(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】歩行モニタリング及び健康管理システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240822BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20240822BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61B5/11 230
A63B69/00 C
A63B71/06 M
A63B71/06 J
(21)【出願番号】P 2023180406
(22)【出願日】2023-10-19
【審査請求日】2023-10-19
(32)【優先日】2023-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501008945
【氏名又は名称】国立清華大学
【氏名又は名称原語表記】National Tsing Hua University
【住所又は居所原語表記】No.101,Section 2,Kuang-Fu Road,Hsinchu,30013,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】蔡宏営
(72)【発明者】
【氏名】田孟軒
(72)【発明者】
【氏名】呂紹睿
(72)【発明者】
【氏名】呉余山
(72)【発明者】
【氏名】陳逸軒
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-144237(JP,A)
【文献】特開2011-19669(JP,A)
【文献】特開2016-146987(JP,A)
【文献】特開2015-217126(JP,A)
【文献】国際公開第2022/250098(WO,A1)
【文献】TSUKAMOTO, Hiroaki et al.,Diagnostic accuracy of the mobile assessment of varus thrust using nine-axis inertial measurement units,Progress in rehabilitation medicine 2021,Vol. 6, 20210009,日本,The Japanese Association of Rehabilitation Mediine,2021年,https://www.jstage.jst.go.jp/article/prm/6/0/6_20210009/_pdf,doi:10.2490/prm.20210009
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のIMUと、第2のIMUと、ローカルホストと、を含む歩行モニタリング及び健康管理システムであって、
前記第1のIMUは、使用者の大腿に取り付けられ、前記大腿の活動状態を感知して、第1活動信号を生成し、
前記第2のIMUは、前記使用者の下腿に取り付けられ、前記下腿の活動状態を感知して、第2活動信号を生成し、
前記ローカルホストは、前記第1のIMU及び前記第2のIMUに電気的に接続され、マイクロプロセッサ及び警報器を含み、
マイクロプロセッサは複数の操作を実行し、前記複数の操作は、
(a)前記第1活動信号及び前記第2活動信号に従って、前記第1のIMUと水平面との間の第1仰角と、前記第2のIMUと前記水平面との間の第2仰角とを計算する操作と、
(b)前記第1仰角と前記第2仰角に従って、膝関節の曲げ角度、角速度及び持続時間を含む前記使用者の前記膝関節の活動情報を計算する操作と、
(c)前記活動情報に従って、歩行状態の前記膝関節の前記曲げ角度が危険範囲内か否かを判断し、前記危険範囲内の場合、前記警報器を制御して警告信号を出力する操作と、
を含む、ことを特徴とする歩行モニタリング及び健康管理システム。
【請求項2】
前記マイクロプロセッサは、クォータニオン法を利用して前記操作(a)を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の歩行モニタリング及び健康管理システム。
【請求項3】
