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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】航空機のためのフラップ作動システム
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/00 20060101AFI20240822BHJP
   F16D 3/16 20060101ALI20240822BHJP
   F16H 1/12 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B64C13/00
F16D3/16 A
F16H1/12
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020118339
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2021020670
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】16/506,206
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グルーナー, ブライアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ, ケビン
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02779555(US,A)
【文献】米国特許第04605187(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0155053(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0355253(US,A1)
【文献】特開2013-067376(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109383789(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/00
F16D 3/16
F16H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(100)の翼(114)に結合されたフラップ(126)を流れ方向(170)に作動させるためのシステム(140)であって、
第1の回転軸(168)の周りで回転可能である駆動歯車(160)を備える歯車付きロータリアクチュエータ(142)と、
クランクシャフト(144)であって、前記第1の回転軸(168)に対して角度が付けられている第2の回転軸(174)の周りで前記クランクシャフト(144)を回転させるように、前記歯車付きロータリアクチュエータ(142)の前記駆動歯車(160)と歯車噛み合い係合している従動歯車(162)を備えるクランクシャフト(144)と、
前記クランクシャフト(144)に共回転可能に結合されており、前記フラップ(126)に結合されるように構成されたクランクアーム(156)であって、前記第2の回転軸(174)の周りの前記クランクシャフト(144)の回転が、前記第2の回転軸(174)に垂直な方向に前記クランクアーム(16)を回転させる、クランクアーム(156)と、
前記クランクシャフト(144)が、前記第2の回転軸(174)と同軸であり前記クランクシャフト(144)を完全に貫通している中央チャネル(154)と、
を備え
前記中央チャネル(154)の直径が、前記第2の回転軸(174)に沿って変化する、システム(140)。
【請求項2】
前記第2の回転軸(174)が、前記流れ方向(170)に対して垂直であるとき、前記第1の回転軸(168)が、前記翼(114)の翼長方向(172)に平行である、請求項1に記載のシステム(140)。
【請求項3】
前記中央チャネル(154)の前記直径が、前記中央チャネル(154)の軸線方向における端部から前記第2の回転軸(174)に沿って減少し、増加する、請求項に記載のシステム(140)。
【請求項4】
前記クランクシャフト(144)が、
前記第2の回転軸(174)に沿って一定の外寸を有する中央部(184)と、
前記第2の回転軸(174)に沿って前記中央部(184)から離れて増加する外寸を有する第1のフレア部(158)と、
前記中央部(184)によって前記第1のフレア部から離間され、前記第2の回転軸(174)に沿って前記中央部(184)から離れて増加する外寸を有する第2のフレア部(158)と、
を備える、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム(140)。
【請求項5】
前記中央チャネル(154)の前記直径が、
前記中央部(184)内で一定であり、
前記中央部(184)から離れて前記第1のフレア部(158)内で増加し、
前記中央部(184)から離れて前記第2のフレア部(158)内で増加する、請求項に記載のシステム(140)。
【請求項6】
前記中央部(184)が、前記第2の回転軸(174)に垂直な平面に沿った非円形の断面形状を有する、請求項またはに記載のシステム(140)。
【請求項7】
前記クランクアーム(156)が、前記クランクシャフト(144)の前記中央部(184)の周りに一緒に取り付けられた第1の部分(180)および第2の部分(182)を備え、
前記第1の部分(180)および前記第2の部分(182)が、前記中央部(184)の前記非円形の断面形状と相補的になるような形状のクランク開口(190)を画定する、請求項に記載のシステム(140)。
【請求項8】
前記歯車付きロータリアクチュエータ(142)および前記クランクシャフト(144)の前記中央チャネル(154)を通過しているトルクシャフト(152)を、さらに備え、
前記トルクシャフト(152)が、前記第1の回転軸(168)の周りの前記駆動歯車(160)の回転を駆動するように、前記駆動歯車(160)と相互に回動不能に結合されており、
前記トルクシャフト(152)が、前記クランクシャフト(144)に接触することなく、前記クランクシャフト(144)の前記中央チャネル(154)を通過しており、
前記トルクシャフト(152)が、前記中央チャネル(154)を通過しているとき、前記トルクシャフト(152)は、前記第2の回転軸(174)に対して角度が付けられている、請求項からのいずれか一項に記載のシステム(140)。
【請求項9】
前記トルクシャフト(152)を取り囲み、前記トルクシャフト(152)と同心であるトルクチューブ(150)を、さらに備え、
前記トルクチューブ(150)が、前記トルクシャフト(152)と共回転可能に結合されており、
前記トルクチューブ(150)が、前記トルクシャフト(152)から前記歯車付きロータリアクチュエータ(142)にトルクを伝達するように、前記歯車付きロータリアクチュエータ(142)と直接に歯車噛み合い係合している、請求項に記載のシステム(140)。
【請求項10】
前記第2の回転軸(174)に垂直であり、取り付け面(147)を備える第の支持リブ(146)と、
前記第の支持リブ(146)に平行であり、前記第の支持リブ(146)から離間された第の支持リブ(146)と、
をさらに備え、
前記クランクシャフト(144)が、前記第1の支持リブ(146A)と前記第2の支持リブ(146B)との間に配置されており、
前記歯車付きロータリアクチュエータ(142)が、前記第の支持リブ(146)の前記取り付け面(147)に回動可能に当接されている、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム(140)。
【請求項11】
本体(112)と、
前記本体(112)に結合され、前記本体(112)から翼長方向に延在する翼(114)と、
前記翼(114)に結合され、前記翼(114)から展開可能なフラップ(126)と、
前記翼(114)に結合されたシステム(140)であって、
第1の回転軸(168)の周りで回転可能である駆動歯車(160)を備える歯車付きロータリアクチュエータ(142)と、
クランクシャフト(144)であって、前記第1の回転軸(168)に対して角度が付けられている第2の回転軸(174)の周りで前記クランクシャフト(144)を回転させるように、前記歯車付きロータリアクチュエータ(142)の前記駆動歯車(160)と歯車噛み合い係合している従動歯車(162)を備えるクランクシャフト(144)と、
前記クランクシャフト(144)に共回転可能に結合され、前記フラップ(126)と結合されたクランクアーム(156)であって、前記第2の回転軸(174)の周りの前記クランクシャフト(144)の回転が、前記第2の回転軸(174)に垂直な方向に前記クランクアーム(16)を回転させ、前記フラップ(126)を移動させる、クランクアーム(156)と、を備えるシステム(140)と、
を備え
前記クランクシャフト(144)が、前記第2の回転軸(174)と同軸であり前記クランクシャフト(144)を完全に貫通している中央チャネル(154)を備え、
