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特許7541757飲食物提供施設、及び飲食物提供システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】飲食物提供施設、及び飲食物提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20240822BHJP
【FI】
G06Q50/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022076790
(22)【出願日】2022-05-06
(65)【公開番号】P2023165570
(43)【公開日】2023-11-16
【審査請求日】2022-06-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518316457
【氏名又は名称】ブルームプラス合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】花等 尋将
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】梶尾 誠哉
【審判官】松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-77235(JP,A)
【文献】特開2021-15324(JP,A)
【文献】特開2002-269204(JP,A)
【文献】特開2010-176384(JP,A)
【文献】飲食専門店を応援!“おうちでフードコート気分”2/11から、複数専門店の商品を一括で注文・お支払い・受け取れる持ち帰り専用「モバイルオーダー」実証実験開始,[online],2021年02月10日,[2023年8月31日検索],インターネット <URL:https://www.aeonretail.jp/pdf/210210R_1.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫食スペースを設けることなく、1つの建物や1つのフロアーなどの特定の領域内に複数の飲食物の調理エリアと1又は2以上の共用提供エリアを備える、テイクアウトやデリバリーの役務の提供に適した飲食物提供施設であって、
前記飲食物の調理エリアは、区画された複数の個別調理エリアで構成されており、
前記共用提供エリアは、各個別調理エリアの利用者において共用する1又は2以上の共用提供エリアで構成されており、
前記個別調理エリアには、調理器具と、注文者からのオーダー情報を取得する為の受注端末とが設けられ、
前記共用提供エリアの少なくとも何れかには、何れかの個別調理エリアで調理した飲食物を収容する受渡ボックスと、飲食物の購入を希望する注文者が操作可能な注文端末と、受け付けた注文についての調理の完成を表示する表示装置とが設けられおり、
当該表示装置は、注文を受け付けた受付番号と、出来上がった商品の受付番号を表示する引渡番号と、引き渡す商品を収容した受渡ボックスの番号を表示するように構成しており、
前記それぞれの個別調理エリアに設けられた受注端末には、当該個別調理エリアで提供する飲食物に対応させて振り分けたオーダー情報を個別に出力する、飲食物提供施設。
【請求項2】
前記受渡ボックスを複数組み合わせてなる受渡ロッカーを備えており、
当該受渡ロッカーには、当該受渡ボックスの扉の開閉を管理するセキュリティー装置と、
個々の受渡ボックスを特定する記号表示部と、開錠された受渡ボックスを特定する開錠表示部とが設けられており、
注文者前記セキュリティー装置を操作して注文番号と暗号情報を入力することにより、注文した飲食物が収容されている受渡ボックスの扉に設けた開錠表示部を点灯させる、請求項1に記載の飲食物提供施設。
【請求項3】
更に、前記受渡ボックスのセキュリティー装置を制御する飲食物受渡システムを備え、
当該飲食物受渡システムは、何れかの個別調理エリアに設けた端末が受信したオーダー情報に紐づけられた暗号情報に基づいて、前記セキュリティー装置による受渡ボックスの扉の開閉を管理する、請求項2に記載の飲食物提供施設。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の飲食物提供施設に設けられる飲食物受渡システムであって、
