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  • 特許-自走式消火装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】自走式消火装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 27/00 20060101AFI20240822BHJP
   B05B 15/68 20180101ALI20240822BHJP
   B05B 17/00 20060101ALI20240822BHJP
   B60P 3/30 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A62C27/00 507
B05B15/68
B05B17/00 101
B60P3/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020188315
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077446
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000215822
【氏名又は名称】帝国繊維株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】桝谷 徹
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-299746(JP,A)
【文献】特開2003-320052(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0186657(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106693248(CN,A)
【文献】特開昭63-226374(JP,A)
【文献】特開2003-310780(JP,A)
【文献】特開平11-206903(JP,A)
【文献】特開昭53-026499(JP,A)
【文献】特開昭61-228884(JP,A)
【文献】特開2012-223434(JP,A)
【文献】特開平09-173491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00 - 99/00
B05B 12/16 - 12/36
B05B 14/00 - 17/08
B60P 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行手段と前記走行手段上に載置された放水装置を有する自走式消火装置であって、
前記放水装置、消防ホースが着脱自在に装着されるホース連結部および前記消防ホースを通して供給される消火用水を放水するためのノズルを有し、
前記ノズルからの放水角度ノズル回動点を中心に上下に回動することができ、
前記ホース連結部は、連結回動点を中心に上下に回動するように設けられ、
前記ノズル回動点と前記連結回動点を結ぶ基軸に対する前記ホース連結部の回動範囲が、下方に5°から45°である、自走式消火装置
【請求項2】
前記放水装置の重心を、前記走行手段の重心より、放水方向側に配置してなる、請求項1に記載の自走式消火装置
【請求項3】
その横幅が、60cm以下である、請求項1または2に記載の自走式消火装置
【請求項4】
前記放水角度を、前記基軸に対し、上方に5°から45°の範囲で変更できる、請求項1~3のいずれかに記載の自走式消火装置
【請求項5】
前記ノズルからの放水方向を、前記基軸に対し、左右に0°から30°の範囲で変更する、請求項1~4のいずれかに記載の自走式消火装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式放水砲に関し、とりわけ大量放水時の姿勢安定性に優れた自走式放水砲に関する。
【背景技術】
【0002】
建物火災等において、燃焼ガスや熱気の発生、また倒壊や崩落の危険性により消防士が建屋内に入れないことがある。しかし、建物内での直接放水が救助や消火活動等に有効であるため、自走式の消火装置が検討され種々の提案がなされている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
建物内で活動する自走式の消火装置は、大型装置では建物等への侵入が困難であるため、小型装置とする必要がある。しかしながら、小型装置の場合、建物等へ侵入した後、放水を開始すると、その反動力により、装置の姿勢が崩され横転したり、筒先が暴れたりするため、放水圧を高くすることができず、放水距離が必ずしも十分ではなかった。また、従来の大型の消火装置のサイズを小さくするだけでは、放水時の反動力を制御し、正確な消火活動を行うのは困難であった。
【0004】
このため、小型の自走式の消火装置でありながら、高圧での大量放水が可能であり、かつ放水時の姿勢安定性に優れた自走式放水砲の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3995289号公報
【文献】特開2003-310780号公報
【文献】特開2003-320052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、小型の自走式放水砲であって、高圧下での大量放水が可能で、かつ放水時の姿勢安定性に優れた自走式放水砲を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成する自走式消火装置は、行手段と前記走行手段上に載置された放水装置を有する自走式消火装置であって、
前記放水装置、消防ホースが着脱自在に装着されるホース連結部および前記消防ホースを通して供給される消火用水を放水するためのノズルを有し、
前記ノズルからの放水角度ノズル回動点を中心に上下に回動することができ、
前記ホース連結部は、連結回動点を中心に上下に回動するように設けられ、
