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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】テープタイプ使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A61F13/56 213
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021033331
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134287
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青地 晃平
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-028064(JP,A)
【文献】特開2007-014639(JP,A)
【文献】実開平05-039523(JP,U)
【文献】特開2011-147496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向の中央を含む股間部と、前後方向の中央より前側及び後側にそれぞれ延出する腹側部分及び背側部分と、を有し、
背側部分の各側部に、幅方向に延び出た連結テープを有し、
前記連結テープは、ウエスト側フラップ及び脚周り側フラップを有し、
前記ウエスト側フラップ及び前記脚周り側フラップは、前記連結テープの前後方向の中央を通り幅方向に延びるミシン目を介して互いに一体化された基端側部分と、互いに前後方向に離間した先端側部分とを有し、
前記ウエスト側フラップの先端側部分及び前記脚周り側フラップの先端側部分に、腹側部分と着脱自在に連結されるフック材又は粘着剤層を有する連結部がそれぞれ設けられた、テープタイプ使い捨ておむつであって、
前記連結テープは、前記連結テープの前後方向の中央を通り幅方向に沿う仮想線に関して線対称をなす形状を有し、
前記ウエスト側フラップ及び前記脚周り側フラップのそれぞれは、それぞれの前後方向の中央を通り幅方向に沿う仮想線に関して線対称をなす形状を有し、
前記連結部は、前記先端側部分における幅方向の中間の所定位置に所定の幅で前後方向に連続しており、
前記先端側部分は前記連結部よりも先端側に、前記連結部を有しない摘み部を有しており、
前記連結テープの側縁のうち、前記ウエスト側フラップの前記連結部と前記脚周り側フラップの前記連結部との間に位置する部分の形状が前記摘み部の縁の形状となっており、
前記連結テープの側縁のうち、前記ウエスト側フラップの前記連結部と前記脚周り側フラップの前記連結部との間に位置する部分を、ウエスト側に位置する第1縁、脚周り側に位置する第2縁、及び前記第1縁及び前記第2縁の間に位置する第3縁に前後方向に三等分したとき、前記第3縁の少なくとも一部に、前記第1縁及び前記第2縁よりも基端側に凹んだ凹みを有し、
前記凹みの最も基端側の位置に前記ミシン目の先端を有し、
前記ウエスト側フラップの前記連結部と前記脚周り側フラップの前記連結部との間に位置する部分の縁は、前記凹みのウエスト側の端から前後方向に沿ってウエスト側に直線的に延びる第1直線部分と、前記凹みの脚周り側の端から前後方向に沿って脚周り側に直線的に延びる第2直線部分とを有し、
前記凹みの縁は半円状をなしている、
ことを特徴とするテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記連結テープは、前記連結部と前記第1直線部分及び前記第2直線部分との間を通り前後方向に直線的に延びる折り線で、前記折り線よりも先端側の部分が前記折り線よりも基端側の部分上に折り返されるとともに、前記連結部を介して接合されている、
請求項1記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記ウエスト側フラップ及び前記脚周り側フラップは、前記基端側部分から前記先端側部分にわたり設けられた、幅方向に弾性伸縮する伸縮部を有し、
前記伸縮部は、第1のシートと第2のシートとが貼り合わされてなる部分であるとともに、前記第1のシートと前記第2のシートとの間に弾性伸縮部材が固定された部分であり、
前記伸縮部の先端側の縁が、前記第1直線部分及び前記第2直線部分に沿っている、
