(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】クリーナヘッド
(51)【国際特許分類】
B08B 5/00 20060101AFI20240822BHJP
B08B 11/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B08B5/00 A
B08B11/00 A
(21)【出願番号】P 2022029904
(22)【出願日】2022-02-28
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】500469109
【氏名又は名称】有限会社タクショー
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】添本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】宇澤 啓
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-028181(JP,A)
【文献】実開昭61-139786(JP,U)
【文献】特開2006-346515(JP,A)
【文献】特開昭51-124059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 5/00
B08B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が一本の押出型材(1)から作製されたクリーナヘッドであって、
上記押出型材(1)は、包囲外壁部(11)と、該包囲外壁部(11)の内部空間を、順次、バキューム空間(V
0 )とプレッシャ空間(P
0 )とバキューム空間(V
0 )に区画形成するための一対の区画内壁部(12)(12)を、一体に有すると共に、上記包囲外壁部(11)は、横断面形状において、被除塵面(10)に対向するための一辺(11A)を有し、さらに、各区画内壁部(12)のバキューム空間側内面(12v)と上記一辺(11A)のバキューム空間側内面(11Av)によって、鋭い先端(3E)を有する横断面V字形状のエアー吸引領域部(3)が、形成され、
上記鋭い先端(3E)の横断面における曲率半径(R)を、0mm~1.0 mmに設定し、
一対の上記区画内壁部(12)(12)と、上記一辺(11A)とが連結された合流位置(G)に於て、上記一辺(11A)と直交方向に、上記プレッシャ空間(P
0 )の高圧エアーを噴出する吐出用スリット(6)を開設し、さらに、上記バキューム空間(V
0 )へ除塵後のエアーを吸入する吸引用スリット(7)(7)を、上記一辺(11A)と直交方向に開設し、しかも、横断面V字形状の上記エアー吸引領域部(3)の上記鋭い先端(3E)に連通するように、上記吸引用スリット(7)を開設
すると共に、
横断面に於て、各吸引用スリット(7)の相互平行状のスリット内側面(7A)(7B)の内で、上記吐出用スリット(6)に近い中央寄りの内側面(7A)が、上記エアー吸引領域部(3)の上記鋭い先端(3E)に、一致するように、上記吸引用スリット(7)が上記一辺(11A)に開設されていることを特徴とするクリーナヘッ
ド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーナヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のクリーナヘッドC
0 は、
図10に示すような横断面形状のものが使用されている(特許文献1参照)。
即ち、
図10及び
図11(A)に示すように、矢印K方向へ送られる被除塵体51は、平面状シート体や平面パネル等であり、中央の吐出用スリット53と、送り方向(矢印K)の上流・下流側の吸引用スリット54,54を備え、この吸引用スリット54,54の間隔寸法W
54は十分大きく設定されていた。
【0003】
また、
図11(B)や
図11(C)に示した被除塵体51は、バックアップロール55にサポートされつつ矢印K方向へ送られるフィルム(シート体)であり、吸引用スリット54と被除塵体51との間隔寸法を所定値以下に保つために、クリーナヘッドC
0 の対応面56は、低い台形や円弧状の凹窪面に、形成されていた。
このように、従来のクリーナヘッドC
0 に於ては、被除塵体51の被除塵面形状の各々に応じた対応面56を有する多種類のものを揃える必要があった。
【0004】
そこで、
図10に示したようなAl押出型材から成る従来のクリーナヘッドC
