(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-21
(45)【発行日】2024-08-29
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20240822BHJP
D06F 58/24 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
D06F58/02 F
D06F58/24
D06F58/02 Q
(21)【出願番号】P 2021149161
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 真司
(72)【発明者】
【氏名】小沼 智史
(72)【発明者】
【氏名】額賀 晴樹
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-296630(JP,A)
【文献】特開2011-250855(JP,A)
【文献】特開2010-259490(JP,A)
【文献】特開2007-301130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
D06F 58/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を成す箱体と、
水を溜める外槽と、
前記外槽内に設けられ洗濯物を収容可能な回転自在な内槽と、
前記外槽および前記内槽に風を供給するための送風機と、
前記外槽
の後
下部の循環風を吸い込む吸込み口から前記内槽に前記循環風を吹出す吹き出し口までの循環風路と、
前記循環風を加熱するためのヒーターと、
前記循環風路内に設けられたリントを捕集する乾燥フィルターと、
前記外槽に水を供給する給水弁と、
前記循環風路内
の前記内槽の後方に設けられ、前記循環風を除湿するための熱交換器とを備え、
前記熱交換器は、
複数のリブまたはフィンを有し、
前記外槽の後下部から前記外槽の後上部まで流れる前記循環風が通る風路が設けられるとともに、
前記給水弁から供給された水が
前記外槽の後上部から前記外槽の後下部まで流れる水路
が設けられ
、
前記風路と前記水路とは、隣り合う別の室で構成されている
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
外郭を成す箱体と、
水を溜める外槽と、
外槽内に設けられ洗濯物を収容可能な回転自在な内槽と、
前記外槽および前記内槽に風を供給するための送風機と、
前記外槽
の後部の循環風を吸い込む吸込み口から前記内槽に前記循環風を吹出す吹き出し口までの循環風路と、
前記循環風を加熱するためのヒーターと、
前記外槽と
前記循環風路との間
であって前記外槽と前記循環風路を形成するダクトを接続する前記外槽の背面にある開口部に設けられるリント捕集用フィルターと、
前記外槽に水を供給する給水弁と、
前記循環風路内に設けられ、前記循環風を除湿するための熱交換器とを備え、
前記熱交換器は、
外側に複数のリブまたはフィンを有し、前記給水弁から供給された水が流れる水路が内部に設けられている
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記水の排水経路は、前記外槽内に設けられている
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記水の排水経路は、前記外槽外に設けられている
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項5】
請求項1
または請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記熱交換器は、アルミニウムを含んで形成されている
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項6】
請求項1
または請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記熱交換器は、略鉛直方向に水路が設けられている
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記熱交換器の水路には、前記水の流れに交差する抵抗体が設けられている
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記熱交換器の水路には、前記水の流れに交差する抵抗体が互い違いに設けられている
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記熱交換器の水路には、前記水の流れに交差する抵抗体がジグザグ状に設けられている
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項10】
請求項1
または請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記給水弁から供給された水が流れる前記水路は、前記熱交換器と前記循環風路の壁面で構成されたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類の洗濯と乾燥を一連で行う洗濯乾燥機がある。洗濯乾燥機としては、下記のものが知られている。
洗濯乾燥機は、水を貯める槽と、乾燥用空気を送るための送風機と、槽と送風機とを繋ぐ循環風路と、ユーザーが機外へ取り外し可能な状態で循環風路と送風機の間に設けられた乾燥フィルターと、ヒーターとを備えている。
