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特許7541940ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 3/00 20060101AFI20240822BHJP
   B01J 19/24 20060101ALI20240822BHJP
   C01F 17/235 20200101ALI20240822BHJP
【FI】
B01J3/00 A
B01J19/24
C01F17/235
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021022096
(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公開番号】P2021126654
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】202021006347
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510337621
【氏名又は名称】タタ コンサルタンシー サービシズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TATA Consultancy Services Limited
【住所又は居所原語表記】Nirmal Building,9th Floor,Nariman Point,Mumbai 400021,Maharashtra,India.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】プッケラ アルジュン クマール
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン シヴァクマール
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシャラジュ ラヴィラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ナディムパリ ナガラヴィ クマルヴァルマ
(72)【発明者】
【氏名】ルンカナ ヴェンカタラマーナ
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-017851(JP,A)
【文献】特開2005-021724(JP,A)
【文献】特開2010-190467(JP,A)
【文献】特表2008-509401(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0348667(US,A1)
【文献】米国特許第07935169(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 3/00-08、19/00-32
C01F 17/235
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置であって、
少なくとも金属前駆体溶液及び溶媒を別々に受け取るための複数の入口部分を含む入口セクションと、
前記入口セクションから延び、前記金属前駆体溶液と前記溶媒との間のソルボサーマル反応、並びにさらなるナノ粒子形成及びナノ粒子成長を引き起こす連続混合を可能にし、それぞれが螺旋チャネルに後続する逆螺旋チャネルを有する複数の螺旋ターンを有する螺旋セクションを含む反応器セクションであって、前記金属前駆体溶液及び前記溶媒が、前記金属前駆体溶液と前記溶媒との間の混合を可能にするように流れ方向を入れ替え、前記金属前駆体溶液と前記溶媒との間の前記ソルボサーマル反応が、ナノ粒子を含むスラリーをもたらす、反応器セクションと、
前記複数の螺旋ターンのうちの前記反応器セクションの出口部分に近接して構成された螺旋ターンの組を取り囲み、前記反応器セクションの温度を設定温度まで急速に低下させるためのクエンチ流体を保持することができ、さらに前記ナノ粒子の目標粒子特性に基づいて前記螺旋ターンの組の数を調整することができる柔軟なクエンチユニットと、
前記反応器セクションの出口部分において前記ナノ粒子のスラリーを収集するように構成された出口セクションと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記溶媒は、有機溶媒、無機溶媒及び超臨界流体のうちの1つを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記反応器セクションは、前記複数の螺旋ターンのうちの一部の螺旋ターンの螺旋チャネル及び逆螺旋チャネルの少なくとも一方の内部で前記金属前駆体溶液と前記溶媒との混合を強化するように構成された複数のバッフルを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記入口セクションを前記反応器セクションに結合する第1のコネクタをさらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の螺旋ターンの数は、目標ナノ粒子特性に基づいて調整される、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
複数の第2のコネクタをさらに備え、該複数の第2のコネクタの各第2のコネクタは、螺旋チャネルを対応する逆螺旋チャネルに結合及び分離させて前記複数の螺旋ターンの数を調整することができる、
請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記柔軟なクエンチユニットは、
前記反応器セクションの温度を設定温度まで低下させることができる前記クエンチ流体を保持する、前記螺旋ターンの組の周囲のエンクロージャと、
前記エンクロージャの外側部分において前記エンクロージャへの前記クエンチ流体の導入を容易にするように構成された入口と、
前記エンクロージャ外側部分において前記エンクロージャからの前記クエンチ流体の除去を容易にするように構成された出口と、
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記クエンチユニットを前記反応器セクションの前記螺旋ターンの組と共に保持するロック機構をさらに備え、該ロック機構は、前記クエンチユニットを保持するための支持構造と、前記エンクロージャのサイズを調整するための、前記支持構造に取り付けられた複数のねじとを含む、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための方法であって、
少なくとも金属前駆体溶液及び溶媒を別々に受け取るための複数の入口部分を含む入口セクションと、
前記入口セクションから延び、前記金属前駆体溶液と前記溶媒との間のソルボサーマル反応、並びにさらなるナノ粒子形成及びナノ粒子成長を引き起こす連続混合を可能にし、それぞれが螺旋チャネルに後続する逆螺旋チャネルを有する複数の螺旋ターンを有する螺旋セクションを含む反応器セクションであって、前記金属前駆体溶液及び前記溶媒が、前記金属前駆体溶液と前記溶媒との間の混合を可能にするように流れ方向を入れ替え、前記金属前駆体溶液と前記溶媒との間の前記ソルボサーマル反応が、ナノ粒子を含むスラリーをもたらす、反応器セクションと、