区画された複数の個別調理エリアの夫々に設けられる受注端末と、
飲食物の購入を希望する注文者が操作可能な注文端末と、
受注端末が受信したオーダー情報に関連付けて提供エリアにおける受渡場所を指定する受渡場所指定部を備え、
受渡場所指定部が指定した受渡場所に関する受渡場所情報を、前記受注端末に出力する受渡場所出力部を備え、
前記受注端末の操作又は受渡ボックスに設けられたセンサーによる検知を契機として、調理済みの飲食物が前記受渡ボックスに収容されたことを取得し、この情報を前記注文端末に送信する、飲食物受渡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲食物を提供するための施設と、飲食物を提供する為のシステムに関し、特に飲食物のテイクアウトやデリバリーにおいて有利な飲食物提供施設及び飲食物提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルス感染症拡大を背景に、緊急事態宣言の発出、蔓延防止措置、外出自粛要請や飲食店などの営業時間短縮などにより、外食産業は大きな影響を受けた。一方で、テイクアウトやデリバリーは、感染動向や三密(密閉、密集、密接) に左右されにくいことから、感染症の拡大状況下において着目されている。また、感染症の拡大が収まった後であっても、人混みを避け、パーソナルスペースを確保し、更にプライバシーを確保する上でもテイクアウトやデリバリーの需要は高まると考えられる。
【0003】
このような状況下、従前においてはテイクアウトに適した飲食物受取システムも提案されている。例えば特許文献1(特開2021-177307号公報)では、施錠可能なボックスを用いて飲食物を受け取る飲食物受取システムを提案している。この文献では、オンラインで注文した飲食物を店舗において並ぶことなく、かつ、人手を介さずに受け取ることができ、飲食店にとっては、テイクアウトのための接客を省略でき、労力を軽減できる飲食店物受取システムを提案しており、飲食物オーダーシステムから店舗コードと注文番号を受け付ける注文受付部と、利用者端末から受け付けた暗号情報を設定する暗号情報設定部と、店舗コードと注文番号と暗号情報とを対応付けた注文管理と、店舗端末から注文番号とボックス番号とを受け付けて、ボックス群における該当するボックス番号のボックスを施錠する施錠部と、二次元コードを読み取った利用者端末から受け付けた暗号情報が設定した暗号情報が一致した場合に該当するボックス番号のボックスを開錠する開錠部とを備えるボックス管理サーバを用いて構成している。
【0004】
また特許文献2(特開2016-141992号公報)では、複数の店舗内飲食店を備える店舗施設の構造も提案されている。即ちこの文献2では、複数の店舗を有する店舗施設の構造であって、前記店舗は飲食店であり、前記店舗に提供する料理を調理する調理スペースと、前記店舗と前記調理スペースとを繋ぐ料理搬送用の通路とを備える店舗施設の構造を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-177307号公報
【文献】特開2016-141992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の通り特許文献1ではテイクアウトに適した飲食物受取システムを提案しているが、当該システムは各店舗ごとのシステムであり、複数の店舗において共用することは想定されていない。何よりも飲食物のテイクアウトやデリバリーにおいて有利な飲食物提供施設については、一切検討されていない。
【0007】
また特許文献2では、複数の店舗内飲食店を備える店舗施設の構造を提案しているが、当該施設における調理スペースは1つのみ備えることを前提としており、1つの施設内に複数の調理エリアを設けることは想定されていない。
【0008】
そこで本発明は、施設内での飲食よりも、むしろテイクアウトやデリバリーに適した飲食物提供施設、及び飲食物提供システムを提供することを課題の1つとする。
【0009】
また本発明では、テイクアウトやデリバリーに特化して、喫食スペースを設けることなく、複数の調理エリアを備えた飲食物提供施設、及び飲食物提供システムにおいて、調理した飲食物を安全かつ確実に受け渡すことができる飲食物提供施設、及び飲食物提供システムを提供することも課題の1つとする。