ヒーターは、乾燥工程時に送風機から送られる空気を温風にする。
【0003】
水冷除湿方式の洗濯乾燥機は、乾燥工程において、循環風路の一部に水道水を流し、湿った循環空気と水道水とを接触させることで除湿している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6670737号公報(
図9、段落0043等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の洗濯乾燥機の除湿性能を向上する方法としては、循環風路の一部に流れる水道水と循環風の熱交換頻度を上げるために、循環風量を増加させることが有効である。しかし、従来の洗濯乾燥機では、循環風路を流れる水道水が循環風と直接接触する。そのため、循環風路内壁の状態や水道水の流れ方によっては一部の水道水が、逆方向に流れる循環風で巻き上がり、乾燥フィルターやヒーターに飛散して付着する。すると、乾燥フィルターが目詰まりを起こし通風抵抗となったり、ヒーターの加熱性能が低下し、乾燥性能の低下に繋がる課題がある。
【0006】
この課題の解決手段として、特許文献1には、循環風路内の除湿部に備えた除湿リブ(29f)と、除湿リブ(29f)に隣接して冷却水給水用ノズル(21b)を備え、冷却水流路(22aから22d)一つに対して一つのノズル(21b)から冷却水を供給することを特徴とした洗濯乾燥機が記載されている。
【0007】
しかしながら、従来技術の特許文献1によれば、冷却水と循環風が直接触れることに変わりはないため、除湿リブ(29f)面に異物が付着することに依る濡れ性悪化が悪化する場合がある。また、除湿性能向上のために循環風量を増加させる場合には、冷却水の巻き上がりが発生する可能性が残る。また、除湿リブ(29f)間を流れる冷却水は限られた範囲であることから、循環風と接触する熱交換面を広く確保することは困難で、高い除湿性能を確保することは難しい。
【0008】
また、一般的に、熱交換面は循環風と接触する表面積が大きいほどに熱交換効率は向上し高い除湿性能を得ることが出来る。しかし、熱交換面を拡大すると、筐体サイズが大きくなってしまうため、占有スペースの拡大による設置性の悪化や、材料費の上昇に伴うコストアップに繋がる課題もある。
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、筐体サイズを大きくすることなく、高い除湿性能をもつ洗濯乾燥機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の洗濯乾燥機は、外郭を成す箱体と、水を溜める外槽と、前記外槽内に設けられ洗濯物を収容可能な回転自在な内槽と、前記外槽および前記内槽に風を供給するための送風機と、前記外槽の後下部の循環風を吸い込む吸込み口から前記内槽に前記循環風を吹出す吹き出し口までの循環風路と、前記循環風を加熱するためのヒーターと、前記循環風路内に設けられたリントを捕集する乾燥フィルターと、前記外槽に水を供給する給水弁と、前記循環風路内の前記内槽の後方に設けられ、前記循環風を除湿するための熱交換器とを備え、前記熱交換器は、複数のリブまたはフィンを有し、前記外槽の後下部から前記外槽の後上部まで流れる前記循環風が通る風路が設けられるとともに、前記給水弁から供給された水が前記外槽の後上部から前記外槽の後下部まで流れる水路が設けられ、前記風路と前記水路とは、隣り合う別の室で構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、筐体サイズを大きくすることなく、高い除湿性能をもつ洗濯乾燥機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の洗濯乾燥機を側方から見た要部断面構成図。
【
図2】第1実施形態の洗濯乾燥機の熱交換器を側方から見た要部断面図。
【
図3】第2実施形態の洗濯乾燥機を側方から見た要部断面構成図。
【
図4】第2実施形態の洗濯乾燥機の熱交換器を側方から見た要部断面図。
【
図5】第3実施形態の洗濯乾燥機を側方から見た要部断面構成図。
【
図6】第3実施形態の洗濯乾燥機の熱交換器を側方から見た要部断面図。
【
図9A】
図8のI-I断面の熱交換器の水路構造例1を示す図。
【
図9B】
図8のI-I断面の熱交換器の水路構造例2を示す図。
【
図9C】
図8のI-I断面の熱交換器の水路構造例3を示す図。
【
図9D】
図8のI-I断面の熱交換器の水路構造例4を示す図。
【
図10】第4実施形態の洗濯乾燥機を側方から見た要部断面構成図。
【
図12】第4実施形態の洗濯乾燥機の外槽と第1のリントフィルターとを前方から見た概念図。
【
図13】第4実施形態の熱交換器を内包する部位の循環風路を示す斜視図。
【
図14】第4実施形態の洗濯乾燥機を側方から見た乾燥時の風の流れ(破線矢印)と循環空気の冷却水の流れ(実線矢印)を示す断面構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の洗濯乾燥機は、水を溜める槽と衣類乾燥用のヒーター及び送風機とを繋ぐ循環風路内に熱交換器を備えた洗濯乾燥機であり、当該熱交換器は外部に複数のリブ形状を備え、内部に水道水を流す水路を備えたことを特徴としている。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
<<第1実施形態>>
図1に、本発明に係る第1実施形態の洗濯乾燥機Sを側方から見た要部断面構成図を示す。
