に示す。ここでの安定性とは、還元ケラチンの安定性のことである。還元ケラチンが反応して還元ケラチン同士が架橋すると、溶解性が低下し、澱が発生する。ここでは、澱の発生具合を5段階で安定性を評価した。澱が多く発生するほど、安定性が悪いことを示す。
・安定性評価
5:澱が全く発生していない
4:ほぼ澱が発生していない
3:やや澱が発生している
2:澱が発生している
1:多くの澱が発生している
【0038】
【表1】
【0039】
(3)試験結果
表1の結果から、比較例1~4と比べて、本発明のベシクル組成物に含まれる実施例1~3では、還元ケラチンの経時安定性に優れることが確認された。
【0040】
以下に本発明のベシクル組成物を含有する頭髪用化粧料の処方例を示す。配合量は質量%である。これらの処方例はいずれも、前記(2)の評価方法により、還元ケラチンの優れた安定性が認められた。
【0041】
(処方例1;シャンプー)
成分 含有量(質量%)
ココイルグルタミン酸TEA 12.00
ラウロイルメチルアラニンNa 4.00
コカミドプロピルベタイン 3.00
コカミドDEA 1.50
ポリクオタニウム-10 0.40
尿素 1.00
エチドロン酸 0.05
安息香酸Na 0.40
実施例2の組成物 10.00
ルイボスエキス 0.10
アロエベラ液汁 0.10
香料 適量
精製水 残量
全量 100.00
【0042】
(処方例2;ヘアトリートメント)
成分 含有量(質量%)
ベヘントリモニウムクロリド 1.50
ステアルトリモニウムクロリド 1.50
ステアリン酸グリセリル 1.00
セチルアルコール 6.00
ベヘニルアルコール 1.00
水添ポリイソブテン 6.00
ジメチコン 3.00
アモジメチコン 1.00
ジメチコノール 1.00
ポリシリコーン-29 0.30
シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 0.20
グリセリン 1.00
BG 2.00
カエサルピニアスピノサガム 0.40
乳酸 0.05
コレステロール 0.10
セラミドNP 0.10
メチルパラベン 0.20
プロピルパラベン 0.10
実施例2の組成物 10.00
香料 適量
精製水 残量
全量 100.00
【0043】
(処方例3;ヘアミスト)
成分 含有量(質量%)
PEG-60水添ヒマシ油 1.00
BG 5.00
グリセリン 2.00
エトキシジグリコール 1.00
尿素 1.00
クエン酸 0.05
ジメチコン 0.50
アモジメチコン 0.50
ビスセテアリルアモジメチコン 0.50
ジメチコノール 0.50
セラミドAG 0.10
加水分解シルク 0.50
アルギニンエチルHCl 0.50
クロフサスグリ果実エキス 0.01
メチルパラベン 0.20
実施例2の組成物 10.00
香料 適量
精製水 残量
全量 100.00
【0044】
(処方例4;処理剤)
成分 含有量(質量%)
PG 5.00
グリセリン 2.00
ベタイン 2.00
尿素 1.00
トレハロース 0.50
ポリクオタニウム-7 0.50
デシルグルコシド 0.10
ラウラミドプロピルベタイン 0.10
加水分解ケラチン 1.00
加水分解コラーゲン 1.00
加水分解シルク 1.00
セラミドAP 0.50
アルギニン 0.01
クエン酸 0.05
メチルパラベン 0.20
実施例2の組成物 5.00
香料 適量
精製水 残量
全量 100.00
【0045】
(処方例5;ヘアワックス)
成分 含有量(質量%)
キャンデリラロウ 3.00
セテアリルアルコール 2.00
ステアリン酸グリセリル 1.00
ステアリン酸 2.00
セテス-40 1.00
水添ポリイソブテン 4.00
ジメチコン 2.00
ポリアクリルアミド 0.50
BG 2.00
水酸化Na 0.02
ホホバ種子油 0.10
フェノキシエタノール 0.80
実施例2の組成物 2.00
香料 適量
精製水 残量
全量 100.00
【0046】
(処方例6;ヘアクリーム)
成分 含有量(質量%)
ミネラルオイル 10.00
ブドウ種子油 3.00
ワセリン 3.00
イソステアリン酸グリセリル 2.00
セテス-40 2.00
ツバキ種子エキス 0.50
ポリソルベート-20 1.00
カルボマー 0.50
アルギニン 0.10
グリセリン 3.00
メチルパラベン 0.20
プロピルパラベン 0.10
実施例2の組成物 4.00
香料 適量
精製水 残量
全量 100.00
【0047】
(処方例7;ヘアマニキュア)
成分 含有量(質量%)
ベンジルアルコール 4.00
エタノール 25.00
グリコール酸 2.00
ヒドロキシエチルセルロース 2.00
キサンタンガム 0.40
ジメチコン 1.00
黒401 0.50
実施例2の組成物 3.00
香料 適量
精製水 残量
全量 100.00
【0048】
(処方例8;ヘアカラートリートメント)
成分 含有量(質量%)
ステアルトリモニウムクロリド 1.00
ベヘナミドプロピルジメチルアミン 2.00
セテアリルアルコール 8.00
カプリル酸グリセリル 2.00
デシルグルコシド 0.50
ヒドロキシエチルセルロース 0.30
ポリクオタニウム-37 0.50
ジメチコン 1.00
アモジメチコン 1.00
ジメチコノール 1.00
エトキシジグリコール 3.00
グリセリルグルコシド 1.00
尿素 4.00
炭酸水素アンモニウム 0.80
アルギニン 0.40
塩基性青9 90.20
HC青2 0.20
実施例2の組成物 5.00
フェノキシエタノール 0.80
香料 適量
精製水 残量
全量 100.00
【0049】
(処方例9;カーリング剤)
(1剤)
成分 含有量(質量%)
システアミンHCl 2.00
コレステロール 0.50
グルコシルセラミド 0.50
モノエタノールアミン 0.50
アルギニン 0.30
クエン酸 0.50
ステアリン酸ポリグリセリル-10 1.00
コカミドDEA 1.00
EDTA-2Na 0.10
フェノキシエタノール 0.80
実施例2の組成物 2.00
香料 適量
精製 水残量
全量 100.00
(2剤)
成分 含有量(質量%)
臭素酸Na 10.00
BG 4.00
クエン酸 0.10
クエン酸Na 0.60
フェノキシエタノール 0.80
ヒドロキシエチルセルロース 2.00
PEG-60水添ヒマシ油 1.00
香料 適量
精製水 残量
全量 100.00
【0050】
(処方例10;ヘアスプレー(エアゾール))
成分 含有量(質量%)
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP 2.00
BG 1.00
ユズ果実エキス 1.00
ジメチコン 0.10
実施例2の組成物 1.00
精製水 5.00
香料 適量
エタノール 残量
LPG 6.00
全量 100.00
【0051】
(処方例11;セットジェル)
成分 含有量(質量%)
PVP 4.00
BG 2.00
エタノール 25.00
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド 1.20
クエン酸 0.05
クエン酸Na 0.10
アルゲエキス 1.00
マカデミアナッツ油 0.10
実施例2の組成物 1.00
香料 適量
精製水 残量
全量 100.00
【0052】
上記の通り、本発明の組成物及び安定化剤は、還元ケラチンを安定化することに優れている。本発明の頭髪用化粧料は、還元ケラチンの安定性に優れているため、毛髪の適用部位における保護力、補修力及び改善力に優れると共に、長期的に有用な効果を発揮することができる。よって、本発明の頭髪用化粧料は、用途が広く実用的であり、化粧品業界の分野において利用価値が高い。