(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】FTrPSAによるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離と回収循環再利用方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/68 20060101AFI20240822BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20240822BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20240822BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20240822BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20240822BHJP
C01B 7/01 20060101ALI20240822BHJP
C01B 7/19 20060101ALI20240822BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B01D53/68 200
B01D53/68 120
B01D53/68 220
B01D53/68 100
B01D53/82 ZAB
B01D53/78
B01D53/14 210
B01D53/18 150
C01B7/01 K
C01B7/19 C
H01L21/302 101G
(21)【出願番号】P 2022512788
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 CN2021094254
(87)【国際公開番号】W WO2022127019
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】202011485842.2
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522040137
【氏名又は名称】浙江天采云集科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100224007
【氏名又は名称】長谷 潮
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】鐘 ▲ア▼玲
(72)【発明者】
【氏名】汪 蘭海
(72)【発明者】
【氏名】鐘 雨明
(72)【発明者】
【氏名】陳 運
(72)【発明者】
【氏名】唐 金財
(72)【発明者】
【氏名】蔡 躍明
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-043523(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0070090(US,A1)
【文献】特開平09-267016(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108658042(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108744882(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109092010(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0318750(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105854516(CN,A)
【文献】中国実用新案第211799895(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/68
B01D 53/82
B01D 53/78
B01D 53/14
B01D 53/18
C01B 7/01
C01B 7/19
H01L 21/3065
H01L 21/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)原料ガスの温度が常温であり、圧力が0.2~0.3MPaであるように制御し、除塵機と、粒子除去フィルタと、油煙除去捕集器と、活性炭吸着器とを含む前処理ユニットに送り込み、順にダスト、粒子、油煙、VOC、高フッ素シラン/酸及び高塩素シランを脱離させ、前処理を経て形成された浄化原料ガスを後続のクロロシラン/HClスプレー吸収工程に入らせる前処理工程と、
(2)クロロシランとHClの混合液体を吸収剤とするスプレー吸収塔をリアクタとして採用し、前記前処理工程からの前記浄化原料ガスを50~80℃まで熱交換した後、当該スプレー吸収塔の底部から入らせて、前記吸収剤と向流交換させ、当該スプレー吸収塔の底部からクロロシラン/HClを富化した吸収液が流出し、それを後続の多段蒸発・圧縮・凝縮工程に入らせ、同時に当該スプレー吸収塔の塔底から流出する少量の残留粒子、高塩素シラン、高フッ素シラン/酸といった異物を送り出して、当該スプレー吸収塔の頂部からHF及び低沸点成分を富化した不凝縮ガス1が流出し、当該不凝縮ガス1を後続の中温圧力スイング吸着工程に入らせるクロロシラン/HClスプレー吸収工程と、
(3)二段の圧力スイング吸着工程からなり、各段の圧力スイング吸着工程において2つ以上の吸着塔からなり、2つ以上の当該吸着塔の内、少なくとも1つの吸着塔が吸着ステップにあり、残りの吸着塔が脱着ステップにあり、前記クロロシラン/HClスプレー吸収工程からの前記不凝縮ガス1が一段目の圧力スイング吸着1#PSA吸着塔の底部から入らせ、当該1#PSA塔の操作圧力が0.2~0.3MPaであり、操作温度が50~80℃であり、吸着ステップにある当該吸着塔の頂部から流出する非吸着相ガスが粗HFガスであり、凝縮を経て形成した不凝縮ガス2に対して精密濾過及び脱イオン水による吸収の処理を行ってからHF溶液を得て外部に送り出し、当該処理を経て形成した不凝縮ガス3が水素富化ガスであり、当該水素富化ガスを送り出し、燃料ガスとして使用するか、圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスとして使用し、当該凝縮を経て形成した粗HF液体を精密濾過してからHF精留工程に入らせ、脱着ステップにある当該1#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスに増圧と熱交換を行ってから
二段目の圧力スイング吸着2#PSA吸着塔の底部から入らせ、当該2#PSA吸着塔の操作圧力が0.2~0.3MPaであり、操作温度が50~80℃であり、吸着ステップにある当該2#PSA吸着塔の頂部から流出する非吸着相の中間ガスを前記クロロシラン/HClスプレー吸収工程からの前記不凝縮ガス1と混合してから戻して当該1#PSA吸着塔に入らせ、更にHFを回収し、当該2#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスを前記クロロシラン/HClスプレー吸収工程に戻す中温圧力スイング吸着工程と、
(4)上下二段の精留からなる精留塔を含み、
前記中温圧力スイング吸着工程において吸着ステップにある前記吸着塔の頂部から流出する粗HFガスが凝縮して得られた粗HF液体を下段精留塔の頂部又は上段精留塔の底部から入らせ、当該上段精留塔の頂部で留出された異物ガスを後続の排ガス吸収工程に戻し、上段精留塔の底部又は下段精留塔の頂部の留出物が凝縮を経て形成した不凝縮ガス4を無水HFガスとして乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、当該凝縮を経て形成した液体を当該上段精留塔又は当該下段精留塔への還流とし、当該下段精留塔の底部で留出された異物成分を含有する塔底物流体が凝縮を経て形成した不凝縮ガス5の一部を後続の多段蒸発・圧縮・凝縮工程に入らせ、他の一部を後の排ガス吸収工程に入らせ、当該凝縮を経て形成した液体を前記吸収剤として前記クロロシラン/HClスプレー吸収工程に戻して循環使用するHF精留工程と、
(5)前記クロロシラン/HClスプレー吸収工程からの前記吸収液を多段蒸発させてから、凝縮器に入らせ、そこから気相の粗HClガスを得て、前記HF精留工程において得られた前記不凝縮ガス5と混合し、凝縮を経て形成した粗HCl液体を後のHCl精製工程に入らせ、当該凝縮器から粗クロロシラン液体が流出し、当該粗クロロシラン液体を後続のクロロシラン中弱冷精留工程に入らせ、当該凝縮器から流出する不凝縮ガス6を熱交換してから前記中温圧力スイング吸着工程に戻す多段蒸発・圧縮・凝縮工程と、
