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特許7541742イベント解析プログラム、情報処理装置及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】イベント解析プログラム、情報処理装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240822BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021101837
(22)【出願日】2021-06-18
(62)【分割の表示】P 2019232232の分割
【原出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021166069
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】523036007
【氏名又は名称】マワリ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Mawari Corp.
【住所又は居所原語表記】470 University Avenue, Los Altos, CA, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マトロソフ アントン パブロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ボリソフ アレキサンダー ミハイロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ラミレス ソロルサノ ルイス オスカー
(72)【発明者】
【氏名】ラモス レオ ティモシー
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-021094(JP,A)
【文献】国際公開第2019/088172(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
別の端末でコンテンツ情報が実行されて三次元の空間にオブジェクトが表示処理され、前記端末で受け付けた操作に基づいて当該表示処理されたオブジェクトの特性が変化した結果発生するイベントを受信して時系列とともにイベント履歴情報として格納するイベント受信手段と、
前記端末から受信した前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果を前記端末に出力する解析結果出力手段として機能させるイベント解析プログラム。
【請求項2】
前記解析手段は、前記イベント履歴情報に含まれる2つ以上のイベントの組み合わせを用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する請求項1に記載のイベント解析プログラム。
【請求項3】
前記解析手段は、前記イベント履歴情報の順列を用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する請求項1又は2に記載のイベント解析プログラム。
【請求項4】
前記解析手段は、前記イベント履歴情報の重複順列を用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する請求項1‐3のいずれか1項に記載のイベント解析プログラム。
【請求項5】
前記解析結果出力手段は、前記解析結果を前記端末に出力し、前記端末で実行されるコンテンツ情報の表示を前記解析結果に基づいて変更する請求項1‐4のいずれか1項に記載のイベント解析プログラム。
【請求項6】
別の端末でコンテンツ情報が実行されて三次元の空間にオブジェクトが表示処理され、前記端末で受け付けた操作に基づいて当該表示処理されたオブジェクトの特性が変化した結果発生するイベントを受信して時系列とともにイベント履歴情報として格納するイベント受信手段と、
前記端末から受信した前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果を前記端末に出力する解析結果出力手段を有する情報処理装置。
【請求項7】
コンテンツ情報を実行して三次元の空間にオブジェクトを表示処理し、受け付けた操作に基づいて当該表示処理したオブジェクトの特性を変化させ、表示が変化した結果発生するイベントを出力する端末と、
前記端末から前記イベントを受信して時系列とともにイベント履歴情報として格納するイベント受信手段と、前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する解析手段と、前記解析手段の解析結果を前記端末に出力する解析結果出力手段を有する情報処理装置と、
を備えるシステム。
【請求項8】
コンピュータを、
別の端末でコンテンツ情報を実行して三次元の空間にオブジェクトを表示処理し、受け付けた操作に基づいて当該表示処理されたオブジェクトの特性を変化し、表示が変化した結果発生するイベントを時系列とともにイベント履歴情報として送信するイベント送信手段と、
前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて受け付けた操作内容を解析した結果である解析結果を前記イベント履歴情報の送信先から受信して、当該解析結果に基づいて前記コンテンツ情報の内容を更新する更新手段として機能させるイベント解析プログラム。
【請求項9】
別の端末でコンテンツ情報を実行して三次元の空間にオジェクトを表示処理し、受け付けた操作に基づいて当該表示処理されたオブジェクトの特性を変化させ、表示が変化した結果発生するイベントを時系列とともにイベント履歴情報として送信するイベント送信手段と、
前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて受け付けた操作内容を解析した結果である解析結果を前記イベント履歴情報の送信先から受信して、当該解析結果に基づいて前記コンテンツ情報の内容を更新する更新手段と、を有する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベント解析プログラム、情報処理装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、バナー広告中に操作可能に3次元コンピュータグラフィクスを組み込んで表示する情報処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された情報処理装置は、インターネットのウェブページに3次元コンピュータグラフィクスを組み込んだバナー広告を表示し、バナー広告中の3次元コンピュータグラフィクスを利用者の操作によってインタラクティブに移動、回転、拡大縮小、形状変更、テクスチャ変更、アニメーションを行う。
【0004】
また、特許文献2に開示された情報処理装置は、画像情報を拡大縮小可能に、かつ、表示位置を移動可能にして表示し、利用者が当該画像情報を閲覧する際に、利用者を識別する情報と、操作内容と、画面上に表示された画像情報の中心座標と、操作が行われた時間とを利用情報として記録し、当該利用情報を累積的に記録、解析することで利用者が表示画像上のどの部分をどれだけ表示していたかを解析する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005‐259097号公報
【文献】特開2009‐140109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1に記載された情報処理装置によれば、バナー広告中の3次元コンピュータグラフィクスを利用者の操作によってインタラクティブに移動、回転、拡大縮小、形状変更、テクスチャ変更、アニメーションを行うものの、操作内容を記録、解析しておらず、利用者が3次元コンピュータグラフィクスのどのようなポイントに興味があるかがわからない、という問題がある。また、特許文献2に記載された情報処理装置によれば、利用者が表示画像上のどの部分をどれだけ表示していたかを解析するものの、表示される画像自体が変形又は変化するものではなく、あくまでも2次元画像の表示位置又は範囲の解析であって、興味のある表示位置又は範囲がわかるだけであり、画像に表示されている対象の位置又は範囲以外のどのようなポイントに興味があるのか、興味を持った結果、利用者がどのような行動をしたのかまでは解析できない、という問題がある。つまり、操作によって変化する対象の操作内容を解析できていない、という問題がある。
