IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャネル パフュームズ ビューテの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】長時間持続性のある固形化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20240822BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20240822BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K8/31
A61Q1/00
A61Q1/04
A61Q1/02
A61K8/89
A61K8/36
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020114979
(22)【出願日】2020-07-02
(65)【公開番号】P2021011473
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】1907395
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508283406
【氏名又は名称】シャネル パフュームズ ビューテ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】デュプイ,リナ
(72)【発明者】
【氏名】ギバート,シリル
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-302415(JP,A)
【文献】特表2010-503725(JP,A)
【文献】特表2016-507482(JP,A)
【文献】特開2000-169339(JP,A)
【文献】特開2005-213249(JP,A)
【文献】特表2013-544830(JP,A)
【文献】Eye Colour Stick ,ID 6387241,Mintel GNPD[online],2019年3月,[検索日2024.03.12],https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形化粧品組成物であって、
- 少なくとも15重量%の少なくとも1種の揮発油を含む脂肪相、および
- 40~85重量%の、金属石けんで表面処理した球状フィラーを含む粉体相
を含み、前記割合が組成物の合計重量に対する重量で表される、組成物。
【請求項2】
前記粉体相が、金属石けんで表面処理したラメラフィラーをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の固形化粧品組成物。
【請求項3】
前記粉体相が、金属石けんで表面処理したパール剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の固形化粧品組成物。
【請求項4】
- 20~23重量%の少なくとも1種の揮発油、および
- 50~80重量%粉体相
を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
【請求項5】
1~15重量%皮膜形成ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
【請求項6】
前記粉体相が、金属石けんで表面処理した顔料または金属石けんで表面処理していない顔料を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
【請求項7】
前記金属石けんが、12~22個の炭素原子を有する脂肪酸石けんであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
【請求項8】
前記金属石けんの金属が、亜鉛またはマグネシウムであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
【請求項9】
前記金属石けんが、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
【請求項10】
前記金属石けんが、ステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする、請求項9の固形化粧品組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の揮発油が、炭化水素系油、シリコーン油、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の非揮発油を含む脂肪相を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
【請求項13】
乳化剤を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
【請求項14】
固体脂肪相を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
【請求項15】
0.1~10重量%の非揮発油を含むことを特徴とする、請求項12に記載の固形化粧品組成物。
【請求項16】
水を含まないことを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
【請求項17】
シリコーンエラストマーを含むことを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
【請求項18】
- 前記粉体相を構成するパウダーの予備混合、
- 前記少なくとも1種の揮発油を含む脂肪相および前記皮膜形成ポリマーを含む脂肪バインダーの調製、
- 押出による前記脂肪バインダーとのパウダーの混合、および
- 圧縮による組成物の成形
を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物の調製方法。
【請求項19】
皮膚または唇に、請求項1から17のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物を塗布することからなる、皮膚または唇のメイクアップ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも15重量%の揮発性液体脂肪相、40~85重量%の、金属石けんで表面処理した球状フィラーを含む粉体相を含む固形化粧品組成物を対象とする。本発明はまた、かかる固形化粧品組成物の調製方法、およびこれを利用した皮膚または唇のメイクアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、固形組成物として従来採用されているガレノス形態は、ルースパウダーまたはプレストパウダーである。メイクアップ分野においてより具体的に検討されている固形のガレノス形態の非限定的な例としては、特にフェースパウダー、頬紅、またはアイシャドー用のパウダーが挙げられる。
【0003】
上記パウダーは主に、色、マット感を付与する、またはカバー力を与える機能をもつ。一般的に、パウダーは、少なくとも部分的に液体の脂肪相に、圧倒的な比率を占める粉体相を結合してバインダーを構成し、プレストパウダーでは粉体相の良好な凝集力の確保を可能にする。
【0004】
粉体相は、主としてフィラーおよび着色剤により形成され、その量は求められるメイクアップ、着色、カバー力、マット感の効果が得られるように調整される。製品内の粉体相の割合が過度に高くなる場合、品質および生産性の要求を考慮すると、その製造および圧縮が工業レベルでは実現が困難あるいは不可能にさえなる。さらに、粉体相の含有量が高い固形組成物は、不快感、過度な乾燥、過度な粉っぽさがあり、一部ではもろく、壊れやすく、衝撃への耐性が不良であるという欠点を示しうる。最後に、プレストパウダー中の粉体相量が高いと、容器からパウダーを取り出すとき(「ピックアップ(pick up)」)剥片状にする、および/またはメイクアップする皮膚の表面に塗布するとき(「ペイオフ(pay off)」)広げるのが困難になり、十分な感覚特性が得られない。
【0005】
固形状で組成物を得るためには、粉体相と脂肪相を混合し、ケース内で得られた組成物を高圧下で圧縮することからなる圧縮方法(「乾燥法(dry process)」)が知られている。代替方法として、「湿潤法(wet process)」(または「スラリー(slurry)」)と呼ばれる方法が、かかる組成物の実現に利用される。このタイプの方法において、前記組成物の粉体相と脂肪相を、懸濁液を形成できるように、揮発性溶剤の存在下に置き、次いで、これを圧縮して揮発性溶剤を除去する。
【0006】
検討した方法にかかわらず、一般的に機械的手段を通して良好なパウダー圧縮を獲得し、またケースからのあらゆる組成物の超過を避けるために、脂肪相、特に油の量は組成物の10%を超えない。こうしたことから、これらのガレノスによって、良好なパウダー圧縮を確保できるように、製剤者は脂肪相、特に油の量を制限するよう強いられることも珍しくない。
【0007】
脂肪バインダー量を高くする場合、したがって、圧縮によって固形組成物を成形するのは、困難さらには不可能にさえなる。この工業的な制約に対応するため、例えば押出によって得られる、よりペースト状の固形製品が提案された。しかし、バインダー相の量が過度に高いため、組成物につやが出る、すなわち使用時に硬化する傾向があり、取り出しを妨げ、塗布するとき広がる特性を損ねるまで過密になる。
【0008】
さらに、パウダー状の固形組成物は、十分なカバー力と色の持続性を示すとは限らない。
【0009】
良好な凝集力および衝撃への良好な耐性を示し、特に細かく砕けず、ひび割れずに使用者が保管し、自由に持ち運びができ、テクスチャは容易に剥離し塗布可能であり、カバー力および色の良好な持続性を示す固形化粧品組成物の研究が続けられている。
【0010】
出願人は、予期せぬ形で、一見相容れないかかる特性を示す組成物が、固形組成物において、特別な液体脂肪相、および少なくとも部分的に金属石けんで表面処理した粉体相を特定の含有量で利用することで得られることを発見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2004/175338号明細書
【文献】欧州特許出願公開第847752号明細書
【文献】国際公開第2007/1068371号パンフレット
【文献】国際公開第2008/155059号パンフレット
【文献】国際公開第2008/15505号パンフレット
【文献】仏国特許出願公開第2792190号明細書
【文献】国際公開第98/38981号パンフレット
【文献】米国特許第6309629号明細書
【文献】仏国特許第2679771号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1184426号明細書
【文献】仏国特許出願公開第2232303号明細書
【文献】米国特許第5162410号明細書
【文献】国際公開第2004/073626号パンフレット
【文献】米国特許第5874069号明細書
【文献】米国特許第5919441号明細書
【文献】米国特許第6051216号明細書
【文献】米国特許第5981680号明細書
【文献】米国特許第5236986号明細書
【文献】米国特許第5412004号明細書
【文献】米国特許第5837793号明細書
【文献】米国特許第5811487号明細書
【文献】国際公開第2006/134282号パンフレット
【文献】国際公開第2009/010356号パンフレット
【発明の概要】
【0012】
本発明はしたがって、第1の態様によれば、以下を含む固形化粧品組成物を対象とし:
- 少なくとも15重量%の揮発性液体脂肪相、
- 金属石けんで表面処理した球状フィラーを含む40~85重量%の粉体相、
割合は組成物の合計重量に対する重量で表される。
【0013】
特に、本発明は、
- 少なくとも15重量%の揮発性液体脂肪相、
- 40~85重量%の、金属石けんで表面処理した球状フィラーを含み、さらに金属石けんで表面処理したラメラフィラーをさらに含む粉体相
を含み、
前記割合は組成物の合計重量に対する重量で表される、固形化粧品組成物を対象とする。
【0014】
特に、本発明は、
- 少なくとも15重量%の揮発性液体脂肪相、
- 40~85重量%の、金属石けんで表面処理した球状フィラーを含み、金属石けんで表面処理したパール剤をさらに含む粉体相
を含み、
前記割合は組成物の合計重量に対する重量で表される、固形化粧品組成物を対象とする。
【0015】
特に、本発明は、
- 少なくとも15重量%の揮発性液体脂肪相、
- 40~85重量%の、金属石けんで表面処理した球状フィラーを含み、さらに金属石けんで表面処理したラメラフィラー、および金属石けんで表面処理したパール剤を含む粉体相
を含み、
前記割合は組成物の合計重量に対する重量で表される、固形化粧品組成物を対象とする。
【0016】
特に、本発明は、
- 20~23重量%の揮発性液体脂肪相、および
