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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】洗面台
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/04 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A47K1/04 Z
A47K1/04 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020037607
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021137328
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】飛田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 美香
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-112960(JP,U)
【文献】特開2007-307015(JP,A)
【文献】特開2019-178503(JP,A)
【文献】特開2005-168849(JP,A)
【文献】実開平2-125636(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/04
E03C 1/12 - 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水孔が形成された洗面鉢と、
前記排水孔を隠蔽するカバーと、
前記排水孔を隠蔽しない非隠蔽状態で前記カバーを保持可能な保持部と、
を備えており、
前記保持部は、前記カバーを前記非隠蔽状態と、前記排水孔を隠蔽する隠蔽状態と、の両方で係止して保持可能であり、
上方から見た平面視において、前記カバーは、前記隠蔽状態のときに前記洗面鉢を部分的に隠蔽する洗面台。
【請求項2】
前記保持部は、係止部を有し、
前記カバーが前記係止部と前記洗面鉢のうち平面状に立ち上がる壁部との間に差し込まれて前記係止部に係止され、前記係止部と前記壁部との間に差し込まれた前記カバーの先端部が前記壁部に突き当たり、前記カバーが前記非隠蔽状態になる請求項1に記載の洗面台。
【請求項3】
前記カバーは、オーバーフロー孔を隠蔽する請求項1から請求項2までのいずれか一項に記載の洗面台。
【請求項4】
前記洗面鉢の外周には棚部が設けられ、前記棚部と前記カバーの上面とが面一である請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の洗面台。
【請求項5】
前記洗面鉢の鉢面と前記カバーの側面とが面一である請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の洗面台。
【請求項6】
前記カバーの下端と前記洗面鉢の鉢面とが離れている請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の洗面台。
【請求項7】
前記排水孔は、前記洗面鉢の角部に形成されている請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の洗面台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は洗面台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、オーバーフロー孔と排水孔とを着脱自在な目隠し部材によって覆う洗面ボウルの構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-307015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものは、排水孔の掃除をする目的で目隠し部材を取り外した場合、洗面ボウル内に目隠し部材を置くと、置いた位置によっては排水孔の掃除を行い難くなる可能性がある。これに対して、目隠し部材を洗面ボウルの外に置くことが考えられる。この場合、目隠し部材を置く場所が濡れたり汚れたりしないように養生する等の手間が生じることになる。
【0005】
