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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】駐車場無線ネットワーク利用システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240822BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20240822BHJP
【FI】
G06Q50/10
G07B15/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021003188
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108302
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】516117386
【氏名又は名称】綿半ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096002
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 弘之
(74)【代理人】
【識別番号】100091650
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 規之
(72)【発明者】
【氏名】長野 正典
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-104116(JP,A)
【文献】特開2017-111524(JP,A)
【文献】特開2021-135854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07B 11/00-17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバと、上記管理サーバと接続された駐車場制御装置と、駐車場を利用するユーザが操作するユーザ端末とを備えたシステムであって、
上記管理サーバは、上記駐車場制御装置から送信された入場車両の車両番号と、上記ユーザ端末から送信された車両番号が一致する場合に、ワンタイムパスワードを生成する処理と、
このワンタイムパスワードを記述したメッセージを上記ユーザ端末に送信する処理と、
同ワンタイムパスワードを上記駐車場制御装置に送信し、これを認証コードとして入力したユーザ端末を、駐車場内に設置された無線ネットワークに接続させることを指令する処理と、
上記ユーザ端末から利用終了のメッセージを受信した際に、上記駐車場制御装置に対し上記ワンタイムパスワードの無効化を指令する処理を実行し、
上記駐車場制御装置は、駐車場に入場する車両のナンバープレートに記載された車両番号を、カメラを介して読み取る処理と、
この入場車両の車両番号を上記管理サーバに送信する処理と、
上記管理サーバからワンタイムパスワードが送信された際に、これを認証コードとして入力したユーザ端末を上記無線ネットワークに接続させる処理と、
上記管理サーバから上記ワンタイムパスワードの無効化指令が送信された際に、これを認証コードとして入力したユーザ端末を上記無線ネットワークから切り離す処理を実行することを特徴とする駐車場無線ネットワーク利用システム。
【請求項2】
上記駐車場制御装置は、駐車場から退場する車両のナンバープレートに記載された車両番号を、カメラを介して読み取る処理と、
この退場車両の車両番号を上記管理サーバに送信する処理を実行し、
上記管理サーバは、上記ユーザ端末から利用終了のメッセージを受信した後、所定時間を経過しても当該ユーザ端末から送信された車両番号が退場車両の車両番号として駐車場制御装置から送信されない場合に、退場を促すメッセージを上記ユーザ端末に送信する処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の駐車場無線ネットワーク利用システム。
【請求項3】
管理サーバと、上記管理サーバと接続された駐車場制御装置と、駐車場を利用するユーザが操作するユーザ端末とを備えたシステムであって、