請求項2記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープタイプ使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なテープタイプ使い捨ておむつは、前後方向中央から前側に延在する腹側部分と、後側に延在する背側部分とを有し、背側部分の両側部から突出する連結用突出部を有し、身体への装着に際して、連結用突出部を腰の両側から腹側外面に回して腹側外面に連結する構造を有している。
【0003】
このようなテープタイプ使い捨ておむつは、乳幼児向けとして用いられる他、介護用途(成人用途)で広く使用されているが、ウエスト周り及び脚周りが緩みやすいという問題点を有している。
【0004】
このため、従来、背側部分の各側部におけるウエスト側の端部及び脚周り側の端部にそれぞれ連結用突出部を設け、ウエスト側の連結用突出部と脚周り側の連結用突出部とを交差させ、ウエスト側の連結用突出部を斜め下向きに引っ張りつつ連結することによりウエスト周りをしっかりと締め付けるとともに、脚周り側の連結用突出部を斜め上向きに引っ張りつつ連結することにより脚周りをしっかりと締め付ける、いわゆるクロス止めが推奨されている。
【0005】
同様の装着形態を可能にするものとして、ミシン目により連結パネルの先端側を上下二段に分割可能とし、使用者がミシン目を分離して上下一対の連結用突出部を形成することも提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、一体的な連結パネルの先端側が二股に分かれて、容易に剥離できる摘み部を設けた、上下一対の連結用突出部が形成された二股構造のものも知られている(特許文献2参照)。以上の解決手法は、連結用突出部を上下一対設ける点で共通するものである。
【0007】
しかし、連結パネル先端側を上下二段に分割するミシン目は見え辛いものであり、不慣れな装着者が使う際、ミシン目で分割することなく連結パネルを一体として腹側外面に連結してしまい、クロス止めを行わないことがある。クロス止めを行なわず装着した場合、フィット性が下がり、漏れが生じたり、不快感を感じる可能性が高くなる、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第6087081号公報
【文献】特許第6440471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の主たる課題は、使用者が連結テープに存在するミシン目に気付きやすくすること等にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決したテープタイプ使い捨ておむつは以下のとおりである。
<第1の態様>
前後方向の中央を含む股間部と、前後方向の中央より前側及び後側にそれぞれ延出する腹側部分及び背側部分と、を有し、
背側部分の各側部に、幅方向に延び出た連結テープを有し、
前記連結テープは、ウエスト側フラップ及び脚周り側フラップを有し、
前記ウエスト側フラップ及び前記脚周り側フラップは、幅方向に延びるミシン目を介して互いに一体化された基端側部分と、互いに前後方向に離間した先端側部分とを有し、
前記ウエスト側フラップの先端側部分及び前記脚周り側フラップの先端側部分に、腹側部分と着脱自在に連結されるフック材又は粘着剤層を有する連結部がそれぞれ設けられた、テープタイプ使い捨ておむつであって、
前記連結テープの側縁のうち、前記ウエスト側フラップの前記連結部と前記脚周り側フラップの前記連結部との間に位置する部分を、ウエスト側に位置する第1縁、脚周り側に位置する第2縁、及びこれらの間に位置する第3縁に前後方向に三等分したとき、前記第3縁の少なくとも一部に、前記第1縁及び前記第2縁よりも基端側に凹んだ凹みを有し、
前記凹みの最も基端側の位置に前記ミシン目の先端を有する
ことを特徴とするテープタイプ使い捨ておむつ。
【0011】
(作用効果)
本テープタイプ使い捨ておむつの連結テープは、ウエスト側フラップの連結部と脚周り側フラップの連結部との間の側縁に、局所的な凹みが存在するため、使用者が視覚的にこの凹みに気付きやすく、その凹みの先に続く幅方向のミシン目も認識しやすい。また、凹みの最も基端側の位置にミシン目の先端を有すると、凹みを開始点としてミシン目を切り離そうとしたときに、ミシン目を分離する力が凹みに集まりやすく、切り離しを容易に開始することができる。
