(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】抗菌用皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/047 20060101AFI20240822BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240822BHJP
A61K 31/401 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240822BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240822BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240822BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240822BHJP
A01N 37/44 20060101ALN20240822BHJP
A01N 43/36 20060101ALN20240822BHJP
A01P 3/00 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
A61K31/047
A61K8/34
A61K31/401
A61K8/44
A61P31/10
A61P43/00 121
A61Q19/00
A01N37/44
A01N43/36 B
A01P3/00
(21)【出願番号】P 2022091971
(22)【出願日】2022-06-07
(62)【分割の表示】P 2017242281の分割
【原出願日】2017-12-19
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2017004759
(32)【優先日】2017-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000166959
【氏名又は名称】御木本製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】谷口 康将
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-036121(JP,A)
【文献】特開2011-037786(JP,A)
【文献】米国特許第06656919(US,B1)
【文献】特表平09-503752(JP,A)
【文献】特開2004-002229(JP,A)
【文献】特表2013-519720(JP,A)
【文献】特開2002-330740(JP,A)
【文献】特開2010-100597(JP,A)
【文献】特開2016-182086(JP,A)
【文献】Applied and Environmental Microbiology,2014年,Vol.80, No.19,p.6046-6053
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,3プロパンジオールを含む多価アルコールと、
L-ヒドロキシプロリンを配合した、カビ
Aspergillus brasiliensis(NBRC9455)に対する抗菌用皮膚外用剤
(ただし、1,3プロパンジオールと1,2ペンタンジオールとを含む皮膚外用剤を除く)。
【請求項2】
パラオキシ安息香酸エステル、パラオキシ安息香酸メチルナトリウム、安息香酸、フェノキシエタノール、グルコン酸クロロヘキシジン、塩化リゾチーム、ソルビン酸塩、ジヒドロ酢酸塩、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、感光素、塩化セチルピリジニウム、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、2,2,4-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル、トリクロカルバン、トリクロサン、塩化ベンザルコニウムのいずれも実質的に配合しない請求項1に記載の抗菌用皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚一次刺激がなく、皮膚外用剤に必要な優れた官能を有する皮膚に適用する抗菌性組成物並びに該抗菌性組成物を配合した皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚外用剤にはグリセリン、ジグリセリン、1,3ブタンジオール、プロピレングリコール等の多価アルコールは保湿目的で広く用いられている。
また、多価アルコールの中には、抗菌性(静菌性)を有するものがあり、防腐剤を減量する目的も合わせて使用される場合もある。
また、その中で、1,2ペンタンジオールと1,3ブチレングルコールの組合せ(特許文献1参照)等や1,2へキサンジオールと1,2オクタンジオールの組合せ(非特許文献1参照)など多価アルコールの組合せによる皮膚刺激の緩和や抗菌性の相乗効果が知られている。
また、1,3プロパンジオールは、保湿性が高く、特に皮膚外用剤としてグリセリンと併用すると、角質水分量の相乗的増加や優れた官能が得られることが知られている。(非特許文献2参照)
また、1,2ペンタンジオールと1,3プロパンジオールの組合せによる相乗効果は知られている。(特許文献2参照)
アミノ酸の抗菌性に関してはグリシンが知られており、さらにはグリシンはリゾチーム、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸ナトリウム等と組み合わせることによって相乗的に抗菌性が増すこと知られている。(非特許文献3~5)
しかしながら抗菌性を発揮するのは、単独使用の場合は1%以上であり、併用の場合も約0.5%以上と高濃度の配合であり、且つ、多価アルコールとの併用はまったく知られていない。さらにはグリシン以外のアミノ酸に関しては抗菌性に関しての報告はない。
なお、ヒドロキシプロリンのN-アシル体またはその塩は皮膚消毒液として利用されている。(特許文献3参照)
このなかでヒドロキシプロリンそのものは大腸菌の生育が認められており、抗菌性はない。
【文献】特開平11-335258号公報
【文献】特開2012-36121号公報
【文献】国際公開第2008/126782号
【文献】Gerhard Schmaus et al.,FRAGRANCE JOURNAL Vol.34,No.4, P47-52 (2006)
【文献】馬奈木裕美、賀来群雄,FRAGRANCE JOURNAL Vol.37,No.5, P61-64 (2009)
【文献】日高義雄、吉武繁広,2-7リゾチームによる食品の保護、天然物による食品の保蔵技術 pp233-248(1985)お茶の水企画
【文献】李在根et al.,食衛誌26 279-284(1985)