0 における大き目の間隔寸法W
54を、短縮することを、本発明者は着想して、これを検討したのが、
図12に示した(比較例としての)クリーナヘッドC
1 である。
即ち、
図12の比較例に示したように、2本の吸引用スリット54,54の間隔寸法W
54を(
図10よりも)減少でき、バックアップロール55にてサポートされたシート体等の被除塵体51にも適用できると考えたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図12(比較例)にあっては、Al押出型材から成るため、前記間隔寸法W
54を十分に小さくすることができないことが判明した。
具体的には、
図12に於て、長方形の周囲壁57と、その内部の2本の折曲がった区画壁58,58によって、中央のプレッシャ空間59と左右のバキューム空間60,60が形成されるが、吐出用スリット53に近いプレッシャ空間59の吐出近傍部59Aの間隔寸法Waは、
図12に示す程度にまで、小さくすることが困難である。
【0007】
その理由は、押出金型の中子の一部を、
図12に示した小さな間隔寸法Waを成形する薄い肉厚とすることが、困難であるためである。つまり、上記間隔寸法Waのように薄い肉厚に、押出金型の中子の一部を形成すると、押出成形時に損傷及び早期摩耗を受ける。
さらに、押出成型された区画壁58自身の肉厚も、余り薄くすることが難しいために、
図12における間隔寸法Waを十分に小さくできない。
【0008】
そこで、本発明者は、
図13と
図14の比較例に示したようなクリーナヘッドの発明を、特許出願している(特願2020-148335号)。
【0009】
即ち、
図13,
図14に示した比較例のクリーナヘッドは、被除塵面に対向する対応壁部44には、直交方向に開設した吐出用スリット37、及び、該吐出用スリット37の上流近傍と下流近傍に開設した一対の吸引用スリット38,38を、有するクリーナヘッドに於て、上記対応壁部44に開設の上記一対の吸引用スリット38,38の外方延長線L
38,L
38は、上記対応壁部44から離れるに従って、相互接近して交わるように、上記対応壁部44に傾斜状に開設したクリーナヘッドである。
【0010】
また、包囲外壁部40と、該包囲外壁部40の内部空間をバキューム空間V0 とプレッシャ空間P0 とバキューム空間V0 に区画形成する一対の区画内壁部42,42とを、一体に有する押出型材36から作製され、上記包囲外壁部40は、横断面形状において、被除塵面に対向して配設される一辺41Aを有し、一対の上記区画内壁部42,42は、60°乃至100°の所定角度2θを成すように相互に接近しつつ、上記一辺41Aに合流して連結され、連結された合流位置46に於て、上記プレッシャ空間P0 の高圧エアーを噴出する吐出用スリット37を開設し、さらに、上記バキューム空間V0 へ除塵後のエアーを吸入する一対の吸引用スリット38,38を、上記所定角度2θをもって相互に接近する一対の上記区画内壁部42,42の各々と平行状に、形成している構成である。
【0011】
この
図13,
図14に示す比較例のクリーナヘッドは、間隔寸法W
54を十分に小さくできるために、被除塵体が平面状であっても、あるいは、曲面状であっても、共用できるという大きな利点がある。
【0012】
しかしながら、
図13に示した押出型材36に、
図14に示したような傾斜状吸引用スリット38,38を切削工具にて、
図14の矢印Yのように機械加工して形成する作業が極めて困難であるという問題、及び、作業能率が低いという問題があることが、判明した。
即ち、エンドミルや回転カッター等の切削工具にて、高精度に正確な位置に、機械加工するには、「固定治具」を使用して、
図13に示す押出型材36を、上下反転すると共に所定角度θだけ傾斜姿勢に維持固定する必要がある。
【0013】
しかも、2本の吸引用スリット38,38のために、相互に逆方向に所定角度θだけ傾斜させて固定する手間が掛り、熟練を要するという問題があることが、判ってきた。
特に、最近は、被除塵体の幅寸法がしだいに大きくなり、(これに伴って、)
図13,