前記中央チャネル(154)の直径が、前記第2の回転軸(174)に沿って変化し、
前記システム(140)が、前記歯車付きロータリアクチュエータ(142)および前記クランクシャフト(144)の前記中央チャネル(154)を通過しているトルクシャフト(152)を、さらに備え、
前記システム(140)が、前記トルクシャフト(152)と共回転可能に結合され、前記駆動歯車(160)と回転可能に結合されて、前記第1の回転軸(168)の周りの前記駆動歯車(160)の回転を駆動するトルクチューブ(150)を、さらに備え、
前記トルクシャフト(152)が、前記クランクシャフト(144)に接触することなく、前記クランクシャフト(144)の前記中央チャネル(154)を通過しており、
前記トルクシャフト(152)および前記トルクチューブ(150)が、前記第1の回転軸(168)の周りで回転可能である、航空機(100)。
【請求項12】
前記クランクシャフト(144)が、前記第2の回転軸(174)と同軸であり前記クランクシャフト(144)を完全に貫通している中央チャネル(154)を備え、
前記中央チャネル(154)の直径が、前記第2の回転軸(174)に沿って変化する、請求項11に記載の航空機(100)。
【請求項13】
前記中央チャネル(154)の前記直径が、前記中央チャネル(154)の軸線方向における端部から前記第2の回転軸(174)に沿って減少し、増加する、請求項12に記載の航空機(100)。
【請求項14】
前記翼(114)に結合され、前記翼(114)から展開可能な第2のフラップ(126)と、
前記システム(140)と同じ特徴を有する、前記翼に結合された第2のシステム(140)と、
をさらに備え、
前記第2のシステム(140)のクランクアーム(156)が、前記第2のフラップ(126)に結合されており、
前記システム(140)が、前記トルクシャフト(152)と共回転可能に結合され、前記第2のシステム(140)の歯車付きロータリアクチュエータ(142)の駆動歯車(160)と回転可能に結合されて、前記第1の回転軸(168)の周りの、前記第2のシステム(140)の前記歯車付きロータリアクチュエータ(142)の前記駆動歯車(160)の回転を駆動する第2のトルクチューブ(150)を、さらに備える、請求項11に記載の航空機(100)。
【請求項15】
航空機(100)の翼(114)に結合されたフラップ(126)を、前記翼(114)に対して流れ方向(170)に作動させる方法(200)であって、
前記翼(114)の翼長方向(172)に平行である第1の回転軸(168)の周りで歯車付きロータリアクチュエータ(142)の駆動歯車(160)を回転させることと、
クランクシャフト(144)の従動歯車(162)にトルクを伝達して、前記第1の回転軸(168)に対して角度が付けられており、前記流れ方向(170)に垂直である第2の回転軸(174)の周りで前記クランクシャフト(144)の前記従動歯車(162)を回転させることと、
前記第2の回転軸(174)の周りの前記従動歯車(162)の回転に応答して、クランクアーム(156)を前記流れ方向(170)に回転させることと、
前記クランクアーム(156)が前記流れ方向(170)に移動することに応答して、前記流れ方向(170)に前記フラップ(126)を並進的に移動させることと、
を含み、
前記クランクシャフト(144)が、前記第2の回転軸(174)と同軸であり前記クランクシャフト(144)を完全に貫通している中央チャネル(154)を備え、
前記中央チャネル(154)の直径が、前記第2の回転軸(174)に沿って変化する、方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、航空機に関し、より具体的には、航空機の翼に結合されたフラップを作動させるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の翼に結合されたフラップは、翼によって生成される揚力を調整するために使用される。例えば、フラップは、離着陸時に抗力と揚力を高めるために展開され、巡航速度で格納される。フラップは、設定された運動経路に沿って展開され、格納される。特に今日の民間航空機の比較的薄い後退翼では、コスト効率が高く、単純で、軽快な方法で、流れ方向の設定された運動経路に沿ってフラップを作動させることは、難しい場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本出願の主題は、現在の最先端技術に応じて、詳細には、従来のフラップ作動システムおよび方法の欠点に応じて開発された。本出願の主題は、従来技術の上記の欠点を克服する、航空機のためのフラップ作動システム、および対応する方法の例を提供する。
【0004】
航空機の翼に結合されたフラップを流れ方向に作動させるためのシステムが、本明細書に開示される。このシステムは、第1の回転軸の周りで回転可能な駆動歯車を含む歯車付きロータリアクチュエータを備える。このシステムはまた、第2の回転軸の周りでクランクシャフトを回転させるために、歯車付きロータリアクチュエータの駆動歯車と歯車噛み合い係合している従動歯車を含むクランクシャフトを備える。第2の回転軸は、第1の回転軸に対して角度が付けられている。このシステムは、クランクシャフトに共回転可能に結合され、フラップに結合されるように構成されたクランクアームを、さらに備える。第2の回転軸の周りのクランクシャフトの回転は、第2の回転軸に垂直な方向にクランクアームを回転させる。この段落の前述の主題は、本開示の実施例1を特徴付ける。
【0005】
第2の回転軸が、流れ方向に対して垂直である場合、第1の回転軸は、翼の翼長方向に平行である。この段落の前述の主題は、本開示の実施例2を特徴付け、実施例2は、上記の実施例1による主題も含む。
【0006】
駆動歯車は、かさ歯車を含み、従動歯車は、スプール歯車を含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例3を特徴づけ、実施例3は、上記の実施例1~2のいずれか1つによる主題も含む。
【0007】
クランクシャフトは、第2の回転軸と同軸であり、クランクシャフトを完全に貫通する中央チャネルを備える。中央チャネルの直径は、第2の回転軸に沿って変化する。この段落の前述の主題は、本開示の実施例4を特徴づけ、実施例4は、上記の実施例1~3のいずれか1つによる主題も含む。
【0008】
中央チャネルの直径は、第2の回転軸に沿って減少し、増加する。この段落の前述の主題は、本開示の実施例5を特徴付け、実施例5は、上記の実施例4による主題も含む。
【0009】
クランクシャフトは、第2の回転軸に沿って一定の外寸を有する中央部を備える。クランクシャフトはまた、第2の回転軸に沿って中央部から離れて増加する外寸を有する第1のフレア部を備える。クランクシャフトは、中央部によって第1のフレア部から離間され、第2の回転軸に沿って中央部から離れて増加する外寸を有する第2のフレア部を、さらに備える。この段落の前述の主題は、本開示の実施例6を特徴づけ、実施例6は、上記の実施例4~5のいずれか1つによる主題も含む。
【0010】
中央チャネルの直径は、中央部内で一定であり、中央部から離れて第1のフレア部内で増加し、中央部から離れて第2のフレア部内で増加する。この段落の前述の主題は、本開示の実施例7を特徴付け、実施例7は、上記の実施例6による主題も含む。
【0011】
中央部は、第2の回転軸に垂直な平面に沿った非円形の断面形状を有する。この段落の前述の主題は、本開示の実施例8を特徴づけ、実施例8は、上記の実施例6~7のいずれか1つによる主題も含む。
【0012】
クランクアームは、クランクシャフトの中央部の周りに一緒に取り付けられた第1の部分と第2の部分とを備える。第1の部分および第2の部分は、中央部の非円形の断面形状と相補的になるような形状のクランク開口を画定する。この段落の前述の主題は、本開示の実施例9を特徴付け、実施例9は、上記の実施例8による主題も含む。
【0013】
このシステムは、歯車付きロータリアクチュエータとクランクシャフトの中央チャネルとを通過するトルクシャフトを、さらに備える。トルクシャフトは、駆動歯車と回転可能に結合されて、第1の回転軸の周りの駆動歯車の回転を駆動する。トルクシャフトは、クランクシャフトに接触することなく、クランクシャフトの中央チャネルを通過している。トルクシャフトが、中央チャネルを通過しているとき、トルクシャフトは、第2の回転軸に対して角度が付けられている。この段落の前述の主題は、本開示の実施例10を特徴づけ、実施例10は、上記の実施例4~9のいずれか1つによる主題も含む。
【0014】
トルクシャフトは、第1の回転軸の周りで回転可能である。この段落の前述の主題は、本開示の実施例11を特徴付け、実施例11は、上記の実施例10による主題も含む。
【0015】
このシステムは、トルクシャフトを取り囲み、トルクシャフトと同心のトルクチューブを、さらに備える。トルクチューブは、トルクシャフトと共回転可能に結合されている。トルクチューブは、トルクシャフトから歯車付きロータリアクチュエータにトルクを伝達するために、歯車付きロータリアクチュエータと直接に歯車噛み合い係合している。この段落の前述の主題は、本開示の実施例12を特徴づけ、実施例12は、上記の実施例10~11のいずれか1つによる主題も含む。