【文献】宮尾茂雄、鈴木晋,食衛誌15 491-495(1974)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、皮膚一次刺激のあるパラオキシ安息香酸エステル類を使用せず、必要な抗菌性を最小限の多価アルコールで達成し、且つ優れた官能や保湿性能を有する抗菌性組成物並びに該抗菌性組成物を配合した皮膚外用剤を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、鋭意検討した結果、
1,3プロパンジオールを含む多価アルコールと、ヒドロキシプロリン、プロリン、セリン、アラニン、アルギン酸ナトリウムより選択される1種以上を配合した抗菌性組成物
が本課題を解決することがわかった。
ヒドロキシプロリン、プロリン、セリン、アラニン、アルギン酸ナトリウムは抗菌作用がないにも関わらず、1,3プロパンジオールを含む多価アルコールと組み合わせることによって、はじめて相乗的に抗菌作用を発することを本発明者らは見出した。
【0005】
1,3プロパンジオールは他の多価アルコールの種類や配合量によって大きく異なるが、皮膚外用剤の2重量%以上、好ましくは5重量%以上である。
1,3プロパンジオール以外の多価アルコールとしては、1,2ペンタンジオール、1,3ブチレングルコール、1,2へキサンジオール、1,2オクタンジオール等が挙げられ、これらの抗菌性(静菌性)のある多価アルコールの配合によって1,3プロパンジオールの配合量が大きく変化する。
勿論、保湿性等の用途で静菌性がないか或いは少ないグリセリン、ジグリセリン、DPG等の配合も任意に選択し、配合することができる。
以上の多価アルコールにヒドロキシプロリン、プロリン、セリン、アラニン、アルギン酸ナトリウムのいずれか1種以上を配合することによって、ヒドロキシプロリン、プロリン、セリン、アラニン、アルギン酸ナトリウムのいずれも抗菌性がないにも関わらず、上記の多価アルコールと組み合わせることによって、抗菌力が予想外に高まることがわかった。
【0006】
ヒドロキシプロリン(4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸)、プロリンはコラーゲンの主要な成分であり、コラーゲンの安定性を担っている物質であり、化粧品原料としても知られ、線維芽細胞におけるコラーゲン産生や表皮細胞の増殖の促進、保湿効果など、皮膚の老化防止に、高い効果を示す。また、pH、加熱、アルコール類に対しての安定性が高く、配合しやすい化粧品および部外品用原料である。
しかしながらまったく抗菌性はない。
このヒドロキシプロリンを様々な条件により大きく変動するが、皮膚外用剤に対して0.01~2.0重量%、好ましくは0.025~0.5重量%であり、0.01重量%以下では、相乗的な抗菌性は生じないし、2.0重量%以上ではコストアップに見合う相乗効果は見られない。
ヒドロキシプロリン程の強い相乗作用はないが、プロリン、セリンやアラニンも相乗作用がある。
静菌作用が報告されているグリシンに関して上記のような多価アルコールとの併用試験を行ったみたが、相乗作用はみられなかった。
【0007】
アルギン酸ナトリウムは、主に褐藻に含まれる多糖類の一種である。食物繊維のひとつであり、増粘剤として化粧品に利用されている。
これもヒドロキシプロリン等と同様に単独ではまったく抗菌性はない。
このアルギン酸ナトリウムを様々な条件により大きく変動するが、皮膚外用剤に対して0.003~1.0重量%、好ましくは0.01~0.5重量%であり、0.003重量%以下では、相乗的な抗菌性は生じないし、1.0重量%以上ではコストアップに見合う相乗効果は見られない。
以上のように防腐剤を配合しないで必要な防腐力を得るため、多価アルコールを主として用いる場合はかなりの量の多価アルコールを配合しなければならず、使用感等の物性等に制限を受けるが、ヒドロキシプロリンやアルギン酸ナトリウムを配合することによって多価アルコールの配合量の低減ができ、さらにヒドロキシプロリン、プロリン、セリン、アラニンやアルギン酸ナトリウムが持つ有効性も付加できる。
【0008】
上記の組合せによって防腐剤や抗菌剤の配合の必要性がなくなった。
皮膚外用剤等によく使用される防腐剤や抗菌剤を例示すれば、パラオキシ安息香酸エステル、パラオキシ安息香酸メチルナトリウム、安息香酸、フェノキシエタノール、グルコン酸クロロヘキシジン、塩化リゾチーム、ソルビン酸塩、ジヒドロ酢酸塩、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、感光素、塩化セチルピリジニウム、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、2,2,4-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル、トリクロカルバン、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。
これらの化学合成品の防腐剤や抗菌剤には、皮膚一次刺激性、感作性、光感作性を示すものが多く、皮膚外用剤による皮膚のトラブルの原因になる惧れがある。このため近年では使用する防腐剤の種類や量を減らす傾向が顕著であったが、本発明によりそれらを使用することなく、さらには抗菌性(静菌性)のある多価アルコールの配合も少量で必要な防腐力が得られ、より広い使用感を選択できるようになった。
【0009】
このほか必要な原料を組み合わせて皮膚外用剤を作成する。
配合原料を例示すれば、天然動植物油脂例えば、オリーブ油、ミンク油、ヒマシ油、パーム油、月見草油、ヤシ油、ヒマシ油、カカオ油、マカデミアナッツ油等;蝋例えば、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等;高級アルコール例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール等;高級脂肪酸例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸等;高級脂肪族炭化水素例えば、流動パラフィン、固形パラフィン、スクワラン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等;合成エステル油例えば、ブチルステアレート、ヘキシルラウレート、ジイソプロピルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテートイソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール;シリコーン誘導体例えば、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン油等が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤例えば、アルキル硫酸塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸塩や硫酸塩等;非イオン性界面活性剤例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル等;両面活性剤例えば、アルキルベタイン、ホスホベタイン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール及びこれらのリゾ体の他、ホスホファチジン酸とその塩等が挙げられる。
