(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】窓パネル
(51)【国際特許分類】
E06B 9/24 20060101AFI20240822BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
E06B9/24 B
E06B5/00 B
(21)【出願番号】P 2020148420
(22)【出願日】2020-09-03
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 千顕
(72)【発明者】
【氏名】安尾 貴司
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-41341(JP,A)
【文献】特開2016-132934(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0080080(US,A1)
【文献】実開平3-108195(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24
E06B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に配置される窓パネルであって、
透光性を有する室外側パネルであって、室内側面に所定の間隔で複数の帯状の日射熱反射膜または日射熱吸収膜が形成された室外側パネルと、
前記室外側パネルと平行に配置された透光性を有する室内側パネルであって、室外側面に所定の間隔で複数の帯状の日射熱反射膜または日射熱吸収膜が形成された室内側パネルと、
前記室外側パネルおよび前記室内側パネルの一方を他方に対して進退移動させるパネル移動機構と、
を備え
、
前記パネル移動機構は、
駆動スライダと、前記駆動スライダの押し操作に応じて前記室外側パネルおよび前記室内側パネルの一方を他方に対して進退移動させる従動スライダと、を含む直交スライド機構、
クランクと、前記クランクの回転操作に応じて前記室外側パネルおよび前記室内側パネルの一方を他方に対して進退移動させるスライダと、を含むスライダクランク機構および
レバーと、前記レバーの回転操作に応じて前記室外側パネルおよび前記室内側パネルの一方を他方に対して進退移動させるスライダと、を含むクロススライダ機構
のいずれかを含むことを特徴とする窓パネル。
【請求項2】
前記日射熱反射膜または前記日射熱吸収膜の幅と前記所定の間隔は、略同じ大きさであることを特徴とする請求項1に記載の窓パネル。
【請求項3】
前記パネル移動機構は、前記日射熱反射膜または前記日射熱吸収膜の幅と略同じ距離だけ前記室外側パネルおよび前記室内側パネルの一方を他方に対して進退移動させることを特徴とする請求項2に記載の窓パネル。
【請求項4】
前記日射熱反射膜または前記日射熱吸収膜は、可視光透過性を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の窓パネル。
【請求項5】
前記室内側パネルと所定の間隔をあけて配置された追加パネルと、
前記室内側パネルと前記追加パネルとの間に形成された空気層と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から
4のいずれかに記載の窓パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物の開口部に配置される窓パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に配置される窓パネルとして、ガラス表面を特殊金属膜(Low-E膜)でコーティングしたLow-E(Low Emissivity:低放射)複層ガラスが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
Low-E複層ガラスには、室外側ガラスの室内側(空気層側)の面にLow-E膜をコーティングした遮熱型のものと、室内側ガラスの室外側(空気層側)の面にLow-E膜をコーティングした断熱型のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の遮熱型のLow-Eガラスは、夏期においては日射熱を遮ることができるが、冬期においては室内に取り込みたい日射熱を遮ってしまうという課題がある。また、従来の断熱型のLow-Eガラスは、冬期においては日射熱を室内に取り込むことができるが、夏期においては遮りたい日射熱を室内に取り込んでしまうという課題がある。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、日射熱の遮断と日射熱の取り込みを切り替えることができる窓パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の窓パネルは、建物の開口部に配置される窓パネルである。この窓パネルは、透光性を有する室外側パネルであって、室内側面に所定の間隔で複数の帯状の日射熱反射膜または日射熱吸収膜が形成された室外側パネルと、室外側パネルと平行に配置された透光性を有する室内側パネルであって、室外側面に所定の間隔で複数の帯状の日射熱反射膜または日射熱吸収膜が形成された室内側パネルと、室外側パネルおよび室内側パネルの一方を他方に対して進退移動させるパネル移動機構と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る窓パネルを説明するための概略正面図である。