【0007】
本発明の目的は、利用者によって操作可能に表示されたコンテンツについて、操作内容から利用者の興味や行動傾向等を解析するイベント解析プログラム、情報処理装置及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下のイベント解析プログラム、情報処理装置及びシステムを提供する。
【0009】
[1]コンピュータを、
端末でコンテンツ情報が実行されて表示処理され、端末で受け付けた操作に基づいて当該表示処理されたコンテンツ情報の表示が変化した結果発生するイベントを受信して時系列とともにイベント履歴情報として格納するイベント受信手段と、
前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比、積分値、微分値及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果を出力する解析結果出力手段として機能させるイベント解析プログラム。
[2]前記解析手段は、前記イベント履歴情報の組み合わせを用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する前記[1]に記載のイベント解析プログラム。
[3]前記解析手段は、前記イベント履歴情報の順列を用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する前記[1]又は[2]に記載のイベント解析プログラム。
[4]前記解析手段は、前記イベント履歴情報の重複順列を用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する前記[1]‐[3]のいずれかに記載のイベント解析プログラム。
[5]前記解析結果出力手段は、前記解析結果を前記端末に出力し、前記端末で実行されるコンテンツ情報の表示を前記解析結果に基づいて変更する前記[1]‐[4]のいずれかに記載のイベント解析プログラム。
[6]端末でコンテンツ情報が実行されて表示処理され、端末で受け付けた操作に基づいて当該表示処理されたコンテンツ情報の表示が変化した結果発生するイベントを受信して時系列とともにイベント履歴情報として格納するイベント受信手段と、
前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比、積分値、微分値及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果を出力する解析結果出力手段を有する情報処理装置。
[7]コンテンツ情報を実行して表示処理し、受け付けた操作に基づいて当該表示処理した前記コンテンツ情報の表示を変化させ、表示が変化した結果発生するイベントを出力する端末と、
前記端末から前記イベントを受信して時系列とともにイベント履歴情報として格納するイベント受信手段と、前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比、積分値、微分値及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する解析手段と、前記解析手段の解析結果を出力する解析結果出力手段を有する情報処理装置とを備えるシステム。
[8]コンピュータを、
コンテンツ情報を実行して表示処理し、受け付けた操作に基づいて当該表示処理されたコンテンツ情報の表示を変化し、表示が変化した結果発生するイベントを時系列とともにイベント履歴情報として送信するイベント送信手段と、
前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比、積分値、微分値及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて受け付けた操作内容を解析した結果である解析結果を前記イベント履歴情報の送信先から受信して、当該解析結果に基づいて前記コンテンツ情報の内容を更新する更新手段として機能させるイベント解析プログラム。
[9]コンテンツ情報を実行して表示処理し、受け付けた操作に基づいて当該表示処理されたコンテンツ情報の表示を変化し、表示が変化した結果発生するイベントを時系列とともにイベント履歴情報として送信するイベント送信手段と、
前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比、積分値、微分値及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて受け付けた操作内容を解析した結果である解析結果を前記イベント履歴情報の送信先から受信して、当該解析結果に基づいて前記コンテンツ情報の内容を更新する更新手段と、を有する情報処理装置。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、6、7に係る発明によれば、利用者によって操作可能に表示されたコンテンツについて、操作内容から利用者の興味や行動傾向等を解析することができる。
請求項2に係る発明によれば、イベント履歴情報の組み合わせを用いて端末で受け付けた操作内容を解析することができる。
請求項3に係る発明によれば、イベント履歴情報の順列を用いて端末で受け付けた操作内容を解析することができる。
請求項4に係る発明によれば、イベント履歴情報の重複順列を用いて端末で受け付けた操作内容を解析することができる。
請求項5、8、9に係る発明によれば、解析結果を端末に出力し、端末で実行されるコンテンツ情報の表示を解析結果に基づいて変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す概略図である。
図2図2は、実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係る端末の構成例を示すブロック図である。
図4A図4Aは、端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
図4B図4Bは、端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
図4C図4Cは、端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
図4D図4Dは、端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
図4E図4Eは、端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
図4F図4Fは、端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
図4G図4Gは、端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
図4H図4Hは、端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
図4I図4Iは、端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
図5A図5Aは、イベントの項目例を説明するための図である。
図5B図5Bは、イベントの項目例を説明するための図である。
図5C図5Cは、イベントの項目例を説明するための図である。
図5D図5Dは、イベントの項目例を説明するための図である。
図5E図5Eは、イベントの項目例を説明するための図である。
図5F図5Fは、イベントの項目例を説明するための図である。
図6図6は、イベント履歴情報の構成例を示す図である。
図7図7は、解析結果情報に基づいて端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