前記複数の螺旋ターンのうちの前記反応器セクションの出口部分に近接して構成された螺旋ターンの組を取り囲み、前記反応器セクションの温度を設定温度まで急速に低下させるためのクエンチ流体を保持することができ、さらに前記ナノ粒子の目標粒子特性に基づいて前記螺旋ターンの組の数を調整することができる柔軟なクエンチユニットと、
前記反応器セクションの出口部分において前記ナノ粒子のスラリーを収集するように構成された出口セクションと、
を備えたナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置に前記金属前駆体溶液及び前記溶媒を導入するステップと、
前記柔軟なクエンチユニットにおいて前記スラリーをクエンチングして目標特性の前記ナノ粒子を取得するステップと、
前記出口セクションにおいて、前記クエンチユニットにおいてクエンチングされた前記スラリーを収集するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照及び優先権〕
本出願は、2020年2月13日に出願されたインド国特許出願第202021006347号に基づく優先権を主張するものである。上記出願の内容は、全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本明細書における実施形態は、一般にナノ粒子合成に関し、具体的には、ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノ粒子は、少なくとも1つの寸法が100nm未満の微細粒子である。ナノ粒子は、その小型サイズに起因して特異的な性質を示し、従って以下に限定するわけではないが、触媒、化学機械平坦化(CMP)剤、顔料、薬物送達キャリア、コーティング、コンデンサ及び磁気テープなどを含む様々な用途で利用される。ナノ粒子は、その幅広い用途を理由に商業生産又は合成に対する関心が高まっているが、これは未だに完全には上手くいっていない。
【0004】
ソルボサーマル法を通じたナノ粒子合成は、反応物質の混合と、その後のソルボサーマル化学反応、粒子形成及び成長とを含む。ソルボサーマル反応器における反応物質の混合は、ソルボサーマル反応と、その後の粒子形成及び成長ステップとを制御する上で極めて重要な役割を果たす。ナノ粒子製品の合成には、様々な従来の装置を利用することができる。本発明者らは、このような従来のシステムの後述するようないくつかの技術的課題及び限界を認識した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、従来のナノ粒子合成装置は、必要な粒子特性を得るために長期の加熱及び熟成時間を採用するバッチ反応器である。このような従来の装置は、適温で動作するように制限される。バッチ反応器は、少ない前駆体充填量で長い工程時間を必要とするので、連続反応器に比べて処理能力及び生産性が低い。通常、連続反応器は、ナノ粒子の連続生成のために(先験的に生成された)高温溶媒及び金属塩前駆体を利用する。この技術分野において複数の連続反応器構成が提案されているが、これらには混合特性が弱く処理能力が低いという限界がある。さらに、従来の連続反応器は、反応物質の混合が高速でないためナノ粒子の連続生成に関して非効率的であり、これによって化学反応、粒子形成及び成長のためのタイムスケールが長くなるとともに、(粒子サイズ、粒子サイズ分布、形態及び結晶性などの)粒子特性を上手く制御することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態は、本発明者らが従来のシステムにおいて認識した上記技術的課題のうちの1つ又は2つ以上の解決策としての技術的改善を提示するものである。例えば、1つの実施形態では、ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を提供する。装置は、入口セクションと、反応器セクションと、柔軟なクエンチユニットと、出口セクションとを含む。入口セクションは、少なくとも金属前駆体溶液及び溶媒を別々に受け取るための複数の入口部分を含む。反応器セクションは、入口セクションから延びて、金属前駆体溶液と溶媒との間のソルボサーマル反応と、さらなるナノ粒子形成及びナノ粒子成長とを引き起こす連続混合を可能にする。反応器セクションは、複数の螺旋ターンを有する螺旋セクションを含み、複数の螺旋ターンの各螺旋ターンは、螺旋チャネルに後続する逆螺旋チャネルを有し、金属前駆体溶液及び超臨界流体は、金属前駆体溶液と溶媒との間の混合を可能にするように流れ方向を入れ替え、金属前駆体溶液と溶媒との間のソルボサーマル反応は、ナノ粒子を含むスラリーをもたらす。柔軟なクエンチユニットは、複数の螺旋ターンのうちの反応器セクションの出口部分に近接して構成された螺旋ターンの組を取り囲み、反応器セクションの温度を設定温度まで急速に低下させるクエンチ流体を保持することができ、さらにナノ粒子の目標粒子特性に基づいて螺旋ターンの組の数を調整することができる。出口セクションは、反応器セクションの出口部分においてナノ粒子のスラリーを収集するように構成される。
【0007】
別の態様では、ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための方法を提供する。方法は、ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置に金属前駆体溶液及び溶媒を導入するステップを含む。装置は、入口セクションと、反応器セクションと、柔軟なクエンチユニットと、出口セクションとを含む。入口セクションは、少なくとも金属前駆体溶液及び溶媒を別々に受け取るための複数の入口部分を含む。反応器セクションは、入口セクションから延びて、金属前駆体溶液と溶媒との間のソルボサーマル反応と、さらなるナノ粒子形成及びナノ粒子成長とを引き起こす連続混合を可能にする。反応器セクションは、複数の螺旋ターンを有する螺旋セクションを含み、複数の螺旋ターンの各螺旋ターンは、螺旋チャネルに後続する逆螺旋チャネルを有し、金属前駆体溶液及び超臨界流体は、金属前駆体溶液と溶媒との間の混合を可能にするように流れ方向を入れ替え、金属前駆体溶液と溶媒との間のソルボサーマル反応は、ナノ粒子を含むスラリーをもたらす。柔軟なクエンチユニットは、複数の螺旋ターンのうちの反応器セクションの出口部分に近接して構成された螺旋ターンの組を取り囲み、反応器セクションの温度を設定温度まで急速に低下させるクエンチ流体を保持することができ、さらにナノ粒子の目標粒子特性に基づいて螺旋ターンの組の数を調整することができる。出口セクションは、反応器セクションの出口部分においてナノ粒子のスラリーを収集するように構成される。さらに、方法は、柔軟なクエンチユニットにおいてスラリーをクエンチングして目標特性のナノ粒子を取得するステップを含む。また、方法は、クエンチユニットにおいてクエンチングされたスラリーを出口セクションにおいて収集するステップも含む。
【0008】
上述した概要及び以下の詳細な説明は、いずれも例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を限定するものではないと理解されたい。
【0009】
本開示に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、例示的な実施形態を示すとともに、本明細書と併せて開示する原理を説明する役割を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ある実施形態例による、ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置の等角図である。
