(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ドレン構造
(51)【国際特許分類】
E04D 13/04 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
E04D13/04 E
(21)【出願番号】P 2020116080
(22)【出願日】2020-07-06
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】592179137
【氏名又は名称】株式会社アルテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧瀬 伸一
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-321907(JP,A)
【文献】特開2020-183671(JP,A)
【文献】特開2010-116716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/04
E03C 1/12
E03C 1/262
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口を覆う通水構造のドレンキャップと、該ドレンキャップの内側から下方に張り出し且つ前記排水口の内部に窄めて挿入されてから自身の弾性力により復元して前記排水口の内部周囲に圧接する複数枚の板ばね部材と、該各板ばね部材を上下方向に摺動自在に案内して横方向への移動を規制するよう前記排水口の外縁部に設けられたガイド部材とを備えたことを特徴とするドレン構造。
【請求項2】
板ばね部材の板幅に相当する間隔で排水口の周方向に離間した一対のガイドリブによりガイド部材が構成されていることを特徴する請求項1に記載のドレン構造。
【請求項3】
板ばね部材の板幅に相当する間隔で排水口の周方向に離間した一対のガイドピンによりガイド部材が構成されていることを特徴する請求項1に記載のドレン構造。
【請求項4】
ドレンキャップ下端の内側における周方向複数箇所に各板ばね部材の上端部が個別に装着されていることを特徴する請求項1、2又は3に記載のドレン構造。
【請求項5】
排水口に嵌挿設置することが可能な環状部材にガイド部材が一体的に成形されていることを特徴する請求項1、2、3又は4に記載のドレン構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビルやマンション等の建築物の屋上や各階のベランダには、雨水を排水する排水口(ドレン)が設けられているのが一般的であり、この種の排水口には、雨水に随伴される落ち葉、小枝、紙、又は、ビニール等といった固形物の侵入防止や、排水口が剥き出しになることによる危険性の回避、美観の保持等といった観点からドレンキャップが取り付けられている。
【0003】
この種のドレンキャップを用いた従来のドレン構造の一例は
図6に示す通りであり、ここに図示しているドレン構造1の場合には、建築物の屋上やバルコニー等を構成するコンクリート躯体2に、その表面に溜まる雨水を排出するための排水管3が鉛直方向に埋設され、該排水管3の上端部に、雨水を呼び込む排水口4を形成するドレン本体5が嵌着されている。
【0004】
ここで、前記コンクリート躯体2の表面には、防水シート6が被覆されるようになっているが、この防水シート6は、前記ドレン本体5上端の鍔部7と中空円盤形の防水層押え8とで挟み付けるように固定されており、この防水層押え8は、前記ドレン本体5上端の鍔部7に対しネジ止めされるようになっている。
【0005】
そして、前記排水口4が通水構造のドレンキャップ9により覆われており、該ドレンキャップ9は、図示の如きドーム形を成し且つ雨水を通すための複数の開口10を備え、その内部中央に心棒部9aを備え且つ該心棒部9aに二枚の板ばね材から成る板ばね部材11がビスで固定されている。尚、この板ばね部材11は、長さが排水口4の径よりも十分に長くなっており、二枚の板ばね部材11が十文字に交差するよう重ね合わせた状態で固定されている。
【0006】