【0010】
更に本発明では、テイクアウトやデリバリーに特化し、複数の調理エリアを備えた飲食物提供施設において、効率的に飲食物のオーダーを取得し、且つ調理した飲食物の受け渡しを行う事のできる飲食物提供施設、及び飲食物提供システムを提供することも課題の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題の少なくとも何れかの課題を解決するために、本発明では1つの建物や1つのフロアーなどの特定の領域内に、複数の調理エリアを区画して設け、テイクアウトやデリバリーの役務の提供に適した飲食物提供施設、及び飲食物提供システムを提供する。
【0012】
即ち本発明では、飲食物の調理エリアと提供エリアを備える飲食物提供施設であって、前記飲食物の調理エリアは、区画された複数の個別調理エリアで構成されており、前記提供エリアは、各個別調理エリアの利用において共用する1又は2以上の共用提供エリアで構成されている、飲食物提供施設を提供する。
【0013】
上記本発明に係る飲食物提供施設において、前記共用提供エリアの少なくとも何れかには、何れかの個別調理エリアで調理した飲食物を収容する受渡ボックスが設けられており、当該受渡ボックスには、当該受渡ボックスの扉の開閉を管理するセキュリティー装置を設けることができる。
【0014】
更に本発明に係る飲食物提供施設は、前記受渡ボックスのセキュリティー装置を制御する飲食物受渡システムを備えることもできる。かかる飲食物受渡システムは、何れかの個別調理エリアに設けた端末が受信したオーダー情報に紐づけられた暗号情報に基づいて、前記セキュリティー装置による受渡ボックスの扉の開閉を管理するように構成することができる。
【0015】
そして本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決するために、前記した様な飲食物提供施設、即ちテイクアウトやデリバリーに適した飲食物提供施設に設けられる飲食物受渡システムを提供する。かかる飲食物受渡システムは、区画された複数の個別調理エリアに設けられる受注端末と、受注端末が受信したオーダー情報に関連付けて提供エリアにおける受渡場所を指定する受渡場所指定部を備え、受渡場所指定部が指定した受渡場所に関する受渡場所情報を、前記受注端末に出力する受渡場所出力部を備える、飲食物受渡システムとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の飲食物提供施設は、飲食物の調理エリアと提供エリアを備え、飲食物の調理エリアは、区画された複数の個別調理エリアで構成されており、提供エリアは、各個別調理エリアの利用においてが共用する1又は2以上の共用提供エリアで構成されている。その結果、施設内での飲食よりも、むしろテイクアウトやデリバリーに適した飲食物提供施設とすることができる。
【0017】
また本発明の飲食物提供施設において、共用提供エリアの少なくとも何れかには、何れかの個別調理エリアで調理した飲食物を収容する受渡ボックスを設け、当該受渡ボックスには、当該受渡ボックスの扉の開閉を管理するセキュリティー装置を設けた場合には、調理した飲食物を安全かつ確実に受け渡すことができる飲食物提供施設、及び飲食物提供システムとすることができる。
【0018】
更に受渡ボックスのセキュリティー装置の開閉などを制御する飲食物受渡システムが、何れかの個別調理エリアに設けた端末が受信したオーダー情報に紐づけられた暗号情報に基づいて、前記セキュリティー装置による受渡ボックスの扉の開閉を管理するように構成した場合には、ユーザーにおけるオーダー情報と受渡ボックスを開閉させる暗号情報とが紐づけられることから、個別調理エリアにおける役務の提供者とオーダー情報を発した注文者との間における飲食物の受渡を、簡易なシステム構成によって実現することができる。
【0019】
