(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】埋込型照明器具の取付補助具、埋込型照明器具の取付機構
(51)【国際特許分類】
F21S 8/02 20060101AFI20240822BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20240822BHJP
F21V 21/04 20060101ALI20240822BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240822BHJP
【FI】
F21S8/02 420
F21V33/00 200
F21V21/04 300
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019222130
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】記井 義幸
(72)【発明者】
【氏名】池堂 浩史
(72)【発明者】
【氏名】厨 謙三
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-074214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 21/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋込型照明器具の器具本体を囲む環囲部と、
前記環囲部の中心軸線に沿った軸方向から視たときの大きさが互いに異なる複数の嵌合部と、
を有し、
前記複数の嵌合部は、前記中心軸線
を囲む
円周に沿った周状の外周面を有し、
前記外周面は、円形の貫通孔である取付孔の内側に嵌合する形状
とされ、
前記複数の嵌合部は軸方向視の大きさが互いに異なることにより、嵌合に適する取付孔の大きさが互いに異なる埋込型照明器具の取付補助具。
【請求項2】
埋込型照明器具の器具本体を囲む環囲部と、
前記環囲部の中心軸線に沿った軸方向から視たときの大きさが互いに異なる複数の嵌合部と、
を有し、
前記複数の嵌合部は、前記中心軸線
を囲む
円周に沿った周状の外周面を有し、
前記外周面は、円形の貫通孔である取付孔の内側に嵌合する形状
とされ、
前記複数の嵌合部は、段状に配置されている埋込型照明器具の取付補助具。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の取付補助具と、
天井材を挟んで前記取付補助具とは反対側に配置されるフランジ部と、
を備える埋込型照明器具の取付機構。
【請求項4】
前記天井材の取付孔を貫通し、一端が前記フランジ部に固定された筒部と、
前記筒部を環囲する環状部と、を備え、
前記フランジ部は、前記筒部に設けられた雄ねじに、前記環状部に設けられた雌ねじが螺合することにより、前記天井材に保持される請求項3に記載の取付機構。
【請求項5】
前記フランジ部から延びる付勢部材を備え、
前記フランジ部は、前記付勢部材が前記取付補助具に向かって付勢力を作用することにより、前記天井材に保持される請求項3に記載の取付機構。
【請求項6】
前記複数の嵌合部は、一方の面から遠ざかる方向に突出する嵌合部と、他方の面から遠ざかる方向に突出する嵌合部と、を含む請求項3から5のいずれか1項に記載の取付機構。
【請求項7】
前記複数の嵌合部は、前記天井材の所定の大きさの取付孔にインロー嵌合する請求項3から6のいずれか1項に記載の取付機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、埋込型照明器具の取付補助具および埋込型照明器具の取付機構に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室の天井に埋め込んで取り付けられる埋込型照明器具が知られている。例えば、特許文献1には、ダウンライト器具を天井材の取付穴に取り付けるための取付補助板と器具の取付構造とが記載されている。この取付補助板は、天井材の取付穴に器具本体を保持するために用いられる。取付補助板は、中央に器具本体が挿通可能な透孔が形成されている。器具本体は、複数の取付ばねと外鍔とを有する。器具本体は、取付ばねを畳んだ状態で取付穴と、天井材の裏側に配置された取付補助板の透孔とに挿入される。この状態で複数の取付ばねが開き、器具本体を透孔の内側縁に保持する。器具本体は、天井材が外鍔と取付補助板に挟持されて取付穴に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、ダウンライト取付構造について以下の認識を得た。浴室天井の既設のダウンライトを新たなものに交換するニーズがある。しかし、天井裏の空間は狭く作業者が入って作業できない場合もある。この場合、交換作業は浴室内の表側から行われる。既設のダウンライトには様々なサイズがあり、それに合わせて天井の取付孔も様々なサイズがある。このため、特許文献1の構造では、既設の取付孔のサイズに合わせた様々なサイズの取付補助板を用意する必要がある。