図8図8は、解析結果情報に基づいて端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
図9図9は、解析結果情報に基づいて端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
図10図10は、情報処理システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態](情報処理システムの構成)
図1は、実施の形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す概略図である。
【0013】
この情報処理システム5は、情報処理装置1と、端末2と、端末3とをネットワーク4によって互いに通信可能に接続することで構成される。端末2及び端末3は、それぞれ利用者6及び広告主7によって操作される。
【0014】
情報処理装置1は、サーバ型の情報処理装置であり、端末2及び端末3の要求に応じて動作するものであって、本体内に情報を処理するための機能を有するCPU(Central Processing Unit)やフラッシュメモリ等の電子部品を備える。なお、情報処理装置1は、必ずしも1つのサーバである必要はなく、実行できる機能を複数のサーバのそれぞれに分散させて協働して動作するものであってもよいし、クラウド上で動作するシステムであってもよい。
【0015】
端末2及び端末3は、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末等の情報処理装置であって、本体内に情報を処理するための機能を有するCPUやフラッシュメモリ、撮影用のカメラ等の電子部品を備える。
【0016】
ネットワーク4は、高速通信が可能な通信ネットワークであり、例えば、インターネット、イントラネットやLAN(Local Area Network)等の有線又は無線の通信網である。
【0017】
情報処理装置1は、一例として、広告主7によって操作される端末3の要求に応じてコンテンツ、例えば、3D(3次元)表示されるバナー広告を作成し、作成したコンテンツは、任意のホームページを閲覧する利用者6によって操作される端末2の要求に応じてホームページの情報とともに配信される。端末2に配信されたコンテンツは、端末2上で実行され、実行された結果、端末2の表示部にホームページに含まれるバナー広告内の3Dオブジェクトとして表示され、利用者6の操作に基づいてオブジェクトの位置や撮影方向等の表示が変更される。端末2でオブジェクトに対してなされた操作によってコンテンツ上で生じたイベントは情報処理装置1に送信され、イベント履歴として格納される(ここで、「イベント」とは、バナー広告に対する利用者の反応であり、web解析で言う利用者のバナー広告の閲覧やバナー広告に対するクリック等の操作「インタラクション(interactions)」を拡張したものである。詳しくは後述する。)。情報処理装置1は、端末3の要求に応じてイベント履歴を解析し、利用者6のコンテンツに対する興味及びコンテンツに対してとった行動等の内容を解析結果として端末3に出力する。端末3は、情報処理装置1から解析結果を受信し、表示部に解析結果を表示する。広告主7は端末3の表示部に表示された解析結果を確認して広告活動の効果を確認する。また、情報処理装置1は、予め設定された内容に応じて、解析結果に応じてコンテンツの内容(コンテンツの初期設定(モデル、色、配置、角度等)や動作条件等)を変更する。
【0018】
なお、図1に示した構成は実施の形態を説明するための例示であり、以下に説明するように適宜構成に含まれる各要素は変更可能である。例えば、広告主7は、コンテンツを作成、配信する者の一例であり、広告を提供する広告主に限らず、広告を分析する者、広告業界、ウェブページやアプリケーションを制作する者、電子商取引のブランドを管理する者、電子商取引のサイトを管理する者、流通業界の者等であってもよい。また、これに対応し、コンテンツはバナー広告に限らず、商品ページのコンテンツ、アプリケーション上で動作するコンテンツ等であってもよい。また、コンテンツは、3Dに限らず、コンテンツ内のオブジェクト及びその視点等が変形や変更可能であればよく、2Dであってもよいし、4D以上であってもよい。また、端末2は、常にネットワーク4に接続されている必要はなく、ネットワークに接続されたタイミングでイベント履歴を情報処理装置1に送信するものであってもよい。また、端末2は、常にネットワークに接続されている場合にも、任意のタイミングでイベント履歴を情報処理装置1に送信するものであってもよい。
【0019】
(情報処理装置の構成)
図2は、実施の形態に係る情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。
【0020】
情報処理装置1は、CPU等から構成され、各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御部10と、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部11と、ネットワークを介して外部と通信する通信部12とを備える。
【0021】
制御部10は、後述するイベント解析プログラム110を実行することで、コンテンツ配信手段100、イベント受信手段101、イベント解析手段102、解析結果出力手段103及び解析結果反映手段104等として機能する。
【0022】
コンテンツ配信手段100は、端末2の配信要求に応じてバナー広告を表示するためのコンテンツ情報111を通信部12及びネットワーク4を介して端末2に配信する。なお、コンテンツ情報111は、3D表示されるものの他、AR(Augmented Reality、拡張現実)により表示されるもの、VR(Virtual Reality、仮想現実)、MR(Mixed Reality、複合現実)、SR(Substitutional Reality、代替現実)、XR(Extended Reality)により表示されるものであってもよく、コンテンツ内に表示されるオブジェクトが変形又は変化するものであれば2Dであってもよいし、4D以上であってもよい。
【0023】
イベント受信手段101は、端末2でコンテンツ情報111が実行され、端末2で操作された結果に発生したイベントを任意のタイミングで受信し、受信したイベントをイベント履歴情報112として記憶部11に格納する。
【0024】
イベント解析手段102は、イベント履歴情報112を解析して解析結果情報113を生成する。なお、解析方法は後述する。
【0025】
解析結果出力手段103は、端末3の要求に応じて、解析結果情報113を広告主7の操作する端末3に出力する。
【0026】
解析結果反映手段104は、予め設定された内容に応じて、記憶部11のコンテンツ情報111又は端末2に配信済みのコンテンツ情報の色、モデル、撮影角度、配置角度、オプション等の初期設定値を変更する。
【0027】
記憶部11は、制御部10を上述した各手段100~104として動作させるイベント解析プログラム110、コンテンツ情報111、イベント履歴情報112及び解析結果情報113等を記憶する。
【0028】
(端末の構成)
図3は、実施の形態に係る端末2の構成例を示すブロック図である。
【0029】
端末2は、CPU等から構成され、各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御部20と、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部21と、文字や画像を表示するLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部22と、操作に応じて操作信号を発生するキーボード、マウス、タッチパネル等の操作部23と、写真や映像を撮影するレンズ及び撮像素子等を備えた撮像部24と、ネットワークを介して外部と通信する通信部25とを備える。その他、図示しないが音声を収集するマイク、音声を出力するスピーカー等を備えてマルチメディアコンテンツの再生を行う。
【0030】
