(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】パネル収納容器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20240822BHJP
B65D 85/48 20060101ALI20240822BHJP
B65D 85/42 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/48
B65D85/42 500
(21)【出願番号】P 2021064183
(22)【出願日】2021-04-05
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】大貫 和正
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/138982(WO,A1)
【文献】特開2006-336732(JP,A)
【文献】特開平11-111832(JP,A)
【文献】特開2009-126529(JP,A)
【文献】特開2003-322116(JP,A)
【文献】特開2001-009400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 85/48
B65D 85/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルを収納するための容器本体と、
前記容器本体の内部に設けられ、前記複数のパネルを支持するパネル支持部と、
を備え、
前記パネル支持部は、前記複数のパネルのうちの1枚のパネルを支持するための第1方向に延びるシャフトと、前記シャフトを保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記シャフトが挿通する挿通空間を画定する空間画定部を備え、
前記空間画定部は、前記挿通空間において前記シャフトの軸心回りに前記シャフトを覆いつつ、前記挿通空間から前記シャフトの一部を露出させ
、
前記空間画定部は、前記第1方向において互いに離間して配列された複数の第1保持片と、前記第1方向において互いに離間して配列された複数の第2保持片と、を備え、
前記複数の第1保持片のそれぞれには、前記第1方向と交差する方向に窪む第1凹部が設けられ、
前記複数の第2保持片のそれぞれには、前記第1方向から見て前記第1凹部と向かい合うとともに、前記第1凹部と反対向きに窪む第2凹部が設けられ、
前記複数の第1保持片の前記第1凹部と前記複数の第2保持片の前記第2凹部とによって、前記挿通空間が画定される、パネル収納容器。
【請求項2】
前記複数の第1保持片と前記複数の第2保持片とは、前記第1方向に交互に配列されている、請求項
1に記載のパネル収納容器。
【請求項3】
前記複数の第1保持片と前記複数の第2保持片とは、それぞれ前記第1方向において同じ位置に配置されている、請求項
1に記載のパネル収納容器。
【請求項4】
前記保持部材は、前記シャフトの一端に設けられ、前記パネルの前記第1方向における位置を決めるためのストッパを含む、請求項1~請求項
3のいずれか一項に記載のパネル収納容器。
【請求項5】
前記容器本体は、前記ストッパが取り付けられる支柱を備え、
前記ストッパは、前記支柱に向かって突出する突出片を更に備える、請求項
4に記載のパネル収納容器。
【請求項6】
前記ストッパは、前記パネルの位置を決めるための位置決め部を更に備え、
前記位置決め部は、一方の側端が開放された中空の箱型形状を有するとともに、他方の側端を閉塞する側壁を有し、
前記側壁には、前記位置決め部内の空間と外部空間とを連通する連通孔が設けられている、請求項
4又は請求項
5に記載のパネル収納容器。
【請求項7】
前記保持部材は、前記シャフトを支持するとともに前記パネルの前記第1方向と交差する第2方向における端部を支持する支持体を含む、請求項1~請求項
6のいずれか一項に記載のパネル収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネル収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル用ガラス基板等のパネルを扱う製造工程において、矩形形状のパネルを製造装置から別工程の製造装置に移送する際、及びパネルを一時的に保管する際に、複数のパネルを収納するパネル収納容器が用いられる。例えば、特許文献1には、パネルを収納する容器本体と、容器本体に設けられた開口部を開閉自在に覆う蓋体と、を備えるパネル収納容器が記載されている。このパネル収納容器の内部には、パネルの前後方向の位置を決めるためのサポート支持部材と、パネルの左右方向の位置を決めるためのパネル支持体と、これらの部材を挿通するサイドサポート部材と、が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、パネル収納容器にパネルが出し入れされる際に、粉体等の異物がパネル収納容器内に入り込むことがある。このため、パネル収納容器の内部が洗浄されることがある。特許文献1に記載のパネル収納容器では、パネル支持体及びサポート支持部材は、ブロック状の形状を有し、これらの部材には、サイドサポート部材を挿通させるための貫通孔が設けられている。パネル収納容器の内部が洗浄されると、水分がパネル支持体及びサポート支持部材とサイドサポート部材との間に入り込み、洗浄後にパネル収納容器の内部を十分に乾燥できないおそれがある。
【0005】
本開示は、内部の乾燥性能を向上可能なパネル収納容器を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るパネル収納容器は、複数のパネルを収納するための容器本体と、容器本体の内部に設けられ、複数のパネルを支持するパネル支持部と、を備える。パネル支持部は、複数のパネルのうちの1枚のパネルを支持するための第1方向に延びるシャフトと、シャフトを保持する保持部材と、を備える。保持部材は、シャフトが挿通する挿通空間を画定する空間画定部を備える。空間画定部は、挿通空間においてシャフトの軸心回りにシャフトを覆いつつ、挿通空間からシャフトの一部を露出させる。
【0007】
このパネル収納容器では、保持部材の空間画定部が挿通空間においてシャフトの軸心回りにシャフトを覆いつつ、挿通空間からシャフトの一部を露出させている。このため、挿通空間の全体に亘ってシャフトが保持部材に覆われている場合と比較して、挿通空間におけるシャフトと保持部材との接触面積が小さい。したがって、シャフトと保持部材との間に入り込む水分量が少なくなるので、パネル収納容器の内部を洗浄した後に、パネル収納容器の内部に水分が残る可能性を低減することができる。その結果、パネル収納容器の内部の乾燥性能を向上させることが可能となる。
【0008】
空間画定部は、第1方向において互いに離間して配列された複数の第1保持片と、第1方向において互いに離間して配列された複数の第2保持片と、を備えてもよい。複数の第1保持片のそれぞれには、第1方向と交差する方向に窪む第1凹部が設けられてもよい。複数の第2保持片のそれぞれには、第1方向から見て第1凹部と向かい合うとともに、第1凹部と反対向きに窪む第2凹部が設けられてもよい。複数の第1保持片の第1凹部と複数の第2保持片の第2凹部とによって、挿通空間が画定されてもよい。この場合、複数の第1保持片が第1方向に互いに離間して配列されているので、第1方向において互いに隣り合う2つの第1保持片の間に隙間が生じ得る。同様に、複数の第2保持片が第1方向に互いに離間して配列されているので、第1方向において互いに隣り合う2つの第2保持片の間に隙間が生じ得る。したがって、これらの隙間を介して、挿通空間からシャフトの一部を露出させることが可能となる。