- 50~80重量%、好ましくは60~75重量%の粉体相
を含み、
前記割合は組成物の合計重量に対する重量で表される、固形化粧品組成物を対象とする。
【0017】
本発明はまた、第2の態様によれば、
- 粉体相を構成するパウダーの予備混合、
- 揮発性液体脂肪相および皮膜形成ポリマーを含む脂肪バインダーの調製、
- 押出による前記脂肪バインダーとの前記パウダーの混合、および
- 圧縮による前記組成物の成形
を含むかかる組成物の調製方法を対象とする。
【0018】
さらに、本発明は、第3の態様によれば、かかる固形化粧品組成物を皮膚または唇に塗布することからなる、皮膚または唇のメイクアップ方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ガレノス
本発明による組成物は、それ自体の重量で流れないという意味で固形である。好ましくは、任意選択で、蒸発する揮発性溶剤の存在下で、粉体相と脂肪相との混合物を押出すること(「スラリー」法)によって得られるペースト状の製品の形態を呈する。
【0020】
脂肪相
本発明による組成物は、少なくとも1種の揮発性液体脂肪相、すなわち少なくとも1種の揮発油を含む脂肪相を含む。一実施形態によれば、非揮発性液体脂肪相、すなわち少なくとも1種の非揮発油を含む脂肪相をさらに含みうる。
【0021】
「非揮発油」とは、少なくとも数時間室温および大気圧下でケラチン繊維に留まり、特に10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0022】
非揮発油は、特に炭化水素系油、フッ素系油、および/または非揮発性シリコーン油から選択できる。
【0023】
非揮発性炭化水素系油として、特に以下が挙げられる:
- 動物由来の炭化水素系油、
- CからC36、好ましくはフィトスクワランもしくはSEPPICのEmogreen L15(C1519アルカン)などのC11~C21の直鎖アルカン、またはオレイン酸フィトステアリル、イソステアリン酸フィトステアリル、およびラウロイルグルタミン酸/オクチルデシル/フィトステアリル(味の素株式会社、ELDEW PS203)などのフィトステアリルエステル、特に、脂肪酸がCからC36、さらにはC18からC36である鎖長を有しうる脂肪酸とグリセロールのエステルからなるトリグリセリドであり、これらの油は直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和でありうる、これらの油は特にヘプタン酸もしくはオクタン酸トリグリセリドでありうる、シア油、アルファルファ油、ケシ油、赤皮栗カボチャ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、ククイナッツ油、パッションフラワー油、シアバター、アロエ油、スイートアーモンド油、ピーチカーネル油、ピーナッツ油、アルガン油、アボカド油、バオバブ油、ルリジサ油、ブロッコリー油、カレンジュラ油、カメリナ油、キャロット油、ベニバナ油、麻実油、菜種油、綿実油、コプラ油、パンプキンシード油、小麦胚芽油、ホホバ油、百合油、マカダミア油、コーン油、メドウフォーム油、セイヨウオトギリソウ油、モノイ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコットカーネル油、ウォールナッツ油、オリーブ油、マツヨイグサ油、パーム油、カシスシード油、キウイシード油、グレープシード油、ピスタチオ油、赤栗カボチャ油、パンプキン油、キノア油、ムスクローズ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油(ひまわり(Helianthus Annuus)種子油)、ヒマシ油、およびスイカ油、Innovation CompanyのVegeflow D10などのオリーブ脂肪酸エチルおよびこれらの混合物、またはSTEARINERIES DUBOISが販売しているもの、もしくはDYNAMIT NOBELがMIGLYOL 810(登録商標)、812(登録商標)、および818(登録商標)の名称で販売しているものなどのカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなど、植物由来の炭化水素系油、
- 10~40個の炭素原子を有する合成エーテル、
- 式R1COOR2の油などの合成エステル(式中、R1は、1~40個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の脂肪酸残基を表し、R2は、特に分岐鎖の1~40個の炭素原子を含む炭化水素鎖を表し、ここでR1+R2≧10であるものとする)。エステルは特に、例えばオクタン酸セトステアリルなどのアルコールと脂肪酸のエステル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルなどのイソプロピルアルコールエステル、パルミチン酸エチル、パルチミン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸またはイソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタン酸エステル、特にヘプタン酸イソステアリル、ジオクタン酸プロピレングリコール、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、エチル2-ヘキシル4-ジヘプタノエートおよびパルミテート、アルキルベンゾエート、ジヘプタン酸ポリエチレングリコール、プロピレングリコールジエチル2-ヘキサノエートなどのアルコールまたはポリアルコールのオクタン酸、デカン酸、またはリシノール酸エステル、ならびにそれらの混合物、C12~C15アルコールの安息香酸エステル、ラウリン酸ヘキシルなどのヒドロキシエステル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドセシルなどのネオペンタン酸エステル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチルなどのイソノナン酸エステル、乳酸イソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのヒドロキシエステルから選択される、
- テトラヒドロキシステアリン酸/テトライソステアリン酸ジペンタエリスリトールなどのポリオールエステルおよびペンタエリスリトールエステル、
- 日本精化株式会社によって販売され、米国特許出願公開第2004/175338号明細書に記載のLusplan DD-DA5(登録商標)およびLusplan DD-DA7(登録商標)などのダイマージオールおよび二塩基酸ダイマーのエステル、
- 例えばPlandool-Gなどのダイマージリノレイルジオール/ダイマージリノール酸コポリマーおよびこれらのエステルなどの、ダイマージオールおよび二塩基酸ダイマーのコポリマー、ならびにこれらのエステル、
- Hailuscent ISDAなどのポリオールおよび二塩基酸ダイマーのコポリマー、ならびにこれらのエステル、
- 2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイン酸アルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、および2-ウンデシルペンタデカノールなどの、12~26個の炭素原子を有する、分岐鎖および/または不飽和炭素鎖をもつ室温で液体の脂肪族アルコール、
- オレイン酸、リノール酸、およびこれらの混合物などのC12~C22高級脂肪酸、
- COGNISによってCETIOL CC(登録商標)の名称で販売されている炭酸ジカプリリルなどの炭酸ジアルキル、2つのアルキル鎖は同じであっても異なっていてもよい、
- 特に約400~約10,000g/mol、特に約650~約10,000g/mol、特に約750~約7500g/mol、より特定すると約1000~約5000g/molを範囲とするモル質量を有する高いモル質量の油、
- WACIERのBELSIL PDM 1000(モル質量=9000g/mol)などのフェニル化シリコーンなどのシリコーンが添加された油または非揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)などのフェニル化されていないシリコーン油であって、PDMSは、シリコーン鎖のペンダントであるおよび/またはその端にあるアルキルまたはアルコキシ基を含み、基はそれぞれ2~24個の炭素原子を有し、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェノールトリメチルシロキシジフェルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンなどのフェニル化シリコーン、および2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、100cSt以下の粘性のジメチコンまたはフェニルトリメチコン、ならびにこれらの混合物、
- 本発明において使用可能なフッ素系油は、特に欧州特許出願公開第847752号明細書に記載のようなフッ素化シリコーン油、フッ素化ポリエーテル、フッ素化シリコーンである。
【0024】
具体的な一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の非揮発油を含む非揮発性液体脂肪相をさらに含む。
【0025】
具体的な一実施形態によれば、本発明による組成物において利用される非揮発油は、炭化水素系油、フェニル化していないシリコーン油、およびこれらの混合物から選択される。
【0026】
特に、非揮発性液体脂肪相は、0.1~10重量%、好ましくは1~5重量%の非揮発油を含む。
【0027】
本発明による組成物は、少なくとも1種の揮発性液体脂肪相、すなわち少なくとも1種の揮発油を含む脂肪相を含む。
【0028】
「揮発油」とは、本発明の意味では、ケラチン繊維に接触すると、室温および大気圧下で1時間以内に蒸発できる油を意味する。本発明の1種または複数の揮発性有機溶剤および揮発油は、室温では液体であり、室温および大気圧下で0ではない、特に0.13Pa~40,000Pa(10-3~300mmHg)を範囲とする、特に1.3Pa~13,000Pa(0.01~100mmHg)を範囲とする、より特定すると1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)を範囲とする蒸気圧を有する有機溶剤および化粧品揮発油である。
【0029】
特に、揮発性液体脂肪相は、炭化水素系油、シリコーン油、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の揮発油を含みうる。
【0030】
揮発油は炭化水素化系とすることができる。炭化水素系揮発油は、7~16個の炭素原子を有する炭化水素系油から選択できる。7~16個の炭素原子を有する炭化水素系揮発油として、特にC~C16イソアルカン(イソパラフィンとも呼ばれる)などのC~C16分岐鎖アルカン、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、および例えばIsoparsまたはPermetylsの商品名で販売されている油、ネオペンタン酸イソヘキシルなどのC~C16分岐鎖エステル、ならびにこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、8~16個の炭素原子を有する炭化水素系揮発油は、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、およびこれらの混合物から選択され、特にイソドデカンである。
【0031】
揮発油は揮発性直鎖アルカンでもよい。一実施形態によれば、本発明に適したアルカンは、7~14個の炭素原子を含む揮発性直鎖アルカンでありうる。かかる揮発性直鎖アルカンは、有利には植物由来でありうる。本発明に適したアルカンの例として、Cognisの国際公開第2007/1068371号パンフレットまたは国際公開第2008/155059号パンフレットに記載のアルカンが挙げられる(少なくとも1つの炭素が異なる別のアルカンの混合物)。これらのアルカンは、それ自体がコプラまたはパーム油から得られる脂肪族アルコールから得られる。本発明に適した直鎖アルカンの例として、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)、およびこれらの混合物が挙げられる。具体的な一実施形態によれば、揮発性直鎖アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、およびこれらの混合物から選択される。好ましい一形態によれば、Cognisの国際公開第2008/15505号パンフレットの実施例1および2で得られたn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)の混合物が挙げられる。また、CETIOL ULTIMATEの名称でBASFによって販売されているn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)の混合物が挙げられる。さらに、それぞれPARAFOL12-97およびPARAFOL14-97の名称でSasolによって販売されているn-ドデカン(C12)およびn-テトラデカン(C14)、ならびにこれらの混合物が挙げられる。さらに、BiosynthisによってVEGELIGHT SILKの名称で販売されているC9-C12アルカンが挙げられる。揮発性直鎖アルカンは、単独、または好ましくはそれらが少なくとも1つの炭素数が異なる、特に1または2つの炭素数が異なる別の少なくとも2つの揮発性直鎖アルカンの混合物で用いてもよい。