図2に、第1実施形態の洗濯乾燥機Sの熱交換器8を側方から見た要部断面図を示す。
なお、実施形態として示す洗濯乾燥機はドラム式洗濯乾燥機Sを挙げるが、本発明は、略鉛直方向に延びる回転軸をもつ内槽を有するタテ(縦)型洗濯乾燥機で実施しても良く、構成及び特徴、それによってもたらされる効果は同じである。
【0014】
ドラム式洗濯乾燥機Sは、洗濯物の洗濯から乾燥までを行う。
ドラム式洗濯乾燥機Sは、箱体1、外槽2、内槽3、送風機4、循環風路5、ヒーター6、乾燥フィルター7、および熱交換器8を備えている。
ドラム式洗濯乾燥機Sは、箱体1で外郭が形成されている。箱体1の前部には、洗濯物を出し入れするためのドア1dが設けられている。箱体1の上部には、ドラム式洗濯乾燥機Sの制御を担う制御装置1cが設けられている。制御装置1cは、マイクロコンピューター、センサ回路、内槽3回転用の駆動回路等の各種回路で構成されている。
【0015】
外槽2の内部には、洗濯水が溜められる。箱体1内の後上部には、外槽2に水を供給する給水弁(図示せず)が設けられている。
内槽3は、外槽2内に設けられ、洗濯物が入れられ略水平な回転軸O廻りに回転する。
送風機4は、乾燥工程時、内槽3内に洗濯物を乾燥させる風(循環風)を供給する。
循環風路5は、外槽2と送風機4とを接続する。循環風路5には、乾燥風が流れるダクト5d、第1蛇腹ホース5j1、第2蛇腹ホース5j2が設けられている。なお、循環風路5は、ダクト5dに入る吸込み口5iから内槽3への吹き出し口5oまでとする。ちなみに、吸込み口5iは、後記する第4実施形態での開口部2iと同様に、外槽後部の循環空気を(循環風路に)吸い込む吸込み口である。
【0016】
第1蛇腹ホース5j1、第2蛇腹ホース5j2は、内槽3の回転時に発生する外槽2の振動を、変形することで箱体1に固定される構成要素(送風機4、ヒーター6等)に伝搬しないようにする。
ヒーター6は、循環風路5内の内部に設けられている。ヒーター6は、乾燥工程時、循環風路5内で送風機4から送られる循環風を加熱する。
乾燥フィルター7は、循環風路5内の内部に設けられている。乾燥フィルター7は、乾燥工程時、送風機4の手前で循環風に乗ったリント(糸くず)を捕集する。
【0017】
熱交換器8は、循環風路5内に設けられ、循環風を冷却して除湿する。熱交換器8は内部に水路8a2が設けられている。管8aの循環風が当たる面は熱交換面8a1を形成している。
外槽2の下端部には、第1内部配水ホース9aの一端部が設けられている。第1内部配水ホース9aの他端部は、洗濯、すすぎ時のリント(糸くず)を補修するリントフィルター10に接続されている。
【0018】
リントフィルター10の下流には、洗濯水を循環させる循環ポンプ11が設置されている。循環ポンプ11の下流は、第2内部配水ホース9bと排水弁12に接続される第3内部配水ホース9cとに接続されている。第2内部配水ホース9bは外槽2の上部に接続されており、内槽3内に洗濯水を供給する。排水弁12は、機外に排水するための外部排水ホース13に接続されている。
【0019】
<洗濯水の循環と排水>
洗濯、すすぎ時の循環時には、洗濯水、すすぎ水は、外槽2から、
図1の矢印α11、α12に示すように、第1内部配水ホース9a、リントフィルター10、循環ポンプ11、第2内部配水ホース9bを通って、内槽3の上部からシャワー状に循環させる。
洗濯水、すすぎ水の排水時には、外槽2から、
図1の矢印α11、α13、α14に示すように、第1内部配水ホース9a、リントフィルター10、循環ポンプ11、第3内部配水ホース9c、排水弁12、外部排水ホース13を通って排水される。
【0020】
乾燥工程時、洗濯物を乾燥させる乾燥風は、送風機4により発生させる。内槽3内の洗濯物を通過した乾燥風は、内槽3から、外槽2(
図1の破線矢印β11)、吸込み口5i(
図1の破線矢印β12)、ダクト5d(
図1の破線矢印β13)、第1蛇腹ホース5j1(
図1の破線矢印β14)、乾燥フィルター7、送風機4、ヒーター6(
図1の破線矢印β15)、第2蛇腹ホース5j2を通って、吹き出し口5oから内槽3内に循環させる(
図1の破線矢印β16)。
【0021】
<熱交換器8>
図2に示すように、熱交換器8は、外側の熱交換面8a1および熱交換リブ8bと内部の水路8a2を有している。熱交換器8は、循環風路5内に固定されている。
熱交換器8は、例えば、熱伝導性の高いアルミニウムを含む部材(アルミニウム合金等)を用いて形成される。熱交換器8の外部には複数のリブが熱交換リブ8bとして形成され、内部に水路8a2が形成された成形品である。
【0022】
水路8a2には除湿用の水道水が流れる。
ところで、循環空気が下から上に流れる(
図1、
図2の矢印β13)ダクト5bは略鉛直方向に設けられている。そこで、熱交換器8は、ダクト5b内を流れる循環空気に沿って水路8a2が略鉛直方向に設けられる。これにより、熱交換器8は、ダクト5b内の循環空気との熱伝導面積を広くとれる。
熱交換器の外面は、熱交換面8a1を形成している。熱交換面8a1は、ダクト5dを流れる循環空気(
図2の破線矢印β13)と内部の水路8a2を流れる水(
図2の矢印γ11)とが熱交換する。これにより、水路8a2を流れる除湿用の水道水は、ダクト5dを流れる循環空気を冷却して除湿する。
【0023】
熱交換リブ8bは、熱交換面8a1に立設され、熱交換面8a1の表面積を拡大して熱交換を促進する。つまり、熱交換器8の熱交換面8a1には複数のリブ形状の熱交換リブ8bを有するため、熱交換面8a1を広げることができる。