【0009】
複数の第1保持片と複数の第2保持片とは、第1方向に交互に配列されてもよい。例えば、保持部材が射出成形で作製される場合、シャフトが挿通する貫通孔を形成するためには、スライドを用いる必要がある。これに対して、第1保持片と第2保持片とが第1方向に交互に配列されることによって、貫通孔が形成されることなく、挿通空間が画定される。したがって、スライドを用いることなく、保持部材を作製することができるので、保持部材の作製を簡易化することが可能となる。
【0010】
複数の第1保持片と複数の第2保持片とは、それぞれ第1方向において同じ位置に配置されてもよい。この場合、第1保持片と第2保持片とによって、シャフトが挿通する貫通孔が画定され、貫通孔においてシャフトが挟持される。したがって、シャフトの全周に亘ってシャフトを保持することができるので、シャフトの安定性を向上させることができる。
【0011】
保持部材は、シャフトの一端に設けられ、パネルの第1方向における位置を決めるためのストッパを含んでもよい。この場合、シャフトとストッパとの間に入り込む水分量が少なくなるので、パネル収納容器の内部を洗浄した後に、パネル収納容器の内部に水分が残る可能性を低減することができる。その結果、パネル収納容器の内部の乾燥性能を向上させることが可能となる。
【0012】
容器本体は、ストッパが取り付けられる支柱を備えてもよい。ストッパは、支柱に向かって突出する突出片を更に備えてもよい。この場合、ストッパの突出片が支柱に当接した状態でストッパが支柱に取り付けられる。このため、ストッパの端面が支柱に接触した状態でストッパが支柱に取り付けられる場合と比較して、ストッパと支柱との接触面積が小さい。したがって、ストッパと支柱との間に入り込む水分量が少なくなるので、パネル収納容器の内部を洗浄した後に、パネル収納容器の内部に水分が残る可能性をより一層低減することができる。その結果、パネル収納容器の内部の乾燥性能をより一層向上させることが可能となる。
【0013】
ストッパは、パネルの位置を決めるための位置決め部を更に備えてもよい。位置決め部は、一方の側端が開放された中空の箱型形状を有するとともに、他方の側端を閉塞する側壁を有してもよい。側壁には、位置決め部内の空間と外部空間とを連通する連通孔が設けられてもよい。例えば、射出成形では、ヒケ及び反り等の品質不良の発生を抑制するために、成形品は均一の肉厚を有することが求められる。位置決め部は、一方の側端が開放された中空の箱型形状を有しているので、肉厚を均一化することができる。さらに、連通孔によって、位置決め部の内部空間の通気性が向上する。したがって、位置決め部の内部空間に水分が残る可能性を低減することができる。その結果、ストッパの品質向上を図りながら、パネル収納容器の内部の乾燥性能を向上させることが可能となる。
【0014】
保持部材は、シャフトを支持するとともにパネルの第1方向と交差する第2方向における端部を支持する支持体を含んでもよい。この場合、シャフトと支持体との間に入り込む水分量が少なくなるので、パネル収納容器の内部を洗浄した後に、パネル収納容器の内部に水分が残る可能性を低減することができる。その結果、パネル収納容器の内部の乾燥性能を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、パネル収納容器の内部の乾燥性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るパネル収納容器の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるパネル収納容器の背面斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示されるパネル収納容器の底面図である。
【
図7】
図7は、
図5のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、
図5のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。各図には、XYZ座標系が示される。Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向と交差(ここでは、直交)する方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と交差(ここでは、直交)する方向である。一例として、X軸方向は、左右方向(幅方向;第2方向)であり、Y軸方向は、前後方向(奥行方向;第1方向)であり、Z軸方向は、上下方向(高さ方向)である。説明の便宜上、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、及び「右」の用語が用いられるが、これらの方向に限定されない。
【0018】
図1及び
図2を参照して、一実施形態に係るパネル収納容器を説明する。
図1は、一実施形態に係るパネル収納容器の分解斜視図である。
図2は、
図1に示されるパネル収納容器の背面斜視図である。
図1及び
図2に示されるパネル収納容器1は、複数のパネルを収納するための容器である。パネル収納容器1は、例えば、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に準拠している。パネルの例としては、液晶パネル用のガラス基板、及び電子部品を搭載したパネルが挙げられる。パネルは、矩形形状を有する。パネルのサイズの例としては、510mm×515mm及び600mm×600mmが挙げられる。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数は、任意に定められており、例えば、6枚でもよく、12枚でもよい。
【0019】
パネル収納容器1は、例えば、電子部品を製造する製造装置に使用される。電子部品は、例えば、ガラス板及びステンレス板といった大型のキャリアパネル上に多数の電子部品を搭載する工程、これらの電子部品をエポキシ樹脂等で封止する工程、封止された電子部品をパネル形態でキャリアパネルから剥がす工程、及びパネル形態の電子部品を個別に切り出す工程等を経て製造される。パネル収納容器1は、これらの工程間でパネルを移送するために用いられる。
【0020】
パネル収納容器1は、容器本体2と、蓋体3と、を備えている。
【0021】
容器本体2は、正面(前面)が開放された直方体形状の容器である。言い換えると、容器本体2は、前面に開口2aが設けられたフロントオープンボックス型の容器である。容器本体2は、複数のパネルを収納する。開口2aを介してパネルが容器本体2に出し入れされる。容器本体2の詳細は後述する。
【0022】
蓋体3は、容器本体2の開口2aを閉塞するための部材である。蓋体3は、ガスケット等の封止部材を介して容器本体2の開口2aを気密に閉塞する。蓋体3は、開口2aを画定するフランジ25に着脱自在に取り付けられる。蓋体3は、蓋本体31と、施錠機構32と、を備えている。蓋本体31は、蓋体3の本体部分である。蓋本体31は、矩形状の板材である。蓋本体31は、例えば、金属材料で構成されている。金属材料の例としては、アルミニウム、及びマグネシウム合金が挙げられる。蓋本体31の前面には、鍵穴33が設けられている。鍵穴33には、不図示の鍵が挿入される。