【0012】
<第2の態様>
前記連結テープは、前記連結部と前記凹みとの間を通り前後方向に延びる折り線で、前記折り線よりも先端側の部分が前記折り線よりも基端側の部分上に折り返されるとともに、前記連結部を介して接合されている、
第1の態様のテープタイプ使い捨ておむつ
【0013】
(作用効果)
製品のコンパクト化等の理由で、従来から連結テープを折り畳むことは知られている。本態様は、この折り線を連結部と凹みとの間を通るように配置したところに特徴を有する。これにより、連結テープが折り畳まれた状態では、凹みのウエスト側及び脚周り側の大部分が前後方向に沿う直線となるのに対し、その間に凹みが存在するため、特に凹みに気付きやすいものとなる。また、連結テープの折り畳み状態で凹み及びミシン目に気付きやすいということは、連結テープを折り畳み状態のままミシン目で切り離すことにもつながり、例えば連結部がフック材のときにはフック材に肌を触れずにミシン目を分離できることになり、フック材により皮膚表面を傷つけにくいという利点もある。
【0014】
<第3の態様>
前記ミシン目の先端における前記凹みと幅方向とのなす角度が20度~50度である、
第1又は2の態様のテープタイプ使い捨ておむつ
【0015】
(作用効果)
切り離しの開始点であるミシン目の先端において凹みが幅方向に対して鋭角に、具体的には20度~50度で形成されていると、ミシン目を分離する力がよりミシン目の先端に集中しやすくなり、容易に切り離しを開始することができる。なお、上記「角度」は、凹みが曲線状をなす場合には、ミシン目の先端における凹みの接線方向と幅方向とのなす角度を意味する。
【0016】
<第4の態様>
前記連結テープは、その前後方向の中央を通り幅方向に沿う仮想線に関して線対称をなし、
前記ウエスト側フラップ及び前記脚周り側フラップのそれぞれは、それぞれの前後方向の中央を通り幅方向に沿う仮想線に関して線対称をなし、
前記連結部は、前記先端側部分における幅方向の中間の所定位置に所定の幅で前後方向に連続しており、
前記先端側部分は前記連結部よりも先端側に、前記連結部を有しない摘み部を有しており、
前記連結テープの側縁のうち、前記ウエスト側フラップの前記連結部と前記脚周り側フラップの前記連結部との間に位置する部分は、幅方向の中間にその両側よりも前後方向の離間距離が長い部分を有している、
第1~3のいずれか1つの態様のテープタイプ使い捨ておむつ
【0017】
(作用効果)
連結用テープの製造方法としては、不織布等の基材の幅方向の中央に連続帯状のフック材を一本貼り付ける又は粘着剤を所定の幅で連続的に塗布した後、連結テープの側縁に沿う波状パターンで幅方向に二分割し、これらを連続方向に一つの連結テープ分の間隔で切断することにより、廃材の発生無く左右の連結テープを製造することが広く行われている(以下、トリムレス製法ともいう)。このようなトリムレス製法を採用して前述の凹みを形成する場合、連結テープの側縁のうち、ウエスト側フラップの連結部と脚周り側フラップの連結部との間に位置する部分の形状によっては、摘み部の寸法が小さくなり、摘み難くなるおそれがあるが、本態様の形状であれば摘み部の寸法が大きくなり、摘み部が摘まみやすいものとなる。
【0018】
<第5の態様>
前記連結テープは、その前後方向の中央を通り幅方向に沿う仮想線に関して線対称をなし、
前記ウエスト側フラップ及び前記脚周り側フラップのそれぞれは、それぞれの前後方向の中央を通り幅方向に沿う仮想線に関して線対称をなし、
前記連結部は、前記先端側部分における幅方向の中間の所定位置に所定の幅で前後方向に連続しており、
前記先端側部分は前記連結部よりも先端側に、前記連結部を有しない摘み部を有しており、
前記連結テープの側縁のうち、前記ウエスト側フラップの前記連結部と前記脚周り側フラップの前記連結部との間に位置する部分は、曲率半径が30以上の曲線及び直線の少なくとも一方からなる、
第1~3のいずれか1つの態様のテープタイプ使い捨ておむつ
【0019】
(作用効果)