制御部20は、後述するイベント解析プログラム210を実行することで、コンテンツ受信手段200、コンテンツ表示手段201、コンテンツ操作受付手段202、イベント送信手段203及びメディア更新手段204等として機能する。
【0031】
コンテンツ受信手段200は、情報処理装置1から配信されたコンテンツ情報111を通信部25及びネットワーク4を介して受信し、記憶部21にコンテンツ情報211として格納する。
【0032】
コンテンツ表示手段201は、コンテンツ情報211を実行して表示部22に3Dのバナー広告を表示し、コンテンツ操作受付手段202が受け付けた操作内容に応じてバナー広告の表示内容を変更する。
【0033】
コンテンツ操作受付手段202は、操作部23に対する操作を受け付け、コンテンツ情報211の実行状態に合わせた操作内容に変換するとともに、実行状態に合わせたイベントを発生させるとともに、発生したイベントをイベント履歴情報212として記憶部21に格納する。イベントの内容については後述する。
【0034】
イベント送信手段203は、発生したイベントをイベント履歴情報212として情報処理装置1に送信する。送信のタイミングは、イベント毎に発生したタイミングであってもよいし、予め定めた間隔であってもよく、予め定めた間隔の場合は発生したイベントをまとめて送る。なお、例えば、イベント解析プログラム210を外部のAPI(Application Programing Interface)を介して構成した場合には、イベント送信手段203は、イベント履歴情報212を情報処理装置1に直接送信せずに、外部サーバに一旦送信し、外部サーバから情報処理装置1にイベント履歴情報212を送信するようにしてもよい。外部サーバから情報処理装置1にイベント履歴情報212を送信するタイミングは、ある一定量のデータ毎であってもよいし、ある一定時間毎であってもよいし、逐一送信するものであってもよい。また、リアルタイムでもよいし、遅延を伴うものでもよい。
【0035】
メディア更新手段204は、情報処理装置1の解析結果反映手段104から要求される内容に応じて、コンテンツ情報211の色、モデル、撮影角度、配置角度、オプション等の初期設定値を変更する。
【0036】
記憶部21は、制御部20を上述した各手段200‐204として動作させるイベント解析プログラム210、コンテンツ情報211及びイベント履歴情報212等を記憶する。
【0037】
図4A図4Iは、端末2の表示部22に表示される画面の例を示す図である。
【0038】
図4Aに示すように、画面220aは、コンテンツ情報211の内容が自動車のバナー広告であった場合であって、3D表示される操作対象(自動車)の外観を表すオブジェクト221exと、オブジェクト221exが配置された背景222と、操作する対象を指示するためのカーソル223と、オブジェクト221exの一部の表示を変更するための(フロントライトを点灯するための)照明ボタン224と、操作対象(自動車)の表示を内装に切り替えるためのインテリア切替ボタン225と、当該操作対象の製造元のホームページに移動するためのリンク226と、当該操作対象の製品ページに移動するためのリンク227とを有する。オブジェクト221ex及び背景222の撮影方向は、画面220a上が、例えば、カーソル223によってドラッグ操作されることで任意の方向に変更され、照明ボタン224、インテリア切替ボタン225、リンク226、227が選択操作されることで各機能のオンオフが実行される。
【0039】
図4Bに示すように、画面220bは、画面220aの状態からカーソル223でオブジェクト221exが横方向にドラッグ操作され、カメラアングルが変更されることで表示される画面である。オブジェクト221exは、ドア224doorと、ホイール224wheelとを有し、ドア224doorはカーソル223で選択操作されることでドアが開閉し、ホイール224wheelはカーソル223で選択操作されることでホイールが他のサイズ、色、モデルに変更される。
【0040】
また、図4Cに示すように、画面220bにカーソル223を合わせた状態で、操作(例えば、マウスのホイール操作、タッチパッドのダブルタップやピンチアウト等)が行われると、図4Dに示す画面220dとなり、オブジェクトを近くから見る状態となる。
【0041】
図4Eに示すように、画面220eは、AR(Augmented Reality、拡張現実)機能を用いた場合に表示される画面であって、端末2のカメラによって撮影された背景222ar上に、配置面との距離及び画角を合致させてオブジェクト221exが表示される。
【0042】
図4Fに示すように、画面220fは、図4Eの画面220eにおいて操作(例えば、マウスのホイール操作、タッチパッドのダブルタップやピンチアウト等)が行われると、サイズを変化させた(サイズを大きくした)オブジェクト221exが表示される。
【0043】
また、図4Gに示すように、画面220gは、図4Eの画面220eにおいて端末2のカメラの撮影位置及び方向が変化された場合の背景222ar上に、配置面との距離及び画角が連動されたオブジェクト221exが表示される。
【0044】
図4Hに示すように、画面220hは、図4Aに示した画面220aにさらに色選択ボタン228が追加されたものであり、色選択ボタン228のいずれかが選択されると選択された色に応じてオブジェクト221exの外装色が変更される。
【0045】
図4Iに示すように、画面220iは、図4Aに示した画面220aのインテリア切替ボタン225が操作された場合のオブジェクト221exの内装を示す画面であって、オブジェクトインテリア221inと、エクステリア切替ボタン229とを有する。
【0046】
図5A図5Fは、イベントの項目例を説明するための図である。
【0047】
図5Aに示すイベント112OTは、オブジェクトに対する変更イベントであり、例えば、オブジェクトの回転を開始した際に生成される「rotate object ‐ start」、回転を終了した際に生成される「rotate object ‐ stop」、オブジェクトのドアを開けた際に生成される「door open」、閉めた際に生成される「door close」、オブジェクトのモデルを変更した際に生成される「change product model」、オブジェクトの視界を変更した際に生成される「change view (interior to exterior, for example)」、POI(Point of Interest)をクリックして、 焦点を当てることにした際に生成される「POI focus」、オブジェクトのズームを開始した際に生成される「object zoom start」、ズームを終了した際に生成される「object zoom stop」、その他の操作を設定可能な「other (custom)」、オブジェクトのホイールを変更した際に生成される「change wheels」、オブジェクトのライトのオンオフした際に生成される「turn on / off lights」、オブジェクトを並べた際に生成される「change alignment」、オブジェクトの縮尺変更を開始した際に生成される「object scale start」、縮尺変更を終了した際に生成される「object scale stop」、オブジェクトを上下・左右に反転した際に生成される「object mirror」等のイベントを有する。
【0048】
なお、例えば、「color change」は、変更後の色と変更前の色の情報を含む。また、「rotate object ‐ start」及び「rotate object ‐ stop」は、回転開始及び終了のポイント、回転角度、経時的な回転角速度等の情報を含む。同様に、「object zoom start」、「object zoom stop」、「object scale start」、「object scale stop」についても動作の開始及び終了のポイント、開始から終了までの経時的な変化量等の情報を含むものとする。
【0049】
