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特許7541815旋盤で使用するための工具キャリアアセンブリおよびその工具キャリアアセンブリを備えた旋盤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】旋盤で使用するための工具キャリアアセンブリおよびその工具キャリアアセンブリを備えた旋盤
(51)【国際特許分類】
   B23B 21/00 20060101AFI20240822BHJP
   B23B 3/26 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B23B21/00 C
B23B3/26
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019124633
(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公開番号】P2020032525
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】18181750.3
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508122046
【氏名又は名称】ディー・エム・ジィ・モリ・ベルガモ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】DMG MORI BERGAMO S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】エンリコ ペルシコ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンフランコ カステリ
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-197103(JP,A)
【文献】特開2001-018101(JP,A)
【文献】特開平08-039303(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0256932(US,A1)
【文献】特開昭60-094201(JP,A)
【文献】特開昭62-063036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 3/16、26
B23B 11/00
B23B 21/00
B23B 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋盤で使用するための工具キャリアアセンブリであって、
ワークピースキャリースピンドル(1)に受け入れられたワークピース(W)を回転可能に駆動するための少なくとも1つの前記ワークピースキャリースピンドル(1)を含み、
前記工具キャリアアセンブリ(100)が、
前記ワークピースキャリースピンドル(1)のスピンドル軸(Z)に対して横方向または垂直方向に設定される第1の方向(Y;X)に移動可能である第1のスライド(110;130)と、
前記第1のスライド(110;130)上に支持されている工具キャリア(150)であって、前記第1の方向(Y;X)に沿って互いに隣接して配置される複数の工具(FT、LT)を保持するように構成されている前記工具キャリア(150)と、
工具駆動装置を含む工具駆動ユニット(160)であって、前記工具駆動装置は、前記工具(LT1)が工具駆動位置に配置されたときに、前記工具を回転可能に駆動するため前記工具キャリア(150)により保持された複数の工具の1つに係合するためのものである工具駆動ユニット(160)と、
駆動機構(111、122、124;111、128;131)であって、前記工具駆動装置が前記工具(LT1)と係合解除されたとき、複数の工具のうちの別の工具を前記工具駆動位置に相対的に移動させるために、前記工具駆動位置に対して前記第1の方向(Y;X)へ、前記工具キャリア(150)と共に前記第1のスライド(110;130)を移動させるための駆動機構(111、122、124;111、128;131)と、を含む工具キャリアアセンブリ。
【請求項2】
前記工具駆動ユニット(160)を支持している第2のスライド(120)であって、前記第2のスライド(120)は前記第1の方向(Y)に移動可能であり、
前記駆動機構(111、122、124; 111、128)は、前記第1の方向(Y)で前記第1および第2のスライド(110、120)の移動を駆動するように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項3】
前記駆動機構(111、122、124; 111、128)は前記工具駆動装置が前記工具(LT1)と係合したときに、前記工具(LT1)を用いて前記ワークピースキャリースピンドル(1)内に受け入れられたワークピースを機械加工するために、前記第1の方向(Y)で前記第1および第2のスライド(110、120)の関連動作を駆動するように構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項4】
前記駆動機構(111、122、124; 111、128)は前記第2のスライド(120)に対する前記第1のスライド(110)の相対運動を駆動するように構成され、前記工具駆動装置が前記工具(LT1)と係合解除されるときに、前記複数の工具のうちの別の工具を前記工具駆動位置に相対的に移動させ、
