(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】センサ機能付きマグネットキャッチ
(51)【国際特許分類】
E05C 19/16 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
E05C19/16 F
E05C19/16 Z
(21)【出願番号】P 2020149802
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 英治
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-186040(JP,A)
【文献】特開平06-196060(JP,A)
【文献】実開昭62-069567(JP,U)
【文献】実開昭61-120866(JP,U)
【文献】実開昭61-120865(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 1/00 -21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁力を用いて被吸着物を吸着して被吸着物が吸着したことを検知するセンサ機能付きマグネットキャッチであって、
前記被吸着物に当接して前記被吸着物を吸着する吸着部を備えるケース部材と、
前記ケース部材の前記吸着部に近接するように配置される磁石と、
前記磁石を挟むように配置される一対のヨークと、
前記磁石の磁束を検知する磁気センサと、を備え、
前記磁石は、その異なる磁極が配置される方向が前記磁石と前記ケース部材の前記吸着部とが並ぶ方向と直交する方向となるように構成され、
前記一対のヨークは、前記磁石の磁極が配置される方向に並んで配置され、
前記磁気センサは、前記磁石及び前記ヨークの外側に配置され、その感磁方向が前記ケース
部材の前記吸着部と前記磁石とが並ぶ方向と平行に構成され、前記磁石の磁極が配置される方向と平行であって前記ヨークにおける前記磁石と前記ケース部材の吸着部とが並ぶ方向の中心を通る仮想の直線である中心線上に配置される、
センサ機能付きマグネットキャッチ。
【請求項2】
誘導部材をさらに備え、
前記誘導部材は、前記ヨークからの漏れ磁束を前記誘導部材が配置される方向に誘導するものであり、前記磁気センサの近傍であって前記中心線よりも前記ケース部材の前記吸着部が配置される方向の反対方向側に配置される、
請求項1に記載のセンサ機能付きマグネットキャッチ。
【請求項3】
前記誘導部材は、前記中心線よりも前記ケース部材の前記吸着部が配置される方向側に配置される部分を有し、
前記中心線よりも前記ケース部材の前記吸着部が配置される方向の反対方向側に配置される部分は、前記中心線よりも前記ケース部材の前記吸着部が配置される方向側に配置される部分よりも大きく構成される、
請求項2に記載のセンサ機能付きマグネットキャッチ。
【請求項4】
前記磁気センサは、前記ケース
部材の前記吸着部と前記磁石とが並ぶ方向と平行であって前記中心線と直交する仮想の直線である直交線上に配置され、
前記誘導部材は、前記直交線よりも前記磁石が配置される方向と反対方向側に配置される、
請求項2または請求項3に記載のセンサ機能付きマグネットキャッチ。
【請求項5】
前記磁気センサは、前記ケース
部材の前記吸着部と前記磁石とが並ぶ方向と平行であって前記中心線と直交する仮想の直線である直交線上に配置され、
前記誘導部材は、前記直交線よりも前記磁石が配置される方向側に配置される、
請求項2または請求項3に記載のセンサ機能付きマグネットキャッチ。
【請求項6】
前記ケース部材は、前記磁石と前記ヨークと前記磁気センサと前記誘導部材とを収容する収容部を備え、
前記収容部が密閉されるように構成される、
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のセンサ機能付きマグネットキャッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁力を用いて被吸着物を吸着して被吸着物が吸着したことを検知するセンサ機能付きマグネットキャッチの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁力を用いて被吸着物を吸着して被吸着物が吸着したことを検知するセンサ機能付きマグネットキャッチに関する技術は公知となっている(特許文献1参照)。
前記センサ機能付きマグネットキャッチは、磁石とヨークと磁石の磁束を検知する磁気センサ(リードスイッチ)とを備え、各種の電子機器(例えば、OA機器や自動車等)に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、センサ機能付きマグネットキャッチには、被吸着物に当接して被吸着物を吸着する吸着部を備えるケース部材と、ケース部材の吸着部に近接するように配置される磁石と、磁石を挟むように配置されるヨークと、ホールIC等の異方性センサで構成される磁気センサと、を備えるものがある。前記センサ機能付きマグネットキャッチは、ケース部材の吸着部に被吸着物が吸着された状態では、磁石及びヨークと当該被吸着物との間に少なくともケース部材の吸着部における肉厚分の間隔が空くように構成される。
