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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】インナーロータ型ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/14 20060101AFI20240822BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H02K21/14 M
H02K3/04 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020067935
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021164390
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(72)【発明者】
【氏名】須藤 薫
(72)【発明者】
【氏名】長尾 明憲
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 拓
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-066335(JP,A)
【文献】特開平11-055882(JP,A)
【文献】特開昭60-226750(JP,A)
【文献】実開平03-048373(JP,U)
【文献】特開2002-171735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/14
H02K 3/04
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸、磁石、および第1のヨークを備えるロータ部と、
第2のヨーク、その内部に収容される円筒状の界磁コイル、前記第2のヨークを保持する外筒、および前記外筒の内周面に嵌合されベアリングを介して前記出力軸と結合する後蓋を備えるステータ部とを有し、
前記ロータ部は、円筒状の前記界磁コイルの内部に挿入されており、
前記界磁コイルは、前記出力軸の軸方向において、第1端の側に配置された外側段差部、前記第2のヨークに挿入される側である第2端の側に配置された内側段差部、および前記外側段差部と前記内側段差部との間に配置され、前記軸方向に沿って巻回された中央帯部を備え、
前記外側段差部は、前記中央帯部に対して外周方向へ突出し、
前記内側段差部は、前記中央帯部に対して内周方向へ突出し、
前記磁石および前記第2のヨークは、前記中央帯部を挟んで対向し、
前記磁石の軸方向の長さは、前記中央帯部の軸方向の長さと等しく、前記外側段差部および前記内側段差部の軸方向の長さより長いことを特徴とするインナーロータ型ブラシレスモータ。
【請求項2】
前記磁石および前記第2のヨークは、前記中央帯部を挟んで対向し、
前記磁石の軸方向の長さは、前記外側段差部および前記内側段差部の軸方向の長さより長いことを特徴とする請求項1に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
【請求項3】
前記外側段差部および前記内側段差部の軸方向の長さをX、前記磁石の軸方向の長さをMとするとき、
2<M/X≦5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
【請求項4】
出力軸、磁石、および第1のヨークを備えるロータ部と、
第2のヨーク、その内部に収容される亀甲巻成形型の円筒状の界磁コイル、前記第2のヨークを保持する外筒、および前記外筒の内周面に嵌合されベアリングを介して前記出力軸と結合する後蓋を備えるステータ部とを有し、
前記ロータ部は、円筒状の前記界磁コイルの内部に挿入されており、
前記界磁コイルは、前記出力軸の軸方向に沿って巻回された中央帯部と、前記中央帯部に連なり、前記中央帯部の第1端側で前記軸方向に対し所定角度で巻回された第1端部と、前記中央帯部に連なり、前記中央帯部の第2端側で前記軸方向に対し所定角度で巻回された第2端部とを備え、
前記第1端部は、前記中央帯部に対して外周方向へ突出し、
前記第2端部は、前記中央帯部に対して内周方向へ突出していることを特徴とするインナーロータ型ブラシレスモータ。
【請求項5】
出力軸、磁石、および第1のヨークを備えるロータ部と、
第2のヨーク、および界磁コイルを備えるステータ部とを有し、
前記界磁コイルは、前記出力軸の軸方向において、第1端の側に配置された外側段差部、前記第2のヨークに挿入される側である第2端の側に配置された内側段差部、および前記外側段差部と前記内側段差部との間に配置され、前記軸方向に沿って巻回された中央帯部を備え、