上記管理サーバは、上記駐車場制御装置から送信された入場車両の車両番号と、上記ユーザ端末から送信された車両番号が一致する場合に、ワンタイムパスワードを生成する処理と、
このワンタイムパスワードを記述したメッセージを上記ユーザ端末に送信する処理と、
同ワンタイムパスワードを上記駐車場制御装置に送信し、これを認証コードとして入力したユーザ端末を、駐車場内に設置された無線ネットワークに接続させることを指令する処理と、
上記駐車場制御装置から送信された退場車両の車両番号が、上記入場車両の車両番号と一致する場合に、上記駐車場制御装置に対し上記ワンタイムパスワードの無効化を指令する処理を実行し、
上記駐車場制御装置は、駐車場に入場する車両のナンバープレートに記載された車両番号を、カメラを介して読み取る処理と、
この入場車両の車両番号を上記管理サーバに送信する処理と、
上記管理サーバからワンタイムパスワードが送信された際に、これを認証コードとして入力したユーザ端末を上記無線ネットワークに接続させる処理と、
駐車場から退場する車両のナンバープレートに記載された車両番号を、カメラを介して読み取る処理と、
この退場車両の車両番号を上記管理サーバに送信する処理と、
上記管理サーバから上記ワンタイムパスワードの無効化指令が送信された際に、これを認証コードとして入力したユーザ端末を上記無線ネットワークから切り離す処理を実行することを特徴とする駐車場無線ネットワーク利用システム。
【請求項4】
上記管理サーバは、ユーザのクレジットカード情報を格納する記憶手段を備え、
利用料金を特定する処理と、
当該利用料金を、当該クレジットカード情報を用いた決済処理を実行することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の駐車場無線ネットワーク利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駐車場を現に利用中のユーザに対して無線ネットワークへの接続を許可し、駐車場から退出した際には当該無線ネットワークへの接続を確実に停止させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、伝統的なオフィスワークに縛られることなく、カフェ等にノートパソコンを持ち込んで仕事を行うビジネスパーソンが増えてきている。
このような流れの一環として、駐車場に停車した自動車内で仕事を進めたいという要望も、営業マンを中心に強まってきている。
確かに、車内は外部から隔離された比較的静かな空間であるため、仕事が捗ることが期待できるが、その際に問題となるのが通信環境である。
【0003】
もちろん、これまでもフリーWi-Fi的な通信サービスを提供している駐車場は存在していたが(下記非特許文献1参照)、無線LANへのアクセスを現に駐車場を利用しているユーザに限定することが難しく、周辺の第三者による無権限利用を有効に排除できない点が問題となっていた。すなわち、無権限者による利用を排除できないと、セキュリティ上の危険性が増大すると共に、帯域圧迫による通信速度の低下が顕著となる。
このため、駐車場で安全且つ高速な通信環境を享受するためには、ユーザ自らポケットWi-Fiを準備するか、スマートフォンのテザリング機能を利用する必要あり、データ通信量(所謂「パケット」)の上限を気にしながら作業をせざるを得ず不便であった。
【文献】コインパーキングに無料Wi-Fiが登場!――利用者と駐車場経営の双方にもたらすメリットとは? インターネットURL:https://diamond.jp/articles/-/21713 検索日:2020年12月9日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、このような現状に鑑みて案出されたものであり、駐車場に設けられた無線通信ネットワークへのアクセスを駐車場利用者に限定できると共に、駐車場を退出する際には無線通信ネットワークへのアクセスを確実に停止できる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載した駐車場無線ネットワーク利用システムは、管理サーバと、上記管理サーバと接続された駐車場制御装置と、駐車場を利用するユーザが操作するユーザ端末とを備えたシステムであって、上記管理サーバは、上記駐車場制御装置から送信された入場車両の車両番号と、上記ユーザ端末から送信された車両番号が一致する