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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】情報処理方法および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240822BHJP
   G06Q 50/43 20240101ALI20240822BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240822BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240822BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240822BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G06Q50/43
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2022012183
(22)【出願日】2022-01-28
(65)【公開番号】P2023110613
(43)【公開日】2023-08-09
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】518011448
【氏名又は名称】株式会社NearMe
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼原 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】細田 謙二
(72)【発明者】
【氏名】池西 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】徳山 泰斗
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-086397(JP,A)
【文献】特開2003-296888(JP,A)
【文献】特開2020-056683(JP,A)
【文献】国際公開第2019/243885(WO,A1)
【文献】特開2020-004225(JP,A)
【文献】特開2002-183892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
G16Y 10/00 - 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザにそれぞれ対応して、乗車地点および降車地点を指定した複数の配車要求を受け付け、
前記複数の配車要求に基づき、各ユーザを各乗車地点および降車地点で乗り降りさせながら送迎する相乗りルートを生成し、
前記相乗りルートで送迎する場合の第1乗車料金と、各ユーザが指定した乗車地点および降車地点を結ぶ個別ルートで各ユーザを個別に送迎した場合の第2乗車料金とを取得し、
前記相乗りルートおよび前記個別ルートに基づき、前記相乗りルートを用いる場合に前記個別ルートを用いる場合と比較して増加する乗車時間である迂回時間または前記相乗りルートを用いる場合に前記個別ルートを用いる場合と比較して増加する乗車距離である迂回距離をユーザ毎に取得し、
前記第1乗車料金と、各ユーザの前記第2乗車料金と、前記迂回時間または前記迂回距離とに基づき、前記迂回時間または前記迂回距離に応じた相乗り割引率または相乗り割引金額をユーザ毎に算出する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記相乗り割引率または相乗り割引金額は、各ユーザの前記第2乗車料金を合計した合計第2乗車料金と前記第1乗車料金との比に基づいて算出した分配原資率を、各ユーザの前記迂回時間または前記迂回距離に応じて分配して定められる
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記合計第2乗車料金と前記第1乗車料金との比と、前記分配原資率との比率の設定を受け付ける
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記相乗りルートを使用する各ユーザが支払う相乗り料金は、前記第2乗車料金を、前記相乗り割引率または前記相乗り割引金額と、所定の基本割引率または基本割引額とに基づいて調整して定められる
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記基本割引率または前記基本割引額を、時期、天候、需要又は乗車若しくは降車の場所に応じて変動させる
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記基本割引率または前記基本割引額を、前記相乗りルートの残座席数又は前記相乗りルートの受け付け終了までの時間に応じて変動させる
請求項4または請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記基本割引率または前記基本割引額を、利用履歴に応じて変動させる
請求項4から請求項6のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記基本割引率または前記基本割引額を、運転手の属性または車両の属性に応じて変動させる
請求項4から請求項7のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記配車要求は、前記乗車地点および前記降車地点に加えて乗車時刻または降車時刻の指定を含み、
前記相乗りルートを、前記乗車地点、前記降車地点、前記乗車時刻または前記降車地点について、所定の範囲の変動を許容して生成し、
前記相乗りルートにおける前記乗車地点、前記降車地点、前記乗車時刻または前記降車時刻が前記配車要求に指定された条件と異なるユーザから、前記相乗りルートを承認するか否かの判断を受け付け
承認する旨の判断を受け付けたユーザに対して、前記基本割引率または前記基本割引額を大きな値に変更する
請求項4から請求項8のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項10】
基準割引率または基準割引額の設定を受け付け、
前記相乗り割引率または前記相乗り割引金額が、前記基準割引率または基準割引額よりも大きいユーザに対して、前記相乗りルートに関する情報を出力する
請求項4から請求項9のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記相乗りルートを使用する各ユーザが支払う相乗り料金と、前記相乗りルートの運行に要する経費とに基づいて算出した利益が所定の閾値よりも大きいユーザに対して、前記相乗りルートに関する情報を出力する
請求項1から請求項10のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記相乗りルートを使用する各ユーザが支払う相乗り料金を、前記相乗りルートの運行に要する経費をユーザ間で配分した配分経費と、手数料とに分けて各ユーザに提示する
請求項1から請求項11のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記相乗りルートを使用する各ユーザが支払う相乗り料金を、配分経費と、手数料とに分けて各ユーザに提示した後に、各ユーザの乗降予定および前記相乗りルートの運行に要する経費に影響を与えずに前記相乗りルートに追加可能な配車要求が発生した場合、
提示済の前記手数料を減額する
請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
追加料金の支払いに同意したユーザに対して、他のユーザよりも優先して前記相乗りルートに関する情報を出力する
請求項1から請求項13のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記第2乗車料金よりも高額の料金の支払いに同意したユーザに対しては、該ユーザが支払う相乗り料金が前記第2乗車料金を上回る場合であっても前記相乗りルートに関する情報を出力し、
その他のユーザに対してはそれぞれのユーザが支払う相乗り料金が前記第2乗車料金を上回る場合には前記相乗りルートに関する情報を出力しない
請求項14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記相乗りルートを生成する前に前記配車要求を受け付け済の各ユーザに関して、前記相乗りルートに基づいて算出した前記相乗りルートを使用する各ユーザが支払う相乗り料金に対して所定の割引をした割引後相乗り料金を算出し、
前記相乗りルートを生成した後に発生した前記配車要求を加えて算出した前記相乗りルートを使用する各ユーザが支払う相乗り料金が、前記割引後相乗り料金よりも高額であっても、記録した前記割引後相乗り料金を、前記相乗りルートを生成する前に前記配車要求を受け付け済の各ユーザに提示する
請求項1から請求項15のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記相乗りルートを生成した後に発生した前記配車要求を加えて算出した前記相乗りルートを使用する各ユーザが支払う相乗り料金が、前記割引後相乗り料金よりも低額であっても、記録した前記割引後相乗り料金を、前記相乗りルートを生成する前に前記配車要求を受け付け済の各ユーザに提示する
請求項16に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記配車要求の発生予測を取得し、
前記発生予測が所定の閾値を超える場合、受け付けた前記複数の配車要求と、前記発生予測に基づいて生成した仮配車要求とに基づいて前記相乗りルートを生成する
請求項1から請求項15のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記相乗りルートを生成した後に発生した前記配車要求が、前記仮配車要求に比べて少ない場合、前記相乗りルートを生成した事業者が不足するコストを負担する
請求項18に記載の情報処理方法。
【請求項20】
前記不足するコストが生じる場合、事業者が前記不足するコストの全部又は一部を負担する旨を各ユーザに提示する
請求項19に記載の情報処理方法。
【請求項21】
前記相乗りルートを生成する前に前記配車要求を受け付け済の各ユーザに関して、前記相乗りルートに基づいて算出した前記相乗り割引率または前記相乗り割引金額を記録し、
前記相乗りルートを生成した後に発生した前記配車要求が、前記仮配車要求に比べて少ない場合であっても、記録した前記相乗り割引率または前記相乗り割引金額を提示する
請求項18から請求項20のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項22】
前記相乗りルートを生成した後に発生した前記配車要求が、前記仮配車要求に比べて多い場合であっても、記録した前記相乗り割引率または前記相乗り割引金額を提示する
請求項21に記載の情報処理方法。
【請求項23】
1台の車両が複数の前記相乗りルートを順次走行する配車計画を記録し、
前記配車要求を新たに受け付けた場合、前記相乗りルートから選択した第1相乗りルートに受け付けた前記配車要求を組み込んだ第2相乗りルートを生成し、
前記配車計画における前記第1相乗りルートの前および後ろの前記相乗りルートのそれぞれと、前記第2相乗りルートとの間の移動時間または移動距離を取得し、
