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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240822BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20240822BHJP
   F24F 13/10 20060101ALI20240822BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20240822BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20240822BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20240822BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F24F7/06 Z
F24F7/08 101D
F24F13/10 E
F24F13/02 C
F24F5/00 K
E04B1/70 B
E04B1/76 100D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020064355
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021162228
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 基之
(72)【発明者】
【氏名】下町 浩二
(72)【発明者】
【氏名】工藤 隆一
(72)【発明者】
【氏名】本間 瑞基
(72)【発明者】
【氏名】中垣 康平
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-145128(JP,A)
【文献】特開2000-146252(JP,A)
【文献】特開2005-024183(JP,A)
【文献】特開2003-254560(JP,A)
【文献】特開2005-188842(JP,A)
【文献】特開2005-188843(JP,A)
【文献】特開平08-121815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 7/08
F24F 13/10
F24F 13/02
F24F 5/00
E04B 1/70
E04B 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数人が居住する建物において、
複数人が共用して利用する共用領域と、
複数人それぞれが個別に利用する複数の個別居室領域とを備え、
前記共用領域は、空調された空気を含む空調空間と、前記空調空間の天井裏に位置する天井裏空間と、前記天井裏空間に配置され、一端が屋外に露出し、他端が前記空調空間に露出する外気取入流路と、前記天井裏空間に配置され、一端が前記空調空間に露出し、他端が前記天井裏空間に露出する空調空気排出流路と、前記天井裏空間に配置され、前記外気取入流路と前記空調空気排出流路との間で、前記外気取入流路を通る空気と、前記空調空気排出流路を通る空気とを熱交換する熱交換機とを有する湿度環境改善装置を含み、
前記個別居室領域は、空調された空気を含む個別空調空間と、前記個別空調空間の天井裏に位置する個別天井裏空間と、前記個別空調空間から前記個別天井裏空間へ空調された空気を放出する個別排気口と、前記個別天井裏空間の空気を屋外へ強制排気する強制排気手段とを含む、建物。
【請求項2】
前記共用領域と前記個別居室領域との間には、廊下領域が設けられており、
前記共用領域の天井裏空間の空気は、パスダクトを介して前記廊下領域に放出され、
前記廊下領域の空気は、自然給気によって前記個別空調空間へ送られる、請求項に記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿度環境改善装置およびそれを用いた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の換気システムとしては様々な方法が挙げられるが、その中でも、一般的な住宅では、ファンなどの機械で給気および排気を行う第1種換気という技術が知られている。
【0003】