前記第2のスライド(120)に対する前記第1のスライド(110)の相対運動を駆動するために、前記駆動機構(111、122、124; 111、128)は、第2のスライド(120)に対する前記第1のスライド(110)の第1の方向(Y)での運動および前記第1のスライド(110)に対する前記第2のスライド(120)の第1の方向(Y)での運動の少なくもひとつの運動を構成している、ことを特徴とする請求項2または3に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項5】
前記駆動機構は、前記第1のスライド(110)の第1の方向(Y)での移動を駆動するための第1の駆動装置(111)と、前記第2のスライド(120)の第1の方向(Y)での移動を駆動するための第2の駆動装置(128)とを含む、ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項6】
前記第1および第2の駆動装置(111、128)は、前記旋盤のNC制御ユニットの制御下で、前記第1および第2の駆動装置(111、128)による前記第1の方向(Y)での前記第1および第2のスライド(110、120)の関連動作の同期駆動のために、同期動作モードで動作するように構成され、
および/または、前記第1および第2の駆動装置のうちの少なくとも1つは前記第1および第2の駆動装置によって前記第2のスライド(120)に対する前記第1のスライド(110)の相対運動を駆動する独立動作モードで動作するように構成される、ことを特徴とする請求項5に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項7】
前記駆動機構(111、122、124)は、第1のスライド(110)または第2のスライド(120)のいずれかを第1の方向(Y)に移動させるための駆動装置(111)を備え、
解除可能な固定機構(112、122、123)は、前記駆動装置(111)によって第1および第2のスライド(110、120)の第1の方向(Y)の前記関連動作を駆動するために、第1および第2のスライド(110、120)の間の解除可能な固定アタッチメントを作動させるように構成される、ことを特徴とする請求項に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項8】
前記解除可能な固定機構(112、122、123)は、前記第1のスライド(110)の前記第2のスライド(120)に対する相対運動を前記駆動装置(111)によって前記第1の方向(Y)で駆動するために、前記第1のスライド(110)と前記第2のスライド(120)との間の前記固定アタッチメントを解除するようにさらに構成されている、ことを特徴とする請求項7に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項9】
前記解除可能な固定機構は、前記第1および第2のスライドの一方に配置され、前記第1および第2のスライドの他方に配置された係合部(112)と係合するように構成された、電気式、油圧式または空気圧式の第1のアクチュエータ(122)を含む、ことを特徴とする請求項7または8に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項10】
前記解除可能な固定機構は、前記駆動装置(111)によって駆動されない前記第1および第2のスライドの一方に配置され、前記駆動装置が前記第2のスライドに対する前記第1のスライドの相対運動を前記駆動装置によって駆動しているときに、前記駆動装置(111)によって駆動されない前記第1および第2のスライドの一方を支持する支持部の別の係合部(135)と係合するように構成された、電気式、油圧式または空気圧式の第2のアクチュエータ(124)を含む、ことを特徴とする請求項7、8または9に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項11】
第3のスライド(130)は第2の方向(X)に移動可能であり、前記第2の方向(X)が前記第1の方向(Y)に対して横断方向または垂直方向に配置され且つ前記スピンドル軸(Z)に対して横断方向または垂直方向に配置され、前記第1および/または第2のスライド(110、120)が前記第3のスライド(130)上に配置されている、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項12】
前記工具駆動ユニット(160)および前記第1のスライド(130)を支持する第2のスライド(170)であって、前記第2のスライド(170)は前記スピンドル軸の軸方向に沿ってまたは前記スピンドル軸と平行に配置された第2の方向(Z)に移動可能であり、前記駆動機構は、前記第2の方向(Z)に前記第2のスライド(170)の移動を駆動するようにさらに構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項13】
工具キャリア(150)は各工具に対して、それぞれの工具に冷却液を供給するためのそれぞれの関連するノズル(151)を備え、各ノズル(151)は工具キャリア(150)のそれぞれの関連する冷却液入口(154)に接続され、工具駆動ユニット(160)は工具駆動ユニット(160)の工具駆動装置に対して工具駆動位置に配置された前記工具(LT1)に関連するそれぞれのノズル(151)に接続された工具キャリア(150)の冷却液入口(154)のうちの1つと解除可能な接続に係合するように構成された冷却液供給出口(163)をさらに備える、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項14】