前記外側段差部は、前記中央帯部に対して外周方向へ突出し、
前記内側段差部は、前記中央帯部に対して内周方向へ突出し、
前記磁石は、磁石本体部、および前記軸方向において前記磁石本体部から延在した第1磁石部材を備え、
前記磁石本体部および前記第2のヨークは、前記中央帯部を挟んで対向し、
前記磁石本体部の軸方向の長さは、前記中央帯部の軸方向の長さと等しく、
前記第1磁石部材は、前記外側段差部、および前記内側段差部の一方と対向することを特徴とするインナーロータ型ブラシレスモータ。
【請求項6】
前記磁石は、前記軸方向において前記磁石本体部から前記第1磁石部材の側とは反対側に延在した第2磁石部材を備え、
前記第2磁石部材は、前記外側段差部、および前記内側段差部の他方と対向することを特徴とする請求項5に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
【請求項7】
前記外側段差部および前記内側段差部の前記中央帯部に対するコイル成形角度をα(°)、前記界磁コイルのコイル辺のコイル中心幅をh、各段差部のコイル一辺の長さをlとするとき、
30≦α<45
l=h/cos(α)
を満足することを特徴とする請求項5又は6に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
【請求項8】
前記第2のヨークは、内形が前記界磁コイルに沿った形状となるように構成され、
前記磁石は、円筒形状であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
【請求項9】
前記第2のヨークは、外形が円筒状、外周の一部が欠けたC形形状、および多角形状のいずれかとなるように構成されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
【請求項10】
前記第2のヨークは、内形が、前記界磁コイルが収まる形状となるように構成され、
前記界磁コイルの外周、又は前記第2のヨークの内周には、絶縁部材が配置されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インナーロータ型ブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒状のマグネットの中心を貫通する軸からなるインナーロータ部と対向ヨークとの間に界磁コイルを配置するブラシレスモータが知られている。コアレスモータは、コアが設けられていないため、1万回転/分以上の高速回転数で高出力を得ることができる。特許文献1には、マグネットと対向ヨークとが、界磁コイルの巻線の中央帯幅部付近に、中央帯幅部とほぼ同じ軸方向長さで界磁コイルを挟んで対向するように配置されるDCブラシレスモータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-171735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のDCブラシレスモータでは、出力トルクを向上させるために界磁コイルの巻線占積率を増加させると、界磁コイル両端部の銅線の折り返し部が膨らんでしまう。結果として、界磁コイルの外径が大きくなるため、対向ヨークが大型化してしまう。対向ヨークが大型化すると、マグネットと対向ヨークとの隙間が広くなり、高出力かつ高効率のモータを実現することが困難になる。
【0005】
本発明は、大型化を抑制しつつ、磁気効率の良い、高出力、高性能なインナーロータ型ブラシレスモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としてのインナーロータ型ブラシレスモータは、出力軸、磁石、および第1のヨークを備えるロータ部と、第2のヨーク、その内部に収容される円筒状の界磁コイル、第2のヨークを保持する外筒、および外筒の内周面に嵌合されベアリングを介して出力軸と結合する後蓋を備えるステータ部とを有し、ロータ部は、円筒状の界磁コイルの内部に挿入されており、界磁コイルは、出力軸の軸方向において、第1端の側に配置された外側段差部、第2のヨークに挿入される側である第2端の側に配置された内側段差部、および外側段差部と内側段差部との間に配置され、軸方向に沿って巻回された中央帯部を備え、外側段差部は、中央帯部に対して外周方向へ突出し、内側段差部は、中央帯部に対して内周方向へ突出していることを特徴とする。