図5Bに示すイベント112CTは、カメラに対する変更イベントであり、例えば、オブジェクトとカメラの距離の変更を開始した際に生成される「object distance change ‐ start」、距離の変更を終了した際に生成される「object distance change ‐ stop」、オブジェクトに対するカメラ方向の変更を開始した際に生成される「object direction change ‐ start」、カメラ方向の変更を終了した際に生成される「object direction change ‐ stop」、オブジェクトの再配置を開始した際に生成される「object location change ‐start」、再配置を終了した際に生成される「object location change ‐ stop」、環境に対してオブジェクトのズームを開始した際に生成される「zoom object view ‐ start」、ズームを終了した際に生成される「zoom object view ‐ stop」、カメラの回転を開始した際に生成される「camera rotation ‐ start」、回転を終了した際に生成される「camera rotation ‐ stop」、オブジェクトの位置、向き、大きさのどれかあるいはいくつかを変更した際に生成される「projection matrix change」等のイベントを有する。
【0050】
なお、「object distance change ‐ start」、「object distance change ‐ stop」、「object direction change ‐ start」、「object direction change ‐ stop」、「object location change ‐start」、「object location change ‐stop」、「zoom object view ‐ start」、「zoom object view ‐ stop」、「camera rotation ‐ start」、「camera rotation ‐ stop」は、動作の開始及び終了のポイント、開始から終了までの経時的な変化量等の情報を含むものとする。
【0051】
図5Cに示すイベント112OPは、オブジェクト特性に対する変更イベントであり、例えば、オブジェクトのボディの色を変更した際に生成される「change body color」、オブジェクトのトリムの色を変更した際に生成される「change trim color」、オブジェクトのボディの柄を変更した際に生成される「change body texture」、背景を変更した際に生成される「change background」、オブジェクト上の言葉やアイコンを変更した際に生成される「change object graphics」、オブジェクトと伴に再生されるビデオ、音声等のマルチメディアを変更した際に生成される「change object multimedia」、オブジェクトと伴に再生されるアニメーションを開始した際に生成される「start object animation」、アニメーションを終了した際に生成される「stop object animation」、オブジェクトと伴に再生されるアニメーションを変更した際に生成される「change object animation」、背景と伴に再生されるアニメーションを開始した際に生成される「start background animation」、アニメーションを終了した際に生成される「stop background animation」、背景と伴に再生されるアニメーションを変更した際に生成される「change background animation」等のイベントを有する。
【0052】
図5Dに示すイベント112CPは、カメラ特性に対する変更イベントであり、例えば、視野角を変更した際に生成される「change field of view」、オーバーレイ画像を変更した際に生成される「change overlay graphics」、オーバーレイされる3Dオブジェクトを追加した際に生成される「additional 3D objects overlaid」、照明効果を変化した際に生成される「change lighting effects」、カラーフィルターを変更した際に生成される「change color filters」等のイベントを有する。
【0053】
図5Eに示すイベント112Sは、システム上で生じるイベントであり、例えば、ARシステムをロードした際に生成される「AR System loaded」、素材をロードした際に生成される「Assets loaded」、シーンを準備した際に生成される「scene ready」、オブジェクトを生成した際に生成される「spawn object」、複数のオブジェクトを生成した際に(その数とともに)生成される「spawn multiple objects (how many)」、(ARシステムの)エラーが生じた際に生成される「error (AR system)」、アクション後に時間が経過した際に(経過時間とともに)生成される「timer‐after‐action (how much time)」、インプレッション後に時間が経過した際に(経過時間とともに)生成される「timer‐after‐impression (how much time)」、写真/スクリーンショットを撮った際に生成される「photo / screenshot taken」、利用者に対する行動喚起が成立した際に生成される、例えば、何らかの方法(点滅や矢印による指示等)で強調表示されたリンクがクリックされてウェブサイトに移動した際に生成される「call to action (click to site)」、オブジェクトの表示をリセットした際に生成される「reset creative」、ARモードを実行した際に生成される「launch AR mode」、ビデオ/オーディオの再生を開始した際に生成される「start (video/ audio multimedia)」、再生を終了した際に生成される「stop (video / audio multimedia)」、ビデオ/オーディオの再生を再開した際に生成される「resume (video / audio multimedia)」、合計再生時間の(25%|50%|75%|100%)を再生した際に生成される「media Quartile Complete (video / audio multimedia ‐ 1, 2, 3, 4 quarters)」、オーディオのボリュームを変更した際に(その音量とともに)生成される「volume change (audio)」、等のイベントを有する。
【0054】
なお、「AR System loaded」は、ARを実行した際の端末2の位置情報、オブジェクトの色、モデル、大きさ、配置等の情報を含むものとする。
【0055】
図5Fに示すイベント112Mは、その他のイベントであり、例えば、最初のインタラクションが生じた際に生成される「first interaction」、当該コンテンツ情報で利用される他社のコンテンツがイベント又は信号を生成した際に生成される「3rd party signal」、ランダムなイベントが生じた際に生成される「random event」等のイベントを有する。
【0056】
図6は、イベント履歴情報112の構成例を示す図である。
【0057】
イベント履歴情報112は、タイムスタンプとしての時刻と、当該時刻において発生したイベントのイベントIDとを有する。イベントIDは図5A図5FのイベントIDに対応したものである。図6の例では、端末2で、時刻t1においてARシステムがロードされ(S001)、時刻t2においてオブジェクトが生成され(S004)、時刻t3においてオブジェクトのドアが開けられ(OT003)、時刻t4においてオブジェクトの回転が開始され(OT001)、時刻t5においてオブジェクトの回転が停止され(OT002)、時刻t6において他社のコンテンツがイベントを生成し(M002)、時刻t7において照明効果が変更され(CP004)、時刻t8においてカメラの回転が開始され(CT009)、時刻t9においてカメラの回転が停止された(CT010)場合のイベントの履歴を示している。また、図6では、単純に複数の個別のイベントが時系列に沿って並んでいるものを示しているが、例えば、図5Aに示したイベントID「OT002」の「rotate object ‐ stop」のようにオブジェクトの回転を止めるイベントにおいて、オブジェクトの回転運動の詳細な軌跡とタイミングを1つのイベントに含むようなものを含んでいてもよい。この場合、イベント中の任意の時刻をタイムスタンプに有しても良いし、タイムスタンプを有さないものであってもよい。