取得した前記移動時間または前記移動距離に基づいて前記配車要求を許可するか否かを判定し、
判定した結果を前記配車要求に対応するユーザ宛てに出力する
請求項1から請求項22のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項24】
前記移動時間または前記移動距離に加えて、前記車両の走行可能距離に基づいて前記配車要求を許可するか否かを判定する
請求項23に記載の情報処理方法。
【請求項25】
前記移動時間または前記移動距離に加えて、前記相乗りルートの需要に基づいて前記配車要求を許可するか否かを判定する
請求項23に記載の情報処理方法。
【請求項26】
新たに受け付けた前記配車要求が、前記配車計画において前記車両が前記相乗りルートを走行しない予定の時間帯に対応する場合、割引料金で許可する旨を前記配車要求に対応するユーザ宛てに送信する
請求項23から請求項25のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項27】
1台の車両が、複数のユーザを各乗車地点および降車地点で乗り降りさせながら送迎する複数の相乗りルートを順次走行する配車計画を記録し、
ユーザの乗車地点および降車地点を指定した配車要求を新たに受け付けた場合、前記相乗りルートから選択した第1相乗りルートに受け付けた前記配車要求を組み込んだ第2相乗りルートを生成し、
前記配車計画における前記第1相乗りルートの前および後ろの前記相乗りルートのそれぞれと、前記第2相乗りルートとの間の移動時間または移動距離を取得し、
前記移動時間または前記移動距離に基づいて前記配車要求を許可するか否かを判定し、
判定した結果を前記配車要求に対応するユーザ宛てに出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項28】
複数のユーザにそれぞれ対応して、乗車地点および降車地点を指定した複数の配車要求を受け付ける受付部と、
前記複数の配車要求に基づき、各ユーザを各乗車地点および降車地点で乗り降りさせながら送迎する相乗りルートを生成するルート生成部と、
前記相乗りルートで送迎する場合の第1乗車料金と、各ユーザが指定した乗車地点および降車地点を結ぶ個別ルートで各ユーザを個別に送迎した場合の第2乗車料金とを取得する料金取得部と、
前記相乗りルートおよび前記個別ルートに基づき、前記相乗りルートを用いる場合に前記個別ルートを用いる場合と比較して増加する乗車時間である迂回時間または前記相乗りルートを用いる場合に前記個別ルートを用いる場合と比較して増加する乗車距離である迂回距離をユーザ毎に取得する迂回取得部と、
前記第1乗車料金と、各ユーザの前記第2乗車料金と、前記迂回時間または前記迂回距離とに基づき、前記迂回時間または前記迂回距離に応じた相乗り割引率または相乗り割引金額をユーザ毎に算出する算出部と
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗車希望者の要求に応じて、オンデマンドバス等の運行計画を動的に生成する情報処理装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/262673号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運行経路を動的に生成する場合には、運行に要するコストも動的に変化する。しかしながら、特許文献1においては、運行に要するコストをそれぞれの乗車希望者の負担に反映させることはできない。
【0005】
一つの側面では、運行に要するコストをそれぞれの乗車希望者の負担に反映させる情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
情報処理方法は、複数のユーザにそれぞれ対応して、乗車地点および降車地点を指定した複数の配車要求を受け付け、前記複数の配車要求に基づき、各ユーザを各乗車地点および降車地点で乗り降りさせながら送迎する相乗りルートを生成し、前記相乗りルートで送迎する場合の第1乗車料金と、各ユーザが指定した乗車地点および降車地点を結ぶ個別ルートで各ユーザを個別に送迎した場合の第2乗車料金とを取得し、前記相乗りルートおよび前記個別ルートに基づき、前記相乗りルートを用いる場合に前記個別ルートを用いる場合と比較して増加する乗車時間である迂回時間または前記相乗りルートを用いる場合に前記個別ルートを用いる場合と比較して増加する乗車距離である迂回距離をユーザ毎に取得し、前記第1乗車料金と、各ユーザの前記第2乗車料金と、前記迂回時間または前記迂回距離とに基づき、前記迂回時間または前記迂回距離に応じた相乗り割引率または相乗り割引金額をユーザ毎に算出する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、運行に要するコストをそれぞれの乗車希望者の負担に反映させる情報処理方法等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】配車システムの概要を説明する説明図である。
図2】配車システムの構成を説明する説明図である。
図3】配車要求DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
図4】プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
図5】プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
図6】第2情報処理装置の画面例である。
図7】第1情報処理装置の画面例である。
図8】変形例1の第2情報処理装置の画面例である。
図9】変形例2の第2情報処理装置の画面例である。
図10】変形例3の第2情報処理装置の画面例である。
図11】実施の形態2の第2情報処理装置の画面例である。
図12】実施の形態2の第2情報処理装置の画面例である。
図13】実施の形態4の第2情報処理装置の画面例である。
図14】実施の形態5の相乗りルートと、第2情報処理装置の画面例とを模式的に示す説明図である。
図15】変形例7の相乗りルートを模式的に示す説明図である。
図16】実施の形態6の配車システムの構成を説明する説明図である。
図17】実施の形態7の情報処理装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態1]
図1は、配車システム10(図2参照)の概要を説明する説明図である。本実施の形態の配車システム10は、乗車希望者の要求に応じて車両15の配車を行う。1台の車両15の運行を例にして説明する。
【0010】
配車システム10が配車を行う車両15は、たとえば運転手が運転する乗り合いタクシーまたは乗り合いバス等である。配車システム10は、運転手が使用するスマートフォンまたはタブレット等の携帯端末を介して、運転手に配車計画43を通知する。携帯端末は、車両15に搭載されたカーナビゲーション装置を兼ねてもよい。車両15は、配車システム10の指示に基づいて自律的に走行する、いわゆる自動運転車両であってもよい。
【0011】
配車計画43について説明する。図1に示す例では、車両15は、時刻T01から時刻T02までの間、「S01」の相乗りルート42を走行する。同様に、時刻T03から時刻T04までの間、「S02」の相乗りルート42を走行し、時刻T05から時刻T06までの間、「S03」の相乗りルート42を走行する。配車計画43は、以上のように複数の相乗りルート42を1台の車両15が順次走行する計画を意味する。
【0012】
なお、時刻T02から時刻T03までの間、および、時刻T04から時刻T05までの間は、車両15の回送時間、運転手の休憩時間、車両15の燃料補給時間、および、車両15の整備時間等に充てられる。ここで回送時間は、前の相乗りルート42の終点から、次の相乗りルート42の出発地点まで車両15を移動させる移動時間を意味する。
【0013】
「S02」を例にして、相乗りルート42について説明する。相乗りルート42は、地点P1から地点P2に向かう「R1」の配車要求41と、地点P3から地点P4に向かう「R2」の配車要求41とに基づいて生成されている。太線で示すように車両15は、地点P1、地点P3、地点P2、地点P4の順に走行する。地点P1で、「R1」の配車要求41を行ったユーザが乗車し、地点P3で、「R2」の配車要求41を行ったユーザが乗車する。地点P2で「R1」の配車要求41を行ったユーザが降車し、地点P3で「R2」の配車要求41を行ったユーザが降車する。
【0014】
相乗りルート42は、多数のユーザからそれぞれ受け付けた乗車地点、降車地点、移動を希望する時間帯、および、人数等に基づいて生成される。相乗りルート42の生成方法は、たとえば特許文献1に開示されているため、説明を省略する。相乗りルート42は、配車システム10により生成されても、ネットワークを介して配車システム10に接続された別のシステム等により生成されてもよい。
【0015】
相乗りルート42は、たとえば車両15が走行する前日、または数日前に生成されて、各ユーザに乗車地点、降車地点、乗車時刻および降車時刻が通知されている。なおそれぞれのユーザの乗車予定時刻および降車予定時刻は、たとえば15分間から30分間程度の幅をもって通知される。それぞれのユーザが負担するコストの算出方法の例については、後述する。
【0016】
「S02」の相乗りルート42の走行が予定されている時間帯に、地点P5から地点P6に向かう「R3」の配車要求41が追加された場合を例にして説明を続ける。なお、「R3」は、車両15の走行開始前に追加されても、車両15の走行中に追加されてもよい。「R3」は、「S02」の相乗りルート42に関する乗車予定時刻等が各ユーザに通知される前に追加されてもよい。
【0017】
さらに詳細に説明する。相乗りルート42は車両15が当該相乗りルート42の走行を開始する前に完成していてもよい。たとえば、「23区内発、10月31日13時成田空港着」の相乗りルート42では、車両15の出発時刻までに乗車するすべてのユーザが確定しており、その後のユーザの追加を受け付けない様にする。乗車中の経由地およびルートの変更を行なわないことで、飛行機の搭乗時刻を気にするユーザに不安感を与えない配車システム10を提供できる。
【0018】
車両15が走行を開始した後であっても、相乗りするユーザが追加されてもよい。たとえば図1に示す「S02」の相乗りルート42は、「R1」の配車要求41を行なったユーザ「X」を載せて走行中に、「R2」の配車要求41を受け付けて、図1に示す「S02」の相乗りルート42を走行してもよい。車両15の走行中に、さらに「R3」の配車要求41を受け付けた場合、配車要求41は、「S02b」に更新される。このように配車システム10は車両15の走行中であっても配車要求41を随時受け付けて相乗りルート42を更新してもよい。
【0019】
たとえば、23区内のように、人口密度が高く利用者が多い地域においては、車両15の走行中に、既に乗車が確定しているユーザの乗車時刻および降車時刻に大きな影響を与えずに、配車要求41の追加を受け付けやすい。
【0020】
なお、車両15の走行中に配車要求41の追加を受け付けて相乗りルート42を更新した場合には、既存のユーザの料金がその都度更新されてもよい。同じ車両15に相乗りするユーザが増加することにより、料金が割安になっていくメリットがあることで、乗車中のルート変更および乗客の増加をユーザが受け入れやすい配車システム10を提供できる。
【0021】