場合に、ワンタイムパスワードを生成する処理と、このワンタイムパスワードを記述したメッセージを上記ユーザ端末に送信する処理と、同ワンタイムパスワードを上記駐車場制御装置に送信し、これを認証コードとして入力したユーザ端末を、駐車場内に設置された無線ネットワークに接続させることを指令する処理と、上記ユーザ端末から利用終了のメッセージを受信した際に、上記駐車場制御装置に対し上記ワンタイムパスワードの無効化を指令する処理を実行し、上記駐車場制御装置は、駐車場に入場する車両のナンバープレートに記載された車両番号を、カメラを介して読み取る処理と、この入場車両の車両番号を上記管理サーバに送信する処理と、上記管理サーバからワンタイムパスワードが送信された際に、これを認証コードとして入力したユーザ端末を上記無線ネットワークに接続させる処理と、上記管理サーバから上記ワンタイムパスワードの無効化指令が送信された際に、これを認証コードとして入力したユーザ端末を上記無線ネットワークから切り離す処理を実行することを特徴としている。
上記の「無線ネットワーク」には、無線LANのほか、ローカル5Gなどの次世代型無線通信ネットワークも当然に含まれる。
【0006】
請求項2に記載した駐車場無線ネットワーク利用システムは、請求項1のシステムであって、さらに、上記駐車場制御装置は、駐車場から退場する車両のナンバープレートに記載された車両番号を、カメラを介して読み取る処理と、この退場車両の車両番号を上記管理サーバに送信する処理を実行し、上記管理サーバは、上記ユーザ端末から利用終了のメッセージを受信した後、所定時間を経過しても当該ユーザ端末から送信された車両番号が退場車両の車両番号として駐車場制御装置から送信されない場合に、退場を促すメッセージを上記ユーザ端末に送信する処理を実行することを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載した駐車場無線ネットワーク利用システムは、管理サーバと、上記管理サーバと接続された駐車場制御装置と、駐車場を利用するユーザが操作するユーザ端末とを備えたシステムであって、上記管理サーバは、上記駐車場制御装置から送信された入場車両の車両番号と、上記ユーザ端末から送信された車両番号が一致する場合に、ワンタイムパスワードを生成する処理と、このワンタイムパスワードを記述したメッセージを上記ユーザ端末に送信する処理と、同ワンタイムパスワードを上記駐車場制御装置に送信し、これを認証コードとして入力したユーザ端末を、駐車場内に設置された無線ネットワークに接続させることを指令する処理と、上記駐車場制御装置から送信された退場車両の車両番号が、上記入場車両の車両番号と一致する場合に、上記駐車場制御装置に対し上記ワンタイムパスワードの無効化を指令する処理を実行し、上記駐車場制御装置は、駐車場に入場する車両のナンバープレートに記載された車両番号を、カメラを介して読み取る処理と、この入場車両の車両番号を上記管理サーバに送信する処理と、上記管理サーバからワンタイムパスワードが送信された際に、これを認証コードとして入力したユーザ端末を上記無線ネットワークに接続させる処理と、駐車場から退場する車両のナンバープレートに記載された車両番号を、カメラを介して読み取る処理と、この退場車両の車両番号を上記管理サーバに送信する処理と、上記管理サーバから上記ワンタイムパスワードの無効化指令が送信された際に、これを認証コードとして入力したユーザ端末を上記無線ネットワークから切り離す処理を実行することを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載した駐車場無線ネットワーク利用システムは、請求項1~3のシステムであって、さらに、上記管理サーバは、ユーザのクレジットカード情報を格納する記憶手段を備え、利用料金を特定する処理と、当該利用料金を、当該クレジットカード情報を用いた決済処理を実行することを特徴としている。
ここにいう「利用料金」とは、例えば以下のパターンが想定される。
(1) 無線ネットワークの利用料金のみ
※定額制または従量制
※駐車場の利用は無料または別建て
(2) 駐車場の利用料金のみ
※定額制または従量制
※無線ネットワークの利用は無料または別建て
(3) 駐車場の利用料金及び無線ネットワークの利用料金
※定額制または従量制