【0058】
(情報処理装置の動作)
次に、本実施の形態の作用を、(1)コンテンツ表示動作、(2)イベント履歴解析動作、(3)解析結果出力動作に分けて説明する。
【0059】
(1)コンテンツ表示動作
図10は、情報処理システム5の動作例を示すフローチャートである。
【0060】
まず、端末2の利用者6は、コンテンツの含まれるホームページを閲覧するため、端末2を操作する。端末2は、ホームページの情報を配信するサーバにホームページの情報を要求して受信し、受信した情報に基づいて端末2のウェブブラウザがホームページの内容を表示するとともに、受信したホームページの情報に含まれるコンテンツ情報のURLに基づいてコンテンツ情報の要求を情報処理装置1に送信する(S20)。
【0061】
情報処理装置1のコンテンツ配信手段100は、端末2の配信要求を受け付けて(S10)、ホームページの情報とともにコンテンツ情報111を通信部12及びネットワーク4を介して端末2に配信する(S11)。
【0062】
端末2のコンテンツ受信手段200は、情報処理装置1から配信されたコンテンツ情報111を通信部25及びネットワーク4を介して受信し、記憶部21にコンテンツ情報211として格納する(S21)。
【0063】
次に、端末2のコンテンツ表示手段201は、コンテンツ情報211を実行してホームページ内にバナー広告として表示する(S22)。バナー広告の表示内容は図4A図4C図4H及び図4Iに示した内容で構成される。
【0064】
利用者6は、端末2の表示部22に表示されたコンテンツ情報211の表示内容(図4A図4I)を確認し、表示内容に含まれるオブジェクト221exやカメラアングル等を変更するため、操作部23に対して操作を行う。
【0065】
端末2のコンテンツ操作受付手段202は、操作部23に対する操作を受け付け(S23)、コンテンツ情報211の実行状態に合わせた操作内容に変換する。端末2のコンテンツ表示手段201は、コンテンツ操作受付手段202が受け付けた操作内容に応じて表示部22に表示されたオブジェクト221exやカメラアングル等の表示内容を変更する(S24)。
【0066】
また、端末2のコンテンツ操作受付手段202は、実行状態に合わせたイベント(図5A図5F)を発生させ、イベント送信手段203は、発生したイベントをタイムスタンプとともにイベント履歴情報212(図6)として情報処理装置1に送信する(S25)。イベント履歴情報212は単一のイベントであってもよいし、複数のイベントを含むものであってもよい。情報処理装置1へ送信するタイミングは定期的なものであってもよいし、定量で送るものであってもよいし、ネットワークの接続状況に基づいて変化するものであってもよい。
【0067】
情報処理装置1のイベント受信手段101は、端末2からイベントを受信し(S12)、受信したイベントをイベント履歴情報112として記憶部11に格納する(S13)。
【0068】
情報処理装置1のイベント解析手段102は、イベント履歴情報112を解析して解析結果情報113を生成する(S14)。以下に、解析方法を説明する。
【0069】
(2)イベント履歴解析動作(第1段階の解析)
イベント解析手段102は、第1段階の解析として、イベント履歴情報112から個々のイベントを追跡して解析結果を得る。解析結果は、例えば、キャンペーン毎のイベントの数、セッション毎のイベントの平均、(1以上のインタラクションを伴うセッションの数)/(セッションの総数)の比から得られるエンゲージメントの割合(この値は、何人のユーザーが商品と結びついたかを示す指標を表す。)、(トータルのキャンペーンコスト)/(エンゲージメントのセッション総数)の比から得られるエンゲージメント毎のコストが挙げられる。
【0070】
ここで用いた用語は、例えば、Google analyticsをはじめとするウェブ解析で用いられる用語であり、「キャンペーン(campaign)」とは利用者をバナー広告から広告主のサイトに誘導することを目的とした活動、「セッション(session)」とは利用者が広告主のサイトを訪れてから離脱するまでの一連の流れ、「エンゲージメント(engagement)」とは広告の商品に対する利用者の興味の深さを示す用語である。
【0071】
一例として、イベント解析手段102は、8種類のイベント(impressions、rotations、light changes、interior view switches、calls to action、zooms(in/out)、resets、time‐after‐actions)が生成される場合、さらにシングルセッション中のすべてのインタラクションを測定した時間であるエンゲージタイムにおけるすべてのイベントの数を集計した値「interactions」を用いることができる。これらのイベントを日毎、キャンペーン毎、セッション毎の時間単位に集計する。つまり、解析結果としては、9つの集計単位に対して3つの時間単位から27種類の集計結果が得られる。
【0072】
(第2段階の解析;組み合わせ)
次に、イベント解析手段102は、第2段階の解析として、イベント履歴情報112から個々のイベントがどのような組み合わせで起きたかを追跡して解析結果を得る。例えば、以下の数1に示す組み合わせを用いて得られるイベントの組み合わせの種類から、ユーザーが興味あるものが選択される。ここで、nはイベントの種類の数であり、kは組み合わせとして選択されたイベントの数である。
【数1】
【0073】
一例として、イベント解析手段102は、第1段階の解析と同様に8種類のイベント(impressions、rotations、light changes、interior view switches、calls to action、zooms(in/out)、resets、time‐after‐actions)が生成される場合、さらにinteractionsを用いることができ、2つのイベントの組み合わせは36となり、多くの種類の解析結果を得ることができる。イベント解析手段102は、これらのイベントの任意の組み合わせから選択された組み合わせについて、複数のイベントの組み合わせの数、平均、割合、比、コスト等を解析結果として出力する。解析結果として出力し、例えば、impressionsとCTA(Calls to Action、例えば、clicks)の組み合わせだった場合、得られるのはCTR(the click‐through‐rate of clicks)となる。
【0074】
(第2段階の解析;順列)
次に、イベント解析手段102は、第2段階の解析として、イベント履歴情報112から個々のイベントがどのような順序で起きたかを追跡して解析結果を得る。例えば、以下の数2に示す順列を用いて得られるイベントの順列の種類から、ユーザーが興味あるものが選択される。ここで、nはイベントの種類の数であり、nは順列として選択されたイベントの数である。
【数2】
【0075】
例えば、「impression > choose size 又は choose color 又は choose model(順序は問わない)> CTA(click)」という順列は6通りあるが、イベント解析手段102は、これらの数をそれぞれカウントすることで利用者6がサイズ、カラー、モデルのいずれに第1に興味があるかを解析結果として出力する。
【0076】
なお、一例として、6種類のイベントが生成される場合、順列の数は1900より多くなる(2種類のイベントの順列は30、3種類のイベントの順列は120、4種類のイベントの順列は360、5種類のイベントの順列は720、6種類のイベントの順列は720であり、これらの総和)が、広告主7にとって意味のあるイベントの順序はビッグデータの解析手法等を用いて抽出してもよい。
【0077】
さらに、イベント解析手段102は、操作後に経過した時間「timer after action」とimpressionの後に経過した時間「timer after impression」をイベントとして定義しており(図5E)、上記した順列に時間の概念を導入してさらに順列の数を拡大する。