熱交換器8の本体取付体8Hの上部には水道水を給水するための給水口8kを水路8a2に続くように備えている。一方、熱交換器8の本体取付体8Hの下部には水道水を排出するための排水口8hを水路8a2に続いて備えている。
排水口8hは、水路8a2を上方から下方に流れた水道水を循環風路5の下部から外槽2内の一部2a(
図2参照)を通過し機外に排水される。
熱交換器8は、水路8a2に水道水を供給する給水口8kと機外に排出する排水経路(排水口8h、外槽2内の一部2a)を有している。
【0024】
この構成により、風速が増加する循環風路5の内部において、水路8a2を流れる水道水と、熱交換器8の外部を流れる循環空気(風)との接触範囲(領域)を限りなく少なくすることができる。そのため、ダクト5d内を流れる循環風(循環空気)による除湿用の水道水の巻き上がりを抑制する効果を持つ。
また、内部の水路8a2を流れた水道水が外槽2内を流れるので、排水口8hとの接続部の構成が簡素であり、部品点数が削減される。また、組み立て性がよい。そのため、低コスト化を図れる。
【0025】
<<第2実施形態>>
図3に、本発明に係る第2実施形態の洗濯乾燥機2Sを側方から見た要部断面構成図を示す。
図4に、第2実施形態の洗濯乾燥機2Sの熱交換器28を側方から見た要部断面図を示す。
第2実施形態の洗濯乾燥機2Sは、除湿用水道水の排出経路8h2を外槽2の外側に設けたことを特徴としている。その他の構成は、第1実施形態と同様であるから、同一の構成要素には同一の符号を付して示して説明は省略する。
【0026】
第2実施形態では、外槽2の外側に、第1内部配水ホース9aと接続される排出経路8h2が設けられている。
そして、熱交換器28において除湿用水道水が流れる水路28a2の排水口28hが排出経路8h2に接続されている。
これにより、熱交換器28の水路28a2を流れる除湿用の水は、排水口28hから外槽2の外側の排出経路8h2を通って、第1内部配水ホース9aに流れて排水される。
【0027】
第2実施形態によれば、ダクト5dを流れる循環風(
図4の破線矢印β13)と水道水(
図4の矢印γ11)を完全に隔離することが可能となる。そのため、循環風(
図4の破線矢印β13)に水道水(
図4の矢印γ11)が接触せず、除湿性能がより向上する。また、水道水の巻き上がりを防止することが可能となる。
【0028】
<<第3実施形態>>
図5に、第3実施形態の洗濯乾燥機3Sを側方から見た要部断面構成図を示す。
図6に、第3実施形態の洗濯乾燥機3Sの熱交換器38を側方から見た要部断面図を示す。
第3実施形態は、外槽2と循環風路5の接続部にリント捕集用のフィルター16を備えていることを特徴とする。
【0029】
第3実施形態では、外槽2の背面である循環風路5(ダクト5d)との境界にリント捕集用のフィルター16を形成している。リント捕集用のフィルター16は、メッシュ状に構成され、主に乾燥工程時のリント(糸くず)を補集する。リント捕集用のフィルター16を設けることで、
図1に示す乾燥フィルター7が不要になり、乾燥フィルター7の占有スペースを空けることができる。
【0030】
リント(糸くず)は下記のようにして発生する。
洗い工程時やすすぎ工程時における内槽3内の洗濯物同士が擦れあう機械力や、乾燥工程時における内槽3に供給される風による機械力等により、洗濯物の繊維が剥離しリントが発生する。発生したリントは、乾燥工程の初期には湿った状態で重いため浮遊しないが、乾燥が進展するにつれリントから水が蒸発して軽くなり浮遊し始める。浮遊したリントのうち、リント捕集用のフィルター16の網目より大きいリントは、リント捕集用のフィルター16で捕集され、以後の洗い工程やすすぎ工程の終了後に外槽排水孔2oから第1内部排水ホース9aに排出される。
【0031】
第1・第2の実施形態では、熱交換器8、28の下流側にリント捕集用の乾燥フィルター7を備えるが、本第3実施形態によれば、熱交換器28の上流側のリント捕集用のフィルター16でリントを捕集する。そのため、熱交換器28の外部に備える熱交換リブ28bをより細かいものとしても、リントが熱交換リブ28bの間に詰まることを抑制できる。そのため、熱交換リブ28bの間隔を狭めて熱交換面積を更に広く確保することが可能となり、より高い除湿性能が期待できる。
【0032】
<熱交換器8、28の実施形態例>
第1~第3の実施形態における熱交換器8、28の実施形態例を
図7~
図9に示す。
図7に、熱交換器8、28の実施形態例1を示す。
【0033】
図7に示す実施例1の熱交換器8、28では、水路8sを有する熱交換器外郭8bと複数のリブ形状のフィン8b2とを有している。
水路8sには、除湿用の水道水が流れる。
リブ形状のフィン8b2は、水路8sが形成される熱交換器外郭8bが成す熱交換面8a1に多数立設されている。
複数のリブ形状のフィン8b2が循環風路5を流れる循環空気との接触面積を拡大することで、乾燥時の循環空気の除湿性能を向上することができる。
【0034】
図8に、熱交換器8、28の実施形態例2を示す。
図8に示す実施例1の熱交換器8、28では、熱交換器外郭8bの両外面に複数のリブ形状のフィン8b3を有している。両外面の複数のリブ形状のフィン8b3により熱交換面の面積が拡大し、熱交換器8、28の両面に単に循環風を流す場合により効率的な除湿が可能となる。
なお、前述の実施例では水路8sは熱交換器8、28の内部に中空に形成されているが、
図15のように熱交換器8、28と循環風路5の壁面5aとで水路8sを形成しても良く、この場合、熱交換器8、28の構造を簡素化して低コスト化出来る利点がある。