【0032】
揮発油は、環状ポリシロキサン、直鎖ポリシロキサン、およびこれらの混合物などの揮発性シリコーン油であってもよい。直鎖揮発性ポリシロキサンとして、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、およびヘキサデカメチルヘプタシロキサンが挙げられる。環状揮発性ポリシロキサンとして、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、およびドデカメチルシクロヘキサシロキサンが挙げられる。
【0033】
変形形態または追加の方法として、実施される組成物は、少なくとも1種のフッ素系揮発油を含みうる。
【0034】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも15重量%の揮発性液体脂肪相、好ましくは20~23重量%の揮発性液体脂肪相を含む。
【0035】
本発明による組成物はまた、少なくとも1種のワックスおよび/またはペースト状油脂および/または親油性ゲル化剤を含む固体脂肪相を含みうる。
【0036】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、0.1~15重量%、好ましくは0.5~10重量%の固体脂肪相を含む。
【0037】
ワックス
本発明による組成物は、少なくとも1種のワックスを含みうる。
【0038】
本発明の範囲内で検討されるワックスは、一般的に、室温(25℃)で固体であり、固体/液体の可逆的状態変化をし、30℃以上120℃まででありうる融点を有する親油性化合物である。
【0039】
特に、本発明に適したワックスは、約45℃を上回り、特に55℃を上回る融点を示しうる。ワックスの融点は、示差走査熱量計(D.S.C.)、例えばMETLERからDSC 30の名称で販売されている熱量計を用いて測定できる。
【0040】
本発明による組成物において使用可能なワックスは、固体で、室温で変形するまたはしない、動物、植物、鉱物由来、または合成のワックス、およびこれらの混合物から選択される。
【0041】
ワックスはまた、0.05MPa~30MPaを範囲とする、好ましくは6MPa~15MPaを範囲とする硬度を示しうる。硬度は、0.1mm/sの測定速度で移動し、ワックスに0.3mmの貫入深さで貫入する、直径2mmのステンレス製シリンダを装備した、RHEOからTA-TX2iの名称で販売されているテクスチュロメータを用いて20℃で測定される圧縮力の測定値によって決定される。
【0042】
特に、ラノリンワックス、およびシナロウ、コメヌカロウ、カルナウバロウ、カンデリアロウ、オウリカリーワックス(cires d'Ouricurry)、エスパルトワックス、コルクファイバーワックス、サトウキビワックス、ハゼロウおよびモクロウ;モンタンロウ、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンおよびオゾケライト;ミツロウ、ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックス、ポリエチレンワックスなどの炭化水素系ワックス、フィッシャートロプシュ合成によって得られたワックス、およびロウ質コポリマー、ならびにこれらのエステルを用いることができる。ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックスの混合物は、例えばGATTEFOSSEからACTICIRE MPの名称で販売されている。特に、炭化水素系ワックスは、カルナウバロウ、ミツロウ、ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックス、およびこれらの混合物から選択できる。
【0043】
また、C~C32の直鎖または分岐鎖の脂肪鎖を有する動物性または植物性油の水素添加反応によって得られるワックスが挙げられる。
【0044】
これらのうち、特に水添ホホバ油、水添ヒマワリ油、水添ヒマシ油、水添コプラ油、および水添ラノリン油、HETERENEから「HEST 2T-4S」の名称で販売されているテトラステアリン酸ジ-(トリメチロール-1,1,1プロパン)、HETERENEからHEST 2T-4Bの名称で販売されているテトラベヘン酸ジ-(トリメチロール-1,1,1プロパン)が挙げられる。
【0045】
また、SOPHIMからPhytowax ricin 16L64(登録商標)および22L73(登録商標)およびPhytowax Olive 18L57の名称で販売されているワックスなどのヒマシ油またはオリーブ油など、植物性油のエステル交換および水素添加によって得られるワックスを用いることができる。かかるワックスは、仏国特許出願公開第2792190号明細書に記載されている。
【0046】
また、好ましくは低い融点の、有利には置換されたポリシロキサンでありうる、シリコーンワックスを用いることができる。これらのシリコーンワックスは、周知である、または周知の方法によって調製できる。このタイプの市販されているシリコーンワックスのうち、特にAbilwax 9800、9801、もしくは9810(GOLDSCHMIDT)、KF910およびKF7002(信越化学工業株式会社)、または176-1118-3および176-11481(GENERAL ELECTRIC)の名称で販売されているもの、以下の市販品などのアルキルまたはアルコキシジメチコン:Abilwax 2428、2434,および2440(GOLDSCHMIDT)、またはVP 1622およびVP 1621(WACKER)、ならびに(C20-C60)アルキルジメチコン、特にGE-Bayer SiliconesからSF-1642の名称で販売されているシリコーンワックスなどの(C30-C45)アルキルジメチコンが挙げられる。
【0047】
また、例えばKoster Keunenのシリコニルキャンデリラ、シリコニルミツロウ、およびFluorobeeswaxなどのシリコーン化またはフッ素化基で修飾した炭化水素系ワックスを用いることができる。
【0048】
ワックスはまた、フッ素系ワックスから選択できる。
【0049】
具体的な一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の接着性ワックスと呼ばれるワックスを含みうる。接着性ワックスとして、単独または混合物の状態で、(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアリン酸C20~C40アルキル(20~40個の炭素原子を含むアルキル基)、特に(12-(12’-ヒドロキシステアリルオキシ)ステアリン酸)C20~C40アルキルを用いることができる。かかるワックスは、特にKOSTER KEUNENから「Kester Wax K 82 P(登録商標)」および「Kester Wax K 80 P(登録商標)」の名称で販売されている。
【0050】
好ましい一実施形態によれば、ワックスは、炭化水素系ワックスから選択され、好ましくはカルナウバロウ、ミツロウ、ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックス、およびこれらの混合物から選択される。
【0051】
ペースト状油脂
固体脂肪相はまた、炭化水素系、シリコーン系、および/もしくはフッ素系のペースト状油脂、またはこれらの混合物を含みうる。
【0052】
「ペースト状油脂」とは、本発明の意味では、固体状態では異方性結晶組織を示し、23℃の温度で液体画分と固体画分を含む、固体/液体の可逆的状態変化をする親油性脂肪化合物を意味する。
【0053】
言い換えれば、ペースト状油脂の初期融解温度は23℃未満でありうる。23℃で測定したペースト状油脂の液体画分は、ペースト状油脂の9~97重量%でありうる。この23℃での液体画分は、好ましくは15~85重量%、より好ましくは40~85重量%である。
【0054】
本発明の意味では、融解温度は、ISO規格11357-3;1999に記載のような熱分析(DSC)で観察される吸熱性の高いピークの温度に相当する。ペースト状油脂の融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instrumentsから「MDSC 2920」の名称で販売されている熱量計を用いて測定できる。
【0055】
測定手順は以下のとおりである。
【0056】
るつぼに入れたペースト状油脂試料5mgに、-20℃から100℃までの第1の温度上昇を加熱速度10℃/分で施し、ついで100℃から-20℃に冷却温度10℃/分で冷却し、最後に-20℃から100℃までの第2の温度上昇を加熱速度5℃/分で施す。第2の温度上昇中に、空のるつぼとペースト状油脂試料を含むるつぼが吸収する力の差の変化を、温度に応じて測定する。ペースト状油脂の融点は、温度に応じた吸収する力の差の変化を表す曲線のピークの先端に相当する温度値である。
【0057】
23℃でのペースト状油脂の重量による液体画分は、23℃で消費される融解熱のペースト状油脂の融解熱に対する比に等しい。ペースト状油脂の融解熱は、固体状態から液体状態へ転移するためにこれによって消費される熱である。ペースト状油脂は、その質量の全てが結晶性固体の形態であるとき、固体状態であると言われる。ペースト状油脂は、その質量の全てが液体の形態であるとき、液体状態であると言われる。
【0058】
ペースト状油脂の融解熱は、ISO規格11357-3;1999による、1分あたり5または10℃の温度上昇の、TA InstrumentsからMDSC 2920の名称で販売されている熱量計などの示差走査熱量計(D.S.C.)を用いて得られたサーモグラムの曲線下面積に等しい。
【0059】
ペースト状油脂の融解熱は、ペースト状油脂を固体状態から液体状態へ転移させるために必要なエネルギー量である。これはJ/gで表される。
【0060】
23℃で消費される融解熱は、固体状態から、液体画分と固体画分で構成される23℃で示される状態に転移するために試料が吸収したエネルギー量である。
【0061】
32℃で測定されるペースト状油脂の液体画分は、好ましくはペースト状油脂の30~100重量%、好ましくは50~100重量%、さらに好ましくはペースト状油脂の60~100重量%である。32℃で測定されるペースト状油脂の液体画分が100%に等しい場合、ペースト状油脂の融解範囲の終点温度は32℃以下である。
【0062】
32℃で測定されるペースト状油脂の液体画分は、32℃で消費される融解熱のペースト状油脂の融解熱に対する比に等しい。32℃で消費される融解熱は、23℃で消費される融解熱と同じ方法で算出される。
【0063】
ペースト状油脂は、好ましくは合成油脂および植物由来の油脂から選択される。ペースト状油脂は、植物由来の出発物質から合成によって得ることができる。
【0064】
ペースト状油脂は、有利には以下から選択される:
- ラノリンおよびその誘導体、
- ペンタエリスリトールおよびポリアルキレングリコールのエーテルから選択されるポリオールエーテル、
- 脂肪族アルコールおよび糖のエーテル、ならびにこれらの混合物。5つのオキシエチレン単位(5OE)を含むペンタエリスリトールとポリエチレングリコールのエーテル(CTFA名:PEG-5ペンタエリスリチルエーテル)、5つのオキシプロピレン単位(5OP)を含むペンタエリスリトールとポリプロピレングリコールのエーテル(CTFA名:PPG-5ペンタエリスリチルエーテル)、およびこれらの混合物、より特殊にはVEVYから「Lanolide」の名称で販売されているPEG-5ペンタエリスリチルエーテル、PPG-5ペンタエリスリチルエーテル、およびダイズ油の混合物であって、成分が46/46/8の重量比であり、46%のPEG-5ペンタエリスリチルエーテル、46%のPPG-5ペンタエリスリチルエーテル、および8%のダイズ油の混合物、
- ポリマーもしくは非ポリマーのシリコーン化合物、
- ポリマーもしくは非ポリマーのフッ素化合物、
- ビニルポリマー、特にオレフィンホモポリマーおよびコポリマー、水添ジエンホモポリマーおよびコポリマー、
- 1種もしくは複数のC~C100、好ましくはC~C50ジオール間のポリエーテル化から得られる脂溶性ポリエーテル、
- エステル、
ならびに/またはこれらの混合物。
【0065】