たとえば特開2009-168316号公報(特許文献1)および特開2009-281116号公報(特許文献2)には、天井裏に熱交換ボックスが設けられ、屋外からダクトを通して吸気された外気と屋内からダクトを通して還気された空気とを熱交換し、それぞれダクトを通して屋内と屋外に送り込まれることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-168316号公報
【文献】特開2009-281116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の換気構造は、天井裏に熱交換ボックスが設けられ、室内環境の改善を行っているものの、天井裏の湿度環境については改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、天井裏の湿度環境を改善することが可能な湿度環境改善装置およびそれを用いた建物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る湿度環境改善装置は、空調された空気を含む空調空間と、空調空間の天井裏に位置する天井裏空間と、空調空間から天井裏空間内へ空調空気を放出する排気口と、天井裏空間に配置され、一端が屋外に露出し、他端が空調空間に露出する外気取入流路と、天井裏空間に配置され、一端が天井裏空間に露出し、他端が屋外に露出する空調空気排出流路と、天井裏空間に配置され、外気取入流路と空気排出流路との間で、外気取入流路を通る空気と、空調空気排出流路を通る空気とを熱交換する熱交換機とを備える。
【0008】
好ましくは、空調空間は、窓と、窓に沿う窓際空間を他の空間と仕切る仕切り部材とを含み、排気口は、窓に隣接する天井に設けられている。
【0009】
好ましくは、仕切り部材は、その下端縁が上下方向に変位可能なように設けられた窓遮蔽部材である。
【0010】
本発明の一態様に係る他の湿度環境改善装置は、空調された空気を含む空調空間と、空調空間の天井裏に位置する天井裏空間と、天井裏空間に配置され、一端が屋外に露出し、他端が空調空間に露出する外気取入流路と、天井裏空間に配置され、一端が空調空間に露出し、他端が天井裏空間に露出する空調空気排出流路と、天井裏空間に配置され、外気取入流路と空調空気排出流路との間で、外気取入流路を通る空気と、空調空気排出流路を通る空気とを熱交換する熱交換機とを備える。
【0011】
本発明の一態様に係る建物は、複数人が居住する建物において、複数人が共用して利用する共用領域と、複数人それぞれが個別に利用する複数の個別居室領域とを備え、共用領域は、上述の空調空間と、天井裏空間と、外気取入流路と、空調空気排出流路と、熱交換機とを有する湿度環境改善装置を含み、個別居室領域は、空調された空気を含む個別空調空間と、個別空調空間の天井裏に位置する個別天井裏空間と、個別空調空間から個別天井裏空間へ空調された空気を放出する個別排気口と、個別天井裏空間の空気を屋外へ強制排気する強制排気手段とを含む。
【0012】
好ましくは、共用領域と個別居室領域との間には、廊下領域が設けられており、共用領域の天井裏空間の空気は、パスダクトを介して廊下領域に放出され、廊下領域の空気は、自然給気によって個別空調空間へ送られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の湿度環境改善装置およびそれを用いた建物によれば、天井裏の湿度環境を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1に係る湿度環境改善装置を示す図である。
図2】本発明の実施の形態2に係る湿度環境改善装置を示す図である。
図3】本発明の実施の形態3に係る湿度環境改善装置を用いた建物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0016】
(実施の形態1)
まず、図1を参照して、本実施の形態1に係る湿度環境改善装置1について説明する。湿度環境改善装置1は、たとえば一戸建ての住宅、集合住宅、ホテル、老健施設、病院などの建物に適用される。居室には、空調された空気を含む空調空間11と、空調空間11の天井裏に位置する天井裏空間12とが設けられる。
【0017】
空調空間11は、除湿された空気(空調空気)が分散する空間であり、かつ、外壁および間仕切り壁などによって区画された領域である。空調空気は、空調機20によって除湿されたものであってもよいし、他の領域で除湿された空気がダクトなどによって送り込まれたものであってもよい。
【0018】