【
図2】
図1に示す窓パネルのA-A概略鉛直断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る窓パネルにおいて、パネル移動機構により室外側パネルが移動された状態を示す図である。
【
図4】
図4(a)および
図4(b)は、第1実施形態に係る窓パネルの作用を説明するための図である。
【
図5】
図5(a)および
図5(b)は、パネル移動機構の実施例を示す図である。
【
図6】
図6(a)および
図6(b)は、パネル移動機構の別の実施例を示す図である。
【
図7】
図7(a)および
図7(b)は、パネル移動機構のさらに別の実施例を示す図である。
【
図8】本開示の第2実施形態に係る窓パネルを説明するための概略正面図である。
【
図9】
図8に示す窓パネルのB-B概略水平断面図である。
【
図10】第2実施形態に係る窓パネルにおいて、パネル移動機構により室外側パネルが移動された状態を示す図である。
【
図11】本開示の第3実施形態に係る窓パネルを説明するための概略鉛直断面図である。
【
図12】第3実施形態に係る窓パネルにおいて、パネル移動機構により室外側パネルが移動された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。また、本明細書において「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「内」、「外」等の方向を表す用語が用いられる場合、それらは窓パネルが建物に設けられたときの姿勢における方向を意味する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る窓パネル10を説明するための概略正面図である。
図2は、
図1に示す窓パネル10のA-A概略鉛直断面図である。窓パネル10は、建物の開口部に配置される。
【0011】
本実施形態において、窓パネル10は、透光性を有する室外側パネル11および室内側パネル12を備える。室外側パネル11と室内側パネル12は、互いに平行に配置される。室外側パネル11および室内側パネル12は、ガラス製のパネルであってもよいし、樹脂製(例えばポリカーボネート製やアクリル製)のパネルであってもよい。
【0012】
本実施形態に係る窓パネル10においては、室外側パネル11の室内側面11aに、鉛直方向Vに所定の間隔Bをおいて複数の帯状の日射熱反射膜14が形成されている。同様に、室内側パネル12の室外側面12aにも、鉛直方向Vに所定の間隔Bをおいて複数の帯状の日射熱反射膜15が形成されている。帯状の日射熱反射膜14、15は、水平方向Hに延在している。日射熱反射膜14、15の幅Aは、間隔Bと略同じである。幅Aおよび間隔Bは、数mm~数cmであってよい。
【0013】
日射熱反射膜14、15は、高い可視光透過性を有するとともに、日射熱を反射する機能を有し、例えばチタン、ステンレス、すず、クロム等によって形成されてよい。
【0014】
室外側パネル11と室内側パネル12は、日射熱反射膜14と日射熱反射膜15が対向するように、互いに平行に配置される。
図2では、説明のために日射熱反射膜14、15の膜厚を実際よりも大きく表示している。日射熱反射膜14、15の膜厚は0.1mm程度であるため凹凸は殆ど無い。従って、実際には室外側パネル11の室内側面11aと室内側パネルの室外側面12aとの間には隙間は殆ど無く、室外側パネル11の室内側面11aと室内側パネルの室外側面12aは略当接した状態であることに留意されたい。
【0015】
本実施形態において、室外側パネル11は、室内側パネル12に対して鉛直方向Vに移動可能に支持されている。室内側パネル12は、窓枠(図示せず)に固定されている。室外側パネル11の支持構造については特に限定されない。例えば、室外側パネル11と室内側パネル12の水平方向の両端にガイドレールを配置して、室内側パネル12に対して室外側パネル11を移動可能に支持してもよい。
【0016】
本実施形態に係る窓パネル10は、パネル移動機構30をさらに備える。このパネル移動機構30は、鉛直方向Vにおいて室内側パネル12に対して室外側パネル11を進退移動させる。
図1および