そして、前記センサ機能付きマグネットキャッチは、磁石及びヨークと当該被吸着物との間にケース部材の吸着部が配置されることから、磁石を比較的吸着力の高いもの(例えば、ネオジム磁石)で構成することが考えられる。
もっとも、このように磁石を比較的吸着力の高いものとした場合にはその磁束密度が高く磁気センサにおける磁束を検知する閾値を超えた状態となっていることから、被吸着物を吸着した状態であっても被吸着物が吸着したことを検知する動作が行われない場合があった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、被吸着物が吸着したことを検知する動作を確実に行うことができるセンサ機能付きマグネットキャッチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、磁力を用いて被吸着物を吸着して被吸着物が吸着したことを検知するセンサ機能付きマグネットキャッチであって、前記被吸着物に当接して前記被吸着物を吸着する吸着部を備えるケース部材と、前記ケース部材の前記吸着部に近接するように配置される磁石と、前記磁石を挟むように配置される一対のヨークと、前記磁石の磁束を検知する磁気センサと、を備え、前記磁石は、その異なる磁極が配置される方向が前記磁石と前記ケース部材の前記吸着部とが並ぶ方向と直交する方向となるように構成され、前記一対のヨークは、前記磁石の磁極が配置される方向に並んで配置され、前記磁気センサは、前記磁石及び前記ヨークの外側に配置され、その感磁方向が前記ケースの前記吸着部と前記磁石とが並ぶ方向と平行に構成され、前記磁石の磁極が配置される方向と平行であって前記ヨークにおける前記磁石と前記ケース部材の吸着部とが並ぶ方向の中心を通る仮想の直線である中心線上に配置されるものである。
【0008】
請求項2においては、誘導部材をさらに備え、前記誘導部材は、前記ヨークからの漏れ磁束を前記誘導部材が配置される方向に誘導するものであり、前記磁気センサの近傍であって前記中心線よりも前記ケース部材の前記吸着部が配置される方向の反対方向側に配置されるものである。
【0009】
請求項3においては、前記誘導部材は、前記中心線よりも前記ケース部材の前記吸着部が配置される方向側に配置される部分を有し、前記中心線よりも前記ケース部材の前記吸着部が配置される方向の反対方向側に配置される部分は、前記中心線よりも前記ケース部材の前記吸着部が配置される方向側に配置される部分よりも大きく構成されるものである。
【0010】
請求項4においては、前記磁気センサは、前記ケースの前記吸着部と前記磁石とが並ぶ方向と平行であって前記中心線と直交する仮想の直線である直交線上に配置され、前記誘導部材は、前記直交線よりも前記磁石が配置される方向と反対方向側に配置されるものである。
【0011】
請求項5においては、前記磁気センサは、前記ケースの前記吸着部と前記磁石とが並ぶ方向と平行であって前記中心線と直交する仮想の直線である直交線上に配置され、前記誘導部材は、前記直交線よりも前記磁石が配置される方向側に配置されるものである。
【0012】
請求項6においては、前記ケース部材は、前記磁石と前記ヨークと前記磁気センサと前記誘導部材とを収容する収容部を備え、前記収容部が密閉されるように構成されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、被吸着物が吸着したことを検知する動作を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るセンサ機能付きマグネットキャッチと被吸着物を示す斜視図。
【
図2】同じくセンサ機能付きマグネットキャッチを示す正面図。
【
図3】同じくセンサ機能付きマグネットキャッチと被吸着物を示す平面図。
【
図4】同じくセンサ機能付きマグネットキャッチを示す側面断面図。
【
図5】同じくセンサ機能付きマグネットキャッチの誘導部材の配置態様を示す側面模式図。
【
図6】同じくセンサ機能付きマグネットキャッチの誘導部材の配置態様を示す側面模式図。
【
図7】同じくセンサ機能付きマグネットキャッチの誘導部材の配置態様を示す側面模式図。
【
図8】同じくセンサ機能付きマグネットキャッチの誘導部材の配置態様を示す側面模式図。
【
図9】同じくセンサ機能付きマグネットキャッチの誘導部材の配置態様を示す側面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態に係るセンサ機能付きマグネットキャッチについて、
図1から
図9を用いて説明する。
【0016】
センサ機能付きマグネットキャッチ1(以下「マグネットキャッチ1」と称する)は、磁力を用いて鉄板等の被吸着物50を吸着して被吸着物50が吸着したことを検知する。