空調空間11は、外壁13と間仕切り壁15と天井16と床17とによって区切られた空間である。天井16には、空調空間11の空気を除湿する空調機20が設けられる。空調機20は、少なくとも除湿機能を備えていればよく、冷房、暖房、送風などの機能を備えていてもよい。
【0019】
空調空間11は、外壁13の開口部に窓14が設けられてもよい。窓14は、たとえば窓枠と、窓枠に取り付けられたガラスとを含む。ガラスは透明であり、日射を取り込むことができる。
【0020】
図1を参照して、湿度環境改善装置1は、排気口21と、外気取入流路22と、空調空気排出流路25と、熱交換機28とを備える。排気口21は、空調空間11から天井裏空間12内へ空調空気を放出する。排気口21は、天井16に設けられる。排気口21は、典型的には天井ガラリであるが、空気流動機構としての排気ファンが設けられていてもよい。排気口21は、窓14の近傍に設けられていることが好ましい。
【0021】
外気取入流路22は、熱交換機28を通過する。外気取入流路22は、天井裏空間12に配置される。外気取入流路22は、一端および他端を有する長尺状の空気流路であり、具体的にはダクトである。外気取入流路22の一端は吸気口23であり、吸気口23は屋外に露出する。外気取入流路22の他端は吹出し口24であり、吹出し口24は空調空間11に露出する。
【0022】
空調空気排出流路25は、外気取入流路22と同様に熱交換機28を通過する。空調空気排出流路25は、天井裏空間12に配置される。空調空気排出流路25は、外気取入流路22と同様に一端および他端を有する長尺状の空気流路であり、具体的にはダクトである。空調空気排出流路25の一端は吸気口26であり、吸気口26は天井裏空間12に露出する。空調空気排出流路25の他端は吹出し口27であり、吹出し口27は屋外に露出する。吸気口26は、排気口21と一定間隔以上離れていることが好ましい。排気口21から放出された空調空気を天井裏空間12に均等に分散させるためである。
【0023】
熱交換機28は、天井裏空間12に配置される。熱交換機28は、典型的には全熱交換機であり、潜熱および顕熱を交換する。熱交換機28は、外気取入流路22と空調空気排出流路25との間で、外気取入流路22を通る空気と、空調空気排出流路25を通る空気とを熱交換する。
【0024】
夏期の場合では、熱交換機28では、屋外から吸気された外気取入流路22の高温多湿の空気(たとえば、温度30℃、湿度80%)と、天井裏空間12から吸気された空調空気排出流路25の低温低湿の空気(たとえば、温度28℃、湿度70%)とが熱交換されるため、空調空間11への吹出し口24からは、熱交換後の低温低湿の空気(たとえば、温度29℃、湿度75%)が排気される。さらに、空調空間11では、熱交換した外気よりも低温低湿の空気をさらに空調機20で冷房および除湿して低温低湿の空気(たとえば、温度26℃、湿度60%)にし、その空気を排気口21から天井裏空間12に放出している。
【0025】
従来の熱交換機は、通常屋内の空気を天井裏を介さずに排気するため、居室と天井裏と屋外との温度差が大きく、居室を除湿したとしても、天井裏では結露が発生するという問題があった。
【0026】
これに対し、本実施の形態では、空調空間11では空調機20で冷房および除湿を行い、その除湿した空調空気を排気口21から天井裏空間12に放出している。そのため、空調空間11で空調された空調空気が天井裏空間12に分散するため、天井裏空間12の空気の温度と湿度を屋外と空調空間11の中間とすることができ、空調空間11と天井裏空間12との温度差および湿度差を小さくすることができる。これにより、天井裏空間12での結露を防ぐことができ、結果として天井裏空間12の湿度環境を改善することができる。また、既存の熱交換機の施工を若干変えるだけで済むため、特殊な施工が不要であり、施工が容易となる。
【0027】
(実施の形態2)
図2を参照して、本実施の形態2に係る湿度環境改善装置1について説明する。上記実施の形態1の湿度環境改善装置1と本実施の形態2の湿度環境改善装置1Aとの相違点は、窓14近傍の構造と排気口21Aである。上記実施の形態と同様の部分については、同一の符号を付して説明を繰り返さない。
【0028】
本実施の形態2に係る空調空間11は、上述した窓14に加えて、仕切り部材18Aを含む。仕切り部材18Aは、窓14に沿う窓際空間19Aを他の空間と仕切る部材である。仕切り部材18Aは、その下端縁が上下方向に変位可能なように設けられた窓遮蔽部材である。つまり、仕切り部材18Aは、下方から開口するように構成されている。このため、仕切り部材18Aは、下方からの開口面積(開口度合)を任意に調整することができる。窓際空間19Aは、窓14と仕切り部材18Aとに囲まれる空間である。