(6)HCl精留塔及び真空精留塔を含み、当該HCl精留塔の操作圧力が0.3~0.6MPaであり、操作温度が50~80℃であり、当該真空精留塔の操作圧力が-0.08~-0.1MPaであり、操作温度が60~120℃であり、当該HCl精留塔の頂部から流出するHClガスの一部を乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、他の一部を液化してから前記クロロシラン/HClスプレー吸収工程の前記吸収剤として循環使用し、当該HCl精留塔の底部の流出物を当該真空精留塔に入らせ、当該真空精留塔の頂部から流出するガスが不凝縮ガス7であり、その一部を後続の排ガス吸収工程に入らせ、他の一部を前記中温圧力スイング吸着工程に戻し、当該真空精留塔の底部から流出する流体の一部を前記多段蒸発・圧縮・凝縮工程に戻し、他の一部を後続のクロロシラン中弱冷精留工程に入らせるHCl精製工程と、
(7)精留塔を含み、前記多段蒸発・圧縮・凝縮工程からの前記粗クロロシラン液体、及び/又は前記HCl精製工程において前記真空精留塔の底部から流出する
流体を当該精留塔に入らせ、操作温度が-35~10℃であり、操作圧力が0.6~2.0MPaであり、当該精留塔の塔頂から流出する不凝縮ガス8を熱交換してから前記中温圧力スイング吸着工程に戻し、当該精留塔の塔底から流出するクロロシラン液体の一部をHClと混合して混合液を形成し、当該混合液を吸収剤として前記クロロシラン/HClスプレー吸収工程に戻して循環使用し、他の一部を硫酸と混合しこの混合液を後続の排ガス吸収工程の吸収剤として使用するクロロシラン中弱冷精留工程と、
(8)前記クロロシラン中弱冷精留工程からのクロロシラン液体と硫酸の前記混合液を吸収剤とする排ガス吸収塔をリアクタとして採用し、前記HF精留工程において前記上段精留塔の頂部で留出された前記異物ガス、前記HF精留工程からの前記不凝縮ガス5及び前記HCl精製工程からの前記不凝縮ガス7を排ガス吸収塔に入らせ、当該排ガス吸収塔の底部でフルオロケイ酸溶液を形成し、送り出し、フルオロケイ酸除去方法によりAHFを調製する生産プロセスにおける原料液として循環使用し、吸収塔の頂部から流出する不凝縮ガス9を排ガスとして直接排出する排ガス吸収工程と、
を含む
ことを特徴とするFTrPSAによるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離と回収循環再利用方法。
【請求項2】
前記前処理工程の前記原料ガスにおけるHClの含有量が1%より小さい場合、前記浄化原料ガスを前記中温圧力スイング吸着工程に直接入らせ、前記1#PSA吸着塔の塔頂から流出する前記粗HFガスが凝縮を経て形成した前記不凝縮ガス2に対して精密濾過及び脱イオン水による吸収の前記処理を行ってからHF溶液を得て外部に送り出し、当該処理を経て形成した不凝縮ガス3が水素富化ガスであり、当該水素富化ガスを送り出し、燃料ガスとして使用するか、又は圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスとして使用し、凝縮を経て形成した粗HF液体を精密濾過してから前記HF精留工程に入らせ、脱着ステップにある当該1#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスに増圧と熱交換を行ってから前記2#PSA吸着塔の底部から入らせ、吸着ステップにある当該2#PSA吸着塔の頂部から流出する非吸着相の中間ガスを直接戻して当該1#PSA吸着塔に入らせ、更にHFを回収し、当該2#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスを、前記凝縮器とは別の凝縮器を経てから形成した不凝縮ガス1を更に前記中温圧力スイング吸着工程の前記粗HFガスと混合してHFを回収し、新しく増設された当該別の凝縮器の後に形成した液体を前記HCl精製工程に直接入らせてHClを回収し、当該HCl精製工程において前記真空精留塔の底部から流出する前記流体を処理してから直接排出することで、前記クロロシラン/HClスプレー吸収、多段蒸発・圧縮・凝縮及び中弱冷クロロシラン精留工程を省く
ことを特徴とする請求項1に記載のFTrPSAによるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離と回収循環再利用方法。
【請求項3】
前記前処理工程の前記原料ガスにおけるHFの濃度がHClの濃度より小さい場合、前記前処理工程からの前記浄化原料ガスを80~160℃まで熱交換した後に前記クロロシラン/HClスプレー吸収工程に入らせ、前記スプレー吸収塔の頂部から流出する前記不凝縮ガス1が凝縮を経て形成した前記不凝縮ガス2を更に二段のPSAからなる前記中温圧力スイング吸着工程に入らせ、凝縮を経て形成した凝縮液体を前記HCl精製工程に直接入らせ、前記スプレー吸収塔の底部から流出する吸収液を前記多段蒸発・圧縮・凝縮工程に入らせる
ことを特徴とする請求項1に記載のFTrPSAによるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離と回収循環再利用方法。
【請求項4】
前記前処理工程の前記原料ガスにおけるHFの濃度がHClの濃度より小さい場合、
前記前処理工程からの前記浄化原料ガスを80~160℃まで熱交換した後に前記クロロシラン/HClスプレー吸収工程に入らせ、前記スプレー吸収塔の頂部から流出する前記不凝縮ガス1が凝縮を経て形成した前記不凝縮ガス2を更に二段のPSAからなる前記中温圧力スイング吸着工程に入らせ、当該不凝縮ガス2を前記1#PSA吸着塔の底部から入らせ、当該1#PSA吸着塔の操作圧力が0.2~0.3MPaであり、操作温度が50~80℃であり、吸着ステップにある当該1#PSA吸着塔の頂部から流出する
非吸着相ガスが中間ガスであり、当該中間ガスを前記2#PSA吸着塔の底部に入らせ、吸着ステップにある当該2#PSA吸着塔の頂部から流出する非吸着相ガスが前記粗HFガスであり、凝縮を経て形成した前記不凝縮ガス3に対して精密濾過及び脱イオン水による吸収の処理を行ってからHF水溶液を得て外部に送り出し、当該処理を経て形成した前記不凝縮ガス4が水素富化ガスであり、当該水素富化ガスを送り出し、燃料ガスとして使用するか、又は圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスとして使用し、凝縮を経て形成した粗HF液体を精密濾過してから前記HF精留工程に入らせ、脱着ステップにある当該1#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガス及び当該2#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスをそれぞれ前記クロロシラン/HClスプレー吸収工程に戻し、更にHFを回収し、前記不凝縮ガス1が凝縮を経て形成した凝縮液体を前記HCl精製工程に直接入らせ、前記スプレー吸収塔の底部から流出する吸収液を前記多段蒸発・圧縮・凝縮工程に入らせる
ことを特徴とする請求項3に記載のFTrPSAによるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離と回収循環再利用方法。
【請求項5】
前記前処理工程の前記原料ガスにおけるHFとHClの濃度が合計で3%を超えていない場合、
当該原料ガスに前記前処理工程を行って得られた前記浄化原料ガスを前記クロロシラン/HClスプレー吸収工程を経て前記二段の圧力スイング吸着工程からなる前記中温圧力スイング吸着工程を行うことに代えて、当該浄化原料ガスを一段のPSAからなる中温圧力スイング吸着工程に直接入らせ、当該一段のPSAが2つ以上の吸着塔からなり、1つの吸着塔が吸着ステップにあり、残りの吸着塔が降圧・逆ガス抜き又は真空引き、昇圧又は最終ガス詰めの異なる段階を含む脱着ステップにあり、当該吸着塔の操作圧力が0.2~0.3MPaであり、操作温度が70~90℃であり、前記浄化原料ガスを当該吸着塔の底部から入らせ、吸着ステップにある当該吸着塔の頂部から流出する非吸着相ガスが吸着排ガスであり、それを燃料ガスとして使用するか、又は圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスとして使用し、脱着ステップにある当該吸着塔の底部から流出する脱着ガスが凝縮を経て形成した前記不凝縮ガス1を浄化原料ガスと混合して前記中温圧力スイング吸着工程に戻し、更にHFを回収し、凝縮を経て形成した凝縮液体を更に