本発明の他の側面としてのインナーロータ型ブラシレスモータは、出力軸、磁石、および第1のヨークを備えるロータ部と、第2のヨーク、その内部に収容される亀甲巻成形型の円筒状の界磁コイル、前記第2のヨークを保持する外筒、および前記外筒の内周面に嵌合されベアリングを介して前記出力軸と結合する後蓋を備えるステータ部とを有し、ロータ部は、円筒状の前記界磁コイルの内部に挿入されており、前記界磁コイルは、前記出力軸の軸方向に沿って巻回された中央帯部と、前記中央帯部に連なり、前記中央帯部の第1端側で前記軸方向に対し所定角度で巻回された第1端部と、前記中央帯部に連なり、前記中央帯部の第2端側で前記軸方向に対し所定角度で巻回された第2端部とを備え、前記第1端部は、前記中央帯部に対して外周方向へ突出し、前記第2端部は、前記中央帯部に対して内周方向へ突出していることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の他の側面としてのインナーロータ型ブラシレスモータは、出力軸、磁石、および第1のヨークを備えるロータ部と、第2のヨーク、および界磁コイルを備えるステータ部とを有し、界磁コイルは、出力軸の軸方向において、第1端の側に配置された外側段差部、第2のヨークに挿入される側である第2端の側に配置された内側段差部、および外側段差部と内側段差部との間に配置され、軸方向に沿って巻回された中央帯部を備え、外側段差部は、中央帯部に対して外周方向へ突出し、内側段差部は、中央帯部に対して内周方向へ突出し、磁石は、磁石本体部、および軸方向において磁石本体部から延在した第1磁石部材を備え、磁石本体部および第2のヨークは、中央帯部を挟んで対向し、磁石本体部の軸方向の長さは、中央帯部の軸方向の長さと等しく、第1磁石部材は、外側段差部、および内側段差部の一方と対向することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大型化を抑制しつつ、磁気効率の良い、高出力、高性能なインナーロータ型ブラシレスモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のインナーロータ型ブラシレスモータの構成の説明図である。
図2】実施例1のインナーロータ型ブラシレスモータの各部の組立図である。
図3】実施例2のインナーロータ型ブラシレスモータの構成の説明図である。
図4】実施例2の界磁コイルと磁石の展開図と、外側段差部又は内側段差部と推力との関係図である。
図5】実施例3のインナーロータ型ブラシレスモータの構成の説明図である。
図6】実施例3の界磁コイルと磁石の展開図と、外側段差部および内側段差部と推力との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本実施例のインナーロータ型ブラシレスモータ(以下、モータ)100の構成の説明図である。図1(a)は、モータ100の断面図である。図1(b)-図1(d)は、ステータ部20の組立断面図である。図1(e)は、界磁コイル200の各部の軸方向の長さを示す図である。図2は、モータ100の各部の組立図である。
【0012】
モータ100は、ロータ部10、ステータ部20、および回路部30を有する。モータ100は、ステータ部20で発生する回転磁界を用いてロータ部10を回転駆動する。
【0013】
ロータ部10は、出力軸(回転軸)11、磁石12、および第1のヨーク13を有する。出力軸11は、第1のヨーク13の中心を貫通した状態で第1のヨーク13と結合する。出力軸11の両端には、ベアリング1,2が配置される。ベアリング1には、ウエーブワッシャ3が適正なばね力で与圧された状態で保持されている。磁石12は、円筒形状であり、N極磁石12aおよびS極磁石12bを有する。N極磁石12a、およびS極磁石12bは、外周が円弧状に構成され、第1のヨーク13の側面に接着固定される。第1のヨーク13は、本実施例では図1(a)に示されるように鋼板が積層されて構成されている。なお、第1のヨーク13は、磁石12を固定しやすい形状であれば、ヨーク鉄材などのブロックから切削加工で作製されてもよい。また、ロータ部10のアンバランスを適宜計測し、バランス修正してもよい。
【0014】
回路部30は、磁石12の位置を検出する磁気検出素子31、信号線35aが実装された回路基板32、信号線35bが実装された回路基板34、および回路基板34を保持する後蓋33を有する。回路基板32,34にはそれぞれ、後蓋33の両端側に設けられた突出部と嵌合する嵌合穴が設けられている。回路基板32,34は、後蓋33と嵌合した後、後蓋33の外側に設けられた複数の突起部を熱溶着することで後蓋33に固定される。
【0015】
ステータ部20は、電磁鋼板が積層されて構成された第2のヨーク21、亀甲巻成形型の円筒状の界磁コイル200、第2のヨーク21を保持する外筒23、および外周が外筒23の第1端と嵌合し、複数のカシメなどで外筒23に固定される前蓋24を有する。なお、外筒23および前蓋24は、一体的に構成されてもよい。
【0016】