本開示は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、掃除し易い洗面台を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の洗面台は、排水孔が形成された洗面鉢と、前記排水孔を隠蔽するカバーと、前記排水孔を隠蔽しない非隠蔽状態で前記カバーを保持可能な保持部とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、洗面台を上方から見た平面図である。
図2図2は、図1における要部拡大図であって、排水部を拡大して示した状態である。
図3図3は、排水部にカバーを設置した状態の洗面台を上方から見た平面図である。
図4図4は、図3における要部拡大図であって、カバーが設置された排水部を拡大して示した状態である。
図5図5は、図2におけるA-A断面図である。
図6図6は、図4におけるB-B断面図であって、排水栓の位置が開放位置にある状態を示す。
図7図7は、図6における要部拡大図であって、機構部本体のアームが被把持部の球状部を把持した状態を拡大して示す。
図8図8は、図4におけるC-C断面図である。
図9図9は、排水栓及び機構部が取り付けられたカバーを斜めから見た斜視図である。
図10図10は、図4におけるB-B断面図であって、排水栓の位置が閉鎖位置にある状態を示す。
図11図11は、図10における要部拡大図であって、機構部本体のアームが被把持部の球状部を把持しない状態を拡大して示す。
図12図12は、カバーを非隠蔽状態で保持した洗面台を上方から見た平面図である。
図13図13は、図12におけるD-D断面図である。
図14図14は、他の実施形態における排水部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
以下、本開示の洗面台を具体化した実施形態1について図1から13を参照しつつ説明する。以下の説明において、図1における左方、右方にあらわれる向きを、後方、前方と定義し、上方、下方にあらわれる向きを右方、左方と定義する。図5における上方、下方にあらわれる向きをそのまま上方、下方と定義する。
【0009】
[洗面器本体の構成]
本開示の洗面台は、例えば、カウンターの上面に洗面器本体10の周縁部が載置された形態とされている。具体的には、洗面器本体10の周縁部は、カウンターの上面に載置され、中央部がカウンターに形成された切り欠きを貫通してカウンターに嵌め込まれる。洗面器本体10は、図1に示すように、上方からの平面視において、全体として左右方向に長い四角形状をなしている。カウンターは図示しない。
【0010】
洗面器本体10は、洗面鉢10A、及び棚部10Bを備えている。洗面鉢10Aは、底面部10D、左壁部10E、前壁部10F、後壁部10G、右壁部10H、及び排水部10Cを備えている。底面部10Dは、右端から左端に向って上向きに緩やかに傾斜している。左壁部10Eは、右向きに下り傾斜している。左壁部10Eは、右に向かうにつれて傾斜が急になるように形成されている。左壁部10Eの右端縁は、底面部10Dの左端縁に連続している。
【0011】
前壁部10Fは、後向きに下り傾斜している。前壁部10Fは、後に向かうにつれて傾斜が急になるように形成されている。前壁部10Fは、底面部10D、及び左壁部10Eの前端縁に連結している。後壁部10Gは、底面部10D、及び左壁部10Eの後端縁に連結して、平面状に立ち上がっている。後壁部10Gは、洗面鉢10Aの上端よりも上方に延びて形成されている。右壁部10Hは、底面部10D及び前壁部10Fの右端縁に連結して、平面状に立ち上がっている。
【0012】
排水部10Cは、後壁部10G、及び右壁部10Hの近傍(すなわち、洗面鉢10Aの角部)に形成されている。排水部10Cは、図2に示すように、排水前壁部10J、排水後壁部10K、排水右壁部10L、排水底面部10M、及びヘアキャッチャー11を有している。排水前壁部10Jは、後壁部10Gに対向するように平面状をなしており、右壁部10H、及び後述する棚部10Bの後端縁に連結している。排水後壁部10Kは、後壁部10Gの一部をなしており排水前壁部10Jに対向している。排水後壁部10Kの上部には、オーバーフロー孔10Nが開口して形成されている(図5参照。)。オーバーフロー孔10Nには、筒状をなしたオーバーフロー流路の一端が連通して連結される。オーバーフロー流路は図示しない。
【0013】