本態様の連結テープは製造が容易である。また、本態様の連結テープを上述のトリムレス製法で製造する場合、摘み部が小さくなり、摘まみにくくなる反面、着用時には摘み部が捲りかえり難くなるため、摘み部が邪魔になったり、誤って連結部が剥離されたりするおそれが少ないものとなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、使用者が連結テープに存在するミシン目に気付きやすくなる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。
図2】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。
図3図1のiii-iii断面図である。
図4図1のiv-iv断面図である。
図5】装着状態を示す斜視図である。
図6】連結テープの平面図である。
図7】(a)連結テープの平面図及び(b)折り畳んだ連結テープの平面図である。
図8】連結テープの平面図及び凹み付近の拡大図である。
図9】連結テープの平面図及び凹み付近の拡大図である。
図10】連結テープの平面図である。
図11】連結テープの平面図である。
図12】連結テープの製造図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
図1図4は、前後方向LDの中央を含む股間部Cと、股間部Cの前後方向LDの中央より前側及び後側にそれぞれ延出する腹側部分F及び背側部分Bとを有し、背側部分Bの各側部に幅方向WDに延び出た連結テープ5を有するテープタイプ使い捨ておむつの一例を示している。この使い捨ておむつは、液不透過性シート1の内面と、透液性のトップシート2との間に、吸収体3が介在された基本構造を有するものである。
【0023】
(吸収体)
吸収体3としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。また、必要に応じて、吸収体3はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体3の形状は、図示のような砂時計形状の他、長方形状等、適宜定めることができる。吸収体3におけるパルプ目付けは100~500g/m程度、厚みは1~15mm程度であるのが望ましい。また、高吸収性ポリマーの目付けは0~300g/m程度であるのが望ましい。
【0024】
(液不透過性シート)
液不透過性シート1は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3に吸収された排泄物の裏面側への移動を遮断するものである。液不透過性シート1としては、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。液不透過性シート1の単位面積あたりの重量は13~40g/mであるのが好ましく、厚みは0.01~0.1mmであるのが好ましい。
【0025】
おむつ外面を布のような外観、肌触りとするために、液不透過性シート1の裏面全体は外装シート12で覆われており、両シート1,12の外周縁はおむつの外周縁まで及んでいる。外装シート12としては各種の不織布を用いることができるが、スパンボンド不織布が好適である。外装シート12は省略することもできる。
【0026】
(側部バリヤーシート)
図3及び図4にも示されるように、物品内面の両側部(図示形態ではトップシート2の側縁部表面からその側方に延在する液不透過性シート1の表面)には、側部バリヤーシート4の幅方向外側の部分4xが前後方向全体にわたり貼り付けられている。側部バリヤーシート4は、各種不織布(スパンボンド不織布が好適である)の他、液不透過性シートに用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好適である。側部バリヤーシート4の幅方向中央側の部分4cは、前後方向両端部4xでは物品内面(図示形態ではトップシート2表面)にホットメルト接着剤等の手段により固着されているが、これらの間の中間部は非固定の自由部分4fとなっており、この自由部分4fの先端部(展開状態における幅方向中央側の端部)には、細長状弾性伸縮部材4Gが前後方向LDに沿って伸長した状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性伸縮部材4Gは図示例では所定の間隔を空けて複数本設けられているが、一本でも良い。