工具キャリア(150)が、各工具について、固定工具(FT)または回転駆動工具(LT)を受け入れるためのそれぞれの工具受け入れ部(152)を備え、回転可能に駆動される工具(LT)がそれぞれの工具受け入れ部(152)に受け入れられたそれぞれの工具ホルダカートリッジ(C)に保持され、回転可能に支持され、各工具ホルダカートリッジ(C)はそれぞれの工具ホルダカートリッジ(C)によって保持された工具に対して反対側の端部に、それぞれの工具ホルダカートリッジ(C)によって保持された工具が工具駆動装置に対して工具駆動位置に配置されたときに、工具駆動装置に含まれるさねはぎ結合の反対側の駆動要素(D2)と解除可能に係合するように構成されたさねはぎ結合のそれぞれの駆動要素(D1)を含むことを特徴とする、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の工具キャリアアセンブリ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の工具キャリアアセンブリ(100;200;300)を含む、ことを特徴とする、旋盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は工作機械、特に旋盤で使用するための工具キャリアアセンブリ(工具搬送組立体)に関し、特にワークピースキャリースピンドルに受け入れられたワークピースを回転可能に駆動するための少なくとも1つのワークピースキャリースピンドルと、このような工具キャリアアセンブリを有する工作機械、特に旋盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、フライス盤または旋盤などの数値制御工作機械が知られている。典型的にはフライス盤が工具キャリースピンドル内に受け入れられる切削工具をワークピースに対して回転可能に駆動するための1つ以上の工具キャリースピンドルを有し、一方、旋盤は典型的にはワークピースキャリースピンドル内に受け入れられるワークピースを工具に対して回転可能に駆動するための1つ以上のワークピースキャリースピンドルを有する。
【0003】
そのような工作機械ではワークピースを機械加工するための工具アセンブリを提供することが望まれ、ワークピースはコンパクトで頑丈であるが、同時に、回転駆動されるライブ工具(live tools)および固定工具を含む複数の工具選択肢による機械加工の汎用性、ならびにその効率的な工具交換を可能にし、同時に、コンパクトな配置で工具のための複数の移動選択肢をさらに提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に鑑みて、本発明の目的は、ワークピースキャリースピンドルを有する工作機械において、効率的でコンパクトで汎用性のある工具キャリアアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を解決するために、本発明の例示的な態様によれば、請求項1に記載の工具キャリアアセンブリと、請求項15に記載の工作機械、特に旋盤とが提案される。従属請求項は、例示的な好ましい実施形態に関する。
【0006】
例示的な態様によれば、工作機械、特に旋盤で使用するための工具キャリアアセンブリが提案される。工作機械は特に、ワークピースキャリースピンドル内に受け入れられたワークピースを回転可能に駆動するための少なくとも1つのワークピースキャリースピンドルを含むことができる。
【0007】
工具キャリアアセンブリは、ワークピースキャリースピンドルのスピンドル軸に対して横方向または垂直方向に設定できる、第1の方向で移動可能な第1のスライドを備えてもよい。
【0008】
工具キャリアアセンブリは第1の方向に沿って(好ましくは第1の方向に沿って、特に好ましくは互いに規則的な距離で延在する列状の配置で)互いに隣接して配置された複数の工具を保持するように構成された工具キャリアを備えてもよく、工具キャリアは第1のスライド上に支持されてもよい。
【0009】
さらに、工具キャリアアセンブリは工具が工具駆動装置に対して工具駆動位置に配置されたときに、工具キャリアによって保持された複数の工具のうちの1つと係合して前記工具を回転可能に駆動するための工具駆動装置を含む工具駆動ユニットを含むことができる。
【0010】
工具キャリアアセンブリは例えば、複数の工具のうちの別の工具を工具駆動位置に対して移動させるために、工具駆動装置が前記工具と係合解除されたときに、好ましくは工具キャリアと共に、工具駆動位置に対して第1の方向に第1のスライドの移動を駆動するための駆動機構を含むことができる。
【0011】
さらなる例示的な態様によれば、工作機械、特に旋盤が提案され、工作機械は、ワークピースキャリースピンドル内に受け入れられたワークピースを回転可能に駆動するための少なくとも1つのワークピースキャリースピンドルと、上記および/または下記の工具キャリアアセンブリとを備える。
【0012】
以下では、さらなる好ましい例示的な態様および変形例を例示的に説明する。
【0013】
いくつかの例示的な態様では工具キャリアが好ましくは複数の工具または各工具に対して、それぞれの工具に冷却液を供給するためのそれぞれの関連するノズルを備えることができ、各ノズルは好ましくは工具キャリアのそれぞれの関連する冷却液入口に接続される。
【0014】
好ましくは、工具駆動ユニットが工具駆動ユニットの工具駆動装置に対して工具駆動位置に配置された前記工具に関連付けられたそれぞれのノズルに接続された工具キャリアの冷却液入口のうちの1つと解除可能な接続に係合するように構成された冷却液供給出口をさらに備えることができる。
【0015】
いくつかの例示的な態様では、工具キャリアが好ましくは複数の工具または各工具について、固定工具または回転可能に駆動される工具を受け入れるためのそれぞれの工具受け入れ部を備える。好ましくは、回転可能に駆動される工具がそれぞれの工具受け入れ部に受容されるそれぞれの工具ホルダカートリッジに保持され、かつ/または回転可能に支持される。
【0016】