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の駐車場無線ネットワーク利用システムによれば、駐車場制御装置によって読み取られた入場車両の車両番号と、ユーザ端末から送信された車両番号が一致している場合にワンタイムパスワードが発行され、このワンタイムパスワードを認証コードとして入力したユーザ端末のみが駐車場内の無線ネットワークに繋がれる仕組みであるため、駐車場利用者以外の者が上記無線ネットワークを利用することを有効に排除することができる。
また、ユーザ端末から利用終了のリクエストが送信された時点で上記ワンタイムパスワードが無効化されるため、ユーザが駐車場から退出した後に上記無線ネットワークを利用し続けることを有効に防止できる。
無線ネットワークの利用に従量制の料金が課せられる場合などには、利用終了の意思表示と同時に料金の発生が停止されるため、ユーザにとってもメリットが生じる。
【0010】
請求項2に記載の駐車場無線ネットワーク利用システムによれば、利用終了の意思表示をした後にユーザの車両が駐車場内に居座り続けることを防止できる。
無線ネットワークの利用料金と駐車場の利用料金を、ユーザから一括で徴収する場合などに有効となる。
【0011】
請求項3に記載の駐車場無線ネットワーク利用システムによれば、駐車場制御装置によって読み取られた入場車両の車両番号と、ユーザ端末から送信された車両番号が一致している場合にワンタイムパスワードが発行され、このワンタイムパスワードを認証コードとして入力したユーザ端末のみが駐車場内の無線ネットワークに繋がれる仕組みであるため、駐車場利用者以外の者が上記無線ネットワークを利用することを有効に排除することができる。
また、ユーザの車両が駐車場から退出した時点で自動的に上記ワンタイムパスワードが無効化されるため、ユーザが駐車場から退出した後に上記無線ネットワークを利用し続けることを有効に防止できる。
無線ネットワークの利用に従量制の料金が課せられていない場合、すなわち定額制の料金の場合や、無線ネットワークの利用自体が無料の場合などには、利用終了の意思表示をするまでもなく、車両が駐車場から退場すると同時に自動的に無線ネットワークの利用が停止されるため、ユーザ側の負担を軽減することができる。
あるいは、請求項1のようにユーザからの利用終了のメッセージを待ってワンタイムパスワードの無効化を実行することを前提としつつも、ユーザ側の故意または過失によって利用終了のメッセージを送信することなく車両が駐車場から退場する事態が生じても、この請求項3の発明を適用することにより、駐車場から退場すると同時に無線ネットワークの利用を確実に停止させることができる。
【0012】
請求項4に記載の駐車場無線ネットワーク利用システムによれば、利用料金の決済が事前登録しておいたクレジットカードで決済されるため、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明に係る駐車場無線ネットワーク利用システムの基本構成を示すブロック図である。
図2】ユーザDB、利用履歴DB及び駐車場DBに格納されるレコードのデータ構造を示す図である。
図3】駐車場無線ネットワーク利用システムにおける処理手順を示すフローチャートである。
図4】駐車場無線ネットワーク利用システムにおける処理手順を示すフローチャートである。
図5】ユーザ端末における画面遷移例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面に従い、この発明に係る駐車場無線ネットワーク利用システムの実施形態を説明する。
図1に示すように、このシステム10は、管理サーバ12と、駐車場制御装置14とを備えている。
【0015】
管理サーバ12は、OS及び専用のアプリケーションプログラムを搭載したコンピュータよりなり、ユーザ管理機能12a、駐車場管理機能12b、予約管理機能12c、ワンタイムパスワード(以下「OTP」と略称)発行機能12d、料金算出機能12e、料金決済機能12f、利用履歴管理機能12g等を備える。
また管理サーバ12は、その機能を果たすために、ユーザDB12h、利用履歴DB12i及び駐車場DB12j等の各種データベースを備えている。
【0016】