図2に示す実施形態では、パネル移動機構30は、室外側パネル11の下端部に作用するように構成されており、室外側パネル11の下方に位置するように表示されているが、その作用点および位置については特に限定されない。
【0017】
図2は、室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動されていない状態を示す。この状態では、日射熱反射膜14、15は鉛直方向Vにおいて略同じ位置にあり(すなわち、日射熱反射膜14、15が丁度重なり合っている)、日射熱反射膜14、15間に隙間16が存在する。
【0018】
図3は、パネル移動機構30により室外側パネル11が移動された状態を示す。
図3では、室外側パネル11は、室内側パネル12に対して鉛直上向き方向に距離Cだけ移動されている。距離Cは、幅Aおよび間隔Bと略同じである。従って、室外側パネル11が移動された状態では、日射熱反射膜14と日射熱反射膜15が鉛直方向Vにおいて交互に位置することとなり、日射熱反射膜間に隙間が存在しない。
【0019】
図4(a)および
図4(b)は、第1実施形態に係る窓パネル10の作用を説明するための図である。
図4(a)は冬期の使用状態を示し、
図4(b)は夏期の使用状態を示す。
図4(a)および
図4(b)には、太陽からの日射熱が図示されている。
【0020】
図4(a)に示すように、太陽高度が比較的低い冬期においては、室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動されていない状態、すなわち、日射熱反射膜14と日射熱反射膜とが鉛直方向Vにおいて略同じ位置にある状態となっており、日射熱反射膜14、15間に隙間16が存在する。従って、この隙間16を介して、日射熱の一部を窓パネル10の内側(すなわち室内)に取り込むことができる(入射熱)。このように、本実施形態に係る窓パネル10によれば、冬期においては、必要な日射熱を室内に取り込むことができ、日射熱取得率を比較的高くすることができる。
【0021】
一方、
図4(b)に示すように、太陽高度が比較的高い夏期においては、室外側パネル11が室内側パネル12に対して鉛直方向Vに日射熱反射膜14、15の幅A(間隔B)分移動された状態、すなわち、日射熱反射膜14と日射熱反射膜15が突出方向Pにおいて交互に位置する状態となっており、日射熱反射膜14、15間に隙間が存在しない。従って、日射熱は日射熱反射膜14、15によって反射され、室外側に放出される(反射熱)。このように、本実施形態に係る窓パネル10によれば、夏期においては、不要な日射熱を遮ることができ、日射熱取得率を比較的低くすることができる。
【0022】
以上述べたように、本実施形態に係る窓パネル10によれば、室内側パネル12に対して室外側パネル11を日射熱反射膜14、15の幅だけ、すなわち僅か数mm~数cmだけ移動させることにより、日射熱の遮断と日射熱の取り込みとを切り替えることができる。夏期においては不要な日射熱を遮り、冬期においては必要な日射熱を効率よく取り込むことができるので、太陽光エネルギーを効率的に活用できる。なお、ここでは説明を分かりやすくする目的で夏期および冬期における窓パネル10の使用について説明したが、本実施形態に係る窓パネル10は、季節を問わずにユーザが暑いと感じる場合は日射熱を遮り、寒いと感じる場合は日射熱を取入れることが可能であることに留意されたい。例えば、室温に応じてパネル移動機構30が自動制御されてもよい。
【0023】
本実施形態に係る窓パネル10においては、室外側パネル11および室内側パネル並びに日射熱反射膜14、15は可視光を透過するため、効果的に室内に光を取り込むことができ、室内を明るく保つことができる。また、本実施形態に係る窓パネル10は、見た目には略透明であるため、開放感を得ることができる。
【0024】
本実施形態では、室外側パネル11を固定された室内側パネル12に対して移動させたが、室外側パネル11を固定とし、室外側パネル11に対して室内側パネル12を移動させてもよい。
【0025】
図5(a)および
図5(b)は、パネル移動機構の実施例を示す。
図5(a)および
図5(b)に示すパネル移動機構40は、直交スライド機構であり、駆動スライダ42と、従動スライダ44とを備える。従動スライダ44の当接部44aは室外側パネル11の下端面に固定される。
【0026】
図5(a)に示すように、室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動されていない状態において駆動スライダ42を室内側から室外側に押すと、従動スライダ44が鉛直上向き方向に移動して室外側パネル11を押圧し、窓枠に固定された室内側パネル12に対して室外側パネル11を鉛直上向き方向に移動させる。これにより、
図5(b)に示すような室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動された状態となる。