好ましくは工具ホルダカートリッジのうちの1つまたは複数が好ましくはそれぞれの工具ホルダカートリッジによって保持される工具に対して反対側のその端部に、好ましくはそれぞれの工具ホルダカートリッジによって保持される工具が工具駆動装置に対して工具駆動位置に配置されるときに、工具駆動装置に含まれるさねはぎ結合(tongue-and-groove coupling)の反対側の駆動要素と解除可能に係合するように構成されたさねはぎ結合のそれぞれの駆動要素を含むことができる。
【0017】
特に好ましい例示的な態様では、工具キャリアアセンブリが好ましくは第1のスライドが第1の方向に移動可能であることに加えて、第1の方向とは異なる別の第2の方向に移動可能である第2のスライドを備える。
【0018】
ここで、好ましくは第2のスライドが工具駆動ユニットおよび/または第1のスライドを支持することができ、そして第2のスライドは軸方向またはスピンドル軸と平行に配置された第2の方向で移動可能であってもよい。前記駆動機構は、第2のスライドの第2の方向への移動を駆動するようにさらに構成されてもよい。
【0019】
いくつかの他の特に好ましい例示的な態様では、前記工具キャリアアセンブリが好ましくは第1のスライドが第1の方向に移動可能であることに加えて、第2のスライドが第1の方向に、すなわち第1のスライドの移動に平行に移動可能であることを含む。前記駆動機構は、第1および第2のスライドの第1の方向への移動を駆動するように構成されてもよい。第2のスライドは、工具駆動ユニットを支持することができる。
【0020】
ここで、好ましくは、第1のスライドが好ましくは第1の方向に沿って互いに隣接して配置された複数の工具を保持するように構成された工具キャリアを支持することができ、第2のスライドは好ましくは工具が工具駆動装置に対して工具駆動位置に配置されたときに、複数の工具のうちの1つと係合して前記工具を回転可能に駆動するための工具駆動装置を支持することができる。
【0021】
上記の例示的な態様では、工具キャリアアセンブリが第1の方向以外の第2の方向に移動可能な第3のスライドを備えることができる。第2の方向は、第1の方向に対して横方向、または垂直方向、および/またはスピンドル軸に対して横方向、または垂直方向に配置することができる。第1および/または第2のスライドは、好ましくは第3のスライド上に配置されてもよい。
【0022】
いくつかの例示的な態様では、駆動機構が好ましくは例えば、工具を用いてワークピースキャリースピンドルに受け入れられたワークピースを機械加工するために、工具駆動装置が前記工具と係合したときに、第1および第2のスライドの関連動作(joint movement)を第1の方向で駆動するように構成することができる。
【0023】
いくつかの例示的な態様では、駆動機構が好ましくは工具駆動装置が前記工具と係合解除されたときに、第2のスライドに対する第1のスライドの相対運動を駆動して、例えば、複数の工具のうちの別の工具を工具駆動位置に対して移動させるように構成されてもよい。
【0024】
いくつかの例示的な態様では例えば、第2のスライドに対する第1のスライドの相対運動を駆動するために、駆動機構は第2のスライドに対する第1のスライドの第1の方向への運動と、第1のスライドに対する第2のスライドの第1の方向への運動とのうちの少なくとも1つを駆動するように構成されてもよい。すなわち、駆動機構は、第2のスライドに対する第1のスライドの第1の方向への移動および/または第1のスライドに対する第2のスライドの第1の方向への移動を駆動するように構成されてもよい。
【0025】
いくつかの例示的な態様では、駆動機構が第1のスライドの第1の方向への移動を駆動するための第1の駆動装置、および/または第2のスライドの第1の方向への移動を駆動するための第2の駆動装置を含むことができる。
【0026】
いくつかの例示的な態様では第1および第2の駆動装置が例えば、第1および第2の駆動装置による第1の方向への第1および第2のスライドの関連動作の同期駆動のために、同期動作モードで、特に好ましくは工作機械のNC制御ユニット、または工作機械のNC制御ユニットと協働して動作する工具キャリアアセンブリシステムの独立したNC制御ユニットもしくはサブ制御ユニットの制御下で動作するように構成されてもよい。
【0027】
いくつかの例示的な態様では、第1および/または第2の駆動装置のうちの少なくとも1つは例えば、第1および/または第2の駆動装置によって第2のスライドに対する第1のスライドの相対運動を駆動するために、独立した動作モードで動作するように構成されてもよい。
【0028】
いくつかの他の例示的な態様では、駆動機構が第1のスライドまたは第2のスライドのいずれかを第1の方向に移動させるための、例えば単一の駆動装置などの駆動装置を含むことができる。好ましくはここで、他方のスライドは第1の方向に駆動するための別の駆動装置を有していなくてもよい。
【0029】
好ましくは、ここで、駆動機構が、例えば、駆動装置によって第1および第2のスライドの関連動作を第1の方向に駆動するために、第1および第2のスライドの間の固定アタッチメントを作動させるように構成された解除可能な固定機構を含むことができる。
【0030】
いくつかの例示的な態様では、解除可能な固定機構が第1のスライドと第2のスライドとの間の固定アタッチメントを解除して、駆動装置による第2のスライドに対する第1のスライドの相対運動を駆動するようにさらに構成されてもよい。
【0031】
いくつかの例示的な態様では、解除可能な固定機構が好ましくは第1および第2のスライドの一方に配置され、好ましくは第1および第2のスライドの他方に配置された係合部と係合するように構成された、電気式、油圧式および/または空気圧式の第1のアクチュエータを含むことができる。
【0032】