前記HF精留工程に入らせ、
前記HF精留工程から流出する前記不凝縮ガス2を前記排ガス吸収工程に入らせて処理し、前記HF精留工程から流出するHFガスを乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、
前記HF精留工程における前記精留塔の底部から流出する流体を前記HCl精製工程に直接入らせ、このようにHClガスを得て、乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、前記クロロシラン/HClスプレー吸収、多段蒸発・圧縮・凝縮、中弱冷クロロシラン精留工程を省く
ことを特徴とする請求項1に記載のFTrPSAによるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離と回収循環再利用方法。
【請求項6】
前記前処理工程の前記原料ガスにおけるHF/HClの濃度が20%を超えている場合、前記前処理工程を経た前記浄化原料ガスが凝縮を経て形成した前記不凝縮ガス1に対して、水洗により少量の残留酸性成分を脱離させ、希酸を生成して外部へ送り出す処理を行い、水洗を経て形成した前記不凝縮ガス2を燃料ガス又は圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスとして使用し、当該凝縮を経て形成した凝縮液を前記HF精留工程に入らせ、当該HF精留工程から流出する前記不凝縮ガス3を排ガス吸収工程に入らせて処理し、当該HF精留工程から流出するHFガスを乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、
前記HF精留工程における前記精留塔の底部から流出する流体を
前記HCl精製工程に直接入らせ、このようにHClガスを得て、乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、前記クロロシラン/HClスプレー吸収、多段蒸発・圧縮・凝縮、中弱冷クロロシラン精留及び中温圧力スイング吸着の工程を省く
ことを特徴とする請求項1に記載のFTrPSAによるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離と回収循環再利用方法。
【請求項7】
前記中温圧力スイング吸着工程において、圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスが水洗後に生成された不凝縮ガス又は吸着排ガスであり、まず不凝縮ガス又は吸着排ガスを乾燥塔に入らせ、その中の水分及び少量のフッ素と塩素を含有する酸性成分を脱離させ、続いて吸着浄化段階に入らせ、シラン、ホスホラン、金属イオンを含む異物を脱離させ、水素を富化した浄化メタン-水素ガスを得て、1.0~3.0MPaに加圧してから、常温まで熱交換し、4つ以上の吸着塔からなる圧力スイング吸着による水素精製工程に入らせ、吸着塔の頂部から水素が流出し、当該水素をパラジウム膜又は金属ゲッタからなる水素ガス純化工程に入らせ、純化された
H
2
ガスを得て、乾式エッチングプロセスに戻して循環使用するか又は外部へ送り出し、吸着塔の底部から流出する脱着ガスがメタン富化ガスであり、それを燃料ガスとして直接使用する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のFTrPSAによるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離と回収循環再利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体プロセスにおけるエッチング排ガスの有効成分の回収と循環再利用の環境保護分野に関し、より具体的には、FTrPSA(全温度範囲圧力スイング吸着)によるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離と回収循環再利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケイ素(Si)又は炭化ケイ素(SiC)ベースのウエハ又はエピタキシャル薄膜にエッチングを行うことは、半導体集積回路(IC)などのチップの製造プロセスにおける最も重要なステップであり、その中でもフッ素(F)、塩素(Cl)を含有する化合物でプラズマ又は通常のガスによる乾式エッチングを行うことは、半導体工業において広く適用されている。例えば、通常、集積回路(IC)の製造は、トランジスタ、抵抗素子及び容量素子のような回路要素を形成・接続するように、堆積、マスキング、エッチング及び剥離などのステップを含む。IC製造プロセスにおいて、1つのウエハ又はエピタキシャル薄膜シートで同時に何百~千個以上のチップを作製する必要があり、その際に1要素の寸法を0.5μmよりも小さくする必要があり、且つその寸法は益々小さくなる傾向がある。超大規模集積回路(ULSI)チップの発展のニーズに応えて、エッチング技術は、面積がより大きくエッチング線幅がより小さい方向へ発展する傾向があり、その中でもガス乾式エッチング、特にプラズマガス乾式エッチングは既に最も広く適用されて発展してきたエッチング技術となっている。順に現れた反応性イオンエッチング(RIE)、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、ヘリコン波源(HWS)及び誘導結合プラズマ源(ICP)などの加工方法及び装置は、エッチング面積が300mmよりも大きくエッチング線幅が0.1μmよりも小さいなどのような高解像度集積回路の要求に適応するために誕生したものである。
【0003】
エッチング(又は食刻,Etch Film)は、ケイ素又は炭化ケイ素ベースのウエハ又はエピタキシャル薄膜(「ウエハ」と略称する)の表面から必要としない材料を選択的に除去する過程であり、接着剤が塗布されたウエハにマスクパターンを正確に転写する。エッチングは湿式と乾式に分けられ、そのうち乾式エッチングにおけるプラズマエッチングは、既に主流のエッチング工法となっている。乾式エッチングによく使用されるガスは、主にフッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、四フッ化炭素(CF4)、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)、四塩化炭素(CCl4)などのフッ素ベースガス及びCl、Br基が導入された混合ガスであり、また、キャリアガスとして、水素ガス(H2)、アルゴンガス(Ar)、酸素ガス(O2)、窒素ガス(N2)などを使用する。低圧放電のプラズマ環境ではウエハ表面のSi又はSiCと反応し、気相でHF、HCl、四フッ化ケイ素(SiF4)、四塩化ケイ素(SiCl4)、及び少量の四臭化ケイ素(SiBr4)、シラン(SiH4)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、水(H2O)、揮発性有機物(VOC)、懸濁する微細二酸化ケイ素(SiO2)、ケイ素(Si)又は炭化ケイ素(SiC)又はエーロゾルなどの粒子及びH2、N2、Arなどを含有するエッチング排ガスを生成する。前記エッチング排ガスは、引火性と、爆発性と、有毒性と、腐食性などの特徴を有する危険な化学ガスであり、処理方法としては、大気排出基準を満たす方法である必要があるが、それだけでなく技術的且つ経済的に実施可能であり、且つ生産コストを削減する方法である必要もある。
【0004】
従来のエッチング排ガスを処理する主な工業的方法には、水洗と、酸塩基中和と、酸化燃焼と、吸着及びプラズマ燃焼の5種類がある。
【0005】