【0005】
例えば、本体外周径がφ75のダウンライトを取付ける場合に、取付孔にφ100、φ125、φ150などの3つのサイズがあるときは、各サイズに合わせて3種類の取付補助板を用意する必要がある。多種類の取付補助板を用意する場合、サイズごとに別々の金型を用いる必要があり、サイズごとに在庫を管理する必要もあり、コストの面で不利である。この課題は、既設の浴室天井だけでなく、浴室天井とは別の部位または新設の部位に取り付けられる取付構造についても生じうる。
【0006】
以上のことから、本発明者らは、特許文献1に記載の取付構造は、複数のサイズの取付孔に対応できるという観点で改善の余地があることを発見した。
【0007】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたもので、埋込型照明器具を様々な大きさの取付孔に取り付けるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の取付補助具は、埋込型照明器具の器具本体を囲む環囲部と、面方向の大きさが互いに異なる複数の嵌合部と、を有する。
【0009】
以上の構成要素の任意の組み合わせや、本開示の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものも本開示の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の埋込型照明器具の取付機構の第1使用例を示す側断面図である。
【
図14】変形例の取付機構を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面を参照しながら実施形態を説明する。実施形態および変形例では、同一(同等を含む)の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
なお、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。この用語によって本開示の構成が限定されるものではない。以下の実施形態は、本開示の内容の理解を助けるために例示するものであり、本開示の構成を限定するものではない。
【0013】
[実施形態]
図面を参照して、本開示の実施形態に係る取付補助具10および埋込型照明器具の取付機構100について説明する。説明の便宜上、
図1に示すように、後述する取付補助具10の環囲部12の中心軸線Laに沿った方向を上下方向といい、中心軸線Laに直交する方向を径方向といい、中心軸線Laに直交する平面に沿った方向を面方向ということがある。このような方向の表記は取付機構100の構成を限定するものではなく、取付機構100は任意の姿勢で使用されうる。
【0014】
図1に示すように、取付補助具10は、埋込型照明器具40の器具本体42を浴室の天井材50の取付孔52に取り付けるための取付機構100に用いられる。以下、天井材50の室内側を「天井表側」と、天井表側とは反対側を「天井裏側」という。この例の取付孔52は、板状の天井材50に形成された円形の貫通孔である。この例の取付孔52の内径は、100mm、125mmおよび150mmの3種類のバリエーションを有する。
図1は、この内径が100mmの場合を示す。本実施形態の取付機構100は、取付補助具10と、収容部20と、保持部30とを備える。
【0015】
以下、内径100mmの取付孔52に取付機構100を使用する例を第1使用例といい、内径125mmの取付孔52に取付機構100を使用する例を第2使用例といい、内径150mmの取付孔52に取付機構100を使用する例を第3使用例という。まず、
図1を参照して第1使用例を説明する。
【0016】
取付補助具10は、天井材50の天井裏側に設けられ、天井材50を挟んで収容部20のフランジ部24と上下方向に対向するプレート状の部材である。取付補助具10は、収容部20の筒部22を介して器具本体42を環囲する環囲部12と、取付孔52に嵌合する嵌合部16とを有する。収容部20は、器具本体42を環囲する筒部22と、筒部22から径方向外向きに張り出すフランジ部24とを有する。筒部22は、天井表側から天井裏側に延び、フランジ部24は、天井表側に配置される。保持部30は、収容部20が脱落しないように収容部20を保持する。この例では、保持部30は、天井裏側に配置され、保持部30の上部が収容部20の上部外周に係合するとともに保持部30の下部が取付補助具10の上部に載置され、収容部20の抜け止めとして機能する。
【0017】
図2、