いくつかの例示的な態様では解除可能な固定機構が好ましくは駆動装置によって駆動されない第1および第2のスライドのうちの1つに配置され、好ましくは駆動装置が駆動装置によって第2のスライドに対する第1のスライドの相対運動を駆動しているときに、駆動装置によって駆動されない第1および第2のスライドのうちの1つを好ましくは支持する支持部、特に第3のスライド上に配置され得る別の係合部と係合するように構成される、電気、油圧、および/または空気圧の第2のアクチュエータを含むことができる。
【0033】
特定の例示的な態様を上記で説明したが、そのような態様は広範な発明を単に例示するものであり、限定するものではなく、例示的な態様は上記の段落に記載されたものに加えて、様々な他の変更、組み合わせ、省略、修正、および置換が可能であるので、上記で示され、説明された特定の構成および配置に限定されないことを理解されたい。当業者は、記載された態様の様々な適応、修正、および/または組み合わせが構成されうることを理解するのであろう。したがって、さらなる態様が、本明細書で具体的に説明される以外に実施され得ることを理解されたい。当業者はまた、この開示に鑑みて、本明細書で発明される異なる態様が、本開示の他の態様を形成するために組み合わされ得ることを理解するのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A図1Aは例示的な第1の実施形態による工具キャリアアセンブリの正面斜視図を例示的に示す。
図1B図1B図1Aの工具キャリアアセンブリの背面斜視図を例示的に示す。
図1C図1C図1Aの工具キャリアアセンブリの上面図を例示的に示す。
図1D図1D図1Aの工具キャリアアセンブリを通る水平断面の図を例示的に示す。
図1E図1E図1Aの工具キャリアアセンブリの工具キャリアおよび工具駆動ユニットを通る水平断面の図を例示的に示す。
図1F図1Fは工具カートリッジの端部上の駆動要素の斜視図を例示的に示す。
図2A図2Aは例示的な第2の実施形態による工具キャリアアセンブリの正面斜視図を例示的に示す。
図2B図2B図2Aの工具キャリアアセンブリの背面斜視図を例示的に示す。
図2C図2C図2Aの工具キャリアアセンブリの上面図を例示的に示す。
図3A図3Aは例示的な第3の実施形態による工具キャリアアセンブリの上面斜視図を例示的に示す。
図3B図3B図3Aの工具キャリアアセンブリの上面図を例示的に示す。
図3C図3C図3Aの工具キャリアアセンブリの正面斜視図を例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下では、好ましい態様および例示的な実施形態が添付の図面を参照してより詳細に説明される。異なる図面および実施形態における同一または類似の特徴は、類似の参照番号によって引用される。様々な好ましい態様および好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明は、本発明の範囲を限定することを意味するものではないことを理解されたい。
【0036】
図1Aは、例示的な第1の実施形態による工具キャリアアセンブリ100の正面斜視図を例示的に示している。図1Bは、図1Aの工具キャリアアセンブリ100の背面斜視図を例示的に示している。図1Cは、図1Aの工具キャリアアセンブリ100の上面図を例示的に示している。
【0037】
工具キャリアアセンブリ100は、旋盤(工作機械M)で使用するように構成され、旋盤はワークピースキャリースピンドル1内に受け入れられたワークピースW(例えば、バー)を回転可能に駆動するためのワークピースキャリースピンドル1を備える。例示的に、図1A図1Cはワークピースキャリースピンドル1の回転ブッシュを示し、スピンドルハウジングおよびスピンドル駆動装置は、例示的に示されておらず、工具キャリアアセンブリ100上のより詳細な理解に障害のない図を提供している。しかしながら、ワークピースキャリースピンドル1は、スピンドルハウジングと、スピンドル1のスピンドル軸の周りにワークピースWを回転可能に駆動するためのスピンドル駆動装置をさらに備えることができることが容易に理解される。そのようなスピンドルはスピンドル軸の方向(一般に、例えば可動Z軸スピンドルによる、Z方向とされる)に移動可能であり得る可動スピンドルスライド上に固定され得るか、または配置することができる。
【0038】
工具キャリアアセンブリ100は第1のY軸スライド110(第1のスライド)および第2のY軸スライド120(第2のスライド)を備え、例示的には両方ともX軸スライド130(第3のスライド)上に支持されている。X軸スライド130は例示的に、工作機械Mの機械ベッドまたは機械直立部(例えば、図1Bのような)に取り付けることができる支持構造140上に支持される。
【0039】
X軸駆動装置131は支持構造140上に例示的に取り付けられ(例えば、図1Bおよび図1Cを参照)、X軸スライド130は、支持構造140上に配置されたX軸ガイド134上に配置される。X軸駆動装置131は、X軸ガイド134上の駆動シャフト132によって、スピンドル軸の方向Zと例示的に垂直に配置されるX方向においてX軸スライド130の直線運動を駆動するように構成される。
【0040】
駆動シャフト132はX軸スライド130の支持部133と係合する(例えば、図1Bおよび1Cを参照のこと)。例えば、X軸スライド130の支持部133は、第2のY軸スライド120がY軸ガイド126に沿ってY方向に移動するように案内されるY軸ガイド126をさらに支持する。Y方向は例示的に、X方向に垂直に、かつZ方向に垂直に配置されている。
【0041】
X軸スライド130はさらに、Y軸ガイド113を支持しており、Y軸ガイド113に沿ってY方向に移動するように第1のY軸スライド110が案内されている(例えば、図1Bおよび図1C参照)Y軸ガイド113の反対側には、第1のY軸スライド110が工具キャリア150を支持している。例えば、工具キャリア150は第1のY軸スライド110と共にY方向に移動するように、第1のY軸スライド110に固定される。