細長状弾性伸縮部材4G(他の細長状弾性伸縮部材も同様)としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、ポリオレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。この自由部分4fは、細長状弾性伸縮部材4Gの収縮力が作用する結果、図4に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する側部バリヤーを構成する。この起立部分の基端4bは側部バリヤーシート4における幅方向外側の固定部分4xと内側の部分4cとの境に位置する。なお、図1中の右斜め上がりの斜線部分は側部バリヤーシート4の固着部分を示している。また、使い捨ておむつ100は、前後方向LDにおいて、両側縁(脚開口の縁となる部分)Leに沿って延在する脚周り弾性伸縮部材14を、その延在方向に沿って伸長した状態で取り付けている。両側縁Leに沿って延在する脚周り弾性伸縮部材14を設けると、両側縁Leが脚周りに押し付けられ、脚周りからの漏れが発生し難くなるため好ましい。左右各側における脚周り弾性伸縮部材14の本数は適宜定めることができる。
【0027】
(フラップ部等)
使い捨ておむつ100の前後方向両端部では、液不透過性シート1、外装シート12、トップシート2及び側部バリヤーシート4が吸収体3の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。一方、使い捨ておむつ100の左右両側部では、液不透過性シート1、外装シート12、トップシート2及び側部バリヤーシート4が吸収体3の側縁よりも側方にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないサイドフラップ部が形成されている。サイドフラップ部のうち腹側部分Fのウエスト側部分及び背側部分Bのウエスト側部分にそれぞれ位置する部分は、それらの間の中間部分よりも側方に延出されており、これらの部分が、おむつの胴周り部分となるウエスト側サイドフラップ部SFとなる。
【0028】
また、使い捨ておむつ100は、前後方向LDにおいて、両側縁(脚開口の縁となる部分)Leが脚周りに沿う括れ曲線状をなす範囲として定まる股間部Cと、この股間部Cの前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ両側縁が前後方向LDに沿う直線状をなす、腹側胴周り部TF及び背側胴周り部TBとを有する。
【0029】
背側胴周り部TBには、その側縁からそれぞれ突出する連結テープ5が取り付けられるとともに、腹側胴周り部TFの表面に幅方向WDに沿ってターゲットテープ6が貼り付けられている。連結テープ5は、背側胴周り部TBにおけるシート間にホットメルト接着剤等の手段により固定された固定部5fと、背側胴周り部TBの側縁のシート間から幅方向外側に突出する本体部5eとを有しており、本体部5eの前後方向中間に設けられたミシン目10を切り離すことによりウエスト側フラップ51及び脚周り側フラップ52に分離できるようになっている。また、ウエスト側フラップ51及び脚周り側フラップ52は、ミシン目10を介して互いに一体化された基端側部分5gと、互いに前後方向LDに離間した先端側部分5hとする。連結テープ5におけるミシン目10の基端近傍には、基端をさらに超えて幅方向内側への引き裂きを防止すべく、ミシン目10を分離する勢いを分散させるC字形状の切り込みが入っていても良い。
【0030】
連結テープ5は、十分な強度を有する不織布、特に複数層の不織布を積層したシート、ポリラミ不織布を基材8として好適に用いることができる。
【0031】
ウエスト側フラップ51及び脚周り側フラップ52の内面には、腹側部分Fの外面に着脱自在に連結されるフック材9を有する連結部5cが設けられている。図示形態では、連結部5cは、ウエスト側フラップ51及び脚周り側フラップ52の先端側部分5hにそれぞれ一つのみとするほか、幅方向WDに間隔を空けて複数個所に設けることもできる。フック材9は、メカニカルファスナー(面ファスナー)の雄材が好適に用いられ、メカニカルファスナーのピンがターゲットテープ6のループに着脱可能に引っ掛かり、外装シート12に不織布を用いる場合には、この不織布の繊維がループとして機能するため、ターゲットテープ6を省略することもできる。連結部5cは、粘着剤層により形成することもでき、この場合ターゲットテープ6として、表面が平滑な樹脂テープ(シート)を使用すると好適である。