図2A】ある実施形態による、図1の装置の入口セクション例を示す図である。
図2B】ある実施形態による、図1の装置の入口セクション例を示す図である。
図2C】ある実施形態による、図1の装置の入口セクション例を示す図である。
図2D】ある実施形態による、図1の装置の入口セクション例を示す図である。
図3】ある実施形態例による、図1の装置の反応器セクション例を示す図である。
図4A】ある実施形態例による、図1の装置の第1のコネクタ例を示す図である。
図4B】ある実施形態例による、図1の装置の第1のコネクタ例を示す図である。
図4C】ある実施形態例による、図1の装置の第のコネクタ例を示す図である。
図4D】ある実施形態例による、図1の装置の第のコネクタ例を示す図である。
図4Eある実施形態例による、図1の装置の第2のコネクタ例を示す図である。
図5】ある実施形態例による、図1の装置に具現化されるバッフル構成例を示す図である。
図6A】ある実施形態例による、図1の装置の柔軟なクエンチユニット例を示す図である。
図6B】ある実施形態例による、図1の装置の柔軟なクエンチユニット例を示す図である。
図7】ある実施形態例による、ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための方法のフロー図である。
図8A】ある実施形態例による、図1の開示する装置の反応器セクションにおける反応物質の流れのメカニズムを示す図である。
図8B】ある実施形態例による、図1の開示する装置の反応器セクションにおける反応物質の流れのメカニズムを示す図である。
図9図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図10図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図11図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図12A図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図12B図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図12C図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図13A図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図13B図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図13C図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図14図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図15図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図16A図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図16B図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図17図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図18図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
図19図1図6Bのナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置を使用して得られた実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の全ての特徴を示すいくつかの実施形態について詳細に説明する。「備える、有する、含む(comprising、having、containing及びincluding)」という単語、及びこれらの他の形態は、これらの単語のうちのいずれか1つに後続する1又は複数の項目がこのような1又は複数の項目の完全なリストであるようにも、或いはリストされた1又は複数の項目のみに限定されるようにも意図されていないという点で、意味的に同等であって制約のないものとして意図される。
【0012】
なお、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する単数形の「a、an(英文不定冠詞)」及び「the(英文定冠詞)」は、文脈において別途明確に示されていない限り複数形の照応を含む。本発明の実施形態の実践又は試験では、本明細書で説明するものと同様又は同等のあらゆる装置及び方法を使用することができるが、以下では好ましい装置及び方法について説明する。
【0013】
添付図面に示し、以下の説明において詳述する非限定的な実施形態を参照しながら、本明細書の実施形態、並びにその様々な特徴及び有利な詳細についてより完全に説明する。本明細書において使用する実施例は、本明細書の実施形態を実施できる方法の理解を容易にするとともに、当業者による本明細書の実施形態の実施を可能にするように意図するものにすぎない。従って、実施例については、本明細書の実施形態の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【0014】
従来、工業用途におけるナノ粒子合成のためのバッチ反応器として利用される反応器は、前駆体流体(precursor fluid)及び溶媒などの反応物質を保持するように構成される。これらの反応物質は、混ざり合って化学反応を実行することによってナノ粒子を生成することができる。化学反応は、反応器内の反応物質の温度及び圧力を変化させることによって実行される。
【0015】
ナノ粒子生成では、結果として得られる生成物分子が同様の化学反応、粒子形成及び成長ステップを経て均一な生成物ナノ粒子スラリー特性をもたらすように、反応物質の混合が瞬間的なものでなければならない。従来の反応器は、その構造及び流れ構成に起因して、反応物質(金属塩溶液及び溶媒)間のより良い接触をもたらす能力に限界があり、従って反応物質間の混合が十分でなく、より長い時間及び長さスケールにわたって拡散する結果、反応が不完全となり又は長期にわたることによって粒子形成及び成長が不完全になり、このことがナノ粒子生成の収率及び最終的な生成物ナノ粒子スラリーの品質に悪影響を与えてしまう。
【0016】
典型的な反応器は、反応物質の加熱にオイルバス(oil bath)などの媒体を採用する。通常、これらの加熱媒体は、反応物質を保持する反応器の外部に構成され、従って反応物質の混合が不均一になって反応器温度の制御が柔軟でなくなり、これによって化学反応が低速になる結果、粒子サイズ分布が広く粒子サイズが大きなナノ粒子が生成されて粒子形状及び結晶性の制御が不十分になる。
【0017】
典型的な反応器では、例えば反応器をウォーターバス(水浴)などの流体に沈めることによって反応及び粒子成長をクエンチ(quench)することができる。しかしながら、従来の反応器によって可能になるクエンチングでは、反応器全体をクエンチ流体に沈めることによって反応を止める必要があり、これが常に望ましいとは限らない場合もある。例えば、場合によっては反応を完全にクエンチするのではなく制御することが望ましいこともある。