【0016】
歯車付きロータリアクチュエータは、ハウジングを備える。駆動歯車は、少なくとも部分的にハウジング内に配置されている。クランクシャフトの少なくとも一部は、ハウジング内に配置されている。この段落の前述の主題は、本開示の実施例13を特徴づけ、実施例13は、上記の実施例1~12のいずれか1つによる主題も含む。
【0017】
このシステムは、第2の回転軸に垂直であり、取り付け面を備える第1の支持リブを、さらに備える。このシステムはまた、第1の支持リブに平行で、第1の支持リブから離間された第2の支持リブを備える。クランクシャフトは、第1の支持リブと第2の支持リブとの間に配置されている。歯車付きロータリアクチュエータは、第2の支持リブに直接結合されている。この段落の前述の主題は、本開示の実施例14を特徴づけ、実施例14は、上記の実施例1~13のいずれか1つによる主題も含む。
【0018】
クランクシャフトは、中空で、スプール形状である。この段落の前述の主題は、本開示の実施例15を特徴づけ、実施例15は、上記の実施例1~14のいずれか1つによる主題も含む。
【0019】
本体を含む航空機が、本明細書でさらに開示される。航空機はまた、本体に結合され、本体から翼長方向に延在する翼を備える。航空機はまた、翼に結合され、翼から展開可能なフラップを備える。航空機は、翼に結合されたシステムを、さらに備える。このシステムは、第1の回転軸の周りで回転可能な駆動歯車を含む歯車付きロータリアクチュエータを備える。このシステムはまた、第2の回転軸の周りでクランクシャフトを回転させるために、歯車付きロータリアクチュエータの駆動歯車と歯車噛み合い係合している従動歯車を含むクランクシャフトを備える。第2の回転軸は、第1の回転軸に対して角度が付けられている。このシステムは、クランクシャフトに共回転可能に結合され、フラップと結合されたクランクアームを、さらに備える。第2の回転軸の周りのクランクシャフトの回転は、第2の回転軸に垂直な方向にクランクアームを回転させ、フラップを移動させる。この段落の前記の主題は、本開示の例16を特徴付ける。
【0020】
第1の回転軸は、翼の翼長方向に平行である。第2の回転軸に垂直な方向は、翼の流れ方向である。この段落の前述の主題は、本開示の実施例17を特徴付け、実施例17は、上記の実施例16による主題も含む。
【0021】
クランクシャフトは、第2の回転軸と同軸であり、クランクシャフトを完全に貫通する中央チャネルを備える。中央チャネルの直径は、第2の回転軸に沿って変化する。このシステムは、歯車付きロータリアクチュエータとクランクシャフトの中央チャネルとを通過するトルクシャフトを、さらに備える。このシステムは、トルクシャフトと共回転可能に結合され、駆動歯車と回転可能に結合されて、第1の回転軸の周りの駆動歯車の回転を駆動するトルクチューブを、さらに備える。トルクシャフトは、クランクシャフトに接触することなく、クランクシャフトの中央チャネルを通過している。トルクシャフトおよびトルクチューブは、第1の回転軸の周りで回転可能である。この段落の前述の主題は、本開示の実施例18を特徴づけ、実施例18は、上記の実施例16~17のいずれか1つによる主題も含む。
【0022】
航空機は、翼に結合され、翼から展開可能な第2のフラップを、さらに備える。航空機はまた、翼に結合された、システムと同じ特徴を有する第2のシステムを備える。第2のシステムのクランクアームは、第2のフラップに結合されている。このシステムは、トルクシャフトと共回転可能に結合され、第2のシステムの歯車付きロータリアクチュエータの駆動歯車と回転可能に結合されて、第1の回転軸の周りの、第2のシステムの歯車付きロータリアクチュエータの駆動歯車の回転を駆動する第2のトルクチューブを、さらに備える。この段落の前述の主題は、本開示の実施例19を特徴付け、実施例19は、上記の実施例18による主題も含む。
【0023】
航空機の翼に結合されたフラップを、翼に対して流れ方向に作動させる方法が、本明細書でさらに開示される。この方法は、歯車付きロータリアクチュエータの駆動歯車を、翼の翼長方向に平行な第1の回転軸の周りで回転させることを含む。この方法はまた、トルクをクランクシャフトの従動歯車に伝達して、クランクシャフトの従動歯車を、第1の回転軸に対して角度が付けられており、流れ方向に垂直である第2の回転軸の周りで回転させることを含む。この方法は、第2の回転軸の周りの従動歯車の回転に応答して、クランクアームを流れ方向に回転させることを、さらに含む。この方法は、クランクアームが流れ方向に移動することに応答して、フラップを流れ方向に並進的に移動させることを、さらに含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例20を特徴付ける。
【0024】
本開示の主題の説明された特徴、構造、利点、および/または特性は、実施形態および/または実施態様を含む1つ以上の実施例において任意の適切な方法で組み合わせることができる。以下の説明では、本開示の主題の実施例の完全な理解を与えるために、多くの具体的な詳細が提供される。関連技術の当業者は、本開示の主題が、ある特定の実施例、実施形態、または実施態様の具体的な特徴、詳細、構成要素、材料、および/または方法のうちの1つ以上なしで実施され得ることを認識するであろう。他の例では、全ての実施例、実施形態、または実施態様には存在しない可能性がある追加の特徴および利点が、いくつかの実施例、実施形態、および/または実施態様において認識され得る。さらに、いくつかの例では、本開示の主題の側面を曖昧にすることを回避するために、周知の構造、材料、または操作が、詳細には示されていないか、または説明されていない。本開示の主題の特徴および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から、より完全に明らかになるか、または以下に記載される主題の実施によって習得され得る。
【0025】
主題の利点をより容易に理解できるようにするために、上で簡単に説明した主題のより具体的な説明を、添付の図面に示されている特定の例を参照することによって提供する。これらの図面は主題の典型的な例のみを示していることが理解され、したがって、それらは、その範囲を限定すると見なされるべきではない。主題は、図面を使用することにより、追加の具体性および詳細とともに記載および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の1つ以上の例による、航空機の斜視図である。
図2】本開示の1つ以上の例による、フラップが格納位置にある、航空機の翼の斜視図である。
図3】本開示の1つ以上の例による、フラップが展開位置にある、図2の翼の斜視図である。
図4】本開示の1つ以上の例による、航空機の翼、フラップ、およびフラップ作動システムの断面側面図である。
図5】本開示の1つ以上の例による、フラップ作動システムの1つの側からのフラップ作動システムの斜視図である。
図6】本開示の1つ以上の例による、フラップ作動システムの別の側からの図5のフラップ作動システムの斜視図である。
図7】本開示の1つ以上の例による、共通のトルクシャフトによって一緒に結合された2つのフラップ作動システムの上面図である。
図8】本開示の1つ以上の例による、フラップ作動システムの上面図である。
図9】本開示の1つ以上の例による、フラップ作動システムの断面上面図である。
図10】本開示の1つ以上の例による、フラップ作動システムの側面図である。
図11】本開示の1つ以上の例による、フラップ作動システムの歯車付きロータリアクチュエータおよびクランクシャフトの斜視図である。
図12】本開示の1つ以上の例による、フラップ作動システムの歯車付きロータリアクチュエータおよびクランクシャフトの斜視図である。
図13】本開示の1つ以上の例による、フラップ作動システムのクランクシャフトの斜視図である。
図14】本開示の1つ以上の例による、フラップ作動システムのクランクアームのシャフト係合部分の斜視図である。
図15】本開示の1つ以上の例による、航空機の翼に結合されたフラップを作動させる方法である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書全体を通して「一例」、「例」、または同様の言葉への言及は、その例に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が本開示の少なくとも1つの例に含まれることを意味する。本明細書全体にわたって「一例において」、「例において」という句、および同様の言葉の出現は、必ずしもそうではないが、全てが同じ例を参照し得る。同様に、「実施態様」という用語の使用は、本開示の1つ以上の例に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性を有する実施態様を意味するが、そうでないことを示す明確な相関関係がない場合、実施態様は、1つ以上の例と関連付けられてもよい。
【0028】