ペースト状油脂は、好ましくは特に炭化水素系ポリマーである。
【0066】
脂溶性ポリエーテルのうち、特に、好ましくはコポリマー中のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドに対するアルキレンオキシドの質量比が5:95~70:30であるような、C~C30の長鎖アルキレンオキシドとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのコポリマーが好ましい。このグループにおいて、特に平均分子量1,000~10,000を有するブロック状に配列される長鎖アルキレンオキシド、例えばAKZO NOBELからELFACOS ST9の商標で販売されているドデカンジオール(22mol)とポリエチレングリコール(45OE)のエーテルなどのポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールブロックコポリマーなどのコポリマーが挙げられる。
【0067】
エステルのうち、特に以下が好ましい:
- グリセロールオリゴマーエステル、特にジグリセロールエステル、具体的には特にSASOLから商標Softisan649で販売されているような、グリセロールのヒドロキシル基の一部がステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、および12-ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸の混合物と反応したアジピン酸とグリセロールの縮合物、
- ALZOからWaxenol 801の商標で販売されているプロピオン酸アラキジル、
- フィトステロールエステル、
- 脂肪酸トリグリセリドおよびその誘導体、
- ペンタエリスリトールエステル、
- 必要に応じてそれらの遊離アルコール官能基または酸官能基が、酸基またはアルコール基でエステル化された、ダイマージオールと二塩酸ダイマーのエステル、特にダイマージリノール酸エステル;かかるエステルは特に以下のINCI名のエステルから選択される:ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス-ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル(Plandool G)、ダイマージリノール酸フィトステリルイソステアリル(Lusplan PI-DA、Lusplan PHY/IS-DA)、ダイマージリノール酸フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル(Plandool HまたはPlandool S)、およびこれらの混合物、
- AARHUSKARLSHAMNからLipex 203の名称で販売されているものなどのマンゴーバター、
- 水添ダイズ油、水添コプラ油、水添菜種油、ダイズ、コプラ、パーム、および菜種の水添植物性油の混合物、例えばAARHUSKARLSHAMNからAkogel(登録商標)の名称で販売されている混合物(INCI名水添植物油)などの水添植物性油の混合物、
- シアバター、特にAARHUSKARLSHAMNからSheasoft(登録商標)の名称で販売されているものなどのINCI名がシア脂油(Butyrospermum Parkii Butter)であるもの、
- カカオバター、特にDUTCH COCOA BVからCT COCOA BUTTER DEODORIZEDの名称で販売されているもの、またはBARRY CALLEBAUTからBEURRE DE CACAO NCB HD703 758の名称で販売されているもの、
- ショレアバター、特にSTEARINERIE DUBOISからDUB SHOREA Tの名称で販売されているもの、
ならびにこれらの混合物。
【0068】
親油性ゲル化剤
ワックスに加えて、本発明による組成物は、例えば具体的には国際公開第98/38981号パンフレットおよび米国特許第6309629号明細書に記載されているような、場合によってはシリコーン系もしくは炭化水素系溶剤に結合したエチレン、プロピレン、および/もしくはブチレンなどのスチレンおよびオレフィンのコポリマー、またはApplechemからOleaoFLEX EG 200の名称で販売されているものなどのスチレンおよびブタジエンのコポリマーからなる、少なくとも1種の親油性ゲル化剤を含みうる。これらは、特にPENRECOでVERSAGEL(登録商標)の商品名で入手可能な、ブロックターポリマーを主成分とするゲル化剤を含む。他のタイプの親油性ゲル化剤は、INCI名ポリアミド-3で識別され、具体的にはARIZONA CHEMICALで入手可能なポリマーSYLVACLEAR(登録商標)AF 1900VおよびPA 1200Vなど、ならびにINCI名「エチレンジアミン/水添ダイマージリノール酸コポリマー Bis-Di-C14-18アルキルアミド」で識別され、例えばARIZONA CHEMICALでSYLVACLEAR(登録商標)A200VまたはSYLVACLEAR(登録商標)A2614Vの商品名で入手可能なものなどのポリアミドからなる。親油性ゲル化剤は、変形形態として、ベントンまたは疎水性の修飾したヘクトライトでありうる。油のゲル化剤はまた、好ましくは、例えばPolymerexpertからEstoGel(登録商標)Mの商品名で入手可能な菜種油の誘導体など天然由来の、ポリウレタンゲル化剤であってもよい。
【0069】
粉体相
本発明による組成物はまた、金属石けんで表面処理した球状のフィラーを含む、少なくとも1種の粉体相を含む。粉体相はまた、金属石けんで表面処理したラメラフィラー、金属石けんで表面処理したパール剤、またはこの2つを含みうる。粉体相はまた、好ましくは任意選択で金属石けんで表面処理した顔料を含みうる。
【0070】
表面処理
本発明による組成物において利用される粉体相は、少なくとも部分的に金属石けんで表面処理される。
【0071】
特に、粉体相は、金属石けんで表面処理した球状のフィラーを含む。
【0072】
特に、粉体相は、金属石けんで表面処理した球状フィラーを含み、さらに金属石けんで表面処理したラメラフィラーを含む。
【0073】
特に、粉体相は、金属石けんで表面処理した球状フィラーを含み、さらに金属石けんで表面処理したパール剤を含む。
【0074】
特に、粉体相は、金属石けんで表面処理した球状フィラーを含み、さらに金属石けんで表面処理したラメラフィラー、および金属石けんで表面処理したパール剤を含む。
【0075】
特に、金属石けんは、12~22個の炭素原子、特に12~18個の炭素原子を有する脂肪酸石けんである。
【0076】
金属石けんの金属については、好ましくは亜鉛およびマグネシウムから選択される。
【0077】
したがって、好ましい一実施形態によれば、金属石けんは、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、およびこれらの混合物、好ましくは金属石けんはステアリン酸マグネシウムである。
【0078】
フィラー
フィラーは、無機または有機でありうる。
【0079】
粉体相は、少なくとも1種の球状フィラーを含む。球状フィラーは、有利には以下から選択される:
- シリカパウダー、
- アクリル(コ)ポリマー、およびその誘導体のパウダー、特に、有利にはポリメタクリル酸メチルパウダー、ポリメタクリル酸メチル/ジメタクリル酸エチレングリコールパウダー、ポリメタクリル酸アリル/ジメタクリル酸エチレングリコールパウダー、ジメタクリル酸エチレングリコール/メタクリル酸ラウリルコポリマーパウダー、場合によっては架橋されたアクリル酸エステル/アクリル酸アルキルコポリマーパウダー、発泡性アクリロニトリル(コ)ポリマーの中空粒子、およびこれらの混合物から選択されるアクリル酸塩(コ)ポリマーパウダー、およびその誘導体、
- ポリウレタンパウダー、
- 有利には、シリコーン樹脂でコーティングしたポリメチルシルセスキオキサン、有機ポリシロキサンエラストマーのパウダー、有機シリコーン化粒子のパウダーから選択されるシリコーンパウダー、
- Nylon(登録商標)、特にNylon12などのポリアミドパウダー、
- 大東化成工業株式会社から販売されているCellulobeads D5、D10、D50、およびD100などのセルロースパウダー、
ならびにこれらの混合物。
【0080】
組成物はさらに、ラメラフィラーを含みうる。ラメラフィラーのうち、タルク、天然または合成マイカ、ある種のシリカ、ケイ酸マグネシウムおよびアルミニウム、トリメチルシロキシケイ酸、カオリン、ベントン、炭酸カルシウムおよび炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、フルオロフロゴパイトなどの粘土鉱物、パーライトパウダー、N-ラウロイルリシンパウダー、セリサイト、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0081】
ラメラフィラーのうち、タルク、天然または合成マイカ、ある種のシリカ、ケイ酸マグネシウムおよびアルミニウム、トリメチルシロキシケイ酸、カオリン、ベントン、炭酸カルシウムおよび炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、フルオロフロゴパイトなどの粘土鉱物、パーライトパウダー、N-ラウロイルリシンパウダー、セリサイト、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム、ならびにこれらの混合物が好ましい。
【0082】
組成物はさらに、追加のフィラーを含みうる。追加のフィラーは、結晶の形態(例えば薄片、等軸晶系、六方晶系、斜方晶系など)にかかわらず、あらゆる形態の無機または有機フィラー、ラメラ、球状(または半球状)から選択できる。
【0083】
好ましい一実施形態によれば、粉体相は、ラメラ/球状比が1/10~10/1、好ましくは1/5~9/1を範囲とするラメラと球状のフィラーを含む。この比は質量比である。
【0084】
「顔料」には、白色または有色、無機または有機の、液体媒体中で不溶性であり、組成物を着色および/または不透明にすることを意図した粒子が含まれなければならない。
【0085】
顔料は、白色または有色、無機および/または有機でありうる。
【0086】
顔料は有機顔料でありうる。有機顔料とは、ウルマン工業化学百科事典の有機顔料の章における定義に対応するあらゆる顔料を意味する。有機顔料は、特にニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体タイプ、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン、キノフタロンの化合物から選択できる。
【0087】
1または複数の有機顔料は、例えばカーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、参照番号CI 42090、69800、69825、73000、74100、74160でカラーインデックスにおいてコード化されている青色顔料、参照番号CI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000、47005でカラーインデックスにおいてコード化されている黄色顔料、参照番号CI 61565、61570、74260でカラーインデックスにおいてコード化されている緑色顔料、参照番号CI 11725、15510、45370、71105でカラーインデックスにおいてコード化されている橙色顔料、参照番号CI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470でカラーインデックスにおいてコード化されている赤色顔料、仏国特許第2679771号明細書に記載のようなインドール、フェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料から選択できる。
【0088】
これらの顔料はまた、欧州特許第1184426号明細書に記載のような複合顔料の形態であってもよい。これらの複合顔料は、特に少なくとも部分的に有機顔料で、および核への有機顔料の固定を確保する少なくとも1種のバインダーで被覆された無機核を含む粒子で構成できる。
【0089】
顔料はまた、レーキ顔料であってもよい。レーキ顔料とは、不溶性の粒子に吸着した不溶化した着色剤を意味し、このようにして得られた全体は使用時に不溶のままである。レーキ顔料の例として、以下の名称で知られる製品が挙げられる:D&C赤色7号(CI 15850:1)。
【0090】
顔料は無機顔料であってもよい。無機顔料とは、ウルマン工業化学百科事典の無機顔料の章における定義に対応するあらゆる顔料を意味する。本発明において使用可能な無機顔料のうち、酸化ジルコニウムまたはセリウム、ならびに酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色、または赤色)または酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物および鉄青、二酸化チタン、アルミニウムパウダーおよび銅パウダーなどの金属パウダーが挙げられる。以下の無機顔料も用いられる:Ti、Ti、Ti、TiO、TiCOとの混合物の状態でのZrO、ZrO、Nb、CeO、ZnS。