新たに時刻T03bから時刻T04bの間に走行する「S02b」の相乗りルート42が生成される。「S02b」においては、太線で示すように車両15は、地点P1、地点P3、地点P5、地点P6、地点P2、地点P4の順に走行する。
【0022】
地点P1で、「R1」の配車要求41を行ったユーザが乗車し、地点P3で、「R2」の配車要求41を行ったユーザが乗車し、地点P5で「R3」の配車要求41を行ったユーザが乗車する。地点P6で「R3」の配車要求41を行ったユーザが降車し、地点P2で「R1」の配車要求41を行ったユーザが降車し、地点P4で「R2」の配車要求41を行ったユーザが降車する。
【0023】
相乗りルート42が「S02」から「S02b」に変わることにより、車両15の走行距離および走行時間が変化する。したがって、たとえば燃料代および運転手の労働時間等の運行コストが変化する。「R1」および「R2」のユーザの乗車時刻、降車時刻および所要時間が変化する場合もある。
【0024】
なお新たな相乗りルート42は、「R1」および「R2」のユーザの乗車時刻の変化が、当初予定していた時間の幅内で収まるように設定されることが望ましい。「R1」および「R2」のユーザの乗車時刻が当初予定していた時間の幅を超えて変動する場合に、配車システム10はそれぞれのユーザに対してスケジュールの変動を通知してもよい。なお、予約確定後の乗車時刻および降車時刻の変動を受け入れることを承認したユーザに対して、大きな基本割引率Dが適用されてもよい。基本割引率Dについては、後述する。
【0025】
本実施の形態においては、それぞれのユーザは一人の乗客の乗降に関する配車要求41を行なう場合を例にして説明する。それぞれのユーザが個別に配車要求41を行なうことで、複数の乗客が同じ場所から乗車し、同じ場所で降車できる。配車システム10は、1回の配車要求41により複数の乗客の乗降を受け付けてもよい。そのようにする場合、配車システム10は乗車地点、降車地点に加えて乗車人数も受け付ける。
【0026】
配車システム10は、たとえば1回の配車要求41に対応する乗客の人数に関わらず、配車要求41ごとに料金を算出する。このようにする場合、1つの配車要求41で1人が乗車した場合であっても、2人が乗車した場合であっても、料金は変動しない。
【0027】
配車システム10は、配車要求41に対応する乗客の人数に応じて料金を算出してもよい。たとえば、1回の配車要求41で2人が乗車した場合、配車システム10は同一の乗車地点および降車地点を有する2つの配車要求41が存在する場合の料金を算出し、当該配車要求41を送信したユーザに対して2人分の料金を請求する。
【0028】
なお、同乗者が子供のように特定の条件を満たす場合は、1人分の料金を0.5人分等と割り引いて請求してもよい。また、1回の配車要求41で2人が乗車した場合は、2人分の料金を請求せずに、2回の配車要求41で2人が乗車した場合の料金よりも割り引いた金額(例えば、1.5人分)を請求してもよい。
【0029】
図2は、配車システム10の構成を説明する説明図である。配車システム10は、第1情報処理装置20と、複数の第2情報処理装置30とを含む。第1情報処理装置20は、制御部21、主記憶装置22、補助記憶装置23、通信部24、入力部251、出力部252およびバスを備える。
【0030】
制御部21は、本実施の形態のプログラムを実行する演算制御装置である。制御部21には、一または複数のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)またはマルチコアCPU等が使用される。制御部21は、バスを介して第1情報処理装置20を構成するハードウェア各部と接続されている。
【0031】
主記憶装置22は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置22には、制御部21が行なう処理の途中で必要な情報および制御部21で実行中のプログラムが一時的に保存される。
【0032】
補助記憶装置23は、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクまたは磁気テープ等の記憶装置である。補助記憶装置23には、配車要求DB51、制御部21に実行させるプログラム、およびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。通信部24は、第1情報処理装置20とネットワークとの間の通信を行なうインターフェースである。
【0033】
入力部251は、たとえばキーボードおよびマウス等である。出力部252は、たとえば液晶表示パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)パネル等である。出力部252に入力部251が積層されてタッチパネルを構成していてもよい。出力部252は、第1情報処理装置20に接続された表示装置であってもよい。
【0034】
第1情報処理装置20は、汎用のパソコン、タブレット、大型計算機、または、大型計算機上で動作する仮想マシンである。第1情報処理装置20は、分散処理を行なう複数のパソコン、または大型計算機等のハードウェアにより構成されても良い。第1情報処理装置20は、クラウドコンピューティングシステムまたは量子コンピュータにより構成されても良い。
【0035】
第2情報処理装置30は、制御部31、主記憶装置32、補助記憶装置33、通信部24、入力部351、出力部352およびバスを備える。制御部31は、本実施の形態のプログラムを実行する演算制御装置である。制御部31には、一または複数のCPU、GPUまたはマルチコアCPU等が使用される。制御部31は、バスを介して第2情報処理装置30を構成するハードウェア各部と接続されている。
【0036】
主記憶装置32は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置32には、制御部31が行なう処理の途中で必要な情報および制御部31で実行中のプログラムが一時的に保存される。
【0037】
補助記憶装置33は、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクまたは磁気テープ等の記憶装置である。補助記憶装置33には、制御部31に実行させるプログラム、およびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。通信部34は、第2情報処理装置30とネットワークとの間の通信を行なうインターフェースである。
【0038】
出力部352は、たとえば液晶表示パネルまたは有機ELパネル等である。入力部351と出力部252とは、積層されてタッチパネル35を構成している。入力部351は音声入力用のマイクであり、出力部352はスピーカであってもよい。第2情報処理装置30は、汎用のスマートフォン、パソコンまたはタブレット等の、個々のユーザが使用する情報機器である。
【0039】
図3は、配車要求DB51のレコードレイアウトを説明する説明図である。配車要求DB51は、個々のユーザから受け付けた配車要求41と、配車要求41に基づいて生成された相乗りルート42とを関連づけて記録するDBである。配車要求DB51は、配車要求ID(Identifier)フィールド、ユーザIDフィールド、乗車地点フィールド、降車地点フィールド、乗車希望時間フィールド、相乗りルートIDフィールドおよび状態フィールドを備える。
【0040】
配車要求IDフィールドには、ユーザによる配車要求41ごとに固有に付与された配車要求IDが記録されている。ユーザIDフィールドには、配車要求41を行ったユーザに固有に付与されたユーザIDが記録されている。ユーザIDには、たとえばユーザが指定した携帯電話番号またはメールアドレス等が使用されてもよい。
【0041】
乗車地点フィールドには、ユーザが指定した乗車地点が記録されている。降車地点フィールドには、ユーザが指定した降車地点が記録されている。乗車地点および降車地点は、たとえば緯度および経度により記録されている。乗車地点および降車地点は、バス停等の所定の乗降場所に付与された乗降場所IDにより記録されていてもよい。
【0042】
乗車希望時間フィールドには、ユーザが指定した乗車希望時間が記録されている。前述のように、乗車希望時間は所定の幅をもって記録されている。なお配車要求DB51は乗車希望時間フィールドの代わりに、または乗車希望時間フィールドと共に、降車希望時間フィールドを有してもよい。
【0043】
相乗りルートIDフィールドには、相乗りルート42に固有に付与された相乗りルートIDが記録されている。相乗りルートIDフィールドの「-」は、相乗りルート42が生成されていないことを示す。
【0044】
状態フィールドには、配車要求41の状態が記録されている。「確定」は、ユーザが相乗りルート42を利用することが確定していることを意味する。「未確定」は、ユーザが相乗りルート42を利用することが確定していないことを意味する。「-」は、相乗りルート42が生成されていないことを示す。
【0045】
たとえば制御部21は、配車要求41に基づいて生成した相乗りルート42を第2情報処理装置30に送信した際に、状態フィールドに「未確定」を記録する。制御部21は、第2情報処理装置30を介してユーザが承認した旨を受け付けた場合に、状態フィールドに「確定」を記録する。状態フィールドには、料金の支払い状況およびユーザが乗車または降車した旨が記録されてもよい。配車要求DB51は、1つの配車要求41について、1つのレコードを有する。
【0046】
相乗りルート42を利用するユーザが負担する料金を算出する方法の例を説明する。以下の説明では、配車システム10を運営する運営事業者が相乗りルート42を利用するユーザから料金を徴収して、車両15の運行事業者に車両運行費用を支払う場合を例にして説明する。なお、運営事業者が自ら車両15の運行を行なう場合には、車両運行費用は車両15の維持費、原価償却費、車両運行要員の人件費等の総額である。
【0047】
運営事業者が、相乗りルート42を利用するユーザに請求する相乗り料金Uは基本料金Bから総合割引率Cを減額した金額である。総合割引率Cは、相乗り割引率S、基本割引率Dおよび加算割引率Aの合計である。ただし、総合割引率Cには、上限が定められている。なお、加算割引率Aは負の値、すなわち「減算割引率」であってもよい。
【0048】
制御部21は、たとえば(1)式および(2)式に基づいて、i番目のユーザに請求する相乗り料金Uiを算出する。
Ui=Bi×(1-Ci) ‥‥‥ (1)
Ci=Di+Ai+Si ‥‥‥ (2)
Biは、i番目のユーザの基本料金である。
Ciは、i番目のユーザの総合割引率である。
Diは、i番目のユーザの基本割引率である。
Aiは、i番目のユーザの加算割引率である。
Siは、i番目のユーザの相乗り割引率である。
【0049】
なお、相乗り割引率Siと、基本料金Biとの積を算出することにより、制御部21はそれぞれのユーザについて相乗り割引率Siに対応する相乗り割引金額を算出できる。
【0050】
i番目のユーザの基本料金Biは、たとえばi番目のユーザの配車要求41で指定された乗車地点から降車地点までの経路により定められる。たとえば基本料金Biは、乗車地点から降車地点までのタクシー料金である。タクシー料金は、たとえばタクシーのメータ料金である。メータ料金は、たとえば距離と時間とに基づいて算出される。メータ料金は、距離のみ、または時間のみに基づいて算出されてもよい。メータ料金は、深夜加算料金を含む金額であってもよい。
【0051】