排水右壁部10Lは、平面状をなしている。排水右壁部10Lは、排水後壁部10K、及び排水前壁部10Jに直交するように立ち上がって形成されている。排水右壁部10Lは、排水後壁部10Kの右端、及び排水前壁部10Jの右端に連結している。排水底面部10Mは、底面部10Dの後側の右端に連続して、排水後壁部10Kの下端と、排水前壁部10Jの下端と、排水右壁部10Lの下端とに連結している。
【0014】
排水後壁部10K、及び排水前壁部10Jの各々の上端部には、保持部10Pが設けられている。保持部10Pは、係止部である第1係止片10Q、第2係止片10R、第3係止片10S、及び第4係止片10T(以下、各係止片10Q,10R,10S,10Tともいう)を有している。各係止片10Q,10R,10S,10Tは、円柱状をなしている。各係止片10Q,10R,10S,10Tの直径は同じである。各係止片10Q,10R,10S,10Tは、中心軸を前後方向に向けている。各係止片10Q,10R,10S,10Tの中心軸の高さは同じである。
【0015】
第1係止片10Qは、排水前壁部10Jの上端部の右側に設けられ、排水前壁部10Jから後方に突出している。第2係止片10Rは、排水前壁部10Jの上端部の左側に設けられ、排水前壁部10Jから後方に突出している。第3係止片10Sは、排水後壁部10Kの上端部の右側に設けられ、排水後壁部10Kから前方に突出している。第4係止片10Tは、排水後壁部10Kの上端部の左側に設けられ、排水後壁部10Kから前方に突出している。第1係止片10Q及び第3係止片10Sと、排水右壁部10Lとは所定の寸法離れている。このように、洗面鉢10Aの角部の側面には、カバー36を保持する保持部10Pが設けられている。
【0016】
排水底面部10Mには、排水孔10Uが貫通して形成されている。つまり、排水孔10Uは、洗面鉢10Aの角部に形成されている。排水孔10Uは下方に向けて内側に縮径する円錐状に傾斜して形成されている。排水孔10Uの下端には、全周にわたって内向きに突出した段部10Vが設けられている(図5参照。)。排水孔10Uには筒状をなした排水路Dが連通する(図5参照。)。排水路Dは、上端部を除き排水孔10Uの段部10Vよりも内径が小さい(図5参照。)。排水路Dの上部には、オーバーフロー流路の他端が連通して連結される。オーバーフロー流路が排水路Dに連通している状態は図示しない。
【0017】
ヘアキャッチャー11は、椀状をなしており、水が通過する複数の貫通孔11Aが貫通して形成されている。ヘアキャッチャー11の外縁部には、上向きに立ち上がる立上がり部11Bが設けられている。立上がり部11Bを把持することによって、ヘアキャッチャー11は、排水路Dに対して容易に着脱することができる。ヘアキャッチャー11の外周縁には、ヘアキャッチャー11の中心から放射方向に突出する複数の突起部11Cが設けられている。ヘアキャッチャー11は、これら突起部11Cを排水路Dの上端部に係止して排水孔10U、及び排水路Dに配置される(図5参照。)。
【0018】
棚部10Bは、横方向に平面状に拡がっている。棚部10Bの左端縁は、右壁部10Hの上端縁に連結している。棚部10Bは、右壁部10Hの右方に向けて拡がっている。つまり、棚部10Bは洗面鉢10Aの外周に設けられている。
【0019】
[カバーの構成]
カバー36は、図6に示すように、第1隠蔽部32、及び第2隠蔽部33を有している。カバー36は、排水孔10Uを隠蔽する機能を有している。ここでいう隠蔽とは、洗面台の前方に立ち、洗面鉢10Aを上方から覗き込む使用者から排水孔10Uが見えない状態にすることである。
【0020】
カバー36の上面である第1隠蔽部32は、平板状をなし、四角形状をなしている(図4、6参照。)。第1隠蔽部32には、図8に示すように、板厚方向に貫通してボタン挿通孔32Aが形成されている。ボタン挿通孔32Aの一端部の周囲には、第1隠蔽部32の板厚よりも薄く形成された第1窪み部32Bが形成されている。第1隠蔽部32のボタン挿通孔32Aには、後述するボタン部31Bの閉鎖部31G側が挿通される。
【0021】
第1隠蔽部32には、図9に示すように、第2窪み部32C、第3窪み部32D、第4窪み部32E、及び第5窪み部32Fが形成されている。第2窪み部32C、第3窪み部32D、第4窪み部32E、及び第5窪み部32Fは、第1隠蔽部32において、第1窪み部32Bが形成されている面側に窪んで形成されている。第1隠蔽部32は、排水孔10Uを隠蔽する隠蔽状態において、排水前壁部10J、排水後壁部10K、排水右壁部10Lの上端部に沿って、洗面鉢10Aの棚部10Bの上面に面一に配置される(図8参照。)。
【0022】