【0091】
本発明の範囲内で使用可能な顔料の粒径は、一般的に10nm~10μm、好ましくは20nm~5μm、より好ましくは30nm~1μmである。
【0092】
着色剤はまた、好ましくは水の中で可溶性の可溶性着色剤であってもよい。
【0093】
水の中で可溶性の着色剤のうち、コチニールカーマインまたは以下の名称で知られる製品が挙げられる:D&C赤色21号(CI 45380)、D&C橙色5号(CI 45370)、D&C赤色27号(CI 45410)、D&C橙色10号(CI 45425)、D&C赤色3号(CI 45430)、D&C赤色4号(CI 15510)、D&C赤色33号(CI 17200)、D&C黄色5号(CI 19140)、D&C黄色6号(CI 15985)、D&C緑色(CI 61570)、D&C黄色10号(CI 77002)、D&C緑色3号(CI 42053)、D&C青色1号(CI 42090)。
【0094】
パール剤は、マイカ/二酸化チタンなど、従来から化粧品に入っているものから選択できる。変形形態として、マイカ/シリカ/二酸化チタンを主成分とする、合成フルオロフロゴパイト/二酸化チタン(MAPRECOSのSUNSHINE(登録商標))、ホウケイ酸(Ca/Na)/二酸化チタン(ENGELHARDのREFLECKS(登録商標))、またはホウケイ酸(Ca/Al)/シリカ/二酸化チタン(MERCKのRONASTAR(登録商標))を主成分とするパール剤であってもよい。
【0095】
本発明による組成物は、本発明による組成物の全体重量に対して40~85重量%、好ましくは50~80重量%の粉体相を含む。
【0096】
ポリオール
本発明による組成物はまた、少なくとも1種のポリオールを含みうる。
【0097】
ポリオールとは、構造中に少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基(-OH)を示すあらゆる有機分子を意味する。これらのポリオールは、好ましくは室温(25℃)では液体である。
【0098】
組成物において利用するのに適したポリオールの例として、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ペンタンジオール、イソプレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、特に4~8個のエチレングリコールおよび/またはソルビトール単位を有するポリエチレングリコール(PEG)から選択できる。
【0099】
好ましくは、ポリオールはグリセロールである。
【0100】
具体的な一実施形態によれば、本発明による組成物は、組成物の全体重量に対して2~30重量%、好ましくは5~25重量%のポリオールを含む。
【0101】
乳化剤
本発明による組成物はまた、乳化剤を含みうる。
【0102】
これらの乳化剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、両性の界面活性剤、または高分子界面活性剤から選択できる。
【0103】
一実施形態によれば、本発明の範囲内で用いられる界面活性剤は、25℃で8~20であるHLBの非イオン性界面活性剤から選択される。特に以下が挙げられる:
- SeppicのMontanov 68などのセチルステアリルグルコシドとセチルおよびステアリルアルコールの混合物などの単糖エステルまたはエーテル、
- グリセロールのオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化エーテル(1~150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含みうる)、
- 30個のオキシエチレン基のセテアリルアルコールのオキシエチレン化エーテル(CTFA名「Ceteareth-30)、20個のオキシエチレン基のステアリルアルコールのオキシエチレン化エーテル(CTFA名「Steareth-20)、特にSHELL CHEMICALSからNEODOL 25-7(登録商標)の名称で販売されている、7個のオキシエチレン基を含むC12~C15脂肪族アルコール混合物のオキシエチレン化エーテル(CTFA名「C12~C15 Pareth-7」)などの脂肪族アルコール(特にC~C24、好ましくはC12~C18アルコール)のオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化エーテル(1~150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含みうる)、
- 特にICI UNIQUENAからMYRJ 52P(登録商標)の名称で販売されているステアリン酸PEG-50およびモノステアリン酸PEG-40、または特にEvonik GOLDSCHMIDTからTAGAT S(登録商標)の名称で販売されているステアリン酸PEG-30グリセリルなどの、脂肪酸(特にC~C24、好ましくはC16~C22の酸)とポリエチレングリコール(1~150個のエチレングリコール単位を含みうる)のエステル、
- 特にSEPPICからSimulsol 220 TM(登録商標)の名称で販売されているモノステアリン酸PEG-200グリセリル;Evonik GOLDSCHMIDTから販売されている製品TAGAT S(登録商標)などの30個のエチレンオキシド基のポリエトキシ化ステアリン酸グリセリル、Evonik GOLDSCHMIDTから販売されている製品TAGAT O(登録商標)などの30個のエチレンオキシド基のポリエトキシ化オレイン酸グリセリル、SHEREXから販売されている製品VARIONIC LI 13(登録商標)などの30個のエチレンオキシド基のポリエトキシ化グリセリルココエート、Evonik GOLDSCHMIDTから販売されている製品TAGAT L(登録商標)などの30個のエチレンオキシド基のポリエトキシ化イソステアリン酸グリセリル、およびEvonik GOLDSCHMIDTから販売されている製品TAGAT I(登録商標)などの30個のエチレンオキシド基のポリエトキシ化ラウリン酸グリセリルなどの脂肪酸(特にC~C24、好ましくはC16~C22の酸)とオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化グリセロールエーテル(1~150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含みうる)のエステル、
- 特にCRODAからTween20(登録商標)の名称で販売されているポリソルベート20、特にCRODAからTween60(登録商標)の名称で販売されているポリソルベート60などの脂肪酸(特にC~C24、好ましくはC16~C22の酸)とオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化ソルビトールエーテル(1~150個のオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン基を含みうる)のエステル、
- DOW CORNINGからQ2-5220(登録商標)の名称で販売されているものなど、ジメチコンコポリオール、
- ジメチコンコポリオール安息香酸エステル(FINTEXのFINSOLV SLB 101(登録商標)および201(登録商標))、
- OE/OP重縮合物とも呼ばれる酸化プロピレンおよび酸化エチレンコポリマー、
- リゾリン脂質、特に、以下の化学式1のリゾホスファチジルコリン:
【0104】
【化1】
【0105】
(式中、Rは、特に10~25個、好ましくは15~20個の炭素原子を含む脂肪酸鎖である)。好ましくは、本発明の組成物において用いられるリゾリン脂質は、ダイズ種子由来である。さらに好ましくは、glycine soja(ダイズ)種子抽出物のINCI名を有する。例えば、Lysofix Liquid(登録商標)の名称でKeminから販売されている80重量%のグリセリンと20重量%のglycine soja(ダイズ)種子抽出物の混合物を用いる、
-CrodaからPolawax NFの名称で販売されている自己乳化ワックス、またはGattefosseからApifilの名称で販売されているPEG-8ミツロウなどの乳化ワックス、
およびこれらの混合物。
【0106】
一実施形態によれば、8~20であるHLBの乳化剤は、脂肪酸ならびにオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化ソルビトールエーテルのエステル、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0107】
Lysofix Liquid(登録商標)などのリゾリン脂質によって、組成物の粘度を高めることが可能である。
【0108】
一実施形態によれば、本発明による組成物において用いられる界面活性剤は、25℃で8以下のHLBの非イオン性界面活性剤から選択される。特に以下が挙げられる:
- ICIから販売されているArlatone 2121(登録商標)などのステアリン酸スクロース、スクロースココエート、ステアリン酸ソルビタン、およびこれらの混合物などの単糖エステルおよびエーテル、
- 2つのオキシエチレン基のステアリルアルコールのオキシエチレン化エーテル(CTFA名「Steareth-2」)などの脂肪アルコール(特にC8~C24、好ましくはC12~18アルコール)のオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化エーテル(1~150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含みうる)、
- 脂肪酸(特にC8~C24、好ましくはC16~C22の酸)とポリオールのエステル、特にEvonik GOLDSCHMIDTからTEGIN M(登録商標)の名称で販売されている製品などのステアリン酸グリセリル、HULSからIMWITOR 312(登録商標)の名称で販売されている製品などのラウリン酸グリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリステアリン酸ソルビタン、リシノレイン酸グリセリルなど、グリセロールまたはソルビトールエステル、
- ダイズレシチン(CargillのEmulmetik 100 J、またはLucas MeyerのBiophilic Hなど)などのレシチン、
- シリコーン乳化剤。
【0109】
本発明による組成物において用いられるシリコーン乳化剤は、以下を含むシロキサンポリマーである:
- 脂肪側鎖、
- オキシエチレン化もしくはオキシプロピレン化側鎖、および/またはポリエトキシ化(グリセリル化)側鎖、ならびに場合によっては、
- シリコーン側鎖。
【0110】
シリコーン乳化剤の脂肪側鎖によって、油中水型エマルションの脂肪相と良好な相溶性を有することができる。本発明の化粧品エマルションの非揮発油がシリコーン油である場合、シリコーン側鎖によって非揮発性シリコーン油と良好な相溶性を有することができる。本発明の一実施形態によれば、シリコーン乳化剤は、脂肪側鎖およびシリコーン側鎖を含む。
【0111】
より特定すると、本発明によれば、シリコーン乳化剤は、以下を含む群から選択される:
- 以下の化学式2の化合物(式中、wは1~1000を範囲とする整数であり、x’は1~50を範囲とする整数であり、x、y、およびzは互いに独立して1~100を範囲とする整数を表す):
【0112】
【化2】
【0113】
- 以下の化学式3の化合物(式中、x1は1~1000を範囲とする整数であり、w1は1~50を範囲とする整数であり、y1およびz1は互いに独立して1~100を範囲とする整数を表す):
【0114】
【化3】
【0115】
- 以下の化学式4の化合物(式中、w2は1~1000を範囲とする整数であり、v2は1~50を範囲とする整数であり、x2、y2、およびz2は互いに独立して1~100を範囲とする整数を表す):
【0116】
【化4】
【0117】
DOW CORNINGからQ2-3225C(登録商標)の名称で販売されているシクロメチコン/ジメチコンコポリオール混合物、
ならびにこれらの混合物。
【0118】
具体的な一実施形態によれば、シリコーン乳化剤は、KF6038、KF6104、KF6105、KF6106の名称で信越化学工業株式会社から販売されているシロキサンポリマー、およびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0119】
INCI名として「ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」を有する化合物KF6038は、一般式(I)に対応する。このシロキサンポリマーは、シリコーン直鎖、オキシエチレン化直鎖、および脂肪直鎖(ラウリル)を含む。
