(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】回転器具
(51)【国際特許分類】
F16C 17/08 20060101AFI20240822BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20240822BHJP
F04D 25/08 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F16C17/08
F16C11/04
F04D25/08 306F
F04D25/08 302E
(21)【出願番号】P 2023208767
(22)【出願日】2023-12-11
【審査請求日】2023-12-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523365550
【氏名又は名称】株式会社ゲットクリーンエナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100100918
【氏名又は名称】大橋 公治
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 豊道
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-341907(JP,A)
【文献】実開昭59-138383(JP,U)
【文献】登録実用新案第3067320(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00
- 9/00
F04D 25/08
F16C 17/04
F16C 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部品と、前記第1の部品の上側に在って、前記第1の部品に対して相対的に回転可能な第2の部品とを有し、前記第2の部品
の面に結合された被回転体の前記第1の部品に対する回転を可能にする回転器具であって、
前記被回転体が結合された前記第2の部品の面は、前記第2の部品の、前記第1の部品が存在する側の反対側にあり、
前記第2の部品は、下端に開口する開口部、及び、前記開口部に連なる、該開口部より広い面積の空間部分を備える凹部と、前記凹部の中心位置から前記開口部を突き抜けて下方に伸びる円柱部分とを有し、
前記第1の部品は、前記第2の部品の前記円柱部分を受け入れる孔部と、前記凹部の前記空間部分に挿入される凹部挿入部とを有し、
前記第2の部品の前記円柱部分の先端に設けられた円錐形状部分の先が、前記第1の部品の前記孔部の底面に、直接又は軸受を介して接触し、
前記第2の部品の前記凹部と、前記第1の部品の前記凹部挿入部との係合により前記円柱部分の重力方向からのズレが規制されている、回転器具。
【請求項2】
請求項1に記載の回転器具であって、
前記第1の部品、及び、前記第2の部品が金属で成形されている回転器具。
【請求項3】
請求項2に記載の回転器具であって、
前記第2の部品の前記円錐形状部分が潤滑油に囲まれている回転器具。
【請求項4】
請求項1に記載の回転器具であって、
前記第1の部品、及び、前記第2の部品が合成樹脂で成形されている回転器具。
【請求項5】
請求項4に記載の回転器具であって、
前記第2の部品の前記円錐形状部分が金属で覆われている回転器具。
【請求項6】
請求項1に記載の回転器具であって、
前記第1の部品の、前記第2の部品の前記円錐形状部分を囲む部位に、外界と連通する複数の通気孔が設けられている回転器具。
【請求項7】
請求項1に記載の回転器具であって、
前記軸受は、中心に配置された一個の小径の球状転動体と、前記球状転動体の周囲に配置された、前記球状転動体よりも径が大きい複数の球状転動体とを備える回転器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被回転体の回転を支援する回転器具に関する。
【背景技術】
【0002】
回転する部材は、自動車、おもちゃ、電気製品等、多くの製品に含まれている。
例えば、下記特許文献1には、
図8に示すように、羽根車3が回転して、水平方向に360度送風できる扇風機1が記載されている。この扇風機1は、スタンド2の内部に、電動機と、その回転力を羽根車3に伝える回転軸とが収納されている。羽根車3は、金網で作られてガード部4で覆われている。
【0003】
回転する部材と固定部材との、接触荷重が加わる箇所での接触面積が大きい場合は、回転部材の回転効率が低下する。また、回転に伴って、回転軸の回転中心や回転角度にズレが生じる場合は、回転軸の揺れが発生して、静粛性が損なわれたり、回転効率が悪化したりすることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、回転する部材と接続して、その部材の回転機構として効率的な回転を実現する回転器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の部品と、前記第1の部品の上側に在って、前記第1の部品に対して相対的に回転する第2の部品とを有し、前記第2の部品の面に結合された被回転体が、前記第1の部品に対して回転できるようにする回転器具である。