基本料金Biは、手荷物の数およびサイズ等によって定められる手荷物料金が加算された金額であってもよい。基本料金Biは、地域、曜日、または乗車時間等の条件ごとに定められた定額料金であってもよい。基本料金Biは、ユーザが配車要求41で指定した乗車地点と降車地点とを結ぶ個別ルートで、各ユーザを個別に送迎した場合の第2乗車料金の例示である。
【0052】
i番目のユーザの基本割引率Diは、配車システム10を利用したユーザに対して適用される割引率である。基本割引率Diは、たとえば全ユーザに対して共通の割引率である。基本割引率Diは、地域、曜日、または乗車時間等の条件ごとに定められていてもよい。
【0053】
たとえば基本割引率Diは、相乗りルート42の需要が多い場合には小さい値に、相乗りルート42の需要が少ない場合には大きい値になるように、時期ごとに定められている。具体的には、連休、または近隣で大型イベントが開催される等の理由で相乗りルート42の需要が多いと想定される時期には、基本割引率Diは小さい値に設定される。
【0054】
基本割引率Diは、天候に応じて変動するように定められてもよい。たとえば悪天候の日には徒歩移動を避けて相乗りルート42を利用したいユーザが増加するため、基本割引率Diが小さい値に設定される。
【0055】
基本割引率Diは、乗車場所または降車場所に応じて変動するように定められてもよい。たとえば、イベントの開始時刻直前には、イベント会場付近で降車したいユーザが増加する。したがって、イベント会場付近で降車する場合の基本割引率Diは、小さい値に設定される。以上に例示したように、基本割引率は、需要に応じて変動するように設定されてもよい。
【0056】
基本割引率Diは、評価が高い運転手が担当する場合には小さい値に、評価が低い運転手または経験の少ない運転手が担当する場合には大きい値になる等、運転手の属性に応じて定められていてもよい。基本割引率Diは、乗り心地の良い車両15を使用する場合には小さい値に、乗り心地が良くない車両15を使用する場合には大きい値になる等、車両15の属性に応じて定められていてもよい。
【0057】
基本割引率Dは、ユーザごとに異なる値になるように定められていてもよい。たとえば、制御部21はユーザの利用履歴に基づいてそれぞれのユーザの基本割引率Dを設定できる。配車システム10を多数回にわたって利用しているユーザに対しては基本割引率Dを大きい値に設定することにより、固定客を確保できる。たとえば「初回利用時」等の割引クーポンコードを入力したユーザに対しては大きい値になるように定められていてもよい。
【0058】
基本割引率Dは、ユーザが配車要求41を入力した時刻から乗車希望時刻までの間の時間と車両15の残座席数とに基づいて定められてもよい。たとえば、乗車希望時刻が迫っており、運行を予定している車両15の残座席数が多い場合には、基本割引率Dが大きくなるように定めることにより、残っている座席が購入される可能性が高い配車システム10を提供できる。
【0059】
天候等の様々な条件に基づいて基本割引率Dを変動させる代わりに、基本割引率Dを変動させる追加割引率が定められていてもよい。このようにする場合、基本割引率Dは一定の値に固定されていてもよい。
【0060】
i番目のユーザの加算割引率Aiは、ユーザの条件に応じて加算される割引率である。加算割引率Aiは、たとえば乗車を決めた順番が後ろであるユーザほど大きな値に定められる。加算割引率Aiは、たとえば乗車の前日等の所定の期日までに乗車を予約したユーザに対してはゼロであり、当日に乗車を決めたユーザについては正の値であってもよい。加算割引率Aiは、残っている空席の数に応じて定められてもよい。
【0061】
大きな加算割引率Aiが適用されたユーザは、他のユーザよりも割安に相乗りルート42を利用できる。加算割引率Aiを適切に設定することにより、配車システム10の運営事業者は、空席を埋めたい相乗りルート42に乗車するように、ユーザを誘導できる。加算割引率Aiを適切に設定して、ユーザを特定の相乗りルート42を集約することにより、運営事業者は配車システム10全体のコストを低減するとともに、二酸化炭素排出量等の環境負荷を低減できる。
【0062】
(1)式および(2)式から明らかであるように、加算割引率Aiおよび相乗り割引率Siが適用されないユーザであっても、基本割引率Diによる運賃の割引を受けられる。したがって、たとえば他に乗車するユーザが見つからず、単独で車両15に乗車する場合であっても、ユーザは相乗り乗車のメリットを享受できる。
【0063】
前述の(2)式においては、基本割引率Dと、加算割引率Aと相乗り割引率Sとの和により総合割引率Cを算出しているが、基本割引率Dを、加算割引率Aにより調整してもよい。そのようにする場合には、(2´)式により総合割引率を算出できる。
Ci=D´i+Si ‥‥‥ (2´)
Diは、加算割引率Aiにより調整済の基本割引率である。
【0064】
基本割引率Dを加算割引率Aで調整した上で、(2)式により総合割引率Cを算出してもよい。加算割引率Aが総合割引率Cに与える影響を、大きくすることが可能である。
【0065】
i番目のユーザの相乗り割引率Siは、分配原資率Xを各ユーザに分配して還元する割引率である。分配原資率Xは、たとえば相乗りルート42を使用することによるコストの削減率から、配車システム10の運用経費と上述の基本割引率Diに対応する経費とに対応する比率を控除して算出する。制御部21は、たとえば(3)式に基づいて分配原資率Xを算出する。
【0066】
【数1】
PTは、運営事業者が関係者に支払う車両運行費用である。
Nは、ユーザ数である。
Eは、運営事業者の運用経費率である。
Fは、運行事業者が運営事業者に対して支払う手数料に関する手数料率である。
【0067】
車両運行費用PTは、たとえば運営事業者が車両運行業者に支払う費用であり、たとえば車両15の走行予定距離または走行予定時間等の、相乗りルート42の条件に基づいて変動するように定められている。車両運行費用PTは、相乗りルート42が経由する有料道路の料金を含んでいてもよい。車両運行費用PTは、走行距離および走行時間にかかわらず一定の金額に定められていてもよい。車両運行費用PTは、タクシー等の車両15を所定の時間貸切るための貸し切り料金であってもよい。
【0068】
車両15がタクシーである場合を例にして具体的に説明する。車両運行費用PTは、たとえば当該車両15が相乗りルート42を実際に走行した場合のタクシー料金である。車両運行費用PTは、当該車両15が実際に相乗りルート42を走行する前にシミュレーションにより算出された、タクシー料金であってもよい。車両運行費用PTは、相乗りルート42ごとに事前に設定された規定料金であってもよい。
【0069】
車両運行費用PTは、運営事業者がクレジットカード会社等の決済事業者に支払う手数料を含んでもよい。車両運行費用PTは、運営事業者が保険会社に支払う保険料を含んでもよい。車両運行費用PTは、相乗りルート42を使用してユーザの送迎を行なう場合の第1乗車料金の例示である。
【0070】
運営事業者の運用経費率Eには、運営事業者が配車システム10を運営する際に要する経費の比率、および、運営事業者が得る利益の比率が含まれている。分配原資率Xは、相乗りルート42ごとに算出しても、1日または半日等の所定期間分の配車計画43ごとに算出しても、配車システム10が配車を行なうすべての車両15を合わせて所定期間ごとに算出してもよい。
【0071】
制御部21は、たとえば(4)式および(5)式に基づいてi番目のユーザの相乗り割引率Siを算出する。
【0072】
Si=min{(X-Di)NWi,L} ‥‥‥ (4)
【数2】
Lは、上限割引率である。
Wiは、i番目のユーザに対する重みである。(5)式に示す様に、すべてのユーザに対する重みWiの総和は1である。
min{(X-Di)NWi,L}は、(X-Di)NWiとLとの小さい方を示す。
【0073】
Wiは、たとえば相乗りルート42を使用することによる、個々のユーザの所要時間の増加量に基づいて定める。たとえば、迂回することによりi番目のユーザが負担する時間的および体力的なコストQを、コストQiと数値化する。重みWiは、たとえば(6)式のように、コストQの総和に対する個々のユーザが負担するコストQの比率で定義できる。
【0074】
【数3】
【0075】
図1を使用して説明した「S02b」の相乗りルート42を例にして、具体的に説明する。以下の説明では「R1」のユーザが1番目のユーザ、「R2」のユーザが2番目のユーザ、「R3」のユーザが3番目のユーザである。ユーザ数Nは3である。
【0076】
1番目のユーザは、地点P1で乗車し、地点P3、地点P5および地点P6を経由する迂回ルートを通って、目的地である地点P2で降車する。2番目のユーザは、地点P3で乗車し、地点P5、地点P6および地点P2を通る迂回ルートを通って、目的地である地点P4で降車する。3番目のユーザは、地点P5で乗車し、迂回することなく地点P6で降車する。
【0077】
相乗りルート42を使用することにより1番目、2番目、3番目のユーザがそれぞれ負担するコストQを、3点、2点、1点と点数化した場合を例にして、説明を続ける。なお、コストQは、たとえばそれぞれのユーザについて迂回により増加する乗車時間、移動距離、または、乗車時間と移動距離との双方に基づいて決定される。制御部21は、(6)式に基づいて、1番目、2番目、3番目のユーザの重みWは、それぞれ3/6、2/6、1/6であると算出する。
【0078】
(3)式で示す分配原資率Xが40パーセント、すべてのユーザの基本割引率Dが10パーセント、上限割引率Lが35%である場合、制御部21は以下のようにそれぞれのユーザの相乗り割引率Siを算出する。Siの単位はパーセントである。
S1=min{(40-10)×3×3/6,35}=35
S2=min{(40-10)×3×2/6,35}=30
S3=min{(40-10)×3×1/6,35}=15
【0079】
1番目のユーザの加算割引率A1は0パーセントであり、2番目および3番目のユーザの加算割引率A2およびA3は5パーセントであると定められている場合、制御部21は(2)式を使用して説明したそれぞれのユーザの総合割引率Ciを以下のように算出する。総合割引率Ciの単位はパーセントである。
C1=10+0+35=45
C2=10+5+30=45
C3=10+5+15=30
【0080】
したがって(1)式を使用して説明したように、制御部21は、1番目および2番目のユーザが支払う相乗り料金U1、U2は当該ユーザの基本料金Bの45パーセント引き、3番目のユーザが支払う相乗り料金U3は当該ユーザの基本料金Bの30パーセント引きであると算出する。
【0081】
以上に説明したように、それぞれのユーザの総合割引率Cおよび総合割引率Cに基づく相乗り割引金額は、第1乗車料金と、第2乗車料金と、ユーザが相乗りルート42を使用することにより負担する迂回時間または迂回距離等のコストQとに基づいて算出される。
【0082】
ここで、迂回時間は、ユーザが相乗りルート42を利用せずに単独で移動する場合に比べて増加する時間を意味する。迂回時間には、相乗りルート42を利用することによる車両15の走行時間の増加分と、他のユーザの乗降時間との両方が含まれる。たとえば、或るユーザが単独で移動する場合と同じ運行経路の途中で、他のユーザが乗降する場合、迂回距離はゼロであるが、迂回時間はゼロではない。したがって、このようなユーザにとっても、相乗りルート42を使用することによるコストQは発生し、相乗りルート42を利用することによる割引を受けられる。
【0083】