【0120】
INCI名として「ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」を有する化合物KF6104、およびINCI名として「ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」を有する化合物KF6106は、一般式(II)に対応する。このシロキサンポリマーは、シリコーン側鎖およびグリセリル化側鎖を含む。
【0121】
INCI名として「ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」を有する化合物KF6105は、一般式(III)に対応する。このシロキサンポリマーは、シリコーン側鎖、グリセリル化側鎖、および脂肪側鎖(ラウリル)を含む。
【0122】
好ましい一実施形態において、具体的には組成物がシリコーン油を含む場合、界面活性剤は、化合物KF6028もしくは化合物KF6038またはこれらの混合物などのシリコーン界面活性剤から選択される。
【0123】
シリコーン乳化剤は、本発明による化粧品組成物において、0.1%~5%、好ましくは1%~3%を範囲とする含有量で存在し、割合は、組成物の全体重量に対する重量の割合である。
【0124】
好ましい一実施形態において、具体的には組成物が炭化水素系油を含む場合、界面活性剤は、非シリコーン界面活性剤、好ましくはポリソルベート20から選択される。
【0125】
本発明による組成物は、前記組成物の全体重量に対して0.1~5重量%、好ましくは1~3重量%の乳化剤を含みうる。
【0126】
皮膜形成ポリマー
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の皮膜形成ポリマーを含みうる。
【0127】
本発明の組成物において使用可能な皮膜形成ポリマーのうち、ラジカル型または重縮合型合成ポリマー、天然由来ポリマー、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0128】
ラジカル皮膜形成ポリマーとは、特にエチレン性の不飽和モノマーの重合によって得られ、各モノマーが単独重合できる(重縮合物とは逆に)ポリマーを意味する。
【0129】
ラジカル型皮膜形成ポリマーは、特にビニルポリマーまたはコポリマー、特にアクリルポリマーでありうる。
【0130】
ビニル皮膜形成ポリマーは、少なくとも1つの酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、および/またはこれらの酸モノマーのエステルおよび/またはこれらの酸モノマーのアミドの重合によるものでありうる。
【0131】
酸基保有モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸などのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸を用いることができる。好ましくは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、およびクロトン酸、より好ましくはイタコン酸(例えばItaconixからREVCARE NE 100Sの商品名で販売されているものなどのポリ(イタコン酸)金属塩)を用いる。
【0132】
酸モノマーのエステルは、有利には、(メタ)アクリル酸のエステル((メタ)アクリレートとも呼ばれる)、特にC~C30、好ましくはC~C20アルキルの(メタ)アクリル酸アルキル、特にC~C10アリールの(メタ)アクリル酸アリール、特にC~Cヒドロキシアルキルの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルから選択される。
【0133】
(メタ)アクリル酸アルキルのうち、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシルが挙げられる。
【0134】
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルのうち、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0135】
(メタ)アクリル酸アリールのうち、アクリル酸ベンジルおよびアクリル酸フェニルが挙げられる。
【0136】
特に好ましい(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸アルキルである。
【0137】
本発明によれば、エステルのアルキル基は、フッ素化されていてもペルフルオロ化されていてもよい、すなわち、アルキル基の水素原子の一部または全体がフッ素原子で置換される。
【0138】
酸モノマーアミドとして、例えば(メタ)アクリルアミド、特に具体的にはC~C12アルキルのN-アルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。N-アルキル(メタ)アクリルアミドのうち、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-t-オクチルアクリルアミド、およびN-ウンデシルアクリルアミドが挙げられる。
【0139】
ビニル皮膜形成ポリマーはまた、ビニルエステルおよびスチレンモノマーから選択されるモノマーの単独重合または共重合によるものでありうる。具体的には、これらのモノマーは、前述のものなど、酸モノマーおよび/またはそのエステルおよび/またはそのアミドと重合できる。
【0140】
ビニルエステルの例として、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、およびt-ブチル安息香酸ビニルが挙げられる。
【0141】
スチレンモノマーとして、スチレンおよびα-メチルスチレンが挙げられる。
【0142】
また、Kratonの製品、またはAPPLECHEMのOLEOFLEX EG 200などのスチレン/ブタジエンブロックコポリマーが挙げられる。
【0143】
皮膜形成重縮合物のうち、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、およびエポキシエステル樹脂、ポリ尿素が挙げられる。
【0144】
ポリウレタンは、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、または両性ポリウレタン、アクリルポリウレタン、ポリ-ウレタン-ポリビニルピロリドン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素-ポリウレタン、およびこれらの混合物から選択される。
【0145】
ポリエステルは、周知の方法で、ジカルボン酸とポリオール、特にジオールとの重縮合によって得られる。
【0146】
ジカルボン酸は、脂肪族、脂環式、または芳香族でありうる。かかる酸の例として以下が挙げられる:シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマリン酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、ドデカン二酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸。これらのジカルボン酸モノマーは、単独または少なくとも2つのジカルボン酸モノマーと組み合わせて用いることができる。これらのモノマーのうち、好ましくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸を選択する。
【0147】
ジオールは、脂肪族、脂環式、芳香族ジオールから選択できる。好ましくは、以下から選択されるジオールを用いる:エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、4-ブタンジオール。他のポリオールとして、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパンを用いることができる。
【0148】
ポリエステルアミドは、ポリエステルと類似の方法、二塩酸基とジアミンまたはアルコールアミンの重縮合によって得られる。ジアミンとして、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタまたはパラフェニレンジアミンを用いることができる。アミノアルコールとして、モノエタノールアミンを用いることができる。また、ポリアミド樹脂として、高級アルコール工業株式会社からHaimalate PAMの名称で販売されている、INCI名リンゴ酸ジイソステアリル&BISジオクタデシルアミドダイマージリノール酸/エチレンジアミンコポリマーに対応するものが挙げられる。
【0149】
ポリエステルはさらに、Mが水素イオン、アンモニウムNH イオン、または例えばNa、Li、K、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Fe2+、Fe3+イオンなどの金属イオンを表す、少なくとも1つの-SOM基をもつ少なくとも1つのモノマーを含みうる。特にかかる-SOM基をもつ二官能性芳香族モノマーを用いることができる。
【0150】
さらに上記のような-SOM基をもつ二官能性芳香族モノマーの芳香核は、例えばベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ジフェニル、オキシジフェニル、スルホニルジフェニル、メチレンジフェニル核から選択できる。さらに-SOM基をもつ二官能性芳香族モノマーの例として、以下が挙げられる:スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホフタル酸、4-スルホナフタレン-2,7-ジカルボン酸。
【0151】
イソフタル酸エステル/スルホイソフタル酸エステルを主成分とするコポリマー、より特定するとジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、スルホイソフタル酸の縮合によって得られるコポリマーを用いることができる。
【0152】
場合によっては修飾された天然由来ポリマーは、セラック樹脂、サンダラックゴム、アラビアゴム(ACACIA SENEGAL GUM)、ダンマル、エレミ、コーパル、セルロースポリマー、タラ(Caesalpinia spinosa)の実および/または海藻ネッタイキリンサイ(Kappaphycus alvarezii)のエキスのポリマー(Silabから販売されている製品Filmexel(登録商標)など)、ならびにこれらの混合物から選択できる。Filmexel(登録商標)などの天然ポリマーによって、特に本発明による組成物から得られる皮膜の持続性が改良できる。また、INCI名サラソウジュ樹脂+ミツロウ、サラソウジュ樹脂+ヒマワリ油、パラナマツ+ヒマワリ油、パラナマツ+ヒマシ油、サラソウジュ+オクチルドデカノールに対応する皮膜形成ポリマーが挙げられる。
【0153】
一実施形態によれば、皮膜形成ポリマーは、有機油または溶剤を含む液体脂肪相中に溶けやすいポリマーでありうる(このとき皮膜形成ポリマーは脂溶性ポリマーであると言う)。
【0154】
脂溶性ポリマーの例として、ビニルエステル(エステル基の酸素原子に直接つながるビニル基、およびエステル基のカルボニルに結びつく、1~19個の炭素原子の、直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を有するビニルエステル)と、ビニルエステル(すでに存在するビニルエステルとは異なる)、α-オレフィン(8~28個の炭素原子を有する)、アルキルビニルエーテル(アルキル基が2~18個の炭素原子を含む)、またはアリルまたはメタリルエステル(エステル基のカルボニルに結びつく、1~19個の炭素原子の、直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を有する)でありうる少なくとも他の1種のモノマーのコポリマーが挙げられる。
【0155】
これらのコポリマーは、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、オクタン二酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、オクタデカン二酸ジビニルなど、ビニルタイプ、またはアリルもしくはメタリルタイプでありうる、架橋剤を用いて架橋できる。
【0156】