そして本発明に係る飲食物受渡システムは、区画された複数の個別調理エリアの夫々に設けられる受注端末と、受注端末が受信したオーダー情報に関連付けて提供エリアにおける受渡場所を指定する受渡場所指定部を備え、受渡場所指定部が指定した受渡場所に関する受渡場所情報を、前記受注端末に出力する受渡場所出力部を備える。よって区画された個別調理エリアの夫々に設けられる受注端末は、オーダー情報を取得すると共に、調理済みの飲食物を受け渡す為の受渡場所を取得することができ、個別調理エリアにおける役務の提供者は、調理済みの飲食物の受渡場所を、オーダー情報を発した注文者と共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施の形態に係る飲食物提供施設の全体を示す平面図
図2】個別調理エリアを示す平面図
図3】共用提供エリアを示す平面図
図4】受渡ロッカーを示す(A)正面図、(B)要部拡大図
図5】飲食物注文処理の概要図
図6】本実施の形態に係る飲食物提供システムのシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかる飲食物提供施設10、及び飲食物提供システムを具体的に説明する。特に本実施の形態は、テイクアウトやデリバリーにおいて有利な飲食物提供施設10及び飲食物提供システムとしているが、更にドライブスルーに有利な飲食物提供施設10及び飲食物提供システムとすることもできる。
【0022】
図1は本実施の形態に係る飲食物提供施設10の全体を示す平面図である。この図1に示す様に、本実施の形態に係る飲食物提供施設10は、同じフロアーに区画された複数の個別調理エリア11と、各個別調理エリア11で調理された飲食物を受け渡すための共用提供エリア12とを備えており、更に調理した飲食物をデリバリーの配達員に提供する為のデリバリー提供エリア13とを備えている。また当該飲食物提供施設10内には、それぞれの個別調理エリア11で発生したゴミを収集するゴミ置き場14を設けている。かかるゴミ置き場14を設ける事により、食品残渣を集約することができ、これを食品残渣発酵分解施設等に提供することで、生ごみの廃棄コストを削減すると共に、食品ロスの削減や生ごみの有効活用を図ることができる。
【0023】
図2は個別調理エリア11を示す平面図であり、本実施の形態では区画された各個別調理エリア11内に、調理器具が設けられている。本実施の形態では、当該個別調理エリア11内には、大型冷蔵庫11a、ガステーブル11b、オーブン11c、シンク11d、テーブル型冷蔵庫11eなどを設置しているが、当該調理の為の器具などは、飲食物提供施設10の目的や販売する商品(飲食物)などに応じて適宜変更する事ができる。そして当該個別調理エリア11には、注文者からのオーダー情報を取得する為の受注端末11fを設けている。かかる受注端末11fはそれぞれの個別調理エリア11に設けられており、当該個別調理エリア11を利用する利用者に対するオーダー情報を個別に出力することができる。
【0024】
図3は共用提供エリア12を示す平面図である。この図3において、共用提供エリア12は、前記複数の個別料理エリアの夫々を利用する役務の提供者(即ち、利用者)が共用するエリアとして設けられており、本実施の形態では当該飲食物提供施設10に1つ設けられている。但し、この共用提供エリア12は、各個別料理エリアの利用者が共用するエリアとして設けられている限りにおいて、2つ以上設けることもできる。
【0025】
特に本実施の形態において、当該共用提供エリア12には、飲食物の購入を希望する注文者が操作可能な注文端末20と、受け付けた注文についての調理の完成(即ち受渡ボックス31への収納)を表示するディスプレイなどの表示装置40を設けている。特に本実施の形態において、当該表示装置40は注文を受け付けた受付番号と、出来上がった商品(飲食物)の注文番号を表示する引渡番号と、引き渡す商品(飲食物)を収容した受渡ボックス31の番号を表示するように構成している。また注文端末20は少なくとも画面や操作部を備えており、本実施形態ではタッチパネルなどの操作画面を備えて構成することができる。この注文端末20を操作して飲食物のオーダーを完了すると、当該オーダー情報は選択された飲食物を提供する個別調理エリア11に設けられた受注端末11fに送信される。個別調理エリア11で調理を行う利用者は、当該受注端末11fに表示されたオーダー情報に基づいて飲食物を調理し、前記受渡ボックス31を介して、注文者に対して調理した飲食物(商品)を提供することができる。また当該注文端末20は、注文者が携帯端末等からオーダーした商品(飲食物)の決済を行うこともできる。この場合、携帯端末における注文時に発行された注文ID(オーダーNo.など)と決済金額とを紐づけておくことにより実施する事ができる。