第2窪み部32C、及び第3窪み部32Dは、図4に示すように、隠蔽状態における第1隠蔽部32において、棚部10Bに隣合う辺に形成されている。第2窪み部32Cは、第1隠蔽部32の棚部10Bに隣合う辺の左側に形成されている。第2窪み部32Cは、中心軸を前後方向に向けた半円形状をなしている(図9参照。)。第3窪み部32Dは、第1隠蔽部32の棚部10Bに隣合う辺の右側に形成されている。第3窪み部32Dは、隠蔽状態における第1隠蔽部32の右端まで延びて形成されている。第3窪み部32Dの左端には、第1隠蔽部32の板厚方向に第1隠蔽部32から突出した第1突起部32Gが設けられている(図9参照。)。
【0023】
第4窪み部32E、及び第5窪み部32Fは、隠蔽状態における第1隠蔽部32において、排水後壁部10Kに隣合う辺に形成されている。第4窪み部32Eは、第1隠蔽部32の排水後壁部10Kに隣合う辺の左側に形成されている。第4窪み部32Eは、中心軸を前後方向に向けた半円形状をなしている。この状態は図示しない。第5窪み部32Fは、第1隠蔽部32の排水後壁部10Kに隣合う辺の右側に形成されている。第5窪み部32Fは、隠蔽状態における第1隠蔽部32の右端まで延びて形成されている。第5窪み部32Fの左端には、第1隠蔽部32の板厚方向に第1隠蔽部32から突出した第2突起部32Hが設けられている(図9参照。)。
【0024】
第1隠蔽部32は、第2窪み部32Cに第2係止片10Rが嵌り、第3窪み部32Dに第1係止片10Qが嵌り、第4窪み部32Eに第4係止片10Tが嵌り、第5窪み部32Fに第3係止片10Sが嵌り、排水前壁部10J、排水後壁部10K、排水右壁部10Lの上端部に沿って、棚部10Bに面一に配置される。こうして、保持部10Pは、第1隠蔽部32を隠蔽状態で保持可能である。
【0025】
カバー36の側面である第2隠蔽部33は平板状をなしている。第2隠蔽部33は、隠蔽状態の第1隠蔽部32の左側の辺から垂下している。第1隠蔽部32が隠蔽状態において、第2隠蔽部33は、洗面鉢10Aの右壁部10H(鉢面)に面一に配置される(図3、4参照。)。第2隠蔽部33の下端と、洗面鉢10Aの底面部10D(鉢面)、及び排水部10Cの排水底面部10Mとは、所定の間隔が設けられ離れている(図6参照。)。これによって、洗面鉢10Aから排水部10Cに向けて良好に水を流すことができる。この状態において、保持部10Pは、カバー36の第1隠蔽部32、及び第2隠蔽部33を、排水孔10Uを隠蔽する隠蔽状態で保持する。このとき、隠蔽状態のカバー36は、オーバーフロー孔10Nも隠蔽する。洗面台は、このように構成された洗面鉢10Aと、カバー36と、保持部10Pとを備えている。
【0026】
[排水栓及び機構部について]
カバー36には、図6に示すように、排水栓30、及び機構部31が設けられている。排水栓30は、排水栓本体30A、軸部30B、及び被把持部30Cを有している。排水栓本体30Aは、円盤状をなしている。排水栓本体30Aの外径は排水孔10Uの段部10Vの内径よりも大きい。排水栓本体30Aの外周面には、周方向に沿って窪んだ溝部30Dが形成されている。溝部30Dには、円環状をなしたシール部材30Eが嵌め込まれている。シール部材30Eは、例えば、ゴム製である。軸部30Bは、円柱状をなして、排水栓本体30Aの一端から排水栓本体30Aに同軸に延びている。
【0027】
被把持部30Cは、図7に示すように、円柱部30F、押え部30G、及び被把持部本体30Hを有している。円柱部30Fは、円柱状をなしており軸部30Bの先端に連結している。円柱部30Fは、軸部30Bの中心軸と同軸に配置されている。軸部30Bから離れた円柱部30Fの端部の外周縁には、鍔状に拡がる鍔部30Jが設けられている。軸部30Bから離れた円柱部30Fの端部には、軸部30Bに向けて窪んで形成された凹部30Kが形成されている。円柱部30Fの端部を正面から見た凹部30Kの外形は、長方形状である。凹部30Kの外形は図示しない。凹部30Kの底には、2つのネジ穴30Lが形成されている。これらネジ穴30Lは、凹部30Kの長手方向に並んでいる。
【0028】