ユーザDB12hは、このシステム10を利用する会員ユーザの属性情報を格納しておく記憶手段であり、図2(a)に示すように、ユーザID、メールアドレス、パスワード、携帯電話番号、氏名、住所、性別、生年月日、利用車両番号(1)、利用車両番号(2)…、クレジットカード情報、加入年月日等のデータ項目を備えたレコードが格納されている。
【0017】
利用履歴DB12iは、各会員ユーザの利用履歴情報を格納しておく記憶手段であり、図2(b)に示すように、ユーザID、駐車場コード、車両番号、ワンタイムパスワード、利用開始日時、利用終了日時、利用料金、決済完了フラグ、決済種別、退場日時等のデータ項目を備えたレコードが格納されている。
【0018】
駐車場DB12jは、管理サーバ12が管理している駐車場の属性情報を格納しておく記憶手段であり、図2(c)に示すように、駐車場コード、名称、住所、緯度経度等のデータ項目を備えたレコードが格納されている。
【0019】
駐車場制御装置14は、OS及び専用のアプリケーションプログラムを搭載したコンピュータよりなり、入退場車両検知機能14a、車両番号(ナンバー)読取り機能14b、無線LAN認証機能14c、利用料金精算機能14d等を実現する。
この駐車場制御装置14は、各地の駐車場毎に設置されており、管理サーバ12は複数の駐車場制御装置14と通信ネットワークを介して接続されている。
【0020】
また駐車場制御装置14は、駐車場内に設置された第1のカメラ16、第2のカメラ18、第1の近接センサ20、第2の近接センサ22、無線LANのアクセスポイント24、少なくともプリンタ及びスキャナ機能を備えた複合機26、事前精算機28と接続されている。
【0021】
第1のカメラ16及び第1の近接センサ20は、駐車場の入場口付近に設置されている。
駐車場制御装置14は、入場口から進入してくる車両30の存在を第1の近接センサ20からの出力に基づいて検知すると、第1のカメラ16によって取り込まれた動画像から車両30の正面または背面に装着されたでナンバープレート32を探索し、その文字列(車両番号)を読み取る。
ここで読み取られる車両番号としては、例えば「品川500さ23-45」のように、ナンバープレート32に記載された全ての文字列を意味する(以下同様)。
【0022】
第2のカメラ18及び第2の近接センサ22は、駐車場の退場口付近に設置されている。
駐車場制御装置14は、退場口から退出しようとする車両30の存在を第2の近接センサ22からの出力に基づいて検知すると、第2のカメラ18によって取り込まれた動画像から車両30の正面または背面に装着されたでナンバープレート32を探索し、その文字列(車両番号)を読み取る。
【0023】
アクセスポイント24は、駐車場の敷地内に到達可能な電波出力を備えた無線LANルーターよりなり、駐車場制御装置14によって指定されたOTPをパスワードとして入力したユーザ端末を、インターネットに接続する機能を備えている。
ここでユーザ端末としては、ユーザが所持する無線通信機能を備えたノートパソコン34やスマートフォン36、タブレット端末等を意味する。
【0024】
事前精算機28は、利用料金をその場で現金やクレジットカード、電子マネーで支払いたいユーザのために設置されている。
【0025】
つぎに、図3及び図4のフローチャートに従い、このシステム10の利用に際して生じる各装置類の処理手順について説明する。
まず、第1の近接センサ20からの出力に基づいて駐車場制御装置14が入場車両の存在を検知すると(S10)、第1のカメラ16から取り込まれた映像の中からナンバープレート32を探索し、そこに表記された車両番号を読み取り(S11)、これを当該駐車場の駐車場コードと共に管理サーバ12に通知する(S12)。
【0026】
一方、車両内のユーザはそのまま入場口から駐車場内に進入し、空いている駐車スペースに停車させた後、ユーザ端末としてのスマートフォン36からこのシステム10のWebサイトにアクセスする(S13)。
この結果、図5(a)に示すログイン画面40がスマートフォン36のディスプレイに表示される。
これに対しユーザは、ユーザID及びパスワードを入力してログインボタンをタッチし、システム10にログインする(S14)。
なお、初めてシステム10を利用するユーザは、この場で所定の入力フォームを通じて氏名やメールアドレス、クレジットカード情報等を入力することにより、新規登録することもできる。また、ユーザはノートパソコン34やスマートフォン36等を介して、事前に駐車場の予約をしておくこともできる。