【0018】
市販の反応器は、処理能力及び生成率が非常に限られたバッチタイプの作業を採用する。周知のように、バッチ作業では、反応物質を容器(vessel)に入れて処理して生成物を生成する。さらに、これらの生成物を反応器から空にして新たなバッチを受け入れる。この反応物質を供給して生成物を空にするプロセスには非常に時間がかかる。また、所望の反応を実行するには、再び新たな反応物質のバッチを必要温度まで加熱する必要がある。これらのプロセスステップに起因して、バッチ作業全体に相当な時間が費やされる。
【0019】
本明細書に開示する様々な実施形態は、従来の方法及び装置の限界を克服するナノ粒子の連続合成のための装置及び方法を提供する。例えば、ある実施形態では、開示する装置が、反応物質の正しい混合を可能にする「無限大」形状に構成された螺旋ターンを含む。さらに、開示する装置は、反応器が断熱材(heat insulation)で覆われている間に前駆体溶液と共に超臨界水(supercritical water)を導入することによって反応器の外部加熱を回避する。超臨界水によって供給される熱は、前駆体溶液の内部加熱を促す。前駆体溶液を内部加熱する利点は、加熱障壁(heating barrier)が存在しない一方で超臨界水の温度及び圧力を正確に制御できるため、ナノ粒子が高速生成される点である。また、ある実施形態では、装置が、(従来行われているように)反応器全体を沈める代わりに螺旋ターンの少なくとも一部を取り囲むように柔軟に構成できるクエンチユニットを含む。従って、開示するクエンチユニットは、プロセス条件/温度を400℃から50℃に柔軟に低下させて目標特性を有するナノ粒子を生成することにより、より良好な粒子特性の制御を可能にしながら高い処理能力及び生成率を維持することができる。例えば、クエンチユニットは、クエンチユニット内の所望の温度を達成するためにクエンチユニットに対して流入/流出するクエンチ流体の流量を制御/変更するように動作できる制御弁を含む。開示する装置は、制御弁の助力によってクエンチセクション内の所望の温度を達成することができる。これらの制御弁は、流入/流出するクエンチ流体の流量を変更することができる。流入する流量が多ければクエンチユニット内の温度は低下し、逆もまた同様である。これらの制御弁は、プロセス空気を活用して動作することができる(空気圧式制御弁又は磁気制御弁など)。
【0020】
説明する装置及び方法の混合及び分離の態様は、あらゆる数の異なるシステム、ユーティリティ環境及び/又は構成で実現することができるが、実施形態については、以下の例示的な装置の文脈で説明する。
【0021】
図1に、ある実施形態例による、ナノ粒子のソルボサーマル合成のための装置100を示す。装置100は、入口セクション110、反応器セクション120、クエンチユニット150、及び出口セクション180を含む。装置100は、前駆体溶液(例えば、金属塩溶液)のストリームと溶媒のストリームとを互いに接触可能にすることによってナノ粒子の連続ソルボサーマル合成を容易にする。ある実施形態では、溶媒を超臨界流体とする(すなわち、その臨界点を上回る温度とする)ことができる。臨界温度の溶媒として利用できる流体の例としては、以下に限定するわけではないが、水、CO2、エタン、プロパン、メタノール、エタノールなどを挙げることができる。
【0022】
これらのストリームは、反応器セクション120を徐々に下っていく際に混ざり合うことにより、以下に限定するわけではないが、加水分解、縮合、重縮合、混合縮合、沈殿、並びに還元及び酸化を含むことができるソルボサーマル反応を引き起こして金属酸化膜分子を形成する。これらの分子は、核生成、拡散成長、凝集(coagulation)及びオストワルド熟成(Ostwald ripening)を経ることによってナノ粒子を形成する。以下、ナノ粒子のソルボサーマル合成のための装置100のコンポーネント、すなわち入口セクション110、反応器セクション120、クエンチユニット150及び出口セクション170の詳細についてさらに説明する。
【0023】
反応物質は、物理特性及び輸送特性、特に密度及び粘度が異なるため、反応物質の正しい混合には従来課題がある。開示する入口セクション110は、金属前駆体溶液及び溶媒を別々に受け取って反応器120に導入するように構成される。ある実施形態では、提案する入口セクション110が、金属前駆体溶液及び溶媒を別々に反応器120に導入するための第1の入口部分及び第2の入口部分を含むことができる。上述したように、第1の入口部分及び第2の入口部分からは、超臨界水(T=400℃、p=220bar)及び前駆体溶液(T=28℃、p=220bar)を含む2つの異なる反応物質のストリームが別々に反応器120に導入される。
【0024】
ある実施形態では、提案する入口セクション110が、以下に限定するわけではないが、同心円形入口(concentric circular inlet)、偏心円形入口(eccentric circular inlet)、矩形同心環状入口セクション(rectangular concentric annular inlet section)及び矩形並列入口セクション(rectangular side by side inlet section)を含む構成のうちのいずれかをとることができる。これらの入口セクションの構成について、図2A図2Dをさらに参照しながら図示し説明する。
【0025】
図2A図2Dに、入口セクション110の構成を示す。例えば、図2Aには同心円形入口セクション210を示し、図2Bには偏心円形入口セクション230を示し、図2Cには矩形同心環状入口セクション250を示し、図2Dには矩形並列入口セクション270を示す。
【0026】
図2Aに示すように、入口セクション210は、内側管210a及び外側管210bなどの同心管(concentric tubes)を含む。図示のように、管210a、21bは、異なる流体の流れを可能にするように同軸的に構成される。本明細書における利用可能な伝熱面積は、入口セクションの同心円形管構成210と偏心円形管構成230とで同じであるが、偏心構成の管構成230では、片側付近の流れが妨げられることによる乱流活動の増加に起因して流れが極めて不均一である。これによって流体間の伝熱係数が増補される。円形環状構成210及び矩形環状構成250では、流体の配置を管内のいずれかの場所で分散させることができる。
【0027】
開示する装置は、複数の流体を導入させて混合及びソルボサーマル反応を可能にしてナノ粒子を生成することができると理解されるであろう。従って、入口セクション210は、装置内に複数の流体を別々に導入することに対応するために(複数の流体の数に等しい)複数の入口を含むように構成することができる。例えば、同心円形入口セクション210は、装置内に複数の流体を導入できるように同軸的に構成された複数の同心管を含むことができる。同様に、偏心円形入口セクション230も、複数の流体を導入できるように複数の偏心配置された円形管を含むことができる。また、矩形同心環状入口セクション250は、装置100内に複数の流体を別々に導入できるように複数の矩形入口管を含むことができる。さらに、矩形並列入口セクション270は、装置100内に複数の流体を別々に導入できるようにする複数の分割器/分離器を含むことができる。
【0028】
また、様々な実施形態では、反応物質の流量、反応物質の特性、化学反応速度論、反応器の動作条件などの様々な要因に基づいて、入口セクションの構成を利用可能な構成から選択することができると理解されるであろう。