【0023】
施錠機構32は、鍵穴33に挿入された鍵が操作されることによって、蓋体3を施錠又は解錠する。施錠機構32は、不図示のラッチを備えている。蓋体3がフランジ25に取り付けられた状態で、鍵の操作によりラッチがフランジ25に設けられた施錠穴25hに嵌入されることによって蓋体3が施錠される。蓋体3が施錠されている状態で、鍵の操作によりラッチが施錠穴25hから引き抜かれることよって蓋体3が解錠される。
【0024】
容器本体2及び蓋体3は、金属材料又は樹脂材料で成形される複数の部品を組み合わせることによって構成される。樹脂材料の成形材料に含まれる樹脂の例としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、液晶ポリマー、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体が挙げられる。樹脂材料の成形材料に含まれる樹脂として、これらのアロイが用いられてもよい。
【0025】
これらの樹脂には、導電物質、及び各種帯電防止剤が添加されてもよい。導電物質は、例えば、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、又は導電性ポリマー等からなる。帯電防止剤としては、アニオン系、カチオン系、及び非イオン系等の帯電防止剤が用いられ得る。ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オキザリックアシッドアニリド系、及びヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が添加されてもよい。剛性を向上させるガラス繊維又は炭素繊維等も選択的に添加されてもよい。
【0026】
次に、
図3を更に参照して、容器本体2を詳細に説明する。
図3は、
図1に示される枠体の正面図である。
図1~
図3に示されるように、容器本体2は、天板21と、底板22と、一対の側壁23と、背面壁24と、フランジ25と、枠体26と、台座部27と、一対のレール部材28と、サイドプレート29と、一対のカバー部材C1と、一対のカバー部材C2と、一対のカバー部材C3と、を備えている。
【0027】
天板21、底板22、側壁23、及び背面壁24は、略矩形状の板材である。天板21と底板22とは、上下方向において互いに向かい合っており、略平行に配置されている。一対の側壁23は、左右方向において互いに向かい合っており、略平行に配置されている。左側の側壁23は、天板21の左端と底板22の左端とを連結している。右側の側壁23は、天板21の右端と底板22の右端とを連結している。背面壁24は、天板21の後端と底板22の後端とを連結するとともに、一対の側壁23の後端を連結している。天板21、底板22、一対の側壁23、及び背面壁24によって、収容空間20が画定される。
【0028】
天板21、底板22、及び側壁23は、例えば、金属材料によって構成されている。金属材料の例としては、アルミニウム及びステンレスが挙げられる。背面壁24は、例えば、容器本体2の外部から収容空間20を目視可能な透明の樹脂材料によって構成される。背面壁24の一部が透明の樹脂材料で構成されてもよい。透明な樹脂材料の例としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、及びシクロオレフィンポリマーが挙げられる。
【0029】
フランジ25は、矩形状の枠体であって、天板21の前端、底板22の前端、及び一対の側壁23の前端に亘って設けられている。フランジ25によって、開口2aが画定される。フランジ25は、例えば、上述の樹脂材料によって構成される。フランジ25の上枠部及び下枠部のそれぞれには、左右方向に離間して配列された2つの施錠穴25hが設けられている。上枠部の施錠穴25hと下枠部の施錠穴25hとは上下方向において互いに向かい合う位置に設けられている。
【0030】
枠体26は、天板21、底板22、一対の側壁23、及び背面壁24を固定するために用いられる。枠体26は、例えば、金属材料によって構成されている。金属材料の例としては、アルミニウム、及びステンレスが挙げられる。枠体26は、背面壁24の前面に設けられる。枠体26は、上枠材26aと、下枠材26bと、一対の側枠材26cと、支柱26dと、一対の支柱26eと、を有している。上枠材26a及び下枠材26bは、左右方向に延びる柱状部材である。上枠材26a及び下枠材26bは、上下方向において互いに離間するとともに、略平行に配置されている。
【0031】
一対の側枠材26cは、上下方向に延びる柱状部材である。一対の側枠材26cは、左右方向において互いに離間するとともに、略平行に配置されている。上枠材26a及び下枠材26bの左端は、ネジによって左側の側枠材26cに固定されている。上枠材26a及び下枠材26bの右端は、ネジによって右側の側枠材26cに固定されている。つまり、上枠材26aの左端と下枠材26bの左端とが左側の側枠材26cによって連結され、上枠材26aの右端と下枠材26bの右端とが右側の側枠材26cによって連結されている。
【0032】
支柱26d及び一対の支柱26eは、上下方向に延びる柱状部材である。一方の支柱26e、支柱26d、及び他方の支柱26eは、左右方向においてその順に配列され、互いに略平行に配置されている。支柱26d及び一対の支柱26eの上端は、ネジによって上枠材26aに固定されている。支柱26d及び一対の支柱26eの下端は、ネジによって下枠材26bに固定されている。支柱26dは、枠体26の左右方向における中心に設けられ、一対の支柱26eは、枠体26の左右方向における両端近傍に設けられる。
【0033】
支柱26dは、後述するシャフト61aを固定するための部材である。支柱26dには、シャフト61aを取り付けるための複数の嵌合穴26gが設けられている。これらの嵌合穴26gは、支柱26dの前面から後方に向けて窪んでいる。支柱26eは、後述するシャフト62aを固定するための部材である。支柱26eには、シャフト62aを取り付けるための複数の嵌合穴26hが設けられている。これらの嵌合穴26hは、支柱26eの前面から後方に向けて窪んでいる。
【0034】
台座部27は、容器本体2のベースとなる部分である。台座部27は、例えば、金属材料によって構成されている。金属材料の例としては、アルミニウム及びステンレスが挙げられる。台座部27は、底板22の下面に設けられる。台座部27は、複数の柱状の支持部材を組み合わせることによって構成されている。
【0035】
一対のレール部材28は、容器本体2を載置するための部分である。一対のレール部材28は、例えば、パネル収納容器1がコンベアによって搬送される際にコンベアに載置される。各レール部材28は、前後方向に延びる板状部材である。レール部材28は、例えば、上述の樹脂材料によって構成されている。
【0036】
サイドプレート29は、後述の支持体65(保持部材)を取り付けるための部材である。サイドプレート29は、上下方向に延びる板状部材である。サイドプレート29は、例えば、金属材料によって構成されている。金属材料の例としては、アルミニウム及びステンレスが挙げられる。サイドプレート29は、側壁23の本体部23aの外面に設けられる。本実施形態では、各側壁23に2つのサイドプレート29が設けられる。2つのサイドプレート29は、前後方向に配列され、互いに略平行に配置されている。1つのサイドプレート29は、側壁23の前後方向における中心付近に設けられ、もう1つのサイドプレート29は、側壁23の前後方向における前端近傍に設けられる。各サイドプレート29の上端は、ネジによって側壁23の上端部23bに固定されている。各サイドプレート29の下端は、ネジによって側壁23の下端部23cに固定されている。