前記危険範囲は、60度から120度までであり、前記曲げ角度は前記大腿の延長線と前記下腿との間の夾角である、ことを特徴とする請求項1に記載の歩行モニタリング及び健康管理システム。
【請求項4】
補助装置を更に含み、
前記第1のIMUは前記補助装置の第1取付部を介して前記大腿上に配置され、前記第2のIMUは前記補助装置の第2取付部を介して前記下腿上に配置され、前記補助装置のフィッティング部分は前記膝関節に適合し、前記フィッティング部分の中心点から前記第1のIMUまでの第1の距離、及び前記フィッティング部分の前記中心点から前記第2のIMUまでの第2の距離は15cm以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の歩行モニタリング及び健康管理システム。
【請求項5】
前記ローカルホストは前記フィッティング部分を介して前記膝関節に取り付けられ、前記補助装置は、前記第1取付部と前記フィッティング部分との間の第1接続部分と、前記第2取付部と前記フィッティング部分との間の第2接続部分と、を更に備える、ことを特徴とする請求項4に記載の歩行モニタリング及び健康管理システム。
【請求項6】
前記曲げ角度が前記危険範囲内の場合、前記マイクロプロセッサは、前記曲げ角度の前記持続時間を更に数えて、滞在時間を取得し、且つ、前記滞在時間が閾値時間より長い場合、前記マイクロプロセッサは更に前記警報器を制御して、別の警告信号を出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の歩行モニタリング及び健康管理システム。
【請求項7】
前記マイクロプロセッサは、前記使用者の年齢、活動情報及び活動状態に従って、前記閾値時間を決定する、ことを特徴とする請求項6に記載の歩行モニタリング及び健康管理システム。
【請求項8】
前記第1のIMU及び前記第2のIMUは9軸IMUであり、前記9軸IMUは加速度計と、磁力計と、ジャイロスコープとを含み、前記マイクロプロセッサは、前記加速度計と前記磁力計の1つ又は2つのセンシング値に従って、前記ジャイロスコープのセンシング値を校正し、次に精度を高めるために前記操作(a)を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の歩行モニタリング及び健康管理システム。
【請求項9】
前記活動情報は前記マイクロプロセッサの機械学習モデルに入力され、機械学習モデルは前記使用者の歩行状況を更に分類し、前記歩行状況は、階段を上る状態と、階段を下る状態と、坂道を上る状態と、坂道を下る状態と、平らな地面を歩く状態とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の歩行モニタリング及び健康管理システム。
【請求項10】
前記ローカルホストの通信インターフェースと通信するリモートホストを更に含み、
前記マイクロプロセッサは、前記通信インターフェースを介して前記リモートホストに前記活動情報を出力し、
前記リモートホストは、前記活動情報の統計分析を実行して、前記活動情報に従って前記使用者に活動修正ソリューションを提供する、ことを特徴とする請求項1に記載の歩行モニタリング及び健康管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行(gait)モニタリング及び健康管理システムに関し、特に仰角の情報に従って膝関節の曲げ角度、角速度及び/又は持続時間を計算して監視するための歩行又は膝関節活動モニタリング及び健康管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
台湾では変形性膝関節症の有病率が約15%、罹患者数は約350万人であり、低年齢化の傾向にある。変形性膝関節症は当初、治療が不可能であると考えられていました。変形性膝関節症が重度になると、関節置換が必要になる。しかし、患者の75%は関節置換手術を受けることに消極的であり、苦痛を引き起こす。膝関節ケア用のモニタリングシステムやデバイスは市販されている。しかし、これらのシステムは多くの制限があり、測定された膝データは不完全である。
【0003】