図3も参照して取付補助具10を説明する。本実施形態の取付補助具10は、全体として周方向の一部が欠けた中空円盤形状を有する。取付補助具10は、環囲部12と、基部14と、複数の嵌合部16と、リブ18とを有する。この例では、基部14と、リブ18とは樹脂材料などで一体的に形成されている。基部14は、リブ18を支持する中空板状を呈する。リブ18は、基部14から上下方向に突出し、取付補助具10の強度を確保する。
図2、
図3に示すように、リブ18は、放射状に延びる7つの放射状リブ18cと、周方向に延びる周状リブ18d、18e、18f、18g、18hとを含む。リブ18dは、最内周に配置され、リブ18e、18f、18g、18hの順で外周側に配置される。
【0018】
便宜上、
図2に示すように周状リブ18d、18e、18f、18g、18hを有する面を第1面10aという。
図3に示すように、周状リブ18d、18e、18hを有し、リブ18f、18gを有しない面を第2面10bという。第1使用例では、取付補助具10は、第1面10aが上向きで、第2面10bが下向きで使用される。7つの放射状リブ18cは、略45°間隔で周方向に配列される。放射状リブ18cは、周状リブ18dと18hとの間において、各周状リブ18d-18hに接続されている。環囲部12は、収容部20の筒部22を環囲する内周壁であり、周状リブ18dに設けられる。
【0019】
図1に示すように、周状リブ18gは周状リブ18hよりも突出している。周状リブ18fは周状リブ18gよりも突出している。周状リブ18eは周状リブ18fと突出量が略等しい。周状リブ18dは周状リブ18eよりも突出量が小さい。つまり、周状リブ18d-18hは階段状に配置されている。
【0020】
本実施形態では、複数の嵌合部16は、嵌合に適する取付孔52の大きさが互いに異なる第1、第2、第3嵌合部16a、16b、16cを含んでいる。つまり、複数の嵌合部16は、面方向の大きさが互いに異なる。
図1に示すように、本実施形態の第1、第2、第3嵌合部16a、16b、16cは、中心軸線Laに沿って上下に並べて配置されている。
図1の例では、第1嵌合部16aは、下向きに突出して取付孔52に嵌合しており、第2、第3嵌合部16b、16cは、上向きに突出している。換言すると、第2、第3嵌合部16b、16cは、第1面10aから遠ざかる方向に突出しており、第1嵌合部16aは、第2面10bから遠ざかる方向に突出している。第2嵌合部16bは、第3嵌合部16cよりも突出している。第2、第3嵌合部16b、16cは、段状に配置されている。
【0021】
第1嵌合部16aは、周状リブ18eの外周壁で、内径が100mmの取付孔52とインロー嵌合するのに適した直径を有する。第2嵌合部16bは、周状リブ18fの外周壁で、内径が125mmの取付孔52とインロー嵌合するのに適した直径を有する。第3嵌合部16cは、周状リブ18gの外周壁で、内径が150mmの取付孔52とインロー嵌合するのに適した直径を有する。したがって、第2嵌合部16bの外周直径は、第3嵌合部16cの外周直径より小さく、第1嵌合部16aの外周直径より大きい。嵌合部16と取付孔52とがインロー嵌合するから、これらは容易に嵌合および取り外しが可能で、これらの間に過大な隙間が形成されない。
【0022】
取付補助具10は、取付孔52の最大内径(この場合、150mm)よりも大きな最大外径を有し、且つ、最小内径(この場合、100mm)の取付孔52を天井表側から天井裏側に通過可能な構成を有する。このため、本実施形態の取付補助具10は、リングの周方向の一部が欠落した略C文字形状を有しており、欠落部から取付孔52を通過させることにより全体を通過させることができる。欠落部の形状は、シミュレーション及び実験の少なくとも何れかにより決定できる。
【0023】
図4も参照して収容部20を説明する。上述したように、収容部20は、器具本体42を収容するとともに天井表側から取付孔52を覆い、天井表側の美観の向上を図る。収容部20は、筒部22と、フランジ部24とを有する。フランジ部24は、筒部22の下端部付近から径方向外側に張り出す。この例の筒部22とフランジ部24とは、樹脂材料などで一体的に形成されている。
【0024】
図1に示すように、筒部22は、中心軸線Laを囲む略中空円筒状の部分であり、器具本体42を環囲する。筒部22の外周面は、下部が環囲部12に嵌合し、中部から上部にわたって雄ねじ22sが設けられている。
【0025】
筒部22の内周面は、器具本体42を収容するとともに、器具本体42と係合する器具固定部を有する。器具固定部については後述する。筒部22は、径方向で取付補助具10と器具本体42との間に介在する。
【0026】
フランジ部24は、天井材50を挟んで取付補助具10とは反対側に配置される。フランジ部24は、平面視で中心軸線Laを囲む中空円板状の部分であり、取付孔52を覆う。このため、フランジ部24は、取付孔52の最大内径(この場合、150mm)よりも大きな外径を有している。フランジ部24の上面の外側部分には、上向きに突き出る周状凸部24gが形成されている。フランジ部24の周状凸部24gは、平面視で、取付補助具10の周状リブ18hと重なっている。つまり、周状凸部24gの径方向範囲は、周状リブ18hの径方向範囲と重なっている。