【0035】
図9A~
図9Dに、
図8のI-I断面の熱交換器8、28の水路構造例1~例4を示す。
熱交換器8、28の内部の水路8sの構造については、
図9A~
図9Dの水路構造例1~例4が挙げられる。
【0036】
図9Aの例1は、熱交換器8、28の内部の水路8sを空洞したものである。
図9Bの例2は、熱交換器8、28の内部の水路8sに水が流れる方向(
図9Bの矢印γ11)に延びるジグザグ状のリブr1を複数形成している。ジグザグ状のリブr1により、水路8sを流れる水が広範囲に広がり流れの速度が緩慢になる。そのため、循環風路5を流れる循環空気との熱交換容量を向上させることができる。
【0037】
図9Cの例3は、熱交換器8、28の内部の水路8sに水が流れる方向(
図9Bの矢印γ11)に交差する方向に、長さが短いリブr2を互い違いに形成している。互い違いのリブr2により、水路8sを流れる水が広範囲に広がり流れの速度が緩慢になる。そのため、循環風路5を流れる循環空気との熱交換容量を向上させることができる。なお、水が流れる方向(
図9Bの矢印γ11)のリブr2間の間隔、または、水が流れる方向(
図9Bの矢印γ11)に交差する方向のリブr2間の間隔を調整することで、水路8sを流れる水の速度を容易に調整できる。
【0038】
図9Dの例3は、熱交換器8、28の内部の水路8sに水が流れる方向(
図9Bの矢印γ11)に沿って、ジグザグ状に長さが短いリブr2を互い違いに形成したものである。ジグザグ状の長さが短いリブr2により、水路8sを流れる水が広範囲に広がり流れの速度が緩慢になる。そのため、循環風路5を流れる循環空気との熱交換容量を向上させることができる。
【0039】
図9B~
図9Dに示すように、水路8sの壁面に、道水の流れの抵抗となる少なくとも二つ以上のリブr1、r2、r3を形成している。これにより、循環風路5を流れる循環空気との熱交換容量が増加し、除湿効率を向上できる。
第1~第3実施形態の構成によれば、熱交換器8の内部に設けられた水路8a2、8sを水道水等の冷却水が流れるため、循環風路5を流れる循環風(空気)による冷却水の巻き上がりを抑制できる。また、熱交換器8、28の外部に複数のリブ形状の熱交換リブ8b、28bを設けることで熱交換面積を広く確保できる。そのため、乾燥時の効率的かつ高い除湿性能を得ることが可能である。なお、熱交換リブ8b、28bはフィンに代替してもよい。
なお、上述の内部の水路8sの実施例
図9A乃至
図9Dの形状は、
図15のように熱交換器8、28と循環風路5の壁面5aとで水路8sを形成する場合においては、いずれも循環風路5の壁面5aに形成されていても良い。
【0040】
したがって、湿った循環空気を効率的に除湿することができるため、乾燥運転時間の短縮および消費電力量抑制効果がある。また、従来の課題であった水冷除湿方式における乾燥フィルター及びヒーターへの水道水飛散による乾燥性能の低下も抑制できる。
以上のことから、外郭の筐体(箱体1)のサイズを大きくすることなく、乾燥中の循環風路5を流れる循環風(空気)による冷却水の巻き上がりを抑制し、高い除湿性能をもつ水冷除湿部(ダクト5d、熱交換器8、28)を有する洗濯乾燥機S~3Sを提供できる。
【0041】
なお、第1~第3実施形態で説明した各構成は適宜組み合わせて構成してもよい。
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を
図10~
図14に示す。
【0042】
図10に、第4実施形態の洗濯乾燥機4Sを側方から見た要部断面構成図を示す。
図11に、第4実施形態の熱交換器48の斜視図を示す。
第4実施形態の洗濯乾燥機4Sは、熱交換器48が薄板状のフィン48aと水路を兼ねる伝熱管48bとで構成されることが特徴である。
熱交換器48は、洗濯乾燥機4Sの後上部にある第1蛇腹ホース5j1と送風機4との間に配置されている。その他の構成は、第3実施形態と同様であるから、同一の構成要素には、同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
【0043】
<糸くずの捕集方法>
図10に示すように、外槽2とダクト5dを接続する外槽2の背面にある開口部2iには、第1のリントフィルター26を備えている。
【0044】
図12に、第4実施形態の洗濯乾燥機4Sの外槽2と第1のリントフィルター26とを前方から見た概念図を示す。
第1のリントフィルター26はメッシュ26aとメッシュ26aに張りを持たせて固定するフレーム26bとで構成されている。メッシュ26aは合成繊維や樹脂などの繊維、金属細線等で構成されている。フレーム26bは樹脂、防錆の軽金属等で形成されている。
【0045】
第1のリントフィルター26は外槽2とダクト5dとを接続する開口部2iにフレーム26bをはめ込むことで固定される。第1のリントフィルター26は、
図1に示す乾燥フィルター7の代替構造となる。なお、開口部2iは、第1実施形態の吸込み口5iと同様に、外槽後部の循環空気を吸い込む吸込み口である。
乾燥時に発生した糸くずは、第1のリントフィルター26で捕集され、次回の洗濯運転時または専用のフィルター洗浄運転時に洗い流される。洗い流された糸くずは、第1内部排水ホース9aを経由してリントフィルター10に捕集される。従来構成の洗濯乾燥機では、糸くずフィルター(
図10のリントフィルター10に相当)は洗濯時に発生する糸くずを捕集し、乾燥フィルター(
図1の乾燥フィルター7に相当)は乾燥時に発生する糸くずを捕集していた。異なる工程で発生する糸くずを2つのフィルターでそれぞれ捕集していた。