図7は前記ドレンキャップ9を排水口4に取り付ける様子を示すもので、前記ドレンキャップ9を取り付ける際は、作業員が二枚の板ばね部材11を撓ませて該各板ばね部材11の下端部を排水口4の直径よりも窄めて排水口4の内部に板ばね部材11を挿入するようしており、その挿入後に作業員の手が板ばね部材11から放されると、該板ばね部材11の下端部が自身の弾性力により広がって前記排水口4直下の排水管3内側に圧接し、これによりドレンキャップ9が固定される。
【0007】
ただし、斯かる従来のドレンキャップ9にあっては、十文字に交差させた二枚の板ばね部材11を排水口4の径よりも小さく窄ませて排水口4に挿入するようにしていたため、該排水口4の開口面積のうちの多くの領域が、前記各板ばね部材11の十文字の交差部分により塞がれてしまい、雨水に随伴される落ち葉等が引っ掛かることで排水口4の詰まりが起こり易いという課題があった。
【0008】
そこで、下記の如き特許文献1が本発明と同じ出願人により提案されており、この特許文献1にあっては、
図8に示す如く、ドレンキャップ9の下部内周の複数箇所に個別に板ばね部材11を装備し、該各板ばね部材11により排水口4(
図6参照)の開口面積を極力狭めないようにしたドレンキャップ9となっている。尚、
図8に示すドレンキャップ9において、前述の
図6及び
図7と機能的に変わらない構成要件については、説明の便宜上から同じ符号を付すことで説明を割愛している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、これら従来のドレンキャップ9にあっては、四方に張り出す板ばね部材11を排水口4の径よりも小さく窄ませて排水口4に挿入する必要があることから取り付け性に難がある上、台風等の強風に煽られることでドレンキャップ9が排水口4から抜き出されて吹き飛ばされてしまう懸念もあった。
【0011】
このような事態を防ぐには、板ばね部材11の弾性力を強化して保持性を高めることが考えられるが、板ばね部材11の弾性力を強化すればするほど取り付け性は悪くなり、取り外し時にも勢いよく板ばね部材11が開いて作業員の手に当たる危険性が増すといった新たな問題を招きかねなかった。
【0012】
本発明は、上述の実情に鑑みてなしたもので、従来よりも取り付け性が良好で且つ強風により吹き飛ばされる心配の少ないドレン構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、排水口を覆う通水構造のドレンキャップと、該ドレンキャップの内側から下方に張り出し且つ前記排水口の内部に窄めて挿入されてから自身の弾性力により復元して前記排水口の内部周囲に圧接する複数枚の板ばね部材と、該各板ばね部材を上下方向に摺動自在に案内して横方向への移動を規制するよう前記排水口の外縁部に設けられたガイド部材とを備えたことを特徴とするドレン構造、に係るものである。
【0014】
而して、このように構成した場合に、各板ばね部材の夫々を下方向きに窄めた状態として各ガイド部材に位置合わせしながら下ろすと、該各ガイド部材により前記各板ばね部材が上下方向に案内されつつ排水口に差し込まれて自身の弾性力により復元し、横方向への移動を規制された状態で前記排水口の内部周囲に圧接し、これにより前記ドレンキャップが前記排水口の内部周囲に固定される。
【0015】
斯かるドレンキャップの固定状態にあっては、各板ばね部材の夫々が横方向への移動を各ガイド部材により規制された状態となっているため、強風を受けても前記各板ばね部材の圧接位置が不変のまま保持され、ドレンキャップと排水口との芯ずれが起こらずに前記各板ばね部材が均等な弾性力で排水口の内部周囲に圧接し続け、排水口に対するドレンキャップの良好な固定状態が保たれる。
【0016】
即ち、この種の板ばね部材は、板面に対し直角な向きの力には弾性変形するが、板幅方向へは強い剛性を発揮して変形せずに強固に耐えるため、ドレンキャップが強風を受けても前記各板ばね部材は板幅方向へ変形することなく左右何れかのガイド部材に片当たりした状態でドレンキャップを排水口と同心状に確りと支え続け、ドレンキャップと排水口との芯ずれを防止するよう機能することになる。
【0017】