【0027】
一方、
図5(b)に示すように、室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動された状態において駆動スライダ42を室外側から室内側に押すと、従動スライダ44が鉛直下向き方向に移動し、それと共に室内側パネル12に対して室外側パネル11が鉛直下向き方向に移動する。これにより、
図5(a)に示すような室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動されていない状態となる。
【0028】
図6(a)および
図6(b)は、パネル移動機構の別の実施例を示す。
図6(a)および
図6(b)に示すパネル移動機構50は、スライダクランク機構であり、クランク52と、スライダ54と、クランク52とスライダ54を連結する連結ロッド56とを備える。スライダ54の当接部54aは室外側パネル11の下端面に固定される。
【0029】
図6(a)に示すように、室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動されていない状態においてクランク52を軸51を中心として反時計回りに回転させると、連結ロッド56を介してスライダ54が鉛直上向き方向に移動して室外側パネル11を押圧し、固定された室内側パネル12に対して室外側パネル11を鉛直上向き方向に移動させる。これにより、
図6(b)に示すような室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動された状態となる。
【0030】
一方、
図6(b)に示すように、室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動された状態においてクランク52を軸51を中心として時計回りに回転させると、連結ロッド56を介してスライダ54が鉛直下向き方向に移動し、室内側パネル12に対して室外側パネル11が鉛直下向き方向Pに移動する。これにより、
図6(a)に示すような室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動されていない状態となる。
【0031】
図7(a)および
図7(b)は、パネル移動機構のさらに別の実施例を示す。
図7(a)および
図7(b)に示すパネル移動機構60は、クロススライダ機構であり、レバー62と、スライダ64とを備える。スライダ64の当接部64aは室外側パネル11の下端面に固定される。
【0032】
図7(a)に示すように、室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動されていない状態においてレバー62を軸61を中心として時計回りに回転させると、スライダ64が鉛直上向き方向に移動して室外側パネル11を押圧し、固定された室内側パネル12に対して室外側パネル11を鉛直上向き方向に移動させる。これにより、
図6(b)に示すような室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動された状態となる。
【0033】
一方、
図7(b)に示すように、室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動された状態においてレバー62を軸61を中心として反時計回りに回転させると、スライダ64が鉛直下向き方向に移動し、室内側パネル12に対して室外側パネル11が鉛直下向き方向に移動する。これにより、
図7(a)に示すような室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動されていない状態となる。
【0034】
上記ではパネル移動機構の実施例を3つ例示したが、他の機構を用いることもできることに留意されたい。例えば、モータを用いたリニアアクチュエータや油圧機構がパネル移動機構として用いられてもよい。
【0035】
(第2実施形態)
図8は、本開示の第2実施形態に係る窓パネル70を説明するための概略正面図である。
図9は、
図8に示す窓パネル70のB-B概略水平断面図である。
【0036】
本実施形態に係る窓パネル70は、帯状の日射熱反射膜14、15の鉛直方向Vに延在している点と、それに伴い、室内側パネル12に対して室外側パネル11がパネル移動機構30によって水平方向Hに移動される点が第1実施形態に係る窓パネル10と異なる。
【0037】
図9は、室外側パネル11が室内側パネル12に対して移動されていない状態を示す。室外側パネル11の室内側面11aに、水平方向Hに所定の間隔Bをおいて複数の帯状の日射熱反射膜14が形成されている。同様に、室内側パネル12の室外側面12aにも、水平方向Hに所定の間隔Bをおいて複数の帯状の日射熱反射膜15が形成されている。帯状の日射熱反射膜14、15は、鉛直方向Vに延在している。日射熱反射膜14、15の幅Aは、間隔Bと略同じである。幅Aおよび間隔Bは、数mm~数cmであってよい。