【0042】
工具キャリア150は、Y方向に沿って互いに隣接して配置された複数の工具を保持するように構成されている。複数の工具は例えば、2つのタイプの工具を含み、第1のタイプの工具は例えば、ワークピースキャリースピンドル1内に受け入れられ、スピンドル1によって回転駆動されるワークピースWに対して調整機械加工作業を実行するための、固定切削工具のような、参照番号FTで示される固定工具である。第2のタイプの工具は回転駆動工具であり、ライブ工具とも呼ばれ、参照番号LTで示され、このような回転駆動工具は例えば、フライス切削工具またはフライスヘッドによって具体化することができる。
【0043】
前述したように、第2のY軸スライド120はY軸ガイド126に沿ってY方向に移動するように案内され、第2のY軸スライド120はY方向に延びるように配置された工具駆動ユニット160および工具キャリアY軸ガイド127を支持する。第1のY軸スライド110に取り付けられた工具キャリア150は第1のY軸スライド110および第2のY軸スライド120がY方向に互いに対して移動するとき、例えば第1のY軸スライド110を第2のY軸スライド120に対して移動させることによって、またはその逆によって、工具キャリアY軸ガイド127によってY方向に摺動可能に案内される。
【0044】
したがって、第1のY軸スライド110および第2のY軸スライド120がY方向において相対的に移動するとき、第1のY軸スライド110に取り付けられた工具キャリア150は、第2のY軸スライド120に支持された工具駆動ユニット160に対してY方向で移動する。
【0045】
工具駆動ユニット160は工具キャリア150によって保持された複数の工具のうちの1つと係合して、工具が工具駆動装置に対して工具駆動位置に配置されたときに、工具を回転可能に駆動するための工具駆動装置を含む。例示的に、工具駆動装置に対して工具駆動位置に配置された工具は、図1Aの数字LT1によって参照される。
【0046】
工具キャリアアセンブリ100はX軸スライド130上に例示的に取り付けられたY軸駆動装置111をさらに備える(例えば、図1B)およびY軸駆動装置111は、X軸スライド130に対してY軸ガイド113上の第1のY軸スライド110の移動を駆動するように構成される。
【0047】
例示的に、Y軸駆動装置111は工具駆動装置が工具LT1と係合解除されたときに、工具駆動ユニット160に対してY方向に工具キャリア150を移動させることによって、工具駆動ユニット160の位置によって画定される工具駆動位置に対して、工具キャリア150と共にX軸スライド130に対するY軸ガイド113上の第1のY軸スライド110の移動をY方向に駆動して、複数の工具のうちの別の工具を工具駆動位置に対して移動させるように構成される。したがって、駆動装置111は、工具駆動位置に配置された工具を交換するために使用することができる。
【0048】
言い換えれば、Y軸駆動装置111は工具駆動装置が工具LT1と係合解除されたときに、第2のY軸スライド120に対する第1のY軸スライド110の相対運動を駆動して、複数の工具のうちの別の工具を工具駆動位置に対して移動させるように構成される。例示的に、第2のY軸スライド120に対する第1のY軸スライド110の相対運動を駆動するために、Y軸駆動装置111は、第2のY軸スライド120に対する第1のY軸スライド110のY方向の運動を駆動するように構成される。
【0049】
さらに、第1のアクチュエータ122および第2のアクチュエータ124が第2のY軸スライド120上に配置される(例えば、図1Bおよび1Cを参照のこと)。例示的に、アクチュエータ122および/または124は、油圧、空気圧、または電気アクチュエータとして実現されてもよく、アクチュエータ122および124は例示的に、それぞれのピストン123および125を作動させるように構成される。
【0050】
第1のアクチュエータ122は、ピストン123を作動させて、第1のY軸スライド110上に配置されたピストン係合部112と係合(または係合解除)するように構成される。例えば、図1Cは、係合部112と係合状態にあるピストン123を示す。第2のアクチュエータ124は、ピストン125を作動させて、X軸スライド130上に配置されたピストン係合部135と係合(または係合解除)するように構成される。例えば、図1Cは、係合部135との係合解除状態にあるピストン125を示す(後述する図1Dも参照)。
【0051】
図1Cおよび図1Dの状態では、ピストン125は係合部135との係合解除状態にあり、ピストン123は係合部112との係合状態にあり、その結果、解除可能な固定アタッチメントが第1および第2のY軸スライド110および120の間で作動される。したがって、第1のY軸スライド110がY軸駆動装置111によってY方向に駆動移動すると、第2のY軸スライド120もピストン123と係合部112との係合によってY方向に移動する。
【0052】
したがって、図1Cおよび図1Dの状態では、ピストン125が係合部135との係合解除状態にあり、ピストン123が係合部112との係合状態にある状態で、Y軸駆動装置111は工具駆動装置が工具駆動位置で工具LT1と係合したとき、例えば、工具LT1でワークピースキャリースピンドル1に受け入れられたワークピースを機械加工するとき、第1および第2のY軸スライド110および120のY方向の関連動作を駆動することが可能になる。
【0053】
一方、工具駆動装置が前記工具LT1と係合解除され、ピストン125が係合部135と係合状態になるように作動され、ピストン123が係合部112と係合解除状態にあるとき、Y軸駆動装置111は工具駆動ユニット160に対して工具キャリア150をY方向に移動させることによって、例えば、複数の工具のうちの別の工具を工具駆動位置に対して移動させるために、第2のY軸スライド120に対して第1のY軸スライド110の相対移動を駆動することが可能になる。