台湾特許第TWI615129B号は、足裏感知ユニットと、膝部感知ユニットと、携帯装置とを含む歩行分析システムを開示する。携帯装置は足裏感知ユニットと膝部感知ユニットの情報に基づいて歩行分析を実行する。しかしながら、TWI615129Bは計算の詳細を開示しない。また、足裏に設置された圧力センサーは歩行時に不快感を与え、コストと計算負荷が増大し、高価な携帯装置のマイクロプロセッサが必要となる。また、無線情報伝達は遅延が発生する可能性があり、リアルタイムで使用者を監視して使用者に警告しない。したがって、従来技術はさらに改良する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、仰角情報に従って、膝関節の曲げ角度、角速度及び/又は持続時間を計算して監視するための歩行モニタリング及び健康管理システムを提供し、センシングを実行するために必要な慣性計測ユニット(Inertial Measurement Unit;IMU)は2つだけである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明は、第1のIMUと、第2のIMUと、ローカルホストとを含む歩行モニタリング及び健康管理システムを提供する。第1のIMUは、使用者の大腿に取り付けられ、大腿の活動状態を感知して、第1活動信号を生成する。第2のIMUは、使用者の下腿に取り付けられ、下腿の活動状態を感知して、第2活動信号を生成する。ローカルホストは、第1のIMU及び第2のIMUに電気的に接続され、マイクロプロセッサ及び警報器を含む。マイクロプロセッサは、第1活動信号及び第2活動信号に従って、第1のIMUと水平面との間の第1仰角と、第2のIMUと水平面との間の第2仰角とを計算し、第1仰角と第2仰角に従って、膝関節の曲げ角度、角速度及び持続時間を含む使用者の膝関節の活動情報を計算し、活動情報に従って、歩行状態の膝関節の曲げ角度が危険範囲内か否かを判断し、危険範囲内の場合、警報器を制御して警告信号を出力する。
【0006】
上記実施形態によれば、大腿及び下腿に2つのIMUを取り付けられ、仰角及び膝関節の角度を計算することができ、関連するデータ分析及び警告を実行することができます。
【0007】
本発明の上述した内容をより明白かつ理解可能にするために、以下、好ましい実施例及び図面を参照しながら、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態による歩行モニタリング及び健康管理システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の歩行モニタリング及び健康管理システムの使用状態を示す。
【
図3】
図3は、
図2の歩行モニタリング及び健康管理システムを示す簡略化した概略図である。
【
図4】
図4は、
図1の歩行モニタリング及び健康管理システムの操作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、膝関節の実際の活動データを監視し、分析し、研究し、膝関節を適切に使用することによって変形性膝関節症が改善して又はさらに治癒できることを発見した。正常な人が膝関節を適切に使用している限り、変形性膝関節症を発症する可能性を大幅に減少できる。それで、本発明は、膝関節の活動を検出及び監視することによって、変形性膝関節症を予防及び治療するためのシステム及び補助装置を提供する。このシステムは、変形性膝関節症を予防及び改善するために、有害な活動に関する修正情報を提供する。
【0010】
図1から
図3に示すように、この実施形態の歩行モニタリング及び健康管理システム100は、第1のIMU10と、第2のIMU20と、ローカルホスト30とを含む。第1のIMU10は、使用者の大腿1に取り付けられ、大腿1の活動状態を感知して、第1活動信号E1を生成する。第2のIMU20は、使用者の下腿2に取り付けられ、下腿2の活動状態を感知して、第2活動信号E2を生成する。ローカルホスト30は、第1のIMU10及び第2のIMU20に電気的に接続され、マイクロプロセッサ31及び警報器32を含む。マイクロプロセッサ31は以下の操作(a)~(c)を実行する。
【0011】