水洗法は、エッチング排ガスが主に酸性が非常に高い有毒異物を含有する状況に対して、水吸収と水性ガス転化により、酸性成分を吸収して液体を形成し、且つ有毒異物成分を無毒物質又は沈殿(水スラリー)に転化して排出を実現する方法である。この方法は、簡単で操作しやすく、工業的に一般的に採用されているが、吸収相平衡及び転化効率が制限され、形成された吸収液が非常に高い腐食性を有するため、吸収後の排ガスに依然として多くの酸性異物成分が残留され、完全に排出基準に達することが非常に困難であり、更に空気を導入して希釈するか又は燃焼するか又は吸着するなどの他の方法で処理してはじめて排出基準に達することができる。水洗法では、加熱された水蒸気を採用することも可能であり、高温によって有害な異物を無害な酸化物に転化させることで、水洗法による浄化効率がより高くなる。水洗法の主な問題は、大量の水を消費する必要がある点であり、また回収しにくく腐食性が非常に高いフッ化水素酸、塩酸又はフルオロケイ酸などの二次汚染物が生成されるため、結果として処理機器に多くの投資をすることになる。同時に、水洗法により形成された高フッ素又は高塩素ケイ酸がケイ素又は二酸化ケイ素の粒子や粉塵とスラリー状物を形成してバルブ又はパイプなどの機器を塞ぎやすく、更に熱を受けると分解して機器を腐食して漏れを招くなどの危険がある。また、水洗法は、排ガスが多くの水溶性有害異物成分を含有する場合や排ガスが水蒸気と転化反応しやすい場合に対して一定の効果がある。
【0006】
酸塩基中和法は、酸性を有するエッチング排ガスの特性に対して、水酸化カルシウムなどの塩基性溶液を加えて、その中のフッ素イオン又はHFなどをフッ化カルシウム(CaF2,即ち人工蛍石)として形成し、或いは、高フッ素/高塩素ケイ酸カルシウムを沈殿させるか又はスラリーとして脱離させ、吸収されていないガスに更に他の塩基性溶液を加え、更にその中の酸性異物を脱離させ、排ガスにおける酸性異物成分の残留量が排出基準に達するようにする方法である。半導体業界において、著名な英国エドワーズ社(EDWARDS)が化学中和方法及びその装置であるガスリアクタカラム(GRC,gas reactor column)を発明したが、その原理は、化学中和方法を利用して排ガスを処理することである。前記装置のカラムには適切な無機微小粒子の混合物が詰められており、カラムに通電して一定の温度に加熱した後、排ガスがカラムを経由して中和反応を生じる。このガスリアクタカラムにおいて発生したのは乾式化学反応であり、真空システムに直接接続することが可能である。排ガスはカラムにおける塩基性又は金属塩基性物質と十分に化学反応し、排ガスのうちの一部が不活性物質に転化し、一部が化学反応によって吸着されることで、排出される有害排ガスが大幅に減少される。しかしながら、ガス柱の交換頻度が高いため、排ガスの吸着が完全でなく、又反応カラムが失活して有害成分が通過してしまい、これにより二次汚染を招く場合がある。酸塩基中和法又は化学中和法は、依然として吸収又は化学吸着の平衡により制限され、排ガスが徹底的に排出基準に達するように多段又はマルチカラムの中和反応が必要とされるため、コストが高いという問題を抱えている。
【0007】
酸化燃焼法は、エッチング排ガスに含有されているH2と、シランと、四フッ化ケイ素と、有機物(VOC)などの引火性成分を利用し、十分な温度及び時間で空気又は酸素含有化合物ガスを導入して引火性成分と接触させて焼却し、酸化物を生成可能にし、続いて熱交換により酸化生成物が凝縮するまでそれを冷却して排出し、残存ガスを更に塩基性溶液でリンスし、廃ガスの酸性を除去する方法である。エッチング排ガスには多くの難燃性のHF、HClなどの酸性ガスが含有されるため、この方法はエッチング排ガスの処理に適合しない。特に排ガスにポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの特定のフォトレジストを含有する場合は、一般的に洗浄工程できれいに洗浄することが非常に困難であり、エッチング排ガスに残留された少量のフォトレジストに対して燃焼処理を採用してはいけない(ダイオキシン又はオキサゾール類有害物質を形成するため)。そのため、他の物理的方法を採用するしかできない。現在、酸化燃焼法は、一部の化学気相成長(CVD)で生じた排ガスの処理のみに適用されている。
【0008】
吸着法は、エッチング排ガスの成分と、選択された特定の吸着剤間の物理又は化学吸着力の大きさにより選択的な分離と浄化を実現する方法である。通常使用される酸化アルミニウム、活性炭又はモレキュラーシーブは、極性の強いHF、HCl、H2O、SiF4、SiH4、CO2及びVOCなどに対して顕著な吸着作用を有するが、吸着力が強いため、吸着剤の再生が相当に困難であり、使用寿命が短く、コストが上がるなどの問題がある。また、注意すべきこととして、HFを吸着するための吸着剤が特殊であることが挙げられる。このような吸着剤の多くは塩基性金属のフッ化物を用いており、金属フッ化物とHFが低い温度で化学反応することにより化学吸着を選択的に行い、金属フッ化物-HFの錯体を形成し、高い温度で更に錯体の分解反応を行うことで、HFの吸着剤からの脱離を実現し、他の異物が吸着剤において選択性を有していないことによって、HFの分離と浄化が実現される。このような化学吸着法を採用する場合の多くは、フッ化反応によるクロロフルオロアルカン(CFC)、水素含有クロロフルオロアルカン(HCFC)、水素含有フルオロアルカン(HFC)、フッ化スルフリル(SO2F2)などで製品が製されている場合である。反応により生成された反応混合ガスは、HFに対する選択的な吸着、分離及び回収効果が好適であるが、吸着剤の損失率が大きい。水又はSiF4又はHCl異物成分を含有するエッチング排ガスに対して、吸着剤と水などの異物成分との間でも化学反応又は共吸着現象が発生するため、吸着剤の粉状化又は過飽和及び吸着を招き、更に処理と浄化を効果的に行うことができない。そのほか、金属ゲッタ又は膜分離システムを採用して選択的な吸着を行うことは、一部の異物の脱離に有効であるが、エッチング排ガスに対する効果は顕著ではなく、更にコストが高い。また、吸着法の最も深刻な問題の1つは、この方法がエッチング排ガスにおける吸着質(異物)成分の濃度が低い状況には適するが、濃度が高い異物成分に対して、多くの場合吸着容量の制限によって吸着剤の用量が増えてしまい、操作コストもそれに伴って増え、脱離効果が悪いことである。
【0009】
プラズマ浄化法は、現在流行している処理方法であり、特にエッチング排ガス、フッ化水素を調製する場合の排ガスをはじめとした、HF含有排ガスを含むフッ化廃ガスに対するものである。プラズマ浄化は、プラズマにより排ガスを分解(破壊)を補強し、有害成分を直接転換させることである。このような転換は、高密度プラズマ領域で完成し、この領域はグロー放電又は他の放電形態により得られる。プラズマはに大量の活性粒子が存在し、これらの粒子は、エッチング排ガスにおける有毒及び分解しにくい物質を破壊するおそれがある。この方法は、プラズマエッチングと組み合わせられ、非常に見込みのある排ガス処理方法であるとされている。例えば、パルスコロナプラズマ化学処理(PPCP,pulsed corona Induced plasma)は、酸窒化物(NOX)、二酸化硫黄(SO2)、水銀(Hg)蒸气及び揮発性有機物(VOC)に対して優れた処理効果を有する。NOX及びSO2の脱離は、パルスコロナにより生じた強いラジカルがそれらと酸化反応し、添加物(例えばアンモニア(NH3)及びH2O)の存在下で、それらを硫酸塩及び硝酸塩に転化させることであり、VOCの脱離は、パルスコロナにより生じた高エネルギー電子がそれを励起し、分解させて電離させ、最終的に構造が簡単であるCO2及びCOを生成することである。フッ化排ガスに対しては、H2,NH3又はメタン(CH4)などの水素又は水素含有化合物を添加し、水と溶解しにくい又は分解しにくいフッ化物などの成分をプラズマ条件下で分解させ、それにより生じた水素イオン(H+)はフッ素イオン(F-)又は塩素イオン(Cl+)と共にHF、HClを形成し、更に水洗によりフッ化排ガスを浄化する。しかしながらプラズマは、HF,HClなどの含有量の高いエッチング排ガスに対して処理効果が顕著ではなく、且つ高価であるため、小規模の排ガス処理のみに適する。
【0010】
以上に記載した従来のエッチング排ガス処理方法は、いずれも有毒有害成分を無害化するとともに排ガスが排出基準に達するようにすることを主な目的とし、排ガスにおける大量の非常に価値のあるHF、Cl又はH2などは全て回収利用することができない。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、HF/HCl/H2含有乾式エッチング排ガスから高純度のHF、HCl又はH2を得、それをエッチングプロセスに戻すことで循環使用するFTrPSA(全温度範囲圧力スイング吸着)によるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離と回収循環再利用方法を提供することである。
【0012】