さらに詳細には、それぞれのユーザの総合割引率Cおよび総合割引率Cに基づく割引金額は、第1乗車料金と、各ユーザの第2乗車料金を合計した合計第2乗車料金と、ユーザが相乗りルート42を使用することにより負担する迂回時間または迂回距離等のコストQとに基づいて算出される。
【0084】
たとえば乗車時間の増加量が大きいほど重みWが大きくなるように定めた場合、乗車時間の増加量が大きいユーザに対して、大きな総合割引率Cが適用される。同様に乗車距離の増加量が大きいほど重みWが大きくなるように定めた場合、乗車距離の増加量が大きいユーザに対して、大きな総合割引率Cが適用される。乗車時間増加等の非金銭的コストを多く負担するユーザに対して、料金の負担を軽減する配車システム10を提供できる。
【0085】
なお、(1)式から(6)式を使用して説明した料金の算出方法は例示である。たとえば、乗車距離等にかかわらず、相乗りルート42を利用するすべてのユーザの料金が同一料金に設定されてもよい。
【0086】
基本割引率Dの代わりに、基本割引額Gが定められていてもよい。制御部21は、(1)式および(2)式の代わりに、たとえば(7)式および(8)式に基づいて、i番目のユーザに請求する相乗り料金Uiを算出する。
Ui=(Bi-Gi)×(1-Ci) ‥‥‥ (1)
Ci=Ai+Si ‥‥‥ (2)
Giは、i番目のユーザの基本割引額である。
【0087】
基本割引額Gは、配車システム10を利用したユーザに対して適用される割引額である。基本割引額Gは、たとえば全ユーザに対して共通の割引額である。基本割引率額Gは、地域、曜日、または乗車時間等の条件ごとに定められていてもよい。基本割引額Gは、ユーザごとに異なる値になるように定められていてもよい。基本割引額Gは、基本料金Bに応じて定められていてもよい。
【0088】
地域、曜日、時間等の様々な条件に基づいて基本割引額Gを変動させる代わりに、基本割引額Gを変動させる追加割引額が定められていてもよい。このようにする場合、基本割引額Gは一定の値に固定されていてもよい。
【0089】
図4は、プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。制御部21は、定期的に、または配車要求DB51に未処理のレコードが所定の閾値よりも多数記録された場合に、図4を使用して説明するプログラムを実行する。
【0090】
制御部21は、配車要求DB51から相乗りルートIDフィールドに「-」が記録されたレコード、すなわち対応する相乗りルート42が生成されていないレコードを読み込む(ステップS501)。なお、制御部21は所定の日数よりも未来の配車要求41については、読み込みを行なわなくてもよい。
【0091】
制御部21は、たとえば特許文献1に開示された手法を使用して配車計画43を生成する(ステップS502)。具体的には、制御部21はステップS501で取得したレコードを乗車希望日時、乗車地点および降車地点等に基づいてクラスタリングし、それぞれのクラスタごとに効率よく運行できる相乗りルート42の運行計画を生成する。
【0092】
なお、たとえば一つの相乗りルート42の運行が終了した後、次の相乗りルート42の運行が開始するまでの時間に、たとえば車両15を回送できない場合、運転手が所定の休憩時間を確保できない場合、車両15の燃料補給時間を確保できない場合、または、渋滞等に備えた所定の余裕時間を確保できない場合等には、制御部21は配車計画43の生成をやりなおす。
【0093】
1つの相乗りルート42の走行距離が車両15の走行可能距離を上回る場合、制御部21は配車計画43の生成をやりなおしてもよい。制御部21は、途中で燃料の補給を行なうような相乗りルート42を生成してもよい。
【0094】
制御部21は、(1)式から(6)式を使用して説明した算出方法に基づいて、それぞれのユーザの相乗り料金を算出する(ステップS503)。なお、たとえば総合割引率Ciが所定の条件を満たさない場合等には、制御部21はステップS502に戻って配車計画43を生成しなおしてもよい。
【0095】
制御部21は、配車要求41を行なったそれぞれのユーザが使用する第2情報処理装置30に、乗車地点、降車地点、乗車時刻、降車時刻、料金および割引率等の情報を送信する(ステップS504)。制御部31は、送信された情報を受信する(ステップS601)。制御部31は、受信した情報をタッチパネル35に表示する(ステップS602)。制御部31は、ユーザによる予約を確定するか否の操作を受け付ける(ステップS603)。制御部31は、ユーザによる予約料金支払い操作、または、申し込みのキャンセル操作等を受け付けてもよい。制御部31は、受け付けた操作を第1情報処理装置20に送信する(ステップS604)。
【0096】
制御部21は、送信された操作内容を受信する(ステップS505)。制御部21は、配車要求DB51の対応するレコードの状態フィールドに、受信した操作内容を記録する(ステップS506)。制御部21は処理を終了する。
【0097】
図5は、プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。図5を使用して、生成済の相乗りルート42に新たな配車要求41を追加する処理の流れを説明する。制御部31は、ユーザによる配車要求41の入力を受け付ける(ステップS611)。制御部31は、受け付けた配車要求41を第1情報処理装置20に送信する(ステップS612)。
【0098】
制御部21は、配車要求41を受信する(ステップS511)。制御部21は、受信した配車要求41に対応するクラスタの配車計画43を生成済であるか否かを判定する(ステップS512)。生成済ではないと判定した場合(ステップS512でNO)、制御部21は配車要求DB51に新規レコードを作成して、ステップS511で受信した配車要求41を記録する(ステップS513)。
【0099】
制御部21は、配車要求41を受け付けた旨、および、配車計画43の作成見込時刻等の通知を第2情報処理装置30に送信する(ステップS514)。制御部21は配車要求41の受信を待機する状態に戻る。制御部31は、通知を受信する(ステップS621)。制御部31は受信した通知をタッチパネル35に表示する(ステップS622)。制御部31は処理を終了する。
【0100】
生成済であると判定した場合(ステップS512でYES)、制御部21は配車要求41に対応するクラスタに関する相乗りルート42である、第1相乗りルートを選択する(ステップS521)。制御部21は、第1相乗りルートにステップS511で受信した配車要求41を追加した第2相乗りルートを生成する(ステップS522)。
【0101】
なお、生成した第2相乗りルートと、前後の相乗りルート42との間の時間間隔が所定の閾値より短い場合は、制御部21は配車計画43の生成をやりなおす。所定の閾値は、たとえば運転手の休憩時間、車両15の回送時間、車両15の燃料補給時間、および、車両15の整備時間等に必要な時間である。
【0102】
前の相乗りルート42の終点と生成した第2相乗りルートの始点との間の移動距離、または、生成した第2相乗りルートの終点と次の相乗りルート42の始点との間の移動距離が所定の閾値よりも長い間場合に、制御部21は配車計画43の生成をやりなおしてもよい。配車計画43の生成がやりなおされている間は、受け付けた配車要求41の相乗りルート42への組み込みは許可されない。
【0103】
制御部21は、第2相乗りルートに関する相乗り料金を算出する(ステップS523)。たとえば制御部21は、(1)式から(6)式に基づいて相乗りルート42に含まれるすべての配車要求41について相乗り料金を計算しなおす。制御部21は、既存の配車要求41に関する料金は変更せず、運行コストの増加額に所定の金額を加えて、追加した配車要求41に関する相乗り料金を算出してもよい。
【0104】
制御部21は、相乗り料金および乗車時刻等の条件が変更される配車要求41に関して、第2情報処理装置30に、乗車地点、降車地点、乗車時刻、降車時刻、料金および割引率等の情報を送信する(ステップS504)。以後の処理は、図4を使用して説明した処理と同様であるため、説明を省略する。
【0105】
制御部21は、たとえば第1相乗りルート中のそれぞれの配車要求41について、ユーザに通知済の乗車時刻の幅および降車時刻の幅の範囲内でそれぞれのユーザが乗車および降車できるという条件で第2相乗りルートを生成する。制御部21は、たとえば乗車時刻および降車時刻の変更を承認しているユーザについては、当該条件を踏まえた第2相乗りルートを生成してもよい。
【0106】
図6は、第2情報処理装置30の画面例である。図6は、図4を使用して説明したステップS602で制御部31がタッチパネル35に表示する画面の例を示す。画面の上半分には、地図欄61が表示されている。画面の中央部に、シャトルボタン641およびタクシーボタン642が表示されている。図6は、シャトルボタン641が選択されている状態を示す。シャトルボタン641の下側に、候補欄65が表示されている。画面の下部に、申込ボタン691が表示されている。
【0107】
地図欄61には、黒丸で示す乗車地マーク621と、白丸で示す降車地マーク622と、乗車地マーク621と降車地マーク622とを結ぶ経路マーク628とが表示されている。乗車地マーク621の近傍に、25分間の幅を有する乗車予定時刻が表示されている。降車地マーク622の近傍に、1時間の幅を有する到着予定時刻が表示されている。
【0108】
候補欄65には、乗車予定時刻、降車予定時刻および料金が表示されている。料金を示す「¥9、086」は、配車システム10による相乗り乗車の料金を示す。候補欄65の下部の「¥12、980 1人でタクシーに乗る場合」は、乗車地から降車地まで一般のタクシーを利用した場合の料金の目安を示す。
【0109】
候補欄65の右側の「30%OFF」は、相乗り乗車を利用することにより、タクシー料金の目安よりも30パーセント安くなることを意味する。制御部31は、右側の「お得」のマークにより、タクシー料金よりも安い料金を提示していることをユーザに示す。
【0110】
「お得」マークの下の「残り3席」は、相乗りルート42の残座席数を示す。ユーザが申込ボタン691を選択した場合、配車要求DB51の状態フィールドに「確定」が記録されて、予約が確定する。
【0111】
制御部21は、前述の基本割引率D、加算割引率A、相乗り割引率S、総合割引率Cまたは相乗り割引額等の、相乗り料金の算出に用いられた数値を候補欄65に表示してもよい。それぞれのユーザが、自分に対してどのような割引が適用されているかを把握できる配車システム10を提供できる。
【0112】
図7は、第1情報処理装置20の画面例である。図7においては、5台の車両15について、一日の配車計画43が模式的に表示されている。縦方向は、時間を示す。図7の一番左側の列は、車両の運行が予定されていない状態を示す。
【0113】
一番右側の列を例にして説明する。上部の「山口太郎」は、担当する運転手の氏名を示す。この車両15については、4時発、10時発および17時発の3個の相乗りルート42の運行が予定されている。それぞれの相乗りルート42の目的地および乗車予定者の人数が表示されている。
【0114】
図示を省略するが、配車システム10のオペレータが、相乗りルート42を示す四角形をクリックした場合、制御部21は走行経路の地図、および、乗車予定者の連絡先等の詳細情報を表示する。オペレータは、必要に応じて配車計画43の組み換え、および、担当する運転手の変更等の操作を行なえる。熟練したオペレータは、制御部21により自動的に生成された相乗りルート42および配車計画43を、経験に基づいて適切に修正できる。
【0115】