【0029】
ある実施形態では、入口セクション110が第1のコネクタによって反応器セクション120に結合される。反応器セクション120の例については、図1図3を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0030】
反応器セクション120の目的は、反応物質を含む未加工材料を接触(又は混合)させ、従って2つの反応物質間のより良好な質量輸送及び熱輸送を得ることである。この結果、反応物質は、ソルボサーマル反応を受けて生成物分子を形成する。これらの生成物分子は、反応器内を下流に向かって通過するにつれ、核生成、拡散成長、凝集及びオストワルド熟成という粒子成長メカニズムを経る。ナノ粒子のスラリーは生成物を形成する。生成物の粒子サイズは、上述した粒子成長ステップ間の相互作用に依存する。ほぼ均一な生成物粒子特性(すなわち、粒子サイズ、粒子サイズ分布、粒子形状及び結晶性)を得るには、反応物質の混合をできるだけ速くする必要がある。これにより、結果として得られる化学反応、粒子形成及び成長が均一になり、粒子が同様の長さ及びタイムスケールを体験して成長する。反応器セクション120は、超臨界ソルボサーマル合成を通じてナノ粒子の高速生成を可能にする。反応器セクション120は、曲線流路設計によって誘発される遠心力の相対的差異を使用して、金属前駆体溶液と超臨界水との間の密度が異なる反応物質の流体ストリームの混合のための強化された環境をもたらす。
【0031】
図3に示すように、反応器セクション120は、金属前駆体溶液と溶媒との間の反復混合(recurrent mixing)及びソルボサーマル反応を可能にするように入口セクション110から延びる。ソルボサーマル反応は、ナノ粒子形成及びナノ粒子成長を引き起こす。反応器セクション120は、複数の螺旋ターンを有する螺旋セクションを含み、複数の螺旋ターンの各螺旋ターンは、螺旋チャネルに後続する逆螺旋チャネルを含む。例えば、図示の反応器セクション120は、螺旋ターン122、124などの複数の螺旋ターンを含む。螺旋ターン122、124の各々は、螺旋チャネルに後続する逆螺旋チャネルを含む。例えば、螺旋ターン122は、螺旋チャネル126に後続する逆螺旋チャネル128を含む。逆螺旋チャネルは、複数の流体相が螺旋チャネルから逆螺旋チャネルに流れる際に、複数の流体相の流れ方向を変化させる(すなわち、時計回りから反時計回りに、及びその逆に)。本明細書に開示する実施形態の重要な寄与は、上述したような混合セクションの螺旋ターンの構成、すなわち螺旋ターンの後に逆螺旋ターンが続くことによって流体相の混合強化を可能にする点である。
【0032】
図3に示すように、螺旋チャネルに後続する逆螺旋チャネルを有する螺旋ターンの構成は、複数の螺旋ターンの各々に無限大形状を与える。この無限大形状のターンにより、金属前駆体溶液及び溶媒が流れ方向を入れ替えることによって、金属前駆体溶液と溶媒との間の混合が可能になる。金属前駆体溶液と溶媒との間の化学反応は生成物分子をもたらし、その後にこれらが反応器セクション120の下流を通過するにつれて超微細又はナノ粒子に成長する。
【0033】
ある実施形態では、反応器セクション120がモジュール設計を具現化し、すなわち複数の螺旋ターンをそれぞれ組み立て及び/又は分解することによって反応器セクションを構成及び/又は解体することができる。例えば、反応器セクション110の螺旋ターン122、124などの螺旋ターンを組み立てて反応器セクションを形成することができる。また、螺旋ターンの螺旋チャネル及び逆螺旋チャネルの各々の組み立て及び分解を行って、対応する螺旋ターンの構成及び解体をそれぞれ行うこともできる。例えば、螺旋ターン122の螺旋チャネル126及び逆螺旋チャネル128を互いに分離して螺旋ターン122を解体することができる。同様に、螺旋ターン122の螺旋チャネル126及び逆螺旋チャネル128を互いに結合して螺旋ターン122を構成することもできる。
【0034】
ある実施形態では、図4A図4Bに示すように、螺旋ターン及び/又は反応器セクション120の組み立て及び/又は分解が複数のコネクタによって容易にされる。複数のコネクタの各々は、反応器セクション110のコンポーネントの結合を容易にする。例えば、第1のコネクタ132は、入口セクション110と反応器セクション120との結合及び分離を容易にする。また、第2のコネクタ130は、反応器セクション120の螺旋チャネル126と逆螺旋チャネル128との結合及び分離を容易にする。図4A図4Bを参照しながら第1のコネクタの例について説明する。
【0035】
図4A図4Bには、ある実施形態例による、入口セクション110を反応器セクション120に結合する第1のコネクタ132の例を示す。第1のコネクタ132は、第1の末端部分132a及び第2の末端部分132bを有する構成を含む。第1の末端部分132aは、入口セクションのエッジ部分に適合するように構成され、第2の末端部分132bは、逆螺旋チャネルのエッジ部分に適合するように構成され、これによって入口セクションを反応器セクションの螺旋チャネルに結合する。
【0036】
図4C図4Eには、第2のコネクタ142の例を示す。ある実施形態では、装置100が複数の第2のコネクタを含み、複数の第2のコネクタの各第2のコネクタは、螺旋チャネルを対応する逆螺旋チャネルに対して結合及び分離して複数の螺旋ターンの数を調整することができる。例えば、図4C図4Eに示すように、第2のコネクタ142は、螺旋チャネルを対応する逆螺旋チャネルに対して結合及び分離することができる。
【0037】
ある実施形態では、反応器セクション120が、第1の複数の螺旋ターンの螺旋チャネル及び逆螺旋チャネルの一方又は両方の内部に構成される、前駆体溶液及び溶媒の混合を強化するための複数のバッフルを含む。これらのバッフルは、前駆体溶液と溶媒との間の接触面積を増加させる。ある実施形態では、バッフルの数及び/又はバッフル間の距離が、接触する反応物質の密度、粘度などの特性に依存する。螺旋ターン及び/又は逆螺旋ターンにおけるバッフルの構成については、図5を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0038】
図5に、螺旋チャネル内に構成された複数のバッフル142、144、146を含む反応器セクション120を示す。本明細書では、説明を簡潔にするために、各螺旋ターンに単一のバッフルを示す。しかしながら、装置100の別の実施形態及び実装では、各螺旋チャネル及び逆螺旋チャネルが複数の/ゼロ個のバッフルを収容することもできると理解されるであろう。ある実施形態例では、複数のバッフルを反応器120のチャネルのコア付近に構成することができる。これに加えて、又はこれとは別に、これらのバッフルは、螺旋/逆螺旋チャネルの外周壁及び内周壁に構成することもできる。本明細書では、これらのバッフルを上記チャネルの上壁及び底壁に固定することによって構成することができる。これらのバッフルは、反応物質の大規模な混合を促す。
【0039】
再び図1を参照すると、装置100は、反応器セクション120の末端部分に構成された出口セクション170を含む。出口セクション170は、目標粒子特性に関連するナノ粒子のスラリーを反応器120から引き出すことを容易にする。本明細書における目標粒子特性は、所定の平均粒子サイズ、粒子サイズ分布の標準偏差、粒子形状、結晶性を意味することができる。例えば、化学機械平坦化(CMP)の用途では、通常はナノ粒子の平均サイズを10~20nm、非常に狭い分布(1~2nmの標準偏差)、球形、及び100%の結晶性とすべきである。所定の又は目標のナノ粒子特性の生成に必要な螺旋ターンの数は、結合CFD-PBMシミュレーション(coupled CFD-PBM simulations)に基づいて推定することができる。