押え部30Gは、長方形状をなした平板状に形成されている。押え部30Gの外形は、凹部30Kの外形に相似しており、凹部30Kの外形よりも僅かに小さい。押え部30Gの外形は図示しない。押え部30Gの板厚の寸法は、凹部30Kの深さの寸法と同じである。押え部30Gには、板厚方向に貫通して2つの貫通孔30Mが形成されている。これら貫通孔30Mは、押え部30Gの長手方向に並んでいる。これら貫通孔30Mは、凹部30Kに形成された2つのネジ穴30Lに対応している。貫通孔30Mの間には、板厚方向に貫通して挿通孔30Nが形成されている。押え部30Gの板厚方向における挿通孔30Nの一端部には、全周にわたって内向きに突出した縮径部30Pが設けられている。押え部30Gは、縮径部30Pを軸部30Bから離した向きにして凹部30K内に配置され、各貫通孔30Mを介して凹部30Kの各ネジ穴30LにネジS1を締め込むことによって、円柱部30Fに連結される。
【0029】
被把持部本体30Hは、基部30Q、連結部30R、及び球状部30Sを有している。基部30Qは円盤状をなしている。基部30Qの外径は、押え部30Gの縮径部30Pの内径よりも大きく、縮径部30Pが設けられていない挿通孔30Nの内径よりも小さい。連結部30Rは、円柱状をなして、基部30Qの一端面から延びている。連結部30Rの中心軸は、基部30Qの中心軸と同軸に配置されている。球状部30Sは、外径が球状をなしており、連結部30Rの先端に連結している。球状部30Sの中心は、連結部30Rの中心軸上に配置されている。球状部30Sの直径は、連結部30Rの外径よりも大きい。球状部30Sの直径は、押え部30Gの縮径部30Pの内径よりも小さい。基部30Qは、押え部30Gの縮径部30Pと凹部30Kの底面との間に配置される。連結部30Rの先端側、及び球状部30Sは、押え部30Gの挿通孔30Nを介して押え部30Gの一端側から突出している。
【0030】
機構部31は、図6に示すように、機構部本体31A、操作部であるボタン部31B、及び収納部31Cを有している。機構部本体31Aは、所謂プッシュラッチである。機構部本体31Aの外形は、直方体状をなしている。機構部本体31Aは、図7に示すように、保持部である一対のアーム31D、及び一対の固定部31Eを有している。一対のアーム31Dは、被把持部本体30Hの球状部30Sを把持する機能を有している。一対のアーム31Dは、球状部30Sを把持した把持状態のとき、互いの先端部同士が近づいて球状部30Sを把持した状態にされて機構部本体31Aに入り込む。一対のアーム31Dは、球状部30Sを把持しない非把持状態のとき、互いの先端部同士が離れて球状部30Sを把持しない状態にされて機構部本体31Aから突出する(図11参照。)。
【0031】
一対の固定部31Eは、機構部本体31Aを後述する連結部材34に連結するために用いられる(図8参照。)。一対の固定部31Eは、平板状をなしている。一対の固定部31Eは、機構部本体31Aの反対に位置する側面の各々から、この側面に直交する方向に延びるように設けられている。各固定部31Eには、板厚方向に貫通して2つの貫通孔31Fが形成されている(図6参照。)。
【0032】
ボタン部31Bは、図8に示すように、一端が閉鎖部31Gによって閉鎖された円筒状をなしている。ボタン部31Bの開放された側の外周縁には鍔状に形成された鍔部31Hが設けられている。ボタン部31Bには、円柱状をなした軸部31Jが設けられている。軸部31Jは、ボタン部31Bの中心軸に同軸に配置されている。軸部31Jの基端は、閉鎖部31Gに連結している。軸部31Jの先端は、ボタン部31Bの開放された側から突出している。軸部31Jの先端には、基端に向けて窪んだネジ穴31Kが形成されている。
【0033】
機構部本体31A、及びボタン部31Bは、連結部材34を介して連結している。連結部材34は、第1連結部34A、及び第2連結部34Bを有している。第1連結部34A、及び第2連結部34Bは、各々長方形状をなした平板状に形成されている。第1連結部34Aには、板厚方向に貫通して複数の第1ネジ孔34Cが形成されている。第2連結部34Bには、板厚方向に貫通して第2ネジ孔34Dが形成されている。第2連結部34Bと第1連結部34Aとは、互いに直角をなして各々の端縁同士が連結している。第1連結部34Aには、機構部本体31Aの固定部31Eが接触するように機構部本体31Aが配置されている。機構部本体31Aは、各貫通孔31Fを介して第1連結部34Aの各第1ネジ孔34CにネジS2を締め込むことによって、第1連結部34Aに連結される。
【0034】
ボタン部31Bの軸部31Jには、圧縮コイルばね35が挿通されている。圧縮コイルばね35の内径は軸部31Jの外径よりも僅かに大きい。ボタン部31Bは、軸部31Jに圧縮コイルばね35が挿通された状態で、軸部31Jの先端が第2連結部34Bに接触するように配置されている。ボタン部31Bは、第2ネジ孔34Dを介して軸部31Jのネジ穴31KにネジS3を締め込むことによって、第2連結部34Bに連結される。