【0046】
これに対して、第4実施形態の洗濯乾燥機4Sでは、各工程で発生した糸くずを全てリントフィルター10で捕集する。
これによって、
図1に示す洗濯乾燥機Sの上部に配置されていた乾燥フィルター7は廃止される。
【0047】
<熱交換器48の構成>
乾燥フィルター7(
図1参照)が配置されていた場所には、
図10に示すように、熱交換器48を内包した上循環風路25が新たに配置される。つまり、熱交換器48は上循環風路25内に収容されている。
【0048】
<熱交換器48の構造>
図11に示すように、熱交換器48は、熱伝導性の良い材質(例えばアルミニウム)でできた薄板状のフィン48aが複数離隔配置されている。複数の薄板状のフィン48aには、通水可能な中空筒状の伝熱管48bが貫通して接続されている。
伝熱管48bは熱伝導性の良い材質(例えば銅)でできている。伝熱管48bの中空筒内面は、溝をつけることで伝熱管8bの内面の表面積を大きくしている。これにより、伝熱管8bの大きくした内面を介して熱伝導が行われる。そのため、伝熱管8bの内部を流れる流体(水道水)(
図11の矢印γ32)の熱を効率良くフィン48aに伝達できる。
【0049】
<伝熱管の給水経路>
伝熱管48bは、水道水が供給される給水口48b1と熱交換後の水道水が排出される排水口48b2とを有している。
伝熱管48bの開口部(給水口48b1、排水口48b2)は水路によって他部品と接続される。
【0050】
図10に示す洗濯乾燥機4Sの後上部には給水弁17が備えられている。給水弁17には、洗濯に際して給水ホース(図示せず)が接続される。
給水弁17は、伝熱管48bの一方の開口部である給水口48b1とホース28oを介して接続されている。また、伝熱管48bの他方の開口部である排水口48b2は、ホース18を介して循環ポンプ11と接続されている。本構成により、伝熱管48b内には給水弁17からホース28oを通して水道水が供給される。そして、水道水は、伝熱管48bを通過して熱交換が行われ、伝熱管48bの他方端の排水口48b2からは排水される。排水された水道水は、ホース18を通って循環ポンプ11から排水弁12を経由して機外へと流れる。
【0051】
熱交換器48内で伝熱管48bは分岐せず、ワンパスとすることで流速を高くし温度差の低下を防ぎ、冷却効率を高めている。
<上循環風路25の構成>
【0052】
図10に示す上循環風路25の構成について説明する。
上循環風路25は、乾燥工程時に外槽2から送られる衣類(洗濯物)から水分を回収した湿った循環空気を除湿する。そして、除湿した循環空気を送風機4へ搬送する部品である。
上循環風路25は、熱交換器48と後記の第2のリントフィルター27と注水口28a1を内包している。
【0053】
熱交換器48は、洗濯物を乾かした水気を含む循環空気を除湿する。
第2のリントフィルター27は、第1のリントフィルター26のメッシュより小さく送風機4へ飛散する第1のリントフィルター26で捕れなかった糸くずを捕集する。
注水口28a1は、熱交換器48と第2のリントフィルター27とを注水洗浄する。
【0054】
<熱交換器48の配置>
熱交換器48の伝熱管48bは上循環風路25を貫通して配置されている。そして、伝熱管48bの開口部(給水口48b1、排水口48b2)が上循環風路25の外側に位置して熱交換器48を支持する構成となっている。伝熱管48bと上循環風路25の接触部には図示しないシリコーンなど熱伝導性の低い材料からなる弾性のブッシュ(図示せず)が取り付けられている。熱伝導性の低いブッシュが伝熱管48bと上循環風路25との間に設けられ、伝熱管48bの温度が上循環風路25の温度に影響しない構成としている。
【0055】
図13に、第4実施形態の熱交換器48を内包する部位の上循環風路25を示す斜視図を示す。
熱交換器48は、上循環風路25内に傾斜して配置している。つまり、伝熱管48bが水平面に対して傾斜して配置されている。
これにより、下記の3つの効果を得られる。
第1の効果は、伝熱管48bが水平面に対して傾斜しているので、伝熱管48b内に残水しなくなることである。伝熱管48b内に水が充填した状態で低温環境に晒されると、凍結により伝熱管48b内の水の体積が膨張し、水より熱膨張率が低い伝熱管48bが破裂する。熱交換器48を傾斜して配置し伝熱管48b内の水の排水を促進させることで、伝熱管48bに残水しない構成とし、伝熱管48bの破裂を防止する。
【0056】
第2の効果は、伝熱管48b内の結露水の残水を抑制することである。乾燥運転の詳細は後記する。
乾燥運転時の熱交換器48の機能は、伝熱管48b内に水道水を給水することでフィン48aを冷却し、洗濯物の水気で湿った循環空気と接触させる。これにより、フィン48aと循環空気との温度差により循環空気が含む水分をフィン48aに結露させ、循環空気を除湿する。フィン48aには親水加工が施されており、フィン48aに付着した結露水は表面張力が大きくなるため接触角が0°に近づき、フィン48aの上を移動しやすくしている。これにより、フィン48aの上を移動する結露水は、風に吹き飛ばされることなく排水できる。フィン48aの上の結露水が残水しないようにすることで、上循環風路25の内部で冷却したフィン48aを露出させることができ、除湿性能の低下を防止している。
【0057】
第3の効果は、フィン48aの上の結露水の水はねを抑制することである。フィン48aの表面は結露水が付着している。熱交換器48のフィン48aを上循環風路25内に傾斜して配置し、上循環風路25と直交させないことでフィン48aの上の結露水にかかる風圧が傾斜方向に分散し、水はねを抑制している。