【0037】
カバー部材C1~C3は、収容空間20へのパーティクル(粒子)の侵入を防止するための部材である。カバー部材C1~C3は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。一対のカバー部材C1は、天板21と側壁23とフランジ25とによって形成される角部に設けられる。一対のカバー部材C2は、天板21と側壁23と背面壁24とによって形成される角部に設けられる。一対のカバー部材C3は、底板22と側壁23と背面壁24とによって形成される角部に設けられる。
【0038】
次に、
図4を参照して、容器本体2の底部に設けられる部材を説明する。
図4は、
図1に示されるパネル収納容器の底面図である。
図4に示されるように、パネル収納容器1は、ベース基板51と、取付プレート52と、取付プレート53と、位置決め部材54と、給排気機構55と、を更に備えている。
【0039】
ベース基板51は、位置決め部材54、及び給排気機構55を取り付けるための基板である。ベース基板51は、矩形状の板材である。ベース基板51は、台座部27の下方に設けられている。ベース基板51には、位置決め部材54を取り付けるための取付孔(不図示)と、給排気機構55を取り付けるための貫通孔51hと、が設けられている。本実施形態では、位置決め部材54を取り付けるための取付孔(以下、「取付孔」と称する場合がある。)の数は、3つであり、当該3つの取付孔は、ベース基板51の中心から放射状に延びている。ベース基板51の前部分の両端付近に2つの取付孔が設けられ、ベース基板51の後部分の左右方向における中心付近に1つの取付孔が設けられている。本実施形態では、4つの貫通孔51hが設けられている。4つの貫通孔51hは、ベース基板51の四隅付近に設けられている。
【0040】
取付プレート52,53は、位置決め部材54をベース基板51に取り付けるための部材である。取付プレート52,53は、板状部材である。取付プレート52,53は、例えば、上述の樹脂材料によって構成されている。取付プレート52は、ベース基板51の前部分の下面に設けられる。取付プレート52には、位置決め部材54を露出させるための2つの貫通孔52gが設けられている。取付プレート52には、2つの貫通孔52gの間に、パネル収納容器1を固定するために用いられる貫通孔が更に設けられている。取付プレート53は、ベース基板51の後部分の下面に設けられる。取付プレート53には、位置決め部材54を露出させるための貫通孔53gが設けられている。
【0041】
位置決め部材54は、搬送装置又は加工装置等の外部装置がパネル収納容器1(容器本体2)の位置決めを行うために用いられる部材である。位置決め部材54は、例えば、金属材料によって構成されている。金属材料の例としては、アルミニウム及びステンレスが挙げられる。位置決め部材54は、V字状の板材である。位置決め部材54は、底板22に向かって(上方に)窪むように、ベース基板51の取付孔に嵌め合わされている。位置決め部材54のV字面によってV字状の溝が画定される。V字面には、耐摩耗性の表面処理が施されている。本実施形態では、容器本体2は、3つの位置決め部材54を備えている。
【0042】
ベース基板51の前部分に設けられた2つの取付孔に、2つの位置決め部材54が嵌め合わされており、位置決め部材54のV字面が貫通孔52gから露出するように取付プレート52がベース基板51の下面に取り付けられている。位置決め部材54の両端がベース基板51と取付プレート52とによって挟持されている。同様に、ベース基板51の後部分に設けられた1つの取付孔に、1つの位置決め部材54が嵌め合わされており、位置決め部材54のV字面が貫通孔53gから露出するように取付プレート53がベース基板51の下面に取り付けられている。位置決め部材54の両端がベース基板51と取付プレート53とによって挟持されている。
【0043】
外部装置が有するピンが各位置決め部材54のV字面に当接することによって、パネル収納容器1が位置決めされる。具体的には、V字面によってV字状の溝にピンが誘導される。パネル収納容器1は3つの位置決め部材54を備えているので、パネル収納容器1は3点で支持される。したがって、パネル収納容器1の位置が精度良く定まる。位置決め部材54の数及び配置は、適宜変更されてもよい。
【0044】
給排気機構55は、パネル収納容器1の内部(収容空間20)の清浄性及び低湿度を保つために、収容空間20内にガスを供給し、収容空間20からガスを排出するための機構である。収容空間20内に供給されるガスの例としては、不活性ガスが挙げられる。本実施形態では、容器本体2は、4つの給排気機構55を備えている。各給排気機構55は、底板22とベース基板51との間に設けられている。各給排気機構55は、底板22に設けられた貫通孔22h(
図5参照)及びベース基板51に設けられた貫通孔51hを介して、ガスを収容空間20に供給し、又はガスを収容空間20から排出する。本実施形態では、前方に設けられた2つの給排気機構55が、収容空間20からガスを排出し、後方に設けられた2つの給排気機構55が、収容空間20にガスを供給する。なお、給排気機構55の数、配置、及び機能は、任意に変更され得る。
【0045】
次に、
図5を参照して、収容空間20内の構成を説明する。
図5は、
図2のV-V線に沿った断面図である。
図5に示されるように、パネル収納容器1は、パネル支持部60を更に備えている。パネル支持部60は、複数のパネルを支持するための部分である。パネル支持部60は、容器本体2の内部(収容空間20)に設けられている。パネル支持部60は、複数の支持部61と、複数の支持部62と、複数のストッパ63と、複数のストッパ64(保持部材)と、を備えている。
【0046】
支持部61、支持部62、ストッパ63、及びストッパ64の数は、パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数に応じて変更される。本実施形態では、パネル支持部60は、1枚のパネル当たり、1つの支持部61と、2つの支持部62と、2つのストッパ63と、2つのストッパ64と、を備えている。言い換えると、1つの支持部61と、2つの支持部62と、2つのストッパ63と、2つのストッパ64とによって、1枚のパネルを収納する収納段が形成される。
【0047】
支持部61は、パネルの左右方向における中央部を支持するための部分である。支持部61は、シャフト61aと、複数の弾性体61bと、を有している。シャフト61aは、前後方向に延びる柱状(例えば、円柱状)の部材である。シャフト61aは、1枚のパネルを支持するために用いられる。シャフト61aの後端が支柱26dの嵌合穴26gに嵌入され、ネジによって支柱26dに固定される。シャフト61aは、例えば、曲げ剛性の高い材料によって構成されている。シャフト61aの構成材料の例として、ステンレス及びアルミニウム等の金属、並びにカーボン繊維強化プラスチックが挙げられる。
【0048】