因みに、本発明者による風洞実験の結果によれば、従来の如き各板ばね部材が横方向への移動を規制されていない状態において、ドレンキャップが強風を受けた際に、その風向きが撓み方向と一致した板ばね部材が大きく撓むことでドレンキャップが排水口に対し芯ずれして偏り、各板ばね部材の圧接位置がばらついて該各板ばね部材の一部が排水口の内部周囲に対し強く圧接できなくなってしまうことが確認されており、このように一部の板ばね部材が排水口の内部周囲に対し強く圧接できなくなると、その圧接力が弱くなった側でドレンキャップの浮き上がりが起こり、該ドレンキャップの浮き上がった下面に強風が吹き込むことで一気にドレンキャップが排水口から吹き飛ばされてしまうという現象が確認されている。
【0018】
つまり、ドレンキャップの強風による吹き飛びは、単純に板ばね部材の弾性力を強化すれば防げるというものではなく、強風を受けてもドレンキャップが排水口に対し芯ずれを起こさないようにして、均等な弾性力を排水口の内部周囲に対し半径方向外側へ向かう適切な面圧として作用させ続けることこそが重要なのであり、本発明の如きガイド部材による各板ばね部材の横方向への移動の規制が前記ドレンキャップの芯ずれを防ぐ上で非常に有効であるという知見が得られた。
【0019】
依って、この知見に基づいて創案された本発明によれば、強風により吹き飛ばされてしまわないよう各板ばね部材の弾性力を過度に強化しなくても済んで従来よりも取り付け性が良好なものとなり、また、排水口の清掃等のためにドレンキャップを取り外す際に各板ばね部材が勢いよく開くことで作業員の手に当たる危険性も少なくなる。
【0020】
更に、本発明をより具体的に実施するにあたっては、板ばね部材の板幅に相当する間隔で排水口の周方向に離間した一対のガイドリブによりガイド部材が構成されていても良いし、板ばね部材の板幅に相当する間隔で排水口の周方向に離間した一対のガイドピンによりガイド部材が構成されていても良い。
【0021】
また、ドレンキャップ下端の内側における周方向複数箇所に各板ばね部材の上端部が個別に装着されていることが好ましく、このようにすれば、従来の二枚の板ばね部材を十文字に交差するよう重ね合わせた状態で固定する構造と比較して、排水口の開口面積を塞いでしまう割合が大幅に少なくなって詰まり難くなる。
【0022】
更に、本発明においては、排水口に嵌挿設置することが可能な環状部材にガイド部材が一体的に成形されていることが好ましく、このようにすれば、既存のドレン構造の改修時に、排水口に環状部材を嵌挿設置するだけで前記排水口周囲にガイド部材を簡便に配置することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のドレン構造によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0024】
(I)本発明の請求項1-3に記載の発明によれば、強風により吹き飛ばされてしまわないよう各板ばね部材の弾性力を過度に強化しなくても済むので、従来よりも取り付け性が良好で且つ強風により吹き飛ばされる心配の少ないドレン構造を実現することができ、また、排水口の清掃等のためにドレンキャップを取り外す際に各板ばね部材が勢いよく開いて作業員の手に当たる危険性を低減することもできる。
【0025】
(II)本発明の請求項4に記載の発明によれば、従来の二枚の板ばね部材を十文字に交差するよう重ね合わせた状態で固定する構造と比較して、排水口の開口面積を塞いでしまう割合を大幅に少なくして詰まり難くすることができる。
【0026】
(III)本発明の請求項5に記載の発明によれば、既存のドレン構造の改修時に、排水口に環状部材を嵌挿設置するだけで前記排水口周囲にガイド部材を簡便に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第一実施例を一部を切り欠いて示す斜視図である。
【
図2】
図1のガイド部材の配置状態を示す横断面図である。
【
図3】
図1のガイド部材の詳細を拡大して示す斜視図である。
【
図4】
図1のガイド部材の変形例を示す斜視図である。
【
図7】
図6のドレンキャップを取り付ける様子を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0029】