本実施の形態によると、車両15の運行に要する車両運行費用を反映させて、それぞれのユーザの料金を定める配車システム10を提供できる。本実施の形態によると、相乗りルート42を使用することによってそれぞれのユーザが負担する迂回時間、または、迂回距離等の非金銭的なコストを、それぞれのユーザの料金に反映させる配車システム10を提供できる。本実施の形態によると、相乗りルート42の需給状況をそれぞれのユーザの料金に反映させる配車システム10を提供できる。
【0116】
ユーザに対して、幅を有する乗車時刻および降車時刻を通知してあるため、追加の配車要求41を受け付けて相乗りルート42を変更可能な配車システム10を提供できる。
【0117】
たとえば制御部21は、各ユーザの迂回時間または迂回距離を、乗車地点から降車地点まで直接移動する場合の5割増しまでをデフォルトの許容範囲に設定する。すなわち制御部21は、直接移動する場合の1.5倍の時間または1.5倍の移動距離の範囲で、相乗りルート42を生成する。
【0118】
制御部21は、ユーザから迂回時間または迂回距離の上限値の指定を受け付けてもよい。ユーザが、迂回時間または迂回距離をたとえば2割増しまでに設定した場合、制御部21は直接移動する場合の1.2倍の時間または1.2倍の移動距離の範囲で、相乗りルートを作成する。このように、デフォルトよりも厳しい条件を設定したユーザに関しては、相乗りルート42が成立しない可能性が高くなるが、成立した場合には少ない迂回時間または迂回距離で相乗りルート42を利用できる。
【0119】
仮に、ユーザが指定した2割増しの迂回時間または迂回距離の範囲では相乗りルート42を生成できないが、4割増しを許容すれば相乗りルート42を生成できる場合、制御部21は図6を使用して説明した画面において「お得」の代わりに、「タクシー移動の1.4倍の時間がかかります。宜しいですか?」等の表示を行ない、ユーザが同意した場合に、相乗りルート42を成立させる。
【0120】
ユーザが、迂回時間または迂回距離をたとえば10割増しまでに設定した場合、制御部21は直接移動する場合の2倍の時間または2倍の移動距離の範囲で、相乗りルートを作成する。このように、デフォルトよりも緩やかな条件を設定したユーザに関しては、相乗りルート42が成立する可能性が高くなる。
【0121】
制御部21はユーザが設定した迂回時間または迂回距離の数値に基づいて基本割引率Dまたは基本割引額Gを定めてもよい。制御部21は、ユーザが配車システム10を利用するたびに、迂回時間または迂回距離の上限値の指定を受け付けてもよい。
【0122】
図5を使用して説明したステップS611においてユーザが配車要求41を入力する代わりに、オペレータが電話等で配車要求41を受け付けて、配車要求DB51に登録してもよい。
【0123】
図5を使用して説明したステップS504からステップS505の代わりに、オペレータまたは第2相乗りルートの運転を担当する運転士が、ステップS522で生成された第2相乗りルートおよびステップS523で算出された相乗り料金を承認してもよい。制御部21は、ステップS504からステップS505の処理を省略してステップS522で生成した第2相乗りルートを配車要求DB51に記録してもよい。
【0124】
制御部21は、配車要求41の発生予測を取得し、発生予測が所定の閾値よりも大きい場合にダミーの配車要求41である仮配車要求を生成してもよい。発生予測は、たとえば統計データ、オペレータの経験、またはイベント情報等に基づく予測であり、たとえばオペレータが制御部21に入力する。制御部21が所定の条件に基づいて発生予測を生成してもよい。
【0125】
制御部21は、図4を使用して説明したステップS502において、ユーザから受け付けた実際の配車要求41と仮配車要求とを組み合わせて仮の配車計画43を生成する。その後、図5を使用して説明したステップS522において制御部21は、追加で受け付けた配車要求41に応じて仮配車要求を削除して、第2相乗りルートを生成する。
【0126】
なお、ユーザから受け付けた実際の配車要求41が、仮配車要求よりも少ない場合、仮配車要求に対応する料金が不足してしまう。しかし、不足額はユーザに転嫁せずに、相乗りルート42を生成した営事業者が負担することが望ましい。仮配車要求に対応する配車要求41の発生有無にかかわらず、提示した料金で乗車できることをユーザに対して保証する配車システム10を提供できる。
【0127】
仮配車要求よりも多数の配車要求41が発生した場合、制御部21は実際の配車要求41に基づいてユーザに請求する料金を算定しなおしても、仮配車要求に基づいて算出した料金をユーザに請求してもよい。後者の場合、配車システム10の運営事業者の収益性を高められる。
【0128】
以上により、配車要求41の発生予測に基づいて仮の配車計画43を生成し、ユーザの要望に応じて配車計画43を適宜修正する配車システム10を提供できる。十分な数の配車要求41を受け付ける前に仮の配車計画43を生成することで、配車要求41を出したユーザに対して速やかに相乗りルート42を提示する配車システム10を提供できる。
【0129】
制御部21は、仮の配車計画43を生成する代わりに、実際の配車要求41に基づいて算出した相乗り料金に対して所定の割引をした割引後相乗り料金を算出して、ユーザに提示してもよい。制御部21は、相乗り割引額または相乗り割引率に所定の加算を行なった、加算後相乗り割引額または加算後相乗り割引率をユーザに提示してもよい。
【0130】
既存の配車要求41のみに基づいて単純に相乗り料金を算出する場合、早い段階で算出した相乗り料金は高額になる。配車要求41の追加が見込まれる相乗りルート42に関しては、割引後相乗り料金を提示することにより、ユーザが正式申し込みを行ないやすくなる。相乗りルート42の運行を早い段階で確定することにより、車両15およびドライバーの確保も容易になる。
【0131】
見込み通りの配車要求41が追加されなかった場合、実際の配車要求41に基づいて算出した相乗り料金は、ユーザに提示済の割引後相乗り料金よりも高額になる。しかしながらそのような場合であっても、制御部21はあらかじめ提示した割引後相乗り料金をユーザに請求する。早い段階で予約したユーザに対して、いったん提示された料金が増額されることがないという安心感を与える配車システム10を提供できる。
【0132】
見込み以上の配車要求41が追加された場合、実際の配車要求41に基づいて算出した相乗り料金は、ユーザに提示済の割引後相乗り料金よりも低額になる。しかしながらそのような場合であっても、制御部21はあらかじめ提示した割引後相乗り料金をユーザに請求する。ユーザが了承済の範囲で高額の料金を徴収することにより、配車システム10の運営事業者の事業を安定させる配車システム10を提供できる。
【0133】
見込み以上の配車要求41が追加された場合、ユーザに提示済の割引後相乗り料金をさらに減額した料金をユーザに請求してもよい。早い段階で予約したユーザに対して、さらに安価な料金が提示されるかもしれないという期待感を与える配車システム10を提供できる。
【0134】
制御部21は、割引後相乗り料金をユーザに提示しなくてもよい。このようにする場合には、たとえば事前にユーザに配布するパンフレットまたはWEB(World Wide Web)サイト等に、早期に申し込みをしたユーザに対する所定の定額料金を表示しておく。ユーザが事前に定額料金を把握できることで、申し込み後にキャンセルされる可能性を低減する配車システム10を提供できる。
【0135】
図5を使用して説明したステップS512において、配車計画43中の空き時間となっている時間帯にステップS511で受信した配車要求41に対応可能である場合には、制御部21は、当該配車要求41により構成される第2相乗りルートを生成(ステップS522)してもよい。たとえば、ステップS511で受信した配車要求41が、一つの相乗りルート42の終点から、次の相乗りルート42の出発地点までの回送ルートとほぼ同一である場合、車両15を回送する代わりに、ユーザを乗せて走行できる。
【0136】
このように、回送する代わりに生成した相乗りルート42に関して、制御部21は通常よりも安価な割引料金を設定してもよい。ユーザの有無にかかわらず走行する必要がある経路であるため、割引料金を提示しても採算性に悪影響を与えないためである。
【0137】
[変形例1]
本変形例は、既存の相乗りルート42に新たな配車要求41を追加して第2相乗りルートを生成した場合に、既存のユーザに受け入れ許可を求める配車システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0138】
図8は、変形例1の第2情報処理装置30の画面例である。第1情報処理装置20は、図5を使用して説明したステップS504において、既存のユーザが使用する第2情報処理装置30に対しても情報を送信する。図8は、送信された情報に基づいて制御部31がタッチパネル35に表示する画面の例である。
【0139】
画面の上半分には、地図欄61が表示されている。地図欄61の下に、概要欄67、追加者欄66、承認ボタン692および不承認ボタン693が表示されている。概要欄67には、予約済の相乗りルート42の概要が表示されている。追加者欄66には、相乗りルート42に追加された配車要求41に関する情報が表示されている。ユーザは、追加で乗車するユーザの顔写真およびニックネーム、および料金等を確認できる。
【0140】
ユーザは、追加者欄66を確認して当該ユーザの追加を承認する旨を示す承認ボタン692、または、承認しない旨を示す不承認ボタン693を選択する。制御部21は、たとえば既存のすべてのユーザが承認ボタン692を選択した場合に、追加ユーザを含む相乗りルート42が確定したと判定して、配車要求DB51に記録する。
【0141】
制御部21は、たとえば既存のユーザのうちの所定の割合または所定の人数のユーザが承認ボタン692を選択した場合に、追加ユーザを含む相乗りルート42が確定したと判定して、配車要求DB51に記録してもよい。制御部21は、承認ボタン692および不承認ボタン693を表示せず、単に相乗りルート42を利用するユーザが追加された旨を既存のユーザに通知してもよい。
【0142】
[変形例2]
本変形例は、予約済の相乗りルート42にユーザが追加された場合に、既存のユーザの料金が減額される旨を通知する配車システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0143】
図9は、変形例2の第2情報処理装置30の画面例である。既存の相乗りルート42にユーザが追加された場合、第1情報処理装置20は、既存のユーザが使用する第2情報処理装置30に対して変更後の相乗りルート42に関する情報を送信する。図9は、送信された情報に基づいて制御部31がタッチパネル35に表示する画面の例である。
【0144】
画面の上部に、「乗車人数が追加になりましたので、料金が減額されました」というメッセージを示す通知欄678が表示されている。通知欄678の下に、地図欄61、概要欄67および料金欄671が表示されている。地図欄61には、追加された人物である「ko」の乗車位置を示す途中乗車地マーク623、および、「ko」の降車位置を示す途中降車地マーク624が表示されている。
【0145】
概要欄67には、ユーザが乗車する地点の住所、他のユーザが乗車または降車するために停車する地点の住所、およびユーザが降車する地点の住所が表示されている。追加された地点の右端には「New」と表示されている。なお、追加された地点の住所がたとえば太字体、斜字体、下線付き、点滅表示等の任意の表示形式により、目立つように表示されていてもよい。