弾性体61bは、シャフト61aの外周面に設けられた環状(例えば、円環状)の部材である。弾性体61bは、パネルの滑りを抑え、パネルの位置決め精度を向上させるために設けられる。パネルの滑り防止の観点から、弾性体61bは、シャフト61aよりも高い摩擦力を有してもよい。パネルの損傷防止の観点から、弾性体61bは、シャフト61aよりも高い弾力性(クッション性)を有してもよい。弾性体61bは、例えば、ゴム材によって構成される。ゴム材の例としては、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、シリコンゴム、及びフッ素ゴムが挙げられる。弾性体61bは、例えばOリングである。複数の弾性体61bは、シャフト61aの延在方向に一定の間隔で配列されている。位置決め精度向上の観点から、互いに隣り合う2つの弾性体61bの間隔は、50mm~100mmの範囲であってもよい。
【0049】
支持部62は、パネルの左右方向の両端部を支持するための部分である。支持部62は、シャフト62aと、複数の弾性体62bと、複数の支持体65と、を有している。シャフト62aは、前後方向に延びる柱状(例えば、円柱状)の部材である。シャフト62aは、1枚のパネルを支持するために用いられる。シャフト62aの後端が支柱26eの嵌合穴26hに嵌入され、ネジによって支柱26eに固定される。シャフト62aは、例えば、曲げ剛性の高い材料によって構成されている。シャフト62aの構成材料の例として、ステンレス及びアルミニウム等の金属、並びにカーボン繊維強化プラスチックが挙げられる。シャフト62aの前後方向における長さは、パネルの前後方向における長さよりも僅かに長く、シャフト61aの前後方向における長さよりも長い。シャフト61aと一対のシャフト62aとは、左右方向に配列されている。一対のシャフト62aの間に、シャフト61aが配置されている。
【0050】
弾性体62bは、シャフト62aの外周面に設けられた環状(例えば、円環状)の部材である。弾性体62bは、パネルの滑りを抑え、パネルの位置決め精度を向上させるために設けられる。弾性体62bの構成材料及び配列は、弾性体61bの構成材料及び配列と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0051】
支持体65は、シャフト62aを保持(支持)するとともに、パネルの左右方向における端部を支持するための部材である。支持体65の詳細は後述する。
【0052】
ストッパ63は、パネルの飛び出しを防止するとともにパネルの前端の位置を決めるための部材である。ストッパ63は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。ストッパ63は、シャフト62aの前端に設けられている。例えば、シャフト62aの前端をストッパ63に設けられた取付穴に嵌入することによって、ストッパ63がシャフト62aに取り付けられる。ストッパ63は、弾性体62bの外径よりも大きい外径を有する円板状の係止片63aを有している。係止片63aは、外周面から中心に向かうにつれて後方に傾斜する傾斜面を有している。
【0053】
ストッパ64は、シャフト62aを保持するとともに、パネルの後端の位置を決めるための部材である。ストッパ64は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。ストッパ64は、シャフト62aの後端部に設けられている。ストッパ64の詳細は後述する。
【0054】
ストッパ63、ストッパ64、及び支持体65によって、パネルが載置される載置位置が規定される。具体的には、ストッパ63,64によってパネルの前後方向における載置位置が規定され、左右に設けられた4つの支持体65によってパネルの左右方向における載置位置が規定される。例えば、ロボットによってパネルが収容空間20に搬入され、いずれかの収納段にパネルが載置される。このとき、誤差等によってパネルの位置が僅かにずれることがある。例えば、パネルの前端がストッパ63の係止片63aの傾斜面上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって当該傾斜面に沿って載置位置に誘導される。同様に、パネルの後端がストッパ64の傾斜面81a(後述)上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって傾斜面81aに沿って載置位置に誘導される。同様に、パネルの側端が支持体65の傾斜面71g,71h(後述)上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって傾斜面71g,71hに沿って載置位置に誘導される。
【0055】
次に、
図6~
図8を参照して、支持体65を詳細に説明する。
図6は、
図5に示される支持体の斜視図である。
図7は、
図5のVII-VII線に沿った断面図である。
図8は、
図5のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【0056】
図6~
図8に示されるように、支持体65は、載置部71と、空間画定部72と、取付部73と、を有している。載置部71は、パネルの左右方向における端部が載置される部分である。載置部71は、基端壁部71aと、先端壁部71bと、一対の側壁部71cと、仕切壁部71dと、連結部71eと、リブ71fと、を有している。基端壁部71a、先端壁部71b、側壁部71c、及び仕切壁部71dは、互いに略均一な厚さを有している。
【0057】
基端壁部71aは、支持体65の基端を成し、側壁23の本体部23aの内面に当接する部分である。先端壁部71bは、基端壁部71aと略平行に配置されている。一対の側壁部71cは、基端壁部71aと交差(ここでは直交)する方向に延びている。一対の側壁部71cは、互いに略平行に配置されている。一方の側壁部71cは、シャフト62aの延在方向における基端壁部71aの一端と先端壁部71bの一端とを連結している。他方の側壁部71cは、シャフト62aの延在方向における基端壁部71aの他端と先端壁部71bの他端とを連結している。各側壁部71cの基端は、上方に突出しており、側壁部71cの延在方向において基端壁部71aに向かう(先端壁部71bから基端壁部71aに向かう)につれて上方に傾斜する傾斜面71gを有している。
【0058】
仕切壁部71dは、一対の側壁部71cの間に設けられ、基端壁部71aと交差(ここでは直交)する方向に基端壁部71aから先端壁部71bまで延びている。仕切壁部71dは、側壁部71cと略平行に配置されている。仕切壁部71dの基端は、上方に突出しており、仕切壁部71dの延在方向において基端壁部71aに向かう(先端壁部71bから基端壁部71aに向かう)につれて上方に傾斜する傾斜面71hを有している。傾斜面71hは、傾斜面71gと同一平面上に位置する。一対の側壁部71cの上端面及び仕切壁部71dの上端面は、同一平面上に位置し、パネルの左右方向における端部が載置される載置面を画定している。
【0059】
連結部71eは、側壁部71cと仕切壁部71dとを連結する部分である。本実施形態では、各側壁部71cと仕切壁部71dとの間に3つの連結部71eが設けられている。3つの連結部71eは、側壁部71c(仕切壁部71d)の延在方向において等間隔で配列されている。リブ71fは、側壁部71cの内面及び仕切壁部71dの両面に設けられ、側壁部71c及び仕切壁部71dを補強する部分である。
【0060】