これらのコポリマーの例として、以下のコポリマーが挙げられる:酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニル、酢酸ビニル/オクタデセン、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸アリル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル/オクタデセン-1、酢酸ビニル/ドデセン-1、ステアリン酸ビニル/エチルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/セチルビニルエーテル、ステアリン酸ビニル/酢酸アリル、2,2-ジメチルオクタン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、2,2-ジメチルペンタン酸アリル/ラウリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸アリル/ステアリン酸ビニル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋したプロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋したジメチルプロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、0.2%テトラアリルオキシエタンで架橋した酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋した酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋した酢酸ビニル/オクタデセン-1、0.2%ジビニルベンゼンで架橋したプロピオン酸アリル/ステアリン酸アリル。
【0157】
また、脂溶性皮膜形成ポリマーとして、脂溶性コポリマー、特に、9~22個の炭素原子を有するビニルエステルまたはアリル基が10~20個の炭素原子を有するアクリル酸またはメタクリル酸アルキルの共重合によるものが挙げられる。
【0158】
かかる脂溶性コポリマーは、ポリステアリン酸ビニルコポリマー、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、またはフタル酸ジアリルを用いて架橋したポリステアリン酸ビニルコポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸ステアリル、ポリラウリン酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸ラウリルのコポリマーから選択でき、これらのポリ(メタ)アクリル酸塩は、ジメタクリル酸メチレングリコールまたはテトラエチレングリコールを用いて架橋できる。
【0159】
前述で定義された脂溶性コポリマーは周知であり、特に仏国特許出願公開第2232303号明細書に記載されており、2,000~500,000、好ましくは4,000~200,000を範囲とする重量平均モル重量を有しうる。
【0160】
また、脂溶性ホモポリマー、特に、9~22個の炭素原子を有するビニルエステルまたはアルキル基が2~24個の炭素原子を有するアクリル酸またはメタクリル酸アルキルの単独重合によるものが挙げられる。
【0161】
脂溶性ホモポリマーの例として、特に以下が挙げられる:ポリラウリン酸ビニルおよびポリ(メタ)アクリル酸ラウリル、これらのポリ(メタ)アクリル酸エステルは、ジメタクリル酸エチレングリコールまたはテトラエチレングリコールを用いて架橋できる。
【0162】
また、本発明において使用可能な脂溶性皮膜形成ポリマーとして、ポリアルキレン、特にポリブチレンなどC2~C20アルケンコポリマー、エチルセルロースおよびプロピルセルロースなど直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和の、C1~C8アルキル基をもつアルキルセルロース、ビニルピロリドン(VP)コポリマー、特にビニルピロリドンおよびC2~C40、より望ましくはC3~C20アルケンコポリマーが挙げられる。本発明において使用可能なVPコポリマーの例として、VP/酢酸ビニル、VP/メタクリル酸エチルコポリマー、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/メタクリル酸エチル/メタクリル酸、VP/エイコセン(Ashlandから販売されているANTARON V220)、VP/ヘキサデセン(Ashlandから販売されているANTARON V216)、VP/トリアコンテン、VP/スチレン、VP/アクリル酸/メタクリル酸ラウリルが挙げられる。
【0163】
また、デキストリンエステル、特に以下が挙げられる:
- 千葉製粉株式会社からUNIFILMA HVYの名称で販売されているイソステアリン酸デキストリン&イソステアリン酸
- 千葉製粉株式会社からRHEOPEARL TTの名称で販売されているパルミチン酸/エチルヘキサン酸デキストリン
- 千葉製粉株式会社からRHEOPEARL MKL2の名称で販売されているミリスチン酸デキストリン
【0164】
さらに、糖エステル、特にEASTMANからEASTMAN SUSTANE SAIBの名称で販売されているスクロース酢酸イソブチルが挙げられる。
【0165】
また、一般的に架橋されたポリオルガノシロキサンポリマーである、シリコーン油中で可溶性または膨張性のシリコーン樹脂が挙げられる。シリコーン樹脂の命名法は「MDTQ」の名称で知られ、樹脂はそれが含む多様なシロキサンモノマー単位に応じて記載され、「MDTQ」の各文字が単位タイプの特徴を表す。
【0166】
商業的に入手可能なポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例として、Belsil PMS MKなどResin MKの名称でWackerから、およびKR-220L、またはSilForm flexible resinの名称で信越化学工業株式会社から販売されているものが挙げられる。
【0167】
シロキシケイ酸樹脂として、General ElectricからSR1000の名称で、またはWackerからTMS 803の名称で販売されているものなどのトリメチルシロキシケイ酸(TMS)樹脂が挙げられる。さらに、信越化学工業株式会社から「KF-7312J」、Dow Corningから「DOWSIL(商標)RSN-0749」または「DOWSIL(商標)593 Fluid」の名称で販売されている、シクロメチコンなどの溶剤で販売されているトリメチルシロキシケイ酸樹脂が挙げられる。
【0168】
また、BIO-PSAの名称でDow Corningから販売され、米国特許第5162410号明細書に記載の感圧接着コポリマー、または上述のようなシリコーン樹脂、および国際公開第2004/073626号パンフレットに記載のようなジオルガノシロキサンの反応を由来とするシリコーンコポリマーなど、ポリジメチルシロキサンをもつ、上記に挙げられたようなシリコーン樹脂コポリマーが挙げられる。
【0169】
また、例えばGRANTからGRANACRYSIL BASの名称で販売されているアクリル酸ブチル/アクリル酸ヒドロキシプロピルジメチコンコポリマーなど、ポリシロキサン単位を含むモノマーでグラフト化した、シリコーン化していない有機骨格構造のコポリマーを用いることができる。
【0170】
最後に、DOW CORNING FA 4002 IDまたはDOW CORNING FA 4001 CMの名称で商業的に入手可能な、ビニル骨格構造にグラフト化したカルボシロキサンデンドリマー構造を含むアクリル酸塩/ポリトリメチルシロキシメタクリル酸塩コポリマーが挙げられる。
【0171】
また、米国特許第5874069号明細書、米国特許第5919441号明細書、米国特許第6051216号明細書、および米国特許第5981680号明細書に記載のようなポリオルガノシロキサンタイプのシリコーンポリアミドを用いることができる。
【0172】
好ましい一実施形態において、本発明による組成物は、1~15重量%の皮膜形成ポリマー、好ましくは5~12重量%の少なくとも1つの皮膜形成ポリマーを含む。
【0173】
シリコーンエラストマー
本発明による組成物はまた、シリコーンエラストマーを含みうる。
【0174】
これらのうち、鎖、好ましくはケイ素原子鎖の端または中央に位置するビニルまたはアリル基など、不飽和基をもつオルガノポリシロキサンと、オルガノヒドロゲノポリシロキサンなど他の反応性の高いシリコーン化合物との反応によって、少なくとも部分的に架橋したポリマーが挙げられる。これらのポリマーは通常、揮発性もしくは非揮発性のシリコーン溶剤または炭化水素系溶剤中にゲルの形態で入手可能である。かかるエラストマーの例は、特にKSG-6、KSG-16、KSG-31、KSG-32、KSG-41、KSG-42、KSG-43、およびKSG-44の商品名で信越化学工業株式会社から、DOWSIL(商標)9040およびDOWSIL(商標)9041の商品名でDOW CORNINGから販売されている。油を含む他のゲル化剤は、市場ではVELVESIL(登録商標)125の商品名でGENERAL ELECTRICから入手可能である、触媒存在下でエポキシおよびヒドロシリル基によって官能基化したオルガノポリシロキサンの自己重合によって得られるシリコーンポリマーからなる。他の脂溶性ゲル化剤は、JEESILC(登録商標)PS(PS-VH、PS-VHLV、PS-CM、PS-CMLV、およびPS-DMが含まれる)の商品名でJEENから販売されているようなジメチコン/環状ビニルジメチコンコポリマーからなる。
【0175】
好ましい一実施形態によれば、シリコーンエラストマーは、好ましくはポリオキシアルキレン化およびポリグリセロール化シリコーンエラストマーから選択される乳化剤であってもよい。
【0176】
ポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーとして、米国特許第5236986号明細書、米国特許第5412004号明細書、米国特許第5837793号明細書、米国特許第5811487号明細書に記載のものが挙げられる。
【0177】
ポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーとして、以下を用いることができる:INCI名PEG-10ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーのもの:信越化学工業株式会社から「KSG-21」、「KSG-20」の名称で販売されているものなど;INCI名ラウリルPEG-15ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーのもの:信越化学工業株式会社から「KSG-30」および「KSG-31」、「KSG-32」(イソドデカンで)、「KSG-33」(トリオクタオインで)、「KSG-210」、「KSG-310」(無機油で)、「KSG-320」(イソドデカンで)、「KSG-330」、「KSG-340」の名称で販売されているものなど。
【0178】
ポリグリセロール化シリコーンエラストマーとして、以下を用いることができる:INCI名ジメチコン(と)ジメチコン/ポリグリセリン-3のクロスポリマーのもの:信越化学工業株式会社から「KSG-710」の名称で販売されているものなど;INCI名ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーのもの:信越化学工業株式会社から「KSG-840」(スクアレンで)の名称で販売されているものなど。
【0179】
水相
本発明による組成物はまた、水および任意選択で前述に記載のポリオール以外の水溶性の少なくとも1種の溶剤を含む、水相を含みうる。
【0180】
「水溶性の溶剤」とは、本発明において、室温で液体であり、水に混和可能な(水の中の混和性が25℃および大気圧下で50重量%を上回る)化合物を意味する。
【0181】
本発明による組成物において使用可能な水溶性溶剤は、揮発性であってもよい。
【0182】
本発明に合致した組成物において用いることができる水溶性溶剤のうち、特にエタノールおよびイソプロパノール、C~CケトンおよびC~Cアルデヒドなどの1~5個の炭素原子を有するモノアルコールが挙げられる。
【0183】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は水を含まない。
【0184】
化粧品有効成分
本発明による組成物はまた、ビタミン、酸化防止剤、保湿剤、アンチポリューション成分、角質溶解剤、収れん剤、抗炎症剤、美白剤、セルフタンニング剤、微小循環を促進する薬剤からなる群から選択できる、少なくとも1種の化粧品有効成分を含みうる。
【0185】
ビタミンの例には、ビタミンA、B1、B2、B6、C、およびE、ならびにその誘導体、パントテン酸およびその誘導体およびビオチンが含まれる。
【0186】