【0035】
収納部31Cは、機構部本体31A、ボタン部31B、及び排水栓30の被把持部30Cを収納する機能を有している。収納部31Cは、円筒状をなしている。収納部31Cは、長手方向に沿って半割した形態にすることができる。収納部31Cの一端部の外周縁部には鍔状に形成された鍔部31Lが設けられている。収納部31Cの内部には、鍔部31Lが設けられた側から順に、ボタン部収納領域31M、機構部本体収納領域31N、及び被把持部収納領域31Pが形成されている。収納部31Cは、半割した一方に機構部本体31A、ボタン部31B、及び排水栓30の被把持部30Cを配置する。そして、収納部31Cは、機構部本体31A、ボタン部31B、及び排水栓30の被把持部30Cを配置した後、半割した一方に半割した他方を組み付ける。
【0036】
ボタン部収納領域31Mは、収納部31Cの一端部に形成されている。ボタン部収納領域31Mには、閉鎖部31Gが露出するようにボタン部31Bが収納される。収納部31Cの一端部には、内側に向けて突出する第1突出部31Qが設けられている。ボタン部31Bの鍔部31Hの外径は、第1突出部31Qの内径よりも大きい。このため、ボタン部31Bは、第1突出部31Qによって収納部31Cから脱落することが阻止される。ボタン部収納領域31Mにおける第1突出部31Qから離れた側には、ボタン部31Bの鍔部31Hが当て付けられる第1当付け面31Rが形成されている。
【0037】
ボタン部収納領域31Mにおける第1突出部31Qから離れた側には、機構部本体収納領域31Nとの間を仕切る仕切り壁部31Sが設けられている。仕切り壁部31Sの外形は、ボタン部31Bの内径よりも小さい。仕切り壁部31Sの中央部には板厚方向に貫通して挿通孔31Tが形成されている。ボタン部31Bは、軸部31Jを挿通孔31Tに挿通させてボタン部収納領域31Mに収納される。軸部31Jに挿通された圧縮コイルばね35は、閉鎖部31Gと仕切り壁部31Sとの間に配置される。圧縮コイルばね35は、ボタン部31Bに対して、鍔部31Hを第1突出部31Qに近づける向きに力を作用させている。ボタン部31Bは、第1突出部31Qと第1当付け面31Rとの間において移動自在であり、第1突出部31Qと第1当付け面31Rとによって移動が規制される。
【0038】
機構部本体収納領域31Nには、連結部材34に連結された形態の機構部本体31Aが収納される。機構部本体31Aは、連結部材34の第2連結部34Bが仕切り壁部31Sに臨み、一対のアーム31Dが被把持部収納領域31Pに臨むように機構部本体収納領域31Nに収納される。
【0039】
被把持部収納領域31Pには、軸部30Bが収納部31Cの外部に突出するように被把持部30Cが収納される。収納部31Cの他端部には内側に向けて突出する第2突出部31Uが設けられている。被把持部30Cの鍔部30Jの外径は、第2突出部31Uの内径よりも大きい。このため、被把持部30Cは、第2突出部31Uによって収納部31Cから脱落することが阻止される。被把持部収納領域31Pの第2突出部31Uから離れた側には、被把持部30Cの先端が当て付けられる第2当付け面31Vが形成される。被把持部収納領域31Pに収納された被把持部30Cは、第2突出部31Uと第2当付け面31Vとの間において移動自在であり、第2突出部31Uと第2当付け面31Vとによって移動が規制される。
【0040】
こうして構成された排水栓30、及び機構部31は、第1隠蔽部32の第1窪み部32Bに、収納部31Cの鍔部31Lが嵌め込まれる。この状態で収納部31Cは、第1隠蔽部32に連結される。カバー36が隠蔽状態の場合、第1隠蔽部32に連結された収納部31Cは、排水前壁部10J、排水後壁部10K、排水右壁部10Lに囲まれた領域内に配置される。この状態において、排水栓30の排水栓本体30Aは、排水孔10Uの中心軸と同軸に配置されている。カバー36が隠蔽状態の場合、排水栓30、及び機構部31は、カバー36の第1隠蔽部32によって吊り下げられた状態にされる(図6参照。)。
【0041】
[排水栓及び機構部の動作]
次に、排水栓30及び機構部31の動作について説明する。カバー36を隠蔽状態にすることによって排水部10Cに配置された排水栓30及び機構部31は、使用者がボタン部31Bを下向きに押下する操作を行うことによって、排水栓30の位置を、排水孔10Uを開放する開放位置から排水孔10Uを閉鎖する閉鎖位置に変化させ、下向きに押下する操作によって排水栓30の位置を閉鎖位置から開放位置に変化させることができる。