そして、前記被回転体が結合された前記第2の部品の面は、前記第2の部品の、前記第1の部品が存在する側の反対側にあり、前記第2の部品は、下端に開口する開口部、及び、前記開口部に連なる、該開口部より広い面積の空間部分を備える凹部と、前記凹部の中心位置から前記開口部を突き抜けて下方に伸びる円柱部分とを有し、前記第1の部品は、前記第2の部品の前記円柱部分を受け入れる孔部と、前記凹部の前記空間部分に挿入される凹部挿入部とを有している。また、前記第2の部品の前記円柱部分の先端に設けられた円錐形状部分の先が、前記第1の部品の前記孔部の底面に、直接または軸受を介して接触し、前記第2の部品の前記凹部と、前記第1の部品の前記凹部挿入部との係合により前記円柱部分の重力方向からのズレが規制されている。
【0007】
この回転器具では、被回転体の重量を、第1の部品の孔部底面に接触する第2の部品の円柱部分の先端で支えているが、この先端には円錐形状が形成されているため、第1の部品の孔部底面との接触面積が小さい。そのため、高い回転効率が維持できる。また、第2の部品の凹部と、第1の部品の凹部挿入部との係合により、円柱部分の揺れの発生が抑えられるため、円柱部分先端の円錐形状と第1の部品の孔部底面との接触位置がズレたり、円柱部分が傾いたりする事態が防止できる。
【0008】
また、この回転器具は、前記第1の部品、及び、前記第2の部品が金属で成形される。
【0009】
また、金属で成型された前記第2の部品の前記円錐形状部分を潤滑油で囲むようにしても良い。
そうすることで、第2の部品の円錐形状部分と、第1の部品の孔部底面との摩擦を減らし、摩耗を防ぎ、摩擦熱の発生を抑えることができる。
【0010】
また、この回転器具は、前記第1の部品、及び、前記第2の部品が合成樹脂で成形されても良い。
【0011】
また、この場合、合成樹脂で成形された前記第2の部品の前記円錐形状部分を金属で覆っても良い。
【0012】
また、前記第1の部品における、前記第2の部品の前記円錐形状部分を囲む部位に、外界と連通する複数の通気孔を設けても良い。
そうすることで、第2の部品の円錐形状部分と、第1の部品の孔部底面との間に発生する摩擦熱を、この通気孔から逃がすことができる。
【0013】
また、前記第1の部品の前記孔部の底面に設置する軸受は、中心に配置された一個の小径の球状転動体と、前記球状転動体の周囲に配置された、前記球状転動体よりも径が大きい複数の球状転動体とを備えている。
第2の部品の円柱部分が回転するとき、軸受の小径の球状転動体は、第2の部品の円柱部分の先端(円錐形状部分の中心位置)に当接して転動し、複数の大径の球状転動体は、円錐形状部分の斜面に当接して転動する。このように、軸受の小径の球状転動体及び大径の球状転動体の全てが一斉に転動するため、回転時の摩擦が減少し、滑らかな回転が可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の回転器具は、回転する部材を支持して、その部材の効率的な回転を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の回転器具を扇風機に用いた状態を示す図。
【
図2】(a)
図1の回転器具の構造を示す断面図、(b-1)回転器具の回転側部品の斜視図、(b-2)回転側部品の断面図、(c-1)回転器具の固定側部品の斜視図、(c-2)固定側部品の断面図。
【
図3】回転側部品と固定側部品との組合せ方の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、実施例における回転器具10を扇風機1に用いた状態を示している。
この扇風機1は、ガード部4で覆われた羽根車3が回転して、水平方向に360度送風できる構造を有している。この扇風機1の下方からは、羽根車3の回転軸5が突出しており、回転軸5の下端が、本発明の回転器具10に結合されている。
【0018】
また、回転軸5には、傘歯車51が固定され、この傘歯車51が、モーター60の回転軸61に結合された傘歯車62と歯合して、羽根車3の回転が行われる。
【0019】
回転器具10は、
図2(a)に示すように、回転側部品20(特許請求の範囲で言う“第2の部品”)と、固定側部品30(特許請求の範囲で言う“第1の部品”)とから成る。固定側部品30は固定され、回転側部品20は、固定側部品30に対して回転可能である。
【0020】
図2(b-1)(b-2)に回転側部品20を示し、
図2(c-1)(c-2)に固定側部品30を示している。
回転側部品20は、下端に開口する開口部21と、開口部21に連なる空間部分22とから成る凹部23を有し、更に、この凹部23の中心位置から開口部21を突き抜けて下方に伸びる円柱部分24を有している。円柱部分24の先端には円錐形状部分25が設けられている。
凹部23の空間部分22は、開口部21よりも広い面積を有している。
【0021】
一方、回転金具10の固定側部品30は、回転側部品20の円柱部分24を受け入れる孔部31と、回転側部品20の凹部23の空間部分22に挿入される凹部挿入部32とを有している。
【0022】
回転器具10の固定側部品30と、回転側部品20とを組合わせたとき、