【0027】
つぎにユーザは、図5(b)に示すメニュー画面42において「2.利用を開始する」の選択肢をタッチして利用開始をリクエストする(S15)。
この結果、図5(c)に示す車両番号選択画面44が表示されるため、ユーザは▼ボタンをタッチして現在乗車している車両の車両番号をプルダウンメニュー中から選択する(S16)。
現在乗車しているのがシステム10に未登録の車両である場合には、図5(b)のメニュー画面42に戻り、「4.車両番号を追加する」をタッチして車両番号の追加を行う。
【0028】
管理サーバ12は、スマートフォン36から送信された車両番号と駐車場制御装置14から送信されていた車両番号を照合し、一致した場合には対応のユーザID及び駐車場コードが記録されたレコードを利用履歴DB12iに登録する(S17)。
これ以降、処理の進展に伴い、利用履歴データが同レコードに追記される。
【0029】
つぎに管理サーバ12は、所定桁数のOTP(ワンタイムパスワード)を生成し、当該OTPの記述された電子メールをユーザの登録メールアドレス宛てに送信する(S18)。電子メールの代わりに、ユーザの携帯電話番号宛てにSMS(ショートメッセージ)でOTPを送信することもできる。
同時に管理サーバ12は、駐車場制御装置14に上記OTPを通知し、当該OTPを認証キーとして入力したユーザ端末に対し、場内無線LANの利用を許可することを依頼すると共に(S19)、利用開始日時を利用履歴DB12iに登録する(S20)。
これを受けた駐車場制御装置14は、以後、当該OTPを認証キーとして用いたユーザ端末が、アクセスポイント24を介してインターネットに接続すること(場内無線LANを利用すること)を許可する(S21)。
【0030】
一方、ユーザは自己のノートパソコン34の無線接続設定において場内無線LANをアクセスポイントとして選択すると共に、ネットワークセキュリティキーとして上記電子メールに記載されたOTPを入力し(S22)、アクセスポイント24を通じたインターネット接続を開始する(S23)。
この間、ユーザは場内無線LANに繋がった複合機26を通じて資料をプリントアウトしたり、同複合機26を用いて資料をスキャニングし、自己のノートパソコン34に取り込んだりすることもできる。
【0031】
所定時間が経過し、ユーザがスマートフォン36上に図5(b)のメニュー画面42を呼び出し、「3.利用を終了する」をタッチして利用終了を通知した時点で(S24)、管理サーバ12は駐車場制御装置14に対し上記OTPの無効化指令を送信する(S25)。
これを受けた駐車場制御装置14は、以後、上記OTPを認証キーとするユーザ端末がアクセスポイント24を介してインターネットと接続することを停止する(S26)。
【0032】
つぎに管理サーバ12は、利用履歴DB12iに利用終了日時を登録すると共に(S27)、ユーザの利用時間に応じて利用料金(駐車場利用料+無線LAN利用料)を算出し(S28)、利用料金が記載された電子メールをユーザの登録メールアドレス宛てに送信する(S29)。
この利用料金に納得したユーザは、この電子メール中に記述されたリンクをタッチしてシステム10のWebサイトにアクセスし、「料金確認」を選択する(S30)。
【0033】
ユーザ端末から利用料金に関する確認の通知を受信した管理サーバ12は、ユーザが事前登録しておいたクレジットカード情報をクレジットカード会社のコンピュータに送信し、利用料金の決済を依頼する(S31)。
決済が完了した後、管理サーバ12は利用履歴DB12iにクレジットカードによる決済完了を示すデータ(決済完了フラグ/決済種別)を登録する(S32)。
【0034】
ユーザが車両を駐車スペースから退場口付近にまで移動させると、第2の近接センサ22からの出力に基づいて駐車場制御装置14がこれを退場車両として検知すると共に(S33)、第2のカメラ18から取り込まれた映像の中からナンバープレート32を探索し、そこに表記された車両番号を読み取る(S34)。
読み取られた退場車両の車両番号は、駐車場制御装置14から管理サーバ12に通知される(S35)。
これを受けた管理サーバ12は、利用履歴DB12iに退出日時を登録する(S36)。
万一、決済完了後一定時間を経過しても退場の通知が駐車場制御装置14から送信されない場合、管理サーバ12からユーザのメールアドレスに宛てて、早期の退場を促す電子メールが送信される。