全温度範囲圧力スイング吸着(英語全称はFull Temperature Range-Pressure Swing Adsorptionであり、以降FTrPSAと略称する)は、圧力スイング吸着(PSA)を基に各種の分離技術と結合できる方法であり、エッチング排ガスにおける各成分(HF/HClが有効成分であり、残りが異物成分である)自身の、異なる圧力と温度下での吸収・吸着・精留及び物理化学性質の差異を利用する。二段の中温圧力スイング吸着工程を主として採用し、この工程とスプレー吸収、HF精留/HCl精製(精留)及び凝縮を結合することで、中温圧力スイング吸着過程における吸着と脱着がマッチング・平衡しやすくなり、吸着と脱着の循環操作により分離と浄化を行うことでHF/HClを回収しエッチングプロセスに戻して循環使用することを実現する。
【0013】
本発明において採用されている技術的解決手段は、FTrPSAによるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離及び回収循環再利用方法であり、原料ガスは、ケイ素又は炭化ケイ素ベースのウエハチップの乾式エッチング過程で生じた排ガスに由来し、主に不活性キャリアガス(水素ガス(H2)),有効成分であるフッ化水素(HF)と塩化水素(HCl),及び少量の水(H2O),四フッ化ケイ素(SiF4),四塩化ケイ素(SiCl4),シラン(SiH4),メタン(CH4),一酸化炭素(CO),二酸化炭素(CO2)及び微量又は痕跡量の揮発性有機物(VOC),金属イオン(Me+),微細固体とエーロゾル粒子(SS),一部の高フッ素シラン酸/高塩素シランの異物成分等を含有し、温度が常温であり、圧力が常圧又はマイクロ正圧である。
【0014】
前記FTrPSAによるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離及び回収循環再利用方法は、
(1)原料ガスの温度が常温であり、圧力が0.2~0.3MPaであるように制御し、除塵機と、粒子除去フィルタと、油煙除去捕集器と、活性炭吸着器とを含む前処理ユニットに送り込み、順にダスト、粒子、油煙、VOC、高フッ素シラン/酸及び高塩素シランを脱離させ、前処理を経て形成された浄化原料ガスをクロロシラン/HClスプレー吸収工程に入らせる前処理工程と、
(2)クロロシランとHClの混合液体を吸収剤とするスプレー吸収塔をリアクタとして採用し、前処理工程からの浄化原料ガスを50~80℃まで熱交換した後、スプレー吸収塔の底部から入らせて吸収剤と向流交換させ、スプレー吸収塔の底部からクロロシラン/HClを富化した吸収液が流出し、それを後続の多段蒸発・圧縮・凝縮工程に入らせ、同時に塔底から流出する少量の残留粒子、高塩素シラン、高フッ素シラン/酸といった異物を送り出して環境保護処理を行い、スプレー吸収塔の頂部からHF及び低沸点成分を富化した不凝縮ガス1が流出し、それを中温圧力スイング吸着工程に入らせるクロロシラン/HClスプレー吸収工程と、
(3)二段の圧力スイング吸着工程からなり、各段の圧力スイング吸着工程において2つ以上の吸着塔からなり、少なくとも1つの吸着塔が吸着ステップにあり、残りの吸着塔が脱着ステップにあり、クロロシラン/HClスプレー吸収工程からの不凝縮ガス1を一段目のPSA(1#PSA)吸着塔の底部から入らせ、1#PSAの操作圧力が0.2~0.3MPaであり、操作温度が50~80℃であり、吸着ステップにある吸着塔の頂部から流出する非吸着相ガスが粗HFガスであり、凝縮を経て形成した不凝縮ガス2に対して精密濾過及び脱イオン水による吸収を行ってから濃度が40%のHF水溶液を得て外部に送り出し、水吸収を経て形成した不凝縮ガス3が水素富化ガスであり、それを送り出し、燃料ガスとして使用するか、又は圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスとして使用し、凝縮を経て形成した粗HF液体を精密濾過してから次の工程であるHF精留工程に入らせ、脱着ステップにある1#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスに増圧と熱交換を行ってから二段目のPSA(2#PSA)吸着塔の底部から入らせ、2#PSA吸着塔の操作圧力が0.2~0.3MPaであり、操作温度が50~80℃であり、吸着ステップにある2#PSA吸着塔の頂部から流出する非吸着相の中間ガスをクロロシラン/HClスプレー吸収工程からの不凝縮ガス1と混合してから戻して1#PSA吸着塔に入らせ、更に有効成分HFとHClを回収し、2#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスが濃縮ガスであり、それをクロロシラン/HClスプレー吸収工程に戻し、更に有効成分を回収する中温圧力スイング吸着工程と、
(4)上下二段の精留からなる精留塔を含み、中温圧力スイング吸着工程からの粗HFガスが凝縮してから得られた精製HF液体をHF精留工程における精留塔に入らせ、精製HF液体を下段精留塔の頂部又は上段精留塔の底部から入らせ、上段精留塔の頂部で留出された軽質成分の異物ガスを後続の排ガス吸収工程に戻し、上段精留塔の底部又は下段精留塔の頂部の留出物が凝縮を経て形成した不凝縮ガス4が無水HF(AHF)ガスであり、純度が99.99%以上であり、それを直接電子グレードのHF製品ガスとして乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、凝縮を経て形成した液体を上段又は下段精留の還流とし、下段精留の底部で留出された少量の重質成分の異物成分を含有する塔底物流体が凝縮を経て形成した不凝縮ガス5の一部を多段蒸発・圧縮・凝縮工程に入らせ、残りの一部を排ガス吸収工程に入らせ、凝縮を経て形成した液体を吸収剤としてクロロシラン/HClスプレー吸収工程に戻して循環使用するHF精留工程と、
(5)クロロシラン/HClスプレー吸収工程からの吸収液を多段蒸発工程に入らせてから、凝縮器に入らせ、そこから気相の粗HClガスを得て、HF精留工程からの重質成分の塔底物流体が凝縮してから得られた不凝縮ガス5と混合し、凝縮を経て形成した粗HCl液体をHCl精製工程に入らせ、凝縮器から粗クロロシラン液体が流出し、それを後続のクロロシラン中弱冷精留工程に入らせ、凝縮器から流出する不凝縮ガス6を熱交換してから中温圧力スイング吸着工程に戻し、更に有効成分HFとHClを回収する多段蒸発・圧縮・凝縮工程と、
(6)HCl精留塔及び真空精留塔を含み、HCl精留塔の操作圧力が0.3~0.6MPaであり、操作温度が50~80℃であり、真空精留塔の操作圧力が-0.08~-0.1MPaであり、操作温度が60~120℃であり、HCl精留塔の頂部から流出する純度が99.99%より大きいHCl製品ガスの一部を乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、残りの一部を液化してからクロロシラン/HClスプレー吸収工程の吸収剤として循環使用し、HCl精留塔の底部の流出物を真空精留塔に入らせ、真空精留塔の頂部から流出する塔頂ガスが不凝縮ガス7であり、その一部を後続の排ガス吸収工程に入らせ、他の一部を中温圧力スイング吸着工程に戻し、真空精留塔の底部から流出する重質成分の一部を多段蒸発・圧縮・凝縮工程に戻し、他の一部をクロロシラン中弱冷精留工程に入らせるHCl精製工程と、
(7)精留塔を含み、多段蒸発・圧縮・凝縮工程からの粗クロロシラン液体、及び/又はHCl精製工程からの真空塔底部の重質成分流体を導入し、操作温度が-35~10℃であり、操作圧力が0.6~2.0MPaであり、精留塔の塔頂から流出する不凝縮ガス8を熱交換してから中温圧力スイング吸着工程に戻し、精留塔の塔底から流出するクロロシラン液体の一部をHClと混合して混合液を形成し、吸収剤としてクロロシラン/HClスプレー吸収工程に戻して循環使用し、他の一部を硫酸と混合して排ガス吸収工程の吸収剤として使用するクロロシラン中弱冷精留工程と、
(8)クロロシラン中弱冷精留工程からのクロロシラン液体と新鮮な硫酸の混合液を吸収剤とする排ガス吸収塔をリアクタとして採用し、HF精留工程からの上段精留塔の頂部で留出された軽質成分の異物ガスと、HF精留工程からの下段精留塔の底部から流出する重質成分が凝縮を経て形成した不凝縮ガス5及びHCl精製工程からの不凝縮ガス7を混合したのちに排ガス吸収塔に入らせ、吸収塔の底部で形成したフルオロケイ酸溶液を原料として送り出し、フルオロケイ酸除去方法によりAHFを調製する生産過程における原料液として循環使用し、吸収塔の頂部から流出する不凝縮ガス9を排ガスとして直接排出する排ガス吸収工程と、を含む。
【0015】