航空機の翼に結合されたフラップを作動させるためのシステムが、本明細書に開示される。このシステムは、翼の翼長方向に延在するトルクチューブと一直線に並んでいる歯車付きロータリアクチュエータによって、フラップを流れ方向に作動させることを可能にする。歯車付きロータリアクチュエータは、大きなファウラー運動範囲を提供しながら、流れ方向へのフラップの作動を容易にする。さらに、歯車付きロータリアクチュエータは、そのコンパクトさにより、今日の最新の航空機の比較的薄い翼に収まる。さらに、歯車付きロータリアクチュエータをトルクチューブと一直線になるように配置すると、システムが簡素化され、重量が軽減され、トルクチューブから歯車付きロータリアクチュエータ、そしてフラップに効率的に動力が伝達される。
【0029】
図1を参照すると、航空機100の一実施形態が示されている。航空機100は、乗客の輸送に使用される民間航空機、軍事作戦用の軍用機、個人用航空機などの様々なタイプの航空機のいずれかとすることができる。図示のように、航空機100は、旅客機を表す。図示の航空機100は、本体112(例えば、胴体)、本体112に結合されて本体112から延在する一対の翼114、本体112に結合された垂直安定板116、ならびに本体112および/または垂直安定板116に結合された一対の水平安定板118を含む。
【0030】
図4を参照すると、各翼114は、外側上面115および外側下面117を含む。外側上面115は、外側下面117の反対側にある。さらに、外側上面115および外側下面117は、翼114の前縁132に収束する。外側上面115および外側下面117は、前縁132から離れて翼弦方向に延在し、後端位置で終端する。各翼114は、外側上面115と外側下面117との間に画定された内部空洞121を含む。図4に示されるように、各翼114は、内部空洞121内に後桁164(例えば、最も後方の桁)を含む。後桁164は、外側上面115を画定する翼114の上部スキンと、外側下面117を画定する翼114の下部スキンとの間に延在する。さらに、後桁164は、翼114の長さまたは翼長に沿って翼長方向に延在する。言い換えれば、本明細書で定義される場合、翼長方向172は、後桁164に平行な方向であり、これは、翼114の湾曲を考慮すると、いくつかの例では、流れ方向170または航空機100の本体112の中心線に垂直ではない。図示されていないが、翼114は、翼114の形状を固定および維持する、ストリンガ、追加の桁、およびリブなどの他の内部構造を、内部空洞121内に含み得る。
【0031】
航空機100はさらに、複数の調整可能な要素を含み、これらは、表面上、表面の周り、および表面の後ろの空気流の特性を変化させるために調整可能である調整可能な空力面であり得る。例えば、各翼114は、それに、エルロン124、フラップ126、スポイラー128、およびスラット130を結合している。さらに、垂直安定板116は、方向舵122を含み、各水平安定板118は、昇降舵120を含む。航空機100の飛行の応答性制御のために、図1に示されるような航空機の調整可能な空力面の相対位置は、正確な調整が可能でなければならない。
【0032】
フラップ126は、翼114に結合され、航空機100の所望の飛行特性を促進するために、翼114に対して選択的に作動可能である。詳細には、各フラップ126は、展開位置になるように、対応する翼114から離れて流れ方向170(例えば、図4および図7を参照)に展開可能であり、格納位置になるように、対応する翼114に向かって流れ方向170に格納可能である。図2および図4に示されるような格納位置(例えば、フラップアップ位置)では、翼114およびフラップ126の組み合わされたキャンバーは最小であり、これは揚力および抗力を低減する。したがって、航空機100が、ある高度で巡航している間、フラップ126は通常、格納位置にある。図3に示されるような展開位置(例えば、フラップダウン位置)では、翼114およびフラップ126の組み合わされたキャンバーは、最小よりも大きいあるキャンバー(例えば、最大)にあり、これは、揚力および抗力を増加させる。したがって、航空機100が、進入、離陸、および着陸中など、より低速で飛行している間、フラップ126は、通常、展開位置にある。揚力をさらに増加させ、抗力を減少させるために、図3に示すように、スポイラー128を持ち上げることができる。
【0033】
図3を参照すると、各フラップ126は、内側端127および外側端129を含む。外側端129は、内側端127の反対側にある。いくつかの実施態様では、フラップ126は、空気力学的プロファイルを備えた長くて薄い構造である。例えば、フラップ126は、長さ方向に細長くされて、内側端127から外側端129まで延在することができる。フラップ126の断面形状または空気力学的プロファイルは、翼114の断面形状または空気力学的プロファイルに基づく。一般に、フラップ126は、翼114の翼弦方向の延長部として機能する。より具体的には、翼114は、フラップスロットを含み、その中に、フラップ126が、格納位置で格納される。図4に示されるように、フラップ126のプロファイルは、格納位置においてフラップ126の外面が翼114の外面と実質的に同一平面になるように構成される。詳細には、格納されたとき、フラップ126は、翼114の外側下面117の後端に隣接して、外側下面117とフラップ126との間にほぼシームレスな遷移を形成する。同様に、フラップ126が格納され、スポイラー128が下げられると、フラップ126は、スポイラー128に隣接し、スポイラー128は、外側上面115の後端にヒンジ結合されており、外側上面115、スポイラー128、およびフラップ126との間でほぼシームレスな遷移を形成する。したがって、図2に示されるように、フラップ126が格納位置にあり、スポイラー128が下げられると、翼114、スポイラー128、およびフラップ126の組み合わされた断面プロファイルは、従来の翼型を画定する。このようにして、図4に示されるように、フラップ126の後縁134は、事実上、翼114の前縁132の反対側の翼114の後縁として機能する。
【0034】
図4を参照すると、フラップ126は、主軸176を含み、その周りで、フラップ126が回転可能である。主軸176は、以下に説明するように、フラップ126がフラップ作動システム140によって作動されたときにフラップ126がその周りを回転するところの主回転軸を規定する。いくつかの実施態様では、主軸176は、翼115の前縁132に対して並進的に固定された、連続的なロッドもしくはピン、または同軸に整列されたロッドもしくはピンのセグメントによって規定される。フラップ126の前縁133は、フラップ126の後縁134の反対側にある。主軸176は、リンケージおよびフラップ126に固定された取り付けブラケット163によってフラップ126に間接的に結合されている。主軸176は、フラップ作動システム140の支持リブ内の整列した開口を通って延在し、フラップ126がフラップ作動システム140の作動アーム166によって作動されるときに、翼115に対するフラップ126の回転を容易にする。言い換えれば、作動システム140は、主軸176においてフラップ126と翼114とを回転可能に結合するのに役立つ。作動システム140は、翼114の公称翼型の下で、翼114に結合されたフェアリング119によって画定される空間内に延在することができる。
【0035】
再び図3を参照すると、航空機100は、少なくとも1つの補助支持システム151を、さらに含み得る。しかしながら、本開示のフラップ作動システム140は、補助支持システム151の有無にかかわらず機能することができることが認められている。一般に、フラップ作動システム140は、翼114に対するフラップ126の作動を開始および駆動し、補助支持システム151は、それが存在する場合、フラップ126が作動されるときに、フラップ126の補助位置でフラップ126を機械的に支持する。言い換えれば、補助支持システム151は、補助支持システム151が結合されているフラップ126の補助位置での、飛行中の展開された時、ならびに展開している時および格納している時のフラップ126のたわみおよび反りを制限するように構成される。フラップ126の補助位置は、フラップ作動システム140からフラップ126の長さに沿って離間されたフラップ126上の位置である。例えば、フラップ作動システム140は、翼114に沿って翼長方向172に補助支持システム151から離間されている。
【0036】
フラップ作動システム140は、フラップ126を翼114から展開経路に沿って展開し、フラップ126を同じ展開経路に沿って翼114に向かって格納するように選択的に動作可能である。展開経路は、フラップ作動システム140がフラップ126を作動させるときのフラップ126の並進運動を表す。したがって、フラップ作動システム140は、フラップ作動システム140がフラップ126を作動させるときに、展開経路に沿ってフラップ126の前縁133を移動させるように構成された、作動アーム166を含むリンケージを含む。フラップ作動システム140は、第1の方法(例えば、一方向へのクランクシャフト144の回転)で作動されて、フラップ126を、格納位置(例えば、図2を参照)から展開経路に沿って翼114から離れて展開方向に展開位置(例えば、図3を参照)まで展開する。同様に、アクチュエータ141は、第2の方法(例えば、反対方向へのクランクシャフト144の回転)で作動されて、フラップ126を、展開位置から展開経路に沿って翼114に向かって、展開方向と反対の格納方向に格納位置まで格納する。一実施態様では、展開経路は、直線部分(例えば、ファウラー運動)および湾曲部分(例えば、キャンバー運動)を含む。