界磁コイル200は、出力軸11の軸方向において、外側段差部200a、中央帯部200b、および内側段差部200cを有する。外側段差部200aは、界磁コイル200の第1端の側に配置され、中央帯部200bに対して外周方向へ突出している。内側段差部200cは、第2のヨーク21に挿入される側である、界磁コイル200の第2端の側に配置され、中央帯部200bに対して内周方向へ突出している。中央帯部は、外側段差部200aと内側段差部200cとの間に配置され、軸方向に沿って巻回されている。界磁コイル200の外周、又は第2のヨーク21の内周には、電気的な絶縁を目的とした接着剤が付着される絶縁部材201が配置される。
【0017】
第2のヨーク21は、本実施例では内形が界磁コイル200に沿った形状となるように構成されるが、内部に界磁コイル200が収まるように構成されていればよい。また、第2のヨーク21は、外形が円筒状、外周の一部が欠けたC形形状、および多角形状のいずれかとなるように構成される。
【0018】
以下、モータ100の組立てについて説明する。まず、界磁コイル200は、内側段差部200cの側から第2のヨーク21に挿入された後、第2のヨーク21と接着固定される。ロータ部10は、ステータ部20の内部に挿入される。ベアリング1は、ウエーブワッシャ3を介して、内輪側で出力軸11と結合する。磁石12と界磁コイル200との間のエアギャップは0.数mmとなる。そのため、ロータ部10をステータ部20の内部に挿入する際、磁石12が界磁コイル200に接触しコイル線被膜を傷つけないように、専用工具を準備するなど組付けには配慮が必要である。
【0019】
界磁コイル200の引き出し線を外筒23の端部に設けられた逃げ溝に逃がした状態で、後蓋33の側面と外筒23の内周面とを嵌合させ、カシメなどで回路部30をステータ部20に固定する。界磁コイル200の引き出し線は、後蓋33の側面に設けられた逃げ溝に沿って回路基板34に接続される。回路部30をステータ部20に固定した後、ベアリング2は内輪側で出力軸11と結合する。これにより、モータ100の組付けが完了する。
【0020】
磁石12および第2のヨーク21は、中央帯部200bを挟んで対向するように配置される。また、図1(e)に示されるように、磁石12の軸方向の長さは、中央帯部200bの軸方向の長さMと等しい。ここで、「等しい」とは、実質的に等しい(略等しい)場合も含まれている。また、磁石12の軸方向の長さは、外側段差部200aおよび内側段差部200cのそれぞれの軸方向の長さ201a,201cより長い。
【0021】
界磁コイル200が内側段差部200cを有することで、コイル両端が突出する従来の界磁コイルに対して、第2のヨーク21を分割することなく、容易に組み付けることができる。そのため、第2のヨーク21を分割することで生じる接続面の隙間に磁気損失が発生することはない。また、第2のヨーク21を大型化する必要はなく、磁気効率のよいモータ100を提供することが可能となる。
【0022】
本実施例では、外側段差部200aおよび内側段差部200cの軸方向の長さ201a,201cをXとする場合、磁石12の軸方向の長さMは以下の条件式(1)を満足する。
【0023】
2<M/X≦5 (1)
例えば、磁石12の軸方向の長さMが14.5mmである場合、外側段差部200aおよび内側段差部200cの軸方向の長さ201a,201cを2.9mm以上で7.25mmより小さい範囲となるように設定すればよい。
【実施例2】
【0024】
図3(a)は、本実施例のインナーロータ型ブラシレスモータ(以下、モータ)1000の断面図である。図3(b)は、ロータ部1100とステータ部20の組立断面図である。図4(a)は、界磁コイル200と磁石120の展開図である。図4(b)は、外側段差部200a又は内側段差部200cと推力Fとの関係図である。なお、本実施例では他の実施例と共通の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0025】
ロータ部1100の磁石120は、中央帯部200b付近に配置された磁石(磁石本体部)12を有すると共に、磁石12から軸方向へ延在した、第1磁石部材12c又は第2磁石部材12dのうち少なくとも1つを有する。本実施例では、磁石120は、磁石12および第1磁石部材12cからなる。
【0026】
第1磁石部材12cは内側段差部200cの側に延在しており、第2磁石部材12dは外側段差部200aの側(第1磁石部材12cの側とは反対側)に延在している。第1磁石部材12c又は第2磁石部材12dは、第1のヨーク13の側面にり合わせられる。第1のヨーク13は、磁石120とり合わせのよい形状で構成されていればよく、例えば、鋼板が積層されて構成されてもよいし、ブロック材を加工して構成されてもよい。また、第1のヨーク13の形状は、円筒状でもよい。また、磁石12、および第1磁石部材12c又は第2磁石部材12dは、一体的に構成されてもよい。