酸化防止剤の例には、アスコルビン酸、ならびにパルミチン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビルグルコシド、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、およびアスコルビルソルベートなどその誘導体;トコフェロール、ならびに酢酸トコフェロール、トコフェロールソルベート、および他のトコフェロールエステルなどその誘導体;BHTおよびBHA;没食子酸、リン酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマリン酸、ケファリン、ヘキサメタリン酸、フィチン酸エステル、および植物エキス、例えばBIOLANDESから販売されているBlue Malagasy Gingerなどショウガ(Zingiber officinale)根、トチャカ(Chondrus crispus)根、イワベンケイ(Rhodiola)、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、マテ葉、オーク、カユラペ樹皮、サクラ葉およびイランイラン葉が含まれる。
【0187】
保湿剤の例には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ムコ多糖、例えばコンドロイチン硫酸、高分子量もしくは低分子量のヒアルロン酸、またはExymolから販売されている有効成分Epidermosil(登録商標)などシラノール誘導体によって効果を高めたヒアルロン酸、およびムコイチン硫酸など;カロン酸;アテロコラーゲン;12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル;胆汁酸塩、ピロリドンカルボン酸塩および乳酸塩などNMF(天然保湿因子)の主成分、尿素、システイン、およびセリンなどアミノ酸の類似体;短鎖可溶性コラーゲン、PPGジグリセリン、NOFのLipidure HMおよびLipidure PBMなど2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのホモまたはコポリマー;アラントイン;Wilbride(登録商標)S753の商品名で販売されているNOFのPEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、またはLubragel(登録商標)MSの商品名で販売されているSedermaのポリメタクリル酸グリセリルなどグリセリン誘導体;旭化成ケミカルズ株式会社からAminocoat(登録商標)の商品名で販売されているトリメチルグリシン、およびヨーロッパグリ(Castenea sativa)エキス、加水分解したヘーゼルナッツタンパク質、チューベローズ(Polianthes tuberosa)多糖体、アルガン(Argania spinosa)カーネル油など多様な植物エキス、および特にPearl Extract(登録商標)の商品名で丸善製薬株式会社(日本)から販売されているコンキオリンを含む真珠層エキスが含まれる。
【0188】
他の保湿剤の例には、キャロブ果肉エキスなどのマトリプターゼMT/SP1の発現を刺激する化合物、およびCERT、ARNT2またはFN3KまたはFN3K RPの発現を刺激する物質;サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)またはカカオ(Theobroma cacao)豆の外皮のエキス、水溶性トウモロコシエキス、バンバラマメ(Voandzeia subterranea)のペプチドエキスおよびナイアシンアミドなどの例えばβ-エンドルフィンを刺激して直接的または間接的にケラチノサイトの増殖または分化を促進する薬剤;表皮脂質、および直接的に、またはリン脂質、セラミド、ルピナスタンパク質加水分解物、およびジヒドロジャスモン酸誘導体などセラミドのグルコシルセラミドなどの脂質前駆体の脱グリコシル化を調整するいくつかのβ-グルコシダーゼを刺激して、表皮脂質の合成を促進する薬剤が含まれる。
【0189】
アンチポリューション成分の例には、ワサビノキ(Moringa pterygosperma)種子エキス(例えばLSNのPurisoft(登録商標));シアバターエキス(例えばSilabのDetoxyl(登録商標))、キヅタエキス、フィチン酸、ヒマワリ種子エキスの混合物(例えばSedermaのOsmopur(登録商標))が含まれる。
【0190】
角質溶解剤の例として、α-ヒドロキシ酸(例えばグリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、または酒石酸)およびβ-ヒドロキシ酸(例えばサリチル酸)、ならびにC12-13乳酸アルキルなどこれらのエステル、およびローゼル(Hibiscus sabdariffa)エキスなどこれらのヒドロキシ酸を含む植物エキスが含まれる。
【0191】
収れん剤の例には、ハマメリスエキスが含まれる。
【0192】
抗炎症剤の例には、ビサボロール、アラントイン、トラネキサム酸、酸化亜鉛、酸化硫黄、およびその誘導体、硫酸コンドロイチン、グリチルリジン酸、およびグリチルリジン酸塩などその誘導体が含まれる。
【0193】
美白剤の例には、アルブチンおよびその誘導体、フェルラ酸(BASFから販売されているCytovector(登録商標):水、グリコール、レシチン、フェルラ酸、ヒドロキシエチルセルロース、など)およびその誘導体、コウジ酸、レゾルシノール、国際公開第2006/134282号パンフレットに記載のようなレスベラトロールジアセテートモノリポエートなどのリポ酸およびその誘導体、エラグ酸、ロイコドーパクロムおよびその誘導体、ビタミンB3、リノール酸およびその誘導体、セラミドおよびその同族体、国際公開第2009/010356号パンフレットに記載のようなペプチド、国際公開第2006/134282号パンフレットに記載のようなバイオプレカーサーまたはトラネキサム酸セチル塩酸塩などトラネキサム酸塩、特に丸善製薬株式会社からLicorice extract(登録商標)の商品名で販売されているカンゾウエキス(Glycyrrhiza glabraエキス)、アスコルビン酸塩、脂肪酸またはソルビン酸のアスコルビルエステル、および他のアスコルビン酸誘導体、例えばリン酸アスコルビルマグネシウムおよびリン酸アスコルビルナトリウムなどリン酸アスコルビル、または例えばアスコルビル-2-グルコシド、2-O(α-D-グルコピラノシル)-L-アスコルビン酸、もしくは6-O-β-D-ガラクトピラノシル-L-アスコルビン酸を含むアスコルビン酸の糖のエステルを含む、ビタミンC化合物など抗酸化作用も有する美白剤が含まれる。このタイプの有効成分は、具体的にはAscorbyl glucoside(登録商標)の商品名でDKSHから販売されている。
【0194】
セルフタンニング剤の一例は、DHAである。
【0195】
微小循環を促進する薬剤の例には、ルピナス(SilabのEclaline(登録商標)など)、ルスカス、マロニエ、キヅタ、チョウセンニンジン、またはメリロートのエキス、カフェイン、ニコチン酸塩およびその誘導体、CODIFから販売されているものなどサンゴモ(Corallina officinalis)の海藻エキス;ならびにこれらの混合物が含まれる。これらの皮膚微小循環に有効な薬剤は、肌の色のくすみを予防する、および/または肌の色の均一性および明るさを向上させるために用いることができる。
【0196】
添加剤
本発明による組成物は、組成物に期待される特性を阻害しないかぎり、他の成分を含みうる。これらの他の成分は、例えば保存料、クエン酸またはアルギニン酸などpH調整剤、抗菌剤、香料、紫外線フィルター、およびこれらの混合物でありうる。
【0197】
調製方法
本発明はまた、
- パウダーの予備混合、
- 揮発性液体脂肪相および皮膜形成ポリマーを含む脂肪バインダーの調製、
- 押出による脂肪バインダーとのパウダーの混合、および
- 圧縮による組成物の成形
含む本発明による固形化粧品組成物の調製方法を対象とする。
【0198】
角質物質のメイクアップ方法
本発明はまた、皮膚または唇に、本発明による固形化粧品組成物を塗布することからなる、皮膚または唇のメイクアップ方法に関する。
【実施例
【0199】
アイシャドー
以下の表1に示される組成を有する固形アイシャドーを調製した。
【0200】
【表1】
【0201】
粉体相を構成するパウダーを予備混合した。
次に、脂肪相(液体および固体)を含む非揮発性脂肪バインダーを調製した。
押出によって非揮発性脂肪バインダーとパウダーを混合し、次いで押出装置の下流口に揮発性溶剤を導入して、押出によって追加の揮発性溶剤と混合した。
次に、圧縮によって組成物を成形した。
【0202】
得られたアイシャドーは、良好な凝集力および衝撃への良好な耐性を示す。具体的には、細かく砕けず、ひび割れずに保管および持ち運びができる。そのテクスチャは容易に剥離し塗布可能である。アイシャドーはカバー力および色の良好な持続性を示す。
なお、本発明は、以下の実施形態を包含するものとする。
[1]固形化粧品組成物であって、
- 少なくとも15重量%の揮発性脂肪相、および
- 40~85重量%の、金属石けんで表面処理した球状フィラーを含む粉体相
を含み、前記割合が組成物の合計重量に対する重量で表される、組成物。
[2]前記粉体相が、金属石けんで表面処理したラメラフィラーをさらに含むことを特徴とする、前記[1]に記載の固形化粧品組成物。
[3]前記粉体相が、金属石けんで表面処理したパール剤をさらに含むことを特徴とする、前記[1]または[2]に記載の固形化粧品組成物。
[4]
- 20~23重量%の揮発性液体脂肪相、および
- 50~80重量%、好ましくは60~75重量%の粉体相
を含むことを特徴とする、前記[1]から[3]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
[5]1~15重量%、好ましくは5~12重量%の皮膜形成ポリマーを含むことを特徴とする、前記[1]から[4]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
[6]前記粉体相が、任意選択で金属石けんで表面処理した顔料を含むことを特徴とする、前記[1]から[5]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
[7]前記金属石けんが、12~22個の炭素原子、特に12~18個の炭素原子を有する脂肪酸石けんであることを特徴とする、前記[1]から[6]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
[8]前記金属石けんの金属が、亜鉛またはマグネシウムであることを特徴とする、前記[1]から[7]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
[9]前記金属石けんが、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、およびこれらの混合物から選択され、好ましくは前記金属石けんがステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする、前記[1]から[8]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
[10]前記揮発性液体脂肪相が、炭化水素系油、シリコーン油、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の揮発油を含むことを特徴とする、前記[1]から[9]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
[11]非揮発性液体脂肪相を含むことを特徴とする、前記[1]から[10]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
[12]乳化剤を含むことを特徴とする、前記[1]から[11]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
[13]固体脂肪相を含むことを特徴とする、前記[1]から[12]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
[14]0.1~10重量%、好ましくは1~5重量%の非揮発油を含むことを特徴とする、前記[11]に記載の固形化粧品組成物。
[15]水を含まないことを特徴とする、前記[1]から[14]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
[16]シリコーンエラストマーを含むことを特徴とする、前記[1]から[15]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物。
[17]
- 前記粉体相を構成するパウダーの予備混合、
- 前記揮発性液体脂肪相および前記皮膜形成ポリマーを含む脂肪バインダーの調製、
- 押出による前記脂肪バインダーとのパウダーの混合、および
- 圧縮による組成物の成形
を含む、前記[1]から[16]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物の調製方法。
[18]皮膚または唇に、前記[1]から[16]のいずれか一項に記載の固形化粧品組成物を塗布することからなる、皮膚または唇のメイクアップ方法。