【0040】
ある実施形態では、反応器セクションを、ステンレス鋼316(SS316)及びハステロイ又はいずれかの耐食性材料などの材料から構成することができる。流体相の混合及び分離方法例については、図8を参照しながらさらに説明する。
【0041】
反応器セクションにおける粒子システムは、ナノ粒子の必要な粒子成長を取得すると、急速に大気温度に移行してナノ粒子のさらなる成長を停止する。装置100は、反応及び粒子成長を停止するための外部冷却機構を有するクエンチユニット150を含む。
【0042】
図1図6A図6Bをまとめて参照すると、柔軟なクエンチユニット150は、エンクロージャ152と、エンクロージャ152の外側部分においてエンクロージャへのクエンチ流体の導入を容易にするように構成された入口154と、エンクロージャ152の外側部分においてエンクロージャ152からのクエンチ流体の除去を容易にするように構成された出口156とを含む。柔軟なエンクロージャは、反応器セクション120の複数の螺旋ターンのうちの螺旋ターンの組を調整可能に取り囲む(又は覆う)ことができる。この螺旋ターンの組は、複数の螺旋ターンの出口部分又は下側部分に向かって構成されるターンである。本明細書における、1又は2以上の螺旋ターンを「調整可能に取り囲む」という用語は、スラリーの急速冷却に必要な反応器領域(又は螺旋ターンの組)を標的にするように位置を調整できるクエンチユニットの柔軟性を意味する。ある実施形態では、柔軟なクエンチユニット150が、1又は2以上の螺旋ターンを調整可能に取り囲むようにエンクロージャを柔軟に拡大及び/又は縮小するメカニズムを具現化する。ある実施形態では、エンクロージャ152を、拡大及び/又は縮小が可能なベローズで構成することができる。ある実施形態では、装置100が、クエンチユニットを反応器セクションの螺旋ターンの組と共に保持するためのロック機構を含むことができる。ある実施形態例では、ロック機構が、クエンチユニットと、エンクロージャのサイズを調整するために支持構造に取り付けられるねじ160a、160bなどの複数のねじとを保持する支持構造158a、158bを含むことができる。
【0043】
エンクロージャ152は、反応を停止させるためのクエンチ流体又は冷却液を保持することができる。クエンチ流体は、反応器セクション内部の反応混合物を著しく冷却できる氷点下温度又は標準室温から、化学反応及び粒子成長を停止させる室温に近い温度までを有することができる。冷却液の例としては、以下に限定するわけではないが、オーガニックオイル、ポリマー冷却剤、及びガス(窒素又はアルゴン)などを挙げることができる。本明細書では、粒子サイズ要件が用途に応じて変化するため、冷却する必要がある反応器セクションのターンにクエンチユニットを調整可能に配置することができる。ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成方法については、図7図8A及び図8Bを参照しながらさらに説明する。
【0044】
図7図8A図8Bに、ある実施形態例による、ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための方法を集合的に示す。具体的には、図7には、ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成方法700のフロー図を示す。図8A図8Bには、開示する装置100(図1を参照)の反応器セクションにおける反応物質の流れのメカニズムを示す。
【0045】
図7を参照すると、702において、方法700は、例えば図1のナノ粒子の連続超臨界ソルボサーマル合成のための装置100などの装置に、前駆体溶液及び溶媒を含む混合物を導入するステップを含む。前駆体溶液は、金属塩溶液を含むことができる。本明細書では、ナノ粒子のソルボサーマル合成のための装置を、図1図5を参照しながら説明した装置100とすることができる。上述した装置100及びそのコンポーネントについては、図1図5を参照しながら詳細に説明済みであり、従って説明を簡潔にするためにここではその詳細な説明を行わない。
【0046】
次に、図8A図8Bに、例えば反応器セクションの複数のターンのうちのターン122などのターンにおける溶媒及び前駆体流体の流れの例を示す。本明細書では、溶媒及び前駆体流体が異なる密度の流体である。具体的に言えば、前駆体流体は金属塩溶液であり、溶媒よりも重い。前駆体溶液及び溶媒などの2つの非混和性/混和性流体ストリームは、例えばターン122などの(螺旋又は逆螺旋)チャネルの螺旋ターンを通過すると、これらに作用する誘起遠心力の相対的差異に起因して、(金属塩溶液などの)重い方の流体がチャネルの外周部/外壁近くの領域を占めようとする。しかしながら、重い方の相は、外周部に到達すると、環境内で働く力に起因して、軽い方の相と混ざり合う意欲をほとんど示さない。開示する装置100は、螺旋ターンの方向を変化させることによって、すなわち共に無限大の形状を形成する逆ターンにすることによって上記誘起遠心力の方向を変化させ、従ってこれらの流体がさらに激しく混ざり合うようにする。また、この流体方向を反転させる動作は、装置内に複数のターンを設けることによって、所望の混合度合いが達成されるまで繰り返される。
【0047】
装置100では、反応器の複数の螺旋ターンが、反応器セクションを徐々に下って行く流体ストリームの混合を可能にすることにより、金属塩溶液のソルボサーマル反応が引き起こされて金属酸化膜分子を形成するようになる。
【0048】
ナノ粒子の必要な粒子成長が得られると、704において、装置100のクエンチユニットが下流の反応器セクションの少なくとも一部を急速に大気温度に変化させてナノ粒子のさらなる成長を停止させる。706において、方法700は、クエンチユニットによって急冷されたスラリーを収集するステップを含む。装置100の出口セクションから、目標特性のナノ粒子を有するスラリーを収集することができる。
【0049】
シナリオ例
開示する装置(例えば、装置100)をナノ粒子の合成について調査して、反応物質の混合、ソルボサーマル反応率に対する様々なプロセス条件及び反応器構成の影響、及び最終的な生成物粒子サイズ分布(PSD)に対するこれらの影響を判定した。オイラー・オイラー法(Eulerian-Eulerian approach)に基づく多層結合数値流体力学(multiphase coupled Computational Fluid Dynamics:CFD)ポピュレーションバランスモデル(Population Balance Model:PBM)を使用して、開示する装置内の流れ、熱輸送、反応及び粒子集団をシミュレートした。このモデルを市販のCFDソフトウェアであるANSYS Fluent(商標)16.0において使用し、セリアナノ粒子合成(ceria nanoparticle synthesis)の公開実験データでテストした。ナノ粒子合成には、反応器セクションの内側管を通じて金属前駆体溶液を導入し、外側管を通じて超臨界流体を導入する反応器構成を利用した。反応器セクション内部の混合は、重い流体(例えば、この場合は金属塩溶液)を軽い流体相(すなわち、溶媒)に浸透させることによって効率的な混合の後に化学反応を引き起こす螺旋ターンの湾曲に起因する遠心力によって促される。螺旋ターンから延びる後続の逆螺旋ターンは、反応物質の完全な混合を可能にする反復混合現象を引き起こす。以下の方程式に示すように、反応物質の分子は、核生成、表面成長及び凝集メカニズムを経ることによってナノ粒子を形成する。セリアナノ粒子のソルボサーマル合成に関与する反応例は以下のように検討される。