【0026】
かかる注文端末20は、商品である飲食物の注文と、その代金の決済を行う他、注文した飲食物を受渡ボックス31から取り出す際に、当該受渡ボックス31の扉を開錠するための暗号情報を発行することができる。更に、当該注文端末20によって前記受渡ボックス31の扉の開閉を制御しても良い。即ち、オーダー時に発行された注文ID(オーダーNo.など)に紐づけられたパスワードなどの暗号情報を用いて、調理済みの飲食物が収容されている受渡ボックス31の扉を開錠するように構成しても良い。また、注文した商品に対する決済は、注文する飲食物の確定時であることが望ましいが、注文した飲食物の受取時(即ち受渡ボックス31の扉の開錠時)であっても良い。なお、受渡ボックス31の開閉を管理するセキュリティー装置32は、前記の通り注文端末20によって行う他、後述する通り複数の受渡ボックス31で構成される受渡ロッカー30に設けることもできる。
【0027】
またデリバリー提供エリア13も、本実施の形態の飲食物提供施設10では1つ設けられている。かかるデリバリー提供エリア13は、前記共用提供エリア12と兼用することによって省略することもできるが、調理した飲食物の受取に際してデリバリーの配達員が介在することから、その特質性を考慮して前記共用提供エリア12とは別に設けることが望ましい。
【0028】
そして前記共用提供エリア12とデリバリー提供エリア13には、何れかの個別調理エリア11で調理した飲食物を収容する受渡ボックス31を夫々設けている。図4は複数の受渡ボックス31からなる受渡ロッカー30を示す(A)正面図、(B)要部拡大図である。当該受渡ロッカー30は、一般的なロッカーと同様に複数の受渡ボックス31を組み合わせて構成することができる。かかる受渡ロッカー30は、区画された複数の受渡ボックス31と、当該受渡ボックス31における扉の開閉を管理するセキュリティー装置32を伴って構成することができる。
【0029】
各受渡ボックス31には、個々の受渡ボックス31を特定する記号表示部31aと、開錠された受渡ボックス31を特定する開錠表示部31bとを備えており、当該開錠表示部はLEDなどの照明によって形成することができる。また前記セキュリティー装置32は、ディスプレイなどの画像表示部32aと、キー入力部32bとを備えており、更に受渡ボックス31の扉の開閉を管理する制御部を伴って形成することができる。かかるセキュリティー装置32は、飲食物をオーダーした注文者と当該飲食物を調理した提供者だけが開閉できるように、当該受渡ボックス31の扉の開閉を管理するように構成することが望ましく、これにより受渡の誤りを極力回避することができる。
【0030】
セキュリティー装置32は、具体的にはカギとして形成することができ、特に暗証番号やRFID(radio frequency identifier)などの電子キーを使用して開閉できるように形成することが望ましい。また当該受渡ボックス31は複数の受渡口を備えて構成することができる。
【0031】
以上のように構成した飲食物提供施設10では、注文者が操作する携帯端末や前記注文端末20の操作によって、注文者のオーダー情報を取得する。具体的には、注文者はスマートフォンなどの携帯端末やパーソナルコンピュータなどの端末から、情報通信ネットワークを通じて飲食物を注文し、当該注文に関するオーダー情報を飲食物提供システムに送信することができる。また注文者は飲食物提供施設10に設けられた注文端末20を操作して飲食物を注文し、そのオーダー情報を各個別調理エリア11に設置した受注端末11fに送信することができる。特に携帯端末などの端末を利用した注文は、当該飲食物提供施設外において事前に行うことができる。
【0032】
前記オーダー情報は、飲食物提供施設10における各個別調理エリア11に設けられた受注端末11fに出力される。この時、オーダー情報の内容によって、これを出力する受注端末11fを異ならせることができる。即ち、個別調理エリア11で提供する飲食物に対応させて、オーダー情報を振り分けることができる。例えば、飲食物の調理エリアが、ハンバーガーを提供する個別調理エリア11が2店舗、寿司を提供する個別調理エリア11が2店舗、及び弁当を提供する個別調理エリア11が3店舗で構成されている場合に、オーダー情報に含まれている飲食物の内容によって、各店舗には、それぞれの店舗が提供する飲食物に関するオーダー情報を受注端末11fに出力することができる。