まず、操作(a)において、マイクロプロセッサ31は、第1活動信号E1及び第2活動信号E2に従って、水平面HPと第1のIMU10(又は大腿1)との間の第1仰角(pitch angle)A1と、水平面HPと第2のIMU20(又は下腿2)との間の第2仰角A2とを計算する。仰角に従って歩行判断を行うことができるという利点がある。例えば、使用者が階段を上り下りするとき、大腿がより高く持ち上げられる。使用者が上り坂、下り坂、水平方向に歩いているときの膝関節の活動は同様である。しかしながら、大腿及び下腿の独立した活動範囲は同じではなく、膝関節の角度に従ってこれらの特性を判断できない。したがって、大腿の活動角度(第1仰角)及び下腿の活動角度(第2仰角)の助けを借りて、歩行判断を簡略化することができる。
【0012】
次に、操作(b)において、マイクロプロセッサ31は、第1仰角A1及び第2仰角A2に従って、使用者の膝関節3の活動情報を計算する。活動情報は、曲げ角度(又は膝関節の角度)A3と、角速度と、膝関節3の持続時間とを含む。ここで、A3 = 180 - A1 - A2度。
【0013】
それから、操作(c)において、マイクロプロセッサ31は、活動情報に従って、活動状態(例えば、歩行状態又はランニング状態)の膝関節3の曲げ角度A3(オプションの角速度及びオプションの持続時間)が危険範囲内か否かを判断する。危険範囲内の場合、マイクロプロセッサ31は、警報器32を制御して警告信号を出力する。警報器32は、ブザーやバイブレーターなどを含むが、これに限定されない。上記のデバイスに従って、活動状態データを計算し、使用者の現在の活動を予測し、膝関節活動モニタリング及び健康管理決済機能を実現することができる。ここで、ローカルホスト30は、膝関節3に配置されているため、膝関節3は振動を直接感じて、より良いリマインダーの効果を実現することができる。仰角に基づいた計算により、マイクロプロセッサ31に有用なデータを提供することができる。例えば、使用者が水平な地面上を移動している場合、足首関節4の作動角度を提供することができるため、マイクロプロセッサ31は、その他の判断基準を取得する。また、マイクロプロセッサ31は、クォータニオン法(quaternion method)を利用し、第1仰角A1及び第2仰角A2を便利に計算することができる。IMUは3軸ジャイロスコープを含む。四元数qの実数(q
0,q
1,q
2,q
3)の初期値(例えば、(1,0,0,0))が、式(1)に従って設定される。式(2)に従ってジャイロスコープの角速度変化を利用し、四元数をq'に更新し、q'は新しいqに正規化し、且つ、仰角PAは式(3)に従って決定される。
ここで、i、j、kは虚数であり、ΔTはIMUのサンプリング更新時間(sampling update time)である。
【0014】
一例では、危険範囲は、60度から120度までであり、曲げ角度A3は大腿1の延長線と、下腿2との間の夾角である。本発明者らは、歩行状態における曲げ角度A3が60度から120度の範囲で膝軟骨に対する破壊的な圧力が発生することを発見した。したがって、足裏の圧力センサーを使用する必要がない。膝関節が破壊圧力にさらされる時間が長くなるほど、膝関節の損傷の程度は大きくなるため、持続時間を考慮する必要がある。したがって、曲げ角度A3が危険範囲内の場合、マイクロプロセッサ31は、曲げ角度A3の持続時間を更に数えて、滞在時間を取得する。滞在時間が閾値時間より長い場合、マイクロプロセッサ31は更に警報器32を制御して、膝関節の損傷を防ぐために別の警告信号を出力する。異なる条件を満たすために、マイクロプロセッサ31は、使用者の年齢(事前にローカルホスト30に入力された)、活動情報及び活動状態(例えば、中速、高速及び低速歩行状態又はランニング状態)に従って、閾値時間を決定する。別の例において、マイクロプロセッサ31は、他の活動の危険範囲又は膝関節の静止曲げ角度及び閾値時間値に従って警告を実行する。
【0015】
この例では、9軸IMUが使用される。IMUはそれぞれ3次元空間内の物体の角速度と、加速度と、磁場強度とのセンシング値を測定する3軸ジャイロスコープと、3軸加速度計と、3軸磁力計とを含む。マイクロプロセッサ31は、これらのセンシング値に従って膝関節活動分析を実行する。精度を高めるために、マイクロプロセッサ31は、加速度計と磁力計の1つ又は2つのセンシング値に従ってジャイロスコープのセンシング値を校正し、クォータニオン法を利用して第1仰角及び第2仰角を計算し、次に、第1仰角及び第2仰角に従って膝関節の曲げ角度、角速度、持続時間及び高度変化などの活動情報を計算する。