薬剤としてトコフェロール、酢酸トコフェロール、ビタミンC、アラントイン、エラスチン、アルブチン、コラーゲン、グリチルリチン酸ジカリウム等が挙げられる。
【0010】
上述した以外の多価アルコールも勿論配合可能であり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、それ以上のポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、それ以上のポリプロピレングリコール類、1,4-ブチレングリコール等のブチレングリコール類、グリセリン、ジグリセリン、それ以上のポリグリセリン類、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール等の糖アルコール類、グリセリン類のエチレンオキシド(以下、EOと略記)、プロピレンオキシド(以下、POと略記)付加物、糖アルコール類のEO、PO付加物、ガラクトース、グルコース、フルクトース等の単糖類とそのEO、PO付加物、マルトース、ラクトース等の多糖類とそのEO、PO付加物などの多価アルコールが挙げられる。
剤形は特に問わないので、ローション類、乳液類、クリーム類、軟膏類、パック類の任意の剤形を選択し、必要な操作を加えて製剤化する。
【実施例】
【0011】
以下に実施例を示すがこれに限定されることはなんらない。
なお、実施例、比較例の数字は重量部を表す。
表の実施例、比較例を作成し、以下の抗菌力試験をおこなった。
実施例、比較例の各処方の製剤を20gとり、108個/ml程度に調整した菌液0.2mlを加えて撹拌した。これを25℃で保存し、1週間置きに一部を取り菌数を測定した。対象とした菌種は、日本薬局方保存効力試験で推奨された5菌種の中で一番抵抗力の強い、カビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)を用いた。
なお、表1~20の実施例及び比較例は常法で作成した。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】表1の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図2】表2の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図3】表3の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図4】表4の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図5】表5の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図6】表6の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図7】表7の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図8】表8の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図9】表9の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図10】表10の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図11】表11の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図12】表12の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図13】表13の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図14】表14の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図15】表15の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図16】表16の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図17】表17の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図18】表18の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図19】表19の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【
図20】表20の実施例及び比較例のカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)の抗菌力試験の結果を示す。
【0033】
また、ヒドロキシプロリン、プロリン、セリン、アラニン、アルギン酸ナトリウムのMICを測定したので測定方法と結果を示す。
MIC(菌の最小発育阻止濃度)の測定試験方法
培地(細菌はミューラーヒントンS寒天培地(栄研化学社製)、真菌はポテトデキストロース寒天培地(日本製薬社製)を18mlと、原料を最終濃度の10倍量溶解した水溶液2mlをシャーレに流し入れ、寒天平板を作製した。 但し、高濃度で試験する場合は2倍濃度の培地を作成し、これを10mlと、原料を最終濃度の2倍量溶解した水溶液10mlをシャーレに流し入れ、寒天平板を作製した。これに108個/ml程度に調整した菌液10μlを寒天平板に接種した。これを、細菌は34℃48時間、真菌は25℃6日間培養後、コロニー形成が見られない最低濃度を最小発育阻止濃度とした。
使用した菌は以下のものを使用した。
Saは黄色ブドウ状球菌(NBRC13276)、Paは緑膿菌(NBRC13275)、Ecは大腸菌(NBRC3972)、Caは酵母Candida albicans(NBRC1594)、AnカビAspergillus brasiliensis(NBRC9455)を示す。
【0034】
いずれの菌種においても、MIC(菌の最小発育阻止濃度)はヒドロキシプロリン、プロリン、セリン、アラニンでは1重量%、アルギン酸ナトリウムでは0.5重量%まで発育阻止が見られなかった。
【0035】
このように抗菌性を示さないヒドロキシプロリン、プロリン、セリン、アラニン、アルギン酸ナトリウム等を抗菌性のある多価アルコールと併用すると、相乗的に抗菌性が高まることがわかった。
勿論、カビ以外の日本薬局方保存効力試験で推奨された4菌種でも相乗作用を有し、皮膚外用剤に必要な抗菌性を有することがわかった。