空間画定部72は、シャフト62aが挿通する挿通空間S1を画定する部分である。空間画定部72は、挿通空間S1においてシャフト62aの軸心回りにシャフト62aを覆いつつ、挿通空間S1からシャフト62aの一部を露出させる。空間画定部72は、複数の保持片74(第1保持片)と、複数の保持片75(第2保持片)と、を有している。本実施形態では、空間画定部72は、2つの保持片74と、3つの保持片75と、を有している。保持片74の数、及び保持片75の数は、適宜変更されてもよい。
【0061】
複数(2つ)の保持片74は、先端壁部71bに設けられ、先端壁部71bから基端壁部71aとは反対方向に延びている。複数の保持片74は、シャフト62aの延在方向(前後方向)において、互いに離間して配列されている。各保持片74には、凹部74a(第1凹部)が設けられている。凹部74aは、シャフト62aの延在方向と交差(ここでは、直交)する方向(上方)に窪んでいる。凹部74aは、シャフト62aの外径に沿った湾曲形状を有している。
【0062】
複数(3つ)の保持片75は、先端壁部71bに設けられ、先端壁部71bから基端壁部71aとは反対方向に延びている。複数の保持片75は、シャフト62aの延在方向(前後方向)において、互いに離間して配列されている。各保持片75には、凹部75a(第2凹部)が設けられている。凹部75aは、凹部74aが窪む方向と反対向きに窪んでいる。つまり、凹部75aは、シャフト62aの延在方向と交差(ここでは、直交)する方向(下方)に窪んでいる。凹部75aは、シャフト62aの外径に沿った湾曲形状を有している。
【0063】
2つの保持片74と3つの保持片75とは、シャフト62aの延在方向(前後方向)から見て、凹部74aと凹部75aとが互いに向かい合うように配置されている。シャフト62aの延在方向(前後方向)から見て、凹部74aと凹部75aとによって、シャフト62aの外周円と同形状の円形が形成されている。2つの保持片74と3つの保持片75とは、シャフト62aの延在方向(前後方向)において、1つずつ交互に配列されている。2つの保持片74の凹部74aと3つの保持片75の凹部75aとによって、挿通空間S1が画定される。言い換えると、シャフト62aは、2つの保持片74と3つの保持片75とによって挟持されている。
【0064】
シャフト62aの延在方向において互いに隣り合う2つの保持片74の間に、欠落部74bが形成されている。さらに、シャフト62aの延在方向において、2つの保持片74は、一対の側壁部71cの間に位置する。このため、保持片74とシャフト62aの延在方向における空間画定部72の端との間に、欠落部74cが形成されている。同様に、シャフト62aの延在方向において互いに隣り合う2つの保持片75の間に、欠落部75bが形成されている。欠落部74b,74c,75bにおいては、シャフト62aが支持体65によって覆われていないので、シャフト62aが挿通空間S1から露出している。
【0065】
取付部73は、支持体65をサイドプレート29に取り付けるための部分である。取付部73は、基端壁部71aの外面に設けられている。取付部73は、本体部23aに設けられた貫通孔を挿通可能な形状を有している。取付部73は、本体部23aの貫通孔に挿通され、サイドプレート29の内面に設けられた凹部に嵌め合わされる。このとき、基端壁部71aが本体部23aの内面に押し当てられる。この状態で、サイドプレート29の外側からサイドプレート29に設けられた挿通孔にネジが挿通され、取付部73に設けられたネジ穴にネジが螺合される。これにより、支持体65とサイドプレート29とによって側壁23(本体部23a)を挟み込んだ状態で、支持体65がサイドプレート29に固定される。
【0066】
支持体65は、例えば、射出成形によって作製される。射出成形では、金型として、固定型板と可動型板とが用いられる。支持体65の上下方向における中央付近にパーティングラインPL1が設定される。支持体65では、保持片74と保持片75とがシャフト62aの延在方向に交互に配列されており、凹部74a及び凹部75aがパーティングラインPL1から離れるように窪んでいるので、アンダーカットが生じない。例えば、固定型板に凹部74aを形成するための造形部が設けられ、可動型板に凹部75aを形成するための造形部が設けられる。このように金型を構成することによって、スライドを用いることなく、射出成形によって支持体65が作製され得る。
【0067】
次に、
図8~
図11(b)を参照して、ストッパ64を詳細に説明する。
図9は、
図5に示されるストッパの斜視図である。
図10は、
図5のX-X線に沿った断面図である。
図11(a)は、
図10のXIa-XIa線に沿った断面図である。
図11(b)は、
図10のXIb-XIb線に沿った断面図である。
【0068】
図8~
図11(b)に示されるように、ストッパ64は、位置決め部81と、空間画定部82と、取付部83と、を有している。位置決め部81は、パネルの後端の位置を決めるための部分である。位置決め部81は、パネルの後端の位置を決める傾斜面81aを有している。傾斜面81aは、位置決め部81の上面から下方に向かうにつれて前方に傾斜している。位置決め部81は、一方の側端が開放された中空の箱型形状を有している。位置決め部81は、他方の側端を閉塞する側壁81bを有している。側壁81bには、位置決め部81内の空間と外部空間とを連通する連通孔81cが設けられている。本実施形態では、側壁81bの前後方向における両下端に、2つの連通孔81cが設けられている。
【0069】
空間画定部82は、シャフト62aが挿通する挿通空間S2を画定する部分である。空間画定部82は、挿通空間S2においてシャフト62aの軸心回りにシャフト62aを覆いつつ、挿通空間S2からシャフト62aの一部を露出させる。空間画定部82は、位置決め部81の下方に設けられている。空間画定部82は、複数の保持片84(第1保持片)と、複数の保持片85(第2保持片)と、を有している。本実施形態では、空間画定部82は、2つの保持片84と、3つの保持片85と、を有している。保持片84の数、及び保持片85の数は、適宜変更されてもよい。
【0070】
複数(2つ)の保持片84は、位置決め部81の底壁に設けられ、位置決め部81の低壁から下方に延びている。複数の保持片84は、シャフト62aの延在方向(前後方向)において、互いに離間して配列されている。各保持片84には、凹部84a(第1凹部)が設けられている。凹部84aは、シャフト62aの延在方向と交差(ここでは、直交)する方向(右側)に窪んでいる。凹部84aは、シャフト62aの外径に沿った湾曲形状を有している。
【0071】
複数(3つ)の保持片85は、位置決め部81の底壁に設けられ、位置決め部81の低壁から下方に延びている。複数の保持片85は、シャフト62aの延在方向(前後方向)において、互いに離間して配列されている。各保持片85には、凹部85a(第2凹部)が設けられている。凹部85aは、凹部84aが窪む方向と反対向きに窪んでいる。つまり、凹部85aは、シャフト62aの延在方向と交差(ここでは、直交)する方向(左側)に窪んでいる。凹部85aは、シャフト62aの外径に沿った湾曲形状を有している。
【0072】
2つの保持片84と3つの保持片85とは、シャフト62aの延在方向(前後方向)から見て、凹部84aと凹部85aとが互いに向かい合うように配置されている。シャフト62aの延在方向(前後方向)から見て、凹部84aと凹部85aとによって、シャフト62aの外周円と同形状の円形が形成されている。2つの保持片84と3つの保持片85とは、シャフト62aの延在方向(前後方向)において、1つずつ交互に配列されている。2つの保持片84の凹部84aと3つの保持片85の凹部85aとによって、挿通空間S2が画定される。言い換えると、シャフト62aは、2つの保持片84と3つの保持片85とによって挟持されている。