マグネットキャッチは、各種の電子機器や建築物等に設けられる。前記電子機器として、例えば、スキャナー、ファクス、およびコピー機、若しくは複合機等のOA機器、自動車、便座、または、炊飯器等があるが、電子機器はこれに限定されるものではない。
図1から
図5に示すように、マグネットキャッチ1は、ケース部材10と、蓋部材20と、リード線21と、磁石22と、一対のヨーク23・23と、磁気センサ24と、誘導部材30と、を備える。
なお以下において便宜上、ケース部材10の長手方向をマグネットキャッチ1の左右方向、ケース部材10の吸着部12が配置される側をマグネットキャッチ1の前方、リード線21がケース部材10から延出する方向を上方として説明するが、マグネットキャッチ1の方向をこれに限定するものではない。
【0017】
ケース部材10は、左右方向を長手方向とする略直方体状の部材であり、樹脂素材等の非磁性素材で構成され、収容部11と、吸着部12と、取付け部13と、を備える。
ケース部材10は、後方が開口し、磁石22、ヨーク23、磁気センサ24、及び誘導部材30等の各種の部品を内部に収容可能に構成される。前記ケース部材10の内部における磁石22等が収容される部分は、収容部11として構成される。
ケース部材10の前部(外側面)は、フラット面で構成され、被吸着物50に当接して被吸着物50を吸着する吸着部12として構成される。ケース部材10の前部(吸着部12が配置される部分の側壁)の肉厚は略1mmで構成される。
ケース部材10は、上部の左右中央にはリード線21が挿通される貫通孔が形成される。
ケース部材10の取付け部13・13は、ケース部材10の左右の端部からそれぞれ左右外側に延出するように構成される。ケース部材10の取付け部13は、側面視略L字状に構成され、電子機器に取付ける際にビス等が挿通される貫通孔が形成される。
【0018】
蓋部材20は、平板状の部材であり、樹脂素材等の非磁性素材で構成される。
蓋部材20は、ケース部材10の収容部11内に各種の部品が配置された状態で、ケース部材10の後方の開口を閉じるようにケース部材10に設けられる。蓋部材20が設けられた状態のケース部材10は、水密が取られて内部(収容部11)が密閉されるように構成される。
【0019】
リード線21は、ケース部材10の上部の貫通孔に挿通され、その一端部がケース部材10内(収容部11内)に配置されて収容部11内に配置される電子基板(不図示)に接続されて当該電子基板等に電源を供給する。リード線21の他端は、ケース部材10の上方に延出してケース部材10の外側に配置される。リード線21の他端がケース部材10の外側において各種の電子部品等に接続されることによって、マグネットキャッチ1が検知した被吸着物50を吸着したこと等に関する情報が通信可能とされる。
ケース部材10の上部の貫通孔には、リード線21が挿通された状態でパッキン26が設けられる。パッキン26が設けられた状態のケース部材10は、水密が取られて内部(収容部11)が密閉されるように構成される。
【0020】
磁石22は、磁束密度が比較的高い希土類磁石等(例えば、ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石等)で構成される。
磁石22は、左右方向を長手方向とする略直方体状に構成される。
磁石22は、ケース部材10の収容部11内に配置される。磁石22は、ケース部材10の吸着部12に近接するように配置される。磁石22は、ケース部材10の吸着部12に被吸着物50が吸着された状態では、当該被吸着物50との間に少なくともケース部材10の前部の肉厚分の間隔が空くように配置される。
磁石22は、そのN極が上方、S極が下方となるように配置される。磁石22は、その異なる磁極(S極及びN極)が配置される方向が磁石22と吸着部12とが並ぶ方向と直交する方向となるように構成される。
なお、磁石22は、N極が下方、S極が上方となるように構成することもできる。
【0021】
ヨーク23は、鋼素材からなる左右方向を長手方向とする平板状の部材であり、磁石22が発生させる磁場により磁化する磁性体で構成される。ヨーク23は、その左右方向の長さが磁石22の左右方向の長さと概ね一致するように構成される。
ヨーク23は、ケース部材10の収容部11内に配置される。一対のヨーク23・23は、磁石22を挟むように配置される。一対のヨーク23・23は、磁石22の磁極が配置される方向に並んで配置される。一対のうち一方のヨーク23が磁石22の上方に配置され、他方のヨーク23が磁石22の下方に配置される。上方のヨーク23の下面が磁石22の上面に当接し、下方のヨーク23の上面が磁石22の下面に当接する。ヨーク23は、ケース部材10の前部の内側面に当接するように配置される。ヨーク23は、ケース部材10の吸着部12に被吸着物50が吸着された状態では、当該被吸着物50との間にケース部材10の前部の肉厚分の間隔が空くように配置される。
【0022】