【0032】
図6に示すように、ウエスト側フラップ51及び脚周り側フラップ52は、本体部5eが幅方向WDに弾性伸縮する伸縮部を有していてもよい。伸縮部を形成するための手法は特に限定されず、例えば伸縮不織布やゴムシート等のようにそれ自体で弾性伸縮する素材で連結用突出部を形成することもできるが、図示形態では、各フラップ51,52の本体部5eのうち幅方向WDの少なくとも一部分を、第1のシートと第2のシートとを貼り合わせて形成するとともに、第1のシートと第2のシートとの間に弾性伸縮部材20を固定することにより、伸縮可能としている。弾性伸縮部材20としては、細長状のものの他、シート状のものも用いることができる。
【0033】
(凹み)
図7(a)に示すように、連結テープ5の側縁のうち、ウエスト側フラップ51の連結部5cと脚周り側フラップ52の連結部5cとの間に位置する部分を前後方向LDに3等分し、ウエスト側に位置する部分を第1縁21、脚周り側に位置する部分を第2縁22、その間に位置する部分を第3縁23とすると、第3縁23の少なくとも一部が第1縁21及び第2縁22よりも基端側に凹む凹み11を有しており、凹み11の最も基端側からおむつの幅方向中央側に向かいミシン目10が延びていると、凹み11が装着時にミシン目10の存在に気付かせる役割を果たすため好ましい。使用者がミシン目10に気付いてこれを切り離すと、切り離した連結テープ5は、ウエスト側フラップ51と脚周り側フラップ52に分かれ、図5に示すように、クロス止めすることができるようになる。なお、このミシン目10の切り離しの際、凹み11の最も基端側の位置にミシン目10の先端を有すると、凹み11を開始点としてミシン目10を切り離そうとしたときに、ミシン目10を分離する力が凹み11に集まりやすく、切り離しを容易に開始することができる。
【0034】
図7(b)の製品状態では、連結部5cと凹み11の間に位置する前後方向LDに沿う折り線7でウエスト側フラップ51及び脚周り側フラップ52が連結テープ5の基端側部分5gに向けて折り畳まれ、連結部5cのフック材9で基端側部分5gに接着されているとより好ましい。これにより、連結テープ5が折り畳まれた状態では、凹み11のウエスト側及び脚周り側の大部分が前後方向LDに沿う直線となるのに対し、その間に凹み11が存在するため、凹み11が特に目立つようになる。また、連結テープ5の折り畳み状態で凹み11及びミシン目10に気付きやすいということは、連結テープ5を折り畳み状態のままミシン目10で切り離すことにもつながり、例えば連結部5cがフック材9のときにはフック材に肌を触れずにミシン目10を分離できることになり、フック材9により皮膚表面を傷つけにくいという利点もある。
【0035】
図8で示す、凹み11の先端における凹み11と幅方向WDとのなす角度αは、鋭角であると、ミシン目10を切り離す力が、凹み11の基端側に集まりやすい形状となり、具体的に20度~50度であると、ミシン目10からの切り離しが開始しやすくなる。なお、図9のように、凹み11の形状が曲線状の場合、曲線の接線と幅方向WDとのなす角度をαとする。凹み11の形状や大きさは特に限定されるものではないが、凹み11の前後方向LDの寸法(最大値)11Lは15mm~25mm、幅方向WDの寸法(最大値)11Wは5mm~15mmであることが好ましい。なお、第3縁23の少なくとも一部に設けられる凹み11は、第1縁21及び第2縁22よりも基端側に凹む部分であることからも明らかなように、第3縁23に位置する部分のみを意味する。すなわち、図8図11に示す例のように外観が第1縁21から第2縁22にわたる一続きの凹みに見えるとしても、本明細書でいう凹み11は第3縁23に位置する部分のみを意味し、それゆえ凹み11の寸法は図示のとおりとなる。
【0036】
図7~9及び図11に示すように、連結テープ5の側縁のうち、ウエスト側フラップ51の連結部5cと脚周り側フラップ52の連結部5cとの間に位置する部分の形状は、前後方向LDの離間距離がミシン目の先端に向かうにつれて広がることなく短くなる形状とする他、図10に示すように、前後方向LDの離間距離が長くなる部分を有する形状としてもよい。
【0037】