【0146】
概要欄67には、料金が「6,400円」から「5,200円」に減額された旨が表示されている。図9に示す画面により、ユーザは同じ車両15を利用するユーザの数が増加するほど、料金が減額される配車システム10のメリットを実感できる。
【0147】
[変形例3]
本変形例は、乗車可能な複数の相乗りルート42をユーザに提示する配車システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0148】
図10は、変形例3の第2情報処理装置30の画面例である。図5を使用して説明したステップS521からステップS522において、配車システム10は複数の第1相乗りルートにそれぞれ配車要求41を追加して、複数の第2相乗りルートを生成する。ステップS504において、制御部21は生成した複数の第2相乗りルートを第2情報処理装置30に送信する。
【0149】
図10は、複数の第2相乗りルートを受信した制御部31がタッチパネル35に表示する画面の例を示す。画面の上部には、地図欄61が表示されている。地図欄61の下に、タクシーシェアボタン643、シャトルボタン641および公共交通機関ボタン644が表示されている。図10は、シャトルボタン641が選択されている状態を示す。シャトルボタン641の下側に、3個の候補欄65が表示されている。画面の下部に、申込ボタン691が表示されている。
【0150】
3個の候補欄65は、ユーザが指定した配車要求41に対応して生成された3個の第2相乗りルートに対応している。しかしながら、乗車を予定しているユーザの人数等の条件により、料金が異なっている。
【0151】
ユーザは、表示された候補欄65を見比べて、希望する候補欄65を選択した状態で、申込ボタン691を選択する。ユーザが申込ボタン691を選択した場合、制御部21は配車要求DB51の状態フィールドに、選択された相乗りルート42に関する情報と「確定」とを記録する。以上によりユーザの配車要求41に関する予約が確定する。
【0152】
制御部21は、乗客数を増やしたい相乗りルート42を使用した場合の料金が安くなるように(1)式から(6)式を使用して説明した各種パラメータを調整することにより、特定の相乗りルート42にユーザを誘導できる。オペレータが、パラメータの調整を指示してもよい。
【0153】
[実施の形態2]
本実施の形態は、ユーザが条件を設定することにより、相乗りルート42が成立する可能性を高めることが可能な配車システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0154】
実施の形態1において、ユーザが希望する配車要求41を含む適切な相乗りルート42を生成できない場合がある。たとえば、(1)式から(6)式に基づいて算出した相乗り料金Uが、単独でタクシーを利用する場合の料金である基本料金Bよりも高額である場合、通常であれば当該相乗りルート42を利用する利点はないと考えられる。
【0155】
図11および図12は、実施の形態2の第2情報処理装置30の画面例である。図11は、適切な相乗りルート42が成立しない場合に、制御部31がタッチパネル35に表示する画面の例である。画面の中央部に、「残念ながらマッチしませんでした... ごめんなさい」というメッセージが表示されている。このメッセージにより、制御部21はユーザが入力した配車要求41を許可できないと判定した判定結果をユーザに通知する。
【0156】
画面の下部に「負担金額を挙げるとマッチする確率が高まります」という案内と、再提案ボタン694とが表示されている。ユーザが再提案ボタン694を選択した場合、制御部31は図12の画面をタッチパネル35に表示する。図12に示す画面には、ユーザが許容できる料金を入力する運賃設定欄676、ユーザが許容できる時間を入力する時間設定欄677および確定ボタン695が表示されている。
【0157】
ユーザは、運賃設定欄676および時間設定欄677に許容可能な条件を入力して、確定ボタン695を選択する。たとえば大規模イベントが行われるためにタクシーに乗ることが難しいと予測される場合、ユーザは一人でタクシーに乗る場合よりも高い料金であっても許容する可能性がある。
【0158】
ユーザが確定ボタン695を選択した場合、制御部31はユーザが入力した条件を第1情報処理装置20に送信する。制御部21は、ユーザが指定する条件を満たす相乗りルート42が生成できた場合に、たとえば図6を使用して説明した画面を介して、ユーザに相乗りルート42を通知する。
【0159】
本実施の形態によると、ユーザの希望条件に応じた相乗りルート42を提示する配車システム10を提供できる。
【0160】
制御部21は、2つの配車要求41のうちの一方を相乗りルート42に組み込んだ場合に他方を相乗りルート42に組み込めない場合、運賃設定欄676に高額な料金を設定して追加料金の支払いに同意したユーザの配車要求41を優先して組み込んだ相乗りルート42を生成してもよい。
【0161】
なお制御部21は、たとえば相乗り料金Uと基本料金Bの差額が、所定の基準割引額よりも大きい場合にのみ、相乗りルート42をユーザに提示する。制御部21は、基本料金Bに対する相乗り料金Uの割引額が、所定の基準割引率よりも大きい場合にのみ、相乗りルート42をユーザに提示してもよい。制御部21は、相乗りルート42を利用した場合の所要時間の増加量が所定以下である場合にのみ、相乗りルート42をユーザに提示してもよい。
【0162】
ユーザに対する利点が少ない場合には、相乗りルート42を提案しないことにより、配車システム10に対するユーザの信頼性を高めることができる。制御部21は、個々のユーザから基準割引額、基準割引率または所要時間の増加量の上限の指定を受け付けてもよい。ユーザは、自己のニーズに応じて相乗りルート42の提示を受ける条件を設定できる。
【0163】
[実施の形態3]
本実施の形態は、乗車地点等の変更を提案する配車システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0164】
たとえば配車要求41で指定された乗車地点または降車地点を、道路の反対側等に変更した場合に、多くのユーザの要求を満たす相乗りルート42を生成できる場合がある。同様に、配車要求41で指定された乗車時刻または降車時刻を変更した場合に、多くのユーザの要求を満たす相乗りルート42を生成できる場合がある。本実施の形態においては、制御部21はユーザに対して配車要求41で指定された条件の変更を提案する。
【0165】
配車要求41において到着時刻を10時に設定したユーザを例にして説明する。当該ユーザの到着時刻を10時30分に変更することにより、他の多くのユーザの配車要求41を満たす相乗りルート42が生成できる場合、制御部21は「到着時刻を10時から10時30分に変更しても宜しいですか?」等のメッセージを出力する。ユーザが、変更を承認した場合、制御部21は当該ユーザの到着時刻を変更した相乗りルート42の採用を決定する。
【0166】
なお、条件の変更を承認したユーザに対して、制御部21は基本割引率または基本割引額を大きくしてもよい。制御部21は、ユーザに対して「到着時刻を10時から10時30分に変更すれば、料金を1000円割り引きます。」等のメッセージを出力してもよい。料金割引等のインセンティブの提供により、ユーザの協力を得られる可能性を高められる。
【0167】
本実施の形態によると、ユーザに協力を求めることにより、適切な相乗りルート42を成立させやすい配車システム10を提供できる。
【0168】
[実施の形態4]
本実施の形態は、乗車中のユーザに対して、配車要求41を提示した際の条件とは異なる条件への変更可否を問い合わせる配車システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0169】
図13は、実施の形態4の画面例である。具体例を挙げて説明する。16時30分に成田空港到着予定の車両15に、二人のユーザが相乗りで乗車中である。以後の説明においては、二人のユーザをユーザAおよびユーザBと記載する。ユーザAおよびユーザBは、いずれも17時30発の国内線に搭乗する予定である。
【0170】
車両15の走行中に、ユーザCにより新たな配車要求41発行される。制御部21は、各ユーザの条件を満たす相乗りルート42を生成できない。しかし、ユーザAおよびユーザBが走行中の車両15にユーザCが相乗りする場合には、17時に成田空港に到着できる見込みである。
【0171】
たとえば、ユーザCが既存の各ユーザに対して5,000円、合計10,000円の追加料金の支払いに同意している場合、制御部21は乗車中のユーザの第2情報処理装置30に、図13に示す画面を表示する。
【0172】
図13に示す画面により、ユーザは到着予定時刻が30分遅れることを許容すれば、料金が大幅に減額されることを知る。ユーザは、チェックインに必要な時間等を考慮して、ユーザCの相乗りを受け入れるか否かを判断する。ユーザは、承認ボタン692または不承認ボタン693を操作して、判断結果を制御部21に通知する。
【0173】
ユーザAとユーザBの双方が承認された場合、制御部21は相乗りルート42を変更して、ユーザCを相乗りさせる。
【0174】
本実施の形態によると、当初の配車要求41とは異なる条件の受け入れ可否について、ユーザによる判断を受け付ける配車システム10を提供できる。
【0175】
[実施の形態5]
本実施の形態は、配車システム10を運営する運営事業者の手数料と、車両運行費用とを分けて表示する配車システム10に関する。
【0176】
旅行業法では、「企画旅行」と「手配旅行」との2つの類型が定められている。旅行業者は、企画旅行においては旅行者に対して料金の内訳を表示する必要はないが、手配旅行においてはたとえば実費と手数料等の料金の内訳を表示する必要がある。たとえば図6に示す画面例においては、料金の内訳を表示していないが、その後も、料金の内訳を一切表示しない場合は、相乗りルート42の提供は旅行業法上の企画旅行の提供に相当すると解釈できる。
【0177】
これに対し、本実施の形態の配車システム10は、旅行業法上の手配旅行に相当する情報をユーザに提供する。なお、企画旅行においても内訳を表示することは禁止されていない。したがって、本実施の形態は相乗りルート42の提供が手配旅行の提供である場合である場合と、企画旅行の提供であるである場合との両方で使用できる。
【0178】
図14は、実施の形態5の相乗りルート42と、第2情報処理装置の画面例とを模式的に示す説明図である。本実施の形態の相乗りルート42においては、車両15は地点P7から地点P8および地点P9を経由して、地点P10まで走行する。ユーザEは、地点P7で乗車して、地点P10で降車する。ユーザFは、地点P8で乗車して、地点P9で降車する。
【0179】
車両15はタクシーであり、地点P7から地点P10までの運賃が1,000円である。この1,000円は、相乗りルート42の運行に要する経費に相当する。前述のとおり、経費にはクレジットカードの手数料、通信費等の実費、および保険料等を含めてもよい。
【0180】
ユーザEとユーザFとの乗車距離の比率が3対2である場合には、乗車距離に比例して配分した、ユーザEの運賃は600円であり、ユーザFの運賃は400円であると算出できる。ユーザEの600円、および、ユーザRの400円は、相乗りルート42の運行に要する経費をユーザ間で配分した配分経費の例示である。
【0181】