更に、前記原料ガスにおけるHClの含有量が1%より小さい場合、前記浄化原料ガスを中温圧力スイング吸着工程に直接入らせ、1#PSA塔頂から流出する粗HFガスが凝縮を経て形成した不凝縮ガス2に対して精密濾過及び脱イオン水による吸収を行ってから濃度が40%のHF水溶液を得て外部に送り出し、水吸収を経て形成した不凝縮ガス3が水素富化ガスであり、それを送り出し、燃料ガスとして使用するか又は圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスとして使用し、凝縮を経て形成した粗HF液体を精密濾過してからHF精留工程に入らせ、脱着ステップにある1#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスに増圧と熱交換を行ってから二段目のPSA(2#PSA)吸着塔の底部から入らせ、吸着ステップにある2#PSA吸着塔の頂部から流出する非吸着相の中間ガスを直接戻して1#PSA吸着塔に入らせ、更に有効成分を回収し、2#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスが濃縮ガスであり、新しく増設された凝縮器を経てから形成した不凝縮ガス1を更に中温圧力スイング吸着工程の粗HFガスと混合して有効成分HFを回収し、新しく増設された凝縮器の後に形成した液体をHCl精製工程に直接入らせてHClを回収し、HCl精製工程から流出する重質成分を処理してから直接排出することで、クロロシラン/HClスプレー吸収、多段蒸発・圧縮・凝縮及び中弱冷クロロシラン精留工程を省く。
【0016】
更に、前記原料ガスにおけるHFの濃度がHClの濃度より小さい場合、前処理工程からの浄化原料ガスを80~160℃まで熱交換した後にクロロシラン/HClスプレー吸収工程に入らせ、スプレー吸収塔の頂部から流出する不凝縮ガス1が凝縮を経て形成した不凝縮ガス2を更に二段のPSAからなる中温圧力スイング吸着工程に入らせ、凝縮を経て形成した凝縮液体をHCl精製工程に直接入らせ、スプレー吸収塔の底部から流出する吸収液を多段蒸発・圧縮・凝縮工程に入らせる。
【0017】
更に、前記原料ガスにおけるHFの濃度がHClの濃度より小さい場合、前処理工程からの浄化原料ガスを80~160℃まで熱交換した後にクロロシラン/HClスプレー吸収工程に入らせ、スプレー吸収塔の頂部から流出する不凝縮ガス1が凝縮を経て形成した不凝縮ガス2を更に二段のPSAからなる中温圧力スイング吸着工程に入らせ、不凝縮ガス2を一段目のPSA(1#PSA)吸着塔の底部から入らせ、1#PSAの操作圧力が0.2~0.3MPaであり、操作温度が50~80℃であり、吸着ステップにある吸着塔の頂部から流出する非吸着相ガスが中間ガスであり、それを二段目の(2#PSA)吸着塔の底部に導入し、吸着ステップにある吸着塔の頂部から流出する非吸着相ガスが粗HFガスであり、凝縮を経て形成した不凝縮ガス3に対して精密濾過及び脱イオン水による吸収を行ってから濃度が40%のHF水溶液を得て外部に送り出し、水吸収を経て形成した不凝縮ガス4が水素富化ガスであり、それを送り出し、燃料ガスとして又は圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスとして使用し、凝縮を経て形成した粗HF液体を精密濾過してからHF精留工程に入らせ、脱着ステップにある1#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガス及び2#PSA吸着塔の底部から流出する濃縮ガスをそれぞれクロロシラン/HClスプレー吸収工程に戻し、更に有効成分を回収し、不凝縮ガス1が凝縮を経て形成した凝縮液体をHCl精製工程に直接入らせ、スプレー吸収塔の底部から流出する吸収液を多段蒸発・圧縮・凝縮工程に入らせる。
【0018】
更に、前記原料ガスにおけるHFとHClの濃度が合計で3%を超えていない場合、原料ガスに前処理工程を行って得られた浄化原料ガスを一段のPSAからなる中温圧力スイング吸着工程に直接入らせ、一段のPSAが2つ以上の吸着塔からなり、1つの吸着塔が吸着ステップにあり、残りの吸着塔が降圧・逆ガス抜き又は真空引き又は昇圧又は最終ガス詰めの異なる段階を含む脱着ステップにあり、吸着塔の操作圧力が0.2~0.3MPaであり、操作温度が70~90℃であり、浄化原料ガスをPSA吸着塔の底部から入らせ、吸着ステップにある吸着塔の頂部から流出する非吸着相ガスが吸着廃ガスであり、それを燃料ガスとして、又は圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスとして使用し、脱着ステップにある吸着塔の底部から流出する濃縮ガスが凝縮を経て形成した不凝縮ガス1を浄化原料ガスと混合して中温圧力スイング吸着工程に戻し、更に有効成分を回収し、凝縮を経て形成した凝縮液体を更にHF精留工程に入らせ、HF精留工程から流出する不凝縮ガス2を排ガス吸収工程に入らせて処理し、HF精留工程から流出するHF製品ガスを乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、HF精留塔の底部から流出する重質成分流体をHCl精製工程に直接入らせ、このようにHCl製品ガスを得て、乾式エッチングプロセスに戻して循環使用することで、クロロシラン/HClスプレー吸収、多段蒸発・圧縮・凝縮、中弱冷クロロシラン精留工程を省くことができ、またこの動作状況は従来の水洗吸収法によりエッチング排ガスを処理した後の低濃度HF/HCl含有酸性排ガスの分離と回収再利用にも適する。
【0019】
更に、前記原料ガスにおけるHF/HClの濃度が20%を超えている場合、前処理工程を経た浄化原料ガスを凝縮して形成した不凝縮ガス1に対して、水洗により少量の残留酸性成分を脱離させ、希酸を生成して外部へ送り出す処理を行い、水洗を経て形成した不凝縮ガス2を燃料ガス又は圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスとして使用し、凝縮を経て形成した凝縮液をHF精留工程に入らせ、HF精留工程から流出する不凝縮ガス3を排ガス吸収工程に入らせて処理し、HF精留工程から流出するHF製品ガスを乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、HF精留塔の底部から流出する重質成分流体をHCl精製工程に直接入らせ、このようにHCl製品ガスを得て、乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、クロロシラン/HClスプレー吸収、多段蒸発・圧縮・凝縮、中弱冷クロロシラン精留及び中温圧力スイング吸着工程を省き、この動作状況がプラズマにより洗浄した後に生成された高濃度HF/HCl含有排ガスの分離と回収再利用にも適する。
【0020】
更に、前記中温圧力スイング吸着工程において、圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスが水洗後に生成された不凝縮ガス又は吸着廃ガスであり、まず不凝縮ガス又は吸着廃ガスを乾燥塔に入らせ、その中の水分及び少量のフッ素と塩素を含有する酸性成分を脱離させ、続いて吸着浄化段階に入らせ、シラン、ホスホラン、金属イオンを含む異物を脱離させ、水素を富化した浄化メタン-水素ガスを得、1.0~3.0MPaに加圧してから常温まで熱交換し、4つ以上の吸着塔からなる圧力スイング吸着による水素精製工程に入らせ、そうすることで吸着塔の頂部から純度が99.99~99.999%の超純粋水素が流出し、それをパラジウム膜又は金属ゲッタからなる水素ガス純化工程に入らせ、電子グレードの水素ガス基準に合致するH2製品ガスを得、乾式エッチングプロセスに戻して循環使用するか又は外部へ送り出すことで吸着塔の底部から流出する脱着ガスがメタン富化ガスであり、それを燃料ガスとして直接使用する。
【0021】
本発明の有益効果は、以下の通りである。
(1)本発明によれば、HF/HCl含有乾式エッチング排ガスからHFとHClを分離して回収するとともに、エッチングプロセスに戻して循環使用することが実現され、そのことでエッチングガス原料のコスト及び排ガスの環境保護処理コストが大幅に削減され、従来技術においてただ標準に達せば排出してしまい、排ガスの総合利用を実現できない課題が解決され、この技術分野における空白が埋められた。
(2)本発明において、原料ガスにおける各成分(HF/HClが有効成分であり、残りが異物成分である)自身の異なる圧力と温度での吸着・吸収・精留・凝縮係数及び物理化学性質の差異を利用し、二段の中温圧力スイング吸着工程を主として採用し、この工程をクロロシランスプレー吸収、HF精留、HCl精製(精留)、クロロシラン精留及び蒸発・圧縮・凝縮と結合することで、中温圧力スイング吸着過程における吸着と脱着がマッチング・平衡しやすくなり、吸着と脱着の循環操作により分離と浄化を行うことで、HF/HClを他の異物成分と分離して精製するとともに、乾式エッチングプロセスに戻して循環使用することを実現する。