【0037】
いくつかの実施態様では、フラップ作動システム140のリンケージは、フラップ126が展開経路に沿って並進的に移動するときに、フラップ126を主軸176の周りで回転させるように、さらに構成される。このようにして、フラップ126は、フラップ作動システム140によって展開および格納されるときに、並進運動および回転運動を経験し得る。
【0038】
図6および図7を参照すると、一例によれば、フラップ作動システム140は、歯車付きロータリアクチュエータ142およびクランクシャフト144を含む。歯車付きロータリアクチュエータ142は、第1の回転軸168の周りに回転可能な駆動歯車160を含む(例えば、図8を参照)。歯車付きロータリアクチュエータ142はまた、1つ以上の遊星歯車セットを収容し、少なくとも部分的に駆動歯車160を収容するハウジング143を含む。駆動歯車160は、駆動歯車160を駆動する遊星歯車セットと結合されている。したがって、駆動歯車160は、歯車付きロータリアクチュエータ142の出力として機能する。歯車付きロータリアクチュエータ142の入力は、トルクチューブ150によって提供される。換言すれば、トルクチューブ150は、歯車付きロータリアクチュエータ142の遊星歯車セットと結合されて、トルクをトルクチューブ150から遊星歯車セットに伝達する。遊星歯車セットは、トルクチューブ150の回転速度およびトルクに対して、駆動歯車160の回転速度を低下させ、トルクを増加させるように構成される。
【0039】
フラップ作動システム140は、トルクシャフト152をさらに含む。トルクチューブ150は、トルクシャフト152とのスプライン係合などを介して、トルクシャフト152と共回転可能に結合される。トルクチューブ150は、トルクシャフト152の端部を取り囲み、トルクシャフト152の端部と同心である。換言すれば、トルクチューブ150は中空であり、トルクシャフト152の端部が、トルクチューブ150の中空の中央チャネルの端部に入る。一例では、トルクシャフト152は、トルクシャフト152とトルクチューブ150との間の共回転を容易にするために、トルクチューブ150の相補的な内側スプラインとスプライン係合している外側スプラインを含む。いくつかの例によれば、トルクシャフト152は、第1の材料で作られ、トルクチューブ150は、第1の材料とは異なる第2の材料で作られている。一例では、第1の材料(例えば、鋼)は、第2の材料(例えば、アルミニウム)よりも強い。
【0040】
フラップ作動システム140を駆動するためのトルクは、航空機100のトルク供給源によってトルクチューブ150に直接供給される。トルクシャフト152は、歯車付きロータリアクチュエータ142およびクランクシャフト144を通過し、以下に説明するように、トルクチューブ150の別のセクションと再接続する。このようにして、トルクシャフト152は、トルクチューブ150の1つのセクションから、歯車付きロータリアクチュエータ142およびクランクシャフト144を通って、トルクチューブ150の別のセクションへのトルクの伝達を容易にする。トルク供給源は、いくつかの例では翼114の機体寄りに、または他の例では翼内に配置され、モーター、パワーテイクオフ装置などの、トルクを生成するように構成された様々な装置またはシステムのいずれかであり得る。トルク供給源は、トルクチューブ150を第1の回転軸168の周りに回転させる。したがって、トルクシャフト152、トルクチューブ150、および歯車付きロータリアクチュエータ142の駆動歯車160は、同心であるか、または同じ軸の周りに回転する。このようにして、歯車付きロータリアクチュエータ142は、トルクシャフト152およびトルクチューブ150と一直線に並んでいる。そのような一直線の配置は、トルクチューブ150が歯車付きロータリアクチュエータ142と一直線に並んでいなかったならば、トルクチューブ150から歯車付きロータリアクチュエータ142にトルクを向け直すために必要とされたであろうシャフトおよび角度の付いた歯車箱を介在させることなく、トルクチューブ150を歯車付きロータリアクチュエータ142に直接結合することを可能にする。
【0041】
フラップ作動システム140のクランクシャフト144は、歯車付きロータリアクチュエータ142の駆動歯車160によって回転される。より具体的には、駆動歯車160は、第2の回転軸174の周りにクランクシャフト144を回転させる(例えば、図8を参照)。第2の回転軸174は、第1の回転軸168に対して角度が付けられている。言い換えれば、角度θが、第1の回転軸168と第2の回転軸174との間に定義される。いくつかの例では、角度θは、90度未満である。いくつかの例によれば、角度θは、翼114の湾曲、または翼114の翼長方向172と航空機100の本体112との間に定義された角度に依存する。翼114の湾曲が大きいほど、または翼長方向172と本体112との間の角度が大きいほど、角度θは大きくなる。さらに、第2の回転軸174は、流れ方向170に垂直であり、これは、流れ方向170へのフラップ126の並進運動を容易にする。第1の回転軸168は、流れ方向170に対して90度より大きい、または90度より小さい角度が付けられている。したがって、第2の回転軸174が流れ方向170に垂直になることを確実にするために、第2の回転軸174は、第1の回転軸168に対して角度θに角度が付けられている。
【0042】
クランクシャフト144は、歯車付きロータリアクチュエータ142の駆動歯車160と歯車噛み合い係合している従動歯車162を含む。駆動歯車160は、従動歯車162との歯車噛み合い係合を介してクランクシャフト144を回転させる。従動歯車162は、第2の回転軸174の周りに回転する。従動歯車162は、駆動歯車160が周りを回転する軸に対して角度が付けられた軸の周りに回転するので、従動歯車162および駆動歯車160は、1つの軸の周りの回転を角度が付いた別の軸に伝達するのを容易にするように構成される。したがって、いくつかの例では、駆動歯車160または従動歯車162のうちの少なくとも1つが、傾斜した歯を含む。一例では、駆動歯車160は、かさ歯車であり、従動歯車162は、スプール歯車である。
【0043】
図11および図12を参照すると、従動歯車162が、クランクシャフト144の2つの端部159のうちの少なくとも1つに形成されている。より具体的には、従動歯車162は、2つの端部159のうちの少なくとも1つの内側面に形成された歯の環状アレイを含む。クランクシャフト144は、2つの端部159の間に配置された中央部184を、さらに含む。クランクシャフト144は、2つの端部159の間に配置された2つのフレア部158を、さらに含む。さらに、中央部184は、2つのフレア部158の間に配置されている。いくつかの例では、中央部184は、第2の回転軸174に沿って一定の外寸を有し、フレア部158の各々は、中央部184から離れて増加する外寸を有する。フレア部158の外寸は、いくつかの例では直径である。端部159は、第2の回転軸174に沿って一定の外寸を有する。フレア部158の外寸は、中央部184の外寸よりも大きい。さらに、端部159の外寸は、フレア部158の外寸よりも大きい。したがって、クランクシャフト144は、スプール形状を有する(例えば、狭い中央部が、より広い端部に向かってテーパ状になっている)。クランクシャフト144のスプール形状は、同じくスプール形状であるクランクシャフト144の中央チャネル154を容易にするのに役立つ。
【0044】
クランクシャフト144の中央チャネル154は、一方の端部159から反対側の端部159までクランクシャフト144を完全に貫通している。したがって、クランクシャフト144は、中空である。さらに、中央チャネル154は、第2の回転軸174と同軸である。中央チャネル154の直径(例えば、内寸)は、第2の回転軸174に沿って変化する。より具体的には、いくつかの例では、一方の端部159から他方の端部159まで、中央チャネル154の直径は、第2の回転軸174に沿って減少し、増加する。一例では、中央チャネル154の直径は、中央部184内で一定であり(例えば、第1の直径(d1))、端部159内で一定であり(例えば、第2の直径(d2))、フレア部158内で中央部184から対応する端部159まで増加する。したがって、フレア部158内の中央チャネル154の第2の直径(d2)は、中央部184内の中央チャネル154の第1の直径(d1)よりも大きい。図9を参照すると、中央チャネル154の変化する直径(例えば、中央部184から離れて増加する直径)は、トルクシャフト152が、クランクシャフト144に接触またはクランクシャフト144の回転を妨げることなく、第2の回転軸174に対してある角度で、中央チャネル154を通過することを可能にする。第1の直径(d1)と第2の直径(d2)との比は、角度θおよび第1の支持リブ146Aと第2の支持リブ146Bとの間の距離Dに依存する(例えば、図9を参照)。例えば、角度θが大きいほど、および/または距離Dが大きいほど、第2の直径(d2)に対する第1の直径(d1)の比は小さくなる。