図14の紙面と直交方向のクリーナヘッド全長寸法が増加傾向にあるために、上述の切削加工の作業能率の低さが、大きな問題となってきている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、本発明は、全体が一本の押出型材から作製されたクリーナヘッドであって;上記押出型材は、包囲外壁部と、該包囲外壁部の内部空間を、順次、バキューム空間とプレッシャ空間とバキューム空間に区画形成するための一対の区画内壁部を、一体に有すると共に、上記包囲外壁部は、横断面形状において、被除塵面に対向するための一辺を有し、さらに、各区画内壁部のバキューム空間側内面と上記一辺のバキューム空間側内面によって、鋭い先端を有する横断面V字形状のエアー吸引領域部が、形成され、上記鋭い先端の横断面における曲率半径を、0mm~1.0 mmに設定し;一対の上記区画内壁部と、上記一辺とが連結された合流位置に於て、上記一辺と直交方向に、上記プレッシャ空間の高圧エアーを噴出する吐出用スリットを開設し、さらに、上記バキューム空間へ除塵後のエアーを吸入する吸引用スリットを、上記一辺と直交方向に開設し、しかも、横断面V字形状の上記エアー吸引領域部の上記鋭い先端に連通するように、上記吸引用スリットを開設すると共に;横断面に於て、各吸引用スリットの相互平行状のスリット内側面の内で、上記吐出用スリットに近い中央寄りの内側面が、上記エアー吸引領域部の上記鋭い先端に、一致するように、上記吸引用スリットが上記一辺に開設されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、2本の吸引用スリットの間隔寸法が(十分に)小さくなって、被除塵面が平面状であっても、円弧面状であっても、共用自在である。しかも、
図13,
図14に示したような傾斜方向(矢印Y参照)から切削工具にて加工せずに済むので、傾斜姿勢保持用治具を使用せずに、かつ、作業者の熟練を要さずに、吸引用スリットを極めて能率良く、加工(形成)できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】使用状態を説明した本発明の実施の一形態を示す横断面図である。
【
図2】吐出用スリットと吸引用スリットを加工する前の状態の押圧型材を示す横断面図である。
【
図9】本発明の一つの使用方法を説明した簡略図である。
【
図13】他の比較例を説明するための加工前の押出型材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図2に於て、Al等の金属から成る押出型材1を例示する。この押出型材1は、横断面矩形状の包囲外壁部11と、一対の区画内壁部12,12とを、一体に有している。
図1と
図3に於て、本発明に係るクリーナヘッド30を示す。このクリーナヘッド30は、
図2に示した押出型材1に、吐出用スリット6及び2本の吸引用スリット7,7を機械加工によって開設することで、作製される。
【0018】
さらに、具体的に説明すれば、この押出型材1は、包囲外壁部11と、包囲外壁部11の内部空間を、順次、バキューム空間V
0 とプレッシャ空間P
0 とバキューム空間V
0 の3室に区画形成するための一対の区画内壁部12,12を、一体に有する。
しかも、矩形状断面形状の包囲外壁部11は、被除塵面10(
図8参照)に対向するための一辺(第1水平面部)11Aと、それに平行な他辺(第2水平面部)11Bと、左辺(鉛直左面部)11Cと、右辺(鉛直右辺部)11Dと、から成っている。
【0019】
さらに、押出型材1について具体的に説明すると、各区画内壁部12のバキューム空間側内面12vと、上記一辺11Aのバキューム空間側内面11Avによって、鋭い先端3Eを有する横断面V字形状のエアー吸引領域部3が、形成されている。つまり、エアー吸引領域部3は、後述するように、吸引用スリット7が開設されて、除塵後の粉塵と共にエアーが吸引される三角形断面形状の領域を指している。
【0020】
また、
図2に示したように、押出型材1における区画内壁部12,12は、各々、鉛直部12Aと傾斜部12Bを有し、「く」の字状に折曲がった断面形状である。しかも、他辺(上辺)11Bから直角状に2本の鉛直部12A,12Aが垂設され、上下途中位置から傾斜部12B,12Bが相互に接近するように折曲がっている。
前記エアー吸引領域部3は、従って、上記傾斜部12Bのバキューム空間側内面と、一辺11Aのバキューム空間側内面11Avによって、形成されていると、言い換えることもできる。
【0021】
そして、一対の区画内壁部12,12と、上記一辺11Aとが連結された合流位置Gに於て、一辺11Aと直交方向に、プレッシャ空間P0 の高圧エアーを噴出する吐出用スリット6を開設すると共に、バキューム空間V0 へ、除塵後のエアーを吸入する吸引用スリット7,7を、上記一辺11Aに対して直交方向に開設する。
しかも、横断面V字形状のエアー吸引領域部3の前記鋭い先端3Eに連通するように、吸引用スリット7を(直交方向に)開設している。