【0073】
シャフト62aの延在方向において互いに隣り合う2つの保持片84の間に、欠落部84bが形成されている。さらに、シャフト62aの延在方向において、2つの保持片84は、空間画定部82の両端よりも内側に位置する。このため、保持片84とシャフト62aの延在方向における空間画定部82の端との間に、欠落部84cが形成されている。同様に、シャフト62aの延在方向において互いに隣り合う2つの保持片85の間に、欠落部85bが形成されている。欠落部84b,84c,85bにおいては、シャフト62aがストッパ64によって覆われていないので、シャフト62aが挿通空間S2から露出している。
【0074】
取付部83は、ストッパ64を支柱26eに取り付けるための部分である。取付部83は、位置決め部81の後面に設けられ、位置決め部81の後面から後方に突出している。取付部83は、板状の形状を有している。取付部83には左右方向に取付部83を貫通する挿通孔が設けられている。挿通空間S2にシャフト62aが挿通された状態で、取付部83が支柱26eの側面に当接される。そして、取付部83の挿通孔にネジが挿通され、支柱26eの側面に設けられたネジ穴にネジが螺合される。これにより、ストッパ64が支柱26eに固定される。
【0075】
ストッパ64は、突出片86と、突出片87と、を更に有している。突出片86は、位置決め部81の後面に設けられ、当該後面から支柱26eに向かって突出している。突出片86は、取付部83から位置決め部81の左右方向における中心付近まで延びている。突出片87は、空間画定部82の後端に設けられ、当該後端から支柱26eに向かって突出している。本実施形態では、突出片87は、複数の保持片84及び複数の保持片85のうちの、最も後方に位置する保持片85の後端縁に設けられている。ストッパ64が支柱26eに取り付けられた状態において、突出片86の先端及び突出片87の先端は、いずれも支柱26eの前面に当接している。
【0076】
ストッパ64は、例えば、射出成形によって作製される。ストッパ64の左右方向における中央付近にパーティングラインPL2が設定される。ストッパ64では、保持片84と保持片85とがシャフト62aの延在方向に交互に配列されており、凹部84a及び凹部85aがパーティングラインPL2から離れるように窪んでいるので、アンダーカットが生じない。例えば、固定型板に凹部84aを形成するための造形部が設けられ、可動型板に凹部85aを形成するための造形部が設けられる。このように金型を構成することによって、スライドを用いることなく、射出成形によってストッパ64が作製され得る。
【0077】
次に、パネル収納容器1の作用効果を説明する。シャフト62aの位置を安定させるために、挿通空間S1において、支持体65とシャフト62aの外周面との間にはほとんど隙間が生じない。このため、例えば、挿通空間S1の全体に亘ってシャフト62aが支持体に覆われている場合には、パネル収納容器の内部が洗浄されると、毛細管現象によって水分が支持体とシャフト62aとの間に入り込み、洗浄後にパネル収納容器の内部を十分に乾燥できないおそれがある。この状態でパネル収納容器が使用されると、収容空間の湿度が高くなり、パネル収納容器に収容されているパネルが腐食したり、錆が発生したりすることで、パネルの品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0078】
一方、パネル収納容器1においては、支持体65の空間画定部72が挿通空間S1においてシャフト62aの軸心回りにシャフト62aを覆いつつ、挿通空間S1からシャフト62aの一部を露出させている。このため、挿通空間S1の全体に亘ってシャフト62aが支持体に覆われている場合と比較して、挿通空間S1におけるシャフト62aと支持体65との接触面積が小さい。したがって、シャフト62aと支持体65との間に入り込む水分量が少なくなるので、パネル収納容器1の内部を洗浄した後に、パネル収納容器1の内部に水分が残る可能性を低減することができる。その結果、パネル収納容器1の内部の乾燥性能を向上させることが可能となる。
【0079】
同様に、ストッパ64の空間画定部82が挿通空間S2においてシャフト62aの軸心回りにシャフト62aを覆いつつ、挿通空間S2からシャフト62aの一部を露出させている。このため、挿通空間S2の全体に亘ってシャフト62aがストッパ64に覆われている場合と比較して、挿通空間S2におけるシャフト62aとストッパ64との接触面積が小さい。したがって、シャフト62aとストッパ64との間に入り込む水分量が少なくなるので、パネル収納容器1の内部を洗浄した後に、パネル収納容器1の内部に水分が残る可能性を低減することができる。その結果、パネル収納容器1の内部の乾燥性能を向上させることが可能となる。
【0080】
支持体65においては、複数の保持片74が前後方向に互いに離間して配列されているので、前後方向において互いに隣り合う2つの保持片74の間に欠落部74bが形成される。さらに、前後方向における両端に位置する2つの保持片74は、一対の側壁部71cの間に位置する。このため、これらの保持片74と前後方向における空間画定部72の端との間に、欠落部74cが形成される。同様に、複数の保持片75が前後方向に互いに離間して配列されているので、前後方向において互いに隣り合う2つの保持片75の間に欠落部75bが形成される。したがって、欠落部74b,74c,75bを介して、挿通空間S1からシャフト62aの一部を露出させることが可能となる。
【0081】
ストッパ64においては、複数の保持片84が前後方向に互いに離間して配列されているので、前後方向において互いに隣り合う2つの保持片84の間に欠落部84bが形成される。さらに、前後方向における両端に位置する2つの保持片84は、前後方向において、空間画定部82の内側に位置する。このため、これらの保持片84と前後方向における空間画定部82の端との間に、欠落部84cが形成される。同様に、複数の保持片85が前後方向に互いに離間して配列されているので、前後方向において互いに隣り合う2つの保持片85の間に欠落部85bが形成される。したがって、欠落部84b,84c,85bを介して、挿通空間S2からシャフト62aの一部を露出させることが可能となる。
【0082】
例えば、シャフト62aが挿通する貫通孔が設けられた支持体を射出成形で作製するためには、スライドを用いる必要がある。これに対して、支持体65では、保持片74と保持片75とが前後方向に交互に配列されることによって、貫通孔が形成されることなく、挿通空間S1が画定される。したがって、スライドを用いることなく、支持体65を作製することができるので、金型構造を簡易化することができ、支持体65の作製を簡易化することが可能となる。同様に、ストッパ64では、保持片84と保持片85とが前後方向に交互に配列されることによって、貫通孔が形成されることなく、挿通空間S2が画定される。したがって、スライドを用いることなく、ストッパ64を作製することができるので、金型構造を簡易化することができ、ストッパ64の作製を簡易化することが可能となる。
【0083】