図1に示すように、周状凸部24gは、周状リブ18hとの間に天井材50を挟むように構成されている。フランジ部24の外径は、取付補助具10の外径と略等しい。
【0027】
周状凸部24gの上面には、中空円形のシール24hが貼り付けられている。シール24hは、フランジ部24より柔軟性が高い材料で形成されており、天井材50に密着して、隙間を埋める。シール24hは、公知のシール用素材で形成できる。
【0028】
図4に示すように、フランジ部24の上面には、フランジ部24と一体的に形成された内周側凸部24eおよび放射状リブ24fが設けられている。内周側凸部24eは、筒部22の根元の周囲において、上向きに突出する周状の凸部である。内周側凸部24eは、筒部22の根元の強度を向上する。放射状リブ24fは、内周側凸部24eと周状凸部24gとに接続されている。この例では、6つの放射状リブ24fが、周方向に略等間隔に配列されている。
【0029】
図5も参照して保持部30を説明する。上述したように、保持部30は、取付孔52からの脱落を防止するように収容部20を保持する。保持部30は、環状部32と、鍔部34と、延出部36と、工具受部38とを有する。この例の環状部32、鍔部34、延出部36および工具受部38は、樹脂材料などで一体的に形成されている。
【0030】
図1に示すように、環状部32は、中心軸線Laを囲む略中空円筒状の部分であり、収容部20の筒部22の下部を環囲する。環状部32の内周面は、筒部22に嵌合しており、その嵌合領域に雌ねじ32sが設けられている。
【0031】
鍔部34は、環状部32の下端部付近から径方向外側に張り出す。鍔部34は、平面視で中心軸線Laを囲む中空円板状の部分である。
図1に示すように、取り付けられた状態で、鍔部34は周状リブ18eの内周側に嵌まり込んで、鍔部34の下面は周状リブ18dの上面に当接する。環状部32と鍔部34の強度を増すために、環状部32の側面には上下に延びる縦リブ32jが設けられている。この例では、4つの縦リブ32jが周方向に略等間隔に配列されている。
【0032】
延出部36は、環状部32から上向きに延出する棒状の部分で、工具受部38を支持する。この例では、4つの延出部36が、周方向に略等間隔に配列されている。延出部36の強度を増すために、各延出部36には上下に延びる縦リブ36jが設けられている。
【0033】
工具受部38は、筒部22の内側の通過した工具(不図示)から回転トルクを受ける部分である。
図5の工具受部38は、延出部36の先端に設けられており、延出部36から径方向内向きに突き出すフック形状を有する。
【0034】
例えば、開閉可能な爪部を有する工具を、爪部を閉じた状態で筒部22の内側を通過させ、爪部を開いて工具受部38に係合させる。この状態で、工具を中心軸線Laの周りに回転させることにより、工具受部38を介して保持部30を回転させることができる。保持部30が回転することにより、雌ねじ32sは雄ねじ22sに係合し、保持部30は、鍔部34が周状リブ18dに当接するまで、下方に移動する。周状リブ18dが鍔部34により下向きに押し下げられることにより、取付補助具10の周状リブ18hは、天井材50の上面に密着する。このとき、収容部20のフランジ部24は、上方に引き上げられ、天井材50の下面に密着する。この状態で、天井材50がフランジ部24と取付補助具10とに挟持される。このように、取付補助具10とフランジ部24とが天井材50の上面および下面に密着することにより、取付機構100は天井材50に確りと固定される。
【0035】
図6および
図7も参照して、照明器具40を説明する。照明器具40は、取り付けられた状態で下向きに照明光を照射する。
図6の照明器具40は、器具本体42と、器具本体42の動作を制御する制御回路(不図示)とを含む。器具本体42は、胴部42bと、器具フランジ部42fとを有する。胴部42bは、中心軸線Laを囲む略円筒状の部分で、内部にLEDなどの発光部(不図示)を収容している。器具フランジ部42fは、径方向外側に張り出す。器具フランジ部42fは、平面視で中心軸線Laを囲む円板状の部分である。器具フランジ部42fは、胴部42bの下端部に固定されている。
【0036】
図6に示すように、器具フランジ部42fの上面には胴部42bの根元を環囲するOリング42dが設けられる。Oリング42dは、器具フランジ部42fより柔軟性が高い材料で形成されており、器具フランジ部42fと収容部20とに密着して、この間の隙間を埋める。胴部42bの上部にはケーブル42cが延出している。ケーブル42cは、制御回路の電力を器具本体42に供給する。
【0037】
胴部42bの下部側面には、収容部20の第1係合部22pに係合する第2係合部42pが形成されている。この例の第2係合部42pは、周方向に延びる周方向溝であり、周方向に略等間隔で3つ設けられている。各第2係合部42pには、第2係合部42pの端部から上向きに延びるガイド溝42gが設けられている。ガイド溝42gの上側は開かれている。