【0022】
ところで、本発明における「鋭い先端3E」とは、
図4に示す如く、曲率半径Rが「零」である場合を勿論包含するが、さらに、
図5と
図6に示す如く、曲率半径Rが極微小である場合―――即ち、1.0 mm以下の場合―――も包含すると、定義する。
【0023】
そして、曲率半径Rが零である場合に、
図4に示した如く、吸引用スリット7の相互平行状のスリット内側面7A,7Bの内で、吐出用スリット6に近い中央寄り内側面7Aが、エアー吸引領域部3の鋭い先端3Eに、一致するように、設定するのが、最も望ましい。
つまり、吸引用スリット7の中央寄り内側面7Aと、区画内壁面12のバキューム空間側内面12vとが、単純に交わった「く」の字状となって、吸引エアーの乱れが少なく、スムーズに(効率良く)バキューム空間V
0 へ(粉塵を含んだ)エアーを吸込むことができる。しかも、左右の吸引用スリット7,7の開口端の間隔寸法W
54を、極めて小さくできる。
【0024】
他方、曲率半径Rが、
図5と
図6に示すように、「零」でない場合には、吸引用スリット7の内側面7A,7Bの内で、中央寄り内側面7Aが、曲率半径Rの先端3Eに、接線として、接するように、設定するのが、望ましい。
つまり、
図6から明らかなように、中央寄り内側面7Aが、微小曲率半径Rの円弧曲線に接線として接続されて、吸引エアーの乱れが少なく、スムーズに(効率良く)バキューム空間V
0 へ(粉塵を含んだ)エアーを吸込むことができ、さらに、左右の吸引用スリット7,7の開口端の間隔寸法W
54を、極めて小さくできる(
図8参照)。
【0025】
次に、
図7は本発明の他の実施形態を示す。即ち、一対の区画内壁部12,12の各々に、包囲外壁部11の外部から、押圧力F
1 ・引張力F
2 を付与して、区画内壁部12,12を矢印M
12方向に微小揺動変形させ、区画内壁部12,12の先端の吐出用スリット6の間隙寸法εを、調整自在な押圧・引張力付与手段20を、具備する。
押圧・引張力付与手段20は、
図7に於ては、鉛直左面部11Cと(左側の)区画内壁部12とを連結するボルト・ナット結合、あるいは、鉛直右面部11Dと(右側の)区画内壁部12とを連結するボルト・ナット結合を、用いた場合を示す。
【0026】
図7に於て、紙面に直交方向に、複数のボルト・ナット結合を所定ピッチをもって、配設する。なお、
図7に示した押圧力F
1 及び引張力F
2 を、選択して作用させる構造に限らず、紙面に直交方向に所定ピッチをもって、押圧力付与専用のボルト・ナット結合等と、引張力付与専用のボルト・ナット結合等とを、交互に配設するも、好ましい。
このように、吐出用スリット6の間隙寸法εを、調整自在な押圧・引張力付与手段20を、具備しているので、特に長尺のクリーナヘッドにあっては、全長にわたって、均等にエアー吐出ができるように迅速かつ容易に調整作業を行い得る。しかも、クリーナヘッドを分解することなく、外部から迅速、かつ、運転中にあっても高精度な調整作業を行い得る。
【0027】
本発明は、
図8に示すように、吐出流れF
6 が被除塵面10に衝突する領域に極めて近い位置に、吸引流れF
7 が生じ、その気流が極めて安定する。
特に、吸引用スリット7,7の間隔寸法W
54を十分に小さくすることが可能であるので、吐出流れF
6 が被除塵面10に衝突する衝突領域に一層近づき、従って、
図9に示したように、シート体(フィルム)等の被除塵体9に対し、(
図1に示したような)バックアップロール14を使用せずに、送りロール21,22の中途部位にて、一対のクリーナヘッド30,30をもって除塵することができる。つまり、バックアップロール14を使用せずに、
図9に示すように空中搬送が可能となる利点もある。
【0028】
図1に示すように、被除塵体9が、小径のバックアップロール14にて矢印F
9 の方向に送られるシート体(フィルム)である場合であっても、吸引用スリット7の下方開口部の位置では、包囲外壁部11の一辺11Aの下面とのギャップ(間隙)は十分に小さい。
即ち、被除塵面10(II)と被除塵面10(III) を比較すると、吸引用スリット7の下方開口部の位置では、包囲外壁部11の一辺11Aの下面とのギャップ(間隙)に、ほとんど差を生じず、吸引用スリット7を介しての吸引力に差異がないことが判る。
【0029】
従って、被除塵面10が、
図1の(I)(II)(III) のいずれであっても、本発明のクリーナヘッド30が対応できる(共用可能)。これに対し、従来例を示す