磁気センサ24は、磁石22の磁束(磁界の強さ・方向)を検知するものであり、ホールIC等の異方性センサで構成される。
磁気センサ24は、絶縁スポンジ等の絶縁部材25内に配置された状態で、ケース部材10の収容部11内に配置される。磁気センサ24は、磁石22及びヨーク23の外側に配置される。磁気センサ24は、磁石22及びヨーク23と所定の間隔を空けて配置される。磁気センサ24は、上方のヨーク23の上方(磁石22の上方)に配置される。磁気センサ24は、上方のヨーク23から若干の間隔を空けて配置される。磁気センサ24は、磁石22またはヨーク23の左右端部よりも内側(少なくとも数mm内側)に配置される。磁気センサ24は、磁石22またはヨーク23の左右中央部に配置される。
磁気センサ24は、感磁方向が前方(ケース部材10の吸着部12と磁石22とが並ぶ方向と平行となる方向、または、磁石22の磁極が並ぶ方向と直交する方向)となるように構成される。なお、磁気センサ24は、感磁方向が後方となるように構成することもできる。
【0023】
磁気センサ24は、側面視及び平面視で中心線α及び直交線β上に配置される。
中心線αは、磁石22の磁極が配置される方向(上下方向)または一対のヨーク23・23と磁石22とが並ぶ方向と平行であって、ヨーク23の中心(ヨーク23の前後方向(磁石22とケース部材10の吸着部12とが並ぶ方向)中心)及び磁気センサ24を通る仮想の直線を示す。中心線αは、厳密な意味でヨーク23の中心を通るものに限定するものではなく、ヨーク23の中心または中心近傍(ヨーク23の概ね中心)を通るものであればよいものとする。
直交線βは、ケース部材10の吸着部12と磁石22とが並ぶ方向と平行であって、中心線αと直交し且つ磁気センサ24を通る仮想の直線を示す。
【0024】
以上のように、磁気センサ24は、その感磁方向がケースの吸着部12と磁石22とが並ぶ方向と平行に構成され、中心線α上に配置されることから、被吸着物50を吸着した状態となると磁気センサ24を貫通するヨーク23からの漏れ磁束の向きが反転して磁気センサ24における磁束を検知する閾値を跨ぐこととなり、磁気センサ24が当該磁束の向きの変化を検知することができる。
したがって、マグネットキャッチ1によれば、磁石22及びヨーク23と被吸着物50との間にケース部材10(ケース部材10の吸着部12)が配置されて、磁石22の磁束密度が比較的高い場合であっても、被吸着物50が吸着したことを検知する動作を確実に行うことができる。
【0025】
誘導部材30は、ヨーク23からの漏れ磁束を誘導部材30が配置される方向に誘導する。誘導部材30は、鋼素材からなる平板状の部材であり、磁石22が発生させる磁場により磁化する磁性体で構成される。
誘導部材30は、ケース部材10の収容部11内に配置される。誘導部材30は、磁石22及びヨーク23と所定の間隔を空けて配置される。誘導部材30は、前記磁気センサ24の近傍に配置される。誘導部材30は、中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向側(後方側)に配置される。誘導部材30は、直交線βよりも磁石22が配置される方向と反対方向側(上方側)に配置される。
【0026】
以上のように、誘導部材30は、ヨーク23からの漏れ磁束を誘導部材30が配置される方向に誘導するものであり、磁気センサ24の近傍であって中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向側に配置されることから、被吸着物50を吸着してない状態においては、ヨーク23からの漏れ磁束は誘導部材30側に誘導されることとなり、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束成分は、ケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向を向くこととなる。そして、被吸着物50を吸着した状態になると、被吸着物50に磁束が誘導されることになり、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束成分は、ケース部材10の吸着部12が配置される方向を向くこととなる。このように、被吸着物50の有無によって、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束の向きが反転し、磁気センサ24における磁束を検知する閾値を跨ぐこととなる。このため、マグネットキャッチ1では、磁気センサ24による被吸着物50が吸着したことを検知する動作を、部品ばらつきや組立誤差による影響を受けない構造とすることができる。
【0027】
また以上のように、ケース部材10は、磁石22と一対のヨーク23・23と磁気センサ24と誘導部材30とを収容する収容部11を備え、ケース部材10の上部の貫通孔にはリード線21が挿通された状態でパッキン26が設けられて、収容部11が密閉されるように構成されることから、マグネットキャッチ1に防水機能を有する構成とすることができる。