【0045】
クランクシャフト144のこれらの部分は、2つの端部159のうちの一方に形成された従動歯車162の回転が、他方の端部159、フレア部158、および中央部184の回転をもたらすように、共回転可能である。一例によれば、中央部184、フレア部158、および端部159は、一体型のモノリシックでシームレスな構造を形成する。
【0046】
図11および図12を参照すると、歯車付きロータリアクチュエータ142のハウジング143は、クランクシャフト144の少なくとも一部がハウジング143内に配置されることを可能にするようなサイズである。図示の例では、従動歯車162を含む端部159の一部が、ハウジング143内に配置されている。この構成は、フラップ作動システム140のコンパクト化を容易にし、これは、翼114の内部空洞121内の空間が制限されている場合に望ましい。
【0047】
図9に示されるように、トルクシャフト152は、歯車付きロータリアクチュエータ142およびクランクシャフト144の中央チャネル154を完全に通過する。したがって、クランクシャフト144は、歯車付きロータリアクチュエータ142によって容易になる歯車減速のおかげで、トルクシャフト152に対して、独立して回転することができる。これにより、トルクシャフト152は、他のフラップを作動させるための他のフラップ作動システム140につながるトルクチューブ150に、トルクを分配することができる。例えば、図7に右から左に示されるように、トルクチューブ150の第1のセクションは、第1の歯車付きロータリアクチュエータ142に直接結合されて、第1の歯車付きロータリアクチュエータ142を駆動する。第1のトルクシャフト152は、第1の歯車付きロータリアクチュエータ142、および第1のクランクシャフト144の中央チャネル154を完全に貫通して、クランクシャフト144の反対側にあるトルクチューブ150の第2のセクションに共回転可能に結合される。トルクチューブ150の第2のセクションは、第1の歯車付きロータリアクチュエータ142から離れて延在し、第2の歯車付きロータリアクチュエータ142に直接結合されて、第2の歯車付きロータリアクチュエータ142を駆動する。トルクチューブ150の第2のセクションと共回転可能に結合された別のトルクシャフト152が、第2の歯車付きロータリアクチュエータ142、および第2のクランクシャフト144の中央チャネル154を完全に貫通して、第2のクランクシャフト144の反対側にあるトルクチューブ150の第3のセクションに共回転可能に結合される。トルクチューブ150の第3のセクションは、第3の歯車付きロータリアクチュエータ(図示せず)まで延在して、第3の歯車付きロータリアクチュエータを駆動することができ、または別の従動システムまで延在することができる。
【0048】
フラップ作動システム140の歯車付きロータリアクチュエータ140およびクランクシャフト144を通過する前に、トルクシャフト152は、歯車付きロータリアクチュエータ140の一方の側にあるトルクチューブ150のセクションからトルクを受け取り、歯車付きロータリアクチュエータ140の反対側にあるトルクチューブ150の別のセクションにトルクを伝達する。図7では、両方のフラップ作動システム140が、トルクシャフト152が流れ方向170に対してある角度でフラップ作動システム140を通過することを可能にしながら、2つのフラップ126のうちの対応する1つを流れ方向170に作動させるように構成されている。
【0049】
図8および図13を参照すると、フラップ作動システム140は、回転したときにフラップ126を並進的に移動させる(例えば、展開する、または格納する)ために、フラップ126と結合されたクランクアーム156を、さらに含む。クランクアーム156は、クランクシャフト144の中央部184に共回転可能に結合されている。トルクシャフト152にクランクシャフト144を通過させた後にクランクアーム156を中央部184に結合させることを容易にするために、いくつかの例では、クランクアーム156は、中央部184の周りに一緒に取り付けられた第1の部分180および第2の部分182を含む。第1の部分180および第2の部分182は、事実上、中央部184をきつく締めて、クランクアーム156をクランクシャフト144と共回転結合に保持する。いくつかの例では、第1の部分180および第2の部分182は、締結具192によって一緒に取り付けられている。
【0050】
クランクシャフト144に対するクランクアーム156の共回転を促進するために、中央部184は、第2の回転軸174に垂直な平面に沿った非円形の断面形状を有する。一例では、非円形の断面形状は、八角形である。しかしながら、他の例では、非円形の断面形状は、六角形、卵形、三角形、または他の任意の非円形の断面形状であり得る。クランクアーム156の第1の部分180および第2の部分182は一緒になって、中央部184の断面形状と相補的な(例えば、一致する)形状を有するクランク開口190を画定する。このようにして、第1の部分180および第2の部分182が、中央部184の周りに取り付けられると、クランク開口190および中央部184の相補的な非円形形状は、クランクアーム156とクランクシャフト144との相対回転に抵抗する。クランクアーム156の第2の部分182は、支持アーム166と枢動可能に係合するように構成されたアーム開口191を、さらに含む。アーム開口191は、クランク開口190からある距離だけ離れて配置されている。この距離は、クランクシャフト144が回転するときの、支持アーム166、したがってフラップ126の所望の運動行程または可動域に対応する。
【0051】
フラップ作動システム140は、第1の支持リブ146Aおよび第2の支持リブ146Bを、さらに含む。第1の支持リブ146Aは、第2の回転軸174に沿って第2の支持リブ146Bから離間されている。さらに、第1の支持リブ146Aと第2の支持リブ146Bは、互いに平行であり、第2の回転軸174に垂直である。第1の支持リブ146Aおよび第2の支持リブ146Bは、歯車付きロータリアクチュエータ142およびクランクシャフト144の翼114の内部への取り付けを容易にする。
【0052】
図8を参照すると、第2の支持リブ146Bは、第2の回転軸174に対して角度が付けられた取り付け面147を含む。取り付け面147は、第2の支持リブ146Bへの歯車付きロータリアクチュエータ142の角度の付いた取り付けを容易にするのに役立つ。より具体的には、歯車付きロータリアクチュエータ142は、第2の支持リブ146Bの取り付け面147に直接結合される(例えば、取り付け面147に対して同一平面に)。歯車付きロータリアクチュエータ142を第2の支持リブ146Bに角度を付けて取り付けるためのさらなる支持を提供するために、第2の支持リブ146Bはまた、第2の支持リブ146Bから突出している取り付けパッド181を含んでもよい。取り付けパッド181は、取り付けパッド181の取り付け面もまた第2の回転軸174に対して角度が付けられているように、取り付け面147と同一平面上にある取り付け面を規定する。
【0053】
クランクシャフト144は、第1の支持リブ146Aと第2の支持リブ146Bとの間に配置されており、第1の支持リブ146Aと第2の支持リブ146Bに回転可能に結合されている。より具体的には、第1の支持リブ146Aおよび第2の支持リブ146Bのそれぞれが、クランクシャフト144の端部159のうちの対応する端部159を受け取り、回転可能に支持するように構成された開口149を含む。いくつかの例では、第1のベアリング178Aが、第1の支持リブ146Aの開口149に取り付けられ、第2のベアリング178Bが、第2の支持リブ146Bの開口149に取り付けられる。第1のベアリング178Aおよび第2のベアリング178Bは、クランクシャフト144のそれぞれの端部159との間に挿入され、それぞれ、第1の支持リブ146Aおよび第2の支持リブ146Bに対するクランクシャフト144の低摩擦回転を容易にする。第1のベアリング178Aおよび第2のベアリング178Bは、ボールベアリングまたは他の同様のタイプのベアリングであり得る。
【0054】
第1の支持リブ146Aおよび第2の支持リブ146Bは、翼114に移動不可能に固定されている。いくつかの例では、フラップ作動システム140は、第1の支持リブ146Aおよび第2の支持リブ146Bを翼114の後桁164に移動不可能に固定するのを助ける後桁ブラケット148を、さらに含む。
【0055】