【0042】
排水栓30が閉鎖位置にある場合について説明する。このとき、機構部本体31Aの一対のアーム31Dは、図10、11に示すように、互いの先端部同士が離れて球状部30Sを把持しない非把持状態とされている。つまり、一対のアーム31Dは、排水栓30が閉鎖位置において、排水栓30を保持しない非保持状態にされている。このとき、一対のアーム31Dは、機構部本体31Aから突出した状態である。被把持部30Cは、収納部31Cの被把持部収納領域31Pの下部に配置される。被把持部30Cの鍔部30Jと、第2突出部31Uとの間には、隙間が設けられた状態にされている。これによって、排水栓本体30Aは、閉鎖位置において、機構部31やカバー36等の寸法ばらつきの影響を受け難くすることができ、シール部材30Eが排水孔10Uの内周面に密着した状態を維持し易くなる。このとき、機構部31は、圧縮コイルばね35が伸びようとする力によって上向きに移動した状態である。具体的には、ボタン部31Bの鍔部31Hが、第1突出部31Qに当て付けられた状態にされている。このとき、ボタン部31Bは、第1隠蔽部32の表面よりも上方に突出した状態である。
【0043】
排水栓30が閉鎖位置にある場合において、使用者が、ボタン部31Bを下向きに押下する操作を行う。このとき、ボタン部31Bの閉鎖部31Gの表面は、第1隠蔽部32の表面よりも窪んだ状態にされる。この状態は図示しない。これによって、機構部本体31Aは、ボタン部31Bと共に下向きに移動する。これと共に、一対のアーム31Dは、図7に示すように、被把持部本体30Hの球状部30Sを把持して、球状部30Sによって機構部本体31Aに押し込まれる。つまり、一対のアーム31Dは、排水栓30が閉鎖位置において、排水栓30を保持しない非保持状態と排水栓30を保持する保持状態とに切り替わるのである。
【0044】
そして、使用者がボタン部31Bを押下する操作を終了する。すると、一対のアーム31Dが球状部30Sを把持した状態を維持し、機構部本体31Aは、圧縮コイルばね35の反発力によって上向きに移動する。このとき、球状部30Sが一対のアーム31Dに把持された排水栓30も、機構部本体31Aと共に上向きに移動する。これと共に、被把持部30Cの円柱部30Fは、収納部31Cの第2当付け面31Vに当て付けられた状態になる。つまり、機構部31は、一対のアーム31Dを把持状態にして排水栓30を開放位置に移動させる。こうして、機構部31は、排水栓30を閉鎖位置から開放位置に変化させる場合、閉鎖位置から開放位置への向きに排水栓30を引っ張り、開放位置に保持するのである。
【0045】
これと共に、第2当付け面31Vによって上向きの移動が規制された被把持部30Cの球状部30Sをアーム31Dが把持しているため、機構部31の上向きの移動は規制される。こうして、排水栓30は、排水孔10Uを開放する開放位置になる。機構部31は、排水栓30の開放位置を挟んで排水栓30の閉鎖位置の反対側に配置されていることになる。このとき、一対のアーム31Dは、排水栓30が開放位置において、排水栓30を保持する保持状態にされている。こうして、一対のアーム31Dは、非保持状態と、保持状態とに切り替わるのである。このとき、ボタン部31Bの閉鎖部31Gの表面は、第1隠蔽部32の表面に対して面一になる(図6参照。)。こうして、機構部31は、排水孔10Uを開放する開放位置と閉鎖する閉鎖位置とに排水栓30の位置を変化させる。
【0046】
[カバーを、排水孔を隠蔽しない非隠蔽状態にする方法について]
次に、カバー36を、排水孔10Uを隠蔽しない非隠蔽状態にする方法について説明する。先ず、保持部10Pによって隠蔽状態で保持されたカバー36を洗面器本体10から取り外す。次に、第2隠蔽部33が垂下する端部に対して反対側の第1隠蔽部32の端部を、排水部10Cの第1係止片10Qと排水右壁部10Lとの間、及び第3係止片10Sと排水右壁部10Lとの間に差し込む。つまり、カバー36は、保持部10Pと、洗面鉢10Aの排水部10Cの排水右壁部10L(鉢面)との間に係止される。そして、第1突起部32Gを第1係止片10Qに突き当てると共に、第2突起部32Hを第3係止片10Sに突き当てる(図13参照。)。第2突起部32Hが第3係止片10Sに突き当たる様子は図示しない。こうして、保持部10Pは、図12、13に示すように、カバー36を、排水孔10Uを隠蔽しない非隠蔽状態で保持可能である。