【0016】
例えば、マホニー(Mahony)アルゴリズムを使用する。(q
0,q
1,q
2,q
3)の初期値(1,0,0,0)は式(1)に従って設定される。次に、ジャイロスコープの値(g
x,g
y,g
z)は加速度計の値(a
x,a
y,a
z)又は磁力計の値(m
x,m
y,m
z)に従って校正され、(q
0,q
1,q
2,q
3)は更新される。加速度計の値を使用してキャリブレーションを実行する例では、qの値(q
0,q
1,q
2,q
3)及び(式4)に従って理論的な重力加速度ベクトル(v
x,v
y,v
z)を決定する。
【0017】
次に、(a
x,a
y,a
z)は(式5)に従って(b
x,b
y,b
z)に正規化され、且つ、実際の重力加速度及び理論的な加速度との間の誤差(e
x,e
y,e
z)は(式6)に従って決定される。
【0018】
次に、積分が必要なため、パラメーター項目i=i
x+i
y+i
zは初期値i=0
x+0
y+0
zに設定され、(g
x,g
y,g
z)は係数k
i、k
p及びΔTに従って校正され、校正されたジャイロスコープの値(g'
x,g'
y,g'
z)は(式7)に従って取得される。
【0019】
一例では、ki=30及びkp=0が採用される。
【0020】
次に、(q
0,q
1,q
2,q
3)は(式8)に従って最終四元数の実数(q'
0,q'
1,q'
2,q'
3)に更新される。
【0021】
最後に、(q'
0,q'
1,q'
2,q'
3)は(式9)に従って新しい(q
0,q
1,q
2,q
3)に正規化され、且つ、仰角は式(3)に従って取得される。別の例において、磁力計を用いた校正方法は加速度計を用いた校正方法と同様であるため、詳細な説明は省略されている。利点は、四元数を利用して仰角を直接取得することができる。IMUのセンシングデータをIMUの回転座標に変換して、次に2つのIMU間の夾角を求める必要がなくなり、計算が容易になる。
【0022】
また、活動情報がマイクロプロセッサ31の機械学習モデルに入力され、機械学習モデルは使用者の歩行状況(又は全体的な活動状態)を分類する。歩行状況は、階段を上る状態と、階段を下る状態と、坂道を上る状態と、坂道を下る状態と、平らな地面を歩く状態とを含む。機械学習モデルは、サポートベクターマシン(SVM)、マルチレイヤパーセプトロン(MLP)などであってもよい。
【0023】
歩行モニタリング及び健康管理システム100は補助装置40を更に含む。第1のIMU10は補助装置40の第1取付部41を介して大腿1上に配置され、第2のIMU20は補助装置40の第2取付部42を介して下腿2上に配置される。補助装置40は、膝関節3に適合するためのフィッティング部分43を有するウェアラブルであってもよい。フィッティング部分43の中心点から第1のIMU10までの第1の距離、及びフィッティング部分43の中心点から第2のIMU20までの第2の距離は15cm以上である。これにより、実際のセンシング時の計算誤差を解決することができる。使用者は補助装置を装着してテストを実行できる。あるいは、補助装置40は第1接続部分44と、第2接続部分45とを更に備える。第1接続部分44は、第1取付部41とフィッティング部分43との間に配置され、第1取付部41及びフィッティング部分43に接続される。第2接続部分45は、第2取付部42と、フィッティング部分43との間に配置され、第2取付部42及びフィッティング部分43に接続される。したがって、使用者は、第1取付部41及び第2接続部分45を大腿及び下腿の皮膚表面に平坦に接触させる、上記の状態を満足することができる。
【0024】