【0029】
仕切り部材18Aは、たとえばブラインド、グラデーションブラインド、ロールスクリーン、プリーツスクリーン、カーテンなどを用いることができる。仕切り部材18Aは、日射を遮蔽する材質であることが好ましく、日射反射率の高い材質であることがより好ましい。
【0030】
排気口21Aは、窓14に隣接する天井16に設けられている。排気口21Aは、天井裏空間12に空調空気を放出する。本実施の形態では、排気口21Aは、窓際空間19Aの直上に設けられる。
【0031】
この排気口21Aには、気流を安定させる機構としての排気チャンバーが設けられてもよい。日射熱により窓際空間19Aの空気が窓際空間19A以外(仕切り部材18Aよりも屋内側)の空気よりも高温になると、煙突効果により排気口21Aに向けて窓際空間19A内を空気が移動する。排気チャンバーは、このような煙突効果によって排気口21Aに到達した空気を安定させた状態で天井裏空間12に送り込むことができる。また、排気口21Aには、空気流動機構としてのファンが設けられていてもよい。
【0032】
特に夏期では、窓際空間19Aは、仕切り部材18Aの屋内側よりも環境が悪く、高温かつ低湿である。そのため、窓際空間19Aに分散している空気は煙突効果により上昇し、図2の矢印Aに示すように、仕切り部材18Aの屋内側の空気が窓際空間19Aに供給され、窓際空間19Aを上昇した空気が排気口21Aから天井裏空間12に排出される。このように、窓際空間19Aの高温低湿な空気を、排気口21Aを介して天井裏空間12に送り出すことができるので、窓際空間19Aの熱負荷を低減することができるとともに、天井裏を低湿にすることができる。これにより、天井裏空間12での結露を防ぐことができ、結果として天井裏空間12の湿度環境を改善することができる。
【0033】
(実施の形態3)
図3を参照して、本実施の形態3に係る湿度環境改善装置1Bについて説明する。実施の形態3の湿度環境改善装置1Bは、建物100に用いられる。実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して説明を繰り返さない。
【0034】
建物100は、複数人が居住する設備であり、たとえば集合住宅、ホテル、老健施設、病院などである。建物100は、共用領域1Bと、複数の個別居室領域5と、共用領域1Bと個別居室領域5との間に設けられる廊下領域3とを備える。共用領域1Bは、複数人が共用して利用する領域であり、たとえば談話室、会議室など複数人が一時的に利用する居室である。個別居室領域5は、複数人それぞれが個別に利用する領域であり、たとえば寝室などプライベートな空間であり、各個人が長時間滞在する居室などである。
【0035】
共用領域1B、個別居室領域5および廊下領域3には、空調空間と天井裏空間とがそれぞれ設けられている。以下の説明において、個別居室領域5の空調空間を個別空調空間51といい、その天井裏空間を個別天井裏空間52といい、廊下領域3の空調空間を廊下空調空間31といい、その天井裏空間を廊下天井裏空間32という。
【0036】
共用領域1Bは、本実施の形態の湿度環境改善装置を含む。本実施の形態の湿度環境改善装置と上述した実施の形態1の湿度環境改善装置1とは、空調空気排出流路25において異なる。具体的には、実施の形態1の空調空気排出流路25の吸気口26は天井裏空間12に露出していたが、本実施の形態の空調空気排出流路25Bの吸気口26Bは、空調空間11に露出している。さらに、実施の形態1の空調空気排出流路25の吹出し口27は、屋外に露出していたが、本実施の形態の空調空気排出流路25Bの吹出し口27Bは、天井裏空間12に露出している。吹出し口27Bは、廊下天井裏空間32近傍に設けられることが好ましい。これにより、熱交換機28で熱交換した空気を廊下領域3に効率よく送り込むことができる。なお、本実施の形態では、実施の形態1で設けられた排気口21は設けられていなくてもよい。
【0037】
共用領域1Bの天井裏空間12と廊下天井裏空間32とは、第1仕切り壁33によって仕切られていてもよい。このような場合、廊下天井裏空間32には、パスダクト41が設けられる。
【0038】
パスダクト41は、一端および他端を有する長尺状の空気流路であり、具体的にはダクトである。パスダクト41の一端は吸気口42であり、吸気口42は第1仕切り壁33を貫通し、共用領域1Bの天井裏空間12に露出する。パスダクト41の他端は吹出し口43であり、吹出し口43は天井16を貫通し、廊下空調空間31に露出する。共用領域1Bの空調空間11と廊下空調空間31との間に設けられる間仕切り壁15は、たとえば開閉可能なドアなどであってもよい。なお、廊下空調空間31の天井16には、廊下空調空間31の空気を除湿する空調機40が設けられていてもよい。