図1~
図3は本発明のドレン構造の第一実施例を示すもので、この第一実施例においても、建築物の屋上やバルコニー等を構成するコンクリート躯体2に、その表面に溜まる雨水を排出するための排水管3が鉛直方向に埋設され、該排水管3の上端部に、雨水を呼び込む排水口4を形成するドレン本体5が嵌着されているが、ここに図示している例の場合には、ドレン本体5の中に、上端に防水層押え12aを鍔状に備えた補助管12が嵌挿されるようになっており、該補助管12上端の防水層押え12aと前記ドレン本体5上端の鍔部7とで防水シート(説明の便宜上から図示せず:
図6及び
図7における防水シート6を参照)を挟み付け、この状態にしたまま前記ドレン本体5上端の鍔部7に対し前記防水層押え12aがネジ止めされるようになっている。
【0030】
更に、前記排水口4を覆う通水構造のドレンキャップ9と、該ドレンキャップ9の内側から下方に張り出し且つ前記排水口4の内部に窄めて挿入されてから自身の弾性力により復元して前記排水口4の内部周囲(補助管12の筒部分やその下の排水管3における内周面)に圧接する板ばね部材11と、該各板ばね部材11を上下方向に摺動自在に案内して横方向への移動を規制するよう前記排水口4の外縁部に設けられたガイド部材14とが備えられている。
【0031】
ここで、前記各ガイド部材14は、前記排水口4の外縁部を成す前記補助管12の上部内周三箇所(
図2参照)に等間隔で配置され、前記板ばね部材11の板幅に相当する間隔で排水口4の周方向に離間した一対のガイドリブ14a,14a(
図3参照)により構成されるようになっていて、前記板ばね部材11の長手方向の所要範囲を案内できるようにしてある。
【0032】
ただし、前記板ばね部材11を案内できる範囲は狭まるが、
図4に示すように、前記板ばね部材11の板幅に相当する間隔で排水口4の周方向に離間した一対のガイドピン14b,14bによりガイド部材14を構成することも可能である。
【0033】
尚、前記ドレンキャップ9は、
図6及び
図7で説明した従来例の場合と同様に、ドーム形を成し且つ雨水を通すための複数の開口10を備えている一方、その下端内側における周方向複数箇所に取付部15を備えており、該各取付部15下面に対し前記各板ばね部材11の基端部が装着され、これら各板ばね部材11が内側に一旦向かってから反転部13を介し下方向きに屈曲し且つ下方に向かうに従い徐々に外側へ開くような形状を成すように形成されている。
【0034】
而して、このようにドレン構造16を構成した場合に、各板ばね部材11の夫々を下方向きに窄めた状態として各ガイド部材14に位置合わせしながら下ろすと、該各ガイド部材14により前記各板ばね部材11が上下方向に案内されつつ排水口4に差し込まれて自身の弾性力により復元し、横方向への移動を規制された状態で前記排水口4の内部周囲に圧接し、これにより前記ドレンキャップ9が前記排水口4の内部周囲に固定される。
【0035】
斯かるドレンキャップ9の固定状態にあっては、各板ばね部材11の夫々が横方向への移動を各ガイド部材14により規制された状態となっているため、強風を受けても前記各板ばね部材11の圧接位置が不変のまま保持され、ドレンキャップ9と排水口4との芯ずれが起こらずに前記各板ばね部材11が均等な弾性力で排水口4の内部周囲に圧接し続け、排水口4に対するドレンキャップ9の良好な固定状態が保たれる。
【0036】
即ち、この種の板ばね部材11は、板面に対し直角な向きの力には弾性変形するが、板幅方向へは強い剛性を発揮して変形せずに強固に耐えるため、ドレンキャップ9が強風を受けても前記各板ばね部材11は板幅方向へ変形することなく左右何れかのガイド部材14に片当たりした状態でドレンキャップ9を排水口4と同心状に確りと支え続け、ドレンキャップ9と排水口4との芯ずれを防止するよう機能することになる。
【0037】