(3)本発明は、従来の化学吸着法において、HFと吸着剤が低温で化学反応(キレート)を起こして吸着し、高温で分解反応して脱着することにより、吸着と脱着の頻繁な循環操作過程における吸着剤の損失率が大きくなり、吸着剤が水などの異物成分とも化学反応を起こすため、吸着剤の粉状化と失活がひどくなり吸着分離を効果的に行うことができないという問題を克服し、HFとHClの両者の極性が強く吸着されやすいが脱着されにくいという特徴を利用し、独自の中温圧力スイング吸着の物理吸着過程を採用し、精留又は凝縮の過程と組み合わせて吸着と脱着の循環操作を調節することにより、このような現象を回避し、吸着剤の使用寿命を延ばすことができる。
(4)本発明は、異なる原料ガスの場合、フローを効果的に簡略化することでHF/HClの回収再利用を実現することができるため、従来の環境保護を目的とする水洗法又はプラズマ法と本発明を結合してエッチング排ガスを処理し、HF/HClを効果的に回収してエッチングプロセス又は乾式洗浄プロセスに戻して循環使用することができ、従来の処理方法では回収できない欠陥が解決され、同様に排出基準に達する。
(5)本発明は、エッチング排ガスからHF/HClを回収して循環再利用することができると同時に、PSAを追加して水素を精製することで価値のある電子グレードのH2製品を得ることができ、且つ、乾式エッチングプロセスに戻して循環使用することも可能であり、又は半導体の他のプロセスの水素源とすることも可能であり、同時に、プロセスキャリアガスがアルゴンガス又は窒素ガス又は水素との混合ガスである場合、PSAを調整することで水素精製又はアルゴン精製又は窒素精製を行うか、もしくは低温吸着を追加して電子グレードのアルゴンガス、窒素ガスなどの製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、本発明を更に詳細に説明する。ここで記載されている具体的な実施例は、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明の実施形態を限定するためのものではなく、即ち、記載されている実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではないことを理解すべきである。
【0024】
実施例1
図1に示すように、FTrPSAによるHF/HCl含有エッチング排ガスの分離と回収循環再利用方法において、原料ガスは、ケイ素ベースのウエハチップの乾式エッチング過程で生じた排ガスに由来し、主に不活性キャリアガスである水素ガス(H
2)83%(v/v)、有効成分であるフッ化水素(HF)9%と塩化水素(HCl)5%、及び少量の水(H
2O)、四フッ化ケイ素(SiF
4)、四塩化ケイ素(SiCl
4)、シラン(SiH
4)、メタン(CH
4)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO
2)、及び微量又は痕跡量の揮発性有機物(VOC)、金属イオン(Me+)、微細固体とエーロゾル粒子(SS)、一部の高フッ素シラン酸/高塩素シランの異物成分を含有し、常温常圧である。
【0025】
具体的な実施工程は、
(1)原料ガスを増圧した後に、除塵機と、粒子除去フィルタと、油煙除去捕集器と、
活性炭吸着器とからなる前処理ユニットに送り込み、0.2~0.3MPaの圧力と常温の操作条件下で、順にダスト、粒子(SS)、油煙、VOC、高フッ素シラン/酸及び高塩素シランを脱離させ、形成された浄化原料ガスを次の工程であるクロロシラン/HClスプレー吸収工程に入らせる前処理工程と、
(2)前処理工程からの浄化原料ガスを50~80℃まで熱交換した後、スプレー吸収塔に底部から導入し、クロロシランとHCl(1:1~1.4)の混合液体を吸収剤として採用し、スプレー吸収塔の頂部から下へスプレーして浄化原料ガスと向流交換させ、スプレー吸収塔の底部からクロロシラン/HClを富化した吸収液が流出し、それを後続の多段蒸発・圧縮・凝縮工程に入らせ、同時に塔底から流出する少量の残留粒子、高塩素シラン、高フッ素シラン/酸といった異物を送り出して環境保護処理を行い、スプレー吸収塔の頂部からHF及び低沸点成分を富化した不凝縮ガス1が流出し、それを次の工程である中温圧力スイング吸着工程に直接入らせるクロロシラン/HClスプレー吸収工程と、
(3)クロロシラン/HClスプレー吸収工程からの不凝縮ガス1を二段の圧力スイング吸着(PSA)からなる中温圧力スイング吸着工程に入らせ、一段目、二段目の圧力スイング吸着(1#PSA、2#PSA)がいずれも3つの吸着塔からなり、そのうち1つの吸着塔が吸着ステップにあり、残りの2つの吸着塔が降圧・逆ガス抜き又は真空引き、
昇圧又は最終ガス詰めの異なる段階を含む脱着ステップにあり、不凝縮ガス1を1#PSA吸着塔の底部から入らせ、1#PSAの操作圧力が0.2~0.3MPaであり、操作温度が50~80℃であり、吸着ステップにある吸着塔の頂部から流出する非吸着相ガスが粗HFガスであり、凝縮を経て形成した不凝縮ガス2に対して精密濾過及び脱イオン水による吸収を行ってから濃度が40%のHF水溶液を得て外部に送り出し、水吸収を経て形成した不凝縮ガス3が水素富化ガスであり、それを送り出し、燃料ガスとして使用するが、凝縮を経て形成した粗HF液体を精密濾過(10マイクロメートルより小さい)した後に次の工程であるHF精留工程に入らせ、脱着ステップにある1#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスを0.2~0.3MPaに増圧した後に2#PSA吸着塔の底部から入らせ、2#PSA吸着塔の操作圧力が0.2~0.3MPaであり、操作温度が50~80℃であり、吸着ステップにある2#PSA吸着塔の頂部から流出する非吸着相の中間ガスをクロロシラン/HClスプレー吸収工程からの不凝縮ガス1と混合して戻して1#PSA吸着塔に入らせ、更に有効成分HFとHClを回収し、2#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスが濃縮ガスであり、それをクロロシラン/HClスプレー吸収工程に戻し、更に有効成分を回収する中温圧力スイング吸着工程と、
(4)中温圧力スイング吸着工程からの粗HFガスが凝縮を経て形成した精製HF液体をHF精留工程の精留塔に入らせ、本工程の精留塔が上下二段の精留からなり、精製HF液体を下段精留の頂部に入らせ、上段精留塔の頂部で留出された軽質成分の異物ガスを後続の排ガス吸収工程に入らせて処理し、上段精留の底部の留出物が凝縮を経て形成した不凝縮ガス4が無水HF(AHF)ガスであり、純度が99.99%以上であり、直接電子グレードのHF製品ガスとして乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、凝縮を経て形成した液体を上段精留の還流とし、下段精留の底部で留出された少量の重質成分の異物成分を含有する塔底物流体が凝縮を経て形成した不凝縮ガス5の70%を次の工程である多段蒸発・圧縮・凝縮工程に入らせ、30%を後続の排ガス吸収工程に入らせ、凝縮を経て形成した液体を吸収剤としてクロロシラン/HClスプレー吸収工程に戻して循環使用し、二段の精留塔の操作温度が18~100℃であり、操作圧力が0.03~0.2MPaであるHF精留工程と、
(5)クロロシラン/HClスプレー吸収工程からの吸収液を多段蒸発工程に入らせてから、凝縮器に入らせ、そこから気相の粗HClガスを得て、HF精留工程からの重質成分の塔底物流体が凝縮してから得られた不凝縮ガス5と混合し、凝縮を経て形成した粗HCl液体を次の工程であるHCl精製工程に入らせ、凝縮器から粗クロロシラン液体が流出し、それを後続のクロロシラン中弱冷精留工程に入らせ、凝縮器から流出する不凝縮ガス6を熱交換してから中温圧力スイング吸着工程に戻し、更に有効成分HFとHClを回収する多段蒸発・圧縮・凝縮工程と、
(6)多段蒸発・圧縮・凝縮工程からの粗HCl液体をHCl精留塔と真空精留塔からなるHCl精製工程に入らせ、HCl精留塔の操作圧力が0.3~0.6MPaであり、
操作温度が50~80℃であり、真空精留塔の操作圧力が-0.08~-0.1MPaであり、操作温度が60~120℃であり、HCl精留塔の頂部から流出する純度が99.