【0058】
<結露水の処理方法>
図13に示すように、上循環風路25内の熱交換器48の下方には、凹断面をもつ排水溝19が設けられている。排水溝19は、熱交換器48のフィン48aに付着する結露水を排水するためのものである。排水溝19には排水口19aが接続されている。排水口19aは、排水ホース19b(
図10参照)に接続されている。
傾斜する熱交換器48の下端となる各フィン48aは上循環風路25の排水溝19に接触している。熱交換器48の下端のフィン48aまたは一部を他部品の排水溝19の壁やリブに接触させている。これにより、フィン48aから流れる結露水を他部品の排水溝19に速やかに移動させる構成になっている。本第4実施形態では、フィン48aの表面に親水加工が施されているため、熱交換器48の傾斜に沿って結露水が流れ、熱交換器48の下端に集合する。熱交換器48と上循環風路25の排水溝19とが接触しているため、結露水はフィン48aから排水溝19へと移動する。排水溝19へ到達した結露水は排水口19aへと流れ、排水ホース19b(
図10参照)を通って(
図13の矢印γ23)上循環風路25の外に排出される。
【0059】
<熱交換器48内の伝熱管48bが冷却する領域>
図13に示すように、熱交換器48の一部は排水溝19内に配置される。上循環風路25内を流れる循環空気が排水溝19内のフィン48aに直接当たらない。そのため、
図11に示す結露水処理領域R2である排水溝19内の領域は除湿への寄与度が低い。そこで、本第4実施形態では伝熱管48bを循環空気が直接当たる領域である除湿処理領域R1に配置する構成としている。
【0060】
<第2のリントフィルター27の配置>
図13に示す上循環風路25の送風機側開口部には第2のリントフィルター27が備えられている。
ところで、第1のリントフィルター26を通過した微細な粉状のリントは蛇腹ホース5j1(
図10参照)や熱交換器48で集積し塊となる。塊となったリントが風に乗って、下流に配置される送風機4やヒーター6へと運ばれるおそれがある。そこで、
図10に示すように、送風機4やヒーター6の上流に第2のリントフィルター27を配置することで、リントの塊が送風機4やヒーター6に付着することを防いでいる。
【0061】
図13に示す第2のリントフィルター27は、メッシュ27aとメッシュ27aに張りを持たせて固定するフレーム27bとで構成されている。第2のリントフィルター27は上循環風路25の送風機4側の開口部25oと熱交換器48との間にフレーム27bをはめ込むことで固定される。
第2のリントフィルター27は熱交換器48の側が下端27sとなるように傾斜して配置される。後記する第2のリントフィルター27を洗浄する洗浄水が第2のリントフィルター27のメッシュ27aに当たりやすくするためである。また、排水溝19へ洗浄水が流れやすいようにして、上循環風路25内に水が溜まらない構成としている。これにより、結露水が乾燥機能に影響を及ぼし、乾燥機能が低下することを抑制している。
【0062】
<注水口の配置>
図13に示すように、上循環風路25の天面内側には上循環風路25内に注水可能に開口した注水口28a1が備えられている。
詳細には、上循環風路25の天面内側には、熱交換器48と第2のリントフィルター27を洗浄するための洗浄水が流れる配管28kが上循環風路25の上部を横断するように設けられている。配管28kからは、上循環風路25の循環空気が流れる方向に複数の分岐管28aが配置されている。各分岐管28aには、複数の注水口28a1が形成されている。各分岐管28aは、洗浄水が通過して注水口28a1に至る水路を形成する。
【0063】
上循環風路25の天面内側には熱交換器48と第2のリントフィルター27を覆うように流路の分岐管28aが配置されている。流路の分岐管28aは上循環風路25内に開口した注水口28a1を複数備えている。
流路の分岐管28aは水路の配管28k(
図10参照)によって給水弁17と接続されている。給水弁17から水路の配管28k、流路の分岐管28aを介して注水口28a1に、水道水が供給可能な構成となっている。
【0064】
図13に示すように、給水弁17からの水道水は水路の配管28kに流れ(
図13の矢印γ21)、分岐管28a内を流れ(
図13の矢印γ22)、注水口28a1に供給される。
こうして、流路の分岐管28aへ到達した水は、注水口28a1を経由して上循環風路25の天面内側から熱交換器48と第2のリントフィルター27に洗浄水として散水される。洗浄水は熱交換器48や第2のリントフィルター27の表面に付着したリント(糸くず)を洗い流し、排水溝19を経由して排水口19aより排水ホース19b(
図10参照)を通って上循環風路25の外に排出される(
図10の矢印γ23)。
【0065】
<第4実施形態の運転制御>
第4実施形態の洗濯乾燥機4Sにおける乾燥運転について説明する。
乾燥運転は、制御装置1c(
図10参照)によって制御される。
【0066】
図14に、第4実施形態の洗濯乾燥機4Sを側方から見た乾燥時の風の流れ(破線矢印)と循環空気の冷却水の流れ(実線矢印)の断面構成図を示す。
送風機4から発生した風はヒーター6を通過し(
図14の破線矢印β26)、加熱されて温風となり、吹き出し口5oから内槽3へと送られる(
図14の破線矢印β20)。内槽3の中にある湿った衣類(洗濯物)は、温風によって加熱され、水分が蒸発する。蒸発した水分は、外槽2内の空気に蒸気として回収され、湿った空気となる。