いくつかの例によれば、フラップ作動システム140を使用してフラップ126を作動させる方法200は、第1の回転軸168の周りで歯車付きロータリアクチュエータ142の駆動歯車160を回転させることを含む(ブロック210)。一例では、選択的に制御可能なトルク発生器を用いて、トルクシャフト152、したがってトルクチューブ150を回転させることによって、駆動歯車160を回転させる。方法200は、トルクをクランクシャフト144の従動歯車162に伝達して、クランクシャフト144の従動歯車162を第2の回転軸174の周りで回転させることを、さらに含む(ブロック220)。トルクは、従動歯車162と駆動歯車160との間の歯車噛み合い係合などを介して、駆動歯車160から従動歯車162に伝達される。方法200は、第2の回転軸174の周りの従動歯車162の回転に応答して、クランクアーム156を流れ方向170に回転させることを、さらに含む(ブロック230)。従動歯車162は、クランクシャフト144に共回転可能に結合されており(例えば、クランクシャフト144と共形成されており)、クランクアーム156は、クランクシャフト144に共回転可能に結合されているので、従動歯車162が回転すると、クランクアーム156が回転する。方法200はまた、流れ方向170に移動するクランクアーム156に応答して、フラップ126を流れ方向170に並進的に移動させることを含む(ブロック240)。クランクアーム156は、作動アーム166および他の様々なリンケージ、ブラケット、またはビームのいずれかを介してフラップ126に移動可能に結合されている。
【0056】
上記の説明では、「上へ」、「下へ」、「上の」、「下の」、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上方」、「下方」などの特定の用語が使用される場合がある。これらの用語は、該当する場合、相対的な関係を扱うときに説明を明確にするために使用される。ただし、これらの用語は、絶対的な関係、位置、および/または方向を意味することを意図したものではない。例えば、ある物体に関して、物体を裏返すだけで「上の」表面を「下の」表面にすることができる。それにもかかわらず、それは、なおも同じ物体である。さらに、「含む」、「備える」、「有する」という用語、およびそれらの変形は、特に明記しない限り、「含むが、これらに限定されない」ことを意味する。アイテムの列挙されたリストは、特に明記されていない限り、アイテムのいずれかまたは全てが相互に排他的および/または相互に包含的であることを意味するものではない。「a」、「an」、および「the」という用語は、特に明記されていない限り、「1つ以上」も指す。さらに、「複数」という用語は、「少なくとも2つ」として定義することができる。
【0057】
さらに、ある要素が別の要素に「結合」されている、この明細書内の例は、直接結合と間接結合を含むことができる。直接結合は、ある要素が別の要素に結合され、別の要素と何らかの接触をしていると定義できる。間接結合は、互いに直接接触していないが、結合された要素間に1つ以上の追加要素がある、2つの要素間の結合として定義できる。さらに、本明細書で使用される場合、ある要素を別の要素に固定することは、直接固定および間接固定を含むことができる。さらに、本明細書で使用される場合、「隣接する」は、必ずしも接触を意味するわけではない。例えば、ある要素は、別の要素と接触せずに、その要素に隣接することができる。
【0058】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」という句は、アイテムのリストとともに使用される場合、リストのアイテムのうちの1つ以上のアイテムの様々な組み合わせを使用することができ、リスト内のアイテムのうちの1つのみが必要とされ得ることを意味する。アイテムは、ある特定の物体、事物、またはカテゴリであってもよい。言い換えると、「少なくとも1つ」とは、リストから任意の組み合わせのアイテムまたは任意の数のアイテムを使用できるが、リスト内の全てのアイテムが必要なわけではないことを意味する。例えば、「アイテムA、アイテムB、およびアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、アイテムA;アイテムAとアイテムB;アイテムB;アイテムA、アイテムB、およびアイテムC;またはアイテムBとアイテムCを意味することができる。場合によっては、「アイテムA、アイテムB、およびアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定されないが、アイテムAの2つ、アイテムBの1つ、およびアイテムCの10個;アイテムBの4つとアイテムCの7つ;または他の適切な組み合わせを意味することができる。
【0059】
特に明記しない限り、「第1」、「第2」などの用語は、本明細書では単にラベルとして使用され、これらの用語が参照するアイテムに順序的、位置的、または階層的な要件を課すことを意図するものではない。さらに、例えば、「第2の」アイテムへの言及は、例えば、「第1の」もしくはより低い番号のアイテム、および/または、例えば、「第3の」もしくはより高い番号のアイテムの存在を必要とせず、また排除もしない。
【0060】
本明細書で使用される場合、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、またはハードウェアは、単に、さらなる変更後に特定の機能を実行する可能性を有するのではなく、実際に、いかなる変更もなしで特定の機能を実行することができる。言い換えれば、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、またはハードウェアは、特定の機能を実行する目的で具体的に選択、作成、実装、利用、プログラム、および/または設計されている。本明細書で使用される場合、「構成された」は、システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、またはハードウェアが、さらなる変更なしで特定の機能を実行することを可能にする、システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、またはハードウェアの既存の特性を示す。本開示の目的のために、特定の機能を実行するように「構成された」と記載されるシステム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、またはハードウェアは、追加的または代替的に、その機能を実行するように「適合された」および/または「動作する」と記載されてもよい。
【0061】
本明細書に含まれる概略フローチャート図は、一般に、論理フローチャート図として示されている。したがって、描かれた順序およびラベル付けされたステップは、提示された方法の一例を示している。図示された方法の1つ以上のステップまたはその一部と機能、論理、または効果が同等である他のステップおよび方法を考えることができる。さらに、使用されているフォーマットおよび記号は、方法の論理ステップを説明するために提供されており、方法の範囲を制限しないことが理解されている。フローチャート図では、様々な矢印の種類や線の種類を使用できるが、対応する方法の範囲を制限するものではないと理解されている。実際、いくつかの矢印または他の結合子は、方法の論理フローのみを示すために使用される場合がある。例えば、矢印は、描かれた方法の列挙されたステップ間の不特定の持続期間の待機または監視期間を示し得る。さらに、ある特定の方法が行なわれる順序は、示されている対応するステップの順序に厳密に従う場合もあるし、従わない場合もある。
【0062】
さらに、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
【0063】
条項1.
航空機(100)の翼(114)に結合されたフラップ(126)を流れ方向(170)に作動させるためのシステム(140)であって、
第1の回転軸(168)の周りで回転可能な駆動歯車(160)を備える歯車付きロータリアクチュエータ(142)と、
第1の回転軸(168)に対して角度が付けられている第2の回転軸(174)の周りでクランクシャフト(144)を回転させるように、歯車付きロータリアクチュエータ(142)の駆動歯車(160)と歯車噛み合い係合している従動歯車(162)を備えるクランクシャフト(144)と、
クランクシャフト(144)に共回転可能に結合され、フラップ(126)に結合されるように構成されたクランクアーム(156)であって、第2の回転軸(174)の周りのクランクシャフト(144)の回転が、第2の回転軸(174)に垂直な方向にクランクアーム(166)を回転させる、クランクアーム(156)と、を備えるシステム(140)。
【0064】
条項2.
第2の回転軸(174)が、流れ方向(170)に対して垂直であるとき、第1の回転軸(168)が、翼(114)の翼長方向(172)に平行である、条項1に記載のシステム(140)。
【0065】
条項3.
駆動歯車(160)は、かさ歯車を含み、
従動歯車(162)は、スプール歯車を含む、条項1または2に記載のシステム(140)。
【0066】
条項4.
クランクシャフト(144)は、第2の回転軸(174)と同軸であり、クランクシャフト(144)を完全に貫通している中央チャネル(154)を備え、
中央チャネル(154)の直径は、第2の回転軸(174)に沿って変化する、条項1から3のいずれか一項に記載のシステム(140)。
【0067】
条項5.
中央チャネル(154)の直径が、第2の回転軸(174)に沿って減少し、増加する、条項4に記載のシステム(140)。
【0068】
条項6.