【0028】
また誘導部材30は、中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向側に配置され、直交線βよりも磁石22が配置される方向と反対方向側に配置されることから、被吸着物50を吸着してない状態においては、ヨーク23からの漏れ磁束は誘導部材30側に誘導されることとなり、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束成分は、ケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向を向くこととなる。そして、被吸着物50を吸着した状態になると、被吸着物50に磁束が誘導されることになり、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束成分は、ケース部材10の吸着部12が配置される方向を向くこととなる。このように、被吸着物50の有無によって、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束の向きが反転し、磁気センサ24における磁束を検知する閾値を跨ぐこととなる。このため、マグネットキャッチ1では、磁気センサ24による被吸着物50が吸着したことを検知する動作を、部品ばらつきや組立誤差による影響を受けない構造とすることができる。
なお、マグネットキャッチ1では、磁石22や磁気センサ24の仕様等に応じて誘導部材30を磁石22及びヨーク23により近接させまた磁石22等からより離間させた位置に配置して、磁石22及びヨーク23と誘導部材30との距離を適宜設定することができる。また、誘導部材30は、板状に構成されることに限定されず、例えばブロック状や柱状等に構成することもできる。
【0029】
図6に示すように、誘導部材30が、中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向側に配置され、直交線βよりも磁石22が配置される方向側に配置される構成とすることもできる。
このように構成することによって、被吸着物50を吸着してない状態においては、ヨーク23からの漏れ磁束は誘導部材30側に誘導されることとなり、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束成分は、ケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向を向くこととなる。そして、被吸着物50を吸着した状態になると、被吸着物50に磁束が誘導されることになり、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束成分は、ケース部材10の吸着部12が配置される方向を向くこととなる。このように、
被吸着物50の有無によって、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束の向きが反転し、磁気センサ24における磁束を検知する閾値を跨ぐこととなる。このため、マグネットキャッチ1では、磁気センサ24による被吸着物50が吸着したことを検知する動作を、部品ばらつきや組立誤差による影響を受けない構造とすることができる。
【0030】
誘導部材30は、中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向側に配置される部分を有する構成とすることもできる。
例えば、
図7に示すように、誘導部材30は、平板状の部材に折り曲げ加工を施すことによって側面視略L字状(前方及び下方にそれぞれ延出するL字状)に構成する。このとき、誘導部材30における前方に延出する部分は、中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向側から中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向側に亘って配置され、誘導部材30における下方に延出する部分は、直交線βよりも磁石22が配置される方向と反対方向側から直交線βよりも磁石22が配置される方向側に亘って配置される。
誘導部材30における下方に延出する部分及び誘導部材30における前方に延出する部分における中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向と反対方向側に配置される部分は、誘導部材30における前方に延出する部分における中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向側に配置される部分よりもその体積が大きく構成される。