配車システム10の運営事業者は、それぞれのユーザに対して運賃に加えて運営手数料100円を請求する。制御部21は、ユーザEの第2情報処理装置30に対して、図14の上側に示すように、「運賃600円、手数料100円、合計700円」である旨を表示する。同様に制御部21は、ユーザFの第2情報処理装置30に対して、図14の下側に示すように、「運賃400円、手数料100円、合計500円」である旨を表示する。
【0182】
制御部21は、たとえば図6に例示したように、一人でタクシーに乗る場合の運賃および残りの座席数等を表示してもよい。
【0183】
[変形例4]
上記のユーザFは実在せず、制御部21が生成した仮配車要求であった場合について説明する。車両15が走行を終了するまで、相乗りルート42に追加できる配車要求41が発生しない場合、ユーザFの運賃実費は1,000円である。しかしながら、700円の料金を提示されて相乗りルート42の利用を決めたユーザに対して、1,000円の料金を請求することは望ましくない。
【0184】
配車システム10は、ユーザEに対して当初提案した700円の料金での運行を保証し、差額を手数料で調整する。すなわち、第2情報処理装置30を介してユーザに対し、「運賃1,000円、手数料-300円、合計700円」の料金を通知する。以上により、ユーザが安心して利用できる配車システム10を提供できる。
【0185】
なお、「手数料-300円」の部分の表示は、運賃1,000円から、300円を割り引く表示であれば、その表示内容にかかわらない。例えば、「割引300円」や「販促費300円」のように表示しても構わない。ここでは、この300円の全部を事業者が負担する場合について説明したが、一部を事業者が負担することとしてもよい。
【0186】
[変形例5]
ユーザEおよびユーザFに料金を提示した後に、タクシーの運賃、および、各ユーザの所要時間等に影響を与えずに、相乗りルート42に追加可能な配車要求41が発生した場合に、既存のユーザに請求する料金を変更しない配車システム10について説明する。
【0187】
制御部21は、新たな配車要求41を含めて各ユーザの運行経費を算定しなおす。ここでは、ユーザEの運行経費が400円に変化した場合を例にして説明する。制御部21は、「運賃400円、手数料300円、合計700円」である旨を、第2情報処理装置30を介してユーザに通知する。
【0188】
なお、新たな配車要求41を相乗りルート42に組み込まれることにより、所要時間の増加等の影響をユーザEが被る場合には、制御部21はユーザEの料金を下げることが望ましい。
【0189】
以上に説明したように、相乗りルート42を利用するユーザに変動が生じた場合であっても、手数料を調整することにより、ユーザに請求する料金を当初に提示した料金から変動させない配車システム10を提供できる。
【0190】
[変形例6]
ユーザEおよびユーザFに料金を提示した後に、タクシーの運賃、および、各ユーザの所要時間等に影響を与えずに、相乗りルート42に追加可能な配車要求41が発生した場合に、既存のユーザに請求する料金を減額する配車システム10について説明する。
【0191】
図14に示したようにユーザEに700円の相乗り料金を提示した後に、地点P7で乗車し、地点P9で降車するユーザGが追加された場合を例にして、具体的に説明する。車両15の運行経費は、1000円のまま変化しない。
【0192】
制御部21は、各ユーザの乗車距離に基づいて各ユーザの運賃を算出しなおす。ユーザEの運賃が、600円から400円に変化した場合について説明する。仮に、ユーザEの相乗り料金が700円のままであれば、配車システム10の運営事業者の手数料は100円から300円に変化する。
【0193】
しかしながら本変形例においては、手数料の増額分相当額をユーザEと運営事業者の間で配分する。上記の例においては、手数料の増額分相当額は、200円である。これを、ユーザEと運営事業者とで、たとえば半分ずつに分配する。運営事業者が徴収する手数料は200円になり、ユーザEの相乗り料金は、運賃400円と、手数料200円とを加算した600円になる。
【0194】
上記の手数料の増額分相当額の配分方法は例示である。配分比率は半分ずつに限定しない。運営事業者の手数料増額分が定額であり、残りをユーザに分配してもよい。ユーザの手数料増額分が定額であり、残りを運営事業者に分配してもよい。
【0195】
なお、上述の手数料の増額分相当額は、ユーザが負担する運行経費の減少分でもある。すなわちユーザGが追加されることに伴い、ユーザEが負担する運行経費が200円減少する。本変形例は、ユーザEが負担する運行経費の減少分を、ユーザEと運営事業者とで分配していると解釈してもよい。
【0196】
本変形例によると、相乗りルート42に同乗する乗客が増加した場合に、既存のユーザが相乗り料金の減額メリットを享受できる配車システム10を提供できる。
【0197】
[変形例7]
図15は、変形例7の相乗りルート42を模式的に示す説明図である。本変形例の相乗りルート42においては、図14と同様に、車両15は地点P7から地点P8および地点P9を経由して、地点P10まで走行する。地点P7および地点P8は、地点P7から地点P10に直接移動する経路からは外れている。ユーザEは、地点P7で乗車して、地点P10で降車する。ユーザFは、地点P8で乗車して、地点P9で降車する。
【0198】
車両15が地点P7から地点P10に直接移動する場合の距離が2キロメートル、地点P8から地点P9に直接移動する場合の距離が1キロメートル、地点P7から地点P8、地点P9を経由して地点P10に移動する場合の距離が3キロメートルであり、車両15の運行経費が1200円である場合を例にして説明する。
【0199】
ユーザEの乗車距離は、3キロメートルである。ユーザFの乗車距離は1キロメートルである。したがって、前述のように運行経費を各ユーザの乗車距離に比例して配分する場合、ユーザEおよびユーザFがそれぞれ負担する運賃は次式のように算出される。
【0200】
ユーザE:1200×3/(3+1)=900円
ユーザF:1200×1/(3+1)=300円
【0201】
上記の配分によると、ユーザEは相乗りのために遠回りしているにも関わらず、ユーザFに比べて割高の運賃を負担することになる。このような配分では、ユーザEは相乗りルート42を利用するよりも、単独でタクシーを利用する方が得であると判断する可能性がある。その結果、相乗りルート42が成立しない場合、ユーザFも相乗りルート42を利用できなくなる。
【0202】
本変形例においては、各ユーザが乗車地点から降車地点まで直接移動する場合の距離に基づいて、運賃を算出する。ユーザEの移動距離は2km、ユーザFの移動距離は1kmであるため、ユーザEおよびユーザFがそれぞれ負担する運賃は次式のように算出される。
【0203】
ユーザE:1200×2/3=800円
ユーザF:1200×1/3=400円
【0204】
本変形例によると、各ユーザが納得しやすい費用分担を提示することにより、相乗りルート42の成立可能性を高める配車システム10を提供できる。
【0205】
なお制御部21は、各ユーザが単独でタクシーに乗車する場合の運賃に比例するように、相乗りルート42の運行経費を分配してもよい。また、図15において、例えば、地点P9から地点P10への距離が長い場合は、ユーザFが自らが負担する運賃について、減額メリットを適切に受けられない可能性がある。この場合、例えば、ユーザFが単独で乗車した場合よりも、ユーザEと相乗りした場合の方が、運賃の負担が少なくなるなどの所定の条件を満たした場合のみ、ユーザE及びユーザFがマッチングする又は本変形例による運賃の計算方法が適用されることとしてもよい。
【0206】
[実施の形態6]
図16は、実施の形態6の配車システム10の構成を説明する説明図である。本実施の形態の配車システム10は、コンピュータ90を含む。コンピュータ90は、制御部21、主記憶装置22、補助記憶装置23、通信部24、入力部251、出力部252、読取部29およびバスを備える。コンピュータ90は、汎用のパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンまたはサーバコンピュータ等の情報機器である。
【0207】
プログラム97は、可搬型記録媒体96に記録されている。制御部21は、読取部29を介してプログラム97を読み込み、補助記憶装置23に保存する。また制御部21は、コンピュータ90内に実装されたフラッシュメモリ等の半導体メモリ98に記憶されたプログラム97を読出してもよい。さらに、制御部21は、通信部24および図示しないネットワークを介して接続される図示しない他のサーバコンピュータからプログラム97をダウンロードして補助記憶装置23に保存してもよい。
【0208】
プログラム97は、コンピュータ90の制御プログラムとしてインストールされ、主記憶装置22にロードして実行される。プログラム97のうち第2情報処理装置30で実行される部分については、ネットワークを介してそれぞれの第2情報処理装置30に送信され、第2情報処理装置30の制御プログラムとしてインストールされる。以上により、コンピュータ90は、上述の配車システム10を構成する第1情報処理装置20の機能を果たす。プログラム97は、プログラム製品の例示である。
【0209】
[実施の形態7]
図17は、実施の形態7の情報処理装置20の機能ブロック図である。情報処理装置20は、受付部81、ルート生成部82、料金取得部83、迂回取得部84および算出部85を備える。
【0210】
受付部81は、複数のユーザにそれぞれ対応して、乗車地点および降車地点を指定した複数の配車要求を受け付ける。ルート生成部は、複数の配車要求に基づき、各ユーザを各乗車地点および降車地点で乗り降りさせながら送迎する相乗りルートを生成する。
【0211】
料金取得部83は、相乗りルートで送迎する場合の第1乗車料金と、各ユーザが指定した乗車地点および降車地点を結ぶ個別ルートで各ユーザを個別に送迎した場合の第2乗車料金とを取得する。迂回取得部84は、相乗りルートおよび個別ルートに基づき、相乗りによる迂回時間または迂回距離をユーザ毎に取得する。算出部85は、第1乗車料金と、各ユーザの第2乗車料金と、迂回時間または迂回距離とに基づき、相乗り割引率または相乗り割引金額をユーザ毎に算出する。
【0212】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0213】
10 配車システム
15 車両
20 第1情報処理装置(情報処理装置)
21 制御部
22 主記憶装置
23 補助記憶装置
24 通信部
251 入力部
252 出力部
29 読取部
30 第2情報処理装置
31 制御部
32 主記憶装置
33 補助記憶装置
34 通信部
35 タッチパネル
351 入力部
352 出力部
41 配車要求
42 相乗りルート
43 配車計画
51 配車要求DB
61 地図欄
621 乗車地マーク
622 降車地マーク
623 途中乗車地マーク
624 途中降車地マーク
628 経路マーク
641 シャトルボタン
642 タクシーボタン
643 タクシーシェアボタン
644 公共交通機関ボタン
65 候補欄
66 追加者欄
67 概要欄
671 料金欄
676 運賃設定欄
677 時間設定欄
678 通知欄
691 申込ボタン
692 承認ボタン
693 不承認ボタン
694 再提案ボタン
695 確定ボタン
81 受付部
82 ルート生成部
83 料金取得部
84 迂回取得部
85 算出部
90 コンピュータ
96 可搬型記録媒体
97 プログラム
98 半導体メモリ
図1
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