【0038】
図7に示すように、第1係合部22pは、筒部22の内周面から径方向内側に向かって突出する突起であり、周方向に略等間隔で3つ設けられている。器具本体42を装着するとき、ガイド溝42gの周方向の位置が第1係合部22pの位置と一致する状態で、器具本体42を筒部22の下側から挿入する。第2係合部42pが第1係合部22pの位置まで上昇したときに、器具本体42を時計周りに回転させることにより、第1係合部22pが第2係合部42pの溝内に係合し、器具本体42は収容部20に固定される。器具本体42を反時計回りに回転させることにより、係合は解除され、器具本体42を収容部20から取り出すことができる。
【0039】
次に、
図8-
図11を参照して、取付補助具10を取り付ける取付工程の一例を説明する。この工程は、天井表側から取付孔52を通じて作業を行う。
(1)まず、取付孔52から既設の照明器具を取り外す。
(2)取付孔52を通じて保持部30を天井裏側に置く。次に、取付補助具10を取付孔52を通じて天井裏側に移動し、第1嵌合部16aが取付孔52に嵌合するように取付補助具10の位置を調整する(
図8を参照)。
(3)収容部20の筒部22を取付補助具10の環囲部12に下から挿入する(
図9を参照)。
【0040】
(4)筒部22を通じて天井裏側に手を入れて、保持部30を筒部22に被せる。
(5)工具を工具受部38に係合させた状態で、鍔部34が周状リブ18dに当接するまで保持部30を回転させる(
図10を参照)。この状態で、天井材50がフランジ部24と取付補助具10とに挟持される。
(6)ケーブル42cの先を、筒部22を通じて天井裏側の制御回路に接続する。
(7)器具本体42を筒部22の下側から挿入して回転させ、器具本体42を収容部20に固定する(
図11を参照)。器具本体42が固定されると、この取付工程は終了する。この工程はあくまでも一例であり、必要に応じて変更されてもよい。
【0041】
次に、
図12、
図13を参照して、内径125mm、150mmの取付孔52に取付機構100を使用する第2、第3使用例を説明する。
図12、
図13は、
図1に対応し、取付補助具10と、天井材50と収容部20とを示している。第1使用例では、取付補助具10は、第1面10aが上向きで、第2面10bが下向きで使用される例を示した。第2、第3使用例では、第2面10bが上向きで、第1面10aが下向きで使用される。
図12に示すように、第2使用例では、第2嵌合部16bが内径125mmの取付孔52に嵌合する。
図13に示すように、第3使用例では、第3嵌合部16cが内径150mmの取付孔52に嵌合する。
【0042】
図12、
図13に示すように、周状リブ18d、18eが上下方向に略対称であるため、取付補助具10を逆向きに用いても、収容部20および保持部30は同様の位置関係で取り付けできる。第2、第3使用例は、第1使用例と同様に機能する。
【0043】
このように構成された埋込型照明器具の取付補助具10および取付機構100の特徴を説明する。
【0044】
取付補助具10は、器具本体42を囲む環囲部12と、面方向の大きさが互いに異なる複数の嵌合部16とを有するので、照明器具40を大きさの異なる複数種類の取付孔52に取り付けできる。
【0045】
取付補助具10では、複数の嵌合部16は、段状に配置されているので、各段で異なる大きさの取付孔52に適合できる。
【0046】
取付機構100は、取付補助具10と、天井材50を挟んで反対側に配置されるフランジ部24とを備えるので、取付補助具10およびフランジ部24が天井材50の両側に密着する。
【0047】
取付機構100では、フランジ部24が、筒部22に設けられた雄ねじ22sに、環状部32に設けられた雌ねじ32sが螺合することにより、天井材50に保持されるので、取付補助具10およびフランジ部24が天井材50にしっかりと密着する。天井材50の厚さが異なり、取付補助具10とフランジ部24との距離が変化した場合でも、ねじ部の螺合位置を調整することによって対応できる。
【0048】
取付機構100では、複数の嵌合部16は、第1面10aから遠ざかる方向に突出する第2、第3嵌合部16b、16cと、第2面10bから遠ざかる方向に突出する第1嵌合部16aとを含むので、対応できる取付孔52の種類が多い。
【0049】
取付機構100では、複数の嵌合部16は、天井材50の所定の大きさの取付孔52にインロー嵌合するため、これらの間に過大な遊びが形成されず、互いの位置精度が向上する。
【0050】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明した。上述した実施形態は、いずれも本開示の例示的な具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明している。そのような表記のない内容への設計変更が許容される。