このように構成することによって、被吸着物50を吸着してない状態においては、ヨーク23からの漏れ磁束は誘導部材30側に誘導されることとなり、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束成分は、ケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向を向くこととなる。そして、被吸着物50を吸着した状態になると、被吸着物50に磁束が誘導されることになり、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束成分は、ケース部材10の吸着部12が配置される方向を向くこととなる。このように、
被吸着物50の有無によって、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束の向きが反転し、磁気センサ24における磁束を検知する閾値を跨ぐこととなる。このため、マグネットキャッチ1では、磁気センサ24による被吸着物50が吸着したことを検知する動作を、部品ばらつきや組立誤差による影響を受けない構造とすることができる。
【0031】
誘導部材30は、複数のもので構成することもできる。
図8に示すように、誘導部材30は、第一誘導部材31と、第二誘導部材32と、で構成される。
第一誘導部材31は、平板状の部材であり、直交線βよりも磁石22が配置される方向と反対方向側に配置され、中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向側から中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向側に亘って配置される。
第二誘導部材32は、平板状の部材であり、第一誘導部材31の下方(磁石22側)に配置される。第二誘導部材32は、直交線βよりも磁石22が配置される方向側に配置され、中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向側に配置される。
このように構成することによって、被吸着物50を吸着してない状態においては、ヨーク23からの漏れ磁束は誘導部材30側に誘導されることとなり、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束成分は、ケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向を向くこととなる。そして、被吸着物50を吸着した状態になると、被吸着物50に磁束が誘導されることになり、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束成分は、ケース部材10の吸着部12が配置される方向を向くこととなる。このように、
被吸着物50の有無によって、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束の向きが反転し、磁気センサ24における磁束を検知する閾値を跨ぐこととなる。このため、マグネットキャッチ1では、磁気センサ24による被吸着物50が吸着したことを検知する動作を、部品ばらつきや組立誤差による影響を受けない構造とすることができる。
【0032】
また
図9に示すように、誘導部材30は、複数のもので構成される。第一誘導部材31は、直交線βよりも磁石22が配置される方向の反対方向側に配置され、中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向側に配置される。第二誘導部材32は、直交線βよりも磁石22が配置される方向側に配置され、中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向側から中心線αよりもケース部材10の吸着部12が配置される方向側に亘って配置される。
このように構成することによって、被吸着物50を吸着してない状態においては、ヨーク23からの漏れ磁束は誘導部材30側に誘導されることとなり、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束成分は、ケース部材10の吸着部12が配置される方向の反対方向を向くこととなる。そして、被吸着物50を吸着した状態になると、被吸着物50に磁束が誘導されることになり、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束成分は、ケース部材10の吸着部12が配置される方向を向くこととなる。このように、
被吸着物50の有無によって、磁気センサ24の感磁方向を貫通する磁束の向きが反転し、磁気センサ24における磁束を検知する閾値を跨ぐこととなる。このため、マグネットキャッチ1では、磁気センサ24による被吸着物50が吸着したことを検知する動作を、部品ばらつきや組立誤差による影響を受けない構造とすることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 センサ機能付きマグネットキャッチ
10 ケース部材
11 収容部
12 吸着部
13 取付け部
20 蓋部材
21 リード線
22 磁石
23 ヨーク
24 磁気センサ
25 絶縁部材
26 パッキン
30 誘導部材