ストッパ64は、支柱26eに向かって突出する突出片86,87を備えている。突出片86,87が支柱26eに当接した状態でストッパ64が支柱26eに取り付けられる。このため、ストッパの後面が支柱26eに接触した状態でストッパが支柱26eに取り付けられる場合と比較して、ストッパ64と支柱26eとの接触面積が小さい。したがって、ストッパ64と支柱26eとの間に入り込む水分量が少なくなるので、パネル収納容器1の内部を洗浄した後に、パネル収納容器1の内部に水分が残る可能性をより一層低減することができる。その結果、パネル収納容器1の内部の乾燥性能をより一層向上させることが可能となる。
【0084】
射出成形では、ヒケ及び反り等の品質不良の発生を抑制するために、成形品は均一の肉厚を有することが求められる。位置決め部81は、一方の側端が開放された中空の箱型形状を有しているので、肉厚を均一化することができる。パネル収納容器1の内部が洗浄されると、位置決め部81の内部空間に水分が残る可能性がある。この問題に対し、側壁81bには、位置決め部81内の空間と外部空間とを連通する連通孔81cが設けられている。したがって、連通孔81cによって、位置決め部81の内部空間の通気性が向上する。これにより、位置決め部81の内部空間に水分が残る可能性を低減することができる。その結果、ストッパ64の品質向上を図りながら、パネル収納容器1の内部の乾燥性能を向上させることが可能となる。
【0085】
支持体65において、載置部71は、略均一な厚さの基端壁部71a、先端壁部71b、側壁部71c、仕切壁部71d、及び連結部71eを有している。載置部71では、基端壁部71a、先端壁部71b、側壁部71c、仕切壁部71d、及び連結部71eによって、上下方向に貫通する貫通孔が画定されている。したがって、パネル収納容器1の内部が洗浄された後に、載置部71に水分が残る可能性を低減することができる。その結果、パネル収納容器1の内部の乾燥性能を向上させることが可能となる。
【0086】
なお、本開示に係るパネル収納容器は上記実施形態に限定されない。
【0087】
上記実施形態では、固定部材の一例としてネジが用いられているが、ネジに代えて別の固定部材が用いられてもよい。
【0088】
容器本体2の各部材の連結方法は、上記実施形態と異なっていてもよい。上記実施形態では、容器本体2は、複数の部品を組み合わせることによって構成されているが、一体成形品であってもよい。
【0089】
支持体65は、上記実施形態の構成に限られない。例えば、空間画定部72は、挿通空間S1においてシャフト62aの軸心回りにシャフト62aを覆いつつ、挿通空間S1からシャフト62aの一部を露出させる構成を有していればよい。保持片74及び保持片75の数及び配置は任意に変更され得る。
図12は、支持体の変形例を示す図である。
【0090】
図12に示されるように、支持体65Aは、載置部71に代えて載置部71Aを有する点、及び空間画定部72に代えて空間画定部72Aを有する点において、支持体65と主に相違する。載置部71Aは、先端壁部71bを有していない点において、載置部71と主に相違する。空間画定部72Aは、連結部76を更に有する点、保持片74の数、並びに、保持片74及び保持片75の配置において、空間画定部72と主に相違する。
【0091】
具体的に説明すると、空間画定部72Aは、複数の保持片74と、保持片74と同数の保持片75と、を有している。
図12に示される例では、空間画定部72Aは、3つの保持片74と、3つの保持片75と、を有している。各側壁部71cの先端には、1つの保持片74と1つの保持片75とが設けられている。側壁部71cと保持片74,75とは、連続して形成されており、板状の形状を呈している。同様に、仕切壁部71dの先端には、1つの保持片74と1つの保持片75とが設けられている。仕切壁部71dと一対の保持片74,75とは、連続して形成されており、板状の形状を呈している。言い換えると、1つの保持片74と1つの保持片75とが、シャフト62aの延在方向(前後方向)において同じ位置に配置されている。これにより、1つの保持片74と1つの保持片75とによって、シャフト62aが挿通する貫通孔が画定される。シャフト62aの延在方向において互いに隣り合う2対の保持片74,75は、連結部76によって連結されている。
図12に示される例では、2対の保持片74,75の間に3つの連結部76が貫通孔の円周に沿って等間隔で配置されている。
【0092】
支持体65Aを備えるパネル収納容器1においても、上記実施形態に係るパネル収納容器1と同様の効果が奏される。さらに、支持体65Aでは、1つの保持片74と1つの保持片75とによって、シャフト62aが挿通する貫通孔が画定され、貫通孔においてシャフト62aが挟持される。したがって、シャフト62aの全周に亘ってシャフト62aを保持することができるので、シャフト62aの安定性を向上させることができる。
【0093】
同様に、ストッパ64は、上記実施形態の構成に限られない。例えば、空間画定部82は、挿通空間S2においてシャフト62aの軸心回りにシャフト62aを覆いつつ、挿通空間S2からシャフト62aの一部を露出させる構成を有していればよい。保持片84及び保持片85の数及び配置は任意に変更され得る。
図13は、ストッパの変形例を示す図である。
【0094】
図13に示されるように、ストッパ64Aは、空間画定部82に代えて空間画定部82Aを有する点において、ストッパ64と主に相違する。空間画定部82Aは、連結部88を更に有する点、並びに、保持片84及び保持片85の配置において、空間画定部82と主に相違する。
【0095】
具体的に説明すると、空間画定部82Aは、複数の保持片84と、保持片84と同数の保持片85と、を有している。
図13に示される例では、空間画定部82Aは、3つの保持片84と、3つの保持片85と、を有している。1つの保持片84と1つの保持片85とが、シャフト62aの延在方向(前後方向)において同じ位置に配置されている。これにより、1つの保持片84と1つの保持片85とによって、シャフト62aが挿通する貫通孔が画定される。シャフト62aの延在方向において互いに隣り合う2対の保持片84,85は、連結部88によって連結されている。
図13に示される例では、2対の保持片84,85の間に1つの連結部88が配置されている。
【0096】
ストッパ64Aを備えるパネル収納容器1においても、上記実施形態に係るパネル収納容器1と同様の効果が奏される。さらに、ストッパ64Aでは、1つの保持片84と1つの保持片85とによって、シャフト62aが挿通する貫通孔が画定され、貫通孔においてシャフト62aが挟持される。したがって、シャフト62aの全周に亘ってシャフト62aを保持することができるので、シャフト62aの安定性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0097】
1…パネル収納容器、2…容器本体、20…収容空間、26e…支柱、60…パネル支持部、62…支持部、62a…シャフト、64,64A…ストッパ(保持部材)、65,65A…支持体(保持部材)、72,72A…空間画定部、74…保持片(第1保持片)、74a…凹部(第1凹部)、74b…欠落部、74c…欠落部、75…保持片(第2保持片)、75a…凹部(第2凹部)、75b…欠落部、81…位置決め部、81b…側壁、81c…連通孔、82,82A…空間画定部、84…保持片(第1保持片)、84a…凹部(第1凹部)、84b…欠落部、84c…欠落部、85…保持片(第2保持片)、85a…凹部(第2凹部)、85b…欠落部、86…突出片、87…突出片、S1…挿通空間、S2…挿通空間。