【0033】
即ち、図5の飲食物注文処理の概要図に示す様に、携帯情報端末や注文端末に表示されているメニュー(商品)画面50から、注文する商品を特定し、これを決定する。図中には示していないが、当該飲食物(商品)の選択及び決定に際して、その代金の決済をオンライン(電子決済等)などで行うことができる。これにより注文者が選択した飲食物(商品)には、注文番号(オーダーNo.)が付与されると共に、注文した飲食物(商品)が特定される。本実施の形態では当該注文番号として注文を特定した日時を数値化して利用している。また、図には示していないが、表示されている各飲食物(商品)を複数個注文できるように構成することもできる。
【0034】
そして特定されたオーダー情報には、注文番号(オーダーNo.)と、注文した飲食物(商品)と、その個数が含まれる。そして各飲食物(商品)には、当該飲食物(商品)を提供している個別調理エリア11を特定する情報と関連付けられており、本実施の形態では各商品名に個別調理エリア11を特定するコード(本実施の形態では「A~F」)と、個別調理エリア11におけるメニュー番号(本実施の形態では「1又は2」)を使用している。そして飲食物受渡システムでは、注文され飲食物(商品)について、それぞれの個別調理エリア11毎に注文を特定し、個別調理エリア11毎に飲食物(商品)注文情報(即ちオーダー情報)を送信する。
【0035】
においては、A店に対して弁当1を1個、B店に対して弁当1を2個、C店に対してハンバーガー(図中「HBG」)2を2個、F店に対して寿司1を1個のオーダー情報を夫々出力する。この時、各個別調理エリア11に設けた受注端末11fには、注文番号(オーダーNo.)毎、又は注文された各飲食物(商品)毎に、これを収容する受渡ボックス31の番号と、その扉を開錠する為のパスワードなどの暗号情報を出力するように構成しても良い。この場合、オーダー情報は、注文ID(オーダーNo.など)、注文した商品(飲食物)とその個数、及び受渡ボックス31の番号(受渡場所)情報を含むことができ、更に受渡時間を含んでも良い。この内、受渡ボックス31の番号(受渡場所)情報は、注文者がオーダーを確定した時に飲食物提供システムにおいて空いている受渡ボックス31の番号(受渡場所)を特定し、これを注文者側が操作する端末と各調理エリアに設置された受注端末11fに送信するように構成できる。そして当該オーダー情報が受渡ボックス31の番号(受渡場所)情報を含んでいない場合には、飲食物提供システムは、オーダー情報に基づいて調理した飲食物を収容した受渡ボックス31の番号(受渡場所)情報、又は個別調理エリア11に設置された受注端末11fで指定した受渡ボックス31の番号(受渡場所)を、注文者側が操作する端末に送信することができる。
【0036】
以上の様にして各個別調理エリア11に設けた受注端末11fの出力内容に基づいて飲食物(商品)を調理した後においては、これを特定の受渡ボックス31に収容する。この時、調理の完成の時に前記受注端末11fの操作により、注文者が操作する端末に調理の完了を送信する他、前記共用提供エリア12に設けたディスプレイ等に表示することができる。また収容する受渡ボックス31は前記注文情報(即ちオーダー情報)と共に飲食物提供システムから指定された場所とすることが望ましい。よって当該飲食物提供システムは、現在空いている受渡ボックス31を把握しておくことが望ましい。
【0037】
以上の処理により注文者は、自己が注文した飲食物(商品)の出来上がりを知ることができ、前記受渡ボックス31からの取り出しを行う。当該受渡ボックス31からの取り出しに際しては、前記オーダー時に発行された注文ID(オーダーNo.など)と、これに紐づけられた暗号情報を前記セキュリティー装置32から入力することにより、当該飲食物(商品)が収容されている受渡ボックス31の扉を開錠することができる。特に前記図では、飲食物(商品)毎に受渡ボックス31を異ならせた実施形態を示しており、図に示したように4店の個別調理エリア11で調理した商品を、それぞれ異なる合計4個の受渡ボックス31に収容した状態を示している。注文者がセキュリティー装置32を操作して注文ID(オーダーNo.など)と暗号情報を入力することにより、注文した飲食物(商品)が収容されている受渡ボックス31の扉に設けた開錠表示部を点灯させて、受け取り忘れを無くしている。