クランクシャフト(144)が、
第2の回転軸(174)に沿って一定の外寸を有する中央部(184)と、
第2の回転軸(174)に沿って中央部(184)から離れて増加する外寸を有する第1のフレア部(158)と、
中央部(184)によって第1のフレア部から離間され、第2の回転軸(174)に沿って中央部(184)から離れて増加する外寸を有する第2のフレア部(158)と、を備える、条項1から5のいずれか一項に記載のシステム(140)。
【0069】
条項7.
中央チャネル(154)の直径が、
中央部(184)内で一定であり、
中央部(184)から離れて第1のフレア部(158)内で増加し、
中央部(184)から離れて第2のフレア部(158)内で増加する、条項6に記載のシステム(140)。
【0070】
条項8.
中央部(184)が、第2の回転軸(174)に垂直な平面に沿った非円形の断面形状を有する、条項6または7に記載のシステム(140)。
【0071】
条項9.
クランクアーム(156)は、クランクシャフト(144)の中央部(184)の周りに一緒に取り付けられた第1の部分(180)および第2の部分(182)を備え、
第1の部分(180)および第2の部分(182)は、中央部(184)の非円形の断面形状と相補的になるような形状のクランク開口(190)を画定する、条項8に記載のシステム(140)。
【0072】
条項10.
歯車付きロータリアクチュエータ(142)およびクランクシャフト(144)の中央チャネル(154)を通過しているトルクシャフト(152)を、さらに備え、
トルクシャフト(152)は、駆動歯車(160)と回転可能に結合されて、第1の回転軸(168)の周りの駆動歯車(160)の回転を駆動し、
トルクシャフト(152)は、クランクシャフト(144)に接触することなく、クランクシャフト(144)の中央チャネル(154)を通過しており、
トルクシャフト(152)が、中央チャネル(154)を通過しているとき、トルクシャフト(152)は、第2の回転軸(174)に対して角度が付けられている、条項4から9のいずれか一項に記載のシステム(140)。
【0073】
条項11.
トルクシャフト(152)が、第1の回転軸(168)の周りで回転可能である、条項10に記載のシステム(140)。
【0074】
条項12.
トルクシャフト(152)を取り囲み、トルクシャフト(152)と同心であるトルクチューブ(150)を、さらに備え、
トルクチューブ(150)は、トルクシャフト(152)と共回転可能に結合されており、
トルクチューブ(150)は、トルクシャフト(152)から歯車付きロータリアクチュエータ(142)にトルクを伝達するように、歯車付きロータリアクチュエータ(142)と直接に歯車噛み合い係合している、条項10または11に記載のシステム(140)。
【0075】
条項13.
歯車付きロータリアクチュエータ(142)は、ハウジング(143)を備え、
駆動歯車(160)は、少なくとも部分的にハウジング(143)内に配置されており、
クランクシャフト(144)の少なくとも一部は、ハウジング(143)内に配置されている、条項1から12のいずれか一項に記載のシステム(140)。
【0076】
条項14.
第2の回転軸(174)に垂直であり、取り付け面(147)を備える第1の支持リブ(146A)と、
第1の支持リブ(146A)に平行であり、第1の支持リブ(146A)から離間された第2の支持リブ(146B)と、をさらに備え、
クランクシャフト(144)は、第1の支持リブ(146A)と第2の支持リブ(146B)との間に配置されており、
歯車付きロータリアクチュエータ(142)は、第1の支持リブ(146A)の取り付け面(147)に直接結合されている、条項1から13のいずれか一項に記載のシステム(140)。
【0077】
条項15.
クランクシャフト(144)が、中空であり、スプール形状を有する、条項1から14のいずれか一項に記載のシステム(140)。
【0078】
条項16.
本体(112)と、
本体(112)に結合され、本体(112)から翼長方向に延在する翼(114)と、
翼(114)に結合され、翼(114)から展開可能なフラップ(126)と、
翼(114)に結合されたシステム(140)であって、
第1の回転軸(168)の周りで回転可能な駆動歯車(160)を備える歯車付きロータリアクチュエータ(142)と、
第1の回転軸(168)に対して角度が付けられている第2の回転軸(174)の周りでクランクシャフト(144)を回転させるように、歯車付きロータリアクチュエータ(142)の駆動歯車(160)と歯車噛み合い係合している従動歯車(162)を備えるクランクシャフト(144)と、
クランクシャフト(144)に共回転可能に結合され、フラップ(126)と結合されたクランクアーム(156)であって、第2の回転軸(174)の周りのクランクシャフト(144)の回転が、第2の回転軸(174)に垂直な方向にクランクアーム(166)を回転させ、フラップ(126)を移動させる、クランクアーム(156)と、を備えるシステム(140)と、を備える航空機(100)。
【0079】
条項17.
第1の回転軸(168)は、翼(114)の翼長方向に平行であり、
第2の回転軸(174)に垂直な方向は、翼(114)の流れ方向である、条項16に記載の航空機(100)。
【0080】
条項18.
クランクシャフト(144)は、第2の回転軸(174)と同軸であり、クランクシャフト(144)を完全に貫通している中央チャネル(154)を備え、
中央チャネル(154)の直径は、第2の回転軸(174)に沿って変化し、
システム(140)は、歯車付きロータリアクチュエータ(142)およびクランクシャフト(144)の中央チャネル(154)を通過しているトルクシャフト(152)を、さらに備え、
システム(140)は、トルクシャフト(152)と共回転可能に結合され、駆動歯車(160)と回転可能に結合されて、第1の回転軸(168)の周りの駆動歯車(160)の回転を駆動するトルクチューブ(150)を、さらに備え、
トルクシャフト(152)は、クランクシャフト(144)に接触することなく、クランクシャフト(144)の中央チャネル(154)を通過しており、
トルクシャフト(152)およびトルクチューブ(150)は、第1の回転軸(168)の周りで回転可能である、条項16または17に記載の航空機(100)。
【0081】
条項19.
翼(114)に結合され、翼(114)から展開可能な第2のフラップ(126)と、
システム(140)と同じ特徴を有する、翼に結合された第2のシステム(140)と、をさらに備え、
第2のシステム(140)のクランクアーム(156)は、第2のフラップ(126)に結合されており、
システム(140)は、トルクシャフト(152)と共回転可能に結合され、第2のシステム(140)の歯車付きロータリアクチュエータ(142)の駆動歯車(160)と回転可能に結合されて、第1の回転軸(168)の周りの、第2のシステム(140)の歯車付きロータリアクチュエータ(142)の駆動歯車(160)の回転を駆動する第2のトルクチューブ(150)を、さらに備える、条項18に記載の航空機(100)。
【0082】
条項20.
航空機(100)の翼(114)に結合されたフラップ(126)を、翼(114)に対して流れ方向(170)に作動させる方法(200)であって、
翼(114)の翼長方向(172)に平行である第1の回転軸(168)の周りで歯車付きロータリアクチュエータ(142)の駆動歯車(160)を回転させることと、
クランクシャフト(144)の従動歯車(162)にトルクを伝達して、第1の回転軸(168)に対して角度が付けられており、流れ方向(170)に垂直である第2の回転軸(174)の周りでクランクシャフト(144)の従動歯車(162)を回転させることと、
第2の回転軸(174)の周りの従動歯車(162)の回転に応答して、クランクアーム(156)を流れ方向(170)に回転させることと、
クランクアーム(156)が流れ方向(170)に移動することに応答して、フラップ(126)を流れ方向(170)に並進的に移動させることと、を含む方法(200)。
【0083】
条項21.
本体(112)と、
本体(112)に結合され、本体(112)から翼長方向に延在する翼(114)と、
翼(114)に結合され、翼(114)から展開可能なフラップ(126)と、
条項1から15のいずれか一項に記載のシステム(140)と、を備える航空機(100)。
【0084】
本主題は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化することができる。説明された例は、全ての点で、例示としてのみ考慮されるべきであり、限定として考慮されるべきではない。特許請求の範囲の同等の意味および範囲内にある全ての変更は、それらの範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
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図10
図11
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