図11に於ては、対応面56を、低台形凹状や円弧凹状とせねばならなかったのは、吸引用スリット54,54が被除塵体51から、大きく分離することを防止する必要があったためである。
要するに、本発明のクリーナヘッド30では、従来の低台形凹状対応面56(
図11(B)参照)や、円弧凹状対応面56(
図11(C)参照)とする必要がなくなり、
図1に示した如く、同一形状のままで共用できる(十分に除塵作用を発揮できる)。
【0030】
本発明にあっては、
図2に例示したような断面形状が矩形(長方形)の押出型材1を上下反転して、平坦面状載置台に固定した状態で、上方からエンドミルや回転切削刃にて、極めて容易に高精度に、吐出用スリット6と同時に、又は、前後して迅速に、吸引用スリット7,7を、機械加工可能である。
特に、
図13と
図14に示した従来例に於ては、上下反転するのみならず、微妙な角度の傾斜姿勢に押出型材36を、「固定治具」によって、2度に渡って、保持(固定)せねばならず、機械加工の作業能率が悪く、かつ、熟練を要すると言う問題があったが、本発明では、極めて高精度に、かつ、能率良く機械加工を行い得る。
【0031】
本発明は、以上詳述したように、
全体が一本の押出型材1から作製されたクリーナヘッドであって;上記押出型材1は、包囲外壁部11と、該包囲外壁部11の内部空間を、順次、バキューム空間V
0 とプレッシャ空間P
0 とバキューム空間V
0 に区画形成するための一対の区画内壁部12,12を、一体に有すると共に、上記包囲外壁部11は、横断面形状において、被除塵面10に対向するための一辺11Aを有し、さらに、各区画内壁部12のバキューム空間側内面12vと上記一辺11Aのバキューム空間側内面11Avによって、鋭い先端3Eを有する横断面V字形状のエアー吸引領域部3が、形成され;一対の上記区画内壁部12,12と、上記一辺11Aとが連結された合流位置Gに於て、上記一辺11Aと直交方向に、上記プレッシャ空間P
0 の高圧エアーを噴出する吐出用スリット6を開設し、さらに、上記バキューム空間V
0 へ除塵後のエアーを吸入する吸引用スリット7,7を、上記一辺11Aと直交方向に開設し、しかも、横断面V字形状の上記エアー吸引領域部3の上記鋭い先端3Eに連通するように、上記吸引用スリット7を開設した構成であるので、吸引用スリット7,7の機械加工時に、押出型材1を傾斜姿勢に保持するための治具が不要となって、熟練を要さず、能率良く、加工作業が可能となり、高精度な位置に吸引用スリット7,7を切削加工できる。特に2本の吸引用スリット7,7の間隔寸法W
54(
図8参照)が極めて小さく設定可能となって、被除塵面10が、
図1の10(III) のような平面状であっても、
図1の10(I),10(II)のような(大径・小径の)円弧面状であっても、本発明のクリーナヘッドを(1台で)共用できる。
【0032】
さらに、本発明は、横断面に於て、各吸引用スリット7の相互平行状のスリット内側面7A
,7Bの内で、上記吐出用スリット6に近い中央寄りの内側面7Aが、上記エアー吸引領域部3の上記鋭い先端3Eに、一致するように、上記吸引用スリット7が上記一辺11Aに開設されているので、
図4及び
図5と
図6に示した如く、吸引用スリット7の内側面7Aから、区画内壁部12のバキューム空間側内面12vが美しく連続され、吸引空気抵抗が小さくスムーズに吸引される(
図8の吸引流れF
7 参照)。言い換えれば、吸引用スリット7の上記内側面7Aとバキューム空間側内面12vとの交叉部位が、小段差や小凹窪部等の空気抵抗を増大させる不規則な形状とならず、美しく連続状とできる。
【0033】
しかも、本発明は、上記鋭い先端3Eの横断面における曲率半径Rを、0mm~1.0 mmに設定したので、
図4~
図6に示すように、隣り合う吸引用スリット7,7の内側面7A相互間の間隔が極めて小さくすることが可能となり、その結果、間隔寸法W
54も極めて小さくできる。このことは、
図13の比較例にあっては、曲率半径Rが大きく、従って、一辺41Aに垂直に2本の吸引用スリットを開設した場合には、2本の吸引用スリット相互間の間隔寸法を小さくできないことが明白であって、本発明のように、曲率半径Rを0mm~1.0 mmの鋭い先端3Eとしたことが重要である。
【符号の説明】
【0034】
1 押出型材
3 エアー吸引領域部
3E 鋭い先端
6 吐出用スリット
7 吸引用スリット
7A 内側面
7B 内側面
10 被除塵面
11 包囲外壁部
11A 一辺
11Av バキューム空間側内面
12 区画内壁部
12v バキューム空間側内面
G 合流位置
P0 プレッシャ空間
R 曲率半径
V0 バキューム空間