【0038】
図6は本実施の形態に係る飲食物提供システムのシーケンス図である。この図に示す様に、飲食物提供システムを用いて、テイクアウトやデリバリーによって飲食物(商品)を注文しようとする注文者は、当該飲食物提供システムがインターネット上などで提供している商品情報にアクセスすると(S1)、当該飲食物提供システムは商品情報を提供する(S2)。かかる商品情報は、当該飲食物提供施設10で提供する飲食物(商品)情報である。注文者は自ら操作する携帯情報端末等で商品を表示させ(S3)、注文する商品を選択且つ特定して、オーダー情報を飲食物提供システムに送信する(S4)。飲食物提供システムは当該オーダー情報を取得すると(S5)、当該オーダー情報と、受取場所情報と暗号情報を関連付けて作成・保持する(S6)。この受取場所情報はテイクアウトであれば、前記受渡ボックス31を特定する情報であり、デリバリーを利用する場合は届け先を特定する情報とすることができる。従って、飲食物提供システムは受渡ボックス31の使用情報を取得または管理する。また暗号情報はパスワードなどの電子キー情報であり、前記受渡ボックス31の扉を開錠する為に使用することができる。なお、当該携帯情報端末からのオーダー情報には注文者が指定する受渡時間情報を含むことができる。
【0039】
そしてオーダー情報と受渡場所情報および暗号情報を紐づけた後においては、これらの情報を注文者が操作するスマートフォンなどの注文端末20と、各個別調理エリア11に設けられた受注端末11fに送信する(S7)。注文者は、これによってオーダー情報や受取場所(受渡ボックス31の番号)や扉を開錠する為のパスワードを知ることができる(S8)。また個別調理エリア11を利用している提供者は、このオーダー情報を取得することにより(S9)、受注の内容を知ることができ、これに基づいて飲食物を調理し(S10)、取得した受取場所情報に基づいて、特定された受渡ボックス31に調理済みの飲食物(商品)を収容する(S11)。調理済みの飲食物(商品)が受渡ボックス31に収容された事を、受注端末11fの操作や受渡ボックス31に設けられたセンサーによって検知されることを契機として、飲食物提供システムは調理済みの飲食物(商品)が受渡ボックス31に収容されたことを取得し(S12)、この情報を前記注文者が操作するスマートフォンなどの注文端末20に送信する(S13)。注文者は当該調理済みの飲食物の収容情報を取得することにより(S14)、注文した飲食物の引き受けを認知し、前記暗号情報によって指定された受渡ボックス31の扉を開錠し、注文した飲食物を受け取ることができる(S15)。
【0040】
当該飲食物提供システムのシーケンスにおいて、飲食物(商品)の注文が、前記飲食物提供施設10に設置された注文端末20の操作によって行われている場合には、調理済みの飲食物(商品)が受渡ボックス31に収容された事を特定する情報は、当該飲食物提供施設10の共用提供エリア12に設けたディスプレイに表示して注文者に周知させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明にかかる飲食物提供施設とこれに使用する飲食物提供システムは、飲食物のテイクアウトやデリバリーを提供する為の施設や、飲食物のテイクアウトやデリバリーを円滑に行う為のシステムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 飲食物提供施設
11 個別調理エリア
11a 大型冷蔵庫
11b ガステーブル
11c オーブン
11d シンク
11e テーブル型冷蔵庫
11f 受注端末
12 共用提供エリア
13 デリバリー提供エリア
20 注文端末
30 受渡ロッカー
31 受渡ボックス
31a 記号表示部
31b 開錠表示部
32 セキュリティー装置
32a 画像表示部
32b キー入力部
40 表示装置
50 メニュー(商品)画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6