【0047】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0048】
本開示の洗面台は、排水孔10Uが形成された洗面鉢10Aと、排水孔10Uを隠蔽するカバー36と、排水孔10Uを隠蔽しない非隠蔽状態でカバー36を保持可能な保持部10Pとを備えている。この構成によれば、カバー36を非隠蔽状態で保持することによって、排水孔10Uが掃除し易い。
【0049】
本開示の洗面台の保持部10Pは、第1係止片10Q、第2係止片10R、第3係止片10S、及び第4係止片10Tを有し、カバー36の第1隠蔽部32は、第1係止片10Q、及び第3係止片10Sと洗面鉢10Aの排水部10Cの排水右壁部10L(鉢面)との間に係止され、非隠蔽状態になる。この構成によれば、カバー36を保持部10Pと洗面鉢10Aの鉢面との間に係止するだけなので、構造を簡単なものにし易い。
【0050】
本開示の洗面台の保持部10Pは、排水孔10Uを隠蔽する隠蔽状態でカバー36を保持可能である。この構成によれば、保持部10Pに非隠蔽状態と隠蔽状態とにする機能を付与することができるため、構造を簡単なものにし易い。
【0051】
本開示の洗面台のカバー36は、オーバーフロー孔10Nを隠蔽する。この構成によれば、見た目を良好にすることができる。
【0052】
本開示の洗面台の洗面鉢10Aの外周には棚部10Bが設けられ、棚部10Bと第1隠蔽部32とが面一である。この構成によれば、見た目をより良好にすることができる。
【0053】
本開示の洗面台は、洗面鉢10Aの右壁部10H(鉢面)と第2隠蔽部33とが面一である。この構成によれば、見た目をより良好にすることができる。
【0054】
本開示の洗面台は、カバー36の下端と洗面鉢10Aの底面部10D(鉢面)とが離れている。この構成によれば、水の流れを妨げることなく排水孔10Uに向けて水を流すことができる。
【0055】
本開示の洗面台の排水孔10Uは、洗面鉢10Aの角部に形成されている。この構成によれば、カバー36を保持する保持部10Pの構造を洗面鉢10Aの角部の形状を利用して構成することができる。このため、保持部10Pの構造に自由度を持たせ易い。
【0056】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1では、各係止片が円柱状をなしている。これに限らず、三角柱や四角柱などの多角柱や、楕円形状等であってもよい。
(2)実施形態1では、機構部本体にプッシュラッチが用いられている。これに限らない。例えば、一方向に延びる軸部の一端部にOリングを取り付け、この軸部の一端部を筒部材に挿入する。筒部材は円筒状をなす。Oリングは筒部材の内周面に常に接触した状態にする。つまり、Oリングと筒部材との間に摩擦力を生じさせ、この摩擦力によって、筒部材に対する軸部の位置を保持するのである。そして、中心軸を上下方向に向け筒部材を支持板に連結し、軸部に排水栓を連結する。こうして、軸部を操作することによって排水栓の位置を開放位置と閉鎖位置とに変化させてもよい。
(3)実施形態1では、保持部が円柱状をなした形態であることが開示されている。これに限らず、図14に示すように、排水後壁部110Kに前向きに平面状をなして突出する後側凸部110Tを設け、排水前壁部110Jに後向きに平面状をなして突出する前側凸部110Rを設けてもよい。後側凸部110T、及び前側凸部110Rの各々の上端部の右端部には、下向きに窪むように切り欠かれた溝部110Q,110Sを形成する。第1隠蔽部32を後側凸部110T、及び前側凸部110Rの上端に沿って配置することによって、これら後側凸部110T、及び前側凸部110Rは保持部として機能する。これら溝部110Q,110Sに第2隠蔽部33が垂下する端部に対して反対側の第1隠蔽部32の端部を差し込むことによって、これら溝部110Q,110Sはカバー36を非隠蔽状態で保持することができる。
【符号の説明】
【0057】
10A…洗面鉢、10B…棚部、10N…オーバーフロー孔、10P…保持部、10Q…第1係止片(係止部)、10R…第2係止片(係止部)、10S…第3係止片(係止部)、10T…第4係止片(係止部)、10U…排水孔、32…第1隠蔽部(カバーの上面)、33…第2隠蔽部(カバーの側面)、36…カバー、110Q,110S…溝部(保持部)、110R…前側凸部(保持部)、110T…後側凸部(保持部)
図1
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図14