歩行モニタリング及び健康管理システム100はリモートホスト90を更に含むことができる。リモートホスト90はローカルホスト30の通信インターフェース33と通信するか、通信インターフェース33に接続される。リモートホストは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、又はサーバーであってもよい。マイクロプロセッサ31は、通信インターフェース33を介してリモートホスト90に膝関節の活動情報を出力する。リモートホスト90は、活動情報の統計分析を実行して、活動情報に従って使用者に活動修正ソリューションを提供する。したがって、使用者の有害な活動を修正するための情報を提供することができる。このシステムは、使用者の歩行情報の歴史的統合及び分析を実行し、エラー数や危険角度の滞在時間などを毎日取得し、更に適切な活動修正ソリューションを提供することができる。使用者は、修正ソリューションのいくつかのパラメーターを決定し、進行曲線を追跡することもできる。また、膝関節に影響する年齢、活動状態などの要因に基づいて、パーソナライズされた歩行改善プログラムをさまざまな民族グループに従って作成し、パーソナライズされた歩行又は活動提案をカスタマイズし、膝関節の寿命を延ばすことができる。
【0025】
要約すれば、本発明は、ステップS1~S10を含む歩行モニタリング及び健康管理方法も提供する。
【0026】
使用者が補助装置を装着した後、歩行テストを実行する(S1)。本発明者らは、第1の距離と第2の距離が15cmより小さい場合、計算された膝関節の角度が60度より小さいことを発見し、それによって後続の誤差が発生する。従って、膝関節の角度(又は曲げ角度)が60度以上か否かを判断する必要がある(S2)。膝関節の角度が60度より小さい場合、システムは使用者に補助装置を調整するよう通知する(S3)。膝関節の角度が60度以上の場合、システムは実際の監視を実行し(S4)、オプションの精度校正を実行し(S5)、仰角を決定し(S6)、活動情報を計算する(S7)。次に、システムは膝関節の角度が危険範囲内か否かを判断する(S8)。危険範囲外の角度の場合、ステップS4に戻る。危険範囲内の角度の場合、警告信号を出力し、滞在時間をカウントする(S9)。次に、システムは滞在時間が閾値時間より長いか否かを判断する(S10)。滞在時間が閾値時間を超えない場合、ステップS4に戻る。滞在時間が閾値時間を超えた場合、ステップS9に戻る。
【0027】
足裏や膝への追加の圧力判定が必要な従来技術と比較して、本発明は下腿と大腿に取り付けられた2つのIMUのみが必要であり、データ分析と警告を実行することができる。また、このシステムは、歩行分析結果と個人の生理情報(例えば、年齢)に従って、対応する警告を提供し、又は活動方法を提案することができる。使用者は、このシステムを利用して、パーソナライズされたトレーニング内容を設定し、進行曲線を追跡することもできる。
【0028】
好ましい実施例に関する詳細な説明で提示された具体的な実施例は、本発明の技術的な内容を説明するためのものであり、本発明を上述した実施例に狭く限定するのではない。本発明の思想及び以下の特許請求の範囲を逸脱しない様々な変更は、本願発明の範囲に含まれている。
【符号の説明】
【0029】
A1:第1仰角
A2:第2仰角
A3:曲げ角度
E1:第1活動信号
E2:第2活動信号
HP:水平面
S1~S10:ステップ
1:大腿
2:下腿(ふくらはぎ)
3:膝関節
4:足首関節
10:第1のIMU
20:第2のIMU
30:ローカルホスト
31:マイクロプロセッサ
32:警報器
33:通信インターフェース
40:補助装置
41:第1取付部
42:第2取付部
43:フィッティング部分
44:第1接続部分
45:第2接続部分
90:リモートホスト
100:歩行モニタリング及び健康管理システム
【要約】 (修正有)
【課題】歩行モニタリング及び健康管理システムを提供する。
【解決手段】歩行モニタリング及び健康管理システム100は、第1のIMU10と、第2のIMU20と、ローカルホスト30とを含む。第1のIMUは使用者の大腿に取り付けられ、大腿の活動状態を感知して、第1活動信号を生成する。第2のIMUは使用者の下腿に取り付けられ、下腿の活動状態を感知して、第2活動信号を生成する。ローカルホストはマイクロプロセッサ及び警報器を含む。マイクロプロセッサは、第1活動信号及び第2活動信号に従って第1のIMUと水平面との間の第1仰角と、第2のIMUと水平面との間の第2仰角とを計算し、第1仰角と第2仰角に従って膝関節の曲げ角度、角速度及び持続時間を含む使用者の膝関節の活動情報を計算し、活動情報に従って歩行状態の膝関節の曲げ角度が危険範囲内か否かを判断し、危険範囲内の場合、警報器を制御して警告信号を出力する。
【選択図】
図2