【0078】
その他、イベント解析手段102は、複数のイベントの順列の数、平均、割合、比、コスト等を解析結果として出力する。
【0079】
(第2段階の解析;重複順列)
次に、イベント解析手段102は、第2段階の解析として、イベント履歴情報112から個々のイベントが重複して発生してよい場合であって、どのような順序でどのような頻度で起きたかを追跡して解析結果を得る。例えば、以下の数3に示す式を用いて得られる順列の数から、ユーザーが興味あるものが選択される。ここで、nはイベントの種類の数であり、tは生成されたインタラクションの総数である。
【数3】
【0080】
なお、一例として、7種類のイベントが生成され、5つのイベントが重複可能に発生する場合、重複順列の数は16000通り以上となる。イベントの数に制限がなければ重複順列の数は指数関数的に増加する。
【0081】
例えば、「impression、rotate start又はrotate stop又はcolor change又はzoom start又はzoom stop又はview POI又はreset、launch AR mode、spawn object、change lighting effects又はchange color又はrotate start又はrotate stop又はzoom start又はzoom stop」という重複順列において、イベント解析手段102は、これらの数をそれぞれカウントすることで利用者6がオブジェクトのどのような点に興味を持ち、ARモードでオブジェクトをどのように配置するのに興味があるかを解析結果として出力する。
【0082】
その他、イベント解析手段102は、複数のイベントの重複順列の数、平均、割合、比、コスト等を解析結果として出力する。
【0083】
(3)解析結果出力動作
情報処理装置1の解析結果出力手段103は、端末3の要求に応じて、解析結果情報113を端末3に出力する(S15)。広告主7は、以降に示すように、端末3の表示部に表示された解析結果から広告効果や利用者6の行動(好み)の傾向等を確認する。
【0084】
図7は、解析結果情報113に基づいて端末3の表示部に表示される画面の例を示す図である。
【0085】
解析結果表示画面113aは、第1段階の解析により得られた解析結果情報を表示したものであり、Impressions、CTAs(Calls to Action)、Rotations、Lights changes、View changes、Zooms、Zoom resets、CTR(Click Through Rate)、Engagement Rate、Unique Engagement Rateの遷移を有する。なお、CTAは、例えば、バナー広告上で利用者の操作を促すアニメーション等の行動喚起のための処理が実行された回数であったり、リンクがクリックされてリンク先のウェブサイトに移動した回数等である。また、これらの表示は、日の単位でまとめられたものであり、単位変更メニュー113a1を変更することで月の単位、年の単位、時間の単位、キャンペーンの単位、セッションの単位等でまとめられる。
【0086】
図8は、解析結果情報113に基づいて端末3の表示部に表示される画面の例を示す図である。
【0087】
解析結果表示画面113bは、第1段階の解析により得られた解析結果情報を表示したものであって、車のボディカラーの色の分布を示しており、左から、状況を問わず選択された色の総数の割合を示すTotal Changes、リンクがクリックされた際に選択されていた色の割合を示すCTAs、最終的に選択されていた色の割合を示すLast Colorを有する。
【0088】
図9は、解析結果情報113に基づいて端末3の表示部に表示される画面の例を示す図である。
【0089】
解析結果表示画面113cは、第2段階の解析により得られた解析結果情報を表示したものであり、左のInteraction Time vs Impressionsと、右のInteraction Time vs CTRとを有する。
【0090】
Interaction Time vs Impressionsは、(あるユーザーの)特定のセッションおける最初のインタラクションのタイムスタンプと最後のインタラクションのタイムスタンプ間の時間に対する、(全ユーザーの)特定の期間におけるインプレッションの総数の分布を示すものである。なお、Interaction Time = 0は、Assets loadedのイベントをインタラクションにカウントせず、その後何らかのイベントが1つだけ発生した場合である。その他のInteraction Timeは、Assets loaded以外の複数のイベントが発生し、その最初と最後のイベントのタイムスタンプの間隔である。
【0091】
Interaction Time vs CTRは、(あるユーザーの)特定のセッションおける最初のインタラクションのタイムスタンプと最後のインタラクションのタイムスタンプ間の時間に対する、(全ユーザーの)CTRの分布を示すものである。なお、Interaction Time = 0は、Assets loadedのイベントをインタラクションにカウントせず、その後イベントCall to Action(click to website)のみ発生した場合である。その他のInteraction Timeは、Assets loaded以外のイベントが発生し、その最初のタイムスタンプとイベントCall to Action(click to website)のタイムスタンプの間隔である。
【0092】
また、情報処理装置1の解析結果反映手段104は、解析結果情報113に基づきコンテンツ情報の内容を変更するよう端末2に要求する(S16)。
【0093】
端末2のメディア更新手段204は、情報処理装置1の解析結果反映手段104から要求される内容に応じて、コンテンツ情報211の色、モデル、撮影角度、配置角度、オプション等の初期設定値を変更する。これは、例えば、オブジェクトの色の選択結果として赤が多かった場合、複数の利用者の傾向を反映して、オブジェクトの初期設定カラーを赤に変更する等の対応をとることができる。
【0094】
また、情報処理装置1の解析結果反映手段104は、解析結果情報113に基づきコンテンツ情報111の内容を変更してもよい。反映する解析結果情報113は単一の利用者のイベントに基づくものであってもよいし、複数の利用者のイベントに基づくものであってもよい。
【0095】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によれば、端末で表示される広告バナーを操作可能に表示し、操作に基づいて生成されるイベントを解析するようにしたため、利用者によって操作可能に表示されたコンテンツについて、操作内容から利用者の興味や行動傾向等を解析することができる。特に、従来は配信の回数(impressions)、クリックの有無(CTR)等程度の解析しかできなかったが、イベントの組み合わせ、順列、重複順列を用いるようにしたため、従来より多くの情報を得ることができるとともに、利用者の興味や行動の傾向を特定するためにより複雑な操作内容を特定して、その回数、割合、平均等を解析することができる。
【0096】
また、解析結果を広告主7にグラフや表を用いて提示することができる。また、多くの情報を得られ、解析方法が多く、表示方法も適宜変更可能であるため、広告主、広告を分析する者、広告業界、ウェブページやアプリケーションを制作する者、電子商取引のブランドを管理する者、電子商取引のサイトを管理する者、流通業界の者等のそれぞれに合わせた解析結果及び表示方法を選択することができる。
【0097】
また、特定のユーザー又は複数のユーザーを対象にした解析結果により得られた回数、割合、平均等に基づいて、コンテンツの色、モデル、撮影角度、配置角度、オプション等の初期設定値に動的に反映することができる。また、特定のユーザーの解析結果に基づいて当該ユーザーに紹介する製品を変えるようにしてもよい。また、紹介する製品は同一の広告主のものであってもよいし、他のメーカーのものであってもよい。また、特定のユーザー又は複数のユーザーを対象にした解析結果により得られた回数、割合、平均等に基づいて、バナー広告以外の広告媒体(印刷物、メール等)の内容を変更してもよい。