前記ノズル回動点と前記連結回動点を結ぶ基軸に対する前記ホース連結部の回動範囲が、下方に5°から45°であることを特徴とする。
本明細書において、「自走式放水砲」を「自走式消火装置」に、「放水砲」を「放水装置」に、「連結部」を「ホース連結部」に読み替えるものとする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自走式放水砲によれば、建物等への侵入が可能な小型の自走式放水砲でありながら、高圧下での大量放水が可能で、かつ優れた姿勢安定性を得ることができる。
【0009】
前記放水砲の重心は、前記走行手段の重心より、放水方向側に配置することにより、放水時の姿勢をより安定にすることができる。また、前記放水砲は、その横幅が、60cm以下の小型装置であるとよい。
【0010】
前記放水砲は、前記放水角度を、前記基軸に対し、上方に5°から45°の範囲で変更可能であるとよい。また、前記ノズルからの放水方向を、前記基軸に対し、左右に0°から30°の範囲で変更可能であるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の自走式放水砲の実施形態を例示する模式図である。
図2図2(1),(2)は、本発明の自走式放水砲の実施形態を構成する放水砲を例示する模式図であり、(1)は平面図、(2)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、更に詳しく本発明の自走式放水砲について、図面(図1図2)を参照して説明する。
【0013】
自走式放水砲1は、少なくとも放水砲2および走行手段3を有する。放水砲2は、ノズル4および消防ホース(図示せず)と接続する連結部5を有する。ノズル4は、0.4MPa以上の放水圧を有し、建物内の火災に対する消火を効果的に行うことができる。放水圧は、好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは0.6MPa以上であるとよい。また、放水圧は、好ましくは1.2MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下であるとよい。従来、このように高い放水圧を、放水砲に負荷すると大きな反動力のため、筒先が暴れ標的への放水が困難になったり、自走式の放水砲の姿勢が崩され横転したりする場合があった。特に建屋等の内部へ侵入させるための小型の自走式放水砲では上記問題が顕著であった。本発明の自走式放水砲は、上述した課題を克服し、小型の自走式放水砲でありながら、高圧下での大量放水が可能で、かつ優れた姿勢安定性を得ることができる。
【0014】
本明細書において、放水砲2は、ノズル回動点6を中心にその放水角度αを上下方向に変更することができ、かつ連結回動点7を中心に連結部5の軸方向12を上下方向に変更することができる。これらノズル回動点6および連結回動点7を結ぶ直線を、放水砲2の基軸8とする。
【0015】
放水砲2は、連結部5の軸方向12を、連結回動点7を中心に上下に変更する連結回動機構を有し、基軸8に対する連結部5の軸方向12の角度をθとするとき、角度θを基軸8の下方側に5°から45°の範囲で変更できる。角度θを基軸8の下方側に5°から45°の範囲に調整することにより、放水時の反動力に対しても自走式放水砲の姿勢を安定にすることができる。連結部5の角度θは、好ましくは5°から20°、より好ましくは10°から15°の範囲であるとよい。
【0016】
連結回動機構は、特に制限されるものではなく、連結部5の軸方向12を、連結回動点7を中心に上下に変更可能な、通常の回動機構であればよい。
【0017】
放水砲2は、放水角度αを、ノズル回動点6を中心に上下に変更するノズル回動機構を有し、放水角度αを、基軸8に対し、上方側に好ましくは5°から45°の範囲で変更できる。放水角度αは、ノズル4からの放水方向11の基軸8に対する角度である。放水角度αを、基軸8の上方側に好ましくは5°から45°の範囲で変更することにより、消火活動を効果的に行うことができる。放水角度αが小さいほど、放水時に放水砲が受ける反動力が大きくなるが、上述した連結部5の角度θを所定の範囲にすることにより、反動力の影響を小さくすることができる。放水角度αは、より好ましくは15°から45°、さらに好ましくは20°から30°の範囲であるとよい。
【0018】
ノズル回動機構は、特に制限されるものではなく、放水角度αを、ノズル回動点6を中心に上下に変更可能な、通常のノズル回動機構であればよい。
【0019】
また、放水砲2は、ノズル4からの放水方向11の基軸に対する左右方向の角度をβとするとき、角度βを好ましくは0°から30°の範囲で変更することができる。角度βを、基軸8の左右方向に好ましくは0°から30°の範囲で変更することにより、消火活動を効果的に行うことができる。角度βは、より好ましくは0°から20°、さらに好ましくは0°から10°の範囲であるとよい。
【0020】
自走式放水砲1は、放水砲2の重心を、走行手段3の重心より、放水方向側に配置するとよい。すなわち、放水砲2の重心を、走行手段3の重心の前方に配置することにより、放水時における自走式放水砲の姿勢安定性を優れたものにすることができる。放水砲2の重心および走行手段3の重心は、通常の方法により求めることができる。
【0021】
自走式放水砲1は、横幅が好ましくは60cm以下、より好ましくは30cmから60cm、さらに好ましくは40cmから50cmであるとよい。横幅が60cm以下であると、建屋内での障害物を回避し、消火活動を機動的に行うことができる。
【0022】
走行手段3は、放水砲2を搭載し、かつ消防ホースと接続した状態で、遠隔操作による偵察および移動が可能であれば、特に制限させるものではない。市販製品から選択してもよいし、専用に製造してもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 自走式放水砲
2 放水砲
3 走行手段
4 ノズル
5 連結部
6 ノズル回動点
7 連結回動点
8 基軸
11 放水方向
12 連結部の軸方向
θ 連結部の軸方向角度
α 上下の放水角度
β 左右の放水角度
図1
図2