【0067】
外槽2内の湿った空気が第1のリントフィルター26を通過する(
図14の破線矢印β23)して、空気と衣類から発生したリントに分離される。第1のリントフィルター26にリントが捕集される。
第1のリントフィルター26を通過した湿った空気(
図14の破線矢印β23)はダクト5dを経由して(
図14の破線矢印β24)、上循環風路25へと到達する。
上循環風路25内の熱交換器48の伝熱管48bは、給水弁17から水道水(冷却水)が給水口48b1に供給される(
図14の矢印γ31、
図11の矢印γ31)。伝熱管48b内を流れる冷却水(
図11、
図13の矢印γ32)によって、
図11、
図13に示すフィン48aは冷却水と同じ温度を維持するようになり、熱交換器48の全体が冷却される。
【0068】
冷却された熱交換器48と温風によって加熱された湿った空気が接触する。両者の温度差によって加熱された湿った空気が含む水分がフィン48aの表面に結露する。これにより、加熱された湿った空気が除湿される。フィン48aに結露した結露水は排水溝19(
図13参照)へと移動し、上循環風路25の外に排出される(
図13、
図14の矢印γ23)。
熱交換器48で除湿された空気は、第2のリントフィルター27で微細なリントの塊と分離される。第2のリントフィルター27に微細なリントの塊が捕集される。除湿された空気は送風機4によってヒーター6へ送られる(
図14の矢印β26)。除湿された空気は熱交換器48によって冷却されている(
図13、
図14の矢印β25)。そのため、除湿された空気はヒーター6によって再加熱し、再び内槽3の中に送られることで衣類が含む水分を蒸発させ、外槽2内の空気に回収させる。
【0069】
上述の一連の流れを繰り返すことで湿った衣類が含む水分が除去され、衣類は乾燥される。
乾燥運転によって、第1のリントフィルター26、第2のリントフィルター27、熱交換器48には衣類から発生したリントが付着している。
これらのリントは洗濯工程によって洗浄される。給水弁17より注水口28a1(
図13参照)から洗浄水が散水され、第2のリントフィルター27と熱交換器48を洗浄する。
【0070】
リントを含む洗浄水は排水溝19(
図13参照)、洗浄排水ホース19b(
図14参照)を経由して循環ポンプ11へと流れる。
外槽2内に洗浄水が溜まると、内槽3を回転させ水流によって第1のリントフィルター26を洗浄する。外槽2内に溜まった洗浄水は、第1のリントフィルター26、第2のリントフィルター27、熱交換器48から回収したリントを含む。
【0071】
図14に示す循環ポンプ11を駆動させると、外槽2内の洗浄液はリントフィルター10を通過し、洗浄水が含むリントを捕集する。排水弁12を開くと洗浄水は機外へと排水され、洗浄水とリントが分離される。
以上のようにすることで、第1のリントフィルター26、第2のリントフィルター27、熱交換器48に付着したリントをリントフィルター10に捕集できる。
ユーザーはリントフィルター10に捕集されたリントを廃棄するだけで良く、第1のリントフィルター26、第2のリントフィルター27、熱交換器48をメンテナンスする必要がない。
【0072】
なお、第4実施形態の例では洗濯工程でリントを捕集したが、同様の動作をする専用の洗浄コースを実行しても良い。
【0073】
<第4実施形態による効果>
第4実施形態によれば、伝熱管48b内に水道水を流すことによって熱交換器48を冷却する。熱交換器48と湿った循環空気と接触することで温度差により循環空気が含む水分をフィン48aに結露させる。
【0074】
循環空気が含む水分の結露により、循環空気を除湿することができる。熱交換器48と上循環風路25は排水溝19(
図13参照)に点または線で接触しているだけなので、従来の構成と比較すると接触面積を大きく低減できる。そのため、上循環風路25の冷却による加熱損失を抑制できる。
また、従来構成では、冷却のための水道水は循環風路の槽内壁面に流しているため、循環風路の壁面面積以上の冷却面積を確保することができず、冷却効率に限界があった。
【0075】
これに対して、第4実施形態によれば、
図13に示すように、上循環風路25の中央部に熱交換器48を配置することで循環空気との接触面積を増やすことができる。そのため、除湿効率を向上できる。
更に、外槽2に第1のリントフィルター26を設けることで上循環風路25と送風機4の間に乾燥フィルターを設ける必要がなく、そのスペースに熱交換器48を設置できる。
そのため、熱交換器48を大型化でき、筐体サイズ(箱体1のサイズ)を大きくすることなく除湿効率を向上できる。
【0076】
以上のように、従来構成と比較し、第4実施形態は除湿効率向上した洗濯乾燥機4Sとすることができる。
<<その他の実施形態>>
1.本発明は、前記した実施形態、変形例の構成に限られることなく、添付の特許請求の範囲内で様々な変形形態、具体的形態が可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 箱体
2 外槽
2a 外槽内の一部(排水経路)
3 内槽
4 送風機
5 循環風路
5a 壁面
5i 吸込み口
5o 吹き出し口
6 ヒーター
7 乾燥フィルター
8、28熱交換器
8a2 水路
8b、28b 熱交換リブ(リブ)
8b2 リブ形状のフィン(フィン)
8h2 排出経路(排水経路)
8s 水路
16 リント捕集用フィルター
17 給水弁
r1 リブ(ジグザグ状抵抗体)
r1、r2、r3 リブ(抵抗体)
r2、r3 リブ(互い違いの抵抗体)
S、2S、3S 洗濯乾燥機