加水分解
2Ce(NO3)3+8H2O→2Ce(OH)4+6HNO3+H2 (1)
縮合
Ce(OH)4→CeO2+2H2O (2)
この加水分解反応は、高プロセス温度に起因して瞬間的反応であり、全体的な反応方程式は以下のように書くことができる。
2Ce(NO33+4H2O→2CeO2+6HNO3+H2 (3)
【0050】
上述したステップでは、流れ、熱及び化学種輸送の輸送プロセスが、生成物形成における重要な役割を果たす。流れが安定した後に、目標特性のナノ粒子が形成される。
【0051】
シナリオ例を目的として、以下のシミュレーション条件を考慮した。
【0052】
CFDモデルを使用して、以下の変形形態(図9図19)に示すように、反応器内の反応物質の速度、温度及び化学種フィールドなどのフィールドを模擬条件のために取得した。これらのフィールドをPBMモデルへの入力として与えることにより、反応器セクション内の生成物粒子サイズ分布を動作条件の関数として取得した。
【0053】
上述したシミュレーション条件では、超臨界水の流量を一定に保って流量比を0.25から開始して0.25の増分で1.5まで変化させ、所与の流量比(FR)についてグループ(set)の流量を倍加させた。ナノ粒子合成の限界を調査するために、金属塩溶液(M)の全体的流量を300g/分から7200g/分まで、超臨界水(S)を1200から4800g/分まで変化させる。シミュレーション研究に基づいて、流量比FR(金属前駆体の流量と超臨界の流量との比率)は、反応器セクション内の混合及び化学反応についてより良い洞察をもたらすことが観察された。
【0054】
入口構成が矩形並列構成(図2D)である実施形態では、流体ストリーム間の二等分壁(bisecting wall)の存在が、相間のカオス的混合の発生を防ぐ。二等分壁の先端は反応器セクション内で終端し、ここで両相が化学量論式(stoichiometric equation)に従って互いに反応し始めて生成物、すなわちセリア(CeO2)ナノ粒子を形成する。
【0055】
図9は、グループ1の様々な流動条件の流れ領域におけるセリアナノ粒子合成の分布等高線図(contour plots of distribution)である。2つの相が互いに接触した時に粒子形成が行われることが観察される。低いFR値、すなわちFR=0.25及び0.5では、金属塩溶液の低流量に起因してナノ粒子生成の拡散した帯域幅が存在し、反応の完了は最初の2、3ターンで発生する。FR値の増加と共に金属塩溶液の流量も増加し、界面帯域(interface band)が拡散状態からより鋭く変化することが観察される。高いFR値では、反応の完了が深い部分の流れ領域で発生することによって螺旋-逆螺旋の組み合わせが活用される。FR=1の流動条件に対応して最大生成物形成が行われることも観察される。FR値(すなわち、金属塩溶液の流量)のさらなる増加は、セリア粒子生成の増加に寄与しない。
【0056】
図10は、それぞれ検討中の異なる流量比での流れ領域の内壁の温度分布の等高線図である。定常状態では、軸方向及び半径方向の両方で温度勾配が生じた。入口セクションでは、外壁に近い領域から内壁領域に熱が移動し、軸方向距離が断面全体にわたって均一な温度を達成するとともにこれらの半径方向勾配は徐々に消失する。流量比(FR)の増加と共に反応媒体温度は低下することが観察される。
【0057】
図11には、様々な流量比条件について出口で測定した平均出口温度の低下を示す。なお、グループが増加しても、金属塩溶液及び超臨界水の流量がそれぞれ2倍になるため出口温度は変化しない(すなわち、影響を無視することができる)。入口セクションから測定した0.059、0.185、0.311、0.437、0.563、0.69、0.816、0.942、1.07、1.19、1.32、1.44及び1.57mの軸方向位置には、流路に沿って様々な平断面(cross-sectional planes)が形成される。図12A図12C及び図13A図13Cに、これらの位置における反応物質の平面平均変換量(plane averaged quantities of conversion)
と、全ての流動条件での生成物の収率(CR/CA0)とをそれぞれ示す。図12A図12Cからは、FR=0.25及び0.5の低流量比では全てのグループについて反応が瞬時に完了することが観察される。この理由は、金属塩溶液が限定反応物質(limiting reactant)として作用するからである。所与のグループでは、FR=1までの流量比では最初に変換が増加し、FR値のさらなる上昇と共に減少し始める。この挙動は、グループを変更した場合、すなわち流動条件を倍加した場合についても継続する。一般に、収率は、消費される反応物質(CA0)のモルに対する形成される生成物(CR)のモルとして表される。
【0058】
図13A図13Cからは、所与のグループについてFR=1までの流量比では最初に収率が増加し、それよりも高い値では減少傾向を示すことが観察される。このシステムの大域的挙動は、個々の流体ストリームを倍化すること、すなわちグループによる影響を受けない。しかしながら、FR=1と比較した高流量比で得られる収率の偏差(すなわち減少)の程度は上位グループで増加する。これらの観察をより鮮明に把握するために、図14の棒グラフに、検討中の全ての流動形態の合成セリア(CeO2)ナノ粒子の出口濃度をそれぞれ示す。全ての報告値は、反応器の出口で測定した流量荷重平均量(flow-weighted average quantities)である。
【0059】
図14には、異なる流量におけるセリアの出口濃度を示す。図14からは、RF<1ではセリア濃度が異なる流量の影響を受けないことを観察することができる。しかしながら、FR>1の時には流量の影響を受けやすくなる。反応物質の異なる流量では、FR=1で最大セリア濃度が得られる。従って、FR=1の場合にはセリアナノ粒子の生成率が(3400ml/分まで)流量と無関係であり、これによってナノ粒子生成のための反応器の設計及びスケールアップが容易になる。
【0060】
棒グラフからは、所与のグループについてFR=1までの流量比ではナノ粒子生成が増加し、その後は減少傾向を示すことが観察される。出口濃度も、FR=1までは個々の反応物質流体ストリームの倍加(すなわち、グループ)について不変であり、その後のFR=1.25及び1.5の流量比では、それぞれナノ粒子生成の大幅な減少を示す。図14からは、一定の超臨界水に対して金属塩溶液の流量が増加しているため、流量比(FR)の増加と共に平均反応混合物温度が低下することが観察される。しかしながら、利用可能な反応物質の濃度は流量比と共に増加し、従って濃度と温度との間にはトレードオフが存在し、反応率はこれらの両方の関数であるため、このトレードオフは反応率にも寄与する。
【0061】
最良動作条件(FR=1)での反応器セクションの出口における生成物PSDは、セリアナノ粒子特性を制御して最適化すると評価された。従って、開示する装置は、ソルボサーマル法を使用した大規模ナノ粒子生成のための装置100(図1)の設計及びスケールアップを容易にする。