【0027】
磁石120は、外側段差部200aおよび内側段差部200cの一方と対向する位置に配置される。すなわち、磁石120は、外側段差部200aおよび内側段差部200cの他方とは対向しない。第1磁石部材12cが設けられている場合、第2のヨーク21は第1磁石部材12cと対向するように配置される。また、第2磁石部材12dが設けられている場合、第2のヨーク21は外側段差部200aに挿入可能な第3のヨーク21a(不図示)が第2磁石部材12dと対向するように配置される。このような構成により、磁気効率のよいモータ1000を提供することが可能となる。
【0028】
界磁コイル200のコイル一辺のコイル中心幅をh、中央帯部200b付近に対する段差部のコイル成形角度をα(°)、段差部のコイル一辺の長さをlとするとき、推力FはB・I・l・sin(α)で表される。また、長さlは、h/cos(α)で表される。なお、Iはコイル辺に流れる電流、Bは磁石120の磁束密度である。コイル成形角度αは、30≦α<45を満たすことが好ましい。例えば、磁石120の長さが14.5mm、コイル中心幅hが6mmである場合、外側段差部200a又は内側段差部200cのコイル辺lは6.93mm以上で8.49mmより小さい範囲となるように設定すればよい。
【実施例3】
【0029】
図5(a)は、本実施例のインナーロータ型ブラシレスモータ(以下、モータ)2000の断面図である。図5(b)は、ロータ部2100とステータ部2200の組立断面図である。図6(a)は、界磁コイル200と磁石121の展開図である。図6(b)は、外側段差部200aおよび内側段差部200cと推力Fzとの関係図である。なお、本実施例では他の実施例と共通の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0030】
ロータ部2100の磁石121は、中央帯部200b付近に配置された磁石(磁石本体部)12を有すると共に、磁石12から内側段差部200cの側に延在した第1磁石部材12c、および外側段差部200aの側に延在した第2磁石部材12dを有する。第1磁石部材12cおよび第2磁石部材12dは、第1のヨーク13の側面にり合わせられる。第1のヨーク13は、磁石120とり合わせのよい形状で構成されていればよく、例えば、鋼板が積層されて構成されてもよいし、ブロック材を加工して構成されてもよい。また、第1のヨーク13の形状は、円筒状でもよい。また、磁石12、第1磁石部材12c、および第2磁石部材12dは、一体的に構成されてもよい。
【0031】
本実施例では、磁石121は、外側段差部200aおよび内側段差部200cと対向する位置に配置されている。第1磁石部材12cおよび第2磁石部材12dはそれぞれ、第2のヨーク21および第3のヨーク21aと対向するように配置されている。このような構成により、磁気効率のよいモータを提供することが可能となる。
【0032】
界磁コイル200のコイル一辺のコイル中心幅をh、中央帯部200b付近に対する外側段差部200aのコイル成形角度をα1(°)、外側段差部200aのコイル一辺の長さをl1とするとき、推力F1はB・I・l1・sin(α1)で表される。また、長さl1は、h/cos(α1)で表される。なお、Iはコイル辺に流れる電流、Bは磁石121の磁束密度である。また、中央帯部200b付近に対する内側段差部200cのコイル成形角度をα2(°)、内側段差部200cのコイル一辺の長さをl2とするとき、推力F2はB・I・l2・sin(α2)で表される。また、長さl2は、h/cos(α2)で表される。なお、本実施例では、コイル成形角度α1,α2は等しい。
【0033】
このとき、推力Fzは、以下の式(2)で表される。
【0034】
Fz=F1+F2 (2)
lz=l1+l2 (3)
コイル成形角度α1,α2は、30≦α<45を満たすことが好ましい。例えば、磁石121の長さが14.5mm、コイル中心幅hを6mmである場合、外側段差部200aおよび内側段差部200cのコイル辺l1,l2は6.93mm以上で8.49mmより小さい範囲となるように設定すればよい。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 ロータ部
11 出力軸
12 磁石
13 第1のヨーク
20 ステータ部
21 第2のヨーク
100 インナーロータ型ブラシレスモータ
200 界磁コイル
200a 外側段差部
200b 中央帯部
200c 内側段差部
201a,201c 軸方向の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6