【0051】
[変形例]
以下、変形例について説明する。この説明では、実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0052】
実施形態の説明では、雌ねじ32sが雄ねじ22sに螺合することにより、フランジ部24が取付補助具10に保持される例を示した。これに限定されない。例えば、フランジ部24は付勢部材などの弾性体の弾性力によって取付補助具10に保持されてもよい。
【0053】
図14の変形例では、フランジ部24から環囲部12を通過して延びる付勢部材28を備える。フランジ部24は、付勢部材28が取付補助具10に向かって付勢力を作用することにより、天井材50に保持される。
図14に示すように、収容部20は筒部22から上向きに延びる付勢部材28を複数備えている。
【0054】
この例では、付勢部材28は、リーフ状スプリングである。付勢部材28は、周方向に等間隔に2つ配置されている。自由状態では、付勢部材28の延伸端28sは、取付補助具10の環囲部12よりも径方向外向きに展開している(28s-1で示す)。破線で示すように、延伸端28sは、力を加えることで環囲部12よりも径方向内向きに畳まれることができる(28s-2で示す)。延伸端28sは、閉じた状態で環囲部12を通過して天井裏側で展開することができる(28s-3で示す)。この状態で、収容部20は、天井材50がフランジ部24と取付補助具10とに挟持されて取付孔52に固定される。
【0055】
図14に示す状態で、フランジ部24は、付勢部材28の復元力により取付補助具10に保持される。付勢部材28は、3つ以上設けられてもよいし、
図14に示す形状とは異なる形状を有してもよい。本変形例によれば、付勢部材28によってフランジ部24を取付補助具10に向かって付勢することができる。フランジ部24を付勢部材28によって固定するので、フランジ部24を容易に取り付けおよび取り外しすることができる。埋込型照明器具の施工性が向上する。
【0056】
実施形態の説明では、取付補助具10がC字形状を有する例を示した。これに限定されない。取付補助具10は、取付孔52を通過可できればよく、C字形状とは異なる構成を有してもよい。例えば、取付補助具10は、取付孔52を通過可能な複数のピースに分解できるように構成されてもよい。この場合、ピースは取付孔52を通過後に組み立てできる。取付補助具10は、取付孔52を通過可能な形状に折り畳みできるように構成されてもよい。この場合、取付補助具10は、取付孔52を通過後に展開できる。
【0057】
実施形態の説明では、嵌合部16の数が3である例を示した。嵌合部16の数は2でもよいし、4以上であってもよい。
【0058】
実施形態の説明では、嵌合部16が周状リブの外周に設けられる例を示した。嵌合部16は、リブとリブの間が埋められた環状段部の外周に設けられてもよい。
【0059】
実施形態の説明では、取付補助具10および取付機構100が浴室天井に設置される例を示した。取付補助具10および取付機構100は、浴室天井とは異なる天井に設置されてもよい。
【0060】
実施形態の説明では、保持部30の延出部36の数が4である例を示した。延出部36の数は3以下でもよいし、5以上であってもよい。
【0061】
実施形態の説明では、工具受部38が延出部36から径方向に突き出すフック形状を有する例を示した。工具受部はフック形状とは異なる形状を有してもよい。
【0062】
実施形態の説明では、第2係合部42pの溝内に第1係合部22pの突起を係合することによって、器具本体42を収容部20に固定する例を示した。これに限定されない。例えば、第1係合部が溝で、第2係合部が当該溝に係合可能な突起であってもよい。
【0063】
上述の各変形例は実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0064】
上述した実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた実施形態として有用である。
【0065】
図面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0066】
以上、実施形態を介して本開示を説明した。本開示は、本開示の精神および範囲を逸脱しない限り、種々の変更および修正が可能である。したがって、出願人は、この開示の範囲内にあるこのような変更および修正の全てが、添付の特許請求の範囲に包含されると認識している。
【符号の説明】
【0067】
10 取付補助具、10a 第1面、 10b 第2面、 12 環囲部、 16 嵌合部、 20 収容部、 22 筒部、 22s 雄ねじ、 24 フランジ部、 30 保持部、 32 環状部、 32s 雌ねじ、 38 工具受部、 40 照明器具、 42 器具本体、 50 天井材、 52 取付孔。