【0035】
なお、ユーザの故意または過失により、S24の利用終了の通知を行うことなく、いきなり駐車場から車両を退場させてしまう事態も生じ得る。
このような場合に備え、以下のような追加工程を準備しておくことが有効である。
(1) 上記S35において、駐車場制御装置14から管理サーバ12に退場車両の車両番号が通知された際に、管理サーバ12は利用履歴DB12iを参照し、当該車両番号について「利用終了日時」が登録されているか否かを確認する。
(2) 「利用終了日時」が登録されている場合には、そのまま「退場日時」を登録する(S36)。
(3) 「利用終了日時」が登録されていない場合には、勝手に退場したものと認定し、駐車場制御装置14に対してOTP無効化指令を即座に送信し、場内無線LANの利用を停止させる。
この結果、利用終了の意思表示を行うことなくユーザが勝手に退場した場合であっても、少なくとも場内無線LANが無権限の状態で利用され続けることを有効に防止できる。利用料金の決済の問題は残るが、システム10の運用者はユーザの連絡先や決済情報、車両番号等を押さえているため、取りはぐれる危険性は低い。
【0036】
上記においては、利用料金を予め登録しておいたクレジットカードによって決済する例を示したが、ユーザは事前精算機28を介して現金や電子マネー等を用いて決済することもできる。
具体的には、以下のステップが実行される。
(1) 上記S30の「料金確認」に際し、ユーザはクレジットカード以外の決済手段(現金、電子マネー等)を選択する。
(2) ユーザは駐車場内の事前精算機28に移動し、車両番号を入力する。
(3) ユーザは事前精算機28のディスプレイに表示された金額を確認した後、現金を投入し、あるいは電子マネーを翳して決済を行う。
※利用料金は、予め管理サーバ12から駐車場制御装置14に通知されている。
(4) 駐車場制御装置14から管理サーバ12に決済完了通知が送信される。
(5) 管理サーバ12は、利用履歴DB12iに現金または電子マネーによる決済完了の事実を登録する。
【0037】
上記S28~S31においては、駐車場利用料と無線LAN利用料を合算して請求する例を示したが、この発明はこれに限定されるものではない。
例えば、最初は駐車場に停車した車両内で無線LANを利用して仕事を行い、仕事を終えた後は無線LANの利用のみを停止し、車両の駐車は継続することを希望するユーザも存在する。このようなニーズに応えるためには、無線LAN利用料と駐車場利用料を別建てとしておくことが有効である。
なお、一旦利用を停止した後、再度無線LANの利用が必要になった場合、ユーザは上記S13~S16の操作を改めて行い、新たなOTPの発行を受ければよい。
【0038】
駐車場としての付加価値を高めるため、無線LANの利用については無料とすることもできる。
このような場合には、上記S24のように利用終了の通知をユーザに求めることなく、駐車場制御装置14から退場車両の車両番号が送信された時点で、管理サーバ12から駐車場制御装置14に対して当該車両番号に関連付けられたOTPの無効化指令を発するように構成することが望ましい。
【0039】
上記の場内無線ネットワークの利用許可及び利用停止は、例えば以下のようにして実現される。
まず、「利用許可」の場合、駐車場制御装置14からアクセスポイント24に管理サーバ12から送信された新たなOTPが出力される。アクセスポイント24はこのOTPを所定の記憶手段に追加し、以後、当該OTPを認証コードとして用いる端末(複数も可)をインターネットに接続する。
「利用停止」の場合には、駐車場制御装置14からアクセスポイント24に管理サーバ12から停止対象として指定されたOTPが出力される。アクセスポイント24はこのOTPを上記記憶手段から削除し、以後、当該OTPを認証コードとして用いる全ての端末をインターネットから切り離す。
【符号の説明】
【0040】
10 駐車場無線ネットワーク利用システム
12 管理サーバ
14 駐車場制御装置
16 第1のカメラ
18 第2のカメラ
20 第1の近接センサ
22 第2の近接センサ
24 アクセスポイント
26 複合機
28 事前精算機
30 車両
32 ナンバープレート
34 ノートパソコン
36 スマートフォン
40 ログイン画面
42 メニュー画面
44 車両番号選択画面
図1
図2
図3
図4
図5