【0098】
上記した利用者の興味を解析する方法として、例えば、A/Bテストを実施できる。従来のA/Bテストは、2つの比較対象を利用者に提示する必要があったため、少なくとも2回のimpressionが必要だったが、1つのコンテンツ内に複数の色、モデル、撮影角度等のA/B双方を組み込むことができるため、複数の条件を提示するのに1つのコンテンツの配信で済み、1回のimpressionで得られる情報量が多くなる。つまり、1つのコンテンツ内でA/Bテストが可能である。
【0099】
また、解析結果を出力する変形例として、例えば、特定のユーザーの解析結果に基づいて当該ユーザーが購入を希望している仕様の製品を在庫している店舗を紹介することができる。また、複数のユーザーの解析結果を製造業者に送付することで、複数のユーザーが購入を希望している仕様の製品の製造数を増やしたり、購入希望者が多くいる地域に当該仕様の製品を配送するようにしたりすることができる。
【0100】
また、解析結果を出力する変形例として、例えば、複数のユーザーの解析結果に基づいてある種の規則性を持った一連のイベントが検出される場合、当該一連のイベントを生成したユーザーをボット(単純な繰り返しのタスクをこなすソフトウエア)として特定することができ、当該ボットによって生成されるイベントを集計から除外する等の対応を行うことができる。
【0101】
また、解析結果を出力する変形例として、例えば、解析結果はインプレッションだけでなくオブジェクトの操作によって生成されたイベントに基づくものであるため、操作を伴う一連のイベントのみを選択することで、ユーザーがバナー広告を見たことを保証した数値を解析結果として出力することができる。
【0102】
従来のバナー広告の評価方法としてはインプレッションやクリック又はこれらに基づく数値(CTR等)のみであったため、広告主7が支払う費用はインプレッションの数に基づいたものであることが多かったが、本願発明であればバナー広告をエンゲージメントに基づいて評価できるため、広告主7が支払う費用は広告効果に即したものとすることができる。
【0103】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0104】
上記実施の形態では制御部10の各手段100~104、200~204の機能をプログラムで実現したが、各手段の全て又は一部をASIC等のハードウエアによって実現してもよい。また、上記実施の形態で用いたプログラムをCD‐ROM等の記録媒体に記憶して提供することもできる。また、上記実施の形態で説明した上記ステップの入れ替え、削除、追加等は本発明の要旨を変更しない範囲内で可能である。
【0105】
以下に本開示のまとめを付記する。
(開示1)
コンピュータを、
端末でコンテンツ情報が実行されて表示処理され、端末で受け付けた操作に基づいて当該表示処理されたコンテンツ情報の表示が変化した結果発生するイベントを受信して時系列とともにイベント履歴情報として格納するイベント受信手段と、
前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比、積分値、微分値及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果を出力する解析結果出力手段として機能させるイベント解析プログラム。
(開示2)
前記解析手段は、前記イベント履歴情報の組み合わせを用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する開示1に記載のイベント解析プログラム。
(開示3)
前記解析手段は、前記イベント履歴情報の順列を用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する開示1又は2に記載のイベント解析プログラム。
(開示4)
前記解析手段は、前記イベント履歴情報の重複順列を用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する開示1~3のいずれか1項に記載のイベント解析プログラム。
(開示5)
前記解析結果出力手段は、前記解析結果を前記端末に出力し、前記端末で実行されるコンテンツ情報の表示を前記解析結果に基づいて変更する開示1~4のいずれか1項に記載のイベント解析プログラム。
(開示6)
端末でコンテンツ情報が実行されて表示処理され、端末で受け付けた操作に基づいて当該表示処理されたコンテンツ情報の表示が変化した結果発生するイベントを受信して時系列とともにイベント履歴情報として格納するイベント受信手段と、
前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比、積分値、微分値及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果を出力する解析結果出力手段を有する情報処理装置。
(開示7)
コンテンツ情報を実行して表示処理し、受け付けた操作に基づいて当該表示処理した前記コンテンツ情報の表示を変化させ、表示が変化した結果発生するイベントを出力する端末と、
前記端末から前記イベントを受信して時系列とともにイベント履歴情報として格納するイベント受信手段と、前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比、積分値、微分値及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて前記端末で受け付けた操作内容を解析する解析手段と、前記解析手段の解析結果を出力する解析結果出力手段を有する情報処理装置とを備えるシステム。
(開示8)
コンピュータを、
コンテンツ情報を実行して表示処理し、受け付けた操作に基づいて当該表示処理されたコンテンツ情報の表示を変化し、表示が変化した結果発生するイベントを時系列とともにイベント履歴情報として送信するイベント送信手段と、
前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比、積分値、微分値及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて受け付けた操作内容を解析した結果である解析結果を前記イベント履歴情報の送信先から受信して、当該解析結果に基づいて前記コンテンツ情報の内容を更新する更新手段として機能させるイベント解析プログラム。
(開示9)
コンテンツ情報を実行して表示処理し、受け付けた操作に基づいて当該表示処理されたコンテンツ情報の表示を変化し、表示が変化した結果発生するイベントを時系列とともにイベント履歴情報として送信するイベント送信手段と、
前記イベント履歴情報の任意のイベントの頻度、和、平均、差、乗算値、割合、比、積分値、微分値及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて受け付けた操作内容を解析した結果である解析結果を前記イベント履歴情報の送信先から受信して、当該解析結果に基づいて前記コンテンツ情報の内容を更新する更新手段と、を有する情報処理装置。
【符号の説明】
【0106】
1: 情報処理装置
2: 端末
3: 端末
4: ネットワーク
5: 情報処理システム
6: 利用者
7: 広告主
10: 制御部
11: 記憶部
12: 通信部
20: 制御部
21: 記憶部
22: 表示部
23: 操作部
24: 撮像部
25: 通信部
100: コンテンツ配信手段
101: イベント受信手段
102: イベント解析手段
103: 解析結果出力手段
104: 解析結果反映手段
110: イベント解析プログラム
111: コンテンツ情報
112: イベント履歴情報
113: 解析結果情報
200: コンテンツ受信手段
201: コンテンツ表示手段
202: コンテンツ操作受付手段
203: イベント送信手段
204: メディア更新手段
210: イベント解析プログラム
211: コンテンツ情報
212: イベント履歴情報
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9
図10