【0054】
図1Dは、図1Aの工具キャリアアセンブリ100を通る水平断面の図を例示的に示す。図1Eは、図1Aの工具キャリアアセンブリ100の工具キャリア150および工具駆動ユニット160を通る水平断面の図を例示的に示している。
【0055】
例示的に、工具キャリア150は、各工具について、それぞれの工具に冷却液を供給するためのそれぞれの関連するノズル151を備える。ノズル151の各々は工具キャリア150を通って延びるそれぞれの冷却液流路153を介して、工具キャリア150のそれぞれの関連する冷却液入口154に、例えば工具キャリア150の工具側とは反対側に接続される。
【0056】
さらに、工具駆動ユニット160は、工具駆動ユニット160の工具駆動装置に対して工具駆動位置に配置された工具LT1に関連するそれぞれのノズル151に接続された工具キャリア150の冷却液入口154と解除可能な接続に係合するように構成された冷却液供給出口163を備える。図1Dおよび1Eを参照。
【0057】
したがって、工具駆動ユニット160には、工具駆動位置に現実に配置されている工具に関連する工具キャリア150の特定の冷却液入口154と係合するように配置された冷却液供給出口163に冷却液を供給する加圧冷却液システムによって供給することができる。
【0058】
工具駆動ユニット160が工具キャリア150に対してY方向に移動して、例えば工具駆動位置で係合された工具を交換するとき、次の工具が工具駆動位置で工具駆動装置によって係合されるとき、工具駆動位置に配置された工具に関連する工具キャリア150のそれぞれの関連する冷却液入口154も、冷却液供給出口163と係合して、冷却液入口154に冷却液をそれぞれの流路153を通ってそれぞれのノズル151に供給する。
【0059】
工具キャリア150は例示的に、各工具について、固定工具FTおよび回転駆動工具LT(ライブ工具)などの工具をそれぞれ受け入れるためのそれぞれの工具受け入れ部152を備えている。
【0060】
固定工具FTは、固定工具が工具駆動装置によるいかなる駆動運動も必要としないので、工具駆動装置の駆動要素から距離を置いて配置されたそれぞれの工具受け入れ部152の前部に固定されてもよい。
【0061】
一方、各工具受け入れ部152に収容された各工具ホルダカートリッジC(工具カートリッジ)には、例えば、回転駆動される工具LTが保持されて回転可能に支持されている。各工具ホルダカートリッジCはそれぞれの工具ホルダカートリッジCによって保持された工具LTに対して反対側の端部に、それぞれの工具ホルダカートリッジCによって保持された工具LT1が工具駆動装置に対して工具駆動位置に配置されたときに、工具駆動装置に含まれるさねはぎ結合の反対側の駆動要素D2と解除可能に係合するように構成されたさねはぎ結合のそれぞれの駆動要素D1を含んでいる(図1Dおよび1Eを参照)。
【0062】
図1Fは工具カートリッジの端部上の駆動要素D1の斜視図を例示的に示し、工具カートリッジは、例示的には工具駆動装置に含まれるさねはぎ結合の反対側の駆動要素D2上の反対側の溝部と係合するように配置された、さねはぎ結合の舌部として形成される。他の例示的な実施形態では、舌部および溝部の配置を交換することもできる。
【0063】
このような例示的な機構によって、駆動要素D1の幅および反対側の駆動要素D2の溝部がY方向に延在するように、さねはぎ結合が配置される場合、工具キャリア150を工具駆動ユニット160に対してY方向に移動させるとき、例えば、次の工具カートリッジの駆動要素D1を反対側の駆動要素D2の溝部と係合させるために、さねはぎ結合は、Y方向の駆動要素の相対移動によって係合解除することができる。
【0064】
例示的に、工具駆動ユニット160は、駆動要素D2に取り付けられた従動ギア162を駆動する(駆動ユニット160の駆動によって駆動される)駆動ギア161を有するギアボックスを含んでいる。他の例示的な実施形態では、
【0065】
図2Aが例示的な第2の実施形態による工具キャリアアセンブリ200の正面斜視図を例示的に示している。図2Bは、図2Aの工具キャリアアセンブリ200の背面斜視図を例示的に示している。図2Cは、図2Aの工具キャリアアセンブリ200の上面図を例示的に示している。
【0066】
以下では上記第1の実施形態との相違点を中心に説明し、説明を簡潔にするために、同様の特徴については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0067】
第1の実施形態と同様に、2つの独立したY軸スライド110および120が設けられ、X軸スライド130上でY方向に摺動可能に支持される。しかし、第1の実施形態とは対照的に、2つの独立した別個のY軸駆動装置111および128が設けられている。具体的には追加のY軸駆動128が提供され、例示的にはX軸スライド上に支持され(例えば、図2B参照)、Y方向で第2のY軸スライド120を移動させるためのものである、そしてアクチュエータ122、124は例示的に省略されている。
【0068】
工具駆動装置が前記工具LT1と係合解除されると、Y軸駆動装置111は第2のY軸スライド120に対する第1のY軸スライド110の相対運動を駆動することが可能になり、および/またはY軸駆動装置128は工具駆動ユニット160に対して工具キャリア150をY方向にて移動させることによって、例えば、複数の工具のうちの別の工具を工具駆動位置に対して移動させるために、第1のY軸スライド110に対する第2のY軸スライド120の相対運動を駆動することが可能になる。
【0069】