図2(a)に示すように、回転側部品20の円柱部分24の先端に設けられた円錐形状部分25の先が、固定側部品30の孔部31の底面に接触する。また、固定側部品30の凹部挿入部32が回転側部品20の凹部23の空間部分22に入り込み、固定側部品30に対する回転側部品20の位置が規制される。
【0023】
なお、固定側部品30及び回転側部品20を
図2(a)の状態に組合わせるためには、固定側部品30及び回転側部品20のそれぞれを複数の部品の結合体とすることが必要になる。
【0024】
図3には、その一例として、固定側部品30を点線の位置で30(1)と30(2)とに分割し、回転側部品20を点線の位置で20(1)と20(2)とに分割し、分割した各部品を矢印で示す位置に配置した後、固定側部品30及び回転側部品20のそれぞれを再結合して、
図2(a)の状態を得る場合を示している。
【0025】
回転側部品20の円柱部分24に設けられた円錐形状部分25の先端と、固定側部品30の孔部31の底面との接触抵抗は小さい。
そのため、回転器具10の回転側部品20に固定された扇風機1の回転軸5は、高い回転効率で回転することができ、高速での回転が可能になる。
【0026】
また、回転器具10の回転側部品20の凹部23と、固定側部品30の凹部挿入部32とが係合して、回転側部品20に固定された回転軸24が重力方向からズレた状態で回転する事態を防いでいる。
そのため、扇風機1の回転軸5は、安定した状態で回転することが可能である。
【0027】
なお、回転器具10の固定側部品30及び回転側部品20は、金属や合成樹脂等で成形することができる。
【0028】
また、回転器具10の固定側部品30及び回転側部品20を金属で成形した場合は、
図4に示すように、回転側部品20の円柱部分24の先端を潤滑油80で囲むようにしても良い。
そうすることで、円柱部分24先端の円錐形状部分25と、固定側部品30の孔部31底面との摩擦を減らし、摩耗を防ぎ、摩擦熱の発生を抑えることができる。
【0029】
また、固定側部品30及び回転側部品20を合成樹脂で成形する場合は、
図5に示すように、回転側部品20の円柱部分24先端の円錐形状部分25に金属71を被せて、この部分25の機械的強度を補強するようにしても良い。
【0030】
また、
図6に示すように、固定側部品30の孔部31の底面近傍(即ち、円柱部分24先端の円錐形状部分25を囲む部位)に、外界と連通する複数の通気孔33を設け、円錐形状部分25と、固定側部品30の孔部底面との間に発生する摩擦熱を、この通気孔33から逃がすようにしても良い。
【0031】
また、
図7(a)(b)に示すように、固定側部品30の孔部31の底面に軸受81を配置して、回転側部品20の円柱部分24の先端を軸受81で受けるようにしても良い。
この軸受82は、
図7(b)示すように、円筒状の外輪82の内側に、複数の大径の球状転動体83が環状に配列され、その環の中心に小径の球状転動体84が一個配置されている。
【0032】
この小径の球状転動体84は、
図7(a)に示すように、丸みを帯びた円柱部分24の先端(円錐形状部分25の中心位置)に当接し、複数の大径の球状転動体83は、その中心位置の周囲に存在する円錐形状部分25の斜面に当接する。
【0033】
このように、軸受81により回転側部品20の円柱部分24の先端を受ける場合は、円柱部分24が回転すると、軸受81の小径の球状転動体84及び大径の球状転動体83の全てが一斉に回転するため、回転時の摩擦が減少し、滑らかな回転が可能になる。
【0034】
ここでは、回転器具10を用いて扇風機1を回転させる例を示したが、本発明の回転器具10は、各種回転部品の回転機構として使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の回転器具は、各種産業分野において回転部品の回転機構として利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 扇風機
3 羽根車
4 ガード部
5 回転軸
10 回転器具
20 回転側部品
21 開口部
22 空間部分
23 凹部
24 円柱部分
25 円錐形状部分
30 固定側部品
31 孔部
32 凹部挿入部
33 通気孔
51 傘歯車
60 モーター
61 回転軸
62 傘歯車
71 被覆金属
80 潤滑油
81 軸受
82 軸受外輪
83 大径の球状転動体
84 小径の球状転動体
【要約】
【課題】 回転する部材と接続して、その部材の効率的な回転を支援する回転器具を提供する。
【解決手段】 固定側部品30と、固定側部品30に対して相対的に回転する回転側部品20とを有し、回転側部品20に結合された被回転体が、固定側部品30に対して回転できるようにする回転器具である。回転側部品20は、下端に開口する開口部21、及び、開口部に連なる凹部22と、凹部22の中心位置から伸びる円柱部分24とを有し、固定側部品30は、回転側部品20の円柱部分24を受け入れる孔部31と、凹部22に挿入される凹部挿入部32とを有している。円柱部分24先端の円錐形状部分25の先が孔部31の底面に接触し、回転側部品20の凹部22と、固定側部品30の凹部挿入部32との係合により円柱部分24の重力方向からのズレが規制される。
【選択図】
図2