99%より大きいHCl製品ガスの一部を乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、
一部を液化してからクロロシラン/HClスプレー吸収工程の吸収剤として循環使用し、
HCl精留塔の底部の流出物を真空精留塔に入らせ、真空精留塔の頂部から流出する塔頂ガス(不凝縮ガス7)の一部を後続の排ガス吸収工程に入らせ、一部を中温圧力スイング吸着工程に戻し、真空精留塔の底部から流出する重質成分の一部を多段蒸発・圧縮・凝縮工程に戻し、一部を次の工程であるクロロシラン中弱冷精留工程に入らせるHCl精製工程と、
(7)多段蒸発・圧縮・凝縮工程からの粗クロロシラン液体、及び/又はHCl精製工程からの真空塔底部の重質成分流体を混合した後に入らせ、操作温度が-35~10℃であり、操作圧力が0.6~2.0MPaであり、精留塔の塔頂から流出する不凝縮ガス8を熱交換してから中温圧力スイング吸着工程に戻し、精留塔の塔底から流出するクロロシラン液体の一部がHClと適切な割合(1:1~1.4)で混合液を形成し、吸収剤としてクロロシラン/HClスプレー吸収工程に戻して循環使用し、一部を硫酸と混合して次の工程である排ガス吸収工程の吸収剤として使用するクロロシラン中弱冷精留工程と、
(8)HF精留工程からの上段精留塔の頂部で留出された軽質成分の異物ガス、HF精留工程からの下段精留塔の底部から流出する重質成分が凝縮を経て形成した一部の不凝縮ガス5及びHCl精製工程からの一部の不凝縮ガス7を混合した後に、クロロシラン中弱冷精留工程からのクロロシラン液体と新鮮な硫酸の混合液を吸収剤とする排ガス吸収塔に入らせ、吸収塔の底部でフルオロケイ酸溶液を形成し、原料として送り出し、フルオロケイ酸除去方法によりAHFを調製する生産過程における原料液として循環使用し、吸収塔の頂部から流出する不凝縮ガス9を排ガスとして直接排出する排ガス吸収工程と、を含む。
【0026】
実施例2
図2に示すように、実施例1を基に、原料ガスにおけるHClの濃度が1%より小さく、HFの濃度が13%程度に増えた場合、浄化原料ガスを中温圧力スイング吸着工程に直接入らせ、1#PSA塔頂から流出する粗HFガスが凝縮を経て形成した不凝縮ガス2に対して精密濾過及び脱イオン水による吸収を行ってから濃度が40%のHF水溶液を得て外部に送り出し、水吸収を経て形成した不凝縮ガス3が水素富化ガスであり、それを送り出し、燃料ガスとして使用するが、凝縮を経て形成した粗HF液体を精密濾過してからHF精留工程に入らせ、脱着ステップにある1#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスを0.2~0.3MPaに増圧した後に2#PSA吸着塔の底部から入らせ、吸着ステップにある2#PSA吸着塔の頂部から流出する非吸着相の中間ガスを直接戻して1#PSA吸着塔に入らせ、更に有効成分を回収し、2#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガスが濃縮ガスであり、新しく増設された凝縮器を経てから形成した不凝縮ガス1を更に中温圧力スイング吸着工程の粗HFガスと混合して有効成分HFを回収し、新しく増設された凝縮器の後に形成した液体をHCl精製工程に直接入らせてHClを回収し、HCl精製工程から流出する重質成分を処理してから直接排出することで、クロロシラン/HClスプレー吸収、多段蒸発・圧縮・凝縮及び中弱冷クロロシラン精留工程を省く。
【0027】
実施例3
図3に示すように、実施例1を基に、原料ガスにおけるHFの濃度(5%)がHClの濃度(9%)より小さい場合、前処理工程からの浄化原料ガスを80~160℃まで熱交換した後にクロロシラン/HClスプレー吸収工程に入らせ、スプレー吸収塔の頂部から流出する不凝縮ガス1が凝縮を経て形成した不凝縮ガス2を更に二段のPSAからなる中温圧力スイング吸着工程に入らせ、凝縮を経て形成した凝縮液体をHCl精製工程に直接入らせ、スプレー吸収塔の底部から流出する吸収液を多段蒸発・圧縮・凝縮工程に入らせる。
【0028】
実施例4
図4に示すように、実施例1及び実施例3を基に、原料ガスにおけるHFの濃度が5%であり、HClの濃度が9%である場合、前処理工程からの浄化原料ガスを80~160℃まで熱交換した後にクロロシラン/HClスプレー吸収工程に入らせ、スプレー吸収塔の頂部から流出する不凝縮ガス1が凝縮を経て形成した不凝縮ガス2を更に二段のPSAからなる中温圧力スイング吸着工程に入らせ、不凝縮ガス2を50~80℃に冷却した後に1#PSA吸着塔の底部から入らせ、1#PSAの操作圧力が0.2~0.3MPaであり、操作温度が50~80℃であり、吸着ステップにある吸着塔の頂部から流出する非吸着相ガスが中間ガスであり、それを2#PSA吸着塔の底部に入らせ、吸着ステップにある吸着塔の頂部から流出する非吸着相ガスが粗HFガスであり、凝縮を経て形成した不凝縮ガス3に対して精密濾過及び脱イオン水による吸収を行ってから濃度が40%のHF水溶液を得て外部に送り出し、水吸収を経て形成した不凝縮ガス4が水素富化ガスであり、それを送り出し、燃料ガスとして使用するが、凝縮を経て形成した粗HF液体を精密濾過してからHF精留工程に入らせ、脱着ステップにある1#PSA吸着塔の底部から流出する脱着ガス及び2#PSA吸着塔の底部から流出する濃縮ガスをそれぞれクロロシラン/HClスプレー吸収工程に戻し、更に有効成分を回収し、不凝縮ガス1が凝縮を経て形成した凝縮液体をHCl精製工程に直接入らせ、スプレー吸収塔の底部から流出する吸収液を多段蒸発・圧縮・凝縮工程に入らせる。
【0029】
実施例5
図5に示すように、実施例1を基に、原料ガスにおけるHFとHClの濃度が合計で3%を超えておらず、H
2の含有量が90%を超えている場合、前処理工程を経て得られた浄化原料ガスを一段のPSAからなる中温圧力スイング吸着工程に直接入らせ、一段のPSAが4つの吸着塔からなり、1つの吸着塔が吸着ステップにあり、残りの吸着塔が降圧・逆ガス抜き又は真空引き、昇圧又は最終ガス詰めの異なる段階を含む脱着ステップにあり、吸着塔の操作圧力が0.2~0.3MPaであり、操作温度が70~90℃であり、浄化原料ガスをPSA吸着塔の底部から入らせ、吸着ステップにある吸着塔の頂部から流出する非吸着相ガスが吸着廃ガスであり、それを燃料ガスとして使用し、脱着ステップにある吸着塔の底部から流出する濃縮ガスが凝縮を経て形成した不凝縮ガス1を浄化原料ガスと混合して中温圧力スイング吸着工程に戻し、更に有効成分を回収し、凝縮を経て形成した凝縮液体を更にHF精留工程に入らせ、HF精留工程から流出する不凝縮ガス2を排ガス吸収工程に入らせて処理し、HF精留工程から流出するHF製品ガスを乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、HF精留塔の底部から流出する重質成分流体をHCl精製工程に直接入らせ、このようにHCl製品ガスを得て、乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、クロロシラン/HClスプレー吸収、多段蒸発・圧縮・凝縮、中弱冷クロロシラン精留工程を省く。この動作状況は従来の水洗吸収法によりエッチング排ガスを処理した後の低濃度HF/HCl含有酸性排ガスの分離と回収再利用にも適する。
【0030】
実施例6
図6に示すように、実施例1を基に、原料ガスにおけるHF/HClの濃度が30%であり、水素ガス濃度が70%より小さい場合、前処理工程を経た浄化原料ガスを凝縮して形成した不凝縮ガス1に対して、水洗を行い少量の残留酸性成分を脱離させ、希酸を生成して外部へ送り出す処理を行い、水洗を経て形成した不凝縮ガス2を燃料ガスとし、凝縮を経て形成した凝縮液をHF精留工程に入らせ、HF精留工程から流出する不凝縮ガス3を排ガス吸収工程に入らせて処理し、HF精留工程から流出するHF製品ガスを乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、HF精留塔の底部から流出する重質成分流体をHCl精製工程に直接入らせ、このようにHCl製品ガスを得て、乾式エッチングプロセスに戻して循環使用することで、クロロシラン/HClスプレー吸収、多段蒸発・圧縮・凝縮、中弱冷クロロシラン精留及び中温圧力スイング吸着工程を省く。この動作状況はプラズマにより洗浄した後に生成された高濃度HF/HCl含有排ガスの分離と回収再利用にも適する。
【0031】
実施例7
図7に示すように、実施例1~6を基に、中温圧力スイング吸着工程において水洗後に生成された不凝縮ガス又は吸着廃ガスを全て燃料ガスとして使用することを、圧力スイング吸着による水素精製の原料ガスとして使用することに変換し、まず不凝縮ガス又は吸着廃ガスを乾燥塔に入らせ、その中の水分及び少量のフッ素と塩素を含有する酸性成分を脱離させ、続いて吸着浄化段階に入らせ、シラン、ホスホラン、金属イオンを含む異物を脱離させ、水素を富化した浄化メタン-水素ガスを得て、2.6~3.0MPaに加圧してから、常温まで熱交換し、5つの吸着塔からなる圧力スイング吸着による水素精製工程に入らせ、吸着塔の頂部から純度が99.99~99.999%の超純粋水素が流出し、それを金属ゲッタからなる水素ガス純化工程に入らせ、電子グレードの水素ガス基準に合致するH
2製品ガスを得て、乾式エッチングプロセスに戻して循環使用し、吸着塔の底部から流出する脱着ガスがメタン富化ガスであり、それを燃料ガスとして使用する。
【0032】
明らかに、以上に記載の実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、実施形態の全てではない。本発明に記載の実施例に基づき、当業者が創造的な労働をすることなく得られた他の全ての実施例、又は本発明の示唆に基づいてなされた構造の改変は、本発明と同じ又は類似する技術的解決手段を有していれば、全て本発明の保護範囲内に含まれる。