【0038】
図9に示す状態では、日射熱反射膜14、15は水平方向Hにおいて略同じ位置にあり(すなわち、日射熱反射膜14、15が丁度重なり合っている)、日射熱反射膜14、15間に隙間16が存在する。
【0039】
図10は、パネル移動機構30により室外側パネル11が移動された状態を示す。
図10では、室外側パネル11は、室内側パネル12に対して水平方向Hに距離Cだけ移動されている。距離Cは、幅Aおよび間隔Bと略同じである。従って、室外側パネル11が移動された状態では、日射熱反射膜14と日射熱反射膜15が水平方向Hにおいて交互に位置することとなり、日射熱反射膜間に隙間が存在しない。
【0040】
このように、本実施形態に係る窓パネル70によっても、室内側パネル12に対して室外側パネル11を日射熱反射膜14、15の幅だけ、すなわち僅か数mm~数cmだけ移動させることにより、日射熱の遮断と日射熱の取り込みとを切り替えることができる。
【0041】
本実施形態に係る窓パネル70では、室外側パネル11を水平方向Hに移動させている。これにより、第1実施形態に係る窓パネル10のように重力に抗して室外側パネル11を移動させる実施形態と比較して小さい力で室外側パネル11を移動させることができる。これは、パネル移動機構30の小型化および簡素化につながるため有利である。
【0042】
本実施形態では、室外側パネル11を固定された室内側パネル12に対して移動させたが、室外側パネル11を固定とし、室外側パネル11に対して室内側パネル12を移動させてもよい。
【0043】
(第3実施形態)
図11は、本開示の第3実施形態に係る窓パネル80を説明するための概略鉛直断面図である。本実施形態に係る窓パネル80は、室内側パネル12と所定の間隔をあけて配置された透光性を有する追加パネル82と、室内側パネル12と追加パネル82との間に形成された空気層84とをさらに備える点が第1実施形態に係る窓パネル10と異なる。
【0044】
図11に示すように、追加パネル82は、室内側パネル12よりも室内側に配置される。追加パネル82は、ガラス製のパネルであってもよいし、樹脂製(例えばポリカーボネート製やアクリル製)のパネルであってもよい。室内側パネル12と追加パネル82との間にはスペーサ86が配置されており、該スペーサ86によって所定の間隔が規定される。室内側パネル12、追加パネル82およびスペーサ86によって形成された空間には乾燥空気が封入され、空気層84が形成される。
【0045】
本実施形態に係る窓パネル70は、密着して配置される室外側パネル11および室内側パネル12を「第1のパネル」とし、追加パネル82を「第2のパネル」として見ると、「複層パネル」(例えば複層ガラス)として構成されていることが分かる。
【0046】
図12は、パネル移動機構30により室外側パネル11が移動された状態を示す。
図12に示すように、室外側パネル11が移動された状態では、日射熱反射膜14と日射熱反射膜15が鉛直方向Vにおいて交互に位置することとなり、日射熱反射膜間に隙間が存在しない。このように、本実施形態に係る窓パネル80によれば、室内側パネル12に対して室外側パネル11を移動させることにより、日射熱の遮断と日射熱の取り込みとを切り替えることができる。さらに、本実施形態に係る窓パネル80によれば、複層パネルとしたことにより、第1実施形態に係る窓パネル10と比較して断熱性能を向上できる。
【0047】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本開示の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本開示の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0048】
帯状の日射熱反射膜は、途切れた部分のない直線状に形成されてもよいし、途中に途切れた部分がある直線状に形成されてもよい。
【0049】
上述の実施形態では、パネルの主面に日射熱反射膜を形成したが、これに代えて、日射熱を吸収する日射熱吸収膜を形成してもよい。この場合も、日射熱の遮断と日射熱の取り込みを切り替えることができる。日射熱吸収膜は、例えば鉄、ニッケル、コバルト等から形成されてよい。
【0050】
上述の実施形態では、室外側パネルと室内側パネルの二枚のパネルを密着させたが、パネルの枚数は二枚に限定されず、それ以上のパネルを使用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10,70,80 窓パネル、 11室外側パネル、 12 室内側パネル、 14,15 日射熱反射膜、 16 隙間、 30,40,50,60 パネル移動機構、 82 追加パネル、 84 空気層、 86 スペーサ。