【0062】
本明細書では、図14のプロットから、FR(すなわち、Fr0.75からFr1.25への)及びグループ番号の(すなわち、グループ1からグループ2への)増加と共に、逆混合及びデッドゾーンを排除するという理由でナノ粒子成長にとって理想的なプラグ流挙動(Plug Flow behavior:PFR)に向かってシステム挙動が進化すると気付くであろう。この挙動は、より細かな単分散のナノ粒子成長を促す。
【0063】
図15に、効果的な反応混合物温度及び金属塩溶液の流入濃度に対する流量比の影響を示す。これらは、検討される流動形態下での最大値に関して正規化したものであり、すなわち温度は、FR0.25に属するT0 642K及びFR1.5でのX0 0.00147の金属塩溶液モル分率に関して正規化したものである。プロットからは、流量比の増加と共に有効反応媒体温度(effective reaction medium temperature)が低下し、金属塩の濃度が増加し続けることが観察される。興味深いことに、これらの2つの曲線はFR=1において交差している。反応率は、濃度及び温度の両方の関数である。濃度依存性の項はFRと共に増加するが、温度の低下がこれを上回り、従って最適条件はFR=1の付近であると判定される。この流動力学をさらに詳細に理解するために、以下の説明に示すような滞留時間分布分析(Residence Time Distribution Analysis)を行った。ここでは、一方がFR=1であり一方がFR=1を上回る2つの流量比形態を選択してトレーサー分析を実行した。
【0064】
実際には、反応器は、理想的な流れ反応器、すなわちプラグ流反応器(Plug Flow Reactor:PFR)及び混合流反応器(Mixed Flow Reactors:MFR)から常に逸脱する。この非理想性は、停滞域(stagnant zones)、再循環又は逆混合流体(recycling or back mixing fluid)の存在に起因し、或いは流体のチャネリングに起因し得る。この非理想性を考慮するために、トレーサー分析を実行することによって反応器に対して滞留時間分布(RTD)分析を実行する。超臨界流体及び金属塩溶液の特性を有するトレーサー流体を、その対応する入口位置から放出する。様々な位置でこれらの流体の平均頂点ベース濃度(averaged vertex based concentrations)を一定時間にわたって測定し、これは文献ではF曲線として知られている。F曲線を微分することによって、このデータを流体の出口寿命(Exit-age:E)分布に変換する。さらに、平均滞留時間tを乗算することによってE曲線をEθ曲線に変換する。実施した全ての流れ形態のトレーサー分析に関する完全なデータを表2(RTD分析)にそれぞれ報告する。平均滞留時間及び曲線の分散は以下のように求められる。
平均滞留時間
分散
分散は、反応器を通過する際の分布の広がりの2乗を表し、Ciは、時間間隔δtiにわたるその位置の濃度を表す。表2からは、FR値の増加、並びに金属前駆体及び超臨界流体の流量の倍加(すなわち、グループ)と共に平均滞留時間が減少することが観察される。
表2:RTD分析
【0065】
図16A図16Bに、流量比を0.75及び1.25に維持した状態で検討した全ての流動条件のf(非理想性の尺度)及びθ(tに関する非次元化時間(non-dimensionalized time))の変動を示しており、θ=1における理想的なPFR挙動を点線で示す。所与の流量比(FR)FR=0.75では、流量の増加と共に反応器挙動がPFR様から逸脱して混合流反応器(MFR)状態に向かって近づくことが分かる。これらの傾向は、流量比が増加した状態、すなわちFR=1.25でも維持され、流量比の影響度合いは十分に分からない。これらの変化をより良好に示すためにEθ対θを分析し、これを図16A図16Bにそれぞれ示す。図17には、0.75及び1.25の流量比(FR)を有する様々な流量の組をθとする正規化した出口寿命Eθの変動を示す。これらの曲線の全体的傾向は、プラグ流様の挙動を示すほぼ対称的な形状である。分散モデルは、このモデルがパイプ内の乱流に最も適しているので、理想的なプラグ流状態からの逸脱度合いの検討に適合するように選択した。このモデルでは、反応器内の拡散度合いを定量化するための尺度として、長手方向又は軸方向分散係数D(m2/s)又は容器分散数(vessel dispersion number)D/μLを使用する。分散係数の値については、
は、拡散なし又は些細な分散、従ってプラグ流様の挙動を意味する。
は、急速な拡散又は顕著な分散、従って混合流様の挙動を意味する。
【0066】
図18に、異なる流動形態を考慮した分散係数の影響を示す。FR0.75のグループ1では分散係数Dの値が0.02211であり、この値はFR1.25のグループ3の流動条件では0.00073の値まで低下(stooped)しており、その値は30倍減少していることが観察される。これにより、流量の増加と共に無限大反応器はPFR様の状態に向かって近づくとの説明がつく。この観察は、表2において報告する拡散(σ2)の値によってもそれぞれ裏付けられる。
【0067】
図19には、セリアナノ粒子の最終的な生成物粒子サイズ分布(PSD)に対するFRの影響を示す。FRが増加するにつれてPSDは広くなり、平均粒子サイズも増加する。しかしながら、FR>0.5では、セリアナノ粒子のモード(分散のピークに対応するサイズ)に変化はない。
【0068】
様々な実施形態は、ナノ粒子の連続ソルボサーマル合成のための装置及び方法を提供する。開示する装置は、無限大形状の複数のターンを有する反応器セクションを含む。反応器セクションは、その形状に起因して反応物質を良好に混合し、均一サイズのナノ粒子を生成することができる。また、開示する装置は、ナノ粒子特性の要件に従って複数のターン(又は反応器の一部)を収容するように調整できる柔軟なクエンチユニットを含む。
【0069】
上記の具体的な実装及び実施形態についての説明は、他者が一般概念から逸脱することなく現在の知識を適用することによってこのような特定の実施形態の様々な応用のために容易に修正及び/又は適合させることができるように、本明細書における実装及び実施形態の一般的性質を完全に明らかにするものであり、従ってこのような適応及び修正は開示する実施形態の同等物の意味及び範囲内で理解すべきものであり、そのように意図される。本明細書で使用する表現又は用語は説明を目的とするものであり、限定ではないと理解されたい。従って、本明細書では好ましい実施形態に関して実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書における実施形態は、本明細書で説明したような実施形態の趣旨及び範囲内の修正を伴って実施することもできると認識するであろう。
【0070】
上述の説明は、様々な実施形態を参照しながら示したものである。本出願が関係する技術の当業者であれば、本原理、趣旨及び範囲から有意に逸脱することなく、説明した構造及び動作方法の修正及び変更を実施することができると理解するであろう。
【符号の説明】
【0071】
100 ナノ粒子のソルボサーマル合成のための装置
110 入口セクション
120 反応器セクション
130 第2のコネクタ
150 クエンチユニット
152 エンクロージャ
154 入口
156 出口
170 出口セクション
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19