他方、Y軸駆動装置111および128の同期制御によって、Y軸駆動装置111およびY軸駆動装置128は工具駆動装置が工具駆動位置で工具LT1と係合したとき、例えば工具LT1でワークピースキャリースピンドル1に受け入れられたワークピースを機械加工するとき、例えば工作機械のNC制御ユニットによる同期制御下で、第1および第2のY軸スライド110および120のY方向の関連動作を同期して駆動することができる。このような制御は例えば、Y軸駆動装置111、128の一方がマスタ駆動装置として制御され、他方がスレーブ駆動装置として制御される場合に実現することができる。
【0070】
図3Aは、例示的な第3の実施形態による工具キャリアアセンブリ300の斜視上面図を例示的に示している。図3Bは、図3Aの工具キャリアアセンブリ300の上面図を例示的に示している。図3Cは、図3Aの工具キャリアアセンブリ300の正面斜視図を例示的に示している。
【0071】
以下では上記第1の実施形態との相違点を中心に説明し、説明を簡潔にするために、同様の特徴については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0072】
第3の実施形態では、工具キャリア150が支持される第1のスライドが例えば、スピンドル軸のZ方向に垂直なX方向に移動するように配置されたXスライド130(第1のスライド)として実現される。上記の実施形態では工具キャリア150によって保持される工具が例示的にはそれらの工具軸がスピンドル軸に垂直になるように配置されたが、第3の実施形態は例示的には工具キャリア150によって保持される工具がそれらの工具軸がスピンドル軸と平行になるように例示的に配置されるようにする。
【0073】
Xスライド130は、スピンドル1のスピンドル軸と平行にZ方向に延びるZ軸ガイド172上に例示的に案内されるZ軸スライド170(第2のスライド)上に取り付けられたX軸ガイド134上に例示的に案内される。Xスライド130はZ軸スライド170上に支持されている。
【0074】
さらに、工具駆動ユニット160はZ軸スライド170の支持部171に固定して取り付けられ、工具キャリア150はXスライド130に取り付けられ、工具キャリア150はX方向に延びる工具キャリアX軸ガイド173(上記の工具キャリアY軸ガイド127と同様)上で摺動可能に案内される。特にZ軸スライド170及び工具駆動ユニット160に対するY方向における工具キャリア150と共にXスライド130の移動は、X軸駆動装置131によって駆動される。
【0075】
工具駆動装置が前記工具LT1と係合解除されると、X軸駆動装置131は工具キャリア150を工具駆動ユニット160に対してX方向に移動させることによって、例えば、複数の工具のうちの別の工具を工具駆動位置に対して移動させるために、Z軸スライド170及び工具駆動ユニット160に対するX軸スライド130の相対移動を駆動することが可能になる。
【0076】
上記の例示的な実施形態および態様によって、コンパクトであり、ワークピースキャリースピンドルに保持されたワークピース上で実行されるフライス削りおよび/またはボーリング作業のための旋削作業およびライブ工具を含む複数の工具を保持することを可能にし、一方、単一のコンパクトな駆動装置を有するコンパクトな工具駆動ユニットを提供することができ、工具駆動位置に配置されたそれぞれのライブ工具を駆動することを可能にし、同時にそれぞれの工具に冷却流体を提供することができる、工具キャリアアセンブリを有利に提供することが可能である。さらに、互いに隣接して配置された工具の工具配置の方向における工具キャリアに対する工具駆動ユニットの相対運動を制御することによって、係合/被駆動工具を効率的に交換することが便利に可能である。
【0077】
特定の例示的な態様を上記で説明したが、そのような態様は広範な発明を単に例示するものであり、限定するものではなく、例示的な態様は上記の段落に記載されたものに加えて、様々な他の変更、組み合わせ、省略、修正、および置換が可能であるので、上記で示され、説明された特定の構成および配置に限定されないことを理解されたい。当業者は、記載された態様の様々な適応、修正、および/または組み合わせが構成されうることを理解するのであろう。したがって、さらなる態様が、本明細書で具体的に説明される以外に実施され得ることを理解されたい。当業者はまた、この開示に鑑みて、本明細書で発明される異なる態様が、本開示の他の態様を形成するために組み合わされ得ることを理解するのであろう。
【符号の説明】
【0078】
M 工作機械(旋盤)
1 ワークピースキャリースピンドル
W ワークピース
FT 固定工具
LT ライブ工具(回転駆動工具)
LT1 工具駆動位置のライブ工具
C 工具カートリッジ
D1 第1の工具駆動要素(例えば、さねはぎ結合)
D2 第1の工具駆動要素(例えば、さねはぎ結合)
100 工具キャリアアセンブリ(第1の例示的な実施形態)
200 工具キャリアアセンブリ(第2の例示的な実施形態)
300 工具キャリアアセンブリ(第3の例示的な実施形態)
110 第1のY軸スライド
111 Y軸駆動装置/第1のY軸駆動装置
112 第1ピストン係合部
113 第1のY軸ガイド
120 Y軸スライド
122 第1のアクチュエータ
123 第1のピストン
124 第2のアクチュエータ
125 第2のピストン
126 第2のY軸ガイド
127 工具キャリアY軸ガイド
128 第2のY軸駆動装置
130 X軸スライド
131 X軸駆動装置
132 X軸駆動シャフト
133 支持部
134 X軸ガイド
135 第2ピストン係合部
140 支持構造
150 工具キャリア
151 ノズル
152 工具受け入れ部
153 冷却液流路
154 冷却液入口
160 工具駆動ユニット
161 駆動ギア
162 従動ギア
163 冷却液供給口
170 Z軸スライド
171 支持部
172 Z軸ガイド
173 工具キャリアX軸ガイド
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C