連結テープ5の形状は、図示例のように、連結テープ5の前後方向中央を通り幅方向WDに沿う仮想線に対して線対称な形状であると好ましい。この場合、ウエスト側フラップ51と脚周り側フラップ52は同じ形状であり、ウエスト側フラップ51と脚周り側フラップ52との間の仮想線上の一部とミシン目10の位置は同じになる。また、ウエスト側フラップ51もその前後方向中央を通り幅方向WDに沿う仮想線に対して線対称な形状であり、脚周り側フラップ52も同様の形状であると好ましい。このような連結テープ5は、図12に示すように、不織布等の基材8の幅方向WDの中央に連続帯状のフック材9を前後方向LDに一本張り付ける又は粘着剤を所定の幅で連続に塗布し、連結テープ5の側縁に沿う波状パターンで幅方向WDに二分割し、連続方向に連結テープ5の前後方向LDの間隔で切断することで製造できる(トリムレス製法)。
【0038】
(摘み部)
ウエスト側フラップ51と脚周り側フラップ52の先端側部分5hにおいて、連結部5cよりも先端側の連結部5cが存在しない部分が摘み部13として残されていると好ましい。
【0039】
摘み部13の形状及び大きさは限定されないが、摘み部13の前後方向LDの寸法13L(変化する場合は最大値)は10mm~20mm、幅方向WDの寸法13W(変化する場合は最小値)は15mm~25mmであることが好ましい。摘み部13が大きいものであるほど摘まみやすく、凹み11が目立つものとなるが、摘み部13には連結部5cが存在しないので、使用時に浮き上がりやすく、捲れが発生しやすいものとなる。逆に、摘み部13が小さいものであるほど摘まみにくく、凹み11が目立ちにくいものとなるが、浮き上がりにくく、捲れが発生しにくいものとなる。特に、前述のトリムレス製法により凹み11を形成する場合、連結テープ5の側縁のうち、ウエスト側フラップ51の連結部5cと脚周り側フラップ52の連結部5cとの間に位置する部分の形状が摘み部13の形状となるため、その形状によっては、摘み部13の寸法が小さくなり、摘み難くなったり、反対に捲れが発生しやすくなったりするおそれがある。例えば、図10に示すように、連結テープ5の側縁のうち、ウエスト側フラップ51の連結部5cと脚周り側フラップ52の連結部5cとの間に位置する部分は、幅方向WDの中間にその両側よりも前後方向LDの離間距離11Lが長い(例えば、ウエスト側フラップ51の連結部5cと脚周り側フラップ52の連結部5cとの間に位置する部分の前後方向LDの離間距離の最大値の1.2~1.5倍)部分を有していると、摘み部13は摘みやすいものとなるが、装着時に摘み部13が浮き上がったり捲れたりする可能性は高くなる。一方、図11に示すように、連結テープ5の側縁のうち、少なくともウエスト側フラップ51の連結部5cと脚周り側フラップ52の連結部5cとの間に位置する部分(好ましくは全体)は、曲率半径が30以上の曲線及び直線の少なくとも一方のみからなるものであると、摘み部13は小さくなり、装着時に操作しにくいが、装着時浮き上がりや捲れが発生しにくいものとなり、さらに、連結テープ5の製造時に波状パターンでの分割を行いやすいという点で、製造安定性に優れたものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、上記例のようにテープタイプ使い捨ておむつに利用できるものである。
【符号の説明】
【0041】
1…液不透過性シート、2…トップシート、3…吸収体、4…側部バリヤーシート、5…連結テープ、5c…連結部、5e…本体部、5f…固定部、5g…基端側部分、5h…先端側部分、51…ウエスト側フラップ、52…脚周り側フラップ、6…ターゲットテープ、7…折り線、8…基材、9…フック材、10…ミシン目、11…凹み、11L…凹み11の前後方向の寸法、11W…凹み11の幅方向の寸法、12…外装シート、13…摘み部、13L…摘み部13の前後方向の寸法、13W…摘み部13の幅方向の寸法、14…脚周り弾性伸縮部材、20…弾性伸縮部材、21…第1縁、22…第2縁、23…第3縁、F…腹側部分、B…背側部分、100…使い捨ておむつ
図1
図2
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図4
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図6
図7
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図9
図10
図11
図12