因みに、本発明者による風洞実験の結果によれば、従来の如き各板ばね部材11が横方向への移動を規制されていない状態において、ドレンキャップ9が強風を受けた際に、その風向きが撓み方向と一致した板ばね部材11が大きく撓むことでドレンキャップ9が排水口4に対し芯ずれして偏り、各板ばね部材11の圧接位置がばらついて該各板ばね部材11の一部が排水口4の内部周囲に対し強く圧接できなくなってしまうことが確認されており、このように一部の板ばね部材11が排水口4の内部周囲に対し強く圧接できなくなると、その圧接力が弱くなった側でドレンキャップ9の浮き上がりが起こり、該ドレンキャップ9の浮き上がった下面に強風が吹き込むことで一気にドレンキャップ9が排水口4から吹き飛ばされてしまうという現象が確認されている。
【0038】
つまり、ドレンキャップ9の強風による吹き飛びは、単純に板ばね部材11の弾性力を強化すれば防げるというものではなく、強風を受けてもドレンキャップ9が排水口4に対し芯ずれを起こさないようにして、均等な弾性力を排水口4の内部周囲に対し半径方向外側へ向かう適切な面圧として作用させ続けることこそが重要なのであり、本発明の如きガイド部材14による各板ばね部材11の横方向への移動の規制が前記ドレンキャップ9の芯ずれを防ぐ上で非常に有効であるという知見が得られた。
【0039】
依って、この知見に基づいて創案された本発明によれば、強風により吹き飛ばされてしまわないよう各板ばね部材11の弾性力を過度に強化しなくても済んで従来よりも取り付け性が良好なものとなり、また、排水口4の清掃等のためにドレンキャップ9を取り外す際に各板ばね部材11が勢いよく開くことで作業員の手に当たる危険性も少なくなる。
【0040】
従って、上記形態例によれば、強風により吹き飛ばされてしまわないよう各板ばね部材11の弾性力を過度に強化しなくても済むので、従来よりも取り付け性が良好で且つ強風により吹き飛ばされる心配の少ないドレン構造16を実現することができ、また、排水口4の清掃等のためにドレンキャップ9を取り外す際に各板ばね部材11が勢いよく開いて作業員の手に当たる危険性を低減することもできる。
【0041】
また、ドレンキャップ9下端の内側における周方向複数箇所に各板ばね部材11の上端部を個別に装着した構成を採用しているので、従来の二枚の板ばね部材11を十文字に交差するよう重ね合わせた状態で固定する構造と比較して、排水口4の開口面積を塞いでしまう割合を大幅に少なくして詰まり難くすることができる。
【0042】
図5は本発明のドレン構造の第二実施例を示すもので、この第二実施例においては、上端に鍔部17aを備えて排水口4に嵌挿設置することが可能な環状部材17にガイド部材14が一体的に成形された構成となっており、このような構成になっていれば、ガイド部材14を装備していない既存の補助管12が採用されたドレン構造を改修する場合に、排水口4に環状部材17を嵌挿設置するだけで前記排水口4周囲にガイド部材14を簡便に配置することができる。
【0043】
ここで、
図5における図示では、環状部材17の上端に備えた鍔部17aを排水口4の外縁部周囲に掛止させる形式を採用しているが、前記鍔部17aを省略した上で前記環状部材17を周方向の一箇所で切断してC形断面を成すように形状変更し、この環状部材17を窄めて排水口4に圧入し且つ自身の弾性力により復元させて排水口4の内部周囲に強く圧接させることで固定を図る形式としても良く、更には、ガイド部材14の上端を排水口4の外縁部周囲に張り出すように延在させて前記鍔部17aの替わりに排水口4の外縁部周囲に掛止させる形式としても良い。
【0044】
尚、本発明のドレン構造は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、板ばね部材の枚数や形状及びその取り付け形式については必ずしも図示例通りにしなくても良く、例えば、従来の如く十文字に交差するよう重ね合わせた二枚の板ばね部材の交差部分をドレンキャップの内部中央に心棒部を介して装着した形式を採用しても良く、このようにする場合には、二枚の板ばね部材の交差部分をドレンキャップの下端より高い位置で装着するようにして排水口の開口面積を極力塞がないようにすることが好ましいこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
4 排水口
9 ドレンキャップ
11 板ばね部材
14 ガイド部材
14a ガイドリブ
14b ガイドピン
16 ドレン構造
17 環状部材
17a 鍔部