【0039】
廊下天井裏空間32と個別天井裏空間52とは、第2仕切り壁53によって仕切られていてもよい。廊下空調空間31と個別空調空間51との間には、たとえばドア部54が設けられていてもよい。ドア部54の下端と床17との間には、隙間55が設けられている。この隙間55を介して、廊下空調空間31の空気が個別空調空間51および個別天井裏空間52へ自然給気される。自然給気とは、直接的に機械を用いずに空気を他の空間に供給することであり、間接的に機械を用いること(たとえば、他の領域で機械を用いて吸気すること)は含まれる。また、パスダクト41の吹出し口43と隙間55とは、間隔をあけて配置されることが好ましく、より具体的には対角線に設けられるなど、比較的遠い位置に配置されることが好ましい。
【0040】
個別居室領域5には、個別排気口61と、強制排気手段62とが設けられる。個別排気口61は、個別空調空間51から個別天井裏空間52へ空調された空気を放出する。強制排気手段62は、個別天井裏空間52の空気を屋外へ強制排気する。強制排気手段62は、たとえば換気扇、排気ファンなど機械的に空気を排気する手段である。強制排気手段62は、個別空調空間51に露出する第1吸気口63と、個別天井裏空間52に露出する第2吸気口64と、屋外に露出する吹出し口65とを含む。隙間55と第1吸気口63は、間隔をあけて配置されることが好ましく、より具体的には比較的遠い位置に配置されることが好ましい。
【0041】
なお、第1吸気口63および第2吸気口64は、少なくとも一方が設けられていればよいが、第2吸気口64が設けられていれば、個別天井裏空間52に空調空気を送り込むことができる。また、個別空調空間51の天井16には、個別空調空間51の空気を除湿する空調機60が設けられていてもよい。
【0042】
次に、本実施の形態の建物100内の空気の流れについて説明する。
【0043】
共用領域1Bの空調空間11の空調空気は、熱交換機28で熱交換された空気が空調空気排出流路25Bの吹出し口27Bから天井裏空間12に放出される。共用領域1Bの天井裏空間12の空気は、パスダクト41を介して廊下空調空間31に放出される。さらに、個別居室領域5の個別天井裏空間52には、強制排気手段62が設けられているため、廊下空調空間31の空気は、図3の矢印Bで示すように、ドア部54の隙間55を通って、自然給気によって個別空調空間51へ送られる。このように、共用領域1Bで熱交換された空気を廊下空調空間31、個別空調空間51および個別天井裏空間52で有効活用することができる。
【0044】
一般的に熱交換機28は、建物100の中でも比較的広い領域を占める共用領域1Bの天井裏空間12に配置され、各個別居室領域5には配置されないことが多く、熱交換機28で熱交換した空気を共用領域1Bでしか利用できなかった。これに対し、本実施の形態では、従来のように熱交換機28を共用領域1Bの天井裏空間12に配置しながらも、熱交換機28で熱交換した空気を天井裏空間12に放出することで、廊下空調空間31、個別空調空間51および個別天井裏空間52でも有効活用することが可能となる。
【0045】
なお、本実施の形態3では、すべての空間1B,3,5に空調機20,40,60が設けられたが、少なくとも空調機20,60が設けられていればよい。
【0046】
また、本実施の形態3の建物100では、共用領域1Bと個別居室領域5との間に廊下領域3が設けられたが、共用領域1Bと個別居室領域5が隣り合っていてもよい。また、共用領域1Bと個別居室領域5との間に設けられるのは、廊下領域3に限定されず、たとえば収納スペースなどの廊下以外の非居室などであってもよい。
【0047】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
1,1A 湿度環境改善装置、1B 共用領域(湿度環境改善装置)、3 廊下領域、5 個別居室領域、11 空調空間、12 天井裏空間、14 窓、15 間仕切り壁,18A 仕切り部材,19A 窓際空間,20,40,60 空調機,22 外気取入流路,25,25B 空調空気排出流路,28 熱交換機、41 パスダクト、51 個別空調空間、52 個別天井裏空間、54 ドア部、55 隙間、62 強制排気手段、100 建物。
図1
図2
図3